NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOUP : REMEDIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERLEND AASTAD VIKEN OF SOUP !!

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Norway Based Tasteful “Musical Soup”, Soup Gives You Nostalgia And Great Soundscape With Their Newest Record “Remedies” !!

DISC REVIEW “REMEDIES”

メランコリックで詩情豊かなミュージックスープ。クロスオーバーの先を見据えるノルウェーのフォーサム SOUP が、ガラス細工のように繊細かつ美麗な壊れもの “Remedies” をリリースしました!ポストロックとプログ、そしてエレクトロニカの華麗なる融合は、斯くも鮮明に北の大地の優美で凛列なる風景を映し出します。
スカンジナビアの西端に息衝く創造性を体現する4人のシェフが2013年にリリースした “The Beauty Of Our Youth” は、ダイナミックかつメランコリックなポストロック、シューゲイズ、オルタナティブロックを起点にクラシカル、シネマティック、そしてエレクトロニカを股に掛けた味わい深いブレンドのスープとして結実し、舌の肥えた音楽ファンの五感を刺激した作品でした。それから4年。バンドは新たな具材と調味料を調達し、決定的な看板メニューを完成させたのです。
レシピの貴重なラストピースは70年代のノスタルジアを運ぶプログロックでした。そして、バンドのキャラクターであるコンテンポラリーなアトモスフィアと、郷愁を誘う有機的なプログロックの邂逅は究極の美へと昇華し、作品のタイトル “Remedies” を具現化する心の治療薬としてリスナーの元へと届けられることとなったのです。
インディーズの生々しいアコースティックサウンドで孤愁と共に幕を開けるオープナー “Going Somewhere” はアルバムへの招待状。ソリッドなドラムスを軸に、シンセサイザー、ストリングス、ギターエフェクトでデザインされた夢幻に揺らめくメロディーの洪水は、ポストロックのクレッシェンド、アトモスフィアと共に新たな “SOUP サウンド” のドアを押し開けて行くのです。
クライマックスは ‘The Boy and The Snow” で訪れます。実際、この11分間のエピックには進化の全てが注がれています。PORCUPINE TREE, KING CRIMSON, SNOW PATROL, MOGWAI。道を交えることのないプログ、インディー、ポストロックレジェンドたちの音像はここに溶け合い新たなケミストリーを創成します。
メロトロンやヴィンテージのギターサウンドは見事にモダンなアンビエンスと融合し、複雑に交差するリズムはポストロックの文脈へと浸透。さらに津波と化したハーモニーはインディーズのエモーションをも飲み込んで奇跡のサウンドスケープを実現し、胸を締め付ける追憶と共に現代へとリスナーの想い出を映し出しているのです。
アルバムのプロダクションを MOGWAI, FRANZ FERDINAND との仕事で知られる Paul Savage が手がけ、さらに Steven Wilson のビジュアルコラボレーター Lasse Hoile が作品のアートを担当したことはある意味象徴的にも思えます。
それにしてもこの楽曲のノスタルジックでドリーミーな世界に潜む、どこかヒリヒリとした緊張感、時に突き刺すような痛みは異常です。そしてその違和感の正体は、コンポーザー Erlend が幼年期に経験した通過儀礼だったのです。
「実は “The Boy and The Snow” は15歳で凍死してしまった子供の頃の友人へ捧げたトリビュートなんだよ。」 Erlend は躊躇いながらもそう語ってくれました。誰もが登る大人への階段には、必ず漆黒の闇や悲しみが宿ります。このエピソードを聞けば、唐突にも思えたチャーチオルガンの独奏、荘厳美の極み “Audion” が鎮魂の調べであることが伝わるでしょう。そして少年の魂が遂に召されたことも。
そうしてアルバムは現代に降臨した JETHRO TULL、”Sleepers” の躍動を経て “Nothing Like Home” で静かにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では、ボーカルにしてキーボーディスト、サンプリングも担当する鬼才 Erlend Aastad Viken にインタビューを行うことが出来ました。勿論、メッセージのは彼らが敬愛する QUEEN の “Teo Torriatte” の一節。どうぞ!!

