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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【POPPY : I DISAGREE】


COVER STORY: POPPY “I DISAGREE”

ALL PHOTO BY ERIKA ASTRID

“I Think I Just Get Bored Really Easily And Also I View Things In Eras,David Bowie Is a Big Influence And Inspiration To Me, And I Know That He’s Very Famous For His Different Eras And Stages And Evolutions. I Think It’s Kind Of An Artist’s Responsibility To Evolve Constantly.”

EVEN IF GENRE IS DEAD, POPPY IS DANCING ON IT’S GRAVE

「美は痛みであり、痛みはキャラクターを構築する。」 Poppy が毎朝目覚めてまず自分に語りかける言葉です。それこそが Poppy の持つミステリアスな部分でしょう。実際、その日その日に生まれる審美の痛みにより、彼女のルックスや役割、それに音楽性は猫の目のように豹変を続けます。
ポップスター、俳優、監督、アンビエント音楽の作曲家、宗教指導者、DJ、コミックキャラクター、YouTuber、パフォーマンスアーティスト…Poppy の天職はいったいいくつ存在するのでしょうか?
さらに Poppy の YouTube チャンネルは彼女のキャッツアイを見事に伝えています。まるで隣の女の子のように Gwen Stefani の流儀で陽気なポップソングを歌ったかと思えば、Diplo のダンスビートでロボティックなバービーを演じてみせ、さらにはメタルリフのハンマーでリスナーの精神を打ちつける死の天使にさえ変化するのですから。
ほぼ全てのMVが100万視聴を超え、”デジタルラビットホール” の中枢に位置し、”ASMR 人間” とまで称される Poppy。なるほど、音楽を作り始める前にその人気とペルソナをオンラインで確立したという点で彼女はまさに21世紀の “現象” そのものでしょう。

現在20代半ばの Poppy こと Moriah Pereira は、2010年代中盤に Titanic Sinclair 監督がタクトを振るう奇妙な一連のビデオ作品で世界に登場しました。Poppy が “I’m Poppy” と繰り返すだけのクリップや、Charlotte というマネキンにインタビューされ植物にインタビューするシュールな世界観は大きな波をポップカルチャーにもたらす予感を植えつけました。
そうして Sinclair、カナダのヒットメーカー Simon Wilcox との創作を始めると MV の予算は劇的に増加し、オートクチュールのワードローブからおとぎ話の衣装に、日本の “Kawaii” 美少女スタイルまでその音楽性同様色とりどりのファッションで世界を魅了し始めたのです。ただしオンラインのスターダム、そして完璧なポップスターのイメージは彼女が目指す場所ではありませんでした。
「自分自身をポップスターとしてではなく、単なるアーティストやクリエーターだと思っていたの。永遠に同じでいるなんてつまらないわ。私はすぐに退屈してしまうし、物事を時代を通して見てしまうのよ。David Bowie には大きく影響されているし、とてもインスピレーションを受けているわ。何より彼は時代ごとに大きく異なることで有名だし、ステージ共々常に進化を遂げていたわ。常に進化を続けることはアーティストの義務だと思っているの。」

もちろん、David Bowie は1973年に自らの幻想、別人格である Ziggy Stardust をハマースミスオデオンのステージ上で葬りました。メタルへと舵を切った Poppy も、以前のバージョンの Poppy を意図的に葬ったと言えるのでしょうか?
「間違いないわね。Poppy ver.0、Poppy ver.1 は Poppy ver. X によってアップデートされているわ。私が “X” をリリースした時、みんなとても気に入っているように思えたわ。そして始めて私は自分の音楽を聴いて再度インスパイアされたの。」
“Poppy.Computer” と “Am I a Girl?” が日本の “Kawaii” 文化と未来派をクールとする新世代をターゲットに制作されたことは明らかでした。”I Disagree” には一方で悪魔の角が備わっています。時にスラッシー、時にチャギーなリフアタックはキュートでポップな Poppy のイヤーキャンディーとプログレッシブに溶け合います。きっとアメリカの特定の層にとって、今や日本の “Kawaii”, “Otaku” そしてメタルはヒップなカルチャーなのでしょう。

カルトフォークとヘヴィーな音の葉をミックスした “Am I a Girl?” のクローサー “X” によって Poppy がメタルに移行したと決めつけるのは簡単です。ただし、Poppy 自身は自らをメタルアーティストだとは思っていないようです。
「メタルに傾倒しているかって? 答えは #Idisagree よ (笑)。もちろん、間違いなくメタルからの影響は存在するわよ。だってアルバムを作っている時、私たちが聴いていた音楽こそメタルなんだから。ただ、アルバム全体を聴けば、よりプログに傾倒している場所もあるはずよ。当然、未だにポップな部分もあるわ。だけどもう一番の要素じゃないわね。三番目ね。」
法的な闘争や Grimes とのいざこざ、悪質なレコード契約によって溜まった鬱憤を晴らすカタルシスがメタルだったという側面もあるようです。
「全ての怒りを私のアートに注ごうとしたのよ。だけど自然なことよ。”Am I a Girl?” を書いている時、私はスタジオまで運転する車でヘヴィーな音楽ばかり聴いていたのよ。蝶々や虹の曲を書きながらね。全然繋がってないって思ったわ。」

メタルに目覚めたのはごく最近のことなのでしょうか?
「いいえ。私はメタルを聴いて育ったから、またちょうど戻ってきたって感じね。聴く音楽は日によって違うんだけど、NINE INCH NAILS と Gary Numan はずっと好きだったわ。だけど同時に、ダンスのバックグラウンドも持っているし、ポップミュージックも愛しているの。だから当時、自分の音楽でダンスやポップを探求するのは理にかなっていたのよ。逆に今は自分の感情を発信するのにメタルが適してるって感じかな。」
Poppy にとってエクストリームミュージックへの入り口は MARILYN MANSON でした。
「幼い私の目を引いたのは、MARILYN MANSON 全ての衝撃値だったわ。キッズが彼のTシャツを着ていると、道行く人は二度見をしていたわ。最初はそれがとても魅力的だったの。それから音楽にハマっていったの。だけど私は結局、彼の創造した文化こそがマジカルだったと思うの。素晴らしかったわ。そしてある種彼はその魔法を利用していたと思う。」
Poppy が目指すのもまさにその魔法。つまり、カルチャーの想像力を長期的に捉える能力。Trent Reznor もその能力に秀でていると Poppy は考えています。もちろん Beck も。いつか Poppy がコラボレートを果したい偉人たちです。
「自分の成長を通して、リスナーも共に成長してくれることを望んでいるのよ。」

ただし、彼女の路線変更は既存のファンを犠牲にする可能性を孕んだギアチェンジでもあります。実際、”I Disagree” のオープナー “Concrete” には、”快適と不快を行き来する” “よく分からない” “双極性障害の曲” といった批判的なコメントも寄せられてています。
「SLIPKNOT, BABYMETAL, QUEEN, THE BEACH BOYS が一緒に作曲したみたいなんてコメントもあったわね。嫌いじゃないわ。」
Poppy の進化には今のところ、確かにメタルが含まれます。ただしそれ以上に重要なのは、”I Disagree” が彼女が音楽を作り始める以前に YouTube で構築した自身のペルソナから一歩踏み出したことでしょう。
「”I Disagree” は私のファーストアルバムのように感じているの。以前リリースした2枚のアルバムは、私の YouTube チャンネルのストーリーラインに沿っていたから。だから自分の足で立つことが出来たこの新たな音楽はまるで旅立ちね。他のアルバムは YouTube のコンテクストにある Poppy だったのよ。」

以前の作品と “I Disagree” の違いはそれだけではありません。初期の彼女のリリックは、間違いなく現代を覆う倦怠感を中心に展開されていました。SNS によって引き起こされる不安と、容赦のない情報の攻勢。彼女のペルソナ同様、そのリリックが音楽より先行していた一面は確かにあるはずです。”I Have Ideas” と題された YouTube 動画でかつて彼女はこうマントラを繰り返していました。
「携帯を充電するたび、新たな命を吹き込むわ。そして携帯が私を定義するようになるの。携帯が死ぬ時、私も死ぬわ。」
ダブステップで魂を吸い上げる “Bloodmoney” で宗教的な抑圧を、Madonna と Manson の落とし胤 “Fill the Crown” で個人主義とエンパワーメントをフォーカスした Poppy の旅路は以前よりも確実に多様です。
“Sit / Stay” は90年代の PRODIGY? 緊張と緩和を突き詰めたオペラティックなプログメタルエピック “Don’t Go Outside” での幕引きも完璧。JELLYFISH までふわふわと漂うアルバムにおいて、もちろん、トリップホップと Nu-metal の狭間で「私はあなたに同意しません」と大衆が共有しない予想外の世界を望むタイトルトラック “I Disagree” は進化の象徴。
「歌詞のテーマは間違いなく制作中に感じたことよ。他人や自分に根ざしたフラストレーションによってね。”Nothing I Need” は一番大切な曲よ。初めて、欲しいものは全てここにあるけどそれでも前へ進んで大丈夫だって感じられたの。今が十分幸せでも何かを追求して構わないんだって楽曲なのよ。」

同時に、英国のポップ感覚、Billie Eilish のビート、メタルリフの猛攻に NINE INCH NAILS のダークリアルムを内包するアルバムは近年のチルなポップミュージック、さらに自らのヒットシングル “Lowlife” とも何光年もの隔たりがあるようにも思えます。
「私が愛してきた全てを注ぐことができたわ。完全に自由になって、アルバムが完成するまで他人に意見を述べることを許さなかったから。例え意見を受けたって、実際に考慮したりはしなかったわ。自分にとって幸せで誇りに思うものを作ったばかりだけど、ツアーでアルバムの曲を聴いてみたいともう思っているの。全てが正しいと感じているから。」
クリエイティブパートナー、Titanic Sinclair との別れはまさに破壊からの自己再生。その回復力と新たな自由を享受する Poppy の生命力には目を見張ります。
「私を封じようとする、押さえ込もうとする人たちに対抗する力を再び取り戻したのよ。」

ロボットよりもカウボーイとカントリーミュージック、田舎の仕来たりが未だ根強いナッシュビルで生まれ育った Poppy がアウトサイダーとして見られたことは容易に想像出来るでしょう。ダンサーを目指しながら彼女は幼少期の大半をベッドルームで過ごしています。公立学校に馴染めず、ホームスクールで勉強を続けました。
「意図的に様々なことから距離を置いていたのよ。公立学校に良い思い出はないわね。ほとんど喋らなかったから、からかいの対象になっていたの。痩せっぽっちで静かなヤツだってね。」
故にある程度オンラインの世界で育ったことは Poppy も認めています。
「インターネットが先生だったの。それにファーストアルバム “Poppy.Computer” の中で、”私はあなたのインターネットガール” って歌っているしね。だけど自分の人生全てをオンラインに委ねている若い子たちと比較すれば、私は自分自身をどのように提示して、何をオンラインにするか賢明に選択していたわ。それは幸運だったと思うの。インターネットだって永遠ではないわ。そのことを真剣に受け止めている人が少なすぎると思うのよ。」

実際 Poppy は “I Disagree” でオンライン世界についてよりも、個人的な経験を多く語っています。SNS に費やす時間も過去に比べて大きく減少しているのです。
「前とは違うやり方でやっているわね。基本的に Instagram を使っているの。Twitter は全く使わないから Instagram がファンと交流する場所になっているのよ。だけどファンのコメントを読むのは最初にポストした時だけ。時間をおいて考えすぎた人のコメントを読むのは危険だわ。タフな世界だけど、私はそれを認識して敬意を払うようにしているわ。もちろん、スーパーコンピューターにもね。」
SNS 自体の在り方も変化していると Poppy は考えています。
「SNS も最初は良かったのよ。でも最近では、悪意と怒りとモブと誤情報に溢れている。振り子のようなもので、きっと良い時もあれば悪い時もあるのね。できればその中間で落ち着いて欲しいのだけれど。そうでなければ、新たなインターネットを作るしかないわね。きっと出来るわ。」

かつて AI アンドロイドを気取った彼女の主張にはテクノロジーへの恐れも含まれています。FEVER 333 をフィーチャーした “Scary Mask” は AI についての楽曲。
「もうちょっとみんなに考えて欲しいのよ。だって最終的に AI は人類を凌駕し、きっと滅ぼしてしまうわ。だから毎日 AI に餌をやる前に少し考えてみて欲しいの。そうすれば、そのプロセスを遅らせることは出来るはずよ。」
新たなステージへと到達した Poppy ver. X はジェンダーの観点からも変化を見せ始めています。”Am I a Girl?” で少女でいることを楽しんでいた Poppy の姿はもうそこにはありません。
「作品をシネマティックで美しく、怒っていてエモーショナルにしたかったの。ジェンダーに関係ない方法で力を受け取って欲しいのよ。」
きっと、2020年の “名声” には2つの層が存在しています。1つは、伝統的な俳優、テレビスター、ポップスター。もう1つ、世界が無視出来なくなっている新たな名声こそ、フォロワー数百万を誇る SNS スターや YouTube セレブでしょう。もちろん、これまでと異なる出自の後者の実力には懐柔的な見方も存在するのは確かです。しかし、そのポスターガールと言える Poppy の成長、多様性、アーティストとしてのクリエイティブなビジョンを見れば、20年代さらにインターネットからトップスターが飛び出すことは決定的と言えるでしょう。

参考文献:REVOLVER MAG:POPPY: INSIDE THE SHAPE-SHIFTING, METAL-EMBRACING WORLD OF “YOUR INTERNET GIRL”

NME:The Big Read – Poppy: Human After All

DIY: JUST A GIRL: POPPY

KERRANG!:POPPY: “I’VE NEVER SAID MY MUSIC IS METAL… WE’RE TURNING A NEW PAGE”

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THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019


THE 100 BEST MELODIC HARD ROCK ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019

1: W.E.T. “Earthrage” (2018)

WORK OF ART, ECLIPSE, TALISMAN。メロディックハードの幾星霜に足跡を刻んだ三雄を頭文字に戴くスーパーグループ W.E.T.。WORK OF ART と ECLIPSE。2000年代以降、TALISMAN の遺志を継ぐように現れたメロディックハード希望の星は明らかにこの両雄でした。片や洗練の極みを尽くす AOR、片や情熱と澄明のハードロック。
しかしインタビューで語ったように、スウェーデンの同じ学校から輩出された2つの綺羅星 “W” の象徴 Robert Säll と “E” の象徴 Erik Mårtensson は、至上のメロディーを宿すシンクロニティー、宿命の双子星だったのです。実際、2人の邂逅は、AOR とハードロックの清新なる渾融を導き、ジャンルのレジェンド Jeff Scott Soto の熱情を伴って唯一無二の W.E.T. カラーを抽出することとなりました。
FOREIGNER の哀愁、SURVIVOR の理想、JOURNEY の夢を、奇跡にも思える有機的な旋律の蒸留、ハーモニーの醸造、ダイナミズムの精錬を経て創造した “Earthrage” は、一部の隙も無駄もないメロディックハードの殿堂。
「メロディックハードロックがまたチャートの頂点に戻れるとは思えないね。そして僕はそれで構わないと思っているんだよ。」

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2: ROB MORATTI “Victory” (2011)

メロディックハードはメロディーだけが優れていれば良い。そんなリスナーは意外と少ないのではないでしょうか。90年代から00年代初頭にかけて活躍したカナダの VON GROOVE には、同郷の HAREM SCAREM にも似て、インストゥルメンタルパートからも鋭い自己主張とユニークなセンスが垣間見れたバンドでした。
そんな VON GROOVE のギタープレイヤー Mladen の協力を得て MORATTI を立ち上げ、後に彼と FINAL FRONTIER を結成した不世出のシンガーこそ Rob Moratti でした。
天上に突き抜けるメロディーの煌めき、芳しきハーモニーの躍動を全編に施したアルバムは、同時に Reb Beach, Tony Franklin, Fredrik Bergh (STREET TALK), Brian Doerner (SAGA) といった手練れたちの音芸を披露する美しき演武場にもなりました。テクニックの躍動は、MAROON 5を想起させるメインストリームへの接近をも、ドラマティックなロックの浪漫へと変化させるのです。
エレクトロの仄かな香りは隠し味。Rob がプログレッシブなサウンドを得意とする SAGA に一時期加入したことも、作品の創造性に寄与したでしょうか。そして全てを繋ぐのは Rob のカリスマティックな声そのもの。
「とにかく、出来るだけメロディックにしようとした。パワフルで卓越したソングライティングとミュージシャンシップを備えながらね。」

3: ZIGGY “2017” (2017)

人間椅子、筋肉少女帯、聖飢魔II。ジャパニーズハードロックの再評価が進んだ2010年代において、ZIGGY の苦闘を忸怩たる想いで眺めるファンは少なくないでしょう。
カルト的、サブカル的、アピアランス的に特化した、所謂 “イロモノ” と呼ばれたバンドを正当に評価することは当然素晴らしい傾向です。しかし、ただ素直に、正直に、自由にロックを追求し続ける ZIGGY の無垢なる魂を受け止められる場所は、日本にもはや存在しないのでしょうか?
セルフタイトルを冠した復活の狼煙 “2017” には、”Hot Lips” のバッドボーイロックも、”Yellow Pop” の優しいポップセンスも、”Zoo & Ruby” のマジカルで繊細な箱庭も、”Heaven and Hell” のメタリックな音像も、全てがスケールとゴージャス感を増して宝箱のように詰め込まれているのです。
メランコリックで劇的で、虹のようでもあり、時にノスタルジック。端的に言って、クリシェの王、森重樹一が奏でる森重節は日本の宝でしょう。最新 EP のタイトルは “I Stay Free Forever”。カッコいい!!!としか言いようがありませんね。

4: SMASH INTO PIECES “Rise And Shine” (2017)

「2004年、SONATA ARCTICA と WITHIN TEMPTATION のライブがメタルへの入り口だったね。まあ酔っていてほとんど覚えていないんだけど。PRETTY MAIDS のタトゥーも入っているよ。”Jump the Guns” のアートワークさ。」
EDMとヒップホップに奪われたアリーナの主役を奪い返すのはきっとスウェーデンに示現した5人の野心家でしょう。人気TV番組 “Sweden’s Got Talent” でセミファイナルまで進出したヤングガンズは、もはや世界中のメロディーを愛するロックファンにとって期待の的で希望の光です。
北欧の風を浴びた NICKELBACK。SIP の想像を絶するスケール感と旋律の魔法を表現するならこの言葉が相応しいでしょうか。ただし、彼らのメランコリーとエモーションはエレクトロニカに向けられた冒険心と溶け合い華麗なダンスを踊ります。
「俺たちと俺たちの夢を遮るものは何もない。SMASH INTO PIECES だ!」
SIP の “エレクトロック” は止まりません。

5: VOLBEAT “Rewind, Replay, Rebound” (2019)

「俺たちは一つのスタイルに固執したりはしない。VOLBEAT にはメタルも、ロックも、ロカビリーも、カントリーも、ブルースも、ゴスペルも、その全てが入っているんだからね。」
デンマークから西部劇を演ずるアンセムメイカー VOLBEAT は、円熟の “Rewind, Replay, Rebound” で70年代のポップスまで存分に咀嚼し、その多様でしかしキャッチーな音の葉のスケール感を何倍にも飛躍させました。
「巻き戻し、リプレイし、反発する。このアルバムタイトルは過去の音楽、楽曲をより強力にして2019年に叩きつけるって意味があるんだ。重要なのは、俺たちが早い時期から自らのシグネチャーサウンドを見つけられたことなんだ。いつだって斬新な音楽には興味を惹かれるけど、それでも俺らの基本は変わっちゃいない。」

6: GODSMACK “When Legends Rise” (2018)

「僕たちは最初からメタルバンドだと思ったことはないんだ。ちょうど Nu-metal が勃興し、KORN や LIMP BIZKIT と同時代にデビューしたからそのカテゴリーに入れられただけでね。Nu-metal に入れられるのはまっぴらゴメンなんだ。」
今や DISTURBED と並びアリーナロックの代表格。ALICE IN CHAINS の曲名をその名に掲げるマサチューセッツのレジェンドは、Nu-metal へのアレルギーを隠すことはありません。
「僕たちの音楽を聴いて、Nu-metal みたいなユニークサウンドを感じることはないだろう。僕たちはただハードロックバンドなんだ。もちろん、初期の頃は当時聴いていたバンドの様々な影響がサラダのように現れていただろう。それでもピュアなメタルバンドだとは思わないよ。」
実際、”When Legends Rise” でビッグヒットとなった “Bulletproof” はその確固たる証明でしょう。ビッグなシンセとアクセシブルなヴァイブ、そして漢の哀愁を封入した楽曲は、それでも完璧なまでにハードドライブを続ける新たなロックアンセム。
「毎年毎年、メタルヘッズが気にいるかなんて気にかけながら作品は作れないよ。再生と実験こそ今の我々に相応しい言葉だよ。」

7: CHRIS BAY “Chasing the Sun” (2017)

「僕は異なるスタイルのマテリアルを常に作り続けているんだ。ただメタルを書いて生み出し続ける “メタルマシーン” みたいにはなりたくないからね。僕は異なる顔を持ったアーティストなんだ。アーティストになった理由も、全ての束縛から自由になりたかったからだからね。」
ハッピーメタル十字軍 FREEDOM CALL のフロントマンは、今ではメタル世界随一のメロディーメーカーです。それを証明したのが太陽のソロレコード “Chasing the Sun” でした。
「おそらく、両方の感覚があるんだろうな。僕は間違いなくオールドスクールなソングライターなんだけど、同時にモダンな音楽にも合わせていこうとしているからね。」
Chris のポップセンスはモダンにアップデートされていて、典型的なロックのイヤーキャンディーにメインストリームの計算された洗練を巧みに練り込んでいます。ディスコやトラッド、クラッシックなセンスにコンテンポラリーなチル、EDMのイメージをさらりと取り込む柔軟さは Chris ならでは。
「チャートに入ることはレコードレーベルの働きと、バンドのステータスに対する評価にはなるね。だけど、間違いなく音楽のクオリティーを評価する基準にはならないんだよ。それよりも、僕はファンのリアクションやツアーの結果の方が気になるね。」

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8: MIDNITE CITY “There Goes The Neighbourhood” (2018)

「POISON のダイハードなファンしかわからないだろ?」
POISON の “Nothin’ But A Good Time” のビデオクリップをイントロダクションに幕を開ける “There Goes The Neighbourhood” は大都市を彩る危険な夜のゴージャスなサウンドトラック。完璧なまでにスリージーな “New Wave of Hair Metal” の象徴です。
TIGERTAILZ のフロントマン Rob Wylde を中心に結成された UK の希望が贈る快作には、ハーモニー、シンセ、ギターシュレッド、そして耳を捉える絶妙なフック全てが十二分に詰め込まれ、夜の街をオープンカーで疾走することを目的にのみ設計されたかのような高揚感を全編に配しています。
BON JOVI の “7800° Fahrenheit” や DANGER DANGER のデビュー作に、清涼感を加えて現代にアップデートしたようなイメージでしょうか。
「DANGER DANGER には大きな影響を受けている。それに DEF LEPPARD, WARRANT の Jani Lane は大好きさ。」

9: CRAZY LIXX “Forever Wild” (2019)

スウェーデンのマルメから虎視眈々と世界を狙う New Wave of Hair Metal の旗手 CRAZY LIXX。”Forever Wild” のタイトルが示すように、SKID ROW のデビュー作をイメージさせるバッドボーイの青く危険なハードロックは、同時に DEF LEPPARD の分厚いコーラス、TREAT の冷気を纏いながら名作へと進化を遂げました。
「”Eagle” は典型的な CRAZY LIXX の曲じゃない異なるタイプだよね。キーボードが牽引して、ギターリフも変わっている。僕が普段聴いているような “ポップドライブ” な楽曲だけど、以前は試してこなかったんだ。メンバーが気に入ってくれて、この方向に進むことが出来てとても嬉しいね。」

10: ONE DESIRE “One Desire” (2017)

「俺たちはメロディックハードロックバンドだ。最高にコマーシャルでキャッチーな枠組みにハードロックを落とし込もうとしているんだよ。」
STURM UND DRANG と CAIN’S OFFERING の混成チームで出航した ONE DESIRE は、ECLIPSE の才能 Erik Martensson の助力までも貪欲に取り込んだメロディックハードの罪深き野望です。
パワフルでエモーショナル、ワイドなレンジを伸びやかに制覇する Andre Linnman の成長を遂げた歌声は、現代的なプロダクションと卓越した作曲術の海原で自由を謳歌します。疾走と悠久を行き来する煌びやかなアルバムにおいて、一層ラジオフレンドリーでメインストリームに接近した “Falling Apart” は AOR の未来を鮮やかに照らし出していますね。

11: THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA “Sometimes The World Ain’t Enough” (2018)

SOILWORK と ARCH ENEMY のメンバーで構成されたある種のスーパーグループは、しかしリスナーの想像に反してクラッシックロックのロマンを追求しています。
REO SPEEDWAGON, SUPERTRAMP, FOREIGNER , それに当時のディスコヒットがターンテーブルでシャッフルされる感覚。まるで70年代に埋められたタイムカプセルを4, 50年後に開封するような音旅は、しかし同時に現代のテクニックとプロダクションで強烈なドーピングも加えられているのです。
歌い手としての Bjorn Strids の進化と成長が TNFO の存在をノスタルジアからより意味のある芸術へと押し上げているのかも知れませんね。
「ベストなバンド?ドラマーは Cozy Powell, ギターは Mick Ronson, Jaco Pastorius がベーシストで、ボーカルは Jimi Jamison だね。」

12: MORON POLICE “A Boat on the Sea” (2019)

「様々なジャンルを股にかけることも大好きだね。メタルの要素が減退したから、これまでより多様になれた部分はあるだろうね。ポップミュージックは完膚なきまで崇高になり得るし、ポップミュージックがテクニックと重ね合った時、僕にとって最高に魅力的なものとなるんだ!」
ノルウェーの異形 MAJOR PARKINSON にも籍を置くユーティリティープレイヤー Sondre Skollevoll は、これまで充分に探索が行われて来なかったポップと崇高、ポップとテクニックの融合領域へと MORON POLICE で海図なき船出を果たしました。ノアの箱船で GENESIS の息吹、プログレッシブの遺伝子を守りながら。
「僕はゲーム音楽の大ファンなんだよ。特に任天堂のね。近藤浩治、植松伸夫、菊田裕樹、David Wise のような音楽家を聴いて育ったんだよ。僕はそういったゲーム音楽にとても影響を受けていると思うし、そのやり方を音楽に取り込んでいるんだ。」

