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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OPETH : IN CAUDA VENENUM】


COVER STORY: OPETH “IN CAUDA VENENUM”

“The Last Death Metal I Bought Because I Was Interested Was “Domination” by Morbid Angel. That’s 1995, a Long Time Ago Now. I’m Not Saying It’s Just Been Bad Releases Since Then, Of Course Not, But That’s The Last Time I Felt Like I Wanted To Hear What’s New.”

THE STORY BEHIND “IN CAUDA VENENUM”

1995年 “Orchid” で闇の蘭を咲かせた “月の都” は、デス/ブラックメタルを縦糸にプログロックを横糸に織り上げる華麗なタペストリーを創造し続け、尊き北欧の激情とメランコリーをロック史へと刻んでいます。昨今、デス/ブラックメタルへの傾倒は確かに薄れましたが一方でクラッシックロック、フォーク、サイケデリックとそのテリトリーは拡大を遂げ “In Cauda Venenum” は魅力的な音楽の交差点にも思えます。
マスターマインド Mikael Akerfeldt はスウェーデン語と英語の二ヶ国語でこの新たなタペストリーを織り上げる決定を下します。OPETH がスウェーデン語でレコーディングを行ったのは、ROXETTE のシンガー Marie Fredrikkson のカバー “Den Standiga Resan” 以来。
そのアイデアは、Mikael が娘を学校に送った時に降りて来たようです。「別にクールな理由がある訳じゃないんだ。ただやりたいからやっただけさ。いつも俺は、アルバムごとに新たなアイデアを試そうとしているからね。そしてたまたま今回はそれがスウェーデン語だった訳さ。」

ただし音楽を先に生み出し、後に歌詞をつけるのが Mikael のライティングスタイルです。普段は50分ほどのマテリアルで “打ち止め” する Mikael ですが、”In Cauda Venenum” のライティングプロセスでは溢れ出るアイデアは留まるところを知りませんでした。
「この作品ではこれまで以上に書いて書いて書きまくった。それで3曲もボーナストラックがつくことになったんだ。」
スウェーデン語のアイデアは、当初メンバーたちの同意を得られなかったと Mikael は語っています。ただし、何曲かのデモを聴かせるとその考えは180度変わりました。
「奇抜なアイデアと思われたくはなかったんだ。いつも通りやりたかったからね。ただ別の言語を使っているというだけでね。」
スウェーデン語バージョンと英語バージョンの違いは Mikael の歌唱のみ。「言葉がわからないからアルバムをスキップしてしまうのでは」という不安から英語でも吹き込むことを決めた Mikael ですが、彼のクリーンボイスはビロードの揺らぎで溶け出し、スウェーデン語の違和感を感じさせることはありません。むしろ際立つのは言葉に宿るシルクの美しさ。

実際、その不安はすっかり杞憂に終わりました。Billbord のハードロックアルバムチャート3位、ロックアルバム9位の健闘ぶりはそのアイデアの魅力を素直に伝えています。
どちらかと言えば Mikael はスウェーデン語のバージョンを推奨しているようです。
「スウェーデン語がオリジナルで最初に出てきたものだから、やはりイノセントだし少しだけ良いように思えるよ。まあ選ぶのはリスナーだけどね。」
故にアルバムタイトル “In Cauda Venenum” はどちらの言語にもフィットするようラテン語の中から選ばれました。「尾には毒を持つ」ローマ人がサソリの例えで使用したフレーズは、フレンドリーでも最後に棘を放つ人物のメタファー、さらには “想像もつかない驚きを最後に与える” 例えとして用いられるようになりました。
Travis Smith が描いたアートワークもその危機感を反映します。窓辺に映るはメンバーそれぞれのシルエット。ヴィクトリア建築の家屋は悪魔の舌の上に聳えます。「悪魔に飲み込まれるんだ。最後には不快な驚きを与えるためにね。」

ではアルバムに特定のコンセプトは存在するのでしょうか?
「イエスと言うべきなんだろうがノーだ (笑)。コンセプトアルバムとして書いた訳じゃない。ただ、”Dark Side of the Moon” みたいなアルバムだと思うんだ。あの作品を聴いてもコンセプトは分からないけど、循環する密接なテーマは感じられる。KING DIAMOND みたいに明確なコンセプト作じゃないけどね。だから俺は言ってみれば現代の “リアル” をテーマにしたんだと思う。」
2016年にリリースした “Sorceress” との違いについて、Mikael は前作はより “イージー” なアルバムだったと語ります。
「”Sorceress” はストレートなロックのパートがいくつか存在するね。構成もそこまで入念に練った訳じゃないし、ストリングスもあまり入ってはいないからね。」
一方で “In Cauda Venenum” は 「吸収することが難しく、”精神分裂病” のアルバム」 だと表現します。その根幹には、深く感情へと訴えかける遂に花開いた第2期 OPETH のユニークな多様性があるはずです。

さらにギタープレイヤー Fredrik Åkesson もここ10年で最も “練られた” アルバムだと強調します。
「”Watershed” 以来初めてレコーディングに入る前にバンドでリハーサルを行ったんだ。僕はいつもそうしようと主張してきたんだけどね。おかげで、スタジオに入る頃には楽曲が肉体に深く浸透していたんだ。そうして、可能な限りエピックなアルバムを製作するって目標を達成することができたのさ。」
そして Mikael からのプレッシャーに苦笑します。
「僕はギタリストにとって “トーン” が重要だと思っている。理論を知り尽くしたジャズプレイヤーでもない限り、トーンを自分の顔に出来るからね。”Lovelorn Crime” では Mikael から君が死ぬ時みんなが思い出すようなギターソロにしてくれって言われたよ。(苦笑)」
では Fredrik は現在の OPETH の音楽性をどう思っているのでしょうか?
「もし “Blackwater Park” のような作品を別のバージョンで繰り返しリリースすれば停滞するし退屈だろう。ただあの頃の楽曲をライブでプレイするのは間違いなく今でも楽しいよ。Mikael のグロウルは今が最高の状態でとても邪悪だ。だからまたいつかレコードに収録だってするかも知れないよ。」

Mikael が OPETH を政治的な乗り物に利用することはありません。それでも、スウェーデンの “偽善に満ちた” 社会民主労働党と右派政党の連立、現代の “リアル” を黙って見過ごすことは出来ませんでした。
「”Hjartat Vet Vad Handen Gor/Heart in Hand” はそうした矛盾やダブルスタンダードについて書いた。俺の社会民主的な考え方を誰かに押し付ける気はないんだけどね。アイツらと同じになってしまうから。だけど奴らの偽善だけは暴いておきたかった。」
Mikael にとってそれ以上に重要なことは、涙を誘うほどにリスナーの感情を揺さぶる音楽そのものでしょう。
「もっとリスナーの琴線にふれたかったんだ。究極的にはそれこそが俺の愛する音楽だからね。ただ暴れたりビールを飲んだり以外の何かを喚起する音楽さ。つまり、このアルバムをリスナーの人生における重要な出来事のサウンドトラックにしたかったんだ。上手くいったかは分からないけどね。」

もちろん、Mikael は2011年の “ウルトラ-プログレッシブ” な “Heritage” 以降、ファンが “OPETH は今でもメタルか?” 論争を繰り広げていることに気づいています。
「それについて話す前に定義しておくことがある。彼らの言う “メタル” って何なんだい?彼らは俺と同世代?若いの?年上なの?俺の “メタル” って何なんだよ?」
そうして様々なファンと話をするうち、Mikael は一つの結論へと達します。「みんなが考えている”メタル” と俺の “メタル” は決して相容れない。」
“Heritage” の顔面リンゴが象徴するように、マッチョなメタルのイメージに疲れ果てたとも。
「アー写をマッチョでシリアスに撮るのもバカらしくなってね。”Watershed” から自分たちを美化するのはやめたんだ。あのアルバムの裏面には俺たち全員の顔をミックスした醜い男が写っているだろ?彼は “Jorge” って言うんだ。」

では、なぜ Mikael はデスメタルから距離を置いたのでしょう?
「最後に買ったデスメタルのレコードは、1995年 MORBID ANGEL の “Domination” だ。以来良いデスメタルレコードがないとは全然思わないけど、俺が新作を聴きたいと思ったのはあれが最後だったんだ。MORBID ANGEL はデスメタルの先頭を走っていた。David Vincent にあなたがいなければバンドをやってなかったと伝えたくらいにね。だからデスメタルは俺にとって間違いなく重要だ。
ただ、”Watershed” でやり切ってしまったんだ。あれ以上良いものは作れない。スクリームボーカルも古い物以外聴かないしね。」
とはいえ、Mikael も音楽ファンが特定のジャンルに所属することを重要視する習性は理解しています。それは何より、過去の自分が生粋のメタルヘッドだったから。数十年の時を経て、彼のアティテュードを変えた大きな要因の一つは確かに年齢でした。そうして、よりエクレクティックに “ジャンルレス” なバンドへと進化を遂げた OPETH。

「もう俺たちがどこかのジャンルに所属しているとは思っていないよ。俺らのファン、特に若いファンの多くはメタルヘッドでいたいと思っていると感じるね。だから俺は自問自答を始めるんだ。俺にとってメタルでいることは重要か?いやそうじゃないってね。だけどまあ、まだケツの青いキッズから KILLSWITCH ENGAGE の新作は聴いた?あれこそが真のメタルだ。あんたはそうじゃないなんて教えられたくはないんだけどね。」
常にポジティブに思える Mikael ですが、OPETH の成功にあぐらをかいているわけではありません。この10年、彼は全てのアルバムでこれが最後の作品かもしれないと思いながら臨んできました。
「俺にとってこの考え方は良いんだよ。怠惰にならず、過去の焼き直しにも用心するからね。」
Mikael はファンのヤキモキした気持ちさえ楽しんでいるフシがあります。
「リスナーが決して確信できないところが気に入っている。いつも期待するものや望むものを届けようとしていると安心して欲しくないんだよ。彼らが完璧にクソだと思うものをリリースするかもしれないけど、俺らはいつも “これが俺たちのやりたいこと” ってアティテュードでやるからね。君がもしデスメタルのファンで、”Blackwater Park” みたいなアルバムを望んでもそれは叶わないよ。だって俺らはもうあの場所に興味がないし、もっとチャレンジングな地点にいるからね。」

DISC REVIEW “IN CAUDA VENENUM”

“In Cauda Venenum” を語る時、”Heritage” 以降の3枚に想いを馳せるは必然だと言えるでしょう。それはすなわち “Post-Watershed”、OPETH の流儀で古のプログロックを再構築する試みです。故に”第2期 OPETH” においてバンドのトレードマークであったデス/ブラックメタルの邪悪は姿を消すこととなりましたが、実際には、一聴してそれと分かる “Opethian” なコードボイシングやプログレッションも減退していたように思えます。
“In Cauda Venenum” が第2期 OPETH の哲学を継続しながらこれほど絶賛されるのは、深みのある “Opethian” なコードワークに Mikael 自らが再び浸っているからに相違ありません。
さらに、JETHRO TULL の傘の下でブリティッシュトラッド色を色濃くした前3作と比較して、”In Cauda Venenum” では慣れ親しんだ叙情味豊かなプログレッシブフォークの魔法が洗練を増して帰還を果たし、己の物差しでメタルを測る Michael の “ヘヴィー” と見事にコントラストを描いているのです。
確かに OPETH マークII はアーシーで暖かみを宿すスカンジナビアのプログロックを華麗に探求しています。フォーク、シンフォ、サイケ、ノルディックジャズなど、RENAISSANCE から ANGLAGARD の狭間を漂う特異点は素朴で野生的な冒険に違いありません。
例えば “Pale Communion” の “River” と”Voice of Treason” のデュオや “Sorceress” の “The Seventh Sojourn” と “Strange Brew” のタッグは以前では実現不可能なハイライトでした。一方で、ある種のオマージュにも感じられるほど具現化した70年代への憧憬がバンドのアイデンティティーを脅かしたのも事実。つまり、”In Cauda Venenum” は完璧に OPETH でありながら、プログロックの深みや温度、伝統に野心を投影した作品だと言えるのです。第1期の宝物殿からエクストリームなボーカルを省いて盗み出されたような “Heart in Hand” や “All Things Will Pass” の一方で、”The Garroter” のシンフォニックジャズや、”Charlatan” の “Djent Purple” は近年の航海がもたらした実り。そうしてアルバムは、以前に比べ飛躍的に “Opethian” なモチーフ、ストラクチャー、コード進行を古のプログロックへと織り込んでいくのです。
スウェーデン語と英語の2バージョンが制作された “In Cauda Venenum” ですが、スウェーデン語から英語への翻訳にも Michael の創意が感じられます。例えば “Svekets Prins” は “嘘にまみれた王子”の意ですが、英タイトルは “Dignity” “尊厳”。”Minnets Yta” も思い出の表層の意ですが、英タイトルは “Lovelorn Crime” “片思いの罪”。粋な意訳が成されているのです。
オープナー”Dignity” は前スウェーデン首相の言葉から始まります。「我々は断絶の時代に住んでいる」その言葉はそのままアルバムのテーマとなりました。リアルな現実、激変と寂寞の世界。さらに “Heart in Hand” のスウェーデン語は “The Heart Knows What The Hand Is Doing”。より直接的に政治の欺瞞を暴きます。
メンバー個々の進化も “In Cauda Venenum” を特別な作品へと導きました。中でも、Mikael が紡ぐクリーンボイスの表現力は飛躍的な向上を遂げています。QUEEN をイメージさせるオペラティックなハーモニー、スポークンワード、ファルセット、線の細いデリケートな感傷と野太く粗野な力強さはまさに感情のローラーコースター。同時に Fredrik が繰り出すクリスタルなギタートーンと Joakim の七色のキーボードサウンドは第2期 OPETH の強力な武装です。
Michael の胸を打つファルセットと Fredrik の Gilmour ライクなソロワークで北欧のメランコリーを伝える “Lovelorn Crime” は “Burden” に比肩する絶佳のバラード。対比とエピックの極地 “Universal Truth” にドゥーミーでアンセミックな “All Things Will Pass”。そうして硬と軟、速と遅をドラマティックに使い分けるマスター達の所業はエピックの極みを導き、リスナーに美麗と毒素のコントラスト突きつけるのです。
もちろん、”In Cauda Venenum” は第2の “Still Life” でも “Blackwater Park” でもありません。ただし、リスナーがそれと同等のインスピレーションやイマジネーションを得ることの出来る美しき月の裏側であることは確かでしょう。そしてきっと”ヘヴィー”の意味を問う作品に違いありません。

OPETH “IN CAUDA VENENUM”: 10/10

OPETH JAPAN TOUR 2019 チケットの詳細はこちら。

参考文献: REVOLVER:OPETH’S MIKAEL ÅKERFELDT ON DEATH METAL, JIM CARREY, “MACHO METAL BAND PHOTOS”

Billbord:Opeth’s Mikael Akerfeldt Talks New Swedish-Language Album ‘In Cauda Venenum’: ‘It’s a Schizophrenic Listen’

Blabbermouth:OPETH’s FREDRIK ÅKESSON Says Most Of ‘In Cauda Venenum’ Was Written Over Three-Month Period

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OPETH Official
NUCLEAR BLAST
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IAMTHEMORNING : THE BELL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

“It Is Fascinating To Add Passion And Drive From Rock Music To The Classics. At The Same Time, Playing Rock, I Try To Make It More Sophisticated And Intellectual, Adding Many Layers And Making It More Polyphonic.”

