NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KNIFEWORLD : BOTTLED OUT OF EDEN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KAVUS TORABI OF KNIFEWORLD !!

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An Experimental Psyche Rock From London, Magical eight piece Knifeworld has just released Kaleidoscopic new record “Bottled Out Of Eden” !!

DISC REVIEW “BOTTLED OUT OF EDEN”

UKが誇る、エクスペリメンタルな 8人組 Psychedelic/Prog Rock バンド、KNIFEWORLD が新作 “Bottled Out Of Eden” をリリースしました!!
あの GONG で Daevid Allen の後任という重責を担う、才能豊かな Kavus Torabi が生み出すクリエイティブな世界観は実にユニークで個性的。”Progressive Ska” などとも形容される独特のホーンセクションがトレードマークです。
勿論、KING CRIMSON から ZAPPA まで、ホーンを使用したプログロックバンドは決して珍しくありませんが、CRIMSON のスタイリッシュと ZAPPA のシアトリカルを併用する彼らのオーケストレーションはやはり魅力的ですね。
“愛する人たちの死”(勿論、Daevid Allen も含む)にインスピレーションを受けて制作された50分のドラマは、喪失と悲しみ、同時に希望と美しさを反映した実にエモーショナルな内容に仕上がっています。その優れたアレンジメント、磨き上げられたサウンドは昨年大きなインパクトを残した TAME IMPALA の “Currents” を想起させる瞬間さえありますね。
実際、”Bottled Out Of Eden” の優れている点は、勿論、GONG, PINK FLOYD, MOODY BLUES, HENRY COW といったプログジャイアンツたちへの憧憬を表現しつつ、モダンなコンポジションや影響をしっかりと取り入れているところにあると感じました。”Art-Rock” を象徴するようなオープニングトラック”High/Aflame”, アルバムのハイライトとも言える “The Deathless” には Sufjan Stevens, APPLESEED CAST といったアートロック/インディーズ、そして THANK YOU SCIENTIST, THE MARS VOLTA といったモダンでプログレッシブなアーティストたちを想起させる瞬間があり、過去と未来のバランスが実に良い塩梅で配置されています。
前作よりもバンドを意識して制作したとインタビューで語ってくれましたが、よりオープンでキャッチーになった彼らの音楽はさらに多くのファンを獲得するでしょう。今回弊誌では Kavus Torabi にインタビューを行うことが出来ました。GONG についても話してくれています。どうぞ!!

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KNIFEWORLD “BOTTLED OUT OF EDEN” 8.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COBALT : SLOW FOREVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK WUNDER OF COBALT !!

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“American Black Metal” has evolved ! Cobalt Return With Full-of-intensity Discs and a New Screamer on “Slow Forever”!!

DISC REVIEW “SLOW FOREVER”

