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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WILDERUN : EPIGONE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH EVAN BERRY OF WILDERUN !!

“Ideas Flow Through Us, We Can Only Try Our Best To Make Something New Out Of It, But Whatever It Is We Create Will Inevitably Be Shaped By a Myriad Of Things That Came Before Us.”

DISC REVIEW “EPIGONE”

「”Veil of Imagination” はこれまでの僕らのキャリアの中で最も大きな意味を持つレコードだった。 カラフルでエキセントリックな感じがより多くの人の心を掴んだというか、”もっと変わったことがしたい!” という気持ちが実を結んだのかもしれないね」
2012年の結成以来、ボストンを拠点とするプログレッシブ/フォーク・メタルの新鋭 WILDERUN は、創意工夫とたゆまぬ努力を続けてこのジャンルの “特別” を勝ち取りました。
特に、ファンやメディアから絶賛を受け、Century Media との契約にもつながった2019年の “Veil of Imagination” では文字通りその創造性のベールをすべて取り去り、素晴らしくカラフルでメロディック、ブルータル、グローリアスかつ全方位的なサブジャンルを探検し、彼らが HAKEN や LEPROUS と同じ土俵に登りつめたことを圧倒的に証明しました。まさに、モダン・プログレッシブ・メタルの旗手、プログレッシブの希望。そんな評価を確実のものとしたのです。
「パンデミックでキャリアを中断された苛立ちが、心の挫折感に光を当てたんだと思う。特にロックダウンで孤立しているときは、そういう思いが渦巻いてしまう。だから、自分の自信のなさや至らなさについて考える時間がたくさんあったんだと思うんだよ。つまり、自分が “Epigone” じゃないかって疑念を抱いたわけさ」
そんな WILDERUN の快進撃を阻んだものこそパンデミックでした。Evan が陰陽の関係と語るレコーディングとライブ。どちらかが欠けても立ち行かないバンド運営の根源、その一つが失われた結果、彼らはアルバムの成果をファンと祝い分かち合うこともできず、暗闇に立ち止まることとなります。闇は孤独と挫折感を生みます。一人になった Evan Berry は自信を失い、自らと芸術の関係性を省みて、自分には創造性が欠けているのではないか、自己が生み出す音楽は “Epigone” なのではないか、そんな疑念を抱いたのです。
「芸術や創造性に関して言えば、自由意志はどこにあるのかわかりにくいものだ。だけど自分のものか他人のものかわからないアイデアはどんどん出てくるし、そこから新しいものを生み出そうと頑張るしかないんだよね。だから結局、僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。そんなことを、僕は自分の至らなさや独創性のなさを感じたときに、思い出すようにしているんだよ」
“Epigone” とは、優れた先人のアートを安易にパクる人たちのこと。たしかに、独創と模倣の境界は曖昧です。芸術にしても学問にしても、ゼロから何かを生み出す超人などは存在するはずもなく、私たちは先人たちの積み木の上に少しづつ積み木を継ぎ足して新たな何かを創造します。目や耳、五感が知らないうちに何かを吸収して、そこから自らの創作物が解き放たれることもあるでしょう。とはいえ、正直に思い悩み、告白した Evan Berry の音楽はあまりに “Epigone” とは程遠い、10年に一度の傑作です。
「僕は多くの点で WILDERUN をメタル・バンドと呼ぶことに抵抗を感じているんだ。確かにメタルは大好きだし、僕ら全員にとって重要な要素だよ。だけど、音楽を創るという意味では、メタルは土台というより道具だといつも思っているんだ」
多くのファンが WILDERUN をプログに残されたほんの僅かな希望だと信じる一方で、Evan は彼らの期待を気にかけないようにしています。気にかけてしまうと、自分らしい音楽が書けなくなってしまうから。そんな繊細さと優しさを併せ持つ人物が “Epigone” であるはずもなく、そうしてこのアルバムはプログやメタルを超越した完璧なる音のドラマ、”メタ” の領域へと到達しました。オーケストレーション/キーボード担当の Wayne Ingram があの Hans Zimmer の弟子であることがインタビューで語られていますが、まさにこのアルバムは音楽が雄弁にストーリーを語る大作映画の趣を誇っているのです。
“Epigone” は優しく、内省的で、哲学的な “Exhaler” で幕を開けます。たしかに、このレコードは、作品のテーマに寄り添うようにバンドのメロウで繊細な一面が強調されています。ドリーミーなシンセとアルペジオの連動、そして祝祭的なリズムが印象的な “Identifier”、精神的な思索が渦巻く瞑想的なフィルムスコア “Distraction III”。
「このアルバムには繊細で美しい部分がたくさんあるにもかかわらず、不穏な雰囲気が漂っているように感じるんだよね」
ただしそれもあくまでこの巨編の一面にしかすぎません。道具として配置されたメタリックな獰猛やアヴァンギャルドな冒険、そしてテクニカルな流麗はアルバムを二次元から三次元に、傍観から体験へと押し上げていきます。14分の “Woolgatherer” は軽快に始まり、すぐにコーラス、パーカッション、不吉な叫び、ねじれたギターワーク、オーケストレーションの泉、そして雷のようなディストーションで狂気のマラソンに突入する奇跡の一曲で、ある意味、プログ・メタルが今できることのすべて以上を詰め込んだ限界突破のアート。 何より圧倒的なのは、テーマやモチーフの膨らませ方。千変万化、壮大苛烈な “Passenger”、不気味なサウンドコラージュとノイズまで抱きしめた “Distraction Null” も含めて WILDERUN の野心はまさに “不穏” でとどまることを知りません。
アルバムにはボーナストラックとして、RADIOHEAD のカバー “Everything In Its Right Place” が収録されています。オーセンティックでありながら、時に彼らのオリジナルのように聴こえる息を呑むような優れたオマージュは、”Epigone” の本質を指しているようにも思えます。アルバム本編にも RADIOHEAD 的なイメージは見え隠れしていますが、当たり前のように両者はまったく異なるアートを創出しています。僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。だけどそこに留まってはいないんだ。そんな Evan の新たな決意が伝わってくるように感じられました。
今回弊誌では、Evan Berry にインタビューを行うことができました。「僕にとってベストなやり方は、個人的に好きな音楽を作り続け、他の人たちがそれを好きになってくれることを願うという方法。 それが、これまで僕にとって唯一うまくいってきた方法で、創造性が壊されない状態に僕を導くことができ、その瞬間 “ゾーン” に留まることができる唯一のやり方なんだ」 3度目の登場。 どうぞ!!

WILDERUN “EPIGONE” : 10/10

INTERVIEW WITH EVAN BERRY

Q1: I was surprised to find out that your big love about Japanese music and anime. How did you get into it and what artists, anime and games do you love?

【EVAN】: My first exposure to Japanese music was, not surprisingly, through metal. I think I heard both Boris and Sigh back in high school, and I was really intrigued. I saw Boris twice over here in the states and really loved it. My girlfriend is more familiar than I am with the Japanese music scene, but she has turned me on to some great rock bands such as Tricot, Polysics and Mass of the Fermenting Dregs. I’ve come to appreciate some J-pop as well. I may be losing some serious metal cred here, but we saw Kyary Pamyu Pamyu in NYC in 2018, and it was actually amazing. As for anime, I am actually in the middle of watching “Serial Experiments Lain” right now, and it is super intriguing. Some other favorites are Psychopass, Trigun and Full Metal Alchemist Brotherhood. As for games, I am pretty mainstream having grown up on Nintendo and such. I recently played Silent Hill 2, 3 and 4 for the first time, and they were all incredible, especially their soundtracks. I really hope to make it to Japan soon! Also, being a huge roller coaster enthusiast, Fuji-Q Highland and Nagashima Spa Land are two bucket list parks for me.

Q1: あなたが日本の音楽やアニメにとても詳しいと知って驚きましたよ。

【EVAN】: 僕が初めて日本の音楽に触れたのは、メタルを通してだった。驚くべきことじゃないけどね。高校生の頃、BORIS と SIGH の両方を聴いて、とても興味をそそられたんだよね。BORIS はアメリカで2回見て、本当に気に入ったんだ。
僕の彼女は僕よりも日本の音楽シーンに詳しいんだけど、Tricot, Polysics, Mass of the Fermenting Dregs といった素晴らしいロックバンドを紹介してくれたよ。J-POPの良さもわかってきたね。メタルの信用を失うかもしれないほど深刻な事態だけど、2018年にきゃりーぱみゅぱみゅをNYで見て、実際素晴らしかったんだ。
アニメに関しては、実は今 “Serial Experiments Lain” を見ている最中なんだけど、めちゃくちゃ興味津々なんだ。他に好きなのは “サイコパス”, “トライガン”, “鋼の錬金術師” なんかだね。
ゲームに関しては、任天堂などで育ったから、かなりメインストリームが好みかな。最近初めてサイレントヒル2、3、4をプレイしたんだけど、どれも素晴らしくて、特にサウンドトラックが最高だったよ。早く日本に行きたいね。ジェットコースターが大好きだから、富士急ハイランドとナガシマスパーランドは絶対行きたいんだよ!

Q2: “Veil of Imagination” was very well received by fans and many media outlets! It was also voted the third best album of 2019 by our magazine. After the release of “Veil of Imagination”, you signed a contract with Century Media, and it was a life-changing album for you, wasn’t it?

【EVAN】: Wow, thank you! We’re honored to be ranked so highly by your magazine 🙂 Yes indeed, overall “Veil” was the most significant record in our career thus far. I suppose it just had a colorful and eccentric nature that grabbed more people than before, so I think our desire to get a bit weirder paid off! Also, and probably just as importantly, “Veil” was the first album where we invested some money into hiring a PR agency to help promote the album. Adrenaline PR did a great job getting our name out there more than we could do on our own, and I know it got the album in the hands of a few people that have helped our career. In retrospect, I wish we had done this with our first two albums (or at the very least “Sleep at the Edge of the Earth”), but hindsight is always 20/20.

Q2: さて、前作の “Veil of Imagination” はファンやメディアから大絶賛された作品でしたね。実際、弊誌でも2019位のベストリスト3位に選出しました。
リリースの後に Century Media と契約を果たしましたし、まさに人生を変えたアルバムだったんじゃないですか?

【EVAN】: わあ、ありがとう!貴誌で上位にランクされて、光栄だよ!そうだね、全体的に “Veil of Imagination” はこれまでの僕らのキャリアの中で最も大きな意味を持つレコードだった。 カラフルでエキセントリックな感じがより多くの人の心を掴んだというか、「もっと変わったことがしたい!」という気持ちが実を結んだというか。
あと “Veil” は、アルバムのプロモーションのために、PR会社を雇ってお金を投資した最初のアルバムでもあるんだ。アドレナリンPRは、自分たちだけではできないような素晴らしい仕事をしてくれて、僕らのキャリアを支えてくれる新たな人たちの手にこのアルバムを届けてくれたんだ。 振り返ってみると、最初の2枚のアルバム(あるいは少なくとも “Sleep at the Edge of the Earth” だけ)でもこうしていればよかったと思うんだけど、後悔先に立たずということだろうね。

Q3: A lot of people started to treat Wilderun as the flag bearer or hope of progressive metal. How do you feel about those expectations?

【EVAN】: To be honest, I try to not think about those things all too often, haha! As flattered as I am by that sentiment, and as much as I appreciate the love from those fans, I know that if I focused too much on audience expectation, it would create a lot of pressure and would most likely stifle a lot of my creativity. I’ve actually had moments where I’ve been overwhelmed by thoughts like that, and I’ve had to dig myself out of self-critical holes. (Some of the lyrics on “Epigone” actually deal with some of these issues). The best thing for me to do is just continue trying to make music I personally love, and hope other people like it. That’s the only thing that’s worked for me thus far, and it’s the only thing that can get me in a state of uncorrupted creativity, and stay in the zone during those moments, which are actually a lot more fleeting and rare than most people would probably assume.

Q3: 新たな人たちの手にアルバムが届いた結果、あなたたちはプログ・メタルの旗手、希望として扱われるようになりましたね?
そういった大きな期待についてはどう感じていますか?

【EVAN】: 正直、あまりそういうことは考えないようにしているんだよね(笑)。だって、リスナーの期待に応えようとしすぎると、プレッシャーになり、自分のクリエイティビティが損なわれてしまうと思うからね。実際に、そういう思いに押しつぶされそうになって、自己批判の穴から自分を助け出したこともあるんだよ。”Epigone” の歌詞の中には、実際にそういった問題を扱っている曲があるくらいでね。
僕にとってベストなやり方は、個人的に好きな音楽を作り続け、他の人たちがそれを好きになってくれることを願うという方法。 それが、これまで僕にとって唯一うまくいってきた方法で、創造性が壊されない状態に僕を導くことができ、その瞬間 “ゾーン” に留まることができる唯一のやり方なんだ。実際には、それはほとんどの人が思っているよりもずっとはかなくて稀なことなんだけどね 。

Q4: But by the time “Epigone” was completed, there were pandemics, presidential elections, and BLM, and the division of the world became more apparent, right? Did those situations influence the new record?

【EVAN】: I think the biggest effect it had on us was that it robbed us of the opportunity to truly celebrate “Veil of Imagination”. I’ve come to realize over the years that there is a sort of Ying/Yang between recording an album and playing shows. They are very different, but they compliment each other. You put your heart and soul into the music while writing and recording, which is why it is ultimately the most satisfying part of the process, but then you use touring and shows to celebrate the achievement of the final product. Unfortunately, because of the pandemic, we only got a grand total of 8 shows in support of “Veil”. It was difficult to get working on a new record so soon, and there were a few months where I know I hesitated. Even though we ultimately decided making a new album would be the best use of our time, I do think that frustration and sorrow made its way on “Epigone”, even if it’s in a subconscious way.

Q4: 前作から “Epigone” までのインターバルで、世界は大きく変わりました。パンデミック、大統領選、BLM…世界の分断がより露わになったようにも思えます。

【EVAN】: まあ、僕たちにとっては “Veil of Imagination” を心から祝福する機会が奪われてしまったことが、一番大きな影響だったと思うな。アルバムのレコーディングとライヴの間には、ある種陰陽の関係があるのだと、この数年で理解するようになってね。両者はまったく異なるものだけど、互いに補完し合っているんだよ。つまり、曲作りとレコーディングに心血を注ぎ、それが最終的に最も満足のいくプロセスだとしたら、ツアーとライヴは出来上がった作品の完成を祝うために行うものなんだ。
残念ながらパンデミックの影響で、”Veil” を引っ提げたライヴは全部で8回しか行えなかった。あまり早くに新譜の制作に取りかかるのは難しくて、数カ月は躊躇したこともあったと思う。最終的に新しいアルバムを作ることが一番良い時間の使い方だと判断したとはいえ、そのフラストレーションや悲しみは、無意識のうちに “Epigone” に封入されていると思う。

Q5: “Epigone” refers to artists who create unoriginal works by appropriating or imitating the styles of their predecessors, who are considered to be superior, right? Why did you choose this title for your latest work?

【EVAN】: All my lyrics come from a personal place, and I think the frustration of our career being put on hold really shined a light on my feelings of failure. These sorts of thoughts can really spiral, especially when you’re in isolation, so I think I just had a lot of time to muse on my own feelings of self-doubt and inadequacy. It also made me start to rethink a lot of how I defined myself as a human being, and how much I can connect my self-worth with my career and achievements, and what a trap that way of thinking can become. It’s very easy to lose sight of the truly transcendent nature of music and art once you become too directly tied to it, and your identity becomes too wrapped up in it, so a lot of this album seeks to break that connection.

Q5: “Epigone” とは、優れた先人の作品を粗雑に模倣する芸術家、平たく言えば安易にパクるアーティストのことだそうですね?

【EVAN】: 僕の歌詞はすべて個人的なもので、パンデミックでキャリアを中断された苛立ちが、心の挫折感に光を当てたんだと思う。特にロックダウンで孤立しているときは、そういう思いが渦巻いてしまう。だから、自分の自信のなさや至らなさについて考える時間がたくさんあったんだと思うんだよ。つまり、自分が “Epigone” じゃないかって疑念を抱いたわけさ。
自分を人間としてどう定義するかについて再考の時間になったんだよ。自分の価値とキャリアや実績を結びつけて考えること、その考え方がいかに “危険な罠” なのかを考え直すきっかけにもなったね。音楽や芸術と直接的に結びつきすぎて自分のアイデンティティがそれに包まれてしまうと、音楽や芸術の真の超越的な本質を見失いがちになるからね。

Q6: However, I believe that there is no such thing as an artist who creates something from nothing, and that everyone combines several influences and creates something new from them. There will be times when the pain of childbirth makes it easy to imitate. But, whether we add our own personality and identity to it or not, the result will be very different, would you agree?

【EVAN】: Yeah absolutely. We are all the result of a giant mix of things we didn’t decide and could’ve never chosen for ourselves. We don’t even truly choose what we like, we are simply drawn to whatever it is that grabs our attention. Not to get too deep into a discussion about free will, but especially when concerning art and creativity, it is hard to see where the free will is in that. Ideas flow through us, we can only try our best to make something new out of it, but whatever it is we create will inevitably be shaped by a myriad of things that came before us. These are certainly the types of things I try to remind myself of when I’m feeling inadequate or unoriginal.

Q6: ただ、私はゼロから何かを生み出せる芸術家など存在しないと信じていて、全員が何かしらの影響を組み合わせながら新たな光を創造していると思うんですよね。もちろん、そこに産みの苦しみを抱えながら。
結局、創造物に自らの個性やアイデンティティを加えられるかどうかで、結果も大きく変わってきますよね?

【EVAN】: うん、間違いなくそうだよね。もっと言えば、僕たちは皆、自分で決めたわけでもなく、自分で選ぶこともできなかった影響が、巨大に混ざり合った結果なんだよね。僕たちは、自分の好きなものをすべて本当に選んでいるわけではなく、それが何であれ、単に注意を引くものに引き寄せられるだけなのかもしれないよね。
自由意志についての議論に深入りするつもりはないけれど、特に芸術や創造性に関して言えば、自由意志はどこにあるのかわかりにくいものだ。だけど自分のものか他人のものかわからないアイデアはどんどん出てくるし、そこから新しいものを生み出そうと頑張るしかないんだよね。だから結局、僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。そんなことを、僕は自分の至らなさや独創性のなさを感じたときに、思い出すようにしているんだよ。

Q7: But “Epigone” is still overwhelming! I was impressed by “Veil of imagination”, but this album takes metal to the stage of a classic movie or a Shakespearean opera. The art is the opposite of “Epigone”, isn’t it? Compared to “Veil of Imagination”, it’s more mellow and delicate, with fewer heavy parts, which creates a wonderful contrasting magic, doesn’t it?

【EVAN】: Thank you! Yeah, there are definitely even more quiet parts on this album. I know some of our more ‘metal’ fans may not be as stoked on that aspect, but in a lot of ways I have a hard time even calling Wilderun a metal band. We certainly love metal, and it is an important part of all of us, but in regards to creating music, I’ve always thought of metal more as a tool than as a foundation. It is a wonderful thing to utilize to help create drama and dynamics, and if you want your music to reach some soaring heights and intensity, it doesn’t get much better than metal in terms of sonics and aesthetics. But yeah, the songs on “Epigone” just happen to have fewer of those this time around. It wasn’t really by choice, the songs just naturally seemed to turn out that way. But I like to think the heavy parts still contribute a lot when they do enter.

Q7: ただ、少なくとも “Epigone” というアルバムは、”エピゴーン” とはかけ離れた作品ですよ。前作よりデリケートでメロウで、メタルを名作映画やシェイクスピアの領域にまで押し上げていますね?

【EVAN】: ありがとう!うん、確かに今回のアルバムでは静かなパートがさらに多くなっているね。メタル・ファンの中には、その点をあまり良く思っていない人もいるかもしれないけど、僕は多くの点で WILDERUN をメタル・バンドと呼ぶことに抵抗を感じているんだ。確かにメタルは大好きだし、僕ら全員にとって重要な要素だよ。だけど、音楽を創るという意味では、メタルは土台というより道具だといつも思っていてね。
メタルはドラマやダイナミクスを生み出すために活用できる素晴らしい道具で、もし自分の音楽を高みや激しさに到達させたいのであれば、音響や美学の面でメタルに勝るものはないだろうね。 まあだから、”Epigone” の曲は、たまたまそういうのが少なかっただけなんだ。別に選んでそうなったわけではなくて、自然とそういう曲になったという感じかな。でも、ヘヴィなパートが入ることで、まだアルバムに多くの貢献をしてくれていると思いたいね。

Q8: It seems that Joe Gettler has left the band and Wayne Ingram, who is in charge of keyboards and orchestration, is back on lead guitar as well. But Joe is still playing on this album, isn’t he? But now that I know Wayne worked with Hans Zimmer, I understand why his orchestration is so great, haha!

【EVAN】: Yeah, it’s been a bit confusing for some, especially considering Wayne is playing guitar in the music videos, but Joe did indeed record all the lead guitars on “Epigone”. It was basically the last thing he did with the band before deciding to leave. We were sad to see him go, but he needed to focus on his career as a tattoo artist (he’s an amazing visual artist, by the way), and since we are all good friends, we completely understood and wish him well. Luckily Wayne was in a place in his life where he could take up the mantle of lead guitarist once again, so it worked out nicely. And yes, Wayne certainly worked on his orchestrating chops a lot during his time with Hans Zimmer, which has been very beneficial for us! I think I can easily say his work on “Epigone” is his best so far.

Q8: リード・ギタリスト Joe Gettler はこのアルバムのレコーディングを最後にバンドを脱退し、キーボードとオーケストレーションを担当している Wayne Ingram が再びギターも兼任するようですね?
それにしても、Wayne は Hans Zimmer と仕事をしていたんですね?このアルバムのオーケストレーションが極上な理由が理解できた気がします(笑)

【EVAN】: そうなんだ。Wayne がミュージック・ビデオでリード・ギターを弾いていることを考えるとちょっと分かりにくいんだけど、”Epigone” では確かに Joe がすべてのリード・ギターを録音しているんだ。彼が脱退を決意する前に行った最後の貢献がこのアルバムだったんだ。彼が去るのを見るのは悲しいけれど、彼はタトゥー・アーティストとしてのキャリアに集中する必要があったし(ちなみに彼は素晴らしいビジュアル・アーティストだよ)、僕たちはみんな良い友達だから、彼の幸せを願って脱退も完全に理解していたよ。
幸運なことに、Wayne が再びリード・ギタリストの座につくことができる状況にあったから、うまくいったんだ。 そうそう、Wayne は Hans Zimmeと一緒にいる間にオーケストレーションの腕を磨いたんだ。”Epigone” での彼の仕事は、これまでで最高のものだと断言できるよ。

Q9: And the most wonderful thing is your vocals. You’ve become one of the leading vocalists in the metal world! You are able to manipulate emotions in a transformative way, from ferocious growls to Beatles-like singing. The “Destruction” suite at the end is especially incredible, and the unexpectedness of bringing chaos at the end is really so you, would you agree?

【EVAN】: Thank you so much, that really means a lot! I do feel more confident in my vocals now than I used to, so it is great to hear that it comes across on the album. And yeah, we were really happy with how that ending turned out. The chords and melody I had written for that part were already on the darker/brooding side, but since it’s the end of the album, we wanted to turn up the chaos a notch, so we implemented a lot of noise and synth work into it, to really try to create a hellish maelstrom. We don’t get many opportunities to get That dark, so it was a lot of fun. As I mentioned before, even though there are a lot of delicate, pretty parts on this album, I still feel like there is an undertone that is unsettling. Sort of like a watcher in the dark that doesn’t let itself be known very often, but you can feel its presence. So the ending fully leans into that side of things, for a brief moment.

