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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMMORTAL GUARDIAN : PSYCHOSOMATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH IMMORTAL GUARDIAN !!

“Now It’s The Only Way I Play Music. I Feel Naked When I Only Have Just One Of The Guitar Or The Keyboard On Me. It’s How I Think And How I Express Myself The Best Musically.”

DISC REVIEW “PSYCHOSOMATIC”

「ギターとキーボード、どちらか片方だけを持っていると半裸になったような気分になるんだ。それが僕の考え方で、音楽的に最高の自分を表現する方法なんだよね。」
ダブルネックの16弦ギター、モンゴルのホーミーと伝統楽器、アステカの笛に骨のマイク。弊誌ではこれまで、奇想天外なアイデアとメタルの融合をいくつも報じてきました。
どんな突飛な発想とも真摯に向き合うメタルの包容力は、そこから驚くほどドラマティックで獰猛なキメラを多数輩出してきたのです。馬鹿らしさを馬鹿らしさだけで終わらせないメタルの神秘。それでも、ギターとキーボードを同時に演奏という曲芸じみた異能に挑戦する戦士は Gabriel Guardian がはじめてでしょう。
「この2つの楽器を組み合わせることで多くのことが実現できる。音楽的に多くの表現ができるし、そこに無限の可能性を秘めていることも気に入っているよ。」
実際、Gabriel は例えば Alexi Laiho と Janne Wirman の役割を一人で同時にこなすことを究極の目標としている節があります。そのためには、もちろん、基本的にはギターをピッキングなし左手のタップだけでプレイする必要がありますし、鍵盤は右手だけ。ただし、その欠点を補ってあまりある視覚的なインパクト、そしてユニゾンやコード、リズミックなアイデアの広がりがあることは明らかでしょう。他人と意思疎通することなく、自由自在に掛け合いができるのですから。
「僕は昔からメタルにおけるクラシック音楽が好きだったんだ。若い頃はクラシックを聴いていたけど、それからは正直あまり聴いていなかった。だからクラシックの影響というよりも、自分の曲にクラシックの影響を取り入れているメタルバンドから多くの影響を受けたんだ。」
“Read Between The Line” を聴けば、Gabriel の “ギターボード” という発想がメタルとクラッシックのさらなる融合に一役買っていることに気づくはずです。彼はクラシカルなメロディーをその異能で立体的に配置し、構成する技能に優れていますがクラッシックの教育は受けていません。しかしだからこそ、難解複雑な理論よりも、メタル者が欲する “クラシカル” の海へと音楽を没入させることが可能なのでしょう。
「僕たちの曲はパワーメタルで、クラシカルなシュレッドギター/キーを使っているけど、ドラマーとベーシストのリズムセクションはモダンでテクニカルなメタルに傾倒している。この融合が素晴らしくて、このジャンルの名前を思いついた人をまだ見たことがない。」
シンガロングの麻薬 “Phobia” は象徴的ですが、リズムセクションが牽引する djenty なリフワークとパワーメタルの婚姻も想像以上に鮮烈な化学反応をもたらします。フラスコには、メキシコ、ブラジル、カナダ、テキサスの多様な背景、文化がしたたり、メタル革命を指標する “スーパーメタル” が誕生しました。間違いなく、OUTWORLD や HEAVEN’S GUARDIAN で知られる Carlos Zema の強靭な歌声は革命のハイパーウェポンでしょう。
「今回のパンデミックで世界中の人々が受けた心身への影響を目の当たりにして、このアルバムのテーマが思い浮かんだ。その結果、ソリッドでヘヴィで革新的なアルバムになった。今、世界で起きていることと密接に関連している。」
“Psychosomatic”、心身症と名付けられたアルバムは、その名の通りパンデミックが引き起こしたロックダウンや自己隔離といったストレスにより、心や身体に異常をきたす非日常の2020年代をビッグテーマとしています。一時は “Candlelight” 蝋燭の灯で悲しみに沈んだアルバムは、それでも “New Day Rising” の希望に満ちたプログレッシブなパワーメタルで新たな日々の到来を焦がれるのです。
今回弊誌では、Gabriel Guardian, Carlos Zema にインタビューを行うことが出来ました。「欠点は、2つの楽器を常に練習しなければならないこと。2つの楽器を使いこなすために、他のミュージシャンの2倍の練習をしなければならないんだ。2つの楽器をセットアップして、ケアをしなければならないのもめんどうだよね。」 不死の守護者によるメタル革命のはじまり。どうぞ!!

IMMORTAL GUARDIAN “PSYCHOSOMATIC” : 9.9/10

INTERVIEW WITH GABRIEL & ZEMA

Q1: First of all, this is the first interview with you. So, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【GABRIEL】: I listened to a lot of classic rock growing up. Big fan of the Beatles, Zeppelin, Sabbath, CCR. Around age 11 I was introduced to Santana, Yngwie, Eric Johnson, Stevie Ray Vaughn, etc and those very guitar heavy bands, that changed my life! I didnt know you could “speak” so much with your guitar and instrumental music…. But when I found bands like Symphony X, Iron Maiden, Dream theater, Children of Bodom, etc, they really inspired me to make the music I make today. Those epic symphonic arrangements, with killer guitar riffs and the catchiest vocals… when i first heard it. I knew that’s the music I wanted to make for the rest of my life.

Q1: 本誌初登場です。まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【GABRIEL】: 子供の頃からクラシックロックをたくさん聴いていたんだ。ビートルズ、ツェッペリン、サバス、CCRの大ファンだったよ。そして11歳の頃、サンタナ、イングウェイ、エリック・ジョンソン、スティービー・レイ・ヴォーンといったギター中心の音楽を紹介され、人生が変わったんだ。ギターとインストゥルメンタル・ミュージックでこれほどまでに “話す” ことができるとは知らなかったよ….。
それから、SYMPHONY X, IRON MAIDEN, DREAM THEATER, CHILDREN OF BODOM といったバンドを発見し、彼らに刺激を受けて今の音楽を作るようになったんだ。
壮大なシンフォニック・アレンジ、キラー・ギターリフとキャッチーなヴォーカル…最初にああいった音楽を聴いた時、これが自分の作る音楽だと思ったんだよ。これが僕の人生の残りの時間をかけて作りたい音楽だとね。

Q2: You are an expert on both guitar and keyboards, which instrument did you start with? Who were your musical heroes at the time?

【GABRIEL】: I started first on drums surprisingly lol. My father and brother are both amazing drummers. When my brother and I started playing together, he was much better than me so it was an easy choice to go to the guitar. A lil like the Van Halen bros haha.
I’m a HUGE fan of Alexi Laiho and Santana. The mix of those guitarists is my vibe!! I love the classical heavy riffs and shred from Alexi. The way he brought classical to metal and kept it heavy and dark is just amazing. COB really changed the game for us metal guitarists. And I love the way Santana makes his guitar sing, expresses so much soul and feeling out of such simple yet genius phrases. Doesn’t matter which song you ever hear with him in it, pop, rock, latin, etc. Within the first lick, you already know it’s him. He has this signature sound that’s so recognizable and it’s always been my goal to strive for that.
Of course lots of power metal and also bands with keyboard/guitar shreds influenced me a lot. Stratovarius, Dream Theater, Dragonforce, Children of Bodom, Rush, Rhapsody, etc. Keyboards are something I always found cool in metal. Whether it was shredding lead synths like power metal, or dark symphonic keys like Dimmu Borgir, I’ve always been obsessed with adding keyboards to everything I’m working on. Believe it or not, but almost all my ideas/riffs come from the keyboard first then go to the guitar. I’m a better guitarist than I am a keyboardist, but I love the keyboard probably more.

Q2: あなたはギターの達人でもあり、キーボードの達人でもありますが、どちらの楽器から始めたんですか?
当時の音楽的なヒーローは誰でしたか?

【GABRIEL】: 意外にも、最初はドラムから始めたんだ (笑)。父も兄もすごいドラマーなんだよね。僕と兄が一緒にプレイし始めた時は兄貴の方がドラムがずっと上手かったから、僕がギターに行くのは簡単な選択だったんだ。VAN HALEN の兄弟みたいだよね。
僕は Alexi Laiho とサンタナの大ファンなんだ。2人をミックスしたものが僕のヴァイブだよ! Alexi のクラシカルでヘヴィなリフとシュレッドが大好きだ。彼がクラシックをメタルに持ち込んで、それをヘヴィでダークなものにする手法は本当に素晴らしい。COB は本当に俺達メタルギタリストの世界を変えてくれたんだ。
サンタナについては、彼ののギターを歌わせるやり方が大好きだし、シンプルだけど天才的なフレーズの中に魂と感情を表現しているよね。ポップスでもロックでもラテンでも、どんなジャンルの曲でも関係ない。最初の一音で、それが彼だとわかるんだ。彼には彼のシグネチャー・サウンドがあり、それはとてもわかりやすく、常にその領域を目指して努力することがぼの目標だったんだよ。
もちろん、パワーメタルバンドや、キーボードやギターのシュレッドを使ったバンドからも大きな影響を受けている。STRATOVARIUS, DREAM THEATER, DRAGONFORCE, COB, RUSH, RHAPSODY みたいなバンドさ。
キーボードはメタルにおいて常にクールなものだと思っていたよ。パワーメタルのようなシュレッダー・リード・シンセであれ、DIMMU BORGIR のようなダークなシンフォニックなキーボードであれ、僕は自分がやっていることすべてにキーボードを加えることに夢中になっていたんだ。
信じられないかもしれないけど、僕のアイデアやリフのほとんどは、まずキーボードから出てきて、それからギターに向かうんだよ。キーボードよりもギターの方が上手いんだけど、もしかするとキーボードの方が好きなのかも知れないね。

Q3: It was amazing to play guitar and keyboards at the same time. Why did you start doing it this way?

【GABRIEL】: I always loved the keyboard a lot but I lived in this small Texas town on the Mexican border, and finding a power metal keyboard player, yet alone just a keyboardist in general was almost impossible. I guess it was one of those, “I’ll just do it myself!” kinda things.
After trying it at a few shows and then posting some videos that went viral. I found my musical outlet! Now it’s the only way I play music. I feel naked when I only have just one of the guitar or the keyboard on me. It’s how I think and how I express myself the best musically.

Q3: それにしても、ギターとキーボードを同時にプレイするあなたのやり方は、ありそうでなかったですし、これぞメタルといった趣で素晴らしいですね!どうやって思いついたんですか?

【GABRIEL】: 昔からキーボードが大好きだったんだけど、メキシコとの国境にあるテキサスの小さな町に住んでいたから、パワーメタルのキーボード奏者を見つけるのは不可能だったんだ。ただのキーボーディストを見つけるのでさえ不可能だった。だから自分でやってみよう!という感じだったんだと思う。
数回ライヴでやってみて、それからいくつかビデオを投稿して、ギターとキーボード同時演奏がバズったんだ。遂に自分の音楽的な捌け口を見つけたんだ!今ではそれが僕の唯一の演奏方法だよ。
ギターとキーボード、どちらか片方だけを持っていると半裸になったような気分になるんだ。それが僕の考え方で、音楽的に最高の自分を表現する方法なんだよね。

Q4: What are the pros and cons of playing guitar and keyboards at the same time?

【GABRIEL】: The pro is I have full control over ideas of guitar and keys and nothing gets lost in translation between members like it did in the past.
I love that there is one less person on tour, one less person to pay, feed, air travel etc.
I also love that I can have SO much expression and infinite possibilities musically because you can do a lot with these two instruments.
The cons is practicing TWO instruments all the time. Constantly having to practice twice as much as most musicians because you want to keep the chops up on both instruments. Having to setup and take care of two instruments also sucks haha. Double the recording, double be time, the editing, the time it takes to do pretty much anything. Traveling with two instruments. Don’t get me started… ha. But I wouldn’t change it any other way. I absolutely love to play guitar AND keys and I don’t mind the endless cons that come.

Q4: ギターとキーボードを同時にプレイする際の、長所と短所を教えていただけますか?

【GABRIEL】: 長所は、ギターとキーボードのアイデア両方を完全にコントロールできることかな。以前のようにメンバー間でのやりとりで迷うことは何もないからね。ツアーに参加する人が一人減って、支払いや食事、飛行機代などが一人分減るのも嬉しい。
また、この2つの楽器を組み合わせることで多くのことが実現できる。音楽的に多くの表現ができるし、そこに無限の可能性を秘めていることも気に入っているよ。
欠点は、2つの楽器を常に練習しなければならないこと。2つの楽器を使いこなすために、他のミュージシャンの2倍の練習をしなければならないんだ。2つの楽器をセットアップして、ケアをしなければならないのもめんどうだよね。レコーディングも2倍、ビータイムも2倍、編集も2倍、何をするにも時間がかかる。
2つの楽器を持って旅をする。俺には無理だよ…はぁ。でも、他の方法には変えられないしね。僕はギターと鍵盤を弾くのが大好きだし、まあ無限の欠点があっても気にしないよ。

Q5: You refer to your music as “super metal”. What exactly do you mean by “super metal”? Are you trying to start a metal revolution?

【GABRIEL】: Super metal is the mix of all the metals we play in Immortal Guardian. Because everybody in the band is from different backgrounds, cultures, countries etc, so is our metal musical tastes. We all love metal but grew up playing different kinds. It’s the best part about immortal Guardian if you ask me. We got power metal singing, with classical shred guitars/keys but our drums and bassist rhythm section is super into modern and technical metal.
The mix is wonderful and we have yet to see someone do this and also come up with a name for the genre. Our fans just started calling us that so over the years we ran with it and even named our first ep that. Lol
And yes…we are starting a metal Revolution, and it has already begun!

Q5: あなたは IMMORTAL GUARDIAN の音楽を “スーパーメタル” と称していますね?

【GABRIEL】: “スーパーメタル” とは、IMMORTAL GUARDIAN で演奏する全てのメタルをミックスしたものだよ。バンドのメンバー全員が異なるバックグラウンド、文化、国の出自を持っているから、メタルの好みも同じく幅広い。僕達は皆メタルが大好きだけど、育った環境が違うんだ。それが IMMORTAL GUARDIAN の醍醐味なんだ。僕たちの曲はパワーメタルで、クラシカルなシュレッドギター/キーを使っているけど、ドラマーとベーシストのリズムセクションはモダンでテクニカルなメタルに傾倒している。
この融合が素晴らしくて、このジャンルの名前を思いついた人をまだ見たことがない。だから僕たちのファンがそう呼ぶようになったんだ、何年もかけてそれを実行してきたし、俺たちの最初の EP もそう名付けたんだよ。(笑)
そして、そう…僕たちはメタル革命を始めようとしている。革命はすでに始まっているんだよ!

Q6: Gabriel is of Mexican descent, Carlos is Brazilian, Justin is Canadian and Josh is Texas. It’s a very multinational band. Of course, you must have had a hard time with the pandemic, but it’s interesting to see the cultural diversity that exists, right?

【ZEMA】: yes, so many brilliant ideas come with this diversity and different influences on our background, musically you couldn’t get a better range of ideas. Being located far away from each other just made us more eager to accomplish our goals as a band as well. That’s what makes this band so unique as well. The passion, the dedication, the fight is real when putting this music together.

Q6: Gabriel が言うように、Gabriel はメキシコの血を引き、Carlos はブラジル、Justin はカナダ、Josh はテキサスと非常にインターナショナルなバンドになっていますね。
ゆえに、パンデミックでのレコーディングは大変だったでしょうが、実に多彩な音楽が生まれています。

【ZEMA】: そうだね、その出自の多様性と、僕らの背景にある様々な影響によって、多くの素晴らしいアイデアが生まれたんだ。それに、お互いに離れた場所にいることで、バンドとしての目標を達成したいという気持ちが強くなったんだよ。それがこのバンドをとてもユニークな存在としているんだ。情熱、献身、闘争心を持って音楽を作っているんだ。

Q7: Why did you choose the title “Psychosomatic” this time? Some titles are related to the pandemic, such as Lockdown and Self-Isolation, do you have a concept for the album?

【ZEMA】: the theme of the album came to kind after watching all the psychosomatic effects that ever person in the world suffered throughout this pandemic. And the result, came as a solid, heavy and innovative album. Super relative to what’s going on right now in the world. In my opinion this is the most expressive album that Immortal Guardian has ever recorded, the heaviest and the most creative. We have written very modern ideas with what we have as influence throughout our careers.

Q7: “Psychosomatic” というアルバムタイトルを選んだのはなぜですか?作品には、”Lockdown”, “Self-Isolation” といったパンデミックに関連するタイトルも収められていますが。

【ZEMA】: 今回のパンデミックで世界中の人々が受けた心身への影響を目の当たりにして、このアルバムのテーマが思い浮かんだ。その結果、ソリッドでヘヴィで革新的なアルバムになった。今、世界で起きていることと密接に関連している。
僕の考えでは、このアルバムは IMMORTAL GUARDIAN がこれまで制作した中で最も表現力に富んだアルバムで、最もヘヴィで最も創造的なアルバムだと思う。自分たちのキャリアを通して影響を受けてきたものを使って、非常に現代的なアイデアを描いているんだ。

Q8: “Read Between The Line” is one of my favourite songs. You’re very good at bringing classical melodies to metal, would you agree? Who is your favorite classical composer?

【GABRIEL】: I have always loved classical music in metal. I did listen to some classical music growing up but honestly not too too much. I got a lot of my classical influence from metal bands who put classical influences in their songs haha. Do you know what I mean? I had the blessing of listening to bands like Children of Bodom and Symphony X growing up. I learned a lot of those kinda of phrases and melodies from learning tons of metal songs growing up. I only know a very small handful of classical songs. A lot of people think I’m classically trained or something but I’m the furthest from that haha. I’ve never taken a lesson before and I still can’t really read music. One day I plan to eventually learn how to read and play classical music, but right now i mainly focus on how to write better songs and keep up with my techniques.

Q8: “Read Between The Line” はフェイバリットの一つですよ。今、クラッシックをメタルに持ち込むギタリストであなたは5本の指に入るでしょうね。構成力が素晴らしいですよ。

【GABRIEL】: 僕は昔からメタルにおけるクラシック音楽が好きだったんだ。若い頃はクラシックを聴いていたけど、それからは正直あまり聴いていなかった。だからクラシックの影響というよりも、自分の曲にクラシックの影響を取り入れているメタルバンドから多くの影響を受けたんだ。わかるかな?
CHILDREN OF BODOM や SYMPHONY X のようなバンドを聴いて育ったんだ。沢山のメタルソングを聴いて育ったから、そういうフレーズやメロディーをたくさん学んだわけさ。クラシックの曲はほんの一握りしか知らないよ。
多くの人は僕がクラシックの訓練を受けているか何かだと思っているけど、そうじゃないんだ。レッスンを受けたこともないし、楽譜を読むこともできない。いつかはクラシック音楽を読んで弾けるようになりたいと思っているけど、今はより良い曲を書くこととテクニックを身につけることに主眼を置いているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ZEMA’S LIFE

HELLOWEEN “KEEPER OF THE SEVENTH KEYS PART1”

JUDAS PRIEST “PAINKILLER”

IRON MAIDEN “SEVENTH SON OF A SEVENTH SON”

METALLICA “…AND JUSTICE FOR ALL”

ANGRA “ANGELS CRY”

MESSAGE FOR JAPAN

I would like to thank you for all the support in Japan, the most amazing fans in the world! For all these years all of you have given me support in all 27 albums I’ve ever released and now with the best band I’ve ever had, I see a big chance of us touring in Japan! You guys are the best and I can’t wait to perform for you guys, and see you all singing together with this music we have poured out hearts into! Keep on rocking

世界で一番素晴らしいファンのみんな、日本のサポートに感謝しているよ!何年も、僕がこれまでにリリースした27枚のアルバム全てで皆に支えられてきたし、今までで最高のバンドと一緒に、日本でのツアーの大きなチャンスが見えてきたよ!
みんなは最高だよ!君たちのためにライブをするのが待ちきれないし、僕らが心を込めて作った音楽でみんなが一緒に歌う姿を見るのが待ちきれない。Keep on Rockin’!!

CARLOS ZEMA

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【WARDRUNA : KVITRAVN】


COVER STORY : WARDRUNA “KVITRAVN”

“Wardruna’s Music Is a Way Of Connecting To Those Energies In The Absence Of Nature. It Becomes a Bridge. It Becomes a Way Of Getting In Touch With These Things I Think a Lot Of People In Modern Society Are Feeling a Loss Of, Or a Longing For. Some Form Of Connection To Our Surroundings.”

THE RISE OF NORDIC FOLK

古き良き道を守り続けてきたノルウェーの WARDRUNA は、遠い過去や文化の大仰で滑稽な遺物だと思われるかもしれません。しかし、彼らの音楽が、実際は今日の自分たちを理解する鍵となるのかもしれません。実際、スカンジナビアに行けば、北欧のフォークミュージックが鉄器時代のヨーロッパの公海にバイキングが最後に乗り込んで以来、最大のブームを記録しているのですから。
WARDRUNA は明らかにそのムーブメントの先頭に立っています。彼らのリリシズムの根底には神話や伝説があり、その壮大で瞑想的なサウンドは “Game of Thrones” の中でも特に暴風のエピソードにおいて違和感を感じることはないはずです。彼らのニッチな部分は、毛むくじゃらなジェイソン・モモアと、あごを掻きむしるメタルヘッドの間へ進入しているのです。
WARDRUNA という名前は「ルーンの守護者」と訳され、ニッケルハルパ、ヤギの角、骨笛、西暦500年のドイツ製竪琴のレプリカを使って音楽を奏でます。フロントマンの Einar Selvik は、長い格子状の顎ひげを生やし、ヴァイキング時代のシャープな髪型を整え、凍てつくようなフィヨルドの風景の中で、裸足で自然への頌歌を厳粛に歌い上げるのです。驚くべきことに、”Lyfjaberg (Healing-mountain)” のビデオは1000万回の再生回数を突破しています。
Einar は自らの音楽について「シリアスである必要はないし、深遠である必要もない」と語ります。明るい目をしていて、カリスマ性があり、誠実な人物。シニカルな時代においても、彼の魔法に影響される余地は十分にあるでしょう。彼は、時代や世界を超えて語りかけるような音色、モード、ドラムパターンを採用しています。
「ある意味では、原始の音は俺たちのDNAの中にあると思うし、世界的なものだ。だからどこの国の人であっても、つながることができると思う」

セカンドアルバム “Yggdrasil” がリリースされたあと、WARDRUNA の音楽はヒストリーチャンネルのテレビ番組 “Vikings” で大きく取り上げられ話題となりました。この番組のプロデューサーは最終的に Einar に直接連絡を取り、”Vikings” の シーズン2のサウンドトラックで作曲家の Trevor Morris (The Borgias) とのコラボレーションを依頼したのです。
「音楽業界で成功するには、まず良い音楽を作ること、そして次に聞かれることが重要なんだ。」
少なくとも、WARDRUNA はプログレッシブな音楽を作っています。過去を描き、現在を表現し、未来の予想図を提示する。博物館のケースから古い楽器を取り出しながら。実際、太古の楽器が奏でる刺激的な音に耳を傾けると、多くの海を越える大航海のイメージが浮かんできます。”Assassin’s Creed” のメーカーも確かにそう考えたようで、人気ビデオゲームの最新作 “Valhalla” の音楽に Einar を抜擢しています。新進気鋭の AURORA との共演も実現。
明らかにステレオタイプなポップスターというよりも、頑固な学者タイプである Einar は、北欧の民俗学を掘り下げ、雄鹿、烏、狼への頌歌や、癒しの “薬の歌” と呼んでいる音楽を披露します。新しい歌を研究する際には考古学者、歴史家、言語学者に依頼し、オックスフォードからデンバーまで大学で自らの仕事について講義まで行ってきました。
「自然との関係、お互いとの関係、そして自分自身よりも大きな何かとの関係において、古い文化を利用すること。それが昔話や昔の音を掘り起こす理由だよ。俺は、過去から学ぶ価値があると感じるものに声を与えているだけだからな」
ではなぜ、Einar は古代北欧の神話に惹かれたのでしょうか?
「子供の頃に古代北欧の物語や歴史に心を奪われたんだ。白と黒、善と悪といった一神教的な世界観とはとても違っていたから。それははるかに複雑なものだったよ。10代の頃には、古い伝統の秘教的でスピリチュアルな側面への興味がさらに深まりまったね。でも、それらを音楽的に解釈してくれる人はいなかった。だから俺はそれを試してみたいと思ったんだ。個人的にもっと意味のあることをしたいと思っていたんだよ。古い詩をただ暗唱するだけではなく、その知識を統合することが重要なんだ。」


Einar にとってルーンはどういう意味を持つのでしょうか?
「”ルーン “という言葉には様々な意味がある。書かれた文字の表音系だけじゃなく、秘密、知識、技術、秘教的な知恵、魔法の歌を意味することもある。フィンランドの民間療法の伝統では、魔法の歌は常にルーンと呼ばれているんだ。ルーンの秘密を知ることは、人が持つことのできる最高の知識と考えられていた。だからこそ、俺はとても尊敬の念を持ってアプローチしているんだよ。
ノルウェー語、アイスランド語、アングロサクソン語の3つの異なるルーンの詩がある。それらはことわざやなぞなぞのようなもので、教育するために作られているんだ。その詩を音楽的に表現するにあたって、俺の創造的なコンセプトは、独自の前提で解釈することだったんだ。
つまり、白樺の木を象徴するBのルーンであれば、森に出て白樺の木で遊ぶ。水をテーマにしているのであれば、川の真ん中に立ってボーカルを全部やりながら、水の音を使う。そういった場所を捉えて、それを音楽に反映させていくことだね。」
Einar は自らを「マルチ・ディシプリナリアン」と表現しています。ワークショップで教えたり、レクチャーを行ったり。そして、歴史的に言えば、「確固たる地に立つ」ように努力しています。創造する際、彼は根のない木に登ることに抵抗があるのです。
同時に彼は、教養と素朴さのバランスを求めています。ただ古代の管楽器の起源を理解するだけで、子供のように初めて演奏することの驚きと喜び(そして失敗)を失って何の意味があるのでしょうか?
もちろん、WARDRUNA の音楽は北欧が誇るブラックメタルにも影響を受けています。あの GORGOROTH の元ドラマーという経歴は伊達ではありません。
「スカンジナビアの音楽は、この場所の環境に非常に影響を受けている。非常に重苦しく、メランコリックでダークだけど、俺たちはそこに美しさを見出しているんだ。だから伝統音楽とブラックメタルにも当然通じる所はある。初期のブラックメタルは伝統的な調性に非常に影響を受けているし、もちろんそのテーマは神話やフォークロアなんだからな」

