EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Colin H. van Eeckhout OF AMENRA !!
Belgian Avant-garde Post-metal Maestro, AMENRA Has Just Released Their Most Diverse, Emotional, And Well Realized Record “Mass Ⅵ” !!
DISC REVIEW “MASS Ⅵ”
アントワープに聳える大聖堂の如き凛々たる威厳を放つ、ベルギーのポストメタル-ルミナリエ AMENRA が実に5年振りとなる最新作 “Mass Ⅵ” をリリースしました!!2017年、DREADNOUGHT や CELESTE が先陣を切った、ポストメタル、ドゥーム、スラッジ、そしてアンビエントなポストハードコアを融合させる “スロウメタル” の快進撃はこの作品によって決定的なものとなるはずです。
1999年にフランスとの境、ベルギーのコルトレイクで、ボーカル Colin H. van Eeckhout とギタリスト Mathieu Vandekerckhove によって結成された濃密なるファイブピース AMENRA。偉大な NEUROSIS の血脈を受け継ぎつつ、メタルよりもオールドスクールハードコアの色濃きリフエイジと、ユニークにスラッジとドゥーム、アンビエント、時にブラックメタルやゴシックフォークまでをもミックスするその多様なるポストメタルの脈流、独自の進化を続ける鬼才集団が扱うテーマは、人生の悲痛で陰惨たる圧倒的にダークな一面です。
AMENRA のレコードは全てが “Mass” の名の下にナンバリングされています。”ミサ” の名を冠したバンドの最も重要な典礼儀式は、”ピュアな感情に掻き立てられ” “バンド全員がパワフルな個人的理由を得るまで” 行われることはありません。故に、ある意味祈りを宿した究極にパーソナルな “自己反映” “自己反省” のプラットフォームこそが “Mass” シリーズの正体だと言えるかも知れませんね。
「両親の死、両親や子供の病気、関係の終焉、愛の喪失と剥奪。全てが存在を空虚にしてしまうような経験だよ。」 実際、バンドのマスターマインド Colin は 、今回の “Mass Ⅵ” を制作するきっかけについてそう語ってくれました。”Mass” シリーズで最もヴィヴィッドかつ群を抜いてダイナミックなレコードは、人間の避けがたき悲痛と喪失を深く探求、そして埋葬する41分間なのかも知れません。
アルバムオープナー、”Children of the Eye” は AMENRA の特徴を全て封じたショーケースのようなエピックです。陰鬱な波に揺蕩う静謐のオープニングセクションから、哀しみを引き摺る重厚なコードアタックと痛みを伴う激情のスクリームが噴出するまで、クレッシェンドで徐々にモチーフをビルドアップして行く手法はまさに彼らのトレードマーク。中盤で、エセリアルかつアンビエントな天上のクリーンパートを挟んだ後、フルバンドで再度猛攻に移る場面は、まさにポストメタルのカタルシスを如実に体現していますね。
英語、フランス語、そしてドイツ、オランダ語に近いフラマン語。ベルギーというクロスオーバーな文化圏は AMENRA に三つの言語が生み出すリズムやイントネーションの幅広い可能性を与えました。「ある特定の言語で書くことにより、インパクトが増したり、言葉がより詩的な価値を持ったり、別の言語と比較してより楽に感情を表現出来る時だってあるかも知れない。」 Colin はそう語ります。
確かに、神秘的なスポークンワード “Edelkroone” に端を発する、アートワークの “Dead Swan” を反映したより幻想的なムード、耽美な世界観の構築には、間違いなく彼らの硬軟使い分ける傑出した言語センスが一役買っています。
“A Solitary Reign” はバンドのマイルストーンとなる楽曲かも知れませんね。「楽曲の “アコースティック” パートがより意味を持ち、以前より深く浸透している気がするね。それによって、全力のヘヴィーパートのインパクトも増し、以前にはなかったパワーやエナジーをより多く得ることが出来ているんだ。」 と Colin は語ってくれました。
仄かなウィスパーとアンニュイな美声を使い分ける彼のクリーンボーカルは以前の “詩読” よりも遥かに “歌う” ことへとフォーカスしており、慟哭のスクリームと絡み合うそのコール&レスポンスは、一筋の光すら差し込む初期 ALCEST にも似た “異なる” 哀しみの表現方法です。暗く閉ざされた典型的な AMENRA の楽曲の中に、こういった手法や歌唱パートを潜ませることは、確実にバンドの可能性を拡げて行くはずですね。
アルバムは、トライバルなリズムを起点にメロディックな領域とサバスの遺伝子を掘り下げる11分の狂気 “Diaken” であまりにも唐突に幕を閉じました。
今回弊誌では、バンドのボーカルにして中心、Colin H. van Eeckhout にインタビューを行うことが出来ました。「真の感情には国境はないんだよ。」 どうぞ!!