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SOUP “REMEDIES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAJOR PARKINSON : BLACKBOX】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JON IVAR KOLLBOTN OF MAJOR PARKINSON !!

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Surreal And Strange, But Also Beautiful and Sensational. Norway Based Theatrical Progressive Septet, Major Parkinson Will Give You Amazing Associative Journey With Their Newest Records “Blackbox” !!

DISC REVIEW “BLACKBOX”

ノルウェープログレッシブシーンを象徴する比類無き独創性、異形のタイムトラベラー MAJOR PARKINSON がシアトリカルな連想の旅路 “Blackbox” をリリースしました!!幕を開ける奇妙でユニークなミクスチャー劇場のインパクトは絶大です。
ヴァイオリンを含むセプテットが奏でる音楽は、多様で豊潤なノルウェーの土壌に芽吹いた怪異なのかも知れませんね。プログ、ロック、ロカビリー、パンク、ハードコア、オルタナティブ、そして映画のサウンドトラックを等しくその骨格とする中で、Hank Marvin を長とするロック黎明期のインストサウンド “Rautalanka” とコンテンポラリーなエレクトロニカが共鳴し溶け合う様はまさに天衣無縫。20世紀と21世紀の衝突が生み出す時間の融解は、時に不気味に、時に華やかに、そして時にはロマンチックに配役を変えながらリスナーの心まで溶かすのです。
さらに最新作、”Blackbox” では、小さなオーケストラとも言える圧巻の陣容もミクスチャー劇場の完成を後押ししました。クラッシックの “Overture” “序曲” とロックのインテンス、そしてシンセサイザーの魔法を共存させるオープナー “Lover, Lower Me Down” を招待状に、サックス、チューバ、トロンボーン、トランペット、ホルンにチェロ、そして壮大なクワイア。数多のゲストプレイヤーを招いて構築されたミニマルシンフォニーは、Jon Ivar Kollbotn のベテラン俳優のように深みを宿す歌唱を伴って “演劇と音楽の距離” を接近させるのです。
加えて、Lars Christian Bjørknes のキーボードとプログラミング、Sondre Sagstad Veland のドラムスとパーカッションは、共に複雑にして繊細、作品の根幹としてエネルギッシュに躍動し、アルバムのダイナミズムを司り続けます。
シンセウェーブと難解極まるリズムを導入しさらにインテンシティーを増した “Night Hitcher”、THE DOORS の意思を受け継ぐ深遠なる “Before the Helmets” を経て辿り着く “Isabel: A Report to an Academy” は間違いなくアルバムのハイライトでしょう。祈りと闇を等しく抱える10分間のアイデア溢れるエピックは、まさにバンドの真骨頂。
“Mission Impossible” を思わせるセンセーショナルなシンセサイザーとウィスパーボイスに導かれ幕を開けるチェンバーミュージカルは、チェロが定めた印象深い楽曲のテーマにギターとヴァイオリンがリズミカルかつリリカルな奥行を加え、混沌と調和の鬩ぎ合いを提示して行きます。
ゲストボーカル Linn Frøkedal のエセリアルな神々しさは、Jon の深く生々しいフィジカルな表現方法と見事に対比の美学を形成し、「静かで無口な本の中から小さなメロディーの断片が、まるで光が差すように注ぎ出て聴こえるようになった。」 と語るメロディーメイカーの発言を裏付けます。
実際、ヨーロピアンフォークに木琴、タイプライター、ラップまで登場する華やかで騒々しい楽曲のクライマックスは、相反する二人の主演に起因する幅広いエモーションを創出し、リスナーに歓喜と悲愴の両極をもたらしダンスを誘うのです。
「ただ過去に浸って、完全にオールドファッションな存在になりたくはなかったんだ。」 と語る Jon の野心を象徴する、Steve Reich のミニマリズムを全身に浴びたインストゥルメンタル “Scenes from Edison’s Black Maria”、ABBAをも想起させる夢見がちなダンスチューン “Madeleine Crumbles”、「1950年代のベースボールゲームのように曖昧なものからもインスピレーションは生まれるんだ。」 の言葉を体現したもう一つのシンセエピック “Baseball”。バンドの創造性は奔放にして無限です。そして恐らくこの稀有なるアートはレコードにして、映画、演劇、そして小説なのかもしれませんね。
不穏でパワフルなブラスセクションと静謐なるメロディーで時をかける作品のリプライズ、クローサーにしてシネマティックポップなタイトルトラック “Blackbox” はまさに完璧なカーテンコールと言えるでしょう。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Jon Ivar Kollbotn にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは日本のバンド PAY MONEY TO MY PAIN とスタジオをシェアしていたんだ。」どうぞ!!