“American Black Metal” という唯一無二のジャンルを確立した COBALT が衝撃的な2枚のレコードと新たなスクリーマーを得てシーンに戻って来ました!!
Black Metal の出自は勿論欧州です。しかし、当然ながら、シーンが人気を博し拡散するに連れて世界中から Black Metal バンドが現れるようになりました。US から現れる Black Metal は興味深いバンドが多いようにも感じますね。
WOLVES IN THE THRONE ROOM, PANOPTICON に代表される自然崇拝を掲げたアトモスフェリックなカスカディアンブラック、KRALLICE, LITRUGY といったエクスペリメンタルなブラックメタルなど多種多様で実に個性的。中でも COBALT は前作 “Gin” においてヨーロッパの Black Metal にUSロック/メタルからの影響を多大に持ち込み、シーンを驚かせました。
残念ながら、それから7年という長いインターバルの間に、強い絆で結ばれていた不世出のボーカル Phil と 全ての楽器をこなす Erik は袂を分かちます。事の詳細はインタビューを参照していただくとして、残った Erik は新たに LORD MANTIS などで知られる Charlie Fell とタッグを組むこととなりました。そうして、難産の末生まれた新作 “Slow Forever” は、キャッチーかつアグレッシブ、非常に濃厚で革命的なダブルアルバムとして遂にリリースされたのです。あの Pitchfork誌で8.4という高得点をマークしたことも記憶に新しいですね。
まず記して置くべきは、Erik もインタビューで認めている通り、もはや Black Metal の要素はほとんど残っていないという点でしょう。音楽だけにフォーカスすれば、”Slow Forever” は強烈なインテンシティーと高度なインテリジェンスを纏った純粋な “American Metal” と言えるのではないでしょうか。
アルバムを通して、作品は Erik の TOOL に対する憧れが見事に開花していますが、大曲 “King Rust” は特に象徴的です。ブラストビートの代わりに使用される、プリミティブでトライバルな本能的ビートはまさに Danny Carey のそれで、リスナーの思考に直接訴えかけるような力強さを持っています。
有機物質のように形を変えながら、次々と繰り出される印象的なリフワークとミニマルでマスマティカルなアプローチも実に効果的。同時に、新加入 Charlie の野性的で獰猛なスクリームにより、TOOL 以上に NEUROSIS を感じるリスナーも多いでしょう。
しかし勿論、アメリカンミュージックからの影響は TOOL のみにはとどまりません。アルバムオープナー “Hunt the Buffalo” に代表されるように、クリーンギターを使用したブルース/カントリー/フォークミュージックに通じるリックの数々も彼らの重要なアイデンティティーとなっていますし、それは、突き詰めれば Mark Tremonti が CREED, ALTER BRIDGE といった Post-Grunge の重要バンドたちの中で行ってきた挑戦にも通じます。
さらに、彼らを語る時、ニューオリンズのスラッジモンスター EYEHATEGOD と USアンダーグラウンドの雄 SWANS をイメージすればより理解が深まるでしょう。メタルとハードコア、パンク、オルタナティブロックとフォーク、ノイズなど、彼らのダークでクロスオーバーな精神性はまさに COBALT と深く通じているからです。特に、”Elephant Graveyard” はここ数年でも傑出した地下音楽のクロスオーバーチューンだと感じました。
今回弊誌ではバンドの頭脳、Erik Wunder にインタビューを行うことが出来ました。以前から敬愛する、ヘミングウェイの有名なノーベル賞受賞スピーチ “at best, writing is a lonely life” の一節を “Iconoclast” で使用していますが、同様の気持ちだったのかも知れませんね。どうぞ!!

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COBALT “SLOW FOREVER” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SITHU AYE : SET COURSE FOR ANDROMEDA】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SITHU AYE !!

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One of the most important release of Instru-Metal scene in this year !! Sithu Aye set to release magnificent double album “Set Course for Andromeda” on 5/4!!

DISC REVIEW “SET COURSE FOR ANDROMEDA”

