NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WOBBLER : FROM SILENCE TO SOMEWHERE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARS FREDRIK FRØISILIE OF WOBBLER !!

13458733_1147156968663640_3427288071587581565_o

Norwegian Progressive Master, Wobbler Gives You An Ear Candy Of Classic Prog Vintage Sounds, And Challenging Spirits With Masterpiece “From Silence To Somewhere” !!

DISC REVIEW “FROM SILENCE TO SOMEWHERE”

70年代初頭のプログレッシブワールドを現代に再構築する、ノルウェーのレトロマイスター WOBBLER が素晴らしき追憶のメモリーレーン “From Silence to Somewhere” をリリースしました!!プログレッシブの新聖域から創生する全4曲47分、あの時代の天真爛漫な空気を再現した濃密なエピックは、改めてクリエイティブの意味を伝えます。
90年代後半から活動を続けるプログクインテット WOBBLER は、前作 “Rites at Dawn” で本格化を果たしたと言えるでしょう。新たに加わったボーカル/ギター Andreas Wettergreen Strømman Prestmo が醸し出す Jon Anderson にも似た多幸感は、より緻密で繊細なコンポジション、瑞々しい北欧シンフォニックの息吹、飛躍的にグレードアップしたプロダクションとも相俟って、バンドを一躍シーンのトップコンテンダーへと位置づけることになりました。
インタビューにもあるように、オリジナルメンバーでリードギタリスト Morten Andreas Eriksen の脱退、そして期限、制約を設けないコンポジションにより、6年という長い月日を経てリリースされた最新作 “From Silence to Somewhere” はそして実際、タイムレスなプログロック史に残る傑作に仕上がったのです。
ファンタジーとインテリジェンスの魅力的な交差点は、21分の劇的なタイトルトラックで幕を開けます。メタモルフォシスやアルケミー。バンドが以前から追求する超自然のテーマは、彼らの奥深きヴィンテージサウンドへとより深く融合し、同時にダークでミステリアスな翳りは光と影のコントラストを際立たせる結果となりました。
タイムチェンジを孕んだ愛しくも耳馴染みの良い6拍子のイントロは、いつしか YES の崇高へとシフトし、カンタベリーの精神、イタリアンプログのシンフォニーや多様性をも携えながら激しさを増していきます。
ルネサンスの優美でクラシカルな響きは狂熱のトリガー。パーカッシブな宴の合図を皮切りに、フルートが狂い咲く淫美でエスニックなダンスは遂にその幕を開けます。ANGLAGARD や ANEKDOTEN のダークなインテンスと JETHRO TULL のフォルクローレが同居するエキサイティングなプログレッシブ舞踏会は、新鋭の気概とクリエイティビティの確かな証。そしてたどり着く大円団、KING CRIMSON と YES が鬩ぎ合い迎えるフィナーレはまさに圧巻の一言。
実際、このプログロックの完璧なるジグソーパズルは、カラフルなムーグとハモンド、オーガニックなギターリック、リッケンバッカーの骨太なベースライン、ダイナミズム溢れるドラムスといったヴィンテージのピースを集約し、メロトロンの温かな額縁でつつみこむように構成されているのです。
故に、”Tarkus” と “Sound Chaser”, “Heart of the Sunrise” の暗重でエニグマティックなダークキメラ “Fermented Hours” でさえ、全くオマージュのイメージ、メタリックな領域へは近づかず、WOBBLER の卓越した個性として昇華しているのですから、バンドのコンポジションが如何に精巧で時間をかけた美しきタペストリーであるか伝わるはずです。
アルバムは、ハープシコードが牽引する幻想的な狐火 “Foxlight” で幕を閉じます。幽玄なイントロダクションと相反するエッジーなメインパートは、ハープシコードをリード楽器に据えたダイナミックなロックファンタジー。事実、ヴィンテージキーボードのコレクターでもある鍵聖 Lars Fredrik Frøislie ほどヘヴィーにハープシコードを操るプレイヤーは、ルネサンスの時代から数えても存在しないに違いありません。
天賦の才能は悪魔の楽器を伴って、自らの最高到達点を軽々とと突破して見せたのです。同時にバンドは、この楽曲、そしてレコードでプログレッシブロックに灯る可能性の炎を高々と掲げて見せました。
“Prog is not Dead” と世界に宣言するマスターピース。今回弊誌では、Lars Fredrik Frøislie にインタビューを行うことが出来ました。In Lingua Mortua, Tusmørke, White Willow でも活躍するスペシャリスト。「LEPROUS のボーカル/キーボード Einar は、僕たちが Andreas を得る前にボーカルのオーディションを受けに来たんだ。LEPROUS のみんなは長年僕たちのファンだそうだね。」 どうぞ!!

a0637587424_10-2

WOBBLER “FROM SILENCE TO SOMEWHERE” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WOBBLER : FROM SILENCE TO SOMEWHERE】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AKERCOCKE : RENAISSANCE IN EXTREMIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID GRAY OF AKERCOCKE !!

Photo by Tina Korhonen © 2017, all rights reserved.
Photo by Tina Korhonen © 2017.

UK Extreme Legend, Akercocke Returns For The First Time In A Decade! “Renaissance In Extremis” Delivers Euphoric Force And Mind-boggling Weirdness !!

