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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WALTARI : GLOBAL ROCK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KÄRTSY HATAKKA OF WALTARI !!

“Let’s Keep The Rock Tradition Alive And Reform It In a Brand New Way Suitable For 2020, And The People Living This Life Here And Now!”

DISC REVIEW “GLOBAL ROCK”

「スカンジナビアのバンドたちは、より幅広いスペクトルの音楽を聴くことで、メタルに “クレイジーさ” を加えていったんだ。そしてしばらくすると、突如として、”ポストファーストメタルタイム” のバンドたちは “ベーシックメタル” のバンドたちを後方に残し、素晴らしく花開いたんだ。」
メタルが多様なスペクトルに枝葉を伸ばし始めた90年代初頭、フィンランドから示現した WALTARI の千変万化でカメレオンの虹彩はまさにポストファーストメタルタイムの象徴でした。
同じアルバムは2枚作らないと語るように、WALTARI はレコードを通じて様々な冒険を行っていきました。”Yeah! Yeah! Die! Die” ではオーケストラとデス/スラッシュメタルの完璧なる邂逅を持たらし、”Space Avenue” ではエレクトロインダストリアルに振り切ったサウンドで周囲を圧倒。素晴らしき “Blood Sample”, “Release Date” といった近年の比較的、普遍なモダンメタルへと接近した作風の中にさえ、煌めくような驚きの瞬間は星の数ほど散りばめられているのですから。
「ロックの伝統を生かしながら、2020年に適した形でリフォームしようじゃないか、だって僕たちは今この時を生きているんだから!それこそがロックに活力を与え、僕たち全員にとって意味のあることなんだ。ロックのアティテュードとは、オープンマインドかつ予測不可能な純粋さだからね!」
あの眩しきメタル革命から30年。WALTARI の首領 Kärtsy Hatakka の主張は今でも一貫しています。端的に言えば温故知新のスピリット。伝統を守りながら時代に即した再構築を促し、自らが先頭に立って “オープンマインドで予測不能な” ロックの純粋なアティテュードを体現しているのです。
「実は、僕たちはいつも自らの音楽がとても “アニメ的” だと感じていたんだよ。だから、日本ツアーの後に Tomo を見つけることができたのはとても素晴らしい出来事だったね。何せ彼女はとても才能があるからね!」
自らの音楽を “アニメ的” と形容したのは、そのやはり予想不可能かつ非現実的な音の葉ゆえでしょうか。最新作 “Global Rock” には、日本のアーティスト Tomo Kataoka の手によるアニメ的なアートワークが採用されています。メンバーが輪になって、「世界各地の人々や伝統と繋がる」その青々としたイメージは、レコードのスピリットを完膚なきまでに反映しているのです。
既存の “ポストロック” のイメージとは遠く離れた、サウンドエフェクトと重低音のメロディックな邂逅、WALTARI 流 “Post Rock” で幕を開けるアルバムは、実際、メタルとロックを基盤にパンク、ファンク、テクノ、ポップ、ヒップホップ、カントリー、エスニックで世界を巡る旅路です。
“Metal Soul” で自らの出自とシュレッドのギター爆撃を敢行したバンドは、コンテンポラリーなヒップホップを抱きしめる “Skyline” や、Post Malone のオマージュと言及する “Boots” で Kärtsy 語るところの “ジェネリックポップ” が大多数のリスナーを惹きつける理由を探求していきます。それはまさしく音故知新。生き残るために再構築し、現代の水で磨きあげたロックのニューチャプター。BRING ME THE HORIZON の “Amo” を愛聴している事実も象徴的ですね。
一方で、FAITH NO MORE のオルタナティブをメタル的に解釈する “The Way” や “No Sacrifice”、カントリーとエクストリームミュージックの不可思議なキメラ “Orleans”、さらに CANNED HEAT のカバーまで、彼らはクロスオーバーの源流としてその誇らしき多様の旗を空高く掲げつつ、勇敢な音のメルティングポットを見せつけていくのです。
「この世界で生き残るためには、僕たち全員が力を合わせなければならないから。」厄災の時代に WALTARI は、奇しくも時空を超えて世界と音楽で繋がりました。
「金銭的には、僕のようなすべてのフリーランサーにとってまさに地獄だよ。何しろ、稼ぎの元であるライブができないんだからね。だけど、自然には祝福されているように感じるね。だから、この危機からポジティブな面を見つけていかなければならないよね。」
音の百鬼夜行にばかり注目が集まりがちな WALTARI ですが、不安や孤独、現代社会に対する嘆きを独自のアイロニーを交えつつ珠玉の旋律へと変換する Kärtsy は旋律と宣律を誰よりも巧みに操るフロントマンです。彼が見つけた道を切り開く方法とは、きっと繋がり進み続けること。今回弊誌では、鬼才に2度目のインタビューを行うことができました。「日本人はロックの再構築を常にかなりよく理解していて、いつもプログレッシブになりたいと考えている。BABYMETAL のような (アイドル的) アクトについてさえね!」どうぞ!!

WALTARI “GLOBAL ROCK” : 9.9/10

INTERVIEW WITH KÄRTSY HATAKKA

Q1: First of all, it’s really hard time now due to corona virus, especially musical industry. As a musician, and as a person, how do you spend your corona crisis days?

【KARTSY】: Hi! Well yeah it’s very strange times. Anyway we are talking now about the much bigger picture, something which is far out of our hands. This is something we just have to live with now. Moneywise this is hell for every free lancer like me, no money gig in sight, and all the sick people who can’t get any help cause the hospitals are full! Crazy! But, the nature feel blessed, and we also must just find all the positive sides about this what we just ever can.
I’ve been spending a lot of time in my working room. I’m scrolling thru all the possible half-way solo projects from the last years, I’ve been continuing with them and trying to finish them. Also I started to plan already some next moves for Waltari then..this was not how this spring was supposed to go, we were planning to move on with the new album touring this week, but no, so what can we do! The only place you can now work is at your working computer and with your instruments at your home..anyway I haven’t become any bored yet. There are still lots of things to do inside, you just need to use the imagination. I have been meditating too etc..and waiting of course this bloody situation to go over.

Q1: コロナウイルスの影響で、特に音楽産業にとっては厳しい時が続いています。ミュージシャンとして、一人の人間として、このクライシスをどう過ごしていますか?

【KARTSY】: やあ!うん、とてもおかしな時期だよね。とにかく、僕たちは今、大局について話しているわけだよ。僕たちのの手には余るようなね。それでも何とか対処して生きていかなければならないからね。金銭的には、僕のようなすべてのフリーランサーにとってまさに地獄だよ。何しろ、稼ぎの元であるライブができないんだからね。
それに、病院が満員だから病気にかかっても診察さえしてもらえないんだ!クレイジーだよ!だけど、自然には祝福されているように感じるね。だから、この危機からポジティブな面を見つけていかなければならないよね。
僕は自分のワーキングルームで長い時間を過ごしているよ。ここ数年のすべての中途半端なソロプロジェクトを吟味し可能性を見定めているところさ。その作業を続けて、完成させようとしているんだ。
同時に、すでに WALTARI の次の動きをいくつか計画し始めているんだ…当然これは今春の予定ではなかったんだけどね。今週からニューアルバムのツアーを始めるつもりだったけど、潰れてしまったから!
現在唯一作業できるものは、コンピューターと自宅の楽器だけだよ。それでも僕はまだ退屈していないさ。自分の中ではまだやることがたくさんあるからね。想像力を駆使するだけで十分さ。瞑想もしているしね。もちろん、この血まみれの状況が終わるのを待ちながらね。

Q2: So, how was your Japan tour 2017? What do you like Japanese culture and people?

【KARTSY】: The touring in Japan is always like the best Christmas present to any musician, haha. The last touring was great, great shows places were packed and your general hospitality akso was overwhelming. Your country is sooo great! Beautiful, exotic and very interesting. And now, our new album will be released there in next month, by Ward Records!

Q2: 一昨年には、初の来日を果たしました。日本の文化や人々にはどの様な印象を持ちましたか?

【KARTSY】: 日本ツアーはどんなミュージシャンにとってもクリスマスプレゼントみたいなものだよ!(笑) 素晴らしいツアー、ショウ、ライブハウス、ホスピタリティーも極上だったね。
日本は本当ーーーに素晴らしい国だよ!美しくてエキゾチック、そしてとても興味深い。そして4/17には、Ward Records から “Global Rock” の日本盤もリリースされるんだ!

Q3: Regarding Japan, the artwork of “Global Rock” is painted by Japanese artist Tomo Kataoka, right? What inspired you to use her anime-esque art for your new record?

【KARTSY】: We started alrrady with the anime-theme in our previous album You Are Waltari. We have always found our music very cartoonlike, and now we finally have decided to bring this aspect into flesh with our last two albums. And finding Tomo after the Japan tour was such a great thing. She is very talented!

Q3: 日本といえば、”Global Rock” のアートワークは日本人アーティスト Tomo Kataoka さんが手がけていますね?

【KARTSY】: アニメ的なスタイルは前作 “You Are Waltari” から取り入れていたよね。実は、僕たちはいつも自らの音楽がとても “アニメ的” だと感じていたんだよ。そうして遂に、その要素をこの2枚のアルバムで取り入れることに決めたんだ。
だから、日本ツアーの後に Tomo を見つけることができたのはとても素晴らしい出来事だったね。何せ彼女はとても才能があるからね!

Q4: From that artwork, album title, and really eclectic music, it seems you focused on “Musical Globalization” in this new record. Do you think you capsuled world wide music in “Global Rock”?

【KARTSY】: Anyway, there is also an social aspect, we all need to join forces if we want to survive in this world. Same can be targeted to the world of rock music. It needs to be totally remormed and polished in order to survive. You Japanise have for example understood this always pretty well, you always want to be progressive and that is what it is all about, even talking about the acts like Babymetal! Move forward, join forces and don’t look back. There can be many good things waiting for us also in the future!

Q4: アルバムのタイトルやエクレクティック極まる音楽性を考慮すれば、”Global Rock” が音楽のグローバリゼーションを意識した作品のようにも思えます。

【KARTSY】: まあこのタイトルには社会的な側面もあるよね。この世界で生き残るためには、僕たち全員が力を合わせなければならないから。同じことがロックミュージックの世界にも言えるだろう。つまり、生き残るために完全に再構築され、磨かれる必要があるわけさ。
たとえば、日本人はこれを常にかなりよく理解していて、いつもプログレッシブになりたいと考えている。BABYMETAL のような(アイドル的) アクトについてさえね!
前進し、力を合わせ、振り返らないで欲しい。そうすればきっと、未来にはたくさん良いことが待っているよ!

Q5: “Metal Soul” is typically, I feel this is your most metallic, also melodic record to date. Of course, it’s really modern, diverse album, but do you think you explored your metallic side. rock spirit in this record?

【KARTSY】: Well, we do have had metallic elements in our music always, especially in the albums like Below Zero or Release Date from the last zero decade (to us this album is 2018 album, it was then when we collected the material for the album).
Metal do has been inseparable part of our music, always. And that was the scene who took us into its lap in the early 90s, when the started to find our audience. We were personally thinking this as an album away from the metal a bit. But, it’s in the eyes of the watcher, and it’s only good exactly like that! Everybody can see and feel the music in the way he or she wants!

Q5: “Metal Soul” は典型的てすが、この作品は最もメタリックな WALTARI 作品の一つだと感じました。同時に、とてもメロディックでモダン、多様なアルバムですが。

【KARTSY】: そうだな…だけど僕たちはいつもメタリックな要素を保持してきたし、00年代には特に “Below Zero” とか “Release Date” といったメタリックなアルバムを製作しているからね。まあ “Global Rock” のマテリアルは2018年に集められたんだけど。
つまり、メタルとはいつも僕たちの音楽と切っても切り離せないものなんだ。そしてメタルシーンこそが、90年代初頭にリスナーを集め始めた僕たちの受け皿となってくれたわけだからね。
ただ、個人的には “Global Rock” は少しメタルから離れた作品だと考えていたんだ。ただ、まあそれは聴く人によるだろうからね。そうとってくれても全然構わないよ!誰にだって好きなように音楽を感じる権利があるんだから!

Q6: It seems album opener, “Post Rock” doesn’t mean existing Post-rock meaning, right?
In our previous interview, you said “We want to bring rock music back to its original meaning: mind blowing revolutionary music.”. Yeah, I love your “Keep on Rockin” scream on “Boots”! I feel your “Post Rock” reflects and embodies that spirit, do you agree that?

【KARTSY】: Yes, and also is referring to my vocal parts in the song, influenced by Post Malones song Paranoid, haha. But you got the point! Apart from connecting peoples and traditions, we have playing around a lot in this album with an idea of connecting the different times of rock music, old and new:).

Q6: オープナー “Post Rock” とは既存のポストロックの意味合いで使用しているわけではないですよね?
前回のインタビューであなたは、「ロックミュージックを革命的で心震わすオリジナルの形に戻したい」 と語っていましたし、今作の “Boots” では “Keep on Rockin!” と高らかに叫んでいます。そういった真のロックスピリットを取り戻すことが “Global Rock” の目的だったのでしょうか?

【KARTSY】: そうだね。それに “Boots” のボーカルパートは Post Malone の “Paranoid” に影響されているんだよ(笑)
まあだけど、君は核心を突いているね!各地の人々や伝統と繋がることとは別に、僕たちは異なる時代のロックミュージックを様々に鳴らそうと考えていたわけさ。温故知新だね。

Q7: “Skyline” reflects modern day’s hip hop sound, I feel. Actually, musical industry is dominated by hip hop and electro music. Do you think such genres are sometimes more adventurous and challenging than rock & metal realm?

【KARTSY】: Definitely. Rock has been eaten by generic pop throughout during the last decade, being much innovative these days, meaning much more to kids nowadays than traditional rock, which in its old form is turning into very concervative, unforunately!

Q7: “Skyline” では現代的なヒップホップサウンドを聴くことができますね?
実際、近年ヒップホップやエレクトロニカは音楽産業を席巻しているわけですが、そういったジャンルは時にメタルやロックより冒険的だと思いますか?

【KARTSY】: 間違いないね。ロックはこの10年間、非常に革新的な “ジェネリックポップ” に食われているよね。
ジェネリックポップは今日の子供たちにとってクラッシックロックより遥かに意味をもっているんだよ。ロックは非常に保守的になってしまっている。残念ながらね!