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13: LOVEX “Watch Out!” (2011)

あの Miyavi をゲストに招いたように、日本のV系とも繋がりの深い LOVEX は、エレクトロやメインストリーム、オーケストレーションを恐れずハードロックへと内包して、近年のV系同様奔放なコンポジションでメロディック世界を何歩も進めたバンドでした。
「フィンランドの ENTWINE ってバンドを聴いて何かがスパークしたんだ。バンドを始めたいってね。俺たちはモダンなロックと80年代のメタロック、それにシンフォニックな要素をミックスしたバンドだよ。Nu-metal だって取り入れているしね。」

14: SHINEDOWN “Attention Attention” (2018)

「女性とその母親が僕たちに感謝を伝えに来たんだ。20代の彼女は、個人的な問題に苦しみ5年間家から出ることが出来なかった。だけど僕たちのショウを見るために遂に外出することが出来たんだって。嬉しいよね。」
NICKELBACK より連なるヤンキー漢の乾いた哀愁は SHINEDOWN にも宿ります。ただしダイナミックでエレクトロニックでオーケストリックでオーガニック。全米で1.000万枚の売り上げを誇るジャクソンビルの英雄は、そうして世界のロックファンに希望を運び続けているのです。”Attention Attention” は SNS や携帯電話が人生を侵食する現代社会へのハードヒッティングな注意喚起。
「どんなに音楽産業が変化しても、僕たちのアプローチは変わらない。ただストーリーを語り、メッセージを伝えるだけさ。」

15: TOM KEIFER “The Way Life Goes” (2013)

声を失い、母を失い、失意の底でそれでも這い上がる決意表明、CINDELLERA の “Still Climbing” は Tom の絶唱が収められた90年代ハードロックを代表する名盤でした。
ツアーは継続したものの、そこから復活の狼煙 “The Way Life Goes” まで実に20年。不屈の魂は、絶妙なポップセンスとブルース/ブラックミュージックの要素を完璧なまでにハードロックへと還元してみせました。
「俺にとってソングライティングとは人生そのものだ。生きて感情を得る。そこから全てが始まるのさ。人生は旅のようなもので、それを切り取るのに10年かかった。俺が経験してきたことだって特別じゃない。全ての人生がチャレンジだからね。朝起きて、仕事であれ何であれ、何かを乗り越え、成し遂げていくのが人生だよ。良きにつけ悪しきにつけ、人間はそうやって生きていく。俺はいつも希望の光を探しているし、前に進もうと努力している。」

16: WIGELIUS “Tabula Rasa” (2016)

SEXY ZONE にも楽曲を提供した Anders と Erik の WIGELIUS 兄弟を中心に結成されたスウェーデンの WIGELIUS は、敬愛する JOURNEY や BON JOVI のサウンドを一端分解して、コンテンポラリーなプラモキットのように組み立て現代に再構築しています。実に多様で、現代のメインストリームを研究した彼らのやり方は、他のハードロックバンドとは根本的に異なります。

17: TESLA “Shock” (2019)

「DEF LEPPARD の Phil Collen はずっと良い友人だったんだけど、今回はプロデューサーとして素晴らしい仕事をしてくれたね!」
L.A.メタルが輩出した綺羅星の中で、最も今を生きるバンドこそ TESLA なのかもしれません。バンドの持ち味である乾いた砂のブルースを保ちつつ、Phil Collen の助力もありバンド史上最もメロディック、アリーナロックの最高峰を実現した “Shock” の魅力は、否応無くシンガロングを誘う “We Can Rule The World” に集約されています。
「35年も続けられるなんていかに幸運か分かったよ。苦しい時は、きっと後に訪れる良い時を楽しむためにあったんだってね。」

18: KEE MARCELLO “Scaling up” (2016)

EUROPE にとって John Norum はもちろん不可欠なギタリストですが、Kee Marcello の存在も忘れるわけにはいかないでしょう。ペンタトニックを基盤にストームウインドを巻き起こす John に対して、Kee は色とりどりのスケールを縦横無尽に駆け抜け、緩急ソフィスティケートされた旋律とクリスタルトーンをその持ち味としています。
“Scaling Up” に収録されたグルーヴィーなブルースロック、キャッチーなハードロック、琴線に触れるバラードを聴けば、名作 “Out of This World” “Prisoners of Paradise” の多様な音の葉に Kee の才能が強く反映されていたことに気づくでしょう。
「”Scaling Up” は僕の今のサウンドを反映している。実際、今の僕は80年代初頭にキャリアを始めたころと同じくらいハングリーだと気づいたね。EUROPE で John Norum が僕のソロを演奏しているのを聴いたよ。悪く言いたくはないんだけど、弾けてないよ。まあ2人は全然異なる背景を持つからね。特に僕のタイミング、ルバートスタイル (感情の起伏にあわせて音符のスピードを変化させる) は独特だからね。」

19: ECLIPSE “Bleed & Scream” (2012)

W.E.T. の “E” として、NORDIC UNION の参謀としてもはやメロディックハード世界にとって不可欠な存在となった Erik Mårtensson の本業はこの ECLIPSE です。
スウェーデンの皆既日食が鮮明に見せるのは、WHITESNAKE が “1987” で提示したハードロックの雄々しき教科書を北欧の澄んだ風で染め上げた魔法の景色。”Bad Boys” “Children of the Night” に搭載された圧倒的な排気量のエンジンで、現代的かつ繊細な足回りを実現しているのは彼らだけなのかも知れませんね。
「アルバムに “そこそこ” な楽曲なんて俺たちは収録しない。とりあえず OK な楽曲なんて何度か聴けば飽きてしまうからね。それに古い曲ばかりやるクラッシックロックバンドにもなりたくないんだ。アルバムを出すたび良くなって、毎回 “クラッシック” を生み出したいね。」

20: WORK OF ART “In Progress” (2011)

「僕は TOTO をはじめとした David Foster & Jay Graydon が手がけた偉大なレコードと L.Aのシーンを発見したんだ。そういった音楽こそ、僕が今日でも最も楽しめるものなんだよ。当時の僕たちは、平日にジャズを学んで、週末に AOR を作曲するって感じだったんだ。」
21世紀の AOR と言えば WORK OF ART。洗練されたメロディーのロマンは北欧のマエストロによって継承されているのです。
“雨が来るよ。汚れを洗い流してくれるさ。君の中の疑念全てを共に連れ去ってくれるよ。恐れることは何もないんだ。”

21: FREE SPIRIT “All The Shades of Darkened Light” (2014)

北欧はメロディックハードの桃源郷であり続けます。90年代後半、フィンランドから登場した自由な魂たちは10年の苦難を乗り越えて2010年代に大輪の花を咲かせました。
クラッシックロックや AOR を根幹に、プログやコンテンポラリーなメタル、さらにケルトやフォークロアの音景までその身に宿す彼らの冒険は、特に北欧で大きな人気を誇ります。STRANGEWAYS meets DEF LEPPARD といった例えも決して大袈裟ではないでしょう。
「俺たちは様々な時代、様々なバンドの音楽を聴いてきた。その影響が全て俺たちの音楽に反映されているのさ。とはいえ、アリーナロック黄金時代のバンドが最も近くて重要なのは確かだけど。」

22: PRETTY MAIDS “Undress Your Madness” (2019)

80年代からメロディックハードの灯火を掲げ続けたデンマークの英雄は、新たな傑作のリリースを前に大きな危機に瀕していました。唯一無二のボーカリスト Ronnie Atkins が癌を患ってしまったのです。
「癌は体から除去された。とは言え戦いはこれからだ。5年間経過を見ていく必要があるからね。それでも嬉しいニュースに変わりはない。」
Ronnie の回復は全ハードロックファンにとっての福音です。確かに “Undress Your Madness” には “Back to Back” のような疾走ドラマティックチューンは収録されていないかも知れません。
ただし、現在の PRETTY MAIDS はスピードの魔法に頼ることなく、ロックの浪漫を余すことなく伝えることが出来るのです。Jacob Hansen とのタッグも円熟の極み。”Will You Still Kiss Me (If I See You In Heaven)” が象徴するように、ミッドテンポ、バラードの分野で彼らに敵うバンドは存在しないでしょう。

23: MOON SAFARI “Lover’s End” (2010)

「MOON SAFARI には Simon と Petter という2人のメインボーカルがいるよ。個人的には BEATLES, PINK FLOYD のようなダイレクトなボーカルのバンドが好きなんだ。ボーカルが複数いればストーリーを違ったやり方で伝えられる。俳優がステージに何人かいるようにね。一人芝居じゃなくて実際に会話を行えるんだ。それが僕たちがバンドでいる理由だよ。」
スウェーデンの新世代プログバンド MOON SAFARI には停滞気味の所謂”プログレ”シーンに新風を吹き込み、活性化させる事が大いに期待されています。別段、何か新しい事をやっている訳ではありませんし、演奏技術が特別優れているわけでもありません。ただ彼らの生み出すメロディーは BILLY JOEL や ELTON JOHN といったポピュラー音楽稀代のメロディーメイカー達に勝るとも劣らないほどのクオリティーを誇っています。
瑞々しく爽やかで突き抜けるような美しいメロディーに強力なコーラスワーク。これをプログロックのフィールドで具現化出来ているバンドは他に A.C.T くらいではないでしょうか。

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24: OUTLOUD “Virtual Hero Society” (2018)

ギリシャが誇る FIREWIND のブレインの一人 Bob Katsionis は多才な男です。キーボードとギターを同時にこなし、正統派メタルからネオクラシカルまで何でもござれ。それでもシーンきっての名シンガー Chandler Mogel と手を組んだ OUTLOUD は、その極上のクオリティーと想像を超えた音楽性でハードロック世界を驚かせています。
70s, 80’s のクラッシックロックやディスコのノスタルジアを根幹に、コンテンポラリーなエレクトロニカの響きをパワフルに涼やかに織り込んだレトロフューチャーなタペストリーにはメロディックハードの未来が描かれているはずです。
「最初にカバーしようとしたのは、Rick Astley の “Never Gonna Give You Up” だったんだけど上手くグルーヴが掴めなかったね。だから POINT SISTER の “I’m so Excited” に決めたんだよ。」

25: EDGE OF FOREVER “Native Soul” (2019)

21世紀、Frontiers Music が存在しなければメロディックハードは消滅していたかも知れません。重量や技術に比重が置かれ加速していったメタル世界で、Frontiers はメロディーのオアシスであり続けています。中でも、Joe Lynn Turner から Tony Harnell, Geoff Tate まで稀代のシンガーを蘇らせ続けるマルチインスト奏者 Alessandro Del Vecchio のやはりマルチな才能はレーベルにとって不可欠な存在でした。
そんな多忙な Alessandro にとってホームとも言える自らのバンド EDGE OF FOREVER でのリリースは実に10年ぶり。しかしこれほどの作品を突きつけられれば、長い冬眠にも不満を漏らすことは出来ないでしょう。
原始の目覚めを封じたアカペラハーモニーから、洗練の LYNCH MOB とでも例えるべきタイトルトラックの流れは実に斬新でインパクト充分。さらに “Carry On” の突き抜ける爽快と仄かな哀愁はアルバムの骨子となり、ネイティブアメリカンをイメージさせる乾いたグルーヴと混ざり合いユニークな音景色を展開していきます。
「”Native Soul” はとても深く、スピリチュアルなレコードだよ。そして何より実にポジティブだ。君たちの夢を妨げることは誰にも出来ないって伝えたかったからね。」

26: THE DEFIANTS “The Defiants” (2016)

Ted Poley, Andy Timmons を表の DANGER DANGER だとするならば、Paul Laine と Rob Marcello の THE DEFIANTS は裏 DANGER DANGER とも言える存在です。ただし、”裏” は “表” を凌ぐほどにメロディックかつスリリング。
Paul の歌唱はただただ圧倒的で、美しく重なるボーカルハーモニー、ツボを得たコーラスワーク、そして理論と感情を素晴らしく融合させる Rob のフラッシーなリードギターと混ざり合い、アリーナロックヘブンを創造していきます。当然、Bruno Ravel、そして Steve Morse との仕事で知られる Van Romaine のリズム隊もタイトにダイナミズムを提供します。
「Ted は THE DEFIANTS を始めるって言ったら、なんて事だ、DANGER DANGER はもうお終いだ!って感じだった。だから、ただのプロジェクトだと言ったんだ。それでももうお終いだ!と言うから、落ち着けよ、お終いだったのは30年前だろ?ってなだめたよ (笑)」

27: GATHERING OF KINGS “First Mission” (2019)

スウェーデンのハードロックオールスターズを目指し Ron Dahlgren が立ち上げた “GoK” は、いつしか AVANTASIA を彷彿とさせる豪華でハイレベルな “王の集い” へと進化していたのです。
SPIRITUAL BEGGARS の遺伝子を引く SAFFIRE で活躍する Victor Olsson の、アートワーク通りのロックロマン、ノスタルジアを封じたコンポジションとフレーズセンス、エモーションは明らかに卓越しています。
そこに、Bjorn“Speed”Strid, Apollo Papathanasio, Erik Martensson といった百戦錬磨がその色を多彩に加えていきます。THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA を PHENOMENA 的なやり方で、よりゴージャスに再現したとも言えるかも知れませんね。

28: A.C.T “Circus Pandemonium” (2014)

「際立っていて、妥協せず、恐れないようなバンドが好きだね。 Freddie Mercury はヒーローだね。」
プログメタル世界では界隈では異質すぎる突き抜けたポップセンスはそのままに、ダークでハードなエッジが加味された人類未踏のエピック。QUEEN はもちろん、それ以外にも TOTO, POLICE, さらに80年代の所謂ネオプログ全てを抱きしめたメロディーのダンスは雄弁かつシアトリカルにリスナーへと語りかけます。
「日本の人たちは新しく、クリエイティブで革新的な音楽によりオープンな気がするよ。同時に大衆的なものより際立っているものが好きなんじゃないかなあ。 A.C.T は本当に際立っているバンドだからね。」

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29: TED POLEY “Modern Art” (2016)

DANGER DANGER の “声” が、エレクトロニカを巧みに取り入れた北欧メロディックの新鋭 DEGREED とタッグを組み創世したハードロックの “モダンアート” は新世界を切り開く奇跡の一枚となりました。DEGREED のコンテンポラリーなポップセンス、エレクトロの香りは Ted 渾身のパフォーマンスと滑らかに溶け合い、優美なハードロックの絵画を描きあげています。
「この作品を誇りに思うし、キャリアでも過去にないほど最高のパフォーマンスを残すことが出来たと思うね。」

30: CATS IN SPACE “Day Trip to Narnia” (2019)

THE SWEET、AIRRACE、MORTIZ などで活躍したベテランたちが結成したクラッシックロックの奇跡は、猫の目の場面転換でレコードという物語に劇的なドラマを宿します。
「僕たちが聴いて育った70年代のロックバンド、QUEEN や GENESIS といった偉人たちはしっかりと楽曲をチャートに送り込んでいた。だから僕たちも非常にチャートフレンドリーなんだ。全曲がラジオを意識して作られているよ。」
実際、”Day Trip to Narnia” には、QUEEN, ELO, 10cc, SUPERTRAMP の残り香とノスタルジア、そして叙情を胸いっぱいに吸い込みながらキャッチーをも突き詰めた極上のプログハード絵巻が広がっているのです。

31: H.E.A.T “Tearing Down the Walls” (2014)

北欧に新たなメロディックハードの波を誘ったのが H.E.A.T であるのは確かでしょう。ボーカルが繊細な前任者からパワフルで伸びやかな Erik Grönwall へと受け継がれたことで、よりアリーナを意識したビッグでゴージャスな広義のハードロックへと挑戦が可能になりました。アートワークの変遷も決意の表れ。
「メロディックロック/AOR に80年代初期のアメリカのサウンドを加えて H.E.A.T は始まったんだ。10年が経って、僕たちは自分のサウンドを見つけたと思う。ある種予測可能なね。だけどそれでも僕たちは実験と挑戦を続けている。そうして胸を張って2010年代のメロディックロックと言えるアルバムを完成させたんだ。」

32: VON HERTZEN BROTHERS “War is Over” (2017)

「“To The End Of The World” のリフは確かに日本や中国、インドで使用されるオリエンタルスケールを使っているね。KINGSTON WALL は90年代初頭、僕たちにとても大きな影響を与えたんだよ。それに、Kie は Perti Walli (KINGSTON WALL の創立者、故人) と別々の道を行くまで一緒にプレイもしていたからね。僕だって何度も彼らのギグでパーカッションをプレイしたんだよ。さらに勿論、僕たちのドラマー Sami Kuoppamäki はあの伝説のバンドのメンバーだったよね。彼は “War is Over” でもプレイしているし、そういった様々な縁があのバンドの感覚を想起させるんだと思うな。」
フィンランドミュージックシーンにおける至高のファミリービジネス、VON HERTZEN BROTHERS。母国、そして UK では押しも押されぬビッグバンドのロックモンスターがリリースした最新作 “War is Over” は、更なる大望を抱き変化を志した新たなチャプターの幕開けです。
Kie, Mikko, Jonne の三兄弟を中心とする VON HERTZEN BROTHERS の音楽は、多様で豊潤なカレイドスコープです。ピュアなクラッシックロックからプログ、ポップ、オルタナティブにワールドミュージックまでナチュラルに横断する神秘のコンポジションは、パワフルかつイマジネーティブなジャンルの交差点として異彩を放っていますね。

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33: NITRATE “Open Wide” (2019)

Nick Hogg が MIDNITE CITY の Rob Wylde とタッグを組み、VEGA の Marcus Thurston, ex-EDEN’S CURSE 現 MIDNITE CITY の Marcus Thurston を召喚。さらに Harry Hess のプロダクションとオールスターキャストで送るメロディックハードスーパーグループの2ndアルバム。
ZINATRA の “Great Escape” に感銘を受けて依頼したというボーカル Joss Mennen の湿った歌声を軸に、初期 TEN、もしくは Jimi Jamison のようなミッドテンポで緩やかに心を溶かす味わい深いハードロックを聴かせています。

34: VEGA “Kiss of Life” (2010)

KICK の Nick Workman が KHYMERA, SUNSTORM で知られる Martin 兄弟とタッグを組んだ英国の強力なハードロックコレクティブ。デビュー作にしてこのフック、充実のメロディー。伸びやかで爽快、しかし時に湿り気も帯びた感覚は北欧のバンドと見紛えるほど。同時にエレクトロの隠し味を巧みに配分していますね。
以降、よりアリーナロックに接近しながら、Frontiers の優等生としてコンスタントにリリースを重ねます。Harry Hess がお得意のハーモニーワークを振るった “Who We Are” も傑出したレコードでしょう。
「もちろん、VEGA はメロディックロックの世界に存在していると思う。だけど、世界にはピュアな AOR をプレイするバンドは5万と存在する。だから僕たちは他の要素もミックスしながら、リスナーをリフレッシュさせたいと望んでいるんだ。」

35: WHITE WIDDOW “Serenade” (2011)

ボーカル、キーボードの Millis 兄弟 がギタージーニアス Enzo Almanzi を誘って結成した、オーストラリアの白の奇跡は、SURVIVOR や DOKKEN の遺伝子を胸いっぱいに吸い込んで、エッジーかつキラキラな旋律の洪水を生み出します。
よりプロダクションが充実し、AOR の日差しを受け止めた Harry Hess の落とし胤 “Silhouette” も好盤ですし、最新作 “Victory” の哀愁も絶品ですが、”Serenade” の時代錯誤とも言える80年代真っ只中のインパクトは強烈なものがありました。
「NIGHT RANGER, SURVIVOR, WHITE SISTER, GIUFFRIA が4大バンドさ。80年代の煌めくキーボードオリエンテッドなアリーナロックを目指しているのさ。」

36: NIGHT RANGER “Somewhere in California” (2011)

2010年代の NIGHT RANGER は一言でいって神がかっていました。3枚のアルバム全てが傑作のクオリティーを誇り、80年代をも凌ぐようなエネルギーと創作意欲を見せていたのですから。
Jeff Watson が抜け、後任の Joel Hoekstra が WHITESNAKE に引っ張られ、Alan Fitzgerald までもいなくなっても微塵もそのポジティブなパワーが失われることはありませんでした。ドーピングを疑うほどにカリフォルニアな太陽のメロディー、期待通りのハッスルマッスルなギターデュエル、カラフル極まるハーモニーとコーラスワーク。ホロリと泣かすバラードの配置も絶妙です。
「NIGHT RANGER のショウは本当にインタラクティブなんだ。公演場所で起きたらセットを考えるから、毎晩異なるセットリストになるよ。だからとても長くやる日だってあるし、影響を受けたバンドの曲を加えたり、僕の DAMN YANKEES の曲だってやる時もあるんだからね。」

37: JONO “Silence” (2015)

北欧がメロディックハードの桃源郷であり続けていると言っても、EUROPE や FORTUNE, NATION といったクリスタルの煌めきを再現しているバンドは決して多くはありません。JONO は彼らの遺伝子をよりドラマティックに、シアトリカルに引き継いだスウェーデンの良心です。
とは言え、彼らが紡ぐ北欧の風は、先達ほどメタリックではなくむしろ QUEEN, ABBA, YES, SUPERTRAMP のポップフィールを基盤としています。それでも咽び泣くJohan Norrby の歌声は時に重量感を、時に白昼夢を提供するオペラティックな楽曲とシンクロし、絶佳のスカンジナビアエピックを創世するのです。

38: SEVENTH KEY “I Will Survive” (2013)

KANSAS のベースマン Billy Greer が CITY BOY の Mike Slamer と結成したプロジェクト10年ぶりの作品。KANSAS の盟友 David Ragsdale が奏でるヴァイオリンを組み入れて、プログレッシブでハードドリブン、それでいて豊潤なメロディーを存分に堪能できる好盤に仕上がっています。ハモンドのアクセントも抜群ですね。

39: BROTHER FIRETRIBE “Heart Full of Fire” (2013)

NIGHTWISH の Emppu が立ち上げたソロワークは、LEVERAGE の Pecca を誘いフィンランドの一大ハードロックプロジェクトとなりました。JOURNEY を想起させる雄弁で純粋なメロディックロックは、U2のリリカルなイメージさえ伴ってリスナーに祈りの炎の届けるのです。
「人生はマックスまで楽しまなくちゃ。生きていられるのはとても短い間だけ。あとは神のみぞ知るだからね。とにかくその短い期間を楽しむべきだよ。」

40: WINGER “Better Days Comin'” (2014)

「懐古と技巧の考え抜かれたブレンド」とは言いえて妙。再結成後リリースした “Ⅳ” と “Karma” のブレンドとも言えるアルバムは、ハードドライブとオルタナティブ、そしてプログレッシブを行き来する完璧な配合のアルバムとなりました。
もちろん、Kip Winger, Reb Beach, Rod Morgenstein のテクニカルメーターに異常が発生する訳もありません。それにしても “Pull” を今の耳で聴くとドーピングマシマシの KINGS X 的で異常に刺さりますね。
「”In The Heart Of The Young” に特別目標なんてなかったよ。自分でも何をやっているのかよく分かっていなかったくらいでね。誰も僕たちのデビュー作が200万枚も売り上げるなんて期待していなかったしね。セカンドアルバムも100万枚近く売れた。それでもっとプログレッシブなことをやろうと考えたのさ。」

41: WAKE THE NATIONS “Heartrock” (2019)

THERION や ONE DESIRE, ECLIPSE のメンバーが全面協力、さらに RECKLESS LOVE の Ilkka がプロダクションを担当したフィンランドの新鋭。TERRA NOVA と EUROPE の美味しいところをミックスしたような “Midnight Lover” を筆頭に、極上のメロディックロックが並ぶ新たなマスターピース。それにしても北欧のバンドが半数以上を占めていますね…

42: HAREM SCAREM “Thirteen” (2014)

HAREM SCAREM はメタリックなニュアンスの影で QUEEN になり損ねたバンドだと、近年強く思うようになりました。90年代初頭からメロディックハードを牽引し続けたバンドの復活作は、あまりにメロディックで、あまりにテクニカルで、あまりにプログレッシブです。
以前よりもオーガニックに、Harry Hess の感情豊かなボーカルを浮き出させるプロダクションは決して間違いとは思えません。Pete Lesperance は未だ Ronni Le Tekro と並んでギターを立体的に使用可能なハードロックの建築士であり続けています。ロックの範疇で限界まで挑戦を続けるカナダの雄は、それでも QUEEN の何千万分の一かの評価しか受け取ることが出来ていません。
「全てはタイミングのせいだ。3, 4年遅すぎたね。もしファーストアルバムが80年代中盤にリリースされていたら…ね。”Mood Swings” はさらに遅すぎたし、”Voice of Reason” はグランジを直撃してしまった。」
2020年代をきっと代表するハードロックチューン、最新シングル “The Death of Me” が全ての状況を変えるはずです。

43: FAIR WARNING “Sundancer” (2013)

MR. BIG と並び、FAIR WARNING を始まりの場所とする日本のロックファンは少なくないでしょう。彼らが掲げた愛と勇気と友情は、ほんの子供だった私たちにとって悪ガキ MOTLEY CRUE よりも、邪悪な SLAYER よりも眩しく見えたのは事実です。
白髪は増え、多少生え際が後退しても、糖尿の疑いがあったって、FAIR WARNING が今も愛のために戦い続けていることで、当時彼らを誇りと共に敬愛していたファンはどれほど勇気づけられるでしょう。きっと、”Aura” の “Fighting For Your Love” はオジさんを迫害する社会へと突きつける愛の讃歌であるはずです。今でも Tommy の喉は張り裂けんばかりに高みを目指し、Helge のスカイギターはその高みを超えて遥か彼方の宇宙まで到達するのです。
「”Fighting For Your Love” は “Go” の楽曲よりもメロディアスだよ。パワーとメロディーを融合し、祈りを込めてエネルギッシュにパフォーマンスを行う典型的な FAIR WARNING の楽曲さ。」 Zeno Roth を失っても私たちには FAIR WARNING が共にいます。

