NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【XANTHOCHROID : OF ERTHE AND AXEN ACT I & Ⅱ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM MEADOR OF XANTHOCHROID !!

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More Extreme, Yet More Delicate. More Vast, Yet More Intimate. Xanthochroid’s “Of Erthe and Axen” Attempts To Further Broaden The “Cinematic Black Metal” Horizons !!

DISC REVIEW “OF ERTHE AND AXEN”

プログレッシブエクストリームのイノベーションを志望する、南カリフォルニアの野心的なカルテット XANTHOCHROID が至高なる2枚組の新作 “Of Erthe and Axen” をリリースしました!! “ロードオブザリング” や “ゼルダの伝説 時のオカリナ” にインスピレーションを得たというその壮麗かつ耽美なファンタジックワールドは、”シネマティックブラックメタル” の呼称に相応しいロマンとイマジネーションを運びます。
ブラックメタル、プログメタル、プログロック、シンフォニック、フォーク、クラシカル。XANTHOCHROID のカラフルで奥深いタペストリーは、OPETH, EMPEROR, ENSLAVED, JETHRO TULL, RENAISSANCE の豊潤なるミックスなどとも評されます。ただし、デビュー作から続く壮観なコンセプトストーリーをベースとした、大作映画や RPG のサウンドトラック的なアプローチは確かにバンドの確固たるアイデンティティーとなっているのです。
XANTHOCHROID が紡ぐ “Etymos” の物語は、王の血を引く Thanos と Sindir (後に Ereptor) 兄弟による闘争憚。”Of Erthe and Axen” では、”Incultus”, “Blessed He With Boils” 以前、二人の子供時代の出来事を、愛、嫉妬、魔法、戦争、そして欺瞞のエッセンスを交えつつ克明に描いているのです。
“Etymos” のエピック第一幕は、壮大なオーケストレーションと繊細でフォーキッシュな二つの小曲で幕を開けます。作品の全体像を暗示するような意を異にする二つのイントロダクションは、多彩な楽器の導入と新加入の女性シンガー Ali Meador の美麗なる歌声を披露し、共にバンドの拡がる可能性を伝えていますね。
不穏で不気味なディストーションサウンドが静寂を切り裂く “To Higher Climes Where Few Might Stand” はまさに XANTHOCHROID の真骨頂。EMPEROR や OPETH の面影を、クワイアやシンセサイザーで大仰にドラマティックに味付けしたシアトリカルな8分間は、Sam の邪悪なグロウルと伸びやかなクリーンを羅針盤に、ジギルとハイドの如く静と動を行き来します。6拍子のフォルクローレが、ホーンとストリングスを伴って鮮やかにメタリックな華を満開とする中盤の超展開は筆舌に尽くし難いほど見事です。
“To Souls Distant and Dreaming” で DREAM THEATER の遺伝子を垣間見せた後、Sam のパーカッシブギターは進化の証である “In Deep and Wooded Forests of My Youth” を導きます。マンドリンやアコーディオン、フルートを取り入れた JETHRO TULL をも想起させるフォーキーでロマンチックなデュエットは、朗々とした Ali と Sam の歌声でリスナーを月明かりが差し込む深き森、木々の騒めきへと誘うのです。
「”Act Ⅱ” は “Act I” に比べてメタルの要素が強調され、より長いアルバムになっているね。」 とSam が語るように、アルバムの第二幕はアートワークの変化も伴って、大円団に向けてその硬質と絢爛を増して行きます。
男声と女声のクワイアとピアノの流麗な響をイントロとしたあまりに豪壮でドラマティックな “Through Chains That Drag Us Downward” はその象徴でしょう。Sam の背徳的アジテイトや時折挿入されるブラストビートは、確かにバンドのルーツを示しますが、とは言えあまりに拡大された楽曲全体のデザインを鑑みれば、Sam が 「自分たちをブラックメタルと呼んでいるのはジョークのようなもの」 と語ることにも頷けます。
実際、Sam の歌唱が Hansi Kursch を思わせる “Of Aching Empty Pain” などではシンフォニック/シネマティックメタルのパイオニア BLIND GUARDIAN の領域、絢爛さにまで接近しているようにも思えます。
アルバムは、クラッシックなオペラの如く華麗で重厚な11分の大曲 “Toward Truth and Reconciliation” で濃密でダイナミックな作品をリトレイスするかのように幕を閉じました。
今回弊誌では、ボーカル、ギター、キーボードを担当する Sam Meador にインタビューを行うことが出来ました。今回も Jens Bogren がマスタリングを担当しています。全てを DIY で賄っているため知名度こそ低いものの、そのクオリティーは最上級。どうぞ!!

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XANTHOCHROID “OF ERTHE AND AXEN ACT I & Ⅱ” : 9.8/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【BETWEEN THE BURIED AND ME : COLORS】10 YEARS ANNIVERSARY !!


METAL SUCKS PRESENTS: INTERVIEW WITH DAN BRIGGS OF BETWEEN THE BURIED AND ME !!

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Between The Buried And Me Are Currently Out On Tour Celebrating The Tenth Anniversary Of Their Landmark Album “Colors” By Playing It From Start To Finish Every Night. Bassist Dan Briggs Talks About A Retrospective Essay About How The Band Wrote Was Has Come To Be Considered As A Landmark Modern Progressive Metal Record !!