Q9: いかにオーケストレーションが素晴らしくても、このアルバムで最も輝いているのはあなたの歌ですよ!もはや、メタル世界を牽引するボーカリストですね。獰猛なグロウルから、ビートルズのようなクリーンまで、感情を操る歌唱であなたの右に出るものはそうそういないでしょう。
特にアルバム終盤の “Destruction” 組曲は実にダイナミックで、最終盤に襲い来るカオスには圧倒されましたよ。

【EVAN】: 本当にありがとう。以前より自分のボーカルに自信が持てるようになったから、それがアルバムで伝わったと聞いてとてもうれしいよ。
そうそう、あのエンディングの出来栄えには本当に満足しているんだ。あの部分のために書いたコードとメロディーはすでにダークで陰鬱なものだったけど、アルバムの最後だからカオスをさらに高めたいと思って、ノイズとシンセをたくさん使って、地獄のような大混乱を作り出そうとしたんだよね。そこまでダークになる機会はあまりないから、とても楽しかったよ。
このアルバムには繊細で美しい部分がたくさんあるにもかかわらず、不穏な雰囲気が漂っているように感じるんだよね。暗闇の中の監視者のようなもので、あまり自分の存在を知らせないけれども、その存在を感じることができる。 だから、エンディングで一瞬だけ、そっちの方に傾いたんだと思う。

EVAN’S TOP FIVE 2021’s ALBUMS

MAGDALENA BAY “MERCURIAL WORLD”

KERO KERO BONITO “CIVILISATION Ⅱ”

HIATUS KAIYOTE “MOOD VALIANT”

LIL UGLY MANE “VOLCANIC BIRD ENEMY AND THE VOICED CONCERN”

SQUID “BRIGHT GREEN FIELD”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you to everyone in Japan who has supported us in some way, or just listened, we appreciate you so much! Coming to Japan to play is one of our biggest dreams, so I really hope we can make it happen one day.

僕たちを何らかの形でサポートしてくれた、あるいは聴いてくれた日本の皆さん、本当にありがとう!日本で演奏することは僕らの大きな夢の一つだから、いつか実現できたらいいなと思っているんだ。

EVAN BERRY

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CENTURY MEDIA RECORDS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【POWER PALADIN : WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL 】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KRILLI & INGI OF POWER PALADIN !!

“Iceland Is Our Home, To Us , Our Landscape Is Mundane. Weirdly, We find Landscapes And Environments That Others Would Consider Mundane – Big Cities, Flat Plains, And So On – Quite Exotic And Inspiring!”

DISC REVIEW “WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL”

「パワー・メタルはすべてがファンタジーの世界だから、アイスランドの火山や氷がインスピレーションと思われがちだけど、実はそうじゃないんだよね。アイスランドは僕らの故郷で、僕らにとっては平凡な場所なんだよね。だから不思議なことに、他の人が平凡だと思うような風景や環境 – 大都市や平坦な平野など – が、とてもエキゾチックで刺激的だと感じているんだよ」
光と陰の広々としたポストロック、感情的でアトモスフェリックなブラックメタル、伝統にひねりを加えたフォーク・ロックといった音景色はすべて、スカンジナビア最西端に位置する火山と氷の荒涼としたアイスランド、その地形と違和感なくつながります。では、魔法にドラゴン、賢者でありながら剣を振るうパラディンが登場するパワー・メタルはどうでしょう?
極限の自然環境もファンタジーには不可欠、そう思われがちですが、この国で唯一のパワー・メタラー POWER PALADIN はむしろ、自国にはない大都市や平坦な平野からインスピレーションを受けています。彼らにとっては平凡こそが非日常だから。結局、創造の源は人それぞれ。出自はすべてではありません。そうして私たちにとっては当たり前の光景から啓示を受けた新鋭の描き出す音楽は、完膚なきまでに非日常のファンタジーとなりました。
「ライブを始める前にファンタジックな格好をするようなバンドになったらどうかという話もあったんだけど、最終的にそれはやめて、もっとリラックスしたメタルのアプローチでステージ衣装を選ぶことにしたよ。ステージに小道具を持ち込むことはあるけど、おそらく僕たちがあの “ドレスアップ・ゲーム” に参加するようなことはないだろうな」
パラディンとは、勇気と決意を魔法に託し、不屈の魂で業物まで振るう文武両道の勇士。メガギルド Nuclear Blast の OB が立ち上げた新ギルド Atomic Fire の先頭に立ち剣を高々と振り上げたのは、他ならぬレイキャビクの POWER PALADIN でした。弦張斧と鍵盤弓で武装した6人の高貴な戦士たちは、メタル背教者をなぎ倒しつつ、まもなく何十万ものメタル・ソルジャーをその背後に従えていくはずです。なぜなら彼らは見た目や出自よりもっと重要なものを心得ているから。真の文武両道はその精神こそ清らかです。
「僕は MEGADETH や METALLICA みたいなスラッシュ・メタルや PINK FLOYD のようなプログ・ロックで育ったから、今までもこれからも僕の曲作りにはそういった音楽が大きな影響を与えるだろうね。僕と Atli と Bjarni Egill はグラム・ロックのカバー・バンドで一緒に演奏していたから、その時代からの影響もあるだろうね」
メタルのバトル・フィールドはやはり音楽です。当然、POWER PALADIN の根幹をなすのは勇壮無比なパワー・メタル。DRAGONFORCE を想起させるシュレッドの宇宙で絶世のボーカリスト Atli Guðlaugsson が内なる Kiske と交信する “Righteous Fury” や、炎以前の RHAPSODY の如くタンデム・ギターが駆け巡る “Ride The Distant Storm”、ミッドペースの重圧 (ハンマー・フォール) に拳を突き上げざるを得ない “Evermore” など、”With The Magic Of Windfyre Steel” にはパワー・メタルに求められる要素すべてが詰まっています。GAMMA RAY や BLIND GUARDIAN が醸し出した、90年代初頭のエッセンスが各所に散りばめられているのも嬉しい限り。
ただし、POWER PALADIN は、パワー・メタルの先人たちが育んだ優れた音片を無機質なモニュメントへと単純に貼り付けたコピー・キャットではありません。DOKKEN と見紛うばかりの絢爛なコーラスと美麗なメロディーが疾走する “Kraven The Hunte” こそ彼らが特別な勇者である証。”Dark Crystal” のメロパワとは一味違った北欧的クリスタルなセンス、”Into The Forbidden Forest” のプログレッシブな展開、”There Can Be Only One” のオリエンタルなハイトーン・マジック、そのすべてが彼らの強烈な個性として爆発的な扇情力と共にリスナーを多彩な異世界へと連れ去るのです。最後の飾りつけは RPG の音細工。
今回弊誌では、ベーシスト Krilli とギタリスト Ingi にインタビューを行うことができました。「日本のものも含めて RPG にはかなり影響されているね。実際、”Righteous Fury” のソロの直前には “ゼルダの伝説” へのオマージュが込められている」どうぞ!!

POWER PALADIN “WITH THE MAGIC OF WINDFYRE STEEL” : 9.9/10

INTERVIEW WITH KRILLI & INGI

Q1: When I think of Iceland, I think first of Sigur Ros and Bjork, and then of the soccer player Eiður Smári Guðjohnsen, haha. Even in metal, there are bands like Sólstafir that are more atmospheric than technical and heavy, aren’t there? Why did you guys decide to pursue Power metal in Iceland?

【KRILLI】: I don’t really think our location had anything to do with it. We simply love power metal, so we made power metal. There certainly aren’t many other power metal bands in the country, though – We are the only active one at this time!

【INGI】: There are many atmospheric bands here for sure, and you can hear that from the black metal scene especially but we do have some very technical bands as well like Ophidian I and Cult of LIlith! Those guys play with a technicality that outshines most.

Q1: アイスランドといえば、まず思い出すのが Sigur Ros と Bjork、あとはサッカー選手のグジョンセンですかね (笑)。
メタルで有名なバンドも、テクニックや重さ速さよりアトモスフィアを重視した Sólstafir でしょうし、あなたたちがパワー・メタルを志したのが少し不思議に感じますよ。

【KRILLI】: 僕は、住んでいる場所は音楽と全然関係ないと思っているよ。僕たちは単にパワー・メタルを愛しているから、パワー・メタルをやっているんだ。とはいえ、間違いなくこの国にほかのパワー・メタルバンドはそう多くはないね。だから、今のところ、僕たちがアイスランドで唯一のパワー・メタルバンドさ!

【INGI】: たしかに、アイスランドにはアトモスフェリックなバンドが多いよね。特に、ブラックメタルのシーンはそういった傾向にあるんじゃないかな。でも同時に、OPHIDIAN I とか CULT OF LILITH みたいなめちゃくちゃテクニカルなバンドも存在するんだよね。あの人たちはホント、他の人たちを圧倒するようなテクニカルなプレーをするんだよ!

Q2: But When I think of Iceland, I think of nature, both harsh and beautiful. It also fits in with your fantastic worldview. How does a world surrounded by volcanoes and ice influence your music?

【KRILLI】: I don’t think it does. Power metal is all about the fantastical. Iceland is our home, to us it is mundane. Weirdly, we find landscapes and environments that others would consider mundane – Big cities, flat plains, and so on – Quite exotic and inspiring!

【INGI】: There’s nothing more inspirational for me than forests and trees – we barely have any of that here so like Krilli said, our nature is mundane to us like trees are mundane to people on the mainland of Europe haha. Although I do get some inspiration while driving through the fjords on the east of the country – but mainly it makes me want to write atmospheric stuff – not power metal.

Q2: アイスランドは、厳しくも美しい自然に囲まれているわけですが、そういった火山や氷からファンタジックなインスピレーションを受けることもあるのでしょうか?

【KRILLI】: パワー・メタルはすべてがファンタジーの世界だから、アイスランドの火山や氷がインスピレーションと思われがちだけど、実はそうじゃないんだよね。アイスランドは僕らの故郷で、僕らにとっては平凡な場所なんだよね。だから不思議なことに、他の人が平凡だと思うような風景や環境 – 大都市や平坦な平野など – が、とてもエキゾチックで刺激的だと感じているんだよ。

【INGI】: 僕にとっては森や木ほどインスピレーションを与えてくれるものはないよ。というのも、アイスランドにはそれがほとんどないからね。Krilli が言ったように、ヨーロッパ本土の人々にとって木が平凡であるように、僕たちにとって火山や氷のような自然は平凡なものなんだ(笑)。
ヨーロッパの東にあるフィヨルドをドライブしているときにもインスピレーションを得ることができるんだけど、主にパワーメタルではなくアトモスフェリックなものを書きたくなるね。

Q3: You’re the first artist to be released on Atomic Fire, right? Why did you decide to sign with this label?

【KRILLI】: It just kind of happened! We sent the album to our friend Þorsteinn, who organizes Wacken Metal Battle Iceland among other things. He sent it to some industry friends, including Markus from Atomic Fire and he wanted to talk to us – Things just kept rolling from there.

Q3: 話題の新レーベル、Atomic Fire 初のアーティストとなりましたね?

【KRILLI】: 気がついたらそうなっていたんだよ! Wacken Metal Battle Iceland のオーガナイザーである友人の Þorsteinn にアルバムを送ったんだ。彼はそれを Atomic Fire の Markus を含む業界の友人たちに送り、彼は俺たちと話をしたいと言ってきたわけさ。

Q4: Anyway, the band name “Power Paladin” is very strong, isn’t it? Why did you choose this name?

【KRILLI】: We were initially named Paladin – When we formed the band back in 2017 there was no active metal band with that name. The name kind of encapsulated the music, I suppose.
When it was time to release the album, another power metal band, from Atlanta in the USA, had released an album under the name – So to avoid confusion we had to change it. We eventually settled on adding something either at the end or beginning of the name, to retain what little recognition we had built up. After trying stuff out Power Paladin just had a really nice ring to it.

Q4: それにしても、パワー・パラディンというバンド名にはインパクトがありますね?

【KRILLI】: 僕らは最初、単に “Paladin” という名前だったんだ。2017年にバンドを結成したとき、この名前で活動しているメタル・バンドはいなかった。まさに僕たちの音楽を包括するようなものだったと思う。
アルバムをリリースする時になって、アメリカのアトランタ出身の別のパワー・メタル・バンドがこの名前でアルバムをリリースしていたことがわかってね。だから混乱を避けるために変更することになったんだ。そうは言っても結局、自分たちが築き上げたわずかな知名度を維持するために、名前の最後か最初に何かを付けることにしたんだ。いろいろ試した結果、”Power Paladin” が本当にいい響きだったんだよね。

Q5: What is the conceptual story behind “With the Magic of Windfyre Steel?

【KRILLI】: There isn’t one, but there are some consistent themes – Heroism, doing what is right, fighting evil, fantasy, and so on. I don’t think that was a conscious decision, we were just playing into the power metal vibe!

Q5: デビュー作、”With the Magic of Windfyre Steel” では、どのようなストーリーが語られているのでしょう?

【KRILLI】: 物語のコンセプトは1つではないんだ。だけど、ヒロイズム、正しいことをする、悪と戦う、ファンタジーといった、一貫したテーマが存在するね。
それは意識的に決めたわけではなく、パワー・メタルのヴァイヴに感化された部分も大きいだろうな。

Q6: I really love the artwork and music of this record. It’s very fantastic and beautiful. Were you influenced by the world of Japanese role-playing games, for example?

【KRILLI】: Oh yes, we were influenced quite a bit by RPGs, including Japanese ones. In fact, there is a homage to the Legend of Zelda in Righteous Fury, just before the solo. The artwork is quite wonderful – It was made by the talented James Childs.

Q6: アルバムの美しいアートワークとファンタジックな音楽がとても気に入っています。日本のロールプレイング・ゲームの世界観に影響を受けた部分はありますか?

【KRILLI】: そうそう、日本のものも含めて RPG にはかなり影響されているね。実際、”Righteous Fury” のソロの直前には “ゼルダの伝説” へのオマージュが込められている。アートワークは、才能豊かな James Childs によるもので、とても素晴らしいね。

Q7: Musically, there are influences of Helloween, Rhapsody, and Dragonforce, of course, but also aspects of hair metal, thrash, and progressive, would you agree?

【INGI】: I grew up on thrash metal like Megadeth and Metallica and prog rock like Pink Floyd etc. so that has and will always have a big influence on my songwriting. Me, Atli and Bjarni Egill also used to play in a glam rock cover band together so there are some influences that followed us from that era!

【KRILLI】: I think our largest influence is power metal from the 90s and 00s – Bands like Blind Guardian, Helloween, Hammerfall, Gamma Ray, Rhapsody, and so on.

Q7: 音楽的には、HELLOWEEN, RHAPSODY, DRAGONFORCE といったバンドはもちろんですが、ヘアメタル、スラッシュ、それにプログレッシブな影響も感じられますね?

【INGI】: 僕は MEGADETH や METALLICA みたいなスラッシュ・メタルや PINK FLOYD のようなプログ・ロックで育ったから、今までもこれからも僕の曲作りにはそういった音楽が大きな影響を与えるだろうね。
僕と Atli と Bjarni Egill はグラム・ロックのカバー・バンドで一緒に演奏していたから、その時代からの影響もあるだろうね。

【KRILLI】: 僕の中で一番大きいのは、やっぱり90年代と00年代のパワー・メタルだね。BLIND GUARDIAN, HELLOWEEN, HAMMERFALL, GAMMA RAY, RHAPSODY とかその辺りだね。

Q8: In recent years, Twilight Force and Glory Hammer have become popular for their theatrical stage productions, are you guys interested in cosplay-style productions?

【INGI】: We had the talk about if we wanted to be a band that dressed up in some fantasy gear before shows but ultimately decided against it and opted for a more relaxed metal approach to stage attire. We do sometimes bring props to the stage but we probably won’t ever go all in on the dress up game.

Q8: 近年、パワー・メタルの世界では、TWILIGHT FORCE や GLORY HAMMER のようなシアトリカルなステージング、プロダクション、衣装が人気ですよね。
あなたたちは、ああいった “コスプレ的な” パフォーマンスに興味はありますか?

【INGI】: ライブを始める前にファンタジックな格好をするようなバンドになったらどうかという話もあったんだけど、最終的にそれはやめて、もっとリラックスしたメタルのアプローチでステージ衣装を選ぶことにしたよ。
ステージに小道具を持ち込むことはあるけど、おそらく僕たちがあの “ドレスアップ・ゲーム” に参加するようなことはないだろうな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED INGI & KRILLI’S LIFE

PINK FLOYD “THE WALL”

STEVEN WILSON “HAND. CANNOT. ERASE.”

METALLICA “AND JUSTICE FOR ALL…”

SYMPHONY X “THE ODYSSEY”

RHAPSODY “SYMPHONY OF THE ENCHANTED LANDS PT.2”

(INGI)

IRON MAIDEN “BRAVE NEW WORLD”

BLIND GUARDIAN “A NIGHT AT THE OPERA”

CHILDREN OF BODOM “FOLLOW THE REAPER”

HAMMERFALL “LEGACY OF KINGS”

GAMMA RAY “SOMEWHERE OUT IN SPACE”

(KRILLI)

MESSAGE FOR JAPAN

Please make Galneryus tour Europe more – I need to see that band live. Oh and maybe check out our album “With the Magic of Windfyre Steel”!

GALNERNUS にはヨーロッパでもっとツアーをして欲しいよ!彼らのライブを見る必要があるんだ!あっ、僕たちのアルバム “With the Magic of Windfyre Steel” もチェックしてね。

INGI

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ATOMIC FIRE RECORDS

 

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DER WEG EINER FREIHEIT : NOKTVRN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NIKITA KAMPRAD OF DER WEG EINER FREIHEIT !!

“I Somehow Always Wanted To Create an Album About The Night, About Dreams And The World Between Being Awake And Asleep.”

DISC REVIEW “NOKTVRN”

「私はずっとクラシック音楽が好きで、フレデリック・ショパンは私に多くのインスピレーションを与えてくれた作曲家の一人なんだ。特に彼のピアノのためのいわゆる “夜の小品” であるノクターンがお気に入りなんだよね」
ヘヴィ・メタルは昼の音楽でしょうか、それとも夜の音楽でしょうか? もちろん、カリフォルニアの真夏の太陽の下、ビーチで美女と組んず解れつ大音量で聴くべきメタルも存在しますが、根本的には暗く、重く、憂鬱な夜行性の音楽であることは誰もが認めるところでしょう。夜行性とはすなわち夜と一体になることです。
夜想曲、ノクターンを書くためには、夜からインスピレーションを受けなければなりません。ポーランドのピアニストで作曲家、フレデリック・ショパンは夜を愛し、1827年から1846年の間に21曲の夜想曲を書き連ね、遂にはその超絶技巧の中で人間の心の複雑さにまで到達して表現しました。つまり、彼の “夜の小品” は、ロマン派の理想を華麗に実現し、技巧的研究の中に類稀なる夜のハーモニーとメロディーの融合を提示していたのです。
「レコードを作る場合重要なのは、バンドの文脈における楽器と音の組み合わせだということなんだ。例えば、シンフォニック・オーケストラでヴァイオリンだけを聴くのと同じように、メタルでギターだけを聴いても、全体は理解できない。”Noktvrn” では、ショパンのノクターンなどクラシックな曲との直接的なつながりはないにしても、こうしたクラシック流のアプローチが最近の私の曲作りに大きな影響を与えているんだよ」
5枚目のアルバムとなる “Noktvrn” で、DER WEG EINER FREIHEIT は独自の革命的な道を歩み始めました。ボーカル/ギターの Nikita Kamprad は、クラシックの整合性やシンフォニーが描き出す全体像の美学に影響を受けながら、さらに敬愛するショパンがのめり込んだ “夜” に心酔し、メタル・ノクターンの具現化に向けて全精力を傾けました。
「私はなんとなく、夜について、夢について、起きているときと眠っているときの間の世界についてのアルバムを作りたいとずっと思っていたんだよ」
きっかけは、深夜から早朝に白昼夢として降りてきた “Immortal” という楽曲でした。もし夢の中で作曲ができたとしたら、もし半分眠っている状態で創造的になれたとしたら。朝日がほんの少しだけ顔を出した紫色の部屋の中で Nikita はそんな夢物語を偶然にも実現し、さらに夜のリズムに惹かれていきました。作曲を夜間に限定して行うようになったのも、飽くなき夜音探求のため。そうして、プログレッシブ・ブラックメタルを指標するドイツの賢者は、そのバンド名と同様に自由を渇望し、実験と挑戦のノクターンを完成させました。
「つい数日前、ある人が DEAFHEAVEN も新しいアルバムで私たちの “Noktvrn” と似たようなテーマを扱っていると言ってきたんだ。例えば、早朝に感じる気持ちや、半分眠っているような気分といったものをね」
偶然とは重なるもので、DER WEG EINER FREIHEIT と同様にブラックメタルの世界を押し拡げる DEAFHEAVEN も奇跡的に”青の時間” をテーマとした作品を昨年リリースしています。ただし、音楽的には双方リスクを犯しながらも DER WEG の “夜” の方がより多彩で実験的なのかもしれませんね。
オープニングを飾る “Finisterre II” のアトモスフェリックな音響はアルバムを侵食し、”Monument” のオーケストラアレンジとホーンセクションが妖しくも美しい夜の音を召喚。別世界を醸し出す “Immortal” のフォーク、”Haven” の夢のようなシューゲイズ、”Gegen Das Lichtの徹頭徹尾アバンギャルドなアートロックと、彼らの夜会は迷宮のように深く入り組みながら、混迷の中に人の複雑を描き出します。
「私たちの社会では、メンタルヘルスや心の病気はいまだに過小評価され、話したくないタブーのような問題とされているように感じているんだ。だから私たちがそれについて話さなければ、精神的な病に苦しむ人々の助けにはならないだろうと思ってね」
“Noktvrn” は一般的なブラックメタルとは異なり、人間の心のあり方を投影した作品です。睡眠時や夢を見ている時の脳の働き、パニック障害、幽体離脱体験にフォーカスしたリリックはショパンのように夜で心を哲学して、パズルのピースのようにアルバムの音楽へと寄り添いました。
暗く、孤独で、憂鬱な夜は、だからこそ時には優しい時間にも変化します。遂にマイルドな英語を解禁すると共にクリーンな歌声を解き放ち、実験的なブラックメタルを多層的なハーモニーの輝きで装飾した彼らの新たな挑戦は、まさに弱さや儚さをも抱きしめる夜の包容力をも認めた結果ではないでしょうか。
今回弊誌では、Nikita Kamprad にインタビューを行うことができました。「音楽を書いたり、ライブで演奏したりすると、ほんの一瞬だけど、自由な気持ちになる。言論、プライバシー、宗教などの自由が制限され、しばしば紛争、腐敗、戦争を引き起こしているのを見ると、今の世界にはあまり自由を感じないからね。だから、音楽とこのバンドは、私にとっての “自由への道” であり、好きなことができる安全な空間に逃避する方法なんだよ」 どうぞ!!

DER WEG EINER FREIHEIT “NOKTVRN” : 9.9/10

INTERVIEW WITH NIKITA KAMPRAD

Q1: First of all, what did you think of the Japan tour with Downfall of Gaia in 2018? What kind of place was Japan for you?

【NIKITA】: This was definitely one of the best things we have ever done with the band! The tour was in September 2018, and even though it was a whole week we’ve been to Japan, it’s been only two shows we’ve played, one in Osaka and one Tokyo. We’d really have loved to play more, but unfortunately it wasn’t possible. However, at these two shows we’ve met to lovliest and most welcoming people we have ever met. People say Japan is a very hospitable country and we can only confirm this, as we’ve been treated so nice by the fans, the promoter team, even at the customs when entering the country! It’s been an experience we will never forget for sure and we hope to return one day, of course.

Q1: まずは、2017年に行われた、DOWNFALL OF GAIA との日本ツアーの感想を聞かせていただけますか?

【NIKITA】: あの日本ツアーは間違いなく、今までのバンド活動の中でも最高の出来だったと思うよ。 2018年9月に行われたツアーで、丸々1週間日本に滞在していたにもかかわらず、演奏したのは大阪と東京の2公演だけなんだよね。本当はもっと演奏したかったんだけど、残念ながら不可能だったんだ。
でも、この2回のライブでは、今まで出会った中で最もラブリーで、歓迎してくれる人たちに出会うことができた。日本はとてもホスピタリティの高い国だと言われているけど、それを裏付けるかのように、ファンやプロモーター・チーム、そして入国時の税関でさえとても親切に対応してもらったよ!もちろん、絶対に忘れられない経験だし、いつかまた日本に行けたらと思っているんだ。

Q2: I think Der Weg Einer Freiheit means The Way Of A Freedom in English, but it’s cool to hear it in German because it has a different feel to it. Why did you choose this name?

