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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RIVERS OF NIHIL : WHERE OWLS KNOW MY NAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BIGGS FROM RIVERS OF NIHIL !!

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Pennsylvania Based Progressive Death Metal Quinted, Rivers Of Nihil Contribute To Re-branding Death Metal Into A Eclectic, Expressive Art-form With Incredible New Record “Where Owls Know My Name” !!

DISC REVIEW “WHERE OWLS KNOW MY NAME”

遂に食物連鎖の頂点へと躍り出たペンシルベニアの梟神 RIVERS OF NIHIL が、深遠かつエクレクティックなプログレッシブデスメタルへとドラスティックな変貌を果たす傑作 “Where Owls Know My Name” をリリースしました!!生と死、そして知性を司る伝承の神明は、猛禽の鋭さと神々しきアトモスフィアでシーンの潮流を支配します。
テクニカル、メロディック、デスコア、ブルータル。雨後の筍のごとく現れるデスメタルアクトの大半は、エモーションのスペクトルを怒りに起因する狭い領域へとフォーカスし、ある意味では檻の中で固定観念と共に囚われているようにも思えます。
「この作品では、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄した。」と Adam が語るように、RIVERS OF NIHIL が “Where Owls Know My Name” で達成した偉業は、真にユニークな感性で鋼鉄の慣習から羽ばたいたその勇気にあると言えるでしょう。
多様で創造性に満ち、複雑でしかし凄艶な星の一生を目撃するサイエンスフィクションは、数年前に FALLUJAH がアトモスフィアと共に導入したジャンルのパラダイムシフトをも超越し、さらに時空を行き来するタイムマシンなのかも知れませんね。
アルバムオープナー “Cancer / Moonspeak” は来たるべき運命、旅路のムードを決定づけます。まるで CYNIC のような浮遊するアンビエントは、アコースティックの響き、レトロなシンセ、ムードに満ちたクリーンボイスを伴ってリスナーを深遠なるストーリーへと誘います。
刹那、雷鳴のように鋭利なギターリフが轟くと雰囲気は一変。革命的な “The Silent Life” がスタートします。揺るぎのない無慈悲なアグレッションとインテンスは、徐々に理知的なギターと官能のサクスフォンが支配するスロウなジャズブレイクへと転換していきます。その変化は驚くほどにナチュラルでオーガニック。そうして静と動、混沌と平穏のコントラストは終盤に向けて奇跡の融解を遂げるのです。まるで人生本来の姿を描くかのように。
CANNIBAL CORPSE と KING CRIMSON が果たした未知との遭遇。例えることは容易いですが、実際、獰猛な猟奇性と神々しき英知を寸分も失うことなく一つのサウンドクラフトに収めることがどれほど困難かは想像に難くありません。何より彼らのデザインはあまりに自然で、神々の創造物のように生き生きとした姿を晒しているのですから。
厳かなクリーンボーカルを導入し、モダンなメロディックデスメタルにサイケデリックな夢幻のアトモスフィアを付与した “A Home”、激烈なアサルトに一片の叙情を込めて老衰の無常を伝える “Old Nothing” を経て辿り着く “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
“Epitaph” を思わせる悲壮なアコースティックをイントロダクションに据えた8分30秒のエピックは 「KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。」と Adam が語る通りクラッシックなプログロックの息吹を全身に宿した濃密な叙情のスロウダンス。ソフトでエレガントな繊麗と、野蛮で蒼然としたアグレッションは、ギターやサクスフォン、オルガンのトラディショナルで大胆ななソロワーク、プログロックのダイナミックな変拍子やシーケンスを抱きしめながら、詩情と偉観そして奇妙なカタルシスを伴って文明の移り変わりを描く壮大なマグナムオパスを形成するのです。
一方でこの大曲には、djenty なリフワークやシンフォブラックの狂騒などコンテンポラリーな一面も散りばめられており、幽玄なクリーンボイスが創出する崇高美とも相俟って、もしかすると NE OBLIVISCARIS が纏う神秘ともシンクロしているのかも知れませんね。
続くインストゥルメンタル “Terrestria III: Wither” では、情景を切り取るポストロックのデザインを導入し、コンテンポラリーなエレクトロニカやアンビエント、インダストリアルノイズのキャンパスに冷徹かつ耽美な絵巻物を描いてみせるのですから、バンドのエクレクティックな感性、タイムラインの混沌には驚かされるばかりです。
アルバムは、バンドの審美を全て詰め込んだタイトルトラックで再度サクスフォン、ヴィンテージシンセ、クリーンボイスの温もりを呼び起こし作品のコアを認識させた後、ダークなギターがメロトロンの海を切り裂く “Capricorn / Agoratopia” で荘厳にリリカルに、一握りの寂寞を胸に秘め星の死を見届けながらその幕を閉じました。
今回弊誌では、ベース/クリーンボーカルを担当する Adam Biggs にインタビューを行うことが出来ました。まさにメタルとプログのタイムラインに交差する異形のランドマーク。モダン=多様性とするならばこの作品ほど “モダン” なスピリットを抱いた奇跡は存在しないでしょう。ex-THE FACELESS の Justin McKinney、BLACK CROWN INITIATE の Andy Thomas もゲストとして素晴らしい仕事を果たしています。どうぞ!!

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RIVERS OF NIHIL “WHERE OWLS KNOW MY NAME” : 10/10

INTERVIEW WITH ADAM BIGGS

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Q1: This is our first interview with you. So, at first, could you tell us about you and band itself? What kind of music did you listen to, when you were growing up?

【ADAM】: I’m Adam Biggs, I play bass, write lyrics and do vocals for Rivers of Nihil. The band got started in Reading, Pennsylvania in 2009, we got signed to Metal Blade records in 2012 and we’ve been touring and putting out records ever since.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたのバックグラウンドからお話していただけますか?

【ADAM】: 僕は Adam Biggs。RIVERS OF NIHIL でベースをプレイし、歌詞を書いてボーカルも担当しているんだ。バンドは2009年に、ペンシルベニアのレディングで産声をあげたんだ。2012年に Metal Blade Records の契約を得て、以来ツアーとリリースを続けているよ。

Q2: What inspired you to start bass guitar or vocal? Who was your musical hero at that time?

【ADAM】: It’s hard to say really, I only barely knew what a bass was when I started playing. I got my first bass as a Christmas gift so I started looking more into the instrument then.
I think the first bassists I was really aware of were Feildy from Korn and Les Claypool, so I really wanted to emulate those styles. A little later on I discovered Cannibal Corpse and Alex Webster and that really set things off for me in a positive way.

Q2: では、ベースやボーカルを始めたきっかけや当時のヒーローについて教えていただけますか?

【ADAM】: その質問に答えるのはなかなか難しいね。というのも、僕はベースを始めた時、ベースという楽器についてほとんど何も知らなかったんだから。実は最初のベースはクリスマスプレゼントだったんだ。そして、そこからこの楽器について学んでいったんだよ。
最初に気になったベーシストは、おそらく KORN の Feildy と、PRIMUS の Les Claypool だったと思うんだ。だから、彼らのスタイルに匹敵するようなプレイをしたいと思っていたね。そらから少しして、CANNIBAL CORPSE の Alex Webster を発見したんだ。そしてその発見がポジティブな意味で、僕に火をつけたと言えるね。

Q3: How did the band come to be? What’s the meaning behind your band name “Rivers of Nihil”?

【ADAM】: The band, originally, was sort of a combination of members of a few bands from our area. We decided we wanted to take Music more seriously than a lot of our local peers at the time, so we put together a sort of “best of the best” of local metal talent, and thus Rivers of Nihil was born. The name was created by our vocalist and it sort of represents a “flow into nothingness”.

Q3: RIVERS OF NIHIL というバンド名にはどのような意味が込められているのでしょう?

【ADAM】: このバンドはもともと、僕たちの住むエリアでいくつかのバンドのメンバーが集まってプレイしていたところから始まったんだ。そこから、僕たちはその当時のローカルな雰囲気から脱して、より音楽をシリアスな段階へ進めようと決めたんだよ。だから、ペンシルベニアのメタルシーンで最強メンバー、メタルタレントを選りすぐって、RIVERS OF NIHIL が生まれたんだよ。
RIVERS OF NIHIL “虚無の川” というバンド名は、ボーカリスト Jake Dieffenbach が生み出したんだけど、”空虚へと流れ注ぐ” といった状態を表現しているんだよ。

Q4: So, let’s talk about your newest record “Where Owls Know My Name”. Actually, I really love your two previous albums, but I feel this one is your next stage. Definitely, it’s your milestone, I think. In the writing, recording process, how have you evolved or changed from your previous release?

【ADAM】: I think the major thing we accomplished with this record is we just sort of abandoned our expectations of what we’re supposed to sound like. We definitely didn’t want to feel pigeonholed into being a “technical death metal” band anymore, or at least not strictly that. We have a wide variety of music we enjoy as people, more things influence us than metal and we wanted to make “Where Owls Know My Name” really represent us in that way.

Q4: では最新作、”Where Owls Know My Name” について話しましょう。過去のレコードも良い作品でしたが、このアルバムは完全にネクストステージへと到達していますね?

【ADAM】: 僕たちがこのレコードで主に達成したのは、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄したことだけだと思うんだ。間違いなく僕たちは、”テクニカルデスメタル” バンドみたいに狭い領域のレッテルを貼られたくはなかった訳だよ。少なくとも厳密にそう区別されたくはなかったんだ。
リスナーとしての僕たちは、幅広い音楽的な背景を持っていて、メタルよりも多くの影響を咀嚼して来ている訳さ。だから、”Where Owls Know My Name” ではそういった自分たちのありのままの姿を表現したかったんだ。

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Q5: It’s not big secret, Rivers of Nihil have a main theme about life and death. In the Ancient Greece, Owl is a symbol of Wisdom, and in Japan, Owl is a symbol of Death. Anyway, could you tell us about the concept or lyrical themes of this record?

【ADAM】: The story of the album follows the last intelligent being on Earth, who has walked for a millennia watching the world die around him. And, to be the sole intelligent witness of the death of the planet. This story, however, is sort of just an emotional framework for what’s going on in these songs. Really, there are a lot of very personal feelings being expressed in the album. It has a lot to do with getting older and feeling the world around you become unrecognizable, and maybe even becoming unrecognizable yourself.

Q5: 日本でフクロウは “死” の象徴で、古代ギリシャでは “知性” の象徴でした。RIVERS OF NIHIL の扱うビッグテーマが “生と死” についてであることは明らかですが、今回特にフォーカスしたコンセプトについてお話していただけますか?

【ADAM】: アルバムの物語は、地球上に残る最後の知性を持つ生物を主人公として追っているんだ。彼は何千年もの間、世界が彼の周りで滅ぶのを見ながら歩み続けて来たんだよ。そうして星の死を見届ける運命を背負っているんだよ。
だけどね、この話は、アルバムの楽曲で何が起こっているのかを写す感情的な枠組みのようなものなんだ。 アルバムには、本当に、非常に個人的な感情がたくさん存在しているんだからね。
そういった感情は、年を重ねる事ととても関係していてね。歳を取ると、周りの世界が認識できなくなり、遂にはきっと自分自身も認識できなくなってしまうんだよ。

Q6: I really surprised about songs like “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)”. Actually, there is no band who mixed death metal and prog such a natural way! OK, maybe most of music fans remind King Crimson from the songs and saxophone sound. Have you influenced by such a prog giants?

【ADAM】: Absolutely, King Crimson is my favorite band of all time. We (particularly Brody and myself) are huge classic prog fans. Influence from Crimson, Floyd, Genesis, and Yes really seeped into our minds while writing this one. But yes, it was always very important to us to include these influences naturally and not make them feel shoehorned into our sound. The emphasis is still heavily on the songcraft.

Q6: “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” といった楽曲には本当に驚かされましたよ。デスメタルとプログロックをこれほどナチュラルに融合させたアーティストは、あなたたちが初めてでしょうね。今回、KING CRIMSON をはじめとするプログロックの巨人は大きなインスピレーションの源だったと言えますか?

【ADAM】: 間違いないね!KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。僕たちは、まあ特に Brody と僕なんだけど、クラッシックなプログロックの大ファンなんだ。KING CRIMSON, PINK FLOYD, GENESIS, そして YES からの影響はこの作品を書いている間中、僕たちの精神に浸透していたんだよ。
それに、うん、君が言うようにそういったプログロックの影響を自然に取り入れることは、僕たちにとってとても重要だったんだ。無理矢理サウンドに組み込むのではなくね。それでもソングクラフトの中でしっかりと強調されているんだよ。

Q7: Speaking of Saxophone, the instrument and clean vocal is kind of “Key” elements of the album. Do you agree that? What’s these elements to you?

【ADAM】: To me, honestly, they just feel like added pieces of the production. Metal is the only genre I can think of where the “traditional” instrumentation is such an integral piece of what the genre even is. If you listen to music from almost any “non-metal” genre you’re going to hear all sorts of elements pop up all over the place, not just in an album to album basis but a song to song basis too. So we figured we could just treat our record like anything else we would hear outside of the greater metal purview.