44: TEN “Illuminati” (2018)

Gary Hughes は決して広い声域やパワフルな喉を持ったシンガーという訳ではありません。そんな限られた素材で、これだけ魅力的なハードロックを創造し続ける才能には感服せざるを得ないでしょう。何より、Gary の深い中音域には心の奥底を擽るような安心感と魅力が混在しています。初期から時に織り込んできたケルトの響きも軽やかに TEN の楽曲へと溶け合い、Vinny Burns こそ不在ですが、彼ら特有の陰りを帯びた英国ドラマを再びリスナーへと届けるのです。Gary の興味は現在、ドラキュラやジキルとハイド、イルミナティーといった怪しい伝承に向いているようですね。
「実は数年前、Vinny と FireFest で共演する機会があったんだ。彼とまた会うことが出来てとても嬉しかったし、最後に話してからこれほど長い時間が経っていたなんて信じられなかったね。どんな風になるかは分からないけど、今は近い将来また彼と音楽を作るって確信しているよ。」

45: AUTUMN’S CHILD “Autumn’s Child” (2019)

Mikael Erlandsson が傑作 “The One” を放ってから約四半世紀。今でも彼のメロディーセンスには一分の翳りも見えません。Marcel Jacob が遺した LAST AUTUMN’S DREAM を守り続けた天才は、MOON SAFARI の Pontus Akesson、H.E.A.T の Jona Tee、ex-ECLIPSE の Robban Back という錚々たるメンバーを得てその翼を新たに羽ばたかせます。
長年応援を続ける日本のファンへのプレゼント “Sayonara Eyes” は優しい慟哭を湛えた絶佳のバラード。時折挟まれる日本語も違和感なくアートの一つとして完璧にフィットしていますね。
「AOR は非常に小さいマーケットだ。僕たちは結局そのカテゴリーに含まれるから、スウェーデンを始め世界ではほとんどリリースがなくて主に日本で活動を続けている。日本のファンはとても熱心に僕らの一挙手一投足をフォローしてくれる。そして大好きな大好きなフェイバリットソングを見つけてその曲をとても大事にするんだよ。」

46: THRESHOLD “Legends of the Shires” (2017)

結成は1988年。1993年にデビュー作をリリースした不朽のプログメタルアクト THRESHOLD。デビュー当初、”英国からの DREAM THEATER への回答” と謳われし希少なる生残の先駆者は、四半世紀の時を超え遂に至純なる “アンサー” を提示しています。
「メロディーやエモーションこそが最も僕を感動させ、インスパイアするんだよ。勿論、テクニックは重要だけど、僕はそれを楽曲の一部に組み込むのが好きなんだ。テクニックを追求するよりもね。」
Richard が影響を受けたアルバムに、KING CRIMSON や YES ではなく PINK FLOYD, GENESIS を挙げているのは象徴的かも知れません。このスーパーキャッチーで、聴く度に心が踊るポップな宇宙は、逆に DREAM THEATER が決して到達し得ないプログレッシブポップ領域のはずです。

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47: CREYE “Creye” (2018)

あの ALIEN の創立メンバー Jim Jidhed の息子 Robin Jidhed をボーカルに擁するスウェーデンのメロディック二世バンドは、その音の葉も確かに Jim の遺伝子を受け継いでいます。SURVIVOR や FOREIGNER に北欧の魔法を振りかけた ALIEN の唯一無二は、GRAND SLAM の Andreas、そして Frontiers Music の作曲工場で磨き上げられ、グレードアップを果たして2018年に届けられました。ART NATION の Alexander Strandell を初期メンバーに加えていたことも、その人気を加速させました。
「目標はシンプルだったよ。かつて栄光を得ていたメロディックロックに、80年代のレトロなシンセを備えたポップなフィーリングを加えることだったんだ。そうして新たなエキサイティングな何かを生み出せたらと望んだんだよ。」

48: TREAT “Coup de Grace” (2010)

「このアルバムで僕たちはロックの歴史に足跡を刻んだと思う。誇りを持って言わせてもらうが、孫の代にも聴かせてやりたいアルバムだよ。」
18年ぶりとなる北欧メタル復活の一撃は、鮮烈で透明な嵐を巻き起こしました。よりダークでしかしメロディーを際立たせた “Ghost of Graceland”, エネルギッシュな “Tunguska” と復活以降10年代を駆け抜けた TREAT はまさにメロディックロックの中心として活躍を続けています。
「ただ前に進むことだけを考えている。どうしたらバンドが、よりワイドな視点を持ってより良くなるのか相談しながらね。」

49: TNT “A Fairwell to Arms” (2010)

「“OVER MY DEAD BODY” ってフレーズの意味はね、誰かが特別な状況を変えたくない時に使われるんだけど、死ぬまで変化は起こらないって事なんだ。「ロックを諦めろって?俺の目の黒いうちは許さないぜ!!!」みたいに使うんだよ。一回死ぬって経験をした後、私はこの経験を記憶に留め、いつも自然に行っている事をやり、それについて書くべきだって判ったんだ。死んで生き返るくらいロックな事はないからね。だから紙とペンを用意して、曲と考えをマイクに吹き込み、それがどんな感じだったか伝えるのは義務のように感じていたよ。昔ながらのロックなやり方さ。」 Rest in Peace…Tony Mills.

50: PERFECT PLAN “All Rise” (2018)

51: JOURNEY “Eclipse” (2011)

52: SCOTT STAPP “The Space Between the Shadows” (2019)

53: THE MAGNIFICENT “The Magnificent” (2011)

54: BEAST IN BLACK “From Hell With Love” (2019)

55: LAST AUTUMN’S DREAM “A Touch of Heaven” (2010)

56: LOVEKILLERS “Lovekillers” (2019)

57: SHY “Shy” (2011)

58: TANGO DOWN “Identity Crisis” (2012)

59: HOUSTON “Ⅱ” (2013)

60: FORTUNE “Ⅱ” (2019)

61: CARE OF NIGHT “Connected” (2015)

62: NORDIC UNION “Nordic Union” (2016)

63: GIANT “Promise Land” (2010)

64: KEE OF HEARTS “Kee of Hearts” (2017)

65: SERPENTINE “A Touch of Heaven” (2010)

66: JIMI JAMISON “Never Too Late” (2012)

67: ART NATION “Revolution” (2015)

68: STEVE PERRY “Traces” (2018)

69: TOKYO MOTOR FIST “Tokyo Motor Fist” (2017)

70: STRYPER “No More Hell to Pay” (2013)

71: SWEET & LYNCH “Only to Rise” (2015)

72: BOSTON “Life, Love and Hope” (2013)

73: DANNY VAUGHN “Myths Legends and Lies” (2019)

74: GRAND SLAM “A New Down” (2015)

75: TWO FIRES “Burning Bright” (2010)

76: PLACE VENDOME “Close to the Sun” (2017)

77: ALLEN / LANDE “The Great Divide” (2014)

78: LIONVILLE “A World of Fools” (2017)

79: FIND ME “Angels in Blue” (2019)

80: ISSA “The Storm” (2011)

81: DEGREED “Lost Generation” (2019)

82: FIRST SIGNAL “First Signal” (2010)

83: TOTO “Toto XⅣ” (2015)

84: HARDLINE “Human Naure” (2016)

85: REVOLUTION SAINTS “Revolution Saints” (2015)

86: DOKKEN “Broken Bones” (2012)

87: TYKETTO “Reach” (2016)

88: GIOELI-CASTRONOVO “Set the World on Fire” (2018)

89: GROUNDBREAKER “Groundbreaker” (2018)

90: LAVALLE “Dear Sanity” (2013)

91: OZONE “Self Defence” (2015)

92: JEFF SCOTT SOTO “Damage Control” (2012)

93: SUNSTORM “Edge of Tomorrow” (2016)

94: ENBOUND “The Blackened Heart” (2016)

95: GRAND DESIGN “Thrill of the Night” (2014)

96: UNRULY CHILD “Worlds Collide” (2010)

97: SUNSTRIKE “Rock Your World” (2014)

98: THE STRUTS “Young & Dangerous” (2018)

99: ALIEN “Eternity” (2014)

100: ASIA “XXX” (2012)

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THY CATAFALQUE: NAIV】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAMAS KATAI OF THY CATAFALQUE !!

“I Realized That What I Do Is Very Similar To What Naïve Painters Do. They Lack Formal Training And They Have This Childlike, Dreamy Attitude, Some Pureness And Instinctivity Unlike Trained Artists’ Professional And Practical Approach.”

DISC REVIEW “NAIV”

「常に他の多くのジャンルも聴いてきたから、メタルが僕を完全に独占したことはないんだけど、それでも僕の人生にとってとても重要な部分だと言えるね。ただ、故に僕はメタルに何かを組み込むことや、メタルを音楽の一部としてのみ考慮し音楽の根源、ベースとしないことを恐れることがないだけなんだ。」
モダンメタルに住まうバンドの多くが、メタルとアウトサイドメタルの音の葉を掛け合わせながら、サブジャンルという枝葉を無限に伸張させています。ただし、そこに誠実さや純粋さ、敬意を深々と込めるアーティストは決して多くはないでしょう。
ハンガリーを始点とし、Tamás Kátai のライフワークとも言える THY CATAFALQUE は、メタルから遠く離れた次元の音楽にさえ、鋭く一切の妥協なしに向き合いながら真の意味での豊かな多様性を模索しています。
「僕がやっていることは、ナイーブアートの画家の創造と非常に似ていることに気づいたんだ。彼らは絵画の正式なトレーニングを受けていない。だから訓練された芸術家の専門的かつ実践的なアプローチとは異なり、子供っぽく夢のようなアティテュード、純粋さと本能を持っているからね。」
最新作 “Naiv” は “ナイーブアート” からインスピレーションを得て制作されたと Tamas は語ります。音楽制作を始めた時点でギターを所持さえしていなかった鬼才は、「僕はトレーニングを受けたミュージシャンじゃないし、限界も明らかだからね。」 と語る通り楽器のスペシャリストと言う訳ではありません。ただしそれ故に、ナイーブアートとシンクロする境界のない純粋で本能的な音色をレコードというパレットに描き出すことが可能なのかも知れませんね。
「様々な楽器を使って様々なアイデアを試し、友人を招待したんだ。彼らの貢献はマテリアルを実に豊かにし、僕をさらに刺激し、ある種創造の触媒のような感じだったな。新鮮な声、新鮮な楽器は、僕とっても、ゲスト参加者にとっても、オーディエンスにとっても、音楽を新鮮で刺激的なものにしてくれる。僕はそれが “win-win” な状況だと思っている。」
エゴに囚われない Tamas の姿勢はそうして11人のミュージシャンと多種多様な楽器の躍動をレコードに刻み込むこととなりました。3人のボーカル、語り部、フレットレスベース、ウード、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン、クラッシックギター、トロンボーン、サックス、フルート。カロチャ刺繍のごときカラフルな音素材の群れがボーカル、ギター、ベース、キーボード、プログラミング、ダラブッカ、ツィターをこなす Tamas の才能と出会うとき、”Naiv” に宿るドナウの雄大にも似た音流は無限の広がりを見せるのです。
「僕はナイーブアートの純粋さとフォークロアの純粋さを共にキャッチし、それらを刺激的で未来的な文脈に組み入れることを目指していたんだ。」
実際、”Naiv” はオールドスクールなブラックメタル、奇々怪界なプログレッシブ、TIAMAT や MY DYING BRIDE のダークゴシック、ハンガリアンフォーク、魅惑的なフィーメールボイス、ジャズベースのホーンセクション、クラシカルストリングス、レトロフューチャーなシンセウェーブがシームレスに流れ行く創造性の大河だと言えるでしょう。そうして、THY CATAFALQUE の冒険心に満ち、時に夢見がちな船旅は、ハンガリーの音楽家がハンガリー語で紡ぐことによりさらにその哀愁と叙情の影を濃くするのです。
今回弊誌では Tamás Kátai にインタビューを行うことが出来ました。「ハンガリーはそもそも大きな国ではないからね。国の規模や人口に比べて、メタルバンドの数はかなり多いと思うよ。80年代には、TORMENTOR と POKOLGEP、2つの国際的に有名なメタルバンドがあったけど、両方とも今日でも活躍しているしね。彼らはハンガリーの多くの若者がギターを手に取ってメタルをプレイする後押しをしたんだ。」 どうぞ!!

THY CATAFALQUE “NAIV” : 10/10

INTERVIEW WITH TAMAS KATAI

Q1: First of all, it seems Hungary is not big metal country. How did you find metal there and become to play metal music?

【TAMAS】: Oh well, Hungary is not a big country in the first place. I think the number of metal bands compared to the size and the population of the country is quite good. We had two internationally known metal bands in the ‘80s: Tormentor and Pokolgép and both of them are still active today. They were influential for many youngsters to grab a guitar and play this kind of music. I first encountered metal in the end of the ‘80s in primary school where some of my class mates were listening to Metallica, Slayer, Megadeth and stuff like that. I also accidentally watched once Headbangers Ball on MTV and it was the classic Raining Blood video from the Decade of Aggression live album and I got totally hooked. Some years later I tried to imitate metal on my Amiga 500 computer because I had no guitar and this is how the music making started. I should mention that I have always been listening to many other genres so metal has never enjoyed total exclusivity for me but still it is a quite important part of my life.

Q1: ハンガリーは決してメタルが盛んな国とは思えません。そんな場所で、どのようにメタルを発見し、プレイするようになったのでしょう?

【TAMAS】: まあ、ハンガリーはそもそも大きな国ではないからね。国の規模や人口に比べて、メタルバンドの数はかなり多いと思うよ。80年代には、TORMENTOR と POKOLGEP、2つの国際的に有名なメタルバンドがあったけど、両方とも今日でも活躍しているしね。彼らはハンガリーの多くの若者がギターを手に取ってメタルをプレイする後押しをしたんだ。
僕は80年代の終わり、小学生の時初めてメタルに出会ったよ。クラスメートの何人かは METALLICA, SLAYER, MEGADETH なんかを聴いていたね。それに、当時 MTV で一度偶然”Headbangers Ball” を見たんだけど、それが SLAYER のライブアルバム “Decade of Aggression” のクラシックな “Raining Blood” のビデオで、僕は完全に夢中になったんだ。
数年後、僕は Amiga 500 のコンピューターを使ってメタルを再現しようとしていたね。ギターを持っていなかったから。あれが音楽制作の始まりだったな。
僕は常に他の多くのジャンルも聴いてきたから、メタルが僕を完全に独占したことはないんだけど、それでも僕の人生にとってとても重要な部分だと言えるね。

Q2: Regarding Hungary, there were great composers who mixed classical music and Hungarian traditional music like Liszt, Lehar, Bartok. So, it seems that music has been deeply rooted in the national character of Hungary. Do you agree that?

【TAMAS】: Yes, and let’s not forget Zoltán Kodály! We tend to love and respect our traditional music. Many composers build it inside their own compositions, not note by note but more like the vibe and that’s how I also seem to work, too.

Q2: ハンガリーと言えば、リストやバルトーク、レハールなどクラッシックにハンガリーの伝統音楽をミックスした偉大な作曲家を輩出しています。

【TAMAS】: うん、それにコダーイ・ゾルターンを忘れてもらっちゃ困るね!だから僕たちはハンガリーの伝統音楽を愛しリスペクトする傾向にあるんだよ。
そうしてこの国のコンポーザーの多くは、伝統音楽を自らの作曲に潜ませる。決して一音一音音符をなぞって封入する訳じゃなく、それよりも音楽のヴァイブをね。僕も無意識にそうやっているように思えるね。

Q3: Also, you’ve been mixing metal and Hungarian traditional music, right? What’s the appeal of Hungarian folk music?

【TAMAS】: I wouldn’t say I mix those. I just have no fear to incorporate anything into metal or even considering metal only as part of the music and not the root of it. Folk or folklore are also elements but I like jazz or electronic music just as much. Folk however demands respect and attention, mishandling it very often results in tasteless kitsch and cheese. For me traditional music means purity, simplicity and honesty.

Q3: あなたもハンガリーの伝統音楽をミックスしていると仰いましたが、ではその魅力についてお話ししていただけますか?

【TAMAS】: 僕はそれらをミックスしていると言った訳ではないんだ。僕はメタルに何かを組み込むことや、メタルを音楽の一部としてのみ考慮し音楽の根源、ベースとしないことを恐れることがないだけなんだ。
確かにフォークやフォークロアも組み込まれる要素だけど、ジャズやエレクトロニックミュージックも同じくらい好きだからね。
ただし、フォークは敬意と注意深さを必要とし、調理法を誤るとよく味のないキッシュとチーズになってしまうんだ。僕にとって伝統音楽とは、純粋さ、シンプルさ、正直さを意味しているよ。

Q4: So, you moved to Scotland now. And that’s the reason you parted ways with Janos, right? What made you so?

【TAMAS】: I moved to Scotland in January, 2008, almost 12 years ago. János was meanwhile in Hungary, The Netherlands, Norway and then back to Hungary. The reason we parted ways was because I was working a lot on Rengeteg while he didn’t have the means, capacity and time to work and by the time he finally turned up, I was already finished with the album and it was ready to be released without his playing. Of course it hurt him and he left. It was understandable, I did not handle it the best way but I was so much in the creative period that I could not wait for him. We are on good terms now, he has his own music project and he’s still an exceptional riff creator.

Q4: 現在あなたはスコットランドに住まわれており、それによってギタリスト Janos と別れるようになったそうですね?

【TAMAS】: スコットランドに引っ越したのは2008年の1月だったね。だからほぼ12年前のことだ。Janos はその間にハンガリー、オランダ、ノルウェー、そしてまたハンガリーと住処を転々としていたんだよ。
僕たちが別れた理由は、彼が仕事をするための手段、能力、時間がない間に、僕がアルバム “Rengeteg” のほとんど全てを仕上げてしまったからなんだ。彼の準備ができた頃にはほぼ作品は完成し、そして最終的には彼の演奏なしでリリースすることになってしまった。
もちろんそれは彼を傷つけ、彼は去ってしまったんだ。その決断は理解出来たよ。確かに僕は最良の方法で対処出来なかったんだけど、当時僕は彼を待つことが出来ないほど創造的な時期にいたからね。今はまた良い関係に戻り、Janos は自分の音楽プロジェクトを持っているし、今でも優れたリフクリエーターだよ。

Q5: It seems your newest record “Naiv” is an album inspired by “naive art” a style of visual art known for its simplicity and lack of sophistication. Could you please explain the relationship between “Naiv” and “naive art”?

【TAMAS】: I realized that what I do is very similar to what Naïve painters do. They lack formal training and they have this childlike, dreamy attitude, some pureness and instinctivity unlike trained artists’ professional and practical approach. I studied the way they paint and tried to write music the same way. Of course it does not translate directly to notes but the attitude is similar and also it was important that the artwork should reflect it as well.

Q5: 最新作 “Naiv” は単純化、非洗練のナイーブアートからインスピレーションを得たそうですね?

【TAMAS】: 僕がやっていることは、ナイーブアートの画家の創造と非常に似ていることに気づいたんだ。彼らは絵画の正式なトレーニングを受けていない。だから訓練された芸術家の専門的かつ実践的なアプローチとは異なり、子供っぽく夢のようなアティテュード、純粋さと本能を持っているからね。
僕は彼らが描く方法を研究し、同じ方法で音楽を描き込もうとしたんだ。もちろん、それは直接音符に変換される訳ではないんだけど、アティテュードは似ていているから、アートワークもそれを反映することが重要だったんだ。

Q6: The artwork is really catchy and “Non-metal”. Does it reflect the concept or lyrical themes of “Naiv”?

【TAMAS】: Thank you, it definitely does. I was aiming to catch the purity of Naivists together with the purity of folklore and put them into an exciting, futuristic context. This is an acrylic painting anyway painted by my girlfriend and it was great fun to put it together. The original is hanging on the wall of our living room.

Q6: 仰る通り、アートワークはイノセントでドリーミー、”ノンメタル” なイメージをもたらしますね?

【TAMAS】: ありがとう、間違いないね。僕はナイーブアートの純粋さとフォークロアの純粋さを共にキャッチし、それらを刺激的で未来的な文脈に組み入れることを目指していたんだ。
とにかく、このアートワークは僕のガールフレンドが描いたアクリル絵で、THY CATAFALQUE の作品と融合させるのは楽しかったね。オリジナルはリビングルームの壁に掛けているよ。

Q7: In this diverse musical journey, you tried to amazing plan “11 friends contributing on plenty of exciting instruments”. It seems “Naiv”‘s eclectic and avant-garde music needed so many “11 players”, right?

【TAMAS】: I did not have this plan first. I just started to make a new album but then more and more ideas popped up and you know, music is fun for me. I was trying out different ideas with different instruments and invited friends to contribute. Their contribution enrichened the material vastly and inspired me further so it was like catalysator for creation. I am not a trained musician and my limitations are obvious. Fresh voices, fresh instruments keep the music fresh and exciting for me, for the participants and for the audience as well. I see it as a win-win situation and I’m pretty happy I had such a great company to work with.

Q7: “Naiv” のエクレクティックな旅において、11の友人とエキサイティングな楽器を招く計画も実行されましたね?
おかげでこの作品はより多様でアバンギャルドに仕上がったようにも感じられます。

【TAMAS】: 最初から計画していた訳じゃないんだ。ただ新しいアルバムを作り始めただけだったんだけど、アイデアがどんどん湧き出てきてね。うん、音楽は僕にとって楽しいものだよ。
様々な楽器を使って様々なアイデアを試し、友人を招待したんだ。彼らの貢献はマテリアルを実に豊かにし、僕をさらに刺激し、ある種創造の触媒のような感じだったな。僕はトレーニングを受けたミュージシャンじゃないし、限界も明らかだからね。
新鮮な声、新鮮な楽器は、僕とっても、ゲスト参加者にとっても、オーディエンスにとっても、音楽を新鮮で刺激的なものにしてくれる。僕はそれが “win-win” な状況だと思っているし、とても素晴らしい仲間たちと仕事ができて幸せだよ。

Q8: You use Japanese “Shibuya Progressive 7” Kanji guitar, right? What’s the great point of the guitar?

【TAMAS】: Kanji Guitars is a UK based artisan guitar company, not Japanese. They drew their inspiration from Japan but they are British. They approached me to be their endorsee and I was happy to be one. However the Shibuya they made for me is not audible on Naiv yet, By the time I received the instrument, the guitar parts had already been recorded with my original guitar, a seven-string Ibanez RG7321. I’m really excited to record to upcoming stuff with the Kanji Shibuya though! It is a seven string with sapele body, maple, purpleheart and walnut neck and macassar ebony fretboard, Seymour Duncan Nazgul and Sentient passive pickups and Schaller Hannes 7, fixed bridge. It has a characteristic tone, different to the Ibanez. I’m looking forward to use it a lot on the next album.

Q8: Kanji Guitars の “Shibuya Progressive 7” を愛用していますね?日本のメーカーですか?

【TAMAS】: Kanji Guitars は英国のギターカンパニーだよ。日本からインスピレーションは得ているけど、イギリス人がやっているんだ。
彼らがエンドースを持ちかけてくれたんだけど、嬉しかったね。僕専用の “Shibuya” は “Naiv” ではまだ使えなかったんだけどね。ギターが届く前にレコーディングは僕のオリジナルギター、Ibanez RG7312 で終えていたからね。
でも次の作品で Kanji Guitar を使うのを楽しみにしているよ!サペリボディ、メープル、パープルハート、ウォールナットネック、マカッサルエボニー指板、セイモアダンカンナズグル、センティエントパッシブピックアップ、シャラーハンネス7、固定ブリッジを備えた7弦だよ。Ibanez とは異なる特徴的なトーンを持っているね。次のアルバムでたくさん使うのを楽しみにしています。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TAMAS’S LIFE

KRAFTWERK “DIE MENSCH-MASCHINE”

METALLICA “RIDE THE LIGHTNING”

SLAYER “REIGN IN BLOOD”

MY DYING BRIDE “TURN LOOSE THE SWANS”

TIAMAT “WILDHONEY”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for Studio Ghibli.

スタジオジブリよ、ありがとう!

