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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CANDLEMASS : THE DOOR TO DOOM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEIF EDLING OF CANDLEMASS !!

“In The End We Took a Band Desicion To Bring In Johan Again. Go Back To The Ground Zero Of Doom So To Speak.”

DISC REVIEW “THE DOOR TO DOOM”

CANDLEMASS はその30年以上に及ぶ悠遠なキャリアにおいて、幾度ものメンバーチェンジを繰り返しながら氷霧に煙るスカンジナビアの凍原に、絶望とエピックの哀城を築きあげて来ました。
そしてそのドゥームに宿る不吉な影は、シンガーの変遷を因果として先姿万態の表情を得ることとなったのです。
巨漢 Messiah Marcolin がオペラティックなテノールで魅了した80年代のトリロジーは、メランコリーとドラマティシズムが集積したエピックドゥームの耽美な教科書。一方で、Robert Lowe が Dio や Tony Martin を憑依させて躍動した21世紀の3枚は、メタルの様式と伝統をヨーロピアンなロマンへと昇華した至宝。
その他にも、Thomas Vikström, Björn Flodkvist, Mats Levén と多士済々、まさに錚々たる顔ぶれが並ぶ歴代シンガーの中で、”C-Mass” の忠実なる信徒が決して忘れられない名前があります。
Johan Längqvist。それは後にバンドが開拓するテリトリー、”エピックドゥームメタル” をラテン語で表記した記念すべき不朽のデビュー作 “Epicus Doomicus Metallicus” に歌唱を吹き込んだレジェンドの名。
CANDLEMASS は結成35周年を迎えるに当たり、一つの決断を下しました。その Johan の電撃復帰です。
「僕たちは CANDLEMASS の中で、再度火花が飛び散るようなインスピレーションを得るために、何かを行う必要があったんだ。そしてその答えが Johan だったんだよ。」バンドの創始者でグル Leif Edling は、慢性疲労症候群を患い戦いながらバンドを巡るビジネス、論争に身を削り、再度音楽を “楽しむ” ためにドゥームの “ゼロ地点” への回帰を決めたのです。
実に6年半振りとなったフルアルバムは、実際 “グラウンド・ゼロ” を創成したバンドの威厳と崇高に満ちています。ただし、この終焉からの始まりは、決して “Epicus Doomicus Metallicus” の安易なコピーではありません。
「今、まさに僕たちは新たなファンを獲得しているんだよ。ドゥームのテリトリーからだけじゃなくね。」タイトルは “The Door To Doom”。メタルワールドのニューヒーロー GHOST とのツアーで幅広い層のメタルファンから賞賛を得たバンドは、幽寂から激情までドゥームの陰影を須く投影した最新作で文字通り “Doom” への “Door” となります。
封入される幻惑のギターメロディーがリスナーを中世の暗黒へと導く “Splendor Demon Majesty”、静寂と喧騒、妖艶と情動を行き来するエピカルなメタルダイナミズムの権化 “Under the Ocean”、スロウバーンの真髄を提示する “Astorolus-The Great Octopus”、そして叙情と憂鬱を抱きしめたバンド史上初、悪魔のバラード “Bridge of the Blind”。
ドゥームメタルの美学を様々な手法で描き出すアルバムにおいて、Johan Längqvist のワイドで説得力のある歌唱は作品の骨子となっています。名手 Mats Leven が歌った “House of Doom” の再録で Johan が見せる深邃なるアトモスフィアは、まさしくその証明でしょう。
「僕たちはとにかく、”ストレート” なアルバムを作りたかったね。クソみたいな素材なしで、大胆不敵で…生々しくハードでヘヴィー。」事実、アルバムのサウンドは実にフィジカルで、バンドの猛攻が目前に迫ります。
シーン随一のギターチームとベースヒーローが繰り出す、時に幽玄、時に劇的、時に獰猛なアンサンブルは圧倒的。そうしてメタル/ドゥームのゴッドファーザー Tony Iommi のゲスト参加は、ファンにとっても、バンドにとっても何よりの祝祭となりました。
遂に共演を果たしたドゥームマスターの遺伝子は、確かに後続へと引き継がれています。その影響は、PALLBEARER, KHEMMIS, HOTH といったモダンドゥームの綺羅星はもとより、VISIGOTH, GATEKEEPER, HAUNT が志向するトラディショナルメタルのリバイバルまで、色濃く、深々と、多岐に渡って根付いているのです。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Leif Edling にインタビューを行うことが出来ました。「このバンド、もしくはこの体制が後1年、2年続くのかは分からないけど、少なくとも僕たちは残された時間を楽しむよ。」 “Psalms for the Dead” で終焉を宣言した不死鳥が、灰の中から蘇る完璧なレコード。どうぞ!!

CANDLEMASS “THE DOOR TO DOOM” : 10/10

INTERVIEW WITH LEIF EDLING

Q1: First of all, original singer Johan Langquist return to the band after a 32 year hiatus! How did it happen? Of course, on 2007, to commemorate the band’s 20’th celebration, Johan appeared live with the band. But have you been keeping in touch with him?

【LEIF】: We also played with him at Roadburn 2013 and also at the 70 000 tons cruise.
We’ve been in touch and during the recording we felt something was missing. The band had had too many discussions and arguments over the year. All of us. Maybe some heart was missing in it all. I had worked my ass off for this record but was struggling with my health. Too much work…too much business…too many arguments….much bull! In the end we took a band desicion to bring in Johan again. Go back to the ground zero of Doom so to speak. Mats had done a great job, but we needed to do something in C-mass, find the spark again, and Johan was the answer. Now we focus to have fun, and not let any business take over. I have no clue if it will last a year or two. At least we will enjoy the time left!

Q1: オリジナルシンガー Johan Langquist が32年振りにバンドへと復帰しましたね!2007年、Johan がバンドの20周年を祝うライブに登場したことを覚えているファンも多いでしょう。
彼とのリユニオンはどの様に実現したのでしょうか?

【LEIF】: Johan とは 2013年の Roadburn、70,000 ton Cruise でも共演したんだ。
そうして彼とはずっと連絡を取り合っていたんだよ。そしてこの作品のレコーディング中に、僕たちは何かが欠けていると感じていたんだ。バンドはここ何年かに渡って、本当に多くの議論と論争を重ねて来たよ。全員でね。もしかすると、全てにおいてハートが欠けていたのかも知れないね。
僕はこのレコードのために必死で働いていたよ。自分の健康状態と戦いながらね。沢山の仕事、沢山のビジネス、沢山の論争…もう沢山だったよ!そうして最終的に、バンドの決断として Johan を復帰させることに決めたんだ。言ってみれば、ドゥームの “グラウンド・ゼロ” (ゼロ地点) へと回帰するためにね。
前シンガーの Mats は素晴らしい仕事をしてくれたよ。だけど僕たちは CANDLEMASS の中で、再度火花が飛び散るようなインスピレーションを得るために、何かを行う必要があったんだ。そしてその答えが Johan だったんだよ。
今僕たちは、楽しむことに重点を置いているんだ。どんなビジネスの案件にも侵食されないでね。このバンド、もしくはこの体制が後1年、2年続くのかは分からないけど、少なくとも僕たちは残された時間を楽しむよ。

Q2: When I heard “The Door to Doom”, I was really surprised at Johan’s diversity. He can sing everything from heavy doom to ballad. Compared with the successive singers, What are the superior points or unique points of Johan?

【LEIF】: Well…besides the obvious, a Grreeat voice…he’s very easy to work with. Very humble, eager to try stuff in the studio, but also not afraid to speak his opinion. He’s a also very laid back and cool as a person.

Q2: 最新作 “The Door to Doom” を聴いて、復帰した Johan の能力には驚かされました。彼はバラードからヘヴィーなドゥームまで何でも歌えるようですね。
歴代のシンガーと比較して、彼はどういった点がユニークで優れていますか?

【LEIF】: そうだな…明らかに偉大すぎる歌声を除いては…とにかく彼とはとても仕事がしやすいんだ。実に謙虚で、スタジオでは意欲的。同時に、自分の意見を話すことも恐れないよね。
1人の人間としても、とてもレイドバックしていてクールなんだよ。

Q3: I feel “The Door to Doom” is the most eclectic record in your career. Johan is back, but musically, you don’t go back to “Epicus Doomicus Metallicus”, right?

【LEIF】: No, that was the thing. Not repeat EPICUS. Make a really good record without doing a carbon copy of EDM.
Also, I think we have managed to survive as a band because we haven’t changed much. We’re still the same band, same musicians with the same ambition as before. We wanted to make a straight record. An album without bullshit…in your face…raw n hard n heavy…I think we did it!

Q3: 先程 ドゥームの “グラウンド・ゼロ” へ回帰したと仰いましたが、アルバムは実に多様で、音楽的に “Epicus Doomicus Metallicus” を単純になぞった作品ではないと感じますが。

【LEIF】: その通りだよ。それこそが重要な点だったね。このアルバムは決して “Epicus Doomicus Metallicus” の繰り返しではないんだよ。ファーストアルバムのコピーをすることなく、本当に良いレコードを作りたかったんだ。
同時に、僕らは大きく変わらなかったからこそバンドとして生き残れたとも思っているんだ。今でも僕たちは同じバンドで、以前と同じ野心を持った同じミュージシャンの集まりだからね。
僕たちはとにかく、”ストレート” なアルバムを作りたかったね。クソみたいな素材なしで、大胆不敵で…生々しくハードでヘヴィー。僕はその目標を達成したと思うよ!