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MAJOR PARKINSON “BLACKBOX” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VON HERTZEN BROTHERS : WAR IS OVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKKO OF VON HERTZEN BROTHERS !!

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Finland’s Prog Rocking Brothers, Von Hertzen Brothers Are Firmly Back In Dynamic Prog Territory With Their Masterpiece “War is Over” !!

DISC REVIEW “WAR IS OVER”

フィンランドミュージックシーンにおける至高のファミリービジネス、VON HERTZEN BROTHERS。母国、そして UK では押しも押されぬビッグバンドのロックモンスターがリリースした最新作 “War is Over” は、更なる大望を抱き変化を志した新たなチャプターの幕開けです。
Kie, Mikko, Jonne の三兄弟を中心とする VON HERTZEN BROTHERS の音楽は、多様で豊潤なカレイドスコープです。ピュアなクラッシックロックからプログ、ポップ、オルタナティブにワールドミュージックまでナチュラルに横断する神秘のコンポジションは、パワフルかつイマジネーティブなジャンルの交差点として異彩を放っていますね。
特筆すべきは、そのソフィスティケートされた思慮深い作曲術と同次元で繰り出されるワイルドでエネルギッシュなロックマインドでしょう。
柔と剛を自由自在に操舵する血の伝統と絆は、ウルトラキャッチーなメロディーライン、耳を捉えて離さない艶やかなフック、そして洞察力に富んだ深遠なるリリックを纏ってリスナーにモノリシックの意味を伝えるのです。
とは言え、短いリリースインターバルに反して局所的な成功しか収められない焦りで、バンドは疲れ切っていたと Mikko は語ります。もしかすると、ロックサイドに特化した前作 “New Day Rising” でバンドは自由を失い、少し方向性を限定しすぎたのかも知れません。
つまり、KINGSTON WALL のレジェンドで、VHB の2ndアルバムでもプレイしていたドラマー Sami Kuoppamäki が復帰を果たし、HIM の Janne ‘Burton’ Puurtinen をキーボードに起用して制作された ‘War is Over” は、メンバーのみならずレコード会社やマネージメントをも変更し、”燃料切れ” だったバンドが 「前に進み、上昇するため」 の再生の作品なのです。
勿論、バンドが大きな賞賛を捧げる John Lennon へのリスペクトを表明するタイトルトラック “War is Over” は12分のエピックにしてまさにリヴァイブの象徴。アトモスフェリックな電子音に導かれ躍動を始める楽曲は、瑞々しさとダイナミズムに満ちています。
DIZZY MIZZ LIZZY のバランス感覚と KINGSTON WALL のサイケデリカを内包した素晴らしき平和への祈りは、絶え間なく変動するテンポやメロディーで自由の喜びを表現し、コンテンポラリーな音楽が失いつつあるフレキシブルなエナジーを濃密に宿しているのです。
さらに楽曲終盤のファンファーレでは、100本のギターを重ねフィンランドの自由と独立100周年を祝うセレブレーションの意味まで持たせているのですからその豊富なアイデアとロマンチシズムには驚愕の一言ですね。
実際、この壮大なオープナーを皮切りに、アルバムはよりプログレッシブで多様に深化したバンドの “現在” を克明に投影して行きます。
日本やインドのオリエンタルなスケールを導入した BLACK SABBATH と Chick Corea の神々しき融解 “To The End Of The World”、Burton の荘厳なシンセサイザーが映える新天地 “Jerusalem” を経て辿り着く “Frozen Butterflies” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
根本的にはポップロックの美しきワルツ。しかし幼生が蛹を経て美麗な蝶になるように、プログとポップ、そしてロックの姿を宿命の如く宿した楽曲はまさにバンドの “現在の” クリエイティビティーを象徴しています。
クリーントーンのミニマルな反復リフ、ファストなリズムとシンコペーションはリスナーへ複雑な変拍子を伴うマスロックのような印象すら与え、同時にヘルシンキの大空に羽搏き舞う情熱と冬の凍てつく生命を見事に描写した絶佳のサウンドスケープを保持する楽曲は、バンドのスケールが一次元や二次元の狭い檻では収まらない確固たる証明なのかも知れませんね。
アルバムは作品で最もクラッシックな VHB ソング “Beyond the Storm” でその幕を閉じます。”War is Over” のタイトルが回帰する完璧なまでにスピリチュアルな楽曲は、バンドの祈りと野心をしたためてアルバムのリピートを誘い “円” “サークル” の形態へと導来ました。それは、西洋と東洋の哲学、音楽を等しく学んだ VHB故の絶妙なるエンディングだと言えるでしょう。
恐らくは、彼らの理想とする “エピックロック” に最も接近した傑作。今回弊誌ではボーカルとギターを担当する Mikko von Hertzen にインタビューを行うことが出来ました!本誌二度目の登場。「混乱し、多くの苦難に直面している世界で、平和と思いやりを見ようとすることがどれほど重要かという考えを人々に思い起こさせたいと思ったんだよ。」 どうぞ!!