我らが “先輩” こと、グラスゴーが生んだ才気あふれる新世代ギタリスト Sithu Aye。5/13から始まる初の日本ツアーに先駆けて、5/4に新作 “Set Course for Andromeda” をリリースします!
フルアルバムとしては2012年の “Invent the Universe” 以来となる新作は、ダブルアルバム、76分の壮大なエピックに仕上がりました。同時に、最も重要な今年の Instru-Metal 作品になることは間違いないでしょう。
近作では、コラボレートも行った PLINI と路線を同じくするような、メロディー重視でフュージョン要素の濃い音楽性にフォーカスしていた Sithu Aye ですが、”Set Course for Andromeda” では “Invent the Universe” 以前のようなヘヴィーグルーヴやテクニカルな展開を大幅に復活させており、改めて彼のアイデンティティーを強く印象付けています。同時に、ジャズ、オーケストラ、シンセサイザーといった幅広い要素も巧妙に使用されており、多様性に富んだ現代的なアルバムとも言えるでしょう。
ゲストソロイストも実に豪華。同志 Plini をはじめ、David Maxim Micic (DESTINY POTATO), Aaron Marshall (INTERVALS), Mark Halcomb (PERIPHERY), Yvette Young (Covet), THE HELIX NEBULA というモダンギターシーンを象徴するようなプレイヤーたちが集結し作品に色を添えています。
チップチューン的イントロが印象的な “Set Course for Andromeda!!!” 、”Constants and Variables”, “Transient Transistors” のヘヴィーグルーヴはまさに初期 Sithu Aye ですし、驚くほどジャズな “Spiral” まで Disc 1の多様性はカラフルな万華鏡のよう。ただ、Disc 1では全ての楽曲にゲストを配しているのに対して、Disc 2、29分の大曲 “The Andromedan” は彼1人で作曲、ソロ、プロデュースを全てこなしていることを考えれば、作品のキモは Disc 2 にあるようにも思えます。
実際、大曲の第一楽章 “PT1: A Single Step” は、新しいことに挑戦したかったと語る Sithu の意志を体現したかのような楽曲です。ジブリ作品を想起させる雄大でオリエンタルなメロディーが、ストリングス(二胡)とアコースティックギターを伴って紡がれる美しい楽曲は、彼の新しい1面を伝えると共に、代表的な1曲となる可能性を秘めています。
さらに見事なのは、”The Andromedan” 自体も、”A Single Step” で提示したオリエンタルなテーマを巧妙に変化させつつ使用しながら、彼の様々な魅力を引き出し伝えている点です。”PTⅡ: Mystic Village” でのミニマルなポストロック、”PTⅣ: The Darkness Within” から “PTⅤ: Rebirth” にかけての Djent + Dream Theatre 的ダークでテクニカルな展開、そしてオーケストラルな大円団 “PTⅥ: Mother of Creation” まで、息つく間もないほど濃厚な音楽世界はリスナーを壮大な宇宙旅行へと誘います。
さらに、ソロイストとしての Sithu も素晴らしく円熟して来たように感じます。見事なコール&レスポンス、リックの豊富さ、そして強烈なエモーション。楽曲のレベルを一段引き上げるようなソロワークが秀逸なギターアルバムでもありますね。
今回弊誌では Sithu さんに3度目のインタビューを行うことが出来ました。テクノロジーコンサルタントという仕事を辞して、フルタイムミュージシャンとして挑む彼の新たな出発は、野心的でキャッチーで多様性に富んだ素晴らしいレコードと共に始まります。どうぞ!!

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SITHU AYE “SET COURSE FOR ANDROMEDA” : 10/10

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WORLD PREMIERE : “ABANDON” “THE VOID ALONE” “SCAR QUEEN” 【FALLUJAH : DREAMLESS】


WORLD PREMIERE: NEW SONG!! “ABANDON” “THE VOID ALONE” “SCAR QUEEN” OF FALLUJAH !!

Atmospheric Prog-Death Metal Master from US, FALLUJAH set to release game-changing new record “Dreamless” on 4/29!!

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ここ数年のメタルシーンにおいて、”最も興味深いバンドの一つ”などと評される変革者、アンビエンスとテクニカルを革命的センスで共存させる FALLUJAH が4/29に待望の新作 “Dreamless” をリリースします!!

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»Dreamless« – Tracklist:
01. Face Of Death
02. Adrenaline
03. The Void Alone
04. Abandon
05. Scar Queen
06. Dreamless
07. The Prodigal Son
08. Amber Gaze
09. Fidelio
10. Wind For Wings
11. Les Silences
12. Lacuna

【ABOUT “DREAMLESS”】

FALLUJAH caused quite a stir in the music world with the release of their latest album, »The Flesh Prevails«. It topped several “best of 2014” lists in not only the metal world, but in the progressive music community as well and won over scores of new fans with their fresh, emotive, and technically challenging music. As a result, FALLUJAH has paved the way for a new melodic and atmospheric perspective on death metal!
»Dreamless« was recorded at Sharkbite Studios with producer Zack Ohren (ANIMOSITY, SUFFOCATION, ALL SHALL PERISH, DECREPIT BIRTH), and was mixed and mastered by Mark Lewis (DEVILDRIVER, CANNIBAL CORPSE, WHITECHAPEL, THE BLACK DAHLIA MURDER, CARNIFEX) in Orlando, FL at Audiohammer. Cover art was created by Peter Mohrbacher. The album features guest vocal appearances by Tori Letzler, Mike Semesky and Katie Thompson and a guest guitar solo by Tymon Kruidenier (ex-CYNIC, EXIVIOUS).