DISC REVIEW “COLORS”

“We are Between The Buried And Me, and this is Colors.”
“Colors Live” のオープナー “Foam Born (A) The Backtrack” が厳かに幕を開け、ピアノのイントロが一旦静まると Tommy Rogers はそう呟きます。
不朽の名作 “Colors” から10年。Tommy, Paul, Dustie, Dan, Blake の5人で紡ぐ BETWEEN THE BURIED AND ME は確かにこの場所から始まり、その豊かな色彩のスペクトルは現在でも決して色褪せることを知りません。
振り返ってみれば、2003年にリリースした “The Silent Circus” における “Mordecai” はバンドのターニングポイントだったのかも知れませんね。トレードマークであった直感的な衝動のカウンターとして崇高なメロディーを発見した彼らは、”Alaska” でエクスペリメンタルなエクストリーム領域の下地を示した後、現在の5人 “ファンタスティック・ファイブ” を揃えて素晴らしき “Colors” へとたどり着くことになります。そして、この64分の万華鏡が放つプリズムは、バンド自身のみならず、現在のモダンメタル/プログレッシブシーンにとってあまりに鮮烈かつ至高のマイルストーンとなりました。
“モダン=多様性” と定義するならば、”Colors” ほど “モダン” なレコードは未だかつて存在しないでしょう。TOOL の “Lateralus”、THE MARS VOLTA の “Frances the Mute”、PROTEST THE HERO の “Kezia”、SikTh の “Death of a Dead Day”、COHEED AND CAMBRIA の “Good Apollo, I’m Burning Star IV, Volume One: From Fear Through the Eyes of Madness”、MESHUGGAH の “Catch Thirtythree”, ISIS の “Panopticon”、THE DILLINGER ESCAPE PLAN の “Miss Machine”、GOJIRA の “From Mars to Sirius”。ミレニアムを迎え、モダンメタル/プログレッシブに多大な影響を与えたエクレクティックな作品が続々と登場する中で、変革の決定打となったアルバムこそ “Colors” だったのかも知れませんね。
実際、メタル、ハードコア、メタルコアをルーツとしながらも、”Colors” には数え切れないほど豊かな色彩が織り込まれています。ジャズ、クラッシック、プログレッシブ、ワールドミュージック、ブルース、ポルカ、ブルーグラス、デスメタル、ブラックメタル…精密かつ大胆に配置されたインフルエンスの数々は、彼らのルーツとナチュラルに混ざり合い、時にエクストリームに、時にテクニカルに、時にアトモスフェリックに、時にメロディックにリスナーの元へとこの偉大なるエピックを届けるのです。
この作品が後続にとってインフルエンタルであることは、何よりあの DREAM THEATER のマスターマインド John Petrucci でさえ、彼らのセルフタイトルのアルバムが PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS と並んで BTBAM から「影響を受け、インスピレーションとアルバムを形作る助けになった。」 と語っていることからも明らかです。
ギタリスト Paul Waggoner は、「重要なのは、”Colors” の究極なまでにエクレクティックな音楽の数々は、誰か1人のメンバーが思いついた訳ではなく、全員が貢献して達成された点だよ。」 と語っています。確かに Dan もインタビューで、「僕は彼らに OINGO BOINGO とか GENTLE GIANT のようなバンドを紹介したし、彼らは EMPEROR や ULVER を教えてくれたんだ。」 と語ってくれました。ファンタスティック・ファイブがジグソーパズルのピースのごとく完璧に、奇跡的にフィットし補完し合い起こった化学反応。それが “Colors” の本質だと言えるのかも知れませんね。
よりミクロな観点で見れば、ギターリフのフレキシビリティを飛躍的に高めたこともこのレコードの功績だと言えるでしょう。メタルコアの興隆により、リードプレイのようにテクニカルなリフワークは徐々に浸透して行きましたが、それでもやはり “リフ” と “リード” の境界線は確実に存在したはずです。
あくまでも “リフ” はボーカルの伴奏として繰り返されるもの。”リード” は自由な自己表現の舞台。そんなトラディショナルな考え方を根底から覆したのが “Colors” であり、PROTEST THE HERO の “Kezia” であり、SikTh の “Death of a Dead Day” だったのではないでしょうか?
“Colors” のリフワークを聴けば、低音弦ではパターンやリズムを細かく変えながら、高音弦では自由自在にフレットを駆け巡る、フレキシブルかつ創造性豊かな “バッキング” が伴奏として見事に成立していることが分かります。そして、AAL 革命、Djent 前夜に繰り広げられたあまりに重要なこのコペルニクス的転回は、言うまでもなく様々なメタルジャンルにおいて今では定石として根付いているのです。
Dan は “Colors” を収録曲 “White Walls” になぞらえ “空間や考え方に限定されず、僕らの周りにある壁を全て壊してしまうように色彩たちがが鮮やかさを増していく” アルバムだと語ります。バンドは当時プログやメタルの既成概念を破壊した後、夜空に美しき虹をかけました。そして10年を経た今、”Colors” 10周年を祝う完全再現ツアーを終えた後、バンドは再び “未来” へと向かい新たな色彩のマジックを掲げてくれるでしょう。
今回弊誌では、US Metal Sucks, Gear Gods 誌と連携してベーシスト Dan Briggs の “Colors” 製作秘話を完全掲載することが出来ました。NOVA COLLECTIVE に続き今年2度目の登場です。「僕たちはいかにして “Colors” を制作したのか」どうぞ!!

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BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS” : ∞/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GENTLE GIANT : THREE PIECE SUITE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEREK SHULMAN OF GENTLE GIANT !!

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With A Little Help Of Steven Wilson, Sleeping Prog Giant From UK, Gentle Giant Show Their Brilliance And Originality With Newly Remixed Album “Three Piece Suite” !!

DISC REVIEW “THREE PIECE SUITE”