Q7: KING CRIMSON ともシンクロするサクスフォン、そしてクリーンボーカルは今作における肝だと感じました。

【ADAM】: 正直、そういった要素はプロダクションの中で僕たちが意図的に “付け加えた” ピースだと考えているんだ。つまりそれは、メタルはどんなジャンルであれ、”伝統的な” 楽器がとても不可欠なものと思える唯一の音楽だからなんだけど。
対して、ほとんどの “メタル以外”の音楽を聴いてみれば、アルバムとアルバムの違いだけじゃなくて、一つのアルバムでも曲と曲の間に様々な要素が飛び出してしてくることに気づくはずさ。 だから僕たちは、偉大なるメタルの範囲外で聞く何かのように、僕たちのレコードを扱うことができればと考えたわけさ。

Q8: Also, “Terrestria Ⅲ: Wither” and title track “Where Owls Know My Name” have definitely post rock, electrical elements. Off Course, Fallujah has mixed such an “Atmosphere” and death metal, but I think Rivers of Nihil did it in more drastic, experimental way, right?

【ADAM】: It’s true that Fallujah and us use a lot of similar elements, but I think we’ve each made distinctly different uses of our available tools. The attitudes present in the music of each band are, in my opinion, drastically different. I think there’s plenty to enjoy in both bands that are totally unrelated.

Q8: 一方で、”Terrestria Ⅲ: Wither” やタイトルトラック “Where Owls Know My Name” にはポストロックのアトモスフィアも根付いていますよね? FALLUJAH にもアトモスフェリックな要素は存在しますが、あなた達の方がより大胆に導入しているようにも感じます。

【ADAM】: そうだね、確かに FALLUJAH と僕たちの間にはたくさん似た部分が存在するよね。ただし、利用可能なツールの使い方ははっきりと違ったものにしてきたと思っているんだ。僕の意見では、互いのバンドの音楽に存在するアティテュードは大きく異なると思うんだよ。それ故に、両方のバンドを完全に無関係なものとして楽しむことのできる部分がたくさんあると思うな。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED ADAM’S LIFE

KING CRIMSON “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”

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NECROPHAGIST “EPITAPH”

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MARILYN MANSON “MECHANICAL ANIMALS”

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THE FACELESS “PLANETARY DUALITY”

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BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS”

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MESSAGE FOR JAPAN

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Hopefully we see you soon!

出来れば、みんなとすぐに会えるといいな!

ADAM BIGGS

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【CONCEPTION : ROY KHAN】2018 REUNION SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROY KHAN OF CONCEPTION !!

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The Voice Of Prog-metal, Former Kamelot Singer Roy Khan Is Back With Reunited Norwegian Legend Conception !!

CONCEPTION IS BACK !!

時代に咲いた鮮やかな徒花、ノルウェーが産んだプログメタルレジェンド CONCEPTION が遂に帰ってきます!!長すぎた沈黙を破る伝説の帰還は、不世出のシンガー Roy Khan の復活を伴いシーンに歓喜の渦を巻き起こしています。
KAMELOT の金看板として、その艶やかで煽情的な歌唱を披露していたスーパースター Roy Khan がバンドからの脱退を表明したのは 2011年春の事でした。音楽大学でオペラと声楽を学んだ Roy の歌唱技術、歌に込めるエモーション、ファルセットの魔法は別格。「もし僕があの時 KAMELOT を辞めていなかったとしたら、今日僕はここにいないだろう。」とインタビューで語った通り、不可避な “燃え尽き症候群” の治療が要因とはいえ、作曲にも大いに貢献を果たしていたマエストロ突然の離脱はあまりにショッキングな出来事でした。
「僕は本当に音楽に関係する全ての人に対して、全てのコミュニケーションをシャットダウンしたんだからね。」音楽から離れていた7年間、Roy は教会の職員や教師として働いていたようです。その生活も悪くはなかったと話すシンガーは、しかし遂に自身の才能を再び世界に解放する準備が整ったと溢れる自信を漲らせます。
「実際に僕たちが解散したことはないんだよ。何と言うか、棚上げしていたって感じだったね。」 という言葉が裏付けるように、友人として連絡を取り続けていた CONCEPTION が Roy 復帰の舞台となったのは自然で最良の選択に思えます。実際に、バンドは2005年にライブ限定で一時的なリユニオンを果たしていますし、”ここ何年かは何度も、いつかある時点で何かやりたいねと話して” いた訳ですから。
神秘的で崇高、ある種哲学的とも言える CONCEPTION の “プログレッシブ” は、登壇が少し早すぎたのかもしれませんね。スパニッシュギターが夕日に映えるデビュー作 “The Last Sunset”、キャッチーでドラマティック、稀代のバラード “Silent Crying” を擁する “Parallel Minds”、複雑かつ荘厳な楽器の宗儀 “In Your Multitude”、そして冷徹でダークな歌の涅槃 “Flow”。
「僕たちはいつも、自分たちをリニューアルしようと心掛けて来たんだよ。それまでに作った楽曲のようなサウンドを持つ新曲を作らないというのが、バンドのポリシーだったんだ。」と語る通り、これまで CONCEPTION が残した4枚の作品は確かに全て合わせた焦点が異なります。
しかしそれでもその勇敢なる多様性、DREAM THEATER の “Awake” を推し進めたかのような独特の内省的なアトモスフィア、近年の FATES WARNING にも通じるインテリジェンスの糸を巡らすダークなインテンシティー、そして SEVENTH WONDER にも受け継がれた洗練のデザインは全ての作品に浸透しており、まだまだ与し易いスピード&パワーが全盛だった当時よりも、エクレクティックなモダンメタルのスピリットが透徹した現在こそ正当な評価が得られるはずです。
すでに先を見据えるバンドの復活EPは秋にリリースが予定されています。「僕たちの全ての歴史、要素がミックスされるわけさ。」と語る Roy ですが、その歴史にはもちろん自身が経験した KAMELOT での荘厳な旅路や、フラメンコの情熱をその身に宿すギターマイスター Tore Østby が ARK で育んだプログレッシブな冒険も含まれているはずです。期待に背くことはないでしょう。そして願わくば、失った20年を取り戻すコンスタントな活動を望みたいところですね。
今回弊誌では、ボイス・オブ・プログメタル Roy Khan にインタビューを行うことが出来ました!Welcome Back Roy, and CONCEPTION! Here We Go!!

INTERVIEW WITH ROY KHAN

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Q1: First of all, Japanese fans are really excited about Conception’s coming back! Do you remember Conception’s one and only Japan Tour with Gamma Ray in 1996?

【ROY】: Domo arigato! Yes…I remember when we were there right before the release of “Flow”. Great experience!!! I’ve always loved Japan. its people, its culture, its big pulsating cities and I simply LOVE Japanese food. I really hope we get a chance to play for you again!

Q1: 日本のファンは CONCEPTION の帰還を本当に嬉しく思っていますよ!1996年に GAMMA RAY とプレイした、唯一の来日公演は覚えていますか?

【ROY】: どうもありがとう!そうだね…確か日本に行ったのは “Flow” のリリース直前だったと思うんだ。素晴らしい経験だったね!!
僕はいつだって日本を愛して来たんだよ。人も、文化も、ビッグな鼓動を宿す都市も、そして単純だけど日本の食事が大好きなんだ。また CONCEPTION として君たちの前でプレイするチャンスが得られたらと本当に望んでいるんだよ!

Q2: Conception has released four albums and each albums have it’s own colors. For example, “Parallel Minds” was more straight catchy metal, although “In Your Multitude” had more complex prog elements. What was the reason of that?

【ROY】: We have always tried to renew ourselves. It was a policy within the band that no new song should sound like anything we’d done before. That may not be the recommended procedure to sell max amount of records, but we never cared about money or what other people think of us in that regard. We feel our new material is yet another step into new territory, but I can assure you we still sound like Conception.

Q2: CONCEPTION はこれまでに4枚のアルバムを残していますが、その全てが独自の色を有していますよね?例えば “Parallel Minds” がどちらかと言えばストレートでキャッチーなメタルだったのに対して “In Your Multitude” は非常に複雑でプログレッシブでしたね?

【ROY】: 僕たちはいつも、自分たちをリニューアルしようと心掛けて来たんだよ。それまでに作った楽曲のようなサウンドを持つ新曲を作らないというのが、バンドのポリシーだったんだ。
僕たちのこのポリシーは、沢山のレコードを売る方法としてはオススメ出来ないね。だけど、僕たちはお金なんて気にしたこともなかったし、他の人がどう思おうと関係なかったからね。
そして僕たちの新しいマテリアルは新たな領域に踏み込むまた別の一歩だと感じているんだ。とはいえ、勿論 CONCEPTION らしいサウンドでもあることは保証するよ。

Q3: After dark and heavy record “Flow”, Conception disbanded. Then Roy joined Kamelot and Tore started Ark. What was the trigger of that situation at that time?

【ROY】: We were kicked off a tour where tickets had been sold with our name on the billing. That was big bummer for us. We felt we had delivered our best release up to that point, but the support from our label was so and so. Grunge flowing all over didn’t help much either. We never broke up however. It was more like putting it on ice. Then I joined Kamelot, Tore formed Ark, Ingar had his Crest of Darkness going and Arve played in a supercool bluesband called Nickels & Dimes. We were all busy each with our own and time just flew by.

Q3: ダークで冷徹な “Flow” をリリースした後、CONCEPTION は解体して Roy は KAMELOT へと加入、Tore は Jorn Lande 等と ARK を立ち上げた訳ですが。

【ROY】: “Flow” をリリースした後、僕たちはヘッドライナーとしてツアーを開始したんだ。そしてそのツアーが僕たちにとっては大きな失望だったんだよ。
当時の僕たちはこれまでで最高のアルバムをリリースしたと感じていたんだけど、レーベルからのサポートは大して得られなかったんだ。あちこちで流れていたグランジも “Flow” を後押ししたとは言い難かったね。
だけど、実際に僕たちが解散したことはないんだよ。何と言うか、棚上げしたって感じだったね。その後、僕は KAMELOT に加わり、Tore は ARK を結成し、Ingar は自身の CREST OF DARKNESS を進め、Arve は スーパークールなブルーズバンド NICKELS & DIMES でプレイすることとなったんだ。つまり僕たちは全員が自分自身のことで忙しくなって、そのまま時間が流れて行ったんだよ。

Q4: Anyway, Conception’s discography haven’t uploaded on the streaming service. So, unfortunately it’s not easy for newcomers to listen to your music. Is that relate to the contract with Noise Records?

【ROY】: You’re right; these are contractual rights issues that we are trying to sort out. You can find all the songs on Youtube however.

Q4: CONCEPTION のディスコグラフィーはストリーミングサービスに対応していませんよね。入門者には敷居が高い状況とも言えますが、Noise Records との契約問題が理由ですか?

【ROY】: 君の言う通りだよ。たしかに契約に関する権利問題が存在するんだ。僕たちは解決しようと努力しているんだけどね。ただ、YouTube では全ての楽曲を聴くことが可能だよ。

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Q5: Once again, welcome back Roy and Conception! We can’t believe our dream comes true. It seems your friendship is still so strong. So, how did the reunion come to be?

【ROY】: The four of us have been good friends all the way, and there has been quite a bit of talk about doing something at some point these years. I believe Tore and Arve approached me with some ideas a couple of years ago that were so solid we felt it was something to build further on…and here we are with a EP and single coming out this autumn.

Q5: それにしても、あなたと CONCEPTION がシーンに戻ってきたことは未だに信じられませんよ。この奇跡のリユニオンは、バンドの強い友情に寄るところも大きいように思いますが?

【ROY】: 僕たち4人はずっと良い友人だったんだ。そしてここ何年かは何度も、いつかある時点で何かやりたいねと話していたんだよ。
確か Tore と Arve が2年くらい前に、いくつかのアイデアと共に僕にアプローチして来たんだと思う。そのアイデアがとてもソリッドだったから、先に進めるべきだと感じたわけさ。そうして僕たちはリユニオンを果たし、秋には EP とシングルをリリースするんだよ。

Q6: Roy, it seemed very hard decision to leave incredible band Kamelot. Looking back now, what was the decision to you?

【ROY】: It was hard as hell, but at the same time completely necessary. I wouldn’t be here today if I hadn’t quit. To some extent you may say I didn’t have much of a choice at all. It was tough on the other guys in Kamelot too. I just shut down all communication with anybody having anything to do with music at all.

Q6: あなたは2011年に KAMELOT を離れるという決断を下しましたね。とても難しい選択だったと思いますが…

【ROY】: そうだね、地獄のように難しい決断だったよ。ただ、完全に必要な決断でもあったね。もし僕があの時 KAMELOT を辞めていなかったとしたら、今日僕はここにいないだろう。
つまり、あの時僕に選択肢はほとんどなかったと言えるかも知れないね。KAMELOT の他のメンバーにとってもタフな決断だったと思うよ。僕は本当に音楽に関係する全ての人に対して、全てのコミュニケーションをシャットダウンしたんだからね。

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Q7: How do you feel when you see or listen to Kamelot with Tommy Karevik? Is there any kind of strange feeling?

【ROY】: Tommy is a phenomenal singer and I think he’s doing a great job in the band. Thomas and the rest of the guys have continued on the path I was part of creating and I am honestly very happy that they could keep on and enjoy more well deserved success without me. In the beginning everything was strange to me, but not anymore. I wish them all the best!