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VON HERTZEN BROTHERS “WAR IS OVER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAMMAL HANDS : SHADOW WORK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MAMMAL HANDS !!

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New Chapter Of UK Jazz, Mammal Hands Carve Out A Great Footstep With The Expansive, But Monolithic New Record “Shadow Work” !!

DISC REVIEW “SHADOW WORK”

拡大する UK ジャズの象徴にしてニュージャズの新たな潮目、MAMMAL HANDS。昨年、初来日公演も成功させた異端のベースレストリオがリリースした最新作 “Shadow Work” は、多彩多様なジャンルを繋ぐ架け橋としてタイトルとは裏腹の凛とした光彩を放っています。
Robert Glasper に端を発する、拡散する新たなジャズの潮流はまさにモダンな音楽世界の縮図と言えます。ヒップホップ、ソウル、ファンク、エレクトロニカ、フォーク、クラシカル。様々なジャンルを縦横無尽に横断し、”Jazz The New Chapter” とも形容されるニュージャズの瑞々しいアプローチは、そして今、世界各地で同時多発的に勃興しているのです。
とりわけ UK は北欧、南米と並んで、その万華鏡のサウンドスケープで注視される新聖域の核心だと言えるでしょう。
「沢山の新たな UK のジャズアクトがその音楽にエレクトロニカを取り入れる傾向は驚きではないんだよ。というのも、UK では多くの偉大なエレクトロニカミュージックが制作されているからね。」 インタビューで Nick が語ったように、そうして UK ジャズ新世代が一際フォーカスしブレンドした個性こそ、彼の地が誇るエレクトロニカの胎動でした。
Matthew Halsall 率いる Gondwana Records のロースターはその滾りし地熱の趨勢を握ります。ハングの叙情を取り入れた PORTICO QUARTET, ビッグレーベル BlueNote への移籍を果たした GOGO PENGUIN, そして中でも今回取り上げる MAMMAL HANDS は最もエクレクティックで普遍的な魅力を備えたトリオだと言えるのかも知れませんね。
何より記して置くべきは、バンドの持つ Steve Reich 由来のミニマリズムと幻想的なそのサウンドデザインが、馴染み深きポストロックやポストプログレッシブの領域と非常に接近している点ではないでしょうか。
「実の所、僕たちは自分たちをジャズグループだと考えたことは一度もないんだよ。」 と JESSE が語れば、Nick は 「僕が聴いて育ったのは、MOGWAI, GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR, KING CRIMSON といったバンドなんだ。」 と証言します。
レコード最長のエピック “Transfixed” はその象徴かも知れません。シングルノートの反復から生まれるグルーヴは、いつしか複雑で多面的なリズムとメロディーを重ねて行きます。
