NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCADEA : ARCADEA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CORE ATOMS OF ARCADEA !!

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Mastodon, Withered, Zruda, Get Together As Synth-laden Progressive, Heavy Psych Band Arcadea !! This Should Be Interesting For Sure !

DISC REVIEW “ARCADEA”

MASTODON, WITHERED, ZRUDA のメンバーが集結した新たなるコスモフロンティア ARCADEA が、遥かなる未来を映し出すデビューフル “Arcadea” をリリースしました!!50億年先の宇宙をテーマとした壮大なるスペースオデッセイは、ロックという銀河の膨張を促すビッグバンとなるはずです。
MASTODON のドラマー/ボーカル Brann Dailor が、WITHERED のギタリスト Raheem Amlani, ZRUDA のギタリスト/キーボーディスト Core Atoms とチームアップしたスーパープロジェクト ARCADEA。
ホームバンドでは基本的にギタリストの Raheem, Core 2人をシンセプレイヤーへとコンバートし、プログレッシブかつサイケなエレクトロニカサウンドのみを Brann のダイナミックで手数に富んだドラムス、キャッチーなボーカルと融合させた ARCADEA の音楽はユニークで先見性に溢れています。何よりロック/メタルの必需品とも思えるギターサウンドがどの楽曲からも聴こえて来ないのですから驚きですね。
Brann のホームバンド、偉大なる MASTODON は “Crack the Skye” で Brann のリードボーカルを初めてレコードに取り入れて以来、彼のメロディックな歌唱と呼応するようによりキャッチーでストレートなコンポジションへと移行して行きました。その変化により Brann はさらにバンドにとって不可欠な存在となりましたが、皮肉なことにその方向転換は彼のトレードマークであるハイパーアクティブでフィルオリエンテッドなドラミングが減退する結果にも繋がっていったのです。
“Arcadea” は Brann Dailor の魅力全てが詰まった作品だと言えるのかも知れませんね。アルバム全体を覆うのは、間違いなくあの “Leviathan”, “Blood Mountain” で聴くことの出来た、リード楽器を主張するエキサイティングで高密度な阿修羅のドラミング。同時に彼のスペーシーでポップな浮遊感溢れる歌心は、確実に作品のコアとして土星の輪のようにレコードを包み込んでいるのです。”Arcadea” には2人の Brann Dailor が互いを損なうことなく生き生きと存在しています。
勿論それは、アルバムオープナー、電子音楽の軍歌 “Army of Electrons” が証明するように、Raheem, Core 2人の綿密かつ繊細なコンポジション、変拍子を活用したプログレッシブなイメージ、ベースからリードまで幾重にもテクスチャーされた魅惑のシンセサウンドが、影となり日向となり素晴らしき脇役として煌めくことで初めて成立する才能のシンフォニーだと言えるでしょう。
一方で、”Gas Giant” はバンドの出自を明確にする楽曲です。インタビューにもあるように、アーケードゲームの “アーケード” をバンド名としたように、ゲームミュージックの影響は彼らが共闘する大きな理由の1つ。
“ロックマン” を想起させる勇壮で8bitライクなイントロダクションは、ビデオゲーム時代の幕開けに育ち、”アーケードゲームはマジカルな場所だった” と語るバンドのロマンが楽曲に溶け合った夢のような瞬間だったのかも知れませんね。
さらに、エアリーな女性ボーカルとボコーダーを起用したスロウでムーディーな “Neptune Moon” では John Carpenter をイメージさせるロマンチックなエレクトロホラーサウンドを再現。
Core が “70年代、シンセサイザーは未来の楽器だった” と語るように、ビデオゲーム、映画音楽といった70’s~80’s の典型的な電子サウンドを Brann のコンテンポラリーでアグレッシブなドラムスと融合させることで、レトロフューチャーな顔貌を形成しているようにも感じました。
エレクトロニカでありながら加工された EDM とは全く異質、ヘヴィーでありながら重厚なメタルとも異なる唯一無二のデザインが冴え渡る革新作。今回弊誌では、Core Atoms にインタビューを行うことが出来ました。MASTODON の近作に何かシックリこないダイハードなファンにもぜひオススメしたい作品です。どうぞ!!

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ARCADEA “ARCADEA” : 9.9/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【PENDRAGON : THE MASQUERADE OVERTURE】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NICK BARRETT OF PENDRAGON !!

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Unseen Prog Giant, The Mastermind Of “Second Wave Of Prog”, Pendragon Will Come To Japan For The First Time Ever In Their Long 40-Year Career !! Don’t Miss “The Masquerade” Night !

