EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!
“I Sincerely Think Philosophy Is a Very Important Tool For Having a Thoughtful Political Stance. People Have Such Strong Opinions That Have No Real Grounding, And I Think Even a Little Bit Of Critique Or Effort To Understand The Nature Of Reality And Of History Is Important In Deciding What It Would Mean For The World To Be a Better Place.”
DISC REVIEW “H.A.Q.Q.”
「”The Ark Work” は “欠陥のあるレコード” だったことに同意するよ。それが僕のフェイバリットレコードかもしれないとしてもね。まあ極端でラディカルなアルバムだったね。」
“定められた” 宗教的典礼、礼拝をバンド名に掲げる LITURGY は、皮肉にも自らが属するブラックメタル世界において完全なる異端です。
セオリーとフィロソフィーで超越するブラックメタルを解析したマニフェスト “Transcendental Black Metal” を聖書として創造した前作 “The Ark Work” は、その一線を越えた桁外れの実験性で賛否両論を一身に浴びた怪物でした。それを制約のない野心と褒め称える信者がいる一方で、アイデアの乱雑なコラージュと批判的な目を向けるリスナーも少なくないように思えます。
確かな事象は、哲音者 Hunter Hunt-Hendrix がバンドの、もしかするとブラックメタルそのもののアプローチまで一新してしまったことでしょう。
かつて、狂熱と数学の対比をノイズで装飾したブラックメタルを信条とした LITURGY の音楽は、”The Ark Work” (DECAYED SUN RECORDS の詳細な分析記事) で原理主義者には耐え難いオーケストラアレンジメントとトリップホップの “超越的”、もしくは “合成的” な無機質とも言えるブラックメタルの極北、インディーの彼方へと向かいました。
何しろ、人生を変えたアルバムに 2Pac や APHEX TWIN を挙げる鬼才。歪みを抑えラップに接近したボーカルサウンドもブラックメタルの “パブリックエネミー” と目されるに充分な理由だったはずです。
「”Haelegen” とは思索的な未来都市の名前であり、資本主義を超えたマルクスの新たな生産モードのアイデア、ニーチェのユーバーメンシュ (超人) のアイデア、そしてアブラハム系宗教が持つ天国の王国のビジョンの融合のようなものなんだ。」
音楽的にも哲学的にも自身から切り離すことは出来ないと語りながらも、どこか Hunter Hunt-Hendrix はブラックメタルを自らのイデアルを世界へ発信する乗り物として利用している節があります。
「LITURGY の言語に新たな何かを追加した訳では全くないんだけど、これまで作成した LITURGY サウンドの中でも最高かつ最もハイクオリティーのレンダリング、表現だとは思うんだ。ただ良い作品にしたかっただけなんだよ。優れた作曲、優れたパフォーマンス、優れたレコーディング、特に何か目新しいことを望まないでね。」
故に “The Ark Work” のオーケストラルでグリッチーな実験性を多少なり受け継ぎながら、”Aesthethica” のマスマティカルな複雑性、日本の雅楽まで取り入れる多様性、ハードコアの魂、メタルに回帰した熱情とアグレッション、その全てを抱きしめた壮大なマスターワーク “H.A.Q.Q.” についてもどこか飄々としてそう分析してくれました。
“目新しいことを望まない”。実際、ノイズの実験とポストブラックの鋭き対比を雅楽とオーケストラで包み込む “HAJJ”、KRALLICE の領域にも接近するメランコリックかつ重量感溢れるハープメタル “VIRGINITY”、何より Steve Reich のミニマルワールドさえイメージさせる8分のベヒーモス “GOD OF LOVE” を聴けば LITURGY がファンの元へと帰って来た事は明らかでしょう。
ただしそれは Hunter の戦略かもしれません。あまつさえ、 彼は LITURGY のアルバム以上に熱意をつぎ込み、これからリリースする自身のソロメタルオペラ作品 “Origin of the Alimonies” への単なる入り口として “H.A.Q.Q.” を考えているようにさえ思えます。
「哲学は思慮深い政治的スタンスを持つための非常に重要なツールだと、僕は心から思うんだ。だって今の世の中、特定の強い意見を持つ人にしたって、大抵そこに本当の根拠はないんだからね。」
もしかすると、Hunter Hunt-Hendrix の原動力は全てこの言葉に集約するのかもしれませんね。つまり彼は音楽、芸術、哲学の三原則を新たな三位一体とした、資本主義を超越する新世界の到来を啓蒙も厭わないほどに心から願っているのです。
「音楽コミュニティは一般的に反知的だから、アルバムの表紙に哲学システムを載せることで少なくともリスナーにそれを見てもらい、それが何を意味するのか気にして欲しかったんだ。」
世界を少しでもより良い場所へと導きたい。その想いは、アートワークのダイアグラムから始まり徹頭徹尾、”超越的な神” であり現実世界の活動原理である “H.A.Q.Q.” と、それを理想として生まれ来る未来都市 “Haelegen” の実現へと注がれています。
「ほとんどの人は、意志、想像力、理解の間に根本的な違いがあることには同意するけれど、誰もその理由を知らないんだ。実はこれら3つは音楽、芸術、哲学にそのままマッピングすることができて、この分野を発展させれば歴史的な運命の道筋を作ることが出来るんじゃないかな。」
“H.A.Q.Q.”、いや LITURGY でさえ、Hunter Hunt-Hendrix が標榜するより良い世界 “Haelegen” への道筋でしかありません。今回弊誌では、メタル世界随一の哲学者にインタビューを行うことが出来ました。