とはいえ、Einar にとってメタルバンドは “仕事” でしかなかったようですが。
「俺はメタルのバックグラウンドを持っているけど、GORGOROTH のようなバンドはただの仕事だったんだ。それが非常にパワフルな芸術表現であることを除けば、自分の創造的な声を込めるようなものではなかったからな。GORGOROTH で Kristian と知り合った時、二人とも異教徒で、自分たちのルーツや歴史に非常に興味を持っているという共通点を見つけたんだ。だから WARDRUNA を始めたとき、彼を入れるのは自然なことだったよ。最初の頃から、彼は俺のアイデアを跳ね返してくれた男だった。一緒にコンセプトを作っていったんだ。メタルの世界でこれほど多くの人が WARDRUNA に興味を持っているのを見て、ちょっと驚いたよ。反響は圧倒的だった。」
ただし、このネオフォークの信者たちはロックダウンの間、教会を燃やすかわりに、森の中で小さなミードを作ったり、歴史を研究していたのですが。ブラックメタルの現在地については、どう思っているのでしょうか?
「俺は個人的な思いからこのプロジェクトをやっている。それ以外はすべてオマケさ。食品にしても音楽にしても、何かが工業化された途端に栄養がなくなってしまう。音楽に栄養を求める人が増えていると思う。以前のブラックメタルは音楽の背後にある意図を重視していて、テクニックや音質は二の次だった。でも、今ではテクニックが重視されていて、どれだけ良い音を出せるかが重要になってきているよね。だけどね、音楽には、意味を運ぶ全くユニークな能力がある。音の力、言葉の力、そして自分の意志と声の力は、北方の秘教的な伝統の中で重要な要素なんだよ。」
ENSLAVED の Ivar Bjørnson とのコラボレーションはまさにメタルとノルディックフォークの融合でした。
「最初のコラボレーション SKUGGSJA の依頼を受けた時、その前提は『Enslaved meets Wardruna』ということになっていたんだ。もちろん、それは非常に魅力的でクールなものだった。それから数年後に別の作品 (Hugsja) を一緒に書く機会があったんだ。 もっとアコースティックなギターとドラムを使って、より自然な風景に持っていきたいと思ったんだ。今までとは違うセットアップでね。完全な WARDRUNA や ENSLAVED ではなく、その中間のようなものさ。でも WARDRUNA よりギターが主体だ。」

WARDRUNA のニューアルバム “Kvitravn” とは、「白いカラス」を意味し、世界と世界の架け橋の象徴としてそのカラスを使用しています。アルビノの精霊動物は、多くの文化圏の神話に登場します。北欧の伝統では、カラスのフーギンとムニンはオーディンに属し、思考と記憶を象徴しています。
アルバムのストリーミングイベントでは、Einar がスカルド詩に基づいた新曲 “Munin” のソロ・ストリップバック・バージョンを披露しました。
「誰の顔も見えないがパフォーマンスをする。スカルドは北欧の吟遊詩人。彼らは大きな力を持っていた。彼らは物事に名前を付けることができ、そうすることで物事をコントロールすることができたんだ。スカルドは人々の生きた記憶を持っていた。彼らは過去と現在の間の 媒介者としての役割を果たした。オーディンは詩の神だよ」
Einar “Kvitravn” Selvik。自らの呼称の一部を冠した作品は、これまでよりもパーソナルなものにも思えます。
「必ずしも個人的なものだとは言わないよ。アルバムには自分のアーティスト名のバリエーションが入っているけど、自分の名前を冠したアルバムではないからね。というよりも、最初にその名前を名乗ろうと思ったきっかけと同じものに飛び込んでいると言ってもいいだろうな。
ある種のことをより深く掘り下げているとは思うよ。それはおそらく、様々な伝統や自然との関係、そして自分自身をどのように定義しているのかといった人間の領域に焦点を当てているのだろう。
多くの曲は俺の視点から見た曲なんだ。そういう意味では、もちろん少し親近感がある。だからこそ、より個人的なアルバムとして受け止められるのかもしれないけどね。」

動物は Einar にとっていつもインスピレーションをもたらしてくれる源泉です。
「もちろん動物は、トナカイであれ熊であれヘラジカであれオオカミであれ、カラスやヘビであれ、インスピレーションを与えてくれる。このアルバムにはオオカミも登場しているしね。
その曲は、動物と人間の関係をロマンチックにしようとしているわけではないんだけど、俺らが輪になっていた頃に戻ろうとしているんだ。ここノルウェーでは基本的にすべてのオオカミを殺してしまった。多くの人が彼らを殺したいと思っていたからね。
俺ははこの問題を理解している。争いの全体像も理解している。双方の立場を理解しているんだ。自然界で起きている全ての問題は、生態系の一部を取り除けばオオカミだけではなく、自然全体に影響を与えることになる。全体のサイクルが不均衡になるんだよ。俺たちは自然の保護者であり、管理者でなければならないからね。
オオカミを殺すことは有効な解決策ではない。クマやオオカミ、そしてこれらの肉食動物と一緒に暮らすことには、犠牲が伴うことを理解しなければならないんだ。犠牲があるとすれば、それには価値がある。真の価値がね。」
“Kvitravn” で Einar は、記憶の声のように、また21世紀の私たちの良心のように、音の葉に舞い降ります。重要なのは、これが単に歴史の再演ではない点でしょう。彼にとっては、「自分のルーツを知ることで方向性が見えてくる」のです。
「自然が語りかけてきても、俺たちはその声に耳を傾けなくなった。このアルバムは、自然と再接続するための心の叫びなんだよね。それはロマンチックな考えではないよ。古代では、人類は自然と戦い、自然をコントロールしようとしていたんだから。今では、自然からほとんど完全に離れてしまった。2020年の春、一般の人たちが緘黙していたことに改めて気づかされたね」

WARDRUNA の音楽は、”ペイガニズム” が何を意味するのか、それが過去の意味とどのように異なるのか、という私たちのロマンチックな概念と、自然の不在に対する私たちの “憂鬱” との間の “摩擦”(Einar が繰り返し使う言葉)を探求しているのです。
Einar は野外で歌を「狩り」に出かけます。彼は音楽的に “文盲” であると自称し、直感的に曲を作ります。そしてその直感をドラマチックな自然の空間で演奏するのです。Einar は WARDRUNA の音楽を「自然の不在の中で、自然のエネルギーに接続する方法」だと考えています。
「架け橋になるよ。現代社会では多くの人が自然を失い、憧れを感じていると思う。環境とのつながりのようなものをね」
実際、WARDRUNA の最新作には、ノルウェーの森の香りが漂っています。このアイデアはバンドのヴォーカリストでアレンジャー Lindy-Fay Hella が考え出したもの。彼らはスカンジナビア北部の古代サーミの文化に触発された深い政治的な源を持っていて、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドが彼らの土地の所有権を主張したことにより歴史的に嫌われてきた先住民族です。彼女自身、サーミの血統とリンクしています。
「サーミの人々が不当に扱われてきたことは、アメリカ先住民の歴史と似ているのよ。私の曾祖母がどこから来たのか、自分が誰であるのかを隠さなければならなかったという事実に、私は怒っているの。だから、私の歌い方に彼女の一部が含まれているのは正しい感じがするわ。」
都市景観の中で聴く WARDRUNA も不思議な感覚をもたらしますが、やはり自然の中ではより一層引き立ちます。時代を超越した音楽かもしれませんが、自然環境に根ざしていることが相乗効果を生み出すのでしょう。潜在的に Einar 頭の中では “2+2が5になる” のかも知れませんね。

WARDRUNA はドローン、重なり合う周波数、捻くれたビートなど、何世紀にも、何千年にもわたって儀式に使われてきた音楽のテクニックを使っています。それこそ、石器時代のシャーマンから中世の教会音楽まで。しかし、その目的は何でしょうか? Einar は自らをを説教者とは見なしたくないが、核心的な信念があると語ります。
「俺は、自然をもっとアニミズム的に捉えれば、全員のためになると強く信じている。俺たちは自然の神聖さを取り除いたとたんに、種としての道を踏み外してしまったと思うよ。それは必ずしもスピリチュアルなことではないんだ。というよりもアティテュードだよ。霊的な人であろうと宗教的な人であろうと、そうでない人であろうと、当てはまるからね。俺たちが支配者ではなく、自然を神聖なもの、重要なもの、俺たちの一部であると考える姿勢が大事だよね」
基本的に、アニミズムとは、私たちを取り巻く自然環境の生命力と固有の原動力を探求すること。では彼の宗教観はどのようなものなのでしょうか?
「まあ、どんな自然をベースにした宗教にも、もちろんその土地に応じた多様性はあるだろうけど、俺たちの伝統はこの土地で作られ、形作られている。俺たちの川、俺たちの自然、俺たちの森によってね。君たちの伝統もそうだろう。だから、結局概念は全く同じなんだ。俺たちは間違いなく、様々な意味で同じ伝統を受け継いでいると思っている。ラッピング、飾り付けが少し異なるだけでね」
古代の楽器を蘇らせること。それもアニミズムの一環です。
「自然楽器は、これまで扱ってきた他の種類の楽器とは違うんだ。ある意味では生きていて、自分の意志を持っている。昔の方法でフレームドラムを作っていた時は、動物の皮を剥いで、なめして、皮を削っていたんだからね。
それはとても単調で時間のかかる作業だけど、ゆっくりと新しい形で動物を生き返らせていくのはとても美しいことだよ。このプロセスを経て、自分の楽器をより個人的でアニミズム的に見ることができるようになったんだ。」

例えば地理的にも、歴史的にもヴァイキング文化の中心の一つスコットランドで撮影された映画 “ヴァルハラ ライジング”。この映画の視覚的な一面だけを捉えて、大衆向けのハリウッド作品と論じることは簡単です。一方で、原始的な力がより “先進的” なものに立ち向かう時の寓話、文化的帝国主義に対するアンチテーゼとして受け止めることも可能でしょう。
同様の視点で、メタルのリスナーは WARDRUNA を受け止めているはずです。そこに大仰な滑稽さと、深遠な知性が感じられるから。そして、国境のないメタルが原始の力や太古の歴史に惹かれる理由もそこにあるのかもしれませんね。
「俺は東洋や他の多くの場所に行って、俺たち自身の伝統音楽に非常によく似ているものを見つけることができた。それこそが、本当に古くて原始的な音楽表現がより深いレベルで俺たちに語りかけてくる理由の一つだと思うんだ。言語の壁や文化の壁を超えているように見えるし、リスナーが非常に多様であるという事実。それに、年齢や、リスナーが聴く他の種類の音楽の観点からも。国境を越えているんだよ」
Einar は、WARDRUNAの音楽はヴァイキング時代(西暦780年から1070年まで)と結びついているだけでなく、さらに遡って1万年前まで体験できると強調しています。当時、イギリス諸島はドガーランドと呼ばれる大陸によってヨーロッパ本土とつながっており、初期の中石器時代の狩猟採集民は、この場所を北上して移動してきたこともその理由の一つでしょう。
約8,200年前に津波がドガーランドを一掃したと長い間考えられていました。これは、ノルウェーの海岸沖で起きた「ストレッガ」と呼ばれる海底地滑りによって引き起こされました。最近の研究では、このラグナロクのような出来事は、土地全体とその人々を一掃するものではなかったかもしれないことが示唆されています。それどころか、その後何千年にもわたって気候変動と海面上昇がゆっくりと進行し、残りの群島を水没させてしまったのです。


つまり、Einar が自然に耳を傾けるとき、彼は自然がどのように変化しているかを追跡します。現在の気候変動の緊急事態は、”Kvitravn” のメッセージから切り離すことができません。アルバムのクライマックス ”Andvarljod’(’Song Of The Spirit-Weavers’) ” は、北欧神話に登場する北欧人が運命を司ります。WARDRUNA はこの曲の短縮されたスカルディックなパフォーマンスを冬至の日にリリースしました。占星術的に大きな変化をもたらす日に。Einar が「夏が生まれる」と表現したように、その最も暗い日に、この曲は潮の流れが変わる可能性を予告しています。
アルバムに収録されている10分間のバージョンでは、Einar が女性の声のコーラスをバックに、新たな高みに向かって歌い上げます。彼は、「自分の中にも共鳴するような音が出てくる。そうすれば、何かを成し遂げようとしていることがわかるんだ」
HEILUNG, MYRKUR, SKALD, Danheim。かつて古代文明が自然界に対して感じていたつながりが、ネオフォーク、ノルディックフォーク、ダークフォークと呼び方は様々ですが、新鋭を結びつける骨なのかもしれませんね。
「初めて WARDRUNA と仕事を始めた時から、自然との親近感を感じていたの。」と Lindy-Fay Hella は説明します。
「自然の中には、良いものだけでなく、醜さや畏怖といったコントラストも受け入れる余地があるわ。今のところ、私たちの荒々しいサウンドは、スカンジナビアの荒野に根ざしているのよ。そろそろヒゲを生やし始める時期かもしれないわね。」

WARDRUNA のコンサートで Einar が観客とコミュニケーションをとることはほとんどありません。
「WARDRUNA では、曲と曲の間にコミュニケーションをとることは、重要ではないんだ。最後の最後にやるだけさ。それが唯一のコミュニケーションの場なんだ。俺にとってコンサートは儀式だから。1時間から2時間の間に、神聖な空間を作るということだよ。
そこでは人々は音楽とつながり、儀式のように音楽に没頭することができる。教会やモスクなどに行かない人たちは、神聖で厳粛な空間やミーティングを得ることができないと思うからね。
宗教的なものやスピリチュアルなものである必要はないんだよ。俺たちの目標は、ある意味で自分よりも大きな何かと繋がることができるような空間を作ることだから。
それが音楽であれ、周りの人たちであれ何でもいいし、自然そのものでもいい。俺たちの音楽は、北欧の神話や遺跡などを映し出しているけど、本質を突き詰めていくと、核となるのはいつも自然なんだよね。自然とつながるための入り口として捉えている人が多いと思うんだよ。」
そうして、WARDRUNA のコンサートには様々な民族、様々な趣向、様々な年齢のファンが集まります。
「クラシック音楽が好きな人たちが、メタルファンと同じショーに来ているのを見るのはとても魅力的だよ。美しい光景だね。俺たちの音楽が、言語やジャンルを超えて国境を越えていく能力を持っていることは本当に素晴らしいことだと思うよ。ある意味、どの音楽ジャンルにも当てはまらない音楽なんだ。いろんな人に訴えかけることができるからね。」

参考文献: THE QUIETUS:A Kind Of Magic: Wardruna Teach Us To Laugh At Ourselves Again

GREEN GLOBAL TRAVEL:INTERVIEW: WARDRUNA REVIVES ANCIENT NORDIC FOLK TRADITION

METAL RULES: INTERVIEW WITH EINAR SELVIK

AMNPLIFY: INTERVIEW WITH EINAR SELVIK FROM WARDRUNA

SMASH:有料配信ライブ”Wardruna’s virtual release show

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLACK COUNTRY, NEW ROAD : FOR THE FIRST TIME】


COVER STORY : BLACK COUNTRY, NEW ROAD “FOR THE FIRST TIME”

“Black Country, New Road Is Like Our Very Own ‘Keep Calm and Carry On’ Or Tea-mug Proclaiming That You Don’t Have To Be Crazy To Work Here But It Helps. It Basically Describes a Good Way Out Of a Bad Place. Excited People Sometimes Claim To Have Lived Near The Road And I Keep Having To Explain To Them That It Doesn’t Exist”

BLACK COUNTRY, NEW ROAD

英国最高のニューバンド、世界最高のニューバンド。デビュー作ですでに最高の評価を得て、将来が約束されたかのように思える BLACK COUNTRY, NEW ROAD。しかしこの独創的な、全員がまだ20代初頭の若者たちは地に足をつけて進んでいきます。
「せいぜい、10点中7点くらいの評価だと思ってたよ。誰もが好きになるわけはないからね。大抵、Twitter で音楽を発表しても、2割が熱狂し、5割が知らん顔、残りの3割が嫌うって感じでしょ?」
サックス奏者の Evans がそう呟けば、ベースHyde も同意します。
「私たちはただの7人のベストメイトで音楽を作っているだけなの。注目されることは名誉なことだけど、私はそれとはあまり関係がないのよ」
このケンブリッジシャー出身の7人組モダン・ロックバンドは、プレスの注目を浴びようとはしていません。彼らは結成してまだ2年半ほどしか経っていませんが、今のところプレス、マスコミの必要性を感じていないのです。なぜなら、ライブが、強烈な口コミの熱量を生み出しているからです。
今、南ロンドンのロック・ミュージック周辺で何かが勃発しています。ポストパンクやポストハードコアの枠組みを使って、アシッドフォークからクラウトロック、クレズマー、ジャズ、ファンク、アートポップ、ノイズ、ノーウェーブまで、様々な影響を受けた多様なバンドが、奇妙な新しい方法でそれらを組み合わせて、奇妙な新しい音楽を生み出しているのです。
こういった素晴らしい手腕を持つ若いバンドは、現役または元音楽学生の場合が多く、結果としてお金をかけずに実験や成長ができる練習場へのアクセスが若い才能にとっていかに重要かを示しています。実際、BC,NR のうち3人はクラッシックの教育を受けています。

BLACK COUNTRY, NEW ROAD に参加しているミュージシャンのほとんどは、何人かがそのまだ学生であった2014年にイースト・カンブリッジシャーで結成された NERVOUS CONDITIONS というバンドに所属していました。そのライブパフォーマンスはエキサイティングという言葉でさえ控えめに思え、ダブルドラマーのラインアップは、1982年の THE FALL や1993年の NoMeansNo のような雰囲気を醸し出して、BEFHEARTIAN の喧騒と BAD SEEDS の勢いまで感じさせていました。さらにグラインドコアの激しさと、憎まれ口や軽蔑の念が、瞬時に静謐な美しさに変わるような、煌びやかな輝きを携えていました。
ただし2018年1月にシンガーの Conner Browne がSNSの投稿を通じて2人の別々の人物から性的暴行を受けたと告発され、数日後にバンドは解散を余儀なくされたのです。声明の中で、Conner は告発をした2人の女性に謝罪しただけでなく、バンド仲間にも謝罪しました。
数ヶ月も経たないうちに、ほとんど何の前触れもなく、同じようなラインナップの新しいグループがロンドンと南東部を中心に激しいギグを行っていました。Conner がいなくなり、元ギタリストの Izaac Wood がフロントマンとなり、ドラマーの一人 Johnny Pyke は去りましたが、Chalie Wayne はまだキットの後ろにいます。ベースの Tyler Hyde, サックスの Lewis Evans, シンセサイザーの May Kershaw, ヴァイオリンの Georgia Ellery とお馴染みの顔が新たなバンドを彩ります。セカンドギタリストには Luke Mark が加わりました。

ただし、ラインナップが似ているとはいえ、バンドとしては(全くではないにしても)かなり違ったサウンドになっていました。BC,NR の方が優れていると、数回のライヴで明らかになります。新たにフロントマンとなった Izaac Wood の超越的で文学的なインスピレーションがバンドをさらに進化させたとも言えるでしょうか。
すでにトレードマークとなったシュプレヒコール・ヴォーカルだけではなく、個人的な経験を歌っているというよりも、歌詞の一部または全部がフィクションになっているような、物語性のある曲作り。Wood は散文、詩、韻を踏んだ連歌などを1曲の中で簡単に切り替えています。彼は、視点の変化を伴う複数の物語や、他の曲へのメタ・テキスト的な参照など、ポストモダン的な手法を用いています。
Speedy Wunderground からリリースされたデビュー・シングル “Athen’s France” のセッションで Wood は、1億再生を記録した Ariana Grade の “Thank U, Next” と、彼自身が同年に THE GUEST としてソロでリリースした “The Theme From Failure Part 1” というあまり知られていないシングルをチェックしたと語っています。これらの曲をはじめ、詩的に音楽的に確かな足取りのを並置することは、BLACK COUNTRY, NEW ROAD がどこから来ているのかにかんして、多くの手がかりを提供してくれるはずです。
では Isaac Wood がソングライターになる前は、日記を書いたり、10代の詩人であったり、熱烈なエッセイスト、PCで戦うキーボードの戦士など、文章に馴染み深い人間だったのでしょうか?
「言葉を書くことに関しては、特に長い歴史はないし、豊かな歴史もない。初期の試みはいくつかあったけど、本気で書くことにコミットした最初の記憶は、2018年の “Theme From Failure Pt.1” だった。」
この曲は、歌詞が陽気でメタモダンなシンセポップな作品でした。
「今まで寝たことのある全ての女の子に自分のパフォーマンスを評価してもらったけど、その結果は恐ろしいものだった。 あの曲は、全く同じことを言う方法が50通りもあることを証明しているんだ。」

歌詞の影響力といえば、Wood はブリクストンのザ・ウィンドミル・パブと Speedy Wunderground のレーベルを中心とした狭いシーンの中で同業者、尊敬する人たちを挙げています。南ロンドンの音楽シーンは控えめに言っても今、沸騰しているのです。彼は特に Jerskin Fendrix を称賛しています。
「自分の音楽をやっている時にはほとんど把握していなかった音楽的なコンセプトが、初めて彼を見た時にはすでに Jerskin のセットの中で完全に形成されていたんだ。彼がやったことは面白くて感動的だったけど、決してくだらないものではなかった。僕たちの関係を最も正確に表現するならば、僕は彼の甥っ子ということになるだろうね。」
それに Kiran Leonard の “Don’t Make Friends With Good People” も。
実際、BLACK MIDI, SQUID と共に、BC, NR は単なるポストパンクの修正主義者と定義することはできないにせよ、純粋に優れたポストパンクの復活を祝っているようにも思えます。もちろん、重要なのは彼らがフリージャズやクラウトロックを漂いながら1970年代後半の最高で最も突出したバンドが持っていた精神、ダイナミズム、実験性を備え、新たに開発されたジャンルまで横断している点ですが。コルトレーンの精神から SWANS の異能、TOOL の哲学まで、受け止め方も千差万別でしょう。
「彼らは僕らをもっと良くしようと背中を押してくれるんだ。彼らより優れているというよりも、より良いミュージシャンになって、より良い曲を書けるようにね。もっと練習しなきゃと思うよ」

文学的な影響については、「もちろん、僕はいくつかの本を読んだことがある。明らかに僕は何冊かの本を読んでいて、それらの本が言葉にも不確かだけど影響を与えているんだ。」 と語っていますが、具体的には 数年前に読んでいた Thomas Pynchon (アメリカの覆面作家。作品は長大で難解とされるものが多く、SFや科学、TVや音楽などポップカルチャーから歴史まで極めて幅広い要素が含まれた総合的ポストモダン文学) と Kurt Vonnegut (人類に対する絶望と皮肉と愛情を、シニカルかつユーモラスな筆致で描き人気を博した。現代アメリカ文学を代表する作家。ヒューマニスト) の名前を挙げます。
「芸術の高低の境界線を尊重していない人がいることは問題だけど、少し成功している作家はその境界線を尊重し、それを理解し、それを覆したり、操作したりしているんだよ。彼らは文化についてのつまらない一般化したポイントを作るためにやっているのではなく、実際に人々が共感できるような、感情的に共鳴する何かを言うためにやっているのだから。僕たちは皆、文化的な価値の高低という点では、高いものも低いものも経験しているけど、それらが交差したとき、あるいは境界線が存在するように感じられないとき、その境界線が取り払われたとき、それはその瞬間の感動や感情的な共鳴の一部となるんだ。それが正確に表現できれば、信じられないほどインパクトのあるものになる。だから僕はヴォネガットのような作家に興味を持っているんだ。物語に興味を持ってもらうための安っぽいトリックかもしれないけどね。でも、リスナーが風景を想像するのに美しい言葉や文学的なセンスを使う必要はないんだよ。コカコーラのように、彼らがすでに知っているものを与えて、あとは好きなものを好きなだけ詰めればいい」
意外かもしれませんが、Wood は Father John Misty の大ファンであることも公言して憚りません。
「正直、彼のことをちょっとセクシーな愚か者だと思っていたんだけど、気がつけば彼の後を追いかけていた。彼は世界最高の作詞家ではないけれど、彼の考えていることは完全に、完全に正直だからね」

Wood 自身の初期の文学的な実験としては、”Kendall Jenner” が挙げられるでしょう。ホテルのスイートルームに宿泊するTVスターを、彼らの意志に反して強引にその場を訪れるリアリティーショーの一場面。もちろんフィクションですが、Kendall (カーダシアン家のお騒がせセレブライフで知られるモデル、タレント) は自殺の前に、(私はNetflixと5HTP の申し子/私の青春時代すべてがテレビで放送されている/何も感じることができない/ジュエリーを脱ぐと私は空気よりも軽いのよ)と嘆きます。
「僕はちょうど面白いと思った物語の装置を試してみたかった。音楽の終わりは前のセクションとはかなり対照的で、物語にはある種のクライマックスが必要だと思ったので、多くのものと同じように、死で終わったんだ。この作品は、彼女の立場や場所について、あるいは彼女のファンや視聴者についてのより広い解説を意図したものではないんだ。別に視聴者の共犯性をあげつらってもいない。いつも彼女や彼女の家族の出来事を楽しんでいたからね。ストレートな物語性のある作品を作るのは初めての試みで、今振り返ってみるとちょっと刺激的すぎたかもしれない。もちろん、女性を差別する意図なんてないよ?そんなことは考えたこともなかった。」
“For The First Time” は昨年3月にイギリスがロックダウンに入る前にレコーディングされた最後のアルバムの一つであり、混乱の中で録音されたアルバムとして完全にふさわしいものだと感じられます。屹立したポストロックの冒険と皮肉なポップカルチャーへの言及に満ちたレコードは、反商業的で、リスナーが純粋なポップミュージックを期待していたのであれば間違った作品を手に取ったと言えるでしょう。
では、この作品で Wood はソングライティングの際に実際の自分に近いペルソナを採用したことはあるのでしょうか?
「最初の曲(”Athen’s France” や “Sunglasses”)では、大きな不安の中で自分を守ろうとしたときに現れる、哀れでシニカルな思考に焦点を当ててきた。だから、そうなんだと思うよ…男の内面をキャラクターで書いてきたからね。それは厄介で、時々うまく翻訳できないこともあると思うんだけど…。例えば、初期の曲では女性の描写がやや一次元的だったと思われていたのは間違いなく後悔しているよ」