DISC REVIEW “THE MASQUERADE OVERTURE”

まだ見ぬプログレッシブジャイアント、ネオプログの体現者 PENDRAGON が遂に初来日を果たします!!名作 “The Masquerade Overture” にフォーカスするシンフォニックの祭典は、待ちわびた日本のファンを魅了する劇的な仮面舞踏会となるでしょう。
PENDRAGON はプログレッシブ第2の波として、80年代から90年代にかけて MARILLION, IQ, PALLAS などと共にネオプログレッシブムーブメントを牽引したバンドです。
プログレッシブロックのオリジネーター、GENESIS や YES といった第一世代のバンドが自身のコンフォートゾーンから離れ、時代性や可能性を模索することとなった70年代後半~80年代前半。ネオプログの俊英たちは、先人が残した伝統や遺産を守護するかの如く颯爽とシーンに登場します。そして彼らが受け継いだシンフォニックでドラマティシズムに満ちた音楽性と、ファンタジーをテーマとしたコンセプトから、ネオプログレッシブムーブメントは後にポンプロック(華麗なロック)と称されるようになっていったのです。しかし突然背負わされたその呼称こそが彼らにとっては残酷で酷く重い十字架となったのかも知れません。
Pomp とは “華麗”、”荘厳” という意味がある一方で、”虚構” というネガティブな意味をも内包した言葉。つまり英国のメディアは、一見ネオプログを賛美しているように思わせながら、その実は第一世代の “まがいもの” “代替者” としてどこか冷めた目で見ていたのでしょう。実際、第二世代が志したファンタジックなプログレッシブロックのリバイバルは、パンクを筆頭とするあまりに現実主義的な当時の音楽シーンの流れとは相反するもので、ムーブメントも長くは続きませんでした。
ただ、インタビューにもあるように、ネオプログの才人たちは、時代やムードに翻弄され続けながらも戦いを止めませんでした。メタルの波にも乗り切れず、グランジに席巻され、気がつけば PORCUPINE TREE を首領とするプログレッシブ “第三世代” が登場し注目を集めているという状況は、ともすれば心が折れてしまいそうなほどに残酷ですが、それでも MARILLION, IQ, そして PENDRAGON といったバンドは良質な作品をリリースし続けたのです。2010年代以降、海外でのネオプログ再評価の流れは、遂に彼らの高い音楽性とセンス、そして音楽に対する愛情が報われた瞬間だと言えるかも知れませんね。
第二世代の中でも勿論、MARILLION は別格の人気を誇って来ました。それはニューウェーブやメタルなど、ある程度時代の変遷を意識して作風を変化させて来たからとも言えそうです。実際、94年にリリースした名作 “Brave” ではファンタジーの世界に別れを告げ、当時のトレンドであるグランジやインディーにも目を配ったダークなリアリズムで勝負をかけ成功を収めた訳ですから。
しかし今回、Nick の言葉で驚きだったのは、ファンタジーとシンフォニーを追求し続けた PENDRAGON にとっても90年代は素晴らしい時代だったと断言している部分です。確かに PENDRAGON の90年代三部作とも言える “The World”, “The Window Of Life”, “The Masquerade Overture” は、メロディーの充実度、類まれなるコンポジション、そして演奏共に群を抜いています。しかし、セールスも好調であったという事実は、少なくとも弊誌の持つあの時代のイメージとはかけ離れていました。そこには PENDRAGON がすでに80年代から、現在の DIY の先駆けとも言える自身のレーベル “Toff Records” を設立していたという強みが存在したのです。
インターネットの発展もあり、現在でこそ浸透している DIY のレコード戦略ですが、当時彼らがそれを実現させるためにどれ程の努力、時間が必要だったか、想像するだけで頭が下がります。インタビューにもあるように、ファンレターを全て手書きで返信し、ファンクラブも運営。勿論、プロモーションや販売なども全てを自らの手で行わなくてはならないのですからそのタスクは膨大です。しかし、その努力は強固なファンベースを作り上げることへと繋がり、結果として時代に左右されず今日までバンドが力強く存在する理由ともなったのですね。PENDRAGON が選択したこの方法論は、現代を生きるバンドにとっても大きな参考になるはずです。
あまり音楽自体に触れずに来ましたが、今回 PENDRAGON が日本へと持ち込む “The Masquerade Overture” は、ヨーロッパのプログレッシブシーンにおいて “Essential Masterpiece” “不可欠な傑作” として位置づけられ賛美されています。Tony Banks の後継者、Clive Nolan が創出するカラフルなシンフォニーは作品に極上のアトモスフィアを加え、”Guardian of My Soul” の卓越したシンセソロではリスナーに自身の個もアピールします。Peter Gee, Fudge Smith のリズム隊は強固で、複雑なリズムにも抜群の安定感で対応。そして何よりコンポーザーでギター/ボーカル Nick Barrett の例えば、Andy Latimer, Dave Gilmour を想起させる、時にエモーション、時にメランコリー、そして時にパッションを深く湛えたメロディーの数々は、英国訛りとディストーションの温かみを伴って、まさに珠玉と呼ぶに相応しい輝きを放っているのです。
モーツァルトのレクイエムにインスピレーションを受けた、オーケストラとクワイアが彩る壮大なタイトルトラック “The Masquerade Overture” で幕を開けるアルバムは、善と悪の対立をコンセプトとしています。その対立を反映するかのごとく巧みに配置された、無上のポップネスと有痛のメランコリー。そのコントラスト、カタルシスは唯一無二で、まさしくバンドが “Pomp” な存在ではないことの確かな証ではないでしょうか。
今回弊誌では、Nick Barrett にインタビューを行うことが出来ました。奇しくも盟友 MARILLION の来日も決定しています。日本では長らく無風だった “第2の波” が遂にスポットライトを浴びる時が来たのかも知れませんね。どうぞ!!

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PENDRAGON “THE MASQUERADE OVERTURE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tricot : 3】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH tricot !!