TAMAS KATAI

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THE 100 BEST MODERN GUITAR ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019


THE 100 BEST MODERN GUITAR ALBUMS OF THE DECADE: 2010 – 2019

1: ANIMALS AS LEADERS “THE JOY OF MOTION” (2014)

「優れたブルースギタリストになるための基礎はもちろん美しいよ。だけど別の僕がギターにはもっとユニークなことが出来ると語りかけるんだ…」
10年前に ANIMALS AS LEADERS のリーダーとしてデビューして以来、8弦のDjen衛建築家 Tosin Abasi はタッピング、スイープ、スラップ、フィンガーピッキングなど百花繚乱なテクニックを駆使してクラシカル、エレクトロニカ、ファンク、フュージョン、プログメタルを魔法のように調合し続けています。その鮮やかな多様性とテクニックの再創造まさに10年代モダンギターのベンチマークとなりました。
「シンセやエレクトロニックベースがあるから必要ない。」と言い放ち、もう1人の天才 Javier Reyes を従えた2ギター1ドラムの編成も革新的。
Generation Axe ツアーで Steve Vai や Yngwie Malmsteen でさえ文字通り引き裂いた Tosin の実力は、しかし決して才能だけに依るところではなく日々の鍛錬から生まれているのです。
1日に15時間練習しているのか?との質問に Tosin はこう答えました。
「出来ないことにひたすら取り組み出来るようになる。それは中毒のようなものでね。再びその現象が起こることを望み、再度成功すると徐々に自分の可能性を追い求めるようになる。そうして最終的には自分の理想に極めて近づくんだ。部屋に閉じ込められ義務感で練習している訳じゃない。自分の中に溢れる可能性を解き明かしているだけなんだよ。」

2: ERIC GALES “MIDDLE OF THE ROAD” (2017)

Jimi Hendrix に憧れ、右利き用のギターを逆さまに使用した左利きの Eric Gales は、90年代初頭、Guitar World 誌のベストニュータレントを名刺がわりに華々しく登場しました。しかし以降およそ20年の間、Eric の名前が表舞台で取り上げられることはほとんどありませんでした。
2010年代に入り、転機はあの Shrapnel との契約でした。長年の艱難辛苦は、孤高のギタリストに愛と泪、汗と真実を染み込ませたのです。それは Jimi Hendrix と Miles Daves のレガシーを等しく受け継いだ王の帰還でした。
Dave Navarro, Joe Bonamassa, Mark Tremonti Carlos Santana といったエモーションの達人たちでさえ、Eric を “ブルースロック最高のギタリスト” “地球で最高のギタリスト” “ただただ驚異的” と Eric の才能を絶賛します。
中でもあの Gary Clark Jr.、Lauryn Hill がゲスト参加を果たした “Middle Of The Road” は、Eric に宿るロック、ファンク、ソウル、R&B、ヒップホップの灯火が、信じがたいほどオーガニックに溶け合った傑作となったのです。それは2010年代に開かれらたブルースやジャズのニューチャプターを探る旅とも密接にリンクしていました。
「俺がプレイしているのは全て、自身が経験した広大な感情だ。これまで克服し、貫いてきた下らないことのね。」

3: ICHIKA “FORN” (2017)

ゲスの極み乙女や indigo La End の頭領、百戦錬磨の川谷絵音との邂逅、遠き日本に住まいながら世界の名だたる音楽家から放たれる熱き視線、東京コレクションからNAMMを股にかけるしなやかさ、そして SNS を基盤とする莫大な拡散力。光耀を増した夢幻のクリスタル、琴線の造形師 ichika の有り様は2010年代を象徴し、現代に生きるアーティストの理想像といえるのかも知れませんね。
ただし、ichika は他の “インスタギタリスト” と異なりしっかりと作品というストーリーを残しています。
「僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることで、より複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。」という ichika の言葉は彼の作品やセンスを理解する上で重要なヒント。
つまり、映画や小説が基本的には同じ場面を描かず展開を積み重ねてイマジネーションを掻き立てるのと同様に、ichika の楽曲も次々と新たな展開を繰り広げるストーリーテリングの要素を多分に備えているのです。小説のページを捲るのにも似て、リスナーは当然その目眩く世界へと惹き込まれて行くはずです。それはきっと、30秒の魔法しか奏でられないSNSの音楽家にとって、左手と同様進化した右手の奇跡よりも羨ましい光景に違いありません。

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4: DAVID MAXIM MICIC “BILO 3.0” (2013)

「セルビアは言うならば西洋と東洋の文化がぶつかる場所なんだ。僕はそこで育ったから両方の世界から多大な影響を受けているね。だから確実に僕の音楽からその要素が聴こえるはずだよ。」
セルビアというギターにとって未知の場所、第三世界から颯爽と登場した DMM の躍進は、2010年代に撤去された境界の証でした。もちろん、テクノロジーの進化によって、DIY の音楽家が陽の目を見るようになったことも併せて時代は進んでいます。
「僕はまずコンポーザーなんだよね。だから違うサウンドを探索したりや違う楽器で実験するのが好きなんだ。」
Per Nilsson, Jakub Zytecki, Jeff Loomis といったマエストロが参加した “Bilo 3.0” において彼らは自分よりもギターにのめり込んでいると断言した David。もちろん、Jeff Beck と Steve Lukather を敬愛する David のソロワークは充分にフラッシーで魅力的ですが、しかしテクニック以上に彼の創造するギターミュージックは、繊細で想像力を喚起するカラフルな絵巻物です。何よりそこには純粋な音楽との対峙が存在します。
「”Bilo”では音楽が音楽を書いているんだ。一切のエゴに邪魔される事なく純粋に音楽自体を楽しむ機会を得ているんだよね。決して誰かを感動させようなんて思わないし、何でもいいけどこれは世界に発信しなきゃって感じたことを発信する僕流の方法なんだ。世界は聴いてくれている。幸せだよ。」

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5: ALTER BRIDGE “FORTRESS” (2013)

Mark Tremonti のソングライターとしての売り上げは、現代ヘヴィーミュージックにおいて比類のないものです。キャプテン “Riff” と称される偉大なギタリストは、ALTER BRIDGE と CREED の足し算で実に5,000万枚以上のレコードを売り上げているのですから。
ただし、Paul Read Smith SE シグネチャーモデルと MT 15アンプでアンセムを生み出し続けるロックスターのシュレッダーとしての一面は過小評価されているのかも知れませんね。
実際、Mark の奏でる起承転結、過去の巨人たちを赤き血肉としたソロワークの鮮烈は、Slash や Zakk Wylde にも引けを取らないスペクタクルを提供してくれます。メロディーの煌めきとシュレッドの焔がエピックの中で溶け合う “Cry of Achilles” は、アコースティックからボトルネックまで駆使した10年代最高のギターマジックでしょう。
大盛況のギタークリニックを開催する身でありながら、何より Mark は今でも学ぶことを恐れていません。弊誌のインタビューにおいても、チキンピッキングの習得に関し、「僕はただ、ギターソロ1つ1つを異なるものにしたいだけなんだ。独自のストーリーを語らせたいね。もし、前作から最新作までの間に新しいトリック(技)を習得したとしたら、僕はいつもそれらを出来るだけ多く新しいアルバムに投影しようとしているんだよ。」と語ってくれていました。
「僕はいつもギターを弾く前に作詞や作曲をしている。だけどギターを弾くことが大好きなんだ。新たな技術やスタイルに取り組む喜びは決して色褪せないよ。だってそれを自分のものにした時は、まるで魔法のような気分になるんだから。」
誰よりもギターを愛するロックスターは、世界からギターヒーローが失われる悲劇を防ごうとしています。何よりギターに出会って、サッカーに熱中していた Mark 少年自身人生が変わったのですから。
「大学に入って本当にギターにのめり込んだんだ。料理をしていたって、洗濯をしていたって、ロクな1日じゃなくても、いつもリビングでギターが弾きたいって考えていたんだから。」

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6: PLINI “HANDMADE CITIES” (2016)

「君たちの大半は Plini を知っていると思うけど、彼の新作 “Handmade Cities” は最高の、先進的な、メロディー、リズム、ハーモニーを深く進化させたインストゥルメンタルレコードなんだ。僕はこんな作品を待っていたし、驚異的な音楽体験を君たちにもぜひオススメするよ。」
ギターゴッド Steve Vai からギターミュージックの未来とまで言わしめた Plini は、プログレッシブの新たな桃源郷オーストラリアから世界に飛び出した逸材です。
ヘッドレスのストランドバーグを代名詞に複雑と爽快、ポリリズムとハーモニーを股にかける新進気鋭のテクニコアラは、意外なことにシンプルなソングライティングを心がけていると語ります。
「作曲は、まず可能な限りシンプルなやり方から始めるんだ。複雑さを取り払い、メロディーの基礎に立ち返ってね。だから最初は、子守唄みたいな感じなんだよ。」
その場所からシンコペーションやハーモニゼーションの塩胡椒で立体感を醸し出すのが Plini 流。
「モダンプログレッシブミュージックにおいて僕が最も不可欠だと思っているのは、リズムの中で起こっていることなんだ。」
モダンプログレッシブの世界は決して難解すぎるコードワークやリズムから成り立っているわけではないと Plini は証言します。ほんの一握りのテンションノートとシンコペーションが驚くほどに世界をコンテンポラリーに変化させのだと。
「ギタリストの多くは複雑な音楽をプレイするには、新しい魔法のコード進行が必要だと考える。基本の外にあるものを学ばなきゃってね。だけど、僕にモダンプログレッシブな音楽を興味深く感じさせるのは、感情的な豊かさなんだ。それはつまり、そのミュージシャンのバックグラウンドを音を通して読み解けるってことなんだと思う。」
カンポジアまでボランティアに赴き、恵まれない子供達のために楽曲を書き、売上を全て寄付する心優しいギターヒーローでもあります。

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7: VULFPECK “MR. FINISH LINE” (2017)

ブラックミュージックのリノベーションが進行した2010年代において、マルチプレイヤー Jack Strutton とベーシスト Joe Dart を中心とした VULFPECK の冒険はあまりにスリリングでした。
Spotify の薄利を逆手にとって、無音のアルバム “Sleepify” をファンにエンドレスで再生してもらい、ツアーの資金200万円を捻出してしまった破天荒なバンドは、世界にミニマルファンクの言の葉を浸透させた張本人。グルーヴを追求したインストから、PRINCE, Stevie Wonder の捻くれたポップファンクに純粋な R&B とその黒はグラデーションを拡げています。
中でも、Flea や TOWER OF POWER の Rocco、EARTH WIND & FIRE の Verdine をフェイバリットに挙げる Joe は今世界で最も注目を集めるファンカデリックベースヒーローです。Joe が語るように、そろそろ音楽はジャムセッションの時代に回帰するべきなのかも知れません。
「僕らは集まって5分か10分アイデアを交わすと、すぐレコーディングボタンを押すんだ。意図的にギリギリの状態で、瞬間を切り取るようにしている。デモを送りあったり、作曲に何ヶ月もかけたりはしないんだ。インプロビゼーションこそ VULFPECK の全てなんだから。」

8: GREG HOWE “WHEELHOUSE” (2017)

ファンクロックとジャズフュージョンを前人未到のテクニックで調合し、インテンスに満ちたギターインストの雛形を作り上げた巨人は、Richie Kotzen との共演が再度実現した “Wheelhouse” でダイナミックなルーツへと回帰します。
Richie との双頭レコード “Tilt” で世界中のギターマニアの心と左手をボロボロに折り、Vitalij Kuprij とのクラシカルな旅路 “High Definition”、Victor Wooten, Dennis Chambers との奇跡 “Extraction” で異世界を堪能したレガートの王様は、長い道のりを経て “正直さ” を求めるようになったと語ります。
「”Introspection” のトーンを高めたようなサウンドだね。だけどあの当時は、シングルコイルの “Start” みたいなトーンにハマっていたから表現法は異なるね。より正直な方向でやりたかったんだ。とても自然で正直なレコードだよ。ワンテイクのものだって沢山ある。”Tilt” みたいなレコードは消化すべきギターがありすぎたんだ。だって変だろ?僕はギタープレイヤーである前にアーティストだ。ミュージシャンであることが先なんだよ。ギターよりも音楽が僕のモチベーションなんだ。」
今回のコラボレーションで Richie は歌で Greg とより深く重なりました。今 Greg Howe が奏でるフューチャーファンクはリアルです。

9: CHON “HOMEY” (2017)

メタル、フュージョン、マスロック、チルウェーブと全方位から熱い視線を注がれる CHON の多様な創造性はまさに越境拡散する10年代のイメージと重なります。実際、バンドの “ホーミー” である南カリフォルニアの太陽、空気、夏の匂いを一身に浴び、望外なまでにチルアウトした “Homey” は、ジャンルに海風という新風を吹き込んでいます。
ソフトでカラフルなコードワーク、デリケートでピクチャレスクなリードプレイ、ダイナミックに研ぎ澄まされたバンドサウンド。高度な知性と屈託のない無邪気さが同居する、オーガニックかつテクニカルなその世界観はまさしく唯一無二。その鋭敏な感性が掴まえたエレクトロニカ、アンビエント、ハウスなど所謂チル系のトレンドを大胆に咀嚼し、トロピカルで新鮮なムードとテクニカルなマスロックを共存させることに成功していますね。
「ジャズピアニストからとても影響されている。CHON には2人のギタリストが存在するけど、1人は左手、1人は右手としてピアノを再現するイメージもあるんだよ。」
勿論、Thundercat や、FLYING LOTUS がフェイバリットに挙がっている事実を知るまでもなく、ここで彼らが、Jazz の領域を拡大する Robert Glasper と “Jazz The New Chapter” のフロンティア精神を意識したことは明らかです。
「自分たちが気に入るサウンドの楽曲を書き続けて、叶うならファンも僕たちの音楽を好きになり続けてくれることだね。その過程で、さらに新たなファンも開拓出来たら良いな。」

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10: YVETTE YOUNG “ACOUSTIC EP” (2014)

新たにギターを始める人の半分が女性。そんな変化の時代に、多くの女性アーティストに勇気を与えたマスロッククイーンこそ Yvette Young。精神面と技術面、両方において彼女がモダンギター世界に与えた影響の大きさは計り知れないものがあります。
「私には一つのスタイルに拘らず、フレキシブルでいることが重要なんだもの。そうすることで、沢山のことや解釈を他人から学べるし、スキルや多様性、そして自信を構築する大きなチャレンジだと見なしているのよ!」
4歳からピアノを始め、7歳でヴァイオリンを学んだという彼女の深遠なる七色のギフトは、決してただ一所に留まってはいません。マスロックに端を発し、ポストロックやプログレッシブまで豊かに吸収した彼女の音の葉は、流麗なテクニックと相乗効果で大空へと舞い上がります。
「私はギターのレイアウト、フレットや弦をピアノの鍵盤に見立てているのよ。低音弦はピアノの”左手”。高音弦は “右手”。その二つをブレンドすることで、ポリフォニー(複数の独立した旋律から成る音楽)を完璧なサウンドで奏でることが出来るのよ。この考え方はとても楽しいと思うわ。
それにピアノは間違いなく指の強さも鍛えてくれたわね。だから”ストロングタッパー”になれたのよ。」

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11: PERIPHERY “PERYPHERY” (2010)

Misha Mansoor, Mark Holcomb, Jake Bowen。三者三様にして、時代を代表するギタープレイヤー3人が集結した PERIPHERY がシーンを牽引し、成功を手繰り寄せたのは間違いなく必然でした。
中でも、ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、プログラマー、ギアヘッド全ての役割をこなす Misha Mansoor の存在は、モダンプログレッシブメタルの概念とサウンドを制定したと言っても過言ではないでしょう。
テクニカルでヘヴィー、ポリリズミックでプログレッシブ、しかし時にポップでアンビエント。多弦ギターとアンプシュミレーターの可能性を押し広げながら、PERIPHERY は 2010年代初頭、Djent の名の下に多数のフォロワーを生み出しました。
ストリーミング配信が主流となり、音源が充分な収入を生まなくなった10年代で先見性を発揮したのも Misha でした。
「他のメタルバンドとは考え方が違う。彼らはバンドがお金を産まなくなった事実に対し、前向きな変化が勝手に起こる事を期待している。僕はメンバーにこのバンドでは稼げないと断言している。そして機材の知識やプロデュース業で収入を確保したんだ。」
Mishaが提唱した “収入源の多様化” を見事に実現するのが YouTuber としての地位も築き上げた THE HAUNTED の Ola Englund です。弊誌のインタビューに 「生き残りたいならスマートになるべきさ。ただし、成功に簡単な方法があると考えるのは間違いだよ。そんなものはない。」 と語ってくれました。なるほど、生存術は必死で模索するべきでしょう。

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12: TEDESCHI TRUCKS BAND “MADE UP MIND” (2013)

Trey Anastasio は Derek Trucks を「現在、地球上で最高のギタープレーヤー」と賞賛します。実際、Derek は比類なきパフォーマーで、奔放なインプロバイザーで、スライドギターを声のように扱うエモーションの権現です。ブルースはもちろん Derek の心臓ですが、ジャズ、ソウル、ファンク、ラテン、インドの伝統音楽まで、そのオーガニックな音彩のスタイルは広範囲に及びます。
「リスナーは、ただ我が道を行き、人生を芸術に捧げ、ひたすら偉大な音楽を追求するギタリストを聴きたいと思っている。」
1999年から2014年まで在籍した伝説 THE ALLMAN BROTHERS BAND は確かに Derek の名声とジャムセッションの本能を世界に広めましたが、妻 Susan Tedeschi と立ち上げた TEDESCHI TRUCKS BAND こそが Derek の言葉を裏付けるライフワークでしょう。
「いいかい? Elvin Jones は演奏やソロを行う時、必ずストーリーを伝えろと言ったんだ。つまり偉大なミュージシャンからは息遣いが聞こえるんだ。なぜなら彼らには伝えたいことがあるからなんだよ。それこそがエモーションさ。練習でクールだと思ったリックを掻き集めれば良いって訳じゃない。何かを表現しなきゃならないんだよ。」
“Signs” で伝えたかった感情は深い悲しみでした。2017年の最初の数ヶ月で、Derek は叔父であり THE ALLMAN BROTHERS BAND 創始者の1人 Butch Trucks、さらには Bruce Hampton、そして Gregg Allman まで失ってしまったのですから。
「だけど Gregg や Butch なんて20代で Duane や Berry を失ったんだから。そして不可能な状況でも前に進んだんだ。だから僕たちもそうするさ。穴を埋めるのは無理でも、自分のやり方で彼らから学んだことを活かすことなら出来るからね。」

13: DREAM THEATER “DREAM THEATER” (2013)

“Images & Words” のリリースから20年間、John Petrucci は最も有名かつ人気のあるプログメタルギタリストでした。そしてこの10年、マエストロは衰えを見せるどころか自らをさらに更新してその立ち位置を揺るぎのないものとしています。
依然として、John はギター世界において最も多才で熟練したトッププレーヤーの1人。主催する”Guitar Universe” のキャンプに Jason Richardson, Tosin Abasi, Guthrie Govan といった偉大な “門下生” たちが集結する事実こそその証明でしょう。左手に住まう研ぎ澄まされたメロディー感覚に加えて、比類なきスピードと精度を誇るオルタネイトアスリートを右手に宿した感情のギターサイボーグこそ彼の正体。
同時にギアの先駆者でもあり続け、アンプ、ピックアップ、ペダル、アクセサリーを進化させ、ミュージックマンの代名詞として君臨しています。
「僕は未だにギターの学生なんだ。まだまだ学びたいことは山ほどあるし、だから新鮮さを保てるとも言えるだろうな。」
謙虚に学び続ける姿勢こそが John を “ギターゴッド” の高みへ誘いました。ただし本人はその呼び名を好んではいません。
「ギターゴッドなんて全然しっくりこないし、尊大に聞こえるじゃないか。まあ僕も子供の頃は Alex Lifeson をそう呼んでいたから分かるんだけどね。だけど自分をそうだとは思わないよ。」
それにしても、30年前とは随分と容姿が変わりました。
「フィットネスはとても重要だし、ウエイトトレイニングは僕の人生の大部分を占めているよ。週に5,6回は必ずジムに足を運ぶようにしているんだ。ツアー中でも可能な限りね。」

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14: ARCH ECHO “ARCH ECHO” (2017)

あの Steve Vai をして最も先進的なギタープレイヤーの一人と言わしめた Plini の出現を境として、”Fu-djent” の華麗な波が存在感を増しています。Djent のグルーヴを受け継ぎながら、より明確なメロディーとハーモニーを軸に据え、フュージョンの複雑性とキラキラ感をコーティングしたカラフルなイヤーキャンディーとでも言語化すべきでしょうか。隠し味は、音の隅から隅へと込められた類まれなるメジャー感なのかも知れませんね。
INTERVALS, OWANE, Jakub Zytecki, Sithu Aye, Stephen Taranto といったアーティストが “Fu-djent” の魅力を追求する中でも、あのバークリー音楽院から登場した ARCH ECHO の風格とオーラはデビュー作から群を抜いていたようにも思えます。
違いを生んだのは、彼らがより “バンド” だった点でしょうか。名だたるプレイヤーを起用しながら確固とした主役が存在する他のアーティストと比較して、ARCH ECHO はダブルギター、キーボード、ベース、ドラムス全員が主役でした。故に、プログからの DIRTY LOOPS への返答とも称されたコレクティブでファンキー、ウルトラキャッチーな “Hip Dipper” が誕生し得たのでしょう。
「僕たちはバンドを楽しんでやっているし、シリアスに物事を捉え過ぎてはいないんだよ。」

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15: JASON RICHARDSON “I” (2016)

若干20代にして、Jason の履歴書はすでに驚くほど充実しています。バークリー入学を蹴って ALL SHALL PERISH でツアーを経験し、BORN OF OSIRIS, CHELSEA GRIN では名作のキーパーソンとなり、さらには亡き Oli の後任として ALL THAT REMAINS に加入。最先端の10指が紡ぐ印象的でコズミックなフレーズの数々は、まさに Djent/デスコアミュニティーの発展に欠かすことの出来ないフラッグシップであると言えますね。
粒立ち群を抜いているピッキングの驚異的な正確性、選択する音や音符の意外性、タッピングとオルタネイト、スイープを巧みに使い分けるアルペジオの豊かなバリエーション、そしてストーリーを持った構成美。ソロワークに目を移せば、すでに Jason が世界のトップであると誰もが確信するはずです。メカニカルなシュレッダーのイメージが強いかも知れませんが、”Omni” 中間部の静謐なパートで炸裂するベンド、ビブラートのエモーションは実に扇情的で崇高とさえ表現したくなりますね。
「7弦ギターを使っているのは DREAM THEATER が大好きからだ。彼らは偉大だ。全く素晴らしいよ!僕は彼らの音楽の全ての瞬間を覚えているくらいなんだ。」

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16: GILAD HEKSELMAN “HOMES” (2015)

新たな章を開けたニューヨークジャズシーンにおいて、イスラエル出身アーティストの活躍は10年代ビッグトピックの一つでしょう。Avishai Cohen, Oz Noy, Omer Avitar。中でも、ギタリスト Gilad Hekselman の台頭は台風の目となりました。
中東音楽をその身に宿し、ロックやポップ、南米音楽を好んで聴いていたイスラエルの少年が、拡散するジャズ世界の象徴となったのはある種の必然でした。オリエンタルロマンチックなその音の葉は、確かに自らの出自が関係しているようです。
「イスラエルの人間は、伝統をとても重んじ真摯に捉えているんだ。だからこの国のミュージシャンは、子供のころに聴いた音楽や自らのルーツを表現しようとするのさ。」
そうして、魅惑的なジャズの新章を “グローバルビレッジ” と呼称するのです。
「テクノロジーのおかげで、誰でも、どこにいても、すぐにレコーディングが行えるようになったからね。そして YouTube を介して音源を無料でチェックすることも出来る。だから、住む地域によって音楽が限定なんてされない時代になったんだよ。美しい事だと思う。」

17: JOE BONAMASSA “REDEMPTION” (2018)

21世紀において、Joe Bonamassa がブルースという伝統芸能の存続に最も責任を有するギタリストであることは、議論の余地もないでしょう。しかし、同時にブルースの伝統に、無尽蔵の速さやインテンスを織り込む境界の破壊者という一面も Joe が数多のギタリストから尊敬を受ける理由でもあるのです。もちろん、Eric Clapton, Peter Green, Jeff Beck, Jimmy Page, Paul Kossoff, Gary Moore, Rory Gallagher といったブリティッシュロックの熱き血潮も脈々と受け継ぎながら。
「ああしろ、こうしろ、なんて言われるのは好きじゃない。信じるのは自分の弦だけさ。作品を作るのだって、自分のアーティスティックなレベルを押し拡げるためさ。もっと自分とリスナーのために、チャレンジ出来るんしゃないかといつも自問自答しているよ。」
コンテンポラリーなブルースロックからジャズフュージョン、カントリー、ファンクにハードロックを股にかけ挑戦を続けるキングビー。では全てのベースであるブルースについてはどう思っているのでしょうか?
「それなりに良いブルースを弾くのは簡単なんだ。だけど偉大なブルースを弾くのはとても難しいよ。とてもね。」

18: KURT ROSENWINKEL “CAIPI” (2017)

「僕が一番大切にしているのは、やはりジャズであり、自分の音楽だ。でも僕の内側から聴こえてくるものがロック・ソングやソウル・ナンバーであれば、僕はそれに従わなければないけない。創造の源はコントロールできないからね。」
コンテンポラリージャズギターの唱導者、プロフェッサー。Kurt Rosenwinkel は偉大なジャズマスターでありながら、その領域のみに留まらず自らのインスピレーションに従い、豊潤な音楽の旅を続けています。
「Robert Glasper がやっていることは気に入っているよ。彼のバンドはクールだし、僕は hip-hop や Rap も大好きだからね。Q-tip と仕事をしている時に彼のバンド全員とプレイしたよ。だから強いリスペクトと共感が存在するね。
僕の音楽もやはり Jazz を根幹としていて、他の要素との距離の取り方が Robert のそれと似ているように思えるね。僕の場合は Rock, hip-hop, Electronica, そしてブラジル音楽からの影響だけどね。」
”アルゼンチン音響派” に次ぐ新たなムーブメント”ミナス新世代”の奔放で多元的、モダンでカラフルなエナジーへの接近も “Caipa” の重要なトピックでした。

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19: INTERVALS “THE SHAPE OF COLOUR” (2015)

「僕は芸術ならば同じことの繰り返しではなく、新しいことに挑戦していかなければならないと心から信じているんだ。だからどの作品でも常に新しいことをやるようにしているんだよ。結局、要するに、これこそが”プログレッシブ”な音楽ってことじゃない?」
プレイスルー動画からシーンに登壇し、PERIPHERY, MONUMENTS, DESTINY POTATO などと人脈を共有しながらモダンギターを牽引する存在へと上り詰めたカナダのライジングスター Aaron Marshall。
「INTERVALS は何を置いてもまず、インストゥルメンタルミュージックで形成されているんだ。」
“A Voice Within” という傑出したボーカルアルバムをリリースした後、それでも Aaron のプロジェクトはインストゥルメンタルへと回帰しました。ただし、以前と比べて Djent の要素は薄れ、”Mathy&Catchy” なリフがアルバムを支配しています。比較するなら CHON, POLYPHIA, PLINI といったバンドに近づいたと言えるかも知れませんね。サックスまで乱舞するその音の葉は、タイトル “The Shape of Colour” のイメージを鮮やかに体現しています。

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20: JYOCHO “祈りでは届かない距離” (2016)

「鮮度ってとっても大事だと感じています。それが自分が完成形の楽曲ストックを基本的にしない理由の一つです。“瞬間” という言葉が出ましたが、まさしくそれは大事にしているテーマです。JYOCHOでは、その “瞬間” を落とし込んだり、”瞬間の積みかさね” を表現する挑戦をしています。」
Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。

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21: POLYPHIA “NEW LEVELS, NEW DEVILS” (2018)