Q7: KAMELOT があなたの後任である Tommy Karevik とプレイするのを見たり聴いたりするのはどんな感じですか?

【ROY】: Tommy は驚異的なシンガーで、僕は彼は KAMELOT で偉大な仕事を果たしていると思っているよ。Thomas と残りのメンバーは、僕が創造者の一部だったバンドの道程を守り続けているね。
僕は、彼らが僕無しでバンドを続けることが出来て、そしてより実力に見合う成功を手に入れることが出来て、正直にとても嬉しいんだよ。 もちろん、最初は全てが奇妙に感じられたけど、今は全く違和感がないね。彼らの幸せを祈っているよ!!

Q8: So, we can’t wait your upcoming EP and live performance! I believe there will be Tore’s trademark Flamenco-ish guitar work and Roy’s one and only operatic singing. Could you tell us about that as much as you can?

【ROY】: As I said earlier I believe we have managed to renew ourselves and still sound unmistakably Conception. There will be elements from our whole history mixed with.

Q8: 最後に、復活作やライブについて、現時点で可能な限り教えていただけますか?

【ROY】: さっきも言ったように、僕たちは常に自分たちの音楽を更新し続けていると信じているんだ。それでいて疑いようもなく CONCEPTION のサウンド。つまり、僕たちの全ての歴史、要素がミックスされるわけさ。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED ROY’S LIFE !!

MICHAEL JACKSON “THRILLER”

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a-ha “HUNTING HIGH AND LOW”

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TNT “KNIGHTS OF THE NEW THUNDER”

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QUEENSRYCHE “RAGE FOR ORDER”

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JOKKE & VALENTINERNE “FRELST!”

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MESSAGE FOR JAPAN

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Thank you so much for all your love & support! Without you none of this would have been possible! Hope to see you in soon…in Japan!!

全ての愛情とサポートを本当にありがとう!日本のファンなしでは、このリユニオンは起こり得なかっただろうね!すぐに会えたらいいな…もちろん日本でね!

ROY KHAN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AUGURY : ILLUSIVE GOLDEN AGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATHIEU MARCOTTE OF AUGURY !!

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Augury Give Proof Why Montreal, Quebec Is The Prog/Tech Capital Of The Western Scene With Long-awaited New Record “Illusive Golden Age” !!

DISC REVIEW “ILLUSIVE GOLDEN AGE”

CYNIC の後には、そして BEYOND CREATION の前には彼らが居た。OBSCURA と共にテクニカルデスメタルのプログレッシブサイドを探求し先導し続けるカナダの SF メタル集団 AUGURY が実に9年振りとなる新作”Illusive Golden Age” をリリースしました!!
“黄金時代” が “幻” ではないことを確かに証明する一枚は、テクデスの燎火を明々と灯す躍動感に満ちています。
カナダが誇るモントリオールとケベックの二大都市は、テクニカルデスメタルのメッカだと言えます。GORGUTS, CRYPTOPSY に端を発するその潮流は、MARTYR, BEYOND CREATION などに引き継がれ、近年の “Stay-Tech” メタルマシーン ARCHSPIRE まで脈々と連なります。
中でも、AUGURY の宿すエモーションと有機的なサウンド、クリエイティビティーはジャンルの無慈悲でメカニカルな特性を超越し、明らかに異彩を放っているのです。
9年の沈黙を破るアルバムオープナー “Illusive Golden Age” は風雲児たるバンドの型破りな一面が存分に示された戦慄。このジャンルの定番であるシンフォニックなイントロダクションや、ファストな音の洪水には脇目も振らず、独特のエスニックなスケールとクリーンギターのアクセント、そしてフレットレスベースの浮遊感が奏でるユニークな三重奏こそ彼らの狼煙。
神秘と孤高のメロディーセンス、空間を残したミッドテンポのリフワークは襲い来るヒステリックで噛みつく牙のボーカルとブラストの狂気を際立たせ、ダーティーに歌うSFの奇妙なワルツへと収束して行きます。失われた文明と知識を探るリスナーの旅は、得体の知れない未知なるエキサイトメントでその幕を開けるのです。
ステレオタイプのテクニカルデスメタルからさらに距離を置いた “Carrion Tide” はバンドの緻密なタクティクスを象徴する楽曲かも知れませんね。メタルリスナーにまるで施しを与えるかの如く付与されたブラッケンドのアグレッションは、AUGURY の持つ個の力によって様々なエモーションへとその形を変えて行きます。
ディープなガテラルからヒステリックなスクリーム、ミドルレンジの雄々しきクリーンまでメタルボーカルのショウケースにも思える Patrick Loisel のワイドな才能は移り行く喜怒哀楽を完璧なまでに表現し、起伏に富んだ楽曲のメインパーソナリティーとして君臨します。
ギタリスト Mathieu Marcotte の DEATH や CYNIC に VOIVOD、さらには OPETH や EMPEROR の遺伝子を受け継ぐ複雑でスリリングなリフの猛攻は、カタストロフィーが眼前に迫るかのような錯覚を引き起こし、ex- BEYOND CREATION の怪物 Dominic “Forest” Lapointe はフレットレスベースの酩酊でサイケデリックな静謐の焼け野原を描くのです。
MESHUGGAH と CYNIC が凌ぎを削る “Mater Dolorosa”、ゲーム音楽の影響を感じさせるサイバーなインストゥルメンタル “Message Sonore” を経て辿り着く、最長8分の “Anchorite” でアルバムはその幕を閉じます。
“Anchorite” とは、抗し難い理由で社会や故郷を離れ一人で暮らす宿命の意。もしかするとそれは、大災害で滅びし失われた文明最後の生き残りだったのかも知れません。焦燥と惜別、そして寂寥感を込めた過去からのメッセージは、メランコリーとアンビエンス、そしてアグレッションが渾然一体となったオデッセイ。
最高のミュージシャンシップで「異なる感覚を持って独自のサウンドを築き上げた」AUGURY の神話は、そうしてさざめく波の音と共に自然の元へと帰って行きました。
今回弊誌ではバンドの中心人物 Mathieu Marcotte にインタビューを行うことが出来ました。「個人的には確かにテクデスを聴いてはいるんだけど、そのスタイルからそんなに多くの影響を受けている訳ではないからね。逆に言えば、そうでなければ同じ様なサウンドになってしまうからね。 」リリースは DARK MATTER SECRET, EQUIPOISE, INFERI 等を抱える超注目株 The Artisan Era から。どうぞ!!

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AUGURY “ILLUSIVE GOLDEN AGE” 9.8/10

INTERVIEW WITH MATHIEU MARCOTTE

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PHOTO BY ALICIA MONTAGUE
Q1: This is the first interview with you. So, could you tell us about yourself and band itself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【MATHIEU】: Im one of the guitarist and composer in Augury, I also have a project called Humanoid in which I’m composing and playing different instruments, its instrumental and more on the ambient side. Im a former member of the band “Spasme” (1994 to 2001) which was a death metal band.
I started playing guitar in 1990 and started with bands like Metallica, Anthrax, Slayer, Sacrifice etc, and then moved on to death metal pretty quickly. I have also a lot of roots into prog rock as well. Since I was a kid, listening to bands like Pink Floyd, Supertramp, Led Zeppelin and stuff like that and that i still enjoy today.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話していただけますか?

【MATHIEU】: やあ、僕は Mathieu。AUGURY のギタリストでコンポーザーの一人だよ。他に HUMANOID というプロジェクトもやっているんだけど、そこでは僕が作曲を行い別の楽器もプレイしているんだ。HUMANOID はインストゥルメンタルでよりアンビエントな音楽性なんだ。1994年から2001年までは SPASME というデスメタルバンドのメンバーでもあったんだよ。
ギターを始めたのは 1990年だね。そして METALLICA, SLAYER, ANTHRAX, SACRIFICE のようなバンドを始めたんだ。それからすぐにデスメタルへと移行していったね。
僕はプログロックにも豊富なルーツを持っているんだよ。子供のころは PINK FLOYD, SUPERTRAMP, LED ZEPPELIN といったバンドを聴いていたし、そういった音楽は今でも楽しめるものなんだよ。

Q2: What inspired you to start your instrument? I feel sometimes Chuck Schuldiner’s influence from your guitar playing. Anyway, who was your musical hero at that time?

【MATHIEU】: Chuck is one of them, and theres so much to name them all, but i would say, for Augury (composition-wise) it would be: Chuck Schuldiner, Ihsahn, Mikael Akerfeldt, Jason Gobel, Rob Barrett, Karl Sanders, Dallas Toller Wade, to name a few.
for soloing i like to dig into other types of music like Al di Meola, Pat Metheny, David Gilmour, Strunz and Farah, Michael Hedges etc, and also into metal, like Chuck, Andy LaRocque, and Peter Lake.
For overall musicianship and musical production-wise, I really admire Ihsahn, Peter Tatgren, Dan Swano and Devin Townsend for being geniuses in so many fields.
For Humanoid my influences can range from Tangerine dream, Steve Roach and Pink Floyd to a kind of metal that I’m trying to put in there sometimes, and with lots of film soundtracks composers influences.

Q2: 切れ味鋭いあなたのギタープレイは時に DEATH の Chuck Schuldiner を想起させますね。

【MATHIEU】: Chuck は確かに僕のヒーローの一人だよ。ヒーローは本当に沢山いるんだけど、AUGURY のコンポジションに影響を与えたのは、Chuck, Ihsahn, Mikael Akerfeldt, Jason Gobel, Rob Barrett, Karl Sanders, Dallas Toller Wade といったところだね。
ギターソロに関しては、他のジャンルからも影響を受けているね。Al di Meola, Pat Metheny, David Gilmour, Strunz and Farah, Michael Hedges といった人たちだね。メタルだと Chuck, Andy LaRocque, Peter Lake といったところかな。
全体的なミュージシャンシップやプロダクションの分野では、Ihsahn, Peter Tatgren, Dan Swano, Devin Townsend といった様々なフィールドの天才たちを崇拝しているんだ。
一方で、HUMANOID では TANGERINE DREAM から Steve Roach, PINK FLOYD そしてメタルまで映画のサウンドトラックからの影響と共に幅広く織り込んでいるんだよ。

Q3: So, let’s talk about your newest record “Illusive Golden Age”. It’s definitely one of 2018’s most memorable death metal records! But 9 years have past since you released your previous record “Fragmentary Evidence”. Dominic and Antoine seemed to left the band once and come back, right? What was the reason of this long interval?

【MATHIEU】: Many things happened during that 9 years, Dominic was out of the band for 2 years for personnal reasons, and Antoine for 4 years after Etienne (former drummer) got back in the band, a couple of members changed. We toured intensively in 2009 and 2010 for the release of Fragmentary Evidence, and finally decided to take a brake from that and get back to day jobs at home. We had just bought a new trailer during that time and it was stolen shortly after so bad lucks after bad lucks we took that decision, to take a break, and started to work on that record. Some songs were dismissed, i pre-produced much of the album and we took a lot of time doing it. But also another thing is we like to take our time, it was basically 2 evenings a week ,we were recording and having fun, and thats the spirit of this band. Theres also a lot of experimentation and you need to take your time for doing that in the way we wanted to do it. We want to do our music as timeless as we can, so it doesn’t matter if a song was composed 8 years ago or last year, it just has to all blend together at the end.

Q3: では最新作 “Illusive Golden Age” について話しましょう。前作 “Fragmentary Evidence” から実に9年もの長いインターバルとなりましたね?

【MATHIEU】: この9年の間に多くのことが起こったんだ。Dominic は個人的な理由で2年間バンドを離れていたし、Antoine は前ドラマーの Etienne がバンドに戻った後4年間バンドに居なかったからね。メンバーチェンジが多発したんだ。
2009〜10年は “Fragmentary Evidence” のリリースに伴って精力的にツアーを行なっていたね。その余波で、しばらく休みをとって昼間の仕事に戻る決断を下したんだ。
僕たちはその間に新しいトレイラーを買ったんだけど、すぐに盗まれてしまってね。本当についてなかったんだけど、それでまた休みを取らなければならなかったんだ。そうして新作の制作を始めたんだよ。
いくつかの楽曲は却下されたものの、僕がアルバムの大半を前もって形作っていたから、時間をかけ腰を据えてアルバム製作に取り組むことが出来たね。まあ同時に僕たちは時間をかけるのが好きなんだと思う。基本的は週に二晩だけレコーディングを行って楽しむんだ。それが僕たちのスピリットなんだよ。
アルバムでは多くの実験も行ったんだ。納得の行く形で実験を行うために時間が必要だったというのもあるね。とにかく、時間を気にせず自分たちの音楽を追求したかったから、昨年までで作曲に8年も費やした訳さ。まあそういった理由が全て組み合わさったんだよね。

Q4: I really love mysterious artwork and album title “Illusive Golden Age”. Could you tell us about the concept or lyrical themes of this record?