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The Best Girls Trio On Earth, tricot Makes Math-Rock Great Again With Their New Milestone “3” !!

DISC REVIEW “3”

日本のマスロック/ポストロックのランドマークとなった歴史文化都市、京都から世界へと進出し快進撃を続けるガールズトリオ tricot が時代を切り拓く一撃 “3” をリリースしました!!ポップ、パンク、そしてプログまで取り込んだ前人未到の方程式は世界を驚かせるに充分なインパクトを纏っています。
日英米同時リリースとなった最新作 “3” は、インタビューにもあるようにバンドが最も自由を謳歌した「何でもアリ」な作品に仕上がりました。ドラムス komaki♂ 脱退後リリースされた “A N D”, “KABUKU EP” は共に数名のサポートドラマーたちと共に制作されましたが、今作ではライブのサポートも務める吉田雄介氏がほぼ全ての楽曲でプレイ。フレキシブルにトリオの意思に反響するセンシブルなドラムスを得て、バンドはその野性味と知性を最高の形で開花させたと言えるかも知れませんね。
勿論、変幻自在なリズム、マスマティカル(数学的)な変拍子の洪水がシンボルとなり、特に海外では “マスロック” “Math-rock” と称される tricot の音楽ですが、多彩を極めるのはリズムだけではありません。”3″ で確かに実現したカラフルで鮮やかな楽曲群、世界観はしなやかにバンドの成熟、進化を伝えています。
また、tricot のその自由な実験精神は CD のパッケージングにも表層化しています。ブックレットもアートワークもなく、透明のケースにただ “3” と書かれただけのミニマルパッケージ盤(1500円)と同時に、クリエイター・チョーヒカルとのコラボレーションによるアートボックス、999枚限定デラックス盤(4500円)を用意。「今通常盤として世に出されている形が果たして今もみんなにとって通常であるのか」。拡散するリスナーの要望と改革の進まぬ音楽産業の落差に疑念を抱き、一石を投じるバンドのチャレンジは実に潔く、大いに賞賛されるべきでしょう。
アルバムオープナー、園子温監督のオリジナルドラマに使用された “TOKYO VAMPIRE HOTEL” を聴けば、tricot がロックの持つ原衝動とインテリジェンス、そしてポピュラリティーをナチュラルに凝縮させていることに気づくはずです。楽曲の持つインテンシティー、パンキッシュな衝動、コンテンポラリーな展開は AT THE DRIVE-IN をも想起させ、その凄みはポストハードコアの領域へと達していますね。
進化の証である、ファストでアグレッシブな2分30秒が過ぎ去ると、バンドは別の顔を見せ始めます。メロディックでキュートな “WABI-SABI” はバンドの真骨頂であり、”TOKYO VAMPIRE HOTEL” の素晴らしきカウンターとして存在しています。tricot らしいポップなヴァースに色を添える楽器隊のコーラス、ハーモニーは楽曲に極上のアトモスフィアをもたらし、同時に生々しいサウンドプロダクションとリズムアプローチの妙は “マスポップ” のパイオニアであることを高らかに宣言しているのです。
実際、椎名林檎のリリカルなムードを内包する “節約家” にも言えますが、2人のギタープレイヤーが創造するインテンスは峻烈で、その意外性に満ちた休符の配置、スタッカートの切れ味、テンションノートの煌めきは作品のコアとして揺るがぬ存在感を放っています。
ダンサブルな “よそいき”、ジャズの息吹を吸い込んだ “DeDeDe”、ボーカルエフェクトや中国語まで活用した “ポークジンジャー” と実にバラエティーに富み色とりどりの作品において、トリッキーなバンドの魅力は “18, 19″ で最高潮に達します。
インタビューで語ってくれた通り、「やりたいこと詰め込んで全部やってやろう」という意気込みで制作されたチャレンジングな楽曲は、実に複雑怪奇。異なるイントロとコーラスのリズムに加え、突然のストップ&ゴーが多発する変則リズムの氾濫は、tricot のクリエイティビティとテクニックを完膚無きまでに見せつけています。特にアクティブでダイナミックなベースラインは群を抜いていますね。
さらにイントロのリズムを注意深く数えれば、”9・9・10・9″ と進行していることに気づくはずです。つまり、”18, 19” とは楽曲の拍子を表しており、タイトルや歌詞、そしてその淡いメロディーから不安定な青春時代の恋愛を想像するリスナーを見事煙にまいているのです。平然と宿された衝撃の”ダブルミーニング”。tricot の虜となる音楽ファンが後を絶たないのも納得ですね。
アルバムは、シンプルにスタートし徐々にコーラスやセブンスコードが重ねられて行く不思議で魅力的なポップチューン “メロンソーダ” でその幕を閉じます。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、貫かれるポップセンスは3人にとって不可欠で、そしてあまりに当然のものとして常に存在しているのでしょう。
今回弊誌では tricot の3人にインタビューを行うことが出来ました。4月には日本が誇るポストロック/ハードコアの祝祭 “After Hours” でプレイし、さらに8月には UK ポストロック/ハードコアの祭典 ArcTanGent への出演も決定しています。
余談ですが、「世に出回ってる tricot の楽譜はだいたい間違っている」そうなので、こちらも画期的な試み “目コピ動画” を公式ショップから購入してみるのも一興です。どうぞ!!