「僕は Twitter や YouTube を介して人々との繋がりをますます楽しんでいて、影響力の低下している大手メディアにサービスを提供しようとするのではなく、直接関与してくれる人々や関心を持っているメデイアのために、自主的に音楽を製作することにこそ完全に満足しているよ。」長年バンドを支えたモンスタードラマー Greg Fox の不在を差し引いても圧倒的なアルバムだと感じます。どうぞ!!
LITURGY “H.A.Q.Q.” : 10/10
INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX
Q1: First of all, “H.A.Q.Q.” is really surprising release! And what a incredible record! You know, Liturgy is always a surprised band, but what made you release it all at once?
【HUNTER】: There were a few reasons. I really wanted to get it out quickly, because we were so happy with it, and I also wanted to have it in the air during the live-action debut of my opera Origin of the Alimonies, which took place this month. I think it’s kind of interesting to produce content for very different types of cultural platforms simultaneously, which has a way of forcing different audiences to encounter one another, if that makes sense. The only reason it was a ‘surprise’ was that my manager was fighting really hard against us releasing it this year, and had momentarily convinced me not to, but then I kind of freaked out and fired him and did it anyway – if we’d stuck with the original plan we would have released Pasaqalia as a second single and announced it a few weeks in advance. We released it without a label or any real support from traditional music media, which was perhaps unwise, but I think the world is really changing and it’s not clear that like giving The Wire three months to schedule an article or whatever moves the needle very much. I’m more and more enjoying connecting with people via twitter and youtube, and am perfectly happy to make music autonomously for people who are engaged directly and any press that takes interest, rather than trying to serve a media machine that’s kind of declining anyway.
Q1: “H.A.Q.Q.” はサプライズリリースとなりましたね?
【HUNTER】: それにはいくつか理由がある。まずアルバムに満足していたから早くリリースしたかったというのがあるね。それに今月行われた僕のオペラ “Origin of the Alimonies” ライブデビューの際に、流したかったというのもあるんだ。
非常に異なるタイプの文化的プラットフォームコンテンツを同時に制作することは、興味深いことだと思うんだ。異なるオーディエンスに交流を生むことが出来るからね。
ただ、”サプライズ” となった唯一の理由は、僕のマネージャーが今年 “H.A.Q.Q” をリリースすることに強く反対し、そうしないよう僕を説得していたからなんだ。それで僕もイライラして彼を解雇し、とにかくリリースに漕ぎつけたのさ。当初の計画では、”Pasaqalia” をセカンドシングルとしてリリースし、数週間前にアルバム発売を発表するはずだったんだけど。
結果としてレーベルや権威ある音楽メディアからのサポートなしでリリースすることとなった。それはおそらく賢明ではなかったけど、世界は本当に変化しているから、”The Wire” に3か月を与えて記事を書いてもらわなければ大きな変化を起こせないとも思わないんだ。
僕は Twitter や YouTube を介して人々との繋がりをますます楽しんでいて、影響力の低下している大手メディアにサービスを提供しようとするのではなく、直接関与してくれる人々や関心を持っているメディアのために、自主的に音楽を製作することにこそ完全に満足しているよ。
Q2: Regarding surprise, it seems Hunter-Hunt Hendrix will release the soundtrack to Hunter’s Origin of the Alimonies metal opera soon, right? What kind of record will it be?