DISC REVIEW “THE BELL”

「コフィンベルはどちらかと言えば憂鬱のシンボルなんだ。同時にとても美しいけどね。人間の残酷さについてのストーリーなんだ。何世紀も前から人間性そのものは何も変わってはいないんだよ。そしてこのベルは、例え生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を知らせるための最後の望みだったんだよ。」
Kscope の至宝、チェンバープログの孤高を極めるロシアのデュオ iamthemorning は、クラシカルなピアノの美麗とエセリアルな詠唱の荘厳で人に宿る残酷の花を自らの音の葉で咲かせます。
“Lighthouse” のアートワークに描かれた心許ない灯台の火は、孤独や痛み、憂鬱に翻弄される大海、人生における微かな希望の光だったのかも知れませんね。そうして今回、長年のコラボレーター Constantine Nagishkin の手によって “The Bell” の顔として描かれたのは、希望と闇、美と憂鬱のコントラストを投影したコフィンベルでした。
セイフティーコフィンベル。英国ヴィクトリア期に広まった、棺に連結されたベルは仮に生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を伝えられる最期の希望。
「どんなに長い間、絶望的な状況に置かれたとしても、助けを呼ぶことは出来るのよ。と言うよりも、助けが必要な時は必ず呼ぶべきなのよ。」ヴィクトリア期に心酔し探求を重ねるスペシャリスト、ボーカル Marjana はいわくのベルをテーマとしたことについてこう語っています。
21世紀において埋葬されるのは、薬物の乱用、差別、ネグレクト、社会からの疎外に苦しむ人たち。つまり、iamthemorning は何世紀も前に存在した残酷と希望を宿す “セイフティーネット” を現代に巣食う闇の部分へと重ね、人間性の高まり、進化についての疑問と真実を世界へと問いかけているのです。
「僕自身は少しずつプログのラベルから離れていると思うんだ。音楽的な境界を広げようとしているし、出来るだけ異なる音楽をプレイしようとしているからね。このアルバムでは特に顕著だと思うよ。」
人間性を率直に問いかけるアルバムにおいて、当然 iamthemorning 自身も装飾を剥ぎ取り、ナチュラルで正直、かつ本来の姿への変貌を厭いませんでした。
「”The Bell” の楽曲の大半は、正確に言えば僕たち2人のデュエットなんだ。2曲を除いて、当初全ての楽曲はデュエットの形をとっていたんだよ。その中のいくつかは、後に他の楽器を加えることになったね。だけど僕たちが持ち込みたかった雰囲気は壊さないようにしたよ。」
天性のピアニスト Gleb が語るように、”The Bell” で iamthemorning は始まりの朝焼け、2人を中心とした地平線へと再び赴くことを決断します。ゲストミュージシャンを制限し、ヘヴィーなアレンジメントを抑制することで、アルバムには以前にも増して映画や演劇のシアトリカルなイメージと衷心が産まれました。
そうして、クラッシックとチェンバーのダークで深みのある色彩を増したアルバムが、あのフランツ・シューベルトが好んだ19世紀に端を発する連作歌曲 (各曲の間の文学的・音楽的な関連性をもって構成された歌曲集) のスタイルへと到達したのはある種の必然だったと言えるでしょう。
ピアノの響きとシンフォニックなオーナメント、時折悪魔が来たりてディストーションをかき鳴らす作品中最もダイナミックかつエニグマティックなオープナー “Freak Show” で、Marjana は脆く悲痛でしかしフェアリーな歌声をもって 「誰も気にしないわ。例え私がバラバラに砕け散ったって。ただ立ったまま見つめているだけよ。だから私はもっとバラバラに砕けるの。」と数百年の時を経ても変わらぬ人の残酷を訴えます。
それでも世界に希望はあるはずです。第2楽章の始まり、エモーションとバンドオーケストラが生み出す絶佳の歌曲 “Ghost of a Story” で Marjana は、「全てに限界はあるの。あなたの悲しみにおいてさえ。少しづつ安心へと近づいていくわ。」とその目に暗闇を宿した亡霊のごとき現代人に一筋の光明を指し示すのです。
しばしば Kate Bush と比較される iamthemorning のポストプログワールド。実際、”Sleeping Beauty” のように彼女の遺伝子は今でも深くデュオの細胞へと根を張りますが、一方で Chelsea Wolfe, さらには Nick Cave の仄暗きアメリカーナにも共鳴する “Black And Blue” の濃密なサウンドスケープは特筆すべきでしょう。
そうして “Lilies” から “The Bell” へと畳み掛けるフィナーレはまさに歌曲の大円団です。Gleb の言葉を借りるなら、感情的で誠実なロックの情熱をクラッシックへと持ち込んだ “シューベルトロック” の真骨頂でしょう。
もちろん、芳醇なアレンジメントやオーケストレーションは楽曲のイヤーキャンディーとして不可欠でしょうが、その実全てを取り払ってデュエットのみでも十二分にロックとして成立するリアルがここにはあります。2人のシンクロニシティーはいったいどこまで高まるのでしょう?あの ELP でさえ、基本的にはドラムスの存在を必要としていたのですから。
今回弊誌では Gleb Kolyadin にインタビューを行うことが出来ました。「おそらく、僕は啓発的であることに固執しているとさえ言えるね。つまり、僕の音楽を聴くことでリスナーが何か新しいことを学べるように、ある意味リスナーを少し “教育” したいと思っているのかもね。」2度目の登場。どうぞ!!

IAMTHEMORNING “THE BELL” : 10/10

INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN

Q1: “The Bell “‘s artwork was painted by band’s favored collaborator Constantine Nagishkin. It’s really beautiful and describe a mood of the album. When you request that work, what did you tell?

【GLEB】: We collaborate with Konstantin literally from the very beginning of the iamthemorning, so this is the person who knows us well and feels what we are doing. The three of us conferred for quite some time what exactly should be represented on the cover, and agreed that it was necessary to draw the tombstone with a bell. Marjana had quite a lot of references and photos from the places that she visited in England, so it conveys what we wanted quite accurately. At the same time, Konstantin himself thought up a lot of details and composition, and we are happy with the final result. In my opinion, he outdid himself, and this is the most beautiful cover of all that we had.

Q1: 今回も、アルバムのアートワークは Constantine Nagishkin によって描かれています。実に美しく、作品のムードを伝えていますね。彼にはどのようなリクエストを伝えましたか?

【GLEB】: Constantin とは文字通り iamthemorning 最初期からコラボレートを続けているね。だから彼は僕たちをよく知っていて、僕たちの目的を感じられる人物なんだ。
僕たち3人はアルバムカバーで何を表現するべきか、かなり長い間話し合ったね。そしてベルを伴った墓碑を描く必要があるという結論で同意したんだ。
Marjana は沢山の資料と、彼女がイングランドで訪れたその場所の写真を持っていたから、僕たちが描写したかった風景は極めて正確に描かれたよ。同時に Constantin も自分で詳細を煮詰めてくれて最終的にとても満足いく結果になったね。
僕の考えだけど、彼はこれまでの自分を超えて、僕たちのアルバムで最高に美しいカバーになったね。

Q2: The artwork is beautiful, but It seems we can’t describe “The Bell” by just a word beautiful. Because, it’s safety coffin bell, right? I think “Freak Show” shows that contrast between beauty and fear, dark and hope. What made you focus on safety coffin bell in this record?

【GLEB】: Indeed, coffin bell is a rather gloomy symbol, while at the same time quite beautiful. The main narrative is described precisely in the lyrics by Marjana, which tell a lot of stories about human cruelty. Nothing changes and humanity is mostly at the same point where it was centuries ago. And the bell is an attempt to be heard even after you have been buried. Also, for me, it was interesting to contemplate a bell sound like a particular sound from our childhood. Indeed, it is precisely in infancy that people are most vulnerable, and very often, a person carries a lot of fear and pain in himself from childhood. Therefore, it is quite symbolic that even in the cemetery, among the many graves, a person turns out to be as defenseless as in childhood.

Q2: ただし、アートワークも作品のコンセプトも、ただ “美しい” だけで語ることは出来ません。というのも、ここで描写されているのはセイフティーコフィン、生きたまま埋葬されることを防ぐための棺であり生存を知らせるベルなのですから。
“Freak Show” はまさにその美と恐怖、希望と闇のコントラストをまざまざと写し出していますね?

【GLEB】: まさにその通りだよ。コフィンベルはどちらかと言えば憂鬱のシンボルなんだ。同時にとても美しいけどね。メインとなる物語は Marjana の歌詞によって詳細に語られているよ。多くが人間の残酷さについてのストーリーなんだ。何世紀も前から人間性そのものは何も変わってはいないんだよ。そしてこのベルは、生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を知らせる最後の望みだったんだよ。
それに、僕にとっては子供時代の特別なサウンドとしてベルの音を見つめ直すことができてとても興味深かったね。実際、人々が最も脆弱なのはまさに幼年期であり、非常に多くの場合、人はその幼少期から多くの恐怖と痛みを抱えているんだ。だから多くの墓をいただく墓地にあってさえ、人が子供時代のように無防備であると判明するのは非常に象徴的だよね。

Q3: It seems “The Bell” is based on Victorian England’s art and culture. Why did you focus on England, not your country Russia?

【GLEB】: Marjana is a real specialist in this field, so much so that she can already give excursions to various thematic places in England. This experience and knowledge were reflected on the album. But I think we just do what we like and reflect what we feel at the moment. And I believe that we cannot completely get rid of our roots and still remain Russian. For our country, the topic of cruelty and injustice is especially important, but our society has not yet reached the level to recognize apparent problems and begin to resolve them. Perhaps someday we will do something that will be explicitly inspired by Russia, but even now our message is about humanity, without reference to any particular country or era. So Victorian England’s art – is an inspiring environment that has enabled us to express our ideas about human nature.

Q3: アルバムには、英国ヴィクトリア王朝の文化や世界観が反映されています。母国ロシアではなく、英国を題材としたのは興味深いですね。

【GLEB】: Marjana は本当にその道のスペシャリストなんだ。英国の様々にテーマを持った場所へと足を運んでいるしね。その経験と知識がアルバムに反映されたんだよ。
まあだけど、結局僕たちは自分たちの好きなことをして、現時点で感じていることを反映しているだけだと思うんだ。最終的に僕たちは自分のルーツを完全に取り除くことは出来ないし、今でもロシア人のままなんだ。
僕たちの国にとって、残酷と不正のトピックは特に重要なんだよ。だけどロシアの社会はまだ明らかな問題を認識して解決し始めるレベルにも達していないんだ。
おそらくいつかは僕たちもロシアから明示的にインスパイアされた何かを表現するだろうね。ただ、今でも僕たちのメッセージは特定の国や時代に関係なく、人類に関するものなんだ。つまり、英国ビクトリア朝の芸術は、僕たちが人間性についての考えを表現するための刺激的な環境だったわけさ。

Q4: Regarding Russia, how is running prog rock band in your country? What’s like the scene there?

【GLEB】: Lately, a small communities and festivals associated with the prog have been appearing in Russia. Unfortunately, the prog scene is not as developed in our country as we would like. Despite this, we have many people who love and listen to this music. In this regard, we feel a little isolated at home and in many ways much more comfortable in Europe, where prog have been blooming for several decades. Nevertheless, it seems to me personally that we are gradually moving away from the prog label. We are trying to expand our musical boundaries and play as different music as possible, which is very noticeable specifically on the last album.

Q4: ロシアでプログロックを紡ぐこと、プログロックシーンの現状についてあなたの考えを聞かせていただけますか?

【GLEB】: 最近になって、小さなコミュニティーも出来てきたし、プログロックと関連したフェスも開かれるようになってきたね。ただ、残念だけど僕たちが望むほど進歩しているとは言えないだろうね。
にもかかわらず、沢山の人が僕たちの音楽を愛し聴いてくれている。つまり、僕たちは地元ロシアでは少し孤立しているように感じていて、ヨーロッパの方が色々な意味で快適なんだよ。欧州では、何十年もプログが花開いている場所だからね。
とはいえ、僕自身は少しずつプログのラベルから離れていると思うんだ。僕たちは音楽的な境界を広げようとしているし、出来るだけ異なる音楽をプレイしようとしているからね。このアルバムでは特に顕著だと思うよ。

Q5: As you say, compared with “Lighthouse”, It seems there is more chamber, folk, classical, orchestral, cinematic approach in “The Bell”, I feel. Do you agree that?

【GLEB】: Absolutely right. But I did not think about how to combine the various genres – everything turned out by itself. Somewhere, we deliberately did not make the arrangement heavier, leaving the songs more chamber and more classical. And so it turned out that the album sounds a bit theatrical. Unlike Lighthouse, this album was purposely conceived as more intimate in sound. Last time we had a pre-thought out scheme, layout, and we immediately imagined how it would sound in the final. But this album came out more spontaneous, and it seems to me that it reflects us much better not only as a duet but also each of us individually.

Q5: 仰るように、前作 “Lighthouse” と比較して “The Bell” はよりチェンバー、フォーク、クラシカル、オーケストラルなアプローチでシネマティックな感覚が強調されているように感じました。

【GLEB】: 全くその通りだね。だけど僕はそういった様々なジャンルを意図して融合している訳じゃないんだ。全ては自然に自分の中から出てくるものなんだよ。
確かに、ある部分で僕たちは意図的にアレンジメントをヘヴィーにせず、曲をよりチェンバーでクラシカルにしたんだ。そうすることで、アルバムのサウンドが少しシアトリカルになると分かったからね。
“Lighthouse” とは異なり、このアルバムは意図してより衷心なサウンドとして設計されているんだ。 前回、事前に考え抜かれたスキーム、レイアウトがあって、そこから即最終的なサウンドをイメージしていたんだ。一方でこのアルバムは、より自然に出てきたもので、コンビとしてだけでなく、僕たち一人一人としても前作より遥かによく自らを反映しているように思えるね。

Q6: Also, title track “The Bell” is typically, I think there is more stripped-down approach like only you and Marjana. And that’s really impressive for me. There is really nice contrast with band sound, right?

【GLEB】: Well, most of the tracks on the album are performed precisely like a duet. Perhaps only two tracks on the album (Freak Show and Salute) were composed with the expectation of a huge band with a lot of musicians. All other songs we initially presented in the form of a duet. In some songs, we added extra instruments, but rather to emphasize the state that we wanted to convey. I think that this time we were very sensitive and careful about our own material, limiting the number of musicians and guests. In other words, we wanted not to break the original music idea and its chamber vibe.

Q6: 加えてタイトルトラック “The Bell” は象徴的ですが、以前よりあなたと Marjana に一層フォーカスし、飾りを取り去ったアプローチも印象に残ります。バンドサウンドとの対比も見事ですね。

【GLEB】: そうだね。”The Bell” の楽曲の大半は、正確に言えば僕たち2人のデュエットなんだ。たぶん、”Freak Show” と “Salute” の2曲だけが多くのミュージシャンを加えバンドとしてレコーディングするよう作曲されたんだ。だからその他の楽曲は全て、当初はデュエットの形をとっていたんだよ。その中のいくつかは、後に他の楽器を加えることになったね。だけど僕たちが持ち込みたかった雰囲気は壊さないようにしたよ。
今回僕たちは、自分たちのマテリアルにとても敏感に注意深く対峙したと思うんだ。ゲストやミュージシャンを制限しながらね。言い換えれば、僕たちはオリジナルの音楽的アイデアそしてチェンバーなヴァイブを壊したくなかったんだよ。

Q7: It’s very unique that you use 19th century song cycle. Is it related to your big love or longing for that era?

【GLEB】: I initially wanted the new album to be not just a collection of songs, but a kind of the whole story. I thought it would be great to make a sequence where each track would be independent, but at the same time organically continue the line of the previous one. This time the music was more chamber and dark, so I began to have various associations with Schubert’s vocal cycles. And I realized that in terms of the general form, we got something like a vocal cycle in two parts. Some keynotes go from one track to another. And also every song is somehow dedicated to the theme of human cruelty, then it also unites all the music with additional semantic meaning. In other words, this is the album where the lyrics and music are equal, working in contrast and complementing each other. And this is quite typical to classical music. So, again, everything happened by itself. From the very beginning, we did not even imagine that the album would sound that way.
Nowadays, thanks to streaming services, people are less and less listening to the whole album, preferring to listen to individual tracks. In this regard, we wanted to specifically create something that could make you stop and listen carefully to these 45 minutes of music.