英国にて睡臥する穏やかなる巨人、プログレッシブレジェンド GENTLE GIANT が久々の音信となる作品 “Three Piece Suite” をリリースしました!!バンドの初期三作から楽曲を集積し、名匠 Steven Wilson がリミックスを施したアルバムは、70年代の稀世なる栄光を鮮明に現代へと蘇らせています。
GENTLE GIANT は1970年に Shulman 三兄弟が中心となり結成したプログレッシブクインテット。技巧と叙情、エクレクティックとポップを巧緻に集約し、81年に解散するまで独自の価値観でプログロックの可能性を顕示し続けた偉大なバンドです。
彼らの音楽を語る時、適切な言葉を探すのは容易ではありません。どこか飄々としていて掴み所がなく、時にニヒルに、時にユーモラスに、時にアヴァンギャルドに刻々と表情を移すその音流は、莫大な情報量と独特のタイム感も相俟って、霧闇を掻き分けるが如き浮遊感と心細さをリスナーに与えて来たのです。
勿論、アーカイブには YES や KING CRIMSON 等と共に必ず明記されるバンドですが、彼らほどの人気、知名度を得ていない理由は多分にその五里霧中、即効性の欠如が理由だと言えるでしょう。
しかし、逆に言えば GENTLE GIANT の魅力はその遅効性、抽象性にあるのかも知れませんね。アルバムを聴く度に必ず新たな発見、感動を得ることが出来るアーティストはロックの歴史を眺めても決して多くはないでしょう。R&B をベースにポップス、ジャズ、クラッシック、サウンドトラック、そして現代音楽まで咀嚼しロックのフィールドへと昇華した多彩な楽曲の数々は、あまりに大胆かつ緻密です。
さらに、「間違いなく僕たちは、ムーブメントや思想を追ったり、スターダムを意識したりはしていなかったね。」 と語る通り、バンドの唯我独尊で超俗としたムードも彼らのクリエイティビティーを後押ししました。そして事実、そのとめどない知識の井戸、アイデアの泉から無限に湧き出るユニークなアプローチの数々は、時を経た現代でも様々な後継に影響を与え続けているのです。
「いつも GENTLE GIANT のサウンドとオリジナルのフィーリングを保ちながら、サウンドをより “良く” させてくれないかと頼んで来たんだ。」 と Derek が語るように、稀代のプログレマニア Steven Wilson もその一人。そして Steven はその野望を見事にやり遂げました。
“Three Piece Suite” はバンドの記念すべきデビューアルバム “Gentle Giant” からの3曲で幕を開けます。ジャズのビートやフュージョン的テーマなど様々な仕掛けを配しつつ、R&B をベースとしたドライブする “Giant” は、バンドの楽曲で最も典型的な “プログ” らしい楽曲かもしれませんね。サイケデリックなエナジーと中盤で見せつける叙情性のコントラストは、確かにここが出発点であることを主張します。
同時に、難解とポップを融合させた伏魔殿 “Giant” を聴けば、Derek の人生を変えたアルバムを見るまでもなく、初期の彼らが Frank Zappa から強い影響を受けていたことが伝わりますね。一方で Zappa 自身も GENTLE GIANT を非常に高く評価しており、共鳴し合う素晴らしき孤高の脈流が確かに存在したことを伝えています。
続く “Nothing At All” はバンドの素性をより鮮明にする9分のエピック。LED ZEPPELIN の名曲 “Stairway To Heaven” に影響を与えたと確信させるほどに美しい、(余談ながら Derek が影響を受けたアーティストに挙げてる SPIRIT は “天国への階段” の元ネタと噂される “Taurus” の作者なのですから興味深い)フォーキーでアコースティックな調べはニヒルでサバシーなギターリフを導き、自然にしかし唐突に3分半のアヴァンギャルドなドラムソロへと展開して行くのです。ここにはすでに様式美は存在せず、この頃からバンドはポップとロックのみならず、前衛的で現代音楽的な感覚を等しく身に纏っていたことが分かりますね。
71年にリリースされた “Acquiring The Taste” からは2曲が収録されています。”Pantagruel’s Nativity” はバンドの拡大する野心を反映した、アルバムの実験的作風を象徴する楽曲かもしれませんね。ムーグシンセやメロトロンのレトロな味わい、映画のようなオーケストレーション、トランペットを組み込んだバッキングの妙。楽器の増加により全てが新鮮に噛み合った楽曲は、日本の童謡 “通りゃんせ” を思わせる懐かしき旋律とハーモニーを携えてリスナーに濃厚なるサウンドスケープを届けます。
さらに “The House, The Street, The Room” では、ヴィブラフォンやチェロまでこなすマルチ奏者 Kerry Minnear を中心に32もの楽器を使用しメズマライズな狂気を演出しているのですから恐れ入ります。
72年の “Three Friends” からは4曲。ドラマーを Malcolm Mortimore にスイッチし、T. REX 等の仕事で知られる Tony Visconti のプロダクションからバンドのプロデュースに移行した作品です。
“Schooldays” のセピア色なノスタルジアが証明するように、よりセンチメンタルでストーリーテリングにフォーカスした作品は、三人の同級生を軸として物語を紡ぐ初のコンセプトアルバム。濃密にレイヤーされたオーケストレーションと感傷的なコーラスワークが実に印象的で、P.F.M を頂点とするイタリアのシンフォニックな後続たちに多大な影響を与えた事実も頷けますね。
幻想と技巧、静寂と騒然、耽美と悪夢を等しくコントラストさせた “Peel the Paint” のイデアルは、サックスの魔術と相俟って、KING CRIMSON の理想ともシンクロしながら穏やかな人間の狂気を体現し、名作と名高い “Octopus” へと繋がって行くのです。
Steven Wilson の手によりさらに輝きを増した珠玉の名曲たち。”Peel The Paint” を聴けば、フロントに Kerry のヘヴィーハモンド、リアに Gary の突き刺すようなブルースリックが配されて、5.1chサラウンド特有の分離と広がりが実に効果的に活用されていることが伝わります。それにしても今回初披露となった “Gentle Giant” のアウトテイク “Freedom’s Child” の美しさには言葉を失いますね。
今回弊誌では、リードボーカルにして Kerry と同様マルチ奏者 Derek Shulman にインタビューを行うことが出来ました!実はバンド解散後には A&R としてポリグラムで BON JOVI や CINDERELLA を発掘。さらに Atco, Roadrunner では社長として PANTERA や DREAM THEATER と契約し、2PLUS Music & Entertainment では我らが LOUDNESS とも手を組んだ重要すぎる人物です。とは言え、正統な評価が遅れリユニオンが強く望まれるバンドでもあります。「僕たちは今でも音楽を作っているよ。たとえそれが僕たちの耳にしか届かないとしてもね。」 どうぞ!!

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GENTLE GIANT “THREE PIECE SUITE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : HISS SPUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

Chelsea Wolfe by Bill Crisafi

PHOTO BY BILL CRISAFI

Certainly, Folk/Rock/Experimental Artist Chelsea Wolfe Took A Step Toward More Dark Side, Heavy Realm, Sludge World With Her Outstanding New Record “Hiss Spun” !!