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tricot “3” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BIG BIG TRAIN : GRIMSPOUND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GREG SPAWTON OF BIG BIG TRAIN !!

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Guardian Of Prog, Pride of England, Big Big Train Keeps Getting Bigger And Bigger. The Octet Has Just Released Their Newest Record “Grimspound”! Huge Ensemble Creates The Most Beautiful Tapestries Of The Year.

DISC REVIEW “GRIMSPOUND”

英国プログレッシブのプライド、伝統と熟練の8人編成 BIG BIG TRAIN が壮大なるマスターピース “Grimspound” をリリースしました!!時にフォーキ、時にミステリアス、そして時に無上のメランコリーを放つドラマティックな作品は、プログロックの牙城として実に意義深く聳えたっています。
近年、”プログ” は再びその価値を取り戻し、舞台には様々な若き才能が登場しています。”モダンプログレッシブ” と称されるこのムーブメントにおいて、ある者はメタル、ある者はエレクトロニカ、ある者はポストロック、ある者はアヴァンギャルドへと接近し、そのエッセンスが融解、対流することで多様性を軸とした百花繚乱のプログレッシブサウンドを響かせていることはご存知の通りでしょう。 BIG BIG TRAIN も90年結成とは言え “プログ第三世代” に分類される現代を生きるバンドですが、しかしその “モダンプログレッシブ” の流れとは一線を画しているのです。
YES, ELP, GENESIS, JETHRO TULL。プログロックを創出した偉大な先人たちの遺伝子を色濃く受け継ぎ、伝統をその身へと宿す BIG BIG TRAIN のサウンド、足跡は、レジェンドが失われつつある今、確実にその重要度をさらに増しています。ただ、高いミュージシャンシップと展開の妙、キャッチーでフォーキーなメロディー、幾重にもレイヤーされたシンフォニックなアンサンブル、そして卓越したストーリーテリングの能力を有するバンドは、”ここ10年で最も重要なプログバンド”の一つとして語られる通り、決して第一世代の “Pomp” 代用品ではなく、本物の英傑としてリスナーの信頼を勝ち得ているのです。
2009年の出世作 “The Underfall Yard” でフルート、バンジョー、マンドリン、オルガンなどをこなすマルチプレイヤー/ボーカル David Longdon が加入して以来、BIG BIG TRAIN は人気と共に、その編成もまた “Big” となって行きます。元 XTC の名ギタリスト Dave Gregory を正式に加え6人編成でリリースしたダブルコンセプトアルバム “English Electric” は、多彩な音色を個性と定めたバンドの金字塔だと言えますね。
インタビューにもある通り、当時バンドはライブを行っていなかったためスタジオのみにフォーカスすることとなり、作品にはストリングス、ホーンなど総勢20人弱のゲストプレイヤーが参加。綿密にデザインされたレイヤーサウンドが運ぶ極上の叙情性、情景描写はまさにストーリーテラーの面目躍如。英国の風景を正しく投影し、ステージを想定しない絶佳のアンサンブルを備えた”完璧なる”スタジオアルバムが完成したと言えるのではないでしょうか。
2014年からライブを再開したバンドは、アルバムを再現するために新たなメンバーを物色し、さらに BEARDFISH の鬼才 Rikard Sjöblom とストリングスなら何でもこなす Rachel Hall を手中に収めます。5名がギターと鍵盤両方を演奏可能、ヴァイオリンやフルートもメンバー内で賄える衝撃の8人編成へと進化しリリースした前作 “Folklore” は、タイトル通りトラッド要素を強調しバンドの新たな可能性を提示した意欲作に仕上がり、海外の様々なプログ専門誌で年間ベストアルバムに撰されるシーンの最重要作品となったのです。
最新作 “Grimspound” はジャケットのカラスが示すようにその “Folklore” と対になる作品です。とは言え、ケルトサウンドを前面に配したタイトルトラックで幕を開けた “Folklore” とは対照的に、アルバムはダイレクトにプログロックのダイナミズムを伝える “Brave Captain” でスタートします。静謐でアンビエントなイントロダクションを切り裂きバンド全体が躍動すると、リスナーは1910年代へと時代を遡って行くのです。
David Longdon が紡ぐWW1の英国エースパイロット Captain Albert Ball のストーリーは勇壮にして孤独。その表情豊かで凛々しき歌声は空の”ローンウルフ”が眼前に降臨したかのような錯覚をもたらします。ヴァイオリンと鍵盤が織り成す流麗なダンスは空の主役を際立たせ、シンプルでキャッチーなメロディーのリフレインは勇敢なブレイブキャプテンを讃えます。
実際、ユーティリティーに使用され、時に主役を食うほどの存在感を発するストリングスと鍵盤の活躍は “Grimspound” の特徴だと言えるでしょう。イングランドの忘れられたヒーローたちのストーリーに焦点を当てたアルバムで、Rachel はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを使い分けサウンドに濃淡を刻み、鍵盤隊はシンセ、ピアノ、オルガンを巧みにレイヤーしアルバムのアンサンブルをアートの域まで高めているのですから。
ジャズのインテンスを内包する “On The Racing Line”、フルートの芳醇な響きが郷愁を誘う “Experimental Gentleman” を経てたどり着く “Meadowland” はバンドの今を象徴する楽曲です。確かに “レトロ” がキーワードにも思えた BIG BIG TRAIN はしかし、フォークやエスニックの影響を一層加えることで真に偉大なバンドへとその姿を変えつつありますね。彼らの音楽は一貫してその母国イングランドからインスピレーションを得ていて、かの地の伝承や景色、人物を描き続けています。そして “Meadowland” の素朴で心洗われるトラッドサウンドは、鮮明に緑一面の牧草地帯を、吹き抜ける風を、湿気を孕んだ空気の匂いまでもリスナーにイメージさせるはずです。そうした BIG BIG TRAIN の創出する、イマジネーティブで群を抜いたサウンドスケープは、トラッドの女神 Judy Dyble との詩情豊かなデュエット “The Ivy Gate” に結実しているように感じました。
インタビューにもある通り、コンポーザーが増え続けるバンドは、2009年からEPを含めるとほぼ毎年のように作品をリリースしています。しかし、驚異的な多作にもかかわらず音楽の質は向上の一途を辿っており、”Folklore” から一年経たずに織り上げられた美しきタペストリー “Grimspound” はまさにその素晴らしき証明書と言えるのではないでしょうか。
今回弊誌では、バンドの創立メンバーでメインコンポーザー、流麗なベースラインを聴かせる Greg Spawton にインタビューを行うことが出来ました。日本でも海外と同等の評価を得られるように祈ります。どうぞ!!