DISC REVIEW “RENAISSANCE IN EXTREMIS”

90年代後半から漆黒の創造性でシーンを牽引する英国のアーティスティックなノイズメイカー AKERCOCKE が、10年の時を超え完璧なる復活祭 “Renaissance in Extremis” をリリースしました!!背徳には恍惚を、暴虐には知性を、混沌には旋律を、等しく与える “死のルネッサンス” でバンドはその邪悪を崇高の域にまで昇華します。
生々しき衝動のラフダイアモンド、”Rape of the Bastard Nazarene” でエクストリームシーンに登壇した突然変異のモンスター AKERCOCKE。デスメタル、ブラックメタル、プログ、アヴァンギャルドをその身に浴び降誕した凶暴なるカオスは、”Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone” を頂点とするトリロジーで、美麗なる異端の響き、クリーンパートまでをも宿し唯一無二の存在と化しました。
さらに、バンドの第一章を閉幕するシグナルとなったより実験的な2007年の “Antichrist” では、BBC 北アイルランドのディベート番組出演を騒動のピークとする “アンチクライスト” 論争を巻き起こすなど、その存在感もアンダーグラウンドメタルシーンのアイコンとして群を抜いていたのです。
しかし、残念ながらバンドのその際立つ個性も、長い沈黙の中で、まるで月が闇夜に欠けて行くかの如く徐々に忘れられて行きました。「本当は、僕たちは2012年に解散した訳ではないんだ。線香花火のようにフェイドアウトしていったような感じだね。」 と David が語るように、実際のところ、その仄かな月明かりはただ暗闇へと溶け込み潜伏していただけでしたが。
雌伏の時を終え、Jason Mendonça, David Gray, Paul Scanlan というオリジナルメンバーを軸に帰還を果たし、遂にリリースした “Renaissance in Extremis” は紛うことなきフルムーン、エクストリームメタルの新教典。”初めて制作したサタニックではないアルバム” と語る通り、バンド史上最もコントラストが際立ったワイドで濃密なレコードは、再びリスナーの記憶を呼び覚まし、確実にジャンルのランドマークとなるはずです。
DEATH の遺伝子を宿すメカニカルなイントロダクションが印象的な “Disappear” はバンドの帰還を高らかに告げるキラーチューン。フェンリルのようなデスメタルの獰猛さに、ミッドガルドの冬景色、冷徹なるアトモスフィアを抱きしめる諸行無常のオープナーは、トレイルブレイザーとしての威厳、凄みを見せつけるに充分なクオリティーを誇り、リスナーをあの素晴らしきトリロジーの時代へと誘います。
変化の兆し、ルネッサンスの予兆は “Unbound by Sin” で現れます。トレードマークであるサタニックなコンセプトから離れ、改めて内省的な痛みや苦しみに焦点を当てたアルバムは、ボーカリスト Jason Mendonca をより生々しい、絶望と儚さが同居する類希なるストーリーテラーへと仕立てあげました。実際、ガテラルにグロウル、狂気と正気のクリーンに詠唱まで巧みに使い分ける Jason のシアトリカルな歌唱、対比の魔法は “Theatre of Akercocke” のまさに主役です。
特にこの極めてプログレッシブな楽曲で、Jason の変貌を巧みに反映したメジャーキーのヒプノティックなクリーンパートはあまりに創造的でインプレッシブ。”One Chapter Ends For Another to Begin” にも言えますが、例えば ENSLAVED がしばしば生み出す至高の神々しさと同等の強烈なエモーションがここにはあります。
同時に、ギタリストでもある Jason のクラシカルなシュレッドと、復帰を果たしたスケールの魔術師 Paul Scanlan のホールトーンを旗印とした鮮烈のリードプレイ、Neal Peart のフィルインを受け継ぐ David Gray の繊細かつ大胆ななドラミング、勿論ボーカルを含め全てがスケールアップを果たし “足枷” を解かれた音楽の罪人は、よりフックとキャッチー、そしてインテリジェンスを携えてリスナーの五感を刺激するのです。
バンドの新たな容貌、アルバムのハイライトは5曲目に訪れます。「僕が今まで聞いた他の歌手とは違って、感情的な反応を誘発する、魂に響くシルヴィアンのボーカルはあまりに魅力的。」 インタビューで David は敬愛する JAPAN と David Sylvian への愛情を隠そうとはしませんでした。そして、耽美と実験性を纏った究極なる幽玄、”Familiar Ghosts” は確かに JAPAN のスピリットで幕を開けます。
同時に、DEATH のリフワーク、OPETH のデザイン、EMPEROR のアヴァンギャルドを7分の楽曲に無駄なく梱包した極上のエクストリームジグソーパズルは、シンセ、ストリングスを伴って、遂に David の野心を須らく投影した奇跡のアートとして語り継がれるに違いありません。
アルバムは、9月の英国をイメージさせるニヒルな混沌 “A Particularly Cold September” で幕を閉じます。 Paul のサックスを大胆に起用した、深く陰鬱でサイケデリックな9分間は AKERCOCKE の成熟を物語るショーケースとして完璧なアンビエンスを宿すクローサーと言えるでしょう。
一度死の淵に臨んだバンドは、進化という名のルネサンスに臆することはありません。今回弊誌では、バンドの創立メンバーでドラマー David Gray にインタビューを行うことが出来ました。取材は、アルバムのミキシングを担当した伝説的スタジオマスター Neil Kernon の協力の下行われました。当然ながら、彼の素晴らしい仕事にも拍手を。どうぞ!!