Q7: 19世紀の連作歌曲のスタイルを選んでいるのもユニークですよね。あの時代への憧憬が感じ取れます。

【GLEB】: 僕は当初、この新作をただ楽曲の集積にしたくなくて、全体でストーリーを紡ぎたかったんだ。各楽曲が独立したシーケンスを有しながら、同時に前のトラックのラインを有機的に継続すれば素晴らしいと考えたんだよ。
今回は音楽がよりチェンバーでダークになってるから、シューベルトの連作歌曲と様々な関連性を持たせようとしたね。そうして僕は、”The Bell” が2つの章から成る歌曲になりそうだと気づいたんだ。キーとなるフレーズや音は、楽曲を股にかけて登場するね。同時に、全ての歌は何らかの形で人間の虐待のテーマを奉じていて、故に全ての音楽はセマンティックな意味を追加されて繋がっているんだよ。
言い換えれば、”The Bell” は歌詞と音楽が等しく、対照的に機能し、互いに補完し合うアルバムなんだ。そしてこの方法論は非常に典型的なクラシック音楽の形だよ。だからもう一度言うけど、全ては自然に起こったことなんだ。当初僕たちは、アルバムがこんな風に聴こえるとは思いもしなかったんだからね。
最近では、ストリーミングサービスの進化によりリスナーはアルバム全体を聴くことが少なくなり、個々の楽曲を抽出して聴くようになっている。だからこそ、立ち止まり、注意深く聴くことができる45分の音楽を特別に作りたかったんだ。

Q8: When you play classical music and rock music, what have you changed or been different about technical or emotional wise?

【GLEB】: First of all, classical music is certainly more introverted and complex. In each segment of time, there are a lot of musical and emotional layers. It’s not always possible to immediately see what the author wanted to say. And in any case, you often spend a lot of time and energy before achieving comfort and freedom performing a classic piece. You have to go a long way to achieve the right balance between what the author wanted to say and self-expression. Rock music is more emotional and sincere but more superficial and accessible to understanding. Therefore, I like to combine these two polar genres. It is fascinating to add passion and drive from rock music to the classics. At the same time, playing rock, I try to make it more sophisticated and intellectual, adding many layers and making it more polyphonic. Perhaps I even adhere to some edifying goal. That is, I would like to educate my and our listener a bit so that they learn something new.

Q8: 最後に、クラッシックとロックをプレイする時、テクニックやエモーションの面で使い分けていることはありますか?

【GLEB】: まず第一に、クラシック音楽は確かに内向的で複雑だと言えるね。各セグメントの時空には、多くの音楽的、感情的な層があるんだよ。だからいつも、コンポーザーが何を伝えたかったのかすぐに確認できるとは限らない。
いずれにせよ、クラッシックの作品を演奏する快適さと自由を実現する前に、多くの時間とエネルギーを費やすことがよくあるわけさ。作者が伝えたかったことと自己表現の間の適切なバランスを達成するには、長い道のりを歩かなければならないんだよ。
ロックは、より感情的で誠実だけど、より表面的で理解しやすいとも言えるね。だからこそ、僕はそのクラッシックとロック、2つの極とも言えるジャンルを組み合わせるのが好きなんだ。ロックミュージックからの情熱と意欲をクラッシックに加えるのは魅力的だよ。同時に、ロックを演奏するとき僕はそれをより知的に洗練し、多くのレイヤーを追加し、よりポリフォニックにしようとするんだ。
おそらく、僕は啓発的であることに固執しているとさえ言えるね。つまり、僕の音楽を聴くことでリスナーが何か新しいことを学べるように、ある意味リスナーを少し “教育” したいと思っているのかもね。

GLEB’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS 

Most of them are not new, This is just the last five albums I listened a lot these days.

ZBIGNIEW PREISNER, LESZEK MOZDZER “10 EASE PIECES FOR PIANO”

BRAD MEHLDAU “FINDING GABRIEL”

BRIAN ENO “APOLLO: ATMOSPHERES & SOUNDTRACKS”

DAVID SYLVIAN, HOLGER CZUKAY “PLIGHT & PREMONITION FLUX & MUTABILITY”

PAT METHENY “OFFRAMP”

MESSAGE FOR JAPAN

I have been thinking for so long that it would be great to visit Japan, that I hope this really happens soon.
I was happy to answer your questions. Thank you so much for listening to our music. Arigatou gozaimasu

ずっと長い間、僕は日本を訪れたいと想い続けているんだ。近いうちに実現することを祈るよ。僕たちの音楽を聴いてくれてありがとう。

GLEB KOLYADIN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE HU : THE GEREG】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH THE HU !!

“Our Message To The World Via Our Music Is Reminding The Importance Of Showing Gratitude To Your Parents, Loving Your Homeland, Protecting The Nature, Loving And Respecting Women, Respecting Your Country History And a’ncestors, And Finally Giving Individuals An Inner Power And Belief For Their Future.”

DISC REVIEW “THE GEREG”

「僕たちの音楽を通して送る世界へのメッセージ。それは両親への感謝、生まれ育った地を愛する心、自然の保護、女性への愛と敬意、母国の歴史や祖先への愛などの重要性を思い起こさせることなんだよ。そうして最終的には、リスナーそれぞれの内なる力を目覚めさせ、未来を信じられるようにしたいんだ。」
モンゴルの大草原に示現したロックの蒼き狼は、遊牧民のプライドと自然に根差す深い愛情、そして西洋文明に挑む冒険心全てを併合する誇り高き現代のハーンです。
80年代後半から90年代にかけて、ソヴィエト連邦の崩壊と共にそのサテライトであったモンゴルにも、西側からの影響が津波のように押し寄せました。そうしてモンゴルの音楽家たちは、伝統を保護しつつ否応無しに新たな波への適応を迫られたのです。
エスニックなプライドと冒険のダンス。社会的、政治的、そしてもちろん音楽的にもモンゴリアンミュージックはその両極を自らの舞踏に組み込み進化を続けて来ました。それは西欧音楽のコピペではなく、ルーツを大樹に影響の枝葉を伸ばすアジアの審美。
「”Hu” という言葉をバンド名に選んだのは、それが包括的には自然を意味するからなんだ。誰も除外することなく、世界中全ての “人間” に僕たちの音楽をシェアしたかったからね。」
まるで英雄チンギスハーンのように、登場から僅かな時間で西洋を飲み込んだ THE HU は間違いなく現代モンゴル音楽の最高傑作と言えるでしょう。
東洋と西洋、伝統と革新の過激なコントラストが世界を惹きつけたのは確かです。一つ “Yuve Yuve Yu” (“What’s Going On?)” のMV は象徴的でしょう。「偉大なモンゴルの祖先の名を抱きながら、長い間無意味に暴飲暴食を貪るだけ。裏切り者よ、跪け!」現代文明とモンゴルの大自然は皮肉と共に相対し、モンゴルの伝統楽器や彼ら自身は意図的にロックの煌びやかなイメージに彩られています。もちろん、かつてのモンゴル帝国がアジアとヨーロッパの大半を支配下に置いていたのはご存知の通り。
そう、THE HU は西洋に端を発するロック/メタルのフォーマットにありながら、ドラムス以外のクラッシックなロックインストゥルメントを極力廃しています。
官能的な西洋のアピアランスを与えられたモリンホールやトップシュールは、ギターの嗎をアグレッシブに、フォーキーに、美麗にモンゴルの流儀で世界に響かせ、さらに伝統的な喉歌ホーミーはハーモニーの恩恵を与えながらメタルのグロウルを代弁してアジアの歴史、底力を伝えるのです。そうして生まれるは異国情緒のダイナミズム。
「ホーミーとは、僕たちが誰なのか、僕たちが何を知っているのか、僕たちがどこから来たのか指し示すものさ。ホーミーは “正直な人間の地” から来ていて、それこそが僕たちにとって心地よく誇れるものなんだ。」
THE HU が提示する “Hunnu Rock” “匈奴ロック” の中で主役にも思えるホーミーは、もしかすると西洋文明に潜む欺瞞や差別を暴く “正直な” メッセージなのかも知れませんね。なぜなら彼らは、”誰も除くことなく世界中全ての人間に” 自らの音楽、モンゴルの魂を届けたいのですから。
デビューアルバムのタイトル “The Gereg” とは、モンゴル帝国のパスポートを意味しています。多くのモンゴル人にとって、ロマンチックに美化された騎馬の遊牧民や自由を謳歌するモンゴル帝国のヒーローは西洋のストーリーテラーによって描かれた征服者のフィクションなのかも知れません。
しかし、ステレオタイプなメタルファンを惹きつけるそのイメージを入り口に、THE HU は “The Gereg” をパスポートとして、モンゴル本来のスピリチュアルで愛と敬意に満ちた美しき文化、景色、音の葉を少しづつでも伝えていきたいと願っているのです。
今回弊誌では THE HU にインタビューを行うことが出来ました。「祖先から受け継がれるホーミーを僕たちは真にリスペクトしていて、このテクニックをマスターする時は光栄な気持ちになるんだよ。」一人ではなく、メンバー全員からの回答と表記して欲しいとのこと。YouTube 動画再生数は3000万を軽くオーバーするモンスター。どうぞ!!

THE HU “THE GEREG” : 9.9/10

INTERVIEW WITH THE HU

Q1: First of all, Actually, Japan and Mongol have some common points like Sumo, instruments. So, we Japanese are really proud that The Hu from Asia has conquered Europe. Download, Graspop…how do you feel playing such a big festival in Western world?

【THE HU】: Thank you so much! We love Japan and Sumo!
After playing in front of so many amazing crowds in Europe and the UK, we feel so much connection, love and support. Our fans chant with us, they sing with us and they mosh with us. After our headline shows we are so exhausted but we still go to the merch booth so we can meet and take pictures with every single fan and supporter of our music because we love them and we want them to know our gratitude. We want them to know that they’re important to us.

Q1: 相撲や伝統楽器など、モンゴルと日本にはいくつか共通点があります。
故に、THE HU がアジアの蒼き狼として Download, Graspop といった欧州のビッグフェスを軒並み制圧したことを嬉しく思いますよ。

【THE HU】: どうもありがとう!僕たちも日本と相撲が大好きだよ!
ヨーロッパや英国で沢山の素晴らしい観衆を前にプレイした後、僕たちは多大な愛情やサポート、そして繋がりを彼らから感じたんだ。僕たちのファンはチャントを送り、共に歌い、共にモッシュをしてくれたね。
ヘッドライナーを務めたライブの後はとても疲れていたんだけど、それでもマーチ販売のブースへと足を運んだんだ。一人一人全てのファン、僕たちの音楽のサポーターと会って写真を撮ったね。
なぜなら、僕たちは彼らを愛しているし、どうしても感謝を伝えたかったからなんだけどね。僕たちにとって、ファンが重要な存在であると知っていて欲しかったんだ。

Q2: So, it seems “Hu” is the Mongolian root word for human beings, right? What made you choose it for your band name?

【THE HU】: We chose the HU because of the inclusive nature of the word. We want to share our music to every human being in the world without any exclusion.

Q2: バンド名 “Hu” は、モンゴル語で大義では “人間” の意ですよね?

【THE HU】: “Hu” という言葉をバンド名に選んだのは、それが包括的には自然を意味するからなんだ。誰も除外することなく、世界中全ての “人間” に僕たちの音楽をシェアしたかったからね。

Q3: It’s incredible your great mixing metal/rock and Mongolian folk music. I think it’s one of the reason you get big attention from world. What made you start your unique blend of “Hunnu rock”?

【THE HU】: It started with our producer Dashka. 8 years ago, he travelled back to his parent’s birthplace in the mountains and got this idea of combining traditional Mongolian music with rock music. In 2016, the four band members together with Dashka started working on the first few songs. Creating and arranging these songs helped us find the sound we were looking for.

Q3: あなた達が世界中から注目を集めるのは、メタル/ロックとモンゴルの伝統音楽を独自のやり方でミックスしているからだと思います。その “Hunnu Rock” の起源を教えていただけますか?

【THE HU】: 僕たちのプロデューサー Dashka から始まったんだ。8年前、彼は旅行で両親の生まれ故郷である山脈を訪ね、モンゴルの伝統音楽とロックを融合するアイデアを得たんだよ。
2016年にバンドメンバー4人と Dashka とで最初の何曲かを作り始めたんだ。そうやって楽曲を創造し、アレンジする中で、僕たちが探し求めるサウンドを見つけたのさ。

Q4: When you were growing up, what kind of music were you listening to? Were there Mongolian instruments on your side?

【THE HU】: We grew up listening to Mongolian traditional music, Pink Floyd, Led Zeppelin, Metallica, Slipknot, Lamb of God and etc. We all studied Mongolian traditional instruments growing up. Gala and Temka were classmates at Mongolian State Music and Dance Conservatory since they were 12 years old. In the past years Gala, Enkush and I were in a Mongolian folk band Altain Orgil and toured together. As being folk musicians in Mongolian music scene, we’ve known each other for over a decade.

Q4: あなた達の音楽的なバックグラウンドはどの様なものですか?身近にモンゴルの伝統楽器はありましたか?

【THE HU】: もちろん、モンゴルの伝統音楽は聴いて育ったよ。それに PINK FLOYD, LED ZEPPELIN, METALLICA, SLIPKNOT, LAMB OF GOD 他にも沢山ね。全員がモンゴルの伝統楽器も学びながら育ったんだ。Gala と Temka モンゴルの音楽/舞踊学校で12歳の頃からクラスメイトだったしね。
過去数年、Gala, Enkush, そして僕はモンゴリアンフォークバンド ALTAIN ORGIL で共にツアーを行なっていたんだ。モンゴル伝統音楽のシーンでフォークミュージシャンをやっていたから、お互いに出会うことが出来たんだよ。

Q5: OK, let’s talk about your amazing debut-full “The Gereg”. When I had an interview with Nature G. of Tengger Cavalry (R.I.P), he said his songs are “It’s all about (Mongolian) Shaman, history, nature, horse and warrior spirit.”. How about you? Is there any concept or lyrical themes on this record?

【THE HU】: The inspiration behind our lyrics are from our Mongolian history and culture. Some of our songs contain old Mongolian rock inscription and war cries. Our message to the world via our music is reminding the importance of showing gratitude to your parents, loving your homeland, protecting the nature, loving and respecting women, respecting your country history and ancestors, and finally giving individuals an inner power and belief for their future.

Q5: では素晴らしきデビューフル “The Gereg” について話しましょう。
残念ながら亡くなってしまった TENGGER CAVARLY の Nature G. に以前インタビューを行ったのですが、彼は「僕たちの楽曲は、全てがシャーマン、自然、馬、そしてウォーリアースピリットについてなんだからね。」 と語っていました。

【THE HU】: 僕たちの歌詞は、モンゴルの歴史と文化にインスピレーションを受けているんだ。古いモンゴルの岩に刻まれた碑文や鬨の声を使用している楽曲もあるくらいでね。
僕たちの音楽を通して送る世界へのメッセージ。それは両親への感謝、生まれ育った地を愛する心、自然の保護、女性への愛と敬意、母国の歴史や祖先への愛などの重要性を思い起こさせることなんだよ。そうして最終的には、リスナーそれぞれの内なる力を目覚めさせ、未来を信じられるようにしたいんだ。

Q6: We know some Mongolian folk instruments close to Japanese traditional instruments. Actually, what kind of traditional instruments did you use in “The Gereg”?

【THE HU】: We use Morin Khuur, Tovshuur, Tumur Khuur, Tsuur, and Khengreg. They all have their own unique sounds and they’re all crucial to our genre.

Q6: モンゴル伝統楽器のいくつかは、日本の伝統楽器と似ていますよね? 今回使用した伝統楽器を教えていただけますか?

