NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BAND-MAID : JUST BRING IT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KANAMI OF BAND-MAID !!

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Welcome Home, Master & Princess. Are You Ready For The Next Babymetal ?! OK, Just Bring It! Japanese Hard-Rock Maid Girls BAND-MAID Has Just Released Really Cool Debut Full-Length “Just Bring It” !!

DISC REVIEW “JUST BRING IT”

ロマン溢れるメイド服に身を包み、タイトな正統派ハードロックサウンドを継承する BAND-MAID が遂に待望のメジャーデビューフルレングス “Just Bring It” をリリースしました!!楽曲の幅を広げ、著しい成長を遂げたメンバーの全てが注ぎこまれた作品は、世界を制圧するに充分なクオリティーを備えています。
Babymetal が日本が生んだ最高の女性メタルアーティストであることは、METALLICA, GUNS’N ROSES との共演、世界の熱狂ぶりをみれば明らかでしょう。しかし同時に彼女たちを認めない、アンチの存在も少なからず目に付く事も確かです。
先日、海外大手”トゥルーメタル”系レーベルのパブリッシャーと話す機会があったのですが、彼は Babymetal について「アイコンとして華があり、バンドも素晴らしいね。だけど彼女たちは自ら楽曲を作らないし、演奏もしない。さらにどれだけメタルを愛しているのかについても疑問だね。」 と語っていました。おそらくこれが Babymetal アンチの総意だと思います。
弊誌は別段”トゥルーメタルマガジン”と言う訳でもありませんので、その高い楽曲のクオリティー、kawaii×metal の新たなアプローチ、モダンな視点、ハイレベルなパフォーマンス、そして何より世界が認めてしまっているという事実から、結果が全てを語るというスタンスです。しかし、確かに演奏も作曲も出来る新たなロックンロールヒロインが日本から生まれたとしたら、この日出づる国の音楽ファンはさらに誇れるものが増えるはずですね。
BAND-MAID はまさにその Next-Babymetal の可能性を大いに秘めたアーティストだと思います。実際、彼女たちがまずブレイクを果たしたのは海外のラジオ局からでした。Facebook で150万ものフォロワーを持つ巨大ラジオ局 “Jrock Radio” が “Thrill” の PV を紹介するやいなや、BAND-MAID の名は一気に海外へ広まることとなりました。”Thrill” の Youtube 再生回数は 400万に迫る勢い。さらに昨年は国内と併せて本格的なワールドツアーも成功させており、”結果”をみれば間違いなくワールドクラスのアーティストへと成長しつつあると言えるでしょう。
では、BAND-MAID はそのインパクトだけで注目を浴びたのでしょうか?答えは否です。確かにライブを「お給仕」と言い、ファンを「ご主人様」「お嬢様」と呼ぶ5人の可愛らしいメイドには仄かな出オチ感がフンワリと漂っているかも知れません。しかし、ギャップ萌え極まる硬派な “Just Bring It” を聴けばその実力が本物であることが伝わるでしょう。
Just Bring It…「かかってこいや!」と名付けられた自信に満ちた作品は、13曲中9曲がメンバーの手によるもので、その事実は”バンド” BAND-MAID としての強みを存分にアピールしています。
アルバムを通して、とにかくギターリフがクール。トラディショナルとモダンを行き来するツインギターはその確かなテクニックと共にフックとメロディー、アグレッションを提供し続けます。そこに緩急織り交ぜたカラフルなツインボーカル、骨太で強烈なスラップまでお見舞いするベースにダイナミックなドラムスが加われば、彼女たちの可能性が無限に広がっていることを感じるはずです。
“CROSS” は BAND-MAID の今を象徴するような楽曲です。彼女たちがすんなりと海外で受け入れられた理由の一つはそのブルーステイストかもしれません。アルバムを通して活躍するブルーノートの響きは特にUSのリスナーにとっては非常に馴染み深いもの。しかし BAND-MAID はしっかりと J-Rock 由来のキャッチーさやギミックを同時に織り込んでオリジナリティーを創出しています。見事なフックを生む転調とシンコペーション、ブルージーなギターリフ、耳馴染みのよいメロディー、シンガロングパート。”CROSS” は端的に BAND-MAID の長所を物語っていますね。
加えて、マスロックテイストさえ感じさせるプログレッシブな “Awkward” は “CROSS” と対極に存在し新鮮な驚きをリスナーに与えます。ストリングを効果的に使用したこの感動的なピースは BAND-MAID の未来をチャレンジングスピリットと共に明るく照らしているように思えますね。
おそらく日本のロックファンが思うよりも、海外の音楽シーンは現在 EDM, hiphop に席巻されています。ピュアなハードロック、メタルを渇望する”トゥルーファッキンメタラー”の逆襲が BAND-MAID に託されていることは間違いないでしょう。
今回弊誌では、ギタリストでメインコンポーザー KANAMI さんにインタビューを行うことが出来ました。Mr. Big を想起させるスリリングな “モラトリアム” や “YOLO” の流暢なリードプレイを聴けば彼女の驚異的な才能が分かるはずです。Welcome Home, Master & Princess! どうぞ!!

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BAND-MAID “JUST BRING IT” : 9.6/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PROTEST THE HERO : PACIFIC MYTH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM MACMILLAR OF PROTEST THE HERO !!