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BIG BIG TRAIN “GRIMSPOUND” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AYREON : THE SOURCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ARJEN ANTHONY LUCASSEN OF AYREON !!

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The Most Gorgeous Metal Opera In The World, Ayreon Are Back To “Forever” Saga With The Newest Record “The Source” !! Beautiful And Wonderful 70’s Vibes Are Here!

DISC REVIEW “THE SOURCE”

オランダを代表するコンポーザー、マルチプレイヤー、シンガー、そしてプロデューサー、Arjen Anthony Lucassen のメタルオペラプロジェクト AYREON が2枚組90分の一大スペクタクル “The Source” をリリースしました!!AYREON の宇宙を再び拡大し、過去最高とも思えるクオリティーを備えたよりギターオリエンテッドなレコードは、絶佳なる現代のスペースオペラとしてシーンに君臨するでしょう。
“Forever” サーガと称される AYREON のストーリーは、時代も時空も超越した壮大なるSFファンタジー 。まるで “Star Wars” と “The Lord of the Rings” が共鳴し溶け合ったかのような知的かつファンタジックな物語は、実際ロック史に残るエピックとして海外では絶大な人気を誇るのです。
“Forever” サーガのストーリーラインは、アルバムのリリース順に語られる訳ではありません。

「”Forever” とは技術の進歩により長寿の秘密を発見した “Planet Y” に住む水生知的生命体。感情を失い全てを”マシン”に頼るという生き方に進化してしまった彼らは、種族を再度活性化させるため彗星に自らのDNAを託し地球へと送ります。彗星の衝突は地球を支配していた恐竜を滅亡させ、破壊の灰の中から人類が登場したのです。
当初、”Forever” の実験は成功したように思えました。 “Forever”の遺伝子を有する人類は、”Forever” が “マシン”に頼るようになる以前の感情を有していたのですから。しかし、進化をスピードアップさせた “Forever” は、皮肉にも人類が彼らと同様の問題に直面したことを知ります。それはテクノロジーへの依存と感情の危機でした。人類のモラルは発展の速度に追いついてはいなかったのです。”Forever” は人類を自己破壊から救えるのでしょうか?」

これが前々作 “01011001” のプロットであり “Forever” サーガの”エピソード0″に位置する話です。
そこからストーリーはファーストアルバム “The Final Experiment”、つまりエピソード1” へと繋がります。2084年に最後の世界大戦が起こり、火星へと移住し滅亡する運命の人類。2084年の科学者たちはタイムテレパシーで過去へと警告を発し、さらに人類は “Forever” に導かれ様々な時代、人種が滅亡を回避するための行動を続けて行くのです。
“The Source” は “エピソード-1″ に位置するストーリー。さらに時を遡り”Forever” が “Planet Y” へと辿り着く以前の物語が描かれています。

「人類の大きな祖先とも言える “The Alphans” は、環境問題や政治的混乱により危機を迎えていました。彼らの星を守るため “The Alphans” はグローバルコンピューター “The Frame” に全てを託しますが、コンピューターが星を守るために下した結論は、”The Alphans” の根絶だったのです。星から脱出可能な宇宙船は1台だけ。搭乗が許されたのは技術や能力を備えた一部の “The Alphans” のみでした。そうして彼らがたどり着いた惑星こそ “Planet Y” だったのです。
“The Frame” から解放された “The Alphans” は “Forever” と称するようになりました。それはテクノロジーを進化させ開発した、”マシン” により永遠の命を保証されたからに他なりません。しかし同時に “Forever” はテクノロジーに依存しすぎたがためその感情を失い、より高く構築した建物は太陽の光を全て遮り “Age of Shadows” という暗黒の時代を迎えてしまったのです。そうして彼らは地球に DNA を送ることとなったのです。」