【THE HU】: モリンホール (馬頭琴)、トップシュール (モンゴル版リュート)、口琴、Tsuur (モンゴル版フルート) 、Khengreg だよ。全てがユニークなサウンドを持っていて、僕たちのジャンルには欠かせないものだ。

Q7: So, we didn’t know how emotional it becomes when Хөөмий (Khöömii) meets/metal world. But in the Western music industry, It seems singing in Mongolian and using Throat-singing is big challenge I think. Was it natural for you?

【THE HU】: Throat singing has been a Mongol technique for generations. Our grandfathers, fathers, mentors always did it. We genuinely respected that it came from our ancestors and wanted to respect and honor them while attempting to master the technique. We practiced this style for years since we were kids to be able to control it, apply it and now we’re infusing it into our songs because it feels natural to us. It’s who we are, it’s what we know, it’s where we come from. It comes from an honest human place that we’re proud of and comfortable with.

Q7: ロックとホーミーが交わった時、これほどエモーショナルなサウンドを創造するとは驚きです。
西洋が発祥であるロックの中で、モンゴル語で歌い、ホーミーを使用するのは実に大きなチャレンジですよね?

【THE HU】: モンゴルでホーミーとは世代から世代へ受け継がれるテクニックなんだよ。祖父、父、良き先人たちは全員が通ってきた道なんだ。祖先から受け継がれるホーミーを僕たちは真にリスペクトしていて、このテクニックをマスターする時は光栄な気持ちになるんだよ。
このスタイルは、子供の頃から何年もコントロール出来るよう練習して来ている。だから今ホーミーを僕たちの楽曲に融合させるのはとても自然に感じられるんだよ。
ホーミーとは、僕たちが誰なのか、僕たちが何を知っているのか、僕たちがどこから来たのか指し示すものさ。ホーミーは “正直な人間の地” から来ていて、それこそが僕たちにとって心地よく誇れるものなんだ。

Q8: Regarding traditional music, in Europe, there are great folk metal bands such as Finntroll, Turisas and Korpiklaani who draw on their own culture and mythology through their music. Do you think you are influenced by their spirit somehow?

【THE HU】: Sure, we love and respect every genre of the bands and musicians because we know that what it takes to be successful musicians.

Q8: 伝統音楽とメタルという意味では、欧州にも FINNTROLL, TURISAS, KORPIKLAANI といった自らの文化や神話と音楽を融合させているフォーキーなバンドがいますよね?

【THE HU】: もちろん、彼らからも影響を受けているよ。というよりも、全てのジャンルのバンドとミュージシャンを愛しリスペクトしているんだ。なぜならミュージシャンとして成功するのがどれだけ大変か、僕たちは知っているからね。

THE HU’S TRACK BY TRACK GUIDE OF “THE GEREG”

The Gereg

祖先が作った世界で初めてのパスポートだよ。13世紀、Gereg を持つものは沢山の国を妨げられたり傷つけられたりすることなく旅ができたんだ。アルバムを “The Gereg” と名付けたのは、僕たちが世界の国々を自由に旅し、音楽をみんなにシェア出来るからなんだ。つまり僕たちのアルバムこそが世界へのパスポートなんだよ。

Wolf Totem

僕たちは人は皆それぞれの戦士を内に秘めていると信じているんだ。”Wolf Totem” を通して、みんなのその内なる戦士を目覚めさせたかったのさ。恐怖に向かい合い打ち勝てるようにね。敵と向かい合い受け入れ、勝者として生まれ変わる楽曲さ。

The Great Chinggis Khaan

世界に僕たちサイドの物語を伝えたかった。チンギスハンは郵便、パスポート、交易など様々に良いものを世界にもたらしたんだ。マイナス30度、今年の2月極寒の中、チンギスハン生誕の地でMVを撮ったんだ。世界は戦士、征服者としてチンギスハンを見ているけど、この MVではモンゴル文化の発明家、建国の父の側面をよりシェアしているよ。

The Legend of Mother Swan

子供に注ぐ母の愛情の力の物語。モンゴル文化では母を深くリスペクトしているんだ。だって彼女たちがいるから僕たちが地球に居るんだからね。母白鳥が命を犠牲にして子供たちを守る物語だよ。現代世界に生きる全ての人にシェアされるべきメッセージだと感じている。

Shoog Shoog

シャーマンが祖先の魂と繋がり、モンゴルの神テングリを呼ぶ呪文なんだ。聖なる場所を崇め、僕たちの運命をテングリに委ねる楽曲なんだ。アップビートなテンポで、リスナーにエナジーを与えたかったんだ。

The Same

Tsogt Taij が1624年に岩に刻んだ詩を元にしている。真実は世界のどこにおいても同じ。天国で王様になろうが、地上で王様になろうが、下される善悪の判断はいつも変わらないというメッセージだよ。

Yuve Yuve Yu

祖先を敬い、自然保護を訴える楽曲。僕たちの世代に問いを投げかけているんだ。「なんで僕たちはこんな感じなの?」ってね。
このMVを撮るため、僕たちは西モンゴルのオフロードを14日で5,000キロも移動したんだ。何度も高山で凍え、砂漠では汗をかいたね。そうやって世界にモンゴルの美しい自然を見せたかったのさ。

Shireg Shireg

戦士が両親に別れを告げる曲。かつてモンゴルの戦士は戦いに向かう時、両親は知識を分け与え無事に帰還することを祈ったんだ。馬の蹄の音が聞こえるだろう?戦士が家を後に馬と戦いに向かっていたからなんだ。

The Song Of Women

僕たちの文化では、女性に対するリスペクトは最も重要なことの一つ。世界中で同様の扱いを受けるべきなのにね。全ての女性はそれぞれ美しい。この曲を通して、女性を賛美したかったし、自由に夢を追えるよう勇気づけたかったんだ。

参考文献: The Hu’s track-by-track guide to debut album The Gereg

FIVE ALBUMS THAT CHANGED THE HU’S LIFE

PINK FLOYD “THE WALL”

METALLICA “MASTER OF PUPPETS”

PANTERA “COWBOYS FROM HELL”

SEPULTURA “ROOTS”

THE HU “THE GEREG”

MESSAGE FOR JAPAN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENDON / SWARRRM : 歪神論 -EVIL LITTLE THINGS-】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA OF ENDON & KAPO OF SWARRRM !!

“To Me, Extreme Music In Japan Seems To Have a Spirit Kind Of “Fuck While Being Fucked” And Yeah…I Can Hear It. The Situation Is Often Forgotton Unconsciously.” By Taichi Nagura

“I’m Not Sure What The Punk / Hardcore Spirit Specifically Refers To. The Spirit Should Be Different For Each Individual.” By Kapo

DISC REVIEW “歪神論 – EVIL LITTLE THINGS –

「日本でバンドをやるということが常に既に”Made in Occupied Japan” であるという事実をわざとらしくモチーフとしました。反体制とかアナーキズムについては特には意識していませんね。”Made in Occupied Japan”が表すのはアメリカにファックされているという事実です。」
日本のエクストリームミュージックは “やりながらやられている”。ENDON の那倉太一氏が語るのは、白人が生み出したロック、もしかすると文明そのものへと過度に依存する日本の歪。大多数の日本人が “アメリカにファックされている” 事実を黙過する中、ENDON と SWARRRM、国産グラインドの二巨星は全てを直視し、共鳴し、未だ “更新の余地” があるべきロックの地平を開拓し続けます。
少なくともロックの教科書には、グラインドコアの源流とされるパンクロックについて、反体制的でアナーキーなアティテュードだと記されています。では、彼らの放ったスプリット “歪神論 -Evil Little Things-” とは、未だ白人に対するコンプレックスを抱き続ける日本の愚かしき権力に贖う音楽の形をした何かなのでしょうか?
那倉氏は「だいたい現政権や差別主義者を否定するのにわざわざ他人のスピリットなんて必要でしょうか。」と応じます。
さらに SWARRRM Kapo氏の言葉は象徴的です。「パンク/ハードコアのスピリットが具体的に何を指すのか不明ですが。大体、個でスピリットは違うはず。パンク/ハードコアのスピリット=左寄りと限定することがパンク全体主義であると考えます。一人一人が違う意見であるという事を当然のように理解される環境こそが必要なのでは。」
天上天下 唯我独尊 三界皆苦 吾当安此。”全宇宙のなかで、私たちは皆がたった一つの尊い存在。苦しみに溢れる世界で、私はその苦しみを気にかけるために生まれてきたのだ”。ENDON と SWARRRM、両者に流れる血潮にはきっとこの釈迦の言葉が刻まれています。それは啓蒙や扇動からは程遠いしかし世界にとって枢要な境地。
さらに Kapo 氏は “唯我独尊” のイデアこそが互いを惹きつけると語ります。「いつの時期にもそれぞれの時期のイケてると言われる価値観を共有する集団はいます。シーンというのかもしれません。そういう価値観に影響される事を拒否できるバンドの一つではないかと判断して仲良くさせてもらってます。SWARRRMはご存知かもしれませんが、良くも悪くもそういう事とは常に無縁の活動を長年続けてます。」
なるほど、歪神論で提示された両者の音の葉はそうして確かにシンクロしています。
「グラインドのシンボルであるブラストビートが炸裂する瞬間は、機関銃による戦闘の開始場面のようであり、多分に射精的な快楽を表象しています。」
インテンスの極みであるブラストとDビートは、ロックらしいギターのコードやリフワークと相対し確かに融解します。その位置から、カヴァー曲も含めてノイズの地獄や歌謡の宴といったそれぞれの蟻地獄へと引き摺り込む唯我の方法論も見事。
加速する混沌に逆行するロックのギタリズム。その二律背反にも思えるエナジーはしかし確かに白人のロックに魅せられ奪われた後、踏み倒し、疾風迅雷のうねりをあげる極東のモンスターに違いありません。ハードコアの脱領土化はここにその一歩を踏み出しました。
今回弊誌では、那倉、Kapo 両氏にインタビューを行うことが出来ました。「私自身ロックと政治の関係性に特別な物を求めていません。主張や左右の風向きは時代時代で変化あってしかるべきと考えます。過去の主張や精神が現代に有効とは考えませんし、過去の物事を全く美化して捉えてないし、美化されたロマンチックなロックの教科書も信じません。」どうぞ!!

INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA & KAPO

PHOTO BY YOSUKE TORII

Q1: First of all, what made you release split EP?

【NAGURA】: I’ve been “good listener” since I was a teenager and have really loved A split with BLOODRED BACTERIA, “Nise Kyuuseisyudomo” and “BLACK BONG”.
My career started with the fusion of GRIND and noise / industrial, free form. You know that SWARRRM advocates “CHAOS & GRIND”. But for me, they are important Merkmal who maintains playing without relying on free-form / improvisation and the superiority of traditional guitar rock while arranges the state of bustle.
In that sense, it becomes great opportunity to emulate and learn from a skilled person.
Although it is already a dimension of fiction, I enjoyed producing this sound source as a split of domestically produced GRIND.

【KAPO】: This is a proposal from Mr. Hamada Daymare. Of course I like ENDON, and I had a long relationship with them. Yeah, and I love their changes from the beginning which were always exciting and pleasing.
There are groups that share values that are said to be cool at each time. It may be a scene.
I think that it is one of the bands that can refuse to be influenced by such values, so I love them.
You may know ourselves, but we has always been here without related “scene” or “movement” for many years.

Q1: まず、今回 ENDON と SWARRRM がスプリットを出すことになったきっかけ、互いに共鳴した部分からお話ししていただけますか?

【NAGURA】: 僕は10代からのSWARRRMの良き聴き手です。BLOODRED BACTERIAとのsplit、『偽救世主共』、『BLACK BONG』を偏愛してきました。
私のキャリアはGRINDとノイズ / インダストリアルやフリーフォームの融合に端を発しています。SWARRRMが”CHAOS & GRIND”を標榜しているのはご存知かと思いますが、僕にとっては、フリーフォーム / インプロビゼーションに依拠しない演奏、伝統的にロックが持つギターの優位性を維持したまま喧騒状態をアレンジするバンドとして重要なメルクマールです。
そういった意味でも胸をお借りしました。
もはやフィクションの次元ですが、僕はこの音源を国産GRINDのスプリットとして制作することを楽しみました。

【KAPO】: Daymare濱田さんからの提案です。もちろんENDONの事は好きですし、彼らとも長い付き合いになり当初からの変化も常に刺激的で好感を持って見てました。
いつの時期にもそれぞれの時期のイケてると言われる価値観を共有する集団はいます。シーンというのかもしれません。
そういう価値観に影響される事を拒否できるバンドの一つではないかと判断して仲良くさせてもらってます。
SWARRRMはご存知かもしれませんが、良くも悪くもそういう事とは常に無縁の活動を長年続けてます。

Q2: “How to accept and digest the rock / punk produced by white people and what to put out as a Japanese?” Is the big theme in this split, right?

【NAGURA】: Rather than a big theme, the idea of ​​having a band in Japan is already “Made in Occupied Japan”. I’m not particularly aware of dissidents or anarchism. “Made in Occupied Japan” represents the fact that we Japanese are fucked by the United States.
On the other hand, the moment when the blast beat, the symbol of grind, bursts seems to be the starting scene of a machine gun battle, and it represents a much more ejaculating pleasure. To me, extreme music in Japan seems to have a spirit kind of “fuck while being fucked” and I can hear it. The situation is often forgotton unconsciously. So I wrote it down.
Considering overseas distribution as a matter of course , we first decided the balance between Japanese and English languages ​​used around the package.
I have shared with SWARRRM that the title of the split is in Japanese and “Made in Occupied Japan” is engraved and the cover of the foreigner’s song is recorded.
ENDON first decided to make the song title English and the lyrics mixed with Japanese and English, and to include a cover of the song made by white people.
This was decided in consideration of my career as a listener of J-POP / ROCK from the 90s to the zeros.
In the end, SWARRRM also chose a white song, and only Japanese was used for the title and lyrics.

【KAPO】: In the textbook of rock / punk, the spirit of “dissent” and “anarchism” was a driving force of rock / punk in Europe and America, but was it true?
I do not seek anything special about the relationship between rock and politics. I think that the assertion and the direction of the left and right winds should change with the times.
I don’t think past claims and spirits are valid in the present day, I do not beautify past things at all, and I do not believe in any beautifully-textured romantic rock textbooks. The four of us with low group consciousness will not unite and criticize or express anything.

Q2: 「白人が産んだロック/パンクをいかに受け止め消化して、日本人として何を出すか?」が今回のスプリットにおいてビッグテーマであると伺っています。かつて欧米のロック/パンクの原動力には、やはり “反体制” “アナーキズム” の精神があったと思います。一方で、日本において “反体制” のムーブメントは、特に昭和50年代以降起こったことはなかったように思います。
今、この時期に日本人としてのロック/パンクを提示するという意味は、裏を返せば現政権、さらに言えば “Made in Occupied Japan” の言葉が象徴するように、戦後から米国の “庇護下” にあり続けた日本への “反体制” を表明しているようにも思えますが?