Q4: So, Japanese fans are worried about your health problem. At Loud Park 16, we are really excited about your playing on “Crystal Ball”. Considering Making new full-length, and Starting The Doomsday Kingdom, are you getting better now?

【LEIF】: A bit better but not 100%. I’m still struggling with the fatigue syndrome. I hope I can do the shows 2019 without too many problems. The tour with Ghost was a blast of course, but I have to look after myself, rest as much as I can, eat regularly, not party too much. Well, you hear..very rock’n’roll – Not hahahahaha!!
To be honest, I wasn’t playing that well in Japan at Loud Park. I felt burned out and was tired. Fortunately I’m a bit better now, play better, feel better. The gigs with Ghost were pretty good actually.

Q4: 日本のファンはあなたの健康状態を心配していますよ。
Loud Park 16 に登場した時は実にエキサイトしましたし、フルアルバムの制作、THE DOOMSDAY KINGDOM の始動を考慮すれば、快方に向かっているようにも思えます。

【LEIF】: 前より少しは良くなっているね。だけど100%ではないんだ。今でも僕は慢性疲労症候群と戦っているんだよ。2019年は、多くの問題から解放されてショウが出来れば良いんだけど。
GHOST とのツアーはもちろん最高だったよ。だけど僕は自分のケアをする必要があるからね。とにかく出来るだけ休息を沢山取って、規則正しい食生活を送り、パーティーを控える。とってもロックンロールでしょ…な訳ないよね!はははは!!
正直に言うけど、日本の Loud Park では上手くプレイ出来なかったんだ。燃え尽きたような気持ちがしていて、疲れていたからね。
幸運なことに、今はあの時より少し良くなったし、気分も良い。実際、GHOST とのギグはとても良かったんだ。

Q5: Album title, “The Door to Doom” has a dignity as a originator. Really cool! Do you think this record will open the “Door” to Doom for non-doom listeners?

【LEIF】: We hope so. At the Ghost shows we noticed that a llot of people were digging us. Clapping/singing…having a good time. We also signed for young metalfans that didn’t know us that much. The album is also getting great reviews everywhere so we are getting new fans now. Not only from the doom territory.

Q5: アルバムタイトル “The Door to Doom” はオリジネーターとしての威厳に満ちていますね。実にクールです!
実際、この作品は、”ノン・ドゥーム” リスナーがドゥームへのドアを開けるきっかけになるでしょうか?

【LEIF】: そうなれば良いと思っているよ。GHOST とのショウで、僕たちは沢山の人が僕らを気に入っていることに気づいたんだよ。手拍子をして、一緒に歌って…良い時間を過ごしたね。
それに僕たちは、多くの若いメタルファンにサインもしたよ。ショウに車で僕たちについてあまり知らなかったような子たちだよ。そしてこのアルバムは色んな場所で素晴らしいレビュー、評価を得ているね。だから今、まさに僕たちは新たなファンを獲得しているんだよ。ドゥームのテリトリーからだけじゃなくね。

Q6: Actually, Godfather of metal/Doom, Tony Iommi contributes a guest solo on “Astorolus – The Great Octopus”. How did the “Collaboration of Doom” happen?

【LEIF】: We asked hahahaha! Seriously. We asked, and got a yes! Our manager emailed his personal manager. Coudn’t believe it when we had the positive answer back. I was over the moon…Tony Iommi will play on my song! Hardest thing was to keep to mouth shut for 3 months hehe… But y know..if you aim for the stars..you might succeed:-) The solo is absolutely amazing too. What a job he did! Hats off!

Q6: アルバムにはメタル/ドゥームのゴッドファーザー、Tony Iommi がゲスト参加し、”Astorolus – The Great Octopus” でギターソロをプレイしています。
記念すべきこの “ドゥームのコラボレーション” はどの様に実現したのでしょう?

【LEIF】: 僕たちが平伏して頼んだんだ。はははは!いや、真面目な話、僕たちが依頼して、快く引き受けてくれたんだよ!
僕らのマネージャーが Tony のパーソナルマネージャーにメールを送ってね。前向きな答えが返ってきた時は本当に信じられなかったよ。飛び上がって月を超えるほど喜んだね。Tony Iommi が僕の曲でプレイしてくれる!ってね。
一番大変だったのは、それから3ヶ月その事実を内緒にしていなければならなかった事だよ。(笑)  何て言えば良いのかな…とにかく君たちも輝く夢を持てば、きっと実現するはずさ。
もちろん、ギターソロも最高だったね!何て素晴らしい仕事だろう!脱帽だよ!

Q7: Tony said “Candlemass are a major force in Scandinavian heavy rock and have always acknowledged the influence we had on their music.”. How have you been influenced by Black Sabbath?

【LEIF】: When I was 7 or 8 years old I heard the album “Black Sabbath” from a friend near to where I lived at the time. A year or so later I got “Paranoid” for my birthday. Been bitten ever since. Sabbath have always been my heroes and will always be. Especially Tony Iommi, who is the inventor of the heavy riff!!

Q7: Tony は、「CANDLEMASS はヘヴィーロックのスカンジナビアにおける原動力で、僕たちの影響を取り入れていることはずっと知っていたよ。」と語っていますね。

【LEIF】: 僕が7歳か8歳の時、当時住んでいた場所の近所の友達から “Black Sabbath” を聴かせてもらったんだ。その一年後くらいに、誕生日プレゼントで “Paranoid” を買ってもらったんだよ。それ以来ずっと信奉しているよ。
サバスはいつも僕のヒーローだったし、これからもずっとそうさ。特に Tony Iommi はね。まさにヘヴィーリフのイノベーターだよ。

Q8: Candlemass has innovated and developed Doom metal for years. Your contribution to Doom produces flesh doom blood like Electric Wizard, Sorcerer, Khemmis, Pallbearer . What’s your perspective about such a modern doom movement?

【LEIF】: I know that they are great bands, but I don’t know too much about them. I really like some of Electric Wizards early stuff, but lately I haven’t been able to follow whats going on in the doom genre. Been to sick, too busy….

Q8: 影響という意味では、CANDLEMASS も長年ドゥームの進化、発展に貢献し、その成果は ELECTRIC WIZARD, KHEMMIS, SORCERER, PALLBEARER といったモダンなドゥームバンドの音楽に花開いていますね?

【LEIF】: 彼らが素晴らしいバンドだとは知っているんだ。だけどあんまり詳しくは知らないんだよ。ELECTRIC WIZARD 初期の作品は大好きなものがいくつかあるね。
だけど、最近のドゥームシーンで何が起きているのかフォローは出来ていないんだよ。何しろずっと病気で、忙しくもあったからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LEIF’S LIFE

BLACK SABBATH “SABBATH BLOODY SABBATH”

MOTÖRHEAD “MOTÖRHEAD”

ANGEL WITCH “ANGEL WITCH”

TROUBLE “TROUBLE”

MANILLA ROAD “THE DELUGE”

MESSAGE FOR JAPAN

I’m keeping my fingers crossed that we can come to Japan for a tour before the end of this year. Heard we get nice reviews in your country, so let’s hope we can come to the land of the rising sun very soon!

今年の末までに、僕たちが日本でツアー出来るよう祈っているよ。君たちの国で良いレビューをされたと聞いているし、日出ずる国へ近々訪れることが出来ることを望むよ!

LEIF EDLING

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOILWORK : VERKLIGHETEN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BASTIAN THUSGAARD OF SOILWORK !!

“What Can Be Tricky At Soilwork Shows Is That The Majority Of The Songs Are In a Decent Mid-Tempo And Then The Few Fast Songs Are Like Super Fast. It Happens That We Play 5-6 Songs In a Row That Are Very Easy Tempo-wise And Then One Super Fast Song After. It Feels Like Going From 0-100 In a Second And Sometimes That Can Be Tough.”

