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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBSIGNAL : LA MUERTA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARKUS STEFFEN OF SUBSIGNAL !!

German Progressive Innovator, Subsignal Walk Toward More Melodic Path And Open To New Influences With Their New Record “La Muerta” !!

DISC REVIEW “LA MUERTA”

ジャーマンプログメタルの唱道者、SIEGES EVEN の血を受け継ぐ嫋やかなる残映。SUBSIGNAL がリリースした最新作 “La Muerta” は、サンタ・ムエルテの名の下にプログシーンの信仰を集め新たな拠り所、守護者となるはずです。
「当時起こったことはとても単純で、個人的な相違だったんだ。最終的にバンドは、Arno と僕、Oliver と Alex の二つに割れてしまったんだよ。」と Markus がインタビューで語った通り、80年代から活動を続ける巨星 SIEGES EVEN が長年の内なる闘争の末2008年に解散の道を選んだニュースは、プログメタルシーンに衝撃をもたらしました。
名手 Wolfgang Zenk がフュージョンに特化した支流 7for4 へと移行し、オリジナルメンバーの Markus が復帰。Andre Matos や Jens Johansson との実験場 Looking-Glass-Self の果てに邂逅したバンド史上最高のボーカリスト Arno Menses を得た 00年代のSIEGES EVEN。
そうして2005年にリリースした8つの楽章から成る “The Art of Navigating by the Stars” が、SIEGES EVEN 独特の世界観に研ぎ澄まされたメロディーが初めて重なり、FATES WARNING の “A Pleasant Shade of Gray” にも比肩し得る壮大なマイルストーンとなった事を鑑みれば、尚更バンドの消滅がシーンにとってどれ程の損失であったか推し量れるはずです。
しかし、Arno と Markus のメロディーとプログレッシブが奏でるケミストリーの二重奏はしっかりと SUBSIGNAL の音に刻まれています。
アルバムが相応に異なる風合いを醸し出していたように、SIEGES EVEN のスピリットはまさに実験と挑戦の中にありました。故に、二人が描く新たな冒険 SUBSIGNAL のサウンドが、プログレッシブワールドのトラディショナルな壁を突き破ることは自明の理だったのかも知れませんね。
キーワードはアクセシブルとエクレクティックでしょう。実際、「Arno と僕は他の異なるジャンルにも興味を持っていてね。」「僕にとって最も重要なのはメロディーなんだ。」と Markus が語るように、遂に本格化した SUBSIGNAL の最新作 “La Muerta” には近年のモダンプログレッシブが放つ波動とシンクロする瑞々しき血潮が注ぎ込まれているのです。
バンドのデビュー作 “Beautiful & Monstrous” 収録の “The Sea” が指針となったように、SUBSIGNAL は知性の額縁とプログレッシブなキャンパスはそのままに、よりソフィスティケートされた筆を携えドラマとエモーション、時にメランコリーをカラフルな多様性と共に一つの絵画、アートとして纏め上げて来ました。
ダンサブルなイントロダクション “271 Days” に導かれ示現するアルバムオープナー “La Muerta” は、バンドのトレードマークを保ちつつ、よりアクセシブルなメインストリームの領域へと舵を切る野心のステートメントです。
Steven Wilson の “To The Bone” を核として、HAKEN, FROST*, TesseracT, iamthemorning といったコンテンポラリーなプログレッシブロースターは恐れる事なくポップを知性や複雑性、多様性と結びつけモダンプログレッシブの潮流を決定的なものとしています。タイトルトラック “La Muerta” で示されたビジョンはまさにそのうねりの中にありますね。
Markus のシグニチャーサウンドであるコード感を伴うシーケンスフレーズは RUSH や THE POLICE のレガシー。現代的な電子音とマスマティカルなリフワークの中で舞い踊る Arno のメロディーは、眠れる John Wetton の魂を呼び覚ましたかのようにポップで優美。コーラスに華開く幾重にも重なるメランコリーは、暗闇から聖人へと向けられた全ての切実な祈り、請われた赦しなのかも知れませんね。
トライバルでシンフォニックな “Every Able Hand”、Markus の主専攻クラッシックギターから広がる雄大な音景 “The Approaches”、一転ブルースやカントリーの郷愁を帯びた “When All The Trains Are Sleeping” など Markus が語る通り実にエクレクティックなレコードで、全ては “Even Though the Stars Don’t Shine” へと収束していきます。
奇しくも Wilson の最新作とリンクするニューウェーブ、シンセポップの胎動、TEARS FOR FEARS や DEPECHE MODE の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ楽曲は、同時にリズムのトリックやシーケンシャルなフレーズが際立つプログポップの極み。アルバムに貫かれるは旋律の躍動。
そうして “La Muerta” は iamthemorning の Marjana を起用し、荘厳なる Arno とのデュエット “Some Kind of Drowning” で平等に赦しを与えその幕を閉じました。
一片の無駄もなく、ただ日によってお気に入りの楽曲が変化する、そんな作品だと思います。ピアノからシンセ、エレクトロニカまで自由自在な Markus Maichel の鍵盤捌き、Dirk Brand の繊細極まるドラムワーク、そして RPWL の手によるクリアーなサウウンドプロダクションが作品をさらに一段上のステージへと引き上げていることも記しておきましょう。
今回弊誌では、ジャーマンプログメタルの開祖 Markus Steffen にインタビューを行うことが出来ました。「80年代に SIEGES EVEN を立ち上げたんだ。おそらくドイツではじめてのプログメタルアクトだったと思うよ。」どうぞ!!