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Legendary Canadian Prog-Core Outfit, Protest The Hero Has Just Released Innovative New EP “Pacific Myth” !!

DISC REVIEW “PACIFIC MYTH”

高いテクニックと、モダン=多様性に富んだその音楽性で、Modern Metal を象徴する存在となっているカナディアンレジェンド PROTEST THE HERO が新たなメンバー、販売戦略を携え挑んだ新作 “Pacific Myth” をリリースしました!!革新的な音楽性で驚きをもたらしたヒーローは、マーケティングにおいてもシーンをリードしようとしています。
今日のメタルシーンでは当たり前のように行われているクラウドファンディングキャンペーン。有名、無名に関わらず現在多くのバンドを支える、このレーベルを介さずファンと直接繋がる販売戦略は、PROTEST THE HERO が前作 “Volition” で勇気を持って踏み出した一歩が発端だったと言えるでしょう。バンドはクリエイティブな可能性とモチベーションを手に入れ、ファンは音源以外にも特別なアイテムやマーチを手に入れられる、全てが Win-Win な “Volition” での試みは確かな成功を収めました。しかし、彼らはその場所にも満足せず、さらに合理的な一手を打って来たのです。
“Pacific Myth” で彼らが打ち出した新たな戦略は、サブスクリプションプラットフォームという手法でした。定額を支払ってくれたファンのみに、毎月フレッシュな新曲を配布するという野心的なその試みは、再び成功を収めたと言えます。7500人以上のファンが “Pacific Myth” のキャンペーンに参加し、バンドのエクスクルーシブなコンテンツに12$、25$の私財を投入したのですから。6ヵ月に渡る長いキャンペーンが終了した後、バンドは “Pacific Myth” にリマスター、リミックスを施し EP として新たにリリースすることを決断します。
オリジナルラインナップが崩壊し、ベーシスト Cam McLellan、ドラマー Mike Ieradi を新たに迎えて制作されたこの EP は、”Fortress” 以前、”Fortress” 以降と時にそのキャリアを分けて語られるバンドの命題に抗うかのような強い意志を発する作品です。
確かに “Fortress” は完璧で、同時にモダンの意味を定義するようなマイルストーンでもあります。さらに昨年行われた、オリジナルラインナップでのデビューフル “Kezia” 10周年記念ツアーの盛況を見れば、この作品の若々しいエナジーも同様に愛されていることが分かりますね。
故に、BETWEEN THE BURIED AND ME にとっての “Colors” と同様に、”Fortress” 以降の作品は、ハードコア色が薄れ、よりトラディショナルでメロディー重視の方向に舵を切った “Sucrrilous”, さらにはピンチヒッターで LAMB OF GOD の剛腕 Chris Adler の推進力を生かした強力な “Volition” を持ってしてもその高き頂きを超えるまでには至らないという評価に落ち着いてしまっているように思えます。
実際、PROTEST THE HERO の現状を憂うファンの多くは、おそらく若さが原動力の一つとなった “Kezia” “Fortress” の瑞々しく、型破りで、予測不能な一面を愛しているのでしょう。しかしバンドは必ず成熟して行きます。Rody はダーティーに奔放に歌うよりもしっかりと丁寧にキャッチーなメロディーを追う場面がほとんどですし、楽曲も様々な要素をエクレクティックに吸収しつつも 、予測不能なカオスよりも、インテリジェンスを感じる構成美で驚きを演出する方向へとシフトしています。
インタビューで Tim が”2つを融合させる方法を見つけた”と語るように、”Pacific Myth” では10年という月日が生んだジレンマを、バンドの過去と未来を自然に繋ぐことで跳ね除けるチャレンジが行われているのです。
“Harbinger” のエピカルなピアノイントロを聴けば、誰もが “Kezia” のマジックを想起するはずです。そしてこの楽曲に存在する、クラシカルでテクニカルでカオティックなサウンドは、まさに2006年の衝撃をリスナーに蘇らせる役割を果たします。
穿った見方をすればファンへ擦り寄ったとも思える原点回帰ですが、元来 PROTEST THE HERO が売りにしていたこの種のキャッチーさ、テクニカルなフックを敢えて再提示したのは、自らの遺産すら武器へと変換する余裕の表れと見るべきではないでしょうか。実際、アグレッシブな曲風に刹那挿入されるピアノとボーカルだけの美しき共演は、現在の彼らだからこそ生み出せる極上の瞬間です。
同様に、”Cold Water” で聴けるサルサのようなリズミックなアプローチ、”Cataract” のスピードとエナジーの中でみせる黒くソウルフルなアイデアもバンドの新たな領域を開拓していますね。
作品で最も意義深いトラックはアルバムクローサー “Caravan” だと言えるでしょう。構成美に拘るが故長尺化している昨今の楽曲においても、バンド史上最長の8分39秒は新鮮な驚きだと言えます。”安全な場所”から離れ、未来へ向けて船出を果たしたキャラバンは、トレードマークとも言える複雑なアルペジオや狂気のシュレッドに頼らずグルーヴ重視でフックを生み出すと共に、意外性に満ちた後半では、キーボード、クリーンギターを巧みに使用し見事なアトモスフィアさえ具現化。彼らの成熟を伝えていますね。
メロディーの美しさも白眉で、DREAM THEATER さえ想起させる壮大なフィナーレには圧巻の一言。実際、”Caravan” での Rody は、近年あまり感じられなかった生き生きとした表情豊かな歌唱を披露し、バンド全体が成熟と共に自然と自信を取り戻したようにも思えますね。
全てを総括し、未来へと舵を切った伝説。今回弊誌では、ギタリストでコンポーザー Tim MacMillar にインタビューを行うことが出来ました。昨年、Realising Media の招聘により行われた、8年振りの素晴らしい来日公演は記憶に新しいところですね。どうぞ!!