ここまで長きに渡り、しかもスムーズにストーリーが繋がると戦慄すら感じますが、作品を通じてテーマとし警鐘を鳴らし続けるのが、”テクノロジーへの依存” がもたらす危険であることは明らかですね。
音楽的には、インタビューにもあるように、Keith Emerson, Rick Wakeman, Jodan Rudess など鍵盤のレジェンドを起用してプログレッシブかつキーボードオリエンテッドに仕上げた前作 “The Theory of Everything”、そして Anneke van Giersberge とタッグを組んだ “女性的な” GENTLE STORM のリアクション、反動として、”The Source” は非常にキャッチーでヘヴィーなアルバムに昇華されています。
重厚かつ絢爛なアルバムオープナー “The Day That The World Breaking Down” から登場しアルバムの要所で現れる、ハモンドと絡むヘヴィーなメインギターリフが DREAM THEATER の “Erotomania”, “Voices” に極めて酷似している点にはギョッとしますが、James LaBrie が参加しているのでおそらく問題はありません。
実際、オマージュこそが “The Source” のキーワードだと言えるでしょう。 インタビューにもあるように、Arjen は彼のロック/メタル、特に70年代に対する憧憬を隠そうとはしていませんね。例えば “Everybody Dies” “Journey to Forever” が QUEEN への愛情が込められたラブレターだとすれば、”Run! Apocalypse! Run!” “Into The Ocean” は RAINBOW の新作に対する督促状かも知れません。何よりも、Freddie Mercury や Dio の役割を問題なく果たすことの出来る Mike Milles や Russell Allen といった極上のシンガーたちを発見し、適材適所にオペラの “俳優” として重用する Arjen の才覚には脱帽するばかりです。
あなたがもしクラッシックロックのファンならば、アルバムを聴き進めるうちに JETHRO TULL, STYX, PINK FLOYD, Kate Bush, さらには同郷の FOCUS などを想起させる場面に出くわしニヤリとすることでしょう。しかし同時に Arjen の巧みで見事過ぎるコンポジションにも気づくはずです。
多弦ギターやエレクトロニカなどモダンな要素も吸収し、インタビューにもあるようにフォーク、メタル、アトモスフィア全てを調和させメロディーとフック、そしてダイナミズムに捧げたアルバムはまさにエピカルなメタルオペラの金字塔として後世に語り継がれていくはずです。
今回弊誌では、Arjen Anthony Lucassen にインタビューを行うことが出来ました。残念ながらツアーは引退したそうですが、これだけの内容をメンバー集めから全てほぼ1人でを制作し続けているのですから当然という気もします。どうぞ!!

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AYREON “THE SOURCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FULL OF HELL : TRUMPETING ECSTASY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPENCER & DYLAN OF FULL OF HELL !!

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Maryland / Pennsylvania Quartet, Full OF Hell Has Just Released The Newest Album “Trumpeting Ecstasy”!! Diverse, But More Into Extreme Metal Realms!

DISC REVIEW “TRUMPETING ECSTASY”

メリーランド、ペンシルベニアのカルテット、破壊者 FULL OF HELL がフルアルバムとしては2013年の “Rudiments of Mutilation” 以来となる新作 “Trumpeting Ecstasy” をリリースしました!!日本が誇るノイズゴッド MERZBOW, アヴァンギャルドノイズデュオ THE BODY とのコラボレート、さらには NAILS, PSYWARFARE とのスプリットを血肉としてリリースした作品は、要となる自身のルーツを軸としつつ、同時にエクストリームミュージックの領域を一際押し広げる重要なレコードとなりました。
CODE ORANGE, 日本の ENDON と並んで FULL OF HELL はハードコアとノイズ要素を融合させるアプローチの先端に立つアーティスト。もはやハードコアの大家となった感のある CONVERGE の Kurt Ballou が斬新なその三者全ての新作を手がけることとなったのも偶然ではないでしょう。
実験的な作風にシフトするかとも思われた “Trumpeting Ecstasy” は、意外にもストレートな楽曲が軸となり押し寄せる暗く激しい11曲23分となりました。インタビューにもあるように、サウンド、リフワークなど、確かにバンドはよりメタルの領域に接近したようにも思えますし、楽曲が”密着”していると語るのも頷けます。
しかし、勿論彼らの野心が一所に留まるはずもなく、レコードは同時にパワーバイオレンス、ノイズ、スラッジ、インダストリアルといった多様なアイデアを見事に昇華しコンテンポラリーなブルータリティーを散りばめたハイブリッドなエクストリームミュージックとして仕上がったのです。
“木々も鳥たちも悲しみに満ちている。彼らは歌っているんじゃない。ただ悲鳴をあげているんだ。” ニュージャーマンシネマの巨匠 Werner Herzog の言葉で幕を開けるアルバムオープナー “Deluminate” は文字通り世界の悲惨さ、絶望感の象徴です。不協和音をスクラッチする悪夢のデスメタルライクなリフワークと、疾走する巧みで手数の多い狂気のドラミングは無慈悲にもリスナーに地獄絵図を投下して行きます。”人間は地球の顔に出来た膿だ” と喉が張り裂けるほどシャウトする Dylan の苦痛を伴う憤怒は即ちハードコアのリアルで、聴く者に畏敬の念さえ感じさせますね。
禍々しい何かを引き摺るようにスローダウンする、スラッジーな “Gnawed Flesh” はまさに FULL OF HELL の真骨頂。脱退したベーシスト Brandon Brown のデモニックなガテラルは、Dylan の鋭いスクリームと凶悪なインタープレイを繰り広げバンドの顔となっていましたが、新たに加わった Sam DiGristine もしっかりとその伝統を引き継ぎ、自身のハラワタに宿した魑魅魍魎を地の底でスラッジパートに全てぶつけています。
さらに “Crawling Back to God” には ex-ISIS の Aaron Turner が、”At the Cauldron’s Bottom” には CONVERGE の Nate Newton がそれぞれボーカルでゲスト参加し、様々な声を得た作品は実に多様な色を加えているのです。
GRIMES のレーベルに所属するカナダのアーティスト Nicole Dollanganger の声を得たタイトルトラック “Trumpeting Ecstasy” はバンドが経てきたコラボレートの旅が結実した成果だと言えるでしょう。THE BODY の Lee Buford が生み出すビートと Nicole の天上の歌声は、不穏なノイズを宿した惨忍なバンドの暴虐と溶け合うこともなく、奇妙な二分法のまま冷やかなまでに無機質に進行して行きます。
インタビューで Dylan は、”Trumpeting Ecstacy” というタイトルが「他人の不幸は蜜の味」といった意味を持つと語ってくれましたが、この純美と非業、”喜び”と”悲しみ”の奇妙な共存はそのまま彼の語る人間の心の最も醜く陰湿な場所を映し出しているように感じました。
今回弊誌では、フロントマン Dylan とギタリスト Spencer にインタビューを行うことが出来ました!8月には THE BODY, FRIENDSHIP と回る日本ツアーも決定しています。どうぞ!!