Akercocke-RenaissanceCD

AKERCOCKE “RENAISSANCE IN EXTREMIS” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AKERCOCKE : RENAISSANCE IN EXTREMIS】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CyHra : LETTERS TO MYSELF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JESPER STRÖMBLAD & EUGE VALOVIRTA FROM CyHra !!

CYHRA-05787_preview-768x512

The Term “Supergroup” Is Definitely Justified Here. CyHra Has Just Released Fantastic Debut-full, Modern Metal Bible “Letters to Myself” !!

DISC REVIEW “LETTERS TO MYSELF”

IN FLAMES の崇高と誉を築いた二人の英傑、Jesper Strömblad と Peter Iwers が再び鼓動を重ね共闘を決意した新バンド CyHra。さらに ex-AMARANTHE の Jake E、ex-SHINING の Euge Valovirta、LUCA TURILLI’S RHAPSODY の Alex Landenburg で集成したバンドは、メンバーの過去と未来を率直に投影した “Letters to Myself” でその鮮烈なる月明かりを世界へと注ぎます。
Jesper と Peter の再結集に、あの慟哭と扇情の “メロデス” サウンドを期待し望むファンも多いでしょう。しかし、グロウルの存在しない CyHra は当然 “メロデス” ではありません。
勿論、時に Jesper のトレードマークである重厚でメロディックなギターハーモニー、トーン、リフワークは “Colony”/”Clayman” さらにはよりコンテンポラリーな傑作 “Come Clarity” の面影を効果的に感じさせますが、バンドの本質は Jake の伸びやかでエモーショナルな歌声を軸としたウルトラメロディックなモダンメタルに在ります。
実際、近年の IN FLAMES、そして AMARANTHE には不可欠な要素であるエレクトロニカをはじめ、ストリングス、ラップ、バラードなど多様な影響を自然に配したカラフルなアルバムは、メロデスの威風にメインストリームの風格すら携えてフレッシュな未来の息吹を湛えているのです。
オープナー、”Karma” からアルバムはエナジーとインテンスに満ちています。激動のエレクトロビートに Jesper と Euge のハーモニーリフが重なるエキサイティングなキックオフは、”Letter to In Flames” と形容可能なほどに扇情的。同時に、Jake E のキャッチーとエモーションの狭間で揺らぐ伸びやかな歌声は、Iwers/Landenburg の生み出すタイトなリズムとも完璧にシンクロし、Jesper の深いカルマさえも抱きしめて、リスナーの心を揺らしバンドの個性を主張します。
「実際、もうその話はしたくないんだ。だって僕が昔のバンドについて語るたびに、その内容は捻じ曲げられて伝えられるんだからね。」 Jesper が抱える IN FLAMES への想いは複雑でしょう。おそらくは、彼の中のジギルとハイドがせめぎ合っている最中なのかも知れません。故に、”Karma” とはまさに Jesper と Peter 2人が過去のバンドに抱えている”業”であり、この素晴らしきモダンメタルチューンは彼らの業を解き放つ勇壮な決意のステートメントであると信じます。
狂おしいまでにメランコリックな Jake の絶唱が胸を抉る “Heartrage”、Jesper お得意のクリーンギターが冴える “Here to Save You” は、共に静と動の見事なコントラストが北欧らしい澄んだ空気、アトモスフィアに映えるバンドの代名詞的な佳曲。実際、LINKIN PARK のスケール感をも想起させる彼らに、多くのメディアが IN FLAMES と AMARANTHE の “Hybrid Theory” と評する事実にも頷けます。
一方で、バンドは想像以上の驚きをもファンへ届けます。フォルクローレとターンテーブルが出会うパワーバラード “Closure”、ゴシックとエレクトロニカが交差する耽美な双極 “Closure”、オーガニックなストリングスとデジタルサウンドが厳かにに融合する静謐の “Inside a Lullaby”、さらには “Dead to Me” で見せるメインストリーム的なラップ。
「僕たちは、”一次元的” なアルバムは作りたくないんだよ。」 そう Euge は語ります。カラフルに彩られた43分のスペクタクルは、多様=モダンなメタルシーンにおいてバンドの豊潤なる可能性を明瞭に指し示しているのです。
「君は僕たちを葬ろうとしたね。だけど僕たちは最後の一日まで立ち続けるよ。」アルバムを締めくくる日本盤ボーナストラック “Forever” で Jake はそう歌い紡ぎます。ビッグバンドから離れたメンバーが大半を占める CyHra。彼らが過去の自分に送る手紙は、間違いなくその前向きな離脱を後押しするエールでしょう。
今回弊誌では、Jesper & Euge のギターチームにインタビューを行うことが出来ました。「僕たちはただ頭に思い浮かんだ楽曲を書いているだけさ。」 どうぞ!!

COVER-final-europe-CD-web

CyHra “LETTER TO MYSELF” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CyHra : LETTERS TO MYSELF】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAVE KERZNER : STATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVE KERZNER !!

DKB-Band-Shot-for-CTTE17-1-800x500

One Of The Most Creative Artists In The Progressive Rock World Now, Dave Kerzner Becomes A Bridge From Retro to Modern, With His Most Ambitious Work, “Static” !!