Q8: In our previous interview, I really love your words “It was a post-first-metal-wave-time, and all the Scandinavians added a bit more crazyness to their metal after starting to listen more wider spectre music. Suddenly then all these metal bands started to bloom leaving all the “basic-metal” bands behind for a while.”
OK, nearly 30 years have passed since “Post first metal wave time”. I believe “Global Rock” is great opener of 2020’s, and how do you think metal and rock will evolve and open new chapters?

【KARTSY】: Sky is the limit! There are ways as many as there are makers! This is the adventure of real rock attitude I will say, and I do hope that many many new ways and waves will be found!

Q8: 前回のインタビューであなたは、「スカンジナビアのバンドたちは、より幅広いスペクトルの音楽を聴くことで、メタルに “クレイジーさ” を加えていったんだ。そしてしばらくすると、突如として、”ポストファーストメタルタイム” のバンドたちは “ベーシックメタル” のバンドたちを後方に残し、素晴らしく花開いたんだ。」 と語ってくれました。
さて、そのポストファーストメタルタイムから30年近くの月日が経ちました。”Global Rock” は素晴らしき2020年代のオープナーですが、さてメタルやロックは20年代に再度新たな章を開くことが可能でしょうか?

【KARTSY】: メタルやロックに限界なんてないよ!製作者の数だけリミットを突破する方法は存在するんだからね! それこそが真の冒険的ロックアティテュードってものさ。そしてどんどん新たな方法や波が発見されることを願っているよ!

KARTSY’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS

GREEN DAY “FATHER OF ALL”

JACKBOYS (TRAVIS SCOTT) “JACKBOYS”

LED ZEPPELIN “THE SONG REMAINS THE SAME”

BRING ME THE HORIZON “AMO”

CAGE THE ELEPHANT “CAGE THE ELEPHANT”

MESSAGE FOR JAPAN

Let’s keep the rock tradition alive and reform it in a brand new way suitable for 2020, and the people living this life here and now! This is the way to keep rock music alive and meaningful to all of us. Rock as an attitude (of life too) would then make good for all of us when its pure, with its openmindness and being unoredictable! Keep on rockin, it’s the only way to go!:)

ロックの伝統を生かしながら、2020年に適した形でリフォームしようじゃないか、だって僕たちは今この時を生きているんだから!それこそがロックに活力を与え、僕たち全員にとって意味のあることなんだ。
ロックのアティテュードとは、オープンマインドかつ予測不可能な純粋さだからね!Keep on Rockin, それが前へ進む唯一の道さ!

KÄRTSY HATAKKA

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日本盤のご購入はこちら。WARD RECORDS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW【ESOTERIC : A PYRRHIC EXISTENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GREG CHANDLER OF ESOTERIC !!

“We Always Knew That Our Music Would Not Be Too Popular, Because It Is Extreme And Requires Attention To Process All Of The Details In The Sound And Repeated Listens To Become Familiar With It.”

DISC REVIEW “A PYRRHIC EXISTENCE”

「”Esoteric” の英語で最も一般的な定義は、”少数の人に向けた、もしくは理解している人だけに向けた” という意味なんだ。僕たちの音楽がとても人気があるわけじゃないことは理解しているからね。それは、この種の音楽が極端で、サウンドに乗せられたすべての詳細を処理し、それに慣れるため繰り返し聞く必要があるからだと思う。」
オカルトやサタニズムの秘伝を弔いの鎮魂歌へと封じる、英国の沈鬱 ESOTERIC。フューネラルドゥームの開祖は、超重超遅の二重奏に飽き足らず、デス、サイケデリック、インダストリアル、プログレッシブ、さらには寂寥のアトモスフィアからノイズの酸性雨までジャンルの可能性を拡大する特異点として偉大な足跡を残し続けています。
「フューネラルドゥームというジャンルが、ESOTERIC に完璧にフィットすると思ったことはないんだ。なぜなら、僕たちの音楽はそれよりも少し実験的な性格を帯びているからね。」
1993年、悪夢のような質感と哀しみに満ちたルグーブレで “フューネラルドゥーム” のフレームワークを築いた “Esoteric Emotions” でも、結局彼らはより遅くより深く苦痛の万華鏡を投影したかっただけでしょう。
ESOTERIC にとって重要なのは、深悼痛惜なドゥームの中に独自のスタイルを構築することでした。そうしてその軌跡と哲学は、BELL WITCH をはじめ KHEMMIS, PALLBEARER, ELDER, INTER ARMA といった現代ドゥーム革命の潤色な担い手たちへ脈々と受け継がれているのです。
「ライティングプロセスにおいて楽曲の長さは考慮していないんだけど、だから短ければ3分で、長くなれば26分にもなるんだろう。だけど基本的には、7分から16分の間で収まっているよ。」
BELL WITCH 83分の厖大なエピック “Mirror Reaper” に呼応するように、8年ぶりの蘇生 “A Pyrrhic Existence” は27分の緩やかな落魄 “Descent” でその幕を開けます。
高所からの自死を試みる時、人はこういった光景を目の当たりにするのでしょうか。永遠にも思えるスロウモーションのモノクロ映画は、アンビエントな静寂とプログレッシブなドラマ性、そして厳粛な轟音の狭間で、陰鬱、恐怖、絶望の影を反映していきます。
きっと、この瞬間にして久遠の葬送曲は、アルバムタイトルでもある世界の不条理や自己犠牲に端を発しているのでしょう。勝利からは程遠い勝利。見方を変えれば、Greg Chandler 語るところの 「よりアグレッシブで圧倒的にダークなアトモスフィアを加えた」 PINK FLOYD の宇宙。
“Descent” に端を発する、精神の荒野を漂う仄暗き死の旅路は、トレードマークであるトリプルギターと流麗なリードで今際の際のドラマ性を神聖なまでに高めた “Rotting in Dereliction”、最後の旅を意味するアンビエントなシンセの不吉 “Antim Yatra” とその魂の窓を少しづつ解放していきます。”Culmination” で見せる巧みな場面展開も秀逸。そうして98分2枚組の壮大極まる悲壮劇は、”Sick and Tired” でメランコリーと不協和、そしてノイズの波音を掻き集め闇の帳へ奉納しながらその幕を閉じるのです。
今回弊誌では、創立メンバーでギター/ボーカル Greg Chandler にインタビューを行うことができました。「音楽のジャンルが広がりすぎる時、影響の似たバンドが増えすぎるのは僕には唯一の欠点に思えるね。独自のサウンドやスタイルを創造するバンドじゃなく、他のバンドのようなサウンドを作りたいバンドが人気を博してしまう傾向があるようにね。」どうぞ!!

ESOTERIC “A PYRRHIC EXISTENCE” : 10/10

INTERVIEW WITH GREG CHANDLER

Q1: Lot’s of metal magazine choose “A Pyrrhic Existence” as one of the years best. Amazing! More than 25 years career, what was the driving force to keep play your own Doom metal?

【GREG】: I think the driving force, and perhaps what is most important, is that we are still inspired to create and play music. Obviously we all have lives and jobs outside of the band, and have to devote most of our time to that, but Esoteric gives us a worthwhile outlet to express ourselves and be creative with freedom. As a band we have progressed and evolved over the years, and the line-up has changed from time to time, but I would say that we still have some connection to our roots.

Q1: “A Pyrrhic Existence” は、多くのメタルマガジンで年間ベストに選出された傑作でしたね!この場所に到達するまで25年以上、自らのドゥームメタルを追求し続ける推進力となったものは何でしたか?

【GREG】: 推進力であり、そしておそらく最も重要なことは、僕たちが今でも音楽を創造し、演奏することにインスパイアされている点だろうね。
もちろん、僕たちには自分の生活があって、バンド以外に仕事も持っている。そして自分の時間の大部分はそういった所に費やしているわけさ。だけど僕たちは ESOTERIC で、自分を表現し自由に創造する価値ある捌け口を得ているんだよ。
バンドとして、僕たちは長年に渡り進歩、進化を続けていて、ラインナップは時により変更されてきたけど、それでも未だ自らのルーツとは繋がれていると思うんだよ。

Q2: In late 80’s to early 90’s, there were some great Doom, Goth acts like My Dying Bride, Paradise Lost, Anathema, Cathedral in UK, right? Were they one of the inspiration when you start Esoteric?

【GREG】: They are all bands that we really liked and admired the music of, but our initial aim with Esoteric was a little different. We were probably more influenced by the more aggressive nature of slow death metal than doom, and we added our own psychedelic twist to this, taking the music to quite some extremes for the time.

Q2: MY DYING BRIDE, PARADISE LOST, ANATHEMA, CATHEDRAL など、80年代後半から90年代初頭にかけて、英国から偉大なドゥーム、ゴシックバンドが登場しましたね?ESOTERIC を始める時、彼らはインスピレーションとなりましたか?

【GREG】: 彼らは全て、僕たちが心から愛し、その音楽を崇拝するバンドだよ。だけど ESOTERIC 当初の目的は少し異なるものだったんだ。
このバンドを始めた時、僕たちはおそらくドゥームよりもよりアグレッシブなスロウデスメタルから影響を受けていたね。そこに自らのサイケデリックな捻りを効かせ、あの頃にしては実にエクストリームな音楽を作り上げたんだ。

Q3: When you started Esoteric, it seems the term “Funeral Doom” wasn’t exist. When you knew that “tag” in your slow and atmospheric music, What did you think about that?

【GREG】: It isn’t something I think about much to be honest. A genre is just a brief, simple way to categorise music. I don’t really think the genre is completely fitting to Esoteric because our music is a little more on the experimental side. But different people will have different ideas of what our style of music is, so that is fine. It is not important to us really.

Q3: ESOTERIC を立ち上げた当時、フューネラルドゥームというジャンルはまだ存在しませんでしたよね?
スロウでアトモスフェリックな ESOTERIC の音楽に、その新たなタグがつけられた時はどう感じましたか?

【GREG】: 正直、そういったタグについてはあまり考えすぎないようにしているんだ。ジャンルとは単に音楽をカテゴライズする手段だから。
フューネラルドゥームというジャンルが、ESOTERIC に完璧にフィットすると思ったことはないんだ。なぜなら、僕たちの音楽はそれよりも少し実験的な性格を帯びているからね。だけど僕たちの音楽スタイルに持つ印象は十人十色だから、別に構わないよ。本当に僕たちにとってジャンルは重要じゃないからね 。

Q4: Also, psychedelic, trippy soundscape has been one of your trademark. Now, you use electronics, synth and pedals to make your unique sounds, but do you think psychedelic like Pink Floyd, Monster Magnet was one of your aim for creating music?

【GREG】: Yes, we have always used pedals and effects since the beginning, it was just more sparse initially on the demo, since that was before we could start to afford to build up our equipment levels. We are all fans of psychedelic and experimental music, such as Pink Floyd, Monster Magnet, Spacemen 3 and many others for its trippy nature. But we use the effects a little differently in Esoteric, sometimes more aggressive and overwhelming to add to the dark atmosphere of the music.

Q4: 同時に、サイケデリックでトリッピーなサウンドスケープも ESOTERIC のトレードマークの一つです。
今ではシンセサイザーやペダルなども益々活用してユニークなサウンドを拡大していますが、根底には PINK FLOYD や MONSTER MAGNET からの影響が存在するのでしょうか?

【GREG】: そうだね、ペダルやエフェクトは結成当初から使用しているけど、最初のデモでは希薄な要素だったね。その頃はまだ今程の機材を揃える財政的な余裕もなかったからなんだけど。
僕たちは全員が、PINK FLOYD, MONSTER MAGNET, SPACEMAN 3 といったサイケデリックで実験的音楽のファンなんだ。そのトリッピーな性質に惹かれているよ。ただ、ESOTERIC でそういったエフェクトは少し異なる使い方をしているんだ。時にはよりアグレッシブで圧倒的にダークなアトモスフィアを加えているんだ。

Q5: I think 27 minutes incredible epic “Descent” shows what Esoteric is now. It’s really eclectic, cinematic long opener. For example, Bell Witch made 83 minutes album/song “Mirror Reaper”. It seems Doom bands love to creating long epic, right?

【GREG】: Yes, I think it is quite common amongst Doom bands or bands that play slow, simply because at a slow pace it takes time for the music to develop. We don’t have a length of song in mind when we write music, which is I guess why our shortest song is less than 3 minutes and our longest at 26. But generally they are between 7 and 16 minutes long, with a few exceptions. Descent is actually 24:30, but there is a segue piece of music that serves as the transition into the second song, Rotting in Dereliction. The segue piece is a part of the intro to the second song really, because it is designed to fit with the key of the start and the feel of the music. However, we didn’t place an ID point there or title any of the segues because they are there for the flow of the album and we also wanted the ID points to start mostly on the beginning of the actual songs. There are a few segue pieces on the album between tracks.

Q5: 27分の圧倒的なエピック “Descent” は現在の ESOTERIC を象徴する楽曲だと感じます。実に多様で、映画のような場面転換が繰り広げられるオープナーですね!
BELL WITCH が83分の “Mirror Reaper” を創造したことも記憶に新しいですが、ドゥームバンドには長尺のエピックを好む傾向がありそうですね?

【GREG】: そうだね、ドゥームバンドやスロウな音楽をプレイするバンドは長い曲を作りがちだけど、それはまず単純に遅いから音楽を進行させるのに時間がかかるという理由があるだろうな。
僕たちはライティングプロセスにおいて楽曲の長さは考慮していないんだけど、だから短ければ3分で、長くなれば26分にもなるんだろう。だけど基本的には、いくつかの例外を除いて7分から16分の間で収まっているよ。
“Descent” は実際は24分30秒なんだけど、次の楽曲である “Rotting in Dereliction” に繋げるセグエがカウントされているからね。本当ならそのセグエは “Rotting in Dereliction” のムードを反映しているからこの曲のイントロとなるべきなんだけど、まずアルバムの流れを考慮しセグエにタイトルはつけたくなかったし、同時にそれぞれの楽曲はイントロではなく実際の楽曲の頭から始まって欲しかったんだ。だから先の楽曲の最後に配置される形になったね。アルバムにはいくつかセグエを潜ませているよ。

Q6: Bell Witch is of course, lot’s of modern/young doom bands like Khemmis, Inter Arma, Yob, Pallbearer, Elder come into scene now. I feel Doom metal now is really diverse than 20th century. What’s your perspective about the expansion of Doom scene?

