EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AETERNAM !!
“We Do Think Of War As Part Of Human History And Mainly a Great Way To Learn That Violence Is Never The Answer To Resolving Any Conflict. There’s Nothing Positive In Death Of Innocents That Benefits Humanity At Large.”
DISC REVIEW “HEIR OF THE RISING SUN”
「歌詞を読んでみると、この作品がただの歴史の授業ではなく、詩的で、時には出来事の完全な説明というより、もっとテーマを喚起するような内容になっていることに気がつくと思うんだ。中世ビザンツ帝国の時代は北米じゃ軽視されがちだけど、歌詞の内容的にも音楽的にも大きな可能性を秘めた、取り組むべき興味深い題材だと思った」
大砲が何発も何発も都市の城壁に打ち込まれる中、ダミアヌスは深く動揺しながらも、矢を手に城壁の上に立つ。彼はすぐに聖母に祈りを捧げた後、弓を包囲者たちに向けて放つ。埃が空中に舞い上がり、大砲を操るオスマン軍の将を左に数センチ外してしまう。パニックの中、ダミアヌスは選択を迫られる。先祖の土地を捨てて去るべきか、それとも戦って死ぬべきか?ダミアヌスが戦うことを決断した数分後、大砲の弾が命中し、彼の手足は引き裂かれ骨は粉々になった。おそらく神は帝国の滅亡を望んでおられるのだろう。コンスタンティノープルの街のあちこちが限界点に達し、ノヴァローマの富を手に入れるため、オスマン帝国はついに征服不可能な都市に突入した。
「実は、この曲はウクライナ戦争が始まるずっと前に作られたものなんだ。とはいえ、僕たちは戦争を人類の歴史の一部と考え、暴力がどんな争いも解決するための答えには決してならない、そのことを学ぶために最適な方法だと考えているんだ。罪のない人々の死が、人類全体の利益となるなんてことは絶対にない。戦争にポジティブなことは何もないのだから」
この “The Fall of Constantinople” “コンスタンティノープルの陥落” は、AETERNAM の5枚目のアルバム “Heir of the Rising Sun” を締めくくる、ビザンツ帝国の終焉を描いた壮大な楽曲です。この歴史的、音楽的なクライマックスに到達するために、AETERNAM は SEPTICFLESH の映画的シンフォニー、WILDERUN の知の陶酔、AMORPHIS の旋律劇、ORPHANED LAND の異国の香りを見事に混交しています。リスナーはこのレコードで時を超え、オスマンとビザンツの時代に旅をしながら、”永遠” の名を持つバンドが提起する人類永遠の課題 “戦争” を追体験するのです。この物語は遠い昔の話しでありながら、実は過去の遺物ではありません。そろそろ私たちは、ほんの少しでも歴史から何かを学ぶべきでしょう。
「”Kasifi’s Verses” の冒頭にあるトルコ語のちょっとしたナレーションを入れると、実は5つあるんだよね。 それは、曲の中で僕たちが語る人々に対する言葉でのオマージュと見ることができるだろうね」
“Heir of the Rising Sun” で AETERNAM はアグレッシブ・メロディアスなリフの合間に、中東・北アフリカの風を受けたギターリードがオスマン帝国の誇りを見せつけ、”征服者” がコンスタンティノープルを手にするため力をつけていく様を描いていきます。もちろん、その絵巻物の情景は、モロッコに生まれ育った Achraf の歌声が肝。
そうしてアルバムは、1453年5月29日が近づくにつれそのオリエンタルなテンションを増していきます。”Beneath the Nightfall” や “Where the River Bends” におけるブラックメタルの激しい旋律、荘厳に勝利を響かせる “Nova Roma”。
一方で、”The Treacherous Hunt” では、東洋の水にグレゴリオ聖歌とシンフォニック・ブラックメタルの構造を無理なく融合させて、ビザンツ帝国の側からもストーリーを肉付けしていきます。戦争に正義などありませんし、完全に善と悪で割り切れるものでもないでしょう。AETERNAM は侵略者、被侵略者、両方の物語を描く必要があることを知っていました。英語、ギリシャ語、トルコ語、ノルウェー語、ラテン語という5つの言語を使用したメタル・アルバムなど前代未聞。しかし、それはこの壮大な “教訓” をリアルに語るため、絶対に不可欠な要素だったのです。
フィナーレにしてクライマックスのクローザーでは、大胆なメロディとスタッカート主体のリフ、ドラムが大砲のように鳴り響き、オスマントルコの攻撃を演出。しかし、途中から勇壮なギター・リフに移り変わり、ビザンツ兵の視点が強調されます。逃げ出すか、このまま街に残って死ぬか。彼は嘆きながらこう決心するのです。
「もし神の意志で街がこの夜に滅びるのなら 私は命を捧げた戦士たちの側に倒れよう」
今回弊誌では、魂のボーカル&ギター Achraf Loudiy と、創始者のドラマー Antoine Guertin にインタビューを行うことができました。「Achraf と僕が出会ったとき、彼は AETERNAM の曲にもっと東洋的なメロディーを取り入れるというアイディアを持っていたんだ。 彼はモロッコでそうしたメロディーを聴いて育ったし、彼の母親が素晴らしいシンガーであることも重要だった。家系的にもそうなんだよね」 どうぞ!!
