EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL LEAGUE OF SNARKY PUPPY !!
“Traveling So Much Really Reminds You How We Are All Immigrants In a Certain Kind Of Way, Whether It’s About Our History, Our Ancestry, Or The Customs And Cultural Elements We’ve Borrowed From Other Parts Of The World.”
DISC REVIEW “IMMIGRANCE”
「一つのジャンルに向けてのみ演奏をしたくないんだ。全てのジャンルのオーディエンスに訴求したいよ。だから本当に様々な音楽ジャンルのファンが僕たちの音楽を楽しんでくれているという事実は、進化を続け異なる方向を打ち出す僕たちを強く勇気づけてくれるんだ。」
耽溺のジャジストはもちろん、THE MAHAVISHNU ORCHESTRA, RETURN TO FOREVER を崇拝するフュージョンマニアックス、SLAYER, Biggie, さらにはフォークミュージックの粋人まで、多種多様な音の眷属が集結する SNARKY PUPPY のライブはさながら “Immigrance” のサウンドキャラバンです。
「世界中で僕たちのオーディエンスの中に多様性を見つけることは実に美しいね。こうやって僕らのように旅を重ねていると、自分たち全員がある種の “移民” であることを思い起こすんだよ。」
グラミー賞を3度獲得したグルーヴオーケストラ SNARKY PUPPY。その多様でボーダレスな “移民” の創造性は、ベーシストでマスターマインド Michael League の数奇なる旅路に起因しています。
ハイスクール時代、ギタープレイヤーとして LED ZEPPELIN, CREAM, PEARL JAM, SOUNDGARDEN のカバーに勤しみグルーヴの鼓動を刻んだ Michael は、STEELY DAN の “Alive in America” によってロックとファンク、そしてジャズの悪魔合体に開眼することとなりました。
ノーステキサス大学でベースに持ち替えジャズを学びつつ SNARKY PUPPY を結成した Michael は、Erykah Badu に見出されヒップホップ、R&B、さらにはゴスペルをも咀嚼し、遂にはその興味の矛先を世界の伝統音楽にまで向けながら、その全てを自らのグルーヴコレクティブへと注ぎ込んでいるのです。
グラミーを獲得した前作 “Culcha Vulcha” で頂点に達したポリリズムとエスニックの複雑な探求。”Immigrance” では Michael が鼓動のベースとするロックとファンクにも再び焦点を当てて、流動する “移民” の羈旅をよりエクレクティックに噛み砕いて体現することとなりました。
例えばオープナー “Chonks” ではシンプルなヘヴィーグルーヴをベースに圧倒的なアンサンブルでファンカデリックな空間を演出し、よりメカニカルな “Bad Kids to the Back” では TRIBAL TECH にも似た骨太なジャズロックのインテンスを見せつけます。
そうして、全面参加を果たした2人のギターマエストロ Bob Lanzetti, Chris McQueen が一層輝きを増しながら、ジャズ領域の外側へと大胆な移住を促進したのは David Crosby との出会いも大きく作用したはずです。事実、Michael は自身が歌ってギターも奏でるソロ作品のリリースを予定しているのですから。
「確かに “Immigrance” ではいくつかの異なる伝統音楽から影響を受けているね。そうして時を経るごとに、その影響はレコード毎に大きくなっていっているよ。」
一方で、モロッコのグナワを基盤としたエスノビートとポリリズムが鮮やかに溶け合う “Xavi’ では SNARKY PUPPY の先鋭性を遺憾無く味わうことが出来るでしょう。西アフリカのトライバルミュージックとブルースを融合させた BOKANTE の立ち上げが示すように Michael の特に中東~アフリカ地域に対する音の探究心は並々ならぬものがありますね。
3人のドラマーと3人のパーカッション奏者を抱える SNARKY PUPPY にとって根幹はやはりグルーヴです。そして、”Even Us” にも言えますが、日本人パーカッショニスト 小川慶太氏の美技を伴ったトライバルビートは、SNARKY PUPPY が有する移民の多様性と華麗に調和しながら瑞々しいジャンルのポリフォニーを実現していきます。
“Immigrance” に伴うワールドツアーはここ日本から始まります。作品の多くがライブレコーディングである SNARKY PUPPY にとって当然ライブこそが本領発揮の場です。ただし、”Immigrance” はスタジオで録音されたレコード。故に、バンド本来の躍動感に、思索や計画性が伴って実に奥深い多次元のリスニング体験をもたらすこととなりました。
今回弊誌では、Michael League に2度目のインタビューを行うことが出来ました。「歴史がどうであれ、祖先がどうであれ、習慣や文化がどうであれ、僕たちは世界のほかの場所から何かしらを “借りて” 生きているんだからね。」鍵盤奏者 Bill Laurance が奏でる虹の音色にも注目。どうぞ!!