カニエ、NutriBullets、デンマークの犯罪ドラマへの言及でポップカルチャーへのアイロニーを匂わせながら、不快なほどに生々しく別れの領域を掘り下げる “Sunglasses”。その機能と意味はまるでボックスを踏み続けるダンスのように、9分という時間の中でずっと続いています。傷ついた自我、嫉妬、不安、その他全てを語るこのトラックの強烈さを考えると、当然のことながら、Wood は具体的な解説を避けようとします。
「多くの人の心の中にある特定の視点から書かれている。それは信じられないほど悲観的で傲慢に感じることがある声なんだ。多くの人が初めて’Sunglasses’を聴いた時に、耳障りで擦り切れたような感じがすると思うんだ。でも実際には、音だけじゃなくかなり苛立たしげな声を出していて、かなり馬鹿げた抑揚をつけていて、それはとても泣き言で、演技的で、かなり大げさなんだよね。聞いているとかなりイライラしてしまう。他の多くの人もそうだろうね」
そもそも、ポストパンクやそれに隣接するシンガーで実際誰もが認める実力者など、Ian McCulloch, David Bowie, Scott Walker くらいではないでしょうか。Mark E Smith, Sioux, Ian Curtis, Iggy Pop への評価が突然負から正へと反転したリスナーは少なくないでしょう。
「願わくば、僕のヴォーカルをたくさん聴いて、声に対する経験がある時点で反転してしまえばいいんだけど。そうすれば、リスナーは僕の歌に夢中になり、それを楽しむようになるからね」
“Sunglasses” の異質なアレンジメントについては「この曲は、物語の中で何が起こるのかという点を、音楽的にかなり露骨に設定していると思う。説明するまでもないだろうけど。何かが起こって、最初の道とは別の道で終わる。音楽はそれを追っているだけなんだ。天才的なポップ・コーラスが書けない時には、この書き方が効果的だと思うよ」
最近まで Wood は10代でした。彼にはまだ時間がたっぷりと残されています。そして刻々と変化を続けるはずです。もちろん、だからこそ現在の曲作りには、若者特有の不安感も。
「不安が意識的に影響しているとは全く考えていないけど、とても重要な時にはよく感じるし、自然とそのことについて書いたり歌ったりするね。そして、なにかを放出する時には、単純に自分自身かなり圧倒されていることに気づくことがあるよ」

BLACK COUNTRY, NEW ROAD という奇妙な名前を Wood はプロパガンダだと説明します。
「僕たちなりの『Keep Calm and Carry On』のようなもので、ここで仕事をするのに必ずしも狂っている必要はないけど、助けになることはあると宣言しているんだ。基本的には、悪い場所から抜け出すための良い方法だと説明しているんだよ。興奮した人たちが時々、この道を知ってるなんて言うんだけど、僕はそれが存在しないことを彼らに説明し続けなければならないんだよ」
このバンドの飄々としたウィットは “For The First Time” 全編に現れていますが、特にオープニングの “Instrumental” でのおかしなキーボードリフはその証拠でしょう。通常、待望のバンドのデビュー・アルバムを紹介するような方法ではありません。Evans が紐解きます。
「奇妙だからといって、それが必ずしも悪いとは限らない。シンセのラインが目立つのはおかしいし、曲の中心になるのもおかしい。だけどそれは素晴らしいことだと思うよ。僕たちは4つのリード楽器を持っている。実際には5つかもしれない。2本のギター、ボーカル、サックス、バイオリン、そして鍵盤を使って、みんなで細部にまで気を配る必要があるんだ。細部にまで気を配っていないと、たぶん聴いていて気持ちの良いものにはならないだろうね。僕たちは我慢しなければならない。だからこそうまくいくんだ」
実験的レーベル Ninja Tuneと契約したのは、収穫でした。コンタクトはラブレターという21世紀において脇に追いやられ、枯れ果てたスタイル。型にはまらない契約だったからこそ、完璧にフィットしていたのでしょう。未知の世界への感覚も魅力の一つだったと Hyde は説明します。
「彼らが私たちメンバーの中の誰かを知っているとは思えなかった。とてもエモーショナルになったわ。私たちに契約を申し入れていた他の誰も、このような方法で感情を表現していなかったからね。彼らはわざわざそんなことをする必要はなかったけど、そうしてくれたの」
このグループがすでに若いファンの想像力を掻き立てていることに注目すべきでしょう。”Opus” を制作した最初のセッションでは、新グループと旧グループとの差別化を図るための議論があったのではないでしょうか?
「具体的にいつ、どのようにしてそうなったのかは覚えていないけど、BC,NRで何をしたいのかという理解はあったのだと思う。NERVOUS CONDITIONSを2~3年やっていたんだけど、その間に開発したものをいくつか取り入れたいと思っていたのは確かだよ。でももちろん、それまでとは違う種類の音楽を作りたいという願望もあるし、現在の作品は、僕ら全員にとってよりくつろげるものになっていると思う」
Hyde も同意します。
「感情的にも音楽的にもつながっているんだから、私たちは何かを作り続けるしかなかったの。感情的には脆くなって、もがいていたけどね」

最新シングルとなった “Science Fair” は、前衛的なギターとブラスのモンスター。Evans のお気に入りです。
「この曲はかなりストレートなものだよ。キューバ風のビート・フリップなんだ。科学的に完璧なドラム・ビートだよ」
一方、Georgia は、起源が東欧とドイツ、伝統的なユダヤ人の民族音楽クレズマーがバンドにもたらした影響を説明します。ヴァイオリンとサックスは伝統的なロックの楽器ではありませんが、クレズマーのバックグラウンドは新たな扉を開きました。
「祝賀会の音楽みたいなものよ。パーティーミュージックなの。ユダヤ文化の中で人々が集まる時に演奏されるのよ。悲しい音楽でも、かなりハッピーな音楽。でも、マイナーキーだから悲しそうに聞こえるのよね」
アルバムのタイトルでさえも、奇妙な場所から抜かれています。それは Isaac が偶然見つけた “We’re All Together Again for the First Time” と題されたデイヴ・ブルーベックのジャズ・アルバムからの抜粋でした。
曲作りのプロセスは決まっているのでしょうか?
「具体的なプロセスはないんだけど、最初のアイデアはたいてい Lewis と僕がスケッチをして、それからハーモニーを奏でることのできるメンバーがトップラインなどでそのスケッチを補強していくんだ。その後、グループ全体で肉付けをして分解し、全員が満足できるものに仕上げていくんだよ。その時にテーマを考えて、歌のための言葉をまとめるんだ。曲作りの過程で言い争うことはほとんどないね」
それはバンドのサウンドの断片の組み合わせ方にもはっきりと表れています。”For The First Time” は例えば「エキゾチックな」着色剤を使っただけのロックではありません。クレズマーとポスト・ハードコアという、表向きは全く異なる要素が反復合成されていることを考えると、このバンドにはいくつかの「異なる陣営」が存在しているのではないかと疑いたくもなります。
「確かに相対的な専門知識のポケットはいくつかある。Georgiaと Lewis はクレズマー音楽の経験が豊富で、Georgia は現在 Happy Bagel Klezmer Orkester と共演しているし、Lewis は若い頃に経験豊富なクレズマー音楽家と共演して彼らから即興演奏の仕方を教わり、それが彼の作曲に大きな影響を与えているんだよ。May はクラシックの分野に最も多くの時間を割いているし、僕はARCADE FIRE のアルバムを最も多く所有している。でも、これらの影響を受けたもの同士がお互いに争っているわけではないんだ」
Evans も同意します。
「僕たちはとても仲が良いから、誰かにアイデアがクソだと言われても気が引けることはないよ。ソングライターの中には、音楽は自分の赤ちゃんのようなものだと言う人もいるけど、それは僕たちのエートスではないんだよ。僕らは常に曲を変えているし、7人組のバンドでは手放す能力が本当に重要なんだ。独裁者にはなりたくないんだよね。他にも6人の素晴らしい才能を持った人がいるんだから、彼らを無視して何の意味があるんだろう?それは音楽を悪くするだけだ。もしそれが1人の手によるものなら、僕らの音楽はクソになっていただろうね」


そもそも、千年紀の変わり目に生まれた多くのミュージシャンのように彼らはバンドの音楽をそのような臨床的カテゴリーに当てはめることには全く興味がないようです。Hyde が続けます。
「ロックの方が簡単だと思うこともあるけど、ポップの方が簡単だと思うこともあるわ。一つのものに留まる時間はほとんどないから、それを何か呼ぶのは無意味だと思うのよ」
しかし、それでもこれは Isaac Wood のバンドなのでしょうか?不可解な答えが返ってきます。
「BLACK COUNTRY, NEW ROAD が “僕のバンド” というのは、クラッシュした車に乗っていたオーストラリア人の男が “仲間を待っていた” のと同じ意味だ。少なくとも、私はアル・ゴア副大統領のように広く尊敬されている」
ダイナミクスとは何か、インパクトとは何かを再評価することもバンドにとって重要な課題でした。Hyde が説明します。
「当たり前のことのように思えたけど、非常に静かなパートと非常にラウドなパートを使い分けるというシンプルなテクニックは、曲の中で進行や物語のような構造を作り出すのに役立ったわね。それに静かに演奏することで、楽器を切り取ることができるということも学んだわ。ヴァイオリンとサックスは、しばしば音を非常に拡張的にしているわね。それが、よりオーケストラ的で映画的なアプローチにもつながっている。曲の中には、引き込まれるような音楽の波があるの」
たしかに、BLACK COUNTRY, NEW ROAD の音楽は少なくとも、絶対的な新しさの前衛ではないかもしれません。ただ他の誰とも似ていないというだけで、たとえ構成要素のほとんどを挙げることができたとしても、それは明らかに十分すぎるほどの眩しさでしょう。
「SLINT を崇拝してるからね。信じられないくらい良いバンドだ。だから比較されても気にならないよ」
とはいえ、SLINT, SONIC YOUTH, OXBOW, COWS, TORTOISE, BATTLES, TALK TALK TALK。誰かが彼らが他のバンドと「全く同じ」ように聞こえると主張するたび、その誤りを正すのは簡単です。もちろん、ポップカルチャーは今、より粒体化されているような気がしますし、至る所でつながりがあり、すべてが奇妙かつ予測不可能な形で機能しています。
例えば、もし誰かが BC,NR を SHELLAC の模造品だと非難したいのであれば、まず最初に考慮しなければならないのは、サックス、ストリングス、シンセを使ったクレズマーと自由な即興演奏、次に、彼らのグローバルなポップカルチャーへの没頭でしょう。さて、では彼らの新たな道のりは次にどこへ向かうのでしょうか?

「最初は ARCADE FIRE みたいになるって冗談を言ってたんだ。当時はそれが面白かったんだけど、僕らは結果的にそういう感じのアルバムを書いたんだ。今はカンタベリー・シーンのことを冗談にしているんだ。だから、もしかしたら3作目にはリュートが出るかもしれない。少なくとも20%の人が聴いてくれることを願っているよ」
“Track X” は次の作品にとっての “X ファクター” となるかもしれません。
「Track X ” は、新しい作品がどんなものになるのか、ちょっとしたアイデアを与えてくれる区切りのようなものだ。でも、これまでとは違うものになるだろうね。奇妙な音や無調なもので表現するのではなく、曲作りの中に奇妙さを埋め込んでいくんだよ。複雑な不規則性でね」
その名前が示すように、「Black Country, New Road」にはまだ目的地はなく、ただただ速度と逃避感、そして懸命に稼いだ自由があります。絶対的な可能性を秘めているのはたしかです。日本でそのライブパフォーマンスが目撃できるのはいつになるでしょうか?

参考文献: The Quietus:Making Good Their Escape: Black Country New Road Interviewed

The Quietus:Frenz Experiments – Black Country, New Road Interviewed

DIY Mag:CLASS OF 2021: BLACK COUNTRY, NEW ROAD

The Guardian: Interview ‘30% hate us, 50% don’t care’: Black Country, New Road, Britain’s most divisive new band

ファラ:Black Country, New Road “For the First Time”

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum: Šahrartu】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum!!

“When You Can Be Sentenced To 15 Years On a Fictitious Case, Without Any Evidence, Just Because You Think Differently Than They Tell You….Damn It, This Is The Plot For Any Historical Film Or Medieval Novel. But Not The Realities Of The 21st Century!”

DISC REVIEW “SAHRARTU”

「政府と違う考えを持っているだけで、何の証拠もなく、架空の事件で15年の刑を宣告される。取るに足らないことで、傭兵に頼って国民を恐怖に陥れ、法外な恐喝を行う…ちくしょう、これは歴史映画や中世の小説の筋書きだよ。21世紀の現実なわけがない!」
欧米とロシアが出会う場所、ベラルーシはまさに今、混沌の最中にあります。ヨーロッパ最後の独裁者”とも呼ばれるソ連の残り香、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領による圧政と不正選挙、そして人権侵害は、多くの国民の怒りを招き大規模な抗議活動へと発展。治安部隊の激しい応戦、弾圧で死傷者が出る事態となりました。そうして、これまで親ロシアの傾向を持っていた国と国民自体、欧州への憧れを隠さない新派が増え、分断を招いているのです。
「今この偉大な分裂の瞬間に、我々の社会は目覚め、根本的な変化の必要性を認識することになった。躍進のためには、深遠な改革、すべての分野の再構築、そして最も重要なことは、考え方の変化が必要だね。松下幸之助のような思考と倫理観を持った明日のリーダーを育成することはまだできていない」
Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum (以下 EXIMPERITUS) は明らかにベラルーシの新たな流れを汲んでいます。そして、デスメタルの松下幸之助を標榜するバンドとも言えるのです。
「僕たちは、どんなジャンルの定義にも執着したくないんだよ。実験し、新しい地平を発見し、あらゆる方向に発展し、改善していくことに興味を持っているんだ。」
EXIMPERITUS は、その最先端の技術とワイルドな美学の両面から、デスメタルシーンで確実にその名を知らしめてきました。最新作 “Šahrartu” では、彼らが築き上げてきたアンダーグラウンドの呪術と謎をより大きな世界へ解き放とうとしています。デスメタルの顔を変えるために。
「簡潔に言って、僕たちの個人世界を作っている宇宙の総称なんだ。これは、初期の文明の消滅した言語からいくつか抽出し、構成した造語と言ってもいいだろう。そうやって永遠に過ぎ去った時代とのつながりを感じているんだ。」
EXIMPERITUS は真の意味での密教でした。ゆえにオカルトや古代東洋の神話、そして宗教に対する彼らの魅力を象徴する長い名前を作り上げました。51文字のフルネームは、ラテン語、古代エジプト語、シュメール語、アカカド語をブレンドしたもので、魔法の呪文にも思えます。そうして、歌詞と曲名すべてをベラルーシの古語で綴ったデビュー作 “Prajecyrujučy sinhuliarnaje wypramieńwańnie daktryny absaliutnaha j usiopahłynaĺnaha zła skroź šaścihrannuju pryzmu Sîn-Ahhī-Erība na hipierpawierchniu zadyjakaĺnaha kaŭčęha zasnawaĺnikaŭ kosmatęchničnaha ordęna palieakantakta, najstaražytnyja ipastasi dawosiewych cywilizacyj, prywodziać u ruch ręzanansny transfarmatar časowapadobnaj biaskoncaści budučyni, u ćwiardyniach absierwatoryi Nwn-Hu-Kek-Amon, uwasabliajučy ŭ ęfirnuju matęryju prach Ałulima na zachad ad ękzapłaniety PSRB 1620-26b” はさらに長い文字の羅列も相まって大きな注目を集めたのです。
「英語に訳すと、”センナケリブの六面体プリズムを通した、絶対的で全てを吸収する悪の教義の特異な放出を、宇宙工学的な秩序を持つ古接触の創始者たちの星座弧の超曲面に投影し、前枢軸文明は外惑星PSRB 1620-26bの西側のエーテル物質にアルリムの灰を具現化したヌンフケクアモンの展望台の塔の中で、未来の時間における無限大の共鳴トランスを作動させる” となる。このアルバムは、ピタゴラス、クラウディウス・プトレマイオス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミコワジ・コペルニク、ジョルダーノ・ブルーノ、フランシス・ベーコン、ガリレオ・ガリレイ、アイザック・ニュートン、そして過去の他の評論家のためのルーツと知識の源に関する論説と言えるだろう。」
重要なのは、これが話題作りの茶番などではなく、すべて魔術、歴史、物理学、神話、哲学といった膨大な知識に裏付けされている点でしょう。同じことは、彼らの音楽にも言えるはずです。巨大な名に恥じない巨大な才能。
EXIMPERITUS のデスメタルは、”テクデス” ラベルの無機質な超技巧バンドというよりは、NILE や ORIGIN, NECROPHAGIST のような怨念と歴史が宿る残忍な英傑との共通点が多いようにも感じられます。リフへの強い拘りがが常にオールドスクールとの繋がりを意識させを感じさせ、東洋的なスケールや中東のイメージでオカルトの神秘や古代のロマンに音及する。予想不可能で広がりのある重音のパルスは、結果として、”テクニカル” でありながら “テクニカル” になりすぎない、舞台劇じみた非常にユニークなデスメタルを創造しています。
そうして2枚目のフルレングス “Šahrartu” で彼らは、残忍さを一切犠牲にすることなく、より多様でメロディックなアプローチへと進化を果たしました。すべては、そのエニグマティックな密教を広く世の中へと解放するため。
リードメロディー、効果的なアコースティックパートで濃密なガテラルとパーカッシヴな重音の魅力を高めた “Utopāda” はその象徴。”Tahâdu” の巨大なグルーヴには不協和とメロディーが同時に散りばめられ、”Anhutu” では伝統からスラムまでデスメタルの壮大を凶暴に抱きしめます。
極めつけは、10分を超える “Inquirad”。ドゥームの遅攻と東洋の神秘を抱きしめながら、アヴァンギャルドなギターの咆哮を交え世界の誕生と死を総括する楽曲は、”Riqûtu” へと続くアンビエントなパッセージで、最早キャッチーともいえる印象的なトランセンドデスメタルの第2章を締めくくるのです。
今回弊誌では EXIMPERITUS にインタビューを行うことができました。「現実としてソ連は崩壊していないし、共産主義者も出て行っていない。だからこそ、この30年の間に、僕たちは以前よりもさらに大きな力で、スターリン主義、全体主義の伝統に立ち返らされてきたんだよ。 」ベラルーシが取り組みはじめた再生とシンクロするかのように、デスメタルを再生するレコード。どうぞ!!

EXIMPERITUS “SAHRARTU” : 10/10

INTERVIEW WITH EXIMPERITUS

Q1: How did you find metal in Belarus and get into it? What is the metal scene like in Belarus and Minsk?

【EXIMPERITUS】: Greetings! Like everyone else in the 90s and 00s, we bought and exchanged records. These were mainly audio cassettes. We had a standard path for that time. From classic Hard Rock, through Heavy Metal to monstrous Thrash, Black, Death. We were always interested in the limit of the gravity of music, so in our search we came to Death Metal.
It is difficult for us to judge the Metal scene in Belarus, since we are focused on other areas. But it’s safe to say that the scene is vast and varied. Groups that already have weight are developing and conquering a new audience. Every year some releases come out and new names appear.

Q1: まずは、ベラルーシのミンスクという場所で、どうやってメタルと出会いのめり込んでいったのかをお話ししていただけますか?
ベラルーシのメタルシーンはどのような状況なんでしょう?

【EXIMPERITUS】: やあ、みんな!90年代、00年代のみんなと同じように、作品を買ったり交換したりしていたよ。主にオーディオカセットだったけどね。当時の僕らはスタンダードな道を歩んでいたと思う。古典的なハードロックから、ヘヴィメタルを経て、怪物のようなスラッシュ、ブラック、デスまで。音楽における重さの限界に常に興味を持っていた僕たちは、その探求の中でデスメタルにたどり着いたわけさ。
ベラルーシのメタルシーンを判断するのは難しいね。だけど、シーンは広大で多様性に富んでいると言ってもいいだろうな。既に人気のあるグループが伸長し、新しいオーディエンスを獲得しているね。そして毎年いくつかのリリースがあり、新たな名前も出てきているよ。

Q2: What do you think about the country, its culture, it’s history and its politics?

【EXIMPERITUS】: Belarus is a country whose greatness, pride and national identity have been buried in the geological deposits of history for the past hundreds of years. The last epoch of elevation has died along with the historical name and boundaries. Today we begin our rebirth as Japan did in the late 40s of the last century. So that you understand, at the moment our society is in the deepest, since the end of WWII, political, economic, social and spiritual crisis. The government, which has illegally held power for 27 years, openly declared war on the country in the middle of last year. This resulted in uncontrolled and absolutely inadequate cruelty towards citizens by those who were called to protect them. The question of eliminating the dictatorship, the heir to the Red Terror, is still open and will stir up the harsh everyday life of every citizen with renewed vigor, until this problem is resolved. Because the Soviet Union never collapsed, the communists did not leave and over the past 30 years we have returned to the traditions of Stalinism with even greater enthusiasm than before.
As you know, in the Japanese language there are very capacious terms that are not literally translated into other languages, denoting any complex processes, states, sensations, etc. But it is unlikely that until now there was any definition of the process that we observe today in our country … When an unrecognized government (which is a puppet of one person) for years dishonoring the people in the eyes of the world community, slows down development, tries to convince you that enemies and agents of the West are everywhere, that black is white. When you can be sentenced to 15 years on a fictitious case, without any evidence, just because you think differently than they tell you. When the most insignificant rabble, relying on a paid army of thugs, terrorizes the people and imposes on them exorbitant extortions … damn it, this is the plot for any historical film or medieval novel. But not the realities of the 21st century.
Only now, at the moment of the greatest split, our society is awakening, realizing the need for cardinal changes. Our country and people have colossal potential and energy. We are ready to turn our country into a high-tech park and create a unique environment for entrepreneurs around the world. We are expecting a huge breakthrough in all areas. But this should be preceded by profound reforms, restructuring of all areas, and most importantly – a change in thinking. We have yet to develop and educate the leaders of tomorrow with thinking and ethics like Konosuke Matshushita. It will take us years to rebuild ourselves. And this challenge is worthy to be sung in legends!

Q2: ベラルーシという国、その文化、歴史、政治についてはどう感じていますか?

【EXIMPERITUS】: ベラルーシは、過去数百年の間、その偉大さ、誇り、国民性が歴史の地層に埋もれていた国だと言えるね。国の境界線とともに死んでいたようなものだよ。
今日、僕たちは1940年代後半に日本が行ったように、再生を始めているんだ。理解してもらえるだろうけど、今、僕たちの社会は、第二次世界大戦後、政治的、経済的、社会的、精神的に最も深い危機に陥っている。27年間、違法に権力を握ってきた政府は、昨年半ばに公然と宣戦布告したんだから。その結果、市民を守るべき人間が、市民への無統制で絶対的に許されざる残虐行為を行ったんだ。
「赤い恐怖」の後継者である独裁者を排除するという問題はいまだに未解決のままで、この問題が解決されるまでの間、国民一人一人の過酷な日常は新たな勢いでかき回されることになるだろうね。現実としてソ連は崩壊していないし、共産主義者も出て行っていない。だからこそ、この30年の間に、僕たちは以前よりもさらに大きな力で、スターリン主義、全体主義の伝統に立ち返らされてきたんだよ。
わかるだろうけど、日本語には、あらゆる複雑なプロセス、状態、感覚などを表す、文字通り他の言語に翻訳されない、非常に気まぐれな用語があるよね。それってまさに、今まで僕たちが今日私たちの国で観察しているプロセスそのもので、定義があったとは思えないんだよ…1人の人間 (ヨーロッパ最後の独裁者”とも呼ばれるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領) の操り人形である、認められていない政府は、世界のコミュニティの目の中にあっても狼藉を働き、産業の発展は遅れ、敵や西洋のエージェントがどこにでもいると納得させようとしてきた。黒を白というようにね。
彼らと違う考えを持っているだけで、何の証拠もなく、架空の事件で15年の刑を宣告される。取るに足らないことで、傭兵に頼って国民を恐怖に陥れ、法外な恐喝を行う…ちくしょう、これは歴史映画や中世の小説の筋書きだよ。21世紀の現実なわけがない!
今この偉大な分裂の瞬間に、我々の社会は目覚め、根本的な変化の必要性を認識することになった。僕たちの国と人々は、巨大な可能性とエネルギーを持っているよ。僕たちは、この国をハイテクパークに変え、世界の起業家のためにユニークな環境を創造する準備ができているんだ。あらゆる分野での大躍進を期待しているよ。
だけどそのためには、深遠な改革、すべての分野の再構築、そして最も重要なことは、考え方の変化が必要だね。松下幸之助のような思考と倫理観を持った明日のリーダーを育成することはまだできていない。自分たちの再構築には何年もかかるだろうな。そして、この挑戦は伝説に歌われるにふさわしいものだとも感じているよ。

Q3: Naturally, everyone’s attention is drawn to the long name of the band. What’s the meaning behind your band name, Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum? What made you choose such a long name?

【EXIMPERITUS】: In short, this is the general name for the universe in which we create personal worlds. This is an individual-author’s neologism, consisting of terms from a number of dead languages of the first civilizations. This is how we saw our connection with a forever bygone era. The band name was so long because it conceptually matched the titles of our early works. All tracks and planned albums had very long titles.

Q3: その出自と同様に、長すぎるバンド名にも注目が集まっていますね。Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum にはどんな意味がありますか? なぜこれほど長い名前を選んだのでしょう?