【NAGURA】: ビッグテーマというより、日本でバンドをやるということが常に既に”Made in Occupied Japan” であるという事実をわざとらしくモチーフとしました。反体制とかアナーキズムについては特には意識していませんね。”Made in Occupied Japan”が表すのはアメリカにファックされているという事実です。
その一方でグラインドのシンボルであるブラストビートが炸裂する瞬間は、機関銃による戦闘の開始場面のようであり、多分に射精的な快楽を表象しています。私には、日本のエクストリームミュージックは、そのような”やりながらやられている” という関係性を孕んでいるように見えるし、聴こえます。この成立要件が無意識に追いやられていることが多い。だからわざわざ記しました。
海外流通は当然するものとして見立てて、パッケージ周りで使う言語の和英のバランスを最初に決めました。
スプリットのタイトルを日本語にして”Made in Occupied Japan”と刻印すること、外人の曲のカヴァーを収録することはSWARRRMと共有させて頂きました。
ENDONとしては、曲タイトルは英語、歌詞は和英入り混じったものにすること、白人が作った曲のカヴァーを入れることを先ず決めました。
これは90年代からゼロ年代の私のJ-POP/ROCKのリスナーとしての遍歴を顧みて決めました。
蓋を開けてみたところ、SWARRRMも白人の曲を選び、タイトルと歌詞には日本語のみが使用されていました。

【KAPO】: 欧米のロック/パンクの原動力には “反体制” “アナーキズム” の精神があったとロックの教科書には書いてますがどうなんでしょう?
私自身ロックと政治の関係性に特別な物を求めていません。主張や左右の風向きは時代時代で変化あってしかるべきと考えます。
過去の主張や精神が現代に有効とは考えませんし、過去の物事を全く美化して捉えてないし、美化されたロマンチックなロックの教科書も信じません。集団意識の低い我々4人が一致団結して何かを批判したり表明したりすることは無いです。

Q3: On the other hand, ironically, I feel that the unhealthy Japanese right-tilization and totalitarianism are accelerating recently. In that sense, it seems that we need a punk / hardcore spirit right now?

【NAGURA】: I don’t think that is necessary, and reading is better, maybe.
It’s not something that requires spirit, but something that comes naturally. Kind of identity, right? In that sense, I am not in a position to enlighten it. Because we are not hardcore.
Is it necessary to have the spirit of others to deny the current government or discriminators?
Also, I think the punk and hardcore minds are completely different. Punk is not directly linked to enlightenment. It’s common for punk rock music lovers to find on hardcore spirituality. However, punks are worn with aesthetic judgment with some kind of flirtyness of that era. I don’t think the current punks always take the position of leftists or liberals. Rather, there may be more punk now in the otaku.
The current left / liberal is “conservative” in its original sense and appears to have a very high affinity with the hardcore mind.

【KAPO】: I’m not sure what the punk / hardcore spirit specifically refers to. The spirit should be different for each individual. We consider that when you say punk / hardcore spirit is always left, that’s punk totalism .In the past, the idea of being free to move left and right up and down was only heard in textbooks that have passed time and are romantic, and as a result, punk totalitarianism has become a natural scene. I understand that the left looks better than the right for the rock. It is necessary to have an environment where it is natural to understand that each person has a different opinion. In other words, I, middle aged, can’t really hold the attitudes of young people at that time.

Q3: 一方で皮肉にも昨今、日本人の不健康な右傾化、全体主義が加速しているようにも感じます。そういった意味でも、今パンク/ハードコアのスピリットが必要にも思えますが。

【NAGURA】: そういったものが必ずしも必要だとは思いませんし、読書の方がより為になるんじゃないでしょうか。
スピリットが必要とかそういうことじゃなくて、自ずと成るものでしょう。今風に言えば当事者性ですか。そういう意味で私はそれを啓蒙する立場にありません。私たちはハードコアではないので。
だいたい現政権や差別主義者を否定するのにわざわざ他人のスピリットなんて必要でしょうか。
また、パンクとハードコアのマインドも全然違うと思うんです。パンクは啓蒙とは直結しません。パンクロック音楽愛好家がハードコア心性に着地するのはよくあることでしょう。ですが、パンクはその時代時代のある種の軽薄さを伴った美的判断ありきでかぶくものです。現行のパンクが必ずしも左派やリベラルといった立場をとるとは思いません。むしろ今ならパンクはオタクの中の方にこそ多いかもしれません。
現行の左派 / リベラルは本来の意味において「保守的」であり、ハードコア心性との親和性は非常に高いように見えます。

【KAPO】: パンク/ハードコアのスピリットが具体的に何を指すのか不明ですが。大体、個でスピリットは違うはず。パンク/ハードコアのスピリット=左寄りと限定することがパンク全体主義であると考えます。過去において左右上下自由な発想であったものが、時間が過ぎロマンチックで美化された教科書でしか伝聞されなかった結果、パンク全体主義が当然のシーンになってるのでは。
ロックには右より左がよく似合うというのは理解できますが。一人一人が違う意見であるという事を当然のように理解される環境こそが必要なのでは。もっといえば、当時の20代の若者の主張や態度を現在中年になった私がまともに取り合うことは到底出来ません。

Q4: I think there are many different ways to put politics into music. ENDON sending a strong message on your SNS account, right? On the other hand, there is little disclosure about the political stance of SWARRRM, right?

【NAGURA】: Oh, yes. But I don’t think it’s a very strong message. However, a lot of DMs were sent by Netouyo-like people.
We don’t know much about what is ENDON’s sound in, and we aren’t even thinking about it. Because it is not our art form that makes social problems into works. Of course, it would be easy to find politics in us if analyzed.
Rather than incorporating politics into music, I just have a political opinion.
The SNS discourse is personal to me, but I have never discussed with other members whether this is the official view of ENDON. However, I think that they have positive views of our current situation that I represent.

【KAPO】: We have always ignored many questions about SWARRRM’s political stance regarding the incorporation of politics into music, but I would like to answer it because MMM has been indebted before. I have been a member of the Communist Party Federation organization for over 20 years and inevitably donate.
But I’m not just a communist. I feel or agree with the role of the Communist Party in the capitalist society. There is currently no support for specific political parties. I agree with this bill for the Liberal Democratic Party, but there is also opposition to other bills. Of course, the same applies to other parties.
What is rock band political participation? Assistance on SNS or raising your thoughts? Are you going to participate in the demo? Is it a donation that is considered effective in a capitalist society? Each of them has its own values ​​and opinions.
If it’s “It ’s better to say than not to say” like mind, I don’t say nothing.
If the stance of young people in their early 20s in the 70s and 80s is the same as the middle age of the 21st century, it cannot be said that the value is the same.

Q4: 音楽に政治性を織り込むことに関しては、様々な見方があると思います。ENDON は SNS のアカウントにおいても強いメッセージを発信していますね?
一方で、SWARRRM の政治的なスタンスについてはほぼ明かされていませんよね?

【NAGURA】: ああ、そうですね。でも、大して強いメッセージとは思いません。とはいえ、沢山のDMがネトウヨ的な人物からは寄せられました。
ENDONの音に何が織り込まれているかは、私たちも大して知りませんし、そういったことを考えて作ってもいません。社会問題を作品化する芸風ではないので。無論、分析すれば政治性を見出すのは容易いことでしょうが。
音楽に政治を織り込んでいるのではなく、単に私が政治的な意見を持っているだけです。
SNSの言説は私個人のものですが、他のメンバーとこれがENDON の公式見解かどうかを話し合ったことなどはありません。ただ私が代表象している現状を肯定的に捉えてくれていると思います。

【KAPO】: 音楽に政治性を織り込むことに関して、SWARRRMの政治的スタンス等の質問を今までも多々受けまして常に無視していましたが、MMM様には以前もお世話になったので答えようと思います。私自身は20年以上共産党系連合組織の会員になっており必然的に寄付等も行っています。
ただ共産主義者ではないです。資本主義社会における共産党の一部の役割に賛成もしくは必要性を感じています。特定政党を応援するという事は今のところありません。自民党に対してもこの法案には賛成だが他案に対しては反対もある。もちろん他党についても同様です。
ロックバンドの政治参加とは何か? SNSで応援したり自分の考えを上げることか? デモに参加することか? 資本主義社会で有効と考えられる寄付をすることか?それぞれ価値観、意見あって当然と考えます。
言わないより言った方がマシ、的な考えなら私は言いません、が私のスタンスです。
70、80年代の20代前半の若者のスタンスと21世紀の中年のスタンスが同じでは 同じ価値とは言えません。

Q5: So, what’s “Japanese taste” in music for you?

【NAGURA】: I haven’t made the idea of “Japaneseness” for ENDON. What is it? A scale yona nuki?.

【KAPO】: I have never been conscious of Japaneseness in my long activities. MMM had a similar question in previous interviews, so you felt the necessity of Japaneseness strongly, but I am not interested at all. Still, if you can feel the Japanese style, you can only think of it as a habit that permeates ourself.

Q5: 例えばグランジ/オルタナティブは、当時世界での熱狂とは裏腹に一部のバンドを除き日本ではほぼ無風状態でしたよね。
そういったガラパゴス的な状況に対してよく語られるのが “日本らしさ” とか “日本人好み” という言葉です。お二方にとって音楽的な “日本らしさ” とは何ですか?

【NAGURA】: ENDON にとっての”日本らしさ”なんて考えて作っていません。なんでしょうね。ヨナ抜き音階?

【KAPO】: 当時日本のアンダーグランドな音楽シーンはグランジ/オルタナティブ・ブーム一色だったと記憶してますが、違いましたっけ? 長い活動の中で日本らしさを意識した事は一度もありません。
MMM様は以前のインタビューでも同様の質問がありましたので、日本らしさの必要性を強く感じてらっしゃる様ですが、私自身は全く興味ありません。それでも日本らしさを感じていただけるのなら自身に染み付いた癖等としか考えられません。

Q6: ENDON selected Johnny Thunders “Cosa Nostra”, SWARRRM selected THE STOOGES “I Wanna Be Your Dog”, and THE MONKEYS was the original song, SEX PISTOLS, and Sid also covered “Steppin ‘Stone”.

【NAGURA】: The song is selected by koki. We really like Johnny Thunders. Johnny Thunders has many stories other than music. It seems that Koki chose it because it was a song that such a person made it only with images. Please listen to the original song. A song that just says the name of a Sicilian gang several times. Did he think of it as the source of his favorites? It’s definitely Koki’s way that he chose a song that has enough room for such an appropriate image. Well, in the end, it’s on impulse.

【KAPO】: It’s just on impulse..I wanted to combine it and write “I Wanna Be Your Stone”, but we couldn’t do that due to copyright.

Q6: ENDON は Johnny Thunders “Cosa Nostra” を、SWARRRM は THE STOOGES “I Wanna Be Your Dog”, それから THE MONKEYS が原曲で SEX PISTOLS, シドもカヴァーした “Steppin’ Stone” をそれぞれカヴァー曲に選んでいます。

【NAGURA】: 選曲はコーキです。僕ら凄くJohnny Thunders好きなんです。Johnny Thundersって音楽以外の話も多いですよね。そんなひとがほぼイメージだけで作った曲ということで選んだようです。
これは是非原曲聴いてみてください。シチリア由来のギャングの名称を何回か言うだけの曲。自分の好物の出所として思いを馳せたんでしょうか? そういう適当なイメージが入り込む余地ばかりの曲を選んだのはコーキらしいです。まあ、要は思いつきです。

【KAPO】: 単純に思いつきです。合体させて”I Wanna Be Your Stone”と表記したかったのですが、著作権的に無理でした。

Q7: Finally, what part of the new song reflects the phrase “There still have room to update rock”?

【NAGURA】: The wording of the press release is an evaluation by others. But of course we have responsibility on it. That song was told by my close friend that “hardcore territorialization break”.
By the way, I don’t talk about music at all, is this interview okay?

【KAPO】: I think there is non partly. I haven’t done any special arrangements that should be noted. Still, if you listen to it, you will feel the answer. All the members are proud of the best results of our activities in over 20 years.

Q7: 最後に、「今でもロックに更新の余地がある」の言葉は、新曲のどういった部分に反映されていますか?

【NAGURA】: プレスリリースの文言とはあくまで他者による評価ですから。無論責任は持ちますが。あの曲は、親しい友人には「ハードコアの脱領土化」と言われました。
ところで、音楽の話、全然しないですけど、このインタビュー大丈夫ですか?

【KAPO】: 部分的には無いと思います。特筆すべき斬新なアレンジも行ってないです。それでも一聴していただければその答えを感じていただけるのではと思います。
20数年における活動の中、最高の出来とメンバー皆自負してます。

ENDONも登場!leave them all behind 2020の詳細はこちら。Daymare Recordings

ENDON/SWARRRM Release Show

10/13(日)東京: 新大久保Earthdom 『歪神論 -Evil Little Things-』release show
w/ Klan Aileen, SOLVENT COBALT, KLONNS DJ: CHIRO, YWK1
チケットの詳細はこちら。
ENDON
01. Cosa Nostra (JOHNNY THUNDERS) 02. Constellation for Triumph
SWARRRM
03. 涙
04. I Wanna Be Your Dog (THE STOOGES)
~Steppin’ Stone (THE MONKEES/SEX PISTOLS etc)
歪神論 -Evil Little Things-のご購入はこちら。
ENDON Official Site
-3LA- LongLegsLongArms Records こわれはじめる / SWARRRM

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE CONTORTIONIST : OUR BONES, CLAIRVOYANT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIC GUENTHER OF THE CONTORTIONIST !!

“After Being Established As a Band Securely In a Genre, It Takes a Lot Of Courage To Move Past That And Try To Evolve At The Risk Of Losing Fans, And That Was Always a Goal Of The Contortionist.”

DISC REVIEW “OUR BONES” “CLAIRVOYANT”

「Djent というジャンルの中でしっかりとバンドとして確立された後、それを乗り越えて、ファンを失うリスクを負ってまで進化しようとするには多くの勇気が必要なんだけど、だけどその進化こそ THE CONTORTIONIST の目標だったんだからね。」
プログレッシブデスメタル/Djent の傘の下で生を受けたインディアナのセクステットは、生来のブルータルな刃を徐々にムーディーでスペーシーな蜃気楼へと転化させ、”曲芸師” のイリュージョンでその名を完璧に体現しています。
「本質的に、僕たちはアトモスフィアやテクスチャーを引き出して、当時自分たちの周りで起こっていた Djent のような他の音楽と対比できることを知っていたんだよ。そうして、バンドの特徴、アイデンティティをさらに強化するため、これまでの自分自身と距離を置く必要性を感じたんだ。 」
奇しくも THE CONTORTIONIST の見つめる先は、彼らが深いリスペクトを捧げ記念すべき “Colors” 10周年のツアーにも帯同することとなった BETWEEN THE BURIED AND ME と共振の路にあるように思えます。重激から衷心へ。他者との対比を野心とした2017年のフルアルバム “Clairvoyant” は、かつての自分自身を千里の彼方に仰ぎ見る “ノースクリーム” な “Post-Whatever” の傑物でした。
“Clairvoyant” とそのプロトタイプである “Language” は、連続する壮大なアシッドトリップのオデッセイとして産み落とされています。”Language” は成長と生を、”Clairvoyant” は死を司るレコード。アトモスフィアを宿したポストロックの血縁と、ヘヴィーシンセのエニグマでボーカル Lessard が友人の薬物中毒を綴る光と陰のエピック。荘厳なクリーンボーカルは完全なる主役となり、テクニックはテクニックのためではなくストーリーのために存在することとなりました。
深遠なるテクスチャー、畝り寄せるインテンス、シンセの絶景、美麗極まるアレンジメントの宇宙。もはや比較対象は KARNIVOOL や Kscope の詩人たちなのかもしれませんね。インタビューに答えてくれたシックスマン、Eric Guenther のシネマティックなセンスは確かにバンドのイデア変えました。
ただし、最初期の “Exoplanet” や “Intrinsic” が UNEVEN STRUCTURE, TesseracT と並んで “Post-Djent” の一翼と目されていたことを鑑みれば、”Clairvoyant” の音の葉にはバンドのスピリットであったメタリックな複雑性と知的な展開美をより艶めかしく赤裸々に再創造した曲芸師の美学をも同時に感じ取れるはずです。
「僕たちのコンセプトは、新たな音楽と共に日々進化しているからね。」そうしてリリースを迎えた新 EP “Our Bones” はバンドの歴史全てを骨子とした進化のステイトメントです。
「”1979″ は楽曲として強力なムードを湛えていて良い選択に思えたね。それにプログメタルバンドは、音楽にあれほど多くのフィーリングを付与することはなかなかしないからね。」
SMASHING PUMPKINS のエモーショナルなカバーは、自らを、そしてリスナーを別次元の宇宙へと誘います。
TOOL の残影を自らの美意識と深く重ねた “Follow”、メインストリームを多彩なサウンドで抱きしめる “Early Grave”。プログメタルの典型から確かに距離を置いたしかしプログレッシブな楽曲群は、ポスト/モダンプログの旗手に相応しきチャレンジの凱歌でしょう。そうしてその音の波は、きっと LEPROUS や HAKEN,
現在の TesseracT ともシンクロし共鳴していくのです。
今回弊誌では、Eric Guenther にインタビューを行うことが出来ました。「SikTh こそがおそらく Djent というジャンルにとって最も重要な真の創造主なんだよ。SikTh は MESHUGGAH が始めたことを、よりポップでメロディックなフォーマットへと拡張していったんだ。特別名前を挙げるまでもなく、Djent バンドの全てが MESHUGGAH よりも SikTh のサウンドに寄っていたと思う。」 どうぞ!!