【NIKITA】: Yes, the name can be roughly translated to “The Way of a Freedom”, but we’ve never liked any of the translations we came across, as it actually only makes sense for us in German. Writing and playing music live makes me feel free even though it’s just for a short moment. I don’t feel so much freedom in the world today looking at limitations in freedom of speech, privacy, religion etc. which often causes conflicts, corruption and war. Music and this band in particular is my personal “Way of (a) Freedom”, a way to escape into a safe space where I can do whatever I like. In music, writing and art in general I find my very own personal and individual freedom, but certainly every human being has a different view on this. Some love doing sports, reading, cooking, martial arts or whatever. You can find freedom and creativity in many things, you just have to be open and find your own way.

Q2: バンド名の DER WEG EINER EREIHEIT を英語に直訳すると “The Way of a Freedom”、自由への道のりとなるそうですが、ドイツ語にするとまた違ったクールな感覚がありますね?

【NIKITA】: そうなんだよ。この名前は “自由の道” と大まかに訳すことができるんだけど、実はドイツ語でしか意味が通じない言葉だから、どの訳語も気に入ったことがないんだよね。
音楽を書いたり、ライブで演奏したりすると、ほんの一瞬だけど、自由な気持ちになる。言論、プライバシー、宗教などの自由が制限され、しばしば紛争、腐敗、戦争を引き起こしているのを見ると、今の世界にはあまり自由を感じないからね。だから、音楽とこのバンドは、私にとっての “自由への道” であり、好きなことができる安全な空間に逃避する方法なんだよ。
私は自分自身の個人的な自由を、音楽、執筆、芸術全般において見出すことができるけど、間違いなくすべての人間が自由を見出せる様々な場所を持っているはずでね。スポーツ、読書、料理、武道、それぞれ好きな人がいる。だから自由と創造性は、さまざまなことに見出すことができるんだよ。

Q3: As we can see from your band name, you have consistently sung in German. But this time, for the first time, you sang “Haven” in English, also in a high-pitched falsetto, right? Why did you decide to take on this new challenge?

【NIKITA】: “Haven” is a very special song for me, being the first (at least own written) song I sang in English. So this is where it started for me trying to get comfortable singing in another language. I also tried out this very different vocal style, being this falsetto kind of high-pitched clean vocals for the very first time. Eventually, this song turned out to be our favourite on this album, which was very surprising as I wrote this song not having in mind I would actually use it for DWEF. But that makes it so special, also probably because no one would expect a song like this from us.
Honestly I have never really felt comfortable singing clean vocals in German since the German language is mostly a very harsh sounding language – that fits perfectly for the screaming vocals, which kind of get even angrier and even more edged. For clean vocals, however, I had the impression that it sometimes distorts the flow and the melodies a bit, so the idea was using the English language, which in comparison has a smoother vibe to it, thus having a more natural and cleaner flow of the vocal’s melodies. It was an experiment, yes, but I did some demo recordings using English vocals and found out fairly quick that it worked pretty well for me, so I went on and finally did these two songs in English. Of course English is not my mother tongue but I’m speaking English since many many years now and feel safer and safer in this language. Still German lyrics will always remain important to me and I don’t think they will ever vanish from our music, obviously because it’s still my mother tongue and I can express myself the best way through it.

Q3: バンド名だけに限らず、あなたはずっとドイツ語にこだわり、ドイツ語で歌い続けてきましたが、今回の “Noktvrn” では “Haven” において英語を初めて使用し、さらにハイピッチのファルセットも披露しています。

【NIKITA】: “Haven” は私にとって、初めて英語で歌った(少なくとも自分で書いた中では)曲で、とても特別な曲なんだよ。他の言語で歌うことに慣れようとする試みは、ここから始まったんだ。同時に、ファルセットのような高音のクリーン・ボーカルという、これまでとはまったく異なるボーカル・スタイルも初めて試してみた。最終的に、この曲はこのアルバムの中で一番気に入っているんだ。そもそも、DWEF で使うことを念頭に置いて書いていなかったから、とても意外な結果だけどね。でも、だからこそ、この曲は特別なんだ。おそらく、誰も私たちからこんな曲が出てくるとは思っていなかっただろうから。
正直なところ、ドイツ語でクリーン・ボーカルを歌うのはあまり気が進まなかったんだよね。ドイツ語のクリーン・ボーカルだと流れやメロディーを少し歪めてしまう印象があったから、比較的滑らかな雰囲気を持つ英語を使って、より自然でクリーンなボーカルのメロディーの流れを作ろうと考えたんだよ。実験的な試みではあったけど、英語のボーカルでデモ・レコーディングをしてみて、それが自分にとってかなり効果的であることがすぐにわかったよ。
もちろん、英語は私の母国語ではないけれど、もう何年も英語を話しているから、ドイツ語のクリーン・ボーカルよりもこの言語の方が安全で安心なんだよね。それでも、ドイツ語の歌詞は私にとって常に重要であり続け、私たちの音楽から消えることはないと思うけど。なぜなら、ドイツ語は今でも私の母国語であり、ドイツ語を通すことで最高に自分自身を表現することができるからね 。

Q4: Speaking of new challenges, I heard that you composed and recorded only at night this time. Why did you do that?

【NIKITA】: For me songwriting and being creative has always been a daytime activity, so switching to a nighttime rhythm for being creative, writing lyrics, recording demos and stuff like that was like a nice twist, something I wanted to try out. We still recorded the album at daytime in the studio, but most of the creative work this time has been done in the night.

Q4: 新たな挑戦といえば、”Noktvrn” は作曲もレコーディングも、夜の間だけで完成させたそうですね?

【NIKITA】: これまで、私は曲作りやクリエイティブな活動は常に昼間に行なっていたから、夜間のリズムで作詞やデモの録音といったクリエイティブな活動に切り替えることは、いい意味でひねりが効いていて試してみたかったことだったんだ。アルバムのレコーディングは昼間のスタジオで行ったんだけど、今回の創作活動のほとんどは夜間に行ったよ。

Q5: Noktvrn is famous for Fredrik Chopin, are you influenced by his works?

【NIKITA】: I always had a faible for classical music and Frédéric Chopin is one of the composers that inspired me a lot, especially his so-called “night-pieces” for Piano – the Nocturnes. I see music, also metal, rather like an orchestration of different, carefully composed elements/instruments that create a certain image and vibe only when consumed in the whole picture. Working in the studio a lot over the past years I found out that an instrument might sound great and beautiful when played alone, but if you’re doing records what is important is the combination of instruments and sound in the band’s context. If you listen to just the guitar tracks alone, you will never understand the whole, same as you just listen to only the violins in a symphonic orchestra for example. This classical kind of approach influenced my songwriting lately a lot, even though on “Noktvrn” there’s not a direct musical connection to classical pieces like Chopin’s Nocturnes. With the albumtitle I just wanted to pay kind of tribute to the great composer that Chopin was.

Q5: “Noktvrn” ノクターン(夜想曲) といえば、ショパンが有名ですが?

【NIKITA】: 私はずっとクラシック音楽が好きで、フレデリック・ショパンは私に多くのインスピレーションを与えてくれた作曲家の一人なんだ。特に彼のピアノのためのいわゆる “夜の小品” であるノクターンがお気に入りなんだよね。
私は音楽は、メタルもそうだけど、慎重に構成された様々な要素や楽器のオーケストレーションというものは、全体像の中で消費されて初めて、特定のイメージや雰囲気が生まれると思っている。過去数年間、スタジオでたくさん仕事をしてきてわかったのは、楽器は単独で演奏しても素晴らしく、美しい音になるかもしれないけど、レコードを作る場合重要なのは、バンドの文脈における楽器と音の組み合わせだということなんだ。
例えば、シンフォニック・オーケストラでヴァイオリンだけを聴くのと同じように、メタルでギターだけを聴いても、全体は理解できない。”Noktvrn” では、ショパンのノクターンなどクラシックな曲との直接的なつながりはないにしても、こうしたクラシック流のアプローチは、最近の私の曲作りに大きな影響を与えているよ。このアルバムのタイトルは、ショパンという偉大な作曲家に敬意を表したかっただけなんだ。

Q6: For example, it would be very interesting to be able to compose music while half asleep or in a dream. Did you also do this in an unusual way?

【NIKITA】: Yes, indeed! I somehow always wanted to create an album about the night, about dreams and the world between being awake and asleep. I remember there was one night or rather morning in particular some time in 2019. I got up in the very early morning hours and I was somehow still asleep but also awake and it might sound odd, but in this state of mind the basic structure of the song “Immortal” came to my mind. Like the very basic bassline with the simple drumbeat and actually the whole buildup from the intro, the first verse until the second chorus. It was like half an hour or even an hour when I was lying in bed, the first rays of sun shining through the window’s shades, trying to find a way to my half-opened eyes and filling the room with this kind of purple early morning light – a mood that we also wanted to express through the colours and gradients in the album artwork. It was kinda surreal but interesting to experience that my half-awake mind was apparently able to write a song and I found this experience so weird but also inspiring at the same time that you could say it was the very initial point when I decided to base the whole album theme around the night.

Q6: 先程、夜間にだけ作曲を行ったと仰っていましたが、例えば半分眠った状態、もっと言えば夢の中で作曲できたとしたら非常に興味深い体験ですよね?

【NIKITA】: まさにその通りだよね。私はなんとなく、夜について、夢について、起きているときと眠っているときの間の世界についてのアルバムを作りたいとずっと思っていたんだよ。
2019年のある日の夜というか早朝のことを覚えているよ。すごく早い時間に起きて、なんとなくまだ眠っているような、でも起きているような、変に聞こえるかもしれないけど、そんな状態の時に “Immortal” という曲の基本構造が頭に浮かんできたんだよね。非常にベーシックなベースラインとシンプルなドラムビート、そしてイントロから最初のバース、2番目のサビまでの全体の構成が浮かんできたんだ。
ベッドに横になっていた30分~1時間の間、窓のシェードから差し込む朝日が半開きになった私の目に入り込もうとして、部屋を早朝の紫色の光で満たしていた。この体験は、奇妙であると同時に、アルバムのテーマを “夜” にしようと決めた最初のポイントだったと言えるだろうな。

Q7: In terms of lyrics, it’s very different from the usual black metal occult. You also approach the scientific aspects of the human mind, such as how the brain works during sleep, and panic attacks, right?

【NIKITA】: Yes, definitely. However, to be clear about this first: I didn’t have any first person experiences myself but I witnessed different kinds of panic and anxiety attacks with persons being close to me that impacted me to think and later write about this. It was rather the realisation of how much the human body is actually connected to the human mind and how it tries to express itself not through words but through automatic-like body reactions that are hard or often even impossible to keep under control. I have the feeling that in our society mental health/illness is still a very very underestimated topic and like a taboo issue you don’t want to speak about. It won’t help people who suffer from mental illness if we don’t talk about it. I wouldn’t say, it’s not the main lyrical theme on „Noktvrn“, but this awareness sure had some kind of effect on my general thoughts and approaches when writing the lyrics of this album.

Q7: 歌詞の面でも、あなたたちはブラックメタルのオカルトとはかけ離れた、科学的な睡眠の分析や不安な心の分析にフォーカスしていますよね?

【NIKITA】: そうだね、間違いないよ。だけど、最初にはっきりさせておきたいのは、そういったテーマは私自身が体験したわけではないんだよ。身近な人がさまざまな種類のパニックや不安の発作を起こすのを目撃したことが私に影響を与え、後にこのことについて書くことにつながったんだよね。
それはむしろ、人間の身体がどれほど人間の心と結びついているか、そして、人間は究極的には言葉ではなく、自動的な身体の反応によって自分を表現しようとするということを実感した結果だったね。私たちの社会では、メンタルヘルスや心の病気はいまだに過小評価され、話したくないタブーのような問題とされているように感じているんだ。だから私たちがそれについて話さなければ、精神的な病に苦しむ人々の助けにはならないだろうと思ってね。
メンタルヘルスやパニック障害は “Noktvrn” の歌詞のメインテーマではないけれど、この問題意識はアルバムの歌詞を書く際の私の考えやアプローチに影響を与えているよ。

Q8: Musically, the shoegaze, folk, and avant-garde aspects stand out this time, right? This year’s release of Deafheaven’s “Infinite Granite” was highly praised, and it seems like your ambitions are somewhere close to theirs. Would you agree?

【NIKITA】: Just a few days ago someone brought up to me that Deafheaven also deals with kind of similar subjects on their new album as we do on „Noktvrn“. Like these very early morning feelings and moods you have, being half-asleep and such. I didn’t know about this and it was funny to realize, since the works for our album were completed months before the new Deafheaven album was actually announced. So it’s crazy that their album and ours seem to be interconnected, although we didn’t know! It’s true that they are one of the bands always pushing the boundaries, now releasing an album without any screams for example. It’s a big risk to do new things like this, because you never want to scare away your fans by doing completely new things. For us, however, it has been important as well to try out new things on „Noktvrn“. I mean, you can still clearly hear it’s a DER WEG EINER FREIHEIT record with all the trademarks people love about us. But with songs like „Immortal“ and „Haven“ for example, we wanted to try out new things, such as using synthesizers and implementing new vocal styles, open new doors for our future as we don’t want to be a band that stands still. We always want to evolve musically, as we evolve as human beings.

Q8: 音楽的には、シューゲイズやフォーク、アヴァンギャルドな一面が際立ったアルバムですね?昨年、DEAFHEAVEN の “Infinite Granite” は高い評価を得ていましたが、あなたたちの野心は彼らのものと近い気がしますね。

【NIKITA】: つい数日前、ある人が DEAFHEAVEN も新しいアルバムで私たちの “Noktvrn” と似たようなテーマを扱っていると言ってきたんだ。例えば、早朝に感じる気持ちや、半分眠っているような気分といったものをね。
DEAFHEAVEN の新作が発表される数ヶ月前に、僕らのアルバムの制作は完了していたから、もちろんこのことは知らなかったし、偶然だけど面白いよね。だから、彼らのアルバムと僕らのアルバムが相互に関連しているように見えるのはクレイジーなんだよ!
確かに、彼らは常に限界を押し広げているバンドの一つで、例えば今、スクリームを一切使わないアルバムをリリースしているよね。このように新しいことをするのは大きなリスクだ。まったく新しいことをすることで、ファンを怖がらせたくはないからね。
同様に、僕らにとっても、”Noktvrn” で新しいことに挑戦することは重要だったんだ。もちろん、これが DER WEG EINER FREIHEIT のレコードであることは明らかだし、僕らが好きなトレードマークもすべて揃っている。でも、例えば “Immortal” や “Haven” のような曲では、シンセサイザーを使ったり、新しいボーカルスタイルを取り入れたり、新しいことに挑戦したかったんだよね。人間としても進化していくように、音楽的にも常に進化していきたいと思っているからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED NIKITA’S LIFE

EMPEROR “ANTHEM TO THE WELKIN AT DUSK”

LEPROUS “MALINA”

NAGELFAR “HUNENGRAB IM HERBST”

ARCHIVE “YOU ALL LOOK THE SAME TO ME”

DAFT PUNK “RANDOM ACCESS MEMORIES”

MESSAGE FOR JAPAN

Thanks to everyone reading this, picking up a copy or just listening to „Noktvrn“ and generally supporting us in any way! We will always cherish our first visit to Japan and hope to come back as soon as possible. All the best and see you soon!

これを読んでくれたみんな、”Noktvrn” を手に取ってくれたみんな、聴いてくれたみんな、そしてどんな形であれ私たちを応援してくれたみんなに感謝するよ。私たちはいつもあの初来日を大切に思っているし、できるだけ早くまた日本に行きたいと思っているんだ。また会おうね!

NIKITA KAMPRAD

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SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUCCUMB : XXI】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHERI MUSRASRIK & DEREK WEBSTER OF SUCCUMB !!

“Including a Song About The Boxer Rebellion Was a Personal Choice Though It Does Have a Tie To The Album In Its Being Against Westernization And Christianity In Their Rejection Of Ancestor And Nature Deity Worship.”

DISC REVIEW “XXI”

「私には、リアルな部分でとても男性的な面があって、それが演奏するときに姿を現すことは認めるわ。そうやって生の感情や暴力的な態度を表現する自由があることに感謝しているのよ。ただ、ジェンダーを考慮することで私は男性と女性の興味深いダイナミクスを加えることができるわけだけど、だからといってジェンダーを考慮することが常に必要だとは思っていないわ」
人生の選択、クリエイティブな仕事をする上での選択、音に対する選択にかんして、SUCCUMB のボーカリスト Cheri Musrasrik は女性であることに囚われることはありません。それ以上にもはや、エクストリーム・メタル界の女性をめぐる会話は少し陳腐だと言い切る彼女の喉には、性別を超越した凄みが宿り、”The New Heavy” の旗手としてアートワークの中性神のように自信と威厳に満ち溢れています。
「ベイエリアとカナダのシーンから受けた影響を否定することはできない。この2つのシーンに共通しているのは、彼らは常にそれぞれのアートを新しい領域に押し上げる努力をしているということだよ」
超越といえば、SUCCUMB の放出するエクストリームな音像もすべてを超越しています。ベイエリア、カナダというヘヴィな音楽のエルドラドを出自にもつメンバーが集まることで、SUCCUMB は突然変異ともいえる “The New Heavy” を創造しました。洞窟で唸るブラストビートと野蛮なデスメタルから、ハードコアの衝動と五臓六腑を締め付けるノイズまでスラッシーに駆け抜ける SUCCUMB の “エクストリーム” は、最新作 “XXI” においてより混迷の色合いを増し、くぐもっていた Cheri の声を前面に押し出しました。同時に、BRUTAL TRUTH や NAPALM DEATH のようなグラインドコアから、フューネラル・ドゥームの遅重までエクストリームなサブ・ジャンルを網羅することで、遅と速、長と短、獰猛と憂鬱をまたにかける不穏な混沌を生み出すことに成功したのです。
「様々なジャンルのある種のお決まりをコピーペーストするだけでは、あまりにあからさまだし、必ずしも素晴らしい曲作りになるとは限らない。その代わりに、僕たちはそれらの異質なサウンドの間に存在する音の海溝を掘り下げようとしているんだ」
とはいえ、SUCCUMB の “クロスオーバー” は単なる “いいとこ取り” ではありません。だからこそ彼らの発する “無形の恐怖” はあまりに現代的かつ唯我独尊で、基本的はよりアンビエントで実験的なアーティストを扱うレーベル The Flenser にも認められたのでしょう。そう、このアルバムにはリアルタイムの暴力と恐怖が常に流れているのです。その源流には、環境破壊や極右の台頭、世界の分断といった彼らが今、リアルタイムで感じている怒りがありました。
「義和団の乱を選んだのは個人的な選択だけど、祖先や自然の神への崇拝を否定する西洋化やキリスト教に反対しているという点では、このアルバムの趣旨と関係があるのよね。私は太平洋の小さな島の出身なんだけど、その島は恐ろしい宣教師と彼らの間違った道徳によって、固有の文化や習慣の多くが一掃されてしまったの」
アルバムの中心にあるのは、自然や大地を守っていくことの大切さ。アルバム・タイトル “XXI” は21番目のタロットカード “The World” を指し示していますが、正位置では永遠不滅、逆位置では堕落や調和の崩壊を意味するこのカードはまさに SUCCUMB が表現したかったリアルタイム、2021年の “世界” を象徴しているのです。
特に、義和団の乱を扱った “8 Trigrams” には彼らの想いが凝縮しています。中国の文化や貿易だけでなく、自然崇拝や宗教まで制圧し植民地化した列強と、それに激しく対抗した義和団。中でも、道教の自然や四元素へのつながりと敬愛を基にした八掛結社は、先住民の文化や習慣を抑圧し軍事基地や核実験の場として使用された太平洋の島を出自にもつ Cheri にとっては共感をせずにはいられない歴史の一ページに違いありません。そうして、世界がまた抑圧を強いるならば、私たちが音楽で義和団になろう。そんな決意までも読み取れる壮絶な7分間でアルバムは幕を閉じるのです。
今回弊誌では、太平洋の島からベイエリアに移住した Cheri Musrasrik とカナダ出身 Derek Webster にインタビューを行うことができました。「90年代は音楽業界で “成功する” 可能性についての妄想を捨てるというメタル界の考え方の変化により、多くの実験が行われたんだよ。アーティストが自分たちのサウンドを進歩させるために外部のインスピレーションを求めるようになり、その結果、TYPE O NEGATIVE などのバンドが大成功を収めることになったように思えるね」どうぞ!!

SUCCUMB “XXI” : 10/10

INTERVIEW WITH CHERI & DEREK

Q1: The Bay Area is the most important place for thrash and death metal, and of course Canada has produced many unusual metal bands such as Voivod and Martyr. It seems to me that Succumb was born from a mixture of these two roots. Would you agree?

【DEREK】: You could definitely say that! Even though we don’t put any geographic restrictions on where we draw our inspiration, there is no denying the influence that the Bay Area and Canadian scenes have had on our sound. We draw from the both the more technical bands such as Severed Savior and the bestial bands such as Nuclearhammer and everything in between. Obviously, Voivod has a huge influence on me as a guitarist and songwriter. The common thread here between the two scenes is that they always strive to push their respective art into new territory, which is what we aim to do in Succumb.

Q1: ベイエリアはスラッシュやデスメタルにとって最重要地域で、カナダは VOIVOD や MARTYR といった異端のメタルバンドを多く生み出しています。
SUCCUMB はベイエリアとカナダをルーツに持つメンバーの集まりですが、両者の特徴が素晴らしくミックスされていますね?

【DEREK】: 間違いなくそう言えるね! 僕たちはインスピレーションを得る場所に地理的な制約を設けてはいないけれど、ベイエリアとカナダのシーンが僕たちのサウンドに与えた影響は否定できないよ。
SEVERED SAVIOR のようなテクニカルなバンドから NUCLEARHAMMER のような獣のようなバンドまで、その中間にあるもの全てからインスピレーションを受けているんだ。そして VOIVOD はギタリストとして、またソングライターとして、明らかに僕に大きな影響を与えているね。この2つのシーンに共通しているのは、彼らは常にそれぞれのアートを新しい領域に押し上げる努力をしているということだよ。

Q2: Black metal, thrash, death, hardcore and punk, with various sub-genres further subdivided, Succumb’s music is truly genre-less and fascinating. Where do you find your most important roots? Did you have crossover in mind when you started the band?

【DEREK】: When we started as Cloak, our objective was to start a simple project that worships classic black metal like Blasphemy, Darkthrone and Cultes Des Ghoules. Even then, the end result of that initial demo was something that sounded nothing like either of those bands. As we started to write for our first full length album, I started to inject my influences from brutal death metal and grindcore into our sound, which then became more prominent on XXI. So there is a crossover, however the process in which that crossover materializes isn’t entirely premeditated, instead it flows very naturally. If you just copy paste certain tropes from various genres, it’s very obvious and does not always make for great songwriting. Instead, we try to dig into the sonic trenches that exist between those disparate sounds.

Q2: そのスラッシュ、デスメタルに、ハードコア・パンク、ブラックメタル、そしてありとあらゆるメタルのサブジャンルを飲み込んだ SUCCUMB の音楽は真にジャンルレスで魅了に溢れています。では、SUCCUMB にとって最も重要なルーツはどこにあるのでしょう?

【DEREK】: CLOAK としてこのバンドがスタートした時、僕たちの目的は BLASPHEMY, DARKTHRONE, CULTES DES GHOULES のようなクラシックなブラックメタルを崇拝するシンプルなプロジェクトを始めることだった。それでも、最初のデモの最終結果は、それらのバンドのいずれとも似ていないものだったんだよ。
それから最初のフルアルバムに向けて作曲を始めたんだけど、そこでブルータルなデスメタルやグラインドコアからの影響を自分たちのサウンドに注入し始めた。それが “XXI” でより顕著になったんだ。だから、クロスオーバーではあるんだけど、そのクロスオーバーが実現するプロセスは完全に計画されたものではなく、とても自然に流れていくものなんだ。
様々なジャンルのある種のお決まりをコピーペーストするだけでは、あまりにあからさまだし、必ずしも素晴らしい曲作りになるとは限らない。その代わりに、僕たちはそれらの異質なサウンドの間に存在する音の海溝を掘り下げようとしているんだ。

Q3: Cheri Musrasrik’s vocals are very intense and destructive. Not many people would recognize her as a woman just by listening to her voice. This is proof that there is no gender gap in the world of extreme metal, and that women are becoming more and more commonplace, would you agree?