前作 “The Flesh Prevails” のテクニカルとアトモスフィアを共存させた作風は、フレッシュでエモーショナルとの評判を呼び、メタルシーンのみならず、プログコミュニティーまでも強く魅了しました。
あれから2年。今作 “Dreamless” において印象的なのは、まずは女性クリーンボーカル Tori Letzler がゲストとして計4曲に参加することで増したキャッチーさです。アンビエンスとアグレッションを見事に対比させるこのコラボレーションは実に際立っていますね。メロディーの質もさらに向上しているように感じます。
同時に、トレモロリフの使用頻度はさらに増えており、高いテクニックで繰り出される美麗なシュレッド(PLOYPHIA を想起させる場面も)とトレモロの併用が彼らのユニークさ、個性を物語り、素晴らしいアトモスフィアを創造しています。映画と映画が与える感情をテーマとした今作ですが、音楽性もまさしくシネマティックという称号がふさわしいと感じました。
加えて、前作に比べてグルーヴも多様化しており、ドラムすら収録されていないアンビエントなピースまで存在します。ブライトなプロダクションも白眉で、テクデスに留まらず、多くのファンを獲得する可能性に満ちていますね。
結果として、”Dreamless”はエモーションとテクニックに溢れ、独自のアトモスフェリックデスメタルを進化させた傑作となりました!!ぜひチェックしてみてくださいね。

【ALEX HOFMANN TALKS ABOUT “DREAMLESS”】

“Simply calling it death metal would be inaccurate, This album is a major step forward with the goal in mind of transcending the limitations of not only the death metal sound but the scene at large. Anyone who is a Fallujah fan will put the record on and immediately know who it is they are listening to, but there’s a diverse palette represented here that our previous albums lacked. The aim of the album seemed a lot more focused this time with what we wanted to achieve. With each album we write it becomes apparent that we get better at actual songwriting.
The main theme revolves around various films and the emotions they evoke from my own past, Each song manifests not only the themes within dialogue, but the colors and cinematography as well. I found it refreshing not to have to dig deep back into my own head and try to force a sense of artistic flare on ideas or experiences that in many ways are not grimly poetic. Telling a story about the struggles of characters in an environment that is real and down to earth was so interesting because there is no sense of insincerity. You are in many ways retelling a story from your own perspective, one that is driven by empathy and common experience. The real treat will be seeing if the fan base can decipher the themes of the lyrics and figure out what films correlate with which songs.
I want the kids to be able to put the record on and actually feel something real,I think if I had to direct their emotions it would be those of nostalgia, memories and someone of blissful ignorance. I want a fan to put on a song from a new record that he’s never heard before and have it take him back to a time or place that the song has no attachment to. The melodies and atmospheres on this record are powerful in that way for all of us so we hope it has the same effect on other.”

単純に “Dreamless” をデスメタルと呼んでしまうのは正確ではないね。この作品はデスメタルのみならず、シーン全体の限界を超越するというゴールのための大きな1歩なんだよ。勿論、FALLUJAH のファンなら、このレコードを聴けばすぐに僕たちの音楽だと分かるだろうね。だけど、この作品には、前作に欠けていた色とりどりの多様性が存在するんだよ。アルバムの目標は、僕たちが成し遂げたいことに、よりフォーカスすることだったように思えるね。過去から作品を遡れば、僕たちのソングライティングがどんどん良くなっていることが分かると思うよ。
作品のテーマは、様々な映画とそれに纏わる話。映画で感情的になって、自身の思い出が喚起されることがあるよね。どの楽曲も、セリフだけでなく、色使いや撮影技術も同様にテーマとしているよ。
キッズにはこのレコードを聴いて、何かリアルなものを感じて欲しいと思うよ。もし僕が、彼らの感情に直接触れられるなら、きっとこのレコードがノスタルジーや思い出、幸せな子供時代といったものを喚起していることが分かるだろうね。ファンのみんなには、新作から未知の新曲を聴いて、自分自身の過去の時間や場所に浸って欲しいな。このレコードのメロディーやアトモスフィアは強力で、僕たちはそうすることが出来たから。みんなにも同じような効果があれば良いな。

ALEX HOFMANN

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Fallujah Facebook Page
Nuclear Blast Records

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NOVEMBRE : URSA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARMELO ORLANDO OF NOVEMBRE !!