DISC REVIEW “HISS SPUN”

ダークでスピリチュアルな崇高美を追求する、ノースカリフォルニアの堕天使 Chelsea Wolfe が、そのゴシカルなイメージをスラッジメタルの世界へと解き放つ最新作 “Hiss Spun” をリリースしました!!審美のダークサイドを司るエクストリームアートの女王は、至上の環境、チームを得てより鮮明にその印象を増しています。
近年、Chelsea と彼女の右腕 Ben Chisholm の冒険は、出自であるゴシックフォークの枠を容易く超越し、ドゥームの翳りを宿すインダストリアル、エレクトロニカ、ノイズ、ドローンにまでアプローチの幅を拡げて来ました。陰鬱にして甘美、アーティスティックで創造性豊かなそのジャンルの邂逅は、Chelsea の幽美なビジュアルやスピリチュアルな一面とも共鳴しながら、この混沌とした世界に安寧を喚起するメディテーションの役割を果たして来たのかも知れませんね。
“Spun” の凄艶なディストーションサウンドでスラッジーに幕を開ける “Hiss Spun” は、リスナーの思念、瞑想にある種の直感性を差し伸べる、よりヘヴィーで正直なアルバムです。
「これは、ヘヴィーなレコードでロックソングを求めていたの。」 実際、Chelsea はそう語っています。故にRED HOST 時代のバンドメイト、ドラマー Jess Gowrie とのリユニオンは必然だったとも。
確かにこのレコードの陣容は彼女の言葉を裏付けます。リードギタリストに QUEENS OF THE STONE AGE の Troy Van Leeuwen を起用し、ex-ISIS の Aaron Turner をゲストボーカルとして招聘。さらに CONVERGE の Kurt Ballou をプロデューサーに指名した采配の妙は間違いなくこのレコードの方向性を諮詢していますね。
セカンドトラック “16 Phyche” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。蝶の羽を得て人間から変異を遂げた美しき魂の女神、そして火星と木星の間を公転する小惑星の名を共有するこのコズミックで漆黒のヘヴィーバラードは、自由を奪われ制限される人生をテーマとしています。
「8年間、故郷ノースカリフォルニアを離れてロサンゼルスにいたんだけど、LAは私と共鳴することは一度もなかったの。私の心はいつもノースカリフォルニアにあったのよ。大きな木々、山や川の側にね。」 Chelsea はそう語ります。
遂に家族と自然、スピリチュアルなムードに溢れた故郷へと帰還し、心の平穏と安寧を取り戻した彼女は、閉塞的で捌け口のない当時の自分を反映させた魂の情歌へと辿り着いたのでしょう。
実際、”Twin Fawn” にも言えますが、彼女も認める通りこの楽曲における Chelsea の歌唱はよりパーソナルで内面全てを曝け出すような壮絶さを宿します。フィードバックと不穏なムードが支配する重密なサウンドとも絶妙にシンクロし、彼女のエモーションは現代社会の閉所恐怖症とも形容可能なイメージをも楽曲に映し出しているのです。
“Hiss” とはホワイトノイズ、つまり雨音や川のせせらぎ、鳥の囀りといった自然と人間を繋ぐ雑音を意味する言葉だと Chelsea は教えてくれました。トレモロリフとポストメタルの重厚で奏でられる “Vex” で Aaron Turner の剛胆な咆哮は大地の感覚、アーシーなホワイトノイズだとも。
Aaron の声が大地の咆哮なら、浮遊感を伴う Chelsea の声はさながら虚空のスキャットでしょうか。楽曲の最後に挿入された森のざわめきに耳を澄ませば、彼女のメッセージが伝わるはずです。ヘヴィーとエセリアルのコントラストで表現される自然に対する強い畏怖は、現代社会が忘れつつある、しかし忘れてはならない貴き精神なのかも知れませんね。
確かにヘヴィーでスラッジーなアルバムですが、同時に “Twin Fawn”, “Two Spirit” のような自身のアイデンティティー、ゴシック/フォークにフォーカスした楽曲や、近年養って来たインダストリアル/ノイズ要素を分断に盛り込むことで、作品は Chelsea の多面的な才能を映す鏡、ある意味集大成的な意味合いも保持しています。そして勿論、女性としての一面も。
アルバムは、魔女の如き甲高い歌声が印象的な “Scrape” で幕を閉じます。様々な怒りやヘヴィーな祈りが込められたアルバムには、当然 Chelsea の一人の女性としての怒りも封じられています。あの禍々しき魔女裁判が行われたセイラムでレコーディングが行われたことも、偶然ではないのかも知れませんね。
今回弊誌では、Chelsea Wolfe にインタビューを行うことが出来ました。彼女がゲスト参加を果たしている MYRKUR の最新作も同様に素晴らしい内容。併せてチェックしてみてくださいね。どうぞ!!

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CHELSEA WOLFE “HISS SPUN” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GALNERYUS : ULTIMATE SACRIFICE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SYU & FUMIYA FROM GALNERYUS !!

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The Best Power Metal Band In The World, Pride of Japan, GALNERYUS Has Just Released The Greatest Metal Opera Of The Year, “Ultimate Sacrifice” !!

DISC REVIEW “ULTIMATE SACRIFICE”

