NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHISPERED : METSUTAN – SONGS OF THE VOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOUNI VALJAKKA OF WHISPERED !!

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Powerful Fusion Of Melodic Death Metal and Japanese Traditional Music, Unstoppable Finnish Samurais Strike Japan Again With The Epical Tribute To Japanese Culture, “Metsutan – Songs of the Void” !!

DISC REVIEW “METSUTAN – SONGS OF THE VOID”

フィンランドの侍、歌舞伎メタルの求道者 WHISPERED が遥かなる時空を超えて北欧と日本を繋ぐ待望の新作 “Metsutan – Songs of the Void” をリリースしました!!NHKに取り上げられ注目を集めている今、素晴らしいタイミングで2度目の来日も決定し、彼らが最もインスピレーションを受けてきたこの舞台で千両役者へと登り詰める準備は整いました。
WHISPERED ほど日本を前面に押し出して世界的な成功を収めたメタルバンドは、これまでほとんど存在しないと言えます。故に、琴や三味線など和楽器をメインに据え、日本古来のヨナ抜き音階をキャッチーでキラキラのスカンジナビアンメタルの中で大胆に使用。歌舞伎の隈取を施したビジュアルで、日本人でも知らないような深い古の伝承を巧みに表現するフィンランドの侍のやり方は、実に画期的で大きな可能性に満ちていますね。
アルバムはエピカルで壮大なイントロダクション、血のワルツに導かれし一撃必殺の “Strike!” で強烈に幕を開けます。CHILDREN OF BODOM を想起させるスリリングかつメロディックなゴーセンバークスタイルに、三味線をはじめとした和楽器の数々が自然にオーケストレートされ圧倒的な推進力で突き進む “Strike!” の一撃は、リスナーを一瞬で”滅譚”の世界へと連れ去ります。
“Sakura Omen” のシンフォニックなサウンドが生み出す高いドラマ性は、WHISPERED を数多のメロデスバンドたちと分かつ重要な個性です。まさに日本的な”侘び寂び”を理解しているかのような巧みな静と動の対比、荘厳なシンフォニーと激情のアグレッションの応酬は和楽器を組み込んで、桜の花に美しさのみならず儚さや死のイメージをも重ねることに成功しています。
一般的に桜は華やか、ゴージャスというイメージを懐く外国人がほとんどでしょう。しかし、まるで坂口安吾の”桜の森の満開の下”をイメージしたかのような和の情緒を宿す “Sakura Omen” は彼らが小手先だけの日本マニアではないことを証明していますね。
インタビューでも語ってくれたように、日本のゲーム音楽からも強く影響を受けている Jouni。宮本武蔵の決闘をテーマとした “Kensei” には”ロックマン 6″や”ロックマン X”のコンポーザー竹原裕子さんへのリスペクトが込められ、メロディーラインがオマージュとして使用されています。古き良き NORTHER や KALMAH の遺伝子とニンテンドーサウンドが見事にマッチした “Oriental-core” とも呼べるキラーチューンは、武士道に込められた想いと共にアルバムを代表する楽曲として強い輝きを放っています。
WHISPERED の作品は常にエピカルな10分を超える大曲で幕を閉じます。今回、彼らがそのテーマに選んだのが”江島縁起”でした。アートワークにも描かれる、江ノ島の起源に纏わる五頭龍の伝説をコンセプトとした “Bloodred Shores of Enoshima” は5部構成11分22秒の恋愛劇。美しき天女、弁財天に魅せられ悔い改めた五頭龍の物語を WINTERSUN が “Time I” で見せたような圧倒的構成力とシンフォニーでシアトリカルに現代へと再現しています。
アルバムを通して、壮大なオーケストレーションの中、ダブルギターと和楽器が影となり日向となりメインテーマとカウンターメロディーを行き来することで、作品には並々ならぬ立体感が生まれています。その立体感が極上のサウンドスケープをもたらした “Bloodred Shores of Enoshima” は、五頭龍が姿を変えた龍口山と弁財天が奉られる江ノ島の姿を描きながらも、同時に WHISPERED の中にある日本と北欧の姿をも一遍の曇りもなく露わにしているのです。
今回弊誌では、バンド唯一のオリジナルメンバーとなったギター/ボーカル Jouni Valjakka にインタビューを行うことが出来ました。来日は以前弊誌がインタビューを行った INSOMNIUM と5月!どうぞ!!

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WHISPERED “METSUTAN – SONGS OF THE VOID” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BAND-MAID : JUST BRING IT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KANAMI OF BAND-MAID !!

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Welcome Home, Master & Princess. Are You Ready For The Next Babymetal ?! OK, Just Bring It! Japanese Hard-Rock Maid Girls BAND-MAID Has Just Released Really Cool Debut Full-Length “Just Bring It” !!