【HUNTER】: The compositional style is close to Liturgy, its full of the burst beat and general tremolo and so on, but the overall shape of it is a lot closer to classical music. Lots of silence, rarely a steady meter, huge crescendos that are synced to speech patterns, microtonal improvisation and so on. I worked way, way, harder composing the music to Origin than the music for H.A.Q.Q., and I’m sure the audience will be much, much smaller, because it is a lot less accessible. A big portion of it is an arrangement and interpretation of an organ piece by Olivier Messiaen. I’m not sure if we’ll actually release the music as soon as we said we would, because there’s a film that goes with it and I”m not sure the film is quite ready. The opera tells the story of why the world was born, and its story is meant to be the aesthetic core to the philosophical system that I’ve been developing along with Liturgy. I’ve always wanted this project to have the character of total art, and this year we’re finally starting to deliver on that a little more concretely. Totally happy for anyone to just want to listen to the Liturgy album and enjoy it for the music, but I also want it to potentially be a window into this larger world.
Q2: サプライズと言えば、あなたのメタルオペラ作品 “Origin of the Alimonies” も近々リリースされるそうですね?どういった作品になりそうですか?
【HUNTER】: 作曲スタイルは LITURGY に近いね。”Burst beat” (彼らはブラストビートをより重量感を湛えたバーストビートと表現する) や典型的なトレモロがいっぱいだけど、ただ全体的な形はクラシック音楽にずっと近いんだ。多くの静寂、緩急の妙、セリフのパターンに同期する巨大なクレッシェンド、マイクロトーナルの即興演奏といった部分でね。
僕は “H.A.Q.Q” の音楽よりも、”Origin of the Alimonies” の作曲にとても、とてもハードに取り組んだんだ。その大部分は、オリヴィエ・メシアン (フランスの現代音楽作曲家、オルガニスト) によるオルガン作品のアレンジと解釈だったね。
とは言え僕たちが宣言したように、実際すぐにこのアルバムをリリースするかどうかは分からないんだ。この作品は映画のサウンドトラックで、その映画の準備が完璧に出来ているか分からないからね。
このオペラは世界がなぜ生まれたかを伝え、そのストーリーは僕が LITURGY と共に創造してきた哲学的システムの審美的コアとなることを意図しているんだ。つまり、ただ LITURGY のアルバムを聴いて音楽を楽しんでくれるのもとても嬉しいんだけど、同時に LITURGY のアルバムがこの “Origin of the Alimonies” という大きな世界への窓になってくれれば良いね。
Q3: “H.A.Q.Q.” stand for “Haelegen above Quality and Quantity”, right? You posted “Humanity is just the mask that Haelegen is currently wearing” on twitter before and of course, there was a song “Haelegen” in “The Ark Work”. So, it seems “Haelegen” is one of the big theme of Liturgy. Do you agree that?
【HUNTER】: Yeah I also have a Discord server called Haelegen now. It’s the name of a speculative future city, sort of a fusion Marx’s idea of a new mode of production beyond capitalism, Nietzsche’s idea of the Ubermensch, and the Abrahamic vision of the kingdom of heaven. If the opera Origin of the Alimonies is about the beginning of the world, Haelegen is the end of the world, basically. H.A.Q.Q. isn’t quite the same has Haelegen the city; the latter is an ideal that is modeled on the former, which is basically a transcendent God, an active principle that is generating the world we know and experience. There’s a system of archetypal characters and a theory of history embedded in the opera and in Liturgy albums. Basically the story of the opera is about two divine principles OIOION and SHEYMN that are torn apart by their own traumatizing love for one another, so form and matter appear as barriers to protect them from each other while also providing limited access, more and more over time as the divine principles are more able to handle one another. Haelegen is the moment when, at the end of world, history, OIOION and SHEYMN are able to be united while still differentiated from one another.
Q3: “H.A.Q.Q.” とは “Haelegen above Quality and Quantity” を意味するそうですね?