DISC REVIEW “VERKLIGHETEN”

昨年デビュー20周年を迎えたスウェーデンの巨人 SOILWORK は、絶対の信頼が置けるバンドです。
その真価は、幾度ものメンバーチェンジを乗り越える約20年間で11枚というその旺盛な制作意欲はもちろん、衝動と叙情の “Steelbath Suicide” から、Rob Halford をしてメタルの未来と言わしめた “A Predator’s Portrait”、洗練極まる “Stabbing the Drama”、そして2枚組のエピック “The Living Infinite” まで、エクストリームな精神とメロディーを常に共存させながら、リスナーの好奇心を刺激するフックと新機軸を織り込み続けている点にあります。冒険と安定感の絶妙なバランスとも言えるでしょうか。
3年半振りに届けられた最新作は、スウェーデン語で “現実” を意味する “Verkligheten” をタイトルに冠していました。スウェーデン遠郊のメランコリー、彼の地の悲哀を帯びた旋律は、苦悩に満ちた日常からの逃避を誘います。もしかすると、長年大黒柱として存在した名手 Dirk Verbeuren を MEGADETH に引き抜かれたトラウマも、バンドが現実からの逃避を題材とした理由の一つだったのかも知れませんね。
ただし SOILWORK は新たなドラムマイスター Bastian Thusgaard と共に再び歩み始めます。ダークで思慮深く、リピートを促すレコードにおいて、高揚感を伴う煌めきのメロディーが運ぶ絶佳のコントラストこそ作品の妙。その風情は、ロマンチシズムと言い換えても良いでしょう。さらに Bastian は、そのロマンを現実逃避に対するセラピーとまで表現し、バンドの新たな旅路を飾るポジティブな意思表明へと繋げているのです。
「”The Living Infinite” というダブルアルバムを書くことで、SOILWORK は遂に自分らしい場所を見つけたと思うんだ。」 そう Bastian が語るように、音楽的には確かにあの壮大なエピックこそがバンドにとっての転換点でした。
実際、Bjorn “Speed” Strid も最新のインタビューで、”The Living Infinite” こそが SOILWORK にとって新たな時代の幕開けだったと認めています。同時に、”Verkligheten” ではそのドラマ性に、クラッシックなメタルや80年代の雰囲気をより多分に封入したことも。
インタビューで Bastian も認めているように、Bjorn & David が牽引するノスタルジックな別バンド THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA の活発化が SOILWORK の方向性に影響を与えたことは確かです。
そしてこのノスタルジー溢れるロマンチックなセラピーに最も貢献したのは Bjorn の驚異的にワイドなボーカルレンジでしょう。”Full Moon Shoals” “Witan” で爽快壮美なハーモニーを披露する一方で、”When The Universe Spoke” では研ぎ澄まされたスクリームを投げかけます。過去のどの作品より自然に、シームレスに繋がる適材適所な歌唱の美学は、そうして AMORPHIS の Tomi Joutsen をフィーチャーした “Needles and Kin” のメタル劇場へと完璧に結実していくのです。
もちろん、David Andersson と Sylvain Coudret のギターチームもさらに充実を遂げています。もはや定型化したメロデススタイルを封印し、スウェーデンのメランコリーを封じた創造的なパッセージと、”The Nurturing Glance” が象徴するデュエルのスリルでカタルシスを喚起していきます。
そうして、スーパーファストなブラストビートから、トライバルなリズムまで変幻自在な新加入 Bastian のスティックワークを最後のピースとして、プログレッシブとさえ言える夢幻のメタルワールドは完成を迎えたのです。あの YES を彷彿とさせるアートワークも偶然ではないでしょう。
今回弊誌では、新加入 Bastian Thusgaard に自己紹介も兼ねたインタビューを行うことが出来ました。日本の THOUSAND EYES にも共鳴するような、より広義の血湧き肉躍る浪漫メタルレコード。「いくつかの楽曲はメタルらしい音数の多さから離れて、よりアクセシブルに仕上がったね。僕の考えでは良いことだと思うよ。」どうぞ!!

SOILWORK “VERKLIGHETEN” : 10/10

INTERVIEW WITH BASTIAN THUSGAARD

Q1: This is our first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up? Who was your drum hero at that time?

【BASTIAN】: My name is Bastian Thusgaard. I’m a Danish drummer playing in bands such as Soilwork, The Arcane Order & Dawn of Demise. I grew up listening to rock music and I quickly discovered the heavy metal genre. Growing up I was a huge fan of Dream Theater and Mike Portnoy must have been one of my first heroes. I also listened to bands like Machine Head, Lamb of God and obviously Soilwork. The drummers in those bands has definitely influenced me a lot as well.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話していただけますか?

【BASTIAN】: 僕は Bastian Thusgaard。デンマーク人ドラマーで、SOILWORK, THE ARCANE ORDER, DOWN OF DEMISE でプレイしているよ。
僕はまずロックを聴いて育ったんだけど、それからすぐにヘヴィーメタルを発見したんだ。特に当時は DREAM THEATER の大ファンで、Mike Portnoy は僕にとって最初のヒーローの1人に違いないだろうね。
同時に、MACHINE HEAD, LAMB OF GOD といったバンドたち、そして明らかに SOILWORK も良く聴いていたね。だからそういったバンドのドラマーも、同様に僕に大きな影響を与えているよ。

Q2: You joined Soilwork as a successor of now Megadeth’s Dirk Verbeuren. How did it happen?

【BASTIAN】: The first time I met Dirk was at one of his tour lessons a few years back. After that lesson we sort of kept our communication going and Dirk was very helpful guiding my in the music business. When he got the Megadeth gig he emailed me and asked me to fill in for him that summer which was a great honor and opportunity for me, so I grabbed it. When he stayed in Megadeth, Soilwork still had like half world tour to compete, so it was natural for me and the band that I stayed. We connected in a very good way so eventually they asked me to join fulltime.

Q2: その影響元の一人、MEGADETH に加わった Dirk Verbeuren の後任として SOILWORK に加入することとなりましたね?

【BASTIAN】: 実は僕が Dirk に初めて会ったのは、何年か前にレッスンを受けた時なんだ。そのレッスンの後も僕たちは連絡を取り続けたんだけど、Dirk はとても協力的に僕に音楽ビジネスのガイドをしてくれたんだ。
そうして彼が MEGADETH のライブに参加した時、僕にメールをくれて、その夏 (2016年) 彼の代役として SOILWORK でプレイしないかと尋ねてくれたんだ。実に光栄で素晴らしい機会だったから、僕はそのチャンスを掴んだよ。
Dirk が MEGADETH へと正式に加入した時、SOILWORK にはまだワールドツアーが半分残っていたから、僕がバンドに留まることは両者にとって自然な成り行きだったね。そうして僕と SOILWORK のメンバーは実に上手く分かり合って行き、やがて彼らは僕に正式加入を持ちかけてくれたのさ。

Q3: In the huge discography of Soilwork, what’s your favorite album and songs? And in the live performance, which one is the most challenging for you?

【BASTIAN】: Personally I think that the album that speaks to me the most is The Living Infinite. It’s hard cause I find all albums great in their own way, but with TLI I think Soilwork was in such a good place writing that double album. The songs are crazy good and have so much emotion to them. In the live performances I think some of the more intense songs can be challenging. I was never the fastest drummer around, so I have had to really work on that. What can be tricky at Soilwork shows is that the majority of the songs are in a decent mid-tempo and then the few fast songs are like super fast. It happens that we play 5-6 songs in a row that are very easy tempo-wise and then one super fast song after. It feels like going from 0-100 in a second and sometimes that can be tough.

Q3: SOILWORK の膨大なディスコグラフィーの中でも、あなたのお気に入りを教えていただけますか? また、ライブで最もチャレンジングな楽曲はどれでしょう?

【BASTIAN】: 個人的に、最も僕に訴えかけるのは “The Living Infinite” だね。とは言えこの質問はとても難しいよ。全てのアルバムがそれぞれの特性を持っていて素晴らしいんだからね。
だけど、”The Living Infinite” というダブルアルバムを書くことで、SOILWORK は遂に自分らしい場所を見つけたと思うんだ。楽曲は驚異的に良いし、エモーションにも溢れているね。
ライブパフォーマンスでは、僕にとってインテンス極まる楽曲がチャレンジングなんだ。というのも、僕は速さに特化したドラマーだったことはないからそういった楽曲と向き合うにはハードワークが必要なんだよ。
SOILWORK のショウで何がトリッキーかって、大半の楽曲がそこそこミッドテンポの範疇なのに、いくつかのファストな楽曲が本当にめちゃくちゃファストなんだ。つまり、テンポ的には与し易いミッドテンポが5,6曲続いた後、スーパーファストな楽曲が登場する訳さ。まるで一秒間で0から100キロまで加速するように感じられて、タフな時もあるよ。

Q4: OK, let’s talk about your newest record “Verkligheten”. It seems Verkligheten means reality in Swedish, right? What was the inspiration for the title and the lyrical themes of the album?

【BASTIAN】: Yes, ‘Verkligheten’ means reality in English. I know that Soilwork wanted to name an album with a Swedish title earlier, but it never really seemed appropriate. This album surrounds themes like Swedish suburban melancholy and the struggles we face in everyday life and it flirts with the idea of escaping reality when its constant reminders becomes too much to cope with. The album it really dark, but somehow very uplifting, almost therapeutic to listen to I would say.

Q4: では最新作 “Verkligheten” について話しましょう。”Verkligheten” とは “現実” を意味するスウェーデン語だそうですね?

【BASTIAN】: そうだね、”Verkligheten” とは英語で “Reality” を意味する言葉さ。SOILWORK は初期の頃からアルバムにスウェーデン語のタイトルをつけたかったみたいなんだけど、これまでは上手くハマらなかったんだ。
だけどこのアルバムは、スウェーデン遠郊に巣食うメランコリーや日常で味わう苦悩などのテーマに囲まれているからね。そして、そういった対処に苦しむ問題が多すぎると、”現実逃避” という考えに惹かれてしまうのも分かるよね。
だからアルバムも実にダークなんだけど、一方でとても高揚感を伴う場面も存在するんだ。それは “現実逃避” に対する、ほとんどセラピーというか治療のようなリスニング体験となるはずさ。

Q5: I feel “Verkligheten” is the deepest record in the discography of Soilwork. I mean, it will require repeat visits and time to absorb. But also, it’s really catchy and have a possibility to reach non-metal listeners. Do you agree that?