DISC REVIEW “STATIC”

レトロとモダン、そして米国と英国の架け橋を演ずる、マイアミのプログレッシブコンダクター Dave Kerzner が濃密なるロックオペラ “Static” をリリースしました!!”アクセシブル” を座右の銘とする天分豊かなコンポーザー/マルチプレイヤーは、現代社会の混沌と真なる幸福の追求をそのキャッチーなサウンドデザインで雄弁に語り尽くします。
近年のプログシーンで、Dave ほど八面六臂な活躍を見せるタレントはいないでしょう。Steven Wilson のマスターピース “Grace For Drowning” にサウンドデザインで貢献し、Steve Hackett の “Genesis Revisited II” にも参加。その GENESIS、Phil Collins の息子 Simon Collins と結成した SOUND OF CONTACT でベストニューカマーを受賞する一方、MOSTLY AUTUMN の才媛 Heather Findlay と結成した MANTRA VEGA でも高い評価を勝ち取ります。
何より、亡き Keith Emerson もゲスト参加した 2014 年のソロデビュー作品 “New World” で提示した壮大なコンセプトと世界観、美麗なメロディーと緻密なデザインは、多くのプログロックファンを魅了したのです。
二年の月日を経て届けられた新作ソロアルバム “Static” も同様に近未来の重厚なコンセプトを内包しています。ただし、”New World” が砂漠化した世界での冒険譚、躍動する物語であったのに対して “Static” はより人間の内面へと深くフォーカスしているのです。
Dave は短絡的かつ享楽的な SNS や TV、ドラッグやアルコールに捌け口を求める現代社会を嘆き、 「最近は誰もが自分が正しいと思う傾向があって、とにかく自分の意見を主張するね。僕たちすべてが偽善者であることも、不快な真実の一つだよ。僕だって時には偽善者だし。それはほとんど不可避なことに思えるよ。」 とその混沌を自らの罪も交えて語ります。しかし同時に、その事実を認識し、日常生活のバランスを考慮することから幸福の価値を変えていこうとも提案しているのです。
妖しくも印象的なプレリュードで幕を開けるアルバムは、”Hypocrites” で人間のエゴイスティックな内面を露わにします。オルタナティブなエッジとダークなムードはまさにアルバムの皮肉なコンセプトを体現し、同時に甘美で気怠いメロディーがリスナーをディストピア “遊園地の街” へと誘います。
Dave Gilmour が憑依したかのような Kerzner のボーカルに、幾重にもコーラスをレイヤーする巧みな手法は Alan Parsons にも似て、まるで砂糖のコーティングの如くスイートでスーパーキャッチーな瞬間をもたらしていますね。
Dave のピアニストとしての実力が遺憾無く発揮された “Static”, “Trust” では、彼のソフィスティケートされた作曲術、スキルが自身の理想と呼応し見事に開花しています。あくまでプログロックの枠組みの中で “アクセシブル” 受け入れ易い音楽性や歌詞に拘るコンポーザー Dave Kerzner は同時に、アルバムを映画に見立てて全体のムードにプライオリティーを置くある意味ディレクター的なポジションをも兼ねています。
「実際、より明るく高揚した楽曲を何曲か、ただフィットしないからという理由で外さなければならなかったくらいさ。」 と語る通り、音楽監督が望んでメランコリックな一面を強調した美麗なる調べのバラードは、アルバムを一つのアートと捉えた GENESIS や PINK FLOYD の創造性と Steven Wilson や ANATHEMA のアトモスフィア、そしてコンテンポラリーなメインストリームの魅力を同時に従えシーンの過去と現在の架け橋となっているのです。勿論、チェロを効果的に使用したドリーミーな “Trust” では特に John Lennon へのリスペクトが深い愛情と共に表層化していることも記しておくべきですね。
同様に、BIG BIG TRAIN の Nick D’Virgilio と GENESIS の Steve Hackett がゲスト参加した “Dirty Soap Box” は顕著ですが、アルバムを通してエレクトロニカサウンドやノイズを縦横無尽に張り巡らせ、効果的にディストピアを演出するそのアイデアからも彼の豊かなイマジネーションを感じ取ることが出来るのです。
75分の壮大なるプログレッシブオペラは、17分に及ぶラストエピック “The Carnival of Modern Life” でその幕を閉じます。よりカオティックに “Hypocrites” のテーマへと回帰する実にプログロックらしいこのクローザーを聴けば、メロディー、ハーモニー、オーケストレーション、ダイナミズム、そしてエモーションをどれ一つ欠くことなく細部にまで情熱と知性を注ぐ Dave の類稀なる才能が伝わるはずです。「僕は現実を砂糖でコーティングするような真似はあまりしたくないんだ。」と語る Dave の音楽はどこまでも真摯で正直にその進化を続けていくのです。
今回弊誌では Dave Kerzner にインタビューを行うことが出来ました。様々な音楽プロジェクトを抱えながら、二つの会社で CEO を務める多能な才気。どうぞ!!

a0129160493_10

DAVE KERZNER “STATIC” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAVE KERZNER : STATIC】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ICEFISH : HUMAN HARDWARE】【PFM : EMOTIONAL TATTOOS】MARCO SFOGLI SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARCO SFOGLI FROM ICEFISH & PFM !!

0C6I9Ywy

Italian Guitar Virtuoso, One Of The Most Influential Prog-metal Maestro, Marco Sfogli Has Just Released Two Masterpieces With ICEFISH & PFM !!