“The Ark Work” には “Haelegen” という楽曲が収録されていましたし、あなたの Twitter アカウントでもこの言葉はしばしば見かけます。
【HUNTER】: そうだね、僕は今 “Haelegen” って Discord サーバーを持っているんだ。それは思索的な未来都市の名前であり、資本主義を超えたマルクスの新たな生産モードのアイデア、ニーチェのユーバーメンシュ (超人) のアイデア、そしてアブラハム系宗教が持つ天国の王国のビジョンの融合のようなものなんだ。
オペラ “Origin of the Alimonies” が世界の始まりについてならば、基本的には、”Haelegen” は世界の終わりについてだよ。”H.A.Q.Q.” は 都市 “Haelegen” とまったく同じではないんだ。後者は前者をモデルにした理想。つまり “H.A.Q.Q.” とは基本的には超越的な神であり、僕たちが知り経験しているこの世界を生み出している活動的原理と言えるだろう。
オペラや LITURGY のアルバムには、典型的なキャラクターのシステムと歴史理論が組み込まれているんだ。基本的にオペラの物語は 、トラウマティックな愛によって引き裂かれた2つの神の原理 OIOION と SHEYMN について。そして “Haelegen” は世界の終わりに、OIOION と SHEYMN が互いに異なりながらも一つになる瞬間なんだ。
Q4: Also, the artwork of “H.A.Q.Q.” is also really unique. It looks like kind of an academic book, haha. It seems the artwork relate to your manifest “Transcendental Black Metal” . What does the artwork express?
【HUNTER】: The art is a diagram of my System of Transcendental Qabala, sort of a basic summary. It’s meant to be a philosophical system that has the scope and range of those of Hegel or Deleuze. Obviously I don’t claim to be a great thinker to the degree either of them are, but I am covering all the same topics as any original philosopher, and have a considered opinion on most of them at this point, as well as a way of tying them together. I’ve been developing the system on my arkwork.org website for a few years now. It traces a path of liberation from the consideration of the problem of good and evil (axiology) through a philosophical consideration of the nature of being and time, to a rational vision of the kingdom of heaven (eschatology). I sincerely think philosophy is a very important tool for having a thoughtful political stance. People have such strong opinions that have no real grounding, and I think even a little bit of critique or effort to understand the nature of reality and of history is important in deciding what it would mean for the world to be a better place. Music communities are typically so anti-intellectual, so I wanted to put the philosophy system on the cover of the album to really force people to at least see it and wonder what it is.
Q4: “H.A.Q.Q” のアートワークはまるで学術書のようで実にユニークです。あなたがかつて発表した “Transcendental Black Metal” と関連がありそうですが?
【HUNTER】: このアートは僕の超越的カバラ (ユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想) のシステムのベーシックな部分を、要約してダイアグラムにしたものなんだ。それはヘーゲルやドゥルーズの視点とレンジを備えた哲学的システムとなるよう意図されているよ。
明らかに僕は彼らほど偉大な思想家ではないけれど、オリジナルな哲学者2人と同じトピック全てを扱っていて、2人を結ぶ考え抜かれた意見と方法論を持っているよ。僕は数年前から、arkwork.org のWebサイトでそのシステムを進化させて来たんだ。そのシステムは、善と悪の問題の考察(axiology)から存在と時間の性質の哲学的考察を通して、天国の合理的なビジョン(eschatology)までの解放の道を辿るものなんだよ。
哲学は思慮深い政治的スタンスを持つための非常に重要なツールだと、僕は心から思うんだ。だって今の世の中、特定の強い意見を持つ人にしたって、大抵そこに本当の根拠はないんだからね。現実と歴史の性質を理解するための少しの批判や努力も、それが世界がより良い場所になることを意味するかどうかを決めるのに重要だと思う。
音楽コミュニティは一般的に反知的だから、アルバムの表紙に哲学システムを載せることで、少なくともリスナーにそれを見てもらい、それが何を意味するのか気にして欲しかったんだ。
Q5: Perhaps, “The Ark Work” received pros and cons, mixed reviews. After that record, I feel “H.A.Q.Q” comes to have both mathematical complexity of “Aesthethica” and experimental spirit of “The Ark Work”. What’s your perspective about the musical direction of “H.A.Q.Q.”?