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PROTEST THE HERO “PACIFIC MYTH” : 9.4/10

【INTERVIEW WITH TIM MACMILLAR】

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Q1: First of all, how was the Japan Tour 2016? Definitely, lot’s of Japanese fans have been waiting for you for a long time. And we were really excited about your fantastic performance!

【TIM】: It was very nice to be back in Japan after so many years. I was surprised that people still remembered us and that some of the people that had seen us 8 years earlier came out to see us again.
The fans are always so polite and respectful it makes us feel like we are very appreciated. It was nice to meet Hayato and the band Cyclamen and I liked being able to perform with a Japanese band and feel like we were part of this local scene that’s been built by great local talent.

Q1: まずは昨年行われた日本ツアーの感想を聞かせていただけますか?長年待ち侘びていたファンは、久方ぶりのパフォーマンスにエキサイトしていましたね!

【TIM】: 何年もブランクがあったけど、日本に帰ることが出来て本当に良かったよ。まだ僕たちのことを覚えてくれている人がいたことにも驚いたけど、さらにびっくりしたのは8年前のショーを見たファンが、何人かまた見に来てくれていたことだね。
日本のファンはいつも礼儀正しく敬意を払ってくれるんだ。だから僕たちはとても歓迎されているように感じるね。
Hayato と彼のバンド CYCLAMEN に会えたのも良かったし、日本のバンドとプレイ出来たのも嬉しかったね。そうすることで、偉大な才能たちが築き上げてきた日本のシーンの一部になれたような気がしたんだ。

Q2: So, let’s talk about your newest release, “Pacific Myth”. Now, these songs have been remixed and remastered to be released as your new album “Pacific Myth”. But at first, the songs were recorded and released for the members of band’s “Pacific Myth” subscription platform. What made you start that plan? And do you think it succeeded?

【TIM】: We thought there would be something cool about getting a song each month for 6 months. Instead of delivering a finished album to be listened to all at once, breaking it up over 6 months might give the listener a different perspective on the album.
Also, since we had released Volition end of 2013, we thought this was a way to get music to people faster instead of waiting to write an album, record it and release it. It was a way we could directly connect with people and we have been eager to try out new release formats to see what’s available and what are the pros and cons of doing things like this.

Q2: では最新作 “Pacific Myth” について話しましょう。作品は元々、バンドのサブスクリプションプラットフォームのメンバーにのみ公開されていました。現在はリミックス、リマスターを施されアルバムとしてリリースされています。
こういった販売戦略を選んだ理由を教えてください。また、この試みは成功したと思いますか?

【TIM】: リスナーが6ヵ月に渡って、毎月新曲を手に入れることが出来るなんてクールだと思ったんだよ。完成したアルバムをいっぺんに聴く訳ではないから、6ヵ月間、毎月異なる視点を作品に持つことが出来るからね。
また、2013年の終わりに “Volition” をリリースしてから、この方法の方が、従来のアルバムを書き、レコーディングを行い、リリースするやり方よりも、みんなに早く音楽を届けることが出来ると思っていたんだ。
僕たちはいつも新たなリリースのフォーマットを開拓したいと思っているんだよ。この試みでは直接リスナーと繋がることが出来たね。こういった挑戦では、利用出来ること、長所、短所を見極めていかないといけないんだ。

Q3: Speaking of crowdfunding campaign, your previous release, “Volition” was kind of pioneer of that. Now a days, crowdfunding becomes major sales strategy of metal scene. What do you think about current music industry?

【TIM】: Crowdfunding is a tool that can be used for bands to help keep their careers moving along. I think a lot of people are afraid of putting themselves out there and going directly to their fans. This method let’s you make a direct connection and also be actively involved with the funding for your record.When a record label gives you a record advance to make your album, sometimes a band doesn’t feel as motivated or that they haven’t worked to that advance. If you see money coming directly from your fans and they want another album, this lights a fire and you don’t want to disappoint them, and also have to put work into making the album and following through this the promises you made in your campaign. I feel like this is a stronger motivator and hopefully as a result the band will create a more meaningful album.

Q3: ユニークなリリースという意味では、前作 “Volition” はメタルシーンにおいてクラウドファンディングの先駆け的なアルバムと言えます。以来クラウドファンディングは、メタルシーンの主要な販売戦略の一つとなっていますね?

【TIM】: クラウドファンディングはバンドがキャリアを進めて行くために使用出来る道具だと言えるね。多くのアーティストがそれを利用し、ファンと直接繋がることを恐れているように思うな。このメソッドなら、中間にレーベルが入らないから、レコードの資金調達に積極的に関与できる訳だからね。
レーベルはレコードの制作資金を前もって支払ってくれる訳だけど、時にバンドにはモチベーションにならない場合もあるよ。だけど、ファンから直接お金が支払われ、アルバムが望まれていると分かれば、彼らを失望させたくないという一心から制作意欲に火がつくはずさ。約束は必ず果たさなければならないからね。つまり、クラウドファンディングは強力なモチベーターでもある訳さ。結果としてより意味のあるアルバムが制作されるはずだよ。

Q4: Could you tell us about the concept of “Pacific Myth”? Where did the idea come from?