DISC REVIEW “HUMAN HARDWARE” & “EMOTIONAL TATTOOS”

James LaBrie が見出せしイタリアのマエストロ、ギターファンタジスタ Marco Sfogli が趣の異なる、しかし傑出した二枚のアルバムをリリースしました!!”ミュージシャンズミュージシャン” の色濃い Marco のイメージは、よりマスリスナーへとアピールする明快な二枚のマイルストーンを経て鮮やかな変貌を遂げるはずです。
遂に光を浴びた Marco の秘めたる野心は、ネオフューチャーとノスタルジア、二つの一見相反する創造物として具現化されました。AI の過度な進化を近未来として描写し、希薄になる人間同士の絆を危惧する “Human Hardware” は Marco がプログシーンのスーパーバンド ICEFISH の一員としてリリースしたコンテンポラリーなプログメタル作品です。
ICEFISH の物語は、PLANET X, UK 等で辣腕を振るうシーン屈指のドラマー Virgil Donati のリーダー作 “In This Life” から始まりました。Brett Garsed, Alex Machacek 等錚々たるメンバーの中、ギタープレイの中核を担った Marco は Virgil と意気投合。Marco のソロ作品と “In This Life” 双方でブレインを務めたキーボーディスト Alex Argento、DGM とも繋がりのあるベース/ボーカル Andrea Casali をスカウトし、新たなスーパーグループを結成したのです。
ラインナップから想像出来るように、確かに “Human Hardware” はハイテクニカルでアグレッシブなレコードです。しかし、驚くことにそれ以上にこの繊細かつ大胆な現代建築は Andrea の巧妙でキャッチーなボーカルを中心に据えて深くデザインされているのです。
アルバムオープナー “Paralyzed” を聴けば、ICEFISH が TOTO の精神性を引き継いでいることに気づくでしょう。Djenty とさえ言えるダークで複雑な Marco のギターリフ、音数の多いサイバーな Alex の鍵盤捌き、そして緻密なハイハットワークでその両方を難無く追いかける Virgil のテクニック。それだけでエキサイティングなフュージョンメタルが成立し得る彼らのミュージックフィールドは、しかし Andrea の爽快でポップなボーカリゼーションを得て初めてバンドの本質を顕にします。
「ICEFISH のプランは、プログの要素を保ちつつ、より大勢のリスナーに受け入れられる音楽を作ることだった。」 Marco はそう語ります。知的にうねるリフワークに煌めくシンセサウンドが映える “It Begins” はまさに始まりの証、バンドの象徴。ジャジーなコーラスにリアルなグルーヴを纏った DIRTY LOOPS をさえ想起させるキャッチーなキラーチューンは、同時に Marco のトリッキーで奇想天外なリードを携えバンドのスピリットと目的地を雄弁に物語っているのです。
アルバムを締めくくる、ウルトラポップでしかしシーケンシャルなユニゾンが恐ろしいほどに波寄せる “The Pieces” はまさに彼らの “Human Hardware” が結実した成果でしょう。
“It Begins” は Marco のノスタルジーサイドへの入口でもあります。楽曲のコンポジションに力を貸した Alberto Bravin はイタリアの伝説 Premiata Forneria Marconi (PFM) の新メンバー。そして Marco もまた、彼と同時に PFM の正式メンバーに抜擢されているのです。
「最初はビックリしたね。バンドの熱心なファンという訳ではなかったし、実際彼らの曲は何曲かしか知らなかったんだから。」 バンドのマスターマインド Franz Di Cioccio からの誘いを受けた時の気持ちを Marco はそう率直に語ります。
しかし故に、オリジナルメンバーで創作の中心に居た Franco Mussida の後任という難しいポジションを現在彼は楽しんで務めることが出来ているのかも知れませんね。実際、PFM が4年振りにリリースした新作 “Emotional Tattoos” で Marco は新鮮な風を運ぶと同時に、すでに不可欠なメンバーとして風格と輝きを放っています。
“Morning Freedom” や “The Lesson” で啓示する至高のメロディーは、バンドが最もヴィヴィッドに輝いた70年代の栄光を21世紀へと伝える虹の架け橋かもしれません。同時にそれは彼らのポップセンスを受け継いだ BIG BIG TRAIN, IT BITES などの理想ともシンクロし、ASIA のセオリーとも共鳴し、文字通り至高のエモーションを刻みながらプログスターの存在感を際立たせます。
映画のサウンドトラックをイメージした 2006年の “States Of Imagination”, 2010年の 新解釈 Fabrizio De Andre “A.D.2010 – La buona novella”、クラッシックに捧げた2013年の “PFM in Classic – Da Mozart a Celebration”等、近年 PFM はテイストの異なる作品を続けてリリースしていましたが、遂にフォーキーでイマジナリーな自らのオーケストラへと帰還を果たした “Emotional Tattoos” にはやはりオリジネーターの凄みと巧みが濃密なまでに織り込まれているのです。
アルバムを牽引するベーシスト Patrick の印象的なキメフレーズ、Lucio の美麗なヴァイオリン、Franz のメランコリーが溶け合う “There’s A Fire In Me” はその象徴かも知れませんね。
同時に Marco Sfogli のコンポジション、アレンジメント、リードプレイは、21世紀を生きるバンドの確固としたステートメントに思えます。インタビューにもある通り、”A Day We Share” のテーマとなったスリリングで鮮烈なユニゾンパートやファンクの意外性は Marco の手によるものですし、トライバルでフォーキーな DIXIE DREGS さえ想起させる希望のインストゥルメンタル “Freedom Square” は実際 Marco の楽曲と呼んで差し支えがないほどにアンビシャスです。
勿論、Kee Marcello のピッキングの粒立ちと加速の妙、Van Halen のトリック、Lukather のテンションなどを広く吸収し、しかし自身のメロディーセンスとスリルを強烈にアピールするリードプレイのクオリティーは群を抜いていますね。何より PFM がニューカマーに全面的な創作の “自由” を与えている事実がバンドの野心と Marco の才能を物語っていますね。
Greg Lake が PFM を発見し、”Photos of Ghosts” で世界に紹介してからおよそ45年。Greg は旅立ちましたが、PFM は確実に彼の世界観、スピリットを受け継いでいます。そして、今度はその PFM が Marco Sfogli を世界に披露するのです。
ノスタルジアとコンテンポラリーを両立し、奇しくも英語詞とイタリア語詞二つのフォーマットが用意されたアルバムを締めくくる感傷的な名曲 “It’s My Road” は、Marco の秘めたる決意なのかも知れませんね。
今回弊誌では、Marco Sfogli にインタビューを行うことが出来ました。Matt Guillory, Peter Wildoer との新たなプロジェクトも期待出来そうです。「一つのジャンルだけに囚われずオープンマインドでいようね。」 どうぞ!!