【CHERI】: When I first started doing vocals it was for a noise punk band called PIG DNA and my main inspirations were people like Chitose of The Comes / The Wretched or Sakevi. I will admit that I have a very real male side to me that reveals itself when I perform. I am grateful to have the freedom to display raw emotion and violent attitudes. To consider gender can add some interesting dynamics, but I do not feel it is always necessary to address.

Q3: Cheri のボーカルは破壊衝動とインテンスに満ちていて、声を聴くだけで女性とわかる人は多くはないでしょう。それこそが、エクストリーム・ミュージックの世界で女性が当たり前の存在となった証明にも思えますね。

【CHERI】: ボーカルを始めたのは PIG DNA というノイズパンクバンドで、THE COMES/THE WRECHED の Chitose や Sakevi などに影響を受けているの。
私には、リアルな部分でとても男性的な面があって、それが演奏するときに姿を現すことは認めるわ。そうやって生の感情や暴力的な態度を表現する自由があることに感謝しているのよ。ただ、ジェンダーを考慮することで私は男性と女性の興味深いダイナミクスを加えることができるわけだけど、だからといってジェンダーを考慮することが常に必要だとは思っていないわ。

Q4: 21 is the card number for “The World” in the Tarot, right? Is this album about a divided world that was radically changed by the pandemic and climate change?

【CHERI】: While writing lyrics the state of planet Earth was what concerned me most. The themes of the album are related to the four elements: air, water, fire, earth. The importance of respecting and caring for our land and nature was a recurring thought that I had. The World card defines these ideas well.

Q4: アルバム・タイトルの “XXI”、21とはタロットカードの21番目、”The World” を指していますよね?つまり、パンデミックや気候変動で急速に分断を深めるこの “世界” を表しているのでしょうか?

【CHERI】: 歌詞を書きながら、一番気になったのはこの地球の状態だったわ。アルバムのテーマは、空気、水、火、土の4つのエレメントに関連しているの。大地や自然を敬い、守っていくことの大切さを繰り返し考えていたわ。”ワールド・カード” は、その考え方をよく表しているのよ。

Q5: The title of the song is in English, but it uses mysterious words about primordial gods, mythological spirits, and cosmological symbolism, right? How did you decide on this?

【CHERI】: I was attracted to ancient texts, knowledge, mythologies, and cosmogony for their feeling of greater potency. When speaking about the origin of our world and the worship of elements it made sense to look at these early conceptions of things.

Q5: 楽曲のタイトルは英語表記ですが、根源的な神々や神霊、宇宙的なシンボリズムについての神秘的な言葉を使用していますね?

【CHERI】: 古文書、古の知識、神話に惹かれるのよね。そして、より大きな力を感じることができる宇宙論にもより大きな力を感じるものに惹かれたのよね。
私たちの世界の起源や四元素への崇拝について語るとき、こういった初期の概念に注目することは理にかなっていると思うの。

Q6: The last song has the theme of the boxer Rebellion, right? At that time, Japan was one of the countries that participated in the colonization of China. Currently, the world is witnessing the rise of fascists and right-wingers again, is it meant to rebel against such a situation?

【CHERI】: Including a song about the Boxer Rebellion was a personal choice though it does have a tie to the album in its being against westernization and Christianity in their rejection of ancestor and nature deity worship. I come from a small Pacific island that has had much of its native culture and customs wiped out by hideous missionaries and their false morality. There are times when I consider an alternate reality where the missionaries that landed there were killed.

Q6: 最後の楽曲では、義和団の乱について歌っていますよね?当時は日本も中国の植民地分割に参加した国の一つでした。
近年、再びファシズムや極右勢力の台頭が目立ちますが、そういった情勢に贖う意味があるのでしょうか?

【CHERI】: 義和団の乱を選んだのは個人的な選択だけど、祖先や自然の神への崇拝を否定する西洋化やキリスト教に反対しているという点では、このアルバムの趣旨と関係があるのよね。
私は太平洋の小さな島の出身なんだけど、その島は恐ろしい宣教師と彼らの間違った道徳によって、固有の文化や習慣の多くが一掃されてしまったの。一方で、そこに上陸した宣教師たちが殺されたという別の現実を考えることもあるんだけどね。

Q7: This album has a more effective contrast between long and short songs compared to your previous albums.I also felt a strong influence from Grindcore. Would you agree?

【DEREK】: Absolutely! On this album, I wanted to put a darker shade on some of the grind bands that have influenced me such as The Kill, Parlamentarisk Sodomi, Brutal Truth, Mortalized, Flesh Parade and old Gridlink. I feel like we have only begun to explore that side of our sound.

Q7: それにしてもこの作品は、長い曲と短い曲のバランス、コントラストが絶妙ですね?グラインドコアからの強い影響を感じましたよ。

【DEREK】: もちろんだよ!このアルバムでは、THE KILL, PARLAMENTARISK SODOMI, BRUTAL TRUTH, MORTALIZED, FLESH PARDAE、それに昔の GRIDLINK など、僕が影響を受けたグラインドバンドにさらに暗い色合いをつけたいと思ったんだよね。ただ、自分たちのサウンドのそういう面をまだ探求し始めたばかりだと感じているよ。

Q8: Your music reminds me of the adventurous and ambitious works of the 90s, like “Bloody Kisses” by Type O Negative, “34.788%… Complete” by My Dying Bride, “City” by Strapping Young Lad… Is The 90’s a special time and spirit for you?

【DEREK】: The 90s was undoubtedly a special time in metal. If the 80s were a time of rapid evolution, with all of its various sub genres emerging in a relatively short span of time, then the 90s were a time where those genres defined who they were and were truly able to stretch their legs. This led to a great deal of experimentation due to a changing mindset in the metal community, which cast aside any delusions of the possibilities of “making it” in the music industry. Ironically, it seems like this commitment to the underground also led to artists seeking outside inspiration to progress their sound in a way that was not often seen in the 80s outside of bands like Voivod and Celtic Frost, which in turn led to bands like Type O Negative hitting the big time. History lessons aside, metal in the 90s, in all its various forms have left an impression on us as musicians.

Q8: SUCCUMB の音楽を聴いていると、野心的で冒険的だった90年代の作品を思い出しますよ。
TYPE O NEGATIVE の “Bloody Kisses” や MY DYING BRIDE の “34.788%… Complete”、それに STRAPPING YOUNG LAD の “City” とか…あの時代の空気はあなたにとってやはり特別ですか?

【DEREK】: 90年代は、間違いなくメタル世界にとって特別な時代だった。80年代が比較的短期間に様々なサブジャンルが出現し、急速な進化を遂げた時代だとすれば、90年代はそれらのジャンルが自分たちのあり方を定義し、真に伸び伸びと活動できた時代であったと言えるだろうな。
言ってみれば、90年代は音楽業界で “成功する” 可能性についての妄想を捨てるというメタル界の考え方の変化により、多くの実験が行われたんだよ。皮肉なことに、このアンダーグラウンドへの傾倒は、80年代には VOIVOD や CELTIC FROST のようなバンド以外にはあまり見られなかった方法だったんだ。アーティストが自分たちのサウンドを進歩させるために外部のインスピレーションを求めるようになり、その結果、TYPE O NEGATIVE などのバンドが大成功を収めることになったように思えるね。
歴史の教訓はさておき、90年代のメタルは、その様々な形態で、ミュージシャンとして僕たちに印象を残しているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED DEREK’S LIFE

MORBID ANGEL “COVENANT”

PORTAL “OUTRE”

DEFEATED SANITY “PSALMS OF THE MORIBUND”

METALLICA “RIDE THE LIGHTNING”

RIPPING CORPSE “DREAMING WITH THE DEAD”

MESSAGE FOR JAPAN

We would love to tour Japan if ever it were possible. Thank you for your support and we hope to play in Japan soon!

可能ならば、ぜひ日本をツアーしてみたいね。サポートをありがとう。日本ですぐ会おう!

CHERI & DEREK

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2021: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2021: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

1. CYNIC “ASCENSION CODES”

SLIPKNOT の Corey Taylor は ALICE IN CHAINS の偉大さについて、「痛みを分かち合い、乗り越えられる音楽」だと語りました。特にこの暗く重苦しい20年代の始まりに、メタルは “ヘヴィ” の意味を問いながらそこに自らの役割を特化している節があります。その強烈な感染力と生命力も、人種、文化、性別、宗教、年齢を乗り越えて痛みや喪失を分かち合えるからこそ。
「ショーン・マローンは2018年に母親を、2020年1月にはショーン・レイナートを失った。喪失感のダブルパンチで、マローンは大打撃を受けてしまったんだ。その後、パンデミックが起こった。すべてが閉鎖され、マローンの世界も閉ざされてしまった。痛みと苦しみが再び現れ、彼は光を失った…」
長年二人のショーンと人生を共にしたポール・マスヴィダルの言葉です。もちろん、2020年は人類全体にとって途方もなく困難な年として歴史に残るでしょう。しかし CYNIC の音楽を愛する人たちにとってはさらに困難な年となりました。1月に元ドラマーのショーン・レイナートが48歳で、12月にベーシストのショーン・マローンが50歳で早世。それはファンにとってまさに青天の霹靂でした。私たちでも激しいショックを受けたのです。公私ともに近しい関係にあったマスヴィダルの苦悩、そして喪失感はいかほどのものでしょう。
「神秘的な人生に身を任せることは、魂が成長するための偉大な “降伏” であり、そうすることで外界が自身に流れ込み、自分も外界に流れ込むことができるんだ。宇宙とつながるとでもいうのかな。つまり、人生に自然と起こることこそ、私たちの歩むべき道なんだ。起こることすべてが、与えられたギフトなんだよ」
しかし一人残されたマスヴィダルは、果てしない悲しみの中でも前へと進み続けます。喪失や悲劇でさえ成長のための贈り物と捉え、人生の流れに身を委ねる。死とは肉体の終わりであり魂の終わりではない。結局、人は皆量子レベルで互いにつながっているのだから。そんな彼の特殊な人生観、死生観、宇宙観は、マスヴィダルの心を泰然自若に保ち、CYNIC の新たな啓示 “Ascension Codes” をより崇高でスピリチュアルな世界へと導くことになったのです。そしてもちろん、彼の音楽や言葉が、自身の痛みに対する救い、薬、光となる人は少なくないはずです。

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2. SPIRITBOX “ETERNAL BLUE”

「中堅のバンドに所属するほとんどの人は、現実から逃げているだけだと思うわ。ツアーが長引けば長引くほど、仕事をしたり、親の家の地下以外に住む場所を探したりする必要がなくなるだけなんだから」
当時27歳の Courtney は、時給8ドルのウエイトレスをしていました。Michael も同様に、配達車でピザを運ぶ仕事をしていました。そして現在、2人はデータ入力の会社で一緒に働いています。つまり、理想よりも現実に襲われ怯えていた当時の彼らには、それでも恋愛面でもクリエイティブな面でも、切っても切れない “ソウルメイト” であるお互いがいたのです。彼らにはまだビジョンがありました。そしてすぐに、彼らはプログレッシブでヘヴィーでアトモスフェリックな、TesseracT というバンドに少なからず影響を受けた音楽を “魂の箱” に入れて、自分たちの新しいバンドを結成したのです。そのバンドの名は SPIRITBOX。魂の箱は、メタルの寛容化を証明する、”再出発” の象徴。
天使と悪魔が、コートニーの左右の肩に座っているようにも思える彼女の歌声。表面的には明確なその二面性も、しかし彼女にとっては地続きです。そうしてこの対照的な手法は、”Eternal Blue” 全体に、不安定さと脆弱さの感覚を生み出す役割を果たしています。特に後者は、コートニーにとって有益な感情であり、ヘヴィー・ミュージックにはまだまだ大きく欠けているものだと彼女は感じています。
「ヘヴィー・ミュージックはやっぱりまだまだ男性優位の世界だから、男は怒りや強さ以外の特徴を見せてはいけないと教えられているの。誰もが普遍的に弱さを感じることがあるけれど、多くの男性にとって、それを曲の中で表現することを快く思うサポートを得るのはとても難しいことなのよ。
特に、概して “克服” や “立ち上がること”、”戦い” がメッセージになるような攻撃的なタイプの音楽では、そういった状況に陥りやすいわ。だけど、ヘヴィー・ミュージックには周期性があって、その中は弱さが浮かび上がってくることもあるのよ?」
Courtney は、その証拠として “弱さ” を内包していた Nu-metal やエモのムーブメントを挙げ、これらのシーンが、他のサブ・ジャンルでは “ロック” から離れていたかもしれないファンにとって、音楽的なゲートウェイとなったと信じています。弱くてもいいじゃない。失敗してもいいじゃない。違っていてもいいじゃない。同時に彼女は今日、人々がヘヴィー・ミュージックを発見する道は、かつてないほど広く、アクセスしやすくなっていると付け加えました。

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3. THE ARMED “ULTRAPOP”

“ULTRAPOP” は、多くのリスナーに驚きと喜び、そして混乱を等しく与えるレコードです。ポップ・ミュージックとエクストリーム・ミュージックの融合により、太陽とノイズの突然変異を生み出すことに成功しました。常識をいくつも破りながら。しかし、それが重要なのです。
「アグレッシブでハードコアでエクストリームな音楽という、破壊的なジャンルであるべきはずのものが、完全に戯画化されてしまっている。私たちはそれに立ち向かいたかったのよ。異なるパターンを探求し、壊したいの。期待されているものを排除しようとしているのよ。アートフォームで考えれば、特に音楽は予測可能性に満ちているわ。従うべき基準にね。私たちは、人々を立ち止まらせ、再考させたいの。パターンに気づけば、それを壊すことができるわ。それが私たちの目標よ」
謎に包まれ THE ARMED の中心には常に真の意欲があり、それが “ULTRAPOP” ではかつてないほどよく実現されていると、Adam は情熱的に語ります。このレコードは、ハードコア・ミュージックを、これまでシーンが踏み込めなかった領域に引きずり込もうと、全身全霊で取り組んだ結果だと。全く新しいジャンルとして構想され、実験的なポップやヒップホップの最も大胆で生き生きとした側面を自分たちのサウンドに取り入れることで、全く新しい強度を実現したと。レコードには数十人のメンバーが参加していますが、ライブではその人数が実用性を考慮して8人ほどに絞られています。彼らは、個人のアイデンティティを隠すことで、バンドのより広大な目的についてのメッセージを維持したいと考えているのです。
「次に挑戦する人たちを後押しするバンドでありたいと思っている。一般的なヘヴィー・ミュージックにはそれが欠けていると思うんだ。構造や特定の方法に従わなければならないからね。ニッチなサブジャンルへのこだわりや、プロセスへのフェティシズムは、芸術を完全に停滞させてしまう。だから音楽界の片隅では、誰かが針を動かすことが必要とされているわけさ。だから、俺らは一線を越えようとしている人よりも、そうしようとして失敗したバンドになりたいと思っているんだよ」

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4. ARCHSPIRE “BLEED THE FUTURE”

「”Stay Tech” という言葉は、僕たちのバンドが目指すものをすべて体現している。だから、”Stay Tech industries” という想像上の会社名からこの言葉を残して、クールなロゴを作ってもらったんだよ。今ではバンド全員がこの言葉をタトゥーにしているし、同じタトゥーを入れている人にもあちこちで会うんだよ!」
STAY TECH!テクニカルでいようぜ!をモットーとするカナダのテクデス機械神 ARCHSPIRE。世界で最も速く、世界で最もテクニカルで、世界で最も正確無比なこの “メタル” の怪物は、近年進行する、常識を破壊し非日常を追求するテクニカル/プログレッシブ・デスメタル革命の象徴です。
「バンドとして、僕たちは常に自分たちの能力の10%くらい上のレベルの音楽を書こうとしているんだ。つまり、このバンドでは誰もが常に自分を高めようとしているんだよ」
”Bleed The Future”。文字通り、血反吐を吐くようにして紡ぎ出した彼らの未来は、目のくらむようなテクニックと、複雑怪奇をキャッチーに聴かせるバンドの能力が光の速さで新たなレベルへと達しています。
「デスメタルは非常に過激な音楽だから、リスナーが疲れずに “多くのもの” を聴くことは難しいと考えているんだ。だから僕たちの意見では、32分くらいがちょうどいいんだよね」
32分という短さに、想像を絶するスピードで、長い歌詞を含めて様々なものが詰め込まれた “Bleed The Future”。Tech-metal の世界では非人間的なテンポで演奏するバンドも少なくありませんが、さすがにこれは別物です。

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5. MASTODON “HUSHED & GRIM”

2018年9月にバンドマネージャーで親友の Nick John が亡くなったことは、MASTODON にとって深い傷となりました。アトランタの巨匠はその痛みを、驚愕の2枚組 “Hushed & Grim” の中へ、生と死、悲しみと偉大な来世についての壮大なタペストリーとして織り込みました。
「心の準備ができていないような感覚だった。もちろん、電話や Facebook で亡くなった人の話を聞くと悲しい気持ちになる。だけど、実際に部屋で人の最期の瞬間に立ち会うと、死が具体的なものになるんだよ。人生の短さ、不公平さ、厳しさを実感する。気まずい思いをすることもある。誰も何を言ったらいいのか、何をしたらいいのかわからない。悲しみ、無力感、落ち込み、不安、怒り、人生そのものにたいする思考など、さまざまな感情が湧いてくるんだ」
MASTODON の広大な8枚目のアルバム “Hushed And Grim” は、死の瞬間の記念碑であり、その後数年間に渡る喪失感の抽象的なクロニクルでもあります。
「コロナによって失われた何百万人もの命の亡霊が、アルバムに宿る無数の暗い隅につきまとっている。ただ、最終的には個人的な思い出と死についての熟考というアルバムのメッセージを確立できたんじゃないかな。”Hushed And Grim” はムードなんだ。悲しみや罪悪感を表現している。友達があんなに苦しんでいるのを見ながら、自分には何もできないってのは本当に酷いことだ。分かる人には分かると思うけど..」
芸術作品を作ることは、失われた愛する人への完璧なトリビュートとなるのでしょうか?
「アルバムを作るためには、誰かが死ななければならないような気がするよ…俺はこの感覚が嫌いなんだ。でも、身近な人が亡くなると、なぜか音楽でその人に敬意を払わなければならないような気がするんだよな…」
MASTODON はそうして、喪失や痛みに敬意とカルマと知性で対処していきます。
「死んだら魂は生きている木の中心に宿る。そして木が1年を通してそうしているように、じっとして、四季を経験しなければならないんだ。それが自然界に別れを告げる方法なんだよ。その中で、自分が生きてきた人生の柱を振り返るわけさ。自分がしてきたことを償わなければならないんだよ」
喪に服す人から喪に服される人へ、死のトラウマから死の必然性へと巧みに焦点を移し、同時に生きている人には手遅れになる前に自分のことをよく考えようと誘う、ニッチでミニマルでで少々プログレッシブな “クラシック・ロック” で。

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6. SEEYOUSPACECOWBOY “THE ROMANCE OF AFFLICTION”

「多くの依存症者は、社会的な汚名を被ることを恐れてそれを口にすることができず、一人で苦しみ、不幸にも人生を壊してしまうか、ひどい時は死んでしまう。私は、この汚名を少しでも払拭し、人々が一人で負担を背負う必要がないと感じられるように、この問題について話し助けを与えることができるようにしたいのよ。誰かがオーバードーズで亡くなった後にはじめて、その人が薬物の問題を抱えていたと知ることがないようにね」
重度の薬物依存性、体と心の不調、そしてそこに端を発する人間関係の悪化、友人の死。混沌と厳しさと審美の中で生きる宇宙のカウボーイが放った最新作 “The Romance of Affliction” は痛みと喪失で最悪の状態だった前作から、前を見据えた “再出発” を綴る苦悩のロマンスでした。Connie は今も依存症と戦い続けています。最近では、SNS で自身が重度の依存症であることを明かしました。それは、依存症が一人で抱えるには重すぎる荷物だから。同時に自らが悲劇と地獄を経験したことで、薬物依存が映画の中の、テレビの中の、クールなイメージとはかけ離れていることを改めて認識したからでした。
「メンタルヘルスや依存症といったものがロマンチックに語られることに警鐘を鳴らす意味があるの。私はそれを抱えて生きているからこそ、肯定的に捉えてはならないものだと感じているのよ」
自分のようにならないで欲しい。そんな願いとともに、”The Romance of Affliction” は Connie にとってある種セラピーのような役割も果たしました。音楽に救われるなんて人生はそれほど単純じゃないと嘯きながら。

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7. WHEEL “RESIDENT HUMAN”

「WHEEL (車輪) という言葉が僕たちのアート制作のイデオロギー全体を表しているように感じたんだよね。それは、継続的でありながら、常に過去だけでなく未来にも目を向けているという意味でね。音楽においても、人生全般においても、新しい領域やアイデアを探求するムーブメントの象徴だからね。頻繁に出発点に戻ってくるけど、それでも僕たちは常に前に進んでいる」
技術の進歩により、音楽はお手軽に作られ、お手軽に聴かれる時代になりました。制作にもリスニングにも異様な労力を消費するプログレッシブ・ミュージックは、いまや風前の灯火です。
かつて世界を作ったプログ・ロックの巨人たちは次々に鬼籍へと入り、労力以上の見返りなど得られるはずもない現状に新規参入者、新たなリリースは目に見えて減っています。そんな中、フィンランドの4人組 WHEEL には、”車輪の再発明” を通してエンジンを生み出すほどに前向きなエナジーと才能が備わっているようです。
「北欧のプログ・メタルと僕たちに共通しているのは、新しい領域を開拓し、自らの道を見つけようとする意欲があるところだと思う。だから当然だけど、WHEEL にとってインスピレーションの源となっているよ。例え、直接的な影響を受けたわけではないとしてもね。OPETH は独自の道を歩み、期待に屈しないことで音楽的な強さを見出した素晴らしいお手本だよ」
メロデスやヴァイキング・メタルが深く根差した北欧にも、OPETH, PAIN OF SALVATION, SOEN といったプログメタルの孤高は存在します。他とは違う道を歩む確固たる意志を胸に秘めつつ、やはりその背後には北欧の暗く美麗な空気を纏いながら。
TOOL の正当後継者と謳われる WHEEL にも、当然その血脈は受け継がれています。そうして彼らは、自らの “カレリアン・シチュー” に KARNIVOOL の知的なアトモスフィア、さらに青年期に影響を受けた SOUNDGARDEN や ALICE IN CHAINS の闇をふりかけ、コトコトと煮込んで熟成させたのです。
「基本的には、何も声を上げないないのが最悪だと思っている。1枚のアルバムや1人のアーティストが、今の世界の仕組みを変えることはできないと思うけど、意見を発信するたびに少しは変化が生まれ、物事を良い方向に変えることができるはずだよ」
陰鬱な雰囲気が漂い、パーカッシブなエッジが際立ち、非常にシリアスなアルバムは、過去12カ月間に起こった出来事に大きな影響を受けています。パンデミック、BLM、気候変動。もう私たちは無関心な幸せのままではいられません。

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8. FIRST FRAGMENT “GLOIRE ETERNELLE”

「ARCHSPIRE の音楽は、正確で、数学的で、冷たく、残忍で、容赦なく、人間離れした速さで、怒りに満ちていて、極めてよく計算されている。対して FIRST FRAGMENT の音楽は、折衷的で、有機的で、時に緻密で、時に即興的で、陽気で、時に楽しくて痛快で、時に悲劇的でメランコリックなんだ。だから私は FIRST FRAGMENT を “エクストリーム・ネオクラシカル・メタル” と呼び、ARCHSPIRE を”テクニカル・デスメタル” と呼んでいる」
現在、メタル世界で最高峰のテクニック、そしてシュレッド・ファンタジーをもたらす場所がカナダであることは疑う余地もありません。ARCHSPIRE がメカニカルな技術革新の最先端にいるとすれば、FIRST FRAGMENT はシュレッドのロマンを今に伝える黄金の化石なのかもしれませんね。奇しくも同日にリリースされた “Bleed The Future” と “Gloire Éternelle” は、正反対の特性を掲げながら、テクニカルなエクストリーム・メタルの歩みを何十歩、何百歩と進めた点でやはり同じ未来を見つめています。
「私たちのリフはすべて、ネオクラシカルなパワーメタルのコード進行で構成されている。デスメタルは砕け散り、重く、邪悪で残忍だ。FIRST FRAGMENT はインテンスの高い音楽だけど、これらの特徴はどれも持っていないし、その気もないんだよね。ゆえに、デスメタルではない」
バロックやロマン派のクラシック音楽から、フラメンコ、ジャズ、スウィングやファンク、ネオクラシカルなパワーメタル、デスメタル、プログレッシブ・メタル.。ジャンルを踊るように融合させ、大きなうねりを呼び起こすという点で、FIRST FRAGMENT の右に出るバンドはいないでしょう。