【TIM】: It was an idea Rody had so we let him run with it. I don’t want to speak for him so he’s best to answer that question.

Q4: “Pacific Myth” のコンセプト、アイデアについて教えていただけますか?

【TIM】: それは Rody のアイデアなんだ。僕たちは彼のアイデアに同意しただけなんだよ。だからこの質問には彼の方が適任だよ。

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Q5: Musically, what was the goal of “Pacific Myth”? How have you changed, evolved since “Volition”?

【TIM】: This was a way to test the chemistry and writing process incorporating Mike. It was the first time we were writing with him so it was nice to have another contributor to the creative process. It was also the first time having Cam record bass as well so musically we had 2 new people playing on the record. I feel like it was expanding on some of the stuff we starting doing on Volition but we did end up writing longer songs. Some people were reminded of some of the older stuff as well so maybe we found a way to fuse the two styles together?

Q5: 音楽的に、”Pacific Myth” で目指したゴールはどこですか?”Volition” からどのような進化を遂げたのでしょう?

【TIM】: “Pacific Myth” は Mike とのライティングプロセス、そしてケミストリーをテストする機会でもあったんだ。彼と作曲を行うのは初めてだったからね。クリエイティブなプロセスに新たなな貢献者が現れるのは良いことだよ。
同時に、Cam が僕たちとベースをレコーディングするのも初めてだったから、音楽的には、2人の新たなメンバーがレコードでプレイしたことになるね。
僕は “Pacific Myth” では “Volition” で始めたような素材をさらに拡大したよたうに思えるけど、結果として長い楽曲になったね。また、昔の楽曲を想起させるという人もいるから、もしかしたら僕たちはその2つを融合させる方法を見つけたのかもしれないね。

Q6: Your mixture of Prog / Punk-ish energy / Metal-esque Operatic vocal / Metalcore / Mathcore / Post-Hardcore is one and only, no one can copy it. What inspired you to start that style?

【TIM】: Haha I think what’s important to PTH is taking any style of music we like and incorporating it into our music. We aren’t trying to write a certain style of music, just try to make something that sounds good to us.

Q6: PROTEST THE HERO の Prog /Metalcore / Mathcore / Post-Hardcore にパンキッシュなエナジー、メタルらしいオペラティックなボーカルを加えた音楽性はまさに唯一無二ですよね。そもそもこういったスタイルに向かったのはなぜだったのでしょう?

【TIM】: はは(笑)僕は PROTEST THE HERO にとって重要なのは、どんなスタイルの音楽でも気に入ったものであれば、貪欲に取り入れる姿勢だと思うよ。
僕たちはある一定のスタイルで音楽を書こうとしている訳じゃないからね。ただ自分たちが気に入るものを作ろうとしているだけなんだよ。

Q7: In “Volition”, Moe Carlson parted ways with PTH, and Chris Adler of Lamb of God filled in his shoes. What’s the story behind that? Also, Arif Mirabdolbaghi left the band. What’s your thought about the breaking of original line-up?

【TIM】: Before we started really working on Volition, Moe told us he wanted to go to college and start working on some of his other passions. Since we started the band so young, none of us had a chance to do post secondary education. We were supportive and knew he’s a very smart guy and would do great things. We had met Chris Adler before and knew he had helped Moe in the past. We reached out and he was into the idea and the rest is history.
Arif is also a busy guy and he has been involved in a lot of different creative projects. With him, it was really hard to commit to our touring schedule when he was juggling other things so he couldn’t do both. I feel like you reach an age where you wonder if you could be doing other things with your time. This is the only band the 5 of us had been involved in and it’s always a challenge making a living. So you have to respect someone looking out for themselves and doing things that will give them a little more stability. Both Moe and Arif leaving was amicable and we were supportive of their decisions.

Q7: “Volition” では Moe Carlson が脱退し、LAMB OF GOD の Chris Adler が彼の穴を埋めました。後に Arif Mirabdolbaghi も脱退し、長年維持してきたオリジナルラインナップが壊れましたね?

【TIM】: 本格的に”Volition” の制作に取り掛かる前に、Moe は大学へ行って、他に情熱を傾ける仕事を始めたいと伝えて来たんだよ。僕たちはとても若い頃にバンドを始めたから、誰も高等教育の機会を得られなかったんだ。
だから僕たちは彼の申し出にも協力的だったよ。何より彼はとても賢いから、これから偉業を成し遂げるはずさ。
僕たちは以前 Chris Adler に会ったことがあり、以前 Moe を助けたことも知っていたんだ。それで声をかけて彼が構想に入った訳さ。後はみんなが知る通りだよ。
Arif も忙しい男なんだ。常に沢山のクリエイティブなプロジェクトに関わっていてね。彼が他のことをやっているから、ツアースケジュールの調整がとても難しくてね。両立させることが出来なかったんだよ。
もうそろそろ、人生で他のことにチャレンジ出来るかどうか微妙な年齢に差し掛かって来ていると思うんだ。僕たち5人はずっとこのバンドに関わってきた訳だけど、実際バンド活動は常に生計を立てるための挑戦なんだよ。だから自分自身を見つめ、より安定を求める人をリスペクトするべきなんだ。Moe と Arif の脱退は友好的なものだったし、彼らの決断を尊重しているよ。

Q8: But, last year, PTH did 10th anniversary tour of Kezia with original line-up. Could you talk about impressions of the tour? And looking back now, what kind of record it is for you?