【EXIMPERITUS】: 簡潔に言って、僕たちの個人世界を作っている宇宙の総称なんだ。これは、初期の文明の消滅した言語からいくつか抽出し、構成した造語と言ってもいいだろう。そうやって永遠に過ぎ去った時代とのつながりを感じているんだ。
バンド名が長くなったのは、初期の作品のタイトルとコンセプトが一致していたからだよ。すべての曲と予定されていたアルバムのタイトルは非常に長いものだったからね。

Q4: It must have been difficult to make a logo for the band’s name, right? Also, difficult to pronounce and to search the internet, haha.

【EXIMPERITUS】: It is better to ask Steve Crow (Malevolent Icons) about the complexity of logo creation. We set a task for him, but the whole burden fell on him. It is difficult for us to judge about pronunciation – it does not seem difficult for us. And a modern search engine easily gives you the result when you type the first four letters of the group name.

Q4: 発音するのも、検索するのも、ロゴを作るのも大変そうですが…(笑)

【EXIMPERITUS】: ロゴ作成の複雑さについては、スティーブ・クロウ(Malevolent Icons)に聞いた方が良いだろうな。僕たちは彼にタスクを設定し、すべての負担は彼にかかっただけだから。
発音について判断するのは難しいね。少なくとも僕たちにとって難しいとは思えないから。そして現代の検索エンジンは、君がグループ名の最初の4文字を入力するだけで、簡単に結果を与えてくれるよ。

Q5: Your previous record “Prajecyrujučy sinhuliarnaje wypramieńwańnie daktryny absaliutnaha j usiopahłynaĺnaha zła skroź šaścihrannuju pryzmu Sîn-Ahhī-Erība na hipierpawierchniu zadyjakaĺnaha kaŭčęha zasnawaĺnikaŭ kosmatęchničnaha ordęna palieakantakta, najstaražytnyja ipastasi dawosiewych cywilizacyj, prywodziać u ruch ręzanansny transfarmatar časowapadobnaj biaskoncaści budučyni, u ćwiardyniach absierwatoryi Nwn-Hu-Kek-Amon, uwasabliajučy ŭ ęfirnuju matęryju prach Ałulima na zachad ad ękzapłaniety PSRB 1620-26b” was also really long album & song title. What was the theme of the album? Which language did you use?

【EXIMPERITUS】: It is necessary to clarify that our previous record was EP “W2246-0526”, released in 2017. It cannot be written off, because without it the general connection between the first and second albums is not visible. If anyone missed this release – be sure to fix it! Many of the elements that were also included in the “Šahrartu” were already presented there.
As for our debut album. We used archaic Belarusian language. The name translates into English as “Projecting the singular emission of the doctrine of absolute and all-absorbing evil through the hexahedral prism of Sin-Ahhi-Eriba upon the hypersurface of zodiacal arc of the cosmotechnical order of paleocontact founders the utterly ancient hypostases of pre-axes civilizations actuate the resonance transformer of time-like infinity of future in the towers of Nun-Hu-Kek-Amon’s observatory embodying the ashes of Alulim into the ethereal matter to the west of exoplanet PSRB 1620-26b”. This album is treatise on roots and sources of knowledge for Pythagoras, Claudius Ptolemaeus, Leonardo da Vinci, Mikołaj Kopernik, Giordano Bruno, Francis Bacon, Galileo Galilei, Isaak Newton and other pundits of the past. Every word and image were selected with a maniacal scrupulosity and they make an acroamatic cipher, like medieval paintings or mythological writings, thus concealing the essence from ignorami. All the narrative is divided into treatises on magic and scrolls of wisdom. The album contains such directions as: history of the Ancient East, astrophysics, mythology, philosophy, spiritual practices, works of great minds, the theory of paleocontact, demonology and much more. This is the most time consuming and meaningful album. And it seems to us that he is extremely underestimated by the public. What we intend to fix soon.

Q5: 先ほど話題にも出ましたが、前作の “Prajecyrujučy sinhuliarnaje wypramieńwańnie daktryny absaliutnaha j usiopahłynaĺnaha zła skroź šaścihrannuju pryzmu Sîn-Ahhī-Erība na hipierpawierchniu zadyjakaĺnaha kaŭčęha zasnawaĺnikaŭ kosmatęchničnaha ordęna palieakantakta, najstaražytnyja ipastasi dawosiewych cywilizacyj, prywodziać u ruch ręzanansny transfarmatar časowapadobnaj biaskoncaści budučyni, u ćwiardyniach absierwatoryi Nwn-Hu-Kek-Amon, uwasabliajučy ŭ ęfirnuju matęryju prach Ałulima na zachad ad ękzapłaniety PSRB 1620-26b” というアルバムタイトルにも度肝を抜かれました。

【EXIMPERITUS】: まず、僕たちの前作が2017年にリリースされたEP “W2246-0526” であることを明確にしておく必要があるね。あの EP がなければ、1枚目と2枚目のアルバムの間の接続が見えないからね。もしこのリリースを見逃した人がいたら必ずチェックしてほしい! “Šahrartu” にも含まれていた要素の多くは、すでにここで提示されていたから。
僕たちのデビューアルバムについてだけど、ここでは僕たちは古いベラルーシ語を使っているんだ。名前を英語に訳すと、「センナケリブの六面体プリズムを通した、絶対的で全てを吸収する悪の教義の特異な放出を、宇宙工学的な秩序を持つ古接触の創始者たちの星座弧の超曲面に投影し、前枢軸文明は外惑星PSRB 1620-26bの西側のエーテル物質にアルリムの灰を具現化したヌンフケクアモンの展望台の塔の中で、未来の時間における無限大の共鳴トランスを作動させる」となる。
このアルバムは、ピタゴラス、クラウディウス・プトレマイオス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミコワジ・コペルニク、ジョルダーノ・ブルーノ、フランシス・ベーコン、ガリレオ・ガリレイ、アイザック・ニュートン、そして過去の他の評論家のためのルーツと知識の源に関する論説と言えるだろう。一つ一つの言葉やイメージは、マニアックな不謹慎さで選択され、中世の絵画や神話の文章のように、アクロアマティックな暗号を作り、無知から本質を隠している。
この作品のすべての物語は、魔術に関する論説と知恵の巻物に分かれている。そして、古代東洋の歴史、天体物理学、神話、哲学、スピリチュアルな実践、偉大な心の作品、古今東西の理論、悪魔学などを扱っているんだ。最も時間をかけた意味のあるアルバムと言えるだろうな。
そして、センナケリブ (新アッシリア時代のアッシリア王) は世間から極めて過小評価されているように思えるね。僕たちが近々修正するつもりだよ。

Q6: In contrast, this album has a very short title.” What does “Šahrartu” mean to you?

【EXIMPERITUS】: “Šahrartu” is translated from the Sumerian “Devastation”. For us, this is the flip side of that golden era of humanity, which was discussed on our debut album. If you compare the two covers, you will see some common details, but in different states. The length of the titles on this album is also a consequence of the chosen concept. This is a kind of dilogy. And if “Prajecyrujučy sinhuliarnaje wypramieńwańnie …” is about the distant past, then “Šahrartu” is about the distant future. Two faces of one whole.

Q6: デビュー作と比べて、セカンドアルバムは “Šahrartu” と非常に短いタイトルになりました。

【EXIMPERITUS】: “Šahrartu” とはシュメール語の「荒廃」を訳したものだ。僕たちにとっては、デビューアルバムで語られた人類の黄金時代の裏返しなんだよ。2つのアルバムカバーを見比べてみると、共通するディテールが見えてくるけど、状態は違うよね。
このアルバムのタイトルの長さも、選ばれたコンセプトの結果なんだ。これは一種の二部作なんだよ。そして、”Prajecyrujučy sinhuliarnaje wypramieńwańnie … “が遠い過去についてのものだとすれば、”Šahrartu “は遠い未来についてのものなんだ。1つの全体像にの2つの顔があるようなものさ。

Q7: I found the previous album to be spellbinding, brutal death metal with influences from Nile and Origin. This time around, the album is more diverse and melodic without losing any of its aggression, would you agree?

【EXIMPERITUS】: Yes, in general, everything is so. We wanted our debut album to sound raw, rough and dirty in some moments. At that moment we were gripped by such an idea. Now, several years later, we understand that we would have done a lot differently. And that an album with such an ideological component deserves to be appreciated by a much larger audience, not just underground sound fans. We are completely satisfied with the sound of “Šahrartu”. And in the future we will develop some of the ideas used on this album.

Q7: ファーストアルバムは、呪術的なブルータルデスメタルで、NILE や ORIGIN を想起させましたが、今回はその獰猛を失うことなくより多様でメロディックに仕上がりましたね?

【EXIMPERITUS】: そうだね、基本的にはその通りだよ。デビューアルバムは、生々しく、荒々しく、ダーティなサウンドが存在する作品にしたいと思っていたんだ。あのころ、僕らはそういった考えに囚われていたんだよね。
数年後の今だったら、もっと違うことをしていただろうと感じているよ。ああいったイデオロギー的な要素を持つアルバムだからこそ、アンダーグラウンド・サウンドのファンだけでなく、もっと多くのオーディエンスに評価されるべきだということを理解したわけさ。
僕たちは “Šahrartu” のサウンドに完全に満足しているんだ。将来的には、このアルバムで使われているアイデアを発展させていきたいと思っているよ。

Q8: “Inquirad” is fantastic. It conveys doom metal and avant-garde atmosphere. And also, “Riqutu” is ambient. Is Eximperitus going to a place “Transcendental death metal”?

【EXIMPERITUS】: Maybe. But you must understand that these are acts of one play. The tracks on “Šahrartu” are built and composed based on the concept of the birth-death of the world. Therefore, each composition is a certain stage in the development of the story. The pace and atmosphere are meant to highlight the phenomenology of each stage. We do not want to be attached to any genre definitions. We are interested in experimenting, discovering new horizons, developing and improving in all directions. And when you take on a concrete form, you only open up to attack.

Q8: “Inquirad” には、ドゥームやアヴァンギャルドの雰囲気さえありますね。”Riqutu” はアンビエントですし、ある意味 EXIMPERITUS はトランセンド・デスメタル、デスメタルを超越した領域に達したと言えそうですね。

【EXIMPERITUS】: そうかもしれないね。しかし、これらは一つの芝居の一部であることを理解しなければならない。”Šahrartu” に収録されている曲は、世界の誕生と死という概念に基づいて構築されている。だから、それぞれの構成は、物語の展開のある段階を表しているんだよ。楽曲のペースや雰囲気は、それぞれのステージの現象を強調しているわけさ。
僕たちは、どんなジャンルの定義にも執着したくないんだよ。実験し、新しい地平を発見し、あらゆる方向に発展し、改善していくことに興味を持っているんだ。そして、具体的な形を示すなら、攻撃にしか道は開かれないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED EXIMPERITUS’S LIFE

METALLICA “METALLICA”

DARK FUNERAL “THE SECRETS OF THE BLACK ARTS”

CANNIBAL CORPSE “VILE”

DEATH “SYMBOLIC”

SUFFOCATION “PIERCED FROM WITHIN”

MESSAGE FOR JAPAN

In parting we bow respectfully to the people and country, whose history, culture and traditions inspire us in our private life, and progress, speed of development and technology serve as a vector of movement into the future! Our second album “Šahrartu” is already available for purchase and listening worldwide. If you value sophisticated style, ceremonial atmosphere, philosophical meaning – this album is for you!

僕たちは、歴史、文化、伝統が僕たちの生活にインスピレーションを与え、進歩、発展のスピード、技術が未来への動きのベクトルとなっている人々と国に敬意を表して惜しまないよ。
セカンドアルバム “Šahrartu” は、すでに世界中で購入して聴くことができる。洗練されたスタイル、儀式的な雰囲気、哲学的な意味を重視するならば、このアルバムはまさに君のためのものさ!

Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITURGY : ORIGIN OF THE ALIMONIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!

“I Hope That The Metal Scene Learns To Have Less Of The ‘Boys Club’ Aspect And Hold Space For More Alterity. Personally I See That As The Leading Edge Of Originality For Metal”

DISC REVIEW “ORIGIN OF THE ALIMONIES”

「私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。」
昨年、”H.A.Q.Q.” でブラックメタルの地図に新大陸を記載した LITURGY。日本の雅楽までを飲み込み、実験と理想を両立させた音楽、芸術、哲学が三位一体のレコードは明らかにメタルの境界線を大きく押し広げました。そうして自らを “解放” しさらなる自由を得た首謀者 Hunter Hunt-Hendrix にとって、次なる超越的ブラックメタルのテーマはクラシックとグリッチを織り交ぜたメタルオペラでした。
「メタルシーンには、”ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。」
LITURGY は、シンガー、ソングライター、作曲家、哲学者、そして先駆者 Hunter Hunt-Hendrixのプロジェクト。”H.A.Q.Q.” の成功の後、Hunter は様々な葛藤を乗り越え自らがトランスジェンダーであることを公表します。
体は男性、心は女性。彼女の作品の哲学的な性質を考えれば、この勇気ある公表がボーカルとアレンジメントの両方を通して、より深く、より生々しい感情的サウンドを喚起することは明らかでした。
「LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。」
性別の移行と同時に、インストゥルメンタルだった万物の起源へと誘うオペラはその神話を語る声を得ました。それはすべて、この物語の主人公が SIHEYMN という女性だったから。言葉だけでも、音楽だけでも伝えられない彼女のメタフィジカルな理想は、そうして女性性を色濃くしながら “Origin of the Alimonies” へと昇華されることとなったのです。描かれるはトラウマティックな愛によって引き裂かれた2つの神の原理 OIOION と SIHEYMN の尊き神話。
「私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから。」
グリッチなシンセで幕を開けた “H.A.Q.Q.” とは対照的に、”Origin of the Alimonies” はフルートの孤高が導きの灯火。フランスの現代音楽作曲家でオルガニスト Olivier Messiaen に薫陶を受けたアルバムは、ヴァイオリン、トランペット、ハープを不穏に誘い、バーストビートのラウドな宇宙と結合することで、2020年代のチェンバーメタルオペラを提示することに成功したのです。
もちろん、”Lonely OIOION” を聴けば、圧倒的なバンドパフォーマンスの不変に今も身を委ねることが可能です。それでも、グリッチやオーケストレーションとのセンセーショナルな婚約に始まり、千変万化なトラップやフリージャズのビート、”The Fall of SIHEYMN” に降臨するマイクロトーナルの絶景、Messiaen 由来の現代音楽のリズムと不協和を設計図とする “Apparition of the Eternal Church” の叙事詩まで、37分すべてが明らかにブラックメタルを超えた芸術作品の域までこのオペラを高めています。
Hunter はかつて、このアルバムで自身のリスナーは大きく減るだろうと予言しました。しかし、作品を締めくくる “The Armistice” の美しき混沌に身を委ねれば、彼女の予言がいかに的外れであったか伝わるはずです。
複雑なリズムのクラスター、ポリフォニー、そして不協和音。常識を覆す斬新なアイデアと、原始的な人間の起源を描いたことによる初演の混乱。そうこれは21世紀のストラヴィンスキー、春の祭典なのかもしれませんね。もちろん、バレーのダンサーは半狂乱でしかし軽やかにモッシュピットで踊ります。ゆえに現在制作中という、アルバムを投影した映像作品も楽しみですね。
今回弊誌では、Hunter Hunt-Hendrix にインタビューを行うことができました。「もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。」2度目の登場。どうぞ!!

LITURGY “ORIGIN OF THE ALIMONIES” : 10/10

INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX

Q1: After our previous interview, you came out publicly as transgender. As you say, there was fear of rejection -social rejection, romantic rejection, career rejection, rejection by your family. I admire your courage. How were you still able to come out?

【HHH】: It was a long process. I was finally able to once I found a community that would accept me, which was only very recently. It’s more complicated than at obviously. I’m sad that I wasn’t able to face this sooner but there has been a lot of support and I’ve really appreciated it.

Q1: 前回のインタビューのあと、あなたはトランスジェンダーであることを公表しましたね。あなたの勇気を心から賞賛しますよ。
社会的にも、キャリア的にも、さらには家族からも拒絶される恐怖があったとあの時あなたは語っていましたが、それでも公表を後押ししたのは何だったんですか?

【HHH】: 長いプロセスだったわ。私を受け入れてくれるコミュニティを見つけてようやく公表できたんだけど、それはごく最近のことだったのよ。明らかに以前の方が複雑だったわね。
もっと早く向き合えなかったのは残念だけど、多くのサポートを受けることができて本当に感謝しているの。

Q2: You said “The music and ideas I compose come from a female heart”. That was very interesting to me. I’d like to ask you about femininity in art and music?

【HHH】: It’s somewhat hard to explain. I’ve always considered the burst beat technique to be feminine in some kind of cosmic sense, like fluid, cyclical and anexact unlike ordinary metal drumming, though it gets very difficult to describe what one means by ‘feminine’. Like there’s always been a lot of love, openness and sincerity in Liturgy’s music. Is that ‘feminine’ exactly? Seems like it would be too rigid to define it that way. But when I personally access and express those feelings, it feels feminine to me.

Q2: 公表時のメッセージであなたは、「私の音楽やアイデアは女性の心からきているの」 と仰っていましたね。とても興味深い表現だと思いました。
具体的に、アートや音楽に潜む女性性についてお話ししていただけますか?

【HHH】: 説明するのはなかなか難しいわね。バーストビート (注: 彼女にとってのブラストビート) のテクニックは、普通のメタルドラミングとは違って、流動的で周期的で正確な、ある種宇宙的な意味での女性的なものだと思っていたんだけど、それでも “女性的”とは何を意味するのかを説明するのはとても難しいわね。
LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。

Q3: The metal world still emphasizes masculinity, and the boys’ club aspect remains strong. That’s why I’m glad you’re in the metal world. Do you think those false traditions will change?

【HHH】: I think they will, or at least I hope so. There’s nothing wrong with masculinity of course, and I’m sure masculinity will always dominate metal, which is fine by me. But I hope that the metal scene learns to have less of the ‘boys club’ aspect you mention and hold space for more alterity. Personally I see that as the leading edge of originality for metal, like fulfilling its potential, making it more complete and well-rounded, fulfilling its destiny anyway. But that’s just my philosophy – I’m sure other people want different things out of metal from me and that’s fine too.

Q3: メタル世界は今でも男性性を強調したり、ボーイズクラブ的な側面が色濃く残っていますよね。だからこそ、あなたの存在が重要だと感じています。伝統を変えていけると思いますか?

【HHH】: そうなると思うし、少なくとも私はそう願っているわ。もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。
でも、メタルシーンには、あなたが言うような “ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。つまり、メタルの潜在能力を満たして、より完成度の高いものにして、とにかくその運命を成就させるようなものね。
でも、それは私の哲学に過ぎないから。他の人も私とは違うものをメタルに求めていると思うし、それはそれでいいと思うのよ。

Q4: In our previous interview, you said “I worked way, way, harder composing the music to Origin than the music for H.A.Q.Q.”. Isn’t it just the right piece for the right time you were finally broken free from some kind of compromise?

【HHH】: Yes, it really is. I made a point of not using any pronouns at all for the press stuff around H.A.Q.Q. because I had the sense that I would come out soon but wasn’t ready yet. But Origin of the Alimonies is really a culmination of who I am in a way, and the process of making it – especially the video aspect that most people havent seen yet – was a big part of what gradually put me in contact with my womanhood. For a long time I thought that the album had to be instrumental. We recorded the music before I came out (during the same session as H.A.Q.Q.), but once I began my transition I felt able to put vocals on it after all, which I did only a month before it was released, in September of 2020. That felt very meaningful to me.

Q4: 前回のインタビューであなたは、「”Origin of the Alimonies” は “H.A.Q.Q.” の何倍もハードに作曲に取り組んだ」と語っていましたね。自らを解放したあと、最初のアルバムとしてこれほど完璧な作品もないですよね?

【HHH】: そうね、本当にそう思うわ。”H.A.Q.Q.” を予告をせずサプライズリリースにしたのは、もうすぐ出るけどまだ準備ができていないという感覚があったからなの。でも、”Origin of the Alimonies” は、ある意味で自分自身の集大成で、その制作過程、特にまだほとんどの人が見ていない映像の部分は、自分の女らしさに少しずつ触れさせてくれた大きな作品だったの。
長い間、このアルバムはインストゥルメンタルでなければならないと思っていたの。私がカミングアウトする前に(”H.A.Q.Q.” と同じセッション中に)レコーディングしたんだけど、性を変え始めると、結局ヴォーカルを入れることができると感じるようになった。主人公が女性だったから。リリースのわずか1ヶ月前、2020年の9月にボーカルを入れたのよ。それは私にとってとても意味のあることだったの。

Q5: Also, you said “I’m sure the audience will be much, much smaller, because it is a lot less accessible.”. Indeed, it is their most overly lofty challenge to yourself and listeners yet. As well as the new elements of classical instrumentation that most closely correlate your sound to 19th Century Romanticism, you also reunite the sounds of black metal, trap music, gabber, electronica, noise, glitch, hip-hop production effects and much, much more. Definitely, this is the 21st century’s opera, would you agree?

【HHH】: Yeah I see it as an opera, even to the point of primarily belonging in the context of contemporary opera even more so than the context of metal, or at least equally. Like, it isn’t an ordinary opera obviously, but I really do engage deeply with that tradition here, ‘opera’ isn’t just a word pasted onto the album in order to make clear that the music is telling a story.

Q5: この作品についてあなたはこうも言っていましたね。「あまりにキャッチーさに欠けるから、リスナーは大きく減るだろう」 と。
ただ、19世紀のロマン主義が現代のブラックメタル、トラップ、ノイズ、グリッチ、ヒップホップと融合するあなたのやり方は、まさに当時のオペラの精神を投影していると感じましたよ。

【HHH】: そうね、私はこの作品をオペラだと思っていて、メタルというよりも現代オペラの文脈に属していると思っているの。少なくともメタルと同じくらいオペラよ。明らかに普通のオペラではないんだけど、その伝統に深く関わっていると感じているわ。
オペラとはアルバムに貼り付けられた言葉というだけじゃなく、音楽が物語を語っていることを明確にするためのものだったの。

Q6: How did Olivier Messiaen’s music influence this work?

【HHH】: One thing I love about Messiaen is that he is both an avant-garde composer and a Christian, just like me. Those two aspects are important to the tradition of The Ark Work that I seek to define and continue in my work (though other forms of spirituality besides Christianity are ok too). One of the tracks here is literally an arrangement of a piece of his. I see it as sort of an invocation or re-incarnation of his spirit, so as to carry the torch he was carrying. To me the way he combines different rhythms in simulaneity also influences the whole album.

Q6: Olivier Messiaen の音楽はこの作品にどう影響を及ぼしましたか?

【HHH】: 私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから(キリスト教以外の精神性の形でも良いけれど)。
このアルバムに収録されている曲の一つは、文字通り彼の曲をアレンジしたものよ。私はそれを、彼が背負っていた聖火を受け継ぐための、彼の精神を呼び出す生まれ変わりのようなものだと思っているの。
もっとミクロな視点で言うと、彼が様々なリズムを同時に組み合わせる方法は、このアルバム全体に影響を与えていると思うわ。

Q7: Did Pandemic affect this work in any way? You mentioned last time that this was the soundtrack to the film – it must have been difficult to make a film in Lockdown, right?

【HHH】: Well, the new version of the film I’m working I’m actually making in my living room, which I suppose is an effect of the pandemic yes.

Q7: 先程映像作品の話が出ましたが、このパンデミックで撮影もなかなか難しかったのではないですか?

【HHH】: 今取り組んでいる映画の新バージョンは、実は私のリビングルームで作っているのよ。だからそれもパンデミックの影響だと思うわ…そうね。

Q8: It seems this opera tells the story of why the world was born, and its story is meant to be the aesthetic core of Liturgy. Could you please explain this in a way that is easy for our listeners to understand when they first get to know you here?

【HHH】: I believe that there is a metaphysical imbalance within God that caused human history to begin to unfold, and that emancipatory politics and experimental art have an important role to play in restoring the balance, but that each new generation has to define what that means.

Q8: このオペラを私は世界の始まりの物語と捉えているのですが。

【HHH】: 私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。それが何を意味するのかは、それぞれの新しい世代が定義しなければならないと思けどね。

HUNTER’S FAVORITE ALBUMS OF 2020

VICTORY OVER THE SUN “A TESSITURA OF TRANSFIGURATION”

UBOA “THE FLESH OF THE WORLD”

MESSAGE FOR JAPAN

I hope we tour in Japan soon! We were supposed to be there in November of 2020 but had to postpone due to the pandemic, but hopefully 2021 or 2022!

日本をすぐにツアーできたらいいのに!もともとは2020年の11月に来日する予定だったんだけど、パンデミックのおかげで延期を余儀なくされたの。でもきっと今年か来年にはね!