SUBSIGNAL “LA MUERTA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALKALOID : LIQUID ANATOMY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALKALOID !!

German Extreme Metal Super Group Alkaloid Shows Amazing Musicianship And Creativity With Their Newest Record “Liquid Anatomy” !! Can You Imagine Yes & Rush Mixed With Modern Metal Aggression?

DISC REVIEW “LIQUID ANATOMY”

テクニカルデスメタルの牙城、ドイツに惹起する維新の兆し。千軍万馬の猛者が締盟したプログレッシブの絆 ALKALOID は、最新作 “Liquid Anatomy” で天壌の宇宙から中毒性のマイクロウエーブを発します。
ALKALOID ほどスーパーバンドの表現が相応しい音楽集団はそう多くはないでしょう。これまでメンバー5人がかかわってきたバンドは、DARK FORTRESS, NONEUCLID, SPAWN OF POSSESSION, OBSCURA, NECROPHAGIST, ABORTED, GOD DETHRONED, BLOTTED SCIENCE と文武両道の精鋭ばかり。
中でも、「僕たちが NECROPHAGIST と OBSCURA で始めたことを今では無数のバンドがやっているんだ。」と語る通り、局所性ジストニアによる中指の不遇をも覆す不屈のギターマエストロ Christian Muenzner、新たに HATE ETERNAL にも加入したギターとピアノを操るドラムユーティリティ Hannes Grossmann のかつての音楽的なアイデアが、現在の包括的な Tech-metal への崇高なるインスピレーションとなっていることは明らかですね。
とはいえ、「僕たちは新たなバンド、プロジェクト、アルバムの度に自分たちを”再発明”するようにしているんだよ。特定のスタイルに執着してしまわないようにね。」と Christian が語るように、 ALKALOID は定型化したテクデスの様式、さらには傑出したデビュー作さえ過去の時空へと置き去りにしながら、RIVERS OF NIHIL, IHSAHN, HAKEN, GHOST ともシンクロするクラッシックなプログのスピリットを昇華した新たなメタルの潮流に身を委ねているのです。
アルバムオープナー “Kernel Panic” こそ進化の象徴。ヴィンテージのシンセサウンドに導かれ、滔々と湧出するシーケンシャルなギターフレーズはまさに YES や RUSH の遺伝子を色濃く宿す鮮やかな落胤。DARK FORTRESS 等で残虐な威厳を浴びせる Morean は、驚くことにその歌唱を Jon Anderson のチャンネルへと接続し、神秘的でキャッチーなロックの崇高美を具現化していくのです。
イーヴィルなディストーションサウンドは変調の証。ナチュラルに獰猛なモダンメタルの領域へとシフトする、一体化したバンドの猛攻は衝撃的ですらありますね。一転、再びプログの多幸感が再臨し、時に相反する二つの次元が融解。TOOL と CYNIC、一方で YES と VAN HALEN が楽曲の中で流動し躍動する “In Turmoil’s Swirling Reaches” にも言えますが、ALKALOID の振るう奇想天外なタクト、コントラストの魔法は実際群を抜いています。
そして先述したバンドと同様に、クラッシックとコンテンポラリー、荘厳と嗜虐、ポップと知性の狭間を自由自在に行き来するこのシームレスなアイデアは、確かに多様なモダンプログレッシブの根幹を成しているはずです。ただし、ALKALOID のプログレッシブには特に “90125” や “Signals” など80年代の風を受けた独特の色香も存在しますが。
MORBID ANGEL と MESHUGGAH が同乗する重戦車 “As Decreed by Laws Unwritten”、トライバルで複雑なリズムに呪術と叙情のボーカルが映え GOJIRA の理念ともシンクロする “Azagthoth” でブラックホールの物理現象を追求した後、バンドはタイトルトラック “Liquid Anatomy” でさらに新たな表情を披露します。
実際、これほど感動的で心を揺さぶるバラードと、エクストリームメタルのレコードで出会えるとは僥倖以外何者でもないでしょう。GENESIS や PORCUPINE TREE の叙情、クラッシックや教会音楽のスピリットをダークに消化した荘厳の極みは、感情の波間を悲哀で染め抜きます。
アルバムを通して言えますが、特にこの楽曲で聴くことの出来る Christian のエモーションとテクニック全てを楽曲のためだけに捧げた神々しきソロワークは、最後の “ギターヒーロー” を誇示して余りある激情とスリルに満ちていますね。
アルバムを締めくくるは20分のラブクラフトモンスター、6つの楽章から成るエピック “Rise of the Cephalopods” は ALKALOID 版 “2112” もしくは “Cygnus X-1 Book II: Hemispheres” なのかも知れませんね。プログロックの構成美、モダンメタルの複雑なグルーヴ、モダンプログの多様性にアトモスフィア。全てがここには存在します。現存の南極大陸を葬り、頭足類が進化を遂げる “If” の SF ストーリーは、実はシーンと自らの立ち位置を密かに反映しているのかも知れませんね。
今回弊誌では、Morean, Hannes, Christian の3名にインタビューを行うことが出来ました。 NECROPHAGIST や OBSCURA についても重要な証言が飛び出したと思います。「Hannes がアルバムのいくつかの瞬間で “90125” の時代を超越したサウンドに近づいたという事実は、彼がそれを意図しているのかいないのかに関わらず、エンジニア、プロデューサーとしてのスキルに対する大きな賛辞だよ。 1983年に彼らが成し遂げたサウンドを超えるものは、今日でもほとんどないからね。」どうぞ!!