DISC REVIEW “JUST BRING IT”

ロマン溢れるメイド服に身を包み、タイトな正統派ハードロックサウンドを継承する BAND-MAID が遂に待望のメジャーデビューフルレングス “Just Bring It” をリリースしました!!楽曲の幅を広げ、著しい成長を遂げたメンバーの全てが注ぎこまれた作品は、世界を制圧するに充分なクオリティーを備えています。
Babymetal が日本が生んだ最高の女性メタルアーティストであることは、METALLICA, GUNS’N ROSES との共演、世界の熱狂ぶりをみれば明らかでしょう。しかし同時に彼女たちを認めない、アンチの存在も少なからず目に付く事も確かです。
先日、海外大手”トゥルーメタル”系レーベルのパブリッシャーと話す機会があったのですが、彼は Babymetal について「アイコンとして華があり、バンドも素晴らしいね。だけど彼女たちは自ら楽曲を作らないし、演奏もしない。さらにどれだけメタルを愛しているのかについても疑問だね。」 と語っていました。おそらくこれが Babymetal アンチの総意だと思います。
弊誌は別段”トゥルーメタルマガジン”と言う訳でもありませんので、その高い楽曲のクオリティー、kawaii×metal の新たなアプローチ、モダンな視点、ハイレベルなパフォーマンス、そして何より世界が認めてしまっているという事実から、結果が全てを語るというスタンスです。しかし、確かに演奏も作曲も出来る新たなロックンロールヒロインが日本から生まれたとしたら、この日出づる国の音楽ファンはさらに誇れるものが増えるはずですね。
BAND-MAID はまさにその Next-Babymetal の可能性を大いに秘めたアーティストだと思います。実際、彼女たちがまずブレイクを果たしたのは海外のラジオ局からでした。Facebook で150万ものフォロワーを持つ巨大ラジオ局 “Jrock Radio” が “Thrill” の PV を紹介するやいなや、BAND-MAID の名は一気に海外へ広まることとなりました。”Thrill” の Youtube 再生回数は 400万に迫る勢い。さらに昨年は国内と併せて本格的なワールドツアーも成功させており、”結果”をみれば間違いなくワールドクラスのアーティストへと成長しつつあると言えるでしょう。
では、BAND-MAID はそのインパクトだけで注目を浴びたのでしょうか?答えは否です。確かにライブを「お給仕」と言い、ファンを「ご主人様」「お嬢様」と呼ぶ5人の可愛らしいメイドには仄かな出オチ感がフンワリと漂っているかも知れません。しかし、ギャップ萌え極まる硬派な “Just Bring It” を聴けばその実力が本物であることが伝わるでしょう。
Just Bring It…「かかってこいや!」と名付けられた自信に満ちた作品は、13曲中9曲がメンバーの手によるもので、その事実は”バンド” BAND-MAID としての強みを存分にアピールしています。
アルバムを通して、とにかくギターリフがクール。トラディショナルとモダンを行き来するツインギターはその確かなテクニックと共にフックとメロディー、アグレッションを提供し続けます。そこに緩急織り交ぜたカラフルなツインボーカル、骨太で強烈なスラップまでお見舞いするベースにダイナミックなドラムスが加われば、彼女たちの可能性が無限に広がっていることを感じるはずです。
“CROSS” は BAND-MAID の今を象徴するような楽曲です。彼女たちがすんなりと海外で受け入れられた理由の一つはそのブルーステイストかもしれません。アルバムを通して活躍するブルーノートの響きは特にUSのリスナーにとっては非常に馴染み深いもの。しかし BAND-MAID はしっかりと J-Rock 由来のキャッチーさやギミックを同時に織り込んでオリジナリティーを創出しています。見事なフックを生む転調とシンコペーション、ブルージーなギターリフ、耳馴染みのよいメロディー、シンガロングパート。”CROSS” は端的に BAND-MAID の長所を物語っていますね。
加えて、マスロックテイストさえ感じさせるプログレッシブな “Awkward” は “CROSS” と対極に存在し新鮮な驚きをリスナーに与えます。ストリングを効果的に使用したこの感動的なピースは BAND-MAID の未来をチャレンジングスピリットと共に明るく照らしているように思えますね。
おそらく日本のロックファンが思うよりも、海外の音楽シーンは現在 EDM, hiphop に席巻されています。ピュアなハードロック、メタルを渇望する”トゥルーファッキンメタラー”の逆襲が BAND-MAID に託されていることは間違いないでしょう。
今回弊誌では、ギタリストでメインコンポーザー KANAMI さんにインタビューを行うことが出来ました。Mr. Big を想起させるスリリングな “モラトリアム” や “YOLO” の流暢なリードプレイを聴けば彼女の驚異的な才能が分かるはずです。Welcome Home, Master & Princess! どうぞ!!

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BAND-MAID “JUST BRING IT” : 9.6/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MUTE THE SAINT : MUTE THE SAINT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RISHABH SEEN OF MUTE THE SAINT !!