AETERNAM “HEIR OF THE RISING SUN” : 9.9/10
INTERVIEW WITH AETERNAM
Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?
【ACHRAF】: I was introduced to Rock music by my brother who came back from the army and brought me some Metallica, Paradise Lost and Nirvana cassets. I really liked early Metallica material, so that paved the way for me to discover more about that Era of music. Then I discovered many Metal bands from the San Fransisco Bay area and learned guitar by playing their songs. I got into the darker side of Metal a bit later and was fascinated by bands like Mayhem, Marduk, Behemoth etc.
Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【ACHRAF】: ロックに出会ったのは、軍隊から戻った兄が METALLICA, PARADISE LOST, NIRVANA のカセットテープを持って帰ってきたのがきっかけだった。僕は初期の METALLICA がとても好きになり、その時代の音楽についてもっと知りたいと思うようになったんだ。それで、サンフランシスコのベイエリアから多くのメタルバンドを発見し、彼らの曲を演奏することでギターを学んでいった。
その後、メタルのダークサイドに傾倒し、MAYHEM, MARDUK, BEHEMOTH のようなバンドに魅了されていったんだ。
Q2: Aeternam is Latin for eternity, why did you choose this word as the name of your band?
【ANTOINE】: We certainly knew what it meant when we chose it, but at that time we were still looking for our sound and identity, and I will confess that we took it mostly because it sounded and looked cool. In retrospect, we are perfectly fine with it, I think it sits well within our lyrical thematics.
Q2: AETERNAM とはラテン語で “永遠” という意味の言葉ですね。なぜこの言葉をバンド名に選んだのですか?
【ANTOINE】: もちろん、僕たちはその言葉の意味を知っていて選んだんだ。でも、当時はまだ自分たちのサウンドやアイデンティティを模索していた時期で、響きや見た目が格好良かったから選んだというのが正直なところかな。
ただ、振り返ってみると、この言葉はバンドに完全にフィットしていて、僕たちの歌詞のテーマの中にうまく収まっていると思うんだ。
Q3: You guys play very unique, oriental metal, does that have something to do with the fact that vocalist Achraf Loudiy is from Morocco?
【ANTOINE】: Definitely. When Achraf and I met, he had this idea to incorporate more oriental melodies to our songs. He grew up listening to these kind of melodies in his home country, and I also know his mother is a great singer, it runs in the family. As for myself, I’ve always been interested in world music, and I absolutely loved digging into it.
Q3: あなたたちは、非常にユニークな所謂 “オリエンタル・メタル” をプレイしていますが、それは Achraf がモロッコ出身であることと関係があるのでしょうか?