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9. GOJIRA “FORTITUDE”

「実は数年前から、人類の未来に悲観的になっていたんだ。真実に目覚めて、多くの人が自分を高めようとしているにもかかわらず、世界は逆行しているような気がするんだよね。テレビで(元)アメリカ大統領が “地球温暖化が本当かどうかわからない” と言っているのを見たり、高校で教えている友人から生徒の中にはヒトラーが映画の中の人物なのか、実在した人物なのかよくわからない子がいるいう話を聞いたりすると、ものすごくがっかりしてしまう。僕は少し疲れてしまったんだ。だからパンデミックが起こったとき、僕は『いいだろう。燃えてしまえばいい。地球に寄生している僕たち人類にとって、これは実際、終わりなのかもしれない』と思っていたんだよね」
何も喪失と痛みは人に限ったことではありません。テレビの前で目を輝かせていた少年時代から、Joe は、年間7,500億トンの氷が海に溶け、毎週2,300平方キロメートルの熱帯雨林が伐採され、毎日150種もの生物が絶滅しているという、数字が物語るはず脅威と、その対局にある人々の無知さに慣れていました。だからこそ、コロナで234万人が亡くなり、数え切れないほどの人々が貧困やうつ病に陥っているという現在のデータに贖いトンネルの先には光があると主張する先導者を信じません。COVID-19の危機が1年を超えた今、人類は大きな灰色の未知の世界に直面しているのというのがまがいの無い現実です。
しかしだからこそ、GOJIRA 7枚目のアルバム “Fortitude” が登場するのに、これ以上のタイミングはないでしょう。世界はかつてリーブス博士が呼びかけていたのと同じように、困難に正面から立ち向かう勇気ある心の強さ、”不屈の精神” を求めているのですから。
「不屈の精神こそ、僕たちが示すべきものだ。抱きしめるべきものだよ」

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10. RIVERS OF NIHIL “THE WORK”

瞑想的で、変化に富んだ超越的な “The Work” はすべてを受け入れるために時間を要する冬の難解そのものなのかも知れません。厳しくて冷たい不可解な世界。しかし最後に到達するのは肉体的、精神的、感情的な満足感です。
「自分の理想とする芸術に集中することは絶対に可能だよ。ただ、自分の完璧な芸術的ビジョンにすべてを捧げたいのであれば、人生を充実させ、意味のあるものにするために必要であると信じられてきたすべてのものを喜んで捨てなければならないんだ」
アルバムに込められたメッセージは、リスナーに内省を促し、人生をより本質的な価値のある、意味のあるものにしていくこと。”The Work” “仕事” とはいったいなんのための仕事なのか。自分の人生を生きるという、簡単なようで実に難しい不可能にも思える命題こそ彼らの魂。それがパンデミックであれ、大統領選であれ、アートワークの分断された世界においても、黙々と光の中で音楽を作り続けたのがインタビューの回答者である Brody Uttley であり、RIVERS OF NIHIL でした。つまり、パンデミック、冬という厳しい季節においても、不撓不屈の精神さえあれば心の充足、魂の浄化は必ず得られるのです。
「多くのバンドが、よりプログレッシブなサウンドに向かうにつれて、ヘヴィーな瞬間、その激しさを失っていく傾向があると思うんだ。でもその要素を完全に捨ててしまうのは愚かなことだよ。というのも、僕たちはヘヴィーな要素を “絵画” の “色” として使うことに長けているからね。僕たちは “プログレッシブ” というものを自分たちのやり方で表現したかったんだ」

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11. GENGHIS TRON “DREAM WEAPON”

「僕は今でも “ブルータル” な音楽が大好きだけど、今の僕たちの生活の中では、そういった音楽は正直な気持ちで書けるものではないし、自分たちの音楽として聞きたいと思っていたものでもないんだよね。だから少なくとも、このアルバムにお決まりのブルータルは存在しないのさ」
“Board Up the House” から13年の時を経て届けられた “Dream Weapon”。パンデミックの喧騒に、人類と地球の “重さ” を天秤にかけるレコードで彼らが戻って来たのは、きっとある種の運命でしょう。
さながら列車の分岐器のように、時おり流れを変えるレコードがレールの上へと現れますが、まさに “Board Up the House” はそういった類の作品でした。エクストリーム・メタルとエレクトロニカ究極のアマルガム。グラインドコアに絡みつくコンピューターの鼓動。反復を重ねるドゥームとシリアスなメロディーまで血肉としたこのアルバムが、以降の重音と電子音という両極端の甘やかな婚姻に果たした役割は決して少なくありませんでした。
「”Dream Weapon” のヘヴィネスは、ダークなメロディー、ヒプノティックなリズム、歌詞の内容といったソングライティングそのものから来るもので、プロダクション・スタイルから来るものではないんだよね」
13年という時間はバンドの多様性を洗練へと導き、サウンドの大きな変化をもたらしました。ただし、GENGHIS TRON がソフトになったという評価はおそらく間違いでしょう。彼らはただ、ヘヴィーの真理を追求しながら、没入感のある音楽世界という当初からの目標へとまた一歩近づいたに過ぎないのですから。

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12. DORDEDUH “HAR”

「私たちはこれらの楽器で実験するのが好きなんだよね。チューニングを変えたり、わざと “間違った” 方法で演奏したり、型にはまらない方法で伝統楽器を使用するんだ。例えば、私たちはこれらの楽器を用いて儀式的な音楽的背景を作り出すことに興味があってね」
ハンマード・ダルシマー、マンドリア、セマントロン、ブシウム。DORDEDUH の音を語る上で、中世からの伝統楽器は重要なトピックの一つです。もちろん、ELVEITIE をはじめとして、メタル世界に伝統楽器を持ち込んだバンドは少なからず存在します。ただし、彼らの多くが伝統楽器を “フォーク・メタル” の一環として過去を再現するために活用しているのに対し、DORDEDUH は伝統楽器でさえ実験の材料として未来を紡ぎ出しているのです。言い換えればそれは、楽器の効果を音楽以外の何かにまで波及させる未知のメタル・ラボラトリー。
「ブラック・メタルにおいて、人は重要ではないよね。重要なのは、”超越” とのコンタクトを作り出し、それを自分の中に流し込むことができるかどうかだから」
過去のバンドメイトの逝去を乗り越え、スピリチュアルな事象や密教、神秘的体験について歌われたアルバムで、ルーマニア語の歌詞は完璧な役割を果たしています。言葉の意味は伝わらなくとも、魂に直接語りかけるようはリスニング体験。さらに電子や現代楽器の狭間を伝統楽器が泳ぐことで、アルバムは時の不可逆性をも超越し、えもいわれぬ不可思議と、夢のサウンドスケープを手に入れることに成功しました。不吉な予感と美しき荘厳を同居させながら。

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13. AMENRA “DE DOORN”

AMENRA は結成以来20年間、痛みと苦しみを紡ぎ続けています。ポスト・メタルの壁のようなサウンドと、Colin Van Eeckhout のひりつくような叫び。彼らのミサは犠牲と傷跡の荘厳な儀式です。
ミサの書は AMENRA のメンバーの1人または複数が、人生を変えるような経験をした後に書かれてきました。時には酷いトラウマになるような経験。ただし、今この時、彼らはその闇の儀式から離れる運命を感じていました。
「このパンデミックは、自分自身だけでなく、周りすべての人間と内省し、つながるためのプラットフォームだよ。人類はかつてないほど分裂し、個人に焦点を当てている。今ある共感と連帯感は、私たちが種として存続していくためには十分ではないだろう。物事はシフトし、変化する必要があるんだよ」
AMENRA は、他の多くのバンドのように、プロモーションやライブが困難なパンデミックの独房を避け、内省の時から逃げることなどは当然よしとしませんでした。この暗く孤独な時間をむしろ、分断された世界を再びつなげるための有効なプラットフォームとして活用しようと決めたのです。仮初めのつながりではなく、真のつながりを求めて。
「共感や連帯感という概念が消えつつあるのは、とても悲しいことだよ。コンピュータの画面の向こうでは、お互いに思いやりのない冷淡な態度をとることが簡単にできるからね。世の中はどんどん生きづらくなっているようだ。目を合わせることさえ、いつかは難しいことになるだろうな。心と心を通わせること。それが私たちに必要なことなんだ」
身の回りの苦難や危機に対応して有機的に構築された個人的な苦悩の記録ではなく、リスナーと痛み、苦しみ、そしてほんの一握りの希望を共有するための作品。それが “De Doorn” の正体です。

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14. DEAFHEAVEN “INFINITE GRANITE”

アルコールからの、ロックダウンからの、評論家からの解放。そうして DEAFHEAVEN は、”Infinite Granite” を RADIOHEAD が2000年に発表した “Kid A” の自分たちのバージョンだと一貫して発言しています。大胆な音の再出発でありながら、作者のアイデンティティを維持し、拡大しているという共通項をあげながら。George は、「自分たちのやりたいことを堂々と、そして自由にやるという姿勢が大切だ。ヘヴィー・コミュニティでは、BORIS や OPETH のように、自分たちが制限されることはないという理解に基づいて活動しなければならない」と胸を張ります。
では、メタルのエッジを放棄した新たな領域で、DEAFHEAVEN らしさを保つための要素とは何でしょうか?Kerry は熟孝します。
「同じバンドの異なるフレーバーに過ぎないんだ。俺たちの音楽がいつも喚起する核心的な感情のすべてが、新しいフィルターを通して表現されているだけなんだよ。2015年の3枚目のLP “New Bermuda” で、自分たちの音楽にスラッシュやデスメタルの要素を入れることができると気づいたように、今回はこれもできると言っているんだ。それはそれでいいんだよね。これは、俺たちがクリエイティブな筋肉を伸ばせるように壊した、もうひとつの壁なんだよね。人は好きなことを言うものだよ。それは俺たちの仕事ではないんだ。俺たちの仕事は、欲しいものを作ることだけだから…」

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15. IOTUNN “ACCESS ALL WORLDS”

「このアルバムは僕にとって創造性にフォーカスした作品だ。真に探求し自由であろうとする創造性は、文明や社会、人間の生活に光を当てるもので、逆に言えばそういった場所からこそ創造性は生まれるんだ。つまり、すべては生命で、共に呼吸しているんだからね」
デンマーク、フェロー諸島の雄大な自然、神秘的な伝承、豊かな感情に囲まれて育った IOTUNN のメンバーにとって、音楽とは変化を続ける人生を表現する手段です。その逆もまた真なり。滴り落ちる音の雫には、表現者の絶え間ない営みが宿っているのです。
「60年代、70年代のロックに不可欠だった膨大な探求心は、今ではメタルの大部分にとって不可欠な要素となっているよ。だから、多様性はメタルのこれからの数年、数十年を本当にエキサイティングなものにしていくと思う」
62分のレコードの中で、バンドはプログ・メタルの再構築、再発明に挑みました。CYNIC のスペーシーなプログ・デス、KATATONIA の仄暗きアトモスフィア、ENSLAVED の神話のブラック・メタル、INSOMNIUM の知的なメロディック・デスメタル、MASTODON の野生、それに NE OBLIVISCARIS のモダンで扇情的な響き。
重要なのは、心に響くメロディーであれ、流麗なギターソロであれ、重厚なデスメタルの力であれ、IOTUNN は先人の生きた足跡を噛み締めつつ、フェロー諸島という環境、そして自らの人生で養った表現力を遺憾なく発揮して前人未到のスピリチュアルな境地へとメタルを誘った点でしょう。

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16. WHITECHAPEL “KIN”

「僕はおそらく Deathcore という言葉を受け入れるべきなんだろうけど、バンドとしては、そのジャンルに立ち返りたくないと強く感じているよ。デスコアは大袈裟で、退屈なんだよ。ミュージシャンなら音楽ジャンルにアピールするため作曲するんじゃなく、楽しんで書く必要があるね」
テネシー州の6人組、WHITECHAPEL は、既成概念にとらわれないデスコアシーンのベテランで、このジャンルにおいて常に最も挑戦的かつ流動的なバンドの1つ。その姿勢は、8枚目のフルアルバム “Kin”で大成し、アコースティック、ラジオロックからニューメタルまであらゆるジャンルに触れ、このアルバムの中心である骨太の攻撃性を際立たせています。
「セルフタイトルのアルバムをリリースしてから、僕たちはいつもクリーンボーカルを導入したいと思っていたんだ。それは単に今までと異なるものだからだよ。デスコアと呼ばれるジャンルはあまり実験的な試みが許されていないと思うんだけど、僕たちはそれを嫌っているんだよ」
実験的な側面は毎回成功するわけではありませんが、失敗から生み出される “再出発” の報酬こそがメタルの醍醐味。”Kin” で彼らががデスコアの境界線を新しく興味深い方向に押し広げたのは間違いありません。

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17. SO HIDEOUS “NONE BUT A PURE HEART CAN SING”

「アルバムをリリースするのは、自己表現という意味では一生に数回しかないチャンスだ。なぜ “Laurestine” や “Last Poem” の Part 2 みたいな “続編” を作って、インターネット掲示板で少数だけど喧しい “音楽純粋主義” 集団を喜ばせなきゃならないのか?それはひどい生き方だよ」
例えば政治であれ、例えば社会であれ、例えば音楽であれ、純粋さが失われた現代において、真っ直ぐに愛する音楽を奏で、正直に言葉を紡ぐ SO HIDEOUS がいなければ、世界はさらに “とても醜い” ものになってしまうでしょう。
「このバンドは基本的に “エクストリーム・ミュージック・コミュニティ” に向けて売り出されていて、彼らは実際に “極端な” 音楽と呼ばれる音楽を掲げているにもかかわらず、最も保守的なリスナーであることが多いんだよね。どのジャンルやレーベルの下で活動すべきかということに非常に固執し、それを武器にバンドに牙をむいたりね。そんなのクソくらえだよ」
SO HIDEOUS が長い休止期間を経て戻ってきたのは、ポストブラックやブラックゲイズといったジャンルの掟を踏襲するためでも、プライドだけが肥大化したファンという名の何かを満たすためでもなく、ただ自由に望んだ音楽を追求するため。Brandon 自らが “コンサート・ホールでシンフォニーが奏でるような完全で妨げる余地のないリスニング体験” と呼んだ、きらびやかで感情的、そしてオーケストレーションを極めた傑作 “Laurestine” さえ過去にする最新作 “None But A Pure Heart Can Sing” には、メタル世界で最も想像力に富んだバンドの野心と矜持と反骨が詰まっているのです。

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18. KHEMMIS “DECEIVER”

「自分たち自身では、大量の催眠剤を打ったヘヴィーな IRON MAIDEN や THIN LIZZY のようだと思っているんだ!多くのモダンドゥームは、BLACK SABBATH を真似て、アイオミの祭壇を崇拝することに重きを置いているよね。勿論、それによって良い音楽も生まれているんたけど、僕たちのインスピレーションはあまりサバスに直接繋がってはいないんだよ。より初期のロックやメタルの感覚を、比較的現代的なレンズを通して表現しようとしているんだよ」
コロラド州の KHEMMIS は、WAYFARER、PRIMITIVE MAN、BLOOD INCANTATION のようなバンドがひしめくアンダーグラウンド・シーンの頂点に立った存在です。彼らの卓越性は、伝統的なメタル・イズムとドゥーム感覚を、厚く艶やかな音色を得意とする地域性と結びつけて、異端でありつつほぼ普遍的な魅力を作り出している点でしょう。
「正直に言って、ただクラッシックで伝統的なメタルの大ファンというだけなんだよ。君が言ったようなクリーンボーカルやツインギターそのサウンドの精神に内在しているものなんだ。ボーカルの面で言うと、僕は意識的に特別誰かのようなサウンドになることは避けている。僕は少し変わったことをやりたいね。David Bowie, Steve Winwood, Phil Lynot といったシンガーをインスピレーションとするような歌を描きたいんだよ。彼らは僕のナチュラルな声に近いしね」
KHEMMISの曲作りに常に潜在するプログレッシブなアプローチ。彼らはここではついにそれを全解放しています。ヴォーカルを中心に据え、勢いよりも物憂げでダークな雰囲気を抽出した作品には現代を生きるドゥームの騎手としての気概にあふれています。

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19. PAPANGU “HOLOCENO”

「ブラジル北東部の音楽は、子供の頃から僕に大きな影響を与えてきた。そうした音楽に影響を受けたことは、僕たちの音楽の大きな特徴の一つなんだよね。だって、そこから影響を受けたロックやメタルのバンドはそれほど多くはないと思うから。ただ、ブラジルの文化には音楽だけでなく、詩や文学、映画それらすべてから大きな影響を受けているよ」
メタルの生存能力、感染力はコロナウィルスをも上回っているのではないか。そしてこのパンデミックで荒廃した地球に光をもたらすのはメタルなのではないか。そう思わざるを得ないほど、ヘヴィ・メタルは21世紀において世界のあらゆる場所に根付き、人種、宗教、文化を乗り越えあらゆる人たちの希望としてその輝きを増しています。
「ANGRA や SEPULTURA が巨大すぎて、自分たちの違いというか個性を捨ててまでその音を追求しようとするバンドが出てきてしまうんだよね。それ自体は悪いことではないし、結局人は自分がやりたいと思うことをやるべきだと思うんだけど、それでもせっかくの音の多様性が損なわれてしまっているように感じるね」
メタルが世界に拡散したことで受ける恩恵は様々ですが、リスナーにとって未知の文化や言語、個性といった “違い” を楽しめることは大きな喜びの一つでしょう。そして、ブラジルから登場した PAPANGU は、その “違い” を何よりも大切にしています。もちろん、ブラジルは世界でも最もメタルの人気が高い場所の一つで、ANGRA, SEPULTURA といった巨大なバンドをいくつか生み出してはいますが、ペルナンブーコの伝統的モンスターの名を冠した PAPANGU はブラジル北東部のリアルな音や声を如実に反映することで、メタルの感染力をこれまでより格段に高めることに成功しました。

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20. CONVERGE “BLOODMOON I”

「Chelsea も同じかどうかはわからないが、パンデミックの影響でクリエイティブな人たちが変な方向に行ってしまったんだよな。誰もがクリエイティブでなければならないと思っていて、俺はそれをかなり息苦しく感じていた。俺はそんな仕事はしたくない。何かを作りたいと思えるようになるまでには、しばらく時間がかかったんだよ」
哲学的にも、音楽的にも、あるいはラインナップの充実からも、”Bloodmoon: I” は、CONVERGE にとって、ユニークで、大きな変化をもたらすアルバムとなりました。まさにブラッド・ムーンを仰ぐ部分月食の11月19日に発売されたこの作品は、90年代初頭からバンドが磨き上げてきた、メタリック・ハードコアの唸りや地響きをバイブルに、スパゲッティ・ウエスタン・ゴス(”Scorpion’s Sting”)、コーラルでメランコリックなプログレッシブ(”Coil”)、空想的なサバティアン・スラッジ(”Flower Moon”)といった “部外者” との多様なケミストリーも頻繁に顔をのぞかせます。LED ZEPPELIN の遺伝子をひく “Lord of Liars”のようなクラシック・ロック回帰も含めて。CONVERGE 本体とコラボレーターとの間の相乗効果はシームレスで、作品をビーストモードでアップ・グレードしています。もちろんCONVERGE の幅広いディスコグラフィーは常にハードコア以上のものを示唆してきましたが、”Bloodmoon.I” で赤の月の軌道は拡張され、最もその異変を如実に知らしめます。つまりこのアルバムは、CONVERGE の “何でもあり” のアプローチを、最も贅沢に表現した作品なのです。

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21. SUBTERRANEAN MASQUERADE “MOUNTAIN FEVER”

「僕たちはただ平和に根ざしている。それが僕たち全員の関心事であり、夢でもあるんだ。僕たちの音楽は、全員への愛で作られている。僕たちが望むのは平和だけなんだ」
テロと報復の連鎖。中東の火薬庫の中で苦悩するイスラエルは、進化する音楽世界のリーディング・ヒッターであり、その緊張感ゆえに平和を祈る音のピース・メイカーが現れる聖地ともなりました。ORPHANED LAND の功績を語るまでもないでしょう。そうして、地底の多様な仮面舞踏会で舞い踊る SUBTERRANEAN MASQUERADE も彼らの軌跡を追っていきます。
「特にイスラエルのシーンがあまり知られていないからこそ、比較されるのは当然のことだよね。だから僕たちは、世界中で話題になり、より多くの人が話題にしたり聴いたりするような、次のイスラエルのバンドになることを誇りと共に誓っているんだ」
ただし、エルサレムまでの道のりがすべて同じわけではありません。ORPHANED LAND がよりメタリックエスニックな世界を探求し融和を前面に押し出すなら、SUBTERRANEAN MASQUERADE はさながらアンダーグラウンドの雑多から這い出る混沌のエスニックプログレッシブ。

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22. MOL “DIORAMA”

「エセリアルなシューゲイズサウンドと、ブラックメタルの荒涼をミックスする手法は、いつだって僕たちを魅了してきたんだ。僕たちがもっと若くてこのジャンルに晒される前からね。だからもちろん、僕たちは間違いなくこのジャンルの特徴をある程度は受け継いでいるけど、決して伝統的なバンドというわけではないんだよ。つまりね、僕たちはブラックゲイズを混ぜ合わせて、そこからブラックメタルとシューゲイズよりも多くのジャンルを引き出したいのさ」
デビュー・アルバム “Jord” は、DEAFHEAVEN と ALCEST に割って入るメタルの新たな夢想家として衝撃を持って迎えられました。彼らの夢想の中には明らかに、プログメタルの種子が宿っていたから。その内部風景は無垢に見えて、スペクトラルなギターと野蛮なメタルアタックが存在の儚さにある種のエナジーをもたらしていたのです。
「僕たちはダークな音楽、メタルの様々なジャンルをルーツとしていながら、同時にエセリアルな “光”、ハーモニックなサウンドも創造しようとしているんだから」
表面的には、”Diorama” は前作よりも残忍です。氷河のようなシューゲイザーが暴力的に脇に追いやられ、MØL はブラックメタルへの道を切り開いていきます。しかし、その暗闇を覗き込むと、ブラストビートの間から光が突き出ているのが伝わるはずです。

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23. PUPIL SLICER “MIRRORS”

“Mirrors” は、不協和な音の超暴力と幻惑への傾倒が、THE DILLINGER ESCAPE PLAN の “Ire Works” や CONVERGE の “Jane Doe” といった名作を想起させます。混乱させ、時間をかき乱し、「何を聴いたんだろう?どうやって作ったんだろう?」と思わせる、人の心や痛みと同様に不可解な音楽です。
「わたしは自分の経験をたくさん書いているけど、より多くの人が音楽に共感できるようストーリー性を持たせるようにしているのよ。わたしが好きなのは、抽象的な歌詞の曲で、その内容についてリスナーそれぞれが自分なりの考えを持つことができ、本当の意味でのつながりを感じることができる曲だと思っているわ」
その名の通り、”Mirrors” は Katie 自身を映し出すレコードで、彼女の核となる考えや痛み、内面的な物語を映し出す鏡であると同時に、不平等や差別が法律や習慣、経済に組み込まれている、システム的にファシストな社会をそのまま映し出す作品でもあります。Katie が経験した個人的、政治的な痛みは、”Mirrors” の暴力によってのみ表現され、追放することが可能なのでしょう。
「わたしは、誰もがその出自、愛する人、外見などで差別されるべきではないと思っているの。いつの日か、今のような悪い状況ではない、より良い世界になることを願っているわ」

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24. EMPLOYED TO SERVE “CONQUERING”