THE CONTORTIONIST “OUR BONES” : 9.9/10

INTERVIEW WITH ERIC GUENTHER

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about you and the band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ERIC】: My name is Eric Guenther, I play keyboards for The Contortionist. I started recording with the group in 2012 and joined full time in 2014 after recording the Language record. My first influences in popular music followed a path of 90s alternative and grunge (Smashing Pumpkins, NIN, Radiohead), followed by prog rock/metal (Tool, Dream Theater), and then melodic / death metal (In Flames, Opeth, Cynic). I was always into cinematic scores too, and how composers like John Williams could incorporate melody into a narrative, and as a teenager, Nobuo Uematsu’s Final Fantasy soundtracks actually were some of my first real inspirations to start writing music for myself. These days, after so many years of listening and recording rock and metal, I’ve started to branch out and try to study other types of music that introduce new artists to me, new or old, like jazz, Neo-soul, or psych rock.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【ERIC】: 僕は Eric Guenther。THE CONTORTIONIST でキーボードを担当しているよ。バンドとレコーディングを始めたのは2012年で、正式に加入したのは “The Langurage” の収録を終えた2014年だったね。
90年代のオルタナティブやグランジ (SMASHING PUMPKINS, NIN, RADIOHEAD) を通過した後、TOOL や DREAM THEATER といったプログロック/メタルを吸収し、それから IN FLAMES, CYNIC みたいなメロデスやデスメタルにハマっていったんだ。
あとはずっと映画音楽のスコアにもハマっていたね。John Williams のようなコンポーザーがメロディーとストーリーを融合させるやり方に魅了されてね。それに植松伸夫氏による Final Fantasy のサウンドトラックは、10代の僕に音楽を書こうと思わせた最初のインスピレーションだったんだ。
最近では、ロックやメタルを長年聴いてきたこともあって、新旧かかわらず新たなアーティストを開拓出来るような他のジャンルを探求しているんだ。ジャズ、ネオソウル、サイケみたいなね。

Q2: What inspired you to start playing piano? Who was your musical hero at that time?

【ERIC】: I started playing piano at a young age only because my parents made me learn it, but I enjoyed it enough to develop an interest in guitar at the same time I realized that my piano teachers weren’t inspiring me. After a few years of taking piano lessons, I quit to teach myself guitar and focused on that for almost ten years. I was making recordings with my own band and others and started recording keyboard parts for those records just because I still had a basis in the theory and remembered how to play. Through these recording sessions I realized that I would be much more useful as a musician in a keyboardist role, and the session work kept coming, so I focused on keyboards full-time. I think something about what I learned as a guitarist informed my process in arranging keyboards around it. I still play guitar, so I think a general understanding of how to arrange both instruments to compliment each other created the style of keyboardist I am today. With that in mind, is tough to define my keyboard musical hero, but I can definitely cite Trent Reznor, Richard Wright, Rick Wakeman, and Nobuo Uematsu as the biggest ones that stand out for me, even though my style differs and I never sought to directly follow in those footsteps specifically.

Q2: では、ピアノを始めたきっかけ、当時のヒーローを教えていただけますか?

【ERIC】: ピアノを始めたのはまだ幼少期に、ただ両親に習わされたからなんだ。だからピアノの先生からインスパイアされていないと気づくと、ギターに興味を持ったんだ。だから何年かピアノのレッスンを受けた後、独学をやめてほぼ10年ほどギターに集中したんだよ。
自分のバンドや他のバンドでレコーディングを始めると、僕はキーボードパートもプレイするようになったんだ。それは音楽理論を理解していたのと、まだピアノの弾き方を覚えていたからなんだけど。ただ、そういったセッションを重ねるうちに、僕はキーボーディストとしての方がより “使える” ミュージシャンだと悟ったんだよ。仕事も舞い込み続けたからね。だからフルタイムのキーボーディストとしての道を選んだんだ。
ギタリストとして学んだことは、キーボードのアレンジに影響を与えているよ。僕は今でもギターをプレイするんだ。だから、両方の楽器のアレンジを理解していて互いを補完できることが、キーボーディストとしての今日の僕を作り上げたと言えるだろうね。
そう考えると、キーボードヒーローを挙げるのは難しいね。ただ間違いなく Trent Reznor, Richard Wright, Rick Wakeman, それに植松伸夫氏は自分にとって大きな存在だよ。僕とは異なるスタイルで、直接彼らの足跡を追っていないとしてもね。

Q3: The Contortionist was one of the biggest name in djent movement at that time. Looking back now, what was the movement to you?

【ERIC】: To be honest, in 2010 when Exoplanet was released, I was focused on my own projects and had not become involved yet. Djent was a ‘movement’ that I was aware of, and I loved bands like Meshuggah and, perhaps most importantly for djent, Sikth, who I think have been overlooked as the true creators of the genre. Sikth took what Meshuggah did and expanded it into a more pop and melodic format, and, without any specific names, I think every band in the genre owes more of their sound to Sikth than they do to Meshuggah (who remain the heaviest band in the universe). When I started working with The Contortionist in 2012, one of the things that excited me the most about them was that they were aware of where their influences came from and had the foresight and ability to look past it. After being established as a band securely in a genre, it takes a lot of courage to move past that and try to evolve at the risk of losing fans, and that was always a goal of The Contortionist.

Q3: THE CONTORTIONIST は Djent ムーブメントの中から登場し、ビッグネームの一つとなりましたね?

【ERIC】: 正直に言って、”Exoplanet” がリリースされた2010年には、僕はまだ自分のプロジェクトに集中していてまだ関わってはいなかったんだ。ただもちろん、”Djent” というムーブメントには気づいていたよ。MESHUGGAH みたいなバンドは大好きだったしね。
それに SikTh。ずっと見落としていたんだけど、彼らこそがおそらく Djent というジャンルにとって最も重要な真の創造主なんだよ。SikTh は MESHUGGAH が始めたことを、よりポップでメロディックなフォーマットへと拡張していったんだ。特別名前を挙げるまでもなく、Djent バンドの全てが MESHUGGAH よりも SikTh のサウンドに寄っていたと思う。それでも MESHUGGAH は未だに宇宙で最もヘヴィーなバンドだけどね。
2012年に THE CONTORTIONIST と仕事を始めた時、僕が最も興奮したのは彼らが自らの影響がどこから来たのかを認識していて、先見性と過去を見る能力を同時に持っていたことだったんだ。Djent というジャンルの中でしっかりとバンドとして確立された後、それを乗り越えて、ファンを失うリスクを負ってまで進化しようとするには多くの勇気が必要なんだけど、だけどその進化こそ THE CONTORTIONIST の目標だったんだからね。

Q4: I had an interview with Anup Sastry recently. He said “I don’t really think djent movement has gone away or anything. The entire ‘djent’ idea really just falls under the larger category of progressive metal, in my opinion.” What’s your perspective about that?

【ERIC】: I would totally agree with Anup. Djent hasn’t gone away, it was/is a stylistic fad within the larger genre of progressive metal. As I suggested above, Meshuggah was a huge influence, but Sikth really tore the doors down to a new dimension all the way back in 2003, giving ‘djent’ an identity. In my opinion, Meshuggah has remained it’s own rock of identity… Nobody has yet to outdo them at their game, and to qualify them as “djent” is like categorizing Nirvana as British Pop from the 60s. They were a huge influence in the birth of “djent”, but remain their own monster.

Q4: 最近 Anup Sastry にインタビューを行う機会があったのですが、彼は 「”Djent” というジャンルについてだけど、僕は本当にムーブメントが過ぎ去ってしまったようには思えないんだ。Djent の包括的アイデアは、より大きいプログメタルというカテゴリーにしっかりと根付いている。」 と語っていました。

【ERIC】: Anup に完全に同意するよ。Djent は過ぎ去ってなどいない。Djent はより大きなプログメタルというジャンルの中にあった、そして今もある熱狂的に流行ったスタイルなんだよ。
さっきも言ったけど、MESHUGGAH は大きな影響を与えたけど、SikTh こそが新たな次元へとジャンルのドアを打ち壊したバンドなんだ。2003年に Djent にアイデンティティーを与えたんだよ。
僕の考えでは、MESHUGGAH は自らのロックのアイデンティティーに留まり続けている。未だに誰も、彼らのゲームで彼らを負かすことなんて出来ていないんだよ。だから彼らを Djent と見なすのは、NIRVANA を60年代のブリットポップだと言い張るようなものなんだ。つまり、MESHUGGAH は Djent の誕生には大きく関与しているけど、ただ自らが怪物であり続けているだけなのさ。

THE CONTORTIONIST “CLAIRVOYANT” : 10/10

Q5: It seems “Clairvoyant” was turning point for the band to go to more moody and atmospheric rock acts like Karnivool, Deftones, Katatonia. What made you change the direction somehow?

【ERIC】: It wasn’t necessarily a conscious decision, rather I think we were being honest with our tastes at the time and letting it happen naturally. We were trying to dig deep into textures and atmosphere because we realized we could do it very well, and lots of musical decisions were made to best use the strengths we have as a band. Essentially, we knew we could pull something like that off to contrast other music happening around us at the time, and felt the need to do so in order to distance ourselves and create an even stronger character identity for the band.

Q5: THE CONTORTIONIST にとって “Clairvoyant” は、KARNIVOOL や DEFTONES, KATATONIA にも通ずるアトモスフィアを探求し始めたターニングポイントにも思えますが。

【ERIC】: 意識して決断を下す必要はなかったね。それよりも、ただ当時の自らの音楽的嗜好に正直になって、自然と成り行きにまかせたんだ。
僕たちはテクスチャーとアトモスフィアをより掘り下げようと試みたね。それをとても上手くやれるのは分かっていたから。音楽的決断の多くは、バンドとして自らの強みを最大限に引き出すよう成されたんだ。
本質的に、僕たちはアトモスフィアやテクスチャーを引き出して、当時自分たちの周りで起こっていた Djent のような他の音楽と対比できることを知っていたんだよ。そうして、バンドの特徴、アイデンティティをさらに強化するため、これまでの自分自身と距離を置く必要性を感じたんだ。

Q6: Even so, it was big surprise that you covered Smashing Pumpkins “1979”. What was the reason of that?

【ERIC】: We had a long list of cover songs that we had joked about trying for years or experimented with in rehearsal. 1979 seemed like a good choice because it holds such a strong mood as a song, and prog/metal bands often have a hard time lending that much feeling to their music. It felt like a song that we could expand on and avoid sounding too clinical. In the end, you answered the question yourself, we wanted it to be a surprise to some people but still believable that it fits into The Contortionist musical universe.

Q6: そうは言っても、最新 EP “Our Bones” で SMASHING PUMPKINS の “1979” をカバーしたのは驚きでした。

【ERIC】: ジョークみたいにリハーサルで何年も試していたカバーソングは沢山あったんだ。”1979″ は楽曲として強力なムードを湛えていて良い選択に思えたね。それにプログメタルバンドは、音楽にあれほど多くのフィーリングを付与することはなかなかしないからね。
だからより自分たちの領域を拡大できる楽曲だと感じたし、冷静なサウンドになりすぎないようにしたよ。それに結局、答えは君自身が出しているんだ。つまりリスナーを驚かせたかったんだ。もちろん、それでも THE CONTORTIONIST の音楽宇宙の中にフィットすると信じていたんだけどね。

Q7: There have been circle or sphere in your artworks since “Exoplanet”. And it seems “Our Bones” describes kind of dark flower. Is there any change in your concept?

【ERIC】: That’s great that you noticed that. I’ll have to stop there, though, as our concepts are evolving every day as we work on new music, and I won’t spoil anything for the future.haha.

Q7: “Exoplanet” 以来、バンドのアートワークには常に印象的な球体や円が描かれていましたね。”Our Bones” では、ダークな花が円として描かれています。

【ERIC】: よく気づいたね。ただ、球体や円はもうやめようと思っているんだ。僕たちのコンセプトは、新たな音楽と共に日々進化しているからね。とは言え、未来のことは分からないよ (笑)

Q8: So, are you interested in Japanese culture like animations, video games, or something like that?

【ERIC】: As I mentioned earlier, I was and still am a Final Fantasy fan… I’ll be playing the FF7 remake and once in a while will bring out a classic like FF6 while I’m on the tour bus. I wish they would do a Xenogears remake or at least remaster. As for things like anime, I’ve seen a few of the classics like Neon Genesis Evangelion, Akira, Kenshin… The only reason I bring those very common examples up is that I recently saw an old, relatively unknown ‘anime’ called The Belladonna of Sadness, which was only recently released in the US, and it’s presentation blew my mind. I also remember an old anime that had an incredible mood and atmosphere to it’s soundtrack and presentation, Serial Experiments Lain.

Q8: 先程、植松氏の名前が出ましたが、それ以外にも日本のゲームやアニメ文化から受けた影響はありますか?

【ERIC】: とにかくこれまでも、そして今も僕は Final Fantasy のファンなんだ。”FF7″ のリメイクはプレイするだろうし、FF6みたいなクラッシックを持ち出してはツアーバスでプレイしているんだ。ゼノサーガのリメイク、少なくともリマスターを出してくれれば嬉しいんだけど。
アニメに関しては、エヴァンゲリヲン、アキラ、るろうに剣心といったクラッシックは見ているよ。いや、こういったメジャーな作品を挙げたのは、最近見た “哀しみのベラドンナ” って日本の古くて比較的知られていないアニメにぶっ飛ばされたからなんだ。アメリカだけでリリースされたんだけど、凄い存在感だよ。
あとは驚異的なムードとアトモスフィアをサウンドトラックにまで湛えていた serial experiments lain も覚えているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ERIC’S LIFE

RADIOHEAD “OK COMPUTER”

THE SMASHING PUMPKINS “SIAMESE DREAM”

NINE INCH NAILS “THE DOWNWARD SPIRAL”

DREAM THEATER “METROPOLIS PT.2: SCENES FROM A MEMORY”

PINK FLOYD “WISH YOU WERE HERE”

MESSAGE FOR JAPAN

We talk about coming to Japan all the time and hope to see you soon! Thank you for your support!

僕たちはいつも日本に行きたいって話しているんだよ。近々会えればいいね!サポートをありがとう!