【GREG】: I think it is a good thing. For me it is good to see other bands doing well, playing shows and expanding the number of listeners for the style of music. It also paves the way for younger bands to come through, to some degree. Also, the bands you mention are very good and have their own style and sound and that is important. Of course some bands play closer to their influences, which is fine, but we don’t need too many bands that sound very similar. For me that is the only real downside to when a genre of music expands too much. You tend to get more bands that want to sound like others, instead of developing their own sound and style.

Q6: その BELL WITCH を筆頭に、KHEMMIS, INTER ARMA, YOB, PALLBEARER, ELDER といったモダンなドゥームバンドがメタル世界を席巻するようになりました。
21世紀に入り、ドゥームは明らかにその多様性を増していますね?

【GREG】: 良いことだと思うよ。他のバンドが上手くいって、ライブを重ね、ドゥームのリスナーを増やしているのは有難いよね。同時に彼らは、ある程度若いバンドのために道を切り開いているとも言えるよね。
それに、君が挙げたようなバンドは素晴らしいサウンドを誇っていて、何より自らのスタイルを確立している。これはとても重要なことだよ。もちろん、いくつかのバンドが自らの影響に近づき似たようなサウンドを放つことは構わないんだ。だけど、そんなバンドが多くなりすぎる必要はないからね。
それって、音楽のジャンルが広がりすぎる時、僕には唯一の欠点に思えるね。独自のサウンドやスタイルを創造するバンドじゃなく、他のバンドのようなサウンドを作りたいバンドが人気を博してしまう傾向があるようにね。

Q7: As “esoteric” is a term mostly used when describing occult teachings and philosophy, it seems you were into Satanism and occult at the beginning. Does that theme still reflect on “A Pyrrhic Existence”?

【GREG】: The main reason we chose the name was because of its meaning being multi-faceted, and we felt all of the connotations were relevant to the music and lyrics of the band. The most common definition in the English language (in case it differs in others) is to mean “intended for or likely only to be understood by the few”. We always knew that our music would not be too popular, because it is extreme and requires attention to process all of the details in the sound and repeated listens to become familiar with it. Yes, we have all read and been interested in various occult and satanic literature, and the same with psychedelic, philosophical and psychological literature. There were more obvious references to Occult or Satanic subjects in earlier lyrics, but as time passed the lyrics became much more shrouded in every sense of the word. You can get the meaning, but not know any of the specifics. That is just how I prefer to write nowadays. It is my way of writing purely from the heart, without opening too much of the window to my soul.

Q7: バンド名 ESOTERIC には、オカルトの秘伝や哲学を伝授するような意味合いが含まれると思います。実際、初期のバンドはサタニズムやオカルトに傾倒していましたよね? “A Pyrrhic Existence” にも同様の精神が反映されていますか?

【GREG】: 僕たちがこの名前を選んだ主な理由は、その意味が多面的であるからで、すべての意味合いがバンドの音楽と歌詞に関連していると感じたからなんだ。
“Esoteric” の英語で最も一般的な定義は、”少数の人に向けた、もしくは理解している人だけに向けた” という意味なんだ。僕たちの音楽がとても人気があるわけじゃないことは理解しているからね。それは、この種の音楽が極端で、サウンドに乗せられたすべての詳細を処理し、それに慣れるため繰り返し聞く必要があるからだと思う。
もちろん、僕たちは皆、さまざまなオカルトや悪魔に興味を持ち文献を読んでいるよ。それはサイケデリック、哲学、心理学の文学についても同じなんだけど。以前の歌詞にはオカルトや悪魔のテーマに対する明白な言及があったけど、時間が経つにつれ、歌詞はあらゆる意味でよりベールに包まれるようになったんだ。意味は伝わるんだけど、特定はできないようにね。
それが、今日、僕が気に入っているライティングのやり方さ。それは魂の窓を開けすぎずに、それでも純粋に心から書く方法なんだよ。

Q8: “Rotting in Dereliction” is typically, your music is sometimes really melancholic. In early 90’s, coincidentally, melancholic death metal bands like At The Gates, In Flames, Dark Tranquility emerged to the metal world from Sweden. What did you think of them at the time?

【GREG】: I liked all of those bands, particularly At The Gates. I liked early In Flames and Dark Tranquility, but didn’t really keep up with their later releases. I’ve seen At The Gates live a few times, great band!

Q8: “Rotting in Dereliction” は典型的ですが、ESOTERIC の音の葉は時に実にメランコリックな一面を垣間見せます。90年代前半、ESOTERIC と時を同じくして、IN FLAMES, AT THE GATES, DARK TRANQUILLITY といったメランコリックなデスメタルの一団がスウェーデンから登場しましたね。当時、彼らについてはどう感じていましたか?

【GREG】: 君が挙げたバンドは全部好きだったよ。特に AT THE GATES はね。IN FLAMES や DARK TRANQUILLITY も初期は好きだったけど、段々とついて行けなくなってしまった。AT THE GATES は何度かライブも見ているよ。偉大なバンドさ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED GREG’S LIFE

DEATH “SCREAM BLOODY GORE”

AUTOPSY “MENTAL FUNERAL”

MORBID ANGEL “BLESSED ARE THE SICK”

PINK FLOYD “UMMAGUMMA”

SLAYER “REIGN IN BLOOD”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for this interview Arigatou! Your support is much appreciated. We would like to say hello and thank you to our fans in Japan!

インタビューをありがとう!サポートにとても感謝しているよ。日本のファンにはじめましてとありがとうを伝えたいね!

GREG CHANDLER

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ESOTERIC Official
SEASON OF MIST

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【CODE ORANGE : UNDERNEATH】


COVER STORY: CODE ORANGE “UNDERNEATH”

THERE’S NOBODY LIKE US…CODE ORANGE ARE READY TO BE NEW ICON OF EXTREME MUSIC

BORN FROM “UNDERNEATH” OF THE SCENE

キャリア10周年を迎え、CODE ORANGE は間違いなくハードコア最大のバンドへ進化を遂げようとしています。
2008年に、ハードコア色の強いクロスオーバーの一味として結成された CODE ORANGE。当時、メンバーは平均すると約14歳で、2012年までは文字通り CODE ORANGE KIDS と呼ばれていました。
「俺らは文字通り世界中で誰にも演奏しないツアーを無数に行ってきた。自慢でも何でもなく、それが現実だ。ハードコアバンドはその現実を知っている。それでもすべて自分でやること、DIY を教えてくれるのがハードコアだ。その音楽を愛しているからな。」
メジャーメタルレーベルとの契約、SLIPKNOT, GOJIRA とのツアー、グラミーへのノミネート、コーチェラからのラブコール
。冒険の始まりから遥かな高みへと到達したバンドの思想は、しかし今でも実にリアルなハードコアです。
「”Underneath” がヘヴィーミュージックの方向を変えることを望んでいるか? いや、俺は何も望んでいない。メタルやハードコアのミュージシャンを鼓舞するバンドになりたいか? 俺らは何かになりたいとは思わない。それなら俺らは彼らの一人になるだろう。」

Jami は Nu-metal を “Underneath” への意識的な影響元としては言及していませんが、ボストンの VEIN など他の新たなハードコアイノベーターと同様に、CODE ORANGE のサンプリングとパーカッションに対する最大級のアプローチを見れば、90年代後半との比較を避けることはできないでしょう。実際彼らは、SLIPKNOT の Corey Taylor を、”The Hunt” のゲストボーカルとして迎え入れ、夏にはKnotfest Roadshow のオープナーを務めます。
「Coley は好きじゃない人たちと時間を無駄にすることはない。俺らも同じことをするつもりさ。」
傍観者は、本質的に商業主義とは相反するハードコアから生まれた CODE ORANGE のよりビッグで、より精巧で、ある意味でよりメロディックなサウンドについてセルアウトの烙印を押すかもしれません。しかし、本物のアートには程遠い、経済的に満たされすぎているという示唆は、相当な名声を獲得した今でも明らかに偽りです。
「音楽をやめて、ウェンディーズで働き始めたほうが稼げるはずさ。」
ドラマー/ボーカリスト Jami Morganはそう嘯きます。しかしそのジョークが真実に思えるほど、彼らは全ての労力を “Underneath” へと注いだのです。


デモとレコーディングを一つのプロセスと捉えた彼らは、そのミッションに丸一年を費やしました。相当に密度の高いデモを完成させた後、バンドはナッシュビルへ降り立ち、1日12時間週7日のハードワークを2ヶ月間続けました。
「おかげでヒップホップのレコードみたいになった。デモと言うよりも、誰かとレコーディングをやるために聴かせる、俺らがミックスした何百ものトラックの集積だったから。
プロデューサーの Nick はさすがに週末は仕事を離れたけど、俺らはアシスタントエンジニアと作業を続けたよ。なぜなら、このレコードのリードの多く、Reba の奇妙なデジタルサウンドはデモの過程で開発されたものだったから、ミックスでダイレクトに録音したからね。ヘヴィーな音楽がより芸術的になろうとすると、多くの場合、その即時性が失われてしまう。全てが連携する必要があるんだ。上手く1つの大きなオーケストラに組み込むことができたね。」
さらに長年の協力者 Will Yip とフィラデルフィアで追加の作業を行い、2人のプロデューサーとの仕事を終えた後もハードディスクをピッツバーグまで持ち帰り何ヶ月も調整を続けたのです。

キーボードを担当する Eric “Shade” Balderose のアルゴリズムはその印象度を飛躍的に高めました。2017年の “Forever” においてもインダストリアル、エレクトロサウンドは確かに鳴り響きましたが、あくまで不気味な装飾の一つとして脇役の領域を超えることはありませんでした。
しかし “Underneath” において彼の創造するプログラミングドラムトラック、ホラーサウンドトラック、アトモスフェリックなシンセサウンドはボーカルや他の楽器と同等の不可欠な存在であり、主役でしょう。Eric はエレクトロニカのプロダクションを自身で学ぶと同時に、NINE INCH NAILS, MARILYN MANSON のコントリビューター Chris Vrenna をプログラミングアシスタントに起用しクオリティーを著しく高めました。
Jami は当時の Eric について、「彼は文字通り心を失いそうなほど消耗していた。誰かと共に働く必要があったんだ。」と語っています。
エレクトロの波に加えて、Jami と Rega が散りばめた様々なボーカルスタイルは、時に重なりながら目覚ましきコントラストを生み出しました。故にレコードには、滑らかに風変わりなハーモニー、スリリングなブレイクダウン、果てはシュレッドギターまで多様な世界が広がることとなりました。
そのパズルのコピー&ペーストは瞬く間に行われるため、音楽的要素や演奏者の解読さえ時に難解です。しかし音楽の方向感覚を失わせる CODE ORANGE の挑戦状は完全に意図的であり、細心の注意を払って構築したレコードの二分概念をまざまざと象徴しています。
「俺は全ての楽曲に二重の意味を持たせたかったんだ。歌詞の一行一行からアルバムのストーリー、さらに他の3枚のレコードとの繋がりまでね。」


CODE ORANGE のリリックは複雑です。ただし可能な限り分解を容易ににするため、”Underneath” のリリックには基本的に二つのビッグテーマが用意されています。一つはテクノロジーの観点から見た現代社会。もう一つは、自身が所属する音楽産業、ヘヴィーミュージックシーンに対する思索です。
例えば、”Who I Am” ではソーシャルメディアで同時に経験する接続と断絶に言及し、”A Sliver” は SNS のプラットフォームを重要だと感じる誤った感性を断罪します。
「誰もが大きな大きな声を持っているように感じている。だけど結局、俺たちの声はすべて、SNS というボックスに入れられているから、そこでいくら大きな声を出したって本当に重要な意味は持たないんだよ。」
一方で、”Cold Metal Place” は極寒の地下メタル世界。プレッシャーに苛まれる他のバンドを尻目に、CODE ORANGE は競争の激しい音楽業界を生き抜きます。「全世界が笑っているが、オマエはその事実さえ知らない」の一節は音楽世界の過酷なプレッシャーをリアルに描写しています。
「それが批判であれ、ジャッジであれ、常にノイズが存在するように感じるね。自分が誰かの冗談になる可能性をいつも孕んでいる。すべてがミーム、すべてがジョーク、すべてが判決可能、すべてが破壊可能な世界だから。」

そんなメタナラティブなポスト音楽産業でも、Jami にとってはバンドが全てです。故に彼らの物語をレコードに記し続けることは当然でしょう。そうして闘うバンド CODE ORANGE 最大の願いは、そのキャリアを重ねていくことなのです。
「音楽で食っていきたいと思っている。だけど今や誰にとってもそうすることはとても難しい。座っていても金が入ってきた15年前とは違うんだ。」
2017年、GOJIRA とのツアーは彼らのバンドに対する取り組みを根底から変化させました。フランスのモダンメタルバンドは今やメタル世界の中心にいます。GOJIRA が毎晩セットを録画し、パフォーマンスの微調整を行うことはかなりの驚きでした。
「彼らはメタルを作るのが、工夫してより良いものを作るのがいかに難しいかを知る新世代なんだ。そうまでしても、俺らは生き抜かなきゃならない。」
従うべき青写真を持たない CODE ORANGE にとって課題は二つ存在します。まず、ハードコアとインダストリアル、オルタナティブを彼らのようにミックスするバンドは前代未聞なので、独力でチェックポイントを設定しながら進まねばならないこと。さらに、そこに確立されたマーケットが存在しないことでしょう。
「メタルなのか、ハードコアなのか、それともただのクソなのか。とにかく、あのアーティストのファンなら俺らの音楽も気にいるって勧め方は出来ないからな。少しづつファンを獲得していくしかないね。それが唯一のチャンスだ。」
グラミーへのノミネートは “ネクストバンド” としての孵化を促しました。
「グラミーは、多くのバンドとは異なるプラットフォームを手に入れるチャンスだった。もし勝ち取れれば、もっと俺たちの意図を実現していただろうな。 ノミネートされるだけで幸せだと言うつもりはないね。目標は、物事を変えることだから。そのための唯一の方法は、プラットフォームを拡張し続けることだろう。」