HUNTER HUNT-HENDRIX

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2020: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2020: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

1. OCEANS OF SLUMBER “OCEANS OF SLUMBER”

コロナ禍、BLM、気候変動による異常気象。苦難の幕開けとなった20年代の始まりに、世界の分断と欺瞞は一際顕となりました。そんな暗闇の中でも、あのヴィルスを凌ぐメタルの多様で純粋な生命力は一筋の光となって世界に降り注いでいます。すでにメタルは西欧と白人だけのものではありません。東欧にも、南米にも、アジアにも、アフリカにも、どんな文化、宗教、人種、性別にも、欺瞞に贖うメタルの哲学は様々な変異種を生みだしつつ平等に感染しています (そんな中、メタルの祖国英国の復権が進行している事実もまた興味深いのですが) 。その象徴とも言えるバンドの一つが、OCEANS OF SLUMBER だと言えるでしょう。
音楽的にも、プログ、ジャズ、R&B、ドゥームにゴシック、デス、ブラックといくつもの垣根を取り払ったセルフタイトル “Oceans Of Slumber” において、女性であること、黒人であること、ヘヴィーメタルには直結しない2つの特徴を持つ Cammie Gilbert は文化や人種の壁も取り払いたいと切に願っています。
「ドラマーで私のパートナーでもある Dobber がこのレコードで君のことを語ろうと言ってくれたの。南部に住む黒人女性としての私の気持ちをもっと大きなスケールで OCEANS の音楽に反映させようってね。それってメタルコミュニティにはまだあまり浸透していない視点なの。
私はアメリカの黒人女性で、奴隷の曾孫娘。それは写真の中だけの記憶。幼い頃、私は奴隷の生活を想像しようとしたわ。だけど今起こっている現実は、私の子供じみた想像力の裏にある謎を解き明かしてくれたの。黒人の上院議員、市長、有名人、勇敢な人々がネット上でこの国の欠点に対する不満を共有しているとき、私はもう怒りの涙を抑えられないの。全国放送のテレビで、これまで以上に多くの黒人が泣いているのを見てきたわ。自分の歴史が壊れたような気がするし、この国が壊れたような気がする。ジョージ・フロイドは転機となった。新世代が「もういい加減にしろ」と言うきっかけになった。彼の人生を奪った紛れもない冷酷さを無視することはできなかったの。彼の死がビデオに撮られたことは、感情的にはぐちゃぐちゃになっていて居心地が悪いけれど、それでも幸運だと思っているわ。それはついに世界に、何十年もの間、ネイティブアフリカンのアメリカ人が注意を喚起しようとしてきたことを、自らの目で見る機会を与えてくれたから。物事はまだ壊れている。とても、とても、壊れている。アメリカの歴史を考えてみると、白人でない者に良いことはほとんどないの。それが真実よ。
抗議活動の勢いを持続させ、前進させるためにはどうすればいいのだろうか。これは、すべての人が反省するための時間。自分の信念が自分の人生をより良いものにしてきたのだろうか?私の信念は、私の周りの人々の生活をより良いものにしただろうか?正直に答えて、よく考えて欲しい。私たちの未来は、それにかかっているから。」

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2. CONFESS “EAT WHAT YOU KILL”

「ポジティブな話をしようじゃないか。もちろん、過去も重要だけど新たなアルバム、新たなツアー、未来について話したいんだ。」
イランで不敬罪に問われノルウェーへと亡命したメタルソルジャー。CONFESS の魂 Nikan Khosravi と弊誌のコンタクトはそうして始まりました。Nikan と同様の状況に立たされた時、それでもあなたは過去よりも未来を見つめ、希望を捨てずにいられるでしょうか?
「被告を懲役12年、鞭打ち74回の刑に処す。」2017年、テヘランの裁判官は、冒涜的な音楽を作ったとして政権に起訴されたイランの有名メタルデュオ、CONFESS 2人のメンバーに判決を言い渡しました。特にシンガーでリードギタリスト Nikan “Siyanor” Khosravi(27歳)は、”最高指導者と大統領を侮辱した”、”反体制的な歌詞と侮辱的な内容を含む音楽を制作し世論を混乱させた”、”野党メディアのインタビューに参加した” として非常に重い量刑を受けることとなったのです。
「実は最初は強制的に出国させられたんだ!そしてもう一つの理由は、目を覚まさせる率直な暴言というか意見を吐いたアーティストという理由だけで、10年以上も刑務所にいるのはフェアではないと感じたからだよ。どんなやり方でも、僕は刑務所の外にいた方が多くの人の役に立つことができると感じていたしね。」
イランが国民の表現の自由を厳しく制限していることは明らかです。ジャーナリストは今でも逮捕され続けていますし、公共の場で踊ったり顔を隠さなかっただけの女性も酷い罰を受けているのですから。つまり、抑圧的なイランの現政権にとって、芸術を通して自己や思想を表現する CONFESS のようなアーティストは格好の標的だったのです。
「僕は逮捕されたことを誇りに思っていたんだよ! なぜならそれは、僕の音楽と歌詞が非常に強力で真実味があることを意味していたからね。政権全体を脅かすことができたんだから。でも同時に、それは未知の世界に足を踏み入れることでもあったんだ。」
そんなある種のスケープゴートとされた Nikan ですが、自らのアートが真実で政権に脅威を与えたことをむしろ誇りに思っていました。人生は常にポジティブであれ。そんな Nikan の哲学とメタルの生命力は、偶然にも彼を迫害されるアーティストの移住を支援する ICORN によってメタルの聖地ノルウェーへと導くことになったのです。第三世界があげる復讐の叫びを伴いながら。

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3. IMPERIAL TRIUMPHANT “ALPHAVILLE”

「あのマスクは20世紀前半のニューヨークで育まれたアールデコ運動と密接に関係しているんだ。そのムーブメントは数千年前にさかのぼり、過去と深遠で神秘的な多くのつながりを持っている。そしてそれは、かつて僕たちの一部であったものがここにあると悠久に想いを馳せる、時を超えた夢の形でもあるんだよ。つまり歴史的意義のある魅力的な美学なんだ。」
政治的な対立、忌まわしい暴力、世界恐慌と終末のムードが世界を覆った1920年代。アールヌーボーの華美な装飾は機能的なアールデコへと移り変わり、混沌に触発された前衛的なジャズや実験音楽の先駆けは遂に芽吹きました。
100年の後、現代ニューヨークの多様な喧騒をノイジーなジャズや20世紀の前衛クラシックで再構築したエクストリームメタルで体現する仮面の三銃士 IMPERIAL TRIUMPHANT は、奇しくも1世紀前と等しい創造的な大胆不敵を宿す空想都市 “Alphaville” を世に放ちます。
「”Alphaville” は現在のような状況になる前から構想・制作されていたんだ。だけど社会的な枠組みの中における文明文化や個人の葛藤といった大きなテーマや題材は、今も昔も、そして人類が存在する限り未来においても存在しているのではないだろうか?そうは思わないかい?僕たちはいつも NYC のサウンドを演奏しているんだ。文化的にも僕たちの音楽世界には現在のアメリカの状況が反映されていると思う。」
コロナ禍や気候変動、反知性主義と分断が渦巻く2020年に、IMPERIAL TRIUMPHANT が複雑怪奇なブラック/デスメタルの迷宮で1920年代の復活と再構築を告げたのは決して偶然ではないはずです。
「まあ確実に僕たちは、メタル、ロック、ヘヴィーミュージックの複数のカテゴリーに当てはまる多様な音楽的影響を持っているよね。いつかは他のカテゴリーに入るかもしれないね。それが何になるかは分からないけどね!」
つまり、Steve が “グローバルなインテグレーション (分け隔てのない) の時代には、多様な視点がより実りある言説やコミュニケーションを生み出す” と語ったように、IMPERIAL TRIUMPHANT が破壊するのは過去の慣習だけではなく、ジャンルの壁や偏見、凝り固まった思想そのものだったのです。

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4. ORANSSI PAZUZU “MESTRIAN KYNSI”

「僕たちにとって、プログレッシブとは1つのジャンルに誠実でいることではなく、ジャンルを旅して新たな音の次元へと進んでいくことなんだ。そして僕はプログの巨人たちが、当時同じようなアイデアを持っていたと確信しているんだよ。」
古の巨人とその探究心を共有するフィンランドの哲音家、サイケデリックブラックマスター ORANSSI PAZUZU。ジャンルを巡るバンドの旅路は最新作 “Mestarin Kynsi” (マスターの爪) において一際ブラックメタルの暗黒宇宙を飛び出し、プログレッシブ、クラウトロック、アシッドハウス、ジャズ、アヴァンギャルド、ミニマル、ノイズの星々を探訪する壮大なる狂気の音楽譚へと進化を遂げています。
「ORANSSI PAZUZU という名前は、僕たちの音楽に存在する二元的な性質を表すため選んだんだ。サイケデリックなサウンドと70年代スタイルのジャムベースなクラウトロックの探検を、ブラックメタルに取り入れたかったからね。」
艶やかなオレンジと魔神パズズ。二極化されたバンド名が象徴するように、ORANSSI PAZUZU は時にメタルという重力からも解放されて、不可思議なリズム感とポップな感性を備えつつ、神秘と悲惨の破片に溶け出す独特の審美世界を呼び起こします。
「個人的に最初のビッグアイドルの1人は、ファイナルファンタジーサーガの音楽を創生した植松伸夫氏だったんだ。今でも彼のハーモニーやエモーションの素晴らしきアプローチに影響を受けていることに気づかされるね。”FF VII” は僕のエピカルで壮大な感覚が生まれた場所なんだ。」

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5. LOATHE “I LET IT IN AND IT TOOK EVERYTHING”

「このアルバムにはサウンドトラックに対する僕たちの愛情が反映されている訳だよ。オープニングの “Theme” はまさにこのレコード全体のフィーリングを象徴しているのさ。美しいけれど、どこか破滅的でハードブレーキングな雰囲気だよね。」
音楽を触媒とした野心はアーティストそれぞれ。有名になりたい者、レコードを数多く売りたい者、自らの限界に挑みたい者。リバプールの銀幕王 LOATHE は、刻々と移り変わる景色や瞬間、そして感情を切り取りレコードへと投影する、サウンドトラックの美学を自らの雄図に抱きます。
「日本のゲームからの影響は明らかに僕たちの音楽へ強く現れているよ。”The Cold Sun” は特に象徴的だけど。僕たちはそういったサウンドトラックが、しばしば LOATHE の音楽に通じるようなヘヴィーな感情を伝えているように感じるんだ。だからこそ、究極にエモーショナルな人間として惹きつけられるわけだよ。」
2017年にバンドがデビューフル “The Cold Sun” を放った時、多くのリスナーはその冷厳な陽光の影に日本のアニメーション “Akira” の存在を感じたはずです。アートワークはもちろん、Tech-metal とエレクトロの雄弁なアマルガムを裏路地へと引き摺り出すハードコアのリアルは、さながら遠近法の撮影トリックのように鮮やかにバンドの個性を投映したのです。共鳴するはレトロフューチャーな世界観。ただし、それはあくまでも “LOATHE RPG” の序章に過ぎませんでした。
「僕は、音楽的な多様性とはただ音楽的な自由を言い換えた言葉だと思うんだ。つまり、それがどのようなスタイルであれ、どんなバンドやアーティストかに関係なく、真の感情が宿る音楽である限りそれは価値ある “多様” と表現できるわけさ。」
最新作 “I Let It In And It Took Everything” は間違いなく、モダン=多様性のモダンメタルフィールドにおけるラストダンジョンの一つでしょう。ただし、メタリックハードコアからブラックメタル、ポストメタル、プログ、シューゲイズ、オルタナティブ、エモ、Nu-metal とカラフルに張り巡らされた罠の数々はあくまで単なる仕掛けに過ぎず、多様性のラスボスとは “真の感情” だと Feisal El-Khazragi は語ってくれました。

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6. DUMA “DUMA”

2019年にウガンダのカンパラにある NyegeNyege Studio で録音されたインダストリアルノイズ渦巻く反抗のレコード “Duma” は、00年代初頭にケニアでハードコアパンクやメタルを聴いて育った2人が送る強烈なステイトメント。
「俺の好きな音楽だから、俺が育った場所で周りのみんなに聴かせてやりたいんだよ。」
彼らにとってメタルは救いであり、自己実現のためのツールでもありました。
「ラジオからメタルが流れてきて、人生が変わった。俺はいつも人生の中で自分の道を見つけようとしていたし、何かを発見しようとしていた。そしてこの音楽が俺に表現力を与えてくれていることに気付いたんだ。音楽がなければ自分の人生をどうすればいいのかわからない。目的がないんだ。メタルが生きがいを与えてくれた。一日の終わりには自分を表現しなければならない。そうしないと自分を抑え込んでしまう。精神的にも健康的じゃない。俺は苦手なことばかりだけど、少なくともこれは得意なんだ。」
ダンスビートを取り入れたダークでヘヴィーな実験 “Lionsblood” はまさにアフリカのバンドにしか書けない楽曲でしょう。Martin が説明します。
「これは俺の民族的背景であるマサイ族のルーツからきている。男になるためには、茂みに入ってライオンを殺し、ライオンの血で体を洗わなければならないんだ。それは、つまり自分を見つけたということだ。ライオンの血を飲むんだから、生き残れば自分の中にライオンが残る。この慣わしを使ったのは、俺たちが日常生活の中でどのように存在しているかを表現したかったから。
問題は、人種や文化の違いじゃなく、見解や認識の違いなんだ。その違いは、俺たちが共に分かち合うべき強さなんだよ。 この違いが組み合わさったとき、俺たちはみんな強くなるんだから。人は教会に行ったり、学校に行ったり、何かを発明したり、ビジネスを経営したりすることができる。もし本当に好きなことが得意なら、それをやってみて、好きなことをするように人々を鼓舞して欲しいね。それが人間として、俺たち全員のためになるんだから。」

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7. COUNTLESS SKIES “GLOW”

「”Glow” では、プログの要素をより多く取り入れて、他の音楽からの影響も取り入れた。僕は今も自分たちのサウンドを保ちたいと願っているんだ。ただし、新たなダイナミックな方法でね。今は自分たちのサウンドを見つけ始めていると思う。」
メロディックデスメタルは多くのファンに愛されるジャンルですが、あまりにそのサウンドが明確なため、90年代初頭の予定調和が繰り返されるだけという側面も否めません。実際、21世紀以降、この場所に新鮮な空気を持ち込んだ異能は数少なく、DARK TRANQUILLITY, INSOMNIUM, OMNIUM GATHERUM といった創始者に近い英傑たちに進化を委ねるしかありませんでした。
「僕たちは BE’LAKOR の大ファンなんだ。彼らは、自分たちの良さの基本を守りながら、常に変化し、新しいサウンドを探求しているバンドだからね。彼らの最新アルバム “Vessels” は、音楽的にも非常に異なるものになっている。」
僅かな例外の一つが BE’LAKOR で、彼らのプログレッシブな旅路が多くの後続を勇気づけたことは間違いありません。北欧のメランコリーからかけ離れた高級住宅街、イングランドのハートフォードシャーに現れた COUNTLESS SKIES もそんなバンド一つです。BE’LAKOR の名作 “Stone’s Reach” のファイナルトラックをバンド名に戴き、彼らの最新作 “Vessels” と自らのデビューフル “New Dawn” のリリースデートを合わせこむ COUNTLESS SKIES の BE’LAKOR 愛は本物。ただし、受け継いだのは音楽性そのものではなく、挑戦者の哲学とスピリットでした。
「有能なバンドを際立たせているのは、メタルをはるかに超えたところから影響を受け取り入れる能力だと思うからね。プログメタルは、他のジャンルのように特定のサウンドに限定されていないから好きなんだ。僕たちはメロディックデスメタルの観点からプログレッシブメタルに取り組んでいるんだ。」

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8. SCARDUST “STRANGERS”

「イスラエルには小さいながらもとてもパワフルで、最高のメタルバンドが集まっているのよ。ORPHANED LAND, WALKWAYS, SUBTERRANEAN MASQUERADE といった有名なバンドは氷山の一角に過ぎないの。」
米国と欧州、そして中東の交差点イスラエル。時に火薬庫にもなり得る複雑なその地で、音を宗教とするアーティストたちは、現実社会よりも容易に文化間の距離を縮めています。
デビューフル “Sands of Time” があの Prog 誌から “Extraordinary” という絶賛を浴びた SCARDUST も、イスラエルが生んだ極上の架け橋の一つ。世界に散らばるインスピレーションの結晶を集めながら、プログメタル無限の可能性を追求していくのです。
「僕はシンフォニックメタルというのは、プログロックの歴史を紐解けばその延長だと考えることが出来ると思っているんだ。」
バンドの専任コンポーザー、アレンジャー Orr Didi は、クラッシックとロックの甘やかな婚姻から始まったプログロックの起源が、現在のシンフォニックメタルへと続いている、そう主張します。実際、SCARDUST の音楽は荘厳なクワイアやストリングスのクラシカルな響きを抱きしめながら、メタルに宿るアグレッション、複雑な不合理、そしてテクニックの洪水をもしっかりとその身に受け止めているのです。
「イスラエルに最高のオーディエンスがいることは確かなんだけど、その人数は決して多くないから母国よりも遠く遠く離れた世界を対象に音楽を演奏し、作らねばならないと理解しなきゃいけないんだよ。それがある意味もどかしい部分ではあるんだけどね。」
アートとエモーションの粋を極めた絶佳のメタルオペラを創造していながら、母国以外での活動に力を入れなければバンドを維持できないもどかしさ。その中で感じた疎外感や孤独は乗り越える野心を伴って最新作 “Strangers” へと投影されました。

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9. THOU & EMMA RUTH RUNDLE “MAY OUR CHAMBERS BE FULL”

「”メタルヘッズ” と名乗る人たちの多くは、公平にみてもおそらく自分たちが言うよりもずっと多くの音楽的なニュアンスを持っていると思うよ。だから厳格なルールにしがみつくのではなく、バランスを取ってほしいと願うばかりだね。俺はしっかりバランスを取っているからこそ、40歳になった今でも、パンクやハードコアキッドなんだと思う。頭の中では、そういった概念がより曖昧で広がりを持っているように思えるからね。」
スラッジ、ドゥーム、メタル、ハードコア、グランジ。ルイジアナの激音集団 THOU はそんな音楽のカプセル化に真っ向から贖う DIY の神話です。
「ここ数年で培った退屈なオーディエンスではなく、もっと反応の良い(しかし少なくとも多少は敬意を払ってくれる)オーディエンスを獲得したいからなんだ。 堅苦しいメタル野郎どもを捨てて、THE PUNKS に戻る必要があるんじゃないかな!」
15年で5枚のフルアルバム、11枚の EP、19枚のスプリット/コラボレーション/カバー集。THOU の美学は、モノクロームの中世を纏った膨大なカタログに象徴されています。THE BODY を筆頭とする様々なアーティストとの共闘、一つのレーベルに拘らないフレキシブルなリリース形態、そしてジャンルを股にかける豊かなレコードの色彩。そのすべては、ボーカリスト Bryan Funck の言葉を借りれば “金儲けではなく、アートを自由に行う” ためでした。
「メンタルの病の個人的な影響を探求することがかなりの部分染み込んでいて、それは無慈悲なアメリカ資本主義の闇とは切っても切り離せないものだと思うんだ。」
THOU が次にもたらす驚きは、ポストロック/ダークフォークの歌姫 Emma Ruth Rundle とのコラボレーション作品でした。90年代のシアトル、オルタナティブの音景色を胸一杯に吸い込んだ偉大な反抗者たちの共闘は、壊れやすくしかしパワフルで、悲しくしかし怖れのない孤立からの脱出。精神の疾患や中毒、ストレスが容赦なく人間を押しつぶす現代で、灰色の世界で屍に続くか、希望の代わりに怒りを燃やし反抗を続けるのか。選択はリスナーの手に委ねられているのかも知れませんね。

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10 CEMICAN “YOOK ‘OL KAAB MAYA”

「ここ数年、ラテンアメリカでメタルは本当に強力なんだ。まあ世界中でそうなんだが。メキシコ人はアグレッシブなサウンドを愛しているから、メタルは我々の文化を拡散するのに最適な方法なんだよ。」
ヘヴィーメタルとフォークミュージック、伝統音楽の絆はあまりに深く強靭です。スカンジナヴィア、欧州、アジア、北米。もちろん、1996年、SEPULTURA がマトグロッソの先住民族シャヴァンチと共存した “Roots” を見れば、古のラテンアメリカとヘヴィーメタルにも時を超えた親和性があることに気づくでしょう。
「CEMICAN とは同じ意味の中で生と死全体を表す言葉であり、それはこれまですべての時の間に学んだすべての知識と知恵を統合しているんだよ。」
2006年、メキシコに示現した生と死の二元性を司るアステカのメタル司祭にとって、Xaman-Ek の加入は大きな出来事でした。アステカの文化や言語ナワトルに精通するステージのシャーマンによって、CEMICAN はプレヒスパニック文化やアステカの神話をメタルのアグレッションや知性へと昇華させる唯一無二へと変貌したのです。
伝統的な管楽器や打楽器を、装飾としてでなく、勇気を持って楽曲の中心に据える戦士の魂こそ CEMICAN の原点。そうして彼らはアステカの伝統に敬意を表しながら、ボディーペイント、羽毛や骨の頭飾り、甲冑を身につけてステージに立つのです。
「ナワトル語は我々の祖先が使用していた言葉だからな。彼らは自然の力とコミュニケーションを取るためにも使用していたんだ。ナワトル語は、今でもいくつかの地域では話されているんだよ。」
ステージ名やアルバムのタイトル、時には楽曲やその歌詞にもアステカやインディオの先住民の言語を使用する CEMICAN。ただし、唸りをあげる歌詞の大半はスペイン語で書かれています。今でもメキシコ公用語の一つで、170万人の話者を持つと推定されるナワトル語ですが、それでも理解が出来るのはごく一部の人たちだけ。CEMICAN はアステカの文化を世界に運ぶため、より柔軟でグローバルな視点も有したバンドなのです。

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11. NEPTUNIAN MAXIMALISM “ENOS”

「もし人間が食物連鎖の頂点を占めていなかったとしたら、おそらく象が我々の場所に位置するという科学的なコミュニティも同意した事実から来ているんだけどね。」
叡智を育むゾウの生命に支配される地球の風景。避けがたきホモ・サピエンスの破滅を受け継ぐポスト・ヒューマンの存在。それはベルギーの実験音楽集団 NEPTUNIAN MAXIMALISM が思い描くディストピアな未来です。
「マキシマリズムという概念は、芸術の歴史に直結しているよ。それはまず、無駄を省いたミニマリズム(”less is more”)への反発であり、20世紀の現代美術に強い影響を与えた工業生産コードの回復が、アート市場の堕落を許したことに起因しているんだ。つまり、今日のアートが直面しているこの人間原理、アントロピアに対抗するためには、逆の意味を喚起する何かが必要だったんだよ。それは、現在の市場にある多くの芸術作品が示す安易さに反発して、より多くの仕事、より多くの音楽的レイヤー、さらなる寛大さへと向かうことが必要だったのさ。」
ミニマルな機能美が崇拝された20世紀へのアンチテーゼとして最大限の趣向、装飾、音数が注がれた3枚組2時間超のアルバム “Éons” は、儀式的なドローンのファンファーレで壮大な終末を手招きし、他の動物が高度な知性を得る未来への招待状。海王星の最大主義者を名乗る集団は、宇宙線に魂を貫かれ、自らの分子が散乱し、宇宙の広がりに飲みこまれるような体験を当然のように提供します。
「”サピエンス” という地位に到達するための動物の能力に気づいて欲しかったからなんだ。
言い換えれば、動物は潜在的な “人間” であり、そうなるのも時間の問題なんだ。だからこそ、僕たちは動物を対等な存在として考えなければならないよね。人間が進化の過程で非常にユニークな存在であると考えるのは間違いだと判明している。進化の過程が非常に長く(ホモ・サピエンスでは約30万年)、他の種でそれを観察する時間がなかったからわからなかっただけなんだよ。」
人類は特別な存在ではない。ただ他の動物より早く進化を遂げただけ。その主張と同様に、NEPTUNIAN MAXIMALISM の音楽は前人未到です。メタルとドローンの領域に足を踏み入れ、前衛ジャズの混沌とした自由を謳歌し、トライバルで異質な触手を持つこのグループのサウンドは、連続的な渦巻きの宇宙的ハイブリッドというべきものかも知れませんね。

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12. BOTANIST “PHOTOSYNTHESIS”

「BOTANIST というプロジェクトは、地球の自己防衛メカニズムの結果であると心底信じているんだ。自然の重要性とその保存について、情熱的な方法で人々に発言すること担ってね。」
これまでも一貫して、自然の保護に取り組み、自身をも自然から啓示を受けたメカニズムの一部だと信じるメタル世界の植物学者 Otrebor。そんな彼が新たに選んだ題材は “光合成” でした。
「植物の美しさや本質的な自然を鑑賞してもらうことが、BOTANIST の芸術的な目標。”Photosynthesis” “光合成” というタイトルは、2009年に BOTANIST としてレコーディングを始めた時、最初のアルバムタイトル候補のリストに入っていたんだ。コンセプトがシンプルでエレガントだからね。」
水、光、酸素を投影したマクロの世界から、パリセーズ、クロロフィル、バクテリアといったミクロの世界まで、自然界でも最もエレガントな生命維持のシステムはそうしてこのエレガントなレコードのコンセプトを彩り、楽曲のタイトルとして完璧に機能することとなったのです。
「今回はハーモニウムの代わりにキーボードを使用したんだ。それに今回加わったベーシスト Tony Thomas の貢献も大きいね。彼のスタイルは実にプログレッシブだから。何より、僕のボーカルの変化もアルバムをよりプログレッシブな方向へと導いたんだ。そう思わないかい?」
エレガントなコンセプトを得た BOTANIST は、これまでよりも知性を増し荘厳極まるブラックメタルの花束を纏め上げました。メタル世界のレジェンド、Dan Swano がプロダクションを手がけたことも新たなグリーンメタルのプログレッシブな音景を引き立てましたし、何よりレコードにはブレイクに必須なメジャー感が備わりました。
「Dan Swano はプログレッシブメタル界のレジェンドだ。特に僕は Pan-Thy-Moniumの 大ファンなんだよ。”Khaooohs and Kon-Fus-Ion”は特にお気に入りさ。前衛的なプロジェクトでの彼の天才的な才能を BOTANIST の音楽に応用することは夢のようなシンクロと言えるね。これ以上の経験と成果を求めることはできないよ。」

13. WAYFARER “A ROMANCE WITH VIOLENCE”

「西部のイメージに浸透している貪欲さや暴力の誘惑を描くことが目的だったと思う。それはすべてが魅力的に見えて、ある種の優雅さを持っているんだけど、俺たちはこのアルバムでその絵を描きつつ、それを取り巻く闇を掘り下げたいと思ったわけさ。」
アメリカ創世の神話には二つの大きな傷があります。奴隷制とそして西部開拓の名の下にネイティブアメリカンの土地と生命を奪ったこと。残念ながら、アメリカの西部進出から1世紀半が経過しその比較的短い時間の中で、闇を闇へと隠蔽する機運はますます強まっています。
コロラド州デンバーの WAYFARER にとって、アメリカーナとウェスタンフォークを散りばめた彼らのエクストリームメタルは、自らの場所に宿る歴史の捻じ曲げ、溶解に抵抗する手段とも言えるのです。
「俺は北欧の音楽や文化を楽しんでいるけど、アメリカ人としては北欧神話をテーマにしたアルバムを書いたり、それを自分たちのイメージとして取り入れたりすることはできないような気がするんだ。だから、彼らとアプローチは似ているんだけど、俺らの祖国の歴史や伝説、そしてこの場所の代名詞とも言える音楽からメタルを創造しているんだ。」