【MATHIEU】: The theme in the album turns around lost civilizations and their knowledge, how they were destroyed and few fragments remains, telling us a story, often hidden or intentionally removed from our conventional history. The artwork concept was based on that theme. We asked Filip (Illustrator) to have a mummified creature holding an artefact in his hands, with a background where you can’t really tell if its earth or another planet, on which a certain cataclysm would have happened or something of that nature, in a dark environment, so people can use their imagination. As for the relationship between the music and the lyrical concept, I often try (and the other guys are doing it too in their ways) to compose riffs that are sci-fi in a way, that are weird and spacey so it fits the lyrical concept and as a whole.

Q4: アルバムのコンセプトや歌詞のテーマを教えていただけますか?

【MATHIEU】: このアルバムのテーマは、失われた文明とその知識。そしてその文明が破壊された方法とわずかに残る断片が伝えるストーリーさ。その断片は僕たちの伝統的な歴史において隠されているか意図的に取り除かれているんだけどね。
アートワークのコンセプトはそのテーマに基づいているよ。 僕たちは Phillip(イラストレーター)に、手に人工物を持っているミイラ化した生き物を依頼したんだ。その背景には、地球か他の惑星かは分からないけど、ある種の大災害や自然の猛威による暗い環境が提示されているんだよ。だからリスナーは想像力を働かせることが出来るね。
音楽と歌詞のコンセプトの関係については、僕はしばしば(そして他の人たちも同じように彼らの方法でやっていると思うけど)、奇妙でスペイシーなある意味SF的であるリフを作ることで、全体として歌詞のコンセプトにフィットさせているんだよ。

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PHOTO BY Chris Greschner Photography
Q5: How did you change or evolve since your previous release? What did you focus on in the record?

【MATHIEU】: There wasn’t really an agenda where we had to go a certain direction or evolve a certain way, we just wanted to do some Augury that would follow the previous albums like a logical continuity, each new songs calls for a specific approach but mainly it had to sound like us. Its the first album we do with a clic track so thats probably the biggest change, but even then we recorded often the riffs a second time when they come back so that they don’t sound copy pasted too much and keep it as organic as possible.

Q5: 前作と比較して、特にフォーカスした点や変化を遂げた部分はどの辺でしょうか?

【MATHIEU】: 僕たちの中に特定の方向に進まなければならない、ある種の進化を遂げなければならないといった議論はなかったね。ただ論理的な連続性を持った、以前のアルバムに続く AUGURY をやりたかっただけなんだよ。 新曲はそれぞれが特定のアプローチを要求したけど、大事なのは僕たちのサウンドを維持していることだったね。
クリックを使用した初めての作品だったから、それはおそらく最も大きな変化だと思う。それでも、僕たちはリピートするパートのリフも大抵はプレイしているから、あまりコピー&ペーストなサウンドにはなっていないし、演奏は可能な限りオーガニックに保っているよ 。

Q6: When we think about technical death metal, maybe it’s kind of machinery, cool and metallic image. But “Illusive Golden Age” is very organic, emotional record for me. And that makes Augury unique, separates lot’s of “Tech-death” acts. Do you agree that?

【MATHIEU】: Thank you for saying that, thats definitely our goal to try to be different and have our own sound. We listen to a lot of different types of music, and personally i do listen to tech death bands but not that much influenced by the style (if not it would end up sounding the same), so I’m a lot influenced by different things like movie soundtracks, retro games music, classical, folk, prog and so on. It starts often with a simple melody that we try to make more punishing with the ideas of each other that are added on top.

Q6: テクニカルデスメタルと言えば、やはりマシナリーでメタリックなイメージがあります。
オーガニックという言葉が出ましたが、それに反して “Illusive Golden Age” はとてもオーガニックでエモーションに満ちたレコードだと感じました。ジャンルの他のバンドとは一線を画していますよね?

【MATHIEU】: ありがとう。それこそがまさに僕たちの目指す場所なんだ。異なる感覚を持って独自のサウンドを築き上げるというね。
僕たちは沢山の異なるタイプの音楽を聴いているし、個人的には確かにテクデスを聴いてはいるんだけど、そのスタイルからそんなに多くの影響を受けている訳ではないからね。逆に言えば、そうでなければ同じ様なサウンドになってしまうからね。
だから僕は積極的な様々な異なる影響を取り入れているんだよ。映画のサウンドトラック、レトロゲーム、クラッシック、フォーク、プログといったね。
大抵はシンプルなメロディーから始まるんだ。そこからプッシュし、お互いにアイデアを出し合って最高の形まで持って行くんだよ。

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Q7: What’s Dominic “Forest” Lapointe to you? His fretless bass is really unique and impressive. Do you feel sometimes it’s like a “Triple guitar” in the band?

【MATHIEU】: Forest is one of a kind, and also one of my best friends since more than 20 years. The way he visualize and approach the music is different from any other bass player that I know. Rarely he will follow the melody line while other times he will goes around it if i can say, and in a way, chanting a melody over the guitar riffs, so definitely a different approach than a more standard player would do, in supporting the guitar with the low end. His composition style is also quite unique, its prog, complex and simple at the same time and catchy when it needs to be. I wouldn’t say a third guitarist approach because he still does some big low end with open strings and stuff like that, but obviously since theres a lot of higher notes with his playing, our albums have to be mixed a certain way and it shaped the way Augury sounds.

Q7: ユニークにフレットレスベースを操る Dominic “Forest” Lapointe の存在も大きいですよね?

【MATHIEU】: “Forest” はまさに唯一無二の存在だよ。それに20年以上、僕の親友の一人でもあるんだよ。彼の音楽を視覚的に捉えるアプローチは、僕の知る他のどのベーシストとも異なっているね。
まれに彼はメロディーラインをたどるんだけど、そうかと思えば遊び心を遺憾無く発揮したりする訳さ。ギターリフにメロディーを被せるから、間違いなくローエンドでギターを支える他の標準的なプレイヤーとはアプローチが異なるよね。
彼のコンポジションスタイルも非常にユニークで、プログレッシブかつ複雑なんだけど、同時に必要な時にはシンプルでキャッチーなんだ。
とは言え、彼のアプローチは3番目のギタリストという感覚ではないと思うよ。なぜなら、彼はオープンストリングとかそのようなテクニックを使ってビッグなローエンドもカバーしているからね。
だけど、明らかに彼の演奏によってハイノートが増えているのは確かだし、ミキシングもそれを意識して行っているんだ。それこそが AUGURY の音を形作っているんだからね。

Q8: CRYPTOPSY guitarist Chris Donaldson did mixing and mastering “Illusive Golden Age”. That’s typically, Canada seems to have great Tech-death scene, and strong friendship between bands. Do you agree that?

【MATHIEU】: Yes I think that the bond in the Montreal and Québec metal scene is pretty strong, lots of musicians are collaborating with each others in different bands. All the styles of metal are represented here and thats a very cool thing, as a matter of fact I moved to Montreal in 1997 only because of the metal scene, with my former band Spasme, to make contacts, play more shows and get signed. We came from a small town and Montreal is kinda the capital of metal in Canada.
We knew Chris and worked with him on other projects previously so we knew it would sound big, most of the details and ambiences were pre-mixed at my studio where I produced and record the album. Chris took care of the guitar reamping, mixed (incorporating all those elements together) and also mastered the album.

Q8: CRYPTOPSY のギタリスト Chris Donaldson がアルバムのミキシングとマスタリングを手がけていることからも、カナダの偉大なテクニカルデスメタルシーンの強固な繋がりが伺えますね?

【MATHIEU】: そうだね。確かにモントリオールとケベックにおけるメタルシーンの絆はとても強力だと思う。多くのミュージシャン達が互いに異なるバンドでコラボレートし合っているからね。全てのメタルのスタイルがここでは表現されていて、それってとてもクールなことだと思うな。
実際、僕が1997年にモントリオールへ引っ越してきたのは、メタルシーンだけが理由だったんだからね。前のバンド SPASME と共に契約とライブの機会を求めてね。小さな町から来た僕たちにとって、モントリオールはカナダにおけるメタルの首都のような感じだったんだ。
僕たちは Chris と知り合いだったし、以前に他のプロジェクトで仕事をしたこともあったから、アルバムのサウンドがビッグになることは分かっていたね。細かい部分の大半とアンビエンスは、僕がレコーディングとプロデュースを行った自分のスタジオでプレミックスは終えていたんだけど。
Chris はギターのリアンプや全ての要素を繋げるミキシング、そしてマスタリングを手がけてくれたんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MATHIEU’S LIFE

CYNIC “FOCUS”

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MICHAEL HEDGES “AERIAL BOUNDARIES”

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GORGUTS “EROSION OF SANITY”

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EMPEROR “ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK”

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OPETH “STILL LIFE”

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MESSAGE FOR JAPAN

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Thanks a lot to our Japanese fans, we would love to play in your country! Contact us if you can make it happen. Im into japanese food for a long time so that would be a treat for me to experience it for real, haha. cheers to you all and keep it metal!

日本のファンのみんなに大きな感謝を伝えたいね。僕たちは本当に君たちの国でプレイしたいんだ!興味があるプロモーターの方々はぜひコンタクトをとって欲しいね。
僕は長年日本食にハマっていてね。だからぜひとも本場で体験してみたいんだよ(笑)Keep it Metal!!

MATHIEU MARCOTTE

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PORTICO QUARTET : ART IN THE AGE OF AUTOMATION, UNTITLED (AITAOA #2)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACK WYLLIE OF PORTICO QUARTET !!

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With The Dreamy, Hypnotic Sound Of The Hang, Portico Quartet Creates Incredible Art In The Age Of UK New Jazz !!

DISC REVIEW “ART IN THE AGE OF AUTOMATION” “UNTITLED (AITAOA #2)”

エレクトロニカとバンドサウンドをシームレスに連結する UK ジャズ新世代 PORTICO QUARTET が、オートメーションの時代に贈る流麗なる記念碑 “Art in the Age of Automation” “Untitled (AITAOA #2)” をリリースしました!!2018年、人と機械の創造性が織り成す距離感は想像以上に接近しています。
エレクトロニカをベースとしつつ、全てにおいて細部までオーガニックであることに拘った GOGO PENGUIN の最新作 “A Humdrum Star” はリスナーの記憶に新しいところでしょう。
”Outer” をデジタルな世界、“Inner” をエモーショナルなヒューマンの領域に位置づけた作品は、例えるならば PC で精密にデザインされた建築物を、匠の手作業で一つ一つ忠実に再現して行くようなプロセスでした。
そして興味深いことに、同じ UK ジャズの新たな潮流から台頭した PORTICO QUARTET の最新作も相似的アイデアを提示して、人と機械が潮解した最先端のサウンドを立証しているのです。
「このアルバムはある種の解決策を提示しているんだよ。オートメーションと人間らしさという2つの異なる物事についてのね。」Jack がインタビューで語った通り、”Art in the Age of Automation” そして “AITAOA #2” がモダンミュージックが宿す苦悩にある種の解決策をもたらすことは明らかです。
“エモーション= 人間” “精密 = デジタル” という刷り込み。言い換えればその苦悩は固定観念という人の持つカルマ。そしてそのカルマに真っ向から挑んだ作品こそ “Art in the Age of Automation” だと言えるでしょう。
Jack は PORTICO QUARTET の音楽性をこう表現しています。「僕たちのサウンドには様々な音楽の側面が落とし込まれているよ。ジャズ、エレクトロニカ、アンビエント。時にはミニマリズムだって垣間見える。」Ninja Tune へ移籍しジャズとの距離を取り PORTICO の名の下でリリースしたポップな異色作 “Living Fields” を経ることで、ある種 “回帰” にも思える “Art in the Age of Automation” はデビュー以来最も深みを増しています。
アルバムオープナー “Endless” はその回帰と深みの象徴かも知れませんね。残響を帯びた電子音、嫋やかなブレイクビート、エセリアルなエレクトロニカの流れは、バンドのトレードマークであるハングドラムの風雅な響きを呼び込みます。”Portico” (前廊)を経由して辿り着くは神聖なるサクスフォンの嘶き。
ヒューマンとデジタルの境目が不可解な、カルマを凌駕した UK らしいダークな情緒はポストロックの雄大さを伴ってリスナーにエンドレスなサウンドスケープを届けるのです。
一方で、タイトルトラック “Art in the Age of Automation” を聴けば、独特の倍音を備えた音階をもつ打楽器ハングドラムが、ジャズとミニマリズムの蜜月を育み幻想的な電子の世界を映し出していることに気づくはずです。20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明、スティールパンのアップデートバージョンは、コンテンポラリーなデジタルの海にも良く映えます。
実際、アルバムを聴き進めるにしたがって、オーガニックな演奏とデジタルなマニュピレーションの境界は、英国の霧で覆われたかのように混迷を深めていきます。”A Luminas Beam” や “KGB” で見せる、生々しい楽器の音色と電子音の融合が育む浮遊感やダイナミズムは、変則拍子を身に纏いジャズとロックの境界さえ霞ませるその深き “霧” のたまものだといえるでしょう。
“Current History” でクラシカルとミニマルテクノの真髄を披露した後、辿り着く “Lines Glow” はまさに音のユーフォリア。神々しきハングの音色はトライバルな感覚をも伴って、カラフルなシンセサイザーの海へと溶け込みます。そうして育まれたサウンドスケープの種は “Undercurrent” で静謐と叙情の波を全身に浴びて終幕に相応しくヒプノティックに開花するのです。
壮麗なストリングスを含むアコースティックな楽器、オーガニックな演奏がモダンなプロダクション、テクニック、テクノロジーと融和した時、そこには鮮やかな PORTICO QUARTET の色彩が生まれます。PORTICO QUARTET の固定観念を解放するチャレンジは、”デジタルなエモーション”、”精密な演奏技術” を幾重にもレイヤーして最新作 “Untitled (AITAOA #2)” へと引き継がれているのです。
今回弊誌では、サクスフォン /キーボードプレイヤーの Jack Wyllie にインタビューを行うことが出来ました。PORTICO QUARTET、GOGO PENGUIN 両者共に、UK ジャズの特異性、革新性についても非常に近い切り口で回答していますね。注目です。どうぞ!!