ALKALOID “LIQUID ANATOMY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KREATOR : GODS OF VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAMI YLI-SIRNIO OF KREATOR !!

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Flag Of Hate, German Thrash Metal Titan, Kreator Has Just Released One Of The Best Thrash Metal Album All Time, “Gods Of Violence” !!

DISC REVIEW “GODS OF VIOLENCE”

ジャーマンスラッシュの帝王、”憎悪の象徴” KREATOR が結成35周年、14枚目の作品にしてバンドの最高峰を更新したかにも思えるマスターピース “Gods of Violence” をリリースしました!!信念と革新を併せ持った作品は2017年を代表するメタルレコードとなるでしょう。
2016年は Thrash Metal リバイバルの機運が高まった年でした。METALLICA の新作を筆頭に、TESTAMENT, DEATH ANGEL, DESTRUCTION, SODOM などベテラン勢の奮起は頼もしく、同時にジャンルの限界を取り去った新鋭 VEKTOR の “Terminal Redux” がシーンに与えた衝撃も計り知れません。そしてその潮流を決定的なものたらしめるのが “Gods of Violence” かも知れませんね。
2012年の “Phantom Antichrist” 以来5年振りに届けられた KREATOR の新作は、究極にブルータルでアグレッシブ。しかし同時に、彼らが10年にも及ぶ音楽的実験の旅を終え本流へと回帰した2001年の “Violent Revolution” 以来最もメロディックな作品に仕上がりました。
KREATOR の作品は必ずバンドのマスターマインド Mille Petrozza の優れたアイデアから始まります。2015年に起こったパリでのテロは、Mille そしてこの作品の方向性に強く影響を与えました。事件に衝撃を受け、古代から現代まで連なる人類の悪の連鎖、宗教間の対立がもたらす危険な憎悪を改めて認識した Mille は、ギリシャ神話で語られる神々の争いと現代の不毛な宗教戦争をリンクさせ、思考の先で自らの内に生じた憎しみを解放することを決意します。
勇壮な War March に導かれ繰り出されるアルバムオープナー “World War Now” は、まさに Mille の憎しみを叩きつけたスラッシュアンセムだと言えます。リスナーが期待する狂気の KREATOR 像を忠実に再現したファストで強烈な世界大戦のサウンドトラックは、正しくスラッシュが成されながら並行してファンの想像を超えるキャッチーで幻想的なサウンドをも内包しています。インタビューで Sami が語ってくれた通り、ここには過去を引き継ぎながらも進化を遂げたバンドの姿が凛々しく投影されているのです。
“Apocalypticon” という勇ましくも美しい前奏曲が楽曲のドラマ性を飛躍的に高めていることも確かでしょう。今回、イタリアの巨人 FLESHGOD APOCALYPSE がオーケストレーションに協力したというこの種のインタルードの数々は、KREATOR がよりエピカルな領域へと進出する重要な鍵になっていますね。
実際、タイトルトラック “Gods of Violence” のイントロは、アコースティックギター、Sami お得意のシタール、そしてハープまでも使用し、リスナーを古代ギリシャのエピックへ誘うとともに、作品に多様性を持たせることにも成功しています。
“Satan is Real” はアルバムのメロディックな一面を象徴する楽曲だと言えるでしょう。ゴーセンバーグスタイルに接近したシャープでモダンなメインリフはスラッシュとメロデスの親和性を物語り、メロディーを意識し歌うことに強くフォーカスした Mille の絶唱は IRON MAIDEN にも負けないほどにシンガロングを誘います。
確かに KREATOR は以前からゴーセンバークスタイルやトレモロリフを貪欲に効果的に自らのスラッシュメタルへと取り入れて来ましたが、今回はその頻度が格段に上がっており、加えてトラディショナルメタルへの接近も強く感じられます。”Satan is Real” というメタルらしい最高のパンチラインは、今後 KREATOR のライブにおいて絶大な威力を発揮するはずです。
さらにアルバムを通して言えることですが、 KREATOR が抱えるシーンきってのシュレッダー Sami Yli-Sirnio のギター捌きは今回一段と格別で、オリエンタルな雰囲気を醸し出す優れたギターテーマの数々に加え、起承転結を熟知したマエストロが魅せる時にトリッキー、時にメロディアスなソロパートはリードギタリストを志す全てのメタルキッズにとって最高の教科書となるに違いありませんね。
SLAYER にも肉迫するような激烈さを誇るアルバムで、同時にメロディーを多用したのは祈りだと Mille は語ります。アルバムを締めくくる “Death Becomes My Light” はまさに希望の灯火。再びタッグを組んだ Jens Bogren の最も得意とする、METALLICA の “One”、もしくは IRON MAIDEN の “Phantom of the Opera” を想起させる起伏に富んだエモーショナルな一曲は、心の平穏を保つべき宗教が暴力のきっかけとなり、憎悪、悲劇、嫉妬、肉欲の渦巻く地獄のようなこの現実世界で、それでも「恐れないで。君は一人じゃないよ。」とわずかな光を灯しながら作品の幕を閉じるのです。
2017年のスタートは、素晴らしいグルーヴ、メロディー、エモーション、そして”究極のアグレッション”が備わった極上のレコードから始まります。今回弊誌ではバンドで唯一のフィンランド人 Sami にインタビューを行うことが出来ました。彼の別バンド WALTARI や BARREN EARTH にも注目ですね。どうぞ!!

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KREATOR “GODS OF VIOLENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COLDWORLD : AUTUMN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH G.B. OF COLDWORLD !!

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One Man Atmospheric Black Metal From Germany, COLDWORLD Has Just Released Gorgeous New Album “Autumn” For The First Time In 8 Years !!