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Giant awakes!! Italian Prog-Goth/Doom maestro, Novembre are back with fantastic Post-Peaceville record “URSA” for the first time in nine years !!

DISC REVIEW: “URSA”

イタリアの Prog-Goth Giant、NOVEMBRE が9年の長いハイエイタスの後、待望の新作 “URSA” をリリースしました!!
90年代初頭、ANATHEMA, PARADISE LOST, MY DYING BRIDE といったバンドが構築した美麗な Gothic Death Metal サウンドは、彼らが契約していたレーベルの名を取り “Peaceville Sound” と表現されています。00年代に、ほとんど話題にも登らなくなったそのサウンドは、2010年代に入り、ANATHEMA, KATATONIA のような Post-Prog サウンドへの深化、もしくは昨年の PARADISE LOST, DRACONIAN のような強烈でモダンな原点回帰により、シーンのトレンドへと戻って来ているように思えます。
そういった状況の中、遂にイタリアの巨人 NOVEMBRE も動き出しました。叙情と怒り、プログ/ドゥーム/デス/ゴシックを見事に共存させた前作 “The Blue” は間違いなく、彼らの長いキャリアにおいて集大成と呼べるような傑作であったにも関わらず、時代は味方することなくバンドは長い沈黙に入ってしまいます。その間に、残念ながらメンバーこそ Carmelo Orlando、Massimiliano Pagliuso の2名となってしまいましたが、機は熟しましたね。
“Peaceville Sound” が復活を遂げた今、彼らの新作 “URSA” は奇しくも NOVEMBRE 初期の名作 “Wish I Could Dream It Again”, “Classica” 時代のサウンドに少しばかり原点回帰を果たしたようにも感じられます。あの時代を深く知るプロデューサー Dan Swano の起用もその要因の1つかも知れません。同時に、作品には ALCEST 以降の Post-Black サウンド、現代的なアトモスフィアも持ち込まれており、結果として “URSA” は、過去と現在の憂鬱で美麗なメタルサウンドを味わえる傑出した作品に仕上がっています。
9年の沈黙を破るかのような雄弁なアルバムオープナー “Australis” は幽玄で美しく、ダイナミックかつアトモスフェリック。まさに “Post-Peaceville Sound” とでも表現出来るような世界観を誇ります。
“The Rose” がロシア由来のメランコリックなメロディーで彼らの帰還を告げれば、前作のファンを狂喜させるようなプログメタル要素の強い佳曲 “Umana” でリスナーは完全に “URSA” の虜となるでしょう。”Umana” は8年前に書かれた楽曲だそうですが、熟成期間を経て Post-Black 化した OPETH のようなサウンドに仕上がったのは実に興味深いですね。
タイトルトラック “Ursa” はヨーロピアンフォークのヴァイブを強く取り入れています。これは作品のタイトルが、ジョージ・オーウェルの “Animal Farm” を引用したことと関連していて、つまり、あの時代のヨーロッパを音楽的に再現することで、現代のアニマリズムを風刺し批判しているのです。
KATATONIA の Anders がゲスト参加しシングルカットされた “Annoluce” は身をよじるようなメロディーが秀逸な典型的 “Peaceville Tune”。そして続く9分にも渡るインストゥルメンタルチューン “Agathae” はまさに初期の彼らと今を繋げるミッシングリンク。20年前、”Wish I Could Dream It Again” 当時に書かれたという楽曲は何年もの間、ギタートラックを重ね続けてようやくここに日の目を見たのです。彼らの楽曲に対する拘りが強く感じられるエピソードですね。
70年代の香りを感じさせる、Dan Swano 印の宝石のような “Fin” で60分の11月劇場は幕を閉じます。
今回弊誌では、ギター/ボーカルを担当する Carmelo Orlando にインタビューを行うことが出来ました。今作は時代も必ずや味方すると思います。どうぞ!!

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NOVEMBRE “URSA” : 9.6 / 10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HACKTIVIST : OUTSIDE THE BOX】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN MARVIN OF HACKTIVIST !!