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PORTICO QUARTET “ART IN THE AGE OF AUTOMATION” “UNTITLED (AITAOA #2) : 9.9/10

INTERVIEW WITH JACK WYLLIE

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Q1: This is the first interview with you. So, could you tell us about yourself and band itself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【JACK】: I’m jack, I play the saxophone and some synths / keys and electronics occasionally. The band is made up of Duncan the drummer and Milo who plays bass and keir who plays keys and hang drum.
When I was growing up I listened to a lot of music. I was quite into British Indie bands in the 90’s, like Ocean colour scene and blur, they have almost no connection to our music now but were important to me when I was a teenager. I was also listening to bands like cinematic orchestra and jagga Jazzist, along with more classic jazz artist like John Coltrane and miles Davis. Then when I was in my 20’s I got into minimalist music and have been into that ever since, its something we keep on mining. These days I have a very broad taste in music but I’ve been into Japanese ambient music for the last few years, people like Hiroshi Yoshiumura and Susumu Yokota.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドから聞かせていただけますか?

【JACK】: 僕は Jack。サックスと、時々キーボードやシンセサイザーをプレイしているよ。PORTICO QUARTET はドラマーの Duncan、ベーシストの Milo、キーボードとハングドラムをプレイする Keir、そして僕で構成されているんだ。
僕は膨大で様々な音楽を聴いて育ったね。90年代には UK のインディーズにハマっていたよ。OCEAN COLOUR SCENE や BLUR のようなバンドさ。彼らは今の僕たちの音楽とはほとんど繋がりがないけれど、ティーンエイジャーの僕には重要な存在だったんだ。
John Coltrane, Miles Davis といったクラッシックジャズの巨人と並んで、CINEMATIC ORCHESTRA や JAGA JAZZIST のようなバンドも聴いていたね。
それから20代に差し掛かると、僕はミニマルミュージックにのめり込んだんだ。今までで最もハマった音楽だと言えるだろうね。
最近は幅広く音楽を聴いているよ。ただ、ここ何年かは日本のアンビエントミュージックにもハマっていてね。吉村弘や横田進といった人たちのようなね。

Q2: What inspired you to start playing instruments? Who was your musical hero at that time?

【JACK】: I started playing flute when I was about 11 years old. I wouldn’t say it was inspired by anyone in particular. In the UK most children would play the recorder from the ages of about 6-10 then you could go on to take up another instrument. I enjoyed the recorder, more just in the act of playing an instrument than any particular kind of music and I liked the sound of the flute so I played that after I had some experience on the recorder (they are very similar instruments). When was 12 I started playing the guitar because that was the kind of music I was into at the time, i was particularly fond of Jimi Hendrix. When I was about 13/14 I got more into jazz and started playing the saxophone.

Q2: あなたはサクスフォンやキーボードを自在に操るハイレベルなマルチプレイヤーですが、どのような楽器遍歴を持つのでしょうか?

【JACK】: 11歳くらいの時にフルートを始めたんだ。特に誰かに言われて始めたという訳ではなかったね。UK ではほとんどの子供が6歳から10歳くらいまでリコーダーをプレイして、それから他の楽器を始めるんだよ。
僕はリコーダーを演奏するのが好きだったな。特に決まったジャンルを演奏する訳ではなかったけど、演奏するという行為自体がね。フルートのサウンドも気に入っていたよ。だからリコーダーで経験を積んだ後フルートを選んだんだ。その2つはとても似た楽器だからね。
12歳の時に、ギターもプレイし始めたんだ。当時ハマっていた音楽に影響されてね。特に Jimi Hendrix は大好きだったよ。13か14の頃によりジャズにのめり込んで、サックスを始めたんだ。

Q3: How did the band come to be? Hang drum is one of the symbol of Portico Quartet. What made you use the modern instrument in your music?

【JACK】: Duncan found the hang at a world music festival in 2004. It had only just been invented and he bought one as soon as he heard it. His friend Nick Mulvey (ex member) then went on to buy on too. I met nick at university when we were both studying at The School of Oriental and African Studies, we started jamming together with saxophone and hangs, then I invited my friend Milo (bass) along and Nick invited Duncan and we just started jamming together. Then we started doing a lot of busking and making our own CD’s.

Q3: ハングドラムという特殊でモダンな楽器を取り入れたバンドを立ち上げたのはなぜですか?

【JACK】: Duncan が2004年のワールドミュージックフェスティバルでハングドラムを見つけたんだ。ハングは当時まだ開発されたばかりだったんだけど、音を聴くやいなや彼はすぐに一つ購入したんだよ。その後、彼の友達で元メンバーの Nick Mulvey が同じものを買いに行ったんだ。
僕は大学で Nick が会ったんだ。僕たち二人はオリエンタル/アフリカ学を学んでいたからね。それでサックスとハングでジャムり始めたんだ。それから僕は友人のベーシスト Milo を誘い、Nick は Duncan を誘って一緒にプレイし始めたんだよ。そうやって沢山のライブや CDの制作を始めたのさ。

Q4: OK, so let’s talk about your recent works. In 2014, you release “Living Fields” album under the name Portico. You radically changed your musical style to experimental electronic pop at that time. What was the reason of change of direction?

【JACK】: I think we just wanted to try something different. We had we’re more into that kind of music at the time and weren’t connecting to the more ‘jazz’ elements of our music, so we decided to try something new.

Q4: では、近年の作品について話していきましょう。バンドは2014年に PORTICO の名前で “Living Fields” をリリースしています。実験的なエレクトロポップ、ダブステップへとフォーカスした異質な作品でしたね?

【JACK】: 僕たちは当時何か異なることにチャレンジしたかったんだと思う。あの頃の僕たちはああいった音楽によりのめり込んでいたし、”ジャズ” の要素をこれ以上取り入れたくなかったんだろうな。だから新しいものへの挑戦を決めたんだ。

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Q5: Last year, you released “Art in the Age of Automation” in August. It seemed you returned to jazz, ambient, post-classical, and electronic music style somehow. Do you agree that? If so, does your “Go-back to roots” relate to your new contract with Gondwana Records?

【JACK】: Yes I do agree that we went back to something closer to the style we we’re playing in before. However I still think the music is different, its not a repetition of any previous album and I think is something genuinely original for us. There’s a lot of shape-shifting of acoustic instruments, and we were really focusing in on little details here. There are a lot of layers and little bits going on compared to our other records. Also, a lot of synthesizers, a lot of drum machines, just that blend of electronic and acoustic sounds which give the album its identity. I think this style of music works well with Gondwana, however we didn’t make it for the label, we had more or less written the album and then decided to put it out on Gondwana after it had been made.

Q5: 一方で、昨年リリースした “Art in the Age of Automation” ではジャズやアンビエント、ポストクラシカル、そしてエレクトロニカといったトレードマークのサウンドへといくらか回帰しましたよね?

【JACK】: うん、その通りだよ。僕たちは以前プレイしていたスタイルに近い場所へと回帰したね。とは言え、音楽の中身はそれでも異なっていると思っているよ。以前のアルバムの繰り返しという訳ではないし、純粋に僕たちにとってオリジナルなものなんだよ。
作品の大部分を形作るのはアコースティック楽器だよ。僕たちはこのアルバムでその楽器を詳細まで突き詰めたんだ。故に他のレコードと比べてアコースティックがよりレイヤーされていると思うんだ。同時に、シンセサイザーやドラムマシンも多用しているね。そうやってアコースティックとエレクトロニカサウンドをブレンドすることでこのレコードにアイデンティティーをもたらしているんだよ。
それにこのスタイルがレーベルである Gondwana にフィットするのも確かだね。もちろん、レーベルのために音楽を書いている訳ではないんだけどね。実際、多かれ少なかれ作曲を終えてからGondwana に提出するんだからね。

Q6: Regarding electronic, album title “Art in the Age of Automation” seems to be focused on the contrast of two different things, between the automation and the human aspect. How did the title and theme come about?

【JACK】: The title came of wanting to emphasis the ideas behind the record. It is about how humans and machines interrelate on some level and was about using machine processes to generate human sounding music as well as using very human processes to generate mechanical / machine like sound. When we were making the album, we started talking about automation a lot, about how the world was going to become more automated and how artificially intelligent systems and machines will start to change the way the system and the economy works. So we were thinking about our record and how a lot of it is about merging acoustic instruments with electronic techniques, so I suppose the album in a way is trying to find a solution to those two different things- the automation and the human side. Hopefully it gives people a way into thinking about the record and also helps frame a way in which to talk about it. Also its a nice sounding phrase!

Q6: エレクトロニカと言えば、”Art in the Age of Automation” はコンセプト的にも音楽的にも機械によるオートメーション化と人間、2つの側面にフォーカスした作品のようにも思えますが?

【JACK】: このタイトルはレコードの中に宿るアイデアを強調したものなんだ。つまり、人間と機械があるレベルでどのように相互に関係しているのかについて。人間らしいサウンドの音楽を生成するために機械、デジタルなプロセスを使用することと、人間のテクニックを駆使して機械的、デジタルな音を生成するアイデアさ。
アルバムを制作している最中は、全員でオートメーションについて沢山話したよ。これ以上オートメーション化が進めば世界はどうなるのか、AI がシステムや環境をどう変え始めるのかなどについてね。
そうして、僕たちのレコードについて考えた時に、いかにアコースティック楽器とエレクトリックのテクニックが混ざり合っているのか気付いたわけさ。つまり、このアルバムはある種の解決策を提示しているんだよ。オートメーションと人間らしさという2つの異なる物事についてのね。
願わくば、この試みによって人々がレコーディングについての考え方をより熟孝し、それについて話をする時の枠組みにも役立てばと思うんだ。 まあ、タイトル自体もステキな響の言葉だしね!

Q7: So, your upcoming record “Untitled (AITAOA #2)” was largely recorded at the same sessions as “Art in the Age of Automation” and explores similar areas of enigmatic, widescreen minimalism. OK, I think definitely it’s not kind of compilation or “Bonus Tracks”, but have very equal quality of AITAOA. Does it mean AITAOA complete these two albums?

【JACK】: Yes theres actually some tracks that I really wanted to put on the record that didn’t get put on there because we had to make compromises between us. I think theres some really good stuff on there and it certainly sits with the rest of record really nicely. Im not sure it completes it but they certainly work as a nice package together.

Q7: 最新作 “Untitled (AITAOA #2)” は、大半が “Art in the Age of Automation” のレコーディングセッションで録音されたそうですね?実際、AITAOA と同様のエニグマティックでミニマルなエリアを探求した作品は、この2枚で完成形とも思えるような高いクオリティーを誇っていますね?

【JACK】: そうだね。”Untitled (AITAOA #2)” には実際、僕がとても収録したかったにも関わらず、”Art in the Age of Automation” には収録されなかった楽曲がいくつか存在しているよ。なぜなら、収録曲に関してはやはりメンバー間である程度妥協しなくてはならないからね。
新作にはとても良い楽曲がいくつか収録されていて、それが残りのレコードと見事に調和しているんだよ。この2作で完遂したかは分からないけど、確実に素晴らしいパッケージとなったことは確かだね。

Q8: I had an interview with GoGo Penguin, Mammal Hands recently, and I asked them same question. I feel UK’s new generations of Jazz have more electronic sound compared with US’s Jazz the new chapter. Do you agree that? If so, what’s your perspective about the reasons?

【JACK】: I think jazz in the US has such a strong lineage, in its purer sense it is a black American art-form that is rooted in the 1940-60’s period, and I think that still holds a lot of weight in America. Euopean jazz has probably had a bit of a looser definition and so has been able to absorb different types of music a bit more easily. Also Europe and the UK probably has a stronger history of electronic music
However it is a bit of a generalisation. You have for instance bands like dawn of midi in new York that have a very big electronic influence on them. You also have some younger jazz in the UK that is quite traditional.

Q8: MAMMAL HANDS や GOGO PENGUIN にも同じ質問を投げかけたのですが、UK ジャズ新世代は、USなどと比べてよりエレクトロニカへと接近していますよね?