ライヒとチャネリングを果たしたかのようなミニマリスティックなデザインは、Jesse のタブラを使用したパーカッシブなアプローチ、Nick のアコースティックとエレクトリックを行き来するヒプノティックな鍵盤の妙、Jordan のコルトレーンを想起させる冷ややかなテナーの情熱、そしてさりげのない電子の海を全て携えて、60, 70年代の “スピリチュアルジャズ” をロックとコンテンポラリーのイメージを伴い21世紀へと蘇らせるのです。
実際、「新しいアプローチとトラディショナルなアプローチをブレンドして音楽を創造することは、 僕たちにとって本当に興味深い手段なんだよ。それに、僕は新たなバンドがコンテンポラリーなサウンドを追い求めることは重要だと思っているからね。」 と Nick が語るように、彼らの戦略は実に巧妙です。
近年、よりエレクトロニカへとコミットする PORTICO QUARTET とは対象的に、MAMMAL HANDS はジャズのトラディショナルな偶然性からコンテンポラリーな必然性、そしてロックやプログ、エレクトロニカのリスナーにもアピールするキャッチーなフックとチャレンジングな革新性を兼ね備えているのですから。
ストリングスを文脈に配置したミニマルジャズの体現 “Black Sails”、フルートで作曲されたアイリッシュフォークとジャズの美麗なる落とし子 “A Solitary Bee”、クラシカルの息吹が宿る “Boreal Forest”、そしてグループのアイデンティティであるワールドミュージックに特化したタブラの魔術 “Three Good Things”。
つまり全ては、アドベンチャーを志向するジャズ、ロック、フォーク、アンビエント、ダンスリスナーにとって、格好の架け橋として設計されているのです。そして絶景なるその無垢なる橋からの眺望は、逆説的に言えばカテゴライズを超越したただ “音楽” と描写されるべき風景なのかも知れませんね。
今回弊誌では、メンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。アクセシブルでありながら非常に繊細かつ多様な彼らの音楽は弊誌の理想ともシンクロします。「多くの人が、僕たちの音楽が他のジャンルを聴くきっかけになったと言ってくれるのは嬉しいよ。」 どうぞ!!

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MAMMAL HANDS “SHADOW WORK” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DIABLO SWING ORCHESTRA : PACIFISTICUFFS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DANIEL HÅKANSSON OF DIABLO SWING ORCHESTRA !!

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Hybrid Of Old–style Swing jazz, Classial, and metal. Sweden Based Incredible Octet Diablo Swing Orchestra Has Released More Unique, Unexpected But Ultra-catchy Masterpiece “Pacifisticuffs” !!