SNARKY PUPPY “IMMIGRANCE” : 10/10
INTERVIEW WITH MICHAEL LEAGUE
Q1: “Immigrance” World Tour will start from Japan! How do you feel now? What are you most looking forward to about returning to our country Japan?
【MICHAEL】: I was actually in Japan just a few weeks ago, enjoying Nagasaki, Kyoto, and Kobe. It’s one of my favorite countries in the world- so different from my own- and the band has so much fun playing here. The hospitality is incredible, the food and people are wonderful, and the audiences know so much about music. It’s the perfect place to start a 7-month tour!
Q1: 遂に最新作 “Immigrance” のワールドツアーがここ日本から始まりますね?
【MICHAEL】: 実は何週間か前に僕は日本にいたんだ。長崎、京都、神戸を回って観光を楽しんでいたんだよ。世界中で大好きな国の一つなんだ。僕の母国アメリカとは非常に異なっているね。もちろん、僕のバンドも日本でプレイするのをとても楽しんでいるよ。
ホスピタリティーは驚異的だし、食事も人々も素晴らしいね。何より、オーディエンスが本当に良く音楽を知っているよ。7ヶ月のツアーを始めるのに完璧な場所だよね。
Q2: Speaking of Japan, Snarky Puppy includes Japanese percussionist Keita Ogawa. How did you find his talent and what made you invite him to Snarky Puppy?
【MICHAEL】: I was introduced to Keita Ogawa by the great percussionist Jamey Haddad (Paul Simon), whom I had hired for a recording session I was producing in Cleveland. Jamey convinced me to let him record on the album, and I was blown away by his talent. When I moved to New York in 2009, he was one of the first people I called. I thought he could really bring a different thing to our music (especially since he spent time in Brazil studying percussion there), so I invited him to be a part of our album GroundUP. He’s been in the band ever since.
Q2: 日本と言えば、SNARKY PUPPY には日本人パーカッショニスト、小川慶太さんが所属していますね。
【MICHAEL】: 慶太を紹介してくれたのは、Paul Simon との共演などで知られる素晴らしいパーカッショニスト Jamey Haddad だったんだ。クリーブランドのレコーディングセッションで Jamey を雇っていたんだけど、彼は慶太をぜひアルバムで起用するべきだと勧めてくれたんだ。そうして僕は彼の才能に衝撃を受けたのさ。
2009年に僕がニューヨークに引っ越して、まず最初に声をかけた人物の一人が慶太だったね。僕は彼こそが、僕たちの音楽に異なる表情をもたらしてくれる人物だと思っているんだよ。なぜなら、彼はブラジルでパーカッション学んでいるからね。
だからこそ “Ground Up” に参加してもらったし、それからずっとバンドのメンバーなんだ。
Q3: Regarding tour, from Slayer, Biggie to Mahavishnu Orchestra or Return to Forever, you seem to have very diverse audiences, right? What’s your perspective about that “Chaotic” situation?
【MICHAEL】: I love it. I don’t want to play for one kind of person, I want to play for every kind. And the fact that so many different kinds of music fans enjoy our music encourages us to continue moving in different directions.
Q3: 長期のツアーが始まりますが、SNARKY PUPPY のオーディエンスは SLAYER, The Notorious B.I.G から THE MAHAVISHNU ORCHESTRA, RETURN TO FOREVER のファンまで様々である種カオティックな状況だそうですね?