【JACK】: アメリカのジャズはやっぱり強い系譜を持っているんだと思うな。純粋な意味で、1940年代から60年代に根ざした黒人によるアメリカの芸術形態であり、それはアメリカではまだまだ大きな重みを持っていると思うんだよ。
ヨーロッパのジャズは、US と比較しておそらく少し緩い定義を持っているので、いろいろなタイプの音楽をもう少し簡単に吸収することが出来たんだろうな。 それに、ヨーロッパとイギリスはおそらく、電子音楽の歴史がより強固だからね。
しかし、それは一般化的な解釈かもしれないよ。 例えば、ニューヨークには非常に大きなエレクトロニカの影響を有する DAWN OF MIDI のようなバンドもあるからね。一方で、UK にもかなり伝統的な若いジャズバンドは存在するからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JACK’S LIFE

JOHN COLTRANE “A LOVE SUPREME”

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BURIAL “UNTRUE”

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APEX TWIN “SELECTED AMBIENT WORKS 85-92”

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RADIOHEAD “KID A”

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STEVE REICH “MUSIC FOR 18 MUSICIANS”

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MESSAGE FOR JAPAN

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We can’t wait to finally come and play for you!

本当にいつか日本でプレイ出来たら良いね!

JACK WYLLIE

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ichika : she waits patiently, he never fades】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ichika !!

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Japan’s Up And Coming Guitar Artist ichika Has Been Making Waves With His Trilogy EPs “forn”, “she waits patiently” and “he never fades”. Definitely, We Should Keep An Eye On This Young Virtuoso!!

DISC REVIEW “she waits patiently”, “he never fades”

光耀を増した夢幻のクリスタル。琴線の造形師 ichika がギターとベースで奏でるダブルファンタジー “she waits patiently” “he never fades” は、音聖のプロローグを透徹した美意識で彩ります。
マエストロの周辺はデビュー EP “forn” のリリース以降俄に騒がしくなりました。コンテンポラリーでメロディアスなテクニックのイヤーキャンディー AMONG THE SLEEP で gen との麗しき邂逅を果たした後、ichika がスポットライトを浴びたのは東京コレクションのランウェイでした。モデルとしても需要はありそうですがもちろんモデルとしてではなく、スーパーグループ ichikoro のメンバーとしてサプライズで演奏を行ったのです。
Think (川谷絵音), Holy (休日課長), M (ちゃんMari), Vista (奏), Sugar (佐藤栄太郎) から成る異能の音楽集団を率いるリーダーは ichika。そして ichikoro のサウンドはその奔放なラインナップとシンクロするかのように自由を謳歌しています。
「正直音楽の作られていくスピードが異常です。」実際、ゲスの極み乙女や indigo La End の頭領、百戦錬磨の川谷絵音を筆頭とするトリプルギター軍団のクリエイティビティーは斬新かつ鮮烈です。ファンクにポルカ、サンバ、ジャズ、そしてオルタナティブなロックの衝動まで内包する “Wager” はまさにグループの象徴。倍速で演じる紙芝居の如く、コロコロと表情を移す猫の目のイマジネーションはリスナーの大脳皮質を休むことなく刺激し続けます。
課長の派手なスラップを出囃子に、各メンバーの個性も際立つエキサイティングなインストゥルメンタルチューンにおいても、ichika の清澄なるクリーントーンは際立ちます。一聴してそれとわかる眩耀のトーンと水晶のフレットワークは、キラキラと瞬きながら若きヴァーチュオーゾの確かな才気を主張していますね。
無論、ichika のそのトレードマークを最も堪能出来るのがソロ作品であることは言うまでもないでしょう。「”forn” を作るときに話の全体の大きな流れを作り、それを “forn” と “she waits patiently”、”he never fades” の3つに分けました。」と語るように、冒険の序章はトリロジーとして制作されています。”forn” と “she waits patiently” は女性視点で、”he never fades” は男性視点で描かれたストーリー。そして ichika はギターを女声に、ベースを男声に見立てその物語を紡いでいるのです。
「僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることで、より複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。」という ichika の言葉は彼の作品やセンスを理解する上で重要なヒントとなっています。
彼の楽曲に同じパートが繰り返して現れることはほとんどありません。もちろん、テーマを拡げる手法は時折みられるものの、単純に同じパッセージを再現する場面は皆無です。つまり、映画や小説が基本的には同じ場面を描かず展開を積み重ねてイマジネーションを掻き立てるのと同様に、ichika の楽曲も次々と新たな展開を繰り広げるストーリーテリングの要素を多分に備えているのです。小説のページを捲るのにも似て、リスナーは当然その目眩く世界へと惹き込まれて行くはずです。
加えて、”forn” から ichika がさらに一歩踏み出した場所こそが “感情” であったのは明らかです。「この音を聴けばこういう感情が生まれる」エモーションの引出しを増やすに連れて、彼が直面したのは “ソロギター” という手法そのものだったのかも知れませんね。
ソロギター作品と言えばそのほとんどがアコースティックで奏でられていますが、ichika はエレクトリックギター/ベースを使用しプラグインエフェクトで極限まで拘り抜いた天上のトーンを創出しています。ピアノやアコースティックギターで表現するインストゥルメンタルの楽曲は、確かに美しい反面、平面的な情景描写に終わってしまうことも少なくないでしょう。
しかし、儚さや美しさと同等の激しさや苦しさを宿す “he never fades” や “illusory sense” は明らかにその殻を破った楽曲です。プレイリストを見れば分かるように、そこには、ジャズやアンビエント、ミニマルや電子音楽の領域と並行してデスコアや djent、フュージョンといったロックの衝動を通過した ichika の独創性、強みが存在するのです。
エレクトリックギター/ベースを選択することで、彼は唯一無二の自身のトーンと共に、ハイノートの自由を手に入れています。時に煌き躍動する、アコースティックギターでは再現不可能なハイフレットでのフレキシブルでファストなプレイ、右手を使用したタッピングの絵巻物はモダンなイメージを伴ってロックのエモーションをガラス細工のように繊細な音流へと吹き込みます。
そしてより “ギター” “ベース” という弦楽器の特徴を活かしたスライドやヴィブラート、トレモロ、ガットストローク、さらには休符、弦の擦れる音やミュートノイズまでをも突き詰めて、ichika は感情という総花を物語へと落とし込んでいるのです。揺らぐ感情の波間に注がれる荘厳なる崇高美。
“彼女” は辛抱強く待ちました。”彼” も辛抱強く待ちました。きっと世界には、絶望の後には救いが、別れの後にはユーフォリアが等しく用意されているのです。ichika の素晴らしき序章、未曾有のトリロジーは静かにその幕を閉じました。ISSUES の Tyler Carter と作曲を行っているという情報もあります。次の冒険もきっと目が離せないものになるでしょう。Have a nice dream, ichika です。どうぞ!!

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Artwork by Karamushi

ichika “she waits patiently”, “he never fades” : 10/10

INTERVIEW WITH ichika

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Q1: First of all, how did super-group ichikoro come to be? It’s very unique triple guitar team with Enon Kawatani of Gesu No Kiwami Otome, right?

【ichika】: Originally, I was talking about making some music together with Enon Kawatani. Then, I was invited by him to do a session at one time and I entered the studio for the first time with my current ichikoro member.
At that time, we did songwriting, but it was a feeling that it would be nice to release the songs instead of becoming a band. But, it turned into a band named ichikoro before I know it.

Q1: ichikoro の結成には本当に驚きました。所謂 “川谷ファミリー” を中心とした非常に豪華なメンバーで、さらにトリプルギターのインストという斬新な形態をとっています。東京コレクションのランウェイでのお披露目もド派手でしたね。(笑)
まずは ichikoro 結成の経緯からお話していただけますか?

【ichika】: もともと川谷絵音さんといずれ何か一緒に音楽をしたいねという話をしていました。そしてあるときセッションをしようと誘っていただき、今のichikoroメンバーで初めてスタジオに入りました。
そのときに曲作りが行われたのですが、当時はバンドという形になるわけでもなく音源出せればいいね、ぐらいの感じでした。それが気付けば ichikoro という名前のバンドになっていたんです。

Q2: How was the experience making music with such a very popular musicians?

【ichika】: Many things go into the studio and Enon gradually builds expansion, chord progression after that another members arrange them. To be honest, the speed of composing is abnormal. Extremely fast.
Effective sounds and distorted sounds are Enon, acoustic clean parts and backing are Kanade, clean high tone parts are me.
It is fresh to form music together with people who have different backgrounds and consciousness, as it has been almost done by myself so far. New musics which I could not produce by myself is shaped and I am very excited about that!

Q2: デビュー音源 “ichigeki” は、ロックやジャズ、プログレッシブ、ファンクなど様々な要素がスリリングに、コンテンポラリーに融合した非常にダイナミックな作品に仕上がりましたね?
作品のライティングプロセスやギターパートの振り分けはどのように行われたのでしょう? メジャーアーティストとの共演は ichika さんにとってどのような経験でしたか?

【ichika】: スタジオに入り絵音さんが展開とコード進行をどんどん作っていき、それをメンバーたちでアレンジしていくというものが多いです。正直音楽の作られていくスピードが異常です。
エフェクティブな音や歪んだ音のパート絵音さん、主にアコギやバッキングのクリーンのパートが奏さん、上物のクリーンのパートが僕となっています。
今までほとんどひとりでやってきたというのもあって、自分とは違う、それぞれ異なった背景や意識を抱えて音楽を作り演奏する方たちと音楽を一緒に形にしていくのが新鮮です。どんどん今までの自分にはなかった、自分だけでは生み出せなかった新しい音楽が形作られていき、そのことにとてもワクワクしています。

Q3: OK, so could you tell us about your musical backgrounds?

【ichika】: My father used to play music, so there were guitar and bass at home. Also there were CDs of music of various genres in the house. While listening to them, I was attracted by the songs like IRON MAIDEN and Greg Howe. So, I was practicing them by guitar and bass in the junior high school students I had been around.
By doing so, as I touch various kinds of music other than piano songs, I also encounter several guitar and bass solo songs, but at that time I embraced the impression that it was hard to get stuck and that I refrained from listening. After a while, it seems that instrumental music may stick to people who are familiar with guitar and bass, And I noticed that it is music for professionals that means high threshold for people who only listen to music, not to play musical instruments.
At the same time I felt strongly that I would like to express or making music with just one instrument, then I first wondered if the instrument would be the most long-played piano, or guitar or bass … but, Piano solo songs are already overflowing with too good songs and there are too many rivals, but guitar and bass solo songs have not been established so far. Then I decided to abandon the easy choice of the piano I could play the best at the time, and decided to use strings instruments, make solo guitar, solo bass songs.
Among them, I thought that the range of guitar is wider, I will dig deeply that instrument because I could try variously. So, I decided to make music with a single guitar. I talked that guitar, bass solo songs are harder to approach than piano solo songs earlier, so I thought about what the difference is. That made me analyze the piano solo song and fit the formation of the chord, melody, rhythm etc to the guitar It went by.
Since I had a long relationship with the piano, I went smoothly to that point. But I faced the problem of being unable to play the guitar like piano by the structure of the instrument. For example, it was a problem such as suppressing closed code, sometimes it was hard to play root note with melody, etc.
So, that impossibility made me use right hand as well as the piano and began to overwork the right hands naturally. However, as it is, it is kind of mimicking the piano songs, and if the goodness of the guitar is not fully utilized, I thought. Meanwhle, I took in the features of string instruments such as the vibrato, slides, and strokes.
With such a intention, I tried to give the music meaning of what kind of emotion to bring in, and finally it began to be the song I wanted to make.
Anyway, with such a reason, there was no hero who was involved in my current play style directly at the time, but when I was in the junior high school, I was worshiping Steve Harris and with my 2 fingers I was continuing to play IRON MAIDEN madly.

Q3: 川谷氏が ichikoro で5つ目のプロジェクトだと仰っていましたが、ichika さんもソロ、Among The Sleep, そして ichikoro で3つ目のプロジェクトですよね? それぞれが異なる音楽性で、しかも ichika さんは作品に応じてギターとベースを使い分けています。
前回の取材でピアノが音楽を始めたきっかけだと仰いましたが、そこからギターやベースを手にして技術やアイデアを深めていった経緯、当時のヒーローについて教えていただけますか?