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Sitar Fronted Instru-metal Four Piece From India, Mute The Saint Has Just Released Indian Classical Music Meets Modern Prog Metal Record “Mute The Saint” !!

DISC REVIEW “MUTE THE SAINT”

世界で初めてインドのフォークミュージックとモダンプログを融合させた、新たな開拓者 MUTE THE SAINT が記念すべきセルフタイトルのデビュー作 “Mute the Saint” をリリースしました!!トラディショナルなシタールの響きと、近未来感溢れるテクニカルメタルのフュージョンは、時間も文化も越えて世界中のリスナーに新鮮な驚きを与えています。
バンドのリードシタール奏者でコンポーザー、Rishabh Seen が大きな注目を浴びたのはインターネットの世界からでした。推しも押されぬ Modern Prog Metal のリーディングヒッター、ANIMALS AS LEADERS の楽曲をシタールでミステリアスにカバーした Rishabh の動画は瞬く間に評判を呼び、海外の大手メタルサイトなどで大々的に取り扱われることとなったのです。
しかし、あくまでもカバーはカバー。彼が真に評価されるべく立ち上げたオリジナルバンドこそが MUTE THE SAINT でした。シタール、ギター、ベース、ドラムスという前代未聞のインストゥルメンタルバンドは、驚くことに1度もメンバー同士会ったことがありません。しかしながら、インタビューにもあるように、”Mute the Saint” を聴けば、インドの古典音楽とプログメタルの架け橋となるべく集結したこのユニークな音楽集団に大きな可能性、未来が広がっていることは明らかでしょう。
アルバムオープナー、”Welcome the Change” はまさにリスナーを変化に誘う予告状。オリエンタルなシタールのイントロが鳴り響くと、目の前には確かにタージマハルの壮観や雄大なガンジスが広がります。しかし、同時に MUTE THE SAINT は架け橋でありバンドです。そこにプログメタル由来の奇数拍子、Djenty なギターリフ、4人のタイトな演奏、複雑な構成美が登場し溶け合うと、遂に彼らの斬新かつ魅力的な全体像、ビジョンが顕になるのです。
実際、”Mute the Saint” は驚くほどバンドらしい作品です。Rishabh の個性的なサウンドに一歩も引けを取らない Josh Seguin のギター捌きは白眉で、毛色の違うリード楽器が交互に主役を務める様は実に壮観だと言えますね。さらには “Calypso” のようにバンド全員の高い技量を個々にフィーチャーした楽曲まで存在するため、アルバムには時に偉大な THE MAHAVISHNU ORCHESTRA や、DIXIE DREGS を想起させる瞬間まで訪れるのです。
5曲という曲数ながら、多様性=モダンな魅力に満ちていることは作品のもう一つの鍵だと言えるでしょう。”Sound of Scars” はそのマイクロトーナルな響きが誘うダークでカオティックな音像が驚くことに Black Metal さえイメージさせますし、最後には “In Silence We Will Remain” の METALLICA へのリスペクトと共にアグレッシブでスラッシーな一撃でアルバムを締めくくります。
今回弊誌では、雄弁なシタールプレイヤー Rishabh Seen にインタビューを行うことが出来ました。来日ツアーの経験もある Rishabh。インターネットから生まれたこの素晴らしき”シタールメタル”が、日本とインドの架け橋にもなることを願います。どうぞ!!

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MUTE THE SAINT “MUTE THE SAINT” : 9.2/10

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WORLD PREMIERE !! FULL ALBUM STREAM【VIPASSI: SUNYATA】


FULL ALBUM STREAM : VIPASSI “SUNYATA”

THE MEMBERS OF AUSTRALIAN SHOOTING STAR, NE OBLIVISCARIS & HADAL MAW HAS JUST LAUNCHED “EXTREME INSTRU-METAL” BAND VIPASSI !!

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With ‘Sunyata’, VIPASSI offer such a rare album that combines ecstatic technical virtuosity with a love of creating atmospheric soundscapes, sparkling melodies, and captivating passages.
VIPASSI were birthed in 2009 by guitarist Ben Boyle and members of Australian shooting stars NE OBLIVISCARIS, which marked the beginning of a long journey of writing and rehearsing. They soon settled on an instrumental style that captured the openness aimed for to allow any listener to interpret and connect with the material subjectively. Their project represents a desire to explore beauty and darkness in all its shades, through melodic and complex compositions that are bemused in themes of the struggles of the human experience, exploring nature, spirituality and science.
The roots of their sound reach back into a time when bands such as ATHEIST and CYNIC began to reform extreme music by infusing jazz and progressive elements into death metal. Now VIPASSI add a new chapter to the story with the instrumental highlight ‘Sunyata’. Dig deep into this musical treasure trove spilling over with shiny details, glittering melodies, and wealth of rhythm patterns.