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There’s safety in numbers, but HACKTIVIST carving a path of their own! UK based five piece just released Up-date ver. of Nu-Metal, amazing “Outside the Box” !!

DISC REVIEW “OUTSIDE THE BOX”

ラップと Metal-core, Djent というモダンな要素を融合させた UK の新鋭 HACKTIVIST がデビューフルレングス “Outside The Box” をリリースしました!!
様々に拡散するモダンメタルのサブジャンル。中でも HACKTIVIST の音楽性、イデオロギーは異彩を放っていますね。勿論、ラップをメタルに取り入れたのは決して彼らが初めてではありません。90年~00年代にかけてトレンドとなった Nu-Metal ムーブメントの中で LIMP BIZKIT, KORN といったバンドたちがメタルの領域を押し広げたことは実に意味がありました。そして HACKTIVIST は、その Nu-Metal をアップデートし、現代に蘇らせているようにも思えます。
モダンメタルという観点から見れば、HACKTIVIST は UK ミルトン・キーンズを中心とする Tech-Metal シーンの強い影響を受けていることが分かります。FELLSILENT, HEART OF A COWARD, そして TesseracT。コロッサルなリフワークとアトモスフェリックなメロディーは彼らから受け継いだものでしょう。
“No Way Back” と “False Idol” を聴けば、彼らがその Tech-Metal と Hip Hop を見事に融合していることが分かるでしょう。ギターとエレクトロニカも担当する Timfy James のメロディックな歌唱と二人の MC が繰り出すラップのカウンターパートとなっているのが、Tech-Metal 由来のギターリフ、ローエンドだと感じました。つまり、彼らは Post-Meshuggah なギターリフやリズムを Hip Hop のトラディショナルなビートの代用品として使用し、見事に独自のサウンドとして昇華させているのです。
加えて、HEART OF A COWARD の Jamie、ENTER SHIKARI の Rou がゲスト参加している “Decieve and Defey” “Taken” は特に象徴的ですが、両バンドを想起させるようなアトモスフェリックなエレクトロニカの要素も多分に取り入れており、トレンドもしっかり見据えていることが分かります。
またダブルMC J と Ben を活かしたメッセージ性も彼らの特徴でしょう。扱う題材は政治、社会、そして環境問題にまで及びます。Electrogrimepop Metal とでも表現出来そうな “Hate” はバンドの”Hater”達への強烈な自己主張。”Why you wanna hate on us?”と投げかける彼らのリリックからは、若さと弱さと自信が共存しているようにも感じました。
全体的に見て、彼らのデビュー作は Nu-Metal や Eminem といったあの時代の才能に再び焦点を当てながらも、決してノスタルジーに留まっておらず、実験性も勿論ですが、 “Elevate”に象徴されるように、Nu-Metal にはあまり存在しなかった美しいメロディーも作品のキモでキャッチーさも満点。彼らの試みは成功を収めたと言えるでしょう。今回弊誌では、MC の Ben Marvin にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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HACKTIVIST “OUTSIDE THE BOX” : 9.3/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE ALGORITHM : BRUTE FORCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REMI GALLEGO OF THE ALGORITHM !!

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Electronica meets Prog-Metal! One of the originator of “Progtronica” from France, THE ALGORITHM has just released their new masterpiece “Brute Force” !!

DISC REVIEW “BRUTE FORCE”