DISC REVIEW “AUTUMN”

8年の沈黙を経て、German Atmospheric Black の雄、COLDWORLD が復活作 “Autumn” をリリースしました!!洗練され、スケール感、アンビエンス、メロディーの質共々格段に進化した作品は、シーンに衝撃を与えています。
COLDWORLD は G.B. のワンマンプロジェクト。すべての楽器、そしてグロウルからクリーンボーカルまで見事にこなす彼の才能は “Autumn” において素晴らしく開花していますね。前作 “Melancholie²” のメロディックなスタイルは引き継ぎながら、よりウォームでナチュラルなサウンドを具現化したアルバムは、最早ストレートな Black Metal の領域には収まり切らないようにも思えます。
Depressive Black Metal の首領、SHINING の近作がプログレッシブな1面を提示している事実とリンクするかのように、同様にデプレッシブなサウンドを奏でる COLDWORLD も Post-Progressive への接近を隠そうとはしません。
9分の大曲、”Womb of Emptiness” を聴けば、彼らの新しいチャレンジを感じることが出来るでしょう。ピアノとキーボードの荘厳でクラシカルなコードプログレッションに導かれ紡がれる G.B. のクリーンボーカルは、深い悲しみを湛えつつ、ダークでディープなアトモスフィアを創出します。KATATONIA の Jonas Renkse を想起するファンも多いでしょう。
実際、楽曲の前半は KATATONIA のモダンなプログレッション、リリシズム、耽美性と共通する部分も多く感じられます。
一転、壮絶なトレモロリフとグロウル、ダブルベースドラムが切れ込むと、楽曲は激しい絶望を宿した美しさにその色を変えていきます。冷ややかな空気の中、創出される対比の妙は、アルバムの重要なポイントとなっていますね。さらに、プログレッシブという観点から見れば、”Climax of Sorrow” においても OPETH のようなヘヴィープログレッシブに知性を湛えた極上のリフを聴くことが出来ます。
一方で、”Autumn” には、ALCEST, DEAFHEAVEN といった人気と飽和の渦中にある Post-Black / Blackgaze 勢に通じるような、多幸感すら感じさせるサウンドも存在します。アルバムオープナー、”Scars” での大胆なストリングスの使用や、”Void” における美麗な女性コーラスの導入も、絶望の先に暖かい光が射すような楽曲のムードを見事に強調しており、作品に多彩で豊かな表情を植え付けています。
インタビューで語ってくれた通り、幼少時からヴァイオリンを習得している G.B. の音楽は非常に緻密かつ知的で、エピカル。完成まで8年もの長い月日を要したことにも頷けます。今回弊誌では、G.B. にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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COLDWORLD “AUTUMN” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OBSCURA : AKROASIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEFFEN KUMMERER & LINUS KLAUSENITZER OF OBSCURA !!

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German Tech-Death master OBSCURA is back with new members and new sounds ! Incredible new record “Akroasis” gives you thought-provoking lyrics and maelstrom of technicality!!

DISC REVIEW “AKROASIS”