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FULL OF HELL “TRUMPETING ECSTASY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DRAGONFORCE : REACHING INTO INFINITY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FRÉDÉRIC LECLERCQ OF DRAGONFORCE !!

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UK Based Power Metal Speed Star, Dragonforce Reaches Into New Horizon With Their Newest Album “Reaching Into Infinity”!! Still Fast But Mature!

DISC REVIEW “REACHING INTO INFINITY”

英国が誇るパワーメタルスピードスター、DRAGONFORCE が7枚目のフルアルバムとなる “Reaching into Infinity” をリリースしました!!”無限大”の力と可能性を秘めたその魅力的な音時空は、素晴らしきカタルシスを伴って世界に光明と救いをもたらすことでしょう。
DRAGONFORCE は勿論、その計測不能なまでに狂速な bpm と、レトロゲームの影響を消化したチップチューンメタルのコンボで名を上げたバンドです。確かに、時に激しいギターデュエルを交えながら突き進む、その目まぐるしくも華麗で勇壮なスタイルは実にエキサイティング。バンドは暗雲漂うパワーメタルシーンの救世主として着実にその地位を築き上げて来たと言えるでしょう。
しかし、DRAGONFORCE は現在、そのパワーメタルという “檻” からゆっくりと着実にその領域を拡大させつつあります。
実際、ギタリスト Sam Totman という大黒柱がコンポジションの中心に座っていた “The Power Within” 以前のパワーメタル然とした作品と、マルチな才能を持つベーシスト Frédéric Leclercq が大々的に関わるようになり Sam との二頭体制を築いた後の作品には大きな差異が存在するようにも思えます。
二頭体制の幕開けとなった前作 “Maximum Overload” はバンド史上最高に芳醇な音楽性を誇る作品でした。インタビューにもあるように全てを2人で共作したというアルバムは、Frédéric が持ち込んだデス、スラッシュ、プログといった新たで多様な感覚と、奇跡の 235 bpm を実現した “The Game” が象徴するバンドのアイデンティティー “スピード” を共存させた完璧なる傑作だったと言えますね。勿論、Jens Bogren の類希なるセンスがバンドをまだ見ぬ高みへと導いたことも否定は出来ないでしょう。
ただ何より、Frédéric が日本のゲーム “悪魔城ドラキュラ” へのトリビュートとして制作した “Symphony of the Night” の妖艶なる美の調べは、以前のバンドには存在し得ない新たな至宝に違いありません。前世は日本人だったとまで語る Frédéric のメロディーには、コード進行をより意識することで生まれる日本的な “艶” が確かに備わっているのです。
二頭体制を引き継ぎながらも2人が別々に作曲を行い、結果として Frédéric が大半の楽曲を手がけることとなった新作 “Reaching into Infinity” は、”Maximum Overload” でのチャレンジをさらに1歩押し進めた作品に仕上がりました。
期待感を煽る荘厳なイントロダクションに導かれ幕開ける、アルバムオープナー “Ashes of the Dawn” はまさに歌劇”スピードメタル”。オペラティックな Marc Hudson の歌唱は、ファストでシンフォニックな舞台に映え、昇龍の如く天高く舞い上がります。自らのトレードマークをしっかりとアピールしながら、よりシアトリカルで洗練されたメロディーを提示する現在の DRAGONFORCE に死角はありませんね。
トランス的なイントロから HELLOWEEN を想起させるメジャーなコーラスを経てプログレッシブな展開を見せる新鮮な “Judgment Day”、新ドラマー Gee Anzalone の派手やかなお披露目から Frédéric の壮絶なベースソロまでリズム隊の活躍が顕著な “Astral Empire” と疾走するキラーチューンを畳み掛けたバンドは、徐々にその成熟を遂げたドラゴンの巨体を顕にして行きます。
“悪魔城ドラキュラ” トリビュートの続編、ディミニッシュの魔法が冴える “Curse of Darkness”、切なくも壮大なバラード “Silence”、そして ANTHRAX のエナジーを宿したスラッシュチューン “War!” と実に多彩なアルバムの中でもハイライトは11分の大曲 “The Edge of the World” でしょう。
IRON MAIDEN の長尺曲をも想起させる楽曲は、プログレッシブな展開美が白眉で実にエピカルかつドラマティック。ボーカル、ギターソロ、バッキングをよりオーガニックに誂え、しかし時にデスメタルの要素までも散りばめた世界の果ての景観は、静と動のコントラストが鮮やかに浮き彫りとなった新たな光景だったのです。それは様々なジャンルのバンドで経験を積んだフランス人の才能が、バンドのカラーと遂に溶け合った瞬間と言えるのかもしれませんね。
今回弊誌では、作品のキーパーソン Frédéric Leclercq にインタビューを行うことが出来ました!充分にファストですが、以前の良くも悪くもピーキーな DRAGONFORCE とは趣を異にする円熟の一作。同時に、今回も Jens Bogren は素晴らしい仕事を果たしたようですね。どうぞ!!