【ichika】: 父が昔に音楽をしていたので家にはギターとベースがありました。またそのため家には様々なジャンルの音楽のCDがあり、それらを漁って聴いているうちに、カッコいいなと思った IRON MAIDEN や Greg Howe の曲をギターやベースで弾いて練習しながら中学生の頃を過ごしていました。
そうやってピアノ曲以外の色んな音楽に触れていくにつれていくつかのギターやベースソロ曲にも出会っていくのですが、そのときはどうにもとっつきにくい音楽だなぁという感想を抱き、聴くことを敬遠していたんです。少し経ってからこれはギターやベースに親しんでいる人には刺さるんだろうけど、楽器をしない、音楽を聴くだけの人には敷居の高い玄人向けの音楽だなと気付きました。
ちょうどその時期に楽器ひとつで音楽を作りたい表現したいという気持ちが強くなり、じゃあまずその楽器は一番歴の長いピアノにするか、それともギターかベースか…と悩んでいたのですが、ピアノのソロ曲は既にあまりに良い曲で溢れかえっているしライバルが多すぎる、でもギターやベースのソロ曲はそこまで確立されていない。それならもっととっつきやすいギターソロ、ベースソロ曲を自分で作ってしまおう、ということで当時最も技術が備わっていたピアノという手堅い選択肢を早々に放棄して撥弦楽器でソロ曲を作って演奏しようと決めました。
その中でも音域がより広く、色々試し甲斐のあるギターから深く掘り下げていこうと思い、ギター一本で音楽を作るぞと奮起しました。先ほどギター、ベースソロ曲はピアノソロ曲に比べとっつきにくいと話しましたが、ではその違いは何なのだろうかと考えていき、ピアノソロ曲を分析してそのコード、メロディー、リズムなどの成り立ちをギターに当てはめていきました。
ピアノとは長く付き合いがあったのでそこまでは順調に進んだのですが、その先、普通に弾いていると楽器の構造上どうしても再現できないことがあるという問題に直面しました。例えばクローズドなコードを抑えたり、ルート音とメロディーを両立できなくなるときがある、等の問題です。そこで普通に弾いてムリならピアノと同じ様に右手で音も出すしかなくなり、自然と右手を酷使するようになりました。しかしこのままではピアノ曲の模倣にすぎず、ギターの良さがあまり活かされてはいないのでは、と思い弦の揺れやスライド、ストロークなどの撥弦楽器ならではの特徴を取り入れていきました。
そしてそれらをしっかりと意図を持って、どういう感情をもたらすのかはっきりと意味を与えて組み込んでいき、ようやく聴ける曲になり始めました。
そういうわけもあって、今のプレイスタイルに関わってくる直接的な当時のヒーローはいなかったのですが、ベースを始めたての中学のころは Steve Harris を崇拝していて狂ったように2フィンガーで IRON MAIDEN の曲を弾き続けていました 。

Q4: Let’s talk about your newest EPs “she waits patiently” & “he never fades”. You recorded five solo guitar songs and five solo bass songs for these EPs and packed them separately. How did you come up such a unique idea?

【ichika】: Including “forn” of my previous work, it was planned to make a trilogy together with this two EPs. And one of them was originally thinking to play on the bass.
I usually try to make stories and rewrite them with music before I compose. Because I thought that I could induce my listeners more complicated emotions by letting them experience my music as a story.
So when making “forn” I made a big flow of the whole story and divided it into “forn”, “she waits patiently”, “he never fades”. In this case, “forn” and “she waits patiently” were female perspectives and “he never fades” needed to make a story from a male perspective. So I decided to make songs with a female voice as a guitar, then a male voice as a bass.

Q4: では、遂にリリースされた新作 EP “she waits patiently” と “he never fades” について話しましょう。先ほど作品に応じてギターとベースを使い分けると言いましたが、それにしても2枚の EP にソロギター、ソロベース5曲づつを収録する試みは前代未聞ですね。なぜこういったアイデアを思いついたのでしょうか?

【ichika】: 前作の “forn” も含めて、今回も2枚の EP と合わせて3部作にする予定でした。そしてそのうちの1つははもともとベースで弾こうと考えていたんです。
というのも、僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることでより複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。
なので “forn” を作るときに話の全体の大きな流れを作り、それを “forn” と “she waits patiently”、”he never fades” の3つに分けました。このとき “forn” と “she waits patiently” は女性視点で、”he never fades” は男性視点で物語を作る必要があったのでそれなら女性の声をギターで、男性の声をベースで表しそれに付随するような曲を作ろうと決めました。

Q5: What’s the difference between guitar and bass, when you play them?

【ichika】: Even if I play the same phrase on the guitar and bass as wanting to plant feelings of “sad”, I think that the feeling of “sad” remaining after listening is completely different.
So when I think about what the song wants to say and what motivation you want to move in the last, I decided to use a musical instrument that is convincing, appropriate.

Q5: 往々にしてソロギター作品は存在するものですが、ソロベース作品は実に珍しいと思います。しかも ichika さんのベースサウンドは非常にクリアーで、和音や強弱まで鮮明に聴きとることが出来るんですよね。ただし、ギターのクリスタルで繊細な音色に比べると力強さ、雄々しさも確かに存在しています。
ギターとベース、二つの弦楽器を使い分ける際に特に気にかけていることは何でしょう?

【ichika】: 「悲しい」という気持ちを植え付けたいとして、たとえギターとベースで同じフレーズを弾いても聴いた後に残るその「悲しい」という感情は全く異なるものだと思っています。
ですので最後にその曲は何を言いたいのか、どう心を動かしたいのか、を考えたときにより適切である、説得力が生まれる方の楽器を使用しています。

Q6: Especially, the title track “he never fades” seems to be a piece of music by the process from lone, jealousy, anger and until the kindness is born. So, could you tell us about the story of the song?

【ichika】: I thought about making a song that creates a saved mind after listening, then I tried to express a story that hits rock bottom and finally reach out hand.
When I was trying to make this song, I thought I made a story specifically to make it a piece of music, but then it would be a scene depiction and it would just end with a only beautiful thing. I was in conflict with.
So, this time it was made to be more emotional music, with a simple flow that the story is solitar borns jealous, anger is born from jealousy, and when anger becomes resignation, kindnesses saves.

Q6: タイトルトラック “he never fades” は、孤独や嫉妬、怒りから優しさが生まれるまでの過程をベース1本で楽曲にしたそうですね?”forn” を経由して ichika さんのサウンドとストーリーに、ドラマやエモーションが増したようにも思えます。

【ichika】: 聴き終わった後に救われる心を生み出す曲を作ろうと思い、それならどん底まで突き落として最後に手を差し伸べられる物語を作って表現してみよう試みました。
この曲を作ろうとしていたとき、今まで具体的に物語を作ってそれを音楽にしていたけどそれだと情景描写になって綺麗なだけで終わってしまうんだよなぁと葛藤していたんですね。それで、今回はより感情的な音楽にしようと思いました。ストーリーは孤独から嫉妬が、嫉妬から怒りが生まれ、怒りが諦めになったときに優しさに救われるというシンプルな流れで作りました。

Q7: Have you influenced by “Piano theory” still now?

【ichika】: Even now it may be because I was inspired by the piano when I was exploring how to make solo songs on guitar and bass. Actually I sometimes make songs by the piano at first and so are “town” and “he waits patiently”. In fact, it may be piano is the most smooth instrument.

Q7: どうやら “感情的な音楽にしよう” という言葉はキーワードかも知れませんね。ピアノに比べてギターやベースの特色が感情と共に在ることは明らかです。先程、ピアノを弦楽器に置き換えていったとお話されましたが、一方で現在でもichika さんの中にピアノから恩恵を受けている部分はありますか?

【ichika】: ギターやベースでのソロ曲の作り方を模索しているときに、ピアノから着想を得たので今でも恩恵は受けていると思います。実際たまにピアノから先行して曲を作ることもありますし “town” や “he waits patiently” なんかもそうです。
なんだかんだピアノが一番指の動きが良かったりもします。

Q8: What’s the musical goal for you?

【ichika】: Although I said that I wants to create a song that moves listener’s mind with one instrument and play, and that is still in the process of trial and error. As I listen to lots of music, the number of drawers that “This kind of feeling will be born if we listen to this sound” will increase more and more withdrawals, but that is exactly the kind of thing that you can only apply to what you’ve ever experienced, like a dream I think that it is. So I will touch on something I have never experienced while living in the future, I will get a new aid and I will accumulate stock of sympathy.
Also, there is nothing special about soloing to play with one musical instrument, as there was a feeling that I wanted to complete the music with my own responsibility first. Because I wondered if I could make music satisfactorily with other people and play it, although I could not even express music by myself. Even now it is still in the middle, but finally I gained an understanding of music about a bit of musical instruments. So, I wish I could be involved with other artists little by little, in the form of an ensemble which I can not do it by myself.

Q8: ichika さんの音楽を聴いていると、どんどんとその世界へ惹き込まれ、想像力が刺激され感情も激しく揺さぶられます。数学的な感覚と文学的な感覚が素晴らしくクロスする音楽は本当に唯一無二だと感じます。
そんな ichika さんがこれから目指す場所について話していただけますか?

【ichika】: 楽器ひとつで心を動かす曲を作り、演奏をしたいと述べましたが、今なおその試行錯誤の途中です。音楽をたくさん聴くに従い、「この音を聴けばこういう感情が生まれる」という引き出しはどんどん増えてくるのですが、それはあくまでも今まで自分が経験したものの中でしか当てはまらないある種、夢に近いようなものだと思っています。
ですのでこれから生きていく中でより多くの経験したことのないものに触れていき、新しい気付きを得、共感のストックを蓄えていこうと思っています。
それと、楽器ひとつで演奏していくというのは何もソロにこだわりがあるというわけではなく、まず初めに、自分ひとりで責任をもって音楽を完結させたい、という気持ちがあったからです。というのも自分ひとりで音楽を表現することも出来ないのに他の人と満足に音楽を作り、演奏することが出来るのだろうかと思ったからです。
今もまだその途中ではあるのですが、ようやく少し楽器について、音楽について理解を得てきたのでいこれから少しずつ、他のアーティストとアンサンブルという形で自分ひとりでは出来ない、良く、複雑な、音楽というものに関われていけたらなと思います。

ichika’s MUSIC PLAYLIST

BRANFORD MARSALIS “ETERNAL”

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PHILIP GLASS “GLASSWORKS”

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TIM HECKER “VIRGINS”

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NICOLAS THYS “VIRGO”

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KADINJA “ASCENDANCY”

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MESSAGE FOR READERS

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I really appreciate those who listen to my music, those who are interested in, those who came to the live, and those who always support. Thank you very much. I think that I will continue to make music that is closer to emotions with making more and more experiences. Thanks again for your big support! Thank you so much!

僕の音楽を聴いていただいたり、興味を持っていただいた方やライブに来ていただいた方、そしていつも支えてくださっている方たちに本当に感謝しています。ありがとうございます。
これからどんどん経験を重ねていくことでより人の心に真に迫った音楽を作っていこう演奏していこうと思います。これからも応援よろしくお願いします。

ichika

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ichika 初のワンマンライブ “Signal” の詳細はこちら。
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【W.E.T. : EARTHRAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBERT SÄLL OF W.E.T. !!

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Melodic Hard Super-Stars, W.E.T. Has Just Released Definitely One Of The Best Record In The Genre “Earthrage” !! Are You Ready For “Burn” And “Watch Their Fire” ?

DISC REVIEW “EARTHRAGE”

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T. が、捲土重来を期すジャンルの王政復古 “Earthrage” をリリースしました!!瑞々しいアリーナロックの雄々しき鼓動は、地平の年輪に印されしかつての栄光を確かに呼び覚まします。
WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、メロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
故に Robert の 「最初の2枚では、僕と Erik がかなりコラボレートして楽曲を書いていたんだ。だけど、今回の作品のソングライティングに僕は全く関わらなかったんだよ。」という発言はある意味大きな驚きでした。
それは何より、”Earthrage” が疑いようもなくバンドの最高傑作となり得たのは、前作 “Rise Up” で顕著であった硬質なサウンド、メタルへの接近をリセットし、Robert の得意とする80年代初頭のオーガニックなメロディックロックを指標したからに他ならないと感じていたからです。
つまり、「”Earthrage” を制作する際に Erik と話し合ってあのオーガニックなスタイルを取り戻すべきだと感じた訳さ。」と語るように、もちろん Robert から方向性についてのサジェスチョンはあったにせよ、”Earthrage” における奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬には改めて責任を一手に負った Erik Mårtensson というコンポーザーの開花と成熟を感じざるを得ませんね。
予兆は充分にありました。ECLIPSE のみならず、NORDIC UNION, AMMUNITION 等、歴戦の猛者達との凌ぎ合いは、明らかに Erik の持つ作曲術の幅を押し広げ、効果的で印象に残るコーラスパートの建築法を実戦の中で磨き上げて行ったのですから。
アルバムオープナー、”Watch The Fire” はまさに Erik とバンドが到達した新たな高みの炎。冒頭に炸裂する生の質感を帯びた強固なリズムと、期待感に満ちたギターリフはまさしく ECLIPSE 人脈から Magnus Henriksson & Robban Bäck 参加の功名。凛として行軍するヴァースでは Jeff と Erik がボーカルを分け合い、さながら DEEP PUPLE の如き伝統のインテンスを見せつけます。
コーラスパートは巨大なフックを宿す獣。トップフォームの Jeff は、久方振りに発揮する本領で徹頭徹尾リスナーのシンガロングを誘うのです。そしてパズルのラストピースは、Desmond Child 譲りのアンセミックなチャントでした。
BOSTON の奥深き音響に Robert のキーボードが映える “Kings on Thunder Road”、MR. BIG の “Nothing But Love” を彷彿とさせるストリングスの魔法 “Elegantly Wasted” を経て辿り着く “Urgent” はアルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。
同タイトルのヒットソングを持つ FOREIGNER の哀愁とメジャー感を、コンテンポラリーなサウンドと切れ味で現代へと昇華した楽曲は、あまりに扇情的。
畳み掛けるように SURVIVOR の理想と美学を胸いっぱいに吸い込んだ “Dangerous” で、リスナーの感情は須らく解放され絶対的なカタルシスへと到達するはずです。
そうして一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂は、”決して終わらない、引き返せない” 夢の続き “The Never-Ending Retraceable Dream” でその幕を閉じました。楽曲のムードが Jeff にとって “引き返せない” 夢である JOURNEY を想起させるのは偶然でしょうか、意図的でしょうか?
今回弊誌では、WORK OF ART でも活躍する稀代のコンポーザー Robert Säll にインタビューを行うことが出来ました。想像以上に明け透けな発言は、しかしだからこそ興味深い取材となっているはずです。「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」どうぞ!!