「音楽そのものにもっと焦点を合わせ、ギターを音楽を作るためのツールとして使用するべきだと思うよ。ギターインストの大部分はそんなに良くないからね。緩やかな死を与えるべきなのかもしれない。」
10年代のギターインスト世界を牽引した POLYPHIA の Tim は、ただギターを生かし続けたいと願っています。
「僕は多くのヒップホッププロデューサーと仕事をしているし、ビッグなバンドのためにも楽曲を書いてきた。メインストリームの中でも、クールなギターパートをたくさん取り入れている人たちは存在するからね。だから最終的にラジオをつければ、ヒップホップの曲だろうが何であろうご、またギターを聴くことができるようになればと思っているんだよ。」
つまり、かつて栄光を極めたギターインストが、そのままの形で生き残ることは不可能だと Tim は感じているのです。
「80年代にスーパークールだったものを、今の時代にそのまま再現したってクールな訳ないよ。だって時代が違うから。異文化をまるごと移し替えるのは不可能で、必ず何かが失われてしまう。僕たちのやり方なら、ギターの未来は再びクールになるはずさ。」

22: TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND” (2016)

「確かに僕たちの音楽は、複雑とかテクニカルとか形容される、チャレンジングな音楽に分類されて来たね。だけど意識してそうしている訳ではないんだよ。」
マスロック/エモの奇才、英国が誇る TTNG。静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。“Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味がポストロック方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。
「僕たちの国はEUを離れようとしていて、大きく強い(僕の考えだけど)コミュニティーから離れたいように思えるね。僕たちのバンドは全員が間違いなく、そういう理由で僕たちの島に失望しているんだ(Disappointment Island とは失望の島という意味)。」

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23: DISPERSE “FOREWORD” (2017)

「しばらく前から、メタルは僕にとって、ダイナミズムや表現力の面で少々平坦に思えていたんだ。」
ポーランドに舞い降りたモダンギターヒーロー Jakub Zytecki。”Foreword” は彼の変化の兆しを見せつけたレコードでした。この作品には獰猛なグロウルも、チャグチャグとした定常的なギターリフも存在しません。貫かれるのはプログレッシブポップとも描写可能なノスタルジックで情味のある、しかし同時に創造的なモダニズムが溢れる崇高な世界観。“Tether” は、「TYCHO にはいつも心酔している」 と語る Jakub の多極化する好奇心が浮き彫りとなった楽曲かも知れませんね。エゴとは無縁の緻密でミニマルな設計図に、穏やかなエレクトロニカサウンドを乗せたドリーミーな極上のポップチューンを聴けば、確かに TYCHO の持つ瑞々しいセンスが宿っていることに気づくでしょう。
「誤解しないで欲しいんだけど、僕は今でも野心的なギタープレイを愛しているよ。練習も好きだし。ただ、このアルバムは何か他のものなんだと思う。前述のムードを創造することにフォーカスしたんだよ。」

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24: TONY MACALPINE “CONCRETE GARDENS” (2015)

「インストゥルメンタルミュージックは人間の精神世界への道であり、僕たち全員を結びつけるものなんだよ。」
Tony が癌を患っている事実を公表したのは、2015年8月のことでした。ショッキングなニュースは即座にギター、メタルコミュニティーを駆け巡り、世界中のファンが彼の身を案じたのです。
祈りと支援の輪は当然ミュージシャンにも広がりました。2015年の12月に開かれた Tony のベネフィットコンサートには、Steve Vai, Zakk Wylde, John 5, Mike Portnoy, Billy Sheehan, Derek Sherinian といったレジェンドが集結。さらに Steve Stevens, Paul Gilbert, Steve Lukather, Joe Satriani 等のビッグネームも Tony のために自身のギターをドネートしたのです。挑戦を続け難病を克服したピアノとギターのマエストロは、音楽的にも、人間的にも、それほどまで音楽世界から愛されていたのです。
「PLANET X の早い段階から私は多弦ギターを導入していたし、私の音楽にどのように使用するかとてもワクワクしたんだ。スタジオで異なった弦数のギターを重ねる事は、様々なアンプを使う事と同じぐらい重要だ。
サウンドとテクスチャーは常に私自身の音楽や創造性に基づいているよ。何年もピアノを学んで、リスト、ショパン、シューベルトといった偉大な作品を演奏してきた成果だという事は言っておきたいね。それらは私の音楽の旅において本物のインスピレーションを与えてくれたし、そういったモダンな楽器は単に私のクリエイティブさを広げるために使用しているにすぎないんだ。」

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25: THE ARISTOCRATS “TRES CABALLEROS” (2015)

「THE ARISTOCRATS のようなバンドは、全てのマテリアルをライブで再現出来るということが重要なんだ。豪華なオーバーダブなしでね。ライブでレコーディングされたマテリアルを流して加えるなんてことに興味はないんだよ。ピュアなトリオという形で演奏してしっくりくるようなサウンドを求めているんだ。そうすればツアーで、フレキシブルに毎晩違った風に演奏することができるからね。」
Guthrie Govan, Bryan Beller, Marco Minnemann。まさに三者三様の経歴を持つインスト三銃士が集結した THE ARISTOCRATS は、ミュージシャンシップの民主主義でカントリーやメキシカン、オールドロックンロールからサーフ、ジャズや変拍子にフランク・ザッパとカラフルな音の葉全てをカルチャークラッシュさせていきました。
21世紀で最高のギタープレイヤーの一人、Guthrie Govan はこのインストライアングルから生まれる偶然性の美学を愛しています。
「これは3人が全員思っているに違いないんだけど、僕たちは以前やったことを単純に繰り返すよりも進化し続けたいんだよ。つまり全てのアルバムが真っ白なキャンバスから始まっているんだ。レコーディングを終えるまでどんなアルバムになるか全く分からないんだよ!」

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26: SITHU AYE “SENPAI EP” (2015)

スコットランドから彗星の如く現れた才能溢れるモダンプログギタリスト SITHU AYE。インターネットの普及により誰もが音楽を発信出来るようになった現代の音楽シーン。彼はまさにそういったDIYミュージシャンの代表格的な存在でしょう。
BULB (MISHA MANSOOR) や Ben Sharp は勿論その分野のパイオニアです。ただ、兄貴感の強い彼にインスパイアされて音楽を発信し始めたアーティストも多いのではないでしょうか?
「作曲もギターもレコーディングもプログラミングもプロデュースもやろうと思えば一人で出来るんだ。」彼がモダンプログ/ギタリスト界隈に与えた影響は決して少なくありません。
そんな偉大な男 SITHU AYE の”SENPAI EP”。アートワークからコンセプトまでどう見ても”OTAKU”!!そう、彼は偉大な”オタク”だったのです。
「EP全体の目的がアニメのテーマソングの感覚やヴァイブを捉えることだったんだからね。みんなには “OH SHIT, I’M LATE FOR SCHOOL!” を聴きながら MEGUMI がパンを一切れ咥えて学校へ走る場面を想像して欲しいな。勿論、アニメ中に使われる音楽も楽しくてキャッチーだから、そういった雰囲気も取り入れたかったんだよ!」
初期の SITHU の作品はより “DJENTY” な音作りやプログメタルの複雑さを強く内包していましたが、作品を重ねるに連れてどんどんメロディー重視の方向性にシフトしています。PLINI と波長が合い2人でEP”I”をリリースしたのも納得ですが、彼の中でそういったアニメのテーマソングのような強烈なキャッチーさに憧れる気持ちが膨らんで、遂に爆発したのかも知れませんね。

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27: BETWEEN THE BURIED AND ME “THE PARALLAX Ⅱ: FUTURE SEQUENCE” (2012)

2002年に BETWEEN THE BURIED AND ME がデビュー作を放って以来、リスナーは彼らのウルトラテクニカルな側面を一際待ち望んで来ました。”Colours” はリフワークとソロイズムの境を取り払った金字塔。
“Goodbye to Everything”。宇宙で全てに別れを告げる、バンド史上最も結束のとれたエピックで、バンドはファンの期待や重圧にも別れを告げたのかも知れませんね。この場所で培われたオーガニックでエモーショナルなプログ絵巻は、後に Tommy が 「新しいサウンドだなんて言いたくはないんだけど、新作はあまりヘヴィーじゃないし時に奇妙な感じだ。成長したというのかな。ALASKA から COLORS の時くらい大きくスタイリスティックな変化だよ。」と語る “Coma Ecliptic” へと引き継がれていくのです。

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28: STEVE VAI “THE STORY OF LIGHT” (2012)

「混沌とした宇宙でアートを創造するのはエゴでオナニーだと思っていたんですが、最近は人という種にとってアートは真の価値だと思い始めたんです。」
愛弟子 Devin Townsend の言葉に Steve Vai は答えます。
「皆がその素晴らしさを知っているアーティストがエゴイスティックにアートを作れば、不誠実に聴こえてしまうかも知れないね。だけど真のアーティストならそうするしかないんだよ。Devin、君もそうだし、Frank Zappa もそうだった。」
もちろん、Steve Vai その人も当然真のアーティストでしょう。オーケストラや Jacob Collier との共演、Generation Axe と依然挑戦を恐れないフロントランナー。ではギター世界に革命をもたらした偉人は、ギターの未来をどう捉えているのでしょう。
「ギターは明らかにクールな楽器だよ。ギターは死んだなんて言われているけど、物事には満ち引きがあるからね。テクノロジーの進化で、若いプレイヤーは様々なことに気を配らなければならなくなった。それでも必ずまた、ギターを別のレベルに引き上げる偶発者が現れる。現在、アンダーグラウンドなシュレッドカルチャー全体が途方もない方法で演奏しているんだ。そしてその希少な個人が、新鮮な視点、音、構造、外観の完璧な融合を手に入れる時、きっとまた革命が起こるよ。」

29: ERIC JOHNSON “COLLAGE” (2017)

「最近はよりダイレクトに音楽を創造するようになってきたね。」
7色の音を紡ぎ出すギター完璧主義者は、それでも時を経て少し肩の力を抜いてギターと向き合うようになったのかも知れませんね。ギターインストの金字塔、”Cliffs of Dover” を収録したマイルストーン “Ah Via Musicom” から30年。アニバーサリーツアーも行ったあの名盤で Eric は死ぬほど自分を追い詰めたと語ります。
「あの作品がたぶん、僕のアルバムの中ではみんなのフェイバリットレコードだろう。だけど、制作中は自分を殺しかけたんだ。一音一音、全てをパンチインして、全てのリフがチューニングやタイミングが完璧になるまで些細な部分も見逃さなかったからね。不思議なことにそんな風には聴こえないんだけど、あれは最高にツギハギだらけのレコードなんだから。」

30: FREAK KITCHEN “COOKING WITH PAGANS” (2014)

「エフェクトを多用する事は君の本当のサウンド、本当の君らしさから君を遠ざけてしまうと思う(自分でエフェクトを構築してないなら尚更ね)。ギター自体の良さを消してしまうから君と楽器とアンプの間に豪華なペダルボードは必要ないと思うよ。あくまで僕の考えだけどね。」
急速に拡大を続ける “ギターナード” の世界。真のギターフリークの間で、最もイノベーティブかつ画期的なプレイヤーとして崇拝を浴び続ける “Freak of the Freak” Mattias IA Eklundh。
水道のホースクリップ、テレビのリモコン、櫛、大人のディルドーにラジカセアンプ。目につくもの全てを “ギミック” としてギタープレイに活用し、レフトハンドのハーモニクスから両手タッピング、ミステリアスなスケールにポリリズムの迷宮まで自在に操るマエストロのアイデアは決して尽きることがありません。
同時に、弦は錆び付いても切れるまで交換せず、スウェーデンの自然とジャーマンシェパードを溺愛し、音楽産業の利益追求主義を嫌悪する独特の思想と哲学は Mattias の孤高を一層後押ししているのです。
「僕は今でも今日のシュレッダー達に欠けている何か・・・正しい態度とでも呼べる何かを聴くためにしばしば古い Django Reinhrdt のレコードをかけるんだ。ただギターの世界をひっくり返すような誰かが現れると信じてもいるんだ。ギターというとてもグルーヴィーで力強い楽器の未来のためにもそう望んでいるよ。」

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31: MESHUGGAH “THE VIOLENT SLEEP OF REASON” (2017)

MESHUGGAH はモダンメタル、エクストリームミュージックの帝王でありパイオニアです。Djent は勿論、Jazz/Fusion を取り入れた Instru-metal, より数学的な要素にフォーカスした Mathcore などそのポリリズミックでローチューンドなヘヴィーサウンドとギタリスムが後続に与えた影響は計り知れません。
“The Violent Sleep of Reason” において、メカニカルで精密に計算されたグルーヴを、率直で生々しいプロダクションで包み込んだ理由。それはアルバムのコンセプトに通じます。”危険な睡眠状態” とは、世界中で起きている無慈悲なテロリズムに対して、何ら行動を起こさない一般の人々を指しています。MESHUGGAH が作品に有機的な感覚、エモーションを強く取り入れたのは、世界の人たちにに手を挙げて欲しい、テロリズムと戦わなければならないというメッセージでもあるのです。
ダイナミックで、インテンスに溢れ、エナジーに満ちたレコードで MESHUGGAH はその価値を再度証明しました。この作品を受け止める私たちには何が出来るでしょうか?

32: SCALE THE SUMMIT “THE MIGRATION” (2013)

「僕たちがツアーを始めた頃は、ツアーを行っているテクニカルなインストゥルメンタルバンドなんて全くいなかったし、存在すらしていなかったんじゃないかな。ANIMALS AS LEADERS が現れて、こういった音楽のファンを開拓しているのは良いことだね。」
結成は2004年ですからもう15年選手。2009年には Mike Portnoy に認められ DREAM THEATER の PROG NATION ツアーに招かれるなど着実にそのキャリアを積み重ねるモダンプログレッシブ界の重要バンドです。AAL ほど Djenty ではなく、CYNIC, DREAM THEATER のようなプログメタルらしい雰囲気も多分に残しているのがポイント。ギタリスト Chris Letchford はジャズフュージョンの領域を掘り下げたソロレコードでも注目を集めます。
「ボーカルなしで完璧な曲に仕上げてさらにそこからエモーションを生み出すには、間違いなく作曲にとても時間がかかるんだよ。」

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33: KXM “SCATTERBRAIN” (2017)

「僕は53年もギターを弾いているんだ!それを考えると自分でも驚いてしまうよ。」
DOKKEN, LYNCH MOB, SWEET/LYNCH, ULTRAPHONIX, DIRTY SHIRLEY。80年代のギターヒーローで10年代最も精力的に活動を続けたのはおそらく George Lynch でした。
そのカミソリのようなギターの鋭き切っ尖はいささかも衰えることなく、ハードロックからオルタナティブ、ブルースやファンクまで幅広く自らのユニークスキルを振りかざす George のマッチョな背中には足を向けて眠ることは出来ませんね。
DOKKEN の “Shadowlife” を聴けば伝わるように、George は新たな音楽の冒険を拒むようなアーティストではありません。特に、Dug Pinnick, Lay Luzier と三雄の魂が通い合い、個性が溶け合った KXM は、ロックの持つオーガニックな衝動と、知性を擽るエキサイトメントを織り込んだ挑戦の集団で、George は水を得た魚のように躍動しています。
「僕は “Chaosphere” からずっと MESHUGGAH を聴いているんだ。他にも、たくさんの若くてヘヴィーなバンドを聴いているよ。近年、ギタリストのスキルレベルはクレイジーなほどに急上昇しているね。僕の考えでは、MESHUGGAH の Fredrik Thordendal はコンテンポラリーな Allan Holdsworth だと言えるね。」

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34: MESTIS “POLYSEMY” (2015)

「僕は注目の的でありたいとは思わないんだ。」ANIMALS AS LEADERS もう一人の天才 Javier Reyes は笑います。
「本当に注目されることは僕の目標じゃないんだよ。MESTIS のライブのために INTRONAUT のJoe Lester, Dave Timnick とチームを組んだのもそれが理由さ。このバンドのポイントは注目を集めることじゃない。シックな音楽をシックなミュージシャンと一緒に仲良くやりたかっただけなんだ。」
2013年に自宅のスタジオでベッドルームプロジェクトとして始まった MESTIS は、しかしそのプログレッシブかつ雄弁なテクニックの宇宙で “Tosin Abasi の相棒” の影から徐々に Javier を陽の光の下へと連れ出すことになりました。
「ANIMALS AS LEADERS で僕は大抵、支援的な役割を果たす。だけど、僕は雇われているし、バイプレイヤーも得意だからね。MESTIS では、もっと難しいことをしているようには思わないけど、素材のコンテキストが僕自身のユニークなスタイルを表現可能にしているね。 もっと存在感が出せているかな。」

35: UNPROCESSED “ARTIFICIAL VOID” (2019)

「僕たちの楽曲には沢山のギターパートが存在する。ディストーションリフの上にクリーンパートを重ねたりね。だから実際のリフをユニゾンでプレイしてパワーを保ったり、メインのリフに第2のボイシングを与えたりしてね。それに6弦の曲でも2つのストラトキャスターに1つの8弦ギターをオクターブで重ねたりもするしね。」
ドイツの Tech-metal 新勢力 UNPROCESSED は、圧倒的なトリプルギターマジックでテクニカルの教科書を書き換えていきます。特筆すべきは、MESHUGGAH の美学と PERIPHERY の流儀、ANIMALS AS LEADERS のパーカッシブファンカデリック、さらにメロディーの秀逸さを兼ね備えたユニークなリフの洪水でしょう。そして新世代の代表 Manuel Gardner Fernandes は、したたかに先輩のやり方を見習っていきます。
「PERIPHERY は起業家精神を持ったバンドの良い例で、ブランドを成長させるさまざまな機会を持つ事が出来ると証明している。ギターのタブ譜、プリセット、または独自のプラグインやシグネチャーハードウェアのようなものの売り上げのおかげで、彼らは情熱を傾ける音楽に集中することが出来るんだから。」

36: NICK JOHNSTON “REMARKABLY HUMAN” (2016)

「勿論、Tosin, Plini, POLYPHIA はブルージーな楽曲をプレイしないよね。だけど、それはただ彼らのスタイルやジャンルの範囲でないだけなんだ。彼らは全体的にはクールじゃないか!今でもブルージーなプレイヤーは存在するし、インターネットのおかげで見つけるのも簡単だよ。君がモダンインストゥルメンタルシーンだけに注目しているとしたら、彼らを見つけるのは難しいけどね。それこそが本当に残念なことなんだよ。内容と気づきが全てだと思う。だから僕は出来るだけ多くの音楽を聴いて、偉大なプレイヤーを見るんだよ。」
Paul Gilbert, Plini, Tosin Abasi, PERIPHERY, THE ARISTOCRATS, POLYPHIA, など新旧問わず才能豊かなアーティストとコラボレートしてきたことからも、この Schecter のストラトシェイプを獲物としたアックスマンが、”傑出している”ことは明らかでしょう。
そして、彼がこれほどまでにミュージシャンから注目を集めているのは、その”マイナスの美学”によるところが大きいのではないでしょうか。
モダンギターシーンは足し算の世界です。音を足し、ギターの弦を足し、リズムを複雑化し、フラッシーなプレイを追求するプレイヤーが多いと感じます。勿論、それらは非常に魅力的で、重要な冒険ですが、同時に Nick の引き算を際立たせることにも繋がりました。
「“Remarkably Human” とはギター自身と、29歳の人間、僕のことだよ。ギターはいくつかの点で、人間並のクオリティがあると思うんだ!信じられないくらい表現力豊かだし、反撃することもあるし、適切なタッチによって、あらゆる感情を引き出すことも出来るね。」

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37: INVALIDS “EUNOIA” (2013)

「僕にとって、音楽の NO.1 プライオリティーはメロディーとエモーションなんだ。僕は音楽の理論とか複雑さを愛しているし、どんどん複雑にしようとしている。だけど突き詰めるとそうする事でその複雑さにさえ気づかなくても、興味のあるなしにかかわらず、誰かの感情を揺さぶって何かを味わって欲しいんだ。INVALIDS はいつも難解さと聴きやすさのバランスをとりながらやっているんだ。
ユニークな “.マスポップ” で絶佳の景色を紡ぎ出すギタリスト Pete Davis はマスロックの未来を信じています。
「シーンには成長する可能性を感じているよ。音楽理論の知識もユビキタス化が進んでいるからね。多くの音楽を志す若者は機材を手に入れやすくなったし、音楽の理論や複雑さについても学びやすくなった。彼らは本当に作曲に対する熱意が凄いんだ。それだけじゃなくて、MATH-ROCK のファンが増えれば増えるほど、自分で演奏したいって思う人も増えるからね。こういった音楽はミュージシャンの要求に合わせて作られるんだ。プログロックや TECH METAL と同様にミュージシャンシップが賞賛されるからね。」

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38: GALNERYUS “UNDER THE FORCE OF COURAGE” (2015)

「僕はこれからもずっと音楽、そしてギターを愛して生きていきます!僕達の音楽を聴いて下さり、そして感動してくれる人がいる限り、頑張ります。それと今一生懸命音楽を努力している人は沢山居ると思いますが、良い音楽を創ると同時に、やはりある程度は注目を得ないと続けて行く事が難しいのも現実です。ですから、自分達の音楽を沢山の人に届けれる様、メディアに露出する事なども考えて、とにかく抜きん出るために、頑張りましょう!」
日本を代表するシュレッダー Syu の言葉はあまりに正直で、あまりに真実です。実際、プログレッシブで大仰を突き詰めたシネマティックな GALNERYUS のメタルハートは世界を溶かし始めています。
「僕は元々映画が大好きで数多く観てきてるんですが、画があり、そしてそれを引き立てる音楽がある、そんな映画の手法に感銘を受けてたんですね。だから本作では、そんな感動を表現したいという思いがありました。今回のテーマとしては、今の僕たちに出来る最高のシネマティックなアルバムにしたい、という気持ちですね。そういった手法において影響を受けてるのはDREAM THEATER、QUEENSRYCHEです。」

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39: MICHAEL ROMEO “WAR OF THE WORLDS PT.1” (2018)

「僕にとっては、異なることに挑戦したり、新しく興味深い何かを創造したりといったことの方が大きな意味があるんだよ。テクニックとか、ギターに纏わる様々な事柄も良いけど、それを絶妙に、音楽的な方法で使用することこそ重要なんだ。」
Michael Romeo は自己超克を命題に刻む、ストイックなギターウィザードです。一定のスタイルを確立した後、そのクオリティーを安住の地とするプレイヤーが多い中、SYMPHONY X のマスターマインドはイノベーションを続けます。
「僕はこのアルバムでメタルに映画音楽の要素をミックスしたかったんだ。」 と語ったように、実際 “War of the Worlds/Pt.1” こそが、チャレンジングかつ前人未到のオーケストラルなシネマティックメタルであることは明らかです。
もちろん、RHAPSODY のようにクラッシックや民族音楽を、オーケストラルにメタルファンタジーへと落とし込む手法はこれまでもありました。しかし、Bernard Hermann や John Williams, Hans Zimmer といった、コンテンポラリーなシネマミュージックの息吹を濃厚に抱きしめる Michael の手法と慧眼は、近年の多様でカラフルなモダンメタルレボリューションの中でも際立っていますね。

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40: RICHARD HENSHALL “THE COCOON” (2019)

「作曲やレコーディングにおいて、音楽の境界を少しでも広げるなら、僕はモダンなテクノロジーも楽しんで使用しているんだ。」
今年の Progressive Music Awards で “UK Band of the Year” を獲得したもはやプログレッシブ世界を代表するバンド HAKEN。精密と重猛の並行世界を実現するプログ最後の希望を牽引するギターヴァーチュオーゾ Richard Henshall は、ソロプロジェクトの船出に “The Cocoon” 実験の “繭” の名を与えました。
Richard が RADIOHEAD を引き合いに出した様に、プログレッシブの言霊が例えばブラックメタル、スラッジ、オルタナティブ、ジャズといった異世界によりフィットするようにも思える現代において、クラッシックなプログの鼓動を21世紀にアップデートする HAKEN のレトロフューチャーな音楽観は実に貴重で尊い孤高です。プログサウンドの海に漂うアンビエント、djent, ソウル、ジャズ、ミニマリズム、シンセポップの漂流物は、音の航海を退屈から程遠い冒険へと導いています。
「作曲に関して僕たちは、これがプログなのかメタルなのか考えすぎて特定の方向性へ舵を切ったりはしないようにしているよ。特定の影響に重きを置かないことが重要なんだ。ただ自分たちが聴きたい音楽を書いて、ただ望むのはファンが楽しんでくれることだけなのさ。」

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41: BUCKETHEAD “IT’S ALIVE” (2011)

379枚の関連スタジオアルバム、97枚のゲスト参加作品、19枚のビデオグラフィー。Wiki によると476枚のレコードに携わっているバケツの怪人 Buckethead。あの GUNS’N ROSES でもプレイした奇妙なフルピックと奇天烈タッピングの奇想天外鶏魔人は、しかし2017年に心臓の病に侵されたのです。
「もともと不整脈を持っていたんだけど、どんどん酷くなってね。なんとかおさまったけど、医者で薬をもらわなければ部屋を横切るのさえ大変なくらいだったんだ。でもその翌日には友人とレコーディングをしていたね。ベッドに横になりながら。俺はここにいる!って主張したかったんだ。」
鶏小屋で鶏と育ったため、言葉を発することはできない Buckethead。故に全てのインタビューは通訳のハービーを通しています。マスクも狼に襲われた傷を隠すため。さまざまな苦境を経験し、それでも彼の創作意欲が衰えることはありません。
「俺は明日死ぬかもしれない。誰だって明日死ぬかもしれないんだ。だけどそんな状況を経験するのはとてもヘヴィーなことなんだ。だから俺は今プレイしたい。死を意識したあの体験を表現したいんだ。」

42: MONUMENTS “PHRONESIS” (2018)

「僕がプレイしているタイプの音楽は常に MESHUGGAH と関連づけられてしまうし、実際そういった面もあるからね。彼らが全てのシンコペーションのリズムをメタルに持ち込んだんだから。例えばスラッシュメタルにとっての METALLICA、ジャズにとっての MILES DAVIS、ビッグバンドにとっての DUKE ELLINGTON、クラッシックにとってのベートーヴェン、バロック音楽にとってのバッハ。MESHUGGAH はモダンメタル界でそういった位置にいるんだ。彼らがメタルに持ち込んだものは新しいサブジャンルを作ったんだよ。」
FELLSILENT と MONUMENTS。Tech-metal の歴史に欠かせないバンドを2つも始動させた John Browne はたけし城から上原ひろみまで日本の文化を愛するアーティストです。
「FELLSILENT の再結成?うーん、そうなるとは思えないなあ。元メンバーのうち3人はフルタイムでツアーしているバンドに所属しているからねえ。実は去年£10,000のオファーを受けたんだよ。それでも集まってショーをやろうとはならなかったんだ。まあ将来何が起こるかは分からないけどね!」