ドイツのテクデスマスター OBSCURA がメンバーチェンジを経て傑作 “Akroasis” と共にシーンに帰還を果たしました!!
テクデスシーンの中でも屈指のロースターを揃えた OBSCURA は、そのコスミックな世界観、メロディックでありながら複雑なリフワーク、そして CYNIC や DEATH からの遺産を感じさせる音楽性でデビューから常に注目の存在でした。しかし、前作リリース後、Christian Muenzner, Hannes Grossmann という作曲にも大いに貢献していたテクニシャンたちが脱退。バンドはしばらくの沈黙を余儀なくされていたのです。
2014年、待望の復活がアナウンスされた OBSCURA は当初、新メンバーとして、PANZERBALLETT などで知られる Sebastian Lanser と、フレットレスギターを操るFountainhead こと Tom Geldschläger がクレジットされていました。しかし、Tom は、”Akroasis” ではプレイしているものの、短期間で脱退してしまい、現在は Rafael Trujillo が加わっています。また、Linus もバンドに加入したのが2011年9月ですからフルアルバムに参加するのは初となりますね。
2ndアルバム “Cosmogenesis” と、前作 “Omnivium” は疑うまでもなく、テクデスシーンに名を残す名盤でした。ジャズからの影響も感じさせる、フレットレスベースを使用したメロディックで浮遊感溢れるその音楽性は、モダンなテクデスバンドたちのカウンターパートとして、モダンメタルシーンで純然たる存在感を発揮していましたね。ただ同時に、強烈なアグレッションの裏返しとしてバラエティーに欠けていたのも事実。
Linus がインタビューで言及している通り、”Akroasis” は静と動、メロディーとアグレッションという対比が生み出す、ダイナミズムに溢れた作品に仕上がりました。以前よりも瞑想的でさらに思慮深い、クリーンギターさえ多用したプログレッシブなサウンドが印象的で、テクデスシーンのトレンドセッターとなる可能性を孕んでいます。
アルバムオープナー “Sermon of the Seventh Suns” はクラシカルな OBSCURA サウンドに新要素を少し加えた、ファンへの招待状のような楽曲。Fountainhead のメロディアスでありながら奇抜な、フレットレス特有の浮遊感を含んだソロワークが非常に耳を惹きます。”Ten Sepiroth”, “Perpetual Infinity” といった楽曲でも強烈なリードを聴かせる彼のプレイは作品の顔の1つとなっており、脱退は残念に思えます。インタビューからも分かりますが、やはり音楽性の違いと言うよりも人間関係が原因だったのではないでしょうか。
“Ode to the Sun” を聴けば、彼らの進化やアルバムのテーマが伝わるでしょう。”Akroasis” を象徴するような1曲は、新ドラマー Sebastian Lanser の見事なオーケストラパーカッションの上に成り立っています。CYNIC を想起させる、ヴォコーダーを使用したメロディアスな歌唱が、マンモスのようにヘヴィーなギターリフ、グロウルのカウンターとなり実に際立っています。パーカッションとクワイアが導くクライマックスの扇情力は圧倒的ですね。
同様に、15分の壮大なエピック、”The Weltseele” も実にプログレッシブ。冒頭で美しいアルペジオに絡みつく Linus のフレットレスベースは暖かく印象的で、アルバムを通して言えるのですが、前作までとは比較にならない程効果的です。インタビューで今回のテーマの1つがポリリズムだと語ってくれましたが、この楽曲では特に、Sebastian のエスニックなグルーヴを基にしたポリリズミックなアプローチが素晴らしく、MESHUGGAH / Djent の方法論とはまた別の彼ららしいやり方を見せつけていますね。静と動の対比もまたアルバムのテーマですが、異国感漂うオーケストラサウンドを大胆に導入した “The Weltseele” にはストリングスのみの美麗なパートまで存在し、新しい OBSCURA をアピールしています。
また、既に CYNIC の名を挙げましたが、タイトルトラックや “Fractal Dimension” のように DEATH を想起させる場面も多く、凄みを増した Steffen のダークでディープな歌唱はあの Chuck Schuldiner をさえ彷彿とさせますね。Steffenが完璧に近いと語る、V. Santura のプロダクションも作品をさらに1段上に引き上げていることを重ねて記しておきましょう。
今回弊誌ではバンドの要である Steffen Kummerer, Linus Klusenitzer 2名にインタビューを行うことが出来ました。重要な作品、重要なインタビューだと考えています。どうぞ!!

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OBSCURA “AKROASIS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PANZERBALLETT : BREAKING BRAIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAN ZEHRFELD OF PANZERBALLETT !!

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21st Century’s “Heavy Metal Bebop”!! German Progressive Funky Math Jazz Metal five piece, PANZERBALLETT has just released epoch making newest album “Breaking Brain” !!