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オーストラリアンシューティングスター、NE OBLIVISCARIS, HADAL MAW のメンバーが所属する別バンド VIPASSI は BLOTTED SCIENCE, CONQUERING DYSTOPIA, EXIVIOUS といった Extreme Instru-Metal に連なる新たな才能です。
1/20 にリリースするデビューフルレングス “Sunyata” は、ツインギターが織りなすテクニカルでレイヤーされたリフワーク、フレットレスベースのフレキシブルなサウンド、そしてクリエイティブなリズムを併せ持ったエポックメイキングな作品です。
凶悪なブラストビートからアトモスフェリックなサウンドまで自在に操るコンポジションの妙は、確かにあの NE OBLIVISCARIS のメンバー3人が所属することを示唆しています。しかし同時に VIPASSI はよりユニークでプログレッシブなコンポジションへと特化されており、インストルメンタルでありながら Death Metal を新たな領域へと推し進めた CYNIC, ATHEIST にモダンなフレイバーを加えたような音像と言えるかもしれません。
今回弊誌では、世界に先駆けて自然や科学、精神性にフォーカスした “SUNYATA” のフルストリームを行うことが出来ました。NE OBLIVISCARIS と併せてぜひチエックしてみてくださいね!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KHEMMIS : HUNTED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KHEMMIS !!

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Modern But Traditional! Denver Based Four Piece Doomed Rock’n Roll Act, Khemmis Has Just Released One Of The Most Important Doom Record “Hunted” !!

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DISC REVIEW “HUNTED”

US デンバーの Doom Metal カルテット KHEMMIS がリリースした 2ndアルバム “Hunted” はシーンの注目を一身に集めています。アルバムは、老舗メタル誌 Decibel Magazine でアルバムオブザイヤーを獲得した他、様々な音楽誌、ウェブサイトで2016年のベストアルバムに選ばれているのです。
KHEMMIS のデビュー作 “Absolution” は MASTODON と PALLBEARER のちょうど中間に位置するようなモダンな Doom / Sludge 作品で、近年活気を得て来た Doom シーンにまた新たな才能が舞い降りたことを知らしめました。
しかし博士号を持つメンバー2人が牽引する、この知的でメタルに忠誠を誓ったバンドが同じ場所へと留まることはありませんでした。デビューフルから僅か15ヵ月で届けられた KHEMMIS の次章 “Hunted” はそのイメージを明らかに変化させていたのです。
インタビューにもあるように、遂にバンド全員がコンポジションに参加した “Haunted” はよりクラッシックロック、トラディショナルメタルの領域へと接近したレコードとなりました。全5曲、44分の作品は全てがロックの美学に捧げられています。
“Three Gates” はアルバムを象徴する楽曲です。THIN LIZZY や MOTORHEAD をモダンなスラッジサウンドで再現したかのようなリフの暴走に、美麗なツインギターハーモニーが切れ込むとそこはまさしく KHEMMIS の世界。凶暴なグロウルと共に突き進むサウンドの壁が突如として崩壊し、叙情を極めたクリーンボーカルが紡がれる刹那は奇跡的とも言えるほどロックを体現しています。
実際、バンドの要でギター/ボーカル Phil Pendergast と Ben Hutcherson のコンビネーションには目を見張るものがありますね。2人の繊細なまでにレイヤーされたギターハーモニーは WISHBORN ASH を想起させるほど美しく、バンドの顔となっています。加えて、Ben のダーティーなボーカルと Phil のクリスタルのようにナーバスな歌声のコントラストは、インタビューで述べているように”モダンなレンズ”を通した Doomed Rock’n Roll を体現する重要な鍵だと言えるでしょう。
さらに叙情味を加速させた “Beyond The Door” では、JUDAS PRIEST のゴージャスなハーモニーアルペジオ、そして IRON MAIDEN の3連シャッフルが Doom という枠組みの中で効果的に使用されています。故に楽曲はテンポや拍子をプログレッシブと言えるほど頻繁に変えて行きますが、スロウ一辺倒でなく、ダイナミズムを追求するその姿勢には、哀愁に満ちたメロディーとも相俟って北欧の巨人 CANDLEMASS を思い起こさずにはいられませんね。
アルバムを締めくくるタイトルトラック “Hunted” は13分の壮大なエピックです。BARONESS をイメージさせるローチューンドのファズギターで MERCYFUL FATE を再現したとも言えるドラマティックな前半部分に魅了されたリスナーは、後半の荘厳でアトモスフェリックなアコースティックパートからトレモロリフまで導入したモダンで壮大、感動的な大円団に驚愕し喝采を捧げることでしょう。そこには YOB や NEUROSIS をしっかりと通過し咀嚼した、2010年代のバンドだからこそ持つ多様性、強みがありますね。
KHEMMIS は勿論、よりアトモスフェリックスかつサバス、70’s Prog に接近した PALLBEARER、そして煌びやかな 80’s Metal と現代的な Black Metal を融合させた SUMERLANDS などが話題となっているように、確かにレトロリバイバルの波はメタルシーンにも押し寄せています。ただ焼き直すだけではなく、各バンドとも”モダンなレンズを通して音楽を見ていることが重要で、興味深いレトロフューチャーなサウンドはこれからさらに拡がりを見せていくことでしょう。
今回弊誌では KHEMMIS にインタビューを行うことが出来ました。日本人にこそアピールする素晴らしいメロディーを持つバンドです。どうぞ!!