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43: NITA STRAUSS “CONTROLLED CHAOS” (2018)

男性が支配するロック/メタルのコミュニティーにおいて、数少ない女性パフォーマーの存在は、拒絶や差別との戦いを強いられた嵐の航海だったと言えるでしょう。
そして、フロントウーマンはもちろん、Orianthi, Yvette Young, Sarah Longfield などギターヒロインまで台頭し浸透した2010年代になっても、性的なコメントや挑発に対処する必要は未だなくなってはいないのです。
オーストリアのクラッシック音楽家ヨハン・シュトラウス2世の血を引くシュレッダー Nita Strauss は、その高い知性と敏腕で轟天と荒波を潜り抜け、シーンにおける女性の地位確立に大きな貢献を果たして来ました。
「”間違いなく” 遂に女性の時代が来たと感じているのよ!!メタルシーンにとって素晴らしい時代になったのよ。」AS BLOOD RUNS BLACK, THE IRON MAIDENS, FEMME FATAL そして Alice Cooper。女性の存在がまだ極少だった時代から、華麗にキャリアを紡いで来た開拓者の精神はそして実にポジティブです。

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44: THE WINERY DOGS “HOT STREAK” (2015)

「ALICE IN CHAINS が登場した時は衝撃だった。チープな機材でも偉大な音楽が作れると気付かされたからね。みんな高価な機材を追いかけるけど、結局ギアなんて関係ないんだよ。重要なのはパフォーマンスと楽曲なんだ。それが全てさ。」
ブルースにファンク、フュージョンまで涼しい顔で弾き倒す、リズムとレガートの達人は Mike Portnoy, Billy Sheehan とのトライアングルがお気に召しているようです。そこに存在するのはオールドスクールなスピリット。少々飽き性にも思える天才は、オーガニックでスポンティニュアスな感覚、そしてギターとシンクロするスキャットは象徴的ですが、歌心を愛しているだけなのです。
「17か18の時に最初のレコードを録音したんだけど、僕はインスト向きじゃないと実感したんだ。Rod Stewart と Paul Rodgers を愛しているからね。特に最初のころは Paul の歌唱から全てを学んで彼の真似事をしていたのさ。」

45: SONS OF APOLLO “PSYCHOTIC SYMPHONY” (2017)

「ガンズ時代、最高の思い出は2012年に “Bridge School Benefit” でアコースティックコンサートを行ったことだね。毎年カリフォルニアで開催される、非営利のチャリティーイベントなんだけど、全ての収入は Bridge School に渡るんだ。彼らはテクノロジーや教育を通して言語や身体に障害を持つ人たちを助ける学校なんだよ。ステージには子供たちとその両親のためにプラットフォームが用意されていてね。僕たちは彼らの目の前でプレイしたんだよ。
僕は子供のころを思い返し、彼らの手を取って、ガンズがプレイしている時に僕のギターをかき鳴らさせてあげたんだ。本当に大好きなショウの一つだね。大義のためだったからかな(笑)」
ASIA, ART OF ANARCHY, ソロでも活躍する Bamblefoot は、Mike Portnoy, Derek Sherinian, Billy Sheehan と楽器の巨聖が集結した SONS OF APOLLO においても、その独創的かつ奇抜なシュレッドと美しい人柄でバンドのアイデンティティーとなっています。”1日に8時間練習するなんてバカらしい。2時間練習して残りの時間人生を楽しむ” のがギタリストとしての彼のモットーです。
「今でもその言葉を信じているよ。身体的なテクニックが1日に進歩する幅には限りがあるんだよ。だけど君が経験出来ること、音楽を通してシェア出来るストーリーやエモーションにリミットはないんだからね。興味深い音楽を作る最善の道は、興味深い人生を送ること。精一杯生きようね( 笑 )」

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46: SARAH LONGFIELD “DISPARITY” (2018)

2016年、Guitar World 誌による “世界最高の7弦、8弦ギタープレイヤー15人” の中に選された革新のハイテクニックビューティーは、驚くべきことにチャンネル登録者数20万を超える人気 YouTuber でもあるのです。(Rob Scallon とのコラボレートの数々は秀逸)
「マルチなプラットフォームを築き、ミュージックコミュニティーの様々な側面で名前が売れることは、素晴らしいプロモーションにもなって来たのよ。」と Sarah が語るように、ソロ活動、バンド THE FINE CONSTANT、そして YouTube と新世代らしく現代的なプラットフォームを意欲的に活用することで、彼女は Season of Mist との契約を手にすることになりました。
インタビューで、「私はまずピアノを8歳の時に始めて、それからヴァイオリンを10歳の時に始めたの。遂にギターを手にしたのは12歳の時だったわね。」と語るようにその音楽的素養は実に深くそして多様。弊誌に何度か登場している Yvette Young が似たようなバックグラウンドを持つことも興味深いシンクロニシティーではないでしょうか。

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47: ANDY JAMES “ARRIVAL” (2018)

ネット上で最も人気のあるギター講師、SACRED MOTHER TONGUE, WEARING SCARES といったフィジカルなバンドでの活動、そして6弦ファンタジーを生み出すソロアルバム。Andy James はいくつもの顔を持つフレキシブルなギタープレイヤーです。ではどの顔が本当の Andy なのでしょう?
「僕はいつだってバンドでのプレイを望んでいる。Satriani や Vai みたいになりたい訳じゃないし、ソロでツアーもしたくない。」
機材についての拘りも相当です。「Kemper が他のアンプシュミレーターと異なるのは、アンプサウンドを真似しようとしていないところなんだ。アルゴリズムを使用して実際のアンプを再創造しているからね。」

48: MATEUS ASATO “NO ALBUMS”

SNSの世界から飛び出したブラジリアンは、アルバムを1枚もリリースしていないにもかかわらず、今最もギター世界で注目を集めている存在かもしれませんね。
クリーンで温かみのあるギターサウンドとカラフルなコードボキャブラリーでネオソウルムーブメントの一翼を担う奇才は、Stevie Wonder を崇めながら Bill Evans, Joe Pass といったジャズジャイアントの影響下にもあるのです。シングルコイルの Shur からフィンガーピックで紡がれるギターロマン。
「SNSの全てのソースは名前を売るのに有効だと僕は信じている。賢く、クリエイティブに使用出来ればだけどね。最近の世界の動きを鑑みれば、出来るだけ迅速に人々の反応を集める方が良いんだよ。もちろん、僕の中にも音楽とインターネットの組み合わせには葛藤があるんだけど、それでも SNS は力を持っていると信じているんだ。」

49: LARI BASILIO “FAR MORE” (2019)

「Joe のミュージシャンとしてのクオリティーを置いておいても、彼のメロディックなセンスが大好きなの。彼のメロディーに対するアプローチは実にユニークで、アルバムに参加してくれたことは実に光栄だわ。」
Mateus と同様、ブラジルからフィンガーピッキングで音彩を紡ぐ Shur 使い Lari Basilio は、あの Joe Satriani から大いに認められた才媛です。Joe や Andy Timmons, Paul Gilbert に憧れる傍で、ブラジルの鬼才 Juninho Afram を敬愛し、ジャズギタリスト Djalma Lima に師事した経歴が彼女を流動体のようにしなやかなギタリストへと成長させました。
「MPBは大好きよ。ポルトガル語で Musica Popular Brasileira って意味ね。ANGRA のベーシスト Felipe Andreoli は最初の EP に参加してくれた。光栄だったわ。最高のベーシストの1人ね。」

50: TRICOT “3” 

「一番チャレンジだった曲は全員一致で “18,19” です。この曲は合宿で作ったんですが、イントロとサビのリズムが違うのでその変換がなかなかできずみんなで格闘してました。できるようになった時はやったー!とみんなで喜びました。(笑)この曲はやりたいこと詰め込んで全部やってやろう、という感じで楽しみながら作りました。
マスロックという括りに関しては、確かに変拍子も多いし(海外からは特に)マスロックと言われるのでそうなんかなぁと思うぐらいで、本人的にはあんまり意識してないです。tricotのジャンルを聞かれると自分たちではわからないという感じです。(笑)」
京都から世界へと進出し快進撃を続けるガールズトリオ tricot。ポップ、パンク、そしてプログまで取り込んだ前人未到の方程式は世界を驚かせるに充分なインパクトを纏っています。
勿論、変幻自在なリズム、マスマティカル(数学的)な変拍子の洪水がシンボルとなり、特に海外では “マスロック” “Math-rock” と称される tricot の音楽ですが、多彩を極めるのはリズムだけではありません。”3″ で確かに実現したカラフルで鮮やかな楽曲群、世界観はしなやかにバンドの成熟、進化を伝えています。

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51: THE HAARP MACHINE “DISCLOSURE” (2012)

52: OWANE “YEAH WHATEVER” (2018)

53: GARY CLARK JR. “BLAK AND BLU” (2012)

54: RUSH “CLOCKWORK ANGELS” (2012)

55: PAT METHENY “THE ORCHESTRION PROJECT” (2013)

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56: RABEA MASSAAD “GRINDING GEARS” (2018)

57: OZ NOY “WHO GIVES A FUNK” (2016)

58: ANDY MCKEE “JOYLAND” (2010)

59: WIDEK “HIDDEN DIMENSIONS” (2017)

60: TESSERACT “ONE” (2011)

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61: TOM MISCH “GEOGRAPHY” (2018)

62: BORN OF OSIRIS “THE DISCOVERY” (2011)

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63: VOLUMES “VIA” (2011)

64: CHANTEL MCGREGOR “BURY’D ALIVE” (2019)

65: THE CONTORTIONIST “EXOPLANET” (2011)

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66: SIKTH “THE FUTURE IN WHOSE EYES?” (2017)

67: THE HELIX NEBULA “MELIDIAN” (2014)

68: JOE SATRIANI “SHOCKWAVE SUPERNOVA” (2015)

69: SCOTT HENDERSON “PEOPLE MOVER” (2019)

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70: NEAL MORSE BAND “THE SIMILITUDE OF A DREAM” (2016)

71: FLYING COLOURS “THIRD DEGREE” (2019)

72: AND SO I WATCH YOU FROM AFAR “ALL HAIL BRIGHT FUTURES” (2013)

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73: FELIX MARTIN “MECHANICAL NATIONS” (2017)

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74: WATCHTOWER “CONCEPT OF MATH: BOOK ONE” (2016)

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75: THE FALL OF TROY “OK” (2016)

76: PROTEST THE HERO “SCURRILOUS” (2011)

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78: VEIL OF MAYA “ID” (2010)

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79: TOMMY EMMANUEL “ACCOMPLICE ONE” (2018)

80: VOIVOD “THE WAKE” (2018)

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81: TOM QUAYLE “NO ALBUMS”

82: SURREALISTS “ORIGAMI” (2017)

83: NEWTON FAULKNER “HUMAN LOVE” (2015)

84: JASON BECKER “TRIUMPHANT HEARTS” (2018)

85: ARIEL POSEN “HOW LONG” (2019)

86: SERGEY GOLOVIN “SCULPTURE” (2018)

87: HAUNTED SHORES “VISCERA” (2015)

88: REVOCATION “THE OUTER ONES” (2018)

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89: DYLAN REAVEY “NO ALBUMS”

90: NOVELLER “A PINK SUNSET FOR NO ONE” (2017)

91: MELANIE FAYE “SUPER SAD ALWAYS” (2019)

92: MARCUS KING BAND “CALOLINA CONFESSIONS” (2018)

93: OLA ENGLUND “MASTER OF THE UNIVERSE” (2019)

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94: ARCHSPIRE “RELENTRESS MUTATION” (2017)

95: ONI “IRONSHORE” (2016)

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96: I BUILT THE SKY “THE ZENITH RISE” (2019)

97: STEPHEN TARANT “PERMANENCE” (2019)

98: THRAILKILL “EVERYTHING THAT IS YOU” (2019)

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99: THE MARS VOLTA “NOCTOURNIQUIT” (2012)

100: TOOL “FEAR INOCULUM” (2019)

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FEN : THE DEAD LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH THE WATCHER OF FEN !!

“I Am Huge Advocate Of a Lot Of The 60s/70s Prog Scene – Yes, Genesis, King Crimson, Rush, Pink Floyd, These Sorts Of Acts And Many More Are a Big Influence On My Approach To Song/Riff-Writing.”

DISC REVIEW “THE DEAD LIGHT”

「僕が育ったかつては湿地帯だった荒野。この風景とそれが体現する感覚の両方を伝えようとすることが、僕の音楽に真のフィーリングと信憑性をもたらす唯一の方法だったんだ。FEN の音楽は大部分がこの特別な雰囲気をリスナーに届けるためのメカニズムで、彼らを荒涼として風にさらされた冷たい旅に誘うんだ。」
古い修道院、朽ちた電信柱、鄙びた風力タービンが唯一人の存在を感じさせる不毛の湿地帯フェンズ。イングランド東部の仄暗い荒野を名前の由来とする FEN は、キャリアを通してその白と黒の景色、自然の有り様と人の営みを伝え続けて来ました。そして奇妙な静けさと吹き付ける冷厳な風、くぐもった大地の荒涼を音に込めた彼らのダークな旅路は、”The Dead Light” に集約しています。
「当時は本当に小さなシーンだったな。僕たち、Neige のプロジェクト、ALTAR OF PLAGUES, それからおそらく LES DISCRETES。数年間は小さなままだったけど、ALCEST がより有名になるとすぐに爆発したね。 彼らのセカンドアルバム “Ecailles De Lune” は、ジャンルの認識を本当にターボチャージさせたと思うね。」
今では飽和さえ感じさせるポストブラック/ブラックゲイズの世界で、FEN は最初期からジャンルを牽引したバンドの一つです。ALCEST に親近感を覚え敬意を抱く一方で、DEAFHEAVEN には少々辛辣な言葉を投げかける The Watcher の言葉はある種象徴的でしょう。
なぜなら、FEN の心臓である “シューゲイズ、ポストロック、ブラックメタルの意識的な融合” は、決して奇をてらった “クレバーなマーケティング” ではなく、フェンズを表現するための必然だったのですから。
「僕は60年代/​​70年代のプログレシーンの強力な支持者なんだ。YES, GENESIS, KING CRIMSON, RUSH, PINK FLOYD といったバンドは、僕のソング/リフライティングに対するアプローチに大きな影響を与えているよ。ほとんど僕の作曲 DNA の本質的な部分と言っても過言ではないね。」
FEN がその ALCEST や他のポストブラックバンドと一線を画すのは、自らの音の葉にプログレッシブロマンを深く織り込んでいる部分でしょう。
実際、”The Dead Light” は PINK FLOYD のスロウダンスを想わせるドゥームの質量 “Witness” でその幕を開けます。ポストロックのメランコリーとプログレッシブなサイケデリアは、2部構成のタイトルトラック “The Dead Light” へと引き継がれ、メタリックな星の光を浴びながら ENSLAVED や VOIVOD にも迫るアグレッシブな酩酊のダンスを誘います。
「光が人間の目に届くまでに消滅した天体だってあるよ。つまり地球から遠い過去への窓を見ているようなもので、光子の量子が空虚を通して力を与え、最終的にアルバムタイトルのまさに “死の光” “長い死” のイメージを届けるんだ。」
もしかすると今、瞳に映る輝きはもはや存在しない死んだ星雲の残像なのかも知れない。そんな空想を巡らせるに十分なロマンチシズムと荘厳さを併せ持つ “Nebula” の魔法でポストブラックに酔いしれたリスナーは、”Labyrinthine Echoes” でプログレッシブとブラックメタルが交差する文字通り宇宙の迷宮へと迷い込み、そうして “Breath of Void” で遥かな天空から荒野の虚無を体感するのです。
もちろん、蒼く冷たい失血のロンド “Exanguination” はきっと彼の地に住まう人々の苦難、喪失、孤立、そして誇りを体現しているはずです。
今回弊誌ではフロントマン The Watcher にインタビューを行うことが出来ました。「ブラックメタルシーンは生き生きとしていて、魅力的な作品を作成する熱意を持ったアーティストで溢れているんだ。全くエキサイティングな時代だよ!」 冷厳でしかしロマンチックなブラックメタルファンタジー。どうぞ!!

FEN “THE DEAD LIGHT” : 9.9/10

INTERVIEW WITH THE WATCHER

Q1: This is the first interview. So, at first, could you tell us about yourself and the band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【THE WATCHER】: Firstly, may I start by just saying thank you for the interview Sin – it is very much appreciated and it is great to have the opportunity to spread the message to our listeners in Japan.
As for my own musical journey, I guess it started in the 1980s really – I was exposed to a lot of interesting music courtesy of my parents. One of my earliest musical memories is my mother blasting our the Cocteau Twins loudly in our house when I was just a young lad! I also used to listen to a lot of electronic & synth music when I was a bit younger – Jean Michel Jarre was a big one as was the first ‘Enigma’ album. It was my father who was more into the ‘rock’ side of things and when I turned 12-13 years old, I think he though to himself ‘right, the lad is old enough now!’ and decided to start initiating me into all things ‘loud guitar’ related.
It was at this point that Whitesnake’s ‘1987’ entered my world and effectively blew my mind apart – I’d never heard anything so powerful, heavy or atmospheric in my life. The first time I heard the midsection of ‘Still of the Night’ was literally unbelievable. So that really was an absolutely milestone record for me, I was obsessed with it. And you know what? Here we are, 26-27 years later and my opinion hasn’t really changed – it’s one of the all-time classic rock albums and I still regularly listen to it. The songwriting, performances and guitar tone are absolutely best in class, it cannot be denied!
From that point on, I swiftly immersed myself in rock and metal music – moving from W.A.S.P. (they were huge for me), Saxon and Iron Maiden quickly into heavier territory. Machine Head, Paradise Lost, Fear Factory, White Zombie and then the inevitable descent into the extreme metal scene – Cannibal Corpse, Cradle of Filth, Dark Funeral, Opeth, Emperor, In Flames, all this sort of thing. Within the space of a couple of years, I had gone from taking my first few tentative steps listening to classic rock music to moshing to Cannibal Corpse, Vader and Immolation at the LA2 in London!
It was around this time that I got my first guitar also so my induction into the ways of extreme metal went very much hand-in-hand with learning to play an instrument. I think this has meant that the two have pretty much been a synonymous concept for me – there has never been a time when I have listened to extreme metal without playing it. I believe this is a key reason as to why I have been so determined in terms of making my own music and contributing to the genre as much as I can. It has simply added to the intrigue and fascination of this very special form of music.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【THE WATCHER】: まず、インタビューアー Sin に感謝を伝えさせて欲しい。日本のリスナーに、僕たちのメッセージを広める機会を得ることが出来たからね。とても感謝しているよ。
僕自身の真の音楽の旅は、1980年代に始まったと思う。両親のおかげでたくさんの興味深い音楽に触れることが出来たんだ。最初の音楽的な思い出だって、僕がまだ幼い頃に母が家で COCTEAU TWINS を大声で歌っていたことなんだから!
少し成長すると、沢山のエレクトロニカやシンセ音楽を聴いたね。Jean Michel Jarre からは ENIGMA のファーストアルバムと同様に大きな影響を受けたよ。よりロックサイドに目覚めさせてくれたのは父だったね。僕が12-13歳になったとき、きっと父はもうそろそろ良いだろうと思ったんだろうね。”ラウドギター” に関係する全てを僕に仕込み始めたんだ。
そうして WHITESNAKE の “1987” が僕の世界に入ってくると、本当にぶっ飛ばされたね。人生でこれほど強力で、重く、それでいて雰囲気のある音楽は聴いたことがなかったからね。”Still of the Night” のミドルセクションを初めて聴いた時なんて、文字通り信じられないって感じだったよ。僕にとってあのアルバムは絶対的なマイルストーンで、心底夢中になったんだ。あれから26~27年後の現在でも、僕の意見は変わっていないよ。”1987″ は最高のクラシックロックアルバムの1つで、今でも定期的に聴いている。ライティング、パフォーマンス、ギタートーン、どれをとっても最高クラス。それは否定出来ないよね。
その時から、僕はすぐにロックとメタルに没頭していったね。W.A.S.P (僕にとって大きな存在だった)、SAXON, IRON MAIDEN。そこからよりヘヴィーな領域へと移行して、MACHINE HEAD, PARADISE LOST, FEAR FACTORY, WHITE ZOMBIE。さらに不可欠なエクストリームメタルへと足を踏み入れ、CANNIBAL CORPSE, CRADLE OF FILTH, DARK FUNERAL, OPETH, EMPEROR, IN FLAMES へと進んでいったんだ。つまり最初にクラシックロックを聴いてから数年のうちに、ロンドンのLA2で CANNIBAL CORPSE, VADER, IMMOLATION のギグに赴きモッシュしていたんだよ!
ちょうどその頃、初めてギターを手に入れたから、エクストリームメタルへの接近は、楽器の演奏を学ぶ事ととても密接に関連していたね。その2つは、僕にとってほぼ同義の概念であったとまで言えると思う。エクストリームメタルを聴いて、その音楽を演奏しないことなんてなかったね。それこそが、自分の音楽を作り、可能な限りこのジャンルに貢献するという決意をこれほどまで固めてきた重要な鍵だと思うんだ。ギターの演奏が、この非常に特殊な形の音楽の魅力に単純にさらに追加されたわけさ。

Q2: There are lot’s of genres in metal. What made you get into and start to play black metal?

【THE WATCHER】: As I explained, I descended into extreme metal very quickly and it was at this time that I was starting to learn the guitar also. So the sheer excitement of discovering this whole new world of music literally occurred in tandem with the thrill of starting to learn how to play it also – it was a truly intoxicating combination!
And of all the extreme metal subgenres, it was black metal that really resonated with me the most – whilst I certainly enjoyed the death and doom metal that I was exposed to, it was those early-to-mid-90s black metal releases that really set my imagination afire. There was so much atmosphere to it – it was unlike anything I’d ever come across and back in these pre-internet days, the whole genre was shrouded in real, GENUINE mystery. Who were these shadowy figures creating this unholy, dark music? Also being a Tolkien/fantasy literature fan, the fact that so many of these acts referenced such things was just the icing on the cake.
So those early records I encountered – Cradle of Filth’s ‘Vempire’, Dark Funeral’s EP and debut, Emperor’s ‘In the Nightside Eclipse’, Setherial’s ‘Nord’ – these were absolutely pivotal and swiftly set the tone for me. I immersed myself in the genre and began to dedicate my own guitar playing to creating this form of music. I simply felt a real compulsion to express myself in this way and began to work on very rudimentary recordings and demos almost straight away. And despite the many years that have passed since this point, I guess this compulsion still very much continues!

Q2: 非常に幅広い音楽遍歴ですが、その中からブラックメタルを主戦場に選んだ理由を教えていただけますか?

【THE WATCHER】: さっき話したけど、僕はとても早急にエクストリームメタルにハマって、ちょうどその頃ギターを学び始めたんだ。だからこの全く新しい音楽の世界を発見する興奮が、それを演奏する方法を学ぶスリルと並行して倍増しながら発生したわけさ。
そして、全てのエクストリームメタルのサブジャンルの中で、僕に最も共鳴したのがブラックメタルだったんだ。確かに、デスメタルとドゥームメタルは楽しんでいたけど、真に僕の想像力に火をつけてくれたのが90年代初期から中期にかけてのブラックメタルだったんだ。素晴らしいアトモスフィアがあったからね。
それにインターネットの前の時代に出会ったブラックメタルって、ジャンル全体が “本物の” 謎に包まれていたんだよ。こんな不気味でダークな音楽を作っていた影姿は誰だったんだろう?僕がトールキン/ファンタジー文学のファンで、彼らの多くがそういった作品を参照していた事実は、それでもケーキの上の飾り付けに過ぎなかったんだ。
だから僕出会った初期のレコード、CRADLE OF FILTH の “Vempire”、DARK FUNERAL の EPとデビュー作、EMPEROR の “In the Nightside Eclipse” 、SETHERIAL の “Nord” といった作品は絶対的に重要で、僕のトーンを決定づけたんだ。
僕はブラックメタルに没頭し、このフォームの音楽の作成に自分のギタープレイを捧げるようになったんだ。そうやって自分を表現したいという強い衝動を感じたことで単純に、非常に初歩的なレコーディングやデモに取り組み始めたんだ。あの頃から何年も経ったけど、この衝動はまだ強く続いていると思うんだ!

Q3: You got your band name from the Marshlands in Eastern England, right? Did you think that place fit into your dark and atmospheric soundscape?

【THE WATCHER】: Absolutely. The fens are a strange and unusual place but to draw inspiration from this area just feels right. I grew up there from about ten years old until I left home and so it was very much the landscape that surrounded me during my own evolution into adulthood and also truly ‘finding myself’ with music. It really isn’t an area that many people visit – there is no tourist industry there and the landscape itself is not traditionally captivating. It certainly doesn’t have the immediate appeal or splendour of the traditional ‘rolling green English countryside’ that many people enjoy.
However, what it does have is a very unique and deeply individual bleakness. It is flat – incredibly flat – with much of the land now big stretches of blackened peat fields that were once marshland (most of the area was drained in the 1800s). It is flat, sparsely populated, with only the occasional (very functional/industrial) farm to break up the monotony. Long, small roads stretch on in straight lines across these fields whilst telegraph poles lurch sideways as they sink into the soils. For me, it is redolent with a sense of loss, a sense of isolation and desolation – the perfect embodiment of the mindscape of a lonely young man.
So when truly looking to craft a sound of reflective, affecting black metal, attempting to channel both this landscape and the sensations it embodies were the only way I could drive true feeling and authenticity into the music. In many ways, the music of Fen really is a mechanism to deliver this special atmosphere to our audience – to bring them with us on this cold, windswept journey across these invigoratingly bleak landscapes.

Q3: 東イングランドの沼地がバンド名の由来だそうですが、その場所が FEN のダークでアトモスフェリックなサウンドにフィットしたのでしょうか?