【TIM】: It was nice that we could do a final tour together with the original 5 since we never had had an official last show. It seemed like people were excited to get a chance to see some of these old songs that we haven’t played in a very long time and probably won’t play again. It was nice to hear how that record had been influential on people and a lot of people had a story of what Kezia meant to them. Some people travelled a long way to see the show, we even met a nice young lady from Japan! She came to Toronto from Tokyo to see the show.
For me, it is a snapshot of where I was 10 years ago. It was interesting relearning some of the songs and knowing that I’m a different writer and player than I was then but also seeing where a lot of my style had come from.

Q8: ただ、昨年行われた “Kezia” の10周年アニバーサリーツアーはオリジナルラインナップがリユニオンを果たしたツアーでもありました。感想を教えていただけますか?また、今振り返ってみて、”Kezia” はどういった作品でしたか?

【TIM】: オリジナルラインナップの5人で”最後の”ツアーを行えて良かったよ。というのも、オフィシャルにファイナルライブを行っていなかったからね。長年プレイしていなかった、そしておそらくもうプレイしないであろう昔の楽曲を味わうチャンスを得られてみんなもエキサイトしていたようだしね。
あのレコードが人々にいかに影響を与えてきたのか聞けたのは嬉しかったよ。多くの人たちが、”Kezia” が自分にとってどういった意味を持つのか話してくれたんだ。長い道のりを旅して見に来てくれた人もいたね。日本から来た若くステキなレディーにも会ったよ!彼女は東京からわざわざトロントまでショーを見に来てくれたんだ。
僕にとって “Kezia” は10年前にいた場所のスナップショットだね。当時の楽曲を覚えなおすのは面白かったよ。僕は当時とは異なるライターでプレイヤーだと知ることが出来たからね。ただ同時に僕のスタイルの源流を垣間見ることが出来たね。

【FIVE ALBUMS】

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TIM’S LIFE!!

THRICE “THE ILLUSION OF SAFETY”

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PROPAGANDHI “TODAY’S EMPIRES, TOMORROW’S ASHES”

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EXTREME “THREE SIDES TO EVERY STORY”

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PAUL GILBERT “GET OUT OF MY YARD”

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THE DAVE BRUBECK QUARTET “TIME OUT”

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【MESSAGE FOR JAPAN】

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Thank you Japan for all the great times and great shows. Looking forward to the next trip there!

日本のみなさん、素晴らしい時間、素晴らしいショーをありがとう。次の来日を楽しみにしているよ!

TIM MACMILLAR

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MUTE THE SAINT : MUTE THE SAINT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RISHABH SEEN OF MUTE THE SAINT !!

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Sitar Fronted Instru-metal Four Piece From India, Mute The Saint Has Just Released Indian Classical Music Meets Modern Prog Metal Record “Mute The Saint” !!

DISC REVIEW “MUTE THE SAINT”

世界で初めてインドのフォークミュージックとモダンプログを融合させた、新たな開拓者 MUTE THE SAINT が記念すべきセルフタイトルのデビュー作 “Mute the Saint” をリリースしました!!トラディショナルなシタールの響きと、近未来感溢れるテクニカルメタルのフュージョンは、時間も文化も越えて世界中のリスナーに新鮮な驚きを与えています。
バンドのリードシタール奏者でコンポーザー、Rishabh Seen が大きな注目を浴びたのはインターネットの世界からでした。推しも押されぬ Modern Prog Metal のリーディングヒッター、ANIMALS AS LEADERS の楽曲をシタールでミステリアスにカバーした Rishabh の動画は瞬く間に評判を呼び、海外の大手メタルサイトなどで大々的に取り扱われることとなったのです。
しかし、あくまでもカバーはカバー。彼が真に評価されるべく立ち上げたオリジナルバンドこそが MUTE THE SAINT でした。シタール、ギター、ベース、ドラムスという前代未聞のインストゥルメンタルバンドは、驚くことに1度もメンバー同士会ったことがありません。しかしながら、インタビューにもあるように、”Mute the Saint” を聴けば、インドの古典音楽とプログメタルの架け橋となるべく集結したこのユニークな音楽集団に大きな可能性、未来が広がっていることは明らかでしょう。
アルバムオープナー、”Welcome the Change” はまさにリスナーを変化に誘う予告状。オリエンタルなシタールのイントロが鳴り響くと、目の前には確かにタージマハルの壮観や雄大なガンジスが広がります。しかし、同時に MUTE THE SAINT は架け橋でありバンドです。そこにプログメタル由来の奇数拍子、Djenty なギターリフ、4人のタイトな演奏、複雑な構成美が登場し溶け合うと、遂に彼らの斬新かつ魅力的な全体像、ビジョンが顕になるのです。
実際、”Mute the Saint” は驚くほどバンドらしい作品です。Rishabh の個性的なサウンドに一歩も引けを取らない Josh Seguin のギター捌きは白眉で、毛色の違うリード楽器が交互に主役を務める様は実に壮観だと言えますね。さらには “Calypso” のようにバンド全員の高い技量を個々にフィーチャーした楽曲まで存在するため、アルバムには時に偉大な THE MAHAVISHNU ORCHESTRA や、DIXIE DREGS を想起させる瞬間まで訪れるのです。
5曲という曲数ながら、多様性=モダンな魅力に満ちていることは作品のもう一つの鍵だと言えるでしょう。”Sound of Scars” はそのマイクロトーナルな響きが誘うダークでカオティックな音像が驚くことに Black Metal さえイメージさせますし、最後には “In Silence We Will Remain” の METALLICA へのリスペクトと共にアグレッシブでスラッシーな一撃でアルバムを締めくくります。
今回弊誌では、雄弁なシタールプレイヤー Rishabh Seen にインタビューを行うことが出来ました。来日ツアーの経験もある Rishabh。インターネットから生まれたこの素晴らしき”シタールメタル”が、日本とインドの架け橋にもなることを願います。どうぞ!!