AMENRA “MASS Ⅵ” : 9.8/10
INTERVIEW WITH COLIN
Q1: How was the summer tour with Neurosis and Converge? What was the most impressive thing on that tour?
【COLIN】: The whole tour was ‘impressive’. I mean it was a beautiful experience for us. We will never deny that bands like Converge and Neurosis have inspired us along the way. And for them to take us under their wings is the most rewarding recognition a band can get.
The emotional content Jake gave to Converges aggressive style music, and the ferocious nature of Neurosis sounds definitely defined us over time. We got to know all of them through numerous shows in Europe we played together. And it was nice to be on the road together, what would be less if not impossible in Europe. WE were all perfectly in balance, and if not it was the smoothest tour we ever experienced.
Q1: まずは、この夏行われた CONVERGE, NEUROSIS とのツアーについて話していただけますか?
【COLIN】: あのツアーは全てがまさに “印象的” だったね。つまり、僕たちにとって美しい体験だったと言う訳さ。なぜなら、ここに至るまで僕たちが CONVERGE や NEUROSIS にインスパイアされたことは否定出来ない事実だからね。それに彼らが僕たちをツアーに帯同してくれたことこそ、バンドとして得られる最も栄誉な認識のされ方だと思うしね。
Jake (Jacob) が CONVERGE のアグレッシブなスタイルにもたらすエモーション、それに NEUROSIS サウンドの猛烈な本質は、間違いなく時と共にその輪郭を顕にしていったんだ。
僕たちは、彼らとプレイしたヨーロッパツアーで、沢山のショウを重ねて両バンドの全員と仲良くなったんだ。本当に共にツアーが出来て良かったよ。ヨーロッパでは不可能ではないにしてもなかなか得られない機会だからね。確かに僕たちが経験した中で最もスムースなツアーではなかったかも知れないけれど、三つのバンドはバランスという意味で完璧だったと思うね。
Q2: Five years have passed since your previous release “Mass V”. Why did you need such a long interval for “Mass Ⅵ?
【COLIN】: We always take the time we need to have a real reason to write a new mass album. We want to write amenra songs out of pure emotional nescessity and not out of marketing strategic or economic demands. So we took our time, lived our lives untill all individuals within the band, had real powerful personal reasons to commit to a new writing process.
People don’t always see the numerous, concerts, cooperations in theatre and dance, sound and filmscores, split releases, acoustic releases and so forth, we did in between sudio or Mass albums. Plus we all have our side and soloprojects whom also released more than one studioalbum in that period.
Q2: 最新作 “Mass Ⅵ” は、前作 “Mass V” から5年という長いインターバルの後にリリースされましたね?
【COLIN】: 僕たちはいつだってアルバム制作に時間がかかるんだ。新たな “Mass” 作品を作るためには真の理由が必要だからね。
僕たちが AMENRA の楽曲を書きたいと思うのはピュアな感情に掻き立てられるからであって、決してマーケティング戦略や経済的要求からではないんだよ。だから僕たちは、バンド全員が新たなライティングプロセスに入るためのパワフルな理由を得るまで、時間を取って自分たちの人生を生きるようにしているのさ。
ファンを長く待たせてしまうから、コンサート、劇場、ダンスや映画のスコア、スプリットレコード、アコースティックレコードを、スタジオや “Mass” アルバムの間に手がけているんだよ。
それに、僕たちは全員サイドプロジェクトやソロプロジェクトを抱えているしね。インターバルの間にそれぞれが一枚以上はリリースしているよ。
Q3: You suggested “Mass” is created out of necessity to reflect on “real powerful personal reasons” in the band members. Concretely, what kind of experience or phase are reflected on “Mass Ⅵ”?
【COLIN】: the death of a parent, the illness of parents and children, the end of relations, loss and deprivation of love. All out existential emptiness.
Q3: “Mass” 作品の制作には “パワフルな個人的理由” が必要だと仰いましたが、具体的に今回その理由とは何だったのでしょう?
【COLIN】: 両親の死、両親や子供の病気、関係の終焉、愛の喪失と剥奪。全てが存在を空虚にしてしまうような経験だよ。
Q4: Definitely, one of the progress from your previous work is your clean voice. “A Solitary Reign” is symbolic, emotion and intense becomes broader and deeper in “Mass Ⅵ”. Does that evolution reflect on the future of Amenra?
【COLIN】: It might yes. The ‘acoustic’ parts of the songs have gained more significance and seem to cut deeper than they did before. The impact of the full-blown heavy parts has increased, gaining much more power and hitting with so much more force than they ever have done before.
Q4: あなたのクリーンボーカルは前作からの進化の証だと感じます。
“A Solitary Reign” は象徴的ですが、エモーションとインテンスがより深く、幅広くここに結実していますね? 楽曲は AMENRA の未来を反映しているようにも思えますが?