KHEMMIS “HUNTED” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

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JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2016 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2016 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

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1. GOJIRA “MAGMA”

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2016年は日本でもゴジラ旋風が吹き荒れましたが、世界のメタルシーンを制圧したのも間違いなく GOJIRA だったと言えるでしょう。
奇才 Duplantier 兄弟率いるフランスの4人組 GOJIRA がリリースした “Magma” と名付けられたレコードは、これまでのどの作品とも異なるものでした。コンパクトな43分という作品でフォーカスされたのは、エモーションとアトモスフィアを前面に押し出した、キャッチーさとアート性の共存。Prog, Death, Sludge, Tribal, Math をユニークにミックスし、メタルの最先端を走ってきた巨人は、その先鋭性を微塵も失うことなくコマーシャルな感覚を強く生み出しているのです。
アルバムオープナー、”The Shooting Star” はチャレンジングな楽曲。実に瞑想的で、Joe Duplantier のヒプノティックなクリーンボイスとドライブするグルーヴが卓越したアトモスフィアを生み、リスナーをトランス状態へと誘います。実際、Joe のクリーンボイスは以前より遥かに多用されており、尚且つ雄弁です。
“Silvera” ほどエモーショナルな瞬間はこれまでの作品には存在しなかったはずです。メインリフの重量感に、タッピングが生み出すアーティスティックなムード、そしてキャッチーなリードギターとクリーンボーカルが三位一体となり溢れる強烈な感情。このヘヴィーなテリトリーのエモーションは、レコーディング中に Duplantier 兄弟の母親が亡くなったことに起因しています。
兄弟の様々なな感情、特別なパッションを全てクリエイティビティに注いだ結果、アルバムは無駄な時間など一切存在しない、濃密でアトラクティブな傑作に仕上がりました。MASTODON やBARONESS もチャレンジしていますが、芸術性とコマーシャリズムの融合という点でこの作品を超えるモダンメタルのレコードはないと断言出来るように思います。

2. ALCEST “KODAMA”

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ALCEST は所謂 “Blackgaze”、Black Metal と Shoegaze を融合させたパイオニア的存在です。幻想的で内省的。メランコリックな繊細さと悲痛な激しさが生み出す圧倒的なダイナミズム、神々しいまでの美しさはシーンに衝撃を与え、DEAFHEAVEN などに続く Post-Black のうねりを創出したのです。
“Kodama” は前作 “Shelter” と対になるカウンターパーツ的な作品と言えるかもしれません。インタビューにあるように、今作のテーマとなったもののけ姫とも通じる自然を食い物にする現代社会、そしてその闇の部分でもあるテロリズムが ALCEST を動かしました。ある意味メタルのルーツに戻り、よりダークな1面にフォーカスした”最も怒れる”作品は、それでもやはり徹頭徹尾 ALCEST です。そして同時に、彼らの新しいチャレンジである POP センスが花開いたアルバムであるとも言えるでしょう。

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3. DAVID BOWIE “★”

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ロックにとって、2016年は R.I.P の年でした。それは勿論、多くの伝説的なアーティストを失ったという意味でもあり、同時に”ロックを避ける”というやり方で最も本来のロックを体現していた David Bowie を失ったという意味でもあるのです。
彼の遺作となった”★” は NYC の先鋭実力派ジャズミュージシャンを起用し制作されました。しかし、David は決してジャズアルバムを作りたかった訳ではありません。ここには、サウンドトラック、ロック、ソウル、インダストリアル、フォーク、ヒップホップなどカラフルでエクレクティックなサウンドの万華鏡があるだけです。
David は Kendric Lamar の “To Pimp A Butterfly” を愛聴していたと言われています。所謂 Jazz the New Chapter と共感したのは、ただ一つのジャンルに囚われず、様々なサウンドを取り入れジャンルを拡大して行くその精神性でした。
“Lazarus” は自身の墓標だったのでしょうか、トーマス・ジェローム・ニュートンの再来でしょうか、それともジギー・スターダストの復活なのでしょうか?ただ一つ言えることは、この狂おしいまでにダークで美しい世界観は、唯一無二で、究極にロックの本質である冒険性や自由さに溢れているということです。彼の遺志を次ぐアーティストがいつかロックの世界に現れるのでしょうか。