【BASTIAN】: Yes, I think ‘Verkligheten’ is the kind of album you will keep discovering layers in when listening. It has a lot to offer. With this recording we were all very involved with the process and we did put a lot of thought into what the songs needed. That approach have made some songs less busier and much easier to take in which is a good thing in my opinion.

Q5: まさにそういった対比の深みを封じたレコードですね。リスナーに向き合う時間を求めるような。同時に高揚感、キャッチーな部分では、メタルファン以外のリスナーにも広くアピールしそうですよね?

【BASTIAN】: その通りだよ。僕は “Verkligheten” という作品は、アルバムを聴くたびに新たな発見を重ね続けられるレコードだと思うんだ。見所と魅力に満ちた作品さ。
レコーディングにあたって僕たちは、全員がその作業へと熱心に関与して、多くのアイデアを楽曲が求める場所へと注いだんだ。そのアプローチによって、いくつかの楽曲はメタルらしい音数の多さから離れて、よりアクセシブルに仕上がったね。僕の考えでは良いことだと思うよ。

Q6: I think 80’s is one of the key of “Verkligheten”. Actually, after “The Ride Majestic” Bjorn & David have been contributing to his 80’s focused project The Night Flight Orchestra. Does it relate to Soilwork’s new direction?

【BASTIAN】: Well, Björn and David were the main song writers on ‘Verkligheten’. They are also the main writers in TNFO, so it is hard to avoid references completely I think. However Soilwork shapes the songs like we do and TNFO like they do. I guess there are similarities, but we are still two very different bands.

Q6: そのキャッチーという部分にフォーカスすると、80’s は一つ作品のキーワードだと感じます。
前作 “The Ride Majestic” 以降、Bjorn と David はまさに80年代の AOR に焦点を当てた THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA での活動を活発化させていた訳ですが、彼らがそのムードを SOILWORK へと還元した部分はありますか?

【BASTIAN】: そうだね、Bjorn と David は SOILWORK のメインソングライターで、同時に THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA のメインソングライターでもあるよね。だから僕は両者の関係性を完璧に否定することは難しいと思うな。
とは言え、SOILWORK は彼らを含めた僕たち全員で楽曲を造形するし、THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA にも彼らのやり方がある。だから確かに似ている部分はあるにせよ、それでも両者は全く異なる別のバンドさ。

Q7: From fast blast-beat to tribal rhythm, you showed your great ability to the royal Soilwork fans around the world. Maybe, there seemed to be kind of pressure to succeed Dirk, but you done it in your unique, own way, right?

【BASTIAN】: My mission with ‘Verkligheten’ was to honor that drum vibe that has evolved in Soilwork through the years and at the same time consider my own style and the drummer I am. I am very satisfied and proud of my work on ‘Verkligheten’ so I have been more excited to see reactions to our album than feeling the pressure to be honest. Dirk is an amazing drummer and I love what he does, but I am a very different drummer even though I am very influenced by him. I tried to fusion our drumming styles to make it more personal yet still Soilwork.

Q7: ファストなブラストビートからトライバルなリズムまで、”Verkligheten” であなたは SOILWORK の忠実なファンにその実力を証明して見せました。Dirk の後任というプレッシャーもあったと思いますが?

【BASTIAN】: “Verkligheten” における僕の使命は、SOILWORK が長年かけて築き上げたドラムのヴァイブを称えつつ、僕自身のスタイル、ドラマーとしての僕自身を考慮に入れていくことだったんだ。
結果として、”Verkligheten” における僕の仕事には満足しているし、誇りに思っているよ。だからプレッシャーを感じるよりも、アルバムに対する反響が楽しみで仕方がないというのが正直な心境なんだ。
Dirk は素晴らしいドラマーで、彼のプレイは大好きだよ。だけど、僕が彼から大いに影響されているにしても、彼とは全く異なるドラマーなんだ。だからこのバンドで僕は、彼の残してきたドラミングスタイルを僕のスタイルと融合させようとしているんだ。より僕らしく、だけど SOILWORK のサウンドに聴こえるようにね。

Q8: So, you’ll kick out co-headline Tour with Amorphis. You know, I think you two departed from Melo-death origin, and explore own realm. What’s your perspective about the common points between these two Scandinavian giants?

【BASTIAN】: I think both bands has some similarities, but we all manage to move in each of our directions which makes this tour package so great. I think Soilwork is more energetic tempo-wise where Amorphis really builds up a lot with big epic soundscapes that creates some really great anergy. With both bands being diverse and still go heavy on melodies and catchiness it seems like this co-headline is something that appeals a lot to the metal fans.

Q8: AMORPHIS とのダブルヘッドラインツアーが始まりましたね!両バンドともに、メロデスの出自から離れ独自の領域を探求しているように感じます。実際、スカンジナビアの巨人たちには共通する部分がありそうですね?

【BASTIAN】: 確かに SOILWORK と AMORPHIS にはいくつか共通点があると思うよ。ただ、両バンドともにそれぞれの道を歩いて来たことが、このツアーパッケージを素晴らしいものにしているんだよ。
僕の考えでは、SOILWORK はテンポ的にはよりエネルギッシュ。一方で AMORPHIS は構築を重ねてビッグなエピック、サウンドスケープを築き上げているね。
両バンド共に実に多様で、ヘヴィーでありながらメロディーやキャッチーさをしっかりと封入しているね。だからこそ、このコ-ヘッドラインツアーは多くのメタルファンに訴えかけるはずなんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED BASTIAN’S LIFE

I don’t know if all these album changed my life, but they definitely make me feel very good and inspired. They are all albums thats I often re-visit.

SOILWORK “STABBUNG THE DRAMA”

BLOODBATH “THE FATHOMLESS MASTERY”

DREAM THEATER “TRAIN OF THOUGHT”

CHVRCHES “LOVE IS DEAD”

MØ”FOREVER NEVERLAND”

MESSAGE FOR JAPAN

We are truly sorry about postponing our scheduled shows in Japan. We hope that our fans will understand that this was not an easy decision for us. However it had to be made. We were really looking forward to bring our new album to live in Japan so we regret that it has to wait a little bit longer. We Kindly ask for your patience and we promise to make it up to you.

日本ツアーを延期させてしまって本当に申し訳ないと思っているんだ。僕たちにとって簡単な決断ではなかったことを理解してくれたら有り難いよ。他に手がなかったんた。
僕たちはこの最新作を日本でプレイするのが本当に楽しみなんだ。少しばかり長く待たせることになって申し訳ないね。辛抱してくれれば、必ずその埋め合わせはするからね!

BASTIAN THUSGAARD

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SPECIAL INTERVIEW 【BLACK EARTH : JOHAN LIIVA】”BURNING BRIDGES” 20th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2019


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHAN LIIVA OF BLACK EARTH !!

“At This Very Time Arch Enemy Was In a Stage Of Taking The Step Up To The Next Level And I Simply Was Not Able To Give It a 100 % Unfortunately. “

DISC REVIEW “BURNING BRIDGES”