【THE WATCHER】: その通りだよ。”The Fens” は奇妙で非日常的な場所だけど、インスピレーションを引き出すにはちょうどいい感じのエリアさ。僕はそこで10歳くらいの頃から家を出るまで育ったから、大人になり自分自身を音楽で真に “発見” するまでの間、まさに僕を取り巻いていた風景だったんだ。多くの人が訪れる場所じゃないよ。観光業はなく、景観自体も伝統的な魅力を持っている訳じゃない。間違いなく多くの人が楽しめる伝統的な “ローリンググリーンな英国の田舎” の、即効的な魅力や素晴らしさは存在しないね。
だけど非常にユニークで個人的な深き憂鬱があるんだよ。平らで、信じられないほど平らで、かつては湿地帯であった黒い泥炭地が広がっているんだ。(1800年代にほとんどの地域が排水されたんだ)
平坦で人はまばら、そんな単調さを時に解消するのは(非常に機能的/産業的な)農場だけだよ。長い小さな道路がそんなフィールドを横切って直線状に伸びている中で、電信柱は土壌に沈み傾いている。僕にとって、その景色は喪失感、孤立感、荒廃感に溢れているんだよ。孤独な若者の心風景を完璧に具現化したものさ。
だからブラックメタルに影響を与える音を作りたいと思った時、この風景とそれが体現する感覚の両方を伝えようとすることが、僕の音楽に真のフィーリングと信憑性をもたらす唯一の方法だったんだ。FEN の音楽は大部分がこの特別な雰囲気をリスナーに届けるためのメカニズムで、彼らを荒涼として風にさらされた冷たい旅に誘うんだ。

Q4: Regarding dark, winter is inseparable with Fen. Of course, you released “The Dark Light” in December and that soundscape is really cold and wintry. Is the concept or lyrical themes relate to winter?

【THE WATCHER】: It’s actually just a coincidence that the album was released in the winter if I’m honest – in an unusual twist, our previous record was actually called ‘Winter’ and whilst not addressing that topic literally, dealt with the idea of the concept of winter representing a phase of finality and eventual ending.
‘The Dead Light’ instead deals with more cosmological, metaphysical and existential topics – how consideration of the stars, the universe and the cosmos has impacted upon mankind’s thinking since the very dawn of human civilisation. One only has to look at some of the greatest monuments from antiquity – the pyramids of Giza, Aztec temples and Stonehenge here in England – to see how even the earliest examples of our societies, despite being scattered across the globe, demonstrated a real fascination with the heavens.
It is not hard to see why so many thinkers become fascinated with the topic. The depths of our universe yield breathtaking beauty and unimaginable destruction in equal measure. The sheer scale and vastness of the cosmic depths and the entities that lurk within it have ever been the tempter for the human mind to consider, to ponder and theorise upon. It is therefore no surprise that so many seek their truths in the depths of the multiverse and it is this aspect the ‘The Dead Light’ above all others looks to address.
This is most evident on the song ‘Nebula’ which deals specifically with mankind’s quest for truth – and how, when faced with truths that go against firmly-held principles or beliefs that even the most open-minded of thinkers can retreat into denial and dogma than face the soul-crushing horror of reality. Elsewhere, the album addresses humanities willingness to absolve themselves of the responsibility of logical thought and instead retreat into fortresses of monotheism (‘Rendered in Onyx’) or simply dissolve into a mindless, meaningless existence, bereft of any real value and wallowing in empty ignorance (‘Exsanguination’).
The most direct reference to the cosmic concepts addressed however is of course the album title track itself – ‘The Dead Light’. This song deals specifically with the phenomenon of light travelling across the cosmos from celestial bodies that are unimaginable distances away from us here on earth – celestial bodies that may well have become extinct in the time it has taken for their light to reach our mortal, human eyes. It is like looking upon a window into the distant past, quanta of photons powering through the fathomless void to ultimately deliver to us an image of something long dead – the very ‘dead light’ of the album title in question.

Q4: 暗く冷たい冬の季節と FEN の音楽は密接に繋がっているように思えます。実際、最新作 ”The Dark Light” は12月のリリースでしたね?

【THE WATCHER】: 正直、このアルバムが冬にリリースされたのは偶然の一致なんだ。シュールなことに前作は “Winter” ってタイトルだったけど、季節としての冬ではなく、最後、最終的っていう概念としての冬を扱っていたんだ。
“The Dead Light” は、より宇宙論的、形而上学的、実存的トピックを扱っているよ。星、宇宙、コスモは、人間文明の最初期から人類の思考にどう影響を与えてきただろう?ギザのピラミッド、アステカの神殿、ここイギリスのストーンヘンジなど、いくつか古代の偉大なモニュメントを見るだけで、世界中に散らばっているにもかかわらず、社会の最も初期段階でさえも天上に魅了されていたことが分かるよね。
なぜそんなに多くの思想家がこのトピックに魅了されるのかを理解するのは難しくないだろう。僕たちの宇宙の深さは、息をのむような美しさと想像を絶する破壊を同等にもたらすからね。宇宙の深さとその中に潜む実体の純粋な規模と広大さは、人間の心が考慮し、熟考し、理論化するための誘惑だったんだ。だから非常に多くの人が多元宇宙の奥深くでその真実を求めていることは驚きではないだろう。そしてその全てが “The Dead Light” で扱おうとしたことなんだ。
これは、人類の真実の探求を具体的に扱った “Nebula” が最も明白だね。最もオープンマインドな思想家でさえ、教義を否定し、堅固な原則や信念に反する真実に直面した時、どうやって現実の魂を砕く恐怖に直面するのか。
他にも、論理的思考の責任から自らを解き放ち、代わりに一神教の要塞へと退却する “Rendered in Onyx”、無意味な存在として、空虚な無知に漂う “Exsanguination” などが象徴的かな。
ただ、宇宙の概念への最も直接的な言及は、もちろんアルバムのタイトルトラックそのものである “The Dead Light” だね。この楽曲は、地球から想像を絶する距離にある天体から宇宙を旅する光の現象を具体的に扱っているんだ。光が人間の目に届くまでに消滅した天体だってあるよ。つまり地球から遠い過去への窓を見ているようなもので、光子の量子が空虚を通して力を与え、最終的にアルバムタイトルのまさに “死の光” “長い死” のイメージを届けるんだ。

Q5: I think this is your best work to date. It’s really beautiful but brutal, atmospheric but progressive. Compared your past works, what’s the difference about writing and recording process?

【THE WATCHER】: Thanks for your kind words on this and we are certainly pleased with how the record turned out – it is definitely a good representation of the atmosphere we wanted to achieve. From a writing perspective, we were very clear from the get go about what we wanted to achieve with this album. We normally have an idea about how we want the songs to sound and the generally ‘feel’ we want to underpin each track on the album – for ‘The Dead Light’, we all agreed quite early on that we wanted to create material that was more concise, sharper and focussed than it was on our previous record ‘Winter’. This really tied in with the more celestial, ethereal and spacious concepts that the lyrics were addressing – this needed to married to colder, more crystalline songwriting.
In terms of the actual process, we approached the writing much as we have done all of our previous records – myself and Grungyn generally work individually in isolation to write riffs, passaged and sometimes even complete songs. These frameworks are then presented to the whole band in the rehearsal environment and then are worked on to build up the arrangements, textures and feels to develop the final pieces. This for me is the most exciting part of the process – hearing ideas unfurl, expand and breathe as they move towards full realisation as complete pieces.
Some of the material really evolves at this point – the addition of drums can really influence how a song feels or moves – whilst others can remain more or less as they were originally conceived. We do occasional experiment with rehearsal improvisation and jamming but this has to be carefully controlled as the temptation to simply ‘meander’ can be hard to resist sometimes! That said, some of our most powerful sections or moments have originated from a rehearsal studio jam.
As for the recording, we decided to record ‘The Dead Light’ with Chris Fielding at Foel Studios for the first time. Foel is a beautiful place that is located deep within the wilderness of Wales – it’s incredibly remote and surrounded by great rural landscapes that really help us focus on our job. Chris is also a great producer – the albums he has worked on sound amazing! – and he also really understood what it is we wanted to achieve. One thing we did do differently with this record process-wise is work with click tracks to ensure the material was as tight and as sharp as possible. So all in all, we embraced a number of new challenges this time around and I think the results of this speak for themselves.

Q5: 美しくしかしブルータル、アトモスフェリックな一方でプログレッシブな “The Dark Light” は、FEN の最高傑作だと確信しています。制作段階で、これまでと異なる試みはありましたか?

【THE WATCHER】: どうもありがとう。確かにアルバムの仕上がりには満足しているね。それは間違いなく、僕たちが表現したかったアトモスフィアを実現出来たからだね。ライティングについて、このアルバムの目的は最初から非常に明確だったね。
僕たちは通常、どのように曲を鳴らすか、そしてアルバムの各トラックを支える “フィーリング” についてのアイデアを持っているんだ。”The Dead Light” の場合、”Winter” よりも簡潔で、シャープで、焦点が合っていたね。このことは、今作の歌詞のより天界的で、エセリアルで広々としたコンセプトと密接に結びついているんだ。それがより冷たく、よりクリスタルのソングライティングとの婚姻で必要だったんだ。
実際のプロセスは、以前の全てのレコードを作成したのと同じようにライティングにアプローチしたんだ。僕と Grungyn はそれぞれ個別にリフやパッセージ、時には楽曲まで仕上げるんだ。こうしたフレームワークは、リハーサルでバンド全体に提示され、最終的な作品に仕上げるため、アレンジメント、テクスチャー、フィーリングを構築していくんだ。僕にとってこれは制作段階の最もエキサイティングな部分なんだ。アイデアを完全に実現するため展開し、拡大し、呼吸させるんだよ。
この時点でマテリアルのいくつかは目覚ましい進化を遂げる。ドラムを加えることで曲の感じ方や動きに大きな影響が出るからね。一方で、他のマテリアルは当初考えられたままの状態を保つことが出来ている。
リハーサルでは即興演奏とジャミングの実験を時折行っているけど、単に “蛇行” してしまう誘惑に抵抗するのは難しいから、慎重に制御する必要があるね!そうは言っても、僕たちの最も強力なセクションやモーメントのいくつかは、リハーサルのジャムから生まれたんだ。
レコーディングに関しては、”The Dead Light” で Foel Studios の Chris Fielding と初めてレコーディング行うことにしたんだ。Foel はウェールズの荒野の奥深くにある美しい場所。信じられないほど遠くて、仕事に集中できる素晴らしい田園風景に囲まれているんだ。
クリスも素晴らしいプロデューサーでね。彼が手掛けたアルバムたちは実に素晴らしいサウンドだよ! それに、彼は僕たちが達成したいことを心から理解していたね。
今回、以前と異なる方法を取ったことの一つが、クリックトラックの使用だったね。マテリアルを出来るだけタイトでシャープに保つためにね。全体として、今回は多くの新たな課題を採用したんだけど、”The Dead Light” という素晴らしい結果がその成功を物語っていると思うな。

Q6: There are lot’s of post-black, atmospheric black bands now. But I think you mix progressive aspects really well among them. Sometimes, I remind even Enslaved. Did 70’s prog influences from Yes, Genesis, Floyd, Rush reflect “The Dark Light”?

【THE WATCHER】: Oh definitely, I am huge advocate of a lot of the 60s/70s prog scene – Yes, Genesis, King Crimson, Rush, Pink Floyd, these sorts of acts and many more are a big influence on my approach to song/riff-writing. It’s almost an intrinsic part of my compositional DNA these days I fear – it’s almost impossible for me NOT to inject the occasional progressive touch or passage into a song! We need to be careful with this however – what I don’t want is for us to disappear TOO far down a ‘prog-metal’ rabbit-hole, progressive touches need to be balanced with directness, simplicity and minimalistic writing after all.
It is definitely something myself and Grungyn like to work with however and it definitely forms a backdrop to a lot of our writing approaches. With ‘Winter’, I had been listening to frankly obscene amounts of 70s Yes – Close to the Edge, Relayer, The Yes Album and Tales From Topographic Oceans – which really served as a platform for us to make that album as winding, indulgent and as progressive as possible.
With ‘The Dead Light’, we did decide to reign in some of the more excessive prog touches – as explained in the previous album, we consciously wanted to make the pieces more direct and concise. Nevertheless, those 70s progressive rock classics are part of my intrinsic musical make-up so there will always be a vague sense of that sort of music drifting across everything I write I guess!

Q6: 今となってはアトモスフェリックな “ポストブラック” メタルをプレイするバンドは決して少なくありませんが、FEN のようにプログレッシブな要素を巧みに注入するバンドは多くはありませんね?

【THE WATCHER】: 間違いないね。僕は60年代/​​70年代のプログレシーンの強力な支持者なんだ。YES, GENESIS, KING CRIMSON, RUSH, PINK FLOYD といったバンドは、僕のソング/リフライティングに対するアプローチに大きな影響を与えているよ。ほとんど僕の作曲 DNA の本質的な部分と言っても過言ではないね。最近はプログレッシブなタッチやパッセージを挿入しないことがほとんど不可能で、それを恐れてさえいるんだよ!
ただし、注意深くやる必要があるね。”プログメタル” という小さな穴にのめり込み過ぎたくはないから、プログレッシブなタッチはダイレクトで、シンプルに、最小限とバランスを取る必要があるんだよ。
とは言え、プログレッシブは間違いなく僕自身と Grungyn が共に取り組むのが好きな分野で、僕たちにとって多くのライティングアプローチの背景を形成しているよ。
“Winter” で、僕は率直に相当な量の70’s プログを聴いていたんだ。YES の “Close to the Edge”、”Relayer”、”The Yes Album”、そして “Tales From Topographic Oceans”… そういった作品は “Winter” を甘美で、可能な限りプログレッシブとする僕たちにとってのプラットフォームとなったね。
“The Dead Light” では、さっき説明したように、より広義のプログレッシブタッチを導入することに決めたんだ。作品をより直接的かつ簡潔にしたかったからね。
それでも、こういった70年代のプログロッククラシックは僕の本質的な音楽構成の一部だから、僕の書いたもの全てにはプログロックの漠然とした感覚が常に漂っていると思うな。

Q7: Regarding post-black, you are one of the pioneer of genre. What’s your perspective about the success of Defheaven or Alcest?

【THE WATCHER】: It’s great to see what was originally a fairly disparate and niche approach to the genre gain real traction and become commercially recognised. With Alcest and Amesoeurs, Neige is certainly the key figure in the post/shoegaze black metal scene it has to be said. We were in contact in the early days of the band – when we started rehearsing in early 2006 and put out the Ancient Sorrow demo in the earliest days, we had no awareness of any other acts who were playing this style of black metal (a very conscious merging of shoegaze, post rock and black metal).
We started to hear people referencing Amesouers and Alcest so gave it a listen – it was something of a shock to hear someone else ploughing a very similar furrow to the sounds we were exploring! It was a really small scene back then – us, Neige’s projects, Altar of Plagues, perhaps Les Discretes (though they may have come along a little later). That was kind of it for a couple of years but it quickly exploded once Alcest become more well known. ‘Ecailles De Lune’ (their second album) really turbo-charged recognition of the genre I think.
We’ve played with Alcest a few times since – indeed, we supported their first UK show back in 2008 – and it’s been fascinating to watch their career develop since then and simply get bigger and bigger. They’re a very respected band now and fully deserve it – Neige’s songwriting skills are peerless!
Deafheaven came along a little bit later and by this point, I’d already started to feel that ‘blackgaze’ was becoming a little homogenous. Deafheaven really didn’t do a lot to change that perspective for me if I’m honest – it all felt pretty ‘blackgaze by numbers’, relying on clever marketing/aesthetics and presenting the band as something utterly different simply because they had short hair, glasses and didn’t profess to be ‘metal guys’. If they had long hair and were all wearing Setherial shirts, I suspect reactions may have been a little different… however, I digress. They’ve done very well, captured a lot of people’s imaginations, got a lot of attention from sources way outside the metal spectrum – and ultimately, if they act as a ‘gateway’ to listeners to dig deeper into genre and discover the wealth of quality it has to offer then that HAS to be a good thing!

Q7: FEN はジャンルの初期からポストブラックのラベルを当てはめられていたバンドだと思います。同じジャンルのタグを持つ ALCEST や DEAFHEAVEN の成功についてはどう感じていますか?

【THE WATCHER】: もともとブラックメタルに対するかなりバラバラでニッチなアプローチだったものが真の牽引力を獲得し、商業的に認知されるようになるのは素晴らしいことだよ。ALCEST と AMESOEURS を立ち上げた、Neige は間違いなくポスト/シューゲイズブラックメタルシーンの重要人物だね。実は僕たちは初期に連絡を取り合っていたんだよ。2006年初頭にリハーサルを開始し、”Ancient Sorrow” のデモを発表した頃だね。当時僕らは自分たちのようなスタイルのブラックメタルを演奏している他のバンドを知らなかったんだ。シューゲイズ、ポストロック、ブラックメタルの意識的な融合という意味で)。
だけど AMESOEURS と ALCEST を引き合いに出す人が多かったから聴いてみたんだよ。他の誰かが僕たちが探求している音と非常によく似た畑を耕しているのを聴くのはショックだったよ!
当時は本当に小さなシーンだったな。僕たち、Neige のプロジェクト、ALTAR OF PLAGUES, それからおそらく LES DISCRETES(彼らは少し遅れて登場したかも知れないけど)。数年間は小さなままだったけど、ALCEST がより有名になるとすぐに爆発したね。 彼らのセカンドアルバム “Ecailles De Lune” は、ジャンルの認識を本当にターボチャージさせたと思うね。
ALCEST とは数回プレイしたよ。実際、2008年には彼らの最初のUKショウをサポートしたからね。それ以来、彼らのキャリアが発展し、単純にどんどんビッグになっていくのを見るのは嬉しいことだよ。今ではとても尊敬されているバンドで、実際その評価に相応しいと思う。Neige のソングライティングスキルは比類なきものなんだ!
少し遅れて DEAFHEAVEN が登場したんだけど、僕はこの時点で “ブラックゲイズ” が少し同質的になっていると感じ始めていたんだ。DEAFHEAVEN は正直なところ、僕のその視点を変えてくれたとは言い難いね。型通りのブラックゲイズに思えたんだ。クレバーなマーケティングに頼っているようにね。短髪にメガネで “メタルヘッド” であると公言せず、異なるテイストを演出してね。
彼らが長い髪で、全員が “Setherial” のシャツを着ていたら、反応が少し違っていたのではないかと疑うね…ちょっと話が逸れちゃったね。
とは言え、彼らはとてもうまくやっていて、多くの人々の想像力を捕らえ、メタル世界以外の場所から多くの注目を集めたよね。そして最終的に、そういった人たちがポストブラックをより深く掘り下げ、埋もれている “富” を発見するための “ゲートウェイ” “扉” として機能するならそれは素晴らしいことだよ!

Q8: Black metal started from satanism, but now, lot’s of bands opened the door to nature worshipping or another themes. Do you think it’s natural black metal expands it’s realm? Is there any modern band you emphasize with now?

【THE WATCHER】: I think a more pastoral, landscape-inspired approach to black metal has been very much an accepted element of the genre since the early 90s really when many of the Norwegian bands began to draw inspiration from the unique, dramatic landscapes that surrounded them. The first Emperor album is as much about landscapes and sky as it is about good old-fashioned devil worshipping after all! Black metal has always attracted individual thinkers, auteurs, experimenters, those who like to push against the envelope – it has acted as a lodestone for those who see no value in creative boundaries.
One only has to look at the experimental nature of a number of the Scandinavian bands in the late 90s – Dodheimsgard, Arcturus, In the Woods and Solefald to name but four – to identify how creatively rich the genre has been. Of course, as is always the way with experimentation, some of this was successful, others less so – but the crucial thing is that it was attempted, that the participants involved felt the creative drive to push their material in the directions that they did. And this sense of adventure is something that still persists within the black metal scene – acts like Deathspell Omega, Blut Aus Nord and The Ruins of Beverast continue to create diverse, idiosyncratic music that drips with authenticity and controlled experimentation.
Whilst I really admire these sorts of bands for the quality and conviction of their output, they are in a bit of a different sonic space from us – I do however empathise with them very much so as artists and as acts fully committed to pushing themselves forwards and creating something of genuine creative worth. There are of course other bands we admire and feel a certain kinship with – Enslaved of course have been pioneers since the early days and continue to evolve gloriously (and their enthusiasm for progressive music is well documented). Yob are another band I massively admire – they may not be black metal but they are distinctive, heavy, have excellent songwriting and they manage to conjure up a huge soundscape with just the three of them. A real inspiration for me. We also saw Vemod at Prophecy Fest and we spent a long time chatting to them after the show – another band that are really on our wavelength also.
Ultimately, the black metal scene is alive, well and absolutely full of motivated individuals striving to create compelling works. It’s an exciting time!

Q8: サタニズムから始まったブラックメタルは、近年自然崇拝など様々なテーマへと拡散していますね?

【THE WATCHER】: だけどブラックメタルに対するより牧歌的で風景的なアプローチは、90年代初頭からとても受け入れられて来たと思うんだ。ノルウェーのバンドの多くが、彼らを取り巻くユニークでドラマチックな風景からインスピレーションを引き出していたようにね。EMPEROR のファーストアルバムは、結局のところ、オールドファッションな、悪魔崇拝と同じくらい、風景と空に関するものだったんだから!ブラックメタルは常に、個々の思想家、作家、実験者、境界を押し広げようとする人々を魅了して来たんだ。創造性の境界に価値を見出さない人々にとって、宝石としての役割を果たして来たわけだよ。
このジャンルがどれほど創造的に豊かであるかを理解するには、90年代後半のスカンジナビアのバンド(DODHEIMSGARD, ARCTURUS, IN THE WOODS, SOLEFALD の4つ)の実験的な性質を見れば十分だろう。もちろん多くの実験と同様に、成功したものもそうでないものもあるけれど、重要なのは彼らが自らの枠を押し拡げる創造的な意欲を感じさせたことなんだ。
そして、この冒険感覚はブラックメタルシーンに今も存続しているよ。DEATHSPELL OMEGA, BLUT AUS NORD, THE RUINS OF BEVERAST のようなバンドは、オーセンティックかつ制御された実験で滴り落ちる多様で特異な音楽を作り続けているからね。
アウトプットの質と信念に関して、僕はそういったバンドを心から賞賛するけど、彼らは僕たちとは少し異なる音の空間にいるんだ。だけどアーティストとして、そして自分自身を前進させることに全力を尽くす彼らの行為に共感するよ。真に創造的な価値のあるアートを制作している。
もちろん、他にも賞賛し、親近感を感じるバンドは存在するよ。当然 ENSLAVED は初期から先駆者で、今も輝かしく進化し続けているね。(そしてプログレッシブな音楽に対する彼らの熱意は十分に表現されているね)。
YOB は僕がとても尊敬するまた別のバンドだ。ブラックメタルではないかもしれないけど、独特で重く、優れた作詞作曲能力を備え、わずか3人で巨大なサウンドスケープを創造するんだから。僕にとってリアルなインスピレーションだよ。それに Prophecy Fest で VEMOD を見て、ショウの後に彼らと長い時間語り合った。彼らもまた共感を覚えるバンドの一つさ。
結局、ブラックメタルシーンは生き生きとしていて、魅力的な作品を作成する熱意を持ったアーティストで溢れているんだ。全くエキサイティングな時代だよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED THE WATCHER’S LIFE

WHITESNAKE “1987”

PARADISE LOST “ICON”

EMPEROR “IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE”

FIELDS OF THE NEPHILIM “THE NEPHILIM”

SLOWDIVE “SOUVLAKI”

MESSAGE FOR JAPAN

It’s been our honour to share our words with our Japanese listeners. We all hope we are granted the privilege of playing for you guys at some point in the future – I’m sure it would be something truly special.

日本のリスナーに僕たちの言葉を届けることが出来て光栄だよ。将来的に日本でプレイしたいとバンド全員が望んでいるんだ。きっと本当に特別なショウになるはずさ。

THE WATCHER

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCHAMMASCH : HEARTS OF NO LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH C.S.R OF SCHAMMASCH !!

“To Me, The Question For The Source Of Inspiration Is The Same Question As “Where Does Life Come From?”. My Answer For Both Questions Would Be “The Cosmic Energy That Creates All And Destroys All”

DISC REVIEW “HEARTS OF NO LIGHT”

「スイスがいかに本当に小さな国であるかを考慮すれば、僕たちの国には初期のエクストリームメタルシーンとその進化にインパクトを与えたバンドがかなり存在したんだよ。」
バーゼルに居を構えるスイスメタルの灯火 SCHAMMASCH は、内省的でスピリチュアル、多義性に富んだトランセンドブラックメタルで CELTIC FROST, SAMAEL, CORONER といった同郷の巨人たちの偉大な影を追います。
「”Triangle” は、恐怖心から解放された心の状態へと導く道を切り開く試みだったね。それを悟りの状態と呼ぶイデオロギーもあるだろう。」
SCHAMMASCH がメタルワールドの瞠目を浴びたのは、2016年にリリースした “Triangle” でした。3枚組、16曲、140分の壮大極まるコンセプトアルバムは、様々な恐怖、不安から解脱し悟りと真の自由を得るためマスターマインド C.S.R にとって避けては通れない通過儀礼だったと言えるでしょう。
もちろん、彼らが得た自由は音楽にも反映されました。ポストロック、プログレッシブ、オーケストラル、さらにはダウンテンポのエレクトロニックなアイデアまで貪欲に咀嚼し、広義のブラックメタルへと吐き出した怪物は、BATUSHKA, LITURGY, BLUT AUS NORD, SECRETS OF THE MOON などと並んで “アウトサイドメタル” へと果敢に挑戦する黒の主導者の地位を手に入れたのです。
「ULVER はもしかしたら、長い間どんなメタルの要素も受け継がずに、それでもメタルというジャンルから現れたバンドだろうな。だから、彼らの現在の姿はとても印象的だよ。」
実際、初期に存在した “具体的” なデスメタリック要素を排除し、ある意味 “抽象的” なメタル世界を探求する SCHAMMASCH が、概念のみをメタルに住まわせる ULVER に親近感を抱くのは当然かも知れませんね。そして最新作 “Hearts of No Light” は、”Triangle” の多義性を受け継ぎながらアヴァンギャルドな音の葉と作品の完成度を両立させた二律背反の極みでしょう。
ブラッケンドの容姿へと贖うように、ピアニスト Lillan Lu の鍵盤が導くファンファーレ “Winds That Pierce The Silence” が芸術的で実験的で、しかし美しく劇的なアルバムの扉を開くと、狂気を伴うブラックメタリックな “Ego Smu Omega” がリスナーへと襲いかかります。
プリミティブなドラミングと相反するリズムの不条理は暗闇の中を駆け抜けて、レイヤードシンセと不穏でしかし美麗なギターメロディーの行進を導きます。悪魔のように囁き、時に脅迫するボーカルと同様に楽曲は荘厳と凶猛を股にかけ、リスナーに社会の裏と表を投影するのです。
故に、一気に内省と憂鬱のアンビエント、ピアノと電子の “A Bridge Ablaze” へ沈殿するその落差はダイナミズムの域さえ超越しています。”Ego Smu Omega” や “Qadmon’s Heir” の壮大劇的なプログレッシブブラックを縦糸とするならば、”A Bridge Ablaze” や “Innermost, Lowermost Abyss” の繊細でミニマルなエレクトロピースはすなわち “光なき心” の横糸でしょう。
そうして静と動で織り上げた極上のタペストリーは、さらにゴスとポストロックの異様なキメラ “A Paradigm of Beauty” のような実験と芸術のパッチワークが施され SCHAMMASCH をブラックメタルを超えた宇宙へと誘うのです。その制限なきアヴァンギャルドな精神は、32年の時を経て再来する “Into the Pandemonium” と言えるのかも知れませんね。
今回弊誌では、ボーカル/ギター C.S.R にインタビューを行うことが出来ました。「僕にとってインスピレーションの源に関する質問は、「人生はどこから来たのか?」と同じ質問なんだよ。そしてその両方の質問に対する答えは、「すべてを創造し、すべてを破壊する宇宙エネルギー」からなんだ。」 どうぞ!!