Jami はグラミーにノミネートされたことで多少なり “ドア” が開いたことを実感しています。ただし、個人的な成功のみならず、エクストリームミュージック全体の地位向上を狙う彼らのハードルは、遥かに高い位置へと設定されています。そのための取り組みの一つが、ライブの超進化です。事実、コロナウイルスでさえ、彼らの勢いを止めることは出来ませんでした。Jami がドラムライザーから解放されたはじめてのアルバムリリースショーは、無観客ながら絶賛を集めました。
「動画を視聴しているファンもライブに参加しているような気持ちにさせたいんだ。基本的にメタルのライブプロダクションはシンプルで退屈でからな。Windows のスクリーンセイバーみたいにね。だからもっと複雑に、多次元にしたいわけさ。」
バンドはすでに JPEGMAFIA や Injury Reserve などラッパーとのコラボレーションを行っていますが、他のメタルミュージシャンとは異なる方法で、ヒップホップやエレクトロアーティストとの相互受粉を続けたいと考えています。なぜなら Jami はポップやヒップホップの世界で、メタリックなイメージと美学が今どれほど人気があるかに気付いているからです。つまり彼はヘヴィーな音楽がただ享受するだけでなく、影響をもたらす存在であることを示したいのです。
「それを真実にするためには、エクストリームミュージックがエキサイティングである必要がある。そして相互通行の中から新たなものを生み出していきたいんだ。もちろん、俺らはラップメタルを目指しているわけじゃない。もっとプロダクションサイドでヒップホップのやり方を取り入れていきたいのさ。」

Jami は20年代という新たな10年でヘヴィーミュージックを前進させる必要性を切迫して感じています。それは多くのメタルフェスやロックフェスでプレイするうち、彼の年齢で主役を演じるミュージシャンがどれほど珍しいかに気づいたから。同時に、Reba のような女性プレイヤーはメタルユニバース全体では決して珍しくはありませんが、よりメジャーなメタル世界では過小評価されがちです。
「ヘヴィーミュージックには、新たなアイコン、子供たちが見たがって真似したりするバンドが必要だよ。メインストリームには3、4年前に出てきて、すでにアイコンの風格を備えたアーティストが存在する。メタルでそんな存在がいるかな?」
バンドのアクロバティックな攻撃性、隆起した上半身の筋肉はWWEへ自然に適合しました。相乗効果は確かにファン層の拡大に役立ちましたが、メタルの固定観念を増長させる危険も孕みます。
「俺らはロックを長い間支配してきたものから抜け出したいんだよ。」
ティーンネイジャーでライブを始めて以来、ストレスや精神的苦痛は多少なり改善されたと彼らは語ります。しかし、バンで寝泊まりし激しいライブパフォーマンスに起因する肉体的消耗や、アンダーグラウンドシーンの財政的精神的圧迫はそれでも厳しいものでしょう。
「俺らはユニットだから。批判や苦難を乗り越えるには、お互いを気にかけることが重要だ。CODE ORANGE は全員がこのバンドを特別だと信じている。それが特別なことなんだ。地球上のどんなバンドとも異なるし、俺らみたいなバンドは一つとしていない。だから良いってわけじゃないけど俺らは…まあ半分はジョークさ (笑)」

TRACK BY TRACK REVIEW BY JAMI & REBA

1. (Deeperthanbefore)

アルバムのイントロダクションだよ。君たちがこれから探求するレコードの世界を、様々な方法で景色を垣間見せるんだ。アルバムのテーマは薄っすらと過去のレコードと繋がっていて、そこからこのイントロで俺らが切り開く場所へ新たな扉を開けるんだ。(Jami)

2. Swallowing the Rabbit Hole

自分探しの旅に乗り出すこと。この新たなデジタル世界では、きっと君たちが直面したくないことに直面する。それは君自身や社会に巣食う醜い部分。音楽的には、俺らの取り入れるヘヴィーな一面を良く表現していると思う。リアルとシュールをブレンドするという意味でね。(Jami)

3. In Fear

これは私たちがこの作品のために書いた最初のトラックの一つ。クラッシックでヘヴィーな CODE ORANGE ソングを切り刻んだバージョンね。”Forever” に収録されていた多くのグルーヴを取り出して、ちょっとした変化を加えたのよ。(Reba)

歴史と情報へ互いにアクセスしやすくなり、人々はジャッジに駆り立てられる。俺らが作り出したのは恐怖の文化だよ。何か間違ったことをすれば、時には非常に当然のこととして、社会的に、現実的に死んでしまう。インターネットという新しいスタイルの裁判官、陪審員、死刑執行人について扱おうとしたんだ。(Jami)

4. You and You Alone

自分を追い詰めて、自分自身を最悪のバージョンに変えようとしている人々が感じる苦味と怒りの反映。このレコードは、自分が好きじゃないものを見て、直面する旅だと感じているんだ。俺らはグループとして、俺は個人として、そして物語の登場人物は時に多くの苦しみとフラストレーションを抱えている。だからそれを反映し、苦しみを手放そうとしているのさ。(Jami)

スーパーメカニカルなヴァースのリフがあるわね。もともとは粗雑なメタリックリフとしてかかれていたんだけど。それをエレクトロニカのグラインダーに通したの。(Reba)

5. Who I Am

表面上ではドリーミーでダークなポップソングだけど、次第にプログレッシブにねじれ始める。俺たちの時代の、強迫観念を伴った現代的で相互的なストーキングについての楽曲だよ。携帯電話を通したね。今までの考え方とは異なる時代で、新たな思考を研究している。SNS なんかで見せる姿を真に受けて、他人の実際の姿から目を逸らせばねじれが生じるだろう。(Jami)

音楽はそのテーマを反映しているわ。ねじれたジェットコースターに乗るようなものね。一方向に進むと思わせて、その後は予期しない方向に進むの。(Reba)

6. Cold. Metal. Place

このレコードの主人公が生まれた場所。このレコードで表現したかった “テクノロジー地獄” における呟く魂たちは、批判や賞賛の声を上げ続け、アートを作る際の様々な決断に大きなインパクトを与えるんだ。ハードな音楽の心と魂を保ちながら、音楽をデジタル操作している。(Jami)

レコードの暗い側面を体現した楽曲ね。まさに私たちが表現したかったヘヴィーな景色を生み出したの。(Reba)

7. Sulfer Surrounding

精神的に蝕まれること、そしてそれと意図せず上手く付き合う方法を歌っている。完全なるバラードロックだけど、CODE ORANGE 流の捻りを加えているよ。(Jami)

私たちのよりビッグでクラシックなサウンドを象徴するメロディの1つ。よりメロディックな曲の流れを保ちながら、奇妙で重い側面をもたらす別の要素を与えることができたのよ。(Reba)

8. The Easy Way

レコードに収録されている最もエレクトロな曲の1つ。衝撃的な電子パルスが聴こえる、以前の俺らならやらなかったようなメロディックソングの異なるフレーバーを携えている。レコードの中では異色だよね。(Jami)

この歌を使って、まったく別世界のテクニックが試されたの。全体的に実にヘヴィーメタルなアルバムであるにもかかわらず、この楽曲はアルバムで達成したかったモダンなプロダクションのレベルに最適なプラットフォームとなったのよ。(Reba)

9. Erasure Scan

メンタルヘルスのねじれが原因で起こった悲劇を反映し、お互いをどう扱い、話し合うかについて問題提起している。学校で起こった銃乱射事件について話しているよ。それがなぜ起こるのかについて、心理学的な研究を少し行っている。(Jami)

アルバムの中でおそらくより重く、グリッチな曲の1つでしょう。歌詞が非常に強烈で、楽曲もそれを反映しているの。ほんの少しの微調整ではなく、ミックスで多くの操作を行ったわ。すべてを切り取り、ループさせ、多くのテクニックを使用したの。(Reba)

10. Last Ones Left

レコードに登場するわずか数回の勇敢な瞬間の1つ。心理的な旅の一部であり、時には本当のポジティブな結末のない場所にあなたを引きずり込むことができる。(Jami)

11. Autumn and Carbine

Rebaの曲で、セレブ文化を扱っている。特に他のジャンルは黒幕の大物に操作されていて、若者の生活を毒するところまで達している。彼らは本当にネガティブな可能性を提示し、負のスパイラルを送らせようとしているんだ。つまり君は操り人形で、糸が引っ張られて幸福が本当に気にかけられず、考慮されることもない。(Jami)

12. Back Inside The Glass

レコードで最もハードコアよりの楽曲。実にファストで、エレクトロとストレートなリフ、畳み掛けるドラムの間のクールなラインを歩んでいる。この曲のテーマは、自分自身をより良く再設計しようとするも、逃げられない寄生虫が自身の中を未だ泳いでいて変われないように思えるって感じだな。ドアを開けて元の自分から離れるたびに、引き戻される。俺にとって、この歌は手術台にいて治療という変化を待っているようなものだ。病気にかかっていてね。ガラスの背後を振り向けば、君の終焉を見守る観客の姿がある。(Jami)

13. A Sliver

暗くて陰気なメロディーから始まり、パワフルでしかし気のめいるようなコーラスに進む。その後、エレクトロニカの闇を通過し最後にメタルと交差する。すべてがアルバムのフィナーレにつながっているの。(Reba)

俺たちがさらされている悲劇。それがどれほど影響を与えても、誰もがその話題を乗り越えて素早く次の話題へと進む。それがこの曲を破片と呼んだ理由さ。その破片はどんどん小さくなっている。声を上げるプラットフォームはたくさんあるけど、ノイズに紛れてしまいその声はかつてないほどに小さくなるんだよ。(Jami)

14. Underneath

レコード最後の曲。俺はリスナー全員に、自分でこのレコードを旅して欲しいんだ。必ずしもこれが決定的な結末だとは思わないよ。ヒップホップベースの曲の1つ。学んだ多くのことと向き合い、自分の未来について難しい決定を下さなければならない、その最後の通路に赴く楽曲だよ。(Jami)

参考文献:REVOLVER:”THERE’S NOBODY LIKE US”: CODE ORANGE STAKE THEIR CLAIM ON THE FUTURE OF HEAVY MUSIC

BILLBOARD:Code Orange Are Ready to Be Metal’s New Icons

KERRANG!:CODE ORANGE’S TRACK BY TRACK GUIDE TO UNDERNEATH

STEREOGUM: CODE ORANGE’S HEEL TURN

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MY DYING BRIDE : THE GHOST OF ORION】


COVER STORY : MY DYING BRIDE “THE GHOST OF THE ORION”

“Tired Of Tears Was Exactly How I Felt. They Had Been Flowing Freely From Me For Months And I Was a Shadow Of My Former Self. It Is Sad That This Will Continue For Many Others. Innocent People. So Very Tired Of Tears.”

HOW GOTHIC DOOM LEGEND TURNS DARKNESS INTO LIGHT

PARADISE LOST の “Gothic” こそがゴシックメタルの幕開けを告げたレコードであることに異論の余地はないでしょう。
以来、ミルトンの失楽園に啓示を受けた荘厳耽美の象徴は、”Icon”, “Draconian Times” とメランコリーの金字塔を重ねることとなりました。そうして、90年代というメタルの実験室は多種多様なゴシックの重音楽を創造することになるのです。
ゴシックメタルの総本山 Peaceville Records は、その PARADISE LOST, ANATHEMA, そして MY DYING BRIDE の通称 “Peaceville Three” を世紀末の世界へと送り出しました。さらにデスメタルから分岐した SENTENCED や TIAMAT、しめやかな女声をメインに据えた THEATER OF TRAGEDY, THE GATHERING と漆黒に広がる色彩の中でも、ヴァイオリンとクラシカルに沈む暗海 MY DYING BRIDE のゴシックメタルは飛び抜けてドゥーミーな陰鬱だったと言えるでしょう。

30年のキャリアで12枚の仄暗くしかし豊潤な旅路を歩んできた死にゆく花嫁が、自らの音の葉を超える悲劇に見舞われたのは、”Feel the Misery” リリース後2017年のことでした。中心人物 Aaron Stainthorpe の5歳の娘が癌と診断されたのです。Aaron は愛娘を襲った病を 「神の最も残酷な、愛のない創造物の1つ」 と断じ嘆きました。
「2017年9月、5歳になった美しい娘が癌と診断された。心配と混乱のブラックホールが目の前に広がったよ。この恐ろしい病気を取り巻く恐怖は、現実的で残忍で容赦ないものだった。化学療法と二度の手術をくぐり抜け、幸運にも娘は癌を克服した。それでも彼女は、残りの人生を再発と潜在的合併症の恐怖と戦いながら過ごさなければならない。だから私はただ自分が墓に向かう時、彼女が強く率直な女性として生きていて欲しいとそればかり願っているよ。」
娘の罹患は Aaron の人生観、そして未来を大きく変えました。
「彼女が病気になる前は単純で愚かなことにイライラしていたけど、本当に深刻な何かに対処しているとそれが非常に取るに足らないものに思える。例えば昔ならプリンターが上手く働かなければばらばらに叩き壊しただろう。だけど今の私はただ、新しいのを買おうと言うだけさ。私を苦しめ、ストレスを与えるだろう愚かな些細なことは、もはや存在しない。人生に変化があったんだよ。私は変わった。もっとリラックスして落ち着いた人になったのさ。」

創立メンバーで出戻りの Calvin Robertshaw とドラマー Shaun Taylor-Steels がレコーディングの直前にバンドを離れました。
「もっと重要なこと、娘の治療に気を取られていたから、メンバーの離脱を気にかけている暇はなかったね。だから Andrew が Calvin がまた辞めたと言ってきても正直どうでも良かったんだ。幸運にも早めに出て行ってくれたから “The Ghost of Orion” のための彼の素材はそんなに残っていなかったんだけど、後からお金を請求されても嫌だから Andrew が全て書き直したよ。ギタリストなら自分のリフが全て採用されるほうが幸せってもんだ。前のアルバム “Feel the Misery” も Hamish Glencross がレコーディング前に辞めたから同じ状況だった。あのアルバムのレビューはこれまでよりポジティブだったから、Andrew が素晴らしいソングライターであることはすでに証明されているからね。
Shawn の場合、エンジニアの Mark が ex-PARADISE LOST の Jeff Singer を知っていて、僅か2週間で全てを覚えて素晴らしいドラミングを披露してくれたんだ。
もちろん、過去にメンバーが去った時は少しイラついたかもしれない。だけど今回私は別の次元にいたからね。ある意味 MY DYING BRIDE との繋がり自体、少し希少になっていたから Andrew はストレスが溜まっただろうな。メンバーが去ったと慌てても、私は肩をすくめて知らないよと言うだけだったから。」