CARCASS が発案し、AT THE GATES をはじめとするゴーセンバーグの英雄たちが確立した霊宝、メロディックデスメタル。
デスメタルの獰猛に、滑らかなリードの雪月花とリフの美学で艶やかな旋律を織り込むそのトライアルは、今や多様なモダンメタルの雛形の一つとして君臨しています。中でも初期の ARCH ENEMY には一線を画す神秘と浪漫が確かに備わっていました。
CARCASS においてその流麗なメロディーとフックの担い手であった Michael Amott。後にメタルワールドのメロディーメイカーとして大いに花開く彼が、クラッシックロックを追求するSPIRITUAL BEGGARS のサイドプロジェクトとして立ち上げたエクストリームコレクティブこそ ARCH ENEMY でした。
当初はメンバーでさえも、過度の期待は投じていなかったようですね。実際、「当時僕たちは10.000枚売れれば日本に行ってライブが出来ると言われたんだ。それを聞いて僕は、”いやいや、そんなこと起こるはずもない。” って思ったんだよ。」 CARNAGE でも Michael と同僚だった当時のボーカル Johan Liiva はそう回想しています。
しかし、ファストなシュレッドを得意とする弟 Christopher、ダイナミックなドラミングに定評のある Daniel Erlandsson を巻き込んだ主の敵サタンは、予想を裏切り瞬く間にここ日本でビッグバンドへの階段を駆け上がることとなったのです。
その要因は唯一無二のダイナミズムと、高度なミュージシャンシップにあるはずです。例えば、IN FLAMES と比較しても、初期の ARCH ENEMY にはよりトラディショナルなデスメタルの鼓動が脈打っているように感じます。一方で、デビュー作収録の “Cosmic Retribution” を聴けば、アコースティックの静謐も、界隈で最も巧みに演じていたことは明らかです。
タイトなスキルが構築する網の目のアグレッションと深々たる寂然、ファストとスロウの満ち引きが基盤にあるが故に、Michael や Chris の奏でる神々しくもエセリアルなメロディー、翡翠のツインリードがより鮮やかさを増すのでしょう。その透徹したダイナミズムの奇跡は “Fields of Desolution” が証明しています。
そして、メタルとハードコアを等しくルーツとする Johan のくぐもった唸り声、若干いなたいパフォーマンスもまたバンドの象徴となっていましたね。インタビューで 「ちょうどあの頃、ARCH ENEMY は次のレベルへとステップアップする段階にあって、残念だけど単純に僕ではその進化に100%貢献することが出来なかったんだよ。」と語るように、確かに “Wages of Sin” でバンドと Angela Gossow が成し遂げた、狙いすました洗練とセルアウトに Johan が貢献出来る隙間はなかったのかも知れません。
とは言え、彼の創出するミステリアスで荘厳なオーラが現在の ARCH ENEMY にほとんど感じられないことも事実でしょう。少なくとも、日本にはあの叙情とテンション煌めくエニグマをもう一度と望むファンは多いはずです。
そしてその願いはライブパフォーマンスにおいて叶えられました。全てのきっかけは Loud Park 15でした。イベントの10周年を記念して Johan と Chris が ARCH ENEMY のステージに飛び入り参加を果たし、そこから初期メンバーで集結しツアーを行うアイデアが浮上したのです。
2016年、デビューアルバムの名を冠した BLACK EARTH として返り咲いた初期 ARCH ENEMY のメンバーたちは、20年前の強力無比な楽曲を現代のプロダクションで復刻し文字通り日本を熱狂の渦に落とし入れました。嬉しいことに、現行 ARCH ENEMY で半音上げられるチューニングも、オリジナルの二音半下げで忠実に再現され禍々しさも増強。その人気ぶりは、シークレットアクトとして登場した Loud Park 17の、午前中にも関わらず詰めかけたファンの数が証明していますね。
あれから2年。2019年、遂に BLACK EARTH が帰ってきます。名手 Sharlee D’angelo を加え完成したラインナップで、Johan 期のフィナーレを飾った大傑作 “Burning Bridges” の20周年を祝う宴です。
“Silverwing” に “Burning Bridges”, そして “Diva Satanica”。光と闇、憎悪と希望のコントラストに満ちた緩急とフックのマイルストーンを、当時文字通り “背水の陣” であった Johan は成熟と共にどの様に描き出すのでしょう。
今回弊誌では、Johan Liiva にインタビューを行うことが出来ました。「今振り返ってみると、僕の脱退は全員にとって最高の決断だったと思うんだよね。ARCH ENEMY は活動を続けて、とてもとても大きな成功を収めてきたね。そして僕も今の人生にとても満足しているんだよ。特に今は、BLACK EARTH でもしばしばステージに上がることが出来るからね。」どうぞ!!

ARCH ENEMY “BURNING BRIDGES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEVENTH WONDER : TIARA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEFAN NORGREN OF SEVENTH WONDER !!

“We All Supported Tommy Karevik 100%! Off Course, We All Realized That They’d Come First And That This Would Inevitably Set Us Back Time Wise. But There Was No Way Any Of Us Would Get In The Way Of Such a Great Career Move For Him.”

DISC REVIEW “TIARA”

スウェーデンで毎年行われる “一番大切な冬の行事”、聖ルシア祭。貧しい人々に財産全てを提供した純粋の象徴、光の聖人聖ルチアの姿は、そのスウェーデンに居を置くプログメタルの至心 SEVENTH WONDER と不思議に重なるのかも知れません。
“Waiting in the Wings” でその鵬翼を広げたバンドは、“Mercy Falls” で悲劇的なサスペンスを描き切り、“The Great Escape” では30分のエピックと共に喪失、失楽からの大いなる逃避による微かな希望の灯火を見出して来ました。
「難解なセクションも音楽的に実りがなければ僕にとっては的外れなんだ。だからこそ、メロディーとアトモスフィアが必要なんだけどね。」新加入のドラマーにして現在はバンドのスポークスマン的な役割を務める Stefan Norgren の言葉は真実です。
何より、しばしば DREAM THEATER が引き合いに出されるほどのハイテクニックと緻密なデザインの二重奏を奏でながら、SEVENTH WONDER はスカンジナビアの澄み切った眺望を旋律のクリスタルに封じ込めて来たのですから。そうしてそのパノラマは常に映画のように壮大なストーリーを纏ってリスナーの感情を激しく喚起するのです。
8年という長い月日を経てリリースされた最新作 “Tiara” のストーリーは、もしかするとバンド自体の影法師と言えるのかも知れませんね。滅ぶべき運命にある地球が救いを求め “The Everones” に差し出す純粋無垢の象徴、少女 “Tiara”。そのあらすじに、不世出のボーカル Tommy Karevik の KAMELOT 加入を重ねたファンも多いでしょう。
もちろん、Stefan はインタビューで Tommy の “ダブルワーク” がある程度 Win-Win な状況であることを強調しています。ただし、今でも Roy Khan の亡霊を宿し歌唱をシンフォニックに限定される KAMELOT での活動に、彼本来の姿を知るリスナーの多くが歯痒い思いをしていることも事実です。
実際、”Tiara” での Tommy は不要の責任から解放され自由を謳歌しているようにも思えます。自らに宿る全てのレンジでオクターブの山脈を超え、感情のリミットを解放しながら様々なキャラクターを演じ分けるその絶対的なパフォーマンスはまさに水を得た魚。
よりゴージャスでロックオペラの佇まいを擁する “Tiara”。中でも “Tiara” が別れを告げる “Farewell” 三部作はマスタークラスのバンドと Tommy の開眼が最高レベルでシンクロを果たした絶景と言えるでしょう。
シンセの煌めき、理知的な変拍子、メタルらしいエッジとユニゾンの醍醐味、静と動のダイナミズム、躍動するアコースティック楽器にヴァイオリン、暖かいコーラスの絨毯、Tommy と妹 Jenny との甘やかなデュエット、そして何よりエモーション極まる極上のメロディー。少なくとも、ピュアなプログメタルに求めるものは全てがここに存在します。
同時に、”Arrival” でシンフォニックに幕を開けるアルバムは、”The Everones” のスリリングなボコーダー、”Truth” で見せるベースの妙義とフォルクローレの熱情、“By the Light of the Funeral Pyres” はロックマンの8-bitでしょうか、そしてジェットコースターのエピック “Exhale” までバラエティーに富み、新機軸とチャレンジに満ち溢れています。
「さてその結末は?それはアルバムを聴いて、歌詞を読んで自らで決めて欲しいね…。」では、Tommy と SEVENTH WONDER の物語はどのような結末を迎えるのでしょうか。少なくとも、”Tiara” が DREAM THEATER や SYMPHONY X、そして SHADOW GALLERY を愛し続けて来たここ日本で歓迎されるべき作品であることは確かです。
今回弊誌では、Stefan Norgren にインタビューを行うことが出来ました。「テクニック、メロディー、アトモスフィア…それは僕たちのような音楽を生み出す時、心に留めている素晴らしいキーワードなんだよ。」全てのメタルファンに送る素晴らしき SF 叙事詩。どうぞ!!

SEVENTH WONDER “TIARA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREAK KITCHEN : CONFUSION TO THE ENEMY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTIAS “IA” EKLUNDH OF FREAK KITCHEN !!

“I Think The Change Of Music Industry Is a Brave New World With Tons Of Opportunities. You Can’t Sit Home And Complain It Was Better Before. Adjust Or Die.”

DISC REVIEW “CONFUSION TO THE ENEMY”