エレクトロニカ/EDM とモダンメタル/Djent を融合させ独自の音楽を発信する、フランスの奇才 THE ALGORITHM が新作 “Brute Force” をリリースしました!!
勿論、PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS, BORN OF OSIRIS など、最新のモダンプログメタル界隈において、エレクトロニカの要素は必修科目。当たり前のように使用されています。ただ THE ALGORITHM として知られる Remi Gallego のように、その2つをシームレスに繋いでいるアーティストは未だ存在しないでしょう。彼こそが “Progtronica” のトレンドセッターなのです。
新作 “Brute Force” でもポリリズムを多用したアグレッシブなリズム、モダンなリフは健在。そして美麗で数学的に構築された EDM サウンドが独特のアトモスフィアを発しています。さながら Remi Gallego が築き上げた音楽の現代建築のように。
とは言え、今回の作品は畳み掛けるようなインテンシティーと共に、よりバランスがとれたキャッチーなアルバムの様にも思えます。例えば、シングルカットされた “Pointer” はロシア民謡のような印象的なメロディーが、Post-Meshuggah なギターリフ、リズムの上で綿密に構築されています。同時に、新機軸としてギターソロを導入しており、結果としてメタルとEDMのバランスが絶妙の仕上がりになっていますね。インタビューでも語っているように、過去の作品に比べてより人間味、エモーションを導入したことで、さらなるファン層獲得にも繋がるように感じました。
また、タイトルトラック “Brute Force” はクラシカルなアプローチが見事な佳曲。例えば、Castlevania のようなゲーム音楽にも通じるドラマ性が白眉です。
Breakcore トレンドセッター、同郷の Igorrr が参加した “Deadlock” には貪欲に新機軸を導入する Remi のアーティストとしての矜持が強く現れているように感じました。凶悪さを纏った”生の”ギターリフが衝撃的ですね。
Post-Rock の影響すら感じるスロウな “Userspace” に Dub, Breakcore 色の強い “Shellcode” まで楽曲は実にバラエティー豊かです。
全体的に見れば、今作は主要海外誌のレビューにおいて、DAFT PUNK が手がけたディズニーのSF映画 “Tron : Legacy” のサウンドトラックと比較されることが非常に多く、それはつまり、人生を変えたアルバムにも上げているように、強い影響を受けた同郷の偉大な先輩の域にまで Remi Gallego の世界観が肉薄して来ている証のようにも思えました。
今回弊誌では、その Remi にインタビューを行うことが出来ました。短いですが、彼独特の考え方は伝わると思います。どうぞ!

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THE ALGORITHM “BRUTE FORCE” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MYRATH : LEGACY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ELYES BOUCHOUCHA OF MYRATH !!

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Oriental Metal master from Tunisia, MYRATH has just released long awaited new record, masterpiece called “Legacy” !!

DISC REVIEW “LEGACY”

北アフリカ、チュニジアの空気を世界に伝えるオリエンタルメタルバンド MYRATH が、5年という長いインターバルの後に傑作 “Legacy” をリリースしました!!
アフリカ大陸という、現時点でシーンの注目が最も薄い地域から現れた MYRATH のサウンドは非常にエピカルで印象的なプログ / パワーメタル。例えば、SYMPHONY X がクラッシックを、DREAM THEATER がプログロックやフュージョンを屋台骨としているように MYRATH はチュニジアのトラディショナルなフォーク音楽をそのインスピレーションの源にしているのです。
バンド名 MYRATH を英訳した “Legacy” をタイトルに冠したアルバムは、以前の作品よりもメッセージ性が強く、キャッチーで、リスナーの魂に訴えかけるような1枚に仕上がりました。オリエンタルメタルの旗手 ORPHANED LAND にも言えることですが、所謂形骸化したプログレッシブという枠から脱却し、その先を見据えた作品のようにも思えますね。
チュニジアで起こったジャスミン革命にインスピレーションを得た、アルバムオープナー “Jasmin” と壮大なPVを伴う “Believer” の流れは、まさにその新しい彼らの魅力を凝縮したものだと言えるでしょう。弾圧に屈せず信念を貫く。楽曲は実際に動乱を経験した彼らだからこその説得力に満ちていますね。
音楽的には、非常に扇情的でドラマティック。雄々しく突き進むミッドテンポの曲調の中、ストリングスやキーボードの美しい音色が異国の色を添え MYRATH の個性を主張します。チュニジア由来のオリエンタルなメロディーを力強くエモーショナルに歌い上げる Zaher Zorgatti の歌唱は、”Believer” は勿論、アルバムを通して実に見事で傑出しています。特に美しすぎるバラード “I Want To Die” での名演は彼の評判を一層高めることでしょう。
また、Jens Bogren をミックスに、ADAGIO の Kevin Codfelt をプロデューサーに迎え、磨き上げられたモダンなプロダクションはさながらアラビアの芸術建築のようですね。
楽器隊の個性もアルバムの大きな魅力の1つとなっています。アルバムのオーケストレーションまで担当したキーボーディスト Elyes の豊かな才能は “Endure the Silence” のカサブランカピアノにも現れていますね。新加入 Morgan Berthet のドラミングはエネルギッシュかつタイト。バンドのダイナモとして十二分に機能することを証明しています。勿論、ギタリスト Malek Ben Arbia の Yngwie を想起させる煙が出るようなシュレッドも健在!今年のプログメタル必聴盤であることは間違いないでしょう。
今回弊誌では、キーボーディストの Elyes Bouchoucha にインタビューを行うことが出来ました。実はフランス、ソルボンヌ大卒の英才でもあります。どうぞ!