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W.E.T. “EARTRAGE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

Gleb

Not Only A Gifted Pianist And Keyboardist, But A Brilliant Songwriter And Arranger, Iamthemorning’s Keyboard Wizard Gleb Kolyadin Shows His Incredible Talent With His Kaleidoscope-ish Solo Debut “Gleb Kolyadin” !!

DISC REVIEW “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作 “Gleb Kolyadin” をリリースしました!!
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。
つまり、Gavin Harrison, Nick Beggs, Theo Travis といったプログシーンの重鎮がドラムス、ベース、フルート&サックスで牽引し、スーパースター Steve Hogarth, Jordan Rudess がゲスト参加を果たしたこのレコードでは、しかし Gleb こそが凛然と輝く星斗。
アルバムオープナー、”Insight” は Gleb の新たな音旅への “洞察” を高めるリスナーへのインビテーション。Gleb のピアノと Gavin のドラムスは、まさに一枚岩の如く強固に同調しアルバムの骨格を形成し、サックスと弦楽器を巧みに操るシンセサイザーの躍動は印象的なメロディーの潮流と共に作品の自由と鮮度を伝えます。
万華鏡の世界観を象徴する “Kaleidoscope” はモダンとレトロの交差点。プログレッシブの遺産を濃密に宿したピアノが奏でる爽快なテーマは ELP の “Hoedown” にも通じ、Gleb の繊細かつ大胆な鍵盤捌きは言葉を失うほどにスリリングです。
Tatiana Dubovaya のエセリアルなコーラスが切れ込むと雰囲気は一変し、突如として世界は荘厳なる現代的なアトモスフィアに包まれます。そうして楽曲は、フルートの音色を皮切りにエレクトリックカーニバルの大円団へと向かうのです。もちろんここに広がる多彩な”Kscope” はレーベルの美学、ポストプログレッシブの理念とも一致していますね。
そうして “Eidolon”, “Constellation/ The Bell” といった浪漫溢れるピアノの小曲と同様に、ボーカル曲も “Gleb Kolyadin” が誇る “Kscope” の一つとなりました。
“Storyteller” で Jordan Rudess とのヒリヒリするようなインテンスを終えた後辿り着く”The Best of Days” は終幕に相応しき叙情のドラマ。MARILLION の Steve Hogarth と Gleb のコンビネーションは極上のアトモスフィアとセンチメントを創造し、ノスタルジアを深く湛えた楽曲はリスナーの過去へと旅立ち “古き良き日” を克明にイメージさせるのです。
「現在ピアノは、僕にとって自分の思考や感情を表現するためのベストなオプションなんだ。」と語る Gleb。どこまでも謙虚なピアノマンはしかし、間違いなくプログシーンのセンターに立っています。長く待ち望まれた新たな鍵盤の魔術師はロシアからの登場。Gleb Kolyadin です。どうぞ!!

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GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE MESSTHETICS : THE MESSTHETICS】JAPAN TOUR 2018 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOE LALLY OF THE MESSTHETICS !!

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PHOTO BY ANTONIA TRICARICO

Lally And Canty, Splendid Rhythm Section Of Fugazi Reunite As The Messthetics With New Guitar Virtuoso Anthony Pirog! D.C. Creates New Wave Of Artistic Instrumental Music!

DISC REVIEW “THE MESSTHETICS”

音楽と思想、攻撃性と実験性。FUGAZI は緊張感を原動力に、瞬刻も停滞することなく前進を続けたアンダーグラウンドアイコンでした。
80年代、”ハードコアの首都” でもあったワシントン D.C.で、カリスマ MINOR THREAT 解散の後、暴力や政治に辟易した “レボリューションサマー” を通過し結成された FUGAZI。モッシュやダイブなど危険行為を嫌悪し自由に根差したライブパフォーマンスを敢行、同時に “産業” としての音楽ビジネスから距離を置き DIY に拘るその姿勢は、既成の価値観へと強烈に”F××K”を叩きつける完璧なまでにパンクなアティテュードでした。
もちろん、その音楽もユニークで独創的。かつて 「ハードコアは好きだけど進化したい。」 と Ian MacKaye が語ったように、FUGAZI は典型的なハードコアのモチーフやスピードを避け、よりダイナミックで複雑に探求を重ねたグルーヴィーなアートを創造したのです。レゲエ、ファンク、ジャズ、ダブまで抱きしめたバンドの混沌と多様性は、まさにポストハードコアのパラゴンとして現在まで君臨し、およそ15年間の活動を通してその理想をアップデートし続けました。
もちろん、FUGAZI のスターは Ian MacKaye と Guy Picciotto でしたが、彼らのシグニチャーサウンドとしてまずあの独特のグルーヴを想起するファンは多いでしょう。つまり、Joe と Brendon が創造する豊潤かつ知的なリズムこそがバンドの肝であったことは明らかです。
2002年にバンドが無期限の活動休止を告げた後、今回の主役 Joe Lally は FUGAZI の延長にも思えるインプロヴィゼーションの世界を掘り下げ続けています。ソロワーク、John Frusciante との ATAXIA を通してインディー/オルタナ界隈とも溶け合った Joe が、かつての同僚 Brendon と再度巡り会い辿り着いた場所こそ THE MESSTHETICS だったのです。
新たに結成されたインストゥルメンタルスリーピースは当然 FUGAZI とは異なります。何より、FUGAZI が唯一避けてきたギターシュレッドを前面に押し出している訳ですから。しかし、それ故に愉絶な存在足り得る因果は、2人が船を降りてから独自の歩みを続けた成果にも他なりませんね。
THE MESSTHETICS のスターはギタリスト Anthony Pirog。子供の頃 FUGAZI を聴いていたというワシントンエリアの新鋭は、ジャズ、インディー、アヴァンギャルドまでポケットへと詰め込み D.Cの潮流をさらに先のステージと進めます。
残響やノイズへのアプローチ、マジカルなエフェクトボードにクロスオーバーな世界観は、確かに Bill Frisell の遺伝子を宿しているようにも思えます。Nels Cline に近いのかも知れません。ただ、同時に Eric Johnson や Jeff Beck の煌めくフレーズ、瞬間の美学をも素晴らしく引き継ぐ傑出した才能は、瑞々しい音の絵の具をベテランが築いた味のあるパレットへと注ぎ込んで行くのです。
アルバムオープナー、”Mythomania” はまさしく三傑が魅せる化学反応の証です。オリエンタルな響きやジャズのアウトフレーズをノイズの海へと撒き散らす Anthony の柔軟でエキサイティングなギターワークは、Hendrix の神話を現代へと伝える奇跡。テクニックに特化したジャズスタイルのリズム隊には想像もつかないであろう淡々とした8ビートにより、ミステリアスな楽曲はさらに緊張感を増し、トライバルなギミックと抑揚が徐々に知性の勝利を謳います。
3者のバランスとアンバランスは、アートワークが示すようにヒリヒリとした綱渡りのインテンスで成り立ち、スピードよりもグルーヴに主眼を置いた方法論は確かに FUGAZI の遺伝子を受け継いでいるのです。
もちろん、長年のファンは、”Serpent Tongue” や “Quantum Path” で RUSH やマスロックにも接近した複雑なリズムの波を自在に泳ぎつつ、シンクロし推進力となる Joe と Brendon のアグレッションを懐かしく思うはずです。
一方で、ジャズの幽玄かつ美麗なスピリットもバンドの魅力へと投影されます。ロマンティックな “Inner Ocean” のミニマリズムとアトモスフィア、際立つ強弱のコントラストはポストロックにも通じ、ストリングスにブラシ、ダブルベースで紡がれるクローサー “The Weaver” の荘厳なる美しさは Pat Metheny の理想にも通じます。構成すらもあまりに出来過ぎ、至高の一作。
全てがライブレコーディングで収録された “The Messthetics”。幸運なことに、日本のファンはUS外では世界で初めて彼らのそのライブを目撃するチャンスに恵まれます。「僕たちの仕事は、創造する作品で自分自身に挑戦することなんだよ。」 5月に始まる来日ツアーは、公開された FUGAZI の映画と共に必見です。Joe Lally です。どうぞ!!

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THE MESSTHETICS “THE MESSTHETICS ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO : 互いの宇宙 (A PARALLEL UNIVERSE)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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Japanese Math/Post-Rock Icon, Daijiro Of Jyocho Has Just Released The Most Imaginative, Delicate, and Emotional Record To Date “A Parallel Universe” !!

DISC REVIEW “互いの宇宙”

「JYOCHO は自由な存在です。聞きたい時、あなたが必要な時に聞いてください。」 もはや宇宙コンビニの看板は不要でしょう。日本随一のギターシェフ、だいじろー氏が京都から世界へ和の “情緒” を伝える集合体 JYOCHO。アニメ “伊藤潤二『コレクション』” のエンディングテーマを含む “互いの宇宙 e.p” には、”鮮度” を何よりも愛おしむ料音人の拘りと力量が思うままに詰め込まれています。
デビュー作 “祈りでは届かない距離” から程なくして届けられた前作 “碧い家で僕ら暮らす” には、確かな変化と進化の証が封じ込められていました。童話やお伽噺、夢のある空想の物語から、よりリアルで自然体な世界観へとシフトした作品は、”碧い家” すなわち地球に暮らす私たちの刹那性とそれでも守るべきものについて、住人たちへナチュラルに寄り添い対話をはかります。
rionos から猫田ねたこに引き継がれたボーカルは変化の象徴かも知れませんね。「少年ぽい質感の声が好み」 とだいじろー氏が語るように2人の声質は共に中性的なイメージを特徴とします。ただし、rionos のドリーミーで凛とした歌唱に対して、猫田ねたこの紡ぐ歌は時に繊細で危うい印象を与えます。”悪いベクトルで良すぎない” 彼女の持つ不安定な人間らしさは JYOCHO の定めた新たな方向性とリンクしながら心地よい感情の揺らぎをリスナーへと届けるのです。
現実の大地へと降り立った JYOCHO にはその楽曲にも変化が訪れました。”情緒”、日本的な侘び寂びと歌心により焦点を定めたのは、大海へと漕ぎ出す彼らにとっては必然だったのでしょう。もちろん、トレードマークの数学的なリズムやテクニカルなフレーズは変わらず存在していますが、より自然でオーガニックに楽曲の一部として溶け込んだ目眩くプログレッシブな要素は、バンドの一体感と共に楽曲第一主義の立場を鮮明に知らしめているのです。
“互いの宇宙 e.p.” にはさらに鮮度を増した JYOCHO の今が込められています。
だいじろー氏と伊藤潤二氏、2人の宇宙を昇華する試みは、謀らずしも “互い” の意味を深く掘り下げることへと繋がりました。全てが “互い” で成り立つ宇宙。マクロの視点で世界を俯瞰した結果、だいじろー氏が感じたものはミクロの自分自身と孤独、寂寞でした。
その感情が見事に反映されたタイトルトラック “互いの宇宙”。繊細なドラムワークと美麗なアトモスフィアは斯くも見事に複雑なリズムを隠し通し、ピアノのアンビエンスとだいじろー氏の豊かなオブリガートは、桜の花びらの如く徐々に楽曲を淡く色付け、咲き誇り、そして儚く散るのです。猫田ねたこが強弱やシンコペーションで生み出すメロディーのバリエーションも全てはキャッチーなサウンドスケープのために広がる宇宙の一部分。
特にだいじろー氏の有機的なギターは狭義のマスロックから飛び出して、お気に入りにも挙げている Vahagni のフラメンコやジャズ、現代音楽まで包括したさらなる高みへと達しているように感じます。
もしかしたら、ここに収録された4つの楽曲はそのまま春夏秋冬を、”情緒” を表現しているのかもしれませんね。受け取り方は自由です。確かに言えるのは、”互いの宇宙 e.p.” は円環であるという事実でしょう。「一つのテーマから派生させて、また一つに帰還させるという方法をとりました。」 とだいじろー氏が語るように、作品には共通して流れる歌詞やメロディーが存在します。
寂寞と微かな希望を内包した “互いの宇宙” を起点に、フルートの躍動感を陽の光に重ねた壮大な JYOCHO 流ポストロック “pure circle”, 郷愁のマスエモ絵巻 “ユークリッド”、そしてアコースティックの響きが胸に迫る “互いの定義” まで、印象的な一つのテーマが千々に形を変え純粋な円環を流動する様はまさしく圧巻です。見方を変えれば、この EP 自体が18分の巨大なエピックと言えるのかも知れませんね。
相変わらずだいじろー氏は感覚でした。ただし、その瞬間の積み重ねは、悠久にも思える音楽との対話、思考の末に生まれた唯一無二の感覚なのです。彼がこの作品に落とし込んだ孤独や寂寞は、もしかしたら “互い” を感じる対象が究極的には音楽だけだからなのかも知れません。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。「JYOCHOは、触れた人によって形を変える仕組みを持たせています。」 SNSにアップされる演奏動画も、楽曲へ繋がることがあり見逃せませんね。どうぞ!!

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JYOCHO “互いの宇宙” : 10/10

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