【ANTOINE】: 間違いなくね。 Achraf と僕が出会ったとき、彼は AETERNAM の曲にもっと東洋的なメロディーを取り入れるというアイディアを持っていたんだ。 彼はモロッコでそうしたメロディーを聴いて育ったし、彼の母親が素晴らしいシンガーであることも重要だった。家系的にもそうなんだよね。
僕自身は、ワールド・ミュージックにずっと興味があったから、Achraf が加入して、それを掘り下げていくのがとても楽しかったんだ。
Q4: Importantly, you guys are very aggressive compared to the big names in oriental metal, Orphaned Land and Myrath. Is that something you are particularly conscious of and trying to make a difference with them?
【ACHRAF】: Aeternam has been following its own path since day one. As much as we like Orphaned Land and Myrath, we craft our sound based on our own intuition and concepts. We clearly are a more aggressive band, but it’s not done consciously with the intention to be “different”..
Q4: 重要なのは、あなたたちが ORPHANED LAND や MYRATH といったオリエンタル・メタルのビッグネームと比較して、よりアグレッシブな音楽をプレイしているところです。
【ACHRAF】: AETERNAM は、バンドの初日から独自の道を歩んできたんだ。ORPHANED LAND や MYRATH が大好きだけど、それと同じくらい、自分たちの直感とコンセプトに基づいてサウンドを作り上げたいんだよ。
彼らと比べて僕たちは明らかにより攻撃的なバンドだけど、ただそれは “違う” ことを意識してやっているわけではなくて、自然にでてきたものなんだ。
Q5: Still, “Heir of the Rising Sun” is an incredible album, conceptually and musically! Why did you choose the theme of the battle between the Ottoman and Byzantine empires for this album?
【ANTOINE】: In the past we had focused more on mythological and religious topics, always a little bit out of the real world. This time, we wanted to take on a more historical topic, and try to tell the tale our way. If you read the lyrics, you’ll notice thay they aren’t a history lesson, they are still poetic and sometimes more evocative of the subject rather than a first degree accounts of the events. Why Byzantium? It’s a question of timing. I had been reading and watching a lot of medieval history lately, and I realized that here in Canada, this portion of the Middle Ages is often disregarded. We thought it would be an interesting subject to tackle, with great potential in term of both lyrical and musical content.
Q5: それにしても、Heir of the Rising Sun” は音楽的にも、コンセプト的にも素晴らしいアルバムですね!なぜ、オスマン帝国とビザンツ帝国の戦争をテーマに選んだんですか?
【ANTOINE】: これまで僕たちは、神話や宗教的なテーマを中心に、いつも現実世界から少し離れたところで音楽を作ってきた。 でも今回は、もっと歴史的なテーマを取り上げて、自分たちなりの物語を語ろうと思ったんだ。
歌詞を読んでみると、この作品がただの歴史の授業ではなく、詩的で、時には出来事の完全な説明というより、もっとテーマを喚起するような内容になっていることに気がつくと思うんだ。
なぜビザンツ帝国なのか?これはタイミングの問題だった。 最近、僕は中世史をよく読んだり見たりしているからね。そしてここカナダでは、中世のこの時代の部分は軽視されがちだと気づいたんだ。 歌詞の内容的にも音楽的にも大きな可能性を秘めた、取り組むべき興味深い題材だと思ったよ。
Q6: The sadness and conflict of the Byzantine soldiers depicted in “The Fall of Constantinople” is an undeniable reminder of what is happening in Ukraine today. Did you think about the Russian invasion when you were writing this piece? And how do you feel about war in general?
【ACHRAF】: Actually, that song was written a long time before the war in Ukraine started. That said, we do think of war as part of human history and mainly a great way to learn that violence is never the answer to resolving any conflict. There’s nothing positive in death of innocents that benefits humanity at large.
Q6: “The Fall of Constantinople” における、ビザンツ兵の悲しみと葛藤は、まさにウクライナで今日起きていることを想起させますね?
【ACHRAF】: 実は、この曲はウクライナ戦争が始まるずっと前に作られたものなんだ。とはいえ、僕たちは戦争を人類の歴史の一部と考え、暴力がどんな争いも解決するための答えには決してならない、そのことを学ぶために最適な方法だと考えているんだ。
罪のない人々の死が、人類全体の利益となるなんてことは絶対にない。戦争にポジティブなことは何もないのだから。
Q7: I think it is also unprecedented to have a metal album in four different languages. Why did you take on this challenge?
