NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPERIAL TRIUMPHANT : ALPHAVILLE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE BLANCO OF IMPERIAL TRIUMPHANT !!

©Alex Krauss Photography | http://alexkrauss.com

“The Masks Are Very Connected To The Art Deco Movement That Grew Up In NYC In The First Part Of The Twentieth Century. That Movement Also Has Many Esoteric Connections That Harken Back Thousands Of Years And Goes Beyond Our Wildest Dreams Of How We May Imagine The Thing We’re Part Of Is Here.”

DISC REVIEW “ALPHAVILLE”

「あのマスクは20世紀前半のニューヨークで育まれたアールデコ運動と密接に関係しているんだ。そのムーブメントは数千年前にさかのぼり、過去と深遠で神秘的な多くのつながりを持っている。そしてそれは、かつて僕たちの一部であったものがここにあると悠久に想いを馳せる、時を超えた夢の形でもあるんだよ。つまり歴史的意義のある魅力的な美学なんだ。」
政治的な対立、忌まわしい暴力、世界恐慌と終末のムードが世界を覆った1920年代。アールヌーボーの華美な装飾は機能的なアールデコへと移り変わり、混沌に触発された前衛的なジャズや実験音楽の先駆けは遂に芽吹きました。
100年の後、現代ニューヨークの多様な喧騒をノイジーなジャズや20世紀の前衛クラシックで再構築したエクストリームメタルで体現する仮面の三銃士 IMPERIAL TRIUMPHANT は、奇しくも1世紀前と等しい創造的な大胆不敵を宿す空想都市 “Alphaville” を世に放ちます。
「”Alphaville” は現在のような状況になる前から構想・制作されていたんだ。だけど社会的な枠組みの中における文明文化や個人の葛藤といった大きなテーマや題材は、今も昔も、そして人類が存在する限り未来においても存在しているのではないだろうか?そうは思わないかい?僕たちはいつも NYC のサウンドを演奏しているんだ。文化的にも僕たちの音楽世界には現在のアメリカの状況が反映されていると思う。」
コロナ禍や気候変動、反知性主義と分断が渦巻く2020年に、IMPERIAL TRIUMPHANT が複雑怪奇なブラック/デスメタルの迷宮で1920年代の復活と再構築を告げたのは決して偶然ではないはずです。そんな非業の “再構築” を象徴するのが、VOIVOD と THE RESIDENTS のカバーでしょう。彼らの手にかかれば、80年代後半のプログスラッシュも、奇妙極まるシンセティックなループも、暴走するブラストビートと混沌としたリズムブレイク、そしてバンド生来の不協和音で現代の闇を生きる不可解な狂気へと引きずりこまれてしまうのです。
もちろん、そんな彼らの歴史を咀嚼した慣習の破壊とも言えるエクレクティックな機能美は、”制限のない作曲プロセス” としてアルバム全編を貫いています。例えば、ドローンから聖歌隊、オルガンまで入り乱れるオープナー “Rotted Futures” はカオスの花園ですし、”Excelcior” では黒の暴走やインダストリアルの嘆きを内包しながら、螺旋を描くベーススケール、エイリアンのコードボイシング、進化したリズムのタペストリーでその本質をジャズ/フュージョンへと設定しています。
「まあ確実に僕たちは、メタル、ロック、ヘヴィーミュージックの複数のカテゴリーに当てはまる多様な音楽的影響を持っているよね。いつかは他のカテゴリーに入るかもしれないね。それが何になるかは分からないけどね!」
つまり、Steve が “グローバルなインテグレーション (分け隔てのない) の時代には、多様な視点がより実りある言説やコミュニケーションを生み出す” と語ったように、IMPERIAL TRIUMPHANT が破壊するのは過去の慣習だけではなく、ジャンルの壁や偏見、凝り固まった思想そのものだったのです。
即興のジャミングと緻密なオーケストレーションを並置した “City Swine” は、そんな彼らのクリエイティブな自由が完全に謳歌された楽曲です。MESHUGGAH の Tomas Haake を従えて、和太鼓とピアノがスラッジの枠組みでジャムセッションを開始する無法の街並は、アヴァンギャルドを熟知する MR. BUNGLE の Trey Spruance, KRALLICE の Colin Marston という共同プロデューサーの手を借りてすべての柵を取り払っていくのです。
そうしてアルバムの後半には、Duke Ellington から Miles Davis のクロスオーバーまでジャズの歴史を横断します。
さて、それではなぜ IMPERIAL TRIUMPHANT はゴダールの SF ノワールをそのタイトルへと選んだのでしょうか。きっとそれは、ニューヨークの文化と歴史を映画のフィルターを通して伝え、”昔ながらの魅力” を容赦のない過激さで歪めるためなのかもしれません。このフランケンシュタインのようなダークジャズと狂気のメタルの下には、階級主義、ファシズム、工業化を中心とした批判的な物語が横たわり、タイトルの由来となった60年代の映画を再現しているのですから。
今回弊誌では、ベース/ピアノ/ボーカルを担当する Steve Blanco にインタビューを行うことができました。「ブルックリンにある道場を見つけて、和太鼓奏者でありオーナーでもある倉島ヒロ先生がレコーディングを許可してくれたんだよ。あの美しい音色は、このアルバムの目的にぴったりと合致していたね。」 どうぞ!!