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14. CODE ORANGE “UNDERNEATH”

キャリア10周年を迎え、CODE ORANGE は間違いなくハードコア最大のバンドへ進化を遂げようとしています。Jami は Nu-metal を “Underneath” への意識的な影響元としては言及していませんが、ボストンの VEIN など他の新たなハードコアイノベーターと同様に、CODE ORANGE のサンプリングとパーカッションに対する最大級のアプローチを見れば、90年代後半との比較を避けることはできないでしょう。さらに共演を果たした GOJIRA への賛辞も惜しみません。
「彼らはメタルを作るのが、工夫してより良いものを作るのがいかに難しいかを知る新世代なんだ。そうまでしても、俺らは生き抜かなきゃならない。」
従うべき青写真を持たない CODE ORANGE にとって課題は二つ存在します。まず、ハードコアとインダストリアル、オルタナティブを彼らのようにミックスするバンドは前代未聞なので、独力でチェックポイントを設定しながら進まねばならないこと。さらに、そこに確立されたマーケットが存在しないことでしょう。
バンドはすでに JPEGMAFIA や Injury Reserve などラッパーとのコラボレーションを行っていますが、他のメタルミュージシャンとは異なる方法で、ヒップホップやエレクトロアーティストとの相互受粉を続けたいと考えています。なぜなら Jami はポップやヒップホップの世界で、メタリックなイメージと美学が今どれほど人気があるかに気付いているからです。つまり彼はヘヴィーな音楽がただ享受するだけでなく、影響をもたらす存在であることを示したいのです。
「それを真実にするためには、エクストリームミュージックがエキサイティングである必要がある。そして相互通行の中から新たなものを生み出していきたいんだ。もちろん、俺らはラップメタルを目指しているわけじゃない。もっとプロダクションサイドでヒップホップのやり方を取り入れていきたいのさ。」

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15. CRYPTIC SHIFT “VISITATIONS FROM ENCELADUS”

「僕たちは VOIVOD を愛していて、特に “Killing Technology” と “Dimension Hatross” がお気に入りなんだ。NOCTURNUS の “Thresholds”と並んで、この2枚はメタルレコードの中に大規模なSFの物語を書くことが可能であることを教えてくれたんだ。」
英国で最も奇妙かつ革新的な “フェノメナルテクノロジカルアストロデスアーティスト” CRYPTIC SHIFT。VOIVOD や VEKTOR のコズミックな SF スラッシュメタルと、MORBID ANGEL や GORGUTS のおどろおどろしい猟奇的デスメタルを完膚なきまでに融合させる彼らのやり方は、メタルの仄暗いファンタジーをさらにまた一歩推し進めます。
「CRYPTIC SHIFT はスラッシュ/デスメタルの境界を押し広げることを目指している一方で、広義のメタルシーンにおけるソングライティングと創造的なコンセプトのストーリーライティングの境界線をも押し広げることも目指していると言えるだろうな。2020年にスラッシュとデスメタルを推進している素晴らしいバンドはたくさんあるけど、プログレッシヴでテクニカルなSFソングライティングを推し進めているバンドはそれほど多くはないからね。」
BLOOD INCANTATION, TOMB MOLD が昨年放った2枚のレコードは、20年代のメタルが向かう先をある種予見するような作品でした。オールドスクールデスメタルの遺伝子を濃密に受け継ぎながら、奇々怪界なサイエンスフィクションをテーマに仰ぎ、サイケデリックにストーナー、プログレッシブと多様な音の葉を纏う異次元の世界線。
CRYPTIC SHIFT のデビュー作 “Visitations from Enceladus” は彼らの異形とシンクロしながら、スラッシュメタルのメカニカルな衝動と長編の空想宇宙小説を衝突させ、メタルの核融合を誘発しているのです。

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16. THY CATAFALQUE “NAIV”

「常に他の多くのジャンルも聴いてきたから、メタルが僕を完全に独占したことはないんだけど、それでも僕の人生にとってとても重要な部分だと言えるね。ただ、故に僕はメタルに何かを組み込むことや、メタルを音楽の一部としてのみ考慮し音楽の根源、ベースとしないことを恐れることがないだけなんだ。」
モダンメタルに住まうバンドの多くが、メタルとアウトサイドメタルの音の葉を掛け合わせながら、サブジャンルという枝葉を無限に伸張させています。ただし、そこに誠実さや純粋さ、敬意を深々と込めるアーティストは決して多くはないでしょう。
ハンガリーを始点とし、Tamás Kátai のライフワークとも言える THY CATAFALQUE は、メタルから遠く離れた次元の音楽にさえ、鋭く一切の妥協なしに向き合いながら真の意味での豊かな多様性を模索しています。
「僕がやっていることは、ナイーブアートの画家の創造と非常に似ていることに気づいたんだ。彼らは絵画の正式なトレーニングを受けていない。だから訓練された芸術家の専門的かつ実践的なアプローチとは異なり、子供っぽく夢のようなアティテュード、純粋さと本能を持っているからね。」
最新作 “Naiv” は “ナイーブアート” からインスピレーションを得て制作されたと Tamas は語ります。音楽制作を始めた時点でギターを所持さえしていなかった鬼才は、「僕はトレーニングを受けたミュージシャンじゃないし、限界も明らかだからね。」 と語る通り楽器のスペシャリストと言う訳ではありません。ただしそれ故に、ナイーブアートとシンクロする境界のない純粋で本能的な音色をレコードというパレットに描き出すことが可能なのかも知れませんね。

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17. GREEN CARNATION “LEAVES OF YESTERYEAR”

「”Light of Day, Day of Darkness” は多くの点で “すべてを備えて” いるよね。まさに過剰な創造性だったよ。そして幸運にも僕たちはすべてをまとめて、音楽の長いリストとしてだけじゃなく1つの曲として見られるように仕上げることができたんだ。」
ノルウェーの闇皇帝 EMPEROR にも血を分けた Tchort 率いる翠色のカーネーションは、00年代に咲いたプログメタルの徒花にも思えました。しかし、音花のラボラトリーで生育された越境の種子は後続の遺伝子へと刻まれ、14年の時を経て遂に GREEN CARNATION 本体の再生をも誘ったのです。「このアルバムで僕たちにとって最も重要なことの1つは、GREEN CARNATION 最高の面をすべて1つのアルバムに取り込むことだったね。解散以前は5枚のアルバムで何度も実験を繰り返したんだけど、すべてのアルバムに “典型的なグリーンカーネーションの瞬間” があったわけさ。」
目眩く音旅を経て、経済的な不遇とモチベーションの喪失により2007年に活動を休止した GREEN CARNATION。しかし、マイルストーン “Light of Day, Day of Darkness” のワンオフショウを契機として再び翡翠の撫子に血が通い始めます。
5曲45分。最新作 “Leaves of Yesteryear” に純粋な新曲は3曲しか収録されていません。残りの2曲は “My Dark Reflections of Life and Death” の再録と BLACK SABBATH “Solitude” のカバー。しかし、過去曲の再訪を含め、この内容に不満を感じるファンはいないでしょう。

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18. ULCERATE “STARE INTO DEATH AND BE STILL”

「早い段階で、これまでよりもさらに強くメロディのセンスを活用して、自分たちの直感に挑戦する必要があると気付いたんだ」
テクニカルかつアトモスフェリックなデスメタルとして高い評価を得ているUlcerate。その6作目となる『Stare Into Death And Be Still』は、彼らにとっては挑戦的な作品となりました。20年以上のバンド生活で養った本能は、いつしか「混沌」や「醜さ」「汚さ」に偏っていたようです。その偏りを「雪崩のように大量の素材を書いては捨てた」ことで洗い流したあとに芽生えてきた、異質なリフやパターン。そこには「力」や「美しさ」「明瞭さ」がはっきりと宿っていました。
彼らはその異質さをしっかりと捉え、さまざまな角度から強化していきます。もっともわかりやすいのがプロダクションの方向性でしょう。「今回のライティングとプリプロダクションの哲学は、混沌よりも力を優先すること」。そう語るJamieのことば通り、本作の音は明瞭で太く、暖かみさえ感じます。また、彼のドラミングにも変化がありました。メタルからジャズ、ファンクと、さまざまなジャンルのドラマーからそのスタイルを吸収してきたエクストリームメタル界きっての名手の彼ですが、本作では人生の大半をかけて磨いてきたそのテクニックを抑制し、曲そのものを活かすパフォーマンスを志向したのです。

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19. GHOSTEMANE “ANTI-ICON”

GHOSTEMANE の這い出る混沌、”Anti-Icon” は彼の人生において最も激動の時の産物です。それは歪んだビジョンによる究極のカタルシス。
“トラップメタル” の先駆者、多作の Eric Whitney は8枚のスタジオアルバム、10枚の EP、さらに4つの異なるペルソナのもと無数のコラボレーションまでを踏破し、ヒップホップ、ブラックメタル、ハードコア、ノイズに跨り新種のエクストリームミュージック傾倒者の想像力をかき立ててきました。古代から伝わる神秘主義、オカルトのイメージを織り込みながら。
遺体安置所での乱行パーティー、砂漠で燃やす霊柩車のプロローグを経て、”Anti-Icon” はリリースされました。淡い肌、黒い口紅に乳白色のコンタクトレンズ。さながら吸血鬼か死体のような彼の写真は、GHOSTEMANE のサウンドと美学の進化を象徴していました。
「Soundcloud にいたラッパーたちはストリートウェアに夢中だった。Supreme のような憧れのブランドは、信頼性の証でもあったんだ。だけど僕にとってそれは、皮肉で偽善的なものだったんだよ。だってそれを持っていないとからかわれるんだからね。僕にロゴはつけないよ。他の誰にも似せたくないから。」
たしかに、メタルやハードコアは Eric の渇望するエネルギーとカタルシスを提供していましたが、無限の創造的可能性をもたらしていたのはラップだったのです。
「バンドだと他のメンバーと衝突しながら、自分のアイデアを伝えなきゃならない。ラップだとすべてが自分のアイデアなんだ。自分のやることは自分のやりたいこと。僕は完全にコントロールできるようになった。ただ、ラップ、メタル、インダストリアル、テクノ、アンビエント、アコースティック。それが今までに僕が持っていた全ての音とアイデアだ。胸の奥底にあるオカルト的なディストピアの悪夢を、血まみれになって届けるためのね。僕は何もためらっていない。ジャンルは絵の具のようなものだと思っていて、異なる考えや感情を表現するために異なる色相を使っている。だから、何かを感じたら、それに従う。その感情に合った音を見つけて、たとえそれが不完全なものであっても、たとえそれが “悪い” 音であったとしても、たとえそれに耐えられなくても、自分の外に押し出していくんだ。それが自分の真実に響くものであれば-自分の気持ちに響くものであれば-それはレコードに収録される。それだけさ。」

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20. DARK QUARTERER “POMPEI”

「イタリアに住むということは、歴史との共存を意味するんだ。私たちが住んでいる街の起源は非常に古く、私たちが歩いている道は古代ローマ人によって作られ、私たちの周りには数千年前に建てられた建物の痕跡が残っていることがよくあるからね。」
歴史とヘヴィーメタルのマリアージュはいつだって極上の音景色を運びます。ヴァイキングに中世ヨーロッパ、侍から世界大戦まで、メタルは場所や時間を超えて古のロマンを伝え続けています。そんな歴史とメタルの蜜月の中で、ローマ帝国の絵巻物を紡ぐべきは、70年代中盤から続くイタリアの語り部 DARK QUARTERER こそが相応しいと言えるでしょう。
「イタリアのジャーナリスト Claudio Cubito が1987年に私たちを、”プログレッシブエピック” の創始者と呼んだんだ。私はその言葉がこのバンドを定義する一つの鍵だと思う。」
今では巨大で確立されたジャンルとなったエピックメタル。MANILLA ROAD, CIRITH UNGOL と並んで、DARK QUARTERER はその領域の先駆者です。ただし、彼らの異端はそこに多様な音の葉、プログレッシブなスピリットを落とし込んでいる点にあります。
「融合を達成するための最も親和性の高い方法は、すべての音楽的な道を通ることだよ。様々なスタイルの知識があったからこそ、私たちはエピックとプログレッシブを統合することができたんだよね。」
全ての音はローマに通ず。そうしてあまりにも膨大な音の領土を獲得した皇帝が世界進出に選んだテーマは、ポンペイでした。イタリア南部で繁栄し、ヴェスヴィオ火山噴火の火砕流により一夜にして埋もれ消え去った悲劇の街。
ヴェスヴィオの噴火、そして死の到来を告げるメタルオペラの幕開けから、Gianni の絶唱は埋まり遺跡となった都市の結晶を溶かしていきます。

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21. PSYCHONAUT “UNFOLD THE GOD MAN”

「アルバムの楽曲の背後にある哲学と概念は、あらゆる種類の文化や宗教からインスピレーションを得ているよ。
なぜなら、そうやって僕たちは常にスピリチュアリティーと繋がってきたからね。それはつまり、僕たちは一つのサイド、主張を選ぶことが得意じゃなかったからなんだけど。」
ベルギーに居を構えるポストメタルもう一つの “Naut”、PSYCHONAUT は、TOOL の数式、THE OCEAN の哲学、MASTODON の勇猛、PINK FLOYD の壮大、そして同郷 AMENRA の純粋を全てその音の葉言の葉に封じる稀代のスピリチュアルコレクティブです。
「AMENRA のライブを初めて見た時、コンサートで感じた様々な感情に僕は困惑したんだ。 時には有頂天に、時には悲しみ、怒り、小さくなり、傷つき、失われ、そして再び発見し、最終的に可能な限り最良の方法で感情を吸い取られたんだ。
それは癒しの経験で、映画を見たときと同じように、音楽に対して非常に感情的な反応を示したのは全く初めてのことだった。
むしろ、今まで見たどの映画よりも強力だったね。彼らのショーは僕たちを音楽の超越的な力に目覚めさせ、それ以来、同じ効果をもたらす音楽を創造することを常に目標としてきた訳さ。」
奇跡の来日を果たした AMENRA のショーが、ダークに交差する感情のメルティングポットであることは広く知られています。
PSYCHONAUT は、その超越的音の演劇に感銘を受け、実際にデビューフル “Unfold the God Man” で先達の世界観を多様性とともに押し広げ、12000年前の失われた文明に存在したであろう超古代の畏敬を現代に投影してみせました。

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22. GARGOYL “GARGOYL”

「僕はこのプロジェクトを自分の中にある別の影響を吐き出す場所にしたかったんだ。普段、僕がかかわっている音楽から離れてね。そうすることで、アーティストとしての別の一面を表現することができるから。」
前身バンドも含め、ボストンの名状しがたきデスメタル REVOCATION で2000年から活動を続ける Dave Davidson は、究極に複雑なリフ、慄くようなスクリーム、そしてブラストの嵐の中で20年を過ごしてきました。つまり、自らの全てをエクストリームメタルへと捧げることで、シーン随一のギタープレイヤーという威名を得ることとなったのです。DEATH や CYNIC の正当後継者、魂の継承は彼にこそ相応しい。ただし、それは Dave という多面体の音楽家にとってほんの一面にしか過ぎませんでした。
「自分たちが影響を受けたものにオマージュを捧げたいという気持ちはあったと思うけど、それは自分たちのやり方でやる必要があったんだ。 俺たちは過去を振り返るバンドになろうとしているのではなく、影響を受けてそれを発展させることができるバンドになろうとしているからね。」
AYAHUASCA のギター/ボーカル Luke Roberts を巻き込み立ち上げた新たなプロジェクト GARGOYL で、Dave は自らが多感なスポンジだった90年代の音景を、培った20年の発展を注ぎながら再投影してみせました。グランジ、ゴス、オルタナティブ。具体的には、ALICE IN CHAINS や FAITH NO MORE の面影を、Dave らしいプログレッシブやジャズの設計図で匠のリフォームの施したとでも言えるでしょうか。ALICE IN CHAINS + OPETH, もしくは MARTYR という評価は的を得ているように思えますし、プログレッシブ・グランジという Dave が失笑したラベルにしても、少なくとも作成者の苦悩と意図は十分に伝わるはずです。

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23. ELDER “OMENS”

奇しくも、シンプルなストーナーアクトとしてスタートし、プログ/ヘヴィーサイケの方角へと舵を切った ELDER の音楽性は、ストーリーを喚起するシネマティックな創造と、ジャンルを縦横無尽に横断する精神性という意味でいつしか ALCEST と神話を共有できる数少ない語り部に成長を遂げていたのです。
「今日僕たちは、サウンドとアトモスフィアのスペクトルを広げて探求を続けている。だけど、君が “Omens” について “ブライト” で “アップリフティング” と評したのはとても興味深いね。だってこのアルバムのテーマはさっきも語った通り実にダークなんだから!まあ僕はいつも悲哀と喜びの2つの対照的な感情を描こうとしているんだ。そして両者のムードを全ての楽曲に落とし込もうとしているんだよ。」
前作で “浮世” の浄土を描いた ELDER は、”Omens” で対照的に欲望渦巻く物質世界の限界を鋭く描写することとなりました。さながら対となるレコードにも思える2枚のアルバム。その陰の “裏面” はしかし、映し出した深刻なテーマと反するように陽のイメージを以前とは比較にならないほどブライトに宿しています。
新たな輝きは明らかに、ANATHEMA, ALCEST, CYNIC といったモダンメタル/プログの革命家とも通じるように思えます。前作の時点でクラッシックプログ、クラウトロック、インディーからの影響がシームレスに芽生えるカラフルで多彩な浮世草子を創世していた ELDER ですが、その物語にシューゲイズやポストロックの息吹をふんだんに加えたことは確かでしょう。ただし Nick はその場所よりも、さらに純粋に澄み切ったプログジャイアントへの憧憬を隠そうとはしませんでした。

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24. PALLBEARER “FORGOTTEN DAYS”

「KING CRIMSON や URIAH HEEP, MAGMA といったバンドは、たしかに現在のドゥームに通じている部分があると思う。そして重要なのは、個人的に僕は今日のどんなバンドより遥かに大きなインスピレーションを、そういったバンドから継続的に得ていることなんだ。
多様化、細分化が進行するモダンメタルの時代において、フューネラルドゥーム、エピックドゥーム、ドゥーム/ストーナー、ゴシックドゥームとその陰鬱な墓標を拡散するドゥームメタルの新たな埋葬は大きなトピックの一つです。
中でも、PALLBEARER 以前、PALLBEARER 以降とまで区分けされるモダンドゥームの棺付き添い人は、愛する70~80年代のプログロックから受け継いだ仄暗き哀愁や知性を伴いながら、プログレッシブドゥームの扉を開けました。
「僕たちは複雑さや装飾性を自分たちが納得するまで追求してきたんだけど、その領域を離れてもっと広い意味でのエモーショナルなもの、自分たちにとっては違うインパクトのあるものを作りたかったんだ。」
バンドの中心 Joseph D. Rowland は、デビュー作 “Sorrow & Extinction” 製作時に愛する母を失いました。その感情の解放は、10年という時を経て家族をテーマとした “Forgotten Days” に降り注ぐこととなりました。
母の死という喪失が自らをどう変化させ、形成したのか。山ほどの後悔と内省、そして人生における選択の重さをドゥームに認めた作品は、明らかに以前よりダイレクトで、生々しく、そして重苦しく、エモーショナルです。
「僕はね、完全にプログレではなく、完全にAORでもないものにシフトしていったバンドをとても愛しているんだよ。ASIA や80年代の RUSH はまさにその良い例だと思う。」
壮大な組曲の後に素知らぬ顔でポップソングを収録する。クラッシックロックにシンセサイザーや電子の実験を持ち込んでみる。Joseph の言葉を借りれば、プログレッシブから芸術的なやり方で王道に回帰する。過渡期のロック世界に花開いた得体の知れない徒花は、エリック・サティーやグレゴリオ・アレグリといったクラッシックの音楽家と同様に Joseph の内側へと浸透しています。典型からの脱出。そもそもロックとは得体の知れない何かを追い求めることなのかもしれませんね。

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25. DIZZY MIZZ LIZZY “ALTER EGO”

「”Alter” は異なるとか、オルタナティブとか、何かをアップデートしたものって意味でさえある。そして “Echo” はサウンドの反響。僕たちはこの2つの言葉を合わせて新作の完璧なタイトルにしたんだよ。文字通りの意味を感じているね。つまりバンドとしてアップデートされた新たなサウンドって意味さ。」
人々が自らの別人格、”Alter Ego” と向かい合う奇妙な潮合いとなったコロナパンデミック。奇しくもこのタイミングで発表されたデンマーク発 DIZZY MIZZ LIZZY の最新作 “Alter Echo” は、文字通りバンドの別人格を浮き彫りにしながら、リスナーの心象風景へより深く侵入し、より親密に寄り添います。
「PELICAN は僕にとってとても大きな存在だよ。RUSSIAN CIRCLES や日本の MONO と並んで大好きなんだ。他にもたくさん好きになったバンドはいるよ。ELDER, UNCLE ACID & THE DEADBEATS, KERRETTA, EARTH, ELECTRIC WIZARD, KATATONIA, LOWRIDER, GOJIRA などなどだね。」
DML が世界から消えた20年でメタルの血は劇的な進化を遂げました。モダン=多様性のモダンメタルワールドで、さまざまなサブジャンルが勃興し、絡み合い、その枝葉を伸張させていったのです。ゆえに目覚めた3つの好奇心の塊が、革新を遂げたその原点へと引き寄せられたのはある種の必然だっと言えるでしょう。
実際、映画の序章のごとき “The Ricochet” を道標に幕を開ける “In The Blood” の躍動するドラム、反復のリフワーク、沈み込む重低音はたしかに PELICAN や RUSSIAN CIRCLES が最新作で放った暗く生々しい轟音の波動と素晴らしくシンクロしています。そしてその音信号はさながらニューロンとシナプスの関係のように、”Boy Doom”, “Amelia” 第二楽章などレコードの各所へとしなやかに伝達されていくのです。
「スラッジ、ドゥーム、ストーナー、ポストロック、プログメタル、ポストメタル、サイケデリック、スペースロックといったサブジャンルを深く知れば知るほどインスパイアされるんだ。」

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26. KRALLICE “MASS CATHEXIS”

「このアルバムは俺たちがほぼ、2018年から2020年の春までに製作した作品だ。もともとは、別の4曲を収録するはずだったんだけど、アルバムの完成に時間がかかりすぎたり、収録時間が長くなりすぎるといった理由で2曲をまずカットし、それからさらに2曲を削ったんだ。だけどその4曲は次のアルバムの核となるものだよ。
俺は “Mass Cathexis” は KRALLICE のアルバムでも最もバラエティーに富んでいると思っている。ただ、俺はこの作品ではタイトルトラック一曲しか書いていないんだけどね。今回はそれよりも、アレンジメントやドラムのパートを書くことに注力したんだよ。Nicholas McMaster がどの作品よりも多くのマテリアルで貢献してくれたね。”Go Be Forgotten”, “Wolf” にはいなかった Dave Edwardson (NEUROSIS) が帰ってきたのも良かったよね。」

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27. PYRRHON “ABSCESS TIME”

「NYC のバンドに透徹する哲学は、ジャンルをミックスしたり、音楽的な分野を融合させたりすることに意欲的であること。 この特徴は、ニューヨークが “メルティングポット” “坩堝” としての地位を築いてきたことの賜物で、様々なバックグラウンドを持つ人々やアイデアが混ざり合っているからね。」
分裂と流動の時代極まるエクストリームメタル。革命的なアイデア、脳髄を溶かすサウンド、野生的な実験の黄金三角形は、ニューヨークが震源地です。IMPERIAL TRIUMPHANT, LITURGY, ANCION, DYSRHYTHMIA。ジャンルを開拓再定義するような異能が蠢く中で、ブラックメタルの冒険を牽引する KRALLICE の平行線に位置する、大胆不敵なデスメタルの探窟家こそ PYRRHON でしょう。
「古いバンドのサウンドを真似するだけでは時間の無駄だと思えるね。デスメタルをプレイするのは難しいんだ。そんな難しい音楽をプレイするのに、なぜ自己表現をしないんだい? 」
OSDM リバイバルで活況を見せている昨今のデスメタルシーン。しかし、PYRRHON はその動きから一定の距離を置いています。もちろん、MORBID ANGEL や GORGUTS, CYNIC といった巨人の実験精神、創造性とたしかにチャネリングしながら、エクストリームミュージックの自己実現にむけてただ真摯に邪悪と哲学を磨きあげていくのです。
「デスメタルは、限界まで自分を追い込みたい、今までにないことに挑戦したいと思っているミュージシャンを惹きつける特別な音楽の形だと思うからね。」

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28. PARADISE LOST “OBSIDIAN”

「僕たちは自分自身のサウンドを完璧なまでに見つけていて、過去32年間でバラエティーに富んだスタイルを実現してきたんだ。つまり、悲惨のタペストリーを幅広く描いてきたわけだよ。」
抑圧と絶望渦巻くコロナ禍の2020年に求められるのは、希望と解放を宿した慈光の音楽でしょうか?少なくともメタル世界では、負を帯電したダークな響きに慰めとカタルシスを求める殉教者が決して少なくないようにも思えます。ただネガティブな感情を瓶に詰め覆い隠すだけでは、きっと自己破壊的な暴発が待っているだけでしょう。
「PARADISE LOST の精神はいつだって何よりも、まず自分たち自身の喜びのために音楽を作ることだからね。心と魂に従う必要があるんだよ。そうしなければ自らの創作物が少し不正直に見られ聞かれるかもしれないからね。 「”Draconian Times” は上手くいったから、もう1つ似たようなものを作ろう!」ってメンタリティーを持っていたとしたら、空虚な気持ちになって魂の欠如を感じ、おそらく次の年には解散していただろうな。」
つまり、PARADISE LOST が描くゴシックドゥームの “悲惨なタペストリー” こそが、暗澹たる黒雲を払い、導きの光となる可能性を秘めていると言っても過言ではないはずです。何しろ、30年以上のキャリアで16枚の歴史を刻む失楽園のメタルには、Aaron の言葉通り他のどの音楽より内なる絶望と憂鬱の真なる創造性が潜んでいるのですから。
色彩豊かな不朽の傑作 “Draconian Times” から25年。新たなマスターピース “Obsidian” でヨークシャーの仄暗き伝説は、デスドゥームの凶暴な起源を再創造しながら、貪欲にゴシックメタルの領域をも拡大していきます。