ドイツが誇る高性能ジャズ式重戦車 PANZERBALLETT が最新作 “Breaking Brain” をリリースし海外で話題を集めています!!
実際、”Breaking Brain” というタイトルは、彼らの音楽を表現するのにピッタリですね。2本のギター、ベース、ドラムス、そしてサクスフォンが創造するジャズメタルは、強烈にして圧倒的。リスナーの固定概念を完全に破壊するでしょう。
アルバムオープナー “Euroblast” は毎年10月に行われる Prog/Tech Metal の祭典 Euroblast への挑戦状。「こんな強烈なバンド、出演してます??」と言わんばかりに畳み掛ける、ポリリズムとテクニカルでジャジーなフレーズ、そしてヘヴィーなグルーヴ。これ程まで Jazz/Fusion を重音領域に持ち込んでいるバンドは他に存在しないと思います。実にエポックメイキングな楽曲ですね。”Typewriter Ⅱ” はタイトル通りタイプライターのサウンドを使用しています。詳細はインタビューを読んでいただくとして、そのユニークなアイデアと巧みなアレンジの才能には恐れ入るばかり。”Mahana Mahana” はマニアックなセサミストリートオマージュだったりするのですが、こういった小ネタも実にニクイ!
インドのパーカッション奏者 Trilok Grutu の楽曲 “Shunyai” のカバーには Trilok 自身がゲスト参加しており、アルバムのハイライトとなっています。エスニックなリズムの驚異的なパーカッションに導かれ幕を開けるこの曲には奇怪なボーカルも挿入されており、見事に狂気と異国感を演出することに成功しています。アルバムのラストを飾るのは “Pink Panzer” のテーマ。彼らがこの曲をカバーするのはこれで2度目なのですが、半ば PANZERBALLETT の代名詞のようになった楽曲はさらにヘヴィーさを増し、壮大にアルバムを締めくくります。
作品を通して、サクスフォンとギターのユニゾンで奏でられるテーマたちが非常に印象的でした。サクスフォン奏者の Alexander Von Hagke はあの ASIA ともツアーを行ったことがある実力者。Joe Henderson, Randy Brecker を思わせる Post-Bop なフレーズの数々が、 MESHUGGAH ライクなポリリズムリフの上で踊る様は決して他のバンドからは得ることの出来ないカタルシスを感じさせてくれます。まさに21世紀の “Heavy Metal Bebop”。即効性と味わい深さを兼ね備えた素晴らしい作品ですね。
今回弊誌ではバンドの創設者であるギタリスト Jan Zehrfeld にインタビューを行うことが出来ました。難解だと思われるかも知れませんが、彼のリードプレイは意外に明快でリックのアイデアも実に豊富ですよ。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

PANZERBALLETT “BREAKING BRAIN” : 9,3/10

YOU CAN STREAM ENTIRE “BREAKING BRAIN” ALBUM HERE !!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LUCIFER : LUCIFER Ⅰ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHANNA SADONIS OF LUCIFER!!