IMPERIAL TRIUMPHANT “ALPHAVILLE” : 10/10

INTERVIEW WITH STEVE BLANCO

Q1: First of all, it’s really hard time now due to coronavirus, especially the musical industry. And recently, BLM movement is spreading from the US. What’s your thoughts on the current US or global situation?

【STEVE】: Things are a mess worldwide. We can try to navigate as best we can, hope for live music to get back on its feet, and continue with meaningful work. Who knows what’s really going on? There are so many components. Only time will tell.

Q1: コロナ危機から Black Lives Matter とアメリカは激動の時を迎えていますね?

【STEVE】: 世界的に大混乱だよね。僕たちはただ自らを精一杯ナビゲートし、ライブの復活を願って、有意義な仕事を続けるだけだよ。
実際に何が起こっているのかは誰にも分からないだろ? 多くの要素がある。まあ時が経てばわかるさ。

Q2: You know, your previous record “Vile Luxury” was an homage of New York City, right? Of course, “Alphaville” is French director Jean-Luc Godard’s 1965 film, and the name of SF city. But looking at the artwork, it’s obvious that this album is also relevant to the current situation and politics of New York and America, would you agree?

【STEVE】: Although Alphaville was conceived of and created before the current situation emerged, these big themes and subjects of civilization and personal struggles within the societal framework have been relevant, continue to be relevant right now, and will be relevant into the future so long as mankind exists, don’t you think? We are always playing the sounds of NYC as that is where we’re from. We are from the USA, and so culturally it will be in our musical universe as well.

Q2: 前作 “Vile Luxury” はバンドの地元ニューヨークをオマージュした作品でしたよね?
もちろん、今回の “Alphaville” とはフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールが1965年に発表した作品のタイトルで、SFの都市の名前です。
ただ、今作もアートワークを見れば現在のニューヨークやアメリカの状況に関連しているようにも感じますが?

【STEVE】: “Alphaville” は現在のような状況になる前から構想・制作されていたんだ。だけど社会的な枠組みの中における文明文化や個人の葛藤といった大きなテーマや題材は、今も昔も、そして人類が存在する限り未来においても存在しているのではないだろうか?そうは思わないかい?
僕たちはいつも NYC のサウンドを演奏しているんだ。ニューヨークから生まれたバンドだからね。もちろん僕たちはアメリカ出身のバンドだから、文化的にも僕たちの音楽世界には現在のアメリカの状況が反映されていると思う。

Q3: When I had an interview with Hunter-Hunt Hendrix of Liturgy, he said “I sincerely think philosophy is a very important tool for having a thoughtful political stance.”. The NYC extreme scene is full of amazing and progressive bands, but is there some sort of common idea that exists?

【STEVE】: I am not sure of what other bands’ politics are. We are making art, not diplomacy. While we observe and comment on the world around us, it does not mean one singular political view is at hand. In fact, that would be foolish; A diverse perspective surely yields more fruitful discourse and communication in an age of global integration.

Q3: 同じニューヨーク出身の LITURGY に最近インタビューを行なったのですが、Hunter-Hunt Hendrix は「哲学は思慮深い政治的スタンスを確立するための重要なツール」だと語っていました。
真にプログレッシブでアヴァンギャルドなバンドが集う NYC ですが、ある種の “共通思念” が漂っている場所なのでしょうか?

【STEVE】: どうだろう。他のバンドの政治姿勢はよくわからないけど。僕たちは芸術を作っているのであって、外交をしているわけじゃないからね。
僕たちが住むニューヨークの周りの世界を観察し、コメントしたとしても、それで一つの政治的見解が同じように出揃うわけじゃないだろ? 実際、そうだとしたら愚かだよ。グローバルなインテグレーション (分け隔てのない) の時代には、多様な視点がより実りある言説やコミュニケーションを生み出すんだからね。

Q4: In a way, the mysterious mask is the symbol of the band. What is the point of wearing that mask? Does that mask have an origin?

【STEVE】: The masks are very connected to the Art Deco movement that grew up in NYC in the first part of the twentieth century. That movement also has many esoteric connections that harken back thousands of years and goes beyond our wildest dreams of how we may imagine the thing we’re part of is here. It is a fascinating aesthetic of historical significance. They also look cool as shit! We like things that look cool, too.

Q4: IMPERIAL TRIUMPHANT といえばミステリアスなマスクが思い浮かぶと思うのですが、あのマスクは何を象徴しているのでしょう?