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29. DEFTONES “OHMS”

「MESHUGGAH のように聴こえるかって?いやそこまでヘヴィーじゃないよ。ツーバス祭りかって?そんなの俺たちがやったことあるかい? 怒ってるかって?ああ、怒っている部分もあるよ。だけど、俺たちが全編怒っているだけのレコードを出したことがあったかい?」
ヘヴィーな音楽に繊細で色とりどりのテクスチャーを織り込むのが DEFTONES 不変のやり方です。
「俺は大のヘヴィーメタルファンとは言えない。良い音楽が好きなんだ。どんな音楽でも好きだよ。良い曲があればジャンルは問わないね。俺たちはオープンマインドなんだ。何か一つのジャンルに収まる必要はない。むしろそうであるべきではないと思う。人それぞれでいいんじゃないかな。CANNIVAL CORPSE を聴きたければ聴けばいい。でも俺たちは皆色々な音楽を聴いているから、ある日突然ニッチなものに当てはまらなければならないと決めてしまうと、自分自身を壁に閉じ込めることになってしまうと思うんだ。」
Google によると、”Ohms” とは “導体の2点間の電気抵抗” と定義されています。Chino にとってこの言葉はどのような意味を持つのでしょう?
「ものごとのバランスと極性のことだよ。俺はいつも DEFTONES を陰と陽のバンドだと表現してきた。俺らが作る音楽、歌詞にはいつもそれが並列されていて、そこから美しさが生まれるんだよ。」

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30. ULTHAR “PROVIDENCE”

「ある意味面白いよね。だって僕たちの歌詞は、アルバムにしたって Lovecraft についてのものはないんだから。歌詞のパターンに少し Lovecraft の影響があるかもしれないけど、みんなが僕らを “ラブクラフトバンド” と確信しているのは驚きだよ。」
名状し難きアートワーク、著作 “The Cats of Ulthar”, 出身地 “Providence”。点と点を結び合せ、誰もが “ラヴクラフトメタル” の新境地と心躍らせた ULTHAR。しかし、ギタリスト Shelby Lermo はバンドとラヴクラフトの密接な繋がりを否定してみせました。それは、文豪が心に秘めた真なるホラー、人間の偏見や差別こそが狂気の最高峰という想いに奇しくもシンクロした結果なのかもしれません。
MASTERY, VASTUM, MUTILATION RITES。カルトでカオスなブラック/デスメタルの異能が集結した ULTHAR が、シーンの注目を集めたのはある種の必然と言えました。何より、2018年のデビュー作 “Cosmovore” には、野生的で生々しく、しかしメロディックかつテクニカルな “ブラッケンドデスメタル” の魅力が存分に注入されていましたから。
特筆すべきは、伝統と実験性の巧みなバランスが彼らの異端を現実という鏡に映し出している点でしょう。複雑怪奇を極めながら耳に馴染む絶佳の宇宙。さながら百鬼夜行のような 20 Back Spin レーベルにおいても、ULTHAR の奇妙は現実に根ざしていて、じわじわと冷や汗が吹き出すようなサイコホラーを演出しています。
「審美的に、僕たちの音楽にとてもマッチしているのは確かだよ。グロテスクで、煩雑で、複雑で、奇妙だよね。」

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31. POPPY “I DISAGREE”

「美は痛みであり、痛みはキャラクターを構築する。」 Poppy が毎朝目覚めてまず自分に語りかける言葉です。それこそが Poppy の持つミステリアスな部分でしょう。実際、その日その日に生まれる審美の痛みにより、彼女のルックスや役割、それに音楽性は猫の目のように豹変を続けます。
ポップスター、俳優、監督、アンビエント音楽の作曲家、宗教指導者、DJ、コミックキャラクター、YouTuber、パフォーマンスアーティスト…Poppy の天職はいったいいくつ存在するのでしょうか?
さらに Poppy の YouTube チャンネルは彼女のキャッツアイを見事に伝えています。まるで隣の女の子のように Gwen Stefani の流儀で陽気なポップソングを歌ったかと思えば、Diplo のダンスビートでロボティックなバービーを演じてみせ、さらにはメタルリフのハンマーでリスナーの精神を打ちつける死の天使にさえ変化するのですから。
ほぼ全てのMVが100万視聴を超え、”デジタルラビットホール” の中枢に位置し、”ASMR 人間” とまで称される Poppy。なるほど、音楽を作り始める前にその人気とペルソナをオンラインで確立したという点で彼女はまさに21世紀の “現象” そのものでしょう。
「自分自身をポップスターとしてではなく、単なるアーティストやクリエーターだと思っていたの。永遠に同じでいるなんてつまらないわ。私はすぐに退屈してしまうし、物事を時代を通して見てしまうのよ。David Bowie には大きく影響されているし、とてもインスピレーションを受けているわ。何より彼は時代ごとに大きく異なることで有名だし、ステージ共々常に進化を遂げていたわ。常に進化を続けることはアーティストの義務だと思っているの。」

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32. MY DYING BRIDE “THE GHOST OF ORION”

30年のキャリアで12枚の仄暗くしかし豊潤な旅路を歩んできた死にゆく花嫁が、自らの音の葉を超える悲劇に見舞われたのは、”Feel the Misery” リリース後2017年のことでした。中心人物 Aaron Stainthorpe の5歳の娘が癌と診断されたのです。Aaron は愛娘を襲った病を 「神の最も残酷な、愛のない創造物の1つ」 と断じ嘆きました。
「2017年9月、5歳になった美しい娘が癌と診断された。心配と混乱のブラックホールが目の前に広がったよ。この恐ろしい病気を取り巻く恐怖は、現実的で残忍で容赦ないものだった。化学療法と二度の手術をくぐり抜け、幸運にも娘は癌を克服した。それでも彼女は、残りの人生を再発と潜在的合併症の恐怖と戦いながら過ごさなければならない。だから私はただ自分が墓に向かう時、彼女が強く率直な女性として生きていて欲しいとそればかり願っているよ。」
娘の罹患は Aaron の人生観、そして未来を大きく変えました。
「彼女が病気になる前は単純で愚かなことにイライラしていたけど、本当に深刻な何かに対処しているとそれが非常に取るに足らないものに思える。例えば昔ならプリンターが上手く働かなければばらばらに叩き壊しただろう。だけど今の私はただ、新しいのを買おうと言うだけさ。私を苦しめ、ストレスを与えるだろう愚かな些細なことは、もはや存在しない。人生に変化があったんだよ。私は変わった。もっとリラックスして落ち着いた人になったのさ。」

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33. AVATAR “HUNTER GATHERER”

「”Mad Max” は、たしかに僕たちが今向かっている道の一つかもしれないね。だけど “スタートレック” のシナリオだって存在するはずなんだ。強い意志があって、一時的な犠牲を払う覚悟があれば、この問題を解決できる可能性はある。僕たちの歌に描かれる、世界全体を通して繰り返し起こる大きな問題は、僕たちの道に立ちふさがっている。でも最終的には、誰も僕たちの正しい行動を止めることはできないんだよ。」
確かな “目” を備えたスウェーデンの AVATAR にとって、この呪われた2020年に “Black Waltz” のサーカスや、”Avatar Country” の幻想的な旅路を再現することは不可能でした。かつて完全に想像の産物であった世界の終末、ディストピアを肌で感じた現代のアバターは、そうして破滅のシナリオを回避するためのレコード “Hunter Gatherer” を世に送り出したのです。
たしかに、虹やドラゴン、聖剣の妄想で現実から逃れることは難しくありません。しかし、マッチの炎が消えた暗闇には冷徹な現実が残されます。AVATAR はそれよりも、闇に直面し、闇を受け入れ、世界をあるがままに受け入れる道を選びました。彼らのトレードマークでもある毒舌家で生意気なアティテュードも、ダークで怒りに満ちた人間性をシニカルに表現するレコードとピッタリ符号しました。
「この不確かな時は、僕たちが近年の自分たちよりも (闇や権力との) 対決姿勢を深めた理由にも繋がるんだよね。その対決姿勢は過去から現在までのメタルアルバムたちにも言えることだと思うんだ。僕たちメタルバンドはみんな、様々な方法で闇を探求し、闇に立ち向かう傾向があるから、暗い時代において僕たちの音楽は重要な役割を果たすわけさ。」
つまり、2020年の呪いはメタルが解くべきなのでしょう。

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34. BIFFY CLYRO “A CELEBRATION OF ENDINGS”

「ロックダウンが始まったとき、俺たちはバンドをやっているように思えなかった。何しろ俺たちはデフォルトが自尊心の欠如で、自信を持つためには何かをしていなければならないから。だから、4ヶ月間何もしなかったことと、アルバムの発売が延期になったことで、本当に不安になったんだ。言葉にするのは難しい。3人で音楽を作っている時の方が安心感があるんだよね。」
“A Celebration of Endings” は叫びの結集です。鬱病とともに生き、自信を取り戻すため戦ってきた Simon Neil は、2016年の自由奔放な “Ellipsis” ではじめて自分自身の外に目をやり外界からインスピレーションを取り入れました。
「若い頃は、政治と個人的な事柄をわけて考えていたけど、今の世界ではそうはいかない。世界は正しい方法で変わる必要がある。」
それまでは、自らの政治思想さえ芸術へこぼれ落ちることはありませんでした。時を同じくして、世界の闇を具現化したようなコロナウィルスによる “混乱と不安” が襲い掛かります。
「現実は当分の間、俺たちの手から引き剥がされているんだ。僕らはいつもこのバンドをスピリチュアルで家族的なものだと考えてきたんだ。だから、それを壊すようなことが起こると、悲嘆にくれる時期がある。それに加えて、Brexit、不安の増大、分裂など、当時の世界で起きていたことが加わって、足元から完全にカーペットか引き剥がされたように感じたんだ。俺の歌詞のほとんどは、かなり暗いところから始まっていると思う。まあ創作をしているときのモチベーションには本当に悲しかったり、怒ったりすることが必要なんだろうな。それは必ずしも健康的なことではないけど….とにかく、俺たちの基盤が変化し、社会がひねくれていると感じたんだ。」
“A Celebration of Endings” は “強制された変化” をさまざまな角度から探るレコードだと言えるのかもしれません。”North Of No South” で世界の指導者たちを “嘘つき、クソ独裁者” と非難し、”Opaque” では Simon の創作意欲を削ぐ音楽のビジネスのフラストレーションを拾い上げました。
「これまでは暗いレコードだよね。俺に光が差し込むのは、たいていしばらくしてからなんだ。このアルバムのポジティブさは、自分の代わりに何かをしてくれる人はいないということに気付いて生まれたんだ。」

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35. WITHIN DESTRUCTION “YOKAI”

「明らかに僕らは将来的にメインストリームにも進出したいと思っているから、トラップの要素を取り入れてよりメジャーな曲作りをすることは、その方向への第一歩だったんだ。もちろん、僕たちのようにやるには肝が座ってなきゃダメだけどね。人がどう思うかなんて気にしない。 自分たちがやっている音楽が好きであればそれで十分なんだ。」
東欧の小国スロベニアからスラミングデスの残忍王へと上り詰めた WITHIN DESTRUCTION は、バンド名が物語るように激烈な破壊衝動をその身に宿したまま、メインストリームの恍惚へと挑戦しています。
「スロベニアのメタルシーンは非常に強力だと思うんだけど、国際的にブレイクするバンドがほとんどいないんだ。それはね、『9時から5時の仕事なんてもうどうでもいい、メタルで生計を立てていくんだ!』ってガッツを誰も持っていないからなんだ。バンドで国際的に成功したいと思うなら、違う考え方、心の持ちようが必要なんだよ。当然、ハードな努力が必要で、経済的にも社会的にも多くの犠牲を払わなければならないんだよ。」
WITHIN DESTRUCTION に備わった無垢なる狼の精神は、人口200万の世界の狭間に生を受けたその運命と深く関連していました。ここから国際的にブレイクを果たすことがいかに難しいか熟知しているからこそ、WITHIN DESTRUCTION はその暴虐な世界を奔放に拡大していくのです。
「”Yokai” は大部分が日本の幽霊/悪魔である妖怪についてだね。平安末期に鳥羽上皇の寵姫であったとされる伝説上の人物、狐の化身 “玉藻の前” についての楽曲なんだ。彼女の美しさ、知性、そして狡猾さに焦点を当てているよ。あと、”Alone” はファイナルファンタジーの世界をベースにした楽曲なんだ。」

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36. CLOUDKICKER “SOLITUDE”

「元々は人と一緒に音楽を作るのに疲れていたから、DIY でやり始めたんだ。リフを書いて、それを録音して、自分でMIDIでドラムを加えて、数分で多かれ少なかれ音楽が完成するという即効性が好きだったんだよね。狭い部屋の中でバンドと一緒に音楽を書いて、それを録音するために何ヶ月も何年も待たされるよりも、自分がやっていることの可能性をよりはっきりと見ることができたからね。」
2000年代後半から2010年代初頭にかけて、メタルの世界には明確な変化がありました。Misha Mansoor, Tosin Abasi, Angel Vivaldi, CHIMP SPANNER。ホームスタジオを活用し、制作から販売、プロモーションまですべてを1人でこなすベッドルームミュージシャンの登場は、アーティストになるためのハードルが才能の部分によりフォーカスされただけでなく、多様性と個性の時代の幕開けに様々な音楽活動のあり方を認めた画期的な出来事でした。
その中でも孤高の存在が CLOUDKICKER でした。雲を掴むようなその名前の背後には、Ben Sharp という絶対的な謎を湛えた男が存在し、インタビューを拒んでいた彼について判明しているのは Djent とポストメタルの狭間で真にプログレッシブな音の葉をプロデュース、レコーディングする能力を持っているという事実だけでした。
「”Woum” は2008年の “The Discovery” から始まった “本” の最終章だったんだ。2008年から2015年にかけて僕は多くの音楽的領域を探検し、CLOUDKICKER というプロジェクトが想像していた以上に大きなものになっていくのを見て、自分の愛するバンドの一つ (INTRONAUT) が自分のバンドとして演奏しているツアーにまで行くことができた。」

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37. THE HIRSCH EFFEKT “KOLLAPS”

「結局、奇妙な拍子記号があるだけのプレーンでアグレッシブな音楽は、そこに固執するのであればおそらく僕たちにとって退屈だろうな。異なるアトモスフィアやジャンルを取り入れることは、そんなテクニカルな音楽を面白く刺激的なものにしてくれたんだ。」
自らを “Indielectropostpunkmetalmathcore” と称するハノーファーの異分子トリオ THE HIRSCH EFFEKT は、目眩くジャンルの島々を巡りメタルの多音美を実現する挑戦的な吟遊詩人です。
「このレコードの大半は、フライデーフォーフューチャーと世界の気候変動問題について扱っているんだ。よりドキュメンタリータッチで、客観的にね。グレタ・トゥーンベリに触発され、彼女のスピーチからいくらか派生した楽曲もあり、引用として使用している部分もあるよ。だからスウェーデン語のタイトルなんだ。」
THE DILLINGER ESCAPE PLAN から LEPROUS, 果てはストラヴィンスキーまで、無限にも思える音のパレットを備えた THE HIRSCH EFFEKT にとって、その言語的な多様性も彼らの絵音を彩る重要な筆に違いありません。
自らのバンド名が象徴するように、母国語であるドイツ語の響きでユニークな異国情緒を奏でながら、最新作 “Kollaps” において、楽曲にスウェーデン語のタイトルを冠することで若き環境活動家の蒼を観察者としての視点から紡いで見せるのですから。
「典型的な3ピースとしての、ベース、ギター、ドラムのバンドサウンドの退屈さを感じた時、僕たちはひらめいたんだ。バンドのサウンドから遠ざかり、ストリングスセクション、合唱、ホーンなどのクラシック音楽の要素を組み込んだり、モチーフやバリエーションのメソッドを拝借したら、もっとエキサイティングな楽曲になるんじゃないか?ってね。」

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38. CALIGULA’S HORSE “RISE RADIANT”

「CALIGULA’S HORSE には、光を強調しない闇は決してないんだよ。僕にとって最も好ましくないことは、出口を示さず、悲惨なことや暗いことを祝う音楽を世に送り出すことだから。そのコントラストこそ、僕たちの作曲における中心であり焦点の1つなんだ。」
性的倒錯、残忍な浪費家、狂気の暴君。ローマを刹那支配した悪名高きカリグラ帝は、しかし少なくとも愛馬を元老院に任ずるほど愛していました。もはやオーストラリアを代表するプログメタルのインペラトルにとって、レコードを覆うメランコリーの闇芝居はすべて愛情や強さを手繰り寄せる一条の光への道筋に違いありません。
プログレッシブのネオサザンクロスとして KARNIVOOL, NE OBLIVISCARIS, VOYAGER といった綺羅星と共に台頭した CALIGULA’S HORSE は、最もプログメタルの流儀を残すその手法が例えば英国の HAKEN と深く通じているのかも知れませんね。特に、Djent やシュレッダーの流れを汲む Sam Vallen の悍馬のテクニックを基盤としたメタリックな “Caligula’s Groove” は、絶対的なバンドの顔となっています。
一方で、プログメタルもう一つの巨星 LEPROUS とシンクロする表情も少なくはありません。シーンでも最高の評価を分かち合う Einar Solberg と Jim Grey は共に果てなきメランコリーの使徒ですし、コンテンポラリーな音のメルティングポットとしても双方存分です。では、CALIGULA’S HORSE 自身の強烈なアイデンティティーはどこにあるのでしょうか?肝要なその答えこそ、最新作 “Rise Radiant” にあるはずです。
「”Rise Radiant” は再定義と言うよりも、別の自然な進化の結実だと思う。世界中をツアーする中で多くを学び、書きたいことや演奏したいものをしっかり理解出来たんだ。」

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39. MEKONG DELTA “TALES OF A FUTURE PAST”

「僕の意見では、現実は常にファンタジーを打ち負かしているよ。若くて歴史を知らない人たちのために記すけど、メコンデルタって名前はベトナム戦争を象徴しているんだ。最も残忍な戦いと虐殺(マイライ)のいくつかはこの川の近くで行われたからね。」
例えば Yngwie Malmsteen, 例えば ACCEPT, 例えば BLIND GUARDIAN。クラッシックやフォークをメタル世界へ伝播した華美流麗なファンタジーの裏側で、MEKONG DELTA はリアリティーと恐怖、そして複雑怪奇をただ純粋に培養していきました。
例えばムソルグスキー、例えばハチャトリアン、例えばヒナステーラ。総帥 Ralf Hubert がドイツからメタルワールドに種を蒔き育てたのは、耳馴染みの良い伝統の音楽ではなくコンテンポラリーな現代音楽とその実験精神だったのです。
6年ぶりの新作となった “Tales Of A Future Past” は文字通りバンドの過去と未来を紡ぐ作品なのかも知れませんね。猟奇的なアグレッションと奇数の美学はそのままに、プロダクションと演奏の質を現代水準へと高めたレコードは、同時にオーセンティックなメタルらしい耳馴染みの良さまで備えています。
「最も重要なものは、15, 6歳のときに偶然聞いたオーケストラ作品だね。Sergej Prokoviews の交響曲第ニ番の第一楽章、コンポーザーとしての彼を確立した “鋼鉄の歩み” だよ。ブラスを伴ったオーケストラがメタルバンドにどれほど近いのか、時にはよりハードな音を出すと気づいた最初のクラッシック作品だったね。」

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40. JAGA JAZZIST “PYRAMID”

「アルバムの音楽を表現するために、何か象徴的なものが欲しかったんだ。今回の音楽はかなり壮大で、ピラミッドの四方や外壁、そしてその中にある神秘的な部屋を音楽で表現することができたと感じたわけさ。」
人類史において最もミステリアスな古代の巨石建造物ピラミッドは、興味深いことに過去と未来を紡ぐノルウェーのフューチャージャズ集団 JAGA JAZZIST 5年ぶりの帰還に最も相応しいアイコンとなりました。
「Ninja Tune とはスケジュールの問題があったんだ。彼らは今年、非常に多くのリリースを抱えていたから。Brainfeeder への移籍は今のところいい感じだよ。僕たちが大好きなアーティストと同僚になれて誇らしいね。」
ジャズを王の眠る部屋だとするならば、そこから無数に伸びる通路が繋ぐ音の部屋こそ JAGA JAZZIST の真骨頂。エレクトロニカ、ミニマル、クラシカル、ポストロック、プログロックと接続するエクレクティックな内部構造、360度見渡せる “神秘の部屋” の有りようは、奇しくも FLYING LOTUS が主催し Kamasi Washington, Thundercat といったジャズの新たなファラオが鎮座する Brainfeeder の理念や野心と完膚なきまでに符合しました。
「たしかにシンセとそのシンセサイザーでの音の出し方に関して、冨田勲に大きなインスピレーションを受けたね。この “Tomita” という曲だけじゃなく、アルバム全体にも影響を与えているんだよ。」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WAYFARER : A ROMANCE WITH VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SHANE MCCARTHY OF WAYFARER !!

“Thematically We Wanted To Make Something That Ties Into Where We Are From. We Are From Colorado, Which Was At One Point a Frontier Territory On The Expanding American West. That History, And The Legends That Come With It Are Sort Of Ingrained Here And We Have Grown Up With Them.”

DISC REVIEW “A ROMANCE WITH VIOLENCE”

「自分たちがどこから来たのかということを意識したものを作りたかったんだ。俺たちはコロラド出身で、ここはアメリカ西部の開拓地だった。その歴史と、それに伴う伝説がこの地に根付いていて、俺たちはそれを背負って育ってきたんだから。」
アメリカ西部の土には血が染み込んでいます。何世代にも渡り、赤土や山や平原の埃にも。植民地支配者の手によって原住民から流れ落ちた血潮は、そのままアメリカ西部を赤く染め上げたのです。それは発展でも運命でもなく、古代の文化や土地を冷酷に搾取した虐殺でした。
「西部のイメージに浸透している貪欲さや暴力の誘惑を描くことが目的だったと思う。それはすべてが魅力的に見えて、ある種の優雅さを持っているんだけど、俺たちはこのアルバムでその絵を描きつつ、それを取り巻く闇を掘り下げたいと思ったわけさ。」
アメリカ創世の神話には二つの大きな傷があります。奴隷制とそして西部開拓の名の下にネイティブアメリカンの土地と生命を奪ったこと。残念ながら、アメリカの西部進出から1世紀半が経過しその比較的短い時間の中で、闇を闇へと隠蔽する機運はますます強まっています。
コロラド州デンバーの WAYFARER にとって、アメリカーナとウェスタンフォークを散りばめた彼らのエクストリームメタルは、自らの場所に宿る歴史の捻じ曲げ、溶解に抵抗する手段とも言えるのです。
「俺は北欧の音楽や文化を楽しんでいるけど、アメリカ人としては北欧神話をテーマにしたアルバムを書いたり、それを自分たちのイメージとして取り入れたりすることはできないような気がするんだ。だから、彼らとアプローチは似ているんだけど、俺らの祖国の歴史や伝説、そしてこの場所の代名詞とも言える音楽からメタルを創造しているんだ。」
“フォークメタル” という言葉は、例えば、アンティークの木製楽器をメタルに持ち込み、ヴァイキングの夜会を再現する音景をイメージさせます。ただしこのジャンルの起源と本質は、その国の民族史をメタルサウンドで探求することにあるはずです。アメリカにも、血と煙と混乱に満ちた豊かなフォークの歴史があり、そして2020年にそれを最も深く探求しているバンドは間違いなく WAYFARER でしょう。
「映画のようなクオリティーを目指していた。バンドが様々な要素を混ぜ合わせて、キッチュなギミックのようなものを生み出すのは簡単なことだからね。もっと純粋な方法でアプローチすることが重要だったんだ。」
実際、彼らの最新作 “A Romance With Violence” は、アメリカ西部の血なまぐさい歴史を映画のように描き出し、勧善懲悪の善と悪を入れ替えながら、その真実を葬り去ろうとする企みに贖い痛烈に暴露しています。
カウボーイのラグタイムで幕を開ける “The Curtain Pulls Back” でサルーンの情景を映し出した彼らは見事にレコードの映画的なトーンを設定します。
“The Crimson Rider”、”The Iron Horse” で、ガンマンや無法者、大陸横断鉄道の出現について真実を伝え、10分間のフィナーレ “Vaudeville”では、暴力と偽りの希望を煽った貪欲と野心、つまりマニフェストデスティニー時代の現実を鮮明に映し出すのです。DREADNOUGHT の Kelly Schilling、KRALLICE の Colin Marston のゲスト参加もアルバムのストーリーを完璧に補完していますね。
「この時代は君を引き込む世界だけど、同じように簡単に君を堕落させ、内面まで曝け出させる。」
世界中に知られるアメリカの象徴となったカウボーイの原型が、この巨大な国の過去の非常に辛辣で、悲惨で、恐ろしい出来事とどのように関連しているのか。WAYFARER はさながらエンニオ・モリコーネとメタルのいいとこ取り、文字通り暴力とロマンスの対比によって、その難題を如実に描き切ってみせました。
西部開拓はもちろん、ヴァイキングや世界大戦の血生臭い暴力をロマンに変えた、人工の汚れたカーテンを一枚一枚剥ぎ取っていくように。美しい歴史の絵画には必ず血の匂いが添えられているのですから。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Shane McCarthy にインタビューを行うことが出来ました。「Red Dead Redemption との比較は公平に思えるね。西部劇のサブジャンルに取り組んだ、近年ではよりメジャーなメディアリリースの一つだからね。」 どうぞ!!

WAYFARER “A ROMANCE WITH VIOLENCE” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【GHOSTEMANE : ANTI-ICON】


COVER STORY : GHOSTEMANE “ANTI-ICON”

“Is There a Lack Of Danger In Modern Rock, Compared To Rap? Sometimes. But The Feeling Of Inauthenticity Is More About The Lack of Intent.”