「どちらかと言えば、私たちは自分たちの経験や、他人の愛すべき経験を楽曲にする人道主義者なのかもしれないわね。それこそメンタルの問題から SNS の誤用まで扱うようなね。」
沸騰する英国のライジングスター EMPLOYED TO SERVE。フロントウーマン Justine Jones は、獰猛なメタリックハードコアの刃に希望の “ヒューマニティー” を抱懐し、現代社会の歪みと真摯に対峙しています。SNS の承認欲求を元凶に発生する怒りや憂鬱、混乱の悪循環が、メンタルイルネス、自己陶酔、セクシズムといった負の連鎖を生んでいると彼女は主張し、ハードコアのカオスと Nu-metal のブルータリティー、そしてオルタナティブなスピリットで代弁者として悲壮な咆哮を放つのです。
彼らが雇われ、使役するのは歪な社会の犠牲者のみ。今、社会も人生もめちゃくちゃだ。しかし、これまで以上に、小さな勝利を祝うことが肝要だ。これが “Conquering” に込められたメッセージ。彼らは生の残酷な現実から逃げ出しません。初期作品のグラインド・メタルコアに、MORBID ANGEL のデスメタル、 MACHINE HEAD の深いグルーヴ、TESTAMENT のスラッシュが加わり、彼らは怒りに燃えています。アルバムは耐久性、多様性、そして屈強なパワーの驚異的なステートメント。王にひれ伏しましょう。

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25. EVERY TIME I DIE “RADICAL”

アルコール依存症、結婚生活の困難、そして悪化する実存的危機と闘いながら、EVERY TIME I DIE のフロントマン Keith Buckley はどん底に落ちていました。バッファローの英傑たちが満を持して発表した9枚目のアルバム “Radical” はそんな地獄からの生還を綴ったロードマップであり、Keith にとって重要な人生の変化を追った作品と言えます。
「80年代、90年代にアメリカで育って、結婚とはクソみたいなものだと信じ込まされていたんだ。女は満たされず、子供を産んで笑顔でいる。俺は人と結婚しているのではないことに気づいたんだ。結婚という制度と結婚していたんだよ。それにアルコール。俺は飲んでいるときの自分が好きだった。おしゃべりで面白くて、正直な人だったからな。でもやがて、自分はいつもそういう人間なのだと気づいたんだ。アルコールただ、彼を引き出すための道具に過ぎなかった。酒を飲むと、心が落ち着き、自分自身の波動に戻ることができたんだ。俺は、”よし、この感覚だけを大切にしよう” と思った。つまり “飲まずにそうなるにはどうしたらいいんだろう?” と。酒をやめてからは、”何が好きで、何が嫌いか” をひたすら追い求めたよ」
ハードコア・シーンの人たちが政治を担当したら、すべてがうまくいく。少なくとも、進歩や社会正義に向けた、新しい素晴らしい旅に向けた前向きなスタートになるはずだと Keith は信じています。
「俺は15歳で動物愛護のデモに参加した。16歳のときには社会民主主義の本を読んでいた。それってハードコア・シーンがこれまで扱わなかったようなことではないんだ。ハードコア・シーンにいる人たちはとても親切で思いやりがあって、実際に政治を担当しているところを見たいような人たちなんだよな」
こうした Keith の価値観の根底にあったのは、2017年初頭に亡くなるまでレット症候群を患っていた妹の Jaclyn との関係であり、彼女への献身でした。
「妹が生まれたとき、俺はまだ5歳だった。つまり突然、俺は共感する必要が出てきたんだ…たくさんの共感をね。そして、妹が大きくなり、俺も大きくなるにつれて、その共感力にはより磨きがかかってきた。彼女とのつながりはますます強くなっている。彼女が亡くなったからといって、もう彼女との関係をやめるということはないんだよな。俺はとてもスピリチュアルな人間なんだよ。妹はしゃべれないほどの障害をもっていたから、俺はいつも彼女と非言語的な関係を持っていたわけだよ。それは、彼女がここにいないからといって変わるものではない。このアルバムを作っているときは、彼女と一緒にいることが多かったと思う」

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26. WRECHE “ALL MY DREAMS COME TRUE”

「ブラックメタルでは、ピアノはトレモロ・リフのような音のパターンを開拓しながら、より豊かな音楽性を維持することができると思うんだ。サスティーンのあるギターと違って、ピアノは弾いたらすぐに音が消えてしまう。そのために必要となる運動性の高さも魅力だよね。膨大なエネルギーの雲を作るためには、動き続けなければならない。これは、ギターにはできないピアノの特徴だよ」
“もしもブラックメタルで、トレモロ・リフを弾くギターの代わりにピアノを使ったら?” WRECHE の “All My Dreams Come True” は、そんな荒唐無稽でしかし好奇をそそる If の音夢を文字通り実現する物怪の幸いです。それだけではありません。アルバムにはピアノだけでなく、現実的な絶望苦悩に満ちたボーカル、シンセサイザーの神秘的で壮大なレイヤーが敷きつめられて、ブラックメタルでありながらブラックメタルの常識をすべて覆す、ジャンルにとって青天の霹靂ともいえる領域にまで到達しているのです。とはいえ、あくまでも手段は手段。儚さ、苦しみ、怒り、そして神秘的な体験という感情の肝は、たしかにこの場所に同居しています。
「僕はブラックメタルのファンタジーや逃避的な側面にはあまり興味がないんだよね。貧困と絶望が蔓延し、宗教指導者とそれを支持する政治家に騙され、いたるところにテント村があり、残酷な行為が行われているという、僕の身の回りにある世界をこのアルバムで表現したかったんだ」

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27. BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS Ⅱ”

タイトルから推測できるように、プログメタルの巨人10枚目のアルバムは2007年の傑作 “Colors” の精神的な後継作であり、5人組が自分たちの遺産を再評価すると同時に、古のプログに備わっていた即興的な躍動感、そしてすでに無限に広がっているハイブリッドの限界に挑戦するものでもあるのです。
「何かを積み重ねるというのは楽しい挑戦だ。”Colors” は歌詞のコンセプトではなく、もっと音楽的な、あるいは哲学的なものなんだ。このレコードを書いた時の心境を表現しているんだよ。2007年に “Colors” を書いた時と同じような気持ちで、2020年の僕らはこのアルバムで次のレベルに進まなければならないと感じていたんだ。自分たちのアイデンティティを確固たるものにするようなものを書かなければならない、そんな気持ちで “Colors Ⅱ” を書き上げたんだ」
限界突破に挑みレベルアップしたいと思うようになったきっかけは何だったのでしょうか。
「特に、僕たちのように長いキャリアを持つ幸運なバンドはそうだと思うけど、壁にぶちあたるように感じる瞬間がある。何か特別なことをしなければいけないという内なる圧力を感じるんだ。直感的に、次はすごいものを作らないといけないと思うんだ。多くのバンドが、この次の作品で成功しなかったら、俺たちの足元から絨毯が引き剥がされるかもしれないと感じる瞬間があると思うんだ。何か特別なことをやって、自分たちを新しい限界まで押し上げないといけないとね」

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28. PORTRAYAL OF GUILT “WE ARE ALWAYS ALONE”

「そうだね、部屋から出ないというのはほとんどまちがってないよ。自分の部屋で一人で生きているというかね。だって、そこが一番快適な場所だから」
Matt King は、自分の部屋から出るのが好きではなく、 一日中パソコンに向かいながらオースティンの PORTRAYAL OF GUILT で “クソ悲しい音楽” を作ることが使命だと表明しています。それでも、「僕はなるべく楽観的にいようとしているよ。でも、同時に現実的でもあるんだよ」 との言葉通り、彼は自身が落ち込んでいるわけではないと、少なくとも本人はそう考えています。
たしかに孤独の中で社会と馴染まず生きているとしても、少なくとも Matt はクリエイティブであり続けています。実際、彼は自分のアンニュイな気持ちを表現することに長けており、最も激しいスクリーモ/ポスト・ハードコア作品の1つを生み出すことに成功しました。
「結局、自分以外に頼れる人はいないんだよ。これは僕の意見だけどね。一人でいること、一人で何かをしなければならない状況によって、時に多くの視点を得ることができる。孤独をネガティブにとらえる人もいるけど、僕はポジティブでもネガティブでもないと思っているんだ。それよりもむしろ、人生の教訓を得られると考えているよ」
PORTRAYAL OF GUILT で語られるテーマは Matt のカタルシスを表現しており、世界に対する不満や無力感を叫んでいます。Matt の人生観とはまさに新たな作品のタイトル通り “We Are Always Alone”、自分以外に頼れる人がいないこと、そしてそれが現実であること。
結局、他人は何もしてくれない。つまり、世界で起こっているパンデミック、大統領が誰であるかとか、狂ったようなサイコな事象に対して私たち一人一人はあまりに無力であるという感覚…何よりもただ一人であるという感覚が、このアルバムの世界観を締めつけています。それでも Matt はただ “悲しい” 男だとは言えません。自分はわざわざ誰かに話しかけたりしない。誰かと一緒にいるよりも、一人でいる方が好きだから。

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29. BOSS KELOID “FAMILY THE SMILING THRUSH”

ウィガンのスラッジマスター BOSS KELOID は、10年以上英国のアンダーグラウンドで活動していますが、ORANGE GOBLIN や ELECTRIC WIZARD ようなシーンのリーダーから期待される麻薬的な打撃というよりも、最近では実験的な曲構成で巧妙なプログへとその歩みを進めます。
「もっとプログ寄りのファンからは、CAMEL, GENESIS, KING CRIMSON を想起させるなんて言われているしね。」 もしかすると、古の巨人が宿したプログレッシブな魂は、ジャンルの後進よりも BOSS KELOID のようなバンドこそが正しく継いでいるのかも知れませんね。
ある意味では、”Family The Smiling Thrush” という不可解なタイトルの作品は、2018年にリリースされた同様に突飛な “Melted On The Inch” が捨て去った場所をも論理的に拾っています。アルバムの7曲が再生されるにつれて、本作がこれまでよりもはるかに明晰な BOSS KELOID のひねくれたヴィジョンを実現したものであることが明らかとなるのですから。
「僕たちの音楽は、最初は奇妙なリフやグルーヴにフォーカスしていたんだけど、今ではよりダイナミズム、エモーション、メロディー、そして多様性を加えているね。最近では、より実験的で、両極性を持つアプローチで音楽を創造し楽しんでいるんだ」

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30. VIOLET COLD “EMPIRE OF LOVE”

ブラック・ゲイズ/ポスト・ブラック/アトモ・ブラック。これらのジャンルはすべて、ブラック・メタルを純粋な暗闇の限界から遠ざけ、宇宙的な広がりやメロウな美しさを注入しながら世界の視野を広げていきます。多様性への邂逅と言い換えてもいいでしょう。
扉を開いた “ポスト・メタル” は複雑な色彩に彩られ、哀愁と暗さに加えて心に響く何かを宿しています。彼らの多くは断固とした反ファシストで、前向きな社会を形成するグループを支援し、黒く染まっていながら人生の憂鬱からリスナーを引き上げ、いかなる仲間にも悪意を抱かせない、ポジティブな音楽を発表しているのです。偉大な Neige がかつて 「私はポジティブなエネルギーと希望のメッセージを広めたいんだよ」と言ったように。
アゼルバイジャンの VIOLET COLD は、そんなポジティブなエネルギーを内包し、魂を高める音楽を創り出すバンドのひとつ。その唯一のメンバーで、美しき音楽活動家 こそ Emin Guliyev です。この率直なマルチ・インストゥルメンタリストは、失うことを恐れず、より良くより安全でより自由かつ多様な世界のために戦うことを常に表明しており、常識を疑い続けています。
彼の8枚目のフルアルバム “Empire of Love” は、Facebookのグループでアルバムをシェアした数時間後には、違いを認めない人々からの怒りを買い、警告なしに投稿が削除されました。彼らの頭が沸騰したその理由は?アルバムのアートワークに描かれたただの色が理由です。ただの色だけで頭が沸騰するなんて。Emin はアゼルバイジャンのストライプの国旗を、虹色の LGBTQ プライドフラッグに巧みに変えていました。アゼルバイジャンは、ヨーロッパで最もホモフォビアやトランスフォビアが強い国のひとつで、マイノリティーの権利や保護がほとんどないといっても過言ではない場所です。そんな場所で Emin のとった行動は大胆な受容の表明であり、憎しみの壁に正面から突っ込んでいく勇気の表明でもあったのです。「僕にとって “Violet Cold “は、音楽でも生活でも、固定観念や常識に挑戦するための手段なんだよ。一般的に受け入れられている限界を超えて、不可能だと思われていたものを作って人々を驚かせるのが好きなんだ。僕はこのプロジェクトをメタルバンドの一般的な基準から離れたものにしたいんだ」

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31. ZAO “CRIMSON CORRIDOR”

「ZAO は、自分たちの本能に従って正しいと思うことをするときにこそ、いつも最高の仕事をやってのけるんだ。最近の “メタリック・ハードコア” には、メタルやハードコアとは関係のない外部の要素がたくさん入り込んできているけど、それはとても良いことだよ。俺たちは様々なタイプの音楽が好きだし、ZAO のように聴こえるなら何をやってもいいという自由は、俺たちにとって大きな意味を持っているんだよ」
自らのレーベルを立ち上げ、売り上げや権力を気にかけない自由を得た ZAO は、例えば自らより若い YASHIRA や THOU のような多様性を遺憾なく発揮することになりました。大御所として神話の中の存在でありながら、あくまで自らの本能に従い正直に音楽と対峙し挑戦し続ける ZAO の姿勢こそハードコアであり、CODE ORANGE など現在のシーンを牽引する若手からリスペクトを浴びる理由なのでしょう。
「たしかにメタリック・ハードコアのシーンは長い間、画一的で飽和状態に “あった” と思うよ。俺たちもおそらく一度や二度はそのような状況に陥って、罪悪感を抱いたことがあるんだから」

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32. ESOCTRILIHUM “DY’TH REQUIEM FOR THE SERPENT TELEPATH”

ESOCTRILIHUM は、今日活動しているブラックメタル・プロジェクトの中でも最も特異で、クリエイティブで、多作なプロジェクトのひとつへと急速に成長を遂げました。6枚のフルアルバムと1枚のEP を4年の間にリリースし、このフランスのワンマン・ユニットは、冷酷でありながらエモーショナルで奇々怪界なメタルの百鬼夜行を続けています。
「自分の音楽的な衝動を信じ、その衝動が現れたときに仕事をしているだけなんだ。すべてを同時にリリースすることだって可能だけど、それは賢明ではないよね。私の中にはまだ充分情熱があるので、活動的であり続けていられる。精神が求めるときに、すぐに選ばれた楽器を演奏して自分自身の内面を映し出さなければならない。音楽的な衝動が頻繁に現れることもあれば、何も起こらずに長く待たされることもある。これは非常に暗いテーマだよ。なぜなら、私は物事の進展を説明できないことがあるから。ESOCTRILIHUM を管理することは苦しみであり、苦悩でもあるから、いつかは終止符を打たなければならないと思っている。私はすでにすべてをプログラムしているんだよ」
ブラックメタルは一人ですべてをこなすアーティストが多い印象です。
「ブラックメタルは、孤独や孤立と完全に調和しているスタイルだからね。なぜなら、孤立しているからこそ、自分の精神状態を完璧に反映したものを作ることができるから。それに孤立することは、目に見えないものと触れ合うための最良の方法でもある。一人で作業をしていると、アイデアが早く浮かび、必要に応じて無意識の力を借りることができるんだ。誰かのために何かをすることを強制されないという事実は、仕事をより興味深いものにしてくれるよ」

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33. ABIOTIC “IKIGAI”

「日本についての本を読んでいたら、”Ikigai” というコンセプトに惚れ込んでしまったんだよ。この厳しい時代に、僕たちの多くは自分の存在理由を見つけ出すのに苦労していると思う。僕はそんな苦労や痛み、忍耐についてのアルバムを作りたいと思ったんだよね」
2010年の結成以来、フロリダで最も急速に成長を遂げたデスコア/テクデスのハリケーン、ABIOTIC。5年間の活動休止で彼らは内面的にも音楽的にも遥かな進化と成熟を遂げ、彼らの存在理由、”生き甲斐” を叩きつけてみせました。
「それぞれの楽曲は、生き甲斐というコンセプトを異なるアプローチで表現している。5年の歳月を経て、宇宙やエイリアンについての作品は今でももちろん好きだけど、生き続ける理由を見つけるのに苦労するような時代に、感じられるもの、親近感を持てるものを書きたいと思ったんだ」
コロナ・ウィルスが日常を、社会を、そして音楽業界全体を破壊し続けていることは言うまでもありません。人の心まで侵される現代の恐怖の中で、ABIOTIC が復活を遂げたのは決して偶然ではないでしょう。デビュー作の “Symbiosis” や、プログレッシブ・スペース・オデッセイ “Casuistry” で宇宙や地球外生命体を探求した彼らは、遂に地上へと降り立ち、人類の現状を憂い、人と繋がりながら悲しみ嘆き、共感し、空想的なものよりも優先すべきテーマを見つけました。

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34. MOON UNIT “DIFFERENCES IN LANGUAGE AND LIFESTYLE”

「日本の音楽の何が好きかって?多くのメタルバンドは非常に重苦しくてシリアスだけど、SEX MACHINEGUNS と MAXIMUM THE HORMONE は正反対だから。彼らの曲は、シリアスで大きなテーマに取り組むのではなく、みかんや料理のレシピのような生活の中のありふれた普通のことを扱っている。同時に自分たちの音楽に対してとても真面目で強烈な印象を持っていて、それがとても魅力的だと感じたんだよね。クリエイティブでタイトな曲作り、優れた音楽性、ポジティブなエネルギー、とにかく全てが揃っていて、何かに挑戦することを恐れていないように感じられるんだ」
現在、プログの未来と絶賛される MOON UNIT は、東欧クロアチアからその音楽に対する哲学をなんと日本に学んでいました。”Differences in Language and Lifestyle” は、プログレッシブ・ロックやメタルのような “真面目” な世界では見落とされがちな、”楽しむ” ことを究極のテーマとしています。音楽面ではもちろん、DREAM THEATER や BETWEEN THE BURIED AND ME といった大御所の血がたしかに流れている一方で、MOON UNIT は未来のディストピアや昏睡状態の自己反省よりも、土曜日の朝のアニメやビデオゲーム、50年代の冒険シリーズをモチーフにしたタペストリーで成り立っていて、最も陰鬱なテーマにしても “スタートレック:ボイジャー” の下っ端として働くことの単調さと疲労についての瞑想という、メタルやプログの陰鬱とはかけ離れた日常の延長にあるのです。

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35. THE RUINS OF BEVERAST “THE THULE GRIMOIRES”

「自分がやっていることがブラック・メタルのルールに則っているかどうかは、あまり意識していない。もちろん、NAGELFAR 時代にもそうしていたんだけど、THE RUINS OF BEVERAST は最初から巨大な音の風景を構築することを目的としていたから、限界を感じるものは直感的に無視しようとしていたのだと思うな。そして、何よりもまず制限となるのは、ジャンルのルールだからね」
ジャーマン・ブラック・メタルの伝説。Alexander von Meilenwald の落とし胤 THE RUINS OF BEVERAST は、長い間メタルの海岸線を侵食しながらアンダーグラウンドの美学を追求してきました。ブラック、デス、ドゥームに、サイケデリックな装飾や多彩なサウンドスケープ、サンプルを宿しながら綴る、音のホラー小説。
デビューアルバム “Unlock the Shrine” の広大なアトモスフィアから、15世紀ドイツの異端審問を描いた “Blood Vault – The Blazing Gospel of Heinrich Kramer” のコンセプチュアルな作品まで、Alex の言葉を借りれば、自然や世界を聴覚的に表現する音楽はアルバムごとにそれぞれの独特な感性を備えています。
「俺はいつもゼロからのスタートなんだ。いつも、新しいアルバムのためのビジョンを描き、それが創造的なプロセス全体の地平線として設定される。そして、先ほど言ったように、それは以前の作品とは全く関係がないんだ」

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36. KAYO DOT “MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE”

「パンデミックの影響で、私は街から離れ、友人や他のミュージシャンとも離れて孤立せざるを得なかった。すべての作品を孤独の中で作らなければならなかったんだよ。当時は精神的にかなり参っていたけど、振り返ってみると、あれは私にとってまさに必要な休暇だったと思えるね。都会の喧騒や過酷な生存競争に巻き込まれることなく、自分自身で大きく成長することができたからね」
メタル/プログレッシブの世界で異端の道を歩み続ける修道僧、KAYO DOT の Toby Driver。彼は、パンデミックの影響により都会から離れ、自然豊かな地元コネチカットの田舎の暮らしで自身を見つめ直すことになりました。そこで再訪したのが、高校時代に愛した Toby のルーツとも言えるレコードたちでした。
「TIAMAT, DISEMBOWELMENT, MY DYING BRIDE, ANATHEMA みたいに、デスメタルにスラッジやアトモスフェリックなキーボードを加えた音楽を知ったときは、驚かされたよね。そして、それが私のお気に入りの音楽スタイルになったんだ」
時は90年代初頭。メタルが遂に “多様性” を手に入れ始めたカラフルな時代の息吹は、青年だった Toby の音楽形成、境界を破壊する才能に大きく寄与することとなります。そうして、MAUDLIN OF THE WELL というプログレッシブ・メタルから始まった彼の音旅は、KAYO DOT でのアヴァンギャルド、ポスト・メタル、アトモスフェリック、チェンバー、エレクトロニカの寄港地を経て再びゴシック・ドゥームの地へと舞い戻りました。
「90年代に活躍したバンドを思い浮かべると、たしかにあの頃のミュージシャンたちは皆とても若くて、音楽に成熟したものを期待することはできなかったよね。私は、あのゴシック・ドゥームという音楽が、成熟していて、経験を積んでいて、しかもまったく新しいもののようにエキサイティングだとしたら、どのように聞こえるだろうかと自問したんだ」

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37. THY CATAFALQUE “VADAK”

「僕は過去に閉じこもるタイプではないけれど、90年代は僕にとって非常に重要なんだよね。個人的には、ユニークなサウンドとアティテュードを持つ多くのバンドが存在した、創造的で独創的なメタルの黄金時代だったと思っているんだよ」
メタル世界の番外地ハンガリーから現れた THY CATAFALQUE の謙虚な天才 Tamás Kátai は、やはり異端者です。ジャズ、ポップス、フォーク、エレクトロニカなど、様々なジャンルのしたたかなアマルガムでメタルのマニュアルを再創造していくのですから。そんな東欧に根ざす舞曲のような野心は、90年代に跋扈した魑魅魍魎の独創をドナウの流れに受け止めています。
「野生とか、野生動物を指す言葉さ。アートワークの写真を見れば意味がわかると思うよ。作品のゆるやかなコンセプトは、僕たちは、すべての生き物のように、時間の森の中で死に追われているということなんだ。僕たちは結局野生動物であって、ハンターではないんだよ」
“Vadak”。ハンガリー語で “野生” を意味するアルバムタイトルは、この新たな天啓のエキゾチックで野放図なエッセンスを指し示す重要なヒントとなっています。”Vadak” とは教訓としての死の予感。人にも獣にも同じように宿る儚さにフォーカスしたこのレコードは、人間も動物と等しく本質的に究極の終焉である “死” を恐れ逃げ出すという、フロイト的な生命の本能について深く探求しています。
「”Vadak” も例外ではなかったよ。ただ作曲と録音を始め、その過程でアルバムが勝手に出来上がっていったんだ。もっと有機的で自然なプロダクションにしたいと思い、楽器の世界に飛び込んだんだけど、このアイデアは作曲中にも出てきていたね」

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38. THY ROW “UNCHAINED”

「僕が日本の音楽に惹かれたのは、メロディーなんだ。日本のメタル・バンドは、曲の中を走る赤い線のように、常にメロディーに焦点を当てていると感じるよ。これは、僕自身の音楽においても非常に重要なことなんだ」
才能溢れる多くのバンドを抱えながら、さながら鎖国のように世界への輸出を拒んできた日本の音楽世界。イメージや言語、そして理解されない珠玉メロディーなどその理由はさまざまでしたが、近年はそんな負の連鎖から解き放たれつつあります。アニメやゲームといった日本のコンテンツが抱擁されるにつれて、永久凍土に見えた音の壁が緩やかに溶け始めたのかもしれません。そして、フィンランドの THY ROW は衝撃のデビュー・アルバム “Unchained” において、日本の音楽が持つクリエイティブな可能性とその影響を惜しみなく解放しています。
「”Burn My Heart” や “Destiny” は完璧なパワー・メタルだけど、”Still Loving You” や “Destinations”のような曲は、彼らのスタイルの多様性を示していて、息を呑むような音楽性によってパワー・メタルの曲作りのルールを曲げているよね。驚きだよ!」