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DRAGONFORCE “REACHING INTO INFINITY” : 9.7/10

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SITHU AYE SENPAI EXPLAINS IT ALL !! 【SENPAI EP Ⅱ: THE NOTICING】


So fast forward 1 year and 7 months and I have released “Senpai EP II: The Noticing”, the follow up to the first EP. It continues to follow the story of these three girls in the style of a slice of life anime. 

“Senpai EP” から1年7ヵ月ぶりに “Senpai EP Ⅱ: The Noticing” をリリースしたよ!!この作品でも、女の子3人の物語を日常系アニメのスタイルで追っているんだ。

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(There’s a new girl in there – we’ll get to her later! Artwork by me)

RECAP OF “SENPAI EP”

To start with, a little bit of a recap of the first Senpai EP and an introduction to the characters. Senpai EP follows the adventures of 3 girls who love to play progressive metal music and is heavily influenced by slice of life anime, especially K-On!. The main character is Megumi Uehara (上原めぐみ) who is nicknamed Prog-chan (プログちゃん), a 17 year old 2nd year in high school who loves to play the guitar. All Prog-chan wants to do is to have fun and to play music with her friends. Her childhood friend (幼馴染) Hanako Todoroki (轟花子) is also 17 and in her 2nd year of high school and plays bass. She is also her class rep and top student in her year. Finally, we have Mari Matsumoto (松本まり) who is 16 and in her 1st year of high school. She idolises Megumi as her guitar playing Senpai. The first Senpai EP followed the idea of slice of life anime, where it followed a day in the life of the girls. It starts with Megumi being late for school (Oh Shit, I’m Late For School! (やだ、遅刻しちゃう!)), Mari trying to get Megumi-senpai to notice her (Senpai, Please Notice Me! (先輩、私に気付いて下さい!)) and a dream Megumi has while asleep in class where she and her friends are magical girls (魔法少女) trying to battle evil guitar frets (The Power of Love and Friendship! (愛と友情のパワー! )). I hoped to parody anime tropes, yet also convey the feeling you get while listening to anime music with this EP. It also established these three as characters that would appear again in Senpai EP II.

“Senpai EP Ⅱ” の解説を始めるにあたって、まず少しだけ “Senpai EP” のおさらいと、キャラクター紹介をしておこう。
“Senpai EP” はプログメタルをプレイするのが大好きな3人の少女が繰り広げるアドベンチャーで、日常系アニメ、特に “けいおん!” に強く影響を受けていたんだ。
メインキャラクターは上原めぐみ、17歳の高校2年生。プログちゃんと呼ばれているようにギターが大好きな女の子さ。楽しく友達と音楽をプレイしたいと望んでいるんだ。
めぐみの幼馴染み、轟花子も17歳の高校2年生で、ベースをプレイするよ。花子はめぐみと同じクラスで学期委員長。学年でもトップの成績を誇るんだよ。
そして3人目が松本まり。16歳の高校1年生。めぐみのことをギターが上手い先輩としてアイドル視しているんだ。
“Senpai EP” の1作目は、日常系のアニメにアイデアを得て、彼女たちの日常を追ったものだったんだ。EP はめぐみが学校に遅刻しそうな場面から始まるよ (Oh Shit, I’m Late For School! (やだ、遅刻しちゃう!) )。
まりはめぐみ先輩に気づいてもらおうとしていてね (Senpai, Please Notice Me! (先輩、私に気付いて下さい!))。
めぐみが授業中に居眠りしていて見た夢は、彼女と友達が魔法少女となり悪のギターフレットとバトルするものだったんだ (The Power of Love and Friendship! (愛と友情のパワー! ))。
つまり僕は、この作品でアニメのトロープスをパロディーすることで、アニソンを聴いている時の感覚を伝えることが出来ればと思ったんだよ。”Senpai EP Ⅱ” にも登場する3人のキャラクターを確立することも出来たしね。

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(The three girls, from left to right: Mari (まり), Megumi (めぐみ) and Hanako (花子). Artwork by Ulrich)

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