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MUTE THE SAINT “MUTE THE SAINT” : 9.2/10

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WORLD PREMIERE !! FULL ALBUM STREAM【VIPASSI: SUNYATA】


FULL ALBUM STREAM : VIPASSI “SUNYATA”

THE MEMBERS OF AUSTRALIAN SHOOTING STAR, NE OBLIVISCARIS & HADAL MAW HAS JUST LAUNCHED “EXTREME INSTRU-METAL” BAND VIPASSI !!

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With ‘Sunyata’, VIPASSI offer such a rare album that combines ecstatic technical virtuosity with a love of creating atmospheric soundscapes, sparkling melodies, and captivating passages.
VIPASSI were birthed in 2009 by guitarist Ben Boyle and members of Australian shooting stars NE OBLIVISCARIS, which marked the beginning of a long journey of writing and rehearsing. They soon settled on an instrumental style that captured the openness aimed for to allow any listener to interpret and connect with the material subjectively. Their project represents a desire to explore beauty and darkness in all its shades, through melodic and complex compositions that are bemused in themes of the struggles of the human experience, exploring nature, spirituality and science.
The roots of their sound reach back into a time when bands such as ATHEIST and CYNIC began to reform extreme music by infusing jazz and progressive elements into death metal. Now VIPASSI add a new chapter to the story with the instrumental highlight ‘Sunyata’. Dig deep into this musical treasure trove spilling over with shiny details, glittering melodies, and wealth of rhythm patterns.

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オーストラリアンシューティングスター、NE OBLIVISCARIS, HADAL MAW のメンバーが所属する別バンド VIPASSI は BLOTTED SCIENCE, CONQUERING DYSTOPIA, EXIVIOUS といった Extreme Instru-Metal に連なる新たな才能です。
1/20 にリリースするデビューフルレングス “Sunyata” は、ツインギターが織りなすテクニカルでレイヤーされたリフワーク、フレットレスベースのフレキシブルなサウンド、そしてクリエイティブなリズムを併せ持ったエポックメイキングな作品です。
凶悪なブラストビートからアトモスフェリックなサウンドまで自在に操るコンポジションの妙は、確かにあの NE OBLIVISCARIS のメンバー3人が所属することを示唆しています。しかし同時に VIPASSI はよりユニークでプログレッシブなコンポジションへと特化されており、インストルメンタルでありながら Death Metal を新たな領域へと推し進めた CYNIC, ATHEIST にモダンなフレイバーを加えたような音像と言えるかもしれません。
今回弊誌では、世界に先駆けて自然や科学、精神性にフォーカスした “SUNYATA” のフルストリームを行うことが出来ました。NE OBLIVISCARIS と併せてぜひチエックしてみてくださいね!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KHEMMIS : HUNTED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KHEMMIS !!

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Modern But Traditional! Denver Based Four Piece Doomed Rock’n Roll Act, Khemmis Has Just Released One Of The Most Important Doom Record “Hunted” !!

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DISC REVIEW “HUNTED”