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CATHEDRAL, THE OATH, AND ANGEL WITCH JOIN TOGETHER!! SUPER HEAVY MAGIC ROCK BAND, LUCIFER HAS JUST RELEASED GREAT DEBUT ALBUM “LUCIFER I” !!

ex-CATHEDRAL, DEATH PENALTY の GAZ JENNINGS, ex-THE OATH の JOHANNA SADONIS がタッグを組んだ新バンド LUCIFER がデビュー作 “LUCIFER I” を総帥 LEE DORRIAN のレーベル RISE ABOVE からリリースしました。
説明の必要もないでしょう。CATHEDRAL は90年代初頭にデビューし、DOOM から STONER, PROG ROCK まで幅広い素養をを消化、唯一無二の音楽を作り上げたバンドでした。世界一遅いアルバムなどとも評されるデビュー作 “FOREST OF EQUILIBRIUM” が取り上げられることが多い彼らですが、その後の音楽的変遷、そして傑作 “THE LAST SPIRE” での幕引きまで常に聴くべき意味のある豊潤な作品を提供し続けてきた異能です。
無論、LEE DORRIAN という深い知識とビジョンを備えたフロントマンがいたからこそ存在し得たバンドでしたが、同時に、不思議な音階のリフ、アルペジオ、オーバーダブ、転調を自在に操るリフの魔術師 GAZ JENNINGS が上手いボーカルと組んだらどうなるのだろうという興味も存在したことは事実。今回紹介する LUCIFER はその欲求を満たすバンドと言えるかも知れません。
昨年彗星のように現れ、彗星のように消滅した THE OATH が残した唯一のアルバム “OATH” は印象的な作品でしたし、その中でも JOHANNA の歌唱は特に耳を捕らえました。そして上手さと巧さを兼ね備えた彼女のボーカルは “LUCIFER I” でさらにその凄みを増しています。
現代の “Vol.4” かと思わせるほどのギターリフアルバムでありながら、彼女のボーカルが絡み合う事でエピック、キャッチーさ、大衆性を兼ね備えた驚異的なクオリティーの作品に仕上がったのではないでしょうか。
現代の “Vol.4″…そうこのレコードには BLACK SABBATH, DEEP PURPLE, BLUE OYESTER CULT, URIAH HEEP といったあの時代のハードロックへの愛、憧れと、GAZ 自身がオリジネーターでもあるドゥーミーな空気が溶け合い詰まっているのです。
自身が HEAVY MAGIC ROCK と呼ぶ LUCIFER の音楽やアルバムについて JOHANNA が語ってくれました。

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WORLD PREMIERE: “BATTLE’S WON” 【HELLOWEEN】


WORLD PREMIERE: NEW SONG !! “BATTLE’S WON” OF HELLOWEEN !!