レコードで最も荘厳にエモーショナルに織り上げられた “Tired Of Tears” は文字通り娘の罹患に枯れ果てた涙の結晶。
「この楽曲は僕の人生で、最も恐ろしくストレスが溜まった時期を扱っている。唯一の子供が死に近づいたんだから。これまでも落ち込んだことはあったけど、これほどではなかったよ。真の暗闇でどう対処して良いのか全くわからなかった。それでも全力を尽くして戦おうと決めたんだ。涙が枯れ果てたとはまさに私が感じていた気持ちだ。何ヶ月も涙が自然と溢れ続けたんだ。」
結局、MY DYING BRIDE のあまりに長く、思索を誘う悲嘆のセレナーデは現実という葬儀の行進を彩る葬送曲です。Andrew によると、「悲惨な楽曲は現実の生活に対処するための準備でありカモフラージュ」なのですから。
MY DYING BRIDE は Peaceville Records と最も長く契約したバンドでしたが、”The Ghost of Orion” で袂を分かち Nuclear Blast と新たに絆を結びました。
「Peaceville を離れたのは時間が理由だったと思う。彼らは私たちのために出来得る限り全てをしてくれたし、完全なる芸術的自由を与えてくれたね。だけど私たちはもっと多くのものを提供したかったし、コミュニティーにおける存在感もさらに高められると感じていたんだ。Peaceville はその渇望を満たすことが出来なかった。Nuclear Blast ほどの巨大なレーベルなら実現が可能だからね。
新たなレーベルと契約し、新たなメンバーを加えて、私は MY DYING BRIDE が蘇ったように感じているんだ。新鮮な空気を吸い込みセカンドチャンスが与えられたようにね。”The Ghost of Orion” は最高傑作に仕上がったと思うし、再びエネルギーを充填して、より大きく、より素晴らしい音楽を生み出すバンドを目指していくんだよ。」

“The Ghost of Orion” は MY DYING BRIDE 史上最もキャッチーでアクセシブルだとメンバー、リスナー、評論家全てが評しています。その変化は存在感を高めるため?それともレーベルの影響?もしくは娘の回復が理由でしょうか?
「全ては意図的に行われた変化だよ。Peaceville 時代の後期からすでによりレイドバックした “イージーリスニング” なアプローチは検討されていたんだ。過去の私たちがそうであったように、若いころは強い印象を与えようとするからね。私たちも4回リフを繰り返して自然に他のパートへ移行する代わりに、ただ驚かせるためだけに同じリフを7回半ひたすらプレイしたりしていた。技術的に優れていることも証明したかったんだと思う。だけど、それはもう過去にやったことだ。今は何も証明する必要もない。
だからこのアルバムにはギターとボーカルのハーモニーがたっぷり含まれているんだ。ダブル、トリプル、時には4重にも重ねてね。さらにコーラスも存分に取り入れて聖歌隊の雰囲気を与えたよ。
ただ、あくまで MY DYING BRIDE 流のコマーシャルさ。だってシングル曲 “The Old Earth” にしたって10分あるんだからね。一般的なコマーシャルとはかけ離れている。それでも、耳に優しいのは確かなようだ。メタルに詳しくない友人が “Your Broken Shore” を褒めてくれたのは嬉しかったよ。つまり新たなファンを獲得しているってことさ。
もちろん、リッチなコーラスに不満を言うファンはいるだろう。でも私たちは新たなチャレンジを楽しみ、前へと進んでいるんだからね。」

新たな挑戦と言えば、チェロ奏者 Jo Quail と WARDRUNA の女性ボーカル Lindy-Fay Hella がゲスト参加しています。チェロはバンド史上初、女声も “34.788%…Complete” 以来初の試みです。
「アルバムを制作していくうち、特別な作品へ発展していることに気づいたんだ。それで私たちだけで仕上げるよりも、他の質の高いミュージシャンを加えて最高のアルバムに仕上げるべきだと思ったのさ。真に際立った2人の女性が、その才能で素晴らしいパートを加えてくれたんだよ。」
今や様々な分野のアーティストに影響を与える立場となった MY DYING BRIDE。では Aaron Stainthorpe その人はどういった芸術家からインスピレーションを受けているのでしょうか? CANDLEMASS と CELTIC FROST は彼にとっての二大メタルバンドです。
「”Nightfall” の暗闇は私の中で生き続けるだろうね!実に巧みに設計されていて、最初から最後まで過失のないレコードだよ。特にボーカルがね。CELTIC FROST なら “Into The Pandemonium” だよ。このバンドが支配するアンビエンスと真の狂気は私にとって純粋に詩的なんだよ。アートワークも素晴らしいよね。」
同時に DEPECHE MODE と DEAD CAN DANCE も当然彼の一部です。
「DEPECHE MODE を愛するメタルヘッドは決して少なくないよ。だって終わりのない落胆と陰鬱が存在するからね。私はアルバムだけじゃなく、12インチ7インチを出来る限り購入していたね。ファンクラブのメンバーにも入っていたくらいだから。
DEAD CAN DANCE で私が最初に聴いた CD は “The Serpents Egg” で、これは長年にわたって個人的なお気に入りなんだ。新しい歌詞や詩を書きたい時に聴きたくなるね。 モダンで厳格な心持ちから、望んでいる温かく創造的な雰囲気に変化させてくれる。このLPは、そうして “言葉の食欲” が落ち着くまで繰り返されるわけさ。」
さらには SWANS まで。「Michael Gira の心は複雑で、その創造的な成果は特に SWANSに現れている。Michael の提供する複雑なリリックと楽曲は、時に不快だけど喜びで価値があるものだ。何が起こっているのかわからないけど、魅力的で戸惑うほど美しい。」

そうした Aaron の才能はいつか小説や映画を生み出すのかもしれません。
「いつか映画を撮るかもしれないね。大きな映画館じゃ上映されないような作品さ。2020年のベストフィルムは “The Lighthouse” だよ。4K やフルカラーで撮影されなければ映画じゃないように思われているかもしれないけど、実際はそうじゃない。」
今年はバンドにとって3枚目のアルバム、マイルストーン “The Angel and The Dark River” の25周年です。興味深いことに、名曲 “The Cry of Mankind” は僅か2時間半で全てが完成した楽曲です。
「Calvin が適当にギターを触っていて、残りのメンバーは無駄話をしていた。でも彼のフレーズの何かが私たちの耳を捉えたんだ。そこから全員で一気呵成に仕上げていったね。こうやって自然と出てくる曲はそれほど多くはないよ。通常は誰かが「私に3つのリフがある。さあここから他の楽器で装飾し楽曲を作ろう」って感じだから、何もないところから作られて絶対的なリスナーのお気に入りになったのは最高だよ。ファンがその曲を愛しているんだから、すべてのギグで演奏しなければならないと思う。」
Aaron と Andrew は唯一のオリジナルメンバーで、その付き合いは30年を超えています。
「私たちは老夫婦のようなものさ。 両方とも同じものを望んでいる。それに私だけがオリジナルメンバーではないのが嬉しいんだよ。親愛なる人生のために、他の誰かがまだそこに留まっているのは素晴らしいことだからね。 もし Andrew が辞めたら、私もタオルを投げるだろうな。彼も同様のことを言っているがね。なぜなら私たちは自分からは辞めると言いたくないんだよ。だから長く続くかもしれないね!私はまだもう10年は続けられると思う。」

PERFECT GUIDE TO MY DYING BRIDE

“AS THE FLOWERS WITHERS” (1992)

MY DYING BRIDE 初のフルレングスは、シンフォニックなイントロダクションでその幕を開けます。たしかに、”Sear Me” で披露するシンセサイザーとヴァイオリンの響きはギターと仄暗きバロックのポリフォニーを形成し、後の耽美なゴシックサウンドを予感させますが、それでもアルバムを通して登場する性急な場面転換や破壊的な突進、響き渡る Aaron のグロウルを聴けば、枯花が最もオールドスクールデスメタルの影響下にあるレコードで未だサウンドを模索中のようにも思えます。
バンドのアイデンティティーを司るヴァイオリン/キーボードの Martin Powell もセッションミュージシャン扱い。それでも、実験性やメロディーに輝きは散りばめられ、疾走する “The Forever People” は今でもファンから愛される佳曲です。

“TURN LOOSE THE SWANS” (1993)

プレイボタンをおして9分30秒間、ディストーションギターが登場しないメタルレコードがいったい何枚存在するでしょうか? しかし、その事実こそ MY DYING BRIDE が自らの陰鬱耽美なゴシックドームを確立した証でした。
“Sear Me” の再考と “Black God” は、魂のナレーション、ピアノとヴァイオリンで構築されたゴシックアンビエントのブックエンドとして、漆黒の迷宮に残された微かなセーブポイント。
残りの楽曲は深い森に潜む底なしの洞窟、絶望のダンジョン。ただし、リスナーは何度も探索を重ねるうちその立ち昇る死の妖気、重鬱なギターの責め苦にさながらマゾヒストの出で立ちで魅了されていくのです。
中でも、”Your River” の協和と不協和、旋律と非旋律、奇数と偶数で組み立てられたゴシック建築のドゥームは圧倒的に不気味を極めた狂気でしょう。
ゴシックエレメントが勃興し、ノンメタルな Martin Powell の存在感、プログレッシブとも表現可能な実験性が増したにもかかわらず、”TURN LOOSE THE SWANS” は死と運命に両足を埋めてています。

“THE ANGEL AND THE DARK RIVER” (1995)

ゴシックドゥームの最高到達点。Aaron がデスグロウルを棄て去り、Martin のヴァイオリンと鍵盤のアレンジが際立つ作品で MY DYING BRIDE はその陰鬱な美の皮肉を完成させました。
インスピレーションの源は、地元ノースイングランドの城、霧、冷気。バンドにとって最も重要な楽曲の一つ、”The Cry of Mankind” はまさにそのサウンドスケープを体現します。
Aaron はこの楽曲について、「宗教に疑問を呈する楽曲。より高次元な精神的存在について歌っている。忘れられないメロディーが楽曲のほぼ全体を支配して、君たちの魂を誘う。君たちを迎えに行き、熟考と誠実な考えの場所に運ぶんだ。 」と語ります。
曇天に鳴り響く孤独なフォグホーン、反復の中毒的ギターリフ、バリトンボイスの洗脳。一方で、”A Sea to Suffer In” の重厚なリフと劇的なテンポチェンジは、ヴァイオリンの美麗と重なり英国のロマンを運びます。
イングランドのトラッドフォークを苦痛と寒さで歪ませた “Two Winters Only” は全ディスコグラフィー中でも Aaron のフェイバリットソングですが、驚くべきことにこの楽曲は彼がいつか子供を持ち難病で失うという当時の予感をしたためたものでした。ライブでは歌わないと決めているそう。

“LIKE GODS OF THE SUN” (1996)

“For My Fallen Angel” の哀れで落胆したシェイクスピアのスポークンワード、青々として美しいマイナーなコード進行、悲しげなバイオリン。実存的な恐怖、憂鬱、孤独を運ぶレクイエムは、アクセシブルな音の葉を増し、後の量産的なゴシックメタルに接近する危険を打ち払う救世曲でした。
この楽曲について Aaron は、「恋人を失うことは悲劇の中でも群を抜いて悲愴だ。だからこそ、私たちは MY DYING BRIDE と名乗っているんだろうな。人生の残りを一緒に過ごしたかったという希望は冷酷に彼らの人生から永遠に取り除かれようとしている。願わくば涙を流すために肩を貸せる友人や家族がいればいいんだけど。」 とバンドのアイデンティティーであることを表明しています。
Martin と Rick にとって最後のレコードとなった事実はある種の啓示でしょうか。実際、アポロンの恩恵を受けたアクセシブルでキャッチーなレコードは、以前のめくるめく壮大さや狂気の実験性をいささか欠いているようにも思えます。
それでも、今でもセットに不可欠な “A Kiss To Remember” は象徴的ですが、アルバムのテーマである罪、官能、罪悪感、抑圧された欲望を物語る美しく、暗く、悲しく、ヘヴィーな MY DYING BRIDE イズムは、単調な反復の中にも蠢いています。Aaron のフェイバリットレコードの一つだそう。

“34.788%…COMPLETE” (1998)

KORN の “Follow the Leader” と同年にリリースされた MY DYING BRIDE のレコードは、ヴァイオリンの不在も相まっておそらく多くのファンにとって悪夢でした。悪名高い “Heroin Chic” を筆頭に、Nu-metal や Aaron が敬愛する PORTISHEAD がしたためた耽美とは程遠い無節操な世界観が広がります。
ブレードランナーにインスパイアされたオープナー “The Whore、The Cook and the Mother” や “Under Your Wings and Into Your Arms” といった楽曲は以前のファンにもアピールする可能性を秘めますが、それでも以前の悪夢とは一線を画す、このガラスを引っ掻くようなリアルな不快の波、無機質な電子の攻勢に魅了されるリスナーは多くはないでしょう。ただし、実験>停滞を掲げる向きにとっては必ず一聴の価値はあるはずです。

“THE LIGHT AT THE END OF THE WORLD” (1999)

34.778%の無残な実験失敗の後、ギタリスト Calvin Robertshow を “追放” したバンドは世紀末に灯す仄かな光で “帰還” を果たします。ヴァイオリンの欠如は別として、6年ぶりにグロウルを復活させた Aaron の目的は白鳥の魔法を取り戻すことだったのかも知れませんね。
実際、全ての魔法を思い出した訳ではないでしょうが、”Heroin Chic” を大惨事と捉えた向きには歓迎の方針転換だったはずです。
幻想的でアンビエントな “She is the Dark” は今でもファンのトップ10リストに入る佳曲ですし、オリエンタルなエピック “Edenbeast” もリスナーのインスピレーションを刺激します。
孤独な生涯に一筋の愛を見出すタイトルトラックは安っぽい感動とは無縁の壮大なモノクロームフィルム。そうしてバンドは “Sear Me III” でゴシックの古典を再訪しトリロジーを終わらせました。「”Sear Me” で探求したのは生涯において純粋で完全に征服される愛を見つけること。そうやってソウルメイトが見つかり、運命と永遠が綴られていることを知ると、涙が自然に零れ落ちるんだよ。」
キーボードは BAL-SAGOTH の Johnny Maudling が担当。

“THE DREADFUL HOURS” (2001)