急速に拡大を続ける “ギターナード” の世界。真のギターフリークの間で、最もイノベーティブかつ画期的なプレイヤーとして崇拝を浴び続ける “Freak of the Freak” Mattias IA Eklundh。
水道のホースクリップ、テレビのリモコン、櫛、大人のディルドーにラジカセアンプ。目につくもの全てを “ギミック” としてギタープレイに活用し、レフトハンドのハーモニクスから両手タッピング、ミステリアスなスケールにポリリズムの迷宮まで自在に操るマエストロのアイデアは決して尽きることがありません。
同時に、弦は錆び付いても切れるまで交換せず、スウェーデンの自然とジャーマンシェパードを溺愛し、音楽産業の利益追求主義を嫌悪する独特の思想と哲学は Mattias の孤高を一層後押ししているのです。
「FREAK KITCHEN を立ち上げたのは少しだけコマーシャルな音楽を志したから。だけど適度にひねくれていて、様々な要素をミックスしながらね。」 とはいえ Mattias が情熱を注ぐスリーピースの調理場は、ただ難解で複雑な訳ではなく、むしろキャッチーでフックに満ち溢れた色とりどりのスペシャリテを提供して来ました。”Pop From Hell” とも評された、甘やかでインテリジェント、Mattias の “歌心” を最大限に引き出した “Freak Kitchen” はまさにバンドのマイルストーンだったと言えますね。
ジャズからボサノバ、アバンギャルド、ブログにインド音楽と手を替え品を替えエクレクティックに食材を捌き続けるバンドは、そうして最新作 “Confusion to the Enemy” でさらなる未踏の領域へと到達したように思えます。
「AC/DC は僕がいつも帰り着く場所なんだよ。Angus にただ夢中だし、Phil Rudd の熱狂的なファンでもあるんだ。」 近年、AC/DC のやり方に再びインスパイアされたことを明かす Mattias。その言葉を裏付けるかのように、作品には以前よりシンプルでスペースを活用した、ヴィンテージロックやブルースのエネルギッシュな息吹が渦巻いているのです。
例えば “Good Morning Little Schoolgirl” をイメージさせるブルースパワーにアンビエントな風を吹き込んだ “The Era of Anxiety”、スウェーデン語で歌われる “Så kan det gå när inte haspen är på” のシンプルな突進力とスライドギターのスキャット、さらにトラディショナルなブルースのクリシェをベースとしながら、愛車のボルボをパーカッションに EXTREME の “Cupid’s Dead” の要領で問答無用にリフアタックを繰り広げる “Auto” の音景は明らかに魅力的な新機軸でしょう。
もちろん、KINGS X を思わせるダークなオープナー “Morons” から胸を締め付ける雄大なバラード “By The Weeping Willow” まで、クラッシックでヴィンテージなサウンドを背景に Mattias らしいルナティックなギタープレイと甘く切ないメロディーのデコレーションを疎かにすることはありません。
圧巻はタイトルトラック “Confusion to the Enemy” でしょう。バンド史上トップ5に入ると語る楽曲は、アルバムに存在する光と闇を体現した究極なまでにダイナミックなプログレッシブ絵巻。MESHUGGAH を想起させる獰猛なポリリズムと空間を揺蕩うアンビエンス、さらにFKらしいイヤーキャンディーが交互に顔を覗かせる未曾有のサウンドスケープは、バンドが辿り着いた進化の証。
時という “敵” であり唯一の資産を失う前に成し遂げた記念碑的な快作は、そうして “We Will Not Stand Down” で緩やかにエモーショナルにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では Mattias IA Eklundh に2度目のインタビューを行なうことが出来ました。「ゼロから何かを生み出す作業は、未だに究極の興奮を運んでくれるんだ。ただのルーティンの練習はそうではないよね。」 どうぞ!!

FREAK KITCHEN “CONFUSION TO THE ENEMY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE SEA WITHIN : THE SEA WITHIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JONAS REINGOLD OF THE SEA WITHIN !!

New Art Rock Collective, The Sea Within Goes To Fantastic Maiden Voyage, With Flexible And Diverse Debut Record “The Sea Within” !!

DISC REVIEW “THE SEA WITHIN”

キャプテン Roine Stolt のプログレッシブな航海はスーパーグループ THE SEA WITHIN と共に新たなアドベンチャーを創成します。荒波や暴風にも屈しない最上級の乗組員を揃えたフラッグシップは、フレキシブルな風を受け未踏の音景へと舵を切るのです。
実際、伝説のプログ船長 Roine のもとへと集結したのはマスタークラスの名だたる船乗りばかり。THE FLOWER KINGS で補佐官を務めるシーンきってのベースヒーロー Jonas Reingold。その TFK にもかつて在籍したプログメタルの至宝、PAIN OF SALVATION のマスターマインド Daniel Gildenlöw。RENAISSANCE, YES の寵児、キーボーディスト Tom Brislin。さらに Steven Wilson, THE ARISTOCRATS などで知られるトップドラマー Marco Minnemann を招聘したキャプテンは、盤石の布陣にもかかわらずゲストのスカウトにも余念がありませんでした。
Jonas のインタビューにもある通り、 レコーディングのみの参加となる Daniel の影武者には FLYING COLORS の Casey McPherson を配置。加えて YES の Jon Anderson、DREAM THEATER の Jordan Rudess、Steve Hackett Band の Rob Townsend までをも乗船させた まさに “All-Aboard” なラインナップは、出航と同時に世界中のプログファンからヨーソローな期待と注目を集めたのです。
ボーナストラックまで含めると77分にも及ぶ長駆の処女航海 “The Sea Within” はそしてその遥かなる熱量に充分応えた雄飛なる冒険となりました。一つキーワードとして挙げるべきは “フレキシブル” というアイデアなのかも知れませんね。
事実、この豪華な母船の船員に選ばれたのは全てがユーティリティーなプレイヤーだったのですから。「このバンドのメンバーは全員が歌えるし、複数の楽器をこなすことが出来るんだ。」インタビューで語ってくれた通り、ボーカル、ギター、キーボードをこなす船長 Roine を筆頭にフレキシブルな才能を誇るバンドの航路は、全員がコンポーザーという奇跡まで備えながら鮮やかな多様性に満ちています。中でもドラマー Marco Minnemann のパーカッションはもちろん、ギター、ボーカルまでこなすマルチな才能はこの偉大な航海の大きな推進力となっていますね。
THE FLOWER KINGS とは異なる進路を目指すというキャプテン Stolt の野望は、オープナー “Ashes of Dawn” を聴けば伝わるでしょう。アルバムで最もダーク&ヘヴィー、Roine と Daniel の歌声導く苦悩とアグレッションが印象的な楽曲は、世界経済のカオスをテーマに据えています。
故に、Roine と Jonas が TFK のファンタジックな殻を破り、深海のアビスをリアルに映し出すかのようなサウンドを選択したことも驚きではないでしょう。KING CRIMSON の “Red” にもシンクロするこのインテリジェントな音の幽暗は、Tom のサクスフォンを得てより深部までその混沌を浸透させるのです。
その Tom がイニシアチブを取った物憂げでコーラスも鮮やかなクラッシックアート “They Know My Name”、KARMAKANIC を想起させる Jonas の幻想的でシネマティックな作曲術が Daniel の PAIN OF SALVATION とは一味違うオーガニックな声色を引き出した “The Void”。そして辿り着く “An Eye for an Eye for an Eye” はアルバムのハイライトと言えるかも知れませんね。
ラインナップの中で最もロッカーの佇まいを備えた Marco が作曲を手がけたことにも頷ける、ファストでアグレッシブな楽曲は THIN LIZZY とプログがモダンな風を受けてハイブリッドを果たしたようなユニークでしかしフックに満ちたキラーチューン。潮目の変化はフォービートとジャズロックの海風を運び華麗なソロワークが美しく華を添える中、楽曲は再びメロディックなブリッジへと回帰しロックのエナジーを胸いっぱいに吸い込みながら大円団を迎えるのです。
そうしてその多様性の濁流は、5人の主要メンバーが共作した “Goodbye” へと流れ込んでいきます。そこはポップとエモーションが乱れ咲く桃源郷。アルバムには確かにキャッチーという名の子午線が貫かれていますが、7/8拍子のファンキーなリズムを起点に光の放射を放つ素晴らしくリリカルな楽曲は飛び抜けてプログポップの期待感に満ち溢れているのです。
Jon Anderson も参加してオールスターキャストで贈る14分のプログ劇場 “Broken Cord”。キャプテン Stolt は “Sgt. Pepper” から YES までプログロックのイデアを体現したエピックを THE FLOWER KINGS のファンへとしっかり捧げてその旅路を終えるのです。
今回弊誌では、ベースヒーロー Jonas Reingold にインタビューを行うことが出来ました。プログ、ポップ、ジャズ、アートロック、クラッシックロック、そしてシネマティックな離島を繋ぐフレキシブルで魅惑的な航海。エースを揃えた SONS OF APOLLO が正統的なスーパーグループなら、ユーティリティーの極み THE SEA WITHIN もまた異なるスーパーグループのあり方でしょう。どうぞ!!

THE SEA WITHIN “THE SEA WITHIN” : 9.8/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【GHOST : PREQUELLE】


COVER STORY : GHOST BEHIND “PREQUELLE”

Tobias Forge Returns, Not As New Papa, But As Symbol Of Pop & Proggy Evolved-Occult Metal, Cardinal Copia!