SCHAMMASCH “HEARTS OF NO LIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GATECREEPER : DESERTED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHASE MASON OF GATECREEPER !!

PHOTO BY PABLO VIGUERAS

“Gatecreeper Started When I Met Our Drummer, Matt, And Discussed Our Shared Love For Old School Death Metal. We Both Talked About Dismember And Decided To Start a Band. Our Formula Has Always Been The Same Since The Beginning.”

DISC REVIEW “DESERTED”

「GATECREEPER は僕がドラマーの Matt と出会って始まったんだ。僕たちのオールドスクールデスメタルに対する愛をシェアしようぜってね。あの時僕たちは DISMEMBER について熱く語って、それでバンドを始めようって決めたんだよ。」
アリゾナに生を受けたメタリックハードコアの牽引者 GATECREEPER は、その溢れるデスメタル愛でエクストリームミュージックを遂に巨大なスタジアムへと導きます。
「僕たちは “スタジアムデスメタル” という言葉を世界へもたらし、それが取り上げられるようになった。要は、しっかりとエクストリームでありながらキャッチーなデスメタルを作ることが出来るということなんだ。狂気のサウンドでありながら、記憶に残るデスメタルは存在し得るんだ。DEICIDE の “Once Upon A Cross” のようにね。」
今回インタビューに答えてくれた ボーカリスト Chase Mason は Revolver のインタビューでそう怪気炎を上げ、スタジアムでプレイする自らの姿を夢想します。
実際、Chase の前人未到なその野心は決して夢物語ではないのかも知れませんね。
「フロリダデスメタルとスウェディッシュデスメタル。間違いなくその2つは僕たちのサウンドにおいて欠かせない重要な要素だよね。ただ、僕たちはそういったバンドたちの大好きな要素を抽出して、ユニークな僕等のサウンドとなるよう形成していくだけなんだ。」
HORRENDOUS, TOMB MOLD, BLOOD INCANTATION 等と共に OSDM 復興の波を牽引する GATECREEPER。中でも彼らは米国の凶凶と欧州の叙情を繋ぐ大胆な架け橋となり、初期の DEATH や OBITUARY と ENTOMBED, DISMEMBER が完璧なバランスで交わる “スイートスポット” の発見を誰よりも得意としています。
もちろんそこには、BOLT THROWER を頂点とする UK デスメタルの鼓動、さらには Kurt Ballou のサウンドメイクが象徴するように VEIN や CODE ORANGE のメタリックなハードコアとも共鳴する先鋭性も存分に垣間見ることが出来るでしょう。
ただし、”ポストヒューマン” な人類滅亡の世界を描いたアリゾナの “Deserted” で最も目を惹くエイリアンは、ポップである種単純化とまで言えそうなストラクチャーに宿された究極のキャッチーさでしょう。サバスの時代に巻き戻ったかのような凶悪でしかしシンプルなリフワークは、複雑化を極めた現代メタルに対するアンチテーゼの如く鮮烈に脳裏へと刻まれます。
その真の意味での “オールドスクール” の利点は、GATECREEPER ではベースを担当する Nate Garrett がマイクに持ち替え、Chase がベースをプレイ、さらに Eric Wagner もギターを兼任する SPIRIT ADRIFT にもシェアされています。GATECREEPER と SPIRIT ADRIFT、メンバー3名が重複し古を敬う2つのバンドの作品が、海外主要紙2019年のベストに多く選されている事実は複雑化の終焉と単純化への兆しを意味しているのかも知れませんね。
ただし、残念ながら GATECREEPER & SPIRIT ADRIFT の古式ゆかしくしかし斬新な共闘は終わりを迎えるようです。
「僕はもう SPIRIT ADRIFT ではプレイしないし、Nate も GATECREEPER でプレイすることはもうないよ。そうすることで、(同じマネージメントの) 2つのバンドが円滑に、互いに争わずやっていくことができるんだよ。」
Post Malone がアリゾナのショウで GATECREEPER のTシャツを着用したシーンは、今のところ彼らが最もメインストリームへと接近した瞬間だったのかも知れません。ただし、あのメタルを愛するポップアイコンに見初められた音の葉は、いつかスタジアムへと到達するに違いありません。
今回弊誌では、Chase Mason にインタビューを行うことが出来ました。「僕は COFFINS が大好きだし、他にも FRAMTID, DISCLOSE, GAUZE, BASTARD といった日本のハードコアやパンクバンドも気に入っているんだ。」日本盤は DAYMARE RECORDINGS から。どうぞ!!

GATECREEPER “DESERTED” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OBSEQUIAE : THE PALMS OF SORROWED KINGS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TANNER ANDERSON OF OBSEQUIAE !!

“For Example, Satyricon’s “Dark Medieval Times” Does Not Have Medieval Riffs. And That’s The Point. Metal Often Alludes To These Themes Without Actually Using Them. I Want To Use Them. And That’s The Difference.”

DISC REVIEW “THE PALMS OF SORROWED KINGS”

「SATYRICON の “Dark Medieval Time” には中世のリフなんて含まれていないよ。そこが重要なんだ。メタルはしばしば、中世の音楽を使用することなく、そのテーマを仄めかして来た訳さ。僕は実際に中世の音楽を使用したい。そこが違いさ。」
黒死病の蔓延、階級社会、厳格なキリスト教倫理、貧困、多産多死。”Near-Death Times”、死の香りや足音があまりに身近であった暗美な中世ヨーロッパを現代へと映し出す “古城メタル” OBSEQUIAE は、メタルお得意のメディーバルな世界観、ドラゴンのファンタジーをよりリアルに先へと進めます。
「多くのメタルバンドが中世のイメージやテーマを扱っている。だけど、ほとんどの人はリアルな中世の音楽がどんなサウンドなのか知らないよね。例えばそれはケルティック音楽でも、多くの映画で流れるファンファーレでもないんだよ。音量がとても小さくなる危険を孕んでいるけど、もっと複雑でやり甲斐のある音楽なんだ。」
“歌う宗教” とも例えられるキリスト教を基盤とし、1000年の悠久をへて単旋律から複旋律へと進化を遂げた中世西欧音楽は、現代の音楽家にとって未だ探索の余地に満ちた白黒写真だと OBSEQUIAE のマスター Tanner Anderson は語ります。故にアーティストは自らのイマジネーションやインスピレーションを色彩に描きあげることが可能だとも。
「あの時代の音楽にはまだまだ発見すべき余地が沢山残されているからね。今日僕たちが音楽を記すように記されていた訳じゃないし、拍子だってなかったんだからとても “自由” だよね。」
リュートやハープ、ダルシマーを画筆として中世の音景に命を吹き込む “The Palms of Sorrowed Kings” で OBSEQUIAE はリスナーの “不思議” をより鮮明に掻き立てました。
「実のところ、僕は OBSEQUIAE をブラックメタルだなんて全く考えたこともないんだよ。僕の影響元は、SOLSTICE (UK), WARLORD (US), FALL OF THE LEAFE, EUCHARIST, OPHTHALAMIA みたいなバンドだからね。」
メロディックブラックメタル、メディーバルブラックメタルと称される OBSEQUIAE の音楽ですが、城主の思惑は異なります。
「トラディショナルなメタルに自らのインスピレーションを加えるようなアーティストは尊敬するよ。」
DARK TRANQUILLITY や IN FLAMES といった “最初期の” メロディックデスメタルに薫陶を受けた Tanner は、トレモロやアトモスフィアといったブラックメタルのイメージを抱きながらも、むしろ兄弟と呼ぶ CRYPT SERMON, VISIGOTH と共にトラディショナルメタルのリノベーション、”メタルレコンキスタ” の中心にいます。
「僕はギターのレイヤーとテクスチャーに重量感をもたらしたいんだ。そして、多くの場合、メロディーのフレージングは “声” として聴こえてくるんだよ。」
“In The Garden of Hyasinths” を聴けば、輝きに満ちたギターのタペストリーが十字軍の領土回復にキリストの奇跡をもたらしていることを感じるはずです。その福音は “伴奏、即興、編曲、演奏のテクニック、モードの変曲、リズムなどに関しても多くの考え方が存在する” 中世音楽の独自性を基に構築され、そうして咲き乱れる在りし日のヒヤシンスの庭を蘇らせるのです。
前作 “Aria of Vernal Tombs” に収録されていた4曲のメディーバルインタルードの中でも、”Ay Que Por Muy Gran Fermousa” のミステリアスな美麗は群を抜いていましたが、5曲と増えた今作のインタルードでもメディーバルハーピスト Vicente La Camera Mariño の描き出す耽美絵巻は浮世の定めを拭い去り、リスナーを中世の風車たなびく丘陵へと連れ去るのです。
クリーンボーカルの詠唱がクライマックスを運ぶタイトルトラックや “Morrigan”で、新たに加わったドラムス Matthew Della Cagna の Neil Part を想わせるプログレッシブなスティック捌きが楽曲にさらなるダイナミズムをもたらしていることも付け加えておきましょう。
今回弊誌では、Tanner Anderson にインタビューを行うことが出来ました。「情報も音楽も全てが利用可能なんだから、当時の “アンダーグラウンド” な感覚は感じることが出来ないよ。僕の成長期には、こういった音楽を作っている人について知ることは全く出来なかったからね。時には名前や写真さえないほどに。」 どうぞ!!

OBSEQUIAE “THE PALMS OF SORROWED KINGS” : 10/10

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2019: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2019: MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

1: VENOM PRISON “SAMSARA”

「私は “フィーメールフロンテット” って言葉が好きじゃないの。だってこの言葉はただフロントを務める人物のジェンダーのみによって、サブジャンルのようなものを形成してしまうから。その女性ボーカルを擁するバンドたちが生み出す音楽関係なしにね。」
これまで虐げられてきたシーンに対するリベンジにも思える女性の進出は、2010年代のモダンメタルにとって最大のトピックの一つでしょう。
VENOM PRISON の牙は上顎にデスメタルを、下顎にハードコアの “毒” を宿した音楽の鋭き牙。そうしてセクシズムやミソジニーのみならず、彼らは負の輪廻を構築する現代社会全域に鋭い牙を向けるのです。
“クロスオーバー” の観点から見れば、CODE ORANGE や VEIN がハードコアとメタルの禍々しき婚姻をハードコア側のプロポーズで成立させたのに対し、VENOM PRISON はデスメタルの血統で見事にクロスオーバーの美学を体現してみせました。当然、両者の凶悪なマリアージュ、さらに英国の復権も2010年代を象徴する混沌でした。
「セクシズムと言えば私たちはすぐにメタルを批難するけれど、性差別や女性嫌いは音楽業界だけでなく、私たちの生活のあらゆる面で直面する世界的な問題なの。だからセクシズムとの闘いについて話すとき、私はメタルという自分のミクロな宇宙の中だけでなく、あらゆるレベルで戦いたいと思うのよ。」
ファンタジーにかこつけたミソジニーを負の遺産と捉え始めたシーンの潮流において、VENOM PRISON のフロントウーマン Larissa Stupar は潮目を違える天変地異なのかも知れません。”Samsara” がそんな10年の閉幕にスポットライトを浴びたのはある種象徴的な出来事でした。

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2: DEVIN TOWNSEND “EMPATH”

「現在の Devin Townsend が持つ音楽的な興味全てが、一つの場所へ収まったとしたらどうなるだろうか?」
フォーク、シンフォニック、ポップ、プログ、ファンク、ブラックメタル、ジャズ、ニューウェーブ、アメリカーナ、ワールドミュージック、そして EDM。Devin の中に巣食うマルチディメンショナルな音楽世界を一切の制限なく投影したレコードこそ “Empath” です。そして “エンパス” “感情を読み取る者” のタイトルが意味する通り、Devin がアルバムに封じた万華鏡のエモーションを紐解くべきはリスナーでしょう。
「アルバムは、喜びと人々の助けになりたいという思いに根ざしている。楽曲に多様性を持たせたのは、”Empath” “共感”が弱さと捉えられてきた歴史の中で、人生を様々な観点から見る必要性を表現したかったから。僕にとっても長い間狭い場所に閉じ込められていた創造性を解き放ち、恐怖から脱却するためのやり方だったね。多様性が増す時代において、他人の気持ちになって物事を見ることは他者を理解する上で欠かせないプロセスさ。」

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3: WILDERUN “VEIL OF IMAGINATION”

「”エピック” はおそらく最も僕たちの音楽を要約した言葉だけど、ただ僕たちの音楽にあるいくつかのより進歩的で実験的な側面をそれでもまだ除外しているように感じるね。」
虚空に七色の音華を咲かせるフォーク-デス-ブラック-アトモスフェリック-シンフォニック-プログレッシブ-エピックメタル WILDERUN は、ジャンルという色彩のリミットを完全に排除してリスナーに名作映画、もしくは高貴なオペラにも似て胸踊るスペクタクルとドラマティシズムをもたらします。
「OPETH の音楽には特に昔の音源でダークな傾向があるんだけど、WILDERUN には常に見過ごされがちな明るく豊かな側面があったと思うんだ。」
時にアートワークから傑作を確信させるレコードが存在しますが、WILDERUNの最新作 “Veil of Imagination” はまさにその類でしょう。アートワークに咲き誇る百花繚乱はそのまま万華鏡のレコードを象徴し、”陽の”OPETHとも表現されるブライトでシンフォニックに舞い上がる華のモダンメタルは、シーンにおける “壮大” の概念さえ変えてしまうほど鮮烈なオーパスに仕上がりました。

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4: JINJER “MACRO”

「時に穏やかで平穏。だけど時に人々は何かが起こるのをただ待っている。今現在、少なくとも爆撃はされていないわ。それは良い事ね。」
アイコニックな女性をフロントに抱き、多様性を音楽のアイデンティティーとして奉納し、ウクライナという第三世界から登場した JINJER は、実はその存在自体が越境、拡散するモダンメタルの理念を体現しています。テクニカルなグルーヴメタルに Nu-metal と djent の DNA を配合し、R&B からジャズ、レゲエ、ウクライナの伝統音楽まで多様な音の葉を吸収した JINJER のユニークな個性は双子の “Micro” と “Macro” で完璧に開花します。
無慈悲なデスメタルから東欧のメランコリー、そしてレゲエの躍動までを描く“Judgement (& Punishment)” はJINJER の持つプログのダイナミズムを代弁する楽曲でしょう。
「僕たちの音楽に境界は存在しない。いいかい?ここにあるのは、多様性、多様性、そして多様性だ。」そう Eugene が語れば Tatiana は 「JINJER に加わる前、私はレゲエ、スカ、ファンクをプレイするバンドにいたの。だからレゲエの大ファンなのよ。頭はドレッドにしていたし、ラスタファリに全て捧げていたわ。葉っぱはやらないけど。苦手なの。JINJER は以前 “Who Is Gonna Be the One” でもレゲエを取り入れたのよ。レゲエをメタルにもっともっと挿入したいわ。クールだから。」と幅広い音楽の嗜好を明かします。
比較するべきはもはやメタル世界最大の恐竜 GOJIRA でしょうか。それとも MESHUGGAH? 音楽、リリックのボーダーはもちろん、メタファーではなく実際に険しい国境を超えた勇者 JINJER の冒険はまだ始まったばかりです。

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5: LINGUA IGNOTA “CALIGULA”

「世界に正義を見出すこと、私を傷つけた人間に責任を見出すことにずっと苦労してきたの。だから音楽は奴らに責任を負わせ、正義を見つける私のやり方なの。私なりの復讐なのよ。」
家庭内暴力、虐待の生還者 Kristin Hayter のパワフルな言葉です。そして彼女の受けた恐ろしき痛みと攻撃性は、オペラからノイズ、インダストリアル、フォークに教会音楽、スピリチュアル、そしてメタルまで全てを渾淆した婀娜めきのプロジェクト LINGUA IGNOTA に注がれています。
マイノリティーの逆襲、虐待というタブーに挑む女性アーティストは今後増えて行くはずだと Kristin は語ります。事実、SVALBARD はリベンジポルノを糾弾し、VENOM PRISON は代理出産やレイプについて叫びをあげているのですから。
「どれだけの人が女性を嫌っているか、どれだけ世界が女性を嫌っているか知れば知るほど、”サバイバー” として他の女性への責任を感じるの。これからどこに行くのでしょうね?だけど最も重要なことは、リアルであり続けること。だから音楽を作ったり、暴力について語る必要がなくなればそうするわ。永遠に虐待の被害者になりたくはないからね。」

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6: LITURGY “H.A.Q.Q.”

「哲学は思慮深い政治的スタンスを持つための非常に重要なツールだと、僕は心から思うんだ。だって今の世の中、特定の強い意見を持つ人にしたって、大抵そこに本当の根拠はないんだからね。」
もしかすると、Hunter Hunt-Hendrix の原動力は全てこの言葉に集約するのかもしれませんね。つまり彼は音楽、芸術、哲学の三原則を新たな三位一体とした、資本主義を超越する新世界の到来を啓蒙も厭わないほどに心から願っているのです。
「音楽コミュニティは一般的に反知的だから、アルバムの表紙に哲学システムを載せることで少なくともリスナーにそれを見てもらい、それが何を意味するのか気にして欲しかったんだ。」
世界を少しでもより良い場所へと導きたい。その想いは、アートワークのダイアグラムから始まり徹頭徹尾、”超越的な神” であり現実世界の活動原理である “H.A.Q.Q.” と、それを理想として生まれ来る未来都市 “Haelegen” の実現へと注がれています。
「ほとんどの人は、意志、想像力、理解の間に根本的な違いがあることには同意するけれど、誰もその理由を知らないんだ。実はこれら3つは音楽、芸術、哲学にそのままマッピングすることができて、この分野を発展させれば歴史的な運命の道筋を作ることが出来るんじゃないかな。」
“H.A.Q.Q.”、いや LITURGY でさえ、Hunter Hunt-Hendrix が標榜するより良い世界 “Haelegen” への道筋でしかありません。

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7: TOOL “FEAR INOCULUM”

待てば海路の日和あり。長すぎる13年の潮待ちはしかし TOOL アーミーにエルドラドの至福をもたらしました。三度グラミーを獲得し、Billbord 200のトップ10を独占した今でも、TOOL はアートメタル、オルタナティブ、サイケデリア、マスメタル、プログレッシブが交わる不可視境界線に住んでいて、ただ己の好奇心とスキルのみを磨き上げています。
“Thinking Persons Metal”。知性と本能、静謐と激情、懇篤と獰猛、明快と難解、旋律とノイズ、美麗と醜悪、整然と不規則といった矛盾を調和させる TOOL の異能は思考人のメタルと評され、多様性とコントラストを司るモダンメタルの指標として崇められてきました。そして4750日ぶりに届けられたバンドの新たなマイルストーン “Fear Inoculum” は、日数分の成熟を加味した “Think” と “Feel” の完璧なる婚姻だと言えるでしょう。
「完成させたものは良いものとは言えない。良いものこそが完成品なんだ。」 Adam Jones のマントラを基盤とした作品には確かに想像を遥かに超えた時間と労力が注がれました。ただし、その遅延が故にファンから死の脅迫を受けた Maynard に対して Danny が発した 「みんなが楽しんでいる TOOL の音楽は TOOL のやり方でしか作れないのに。簡単じゃないよ。」の言葉通り難産の末降臨した “Fear Inoculum” には徹頭徹尾 TOOL の哲学が貫かれているのです。
年齢を重ねるごとに、ポロポロと感受性や好奇心の雫がこぼれ落ちるアーティスト、もっと言えば人間を横目に、瑞々しさを一欠片も失わないレジェンドがテーマに選んだのは “成熟” でした。
TOOL, TOOLER, TOOLEST。反抗、進化、融和、魂の同化。そして遂に最上級へと達した TOOL の成熟。TOOL のタイムラインはきっと人間の “人生” と密接に関連しているはずです。次の啓示がいつになるのかはわかりませんが、自身の経験やドラマとバンドのメッセージを重ね合わせることが出来るならそれはきっと素晴らしい相関関係だと言えるでしょう。

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8: CHELSEA WOLFE “BIRTH OF VIOLENCE”

フォーク、ゴス、ポストパンク、インダストリアル、メタル…2010年、デビューアルバム “The Grime and the Glow” を世に放って以来、Chelsea Wolfe はジャンヌダルクの風姿で立ち止まることなく自らの音の葉を拡張し続けてきました。10年続いた旅の後、千里眼を湛えたスピリチュアルな音求者は、本能に従って彼女が “家” と呼ぶアコースティックフォークの領域へと帰り着いたのです。
「批判を受けやすく挑戦的な作品だけど、私は成長して開花する時が来たと感じたのよ。」
ダークロックのゴシッククイーンとして確固たる地位を築き上げた Chelsea にとって、アコースティックフォークに深く見初められたアルバムへの回帰は確かに大胆な冒険に違いありません。ただし、批判それ以上に森閑寂然の世界の中に自らの哲学である二面性を刻み込むことこそ、彼女にとって真なる挑戦だったのでした。
「私はいつも自分の中に息づく二面性を保持しているのよ。重厚な一面と衷心な一面ね。それで、みんながヘヴィーだとみなしているレコードにおいてでさえ、私は両者を表現しているの。」
”目覚め始めるレコード” において鍵となるのは女性の力です。
「そろそろ白か黒か以外の考え方を受け入れるべき時よ。”ジェンダー” の概念は流動的なの。そして全ての種類の声を音楽にもたらすことで沢山の美しさが生まれるのよ。今まさにその波が押し寄せているの!素晴らしいわ!」
長い間会員制の “ボーイズクラブ” だったロックの舞台が女性をはじめとした様々な層へと解放され始めている。その事実は、ある種孤高の存在として10年シーンを牽引し続けた女王の魂を喚起しインスピレーションの湖をもたらすこととなりました。

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9: ALCEST “SPIRITUAL INSTINCT”

“Spiritual Instinct” の製作は Neige にとってある意味ヒーリングプロセスとも言えるものでした。
「生きづらいと感じる原因の一つが自己評価の低さなんだ。自分が全然好きじゃなくてね。それってクールじゃないんだけどね。自分を貶めながら生きている訳だから。普通の生き方じゃないよ。だからこのアルバムは疑問と疑いに満ちている。だけど今はあの頃より良い場所にいる。だからこの作品は治療の意味合いもあったんだ。」
Neige が厳格に成文化されたブラックメタルの基準を回避して来たのは、その音楽の大部分が怒りに根差していないからとも言えます。自然からインスピレーションを受けるノルウェーのミュージシャンに共感する一方で、常に希望を伝える Neige の有り様はコープスペイントで木々に五芒星を書き殴るよりも、森の中のアニミストのようにも思えます。
実際、Neige は5歳のころから約4年間自らの精神が肉体を離れる幽体離脱、臨死体験のような超感覚的ビジョンを経験しています。
「何度も何度も、完全にランダムに起こる現象だった。この世界には存在しないような場所のイメージや感情、時にはサウンドまで心の中に浮かんで来るんだ。まさにスピリチュアルな体験で、人生を永遠に完全に変えたんだ。」
そうして物質宇宙を超えて別の領域が存在するという確信を得た Neige は、スピリチュアルに呼吸する” 音楽 “Spiritual Instinct” を完成へと導きました。
「あの臨死体験を経て、僕は死後の世界、魂とは何か、そして人生の意味を問うようになったんだ。ビッグクエッションだよね。」
つまり、Neige がフランス語で紡ぐ憂鬱と悲しみのイントネーションには、彼が憧れの中に垣間見た魔法の場所へと回帰するロマンチックな目的まで含まれているのです。ALCEST の動力源は審美の探求。例えその場所が死によってのみでしか到達できないとしても。

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10: BLOOD INCANTATION “HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE”

「僕たちの音楽、アートワーク、歌詞の主な目標は、人々に先入観を疑わせることなんだ。音楽的にだけじゃなく、概念的にも限界を押し広げることが重要なんだよ。そのため、エイリアンや次元を股にかける存在だけじゃなく、何かにインスパイアされて自分自身の内なる世界を拡大することもまた重要なテーマなんだ。」
宇宙、異次元、エイリアンをビッグテーマに “アストラルデスメタル” の称号を得る BLOOD INCANTATION は、しかし自らの存在や哲学を “サイエンスフィクション” の世界に留め置くことはありません。SF を隠喩や象徴として扱う “デス・スター” 真の目的は、現実世界のリスナーに森羅万象あらゆる “常識” に対して疑問を抱かせることでした。
もちろん、その非日常、非現実は音の葉にも反映されています。HORRENDOUS, TOMB MOLD, GATECREEPER を従え津波となった OSDM リバイバルの中でも、BLOOD INCANTATION の映し出す混沌と荘厳のコントラスト、プログの知性やドゥームの神秘まで内包する多様性はまさに異能のエイリアンだと言えるでしょう。

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