DISC REVIEW “PACIFISTICUFFS”

メタルワールドのアウトオブボックス。世界で最もカラフルかつユニークな悪魔の楽団 DIABLO SWING ORCHESTRA が、遂にシーンへとより深く浸透すべき新作 “Pacifisticuffs” をリリースしました!!複雑怪奇とポップを過去最高の滑らかさで融解させた作品には、タイトルに冠した “平和主義” と “殴り合い” の二律背反が見事にフィットしています。
“ポストファーストメタルタイム”。WALTARI の Kärtsy Hatakka が弊誌のインタビューで証言したクラッシックメタルとモダンメタルの偉大なる架け橋に、スウェーデンが果たした役割はあまりにも絶大でした。
MESHUGGAH, OPETH の両巨頭を挙げるまでもなく、90年代初頭から此の地の先鋭は、ベーシックなメタルのデフォルトにプログレッシブの波動、エクストリームな残虐性、フォルクローレの優美、そして複雑なリズムアプローチ等を付加してモダンメタルの礎となる百花繚乱の多様性を創世し続けているのです。
中でも、チェロやホーンセクションを備えた8人組 DIABLO SWING ORCHESTRA のエクレクティックな存在感は飛び抜けて異端だったと言えます。その名が物語る通り、メタル、ジャズ、クラッシックを等しくベースとする狂気を孕んだクロスオーバーの濁流は、アヴァンギャルド、エクスペリメンタルの狭い定義に堰き止められ限定的ながら、間違いなく強烈な印象と影響を残して来たのです。
そして、前作 “Pandora’s Piñata” から5年という長いインターバルを経てリリースしたバンドの最新作 “Pacifisticuffs” は、囚われていたその狭い檻までをも突き破り、より幅広く認知と賞賛を受けるべき作品に仕上がったと言えるでしょう。
オペラティックな歌唱でバンドの顔とも言えた Annlouice Lögdlund が脱退し、新たに Kristin Evegård を迎えたことは、結果として変化の象徴となりました。より普遍的で、しかしアンニュイかつジャジーな魅力と個性を備えた Kristin の伸びやかな歌唱は、バンドのカルトなイメージを一新させるフレッシュな起爆剤だと言えますね。
爽快でキャッチー、そしてあまりに多様なオープナー “Knucklehugs (Arm Yourself with Love)” は楽団の新たなイメージへと誘う招待状。Daniel が 「僕たちはまず、強力なメロディーやリズミックなフックといった楽曲の強固な基盤にフォーカスする傾向があるんだよ。」と語る通り、ポップパンクのコマーシャルな突進力さえ喚起する Kristin と Daniel のデュエットは、メタリックなギターリフ、スウィングするホーンセクション、そしてバンジョーとストリングスを携えたエルヴィスの祝福を一身に受けて、至上なる創造性とフックを提示します。
陽気なブルーグラスから一転、オーケストレーションとホーンをさらに前面に配した感傷的なメタルポルカ “The Age of Vulture Culture” で Kristin の完璧なる融合を証明した後、バンドは “Superhero Jagganath” でトロピカルなレゲエにハワイアン、”Lady Clandestine Chainbreaker” ではフラメンコの邪悪な誘惑にフォーカスし、”Pacifisticuffs” の音楽が世界を巡る旅であると高らかに宣言するのです。
そうして辿り着く “Jigsaw Hastle” は、故郷スウェーデンへの凱旋と言えるのかも知れません。Kristin の透明な哀愁を生かしたウルトラキャッチーなダンスチューンは、同郷の ABBA を彷彿とさせる北欧の煌びやかな風。アートワークのトライアングルから注入された電気の魔法は、きっとこの楽曲のエレクトロニカな要素へと還元されたに違いありません。
Daniel が提唱する “異なるサウンドを独自のものへと昇華する偉大なる自由” は、究極のポップと巡るエクレクティックな世界旅行の果てに遂に完成を見たのかも知れませんね。
今回弊誌では、シンガーでギタリスト、バンドの中心人物 Daniel Håkansson にインタビューを行うことが出来ました。どうやら Daniel のボーカルパートが減った理由も、Kristin の加入による理想のオクテットの完成にある様ですね。「今まで成されてきたことの “外側” について考えなくてはいけないと思うんだ。」どうぞ!!

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DIABLO SWING ORCHESTRA “PACIFISTICUFFS” : 10/10

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