“The Return of the Beautiful” で古美への再訪が実現したように、”As the Flower Withers” 以来最もヘヴィーな楽曲が収録されたレコードかも知れません。特に、オープニングの三連撃は強烈です。
緩やかに幕を開けるタイトルトラックのクリーンギターはいつしか濃密なグルーヴを携えたドゥームの神殿へと到達します。
Aaron の激情と静謐が最も際立つアルバムにおいて、”The Raven and The Roses” の流麗なピアノセクションから “My fucking god is my want” と全ての感情を解放するクライマックスの対比は群を抜いています。そうして印象的なメロディーの残り香は “My Hope The Destroyer” へと引き継がれるのです。ポストパンキッシュなリズムセクションと重厚なメロディーの調和が意味深な “La Figlie Della Tempesta” も白眉。

“SONGS OF DARKNESS, WORDS OF LIGHT” (2004)

キーボード奏者の Sarah Stanton, ギタリスト Hamish Glencross が加入し再度バンドとしての足固めが行われた作品です。
不気味に迫り来る闘いのリズムと Aaron の鬼気迫る唸り声でスタートする “Wreckage of My Flesh” の絶望感、魂の喪失は圧倒的。Sarah の加入を告げながら鳴り響く教会のオルガンがメランコリーなギターの旋律へと浸透を始めると、リスナーの背筋は悪寒に震えるでしょう。抑鬱された審美と重量感のバランスは際立ち、荘厳の丘で黒の信徒は届かぬ祈りを捧げます。
メロトロンの導入で不気味なムードを加速させる “The Scalet Garden”、さながらドゥーム版月下の夜想曲 “The Prize of Beauty” など新たな鍵盤奏者が魔法をもたらしたレコードでしょう。

“A LINE OF DEATHLESS KINGS” (2006)

シンプル&アクセシブルという観点で見れば、時に “Like Gods of the Sun” を想起させる作品かもしれません。アルバムは実に力強く始まります。ダークでヘヴィなリフの応酬、クリーンとグロウルを股にかけるボーカリゼーション、そしてコーラスを携えた美麗なメロディーモチーフ。感情と音楽スタイルの両方を多分に網羅しながら、わずか6分で簡潔に描写した “To Remain Tombless”はアルバムの明らかなハイライトです。
トレードマークのハーモナイズされたギターと、暗い叙情的なシンセサウンドが交差する “Thy Raven Wings” も傑出しています。

“FOR LIES I SIRE” (2009)

ファンの望む MY DYING BRIDE が完全に帰還したレコードかも知れません。13年ぶりにヴァイオリン奏者が戻り、耽美の設計図は再び完成をみます。
Katie Stone はそのストリングだけでなく、鍵盤でも Martin Powell の幻影を追いかけます。事実、荒廃した音世界に降り注ぐ耽美なギターハーモニー、シンプルでしかし耳を惹くボーカルライン、そして流麗なヴァイオリンのアクセントと MY DYING BRIDE に求める全てを内包したオープナー “My Body, A Funeral” は絶佳のオープナーにしてハイライトでしょう。
Aaron はこの作品について 「おそらく確かなことだが、我々がこれまで作った作品で最も陰鬱だろう。」 と語っています。その判断は各リスナーに委ねられるはずですが、呪詛とデスメタルの不穏で構成された “A Chapter in Loathing” の漆黒は明らかにもう一つのハイライトです。

“A MAP OF ALL OUR FAILURES” (2012)

本編にも記した通り、Aaron は意外なほどに野心家です。ヴァイオリンを取り戻したことも、ある程度はより大きな成功を見据えた結果であるはずです。そうして、彼の野心はデビュー作から20年を経て新たなマイルストーンを打ち立てました。デスメタルの邪悪、ゴシック様式の耽美、Aaron の反復する虚無声、そして新たに加わった Shawn Macgowan のヴァイオリン。ここには死にゆく花嫁の旅路全てが詰まっているのですから。さらに、名作 “The Angel&The Dark River” で多少フラットに思えた鍵盤の響きはより立体感を増して、現代的なサウンドを提供しています。
「昔ながらのやり方で新たなライティングスタイルを模索した。」と前作から加入したベーシスト Lena Abe は語っていますがまさに言い得て妙なのかも知れませんね。
タイトルトラックは実に陰鬱。「肉体的にも精神的にも崩壊を迎える楽曲。私たちのほとんどが経験するだろうことだからこそ、チャレンジングだ。つまり “苦い終わり” だよ。どこかでベッドに一人横たわり、もう何も理解することさえできないかもしれないね。 大きな鎌を持った黒い男が角を曲がり近づいてくる。しばらく一緒に座って…」

“FEEL THE MISERY” (2015)

“34.778%” 以来初めて Calvin Robertshow がバンドに復帰。ただし Hamish が去った世界線でメインソングライターは Andrew が務めます。奇しくも “The Light at the End of the World” とは逆の状況となりましたが、当時よりも Andrew は随分上手く対応したように思えます。
リフドライブとギターハーモニーの狭間で Aaron の原始的なボーカルが映えるオープナー “And My Father Left Forever” は典型的な MDB のやり方。ピアノとオルガンでヴィンテージな色合いを醸し出すタイトルトラックでは Shawn の存在感が際立ちます。
もちろん、”Within a Sleeping Forest” で聴くことのできるヴァイオリンとギターの相互作用はバンドのトレードマーク。”I Almost Loved You” では失われた恋愛を歌います。「ちょっとした誤解と勇気のなさで別々の道を歩んでしまうことは、誰にだって起こり得る。時には不器用な純朴さよりも、大胆に抱き寄せてキスを奪うことだって必要かもね。」近年でも彼らは佳作を連発しています。

“THE GHOST OF ORION” (2020)

新たなクラッシックにして新たな時代の幕開け。チェロとヴァイオリンの二重奏を携えながらアルバムは芸術に振れすぎず、非常に洗練されたサウンドを誇ります。
娘の闘病に着きそう Aaron。突然説明もなしにバンドを再度辞めた Calvin、ドラマー Shaun Taylor-Steelsもスタジオに入る直前離脱。ベーシストの Lena Abe は産休。故にギタリスト Andrew にアイデアを相談する相手はおらず、アルバムはほぼ彼単独で書かれました。にもかかわらず、結果は驚くべきものでした。ただしいつもとは若干その音景色が異なります。
もちろん、バンドはまだ悲惨なドゥームを演奏していますが、Aaron が語ったようにアクセシブルで “耳に優しい” 音の葉を目標としたのは確かです。とはいえ、メインストリームに接近したわけでは当然なく、アルバムはそれでも地獄のように重く、ブラックホールのように暗く、ドゥームの憂鬱に浸っています。
緩やかな楽曲は耳を惹く音の葉の宝庫です。”The Solace” は、WARDRUNA のゲストスター Lindy-Fay Hella の風変わりで抑圧的で、しかし印象的なフォークインスパイアなボーカルが牽引します。”Tired of Tears” の肉感的でシャープな Jeff Singer の現代的ドラムパフォーマンスも聴きどころの一つでしょう。
タイトルトラック “The Ghost Of Orion” から “The Old Earth” の15分でバンドはゴシックドゥームの真髄を語ります。クリーンギターのプレリュードに始まり、巧妙で耽美なリード、アーロンの落ち着いた低音が散りばめられていきます。そうしてクラッシックな MDBのリフワークは Aaron の肺を引き裂く悲鳴とともに重厚なミドルセクションへと誘います。そうしてエンディングでは、ヴァイオリンとギターがせめぎ合うクレッシェンドの魔法を古の地球に描くのです。
悲劇とストレスの鎮座する制作環境はむしろ悲劇を描くバンドにとっては正の要素だったのかも知れません。これは死にゆく花嫁の新たな旅立ちであり、新たな金字塔です。

参考文献:INVISIBLE ORANGE:Pressing Forward: My Dying Bride’s Aaron Stainthorpe Talks “The Ghost of Orion” and the Trials of Life 

METAL INJECTION:MY DYING BRIDE’s Aaron Stainthorpe: The Artists That Made Me

STEREOBOARD:Tired Of Tears: How My Dying Bride Overcame Adversity To Make ‘The Ghost Of Orion’

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NOVENA : ELEVENTH HOUR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HARRISON WHITE OF NOVENA !!

“We Felt That Ross & Gareth, The Two Tones They Created Were Distinct, Rich And Balanced Each Other Out Nicely. It Really Gave Us a Wide Palette Of Colours To Paint With On This Album. We Love Playing With That Duality Of Light/Dark, Fragile/Destructive etc.”

DISC REVIEW “ELEVENTH HOUR”

「僕たちはあらゆる種類の音楽が大好きだからね。どのジャンルが何であるかは僕たちにとってそれほど重要ではないんだよ。すべての音楽に価値があると信じているからね。」
HAKEN, SLICE THE CAKE, THE HAARP MACHINE, RAVENFACE, SLUGDGE, そして BLEEDING OATH。21世紀のプログレッシブ世界において最重要と言える綺羅星の住人が集結した NOVENA は文字通りのスーパーグループです。そうして彼らが創り上げたデビューフル “Eleventh Hour” は、その多様性と劇場感、旋律の煌めきで10年代最高峰のモダンプログ作品となった HAKEN の “The Mountain” と同等のエピックワールドを宿していたのです。
「死は僕たち全員をつなぐものだけど、それについて話すことはしばしば非常に難しいようにも感じられる。ただし、この作品が不健全で悲観的なレコードになることは望んでいなかったんだ。僕たちの本当の目的は、人生で最後の章に入った人々のストーリーを取り上げ、彼らの経験がどのようなものかを探ることだったからね。」
“Eleventh Hour”, 23時とは、人生を24時間に例えたライフクロックにおける残り1時間、まさに終焉の刻。その僅かな時間の光度や色彩、流速はきっと千差万別でしょう。NOVENA はそんな終幕の舞台を73分、10の顔で演じきり、単色に思われた悲壮な死のイメージをカラフルに塗り替えて見せたのです。
「Ross と Gareth、ボーカルの2人が NOVENA で創造した2つのトーンは明確で、豊かで、 互いにバランスが取れていたんだ。このアルバムにペイントする色彩豊かなパレットを提供してくれたんだよ。つまり僕たちは、明/暗、脆弱/破壊といった二重性をプレイするのが大好きなんだ。」
モダンプログ世界において、LEPROUS の Einar Solberg と共にエセリアルを一手に引き受ける Ross Jennings の存在により、たしかに NOVENA と HAKEN の比較は避けがたいものとなっています。しかし、声の片翼に SLICE THE CAKE の鬼才 Gareth Manson を配置することで、NOVENA の可能性はエピックの空高く舞い上がることとなりました。
その NOVENA の独自性を証明するのが、ジャズの深淵を探求した “Sail Away” からシアトリカル極まる “Lucidity” への流れでしょうか。時の流れをしめやかに紡ぐ Ross の美麗の一方で、激烈なグロウルからクリーントーンのコーラス、そして感情を湛えるスポークンワードまで多様に演ずる Gareth の才気は完璧なコントラストを運び、まさに死を眼前に見据える複雑な明と暗、穏と激を見事に描写します。
そうして芽生えたダイナミズムの炎は、”Corazon” でエスニックに燃え上がります。「単なる断片的な音楽じゃなく、物語を語り ‘楽曲’ を書くことは、作曲の過程が常に重要であり、僕はそのストーリーの伝達に最も役立つと思われるあらゆるツールを試して使用したいと思っているんだ。だからキューバの2人のキャラクターを追った “Corazon” のような楽曲の場合、そのストーリーを伝えるにはその国の音を含める必要があると感じたんだよ。」
フラメンコからボレロにルンバ、女声にハンドクラップまで、Harrison の言葉通りあらゆるツールを使用してドラマティックに構成した8分のカリブ劇場は、あまりにエモーショナルで胸を打ちます。
もちろん、”Indestructible” で見せるポップとデスコア、言わば STYX と WHITECHAPEL の共存は実に新鮮ですし、DREAM THEATER と Djent をメズマライズに並列に並べた15分を超えるクローサーの “Prison Walls” も見事の一言。
今回弊誌では、Harrison White にインタビューを行うことが出来ました。「Djent の定義? アートフォームの先駆者が客観的な意味で独自のスタイルを定義することはほとんどないんだから。そういった議論は後に人々が振り返り、その周りで起こった流れの文脈の中でアートを見て、物事を分類し始めるときに起こるんだよ。」 すでにシーンの同胞から絶賛を浴びている本作。プログメタル世界随一の変態ベーシスト Moat にも要注目。どうぞ!!

NOVENA “ELEVENTH HOUR” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HELMS ALEE : NOCTILUCA】JAPAN TOUR 2020 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HOZOJI MATHESON-MARGULLIS OF HELMS ALEE !!

“And These Days, Pretty Much Every Single One Of My Best Female Friends Is An Extremely Talented And Active Musician. Many Of Them Play In Heavy Rock Bands. So The Feeling Of Imbalance Is Shifting To An Equilibrium In My World. I Can Say With Confidence That I Feel Accepted And Valued By The Male Musicians In My Community.”