US デンバーの Doom Metal カルテット KHEMMIS がリリースした 2ndアルバム “Hunted” はシーンの注目を一身に集めています。アルバムは、老舗メタル誌 Decibel Magazine でアルバムオブザイヤーを獲得した他、様々な音楽誌、ウェブサイトで2016年のベストアルバムに選ばれているのです。
KHEMMIS のデビュー作 “Absolution” は MASTODON と PALLBEARER のちょうど中間に位置するようなモダンな Doom / Sludge 作品で、近年活気を得て来た Doom シーンにまた新たな才能が舞い降りたことを知らしめました。
しかし博士号を持つメンバー2人が牽引する、この知的でメタルに忠誠を誓ったバンドが同じ場所へと留まることはありませんでした。デビューフルから僅か15ヵ月で届けられた KHEMMIS の次章 “Hunted” はそのイメージを明らかに変化させていたのです。
インタビューにもあるように、遂にバンド全員がコンポジションに参加した “Haunted” はよりクラッシックロック、トラディショナルメタルの領域へと接近したレコードとなりました。全5曲、44分の作品は全てがロックの美学に捧げられています。
“Three Gates” はアルバムを象徴する楽曲です。THIN LIZZY や MOTORHEAD をモダンなスラッジサウンドで再現したかのようなリフの暴走に、美麗なツインギターハーモニーが切れ込むとそこはまさしく KHEMMIS の世界。凶暴なグロウルと共に突き進むサウンドの壁が突如として崩壊し、叙情を極めたクリーンボーカルが紡がれる刹那は奇跡的とも言えるほどロックを体現しています。
実際、バンドの要でギター/ボーカル Phil Pendergast と Ben Hutcherson のコンビネーションには目を見張るものがありますね。2人の繊細なまでにレイヤーされたギターハーモニーは WISHBORN ASH を想起させるほど美しく、バンドの顔となっています。加えて、Ben のダーティーなボーカルと Phil のクリスタルのようにナーバスな歌声のコントラストは、インタビューで述べているように”モダンなレンズ”を通した Doomed Rock’n Roll を体現する重要な鍵だと言えるでしょう。
さらに叙情味を加速させた “Beyond The Door” では、JUDAS PRIEST のゴージャスなハーモニーアルペジオ、そして IRON MAIDEN の3連シャッフルが Doom という枠組みの中で効果的に使用されています。故に楽曲はテンポや拍子をプログレッシブと言えるほど頻繁に変えて行きますが、スロウ一辺倒でなく、ダイナミズムを追求するその姿勢には、哀愁に満ちたメロディーとも相俟って北欧の巨人 CANDLEMASS を思い起こさずにはいられませんね。
アルバムを締めくくるタイトルトラック “Hunted” は13分の壮大なエピックです。BARONESS をイメージさせるローチューンドのファズギターで MERCYFUL FATE を再現したとも言えるドラマティックな前半部分に魅了されたリスナーは、後半の荘厳でアトモスフェリックなアコースティックパートからトレモロリフまで導入したモダンで壮大、感動的な大円団に驚愕し喝采を捧げることでしょう。そこには YOB や NEUROSIS をしっかりと通過し咀嚼した、2010年代のバンドだからこそ持つ多様性、強みがありますね。
KHEMMIS は勿論、よりアトモスフェリックスかつサバス、70’s Prog に接近した PALLBEARER、そして煌びやかな 80’s Metal と現代的な Black Metal を融合させた SUMERLANDS などが話題となっているように、確かにレトロリバイバルの波はメタルシーンにも押し寄せています。ただ焼き直すだけではなく、各バンドとも”モダンなレンズを通して音楽を見ていることが重要で、興味深いレトロフューチャーなサウンドはこれからさらに拡がりを見せていくことでしょう。
今回弊誌では KHEMMIS にインタビューを行うことが出来ました。日本人にこそアピールする素晴らしいメロディーを持つバンドです。どうぞ!!

KHEMMIS “HUNTED” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

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JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2016 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2016 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

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1. GOJIRA “MAGMA”

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2016年は日本でもゴジラ旋風が吹き荒れましたが、世界のメタルシーンを制圧したのも間違いなく GOJIRA だったと言えるでしょう。
奇才 Duplantier 兄弟率いるフランスの4人組 GOJIRA がリリースした “Magma” と名付けられたレコードは、これまでのどの作品とも異なるものでした。コンパクトな43分という作品でフォーカスされたのは、エモーションとアトモスフィアを前面に押し出した、キャッチーさとアート性の共存。Prog, Death, Sludge, Tribal, Math をユニークにミックスし、メタルの最先端を走ってきた巨人は、その先鋭性を微塵も失うことなくコマーシャルな感覚を強く生み出しているのです。
アルバムオープナー、”The Shooting Star” はチャレンジングな楽曲。実に瞑想的で、Joe Duplantier のヒプノティックなクリーンボイスとドライブするグルーヴが卓越したアトモスフィアを生み、リスナーをトランス状態へと誘います。実際、Joe のクリーンボイスは以前より遥かに多用されており、尚且つ雄弁です。
“Silvera” ほどエモーショナルな瞬間はこれまでの作品には存在しなかったはずです。メインリフの重量感に、タッピングが生み出すアーティスティックなムード、そしてキャッチーなリードギターとクリーンボーカルが三位一体となり溢れる強烈な感情。このヘヴィーなテリトリーのエモーションは、レコーディング中に Duplantier 兄弟の母親が亡くなったことに起因しています。
兄弟の様々なな感情、特別なパッションを全てクリエイティビティに注いだ結果、アルバムは無駄な時間など一切存在しない、濃密でアトラクティブな傑作に仕上がりました。MASTODON やBARONESS もチャレンジしていますが、芸術性とコマーシャリズムの融合という点でこの作品を超えるモダンメタルのレコードはないと断言出来るように思います。

2. ALCEST “KODAMA”

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ALCEST は所謂 “Blackgaze”、Black Metal と Shoegaze を融合させたパイオニア的存在です。幻想的で内省的。メランコリックな繊細さと悲痛な激しさが生み出す圧倒的なダイナミズム、神々しいまでの美しさはシーンに衝撃を与え、DEAFHEAVEN などに続く Post-Black のうねりを創出したのです。
“Kodama” は前作 “Shelter” と対になるカウンターパーツ的な作品と言えるかもしれません。インタビューにあるように、今作のテーマとなったもののけ姫とも通じる自然を食い物にする現代社会、そしてその闇の部分でもあるテロリズムが ALCEST を動かしました。ある意味メタルのルーツに戻り、よりダークな1面にフォーカスした”最も怒れる”作品は、それでもやはり徹頭徹尾 ALCEST です。そして同時に、彼らの新しいチャレンジである POP センスが花開いたアルバムであるとも言えるでしょう。