日本が誇るシネマティックメタルの英姿 GALNERYUS が、究竟の証 “Under The Force of Courage” の真秀なる続編 “Ultimate Sacrifice” をリリースしました!!前作の壮大かつ勇壮な世界観を威風堂々受け継ぎながら、さらにスケールアップを果たした雄渾無比なメタル活劇は、もはや世界でも最高峰のクオリティーを誇ります。
前作 “Under The Force of Courage” はバンド初のコンセプトアルバム。ギタリストでマスターマインド SYU の手による長編のドラマティックな戦記を元に、”人間の存在意義を問い、悟りに至るプロセスを描いた” 映画のような一大スペクタクルは、圧倒的な構成力に至上のメロディーとエモーションを湛えバンドの最高傑作とも評された作品でした。
リリース後にはアルバムの完全再現ツアーも行い順風満帆に見えた GALNERYUS は、しかし2003年からバンドのエンジンであり続けたドラマー Jun-ichi と袂を分かつ決断を下します。「Jun-ichiさんの脱退については、数年前から実はその傾向は見え隠れしていました。」 と SYU が語るように新たな血を加えるタイミングだったのかも知れません。
UNLUCKY MORPHEUS, THOUSAND EYES 等で名を馳せる FUMIYA を新たなダイナモに迎えて制作された “Ultimate Sacrifice” は事実、マイルストーンとなった前作の完成度、構成美に、瑞々しい躍動感や生命力が織り込まれた作品です。
“SIDOOH/士道” を描いた高橋ツトムのアートワークも映える自己犠牲の物語は、前作の主人公が遂に理想とする国家を打ち立てるも命が尽き果てる場面からスタートします。後任として仄暗く権力を握る主人公の部下と、真直ぐな主人公の息子が繰り広げる闘諍は “Enter the New Age”、まさに新世代のファンファーレで幕を開けます。
歌劇、メタルオペラ “Heavenly Punishment” の目も眩むような絢爛さ、圧倒的な造形美はすなわち GALNERYUS の真骨頂。息子の慟哭を封じ込めた悲傷の旋律は狂おしいまでにリスナーの胸を打つのです。実はバンドが得意とする、中盤の DREAM THEATER 的なメカニカルなデザインも楽曲を見事に引き締めていますね。終盤にはクワイアで一際高揚感を掻き立てます。
前作から続く畳み掛けの美学。さらにスピードを増した “Wings of Justice” を聴けば、新たな血がバンドのスピリットにしっかりと溶融したことが伝わるでしょう。SYU のファストなリフワークをランドマークに、破綻スレスレでバンド全体をごっそりと加速させる FUMIYA のアクセルワークは実にエキサイティング。
FALLUJAH や SikTh を最近のフェイバリットに挙げ、「昔からドラムも打楽器ではなくメロディ楽器として捉えている節がありまして、小口径のタムやエフェクトシンバルなどで曲中(特にフィルイン)に彩りを添えることは常々意識しています。」 と語るように、FUMIYA の彩り豊かでコンテンポラリーなドラム捌きは明らかにバンドの新たなる武器となっています。
武器と言えば、メンバー各自の多様な個性も GALNERYUS には欠かせない要素です。傑出した鍵盤奏者 YUHKI が創造した EL&P とパワーメタルの愛おしき邂逅 “With Sympathy”。戦いを重ねる中で生まれる戦士の友情を描いた雄々しくも希望に満ちたナンバーは、YUHKI が敬愛する Keith Emerson の風格を乗せて、アルバムに見事なコントラストを映し出すのです。
また、息子の運命的な恋愛を描く “Wherever You Are” は小野“SHO”正利と SYU の才能が見事にシンクロした一つのハイライトと言えるかも知れませんね。”SHO” よりも “小野正利” のペルソナにフォーカスした邦楽的なラブソングは、あまりに切なく、甘く、聴くものの過去の恋愛を脳裏に浮かび上がらせます。加えてアウトロの Gary Moore を思わせるエモーショナルでしかし巧みに起承転結を配置したリードギターは、さらに楽曲を遥かなる高みに導きます。
フレットポジションの異なる同音異弦チョーキングから、フルピッキングで加速しアルペジオにスケールを加えた独自のリックへと辿り着く刹那にはあまりの素晴らしさに、「やめて!!フェイドアウト!!しないで!!一時間でも二時間でも続けて!!」と叫ぶリスナーも多いはずです。
「テクニックを見せたい!という気持ちは最近は特に減退してて、トータルの音楽としてバランスを取りたいという気持ちが非常に強くなってます。」 テクニックと音楽の違いを浮き彫りにする SYU の言葉と演奏は、実際求道者故の凄みと説得力に溢れているのです。
アルバムを締めくくるのは、バンドの進化を見せつける目眩く二つの大輪、壮麗なる組曲。物語の最期はあまりに衝撃的。しかし GALNERYUS もストーリーもここが終着地ではないでしょう。アルバムは無垢なる胎動と共に、バンドの燦然たる未来と新たなるコンセプト作品を予感させて幕を閉じます。
今回弊誌では、SYU さんと FUMIYA さんにインタビューを行うことが出来ました。いつかは Wacken や Hellfest のヘッドラインを務めて欲しい。心からそう願わせるほどの感動がここにはあります。弊誌二度目の登場。GALNERYUS です、どうぞ!!

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GALNERYUS “ULTIMATE SACRIFICE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TONY MACALPINE : DEATH OF ROSES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY MACALPINE !!

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One Of the Most Satisfying Listens In The Shred Scene, “Death of Roses” Represent A Triumphant Comeback For Virtuoso, Tony MacAlpine !!

DISC REVIEW “DEATH OF ROSES”