【COLIN】: おそらくそうかもね。楽曲の “アコースティック” パートがより意味を持ち、以前より深く浸透している気がするね。
それによって、全力のヘヴィーパートのインパクトも増し、以前にはなかったパワーやエナジーをより多く得ることが出来ているんだ。
Q5: You used different languages depending on the situation from English, Flemish to French. Does it relate to the cross-over culture of your home country, Belgium?
【COLIN】: Probably. But its mainly to emphasize the universal character of our music and message. Loss, despair, melancholy are not bound to certain language. True emotion has no borders of frontiers. Some things have more impact when written in a certain language, the words have a more poetic value, and maybe describe the feeling of the moment effortlessly in comparison to another language…
Q5: さらに、あなたは歌詞の言語を状況に応じて使い分けていますね。英語、フランス語、フレミッシュ。こういった試みは、あなたの母国ベルギーがクロスオーバーな文化を持つことと関係があるのでしょうか?
【COLIN】: おそらくはね。ただ、そうしているのは、主に僕たちの音楽とメッセージのユニバーサルな一面を強調するためなんだ。損失、絶望、憂鬱といった概念は特定の言語に縛られている訳じゃないからね。真の感情には国境はないんだよ。
ある特定の言語で書くことにより、インパクトが増したり、言葉がより詩的な価値を持ったり、別の言語と比較してより楽に感情を表現出来る時だってあるかも知れないからね。
Q6: “Mass Ⅵ” has different artworks and different mixes. Where did the idea come from? Is “The Swan” main artwork of the record?
【COLIN】: The swan is indeed the albums main ‘image’. It is always extremely hard for us to find the right image to be used for an album. or is it hard to find the right person to work with.
Like with everything we want to tell a story, we want to layout a blueprint to a ‘world’. And the series of photographs by Stephan Vanfleteren is what we were drawn to. The dead swan photograph truly exells in materializing or visualising our music, or the emotion of our body of work.
The swans grace, beauty and lifeforce, remain intact after death. It still brings us to a halt. demands to pay our respect..
Q6: “Mass Ⅵ” には異なるアートワーク、異なるミックスのフィジカルが用意されていますね?白鳥がメインのアートワークでしょうか?
【COLIN】: この白鳥こそ、まさにアルバムの “メインイメージ” なんだよ。僕たちにとって、アルバムに使用する正しいイメージ、もしくはアートワークを描く適任者を見つけることは、いつも究極に難しいことなんだ。
全てにおいてストーリーを伝えたいから、アートワークにはアルバムの “世界” の青写真をレイアウトしたい訳なんだよ。そして、Stephan Vanfleteren の写真のシリーズはまさに僕たちがのめり込んだものだったね。あの死せる白鳥、”Dead Swan” の写真は完璧なまでに僕たちの音楽やエモーションを具現化、可視化していたんだよ。
白鳥の優雅さ、美しさ、生命力は死後もそのまま残っているんだ。死せども未だに僕たちの目を惹く訳だよ。敬意が求められる程にね。
Q7: Looking back now, “Mass Ⅲ” and “Mass Ⅴ” was turning point for the band. I feel you found your own sound in “Mass Ⅲ” and off course “Mass V” was your first recording with Neurot Recordings. Do you think “Mass Ⅵ” is also your turning point? or successor of “Mass V”?
【COLIN】: Yes. but in what way I cannot say.
Q7: 振り返って見れば、”Mass Ⅲ” と “Mass V” はバンドにとってターニングポイントだったようにも思えます。バンドは前者で独自のサウンドに辿り着き、後者は Neurot Recordings との初仕事でしたね。
同様に今回の作品も、ある種のターニングポイントとなり得ますか?
【COLIN】: そう思うよ。だけど、どんな方法、意味合いでかは上手く言えないな。
Q8: Oathbreaker, Wiegedood, The Black Heart Rebellion, and off course Amenra help to inform the creativity and emotion in the extreme music of Belgium to the world. What’s your perspective about the music scene of your home country?
【COLIN】: I don’t have a perspective about the music scene in Belgium. I see a lot of talent around me, and it pleases me to see that from time to time, some of those friends get the recognition for what they do. We all should be heard.
Q8: OATHBREAKER, WIEGEDOOD, THE BLACK HEART REBELLION, そして勿論 AMENRA はベルギーエクストリームシーンのクリエイティビティー、エモーションを世界に伝え、それにより、ベルギーのシーン自体も活性化しているように思えます。
【COLIN】: 僕はベルギーの音楽シーンに対する、特別な観点は持っていないんだよ。僕の周りには沢山の才能が集まっていて、時々彼らを見ると本当に嬉しくなるんだ。
そういった友人の内何人かは、彼らの才能や音楽で評価を得ているね。ただ、僕は彼ら全員がもっと聴かれるべきだと思っているよ。