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39. OPHIDIAN I “DESOLATE”

「ここでの生活には苦難や浮き沈みがつきものなんだ。アイスランドの音楽はどれも同じようなトーンを持っているんだけど、それはおそらく、この国がもたらす影響が本質的にすべてを包み込んでいることと関係しているんだ。この国を体験した人たちの中には、この国が呼び起こす感情があって、その感情はさまざまな芸術に変換されているよ」
アイスランドほど自然の恩恵と脅威を等しく享受する場所は世界中でもほとんどないでしょう。火山活動が活発で、大部分が凍りついた不毛の島国。しかしその威容は壮観を通り越して荘厳で、馬や羊、新鮮な魚と魅力的な特産品はどれも自然の恩恵を受けています。ゆえに、SIGUR ROS, Bjork, SOLSTAFIR といったアイスランドの音楽家は静謐で、荘厳で、美しく、しかし時にダークで荒涼としたアトモスフェリックな世界を好む傾向にあるのでしょう。OPHIDIAN I はその両極のコントラストを一層際立たせるテクニカル・デスメタルの英俊。
「実はこのアルバムの歌詞は、僕たちが生まれ育った世界とよく似た世界を舞台にしているんだ。風景や厳しい天候という点では似ているんだけど、それでも全く異なるものなんだけどね。
多くの点で、この背景は僕たちがバンドのサウンドについて感じていることでもあるんだよね。非常にアイスランド的でありながら、外国的でもあり、僕たちの世界とほとんど別のパラレル・ワールドを並置したようなサウンドだよ」

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40. BLAZE BAYLEY “WAR WITHIN ME”

「良い時も困難な時も、俺のファンは俺と一緒にいてくれたからね。俺が自分自身を信じられなくなったときだって、彼らは俺のことを信じてくれたんだから。絶望的な気持ちになったときには励ましてくれた。だから、ファンが俺に作曲やレコーディング、演奏を求めてくれる限り、俺はやり続けるだろうな」
Blaze Bayley はもしかすると、メタル世界で最も痛みと喪失を経験し、それを分かち合い乗り越えた人物かもしれません。世界最大のメタルバンド IRON MAIDEN で5年という決して短くない時間を過ごしました。ミッドランドの小規模バンド WOLFSBANE からまさかの加入。誰もが羨むシンデレラ・ストーリー。しかし、そんな栄光の裏側で Blaze は一人、もがき苦しんでいました。偉大なる万能のシンガー、前任者 Bruce Dickinson の後任という重圧。がむしゃらが力となった WOLFSBANE よりも、丁寧に音程を追わねばという不自由な足枷。鳴り止まぬファンからのバッシング。
「当時、メイデンのファンの多くは俺を嫌っていたし、25年経った今でも嫌っている人は多いと思う。でも、この2枚のアルバムでは素晴らしい曲が書けたと思うし、この2枚はメイデンを語る上で重要な意味を持っているんだ」
あれから四半世紀。Blaze Bayley はただひたすらその人生を、ピュア・メタルとファンのために捧げ続けてきました。そんな英国のメタル侍の姿はある意味、Blaze にとっての恩返しでもあります。批判を浴びても決して自分を無下に扱わなかった IRON MAIDEN への恩返し。苦しい時も自分を信じてサポートを続けてくれたファンへの恩返し。そうして Blaze は、このコロナ禍で苦悶の時を過ごすファンのために最大の恩返しとなる “War Within Me” を贈りました。
「俺のファンが落ち込んでいるとしたら、このアルバムは彼らに力を与えるものでなければならない。俺がメタルを続けるため自分自身に言い聞かせていることの一部をファンに伝えたかった。もし君が弱っていても、強くなって戻ってこられる。もし君が壊れてしまっても、治すことはできる。もし君が他の人と違っていても、決して一人ではないんだよ」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DESSIDERIUM : ARIA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEX HADDAD OF DESSIDERIUM !!

“Video Game Soundtracks Have To Be Addictive To Be Good. You Have To Be Able To Listen To Them For Hours On End And Still Enjoy It, And That’s Something I Strive For In My Own Music As Well”

DISC REVIEW “ARIA”

「あの頃の僕は全然正しい道を歩んでいなかったんだよね。自分の好きなことを追求しないことで、鬱屈とした感情を抱え、何かから逃れようと必死になっていた時期だった。それで、自分の夢に深く執着するようになったんだ。日記に記録したり、一日中夢のことを考えたりして夢はどんどん鮮明になり、離れられなくなっていったんだ」
DESSIDERIUM は、ロサンゼルスのサンタモニカの山で生まれ、アリゾナの砂漠と太陽の下で活動を続けている Alex Haddadの音楽夢日記。自らを熱狂的な音楽オタクと称する Alex は、生き甲斐である音楽を追求できずに悩み、そして自身の夢に囚われていきました。それは彼にとってある種の逃避だったのかもしれませんね。
“妄想は自己犠牲を招き、その苦しみは、外側の世界に自分の内なる感情を反映させたいという願いから、慰めを傷つきながら求めるようになる”。壮大なエクストリーム・プログ絵巻”Aria” のテーマは、アルバムの中で最もシネマティックな “Cosmic Limbs” なは反映されています。バンド名 DESSIDERIUM とは、ラテン語で “失われたものへの熱烈な欲望や憧れ” と訳される “Desiderium” が元になっています。そして彼は今、夢の中から自身の夢を取り戻しました。
「JRPG は長い間、僕の生活の一部だった。日本のロールプレイング・ゲームから得られる経験は、他の種類のゲームから得られるものとは全く別のものなんだよ。普段はゲームを楽しむためにプレイしているんだけど、JRPG はストーリー、雰囲気、アート、キャラクターとの関係、そしてもちろん音楽が好きでプレイしている。ビデオゲームという枠を超えているんだ。別世界へのバケーションのようなもので、そこまで没頭していれば、もちろん僕の書く音楽にも影響を与えているに決まっているよね」
日本のロールプレイング・ゲームの熱狂的な信者である Alex にとって、ゲーム音楽には何時間聴いても飽きない中毒性が必須です。彼の愛するゼノギアス、ファイナル・ファンタジー、ドラゴンクエストにクロノ・トリガーはそんな中毒性のある美しくも知的な音楽に満ち溢れていました。
DESSIDERIUM の音楽にも、当然その中毒性は深く刻まれています。そして彼の目指した夢の形は、狭い箱にとらわれず、ビデオゲームの作曲家、映画音楽、プログロックにインスパイアされた幻想と荘厳を、メタルのエナジーと神秘で表現して具現化されたのです。メランコリーと憧憬を伴った、まだ見ぬ時への期待と淡いノスタルジアを感じさせる蒼き夢。
「OPETH は、僕が最も影響を受けたバンドだろうな。OPETH を知ってから2年ほどは、彼らしか聴かない時期があったくらいでね。彼らの初期の作品は非常に悲劇的でロマンチックで、若くて繊細だった僕の心に深く響いたんだよ」
オープニングの “White Morning in a World She Knows” のアコースティックな憂鬱とメランコリックな美声の間には、明らかに OPETH の作品でも最も “孤独” で Alex 最愛の “My Arms, Your Hearse” の影を感じます。しかし、そこから色彩豊かなシンフォニック・プログレへと展開し、後に KRALLICE ライクなリフが黒々とした “複雑な雑音” を奏でると DESSIDERIUM の真の才能が開花していきます。さながら WILDERUN のように、DESSIDERIUM は OPETH との親和性をより高い次元、強烈な野心、多様なメタルの高みに到達するためのプラットフォームとして使用しているのです。
“Aria” が現代の多くの” プログデス” 作品と異なるのは、”The Persection Complex” が象徴するように、そのユニークで楽観的なトーンにあるとも言えます。Alex は、暗さや痛みの即効薬であるマイナースケールをあまり使用せず、より伝統的なメロディーのパレットを多様に選り分けて描いていきます。
パワー・メタル的な “ハッピー” なサウンドとまでは必ずしも言えないでしょうが、醸し出すドラゴンと魔法のファンタジックな冒険譚、その雰囲気は、ほとんどのエクストリーム・メタルバンドが触れることのできない未知の領域なのですから。そうして陰と陽のえも言われぬ対比の美学がリスナーを夢の世界に誘うのです。
今回弊誌では、Alex Haddad にインタビューを行うことができました。「スーパー・ドンキーコングを差したゲームボーイ・カラーを持ち歩き、ヘッドフォンをつないでゲームの一時停止を押すと、ゲームをプレイしなくてもサウンドトラックが流れ続けたのを鮮明に覚えているよ。僕はヒップホップのアルバムを聴いているようなふりをして、実はゲームの音楽に合わせて架空のラッパーが詩を歌うことを想像していた」もし、OPETH と YES と WINTERSUN が日本のロールプレイング・ゲームのサウンドトラックを作ったら。G(ame) 線上のアリア。そんな If の世界を実現するプロジェクト。どうぞ!!

DESSIDERIUM “ARIA” : 9.9/10

INTERVIEW WITH ALEX HADDAD

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ALEX】: I’m a passionate music nerd who was born in Alabama, grew up in California, and currently resides in Arizona. The earliest types of music I enjoyed were video game soundtracks, hip hop, and disco. I distinctly remember carrying around my Gameboy Color loaded up with Donkey Kong Country, having headphones inserted, and pressing pause on the game so the soundtrack would keep playing without me having to play the game. I’d pretend I was listening to a hip hop album and would have imaginary rappers doing verses over the game’s music. It was really fun (laughs).
Rap/Hip Hop was mainly what I grew up listening to because it’s what my oldest sister listened to, and she was like a goddess to me when I was little. In all sincerity though, I did love the music. I still regularly visit my favorite hip hop albums from childhood. As for disco, my Mom got me really into it by showing me albums from Earth Wind and Fire, The Bee Gees, and Michael Jackson. I still adore all that stuff as well.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【ALEX】: 僕はアラバマ州生まれ、カリフォルニア州育ち、現在アリゾナ州在住の熱烈な音楽オタク。最初に楽しんだ音楽は、ビデオゲームのサウンドトラック、ヒップホップ、そしてディスコだったね。スーパー・ドンキーコングを差したゲームボーイ・カラーを持ち歩き、ヘッドフォンをつないでゲームの一時停止を押すと、ゲームをプレイしなくてもサウンドトラックが流れ続けたのを鮮明に覚えているよ。僕はヒップホップのアルバムを聴いているようなふりをして、実はゲームの音楽に合わせて架空のラッパーが詩を歌うことを想像していた。本当に楽しかったよ(笑)。
ラップやヒップホップは、一番上の姉が聴いていたものが中心だった。小さい頃は姉が女神のような存在だったからね。でも、本当に大好きな音楽だったよ。今でも、子供の頃に聴いたヒップホップのアルバムを定期的に聴いている。ディスコに関しては、母が EARTH WIND & FIRE, THE BEE GEES, マイケル・ジャクソンのアルバムを教えてくれて、すごくハマったね。今でも、そういうものは全部好きだよ。

Q2: It seems you are a multi-instrumental player, but what inspired you to start playing music? Who was your musical hero at that time?

【ALEX】: I began with bass guitar at age 11. Geddy Lee from Rush is probably the biggest reason I wanted to learn bass over guitar at the time. That and I thought the bass was just downright cooler since not as many people played it. I loved (and still do love) the bass, but I knew I needed to officially pick up the guitar when I found myself muting my bass’s volume and pretending to play along to Slash’s solos while jamming to Guns N Roses. So that’s when I started to play the guitar as well. My musical hero at the time was Dave Mustaine from Megadeth. I wanted to play like him, look like him, be him… I thought he was pretty sick.

Q2: あなたはマルチ奏者のようですが、楽器の演奏はどうやって覚えていったのですか?

【ALEX】: 11歳の時にベースを始めたんだ。当時、ギターよりもベースを学びたいと思った最大の理由は、RUSH の Geddy Lee だろうな。それと、ベースを弾く人が少ないから、ベースの方が断然カッコイイと思ったのもあるね。
ベースは大好きだったけど(今でも大好きだけど)、GUNS’ N’ ROSES をジャムっているときに、ベースのボリュームをミュートして Slash のソロに合わせて弾くフリをしている自分に気づいたとき、正式にギターを手に入れる必要があると思ったんだよね。それで、僕もギターを弾くようになったんだ。当時の僕のヒーローは、MEGADETH の Dave Mustaine 。彼のように弾きたい、彼のようになりたい、彼になりたい……と思っていたよ。彼は最高にイカしていると思っていたね。

Q3: Dessiderium is your solo project, why did you decide to make music by yourself instead of a band? Why did you choose the name Dessiderium for the project?

【ALEX】: When I started writing music, I didn’t know of a single metal musician in town or how I could go about finding any. Because of that, I was basically forced to start a solo project. With that said I quickly fell in love with working on music alone. So much so that when I joined my first few bands I was pretty turned off by the idea of collaborating when writing. I was too stubborn and not used to having critiques of what I wrote, and was also too uncomfortable with giving feedback to others. Over time though I’ve worked with bands that have shown me that collaborations can work beautifully with the right combination of people. I feel that way currently with Arkaik, for example. Anyways, at this point Dessiderium will always be around and will always be something I write for. It’s become very important for me to have an outlet for my ideas to grow without any restriction.

Q3: DESSIDERIUM はあなたのソロ・プロジェクトですが、なぜバンドではなく自分一人で音楽を作ろうと思ったのですか?

【ALEX】: 作曲を始めた頃は、街でメタル系のミュージシャンを一人も知らなかったし、どうやって探せばいいのかもわからなかった。だから、基本的にはソロでプロジェクトを始めざるを得なかったんだよね。とはいえ、僕はすぐに一人で音楽を作ることが好きになったんだ。
だから、最初にいくつかのバンドに参加したとき、作曲の際に共同作業をするということにかなり抵抗があったんだよ。僕はあまりにも頑固で、自分が書いたものを批評されることに慣れていなかったし、他人にフィードバックを与えることにも抵抗があったんだ。だけど、時を経て、僕はバンドと一緒に仕事をするようになり、適切な人の組み合わせでコラボレーションが美しく機能することを学んでいった。例えば、現在 ARKAIK と一緒にいて、そう感じているんだよ。
いずれにせよ、現時点では DESSIDERIUM は常に存在し、僕が書く作品であり続けるだろう。自分のアイデアを制限なく成長させるためのアウトプットを持つことは、僕にとってとても重要なことだから。

Q4: In your bio, you wrote that you were influenced by Japanese role-playing games when creating your music. Are Japanese games and anime culture important to you? What works have influenced you?

【ALEX】: JRPGs have been a part of my life for a long time, and the experience I have with those games is completely separate from the takeaway I get from any other kinds of games. Usually I play video games for fun, but I play JRPGs for the story, atmosphere, art, character relationships, and of course the music. They’re just so much more than “video games.” They’re like a vacation to another world, and if I’m immersed in something that deeply then it’s bound to affect the music I write. The same could be said for anime. I especially love psychological anime, and some of those shows have left permanent impressions in my mind that have also surely inspired me.
As for specific JRPGS, I’d say that Xenogears, Final Fantasy 7 and 8, Chrono Trigger, and Dragon Quest 11 have all influenced my music in one way or another. For anime, it’d be shows like Tatami Galaxy, Welcome to the N.H.K., Elfen Lied, or Neon Genesis Evangelion. I’ve also been deeply inspired by Hayao Miyazaki movies. In fact, before this project was called Dessiderium it was called Laputa (named after the floating castle from Castle in The Sky.).

Q4: あなたのバイオを読んでいたのですが、日本のロールプレイング・ゲームが音楽を書く際の大きなインスピレーションとなっているそうですね?

【ALEX】: JRPG は長い間、僕の生活の一部だった。日本のロールプレイング・ゲームから得られる経験は、他の種類のゲームから得られるものとは全く別のものなんだよ。普段はゲームを楽しむためにプレイしているんだけど、JRPG はストーリー、雰囲気、アート、キャラクターとの関係、そしてもちろん音楽が好きでプレイしている。ビデオゲームという枠を超えているんだ。別世界へのバケーションのようなもので、そこまで没頭していれば、もちろん僕の書く音楽にも影響を与えているに決まっているよね。アニメも同じだよ。特にサイコ・アニメが好きなんだけど、その中でも特に印象に残っているものからは、必ずと言っていいほどインスパイアされているよ。
JRPG では、ゼノギアス、ファイナルファンタジー7・8、クロノ・トリガー、ドラゴンクエスト11などが、何らかの形で僕の音楽に影響を与えていると思うよ。アニメでは、”四畳半神話大系”、”N.H.K.へようこそ”、”エルフェンリート”、”新世紀エヴァンゲリオン” などが挙げられるだろう。
あとは、宮崎駿の映画にも深く影響を受けていてね。実は、このプロジェクトが “Dessiderium” と呼ばれる前は、”Laputa”(”天空の城ラピュタ” の浮遊城から名づけられた)と呼んでいたくらいでね。

Q5: Musically, have you been influenced by Japanese game soundtracks or Japanese artists?

【ALEX】: Absolutely. Koji Kondo, Nobuo Uematsu, Yasunori Mitsuda, Masato Nakamura, Shoji Meguro, all of these composers have influenced me a great deal through the soundtracks from The Legend of Zelda, Mario, Final Fantasy, Xenogears/Xenosaga, Chrono Trigger/Chrono Cross, Sonic The Hedgehog, and Persona games for example. Video game soundtracks have to be addictive to be good. You have to be able to listen to them for hours on end and still enjoy it, and that’s something I strive for in my own music as well.
As for other Japanese artists, I really can’t say I know too much. I do love a band called Toe that I know is from Japan. Incredibly nice instrumental, math rock kind of stuff. I’ve spent a ton of time with all three of their full lengths. I’ve also found myself addicted to almost anything produced by Yasutaka Nakata. Capsule, Perfume, Kyary Pamyu Pamyu. I enjoy the hell out of those projects. That ridiculously infectious, ultra clean, hyper-pop music just hits the spot for me.

Q5: では音楽的にも、日本のバンドやゲームのサウンド・トラックに影響を受けているのですね?

【ALEX】: もちろんだよ。近藤浩治、植松伸夫、光田康典、中村正人、目黒将司。こういった作曲家は、例えばゼルダの伝説、マリオ、ファイナルファンタジー、ゼノギアス/ゼノサーガ、クロノ・トリガー/クロノ・クロス、ソニック・ザ・ヘッジホッグ、ペルソナなどのサウンド・トラックで僕に大きな影響を与えた人ばかりだよ。ビデオ・ゲームのサウンド・トラックは、中毒性がなければ良いとは言えない。何時間聴いても飽きないようなものでなければならないし、それは自分の音楽でも目指しているところだよね。
他の日本のアーティストについては、あまりよく知らないんだよ。でも、Toe という日本のバンドが好きだな。信じられないほど素晴らしいインストゥルメンタル、マス・ロックのようなサウンドでね。彼らのフル・アルバム3枚を全部聴いて、多くの時間を過ごしたよ。
あとは、中田ヤスタカがプロデュースしたものにはほとんどハマっているね。Capsule、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ。こういったプロジェクトを楽しんでいるよ。あのバカバカしいほど感染力のある、超クリーンなハイパー・ポップミュージックは、まさに僕のツボを突いてきているからね。

Q6: “Aria” is an amazing musical journey, and it says on Bandcamp that it was written between 2013-17. What is the theme of this work?

【ALEX】: That’s right. It’s an older album I wrote during my school years at University. Looking back, I was not at all on the right path during that time. Not pursuing what I was passionate about left me with feelings of depression during that time, and I was desperate for any form of escape. I became deeply attached to my dreams. I’d record them in a journal and think about them all day, and through doing that the dreams became more and more vivid and harder to detach from. Romantic dreams were especially potent, and I think those were what really inspired the music and words on Aria.

Q6: “Aria” は素晴らしい音楽の旅ですね。2013年から17年の間に書かれた音楽だそうですが、どういったテーマを扱っているんですか?

【ALEX】: そうなんだ。”Aria” は大学在学中に書いた古いアルバムなんだよ。今思えば、その頃の僕は全然正しい道を歩んでいなかったんだよね。自分の好きなことを追求しないことで、鬱屈とした感情を抱え、何かから逃れようと必死になっていた時期だった。
それで、自分の夢に深く執着するようになったんだ。日記に記録したり、一日中夢のことを考えたりして夢はどんどん鮮明になり、離れられなくなっていった。特にロマンチックな夢は強烈で、それが “Aria” の音楽と歌詞のインスピレーションになったと思うんだよ。

Q7: Dessiderium is, of course, based on black metal and death metal, but your diverse and progressive music doesn’t really fit into that narrow category, right? Your ambition seems to be very close to Opeth, what do they mean to you?

【ALEX】: Opeth is probably my biggest influence in general. There was a period of two or so years after I discovered them where they were the only band I listened to. Their early work is intensely tragic and romantic, which touched me deeply at that young and sensitive age. They just had this magical flow to everything they wrote where every song just felt so grand and cinematic without ever being overbearing. They also opened to the door for me to explore old progressive rock, black metal, and some doom, which are genres that have also shaped my sound greatly.

Q7: DESSIDERIUM の音楽は、もちろんブラック・メタルとデスメタルをベースとしていますが、それだけに収まりきらない多様性やプログレッシブな側面が強いですよね。その野心が OPETH と非常に似ていると感じたのですが。

【ALEX】: OPETH は、僕が最も影響を受けたバンドだろうな。OPETH を知ってから2年ほどは、彼らしか聴かない時期があったくらいでね。彼らの初期の作品は非常に悲劇的でロマンチックで、若くて繊細だった僕の心に深く響いたんだよ。
彼らの書く曲はどれも不思議な流れを持っていて、どの曲も威圧的でないけれど壮大で映画的な感じがしたんだ。彼らはまた、古いプログレッシブ・ロック、ブラック・メタル、そしてドゥームといった、僕のサウンドを大きく形成したジャンルを探求する扉を開いてくれたんだよね。

Q8: The drums are probably programmed, but if Gene Hoglan or Mike Mangini had played, it would have been a more perfect album. If you could use anyone, who would you use for the drummer?

【ALEX】: Honestly, I would probably just choose to have Brody Smith (the one who programmed the drums) record them. He’s a brilliant musician. It’s amazing working with him because the stuff he programs sounds exactly like his actual drumming. He just has a very distinct style that I love and he can play what he programs. It would be a real treat to have him record live drums for a future album, but he’s a busy man so we’ll have to wait and see!

Q8: アルバムのドラムスは打ち込みだと思うのですが、例えば Gene Hoglan や Mike Mangini が叩いていたら、もっと完璧な作品になったようにも感じました。誰でも選べるとしたら、誰をドラマーに起用しますか?

【ALEX】: 正直、Brody Smith(ドラムのプログラミングを担当した人)に録音してもらうことを選ぶかもしれないね。彼は素晴らしいミュージシャンだから。彼がプログラミングしたものは、実際の彼のドラミングとまったく同じに聞こえるから、彼と一緒に仕事をするのは素晴らしいことだよ。
彼は、僕が好きな独特のスタイルを持っていて、プログラムしたものを演奏することができるんだ。今後のアルバムで彼に生ドラムを録音してもらえたら、本当に嬉しいんだけど、彼は忙しい人だからもう少し待ってみることにするね!

TEN ALBUMS THAT CHANGED ALEX’S LIFE

MEGADETH “RUST IN PEACE”

OPETH “MY ARMS, YOUR HEARSE”

WINTERSUN “WINTERSUN”

BAL-SAGOTH “BLACK MOON/STARFIRE BURNING…”

MAUDLIN OF THE WELL “BATH/LEAVING YOUR BODY MAP”

KATATONIA “BRAVE MURDER DAY”

YES “CLOSE TO THE EDGE”

CAMEL “MOONMADNESS”

MESSAGE FOR JAPAN

I have many warm memories of Japan from a trip I took there years ago with my Father. I actually got to see Obscura perform in Tokyo during that trip, and ever since that show it has always been a dream of mine to perform in Japan one day. The first Dessiderium album has a song called Land of the Rising Sun, and it’s about viewing Japan as a sort of symbol for all of the adventures I’d hoped music would take me on. With all that said, hopefully we can all party together one day!