癌との戦いに打ち勝った不撓不屈のギターマスター Tony MacAlpine が、復活の狼煙を上げる “Death of Roses” をリリースしました!!マエストロの新たなチャプターは、自身の “ハイライト” と断言する煌めく七つのモメンタムから始まります。
Tony が癌を患っている事実を公表したのは、2015年8月のことでした。快作 “Concrete Gardens” をリリースし、翌月には来日公演を控えて順風満帆まさに第二の全盛期を謳歌していた Tony のショッキングなニュースは即座にギター、メタルコミュニティーを駆け巡り、世界中のファンが彼の身を案じたのです。
祈りと支援の輪は当然ミュージシャンにも広がりました。2015年の12月に開かれた Tony のベネフィットコンサートには、Steve Vai, Zakk Wylde, John 5, Mike Portnoy, Billy Sheehan, Derek Sherinian といったレジェンドが集結。さらに Steve Stevens, Paul Gilbert, Steve Lukather, Joe Satriani 等のビッグネームも Tony のために自身のギターをドネートしたのです。
「Tony は親友で、実にスイートな人間で、最も才能のあるミュージシャンの一人だよ。」 コンサートを牽引した元バンドメイト Mike Portnoy はそう語ります。実際、インタビューを読めば彼の真摯で優しい人間性と音楽に対するストイックな考え方が浮き彫りになるはずです。
実は Tony を見舞った悲運は自らの病のみではありませんでした。時を同じくして愛する妻も癌に侵されていたのです。「病床からずっと妻のこと、彼女が経験しているであろうこと全てを心配していたんだよ。」 彼のこの言葉には、しばしば音楽の中にまでも滲み出るTony の豊かで温かな人間性が反映されていると感じました。
家族と共に困難な時を乗り越えた Tony が遂に音楽の世界へと帰還を果たす新作 “Death of Roses”。ハイライトであり新たなチャプターだと語る作品はまさに Tony の過去と未来の架け橋です。
31年のキャリアを通して、Tony はプログレッシブメタル、インストゥルメンタル、ジャズ/フュージョンの世界を股に掛けコアな音楽ファンに自身の純粋なる音のメッセージを伝え続けて来ました。
ヴァイオリンの技術を投影したシュレッドのみならずピアノまでをも自由自在に操り、クラシカルな旋律と流暢なギターハーモニーでエセリアルな美のシンフォニーを奏でた初期のソロアーティスト時代。Derek Sherinian, Virgil Donati とタッグを組みメタルとフュージョンを融合させた画期的なプロジェクト PLANET X。よりジャズ/フュージョンへとフォーカスしグラミーにもノミネートされたミュージシャンシップの権化 CAB。Steve Vai との共闘。Mike Portnoy, Billy Sheehan, Derek Sherinian、歴戦の強者たちとの邂逅、プログレッシブスーパーグループ PSMS。現代音楽への傾倒、そして多弦ギターと Djenty な要素まで吸収した近年のコンテンポラリーなスタイル。
復活の Tony が奏でる音楽は、その全てのエレメントがジグソーパズルのピースの如く集約し組み上げられた美しき曼荼羅、すなわち彼の本質であり中心なのかも知れませんね。
オリエンタルでキャッチーなメロディーと Vai ライクなスケールのチョイスが秀逸なアルバムオープナー “Chrome Castle”、スリリングなフュージョンの遺伝子を宿すシステマティックなコンポジションが Djenty でソリッドなリズムに映える “Axiomatic Jewels”、持ち前のクラシカルな素養とピアノの響きが多弦ギターの重低音と調和する “Synthetic Serenity”。実際、様々な要素が絡み合いレイヤーされた複雑でしかし頭に残る楽曲の数々は、Tony のミュージシャンとしての深潭、度量、奥深さを感じさせるに充分なクオリティーを誇ります。
中でもタイトルトラック “Death of Roses” のブルースを著しくエッジーに深化させる試みは、Scott Henderson, Hiram Bullock といった “本物” と浮名を流してきたハンガリアンセンセーション Gergő Borlai​ の助力も得て、作品に類まれなるダイナミズムをもたらしていますね。Jeff Beck, そしてその Henderson とはまた異色のブルースに対する切り口が光ります。
アルバムは、MESHUGGAH が奏でる現代音楽といった様相の低音リフと、アンビエントで優雅な調べが交互にダンスを踊る “Shundor Prithibi” で幕を閉じました。もしかしたら、Tony はここに病床で感じた闇と光を投影しているのかもしれません。そしてベンガル語で “美しい地球” を意味する “Shundor Prithibi” は、2枚組として設計された “Death of Roses” の後半、新たな宇宙へと繋がっていくのです。
今回弊誌では、Tony MacAlpine にインタビューを行うことが出来ました。「インストゥルメンタルミュージックは人間の精神世界への道であり、僕たち全員を結びつけるものなんだよ。」 二度目の登場です。どうぞ!!

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TONY MACALPINE “DEATH OF ROSES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAIPA : CHILDREN OF THE SOUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HANS LUNDIN OF KAIPA !!

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Legendary Swedish Progressive Rockers, Kaipa Will Bring Ethereal Melody, Great Interplay, And Beautiful Inspiration With Their New Record “Children Of The Sounds” !!

DISC REVIEW “CHILDREN OF THE SOUNDS”