61KrOGMWffL._SS500-2

ICEFISH “HUMAN HARDWARE” : 9.8/10

20915586_10156235615432119_134916282235327672_n-2

PFM “EMOTIONAL TATTOOS” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ICEFISH : HUMAN HARDWARE】【PFM : EMOTIONAL TATTOOS】MARCO SFOGLI SPECIAL !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VUUR : IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNEKE VAN GIERSBERGEN OF VUUR !!

22769627_529966237351836_4958338117661623089_o

An Anthemic Opening Statement From Dutch Progressive Metallers VUUR Is Anneke Van Giersbergen’s Heaviest, Most Ambitious Work To Date !!

DISC REVIEW “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES”

THE GATHERING, THE GENTLE STORM, DEVIN TOWNSEND PROJECT 等で妖艶かつ伸びやかな歌声を披露。欧州で確かな地位を確立するオランダのメタルプリマドンナ Anneke van Giersbergen が鮮烈なるニューバンド VUUR でその瑞々しい創造性の “浄火” を灯します。プログレッシブでヘヴィーな彼女の新たな航海は、コンテンポラリーな風を味方にシーンの先へと舵を取ります。
AYREON のマスターマインド Arjen Anthony Lucassen とタッグを組み、中世のフォルクローレで大航海時代のオランダを壮麗に描いた THE GENTLE STORM は VUUR の壮大な序曲でした。
インタビューにもあるように、GOJIRA, MASTODON, OPETH といったモダンなプログメタルを愛聴する Anneke は、プロジェクトの終焉と同時に THE GENTLE STORM の強靭なライブバンドをスカウトし、オランダ語で”火” “推進力” の名も映える、先鋭の狂熱 VUUR を生み出す決断を下したのです。
“In This Moment We Are Free – Cities” と名付けられたバンドのデビューフルレングスは、文字通り Anneke がこれまでツアーで訪れた世界中の都市をインスピレーションに制作されました。「どの街や都市にも異なるヴァイブやエナジーが存在するの。」 と語る通り、アルバムは実に多様でカラフルなサウンドスケープを誇っているのです。
Anneke と巡る世界旅行は、ベルリンに漂う悲哀と享楽の文化的カオスを反映するかのような “My Champion – Berlin” で幕を開けます。GOJIRA を想起させる有機的で巨大なグルーヴと、Anneke のオペラティックなメランコリーが溶け合うアンセムは、実に壮観であまりに独創的な化学反応だと言えますね。
事実、これまでカルトでディープなプログメタルは大抵男性がボーカルを務めて来ましたし、逆に言えば NIGHTWISH のような女声を前面に配するシンフォニックなアプローチではシンプルなリフワークを貫きバランスを取るケースが殆どでした。つまり、カルトとゴージャスが交差する VUUR のエピックは、前代未聞の野心的な物語だと言えるのです。
“Time – Rotterdam” はまさに “In This Moment We Are Free” のスピリットを体現するトラックでしょう。入り組んだタイムストラクチャーの中、時にハーモニーを創造し、時にポリフォニックなチャレンジを聴かせ、アコースティックの味わいまで司るギターチームのクリエイティビティは群を抜いていますね。経過音を多用する Jord の滑らかなリードプレイも印象的で見事なアクセントになっています。
さらに Anneke の揺らぎと艶は、厳かに巧みにレイヤーを重ねる中でその表情、深みを増して、プログメタルの巧妙なるストラクチャーの中へ驚くほどに溶け入っていますね。
MASTODON の砂漠を内包する “The Martyr and The Saint – Beirut”、Kate Bush のスピリットを受け継ぐ “The Fire – San Francisco” でオプティミスティックな熱気を伝えると、VUUR の旅路はリオの港へと辿り着きます。
PERIPHERY の Mark Holcomb との共作により生まれた “Rio – Freedom” は、繊細なクリーントーンがマスロック、ポストロックのイメージさえ植え付けるコンテンポラリーな楽曲。作中でも最もエモーションを発する Anneke のボーカリゼーションと相まって、極上のモダンプログレッシブワールドを形成しています。
実際、Mark 以外にも ANATHEMA の Daniel Cardoso が “Valley of Diamonds – Mexico City” に、AMORPHIS の Esa Holopainen が “Sail Away – Santiago”, “Save Me – Istanbul” のコンポジションに参加し、”耽美” や “勇壮”、”哀愁” といったそれぞれの “色” を加えたことでアルバムはより豊潤で多様なモダニズムを備えることとなりました。
同時に、AYREON, EPICA との仕事で知られるチャートヒッター Joost van den Broek のセンスも忘れる訳には行きませんね。そして Djent やポストブラックまで経由した VUUR とリスナーの旅路は、Mark Holcomb が手がけたエセリアルで多幸感溢れる “Reunite! – Paris” で鮮やかな余韻を残しつつ幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Anneke van Giersbergen にインタビューを行うことが出来ました。「私はいつだって今を生きようとしているのよ。」 アルバムに収録した楽曲すべてに Anneke は “In This Moment We Are Free” の一節を忍ばせています。どうぞ!!