Story Behind Ghost : From Tobias Forge To Papa Emeritus & Cardinal Copia

GHOST のボーカリスト、ソングライター Tobias Forge は Papa Emeritus I, II, III としてこれまで3枚のアルバムを製作しメタル闇教皇としての地位を確固たるものとしています。ステージではスカルのメイクアップを施し、ルシファーにゾンビの女王、処女の血を浴びたハンガリーの伯爵夫人まで奇々怪界な登場人物と共に異能のオカルトメタルを提示する怪人は、今眩くも華々しいスポットライトをその身に浴びているのです。
しかしその功績に反して、Tobias の実態は深い霧の中にありました。GHOST の発足以来、Tobias は Papa の匿名性を保つためインタビューを拒否し、スポットライトを避け、典型的なロックスターの姿とは確実に距離を置いて来たからです。
Tobias の匿名性が脅かされたのは、解雇した元バンドメンバー Nameless Ghoul 達の反乱がきっかけでした。金銭面、クレジット関連の闘争で司法の場に引きずり出された Papa の実名 “Tobias Forge” は、白日の下に晒されスポットライトを浴びることを余儀なくされたのです。
「一度スポットライトに晒されると、ライトが自分を追わないことを願うか、何かを語るしかない。」と嘯く Tobias。Nameless Ghoul の讒言によりファンの一部がその作曲能力を疑う中、新たなキャストと共に Cardinal Copia、”Copia 枢機卿” として GHOST を “リモデル” した Tobias は、こともなげに新経典、傑作 “Prequelle” を突きつけます。「変わったのは Papa Emeritus から Cardinal Copia への名前だけさ。」と皮肉を込めながら。

GHOST は後にデビュー作 “Opus Eponymous” に収録される “Stand by Him” で2006年に産声を上げました。友人 Gustaf Lindström とレコーディングを行った楽曲は、すでに MERCYFUL FATE のメタリックなエッジと BLUE OYSTER CULT のノスタルジックなメロディーを包含したオカルトメタルの雛形だったと言えます。
しかし、そのサタニックなテーマとヴィンテージ映画のムードに対して、Tobias の少年のようなルックスはミスマッチでした。一般的なロックバンドとは異なる、匿名のシアターバンド “GHOST” というアイデアはそこが出発点だったのかも知れませんね。
驚くべきことに、Tobias は元々シンガーを志向していたわけではありません。Keith Richards と Slash に憧れていたコンポーザーは当初、クールに煙草を燻らすギタリストの地位に収まることを想定していたのです。しかし、Messiah Marcolin, Mats Levén, JB 等ことごとく理想のシンガーに断られた Tobias は自らシンガーを務めることを余儀なくされました。もちろん、後にその選択こそが大成功を引き寄せる訳で、数奇なる運命を感じざるを得ませんね。

では、双子の父親で一般的な社会生活を営む29歳の青年が BLUE OYSTER CULT, PENTAGRAM, SAINT VITIUS, CANDLEMASS, DEMON, ANGEL WITCH といったサタニックドゥーム、メロディーを散りばめた仄暗いロックの世界に身を投じるきっかけは何だったのでしょう。
Linköping にある16世紀に建てられた教会がサタンに身を委ねる一つの契機であったと Tobias は振り返っています。奇妙なペイントとステンドグラス、魔法のように美しく恐ろしい場所。
同時に厳格で意地の悪い義母や教師も彼を悪魔の世界へと向かわせました。KISS の “Love Gun” や RAINBOW を教えてくれた兄 Sebastian だけが唯一の救いでしたが、彼が家を離れると少年 Tobias は益々ファンタジーの世界へとのめり込んでいきました。
とはいえ、SF小説や映画、ストーンズのアルバム、Nikki Sixx と “Shout at the Devil” など、81年生まれの Tobias を悪魔の世界へ後押ししたピースの数々は、依然として年齢の離れた兄の影響下にあったのです。故に、GHOST のデモをネット上にポストしたその日に Sebastian が亡くなってしまったことは、人生観の決め手となったに違いありません。エネルギーのトレードオフ。悪魔は何かを得るために必ず何かを犠牲にするのです。

MY SPACE からグラミーまで、GHOST は決して順風満帆に辿り着いたわけではありません。特にメディアや評論家による “誇大広告” に晒されたアーティストは予定より長い道のりを歩まされ、時にドロップアウトしてしまうことさえ少なくないのですから。Rise Above Records からリリースしたデビュー作、70年代とサタニックなテーマが牽引するポップメタル “Opus Eponymous” は確かに大きな話題を呼びましたが、北米ツアーは順調とは言い難く、よりアーティスティックなセカンドアルバム “Infestissumam” は商業的に奮いませんでした。
“Opus Eponymous” の独創性を押し広げた “Meliora” は潮目を完全に変えた作品だと言えるでしょう。重厚で斬新な “Circle”、冒涜的なバラード “He Is” はスペシャルで、そこからウルトラキャッチーなシングル、YouTube 総再生回数2400万超えのモンスター “Square Hammer” を得たバンドは加速してチャートの壁を突破していったのです。

参考文献:REVOLVER MAGAZINE (2018) “GHOST: THE TRUE STORY OF DEATH, RELIGION AND ROCK & ROLL BEHIND METAL’S STRANGEST BAND”

ビルボード Top200初登場3位という爆発的な成果と共に、シーンへ大きなうねりをもたらした最新作 “Prequelle”。暴かれた匿名性を逆手にとってスポットライトの中央へ躍り出る決意を果たした Tobias は、明らかに以前よりもしたたかです。
もちろん、彼は自らが敬愛する KISS がメイクと共にその魔法を落としてしまったことを知っています。故に、シーンの潮流を GHOST の個性へと鮮やかに昇華するその手法は言葉を失うほどに見事でした。
キーワードは、多様性とポップ。作品の “匿名性” を紐解いていきましょう。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【W.E.T. : EARTHRAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBERT SÄLL OF W.E.T. !!

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Melodic Hard Super-Stars, W.E.T. Has Just Released Definitely One Of The Best Record In The Genre “Earthrage” !! Are You Ready For “Burn” And “Watch Their Fire” ?

DISC REVIEW “EARTHRAGE”

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T. が、捲土重来を期すジャンルの王政復古 “Earthrage” をリリースしました!!瑞々しいアリーナロックの雄々しき鼓動は、地平の年輪に印されしかつての栄光を確かに呼び覚まします。
WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、メロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
故に Robert の 「最初の2枚では、僕と Erik がかなりコラボレートして楽曲を書いていたんだ。だけど、今回の作品のソングライティングに僕は全く関わらなかったんだよ。」という発言はある意味大きな驚きでした。
それは何より、”Earthrage” が疑いようもなくバンドの最高傑作となり得たのは、前作 “Rise Up” で顕著であった硬質なサウンド、メタルへの接近をリセットし、Robert の得意とする80年代初頭のオーガニックなメロディックロックを指標したからに他ならないと感じていたからです。
つまり、「”Earthrage” を制作する際に Erik と話し合ってあのオーガニックなスタイルを取り戻すべきだと感じた訳さ。」と語るように、もちろん Robert から方向性についてのサジェスチョンはあったにせよ、”Earthrage” における奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬には改めて責任を一手に負った Erik Mårtensson というコンポーザーの開花と成熟を感じざるを得ませんね。
予兆は充分にありました。ECLIPSE のみならず、NORDIC UNION, AMMUNITION 等、歴戦の猛者達との凌ぎ合いは、明らかに Erik の持つ作曲術の幅を押し広げ、効果的で印象に残るコーラスパートの建築法を実戦の中で磨き上げて行ったのですから。
アルバムオープナー、”Watch The Fire” はまさに Erik とバンドが到達した新たな高みの炎。冒頭に炸裂する生の質感を帯びた強固なリズムと、期待感に満ちたギターリフはまさしく ECLIPSE 人脈から Magnus Henriksson & Robban Bäck 参加の功名。凛として行軍するヴァースでは Jeff と Erik がボーカルを分け合い、さながら DEEP PUPLE の如き伝統のインテンスを見せつけます。
コーラスパートは巨大なフックを宿す獣。トップフォームの Jeff は、久方振りに発揮する本領で徹頭徹尾リスナーのシンガロングを誘うのです。そしてパズルのラストピースは、Desmond Child 譲りのアンセミックなチャントでした。
BOSTON の奥深き音響に Robert のキーボードが映える “Kings on Thunder Road”、MR. BIG の “Nothing But Love” を彷彿とさせるストリングスの魔法 “Elegantly Wasted” を経て辿り着く “Urgent” はアルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。
同タイトルのヒットソングを持つ FOREIGNER の哀愁とメジャー感を、コンテンポラリーなサウンドと切れ味で現代へと昇華した楽曲は、あまりに扇情的。
畳み掛けるように SURVIVOR の理想と美学を胸いっぱいに吸い込んだ “Dangerous” で、リスナーの感情は須らく解放され絶対的なカタルシスへと到達するはずです。
そうして一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂は、”決して終わらない、引き返せない” 夢の続き “The Never-Ending Retraceable Dream” でその幕を閉じました。楽曲のムードが Jeff にとって “引き返せない” 夢である JOURNEY を想起させるのは偶然でしょうか、意図的でしょうか?
今回弊誌では、WORK OF ART でも活躍する稀代のコンポーザー Robert Säll にインタビューを行うことが出来ました。想像以上に明け透けな発言は、しかしだからこそ興味深い取材となっているはずです。「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」どうぞ!!

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W.E.T. “EARTRAGE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DIABLO SWING ORCHESTRA : PACIFISTICUFFS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DANIEL HÅKANSSON OF DIABLO SWING ORCHESTRA !!

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Hybrid Of Old–style Swing jazz, Classial, and metal. Sweden Based Incredible Octet Diablo Swing Orchestra Has Released More Unique, Unexpected But Ultra-catchy Masterpiece “Pacifisticuffs” !!