スウェーデンプログレッシブシーンの開祖にしてイニシエーター、70年代から活躍を続ける芳醇なるメロディーの宝庫 KAIPA が最新作 “Children of the Sounds” を9/22にリリースします!!煌びやかでシンフォニック、その絶佳なる美しきサウンドスケープは、レトロとコンテンポラリーの華麗なる融合を誘ってベテランの底知れぬ創造性を誇示していますね。
トラッドとクラシカルを軸に、情感豊かでキャッチーなプログレッシブロックを聴かせた70年代~80年代前半。Hans Lundin と Roine Stolt、巨匠2人のマジカルなインタープレイとバンドの巧みなアンサンブルは世界中を魅了し、故に82年の活動休止は実に惜しまれた出来事でした。
バンドに新たな生命が灯ったのは休止から20年の月日を経た2002年。Hans と Roine を首謀者として、 Morgan Ågren (MATS/MORGAN BAND), Jonas Reingold (THE FLOWER KINGS), Aleena Gibson, Patrik Lundström (RITUAL)という超一流の実力者を揃えたラインナップで復活を遂げた KAIPA は、2005年の Roine 脱退以降も新たにマエストロ Per Nilsson (SCAR SYMMETRY) を加えてコンスタントに良作を発表し続けているのです。
「僕たちは “サウンドの子供たち” であるという想像に至ったんだ。人生で経験して来た音楽を集めて新たな創造をもたらし、フレッシュな音楽を描くというね。」 と語るように、”Children of the Sounds” は、KAIPA のマスターマインド Hans Lundin の潜在意識へと集積された “音楽の種子” が芽吹き、全5曲58分の壮大なるエピックへと成長を遂げた登熟の一枚だと言えるでしょう。
アルバムオープナー、12分のタイトルトラック “Children of the Sounds” はまさにその Hans の哲学を完璧に反映した楽曲です。「僕はいつも、潜在意識のどこかに隠れている偉大で忘れ難いメロディーを出発点として見つけようとするんだよ。僕はそれを良くボーカルメロディーやメインテーマにしたりするんだ。」 という証言は非常に音楽的でインテリジェンスな彼のやり方を裏付けます。
クラッシックやジャズ、ミュージカルで良く使用されるこの “テーマを膨らませる” 手法は、例えばプログメタルに有りがちな様々な異なるパートを複雑に繋いで行く煩雑な手法よりも、楽曲の主題をリスナーに印象づけるという点において非常に有効です。そして 「僕はメインテーマに様々なバリエーションを持たせる技法を良く使用するよ。時には拍子を変えて、時には同じコードで新たに楽器でメロディーを書いたり、時には主題の断片を含ませたり、時にはコードのベースノートだけを変えて少し変わったフィーリングを出すこともあるね。」 と Hans が語る通り、”Children of the Sounds” におけるテーマの膨らませ方は本当に見事の一言ですね。
“ドーシーラーソラー” というシンプルにして心に染み入るメロディーは、Aleena のエモーショナルな女声を発端に、テンポ、拍子、コード、キー、メジャー/マイナーなどを入れ替えながら、万華鏡のようにその姿を変え躍動し、楽曲に無上の彩と強烈な印象を加えていくのです。
再結成以降、ライブは一切行わず、レコーディングも Hans の制作したデモから全てをファイルシェアで行っている KAIPA。とはいえ、「他のメンバーとはもう長年一緒にやって来ているから、デモを作っている間にも彼らの存在を感じることが出来るし、彼らが実際にプレイした最終形も想像することが出来るんだ。」 と語ってくれた通り、Per のメロディックでしかしコンテンポラリーなスマートかつソニカルなギタープレイ、Aleena と Patrick のジャニスとフレディー・マーキュリーを思わせるエモーショナルでコントラストを育むデュエット、Jonas と Morgan の繊細かつダイナミックなリズムワーク、そして Hans のノスタルジックで温かみのあるシンセサウンドは全てが適材適所。美麗なるヴァイオリンや笛の音色まで全てが Hans のデザインを巧みにグレードアップさせ、アートワークにも反映されたファンタジックで、自然に対するスピリチュアルなインスピレーションを見事具現化しているのです。
17分に及ぶ一大エピック、時にソフトに時にエッジーに、70年代のスピリットとモダンなプロダクションで木々や鳥たち、自然にフォーカスした “On The Edge of New Horizon” は Hans だけでなく、まさにバンド KAIPA としてのゴールが達成された瞬間なのかも知れませんね。
今回弊誌では Hans Lundin にインタビューを行うことが出来ました。音楽は音学でもあります。学問は一時の思いつきでは決してなく、太古から積み重ねられてきた知識の集積です。そういった意味で Hans の言う “音楽のライブラリー” からの創造、そしてトラディショナルで正攻法な作曲の手法は実に理に叶っており、これからコンポーザーを志す人たちにとって最高の指南書になるのではないでしょうか。どうぞ!!

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KAIPA “CHILDREN OF THE SOUNDS” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DEAD CROSS : DEAD CROSS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JUSTIN PEARSON OF DEAD CROSS !!

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Metal & Hardcore Energetic Supergroup, Dead Cross Brings Life Back Into The Genre With Groundbreaking Debut Record “Dead Cross” !!

DISC REVIEW “DEAD CROSS”

“SLAYER のようにアグレッシブで、FANTOMAS のように奇妙”。Dave Lombardo ( ex-SLAYER, FANTOMAS ), Mike Patton ( FAITH NO MORE, FANTOMAS ), Mike Crain ( RETOX ), Justin Pearson ( THE LOCUST, RETOX ) というエクストリームミュージックの重鎮が集結した新バンド DEAD CROSS が衝撃のデビュー作をリリースしました!!百戦錬磨の古兵たちが放つ一撃はあまりに熾烈かつ迫真です。
SLAYER での鬼神たる Dave Lombardo、FAITH NO MORE での異形たる Mike Patton については今さら多くを語るまでもないでしょう。勿論、その2人がタッグを組んだアヴァンギャルドで “アンチアート” な “Dada-Metal”、FANTOMAS についても。過去に Lombardo は、「もしピカソがミュージシャンだったら FANTOMAS のような音楽を創造しただろう。」 とさえ述べています。
一方で、THE LOCUST はグラインドコア、パワーバイオレンス、ノイズロックをハードコアのフォーマットへと落とし込んだ多様かつ複雑でダイナミックな音楽を信条としており、さらに THE LOCUST の美学こと Justin Pearson が新たに立ち上げた RETOX はハードコアパンクのエキサイティングな新鋭です。
インタビューで Justin は、「ジャンルは実に厄介なもので、自分の目的はリスナーを無関心にしないこと」 だと語ってくれましたが、彼らのキャリアと独自性を見れば、DEAD CROSS という奇跡の化学反応がそのイメージを叶えることは確かなようにも思えます。
実際、”Dead Cross” は期待以上にカオスでエクストリーム、ゲームチェンジングなレコードです。「みんなの音楽に対する感じ方を変えたいし、もっと言えば壊したいと思っているんだよ。」 と語る Justin の野心は、比類なきメンバーと類希なるシンパシーを得て遂に達成されたと言えるのかも知れませんね。
“Dead Cross” が死の直前起こる体温の急降下と脈拍の急上昇、つまり体温曲線と脈拍曲線が交差する現象である “死兆交差” を指すように、アルバムは怒りとフラストレーション、そして究極的にはそこから生じる “死” を様々な観点、手法で表現した作品だと言えるでしょう。
事実、Dave Lombardo は Rolling Stone 誌のインタビューで、このバンドがパリのバタクランで起こったテロに対する大きな憤りから生まれたことを認めています。これが完璧なハードコアアルバムで、自身の最もブルータルで抽象的なレコードであることも。
勿論、Dave 究極の一枚に SLAYER の “Reign in Blood” を挙げるファンも多いでしょう。奇しくもほぼ同じ、30分を切るランニングタイムの2枚のレコードは、そのインパクトにおいても同等の強い光彩を放っているように思えます。
“Reign in Blood” が伝説と化したのは、その際限なきアグレッションと呼応して溢れ出る瑞々しきフックの数々があったからこそ。怒りに満ちた “Dead Cross” にも同様に、リスナーをリピートへと誘う豊潤かつインテリジェンスな仕掛け、キャッチーさが潜んでいるのです。
アルバム前半、ハードコアパンクとスラッシュのエナジーを二乗し突進するアドレナリンラッシュの渦中においても、THE LOCUST を想起させる知的な混沌、ノイズ、変拍子、テンポチェンジは極上のアクセントとして揺るがぬ存在感を放ちます。
さらにBandcamp のインタビューで、「ハードコアのルーツに回帰したんだ。クソと重要さの見分けがつくようになった。」 と語る Dave のドラミングは、その比類なきビートをより感情にまかせ、性急に、複雑に、そしてブルータルに刻みます。80年代のベイエリアパンクから、THE DILLINGER ESCAPE PLAN のようなよりコンテンポラリーなマスコアまで自由自在な Mike Crain のリフワークもスマートで耳を惹きますね。そして何より Mike Patton は Mike Patton です。
「オペラティックなバックヴォーカルとボイスエフェクトをレコード全体にレイヤーすることはどうしても避けられなかったんだ。」 怒れるレコードに似つかわしくない Mike の業、カルマはバンドを驚かせました。しかし、同時に Dave は Mike 由来の異質なるハーモニーやオルタナティブなメロディーラインがアルバムに深みを加えたことも認めています。
CELTIC FROST のアヴァンギャルド、邪念、悪夢を飲み込んだ “Bela Lugosi’s Dead” や “Gag Reflex”、パンクのキャッチーさを奇妙に再構築した “Shillelagh”、よりプリミティブなスクリームが狂気を育む “The Future Has Been Cancelled” といった楽曲群は Mike の貢献なしでは成立しなかったはずです。
鬼才 Ross Robinson を含め5人の才能が火花を散らしたアルバムは、バンドの次なる可能性を諮詢する、ゴシカルでインダストリアルな “Church of the Motherfuckers” でその幕を閉じました。
今回弊誌では Justin Pearson にインタビューを行うことが出来ました。「全てのクリエイティビティーに感謝を」 どうぞ!!