0IO01733_636370958853871175

VUUR “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES” 9.8/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VUUR : IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOVEBITES : AWAKENING FROM ABYSS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH midori OF LOVEBITES !!

LOVEBITES_pic_ALBUM_mid

Female Power Metal Band From Japan,  LOVEBITES Make Their Mark On The Heavy Metal Scene, With Bigger, Louder Debut Full-length “Awakening From Abyss”!! Are You Ready For “Muse Metal”? 

DISC REVIEW “AWAKENING FROM ABYSS”

荒廃した”世界”に舞い降りた凛々しくも美しき女神たち。ミューズメタルの使者 LOVEBITES が下す怒りと希望の鉄槌 “Awakening From Abyss” は、文字通り世界を深淵から “覚醒” へと導きます!
欧州、米国、そして日本の香りが入り交じるオーセンティックかつダイナミックなメタルを、卓越した技術と豊潤なるエモーションで具現化したデビューEP “The Lovebites EP” から約6ヵ月。早くも届けられたバンド初のフルレングス “Awakening From Abyss” は、ギター/キーボード、さらに作曲でもバンドを支える mi-ya をオフィシャルメンバーとして加え、楽曲の幅、サウンド、メロディー共に全てがスケールアップを果たしたまさに “ネクストレベル” の黙示録です。
女神の “ネクストレベル” が世界を見据えていることは、その制作環境からも充分に伝わります。NIGHTWISH, CHILDREN OF BODOM で知られる Mikko KarmilaとMika Jussila のフィンランドチームがサウンドを司り、アートワークを HELLOWEEN の “Sweet Seductions” などを手がけたスペインチームが制作。さらに全てのリリックを英語詞に拘り、ヨーロッパ、北米、メキシコなど海外でのリリース及び、ロンドンでの初ライブに至る道程は既に世界基準と呼ぶに相応しいスケールです。
荘厳なるストリングスのタペストリー、序曲 “The Awakening” がバンドの強固なアンサンブルを導くと、アルバムは IRON MAIDEN を思わせるオリエンタルなテーマが印象的な “The Hammers of Wrath” で幕を開けます。
TESTAMENT の鋭角で迫り来るファストでシャープなリフワーク、メロディックヒステリックな本能のボーカル、タイトでラウドなリズムの息吹は、バンドがリアルなエクストリーム領域に在ることの確かなる証です。
リードトラック “Shadowmaker” を聴けば、必ずやメタルファンの血は湧き肉も躍るはずです。より複雑さと繊細さ、そしてダイナミズムを増した素晴らしき新たなバンドのアンセムは、あまりに扇情的かつドラマティック。細かなギミックを織り込んだ捻りの効いたプログレッシブなリフや、シンフォニックなシンセワーク、中盤のテクニカルなツインリードは、明らかに ANGRA の遺伝子を宿しつつリスナーにエキサイトメントを運びます。
R&B やブルーズの表情を垣間見せるスリージーな “Warning Shot”, “Scream For Me”、さらにストリングスやキーボードを効果的に使用しバラード的な感覚を内包させた “Liar” “Inspire” といった楽曲たちはバンドの持つ多様性、引き出しの多さをまざまざと見せつけています。元々、R&B やソウルを主戦場としていたボーカル asami の黒く眩いエモーションが、メタルの持つ重厚なアグレッションと融合し、想像以上の化学反応をもたらしているとも言えますね。
そして LIGHT BRINGER の Mao が作曲を担当した “Edge of the World” はバンドの未来を象徴する楽曲かも知れません。アコースティックギターとピアノの麗しき調べで幕を開ける世界の果ての物語は、さながら SYMPHONY X の如く、耽美な響きとプログレッシブな展開美でリスナーのイマジネーションを掻き立てます。切なく、甘く、そして激情をも孕んだ魅力的なメロディーの洪水は、リスナーを叙情の海へと沈降させるに充分のメランコリーを湛えているのです。
midori はインタビューで 「残念ながら、LOVEBITES も見た目のせいで “聴かない” “メタルじゃない” という意見があることは知っています。ですが喜ばしいことに、それ以上に、私たちの音楽を正当に評価してくれる人が増えてきていることも知っています。私たちには、”最高のヘヴィ・メタルをやる” という強い信念があるのです。」 と語ってくれました。実際、その想いに一点の曇もないことは、”Awakening From Abyss” のミューズメタルを聴けば伝わるはずです。
アルバムは、文字通りバンド全員の “勇敢な心” を乗せた “Bravehearted” で、闘い続けることを誓いながら勇壮に幕を閉じました。
今回弊誌では、バンドのギタリスト midori さんにインタビューを行うことが出来ました!PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS, そして abstracts という名前まで飛び出す、弊誌読者の皆さまにも非常に共感、シンクロする内容だと思います。どうぞ!!