【STEVE】: あのマスクは20世紀前半のニューヨークで育まれたアールデコ運動と密接に関係しているんだ。(キュビズム、古代エジプトの装飾、アステカ文化の装飾、日本や中国の東洋美術など、古今東西からの様々な引用や混合が指摘されている。アール・ヌーヴォーは曲線を多用した有機的なデザインであったが、自動車・飛行機や各種の工業製品、近代的都市生活といったものが生まれた時代への移り変わりに伴い、進歩した文明の象徴である機械を思わせる機能的・実用的なフォルムが新時代の美意識として様式化した)
そのムーブメントは数千年前にさかのぼり、過去と深遠で神秘的な多くのつながりを持っている。そしてそれは、かつて僕たちの一部であったものがここにあると悠久に想いを馳せる、時を超えた夢の形でもあるんだよ。つまり歴史的意義のある魅力的な美学なんだ。
それにあのマスクめっちゃクールでしょ?僕たちクールなものが好きなんだよね!

Q5: It’s a really eclectic record mixing of non-metal elements, ranging from jazz to art rock. Does the label “avant-garde metal” fit you better than black metal or death metal?

【STEVE】: Not really. We pull from a diverse array of musical influences that fit into multiple Metal, Rock, and heavy music categories. One day we might fit into some other category. We never know what we might get into!

Q5: ジャズからアートロックまで、ノンメタルな要素も入り乱れるエクレクティックな作品です。単にデスメタル、ブラックメタルよりも、アヴァンギャルドメタルといったタグがよりフィットしそうですね?

【STEVE】: どうだろうな。まあ確実に僕たちは、メタル、ロック、ヘヴィーミュージックの複数のカテゴリーに当てはまる多様な音楽的影響を持っているよね。
いつかは他のカテゴリーに入るかもしれないね。それが何になるかは分からないけどね!

Q6: I mean, your use of Trey was perfect for your weird, progressive music. Have you always been a fan of Mr. Bungle?

【STEVE】: We are definitely big fans of Mr. Bungle, and Trey’s work. Working with him was an absolute pleasure or great creative proportions.

Q6: 私がアヴァンギャルドと言ったのは、プロデューサーとして起用した MR. BUNGLE の Trey Spruance が、IMPERIAL TRIUMPHANT の風変わりでプログレッシブな音楽と完璧にマッチしていたからです。実際、ずっと彼らのファンだったのですか?

【STEVE】: うん、僕たちは間違いなく MR. BUNGLE、それに Trey の作品の大ファンだよね。
彼と仕事ができたことは至上の喜びだったし、偉大でクリエイティブな感性をもたらしてくれたね。

Q7: As a Japanese, I was very happy to see your use of Japanese drums, Taiko. What drew you to the instrument? Did you know that Liturgy has embraced Japanese traditional music, Gagaku?

【STEVE】: I “On the next album I’d love to hear Taiko drums”. Kenny came up with a piece to incorporate them. We are all fans of Taiko, but not with much experience. We found a Dojo in Brooklyn where Taiko player and owner Hiro Kurashima Sensei allowed us to record. The beautiful sound fit perfectly with what we were going for on this album. I did not know Liturgy have embraced Japanese traditional music, but that’s fantastic.

Q7: 日本人として、和太鼓の使用は嬉しい驚きでした。最近では、LITURGY も雅楽を取り入れていましたが、どういった経緯で日本の伝統楽器を使用することになったのでしょう?

【STEVE】: 僕が「次のアルバムでは和太鼓を聴きたいな。」と言っていたんだ。だから Kenny がそれを取り入れる曲を考えてくれたのさ。
僕たちはみんな和太鼓のファンだけど、経験はあまりなかったね。だからブルックリンにある道場を見つけて、和太鼓奏者でありオーナーでもある倉島ヒロ先生がレコーディングを許可してくれたんだよ。あの美しい音色は、このアルバムの目的にぴったりと合致していたね。
LITURGY が日本の伝統音楽を取り入れているとは知らなかったけど、素晴らしい試みだね。

Q8: Meshuggah revolutionized the rhythmic approach to the metal world, didn’t it? What does Tomas’ guest appearance mean to the band?

【STEVE】: Having Tomas’ on the album was such an amazing experience. We had great fun recording the Taikos together and discussing music and life. He’s a class act!

Q8: メタルにおけるリズムアプローチに革命を起こした MESHUGGAH のドラマー Tomas Haake のゲスト参加は、バンドにとって意味があったのではにいですか?

【STEVE】: Thomas をアルバムに招くことができたのは、実に素晴らしい経験だったね。
彼と和太鼓を一緒にレコーディングできてとても楽しかったし、音楽や人生についても語り合うことができた。彼は本当に一流だよ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED STEVE’S LIFE

There are too many!!! We each have our own individual life changing albums, but as a band these are some we tend to agree on:

DUKE ELLINGTON, MAX ROACH, CHARLES MINGUS “MONEY JUNGLE”

RUSH “GRACE UNDER PRESSURE”

MILES DAVIS “NEFERITITI”

STRAVINSKI “THE RITE OF SPRING 1959 RECORDING PERFORMED BY LEONARD BERNSTEIN AND NY PHIL”

DEEP PURPLE “MACHINE HEAD”

MESSAGE FOR JAPAN

©Alex Krauss Photography | http://alexkrauss.com

We hope to come to Japan, perform in your beautiful country, and bring our sound of New York City there.

君たちの美しい国、日本を訪れてプレイしたいね。ニューヨークのサウンドを持っていくよ!

STEVE BLANCO

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