【MICHAEL】: 僕はその状況をとても気に入っているよ。僕は一つのジャンルに向けてのみ演奏をしたくないんだ。全てのジャンルのオーディエンスに訴求したいよ。
だから本当に様々な音楽ジャンルのファンが僕たちの音楽を楽しんでくれているという事実は、進化を続け異なる方向を打ち出す僕たちを強く勇気づけてくれるんだ。
Q4: I mean, your wide audience is kind of “Immigrance”, and kind of symbol of your musical diversity and fluidity. So, I think “Immigrance” fits perfectly for the title of new record, do you agree that?
【MICHAEL】: Yes. It’s a beautiful thing to see so much diversity in our audiences around the world. And traveling so much really reminds you how we are all immigrants in a certain kind of way, whether it’s about our history, our ancestry, or the customs and cultural elements we’ve borrowed from other parts of the world.
Q4: 最新作のタイトル “Immigrance” はそういったオーディエンスの状況が示すように、バンドの多様性や流動性の象徴にも思えます。
【MICHAEL】: そうだね。世界中で僕たちのオーディエンスの中に多様性を見つけることは実に美しいね。こうやって僕らのように旅を重ねていると、自分たち全員がある種の “移民” であることを思い起こすんだよ。
つまりね、歴史がどうであれ、祖先がどうであれ、習慣や文化がどうであれ、僕たちは世界の他の場所から何かしらを “借りて” 生きているんだからね。
Q5: At 19 members, from all over the United States, as well as Argentina, Canada and Japan, and instruments from even Egypt and Morocco. It’s kind of musical “Caravan”, and it also reminds me the word “Immigrance”. Man, actually Snarky Puppy use a lot of musicians and instruments. Of course, it’s kind of “Financial Suicide”, haha but what made you do so?
【MICHAEL】: I’ve always heard my own music in a big, multi-textured way. It’s difficult for me to write for small ensembles. When I formed Snarky Puppy, I wasn’t thinking about the future, finances, or logistics. I was only thinking about the sound in my head.
Q5: SNARKY PUPPY はアメリカ、カナダ、アルゼンチン、日本などから集まった19人のメンバーで構成されています。さながら音楽のキャラバンで、ここにも “Immigrance” を想起させる要素がありますね?
それにしても、これだけのメンバーを集めれば経済的には厳しくなると思うのですが?
【MICHAEL】: 僕はいつも自分の音楽を大きく、マルチなテクスチャーで眺めているんだ。逆に言えば、小さなアンサンブルのために楽曲を書くことは難しいんだよ。
SNARKY PUPPY を立ち上げた時、僕はバンドの未来、財政、経営戦略なんて考えていなかったんだ。ただ頭の中にあるサウンドのことしか考えていなかったんだよ。
Q6: I think most of Grammy winners become more commercial after the award. Because they gather attention from many more people. But listening to “Immigrance”, definitely you become more ambitious and experimental, right? What was your challenge in this new record?
【MICHAEL】: I feel that winning Grammy awards has done the opposite for us- it gives us the confidence to really experiment with new things. We have never chased success as a goal, only musical growth and evolution. Our challenge with Immigrance, and with every record, was to explore new possibilities in a way that feels genuine and confident.
Q6: グラミー受賞者が、注目を集めた受賞後によりコマーシャルな方向へ進むことは良くありますよね。
SNARKY PUPPY はそうしたアーティストとは異なり、実に野心的な “Immigrance” をリリースしました。
【MICHAEL】: グラミー賞は確かに僕たちにとってそうしたアーティストとは逆の効果を生んだよね。つまり、受賞することで新しい真の実験へと踏み出す自信を得たんだよ。
僕たちが成功をゴールとしたことは一度もないんだ。音楽的な成長と進化こそが唯一のゴールなんだよ。”Immigrance” で挑戦したのは、他のレコードでもそうなんだけど、偽りなく自信に満ちた新たな可能性を探求することだったね。
Q7: In “Culcha Vulcha”, ethnic music and traditional world music was key of the record, I feel. It seems you mixed these aspects with jazz/fusion, funk sound more deeply in “Immigrance”, right? Are you interested in taking Japanese traditional music?