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3. DAVID BOWIE “★”

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ロックにとって、2016年は R.I.P の年でした。それは勿論、多くの伝説的なアーティストを失ったという意味でもあり、同時に”ロックを避ける”というやり方で最も本来のロックを体現していた David Bowie を失ったという意味でもあるのです。
彼の遺作となった”★” は NYC の先鋭実力派ジャズミュージシャンを起用し制作されました。しかし、David は決してジャズアルバムを作りたかった訳ではありません。ここには、サウンドトラック、ロック、ソウル、インダストリアル、フォーク、ヒップホップなどカラフルでエクレクティックなサウンドの万華鏡があるだけです。
David は Kendric Lamar の “To Pimp A Butterfly” を愛聴していたと言われています。所謂 Jazz the New Chapter と共感したのは、ただ一つのジャンルに囚われず、様々なサウンドを取り入れジャンルを拡大して行くその精神性でした。
“Lazarus” は自身の墓標だったのでしょうか、トーマス・ジェローム・ニュートンの再来でしょうか、それともジギー・スターダストの復活なのでしょうか?ただ一つ言えることは、この狂おしいまでにダークで美しい世界観は、唯一無二で、究極にロックの本質である冒険性や自由さに溢れているということです。彼の遺志を次ぐアーティストがいつかロックの世界に現れるのでしょうか。

4. ASTRONOID “AIR”

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ミュージックシーンには、時にリスナーの想像を遥かに超えて、ジャンルの壁を平然と、無慈悲なまでに叩き壊すような存在が現れます。マサチューセッツを拠点とし、”Dream Thrash” を指標する5人組 ASTRONOID はまさにそういったバンドでしょう。彼らが Blood Music からリリースしたデビューフルレングス “Air” は、メタルシーンのトレンドを左右しかねないほどの傑作にして重要作となりました。
Black Metal に新たな要素を加えた Post-Black と呼ばれるジャンルが注目を集める、昨今のメタルシーン。多幸感を伴うアトモスフィア、Shoegaze 要素を融合させた ALCEST, DEAFHEAVEN、WOLVES IN THE THRONE ROOM, 実験的な Math / Prog 要素を果敢に取り入れた KRALLICE, LITRUGY は間違いなく Post-Black シーンのフラッグシップだと言えますね。
ASTRONOID はその両輪、 Shoegaze, Math / Prog 要素のみならず、Thrash Metal, Prog, Post-Rock, Power Metal, Dream Pop など実に多様なジャンルをミックスし、”Black Metal の最終形態” とでも表現したくなるような新しい音楽を生み出したのです。
51分間のシネマティックなドリームスケープは、多幸感と希望に満ち、ポップさの限界までプッシュしながら、アグレッションと実験性をも多分に盛り込んだ、Black Metal のマイルストーン的な作品として長く語り継がれることでしょう。

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5. FALLUJAH “DREAMLESS”

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現在、海外のメタルシーンにおいて最も注目を集めている新鋭の1つ、変革者にして Atmospheric Death Metal の始祖 FALLUJAH。
“Death Metal Revolution” (デスメタル革命) とまで評された出世作 “The Flesh Prevails” から2年。メタル界のメガレーベル、Nuclear Blast に移籍して初の作品 “Dreamless” は、より美しく、よりキャッチーで、同時にシンセサウンドや女性ボーカルをチャレンジングに取り入れた、多様なモダンメタルを象徴する作品に仕上がりました。

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6. MESHUGGAH “THE VIOLENT SLEEP OF REASON”

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MESHUGGAH はモダンメタル、エクストリームミュージックの帝王でありパイオニアです。Djent は勿論、Jazz/Fusion を取り入れた Instru-metal, より数学的な要素にフォーカスした Mathcore などそのポリリズミックでローチューンドなヘヴィーサウンドが後続に与えた影響は計り知れません。
4年ぶりにリリースされた新作 “The Violent Sleep of Reason” は彼らのトレードマークとも言える複雑でヘヴィーな世界観、リズムセンスは保ちながら、よりオーガニックでストレートなアルバムに仕上がりました。アルバムオープナー、”Clockworks” を聴けば作品のプロダクションが非常に生々しく、有機的で、今日のメタルアルバムとは趣を異にすることに気づくでしょう。オールドスクールとも言えるノスタルジックなサウンドは、皮肉なことに過去のいくつかの作品よりもギタートーンをビッグに響かせ、新たな怪物を生んでいます。
メカニカルで精密に計算されたグルーヴを、率直で生々しいプロダクションで包み込んだ理由。それはアルバムのコンセプトに通じます。”危険な睡眠状態” とは、世界中で起きている無慈悲なテロリズムに対して、何ら行動を起こさない一般の人々を指しています。MESHUGGAH が作品に有機的な感覚、エモーションを強く取り入れたのは、世界の人たちにに手を挙げて欲しい、テロリズムと戦わなければならないというメッセージでもあるのです。
ダイナミックで、インテンスに溢れ、エナジーに満ちたレコードで MESHUGGAH はその価値を再度証明しました。この作品を受け止める私たちには何が出来るでしょうか?

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