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HELLOWEEN SET TO RELEASE NEW ALBUM “MY GOD-GIVEN RIGHT” ON MAY!!

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HELLOWEEN are one of the most influential and internationally successful acts of the global metal scene. With the release of their 14th studio album
due on May 29th, the pumpkin heads are set to further cement their title as the founding fathers of German melodic speed metal.
The band’s first self-titled EP was released in 1985, making their new album »My God-Given Right« the celebratory marker for their impressive 30 year career.

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ドイツからメタルシーンに最も影響を与え続けてきたバンドの一つ HELLOWEEN。5/29 にニューアルバム “MY GOD-GIVEN RIGHT” をリリースする事が決定しました。1985年にデビュー EP “HELLOWEEN” をリリースしてちょうど30年。プロデューサーに Charlie Bauerfeind (BLIND GUARDIAN, HAMMERFALL)、アートワークに Martin Häusler (BON JOVI, QUEEN, GOTTHARD) を起用し万全の体制で製作されました。

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”I never know how, but somehow we did it once again…the albums really rocks and kicks some major asses!!! We had the best folks with us to make this possible.
Producer Charlie Bauerfeind and Martin Häusler, who made a massive 3D artwork this time, WITHOUT stressing the whole color range ;-)”

自分でもどうやったか見当もつかないんだけど、なんとかもう一度やり遂げる事が出来たよ・・・このアルバムは本当にロックしてるしメジャーなものより全然いいよ!!!素晴らしい人たちと共に作り上げたんだ。プロデューサーの Charlie Bauerfeind はもちろん今回のストレスなく全ての色を確認できる 3D アートワークを作ってくれた Martin Hausler もね。

 ANDI DERIS

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”… this proves what a bit of snow not only is able to, but really causes! I personally hate snow and the cover shows that too much of everything is never good. Just like Andi Deris, I’m very happy about the new album.”

わずかな雪の欠片を再現するのは本当に大変だったと思うよ。個人的に雪は嫌いだ。アートワークは何事もやりすぎは良くないって事を示しているよ。ANDY と同様、僕もこのアルバムには満足しているよ。

MICHAEL WEIKATH

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SYLVAN : HOME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SYLVAN !!

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 GERMAN NEO-PROG BAND SYLVAN SET TO RELEASE AWESOME CONCEPT ALBUM “HOME” ON 2/17 !!

【PRE-REVIEW “HOME”】

ドイツの NEO-PROG バンド SYLVAN が 2/17 に新作 “HOME” を発売します。”POSTHUMOUS SILENCE” 以来のフルコンセプト作 77分。前作 “SCENERIES” は90分のダブルアルバムでしたがそれに勝るとも劣らない濃密さです。”NOT FAR FROM THE SKY” の美しいストリングスに導かれてある女性の物語は幕を開けます。TOOL のような無機質なクリーンリフから一転、MARCO の個性的な歌唱力を最大限に生かしたドラマティックな “SHADE OUT OF CLOUDS” は早くもアルバムのハイライト。それと対を成すような 10 分の大曲 “IN BETWEEN” には KORN のような激しさがあります。と同時に中盤の昔 DREAM THEATER が持っていたような景色の浮かぶような展開は見事です。ディレイを駆使したギターワークや同じ歌詞を少しずつ音程を変えて歌い続ける手法がまるで U2 な “THE SOUND OF HER WORLD”。”SHINE” は今作のファーストシングル。COLDPLAY のシングルだと言われても違和感がないほどラジオフレンドリーでキャッチー。溢れ出るエモーションの量がハンパなくてエモウターも壊れる程です。シアトリカルで劇場形の2曲を挟んでアルバムはピアノとシンセサイザーが非常に美しいドラマティックな “HOME” で終幕を迎えます。”SHAPE OUT THE CLOUD” のメロディーを再登場させながら余韻を引きずるように77分の物語は幕を閉じました。極上の77分。もちろんテクニカルなシュレッドやエキサイトメントを求める向きにはオススメしませんがメロディーやアトモスフィアの質、ドラマ性の高さは DREAM THEATER, PORCUPINE TREE の良いとこ取り以上の何かがあると言っても過言ではないと思います。

RATING 9,5 / 10

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