ERIC GUENTHER

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【KORN : THE NOTHING】


COVER STORY : KORN “THE NOTHING”

KORN Embraces The Sound Of Grief, The Abyss Of The Void, And The Balance Between Darkness And Light With Their 13th Record “The Nothing”

THE GRIEF BEHIND “THE NOTHING”

「”The Nothing” は完全に悲嘆と追悼のレコードだよ。嘆きの曲もあれば、怒りの曲もある。全ては俺が経験したことだ。
俺が経験した感情や物事はまるで共謀してレコードの製作を阻んでいるかのようだった。本当に人生で最悪の年だったよ。
計画はなかったよ。青写真もなし。取り乱した男が自分の身に降りかかったただ酷い何かを理解しようとしていたんだ。正直な作品さ。実は妻の2ヶ月前に母も亡くなっているんだよ…。
だから姉以外全ての女性を人生で失っているんだ。俺はいつも音楽制作をセラピーと捉えているんだけど、だからこそ自分の人生を音楽で水に流してしまう必要があったんだ。ソロツアー、”Follow the Leader” の20周年プランが終わると、俺はひたすら音楽を書いて書いて、書きまくったんだよ。」
深淵、暗黒、虚無。その場所こそが “The Nothing” 生誕の地。そしてその場所こそ Jonathan Davis が、妻の Deven Davis を亡くした2018年の8月以来孤独に沈んでいた闇だったのです。

「”The Nothing” とは全てを変えてしまうような目に見えない力だ。”The NeverEnding Story” で世界を取り込み破壊し尽くす脅威にちなんでつけたんだ。重要なのはこの闇の力が完全に悪というわけでも、善というわけでもない点なんだよ。」
ミヒャエル・エンデ原作、1984年の名作映画 “The NeverEnding Story” で人間の創造性の欠如から生まれた虚無は、35年の月日を経て世界で最もアビスに近いバンドのシンガーとシンクロし、皮肉にも迸るクリエイティブなエナジーを宿すことになりました。

オープナー “The End Begins” でリスナーはそのアビスの淵を覗き込むことになります。「なぜ俺を置いていくんだ?」”終わりの始まり” で聴くことができるのは、Jonathan の嗚咽、絶望、嘆願、そして叫び。レコードのため意図的に作られた感情とは真逆の完全なリアル。”正直な作品” の言葉通り、Jonathan は今回の作品に偽りのない純粋な苦痛を反映させました。
「フェイクなエモーションなんて試したくもなかった。これはファーストテイクなんだよ。俺は時々感情的になりすぎるんだ。もちろん泣きたくなんてなかったよ。だけどそうもいかなくてね。ライブでもそうなることがある。このツアーで何回泣いたか知っているかい?俺はミスターマッチョじゃないんだ。泣きたい時は泣くんだよ。」
これほど彼が、自らに巣食う内なる悪魔を曝け出したアルバムはないでしょう。ギタリスト Brian “Head” Welch も “The Nothing” の制作が究極に直感的だったと認めています。
「Jonathan にとって作詞と作曲はまさにセラピーなんだ。苦しみを音楽と創造性に変えるようなね。彼が昨年経験したのは最悪の出来事としか言いようがないものばかりだった。こんな風に誰かを失うなんてね。だからこそ他のレコードとは別のレベルだと言える。特別で、とても生々しく、究極に本物の作品なんだよ。」
Jonathan は今も喪失と向き合い続けています。「今でも癒しを求めているよ。だけど対処法も学んでいるんだ。ツアーや音楽は俺の避難場所で、逃げ道で、教会なんだよ。確かに楽しいレコードではなかったけど、傑作だと感じている。精神科医に通う代わりに俺には音楽があるんだ。」
ただし、”The End Begins” のバグパイプについては実にポジティブです。「バグパイプは世界最高の楽器さ!とはいえ、全部のアルバムでやりたいって訳じゃない。特別じゃなくなっちゃうからね。だけど “Issues” のレコードを聴いてインスパイアされたんだ。俺が経験した全ての苦しみがこのインタルードに詰まっているよ。」

Jonathan は “The Nothing” の楽曲たちは、全て異なる悲しみのサイクルでステージだと主張しています。
「時間を切り取ったスナップショットみたいな感じだよ。例えば “Cold” は力強く反抗的な曲。苦しみや運命を跳ね返すようなね。一方で “The Darkness is Revealing” は不確かで疑いを抱くような楽曲だよ。つまりこのアルバムは全体が波のように押したり引いたりを繰り返すんだ。小さな、静かな、瞑想的な瞬間は、津波が砂に衝突するような騒々しいコーラスとブレイクダウンに拐われるんだ。 」
その2曲では特に顕著ですが、驚くべきことにこのダークなアルバムでそのメロディーの叙情味、ロマンチシズムは一層輝きを増しています。それはもしかすると、Jonathan がシリアルキラーや幽霊といった “死” の存在に圧倒され、魅了される一面が関連しているのかもしれません。
「俺は確かにダークな世界に魅了されてきた。ただ、年齢を重ねるに連れて “バランス” の重要性に気付き始めたんだ。俺の家ではしょっちゅうおかしな怪奇現象が起きるけど、実際は極めて平和な場所さ。つまり、光と闇の良いバランスが保たれているんだよ。俺にとって平穏とは、その2つが交わる場所にある。」

“Finally Free” は Deven Davis が長き薬物中毒との戦いから解放された安堵と悲痛を込めた葬送歌だと言及したのは James “Munky” Saffer。「中毒と戦った者を知っていれば、もしくは経験したことがあれば、もちろん俺もバンドのメンバーも大抵そうなんだけど、悪魔には贖えないって思う時もあるんだ。彼女は遂に自由になった。だからこのタイトルに決めたんだよ。」
クライマックスは KORN 史上最重とも言える “Idiosyncrasy” で訪れます。「神は俺をバカにしている。奴は笑って見ているんだ。」とそれでも彼が叫び、怒り、絶望を向けるのはしかし虚無に対してだけではなく、むしろ自分自身にでした。
“I failed”。 当然 Jonathan を責める人間など一人もいないでしょう。しかしアルバムにはクローサー “Surrender to Failure” まで、彼の “失敗” を犯してしまったという思いが貫かれています。涙を流しながら不安定に呼吸し、話し、歌い、贖罪の感情をぶちまけます。愛する人を救えなかった、上手くやれなかった。その感覚、トラウマはレコードを支配し、圧倒的な敗北感を植えつけるのです。アルバムが終わる瞬間、嗚咽の後の沈黙がその敗北感を乗り越えた証だとするのは少々希望的観測かもしれませんね。

TWENTY ONE PILOTS も手がける TNSN DVSN が情熱を注いだアートワークも素晴らしく KORN の音楽的感情的カオスと混線を反映していると Brian は語ります。
「沢山のビジュアルアートの中で俺らの目を引いたのが、このギターケーブルか何かのワイヤーのカオスだった。気に入ったと伝えたら、さらに磨きをかけ、ワイヤーで吊られた男はただ敗北し、荒廃しているように見えたんだ。何か大きなものを失えば、大きなトラウマに直面することになる。完璧なアートワークだよ。」
リリースデイトにも実は深い意味が込められています。「13枚目のレコードが13日の金曜日にリリースされる。しかも満月の日で、さらに水星逆行だ。つまり現実的にも比喩的にも、”星が並んで” いるんだよ。」

アウトサイダーのアンセム “Blind”、メインストリームにそのフリーキーな牙を残した “Freak on a Leash”。90年代から00年代に育ったものにとって、KORN とノスタルジアを切り離して語ることは難しいかもしれませんね。
ただし、当時を生きた多くのバンドがセルフパロディーに陥り消えてしまった今でも、彼らはエクストリームミュージックの “制限” に挑んでいるように思えます。実際、Brian “Head” Welch がバンドに復帰してからの作品は、全てクラッシックな KORN とモダンな KORN、光と闇が交差する極上の一点で仕上げられているのですから。
では、Nu-metal という自らが加担し作り上げたムーブメントについてはどのような想いを抱いているのでしょう。Jonathan が振り返ります。
「Nu-metal はメタルにとって最後のメインストリームに切り込んだムーブメントだった。だけどその中でも、俺らは究極のはみ出し者だったんだ。あのシーンはアホな女性蔑視の頭がチンポで出来ているアメフト野郎ばかりだったからね。バンドをやってなきゃ俺を虐めていたような奴らさ。そんな時、メタルコミュニティーが俺らを抱きしめてくれたんだ。ライブでバグパイプを鳴らすような変な奴だけどね。だから KORN, Nu-metal と聴いてディックヘッドだと思われるのは本当に嫌なんだ。」

ゴス、ファンク、ヒップホップ、そして酷く悲惨な歌詞を取り入れた KORN の “Nu” メタルは、ロストジェネレーションを魔法にかけ彼らをチャートに送り込みました。90年代後半の “Follow the Leader” と “Issues” はNo.1を獲得し、7枚のアルバムがトップ5に名を刻み、そうして Backstreet Boys, ‘N Sync, Britney Spears へ果敢に襲いかかりました。
「90年代後半は今よりも、アメリカ文化にとってとても強力な時代だった。全てがよりリアルだったんだ。」
KORN のファンであろうがなかろうが、”The Nothing” が溢れる感情と巧みな作曲術を別次元で融合させた絶佳の宇宙であることは認めざるをえないでしょう。つまり、この新たなレコードは、真の才能、創意工夫、そして知性に恵まれたバンドなら、歴史の始まり”ビッグバン”から四半世紀の時を経ても同等か、それ以上のインパクトを放ち続けられる証明とも言えそうです。ただし、リタイアが頭をチラつく時もあるようですが。

「俺は今49歳になる。」 Brian はそう切り出します。「バンドを始めたのは20代の頭だった。年月を重ねこんなにビッグになるなんて、俺たち誰も思っていなかったんだよ。歳をとりすぎたって思う時もある。俺の好きだったバンドだって40代半ばで消えていった。だから歳をとったって思ったら、ただ去るべき時なんじゃないかってね。」
とは言え、巨人の進撃はまだまだ収まりそうにありません。Jonathan はこう続けます。「奇妙な世の中で、差別だって横行している。だからメタルにとっても厳しい時代だと思うよ。でもだからこそ KORN の存在意義がある。きっと続ける理由を見つけられると思うよ。次のアルバムのアイデアだってもうあるんだ。俺たちはサヴァイバーだから。
妻を亡くしたし、息子も糖尿病を患っている。それでも光はあるんだよ。人生はクソみたいな贈り物だけど、俺は幸運な男さ。自分を憐れむことはないよ。」

参考文献: Interview: Chaos, Heart, Tears + Fate Guided Korn’s ‘The Nothing’; LOUDWIRE

Korn’s Jonathan Davis: “I have the remains of at least seven people in my house”: NME

REVIEW: ‘THE NOTHING’ IS KORN’S BEST ALBUM IN OVER 10 YEARS: REVOLVER

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SACRED REICH : AWAKENING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PHIL RIND OF SACRED REICH !!

“Slayer And Metallica Have Always Been Our Main Musical Influences. I Think They Are Two Of The All-Time Great Metal Bands. The Success The Metallica Has Had Is Mind Blowing!”

DISC REVIEW “AWAKENING”

「SLAYER と METALLICA はいつだって俺らにとってメインの音楽的影響だったね。彼らは全時代のメタルバンドの中でも最も偉大な2つのバンドだと思う。」
オールドスラッシュ復権の年。POSSESSED や DEATH ANGEL, FLOTSAM AND JETSAM, OVERKILL が圧倒的な作品で先陣を切り、EXHORDER, HEATHEN, DARK ANGEL といった古豪の帰還も控える今年のスラッシュワールドは間違いなく高まる期待感と熱情に支配されています。”伝説” と呼ばれたカルトなヒーローたちの同時多発的再臨は、再び押し寄せる鋭利な波の震源地となっているのです。
興味深いことに、永遠の氷河が溶け出すように長い眠りから目覚めたスラッシュの魂は、大半が SLAYER や METALLICA の血脈を直に受け継いだ “第2世代” の英傑でした。中でも、最も復活作が期待されたバンドの一つが SACRED REICH だと言えるでしょう。
80年代初頭から中頃にかけて、アリゾナで “第1世代” の太陽を全身に浴びたヤングガンズは、しかし先達の真似事に終わらない独自の道を模索します。アグレッシブかつダークなデビューフル “Ignorance” からすでに、ベイエリアとは一線を画すハードコアな一面を垣間見せていた彼らは、南米におけるアメリカ帝国主義を痛烈に皮肉った EP “Surf Nicaragua” でその政治性を開花させます。時代の変遷と共に、音楽的にもファンクやグルーヴの領域まで探求した彼らは、以降一貫してその政治的風刺、アメリカンドリームのダークサイドを描き続けたのです。
2000年の活動休止、2006年のリユニオンを経て、MACHINE HEAD を離脱したオリジナルドラマー Dave McClain を加えた SACRED REICH は不死鳥のスピリットで実に23年ぶりとなる復活作 “Awakening” を世に送り出しました。ニカラグアでの波乗りは、30年の時を超えメタルの津波となってリスナーへと襲いかかります。
オープナー “Awakening” で Wiley Arnett のクラッシックかつ独特なシュレッドとリフパンチの少し奇妙な応酬が繰り広げられると世界は SACRED REICH の帰還を確信します。ただし、同時に23年の時が刻んだ変化と進化の証も感じられるはずです。
「大半はポジティブで励ますようなアルバムなんだ。」ボーカル/ベースを兼任し、SACRED REICH の推進力とも言える Phil Rind は、アートワークやレノンへの愛が示すように、長い空白の間チベット仏教に心酔しスピリチュアルな世界の見方を身につけました。憎しみを捨て去り前へと進む断捨離の心は、時に ANTHRAX の Joey Belladonna を想起させるほどメロディックに歌い上げる新たな武装を Phil へと施し、以前よりも飛躍的にワイドなパフォーマンスをその身に宿すこととなったのです。
吐き捨てる叫けびと伸びやかな歌唱のコントラストが際立つ “Divide & Conquer” はその新武装が最も輝く瞬間でしょう。さらに IRON MAIDEN の誇り高きツインリードを受け継いだエピック “Salvation”、スラッシュアタック “Manifest Reality”、バンドの軌跡である PANTERA のグルーヴをモダンに昇華した “Death Valley”、ハードコアパンクとの架け橋 “Revolution” などアルバムは “メタルの領域” において Phil の言葉通り成熟を遂げ実にバラエティーに富んでいます。
もちろん、デビューフルほどの無鉄砲な突進力やエナジーは存在しませんが、きっと同様に年齢を重ね成熟を遂げたリスナーにとって居心地の良い恐怖を運ぶレコードではあるはずです。何より、ここには Phil が最も憧れる METALLICA と同種の耳に絡みつく “危険な” フックが溢れているのですから。併せて百戦錬磨、Dave McClain の華麗なタム回しが作品に素晴らしきアクセントをもたらしていることも付け加えておきましょう。
今回弊誌では Phil Rind にインタビューを行うことが出来ました。「俺は今こそ音楽にとって偉大な時だと思っているし、生きるのに最良の時代さ。」 新鋭 IRON REGAN とのスプリットも躍動感がありましたね。どうぞ!!

SACRED REICH “AWAKENING” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : BIRTH OF VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

“Gender Is Fluid, And There Is So Much Beauty In Making Space For All Kinds Of Voices In Music. It’s Happening, And It’s Amazing!”