4. ASTRONOID “AIR”

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ミュージックシーンには、時にリスナーの想像を遥かに超えて、ジャンルの壁を平然と、無慈悲なまでに叩き壊すような存在が現れます。マサチューセッツを拠点とし、”Dream Thrash” を指標する5人組 ASTRONOID はまさにそういったバンドでしょう。彼らが Blood Music からリリースしたデビューフルレングス “Air” は、メタルシーンのトレンドを左右しかねないほどの傑作にして重要作となりました。
Black Metal に新たな要素を加えた Post-Black と呼ばれるジャンルが注目を集める、昨今のメタルシーン。多幸感を伴うアトモスフィア、Shoegaze 要素を融合させた ALCEST, DEAFHEAVEN、WOLVES IN THE THRONE ROOM, 実験的な Math / Prog 要素を果敢に取り入れた KRALLICE, LITRUGY は間違いなく Post-Black シーンのフラッグシップだと言えますね。
ASTRONOID はその両輪、 Shoegaze, Math / Prog 要素のみならず、Thrash Metal, Prog, Post-Rock, Power Metal, Dream Pop など実に多様なジャンルをミックスし、”Black Metal の最終形態” とでも表現したくなるような新しい音楽を生み出したのです。
51分間のシネマティックなドリームスケープは、多幸感と希望に満ち、ポップさの限界までプッシュしながら、アグレッションと実験性をも多分に盛り込んだ、Black Metal のマイルストーン的な作品として長く語り継がれることでしょう。

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5. FALLUJAH “DREAMLESS”

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現在、海外のメタルシーンにおいて最も注目を集めている新鋭の1つ、変革者にして Atmospheric Death Metal の始祖 FALLUJAH。
“Death Metal Revolution” (デスメタル革命) とまで評された出世作 “The Flesh Prevails” から2年。メタル界のメガレーベル、Nuclear Blast に移籍して初の作品 “Dreamless” は、より美しく、よりキャッチーで、同時にシンセサウンドや女性ボーカルをチャレンジングに取り入れた、多様なモダンメタルを象徴する作品に仕上がりました。

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6. MESHUGGAH “THE VIOLENT SLEEP OF REASON”

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MESHUGGAH はモダンメタル、エクストリームミュージックの帝王でありパイオニアです。Djent は勿論、Jazz/Fusion を取り入れた Instru-metal, より数学的な要素にフォーカスした Mathcore などそのポリリズミックでローチューンドなヘヴィーサウンドが後続に与えた影響は計り知れません。
4年ぶりにリリースされた新作 “The Violent Sleep of Reason” は彼らのトレードマークとも言える複雑でヘヴィーな世界観、リズムセンスは保ちながら、よりオーガニックでストレートなアルバムに仕上がりました。アルバムオープナー、”Clockworks” を聴けば作品のプロダクションが非常に生々しく、有機的で、今日のメタルアルバムとは趣を異にすることに気づくでしょう。オールドスクールとも言えるノスタルジックなサウンドは、皮肉なことに過去のいくつかの作品よりもギタートーンをビッグに響かせ、新たな怪物を生んでいます。
メカニカルで精密に計算されたグルーヴを、率直で生々しいプロダクションで包み込んだ理由。それはアルバムのコンセプトに通じます。”危険な睡眠状態” とは、世界中で起きている無慈悲なテロリズムに対して、何ら行動を起こさない一般の人々を指しています。MESHUGGAH が作品に有機的な感覚、エモーションを強く取り入れたのは、世界の人たちにに手を挙げて欲しい、テロリズムと戦わなければならないというメッセージでもあるのです。
ダイナミックで、インテンスに溢れ、エナジーに満ちたレコードで MESHUGGAH はその価値を再度証明しました。この作品を受け止める私たちには何が出来るでしょうか?

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHITECHAPEL : MARK OF THE BLADE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ZACH HOUSEHOLDER OF WHITECHAPEL !!

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Pioneer of US Deathcore, Whitechapel Opens Up The New Chapter With “Mark Of The Blade”!! Don’t Miss Their First Japan Tour In April!!

DISC REVIEW “MARK OF THE BLADE”