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DEAD CROSS “DEAD CROSS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RINGS OF SATURN : ULTU ULLA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AARON STECHAUNER & MILES BAKER FROM RINGS OF SATURN !!

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MA Based “Alien Core” Act, Rings Of Saturn Shows The Positive Possibility Of DeathCore, With Spacey Melodies And Galactic Chaos Of Their Newest Record “Ultu Ulla” !!

DISC REVIEW “ULTU ULLA”

メタルワールドの UMA、人知を超えたテクニカルデスコアアクト RINGS OF SATURN が、バンドの円熟を知らしめる神秘 “Ultu Ulla” をリリースしました!!シュメール語で “記録に残らないほど太古の昔” をアルバムタイトルへと冠した作品は、しかし厳然とアカシックレコードにその造化の妙を刻みつけます。
「もし宇宙に音楽が存在するならば、それは RINGS OF SATURN のようなサウンドだろう。」
予測不能なまでにカオティック、無慈悲なまでにテクニカル。カリフォルニアの超常的カルテットが創造する音宇宙は、 “エイリアンコア” と称されるほどに異次元で別世界。故に、複雑でメカニカルなその “非人間的” サウンドストラクチャーは、常に賛美と批判を等しく内包して来ました。
しかし、テクニカルデスコアシーンの盟主 Unique Leader Records から、メタルシーンの総本山 Nuclear Blast Records へと移籍を果たし、「全てがより意図を持ち、目的にフォーカスして行われている」 状況でリリースされた最新作 “Ultu Ulla” は、バンドに対するインヒューマンでデジタルという難詰を須らく沈黙させるに充分なクオリティーとディレクションを誇ります。
「このレコードで僕たちは、間違いなくより成熟し、構築されたサウンドの方向に進んだね。僕は音楽が究極にスムースに流れることを常に意識しているんだよ。」 と Miles が語るように、”Ultu Ulla” でバンドは自らのストロングポイントを保ちつつ、以前より確実にキャッチーなメロディーやナチュラルなストラクチャーへフォーカスしていると言えますね。つまり、RINGS OF SATURN は “法則” と “混沌” から成り立つ大宇宙のように、その音楽性を拡大させているのです。
アルバムオープナー “Servant of this Sentience” はバンドのイノベーションを象徴する楽曲です。極限にテクニカルなタッピングのイントロダクションは、同時に溢れ出るコズミックな旋律の銀河を創造しアルバムのムードを伝えます。
新加入、Aaron Stechauner の正確で硬質なドラミングは確かにマシナリーですが、切れ込むリフワークはメロディックデスメタルを想起させるほどエナジーに満ちてメズマライズな SF の世界を流麗に構築しているのです。グロウルとスクリームをフレキシブルに行き来する Ian の咆哮を伴って、作品にある種のキャッチーさ、普遍的なダイナミズムが生まれているのは明らかですね。
「デスコアそれ自体の影響より、全く異なるジャンルからの影響の方が僕たちの音楽、アイデアをより興味深く、新鮮にしていると思うんだ。」 Aaron が語るように、多様なインフルエンスもアルバムのテクスチャーを深く、魅力的にしています。
デスコアのチャグ感とシンフォニックなストリングス、さらに NECROPHAGIST のような難解さが渾然一体となる “Parallel Shift”。フォーキーなワルツとブラストビートが煌めきと獰猛を包含する “The Relic。さらに、”Unhallowed” や “The Macrocosm” で見せるアコースティックなアイデア、ジェントルなムードが象徴するように、バンドがデスコアというジャンルのポジティブな可能性へ変貌を遂げたのは確かです。
アルバムは、ピアノとクラッシックギターで古代インカの宇宙への交信を再現する “Inadequate” で幕を閉じました。
今回弊誌では、ドラマー Aaron Stechauner, ギタリスト Miles Baker の2人にインタビューを行うことが出来ました。「僕は”デスコア”のファンだったことは1度もないんだ。」 どうぞ!!

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RINGS OF SATURN “ULTU ULLA” 9.5/10

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