【HUNTER】: I agree that The Ark Work was a flawed record, even though it’s possibly my favorite, since it’s also so radical, and it was the one we worked the hardest on by far. I was also learning and developing brand new tools for composition as we were going, like I barely knew how to do digital production really. H.A.Q.Q. in my view doesn’t really add anything new to the Liturgy language, but it’s the best and most high-quality rendering of the Liturgy sound that we’ve produced. I just wanted to make it good. Good compositions, good performances, good recording, without being desperate to do something particularly new. It feels great to have built up this set of tools and skills and to just use them and enjoy that. The musicians playing on this record are so talented and skilled and such a joy to work with, the whole process has had this spirit of joy and fun that has honestly been lacking for every other Liturgy release.
Q5: 前作 “The Ark Work” は賛否両論が存在したレコードだったと思います。
そういった作品の次に位置する “H.A.Q.Q.” は、音楽的には、”The Ark Work” のグリッチーな実験性を多少なり受け継ぎながら、”Aesthethica” のマスマティカルな複雑性、メタルらしさも抱きしめた傑作に仕上がったと感じました。
【HUNTER】: “The Ark Work” は “欠陥のあるレコード” だったことに同意するよ。それが僕のフェイバリットレコードかもしれないとしてもね。まあ極端でラジカルなアルバムだったね。それに、デジタル制作を実際に行う方法をほとんど知らなかったから、そのために全く新しいツールを学び、開発していたこともあったしね。
“H.A.Q.Q.” は、僕の考えでは、LITURGY の言語に新たな何かを追加した訳では全くないんだけど、これまで作成した LITURGY サウンドの中でも最高かつ最もハイクオリティーのレンダリング、表現だとは思うんだ。ただ良い作品にしたかっただけなんだよ。優れた作曲、優れたパフォーマンス、優れたレコーディング、特に何か目新しいことを望まないでね。
そういった LITURGY のツールとスキルを構築し、それを使用してただ楽しめるのは素晴らしいことだよ。このレコードでプレイしたミュージシャンは非常に才能があり、熟練していて、共に働ける喜びもありしね。
逆に言えばこのレコードの全てのプロセスには、他の LITURGY のレコードには正直に欠けていたこの喜びと楽しみの精神がある訳さ。
Q6: As a Japanese, it was really surprised and pleased you mixed “Gagaku” elements in your music. How did you find Japanese “Gagaku” and take hichiriki & ryuteki in your music?
【HUNTER】: Yeah, I love gagaku. Not an expert at all, but a few years back I was introduced to the style and have listened to lots of recordings and performances. Its whole musical logic is so different from most of my influences in metal and classical, but it feels really resonant too because it touches on infinity and eternity in this way that is so emotional and yet so formal, so jarring and yet so calm, which is how people describe Liturgy too, though the materials are totally opposed. I though it would be interesting to try to combine the two, and it was quite difficult. We almost removed the gagaku production from HAJJ because it sounded so strange, but chose to just go with it.
Q6: 日本人として嬉しくもあり、驚きでもあったのが雅楽の導入です。
【HUNTER】: うん、雅楽は大好きだよ。エキスパートって訳では全くないんだけど、何年が前に紹介されて、それから沢山のレコードやパフォーマンスを堪能して来たんだ。
雅楽の音楽的なロジック全体は、これまで僕の影響の大半であるメタルやクラッシックとは非常に異なるんだけど、無限に永遠に感動を誘うという意味では、非常に共鳴しているように感じるね。
雅楽はとても感情的でありながらとてもフォーマルで、とても煩くありながらとても穏やかなんだ。 そういった完全に相対する要素の導入は LITURGY の真骨頂でもあるからね。
雅楽とメタルを組み合わせるのはとても面白いと思うけど、非常に難しくもあるね。実際、僕たちは”HAJJ” から雅楽の要素ををほとんど削除するところだったんだ。とても奇妙に聞こえたからね。だけど結局そのまま使用することにしたよ。
Q7: Musical diversity is of course, also, Liturgy mixes piano, harp, strings, percussion which exists normally outside metal realm. And for me, that’s really “Transcendental Black Metal”. But black metal is still center of your music even now, right? What’s the reason of that?
【HUNTER】: It would probably be a wiser branding choice to get rid of the black metal label, but I find it hard to. Partly it’s because the basic form almost always has the characteristic tremolo guitars, blast beats and high pitched screams as the end of the day. Another is that I find the place of black metal in the history of music to be really interesting and important, because it’s so contradictory – so connected to metal, punk, classical music, liturgical music, violence, spirituality, anti-modernism, philosophy. I feel like black metal has always been asking a question that still has not been answered.