US Deathcore の帝王 WHITECHAPEL が新たな領域へと踏み出した新作 “Mark of the Blade” をリリースしました!!10年に渡ってその王冠を守り続けたパイオニアが舵を切ったその先には、メタルの革新があるはずです。
エクストリームメタルシーンにおいて、狂気のレンジと存在感を放つ Phil Bozeman のガテラルが群を抜いていることを否定するファンはいないでしょう。そして彼が今回新たに証明したのが、そのクリーンボーカルの実力でした。
WHITECHAPEL にとって、”Mark of the Blade” は1枚のアルバム以上の意味を持つ、新境地へと赴く強いステイトメントになっています。間違いなく、Deathcore は近年で最も台頭し人気を博すモダンメタルの枝葉ですが、それ故にシーンが飽和気味な状態であることも事実。このタイミングで、WHITECHAPEL, そして SUICIDE SILENCE というジャンルの二大巨頭がクリーンボーカルを導入したことは決して偶然ではないはずです。
アルバムの4曲目に位置する “Bring Me Home” は WHITECHAPEL の可能性をさらに拡げる楽曲となりました。クリーンボイスをメインに据えたオルタナティブでミステリアスなムードの5分間はバンドの知性を物語り、作品に素晴らしいアクセントを生んでいます。TOOL や STONE SOUR、さらには ALICE IN CHAINS を想起するファンも多いでしょう。勿論、アルバムを支配するのは Phil の並外れたデスボイスですが、彼の Maynard James Keenan, Layne Staley の域に達したダークでメロウ、エモーショナルなクリーンはまさにバンドの卓越した新しい顔となっていますね。
ただ、勿論彼らのチャレンジには賛否両論があるはずです。クリーンに加えて、Phil のボーカルはタイトルトラック “Mark of the Blade” が象徴するように、凶悪なだけではなくどこかキャッチーさを伴う場面が増えており、CANNIBAL CORPSE が代表するように Death Metal シーンにはより単純化したグロウルへとシフトする風潮があるとは言え、彼らのエクストリームサイドを愛するファンにはセルアウトと捉えられる可能性も孕んでいますね。
“Venomous” はそういったダイ・ハードなファンの溜飲を下げる一曲でしょう。セルフタイトルと前作 “Our Endless War” がヒントとなっていたように、トリプルギターを生かしたグルーヴや Djenty なリフワーク、Nu Metal 的フックにメロディアスなクリーンギターやピアノの導入など、プログサイドにさらに接近したアルバムで、モッシュピットの突進力で突き進むこの曲は WHITECHAPEL がまだまだ危険な存在感であることを証明しています。
そして Deathcore の矜持を保ちながらも、クリーンボイスとアコースティックギター、オリエンタルなフレーズでバンドの未来を感じさせるアルバムクローサー “Decennium” は終焉に相応しく、アルバムを総括するフックに満ちた素晴らしいコンクルージョンだと感じました。
今回弊誌では、ギタリスト Zach Householder に短いですがインタビューを行うことが出来ました。来年の4月には Evoken de Valhall Production の招聘で待望の初来日も決定しています!”Deathcore は退屈だ”という衝撃の発言も飛び出しました。どうぞ!!

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WHITECHAPEL “MARK OF THE BLADE” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【world’s end girlfriend : LAST WALTZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH world’s end girlfriend !!

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Japanese Post-rock, Electronica, Classical Music Maestro, world’s end girlfriend Has Just Released Shining New Album “LAST WALTZ”!!

DISC REVIEW “LAST WALTZ”

Post-rock, Electronica, Classical といった要素をミックスし、独自の美しき純粋音楽を作り上げる world’s end girlfriend (以下WEG) がフルアルバムとしては実に6年振りとなる新作 “LAST WALTZ” をリリースしました!!
WEG は音楽家、前田勝彦氏のソロプロジェクト。Virgin Babylon Records の主催として、Vampillia, Have a Nice Day!, Matryoshka といった先鋭的かつ研ぎ澄まされた感性を持つアーティストの作品を発表、サポートしつつ、AKB48 ドキュメンタリー映画の音楽を担当するなど、昨今のミュージックシーンでその存在感は確実に際立っています。
前作 “SEVEN IDIOTS” のリリースが2010年。それから日本は3.11を経験しました。現代日本の価値観を根底から覆した災害を前にして、多くのアーティストが希望の歌を奏でたり、悲しみの歌を紡ぐ中、WEG は自然と音楽を比較します。
命を育む母なる海が多くの命を奪っていく現実。何の感情も伴わず、善悪を超えたただ圧倒的な光景は音楽を超えている…その人間を介さない根源的な世界観は WEG の世界と強く通じるものでした。自然への挑戦。”LAST WALTZ”のテーマを自身の名前 “world’s end girlfriend” とした意味もそこにあります。
インタビューを読めば分かるように、WEG ほど純粋に音楽への奉仕を貫くアーティストはいないでしょう。”LAST WALTZ” に存在するのはただ”美しさ”のみ。そこにメッセージ、感情というフィルター、つまり人間はほぼ介在していません。WEG は媒体としてただ音楽が求める先を具現化する。まさにこの表現方法こそが、今回彼が追求しチャレンジした世界なのです。
ジャケット、MV など今回何度も使用された花はそれを象徴しています。何も語らずとも、花はその美しさだけで世界に影響を与えています。WEG の美しき音楽もただ存在するだけでリスナーへ命のありようを伝えます。
地震の揺れをダンスとして捉えた “LAST WALTZ” というタイトルには、同時に「死の舞踏」という意味も込められています。死を前にしても美しく踊る魂でありたい。粛々と生を全うすることの尊さ、命の持つ根源的な強さを表しているのです。直接的な表現では決して生まれないであろう、誠実さ、純粋さがここにはあります。
ぜひ “Flowers of Romance” を聴いていただきたいと思います。13分の美しさを極めた至上のワルツはまさにメメント・モリ。死を前にして悠然と優雅に舞う魂が、音を通して見えるはずです。
ダークシンセ、ストリングス、ソプラノボイス、エレクトロビート、ノイズ。全てが WEG というマエストロの手に集まり具現化されたあまりにも圧倒的な死のダンスは、アートは自然に勝るのかという問に対する無言の回答として、その存在、楽曲という命に大きな意味を生んでいますね。
今回弊誌では、WEG にインタビューを行うことが出来ました。最もクリスマスらしく、実は最もクリスマスらしくないアルバムかもしれませんね。どうぞ!!