DISC REVIEW “NOCTILUCA”

「”Noctiluca” とは特定の生物発光藻類のラテン語訳で、一般的に “海の輝き” として知られているの。」
海の輝きが “Noctiluca” ならば、HELMS ALEE はさしずめ重の輝きでしょう。彼らがシアトル特有の、深憂なレンズを通して支配する時間と空間。それはまるで深海のごとく暗闇に囲まれながら、差し込む光線に反射する艶やかな色彩、そして栄養価の高い深層音を備えているのですから。
比較の対象はもっぱら MELVINS, KYLESA, BIG BUSINESS でしょうか。もちろん、スラッジーなリフの猛攻とノイジーな実験のラボラトリーは HELMS ALEE のトレードマークですが、同時にリズムのトリックに重きを置いたセクシーなアプローチを考慮すれば、一方でこの海洋トライアングルこそコンテンポラリーな RUSH と言えるのかも知れませんね。
「このアルバムのために私たちは、これまで以上にボーカルのコラボレートを進めたわ。それに今回のプロデューサー/エンジニア (R.E.M. を手がけた Sam Bell) はとてもボーカルに心血を注ぐ人物だったの。」
3つの異なる声を持つ HELMS ALEE。ベースの Dana James, ドラムスの Hozoji Matheson-Margullis, そして青一点ギターの Ben Verellen が織りなすボーカルの輪舞は、さながらウミウシのごとく柔軟性と色彩を纏った “Noctiluca” において完全に花開き、重の輝きを一際煌びやかに染めました。
「私は海とそこに住んでいる微生物こそが、私たち人間の日常に見られるよりも生命があることを思い出させてくれると思うのよ。人間の行動や日々の政治を観察すると悲しくなりがちだから。」
Hozoji にとって生物発光藻のビーカーこそがランプであり、灯台の光です。マジカルで神秘的で、仄暗い現代社会に光をもたらす微かな希望。そしてそのイメージは確かに “Noctiluca” の音の葉へと反映されているのです。
“Interachnid” のオープニングはさながら海底火山の目覚めでしょうか。ダイナミック極まるマグマのリズムは、RUSSIAN CIRCLES の最新作にも似て圧倒的な命の躍動を伝えます。フレキシブルに、フリーダムに、イカの虹色のごとく刻々とその表情を変える Hozoji と Dana のシンクロニシティーは、まさしく HELMS ALEE の心臓。一方、続く “Beat Up” でわずか半音の違いを駆使してメジャーとマイナーを不思議に行き来する Ben のギターワークは頭脳なのかも知れませんね。
メタルからハードコア、スラッジ、グランジ、プログレッシブの狭間を漂う海月たちは、そうしてバリトンからソプラノまで時に独唱し、時に合唱し、感情の揺らぎを響かせます。”Spider Jar” で聴かせる荘厳のタペストリーは、その輝きに歌心を加えた HELMS ALEE の現在を如実に伝えています。
「私たちの音楽はライブセッティングでこそ最高の印象を与えるようなものなのよ。なぜなら、ライブパフォーマンスにおける多くの感情の力によって、私たちの歌が意図した通りになっていくと信じているからなの。」
4月に始まる日本ツアーの招聘元、Daymare Recordings 濱田氏が放った 「ライヴを観る前と観た後で決定的に印象が変わるバンド」 の言葉を受けて、Hozoji はライブハウスでバンド、そしてオーディエンスから生じ対流する感情の力をキーワードにあげました。そしてその幾層にも重なるエモーションの潮目は、Endon, alley, BB を巻き込んで一つの大きなうねりを創造するはずです。
今回弊誌では、Hozoji Matheson-Margullis にインタビューを行うことができました。「最近では、ほとんどの女性の親友一人一人が非常に才能があり活動的なミュージシャンなの。彼女たちの多くはヘヴィーロックバンドで演奏しているわ。だから、不均衡の感覚は少なくとも私の世界においては均衡へと移行しているの。私は自分のコミュニティの男性ミュージシャンに受け入れられ、評価されていると自信を持って言うことができるから。」
これまでの女性アーティストはまた一味違った視点、経験を持つミュージシャンでしょう。どうぞ!!

HELMS ALEE “NOCTILUCA” : 9.9/10

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COVER STORY 【MARIUSZ LEWANDOWSKI: GUIDE TO MODERN METAL ARTWORK】


COVER STORY: MARIUSZ LEWANDOWSKI

“Capturing Emotions In a Painting Is Similar To Showing Depth And Light. If It Is Not There, If It Is Missing, The Art Is Simply Flat And It Does Not Look Good”

「絵画で感情を捉えることは、奥行きと光を示すことに似ているね。それらが存在しない場合、欠落している場合、芸術は単純に平面的で見栄えが悪くなってしまう。」
BLACK SABBATH, LED ZEPPELIN, DEEP PURPLE といったクラッシックロックの伝説は、Klaus Schulze, Jean-Michel Jarre, VANGELIS など電子音楽の先駆者たちと同様に若き Mariusz Lewandowski にとって音の灯台となりました。
現在59歳、ポーランド生まれのペインターはそうして初期 GENESIS, PINK FLOYD, TRANSATLANTIC、さらには YES, DREAM THEATER, TANGERIN DREAM までプログレッシブロックの音の葉まで創造という航海の波しるべとしたのです。音楽は常に Mariusz の情熱の炎であり、筆を導くインスピレーションの源でもありました。
「私はワイドで独創的、境界のない音楽を愛している。息を呑むような音楽さ。そして私の探している芸術世界へ誘ってくれるようなね。」
Mariusz の言葉はそのまま自身のボーダレスかつイマジネーティブなアートの樹を具現化しています。
「メタルへ導いてくれたのは BELL WITCH だった。2017年にリリースされた彼らの最新作 “Mirror Reaper” でグラフィックを描いてくれないかとオファーをくれてね。興奮したよ!それまでミュージシャンのために絵を描いたことがなかったからね。私にとって転機であり、大きな挑戦となったね。音楽的に素晴らしいアルバムだよ。しばしば聴き返すんだけど、今でも鳥肌が立つね。音楽とそのアートワークの間に生じるケミストリーを心底感じるね。
後に音楽業界も “Mirror Reaper” を非常に高く評価することになった。私もこういったメタルのスタイルについて再度学び始めたんだ。そうして PSYCROPTIC, EREMIT, FALASE といった他のチームからもオファーが届くこととなったんだ。」
メタル世界に住む多くの住人にとっても、BELL WITCH の作品が Mariusz とのファーストコンタクトだったはずです。そうして瞬時に、彼の放つ創造的な悪夢はバンドのみならず多くのファンを魅了していったのです。2018年 Mariusz にとって文字通りビッグイヤーとなりました。

ドゥームスラッジャー SHRINE OF THE SERPENT, スラッシュタイタン SEPULCHER, デスメタルの新鋭 ROGGA JOHANSSON に CARDIAC RAPTURE。Marusz の情熱は様々なサブジャンルから津波のようなオファーへと繋がりました。
「バンドは直接メールで、Facebook で、ウェブサイトで連絡を取ることが可能だよ。特定のバンドのためにアートを製作する場合、言葉よりも芸術家同士のテレパシーでコミュニケーションを取るんだ。もちろん、バンドが主役だよ。素晴らしい音楽を作っているのは彼らだからね。私はそれを色でドレスアップするだけだよ。それでも、賛辞を受ければ嬉しいけどね。彼らの知的で刺激的なテーマにはとてもインスパイアされるよ。
SHRINE OF THE SERPENTS, ROGGA JOHANSSON の場合は私の膨大なギャラリーから彼らがアートを選んでくれたんだ。このシチュエーションならばすぐにプロジェクトを完成させることが出来るから、便利なソリューションではあるよね。
基本的にはデジタルでライセンスを販売している。オリジナルの絵は僕の手元にとどまるけど、バンドは自由にCD, ヴァイナル、ポスターへと使用することが出来るんだ。だけど、 PSYCROPTIC のようにオリジナルまで購入してくれる人たちもいる。たしかによりコストはかかるけど、フィジカルに特別な価値を見出してくれているんだろうね。」
ただし、絵画の制作中流れる音楽はメタルだけとは限りません。
「メタルは出来る限りラウドに聴かれるべきだ。だから絵画の制作中に聴くには少し疲れすぎるんだ。ペイントの最中は心の平穏が必要だからね。だからエレクトロニカを聴くんだ。このスタイルの音楽なら大音量で聴く必要はないよ。そうして脳の想像を司る領域を活発にしてくれる。要は最高の作品を完成させられれば良いわけだからね。」
制作は静寂な夜に行われます。バンドの要望に没頭する時間と空間をもたらしてくれるから。
「私は夜しか絵を描かないんだ。誰にも邪魔されない確信と平穏が必要だからね。そしてバンドが託してくれた音楽で心を満たすだけではなく、哲学にも没頭しなければならないから。その2つを分けて考えることはできないから。」
Mariusz のほぼ全ての作品は超現実的で、幻想的で、シュールなホラーも入り混じります。その特徴は彼の代名詞とも言えるでしょう。ダークなキャラクター、遍在する死、退廃に大火。しかしそういった仄暗い絶望は Mariusz の人間性と世界観を反映しているわけではありません。
「実を言うと私は人生が大好きなんだ!決して私は黙示録の天使がラッパを鳴らすのを待っている苦難の生を歩んできたわけじゃないしね。ただ、死は人生にとって不可分だというメッセージには言及している。何千年もの間、教え込まれてきたネガティブな考え、自由を制限するバラストを投げ捨てることはとても難しいけどね。どのように生きるか、何を信じるかを伝えたくはないんだ。ただ鑑賞する人の自らの思考をあきらめないようにしたいだけなんだ。
例えば私は絵画に宗教のイメージを使用している。だけどそれは宗教的なメッセージを込めている訳じゃないんだよ。宗教がいかに私たちを追い詰め、人生を困難にしているのか示しているだけなんだ。」

Mariusz が命を吹き込んだ油絵を観察すれば、黙示録と宇宙の恐怖、不毛の世界、大変動、死神および単なる人間の理解を完全に超えた存在に焦点を当てていることに気づきます。さらに深く掘り下げればほぼすべての作品で、絵の下半分に孤独な人物が見つかります。何か恐ろしい存在、そびえ立つ一枚岩、または壊滅的な出来事を目撃する、寂しい人間の目撃者。
「私は未知の世界に魅了されている。まるで悪夢のように迫り来る遠い世界の厳しい風景さ。ただし死を切望する訳じゃなく、飼いならしているんだ。怖がってはいないよ。私の絵は、暗闇だけど、多くの楽観主義と希望があると言われたこともあるからね。」
絵画は Mariusz の生涯にわたる情熱であるだけでなく、彼の職業で生計のための手段でもあります。彼を駆り立て、満たしているもの。
「絵画は私の情熱を注ぐものであり、愛する妻と一緒に仕事としているものだけど、それはオフィスワークとはまったく異なる性質を持っている。まったく異なる2つの世界だよ。
私の次の情熱は、村の土地に夢の家を建てること。私が大好きな自然に囲まれた場所。最終的にワークショップと無数の樹木、鳥、野生動物、魚、そして美しく歌うカエルが溢れることになる。」
それぞれの作品には苦労と膨大な時間が注がれていますが、筆を握るまさにその人には報われるべき個人的な満足と楽しみが存在します。それが得られない場合は?
「自由に創作できなければ絵を描くべきじゃないよ。」
バンドと折り合わず契約を解消したこともありました。
ただし Mariusz は非常に謙虚なクリエイターです。彼の言葉を借りれば有名人の魂を持つ人ではありません。言葉ではなく絵で物語を語るのです。また、彼は自分のアートを他人に押し付けることも好みません。
「Zdzislaw Beksinski がかつて言ったように、隅に座っていても、実力があれば世界はあなたを見つけることになる、だよ。傲慢に自分のアートを押し付けてはいけないよ。」
作品を押し付けないという精神。つまり Mariusz からアーティストにアプローチすることはありません。彼は彼の芸術を使いたいバンドと人々からのオファーを受けるだけです。
「敬愛する DREAM THEATER や RIVERSIDE にだって手紙を書いたことはないよ。でもいつか、成長して彼らと話し、自分のアートを見てもらう日が来るかもね。」
Hipgnosis, Roger Dean, H.R.Giger。その音楽の時代を象徴するアートワークの創造主はいつの時代も存在していました。そして、2010年代後半に芽吹いた Mariusz とメタルの融合は間違いなく2020年代を牽引していくはずです。

BELL WITCH “MIRROR REAPER”

全てはこの傑作から始まりました。アートワークはある意味このレコードの全てです。BELL WITCH は2015年に、Adrien Guerra を36歳の若さで悲劇的に失いました。
「Adrian は何年間も僕の親友だったんだけど、お互いに意見を違えて喧嘩をしてしまっていたんだ。同様に、新メンバーの Jesse と Adrian も仲の良い友達だったんだ。だから、Jesse と僕は彼の死の後、気持ちを整理する時間が必要だったのさ。
何ヶ月か経って、僕たちはレコードを完成させるため、新たな決意と共にライティングプロセスへ戻ったね。僕は二人共、Adrian と僕たち自身にとってこのレコードを本当に特別なものにしたいと思っていたと信じているよ。一生に一度のアルバムさ。」
フードを被った死の前兆は、滅びのように行進している人々の上へと不気味に迫っています。地獄の風景を映し出す鏡の中から覗き込みながら。鏡は背景の崖よりも高く聳え、蜘蛛の巣のような不気味な糸に支えられています。鏡を覗くと何が見えますか?自分?それとも地獄?
そうして Mariusz の絵画と BELL WITCH の音楽は、悲しみを完璧に封じ込めました。怒りという地獄の炎、恐怖という大死神、自己反射の鏡。悲しみの煙、孤独な炎、無気力な群衆。
一方では裏面に、愛する人が穏やか(月明かりの海)で、平和(白い旗)で自由(高翔する鳥)であれという希望を配しています。
それは愛する人の喪失に対処する魔法の芸術作品。ベース/ドラムスのドゥームデュオが投じた1曲83分の暗重なる叙事詩 “Mirror Reaper” は生と死を投影する難解なるあわせ鏡。Adrien Guerra へ捧げるトリビュートとしてその崇高なるメランコリー、哀しみの影を増しています。

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FALSE “PORTENT”

手前には、切り立った崖に集まる人々。その下には、溶岩、地獄の炎、硫黄煙の悪魔的な風景が広がります。まるでロードオブザリングのモルドール。しかし、この破滅の場面はモノリシックな死神によって支配されています。炉を覗きながら新たな力を引き出しているのか、新鮮な犠牲者を預けているのか。左手は鋭き鎌を握り、その刃の端は犠牲者の血で赤く染まっています。
死神の背後には巨大な暗闇の崖。霧に包まれながら巨大な白い旗を振る人間は、呪われた運命を受け入れると身を委ねます。目はくぼんでいて暗く、苦悶の表情を浮かべています。
アートワークは “Portent” に宿るヘヴィネスの象徴。レコードの包括的なテーマと感情を視覚的に表現します。暗闇を強調するだけでなく、焼け付くような赤や従順な白は軽薄さよりも、絶望、運命の必然性、破壊の感覚をもたらします。
そんな悲劇に直面して、創造性は痛みを和らげるでしょうか。悲しみに似た慰めは様々な形状を取るでしょう。そしてミネソタのブラックメタル FALSE の場合、その慰めはメロディックな構成の妙となりました。凶暴なリフとシンセ重視のアレンジはリリックの巧妙と相まって深みのあるブラックメタル世界を創造しました。

PSYCROPTIC “AS THE KINGDOM DROWNS”