1710Lovebites_AwakeningFromAbyss_cover_mid-2

LOVEBITES “AWAKENING FROM ABYSS” : 9.6/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOVEBITES : AWAKENING FROM ABYSS】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THRESHOLD : LEGENDS OF THE SHIRES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RICHARD WEST OF THRESHOLD !!

21150255_10154880091228715_2882833744628664424_n

Sprawling 83 Minute Double Album, Perfect Epic “Legends of the Shires” Is An Excellent Introduction To Threshold’s World !!

DISC REVIEW “LEGENDS OF THE SHIRES”

結成は1988年。1993年にデビュー作をリリースした不朽のプログメタルアクト THRESHOLD が、”モンスターレコード”の名に相応しきダブルアルバム “Legends of the Shires” をリリースしました!! デビュー当初、”英国からの DREAM THEATER への回答” と謳われし希少なる生残の先駆者は、四半世紀の時を超え遂に至純なる “アンサー” を提示しています。
海外のプログメタルシーンでは、信頼出来るビッグネームとして揺るぎない地位を築いて来た THRESHOLD。一方で、残念ながら日本ではおそらく、 “スレショルド” “スレッショウルド” “スレッシュホウルド” 等、今一定まらない名前の読みづらさと、サーカスライクの派手なプレイに頼らない楽曲重視の音楽性に起因する無風、凪の状況が長く続いてきました。しかし、”Legends of the Shires” は間違いなく日本のファンにとって THRESHOLD への素晴らしき “Threshold” “入口” となるはずです。
楽器陣は2003年から不変である THRESHOLD の歴史は、天賦の才に恵まれた3人のシンガーが織り成す鮮やかな音楽絵巻だと言えます。今回リードシンガーを務める Glynn Morgan は、バンドのセカンドアルバム “Psychedelicatessen” 以来の復帰。三度目の脱退となった前任者 Damian Wilson の魅力でもある若干クセの強い歌声に比べると、2011年に残念ながら亡くなってしまった Andrew “Mac” McDermott の透明でハーモニーの映える声質に近いように感じますね。IRON MAIDEN の Bruce 後任オーディションで最終選考まで残った実力は本物です。
実際、Richard はインタビューで、”Legends of the Shires” が、”Mac” 時代の名作 “Subsurface” “Dead Reckoning” と似た雰囲気を持つことを認めています。そして、おそらくこの並外れたコロッサルなエピックは、精彩なるメロディーの崇高美、エレガントで壮観な審美的デザインの観点から前述の二枚をも凌駕しているのです。
バンドはリスナーのイマジネーションに配慮し、あまり作品の背景、詳細を明かそうとはしませんが、アルバムが同郷のトールキンの小説にインスパイアされていることは確かでしょう。”The Shire” とはトールキン作品の舞台である “中つ国” に存在するホビットの美しき居住地。そして Richard 語るところの 「変化からより強くなって戻ってくる」 というメッセージには、どうやら現在の英国の状況を隠喩し重ねている部分もあるようです。
アルバムは鐘の音、鳥の囀り、そしてアコースティックサウンドで悠久の大地を眼前に描く “The Shire (Part 1)” で緩やかに幕を開けます。続くダークで小気味よいリフワークが印象的な “Small Dark Lines” でアルバムのストーリーは躍動を始め、THRESHOLD の真骨頂とも言える鮮やかなメロディーでリスナーの心を溶かすのです。
事実、Glynn は、ハイトーンに重きを置く他のプログメタルアクトとは一線を画する、ミッドレンジ中心の爽やかでエモーションにフォーカスした歌唱を披露。頭に残るボーカルとコンパクトなリフワーク、ツインギターのハーモニーは、バンドがキャッチーでコマーシャルな楽曲を恐れない冒頭の強固な意思表示となっていますね。
とは言え、勿論プログレッシブな一面はバンドの象徴です。”The Man Who Saw Through Time”, “Lost In Translation” の10分を超える二つの叙事詩は、THRESHOLD がプログレッシブなスピリットと、豊潤なるサウンドスケープを内包する稀有な集団であることを雄弁に語っていますね。複雑でしかしナチュラルにレイヤーされた広大な音楽のパノラマは、Karl の見事なトーンコントロール、Richard のムーディーで流れるようなキーボード捌き、ドライブするシーン屈指のソリッドなリズム隊を携え、様々な場面を映す奇跡のオデッセイとしてリスナーに “The Shire” の景観や物語を運ぶのです。
アルバムのハイライトは、”Stars and Satellites” で訪れます。DREAM THEATER がハイテクニカルで、圧倒的なある種数学的視点によりプログメタルを捉えたのに対して、FROST*, VANDEN PLAS, そして THRESHOLD 等はプログレッシブロックの精神性やコンセプトによりフォーカスしているのかも知れませんね。
Richard が影響を受けたアルバムに、KING CRIMSON や YES ではなく PINK FLOYD, GENESIS を挙げているのは象徴的かも知れません。このスーパーキャッチーで、聴く度に心が踊るポップな宇宙は、逆に DREAM THEATER が決して到達し得ないプログレッシブポップ領域のはずです。
アルバムは英国からの回答をより鮮明に感じさせる、美しきピアノバラード “Swallowed” で静かに幕を閉じました。
今回弊誌では、1992年からバンドのキーボードプレイヤーを務める Richard West にインタビューを行うことが出来ました。間違いなく日本でこそ評価されるべきバンドです。どうぞ!!

threshold-legends-of-the-shires

THRESHOLD “LEGENDS OF THE SHIRES” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THRESHOLD : LEGENDS OF THE SHIRES】

Just find your own music