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MYRATH “LEGACY” : 9.9/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【RODRIGO Y GABRIELA】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RODRIGO SANCHEZ OF RODRIGO Y GABRIELA !!

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Dublin based Mexican-Born acoustic guitar duo, Rodrigo y Gabriela are going to come to Japan in May! Don’t miss their exotic, melodious, technical, and ultra-accessible sounds !!

メキシコ出身、現在はアイルランドのダブリンを拠点として活躍するアコースティックデュオ、Rodrigo y Gabriela が5月に3年振りの来日を果たします!
メンバーは、リードギタリストでピックを使用した Al di Meora のようなメランコリックで流暢なギター捌きを得意とする Rodrigo Sanchez と、フィンガーピッキングとゴルペ(ボディーを叩く)を使用したパーカッシブなリズムプレイを主体とする紅一点 Gabriela Quintero の2人。
勿論、アコースティックギターを使用してラテン/フラメンコのスタイルで演奏を行うグループは多く存在しますが、彼らの魅力はそのキャッチーさと、ロックやジャズ、そしてポップスのテイストをふんだんに取り入れた躍動感溢れる音楽性だと思います。祖国メキシコではスラッシュメタルをプレイしていたという彼らの楽曲からは、メタルのアイデンティティーも強く感じることが出来ますね。
彼らが尊敬する偉大なミュージシャンたちに捧げられた2009年のアルバム “11: 11” を聴けば、彼らの幅広くエクレクティックな音楽性、魅力が伝わるでしょう。
以前にも METALLICA の “One”, “Orion” をカバーして来た彼らですが、”Atman” は Dimebag Darrell, さらにはメタルへのトリビュート。マスター Alex Skolnick をゲストに迎えてタイトで複雑なプレイを聴かせてくれます。
Al di Meora, Paco de Lucia, John McLaughlin というアコースティックギター史に輝く傑作”Friday Night In San Francisco” を残した3人には勿論、一人づつトリビュート曲が用意されていますね。
彼らがブレイクするきっかけとなった1つのきっかけは LED ZEPPELIN “Stairway to Heaven” のカバーでしたが、Rodrigo y Gabriela は常にオールドロックへの憧れも隠そうとはしません。PINK FLOYD に捧げられたタイトルトラックの美しさは間違いなくアルバムのハイライトですし、Jimi Hendrix の “Voodoo Chile” を引用した “Buster Voodoo” ではギターにエフェクトを使用する新しい試みも効果的ですね。
中でも、タンゴをもとに、クラッシックやジャズの要素を融合させたアルゼンチンのバンドネオン奏者 Astor Piazzolla に捧げられた “Hora Zero” は白眉で、彼らと同様に伝統とモダンの融合に挑戦した偉人への強い敬意が感じられます。
常に新しい挑戦を続ける姿勢も彼らの魅力の1つです。2011年には映画音楽の巨匠 Hans Zimmer と映画 “パイレーツ・オブ・カリビアン / 生命の泉” のサウンドトラックを手がけ新境地を開拓しましたし、2012年のセルフカバー作 “Area 52” ではキューバンオーケストラと共演しラテンの領域を拡大しています。
今回弊誌では、デュオのメインコンポーザーである Rodrigo Sanchez にインタビューを行うことが出来ました。Green Room Fes、ロドガブは初日に登場、単独公演もあります。どうぞ!!

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