Q7: 雅楽はもちろんですが、ピアノ、ハープ、ストリングス、パーカッションといった “アウトサイド・メタル” な楽器のシームレスな導入も、あなたが提唱するトランセンデンタルブラックメタルを象徴すると感じます。
とはいえ、それでもブラックメタルは LITURGY のコアとしてあり続けていますね?
【HUNTER】: うん、おそらくブラックメタルのラベルを取り除くのは賢明なブランディング戦略だろうけど、僕には難しいね。
その理由の1つは、ほとんどの場合、特徴的なトレモロギター、ブラストビート、高音のスクリームが結局は僕たちの音楽に含まれているから。
もう1つは、音楽の歴史におけるブラックメタルの場所は本当に面白くて重要だと思うからなんだ。なぜならブラックメタルは、メタル、パンク、クラシック、典礼音楽、暴力、スピリチュアリティ、アンチモダニズム、哲学なんかが非常に矛盾しながら繋がっているからなんだよ。
ブラックメタルは常に答えの出ない質問をし続けているように感じるね。
Q8: Art, music, thought. Could you tell us about the relationship between these three?
【HUNTER】: My theory is that music, drama and philosophy are elemental features of reality; they’re more real than the physical universe even, and we don’t yet know what either of them really is. I’m interested in the idea that they can and should be put into a productive relationship, or that doing this could be the generative principle of a new era for civilization. Specifically the idea is that as civilization’s productive force has expanded over the course of history, there have been three ternaries that have successively governed its superstructure, each more abstract than the last. The first was the Great Triad of nature mysticism which is described well by Rene Guenon. The second was the holy trinity of Abrahamic faiths, which began to tear civilization away from nature, pointing towards the scientific revolution. The currently reigning one is the capitalist trinity of industry, science and culture, which is liquidating culture and nature both. We can imagine a future trinity that would solve the problems capital is creating which taking advantage of the forces it is liberating, and this would have as its members music, drama and philosophy, liberated from the aesthetic sphere so as to become organizing principles of society itself. This would be the city Haelegen. All wildly speculative of course, but I think these things are worth thinking about. It’s also worth remembering that no one has a proven theory of history, no one knows why the arts exist. Most people agree there is a primal distinction between will, imagination and understanding, but no one knows why. I think these three can be mapped onto music, art and philosophy, and that the development of these disciplines can be made to trace an historical destiny.
Q8: 最後に、芸術、音楽、哲学のトライアングルについてお話ししていただけますか?
【HUNTER】: 僕の理論では、音楽、ドラマ、哲学は現実的な要素、特徴なんだ。それらは物理的な宇宙でさえよりも現実的であり、実際に何であるかはまだ分かっていないんだよ。
僕は、その3つが生産的な関係を築くこと、またそうすべきであるという考えが文明の新時代の生成原理になり得るという考えに興味があるね。具体的には、文明の生産力が歴史の中で拡大するにつれて、その上部構造を次々と支配する3つの三原則が登場するんだけど、それぞれが前のものよりも抽象的であるという考え方なんだけどね。
最初は、自然神秘主義の偉大なトライアドで、ルネ・ゲノンによってよく説明されているね。 2番目はアブラハム信仰の聖三位一体で、それは文明を自然から引き離し始め、科学革命を指し示したんだ。現在支配しているのは、産業、科学、文化の資本主義三位一体であり、文化と自然の両方を清算しているね。
僕たちは、資本主義が生み出している問題を解決する未来の三位一体を想像することが出来るはずだよ。資本主義が解放する力を利用し、そのメンバーとして音楽、ドラマ、哲学を戴き、社会の組織化の原則となるように美的領域からの解放を目指す。これが都市 “Haelegen” だよ。
もちろん乱暴で推論でしかないけど、考慮する価値はあると思うよ。それに、誰も歴史の実証を成し遂げていないこと、誰も芸術が存在する理由を知らないことも覚えておく価値があるだろうな。
ほとんどの人は、意志、想像力、理解の間に根本的な違いがあることには同意するけれど、誰もその理由を知らないんだ。実はこれら3つは音楽、芸術、哲学にそのままマッピングすることができて、この分野を発展させれば歴史的な運命の道筋を作ることが出来るんじゃないかな。