【ANTOINE】: There’s actually five if you count the small narration in Turkish at the start of Kasifi’s Verses. I think you can see that as an hommage to the language of the people we speak of in the song. Let’s take Where the River Bends for instance. There are a bunch of lyrics in Norwegian, which is a language nobody in the band speaks. A fun little trivia about it is that I met some Norwegian guys at a restaurant in Italy last winter, and one of them was kind enough to help me with the pronounciation of some words. I recorded him saying the lyrics slowly with my phone so we had a template when we recorded the real ones. We did the same thing with the greek lyrics: a native greek guy living in Quebec was kind enough to record the same kind of guide tracks. Even though we don’t speak some of the languages we sing, we try to put ourselves in a situation where at least we made the effort to try to pronounce it as best as we can.
Q7: 4つの異なる言語が登場するメタル・アルバムも前代未聞ですよね?
【ANTOINE】: “Kasifi’s Verses” の冒頭にあるトルコ語のちょっとしたナレーションを入れると、実は5つあるんだよね。 それは、曲の中で僕たちが語る人々に対する言葉でのオマージュと見ることができるだろうね。
たとえば、”Where the River Bends” を見てみようか。 この曲にはノルウェー語の歌詞がたくさん出てくるけど、これはバンド・メンバーの誰も話さない言語なんだ。 これはちょっとしたトリビアなんだけど、去年の冬にイタリアのレストランでノルウェー人に会ったんだけど、そのうちのひとりが親切にも単語の発音を手伝ってくれたんだ。 彼が携帯電話でゆっくりと歌詞を言うのを録音して、本番のレコーディングの時にそれをテンプレートにしたんだよ。
ギリシャ語の歌詞も同じように、ケベックに住むネイティブのギリシャ人が同じようなガイドトラックを録音してくれたんだ。 僕たちが歌う言語の中には、話せない言葉もあるんだけど、少なくとも、そうしてできる限り上手く発音しようと努力するようにしているんだ。
Q8: What is very interesting is that you guys seem to be using Oriental and Middle Eastern music as a symbol of the Ottoman Empire and Gregorian chant and choir as a symbol of the Byzantine Empire. In a way, the album is a war, but also a fusion of East and West, isn’t it?
【ANTOINE】: Yes that seems logical. Although real byzantine music wasn’t that far from what we call “eastern music” but for the sake of musical palette, we definitely gave the character of Byzanitum in the album a more “Western” feel, if that makes sense. It was a good challenge to try to incorporate both in the same song. Beneath the Nightfall and Irene are good examples of that.
Q8: 興味深いのは、あなたたちがオリエンタルな音楽をオスマン帝国の、グレゴリア聖歌をビザンツ帝国の象徴として使用している点です。
つまり、アルバムのテーマが戦争でありながら、音楽は西洋と東洋がそうして融合しているんですよね。
【ANTOINE】: そうだね、君の分析は理にかなっていると思うよ。 実際のビザンチン音楽は、僕たちが “東洋の音楽” と呼ぶものと実はそれほどかけ離れてはいないんだけど、音楽的なパレットを使って、アルバムの中のビザンツ人のキャラクターをより “西洋的” なものにしたんだよね。そうやって、ストーリーが意味をなすようにしたんだ。
同じ曲の中に東洋と西洋の両方を取り入れるというのは、いいチャレンジだったね。 “Beneath the Nightfall” や “Irene” はその良い例だよね。
FIVE ALBUMS THAT CHANGED AETERNAM’S LIFE
ENSIFERUM “IRON”
PORCUPINE TREE “IN ABSENTIA”
BEHEMOTH “DEMIGOD”
ANGRA “HOLY LAND”
WINTERSUN “S.T.”
(ANTOINE)
JUDAS PRIEST “PAINKILLER”
SEPTICFLESH “CODEX OMEGA”
DIMMU BORGIR “ENTHRONED DARKNESS TRIUMPHANT”
MARDUK “WORLD FUNERAL”
KAMELOT “BLACK HALO”
(ACHRAF)