日本には、何年も前に父と行った旅行で、たくさんの温かい思い出があるんだ。その旅行中に東京で OBSCURA のライブを見ることができて、それ以来、いつか日本でライブをすることが僕の夢だった。DESSIDERIUM のファーストアルバムに “Land of the Rising Sun” という曲があるんだけど、この曲は日本を、僕が音楽に連れて行ってほしいと願っていた冒険の象徴のように捉えているんだよ。というわけで、いつかみんなでパーティーができるといいね!

ALEX HADDAD

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THE ARTISAN ERA Bandcamp

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【EVERY TIME I DIE : RADICAL】


COVER STORY : EVERY TIME I DIE “RADICAL”

“This Record Is Just Very Pro-good Human Being. Pro Spirituality. Pro progress…”

RADICAL

アルコール依存症、結婚生活の困難、そして悪化する実存的危機と闘いながら、EVERY TIME I DIE のフロントマン Keith Buckley はどん底に落ちていました。バッファローの英傑たちが満を持して発表した9枚目のアルバム “Radical” はそんな地獄からの生還を綴ったロードマップであり、Keith にとって重要な人生の変化を追った作品と言えます。
前作 “Low Teens” からの数年間で、Keith は自分の人生と目標を再評価する時間を得られました。それは Keith にとって大きな転機となり、より健康的で楽観的な生活態度を取り戻すことにつながりました。同時にその変化は新譜にも深く刻まれ、プロジェクトに新鮮な音楽的アプローチをもたらすこととなるのです。”Radical” は、バンドのスタイルにおける限界を押し広げると同時に、彼らの特徴である視点を、より賢明で全体的な世界観へと再構築することになりました。鮮やかなカバーアート、狂気じみた新曲、そして迫真の演奏のすべてが、”ラディカル” な時代の “ラディカル” な心に寄り添う、2021年に相応しい作品でしょう。
あまりにも長い間、Keith Buckley は自分自身よりも、バンドやソング・ライティングに対して正直で居続けてしまいました。2020年3月に9枚目のアルバム “Radical” の制作を終えたとき、EVERY TIME I DIE のフロントマンはまだ酒に飲まれていて、家庭生活の静かな平穏とツアーの喧騒なる混沌を調和させるのに苦労し、何かが正しくないという逃れられない感覚と格闘し苦戦していました。ニューヨーク州バッファローにある GCR Audio の赤レンガの要塞の中で、信頼するプロデューサー、Will Putney と共に彼が絞り出した歌詞は、閉所恐怖症と限界に達した魂の不満が滲んでいましたが、それでも彼はまだなされるべき変化と折り合いをつけたばかりであったのです。
「自分の居場所がないことを知るために、自分の人生の惨めさを書く必要があったんだ」
Keith は率直に語ります。「一度アルバムが出たら、以前の自分には戻れないとわかっていた。だからこそ、”急進的な革命” なんだよ」
2016年にリリースした8枚目のLP “Low Teens” まで時を巻き戻しましょう。当時の妻Lindsay と娘 Zuzana の命を救った緊急帝王切開は成功しましたが、そのストレスと不安によって煽られた節目、その感情と衝動は Keith の曲作りに対する鮮明さと即応性を変化させました。彼は、アイデアをバラバラにするのではなく、生きたシナリオ、あるいは潜在意識の奥底から抜き出したシナリオを描くようになったのです。そうして彼は、これからの作品には引き金となる何か同様のトラウマ的な出来事が必要だろうとつぶやいていました。
2019年後半には EVERY TIME I DIE にとってのルーティンである2~3年のアルバム・サイクルは終了していました。一見、そのようなトラウマや傷は存在しないようにも思えましたが、Keith が自分の皮膚の下を掻きむしると、刺激の欠如がより深く、より深い不満の症状であることを伝え始めたのです。
「自分を見つめ直し、自分がどん底のアルコール依存症であることに気づいた。最悪の夫であり、おそらく最悪の父親だった。間違いなく最悪の自分だったんだ」

19ヵ月後、すべてが変わりました。Keith は1年間断酒を続け、妻とは別居しています。晴れた日の午後、都会から100マイル離れた森の中で娘の Zuzana とキャンプを楽しんでいます。そして、”Radical” がようやく日の目を見ることができたのは、16曲のアルバムに込められた自分の意志による変化を完全に理解し、それを実現する時間があったからだと、彼は強調するのです。「以前の自分に戻るつもりはなかったんだ…」と。
“AWOL”(「私たちの間の空間は、血も指紋もない犯罪現場のようだ」)や “White Void”(「暖かさが消えれば、終わりはただ永遠に続く/ここにいる必要はない、このまま生きる必要はない」)といったトラックには、ほとんど解釈の余地はありません。
「正直なところ、このアルバムには、自分が答えを出さなければならないと思って書いたことがあるんだ。このアルバムには道徳的な宣言が詰まっているよ。曖昧さがないんだ。脇道へそれることもない。花形的な比喩もない。俺は、人々がクソのように扱われ、俺自身もクソのように扱われることにうんざりしていると言っているんだよ」
当初、このパンデミックは立ち止まって考えるきっかけになりました。Keith は何年も前から家族を残してツアーに出ることを心配していました。だからこそ、今5歳になる Zuzana とロックダウンで一緒に過ごす時間は、次にいつ荷物をまとめなければならないかという心配をせずに済むとてもほっとするものだったのです。
「自分の人生を思い切って変えてみたんだよ。パンデミックですべてが頭打ちになったんだ。というのも、このアルバムはその時すでに作曲とレコーディングを終えていたからね。パンデミックは、実際にはレコードにまったく影響を与えなかったけど、レコードの生き方には影響を与えたよ。”Post-Boredom” のような曲は、パンデミックの後、新しい意味を持つようになった。”Dark Distance” のような曲は、パンデミックの前に、疫病が起こるように頼んでいることを今思えば少し奇妙に見えるな。
これらの曲は、俺が抱いていた恐れを顕在化させなければ、充実した人生を送れないと思ったことを歌っている。俺はパンデミックに耐え、その間に自分の人生を本当に変える必要があることに気づいたんだ。何かが間違っていると思った。そして、自分自身の真実を見つけ、それを受け入れ、それに従って生きていこうと決めたんだよな。まさにラディカルな時期だった」
実際、”Post-Boredom” は、バンドがこれまでに作った曲の中で、最も奇妙で最もキャッチーな曲かもしれません。パンク・ロックのエネルギーに満ちたこの曲は、異世界のブリッジセクションを誇り、強烈なクレッシェンドと “私の消滅” というリフレインがリスナーの精神に深く入り込むサビが特徴的で、絶対的に耳に残る曲。Keith はこのフレーズを信頼できる歌詞ノートに書き留め、ずっと曲の中で使いたいと考えていました。
「正直言って、このフレーズを歌うのは楽しいんだ。FALL OUT BOY のJoe Trohman と Andy Hurley と一緒に THE DAMMNED THINGS に参加して学んだことの一つは、彼らは文字通りナンバーワンのヒットシングルを出していて、時に人々は言葉の意味より語感を好むということを理解しなければならないということ。曲の意味という十字架に、いつも釘付けになる必要はないんだ。このフレーズは俺にとってとても中毒性があるように思えたし、それを使うことができてうれしいよ」
Keith はボーカリストですが、ゲストボーカルを招いてアルバムをさらに向上させることに躊躇がありません。
「MANCHESTER ORCHESTRA の Andy Hull は俺の世代におけるアート・ガーファンクルのような存在だから、本当に感謝している。サイモン&ガーファンクルが大好きだから、これは最高の賛辞として言っているんだ。Andy と俺との間には、友達以上の深いつながりがあるように感じるんだ。何に対しても同じような視点を持っているんだ、わかるだろ?それで、”Thing With Features” ができたんだ。Andy はスピリチュアルな人だし、たぶん宗教的でもあると思うんだ。この曲は亡くなった俺の妹のことを歌っているんだ。だから彼が参加することは俺にとって重要だった。なぜなら、彼なら歌詞を理解し、その内容を伝えれば、それを感じてくれると思ったからだ。そう、彼はそれを感じてくれたんだ。スタジオでそれを聴いた人たちはみんなそれを感じて、涙が出ていたよ。だから、本当に素晴らしい経験だったよ」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DORDEDUH : HAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH EDMOND “HUPPOGIAMMOS” KARBAN OF DORDEDUH !!

“We Like To Experiment With Traditional Instruments. We Use Them In an Unconventional Way, With Changed Tunings, Intentionally Playing Them In a “Wrong” Way”

DISC REVIEW “HAR”

「当初は NEGURA BUNGET を解散させて、全員が新しい名前でそれぞれの新しいプロジェクトをはじめるつもりだったんだ。だけど元ドラマーの Negru はこの合意を破り、全く新しいメンバーで NEGURA BUNGET という名前を使い続けた。一方で、Sol Faur と私は DORDEDUH という新しいバンドを結成したわけだよ」
メタル・バンドに内紛はつきものです。私たちは通常、こうした出来事をネガティブに捉えますが、必ずしもそうでしょうか? 失意と義憤から生まれる宝物も少なくありません。DORDEDUH そのひとつ。
「私たちの間には緊張感があったんだけど、やはり彼の死を聞くのはつらいことだったよ。少なくとも別れるまで、私たちは良いところも悪いところも含めて彼を友達だと思っていたからね。過去の友人に失望させられ、強い恨みを抱いたこともあったけど、それでも彼が亡くなったと知るのは辛いことだよ。15年間一緒に過ごしたんだから。それはとても、とても長い時間だ」
DORDEDUH とは、彼らの母語であるルーマニア語で “精神への憧れ” を意味する三語から成り立つバンド名。2009年にアトモスフェリック・ブラックメタルの伝説 NEGURA BUNGET 内部の緊張が高まり、弾け、憎しみとその超越のために生を受けたソウル・トライブ。Huppogrammos と Sol Faur” が DORDEDUH でスピリチュアルな音魂を追求する一方で、裏切りのすえ継続された NEGURA BUNGET は中心人物だったドラマー Negru の死により終焉を迎えます。つまり、私たちにはまだルーマニアの伝説を継ぐ男たちの、魂の賛歌が遺されているのです。
「ジャンルに合わせて曲を作ろうとはあまり思わないんだよ。仮にそうしたとしても、結果的にはまったく違うものになるからね。プログレッシブのようになればプログレッシブ、ブラックメタルのようになればブラックメタル。次のアルバムがエレクトロニカになるかもしれないし、それは誰にもわからない」
9年ぶりの帰還となる “Har” の音楽的風景を雄弁に要約することは簡単ではありません。ブラック・メタルを中核に、東欧風の伝統音楽、映画のサウンドトラック、ゴシック、エレクトロニカ、プログレッシブが加わり、結果としてそのすべての総和よりもさらに大きな何かを生み出しているのですから。ブラック・メタルの核でさえ、しばしばうまく隠されるか、完全に欠落してしまう抽象的で奥深い音楽の多層世界。ゆえに単純なリスニング体験ではありませんが、それに見合うだけの時間と注意を払えば得られるものは無限大。
「私たちはこれらの楽器で実験するのが好きなんだよね。チューニングを変えたり、わざと “間違った” 方法で演奏したり、型にはまらない方法で伝統楽器を使用するんだ。例えば、私たちはこれらの楽器を用いて儀式的な音楽的背景を作り出すことに興味があってね」
ハンマード・ダルシマー、マンドリア、セマントロン、ブシウム。DORDEDUH の音を語る上で、中世からの伝統楽器は重要なトピックの一つです。もちろん、ELVEITIE をはじめとして、メタル世界に伝統楽器を持ち込んだバンドは少なからず存在します。ただし、彼らの多くが伝統楽器を “フォーク・メタル” の一環として過去を再現するために活用しているのに対し、DORDEDUH は伝統楽器でさえ実験の材料として未来を紡ぎ出しているのです。言い換えればそれは、楽器の効果を音楽以外の何かにまで波及させる未知のメタル・ラボラトリー。
例えば、トライバル・パーカッションを主体とした魅力的な間奏曲 “Calea Magilor” に続く”Timpul Intilor”。リード・ギターと民族楽器の音に、電子音が混ざり合い、ダークで好奇心をくすぐるオープニング。少し不吉で閉所恐怖症のような感覚から、徐々にメロディーが頭角を現すもブルータルなドゥーム・メタルへと変化し、遂には美しく心に残る旋律へと帰結します。様々な要素が盛り込まれその大胆な過去と未来の融合は、さながら未知の映画の壮大なサウンドトラック。
“De Neam Vergur” では、ハンマード・ダルシマーの揺さぶるような響きが、うねり続けるシンフォニック・エレクトロニカによって別次元の魅力を解き放ちます。荘厳無比な楽曲には、緊張と緩和、束縛と解放が常に同居して、天使のようなギターの美麗、デス/ブラックメタル的な過激さ、繊細なメランコリー、プログレッシブな知性で、儚くも強く楽曲を貫いていくのです。まさにこれは音楽を超越した儀式であり、未曾有の体験。
「ブラック・メタルにおいて、人は重要ではないよね。重要なのは、”超越” とのコンタクトを作り出し、それを自分の中に流し込むことができるかどうかだから」
スピリチュアルな事象や密教、神秘的体験について歌われたアルバムで、ルーマニア語の歌詞は完璧な役割を果たしています。言葉の意味は伝わらなくとも、魂に直接語りかけるようはリスニング体験。さらに電子や現代楽器の狭間を伝統楽器が泳ぐことで、アルバムは時の不可逆性をも超越し、えもいわれぬ不可思議と、夢のサウンドスケープを手に入れることに成功しました。不吉な予感と美しき荘厳を同居させながら。
今回弊誌では、Edmond “Huppogrammos” Karban にインタビューを行うことができました。「ルーマニアでは、ロックの会場と呼べるようなものは全国でも数えるほどしかなく、パンデミックの後はそのほとんどが閉鎖されてしまった。主要なメディアでは、くだらない商業音楽ばかりが宣伝されている。ラジオ局でロックを流しているのは数局、メタルを流しているのは1, 2局だろうな」どうぞ!!

DORDEDUH “HAR” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEEYOUSPACECOWBOY : THE ROMANCE OF AFFLICTION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CONNIE SGARBOSSA OF SEEYOUSPACECOWBOY !!

“The Romance of Affliction” Is The Satirical Side As a Call Out To The Romanticization Of Things Like Mentel Health Struggles And Addiction That I Feel Aren’t Things To Be Romanticized Cause I Live With It And Its Not Something Anyone Should Look At Positively.”

DISC REVIEW “THE ROMANCE OF AFFLICTION”

「このアルバムでは、バンドを始めたばかりの頃に持っていたカオスや奇妙さ、それに生意気さや皮肉を取り戻したいと思っていたの。その予測不能な奇妙さにメロディと美しさを融合させられるかどうか、自分たちに挑戦したかったのよね」
混沌と厳しさと審美の中で生きる宇宙のカウボーイが放った最新作 “The Romance of Affliction”。EVERY TIME I DIE の Keith Buckley、UNDEROATH の Aaron Gillespie、If I Die First、そしてラッパー Shaolin G といった幅広いゲストが象徴するように、この苦悩のロマンスではデビューLP “The Correlation Between Entrance and Exit Wounds” で欠落していた初期の混沌と拡散、そして予測不可能性が再燃し、見事に彼らの美意識の中へと収束しています。ドロドロと渦巻くマスコアの衝動と、ポスト・ハードコアの甘くエモーショナルな旋律との間で、両者の軌道交わる最高到達点を目指した野心の塊。
初期のEPと数曲の新曲を集めた “生意気” に躍動するコンプ作品 “Songs for the Firing Squad” と比較して “Correlation” は暗く、悲しく、感情的に重い作品だったと言えるでしょう。それはおそらく、ボーカル Connie Sgarbossa の当時の状況を反映したものでした。重度の薬物依存性、体と心の不調、そしてそこに端を発する人間関係の悪化。大げさではなく、オーバードーズで死にかけたことさえありましたし、友人は亡くなりました。
「多くの依存症者は、社会的な汚名を被ることを恐れてそれを口にすることができず、一人で苦しみ、不幸にも人生を壊してしまうか、ひどい時は死んでしまう。私は、この汚名を少しでも払拭し、人々が一人で負担を背負う必要がないと感じられるように、この問題について話し助けを与えることができるようにしたいのよ。誰かがオーバードーズで亡くなった後にはじめて、その人が薬物の問題を抱えていたと知ることがないようにね」
Connie は今も依存症と戦い続けています。最近では、SNS で自身が重度の依存症であることを明かしました。それは、依存症が一人で抱えるには重すぎる荷物だから。同時に自らが悲劇と地獄を経験したことで、薬物依存が映画の中の、テレビの中の、クールなイメージとはかけ離れていることを改めて認識したからでした。
「メンタルヘルスや依存症といったものがロマンチックに語られることに警鐘を鳴らす意味があるの。私はそれを抱えて生きているからこそ、肯定的に捉えてはならないものだと感じているのよ」
自分のようにならないで欲しい。そんな願いとともに、”The Romance of Affliction” は Connie にとってある種セラピーのような役割も果たしました。音楽に救われるなんて人生はそれほど単純じゃないと嘯きながらも彼女がこれほど前向きになれたのは、弟の Ethan 以外不安定だったバンドの顔ぶれが、オリジナル・メンバー Taylor Allen の復帰と共に固まったことも大きく影響したはずです。そしてそこには、KNOCKED LOOSE の Isaac Aaron のプロデューサーとしての尽力、貢献も含まれています。
依存症者が依存症者に恋をするという、三文オペラのような筋書きの、それでいて興味を示さずにはいられないオープナー “Life as a Soap Opera Plot, 26 Years Running”。Connie はこの曲で、ドラッグやセックスに溺れる依存症の実態を描き、「みんなは結局こういう話が好きなんでしょ?でもそんなに良いものじゃない」 と皮肉を込めてまだまだ緩い、炎の中で燃えたいと叫び倒します。まるでパニックのような激しいギターとスクリームの混沌乱舞は、あの FALL OF TROY でさえ凌いでいるようにも思えますね。
“Misinterpreting Constellations” や “With Arms That Bind and Lips That Lock” では、今回バンドが追い求めた予測不能と予定調和の美しき融合が具現化されています。狂気の暗闇を縦糸に、メロディックな光彩を横糸に織り上げたカオティック・ハードコアのタペストリーはダイナミックを極め、3人のボーカリストがそれぞれ個性を活かしながら自由にダンスを踊ります。もちろん、ジャズ、メタルコアのブレイク・ダウン、唐突のクリーン・トーン、本物のスクリーム、そしてデチューンされたギター・ラインが混在する “Anything To Take Me Anywhere But Here” を聴けば、彼らのアイデアが無尽蔵であることも伝わるでしょう。
重要なのは、宇宙のカウボーイが、往年のポスト・ハードコア、メタルコア、マスコアのサッシーなスリル、不協和音、エモポップのコーラス、メロディックな展開に影響を受けつつ、人間らしさを失わずに洗練されている点でしょう。Connie の想いが注がれたおかげで。
今回弊誌では、Connie Sgarbossa にインタビューを行うことができました。「カウボーイ・ビバップ” のエンドカードとフレーズは私にとって常に印象的で、私はずっとあのアニメのファンでもあったから名前をとったのよ」 どうぞ!!

SEEYOUSPACECOWBOY “THE ROMANCE OF AFFLICTION” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SO HIDEOUS : NONE BUT A PURE HEART CAN SING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRANDON CRUZ OF SO HIDEOUS !!

“Why Waste Opportunity Trying To Do Laurestine or Last Poem Part 2 The Sequel To Please a Small But Loud Subset Of Closed Minded Internet Message Board Music “purists” Clinging To The Past? That’s a Terrible Way To Live.”

DISC REVIEW “NONE BUT A PURE HEART CAN SING”

「アルバムをリリースするのは、自己表現という意味では一生に数回しかないチャンスだ。なぜ “Laurestine” や “Last Poem” の Part 2 みたいな “続編” を作って、インターネット掲示板で少数だけど喧しい “音楽純粋主義” 集団を喜ばせなきゃならないのか?それはひどい生き方だよ」
例えば政治であれ、例えば社会であれ、例えば音楽であれ、純粋さが失われた現代において、真っ直ぐに愛する音楽を奏で、正直に言葉を紡ぐ SO HIDEOUS がいなければ、世界はさらに “とても醜い” ものになってしまうでしょう。
「このバンドは基本的に “エクストリーム・ミュージック・コミュニティ” に向けて売り出されていて、彼らは実際に “極端な” 音楽と呼ばれる音楽を掲げているにもかかわらず、最も保守的なリスナーであることが多いんだよね。どのジャンルやレーベルの下で活動すべきかということに非常に固執し、それを武器にバンドに牙をむいたりね。そんなのクソくらえだよ」
SO HIDEOUS が長い休止期間を経て戻ってきたのは、ポストブラックやブラックゲイズといったジャンルの掟を踏襲するためでも、プライドだけが肥大化したファンという名の何かを満たすためでもなく、ただ自由に望んだ音楽を追求するため。前回のインタビューで Brandon 自らが “コンサート・ホールでシンフォニーが奏でるような完全で妨げる余地のないリスニング体験” と呼んだ、きらびやかで感情的、そしてオーケストレーションを極めた傑作 “Laurestine” さえ過去にする最新作 “None But A Pure Heart Can Sing” には、メタル世界で最も想像力に富んだバンドの野心と矜持と反骨が詰まっているのです。
「叙情的なオーケストレーションではなく、リズムに根差した曲を演奏するのがとても自由なことに思えたんだ。Mike、DJ、Kevin が活動してきたバンドやプロデュースしたバンドに人々はこだわると思うんだけど、実際のところ、彼らはマス/ポストカオティック・ハードコアとか、そういうジャーナリストによって入れられた箱よりもずっと多様なミュージシャンなんだよ」
ポスト・ハードコアの混沌をリードする THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU のリズム・セクション Mike Kadnar と DJ Scully の参加、そして THE DILLINGER ESCASE PLAN の Kevin Antreassian のサウンドメイクは、結果として SO HIDEOUS の宇宙を果てしなく拡げる重要な鍵となりました。獰猛と静寂の邂逅。整合と混沌の融合。
「このバンドのメンバーは、LITURGY と Hunter Hendrix の作品をとても楽しんでいて、絶大な敬意を払っているんだ」
オーケストラやシンフォニックな要素を取り入れている点で SO HIDEOUS は同じニューヨーク出身の LITURGY にも似ています。さらに今回、彼らはより多くのリズムを求めて、フェラ・クティやトニー・アレンのアフロビート、ジェームス・ブラウンのホーン・セクション、オーティス・レディングやサム・クックのバラードなど色彩を多様に吸収して、雅楽までをも抱きしめる LITURGY の哲学に一層近づきました。ただし大きな違いもあります。LITURGY が “超越したブラックメタル” を追求するのに対して、SO HIDEOUS はもはやブラックメタルのようにはほとんど聞こえません。
「以前は、”Screaming VS Orchestra” というシンプルなバンドの “アイデア” にこだわっていたように思うんだよね」
アルバムは、CONVERGE, CAVE IN, ENVY あるいは THE DILLINGER ESCAPE PLANE のようなポスト・ハードコア、メタルコア、マスコアのスタイルにはるかに近く、ブラックゲイズの慣れ親しんだ荘厳とは明らかにかけ離れています。重要なのは、彼らがネオクラシカルなサウンドとこの新しいポスト・ハードコア/メタルコアのスタイル、そして中近東からアフリカに西部劇まで駆け巡るワールド・ミュージックとの間に絶妙な交差点を見つけ出した点で、ストリングスとホーンの組み合わせがヘヴィーなリフと無尽蔵のリズムを際立たせ、苦悩から熱狂を創造する “The Emerald Pearl” の緊張感と即興性はアルバムを象徴する一曲だと言えるでしょう。
今回弊誌では、Brandon Cruz にインタビューを行うことができました。「僕がギターを弾いているのは、Envy の 河合信賢と MONO の Taka Goto のおかげなんだよ。僕は彼らを恩師だと思っていて、彼らの音楽には人生で永遠に感謝し続けるだろうね」  ニ度目の登場。どうぞ!!

SO HIDEOUS “NONE BUT A PURE HEART CAN SING” : 10/10

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