ANTI-ICON

GHOSTEMANE の這い出る混沌、”Anti-Icon” は彼の人生において最も激動の時の産物です。それは歪んだビジョンによる究極のカタルシス。
“トラップメタル” の先駆者、多作の Eric Whitney は8枚のスタジオアルバム、10枚の EP、さらに4つの異なるペルソナのもと無数のコラボレーションまでを踏破し、ヒップホップ、ブラックメタル、ハードコア、ノイズに跨り新種のエクストリームミュージック傾倒者の想像力をかき立ててきました。古代から伝わる神秘主義、オカルトのイメージを織り込みながら。
遺体安置所での乱行パーティー、砂漠で燃やす霊柩車のプロローグを経て、”Anti-Icon” は10/21にリリースされました。淡い肌、黒い口紅に乳白色のコンタクトレンズ。さながら吸血鬼か死体のような彼の写真は、GHOSTEMANE のサウンドと美学の進化を象徴していました。
「Soundcloud にいたラッパーたちはストリートウェアに夢中だった。Supreme のような憧れのブランドは、信頼性の証でもあったんだ。だけど僕にとってそれは、皮肉で偽善的なものだったんだよ。だってそれを持っていないとからかわれるんだからね。僕にロゴはつけないよ。他の誰にも似せたくないから。」
それがアルバムタイトル “Anti-Icon” の源流なのでしょうか?
「アイコンというのは、インターネット時代を象徴する言葉の一つだと感じている。僕にとってアイコンとは、アリス・クーパーやマリリン・マンソンのような人のことだよ。10マイル離れていても誰だかわかる。外見も、声も、アクションフィギュアだって作ることができるほどに特徴的なんだ。でも最近じゃ、YouTuber や TikToker、ネット上のパーソナリティーにレッテルを貼るため。それがアイコンだとしたら、少なくとも僕がなりたいものじゃないね。」

ゴーストの物語は、フロリダ州レイクワースから始まりました。パームビーチから南に8マイル、サンシャインステートの郊外に広がる小さな町。ただし、Eric の記憶は父親の影によって暗く沈んでいます。
Eric が生まれる直前、ニューヨークからこの地に転勤した血液技師の父親は、Eric が4歳の時に交通事故で負傷し、それ以来ソファーと杖に拘束されていました。そうしておそらくはその苦境、その結果としてのオピオイド依存症が父親による Eric への支配を引き起こしたのです。Eric はその “暴君のような、ヘリコプターのような親” の複雑な記憶を歌詞の中で 「巨大な手を持った大きな怖い男たちが、僕の胸に指を突っ込み、何をすべきか命令した」と鮮明に振り返ります。
町の下層中流階級で育った Eric の青春は目立たないものでした。アメフトの男らしさも、オシャレへの努力も、行動的になることも、喉の奥で抑圧されていたからです。
「僕はとても内向的だった。友達も全然いなかったしね。学校じゃ、クールなブランドなんて身につけない子供さ。自分以外の何かになりたい、学校以外の何かをやりたい、ここ以外のどこかに行きたい、彼ら以外の誰かといたい、そんな圧倒的な衝動に駆られた10代だったな。いつも本当の自分との折り合いをつけようとしてるんだ。」

17歳の時に父親を亡くしたことが、Eric の感情的地滑りの引き金となりました。「ソーダのボトルを振ってキャップを開けたようなものさ。」
高校卒業後についた営業職で高額な年俸を得ていた Eric ですが、結局、閉所恐怖症のオフィスは彼が夢見ていた人生ではありませんでした。最初の逃避先はハードコアパンクでした。
「NEMESIS でギターを弾き、スラッジメタル SEVEN SERPENT ではドラムを叩いた。それで楽器のマルチな技術と友情が培われたんだ。今でも僕のキャリアには欠かせないものだ。家のようなものだったんだ。」
スピリチュアリティと仏教も Eric の閉ざした心を開かせました。ハーメティシズムと20世紀初頭の書物キバリオンの発見が彼を突き動かしたのです。
「それは宗教だけど、本当に科学に基づいている。僕にとって宇宙物理学は究極のスピリチュアリティなんだ。何より、僕たちが宇宙の中心じゃなく、もっと大きな存在の証を証明してくれるからね。僕にとって、別の領域への逃避でもあったんだよ。間違いなく今、世界は燃えている。ただ、世界には3つのタイプの人がいてね。僕は世界を売った人でも、世界を燃やした人でもない、ただそれを報告するためにここにいるだけなんだ。」
父親からもらった Dr.Dre の傑作 “The Chronic” を除いて、Eric のヒップホップな要素はこの時点まで皆無でした。しかし、NEMESIS のフロントマン Sam のレコードコレクションがその領域への道を開いたのです。DE LA SOUL, OUTKAST, HIEROGLYPHICS のようなアーティストの軽妙な創造性はまず Eric を魅了しました。それからメンフィスの大御所 THREE 6 MAFIA, マイアミの RAIDER KLAN のダークなライムを発見し、遂に Eric はヒップホップと真に心を通わせます。
「夢中になったよ。理解するべきは、僕が感じる闇や重苦しさは必ずしもヘヴィネスやラウドネスと同義ではないってことだった。それはね、ムードなんだよ。」

たしかに、メタルやハードコアは Eric の渇望するエネルギーとカタルシスを提供していましたが、無限の創造的可能性をもたらしていたのはラップだったのです。
「バンドだと他のメンバーと衝突しながら、自分のアイデアを伝えなきゃならない。ラップだとすべてが自分のアイデアなんだ。自分のやることは自分のやりたいこと。僕は完全にコントロールできるようになった。ただ、ラップ、メタル、インダストリアル、テクノ、アンビエント、アコースティック。それが今までに僕が持っていた全ての音とアイデアだ。胸の奥底にあるオカルト的なディストピアの悪夢を、血まみれになって届けるためのね。僕は何もためらっていない。ジャンルは絵の具のようなものだと思っていて、異なる考えや感情を表現するために異なる色相を使っている。だから、何かを感じたら、それに従う。その感情に合った音を見つけて、たとえそれが不完全なものであっても、たとえそれが “悪い” 音であったとしても、たとえそれに耐えられなくても、自分の外に押し出していくんだ。それが自分の真実に響くものであれば-自分の気持ちに響くものであれば-それはレコードに収録される。それだけさ。」
2014年に GHOSTEMANE が誕生し、カリフォルニアのより寛容なシーンを求めて移住したことが真のターニングポイントとなりました。
「”Ghostmane” ってトラックは音楽的な化学実験だった。これが本当の自分の姿だと気づいたんだ。」

インダストリアルな暗闇とメタリックなエッジ、それに NINE INCH NAILS の不気味さはもちろん当初から明らかに存在していました。ただし、”Anti-Icon” には新たな地平へ向かいつつ自らの精神を掘り下げる、縦と横同時進行のベクトルにおける深遠な変貌が見て取れます。2年というこれまでにない長い制作期間はその証明でもありました。
「多くのことを経験してきたよ。人生で最も変革的な時期だった。僕は自分の中にあるクソを全部取り出して作品に投影したんだ。みんな僕を羨んでいるけど、正直正気を保って自分が何者か忘れないようにすることに苦労してるから。」
“Anti-Icon” へのヒントは Eric の多種多様なサイドプロジェクトにありました。
“アンチ・ミュージック” と呼ばれるノイズプロジェクト GASM は、拷問のような不安感に苛まれていましたし、SWEARR の叩きつけるようなエレクトロは束縛なき陶酔感の中で脈動していました。BAADER-MEINHOF の生々しいブラックメタルは刃をつきつけ、GHOSTEMANE ブランドでリリースした 2019年ハードコアEP “Fear Network” は闘争、そのダークなアコースティックカウンターパート “Opium” は絶対的な虚無感を捉えており、そのすべては “Anti-Icon” への布石とも取れるのですから。
もちろん、2020年において “Anti-Icon” というタイトルはそのまま、”AI” というワードに直結します。人工知能。近未来のディストピア的イメージは、心を開いた Eric と親の威圧感からくる強迫観念、妄想被害の狭間で揺れ動いているのです。
「オピオイドなんて自分には関係ないと思ってた。中毒者のものだってね。だけど困難な時を経験した人なら誰だってそうなり得るんだ。僕はハイになったとさえ感じなくなった。気分が悪くならないように、ただそのために必要だったんだ。」

偽りの愛を繰り返し嘆く “Fed Up”, 「I DON’T LOVE YOU ANYMORE!」のマントラを打ち鳴らす “Hydrochloride”。疑心暗鬼は怒りに変わり、中毒で盲目となった Eric にとってこれはオピオイドへの別れの手紙でもあるのです。どん底へと落ちた Eric を引き止めたのは、まず父親と同様の行動を取った自身への嫌悪感だったのです。つまり、Eric は大の NIN ファンでありながら、ダウンワードのスパイラルではなく、ダウンワードからの帰還を作品へと刻んだと言えるでしょう。古い自分を終わらせ、新たな自分を生み出す。MVで示した燃える霊柩車は過去の灰。”N/O/I/S/E” からの解放。
「不死鳥は灰の中から蘇るだろ?古い自分を壊し、殺し、そこから新たな人間になるんだよ。」
前作はただ痛みと苦悩を記し続けた作品だったのかも知れません。
「”N/O/I/S/E”をレコーディングした時、僕は自由で真実味のある音楽を作りたかった。言葉は不器用で解釈を誤ることがあって、芸術の無形の資質を損なうものだと思っているからね。僕は自分の脳と骨の中を深く掘り下げて、これまで感じてきたあらゆる苦悩や、自分を含め多くの人に襲いかかるあらゆる惨劇を扱ったアルバムを作ったんだ。”N/O/I/S/E” は独自の言語であり、痛みと哀れみの出血する舌であり、恐怖の遠吠えであり、光や地上の音をすべて見失うほど深いところにある。世界が内側から自分自身を引き裂く音だった。」

毒を持って毒を制す。Eric の闇に光をもたらしたのは、奇しくも彼と同様ジャンルを渡り歩く賛否両論の “アイコン” Poppy でした。レディング&リーズのフェスで出会った二人は、7月に婚約を発表し、お揃いの漆黒に髪を染めた Poppy は “Lazaretto” の MV まで監修しています。
「彼女は素晴らしいよ。ビジュアルアーティストとして、彼女は他の追従を許さない。それは僕のキャリアの中で、自分自身を十分発揮できていなかった分野の一つだからね。だから彼女に自分の一部を託すのは、奇妙だけど楽しみなアイデアだよね。」
エクストリームミュージックの未来を担う新種として、そのパワー、可能性、そして自らの責任についてはどう考えているのでしょうか?
「ラップにくらべてロックが危険じゃない?時にはね。けど本物じゃない感じはたしかにあるよね。意図が失われたよ。メインストリームでモダンロックは大きく後退している。本当に悲しい曲や怒っている曲はもうラジオじゃ流れていないんだ。壊れた、失われた、悲しい、怒っている、病んでいる、実在の人々と実際につながるための意図がもっとあるべきだと思うんだ。僕にとっては、それが昔との最大の違いなんだ。」
とはいえ、ラップが GHOSTEMANE にとって根幹であることに変わりはありません。高音の叫び声から喉を掻き毟る嗚咽に密やかな囁きのが交互に繰り返されるさまは、さながら体に複数の悪魔が閉じ込められているよう。その悪魔はそうしてリアルを失ったロック世界を侵食していきます。
“Lazaretto” のクイックなリズムとダウンチューンギターの組み合わせには Nu-metal の亡霊が宿り、一方で”Sacrilege” ではハードコア、圧迫的なエレクトロニクス、そして幽玄なムードがダイナミックにブレンドされていて、現代のメタルアイコン CODE ORANGE とのシンクロニシティーを窺わせます。そして、”ASMR (Anti-Social Masochistic Rage) “の突き刺すようなビートは、Eric のアイコン、マリリン・マンソンと同様のダーティーな秘め事を思い起こさせるのです。


Eric にとってこうした多様で変幻自在な音の葉は、やはり暗闇への下降より自らの成長を象徴しています。”Anti-Icon” で最も荒涼とした瞬間 “Melanchoholic” でさえ希望のノートで締めくくられるように。
「僕の中にあったクソみたいなものを全部取り込んで、それを外に投影しているような感じ。今はとても気分がいい。自分の中に溜め込まずにね。」
エリックはどんな種類の伝道活動も嫌いで、「キリスト教と同じくらいラヴェイ派サタニズムを嫌っている」と宣言していますが、それは TikTok などで何が一番ポップになるかを気にするのではなく、他のアーティストが限界に挑戦するように願う気持ちにも通じます。
AUTHOR & PUNISHER, FULL OF HELL, 3TEETH。彼が真の同種と考えるアーティストは、箱の外に踏み出したパフォーマーなのですから。ボストンの VEIN もそのうちの一つ。
「彼らは実験を始めて、自分たちのシーンの人々がどう背を向けるかを経験しているんだ。僕もそれがどんなものか知っている。だから彼らが実験やり続けていること、常に努力していることは、僕にとっては驚くべきことなんだ。」
GHOSTEMANE の目的もより鮮明となりました。
「君が本当に自由であれば、作りたいものを作り、やりたいことをやり、自分の心を語り、制限なく生きることができる。だけど自分自身を傷つけてはならないよ。それがこのプロジェクトの目的だ。GHOSTEMANE は自由な精神を投影したものだから。
僕は自分とそして君たちのために音楽を作り続けるつもりだよ。別の生き方を探している人たちのために、道を切り開いていくんだ。僕は好きな時に好きなように動き、好きなものを作る。選択と独立性は僕たちが受け取った最もユニークな贈り物でだから。それは君だけがコントロールできるもの。痛みや苦悩を通してさえもね。君に治療法を与えることはできないし、どう生きるべきかを伝えることもできないけど、アイデアを与えることはできるから。僕見たこの世界を反映して、君が自由で真の人生への道を辿ることを願っているよ。僕は自分の音楽に種を蒔いてきたからね。解読するのには何年もかかるかもしれない。だけどそれが自由の仕事であり、独立の重荷だ。」

望むのは永遠不滅の音の遺産。
「自分を超えて生きているものを作りたい。この世で何が起こるかは、僕にとってそれほど重要なことじゃない。その先の世代に何が起こるのか、僕が死んだ後に何が起こるのか。全てが塵となり、荒廃した地球上に轟く風が、堕落した都市の記憶を蹴散らした時、僕は自分の音楽のかすかな叫び声を無限に響かせたい。」
最終的には、彼の最優先事項は常にファンでした。「批評家のことなど気にするな、彼らは本当に理解していないんだ。批評家のことなど気にするな、彼らは本当に理解していないんだ」と、熱を帯びて繰り返すリードシングル “AI” が宣言しているように。
「孤独や喪失感を感じたことのある人、この世界には何も残っていないと感じている人、何も持っていないと感じている人のための音楽さ。ただ音だけが聞こえるようになるまで、レコードを大音量で聴いて、落ち込んだことを忘れてほしい。ショーに来て、自分のことを知ってほしいんだ。」
300ドルの Supreme のパーカーを欲しがった15歳の若者は、結局自分で作った服が “ハイアートでプライスレス” あることに気づきました。鬱、中毒、自滅のサイクルから逃れるための教訓は結局のところ希望なのです。
「”Anti-Icon” は暗くて憂鬱で虚無的に聞こえるけど、実はとても希望的なものなんだ。人は常に変化し拡大し続けるものだから。かつての自分がが死ぬわけじゃない。君を押しつぶしているように感じるような人生だって、君がより良い何かとして自分自身を再創造するための新しい材料を作り出しているんだよ。超新星が爆発すると、新しい星が生まれる。エネルギーは永遠に続くんだ。」

参考文献:KERRANG! :How Ghostemane is changing the fabric of heavy music

REVOLVER:GHOSTEMANE: THROUGH THE FRAME

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEPTUNIAN MAXIMALISM : EONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GUILLAUME CAZALET OF NEPTUNIAN MAXIMALISM !!

“The Idea Comes From The Fact That a Scientific Community Agrees That If Humans Had Not Occupied The Leading Place In The Food Chain, Then Probably It Would Be The Elephants Who Would Occupy Our Place.”

DISC REVIEW “EONS”

「もし人間が食物連鎖の頂点を占めていなかったとしたら、おそらく象が我々の場所に位置するという科学的なコミュニティも同意した事実から来ているんだけどね。」
叡智を育むゾウの生命に支配される地球の風景。避けがたきホモ・サピエンスの破滅を受け継ぐポスト・ヒューマンの存在。それはベルギーの実験音楽集団 NEPTUNIAN MAXIMALISM が思い描くディストピアな未来です。
「マキシマリズムという概念は、芸術の歴史に直結しているよ。それはまず、無駄を省いたミニマリズム(”less is more”)への反発であり、20世紀の現代美術に強い影響を与えた工業生産コードの回復が、アート市場の堕落を許したことに起因しているんだ。つまり、今日のアートが直面しているこの人間原理、アントロピアに対抗するためには、逆の意味を喚起する何かが必要だったんだよ。それは、現在の市場にある多くの芸術作品が示す安易さに反発して、より多くの仕事、より多くの音楽的レイヤー、さらなる寛大さへと向かうことが必要だったのさ。」
ミニマルな機能美が崇拝された20世紀へのアンチテーゼとして最大限の趣向、装飾、音数が注がれた3枚組2時間超のアルバム “Éons” は、儀式的なドローンのファンファーレで壮大な終末を手招きし、他の動物が高度な知性を得る未来への招待状。海王星の最大主義者を名乗る集団は、宇宙線に魂を貫かれ、自らの分子が散乱し、宇宙の広がりに飲みこまれるような体験を当然のように提供します。
「”サピエンス” という地位に到達するための動物の能力に気づいて欲しかったからなんだ。
言い換えれば、動物は潜在的な “人間” であり、そうなるのも時間の問題なんだ。だからこそ、僕たちは動物を対等な存在として考えなければならないよね。人間が進化の過程で非常にユニークな存在であると考えるのは間違いだと判明している。進化の過程が非常に長く(ホモ・サピエンスでは約30万年)、他の種でそれを観察する時間がなかったからわからなかっただけなんだよ。」
人類は特別な存在ではない。ただ他の動物より早く進化を遂げただけ。その主張と同様に、NEPTUNIAN MAXIMALISM の音楽は前人未到です。メタルとドローンの領域に足を踏み入れ、前衛ジャズの混沌とした自由を謳歌し、トライバルで異質な触手を持つこのグループのサウンドは、連続的な渦巻きの宇宙的ハイブリッドというべきものかも知れませんね。
もちろん、メタル世界は過去40年の間にジャズの血脈をしばしば取り入れてきました。CYNIC のコズミックなプログレッシブデス、PANZERBALLETT の迷宮と技巧、SHINING の異端。しかしかし、”Éons” はそんなユニークなアプローチの末裔というよりも、劇的な再解釈であると言えるでしょう。ジャズメタルではなく、ドゥームジャズでもなく、むしろ神秘的でオリンポス火山のようなドローンノワール。
「最初、僕とルチアーノ(I、Voidhanger Records)は金子富之のこの作品にすっかり惚れ込んでしまったんだ。そのサイケデリズム、配色の多さ、複雑さ、空間の彩度などなどにね。僕たちの音楽に響くものがたくさんあったんだよ。特に怒りに満ちた複数の顔と犠牲になる牛の頭は、確かに我々の宇宙論と関係があったんだよ。」
“大威徳明王の大太鼓” でバーストするサックスの嘶きは、しなやかな即効性と強度を持って終末の儀式を開き、脈動するバリトンは渦巻く炎の中心で静かに輪廻からの解放を誘います。それは、128分の広大で予測不可能な宇宙の凛とした箱庭。
「ジャズかメタルかだって?それは君たちが考えることだよ。まあ僕にとっては、ヘヴィートライバル、時々はオペラドローンと言えるかな。」
世間一般の定義では “メタル”ではありませんが、NEPTUNIAN MAXIMALISM は、あらゆるジャンル、あらゆる意味での重力とヘヴィネスを想起させる絶対的に巨大なブラックホールを生み出しています。
“NGANGA – Grand Guérisseur Magique de lre Probocène” のひりつくようなグルーヴ感とリズム感、”PTAH SOKAR OSIRIS – Rituel de l’Ouverture de la Bouche dans l’Éon Archéen”ではミニマルなドゥームメタルの轟音にホーンが虹彩のカウンターポイントを与え、”ENŪMA ELIŠ – La Mondialisation ou la Création du Monde. Éon Protérozoïque” に至ってはカルトなジャズメタルの生け贄をサイケデリックなラーガロックへと再構成しているのですから。
SUN RA, John Coltrane, EARTH, SUNN O)))、クラウトの化身 EMBRYO, それにインドやアラブのフォークミュージック。”Éons” で想像される世界は、たしかに基本的にはどんなメタルバンドにも備わる暗黒のビジョンであり、荒涼としたファンタジーに満ちています。 しかし、NEPTUNIAN MAXIMALISM のアポカリプスはスピリチュアルで感動的、そして美しく混沌としていて、著しく奇妙なのです。
今回弊誌では、 バリトンギターからシタール、フルート、トランペットと音の自由を謳歌する Guillaume Cazalet にインタビューを行うことが出来ました。「進化したゾウは、彼らの黄金時代の間に動物の太陽都市(HELIOZOAPOLIS)を建立しているんだ。クローサーは、完全な静けさの中で僕たちの有限性を喚起するグループ BONG の歌のタイトルから取られているよ。僕たちの後継となる世界は美しいものになるからね。」 どうぞ!!

NEPTUNIAN MAXIMALISM “EONS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COUNTLESS SKIES : GLOW】2020’s OPETH FROM UK


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES PRATT OF COUNTLESS SKIES !!

“Maybe, Some Of The People Who Miss The Death Metal Elements Will Enjoy Glow. I Think If Nothing Else, It Has The Diversity That Was Found In Early Opeth.”

DISC REVIEW “GLOW”

「”Glow” では、プログの要素をより多く取り入れて、他の音楽からの影響も取り入れた。僕は今も自分たちのサウンドを保ちたいと願っているんだ。ただし、新たなダイナミックな方法でね。今は自分たちのサウンドを見つけ始めていると思う。」
メロディックデスメタルは多くのファンに愛されるジャンルですが、あまりにそのサウンドが明確なため、90年代初頭の予定調和が繰り返されるだけという側面も否めません。実際、21世紀以降、この場所に新鮮な空気を持ち込んだ異能は数少なく、DARK TRANQUILLITY, INSOMNIUM, OMNIUM GATHERUM といった創始者に近い英傑たちに進化を委ねるしかありませんでした。
「僕たちは BE’LAKOR の大ファンなんだ。彼らは、自分たちの良さの基本を守りながら、常に変化し、新しいサウンドを探求しているバンドだからね。彼らの最新アルバム “Vessels” は、音楽的にも非常に異なるものになっている。」
僅かな例外の一つが BE’LAKOR で、彼らのプログレッシブな旅路が多くの後続を勇気づけたことは間違いありません。北欧のメランコリーからかけ離れた高級住宅街、イングランドのハートフォードシャーに現れた COUNTLESS SKIES もそんなバンド一つです。BE’LAKOR の名作 “Stone’s Reach” のファイナルトラックをバンド名に戴き、彼らの最新作 “Vessels” と自らのデビューフル “New Dawn” のリリースデートを合わせこむ COUNTLESS SKIES の BE’LAKOR 愛は本物。ただし、受け継いだのは音楽性そのものではなく、挑戦者の哲学とスピリットでした。
「有能なバンドを際立たせているのは、メタルをはるかに超えたところから影響を受け取り入れる能力だと思うからね。プログメタルは、他のジャンルのように特定のサウンドに限定されていないから好きなんだ。僕たちはメロディックデスメタルの観点からプログレッシブメタルに取り組んでいるんだ。」
BE’LAKOR や INSOMNIUM に薫陶を受けたデビュー作はあくまでプロローグに過ぎませんでした。オペラティックな歌声、プログレッシブな楽曲構成、メタリックな感性を刺激するテクニカルな嘶き、そしてストリングスやクワイア、メロトロンの優雅で重厚なノンメタルな響き。その全てがタペストリーの如く、メロディックデスメタルの下地へと幾重にも重ねられていきます。
「今回はオーケストラの要素がとても楽しかったね。使用した楽器は、それぞれの曲のアイデンティティーの大きな部分を占めていると思う。」
英語には Glow と Grow Up を掛け合わせて「大きく変貌を遂げる」という意のスラング Glow Up が存在しますが、COUNTLESS SKIES の最新作 “Glow” はまさに Glow Up な傑作です。
ブラストビートに重なる ANATHEMA、メロデスの DEAFHEAVEN とでも形容したくなる鮮烈なオープナー “Tempest” は、”We’re Here Because We’re Here” と同種の希望やエナジーをもたらすオレンジの嵐。BLIND GUARDIAN のゴージャスさえ纏った “Summit” の一方で、INSOMNIUM 直系の獰猛とメランコリーを伝える “Moon” はエセリアルなピアノの響きと共にバンドの出自を示し、夕映えに佇む月の哀愁を物語るのです。
「デスメタルの要素を恋しく思っている人たちの中には、”Glow” が楽しめる人もいるかもしれないね。何より、初期の OPETH に存在した多様性を持っていると思うから。」
極め付けは、3楽章20分から成るタイトルトラックでしょう。メロトロンにストリングス、フォーキーなダンスに現代的アトモスフィア、エアリーなハーモニー、そのすべてを抱きしめ OPETH の哲学で裁縫した空の織物は間違いなく20年代を代表するプログエピックでしょう。プログメタルとメロデスが鬩ぎ合いながら幕を引くエンディングは鳥肌もの。もちろん現存するバンドですが、それでも2020年の OPETH と信じたいほどに遺産を気高くアップデートしているのです。
今回弊誌では、リードギタリストにしてコンポーザー James Pratt にインタビューを行うことができました。「BLMを公に支持している人々に対する反発が大きかったことを覚えているよ。ああいった混乱の時には、人々と関わることが大切だと思うね。偏屈な人は常に存在するけれど、中には誤った情報を持っている人もいて、なぜそれが重要なことなのか、きちんとした説明を必要としている人もいるんだから。」FORWARD. THINKING. METAL.は空に映える。どうぞ!!

COUNTLESS SKIES “GLOW” : 10/10

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