DISC REVIEW “BIRTH OF VIOLENCE”

「昨年、私たちは沢山のツアーを行ったわ。8年ずっと続いてきたツアーに加えてね。だから休みを取って、スロウダウンし、自分自身の心、体、精神のケアを学びなさいと何かが語りかけてきたのよ。」
フォーク、ゴス、ポストパンク、インダストリアル、メタル…2010年、デビューアルバム “The Grime and the Glow” を世に放って以来、Chelsea Wolfe はジャンヌダルクの風姿で立ち止まることなく自らの音の葉を拡張し続けてきました。光と闇、激情と静謐の両極を司り進化を続けるカリフォルニアの歌姫は、しかし遂に安息を求めていました。
「私はただ自分の本能に従っているだけなのよ。そうして今の場所に辿り着いたの。」10年続いた旅の後、千里眼を湛えたスピリチュアルな音求者は、本能に従って彼女が “家” と呼ぶアコースティックフォークの領域へと帰り着いたのです。
Chelsea は最新作 “Birth of Violence” を “目覚め始めるレコード” と呼んでいます。
「批判を受けやすく挑戦的な作品だけど、私は成長して開花する時が来たと感じたのよ。」
ダークロックのゴシッククイーンとして確固たる地位を築き上げた Chelsea にとって、アコースティックフォークに深く見初められたアルバムへの回帰は確かに大胆な冒険に違いありません。ただし、批判それ以上に森閑寂然の世界の中に自らの哲学である二面性を刻み込むことこそ、彼女にとって真なる挑戦だったのです。
「私はいつも自分の中に息づく二面性を保持しているのよ。重厚な一面と衷心な一面ね。それで、みんながヘヴィーだとみなしているレコードにおいてでさえ、私は両者を表現しているの。」
逆もまた真なり。”The Mother Road” の暗静アメリカンフォークに醸造された強烈な嵐は、チェルノブイリの蜘蛛の巣をも薙ぎ払いダイナミズムの黒煙をもうもうとあげていきます。
“Little Grave” や “Perface to a Dream Play” のトラディションに蠢めく闇の嘶き。 PJ Harvey とゴスクイーンが手を取り合う “Be All Things”。何よりタイトルトラック “Birth of Violence” の平穏なるプライドに潜む、咽び叫ぶ非業の祈り。そうして作曲パートナー Ben Chisholm のアレンジとエレクトロの魔法が闇と光の二進法を優しく解き放っていくのです。
アルバムに根ざした仄暗く重厚な影の形は、世界を覆う不合理とピッタリ符合します。無垢なる子供の生まで奪い去る銃乱射の不合理、平穏な暮らしを奪い去る環境の牙の不合理、そしてその生い立ちのみで差別を受ける不合理。結局その起因はどこにあるのでしょう。
ただし変革を起こすのもまた人間です。”目覚め始めるレコード” において鍵となるのは女性の力です。
「そろそろ白か黒か以外の考え方を受け入れるべき時よ。”ジェンダー” の概念は流動的なの。そして全ての種類の声を音楽にもたらすことで沢山の美しさが生まれるのよ。今まさにその波が押し寄せているの!素晴らしいわ!」
長い間会員制の “ボーイズクラブ” だったロックの舞台が女性をはじめとした様々な層へと解放され始めている。その事実は、ある種孤高の存在として10年シーンを牽引し続けた女王の魂を喚起しインスピレーションの湖をもたらすこととなったのです。
安息の場所から目覚める新たな時代。今回弊誌では Chelsea Wolfe に2度目のインタビューを行うことが出来ました。「私の古い辞書で “Violence” とはある一つの意味だったわ。”感情の力” という意味ね。私はそれと繋がって、自らの力に目覚める人間を思い描いたの。特に力に目覚める女性をね。」 日本盤は世界に先駆け9/11に Daymare Recordings からリリース!どうぞ!!

CHELSEA WOLFE “BIRTH OF VIOLENCE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【TOOL : FEAR INOCULUM】


COVER STORY: TOOL “FEAR INOCULUM”

“After 13 Years Wait, Tool’s Fearless Return “Fear Inoculum” Is Not a Reformation But a Reinvention, Not Only a Look Back At The Past, But Also a Go Forward, Towards The Future.”

BIG READ: TIMELINE OF TOOL

1992: “OPIATE”

あの時点では、バンドのヴァイブは異なるものだった。音楽的に、俺らはただバンドとして自分たちの個性、パーソナリティーを見つけ出そうとしていたんだよ。あの頃のドラミングを聴くとやり過ぎだと思うこともある。」 そう Danny Carey が語れば、「L.A. に住むことで溜まった鬱憤を音楽で晴らそうとしていたね。だからあの頃の音楽は、感情的で解き放たれたプライマルスクリームなんだよ。俺は Joni Mitchell と SWANS の大ファンだったから、よりパーソナルで心に響く歌詞を目指していたんだ。」と Maynard James Keenan は語ります。
宗教や因果応報を描いた Maynard のリリックは異端の証。若さに牽引されたアグレッション、清新な表現力の躍動と、未だシンプルな設計にもかかわらずプログレッシブなヒントを覗かせるアレンジメント。”アートメタル” と謳われたデビュー EP “Opiate” には原始的な TOOL のスタンダードが確かに散りばめられていたのです。
面白い事に、Adam の担任教師は Tom Morello の母親で、Maynard と Tom は一時期バンドをやっていました。さらに Danny は Tom の紹介で TOOL に加入しています。確かにカリフォルニアから新たな何かが始まる予感はあったのです。NIRVANA のビッグセールスが後押ししたのは間違いありません。業界のハイエナたちは次の “ビッグシング” を血眼で探していました。そうして全てはこの27分から始まりました。


1993: “UNDERTOW”

デビューフル “Undertow” で、TOOL はアートメタルから “マルチディメンショナル”メタル、多次元の蜃気楼へ向けて、同時に巨大なロックスターへ向けても歩み始めました。
“Sober” や “Prison Sex” の脆くナイーブな音像はオルタナティブロックの信奉者を虜にしましたし、一方でアルバムを覆うダークな重量感は新時代のメタルを期待するキッズの新約聖書に相応しい威厳をも放っていたのです。
「彼らはメタルなのか?インダストリアルなのか?プログレッシブなのか?グランジなのか?」整然と流動、憤怒と制約、そして非言語的知性。Adam が手がけた、大手マーケットチェーンから販売を拒否された危険なアートワークも刺激的。世間は必死で TOOL の “タグ” を見つけようとしましたが、実際彼らはそのどれをも捕食したしかし全く別の何かでした。新進気鋭のプロデューサー Sylvia Massey との再タッグも功を奏したでしょうか。

“Intolerance” で自らの南部バプティスト教会の出自を、そして “Prison Sex” で幼少時に受けた性的虐待を書き殴った Maynard の情熱的で時に独白的な感情の五月雨は、JANE’S ADDICTION のアーティスティックな小宇宙、BLACK SABBATH の邪悪な中毒性、RUSH の複雑怪奇と見事に溶け合い、深みの縦糸と雄大の横糸でアルバムを織り上げていきます。
音楽的な最高到達点とは言えないでしょうが、間違いなく TOOL にとって最も反抗的でエモーショナルかつパワフルなアルバム、そしてロックの “顔” を永遠に変えたアルバムに違いありません。

1996: “Ænima”

ダイナミックな Paul D’Amour がバンドを離れてはじめてのアルバム “AEnima” は、ダークサイケデリックな音の葉で拡張する TOOL 細胞を包み込んだ芸術性の極み。進化した TOOL の宇宙空間では無数のアトモスフェリックな魂がふわふわと漂い、待ち構える鋭き棘に触れては弾け、触れては弾けを繰り返すのです。
タイトルの “AEnima” こそが最大のヒントでしょう。カール・ユングが提唱した、男性の中に存在する無意識の女性 “Anima” とアナル洗浄機 “Enema” のキメラは完全にその音楽とフィットしています。
遂に完全に見開かれた “サードアイ”。新たなベースマン Justin Chancellor はバンドに即興性とシュールでエアリーなムードをもたらしました。自虐と怒りのカタルシスを内包しつつ、広大なサウンドスケープを解き放つ “Eulogy”、Maynard の瞑想的でソウルフルなパフォーマンスが印象的な “H.” は新たなサウンドへの架け橋でした。

そうしてバンドは自らの進化を人間の進化へとなぞらえます。”Forty Six & 2″ は脳に刺激を与えるオデッセイ。現在人のDNAには、44個の常染色体と2個の性染色体が含まれています。つまり人間の次なる進化、46個の常染色体への進行は TOOL の突然変異と通じているのでしょう?
「これは変化のアルバムだ。家を掃除して、改築してやり直すためのね。」96年に Maynard はそう語っています。振り返ってみると “AEnima” はインスタントに “Nu-metal” の波へと加担したモッシュのパートタイマーを “パージ” “追放” する作品だったのかも知れませんね。言葉を変えれば、Kurt Cobain が破壊した後のポスト・ロック世界で、TOOL が “再生” を担う次の王座に座ることは多くの “ジェネレーション X” たちにとって約束されたストーリーに思えたのです。

2001: LATERALUS”

5年ののち、2001年にリリースされた “Lateralus” はミレニアムへの変遷と時代の変遷を重ねたレコードでした。当時 TOOL のファンと LIMP BIZKIT のファンの違いを尋ねられた Maynard はこう答えています。「TOOL のファンは読書ができる。より人生に精通している傾向があるね。」
そこにかつての怒れる男の姿はもうありません。ステップアップを遂げる時が訪れました。「俺たちは間違いなくパンクロックの産物だよ。ただし、ただ反抗するんじゃなく、大義のために反抗しなきゃならない。つまりこのぶっ壊れた音楽産業にだよ。俺らのゴールは、みんなが自分自身のために価値のある何かをするよう促すことなんだ。」
足の筋肉 “vastus lateralis” と外的思考 “lateral thinking” のキメラ “Lateralus” は融和と前進のアルバムです。
Alex Gray のアートワークには、脳に “神” が宿り、より深い人間の気質を仄めかします。つまり TOOL は憎悪、精神性、制限された信念といった後ろ向きなイメージを手放すよう人々に新たな詔を下したのです。
Nathaniel Hawthorne の古典 “緋文字” で David Letterman の皮肉を皮肉った “The Grudge”、人生の価値を投げかける “The Patient”、そしてコミュニケーション崩壊の危険を訴える “Schism”。「コミュニケーションを再発見しよう!」シンガーはそう懇願します。

「Robert Fripp のギタープレイが俺を目覚めさせてくれたんだ。」先ごろ Adam Jones の自らを形作ったギタリスト10人が発表されましたが、1位が Robert Fripp、2位が Adrian Belew、3位が Trey Gunn でした。つまりベスト3を KING CRIMSON のメンバーが独占するほど Adam はクリムゾンの影響下にあるわけですが、とりわけ “Lateralus” は70年代の “クリムゾンゴースト” が最も潜んだアルバムと言えるかも知れませんね。つまり決して耳に優しいレコードとは言えません。しかしその分深くワイドでもあります。
“Parabol” と “Parabola” は作品のセンターに据えられた二本柱。実験的で不気味なサウンドスケープから、アドレナリンラッシュを伴い人間の闘争と解放の驚異的なまでに動的な解釈を提示する彼らのダイナミズムは圧倒的です。
そして何よりタイトルトラック “Lateralus” は自然と芸術を駆け抜けるあのフィボナッチ数列に準じています。9/8、8/8、7/8と下降する美しき変拍子の階段は、フィボナッチ数16番目の数字987を意識して構築されました。「無限の可能性を見ろよ」と歌い紡ぐ Maynard。数学者としての TOOL と実証主義者としての TOOL は遂にここにポジティブな融和を果たしたのです。

2006: “10,000 DAYS”

さらに TOOL は “10,000 Days” で魂までをも抱きしめます。10,000日、27年とは土星の公転周期であり、Maynard の母 Judith Marie が脳卒中を患ってから死を迎えるまでの期間でもありました。
“Wings Pt 1” と “Pt 2” で、異なる巨大な概念である悲しみと信仰を同時に内包し音像へと投影する TOOL のスピリチュアルな作曲術は驚異的です。ただ、それ以上に Maynard が初期の「fuuuuuuuck you、buddy!」 といった毒づきや、中期の知的な創意工夫を超越して到達した “崇高” の領域に触れないわけにはいかないでしょう。
「10,000日とは あまりに過酷で長すぎるよ。どうか精霊と子よ、神様をこちらへ連れてきて。彼に伝えて欲しい、信仰の狼煙がいま立ち昇ったと。」
実に崇高かつパーソナルな感情は TOOL が魂の領域まで達した証明。”10,000 Days” はバンド史上最もオープンで、優しく脆く人間的で、それ故に最も感情へと喚起するアルバムに仕上がりました。そうしてその崇高は13年後の成熟へと引き継がれていくのです。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HUMANITY’S LAST BREATH : ABYSSAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BUSTER ODEHOLM OF HUMANITY’S LAST BREATH !!

“Djent Was a Continuation Of What Meshuggah Started. Everyone Added Their Own Flavour To The Sound For Better Or For Worse. Thall Is Just a Word That Sounds Funny In Swedish.”

DISC REVIEW “ABYSSAL”

「MESHUGGAH はあの本当にユニークなサウンドの先駆者なんだ。演奏の面でも、作曲の面でもね。僕たちも含めて多くのバンドが彼らの直接的な子孫だと言えるだろうな。」
そのジャンル名は “EVIL”。MESHUGGAH の血を引くスウェーデンの猛威 HUMANITY’S LAST BREATH は、シーンに内在する愚かな “ヘヴィネス” の競争を横目に、純粋で無慈悲なまでに冷徹な恐怖と狂気を世界へと叩きつけます。
Calle Thomer と Buster Odeholm。”Thall” 生みの親にして Djent の神、VILDHJARTA のメンバー2人を擁する HUMANITY’S LAST BREATH に大きな注目が集まるのはある意味必然だったと言えるでしょう。何より、VILDHJARTA 本体は長らく隠遁状態にあったのですから。
ただし、HLB は決して VILDHJARTA のインスタントな代役というわけではありません。「Djent のムーブメントは MESHUGGAH が始めたことの継続だったんだ。良しにつけ悪しきにつけ、みんながその下地に独自のフレイバーを加えていったよね。」Buster の言葉が裏付けるように、HLB が追求し個性としたのは Djent を通過した “重” と “激” の究極形でした。
2012年のデビューフル “Humanity’s Last Breath” から7年。実際、唯一のオリジナルメンバー Buster がバンドを一度解体し、再構築して作り上げた最新作 “Abyssal” は彼の愛する MORBID ANGEL のように重量以上の畏怖や威厳を伝える音の “深淵” だと言えるでしょう。
「ヘヴィーな音楽において、コントラストは非常に軽視されていると思うんだ。だけど僕はソングライティングのアプローチにおいて、最も重要な要素の1つだと考えているよ。」モダンメタルコアの新星 POLARIS はヘヴィネスの定義についてそう語ってくれましたが、HLB の威容にも奇しくも同様の哲学を垣間見ることが可能です。
オープナー “Bursting Bowel Of Tellus” は HLB が描く “激重” の理想なのかも知れませんね。威風堂々、デスメタルの重戦車で幕を開け、ピッチシフターの雄叫びと高速シンコペーションで djenty なカオスを創出。ブラストの悪魔を召喚しつつ呪術的なクリーンボイスでさらなる中毒性を醸し出すバンドの方程式は、まさしくヘヴィネスの坩堝と対比の美学に彩られています。
事実、新ボーカル Filip Danielsson の豊かな表現力は HLB にとって進化のトリガーだったのかも知れません。獰猛な咆哮はもちろん、時にエセリアルに、時に邪悪に、時に囁き、時に静寂まで呼び寄せる Filip のワイドな魔声により、仄かな北欧の風を伴ってバンドは多様に真の “激重” の探求へとその身を委ねることになりました。
さらに “Born Dust”, “Fradga”, “Abyssal Mouth” と聴き進めるうち、そこには STRAPPING YOUNG LAD, FEAR FACTORY と交差する、近未来感を軸としたシンクロニシティーがまざまざと浮かんで来るはずです。それはブラッケンドで djenty な最高級のテクニックを、惜しげも無く純粋にヘヴィネスへと注ぎ込み昇華した桃源郷のディストピア。
もちろん、アルバムの第二幕、全楽曲のインストバージョンは建築士としての自信と DIY の矜持であることを付け加えておきましょう。彼らのデスコアマッドネスに知性は不可欠です。
今回弊誌では、ドラムスとギターを自在に操る鬼才 Buster Odeholm にインタビューを行うことが出来ました。「”Thall” とはスウェーデン語で面白く聴こえるようなただの言葉なんだ。」今、世界で最も重力を集めるブラックホール。どうぞ!!

HUMANITY’S LAST BREATH “ABYSSAL” : 10/10

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