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world’s end girlfriend “LAST WALTZ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ULCERATE : SHRINES OF PARALYSIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMIE SAINT MERAT OF ULCERATE !!

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Transcend Death Metal Trio From New Zealand, Ulcerate Has Just Released Modern Death Metal Art “Shrines of Paralysis” !!

DISC REVIEW “SHRINES OF PARALYSIS”

ニュージーランドから虎視眈々と世界を狙う、異能のトリオ ULCERATE が”宇宙的恐怖”を内包した新たな傑作 “Shrines of Paralysis” をリリースしました!!Death Metal を超越した “Transcend Death Metal” はシーンに驚きと賞賛をもって迎えられています。
Death Metal は時代と共に様々な影響を加え、枝葉が伸びるかの如く進化を続けてきました。昨今では、THE FACELESS を代表とする複雑でプログレッシブな所謂テクデス、FALLUJAH のようにヘヴィネスと美麗なアトモスフィアを兼ね備えた理知的な新鋭、アヴァンギャルドに突き進む GORGUTS など様々な個性が存在しています。ある意味洗練され拡散しすぎた感のあるシーンにULCERATE が提示しているのは、原点回帰からの進化です。
勿論、Death Metal 創世記の怪物たちが目指したのは、究極のブルータリティー、恐怖や狂気を脳髄へと突きつけるサウンドでした。ULCERATE はまず、ジャンルの原点とも言える場所へと立ち返り、ドロドロとしたラブクラフト的、もしくは和製ホラー的な世界観で “Shrines of Paralysis” を覆ってみせました。
プロダクションやラウドネス、そして耳を傾けるだけで伝わる底知れぬ恐怖。地を這うようなグロウルに奈落の底の重低音。確かにここには、Death Metal の創世記を彩った古の怪物たちの息遣いが感じられます。しかし、彼らはただ過去を再現しているに留まりません。
この”狂気のアンセム”とも言える作品は、アルバムを通して混沌と真理、黄泉と現世、スロウとファスト、ヘヴィネスとアトモスフィアを行き来します。その独特な対比を駆使した表現方法は、確実に世に溢れる “Technical Death Metal” とは一線を画しており、メタルシーンに新たなダイナミズムをもたらしていると言えるでしょう。
アルバムオープナー、”Abrogation” はまさに ULCERATE のやり方を示した楽曲です。個性的な奇妙に捻れ歪んだたリフワークに、混沌としたコンポジション。次元をワープするように繰り出されるテンポチェンジ。まるでストレートで洗練された”衛生的な”現代の Tech-Death を嘲笑うかのように、ブラストとドゥームの狭間で蠢き変化する”人間よりも遥かに昔から存在するものたち”は、禍々しくも妖麗で、その奇観、速と遅のダイナミズムにリスナーは吸い寄せられ一瞬たりとも目を逸らすことは不可能です。
続く “Yield to Naught” では ULCERATE の Death Metal を”Transcend”超越した部分がより強調されています。激烈な Death Metal パート、呪詛を湛えた Doom パートと対比するように、中間部にはアトモスフェリックな静寂と耽美なメロディーが用意されており、それはまるでホラー映画のお約束、惨劇の前の美女シャワーのように恐怖を増幅しています。前作 “Vermis” から進化を遂げたこのコントラストはアルバムを象徴する重要なポイントとなっていますね。
作品にそういったダイナミズムやコントラストを具現化しているのは、トリオならではのタイトなインタープレイ、とりわけメインコンポーザーでありドラマー Jamie Saint Merat のリード楽器のようなドラムスであることは明らかです。
偉大なジャズマエストロのようにアーティキュレーションやフレージングを意識した、3秒ごとに表情を変え続けるクリエイティブでカラフルなドラミングは、実にエキサイティングで魅力的。フレキシブルに Stop & Go、Loud & Quiet を司る Jamie はまさにバンドの原動力と言えるでしょう。”There Are No Saviours” の中間部で聴けるジャズとさえ言えそうな、幽玄でプログレッシブなパートはこのトリオの底知れぬ実力を物語っていますね。
今回弊誌ではその Jamie にインタビューを行うことが出来ました。今年の年間ベストメタルアルバムにも多く選出されている傑作をぜひ味わってみてくださいね。どうぞ!!

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ULCERATE “SHRINES OF PARALYSIS” : 9.9/10

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