ドゥームを思い起こさせる惨めな風景。巨大な割れ目が大地を分かち、炎の中に孤独な人影が残されました。燃えるような赤とオレンジ、息苦しいほど厚いグレーと黒の4色は作品に命を吹き込みます。
最も目を引くのは壮大な人型の苦痛です。腕は広く引き伸ばされ、肩からひどく引き裂かれ、骨から筋線維が引き裂かれています。その間、荒れ狂う業火は生き生きと燃え続け、人の顔が目の前で溶け出し、加えて融解した金がバンドのロゴから頭蓋骨に注がれ、骨を貫通しているようにも見えます。
“As the Kingdom Drowns”、王国が沈む時。アルバムタイトルはそのアートワーク、音楽性、そして “Deadlands”, “Beyond the Black” といった楽曲タイトルに裏付けられています。そのエピカルな風景は、無機質でストレートなテクニカルデスメタルから、GOJIRA のグルーヴやプログレッシブなサウンドスケープを組み込み始めたタスマニアデビルの変化の証なのかも知れませんね。

ATLANTEAN KODEX “THE COURSE OF EMPIRE”

ドイツのエピックドゥーム ATLANTEAN KODEX に提供したアートワークは、他の絵画とは少々異なりゴージャスです。実際、トラディショナルなメタルにしっかりと根付いた彼らの “壮大な” 瞬間は、これまでの悲嘆や苦痛の絵画にはフィットしなかったかもしれませんね。たしかに暗闇は存在し、仄暗い戦争の霧はアートを覆いますが、鮮烈なギターのハーモニーと同様に、最も注目を集める色はブライトに輝く金色です。
武器を抱え、誇らしげに掲げた旗で、Mariusz はかつての偉大な帝国を象徴しています。ストーリーが語るようにその栄光は輝かしいように見えますが、真実のイメージを覆い隠しています。帝国の本質。それは暴力、奴隷制、死。描かれた戦士たちには名前も顔もありませんし彼らが遭遇する恐怖、死傷者の姿もありません。つまり本来戦いの炎は決して美しくはありませんが、このアートは間違いなく美しいと言えます。

MIZMOR “CAIRN”

ポートランドに彷徨う独りブラック/ドゥームメタル MIZMOR の “Cairn” は2019年の秘宝でした。燃えさかるマントを纒い割れ目の前に鎮座する死神。対照的に崖の間際に立つ人の姿は絶望的に小さく見えます。対比の描写は強力なニヒリズムの感覚を引き出しますが、死神の手の中にある構造物はその感覚をより複雑に導きます。
電気のピラミッドは、知識、芸術、創造性を象徴するルーブル美術館のアートにも似ています。それは瓶の中の稲妻。努力する、保護する、そしておそらく苦しむ価値さえあるでしょう。
事実 “Cairn” は MIZMOR にとってニヒルな道標であるだけでなく、BELL WITCH の “Mirror Reaper” の合わせ鏡としてフューネラルドゥームというジャンルにおいて最高の芸術性と審美を湛えます。4曲57分の分離は不可能。神のいない孤独で荒れ果てた現実において無神論者の精神的目覚めから、喜びではなく人生の責任や重荷を受け入れることまで、リスナーは “Cairn” を自分自身の真の延長として完全に所有し受け入れなければならないのです。

ABIGAIL WILLIAMS “WALK BEYOND THE DARK”

ABIGAIL WILLIAMS の “Walk Beyond the Dark” はアートワーク、音楽の両方で2019年ベストブラックメタルの一つだと言えました。白きフードの死神は他のアートワークとは一線を画しています。炎もたしかに存在しますが、もっと暖かな輝きが溢れています。きっと人が佇む死神の洞窟は暖かさと休息の場所、勇気が安全で報われる場所。今回の “孤独な人” はこれまでほど弱々しくは見えません。ライオンの巣穴に入り、死神の中を慎重かつ勇敢に移動します。それはまるでABIGAIL WILLIAMS がリスナーに、彼らの素晴らしく壮大なレコードへと参加することを望んでいるように。
Sorceron は THE FACELESS を去りこの作品に没頭しました。彼の献身と努力も同時にアートワークのイメージに重なります。 アンビエンスとブラックメタルを組み合わせ、プログサイドも完璧に機能。そのオーラは神々しいまでに美しく花開きました。

ASTRAL ALTAR “A:.A:.”

苦悩の感覚は明白です。地獄のキノコ雲とその下に広がる火の雨は、憤怒、苦痛を強調しています。 荒廃は大きく、それでも全てのカオスと破壊の中、空飛ぶ残り火と荒れ果てた燃える大地の中には、落ち着き悠然としたシルエットの人物が見えます。 仕事に取り掛かる死神でしょうか? 静かに死者をふるいにかけているのでしょうか?何故だか不安感じさせる存在です。

ROGGA JOHANSSON “ENTRANCE TO THE OTHERWHERE”

この作品のアートワークは ATLANTEAN KODEX の状況に似ています。孤独な船、厳かな水流、そして帝国の建築物。まるで世界の末端を見ているかのようですが、船は徐々にそこから遠ざかっていきます。 どこから来て、どこにたどり着いたのでしょう?
アーチは強さの象徴で、グレコローマンの柱とそびえ立つ崖によってさらにモチーフは強力になりました。アーチの頂上には、角を吹くのを待つ大天使ガブリエルを連想させる大きな像がありますね。 旅と探検。 未知なるもの。 失われ忘れられた文明。思考を刺激する作品であり、方法は異なりますが、スタイルやコンセプトは他の Mariusz アートと共通しています。

XENOBIOTIC “MORDRAKE”

ABIGAIL WILLIAMS とは対照的に、苦痛の中に囚われた人影は暁に肩を落とします。本来太陽がある場所には、苦悶の表情が世界を照らし、剣を手にした苦痛の化身は顔を糸で覆われて全てを封じられ、まるで化身の血の涙が背景から流れ出しているようにも思えます。
2020年、まず名乗りを上げ節目の年のイメージを設定したのは彼ら。オーストラリアのデスディーラー XENOBIOTIC は、デスメタルとデスコアの方法論を組み合わせ、メロディー的に豊かでテクニカルでありながら、最上級に苦悶のサウンドを生み出すことに成功しました。エピックの灯火は非常にクリアなプロダクションを誘いメタルの未来を照らし出しているのです。

参考文献: KILLYOURSTEREO:Mariusz Lewandowski: the man behind the art

BANDCAMPHow Mariusz Lewandowski’s Epic, Emotive Paintings Made Him Metal’s Most In-Demand Artist

HEAVY BLOG IS HEAVY:A Gift To Artwork – Mariusz Lewandowski

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COVER STORY: AMON AMARTH

“Okay, So If Vikings Didn’t Have Horns On Their Helmets, Why Did We Have Them On Our Drum Riser? Amon Amarth Is a Show. It Makes For a Good Stage Prop To Have Horns, Even Though It’s Not Historically Accurate.”

JOHAN’S GUIDE TO VIKINGS & NORSE MYTHOLOGY

AMON AMARTH がヴァイキングの歴史、北欧神話、そして壮大な戦闘絵巻について書いた最初のメタルバンドという訳ではありません。それでもこのストックホルムの5人組は、世界で最もヴァイキングをイメージさせる雄々しき邪神です。
過去4半世紀にわたって、彼らはムーブメントの創始者でさえ想像も成し得なかったオーディンメタルを紡いで来ました。ビルボードデビュートップ20、ワールドツアー、さらにはモバイルビデオゲームまで、その社会的影響と成功、さらにアリーナを熱狂に巻き込むライブパフォーマンスを鑑みればネクスト IRON MAIDEN の座を確約されているように思えます。
純粋性という観点で言えば、AMON AMARTH は真のヴァイキングメタルではないかもしれません。ブラックメタル第一波の先駆者である BATHORY がサタンを称賛しなくなり、異教のルーツを受け入れたように。そう、アトモスフィアと剣撃を配置した新たな BATHORY の音の葉は、後にヴァイキングメタルのトレードマークとなる魔法を含んでいました。

90年代半ばから後半にかけて、UNLEASHED, ENSLAVED, EESIFERUM, ELUVIETIE はヴァイキングの旅団に加わり、ブラックメタルを北欧民族の神話や伝承、神から得る知恵と力、怒りの海を股にかける航海、暗く危険な森、死との戦い、ヴァルハラの門を越えた永遠の生といったテーマに憑依させました。
対照的に、AMON AMARTH は、AT THE GATES や DARK TRANQUILLITY といったスウェーデンのメロディックデスメタルをスタート地点としています。故に、先述のヴァイキングメタルパイオニアとは毛色が異なります。しかし当初から、ボーカリストの Johan Hegg はヴァイキングの祖先に魅了されていました。彼は詩的な民間伝承を知っていて、コロンブスが到達する500年前の北アメリカの海岸線へのヴァイキング遠征と、ウクライナとロシアへの9世紀の探検を深く研究していたのです。

実際、フロントマン Johan がヴァイキングに注ぐ情熱は並々ならぬものがあります。
AMON AMARTH でバンドメイトを率いるだけでなく、彼は “バイキング時代の文化からインスピレーションを得て解釈された” ヴァイキンググッズのレプリカを製造しているGrimfrost という会社を共同所有している程なのですから。Johan はラグナル・ロドブロークの伝説と空想の狭間で語られる大人気のテレビドラマ “ヴァイキング-海の覇者たち-” についてこう語っています。
「本当に良いショーだと思う。他にはバーナード・コーンウェルの本に基づいた “最後の王国” と呼ばれる別の素晴らしいシリーズもあるね。
ヴァイキングは明らかに歴史の中で自由を謳歌しているけど、彼らは物語を本当にうまく構築し、キャラクターを非常に客観的に描写したと思うな。必ずしもヴァイキングを善悪の二面性のみで演じるわけではなく、多面性を描いている。それはヴァイキングを描写しようとする以前の試みには欠けていたものだ。それまでのテレビドラマは戦い、性交し、飲む!の1次元的なものだったからね。」


ヴァイキングに関する誤解にも言及します。
「3つの大きな誤解があると思う。まず、ヴァイキングのヘルメットには角がなかったんだ。実際のヘルメットは俺が知る限り3つしか見つからなかったから、実際の姿は知る由もないんだよ。おそらくヘルメットは手作りで、異なる装いがあっただろうが、当時の描写はどれもホーンを身に着けていなかったんだ。19世紀からそんな描写になったみたいだよ。
ヴァイキングが大群で略奪する殺人集団だったというのが2つ目の誤解。たしかに彼らはそういった行いもしたけれど、それは他の戦争で他の人々が行う略奪と同じようなものだった。彼らはただ異なる戦術を持ち、戦闘に非常に長けていただけなんだ。まあもちろん、旅と戦いと流血はメタルに最高にハマるんだけど。
3つめの誤解は、彼らが汚れていて臭い獣だというイメージ。実際は、ヴァイキングはとても良好な衛生状態を保つことで知られていたんだ。少なくとも週に一度は体を洗っただろう。」
ではなぜ AMON AMARTH のヘルメッドラムライザーにはホーンが掲げられているのでしょう?
「ヴァイキングのヘルメットに角がなかったのに、なぜ俺たちのドラムライザーに角があるのだろう?たしかに俺は角の設置にあまり熱心ではなかったよ。
だけど、Grimfrost は正確さに基づいて構築された会社だけど、AMON AMARTH はショーなんだ。歴史的に正確ではないけれど、角は優れた舞台用小道具になる。AMON AMARTH はエンターテイメントだから、必ずしも完全に正確であるとは限らないよ。」


Grimfrost の設立はヴァイキングコミュニティーへの寄与を念頭においてのものでした。
「もともと、友人から会社の顔になるようにアプローチされ、当初はマーケティング側に関与するつもりだったんだが、人々が求めているものを理解していたからね。
明らかにビジネスだけど、ヴァイキングの文化と歴史に興味がある人々のためのコミュニティを構築しようともしているんだ。俺たちが持っている知識を共有してね。(北欧のフォークグループ)WARDRUNA の Einar Selvikや “Vikings” キャストのメンバーの体験についてもインタビューを行ったよ。ルーンの専門家の本も販売している。ヴァイキングの文化と歴史に興味のある人が来て、学ぶことができるコミュニティを構築しようとしているんだ。製品を販売するだけでなく、理解と帰属意識を作り出すことも重要だからね。」
Johan は当然ローイングピットを愛しています。
「2017年にヘッドライナーを務めた Bloodstock のローイングピットはかなり壮観だった。素晴らしいメタルヘッドとは何かを教えてくれたし、素晴らしいファンの証だと思う。そう、メタルヘッドはただ酔って、ただ想像もできないような最も残忍な音楽を聴きながら、ただ愚かなこと楽しみたいだけなんだ。その全てを愛しているよ。」


トールキンの影響を忘れるわけにはいきません。
「トールキンからバンド名を取ったんだ。AMON AMARTH とは”ロード・オブ・ザ・リング” に出てくるドゥーム山 (オルドルイン) の噴火だからね。だけど多くの人々は彼がスカンジナビアの神話にどれほど影響を受けたか知らないかも知れないね。北欧神話を読むと、ガンダルフを始めとするトールキンのルーツが垣間見えるよ。フィンランドのカレワラも彼のルーツの一つ。彼は基本的に北欧の神話に似た彼自身の神話を書きたかったんだ。」
Johan は9歳の頃から北欧神話の神々に魅了されてきました。しかし敬虔なクリスチャンの多いストックホルムから20キロの地元の町では、ヴァイキングが崇拝した異教の神を積極的に教えることはありませんでした。
「オーディンやトールを本で簡単に教えるくらいだよ。キリスト教からは見下されているからね。だから姉の励ましもあって図書館に向かい、12,3世紀の詩を読み漁ったんだ。そしてトールキンに出会った。そのフィクションに魅了されたんだ。」
豆知識にも精通しています。
「知ってる? Wednesday, Thursday, Friday は北欧神話の神にちなんで命名されたんだ。Wednesday は Oden, Thursday は Thor, そしてFriday は Frey の日なんだ。」

現代のヴァイキングに寄せるメッセージとは?
「ヴァイキングは誠実で忠誠心を持つ。重要なのは、約束を守ることなんだ。約束を守れば、コミュニティーから追放されることはないだろう。
また、あまり知られていないかもしれないが、ヴァイキングは非常にオープンマインドだった。彼らは世界を旅し、取引し、戦った。たとえば、コンスタンティノープルのヴァラング親衛隊は伝説的だよ。彼らは基本的にビザンチン皇帝の個人的なボディーガードで、信頼できて忠実なヴァイキング戦士だった。彼らは異なる文化で活動するために必要であれば改宗さえ行い、家に帰ってからは馴染みのやり方に戻っていたわけさ。
誠実とオープンマインド。この二つは今の社会にもぜひ持ち込むべき心得だと思うな。」

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