DISC REVIEW “PACIFISTICUFFS”

メタルワールドのアウトオブボックス。世界で最もカラフルかつユニークな悪魔の楽団 DIABLO SWING ORCHESTRA が、遂にシーンへとより深く浸透すべき新作 “Pacifisticuffs” をリリースしました!!複雑怪奇とポップを過去最高の滑らかさで融解させた作品には、タイトルに冠した “平和主義” と “殴り合い” の二律背反が見事にフィットしています。
“ポストファーストメタルタイム”。WALTARI の Kärtsy Hatakka が弊誌のインタビューで証言したクラッシックメタルとモダンメタルの偉大なる架け橋に、スウェーデンが果たした役割はあまりにも絶大でした。
MESHUGGAH, OPETH の両巨頭を挙げるまでもなく、90年代初頭から此の地の先鋭は、ベーシックなメタルのデフォルトにプログレッシブの波動、エクストリームな残虐性、フォルクローレの優美、そして複雑なリズムアプローチ等を付加してモダンメタルの礎となる百花繚乱の多様性を創世し続けているのです。
中でも、チェロやホーンセクションを備えた8人組 DIABLO SWING ORCHESTRA のエクレクティックな存在感は飛び抜けて異端だったと言えます。その名が物語る通り、メタル、ジャズ、クラッシックを等しくベースとする狂気を孕んだクロスオーバーの濁流は、アヴァンギャルド、エクスペリメンタルの狭い定義に堰き止められ限定的ながら、間違いなく強烈な印象と影響を残して来たのです。
そして、前作 “Pandora’s Piñata” から5年という長いインターバルを経てリリースしたバンドの最新作 “Pacifisticuffs” は、囚われていたその狭い檻までをも突き破り、より幅広く認知と賞賛を受けるべき作品に仕上がったと言えるでしょう。
オペラティックな歌唱でバンドの顔とも言えた Annlouice Lögdlund が脱退し、新たに Kristin Evegård を迎えたことは、結果として変化の象徴となりました。より普遍的で、しかしアンニュイかつジャジーな魅力と個性を備えた Kristin の伸びやかな歌唱は、バンドのカルトなイメージを一新させるフレッシュな起爆剤だと言えますね。
爽快でキャッチー、そしてあまりに多様なオープナー “Knucklehugs (Arm Yourself with Love)” は楽団の新たなイメージへと誘う招待状。Daniel が 「僕たちはまず、強力なメロディーやリズミックなフックといった楽曲の強固な基盤にフォーカスする傾向があるんだよ。」と語る通り、ポップパンクのコマーシャルな突進力さえ喚起する Kristin と Daniel のデュエットは、メタリックなギターリフ、スウィングするホーンセクション、そしてバンジョーとストリングスを携えたエルヴィスの祝福を一身に受けて、至上なる創造性とフックを提示します。
陽気なブルーグラスから一転、オーケストレーションとホーンをさらに前面に配した感傷的なメタルポルカ “The Age of Vulture Culture” で Kristin の完璧なる融合を証明した後、バンドは “Superhero Jagganath” でトロピカルなレゲエにハワイアン、”Lady Clandestine Chainbreaker” ではフラメンコの邪悪な誘惑にフォーカスし、”Pacifisticuffs” の音楽が世界を巡る旅であると高らかに宣言するのです。
そうして辿り着く “Jigsaw Hastle” は、故郷スウェーデンへの凱旋と言えるのかも知れません。Kristin の透明な哀愁を生かしたウルトラキャッチーなダンスチューンは、同郷の ABBA を彷彿とさせる北欧の煌びやかな風。アートワークのトライアングルから注入された電気の魔法は、きっとこの楽曲のエレクトロニカな要素へと還元されたに違いありません。
Daniel が提唱する “異なるサウンドを独自のものへと昇華する偉大なる自由” は、究極のポップと巡るエクレクティックな世界旅行の果てに遂に完成を見たのかも知れませんね。
今回弊誌では、シンガーでギタリスト、バンドの中心人物 Daniel Håkansson にインタビューを行うことが出来ました。どうやら Daniel のボーカルパートが減った理由も、Kristin の加入による理想のオクテットの完成にある様ですね。「今まで成されてきたことの “外側” について考えなくてはいけないと思うんだ。」どうぞ!!

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DIABLO SWING ORCHESTRA “PACIFISTICUFFS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAIPA : CHILDREN OF THE SOUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HANS LUNDIN OF KAIPA !!

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Legendary Swedish Progressive Rockers, Kaipa Will Bring Ethereal Melody, Great Interplay, And Beautiful Inspiration With Their New Record “Children Of The Sounds” !!

DISC REVIEW “CHILDREN OF THE SOUNDS”

スウェーデンプログレッシブシーンの開祖にしてイニシエーター、70年代から活躍を続ける芳醇なるメロディーの宝庫 KAIPA が最新作 “Children of the Sounds” を9/22にリリースします!!煌びやかでシンフォニック、その絶佳なる美しきサウンドスケープは、レトロとコンテンポラリーの華麗なる融合を誘ってベテランの底知れぬ創造性を誇示していますね。
トラッドとクラシカルを軸に、情感豊かでキャッチーなプログレッシブロックを聴かせた70年代~80年代前半。Hans Lundin と Roine Stolt、巨匠2人のマジカルなインタープレイとバンドの巧みなアンサンブルは世界中を魅了し、故に82年の活動休止は実に惜しまれた出来事でした。
バンドに新たな生命が灯ったのは休止から20年の月日を経た2002年。Hans と Roine を首謀者として、 Morgan Ågren (MATS/MORGAN BAND), Jonas Reingold (THE FLOWER KINGS), Aleena Gibson, Patrik Lundström (RITUAL)という超一流の実力者を揃えたラインナップで復活を遂げた KAIPA は、2005年の Roine 脱退以降も新たにマエストロ Per Nilsson (SCAR SYMMETRY) を加えてコンスタントに良作を発表し続けているのです。
「僕たちは “サウンドの子供たち” であるという想像に至ったんだ。人生で経験して来た音楽を集めて新たな創造をもたらし、フレッシュな音楽を描くというね。」 と語るように、”Children of the Sounds” は、KAIPA のマスターマインド Hans Lundin の潜在意識へと集積された “音楽の種子” が芽吹き、全5曲58分の壮大なるエピックへと成長を遂げた登熟の一枚だと言えるでしょう。
アルバムオープナー、12分のタイトルトラック “Children of the Sounds” はまさにその Hans の哲学を完璧に反映した楽曲です。「僕はいつも、潜在意識のどこかに隠れている偉大で忘れ難いメロディーを出発点として見つけようとするんだよ。僕はそれを良くボーカルメロディーやメインテーマにしたりするんだ。」 という証言は非常に音楽的でインテリジェンスな彼のやり方を裏付けます。
クラッシックやジャズ、ミュージカルで良く使用されるこの “テーマを膨らませる” 手法は、例えばプログメタルに有りがちな様々な異なるパートを複雑に繋いで行く煩雑な手法よりも、楽曲の主題をリスナーに印象づけるという点において非常に有効です。そして 「僕はメインテーマに様々なバリエーションを持たせる技法を良く使用するよ。時には拍子を変えて、時には同じコードで新たに楽器でメロディーを書いたり、時には主題の断片を含ませたり、時にはコードのベースノートだけを変えて少し変わったフィーリングを出すこともあるね。」 と Hans が語る通り、”Children of the Sounds” におけるテーマの膨らませ方は本当に見事の一言ですね。
“ドーシーラーソラー” というシンプルにして心に染み入るメロディーは、Aleena のエモーショナルな女声を発端に、テンポ、拍子、コード、キー、メジャー/マイナーなどを入れ替えながら、万華鏡のようにその姿を変え躍動し、楽曲に無上の彩と強烈な印象を加えていくのです。
再結成以降、ライブは一切行わず、レコーディングも Hans の制作したデモから全てをファイルシェアで行っている KAIPA。とはいえ、「他のメンバーとはもう長年一緒にやって来ているから、デモを作っている間にも彼らの存在を感じることが出来るし、彼らが実際にプレイした最終形も想像することが出来るんだ。」 と語ってくれた通り、Per のメロディックでしかしコンテンポラリーなスマートかつソニカルなギタープレイ、Aleena と Patrick のジャニスとフレディー・マーキュリーを思わせるエモーショナルでコントラストを育むデュエット、Jonas と Morgan の繊細かつダイナミックなリズムワーク、そして Hans のノスタルジックで温かみのあるシンセサウンドは全てが適材適所。美麗なるヴァイオリンや笛の音色まで全てが Hans のデザインを巧みにグレードアップさせ、アートワークにも反映されたファンタジックで、自然に対するスピリチュアルなインスピレーションを見事具現化しているのです。
17分に及ぶ一大エピック、時にソフトに時にエッジーに、70年代のスピリットとモダンなプロダクションで木々や鳥たち、自然にフォーカスした “On The Edge of New Horizon” は Hans だけでなく、まさにバンド KAIPA としてのゴールが達成された瞬間なのかも知れませんね。
今回弊誌では Hans Lundin にインタビューを行うことが出来ました。音楽は音学でもあります。学問は一時の思いつきでは決してなく、太古から積み重ねられてきた知識の集積です。そういった意味で Hans の言う “音楽のライブラリー” からの創造、そしてトラディショナルで正攻法な作曲の手法は実に理に叶っており、これからコンポーザーを志す人たちにとって最高の指南書になるのではないでしょうか。どうぞ!!

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KAIPA “CHILDREN OF THE SOUNDS” : 9.8/10

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