【MICHAEL】: As with all of our albums, we have a lot of influence from different musical traditions on Immigrance. I think that as time goes on, each record is showing this influence more. I spent quite a lot of time studying Turkish and Moroccan music before composing for this album, and I think that comes through in Bigly Strictness (at the end), Even Us, and Xavi. I’m definitely interested in learning more about Japanese folkloric music, which I hope I’ll have the time to study in the future.
Q7: 前作 “Culcha Vulcha” では一つエスニック/ワールドミュージックがキーワードだったように思います。
最新作では、そのキーワードとジャズ/フュージョン、そしてファンクとの配合がより深く根付いたように感じられました。
【MICHAEL】: 他の全てのアルバムにも言えるんだけど、確かに “Immigrance” ではいくつかの異なる伝統音楽から影響を受けているね。そうして時を経るごとに、その影響はレコード毎に大きくなっていっているよ。
このアルバムに取り掛かる前に、僕はトルコとモロッコの伝統音楽を学ぶために多くの時間を費やしたんだ。そしてその影響は “Bigly Strictness” のファイナルセクション、”Even Us”, “Xavi” に色濃く出ていると思うよ。
それに僕は間違いなく日本の伝統音楽をより深く学びたいと思っているんだ。将来的にそのための時間が取れたらいいね。
Q8: So, you’ve collaborated with lot’s of great artists like Jacob Collier, Lalah Hathaway. Also, I remember GroundUP music festival. So, who are you interested in approaching to make music with someday?
【MICHAEL】: There are loads of artists I’d love to work with, but the circumstances have to be right. There has to be a concept that makes sense, and we both have to benefit equally from the collaboration. That’s a big part of why we started the GroundUP Music Festival in Miami – to associate and create community with the artists we love without forcing musical scenarios upon them. We just get to hang out and listen to each other on the beach for three days.
Q8: Jacob Collier, Lalah Hathaway など、SNARKY PUPPY はコラボレートするアーティストの選択も抜群です。GroundUP Music Festival も立ち上げましたね?
【MICHAEL】: これからコラボレートしたいアーティストも本当に沢山いるんだよ。ただし全ての環境が整わないとね。意味を成すコンセプトがなければならないし、お互い平等に貢献出来るコラボレーションであるべきなんだよ。
そしてそれこそが、僕たちがマイアミで “GroundUP Music Festival” を立ち上げた理由でもあるんだ。賛同し合えるアーティストとコミュニティーを作るためにね。僕たちの愛するアーティストたちに音楽のシナリオを強制しないようなコミュニティーだよ。ただ3日間彼らとツルんで、ビーチでお互いの音楽を聴き合うのさ。
MICHAEL’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS
BILL LAURANCE “CABLES”
JUSTIN STANTON “SECRET PLACE”
CHRIS BULLOCK “BOOMTOWN”
BANDA MAGDA “TIGRE”
CHRIS POTTER “CIRCUITS”
MESSAGE FOR JAPAN
We’re so excited to play for our friends in the Tokyo area and also to play in Osaka for the very first time!
東京の友人たちのためにプレイ出来て興奮しているよ!それに大阪は初めてのショウなんだ!待ちきれないね!
MICHAEL LEAGUE
SNARKY PUPPY “World Tour 2019”
2019年4月11日(木) 梅田クラブクアトロ 開場:18:30 / 開演:19:30
2019年4月12日(金) 川崎・クラブチッタ 開場:18:30 / 開演:19:30
来日メンバー
マイケル・リーグ(ベース、キーボード)
ジャスティン・スタントン(トランペット、キーボード)
マイク “Maz” マーハー(トランペット、フリューゲルホーン)
クリス・ブロック(サックス)
ショーン・マーティン(キーボード)
ボビー・スパークス(キーボード、オルガン)
ボブ・ランゼッティ(ギター)
ジェイソン “JT” トーマス(ドラムス)
小川慶太(パーカッション)