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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAUGHTERS : YOU WON’T GET WHAT YOU WANT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEXIS MARSHALL OF DAUGHTERS !!

“The Title Definitely Serves As a Disclaimer. A Reminder To Everyone, Ourselves Included, Expectations Tend To Be More Of a Hindrance Than Aide. “

DISC REVIEW “YOU WON’T GET WHAT YOU WANT”

“欲しいものは手に入らないよ”。音楽に限って言えば “叶わぬ望み”、それは決して悲観すべき状況とのみは言い切れないのかも知れませんね。
ロードアイランドの州都プロビデンスで、最も不遜にして刺激的な音圧を刻み続ける実験のエクストリームアクト DAUGHTERS は、リスナーの期待に易々と添うことを良しとせず、臆す事なくジャンルの壁を粉砕し、サディスティックにそのクリエイティブなビジョンと牙を研ぎ澄ましています。
実際、8年振りのご褒美 “You Won’t Get What You Want” のタイトルは、かつての姿を望む全てのファンに向けた警告であり、放棄の証とも言えるのです。「このタイトルはディスクレーマーさ。期待は時に助けよりも妨げになるという事実を、みんなに思い起こしてもらうためのね。僕たち自身も含めてね。」 Alexis Marshall がそう語る通り、バンドは常に変化の中から内なるモンスターを覚醒させていくのです。
事実、躁の一極へと振り切った初期のマスコアイズム、グラインドコアのアドベンチャーは、時と共に成熟を遂げバンドのアグレッションをより狂気の方角へと導いていきました。
そうして、2010年にリリースされた前作 “Daughters” は培ったノイズロックの息吹を全面に開花させ、アンチメロディーからアクセシブルの地平へと舵を切ったマイルストーンへと仕上がったのです。
しかし、高まる人気、注目の一方でバンドは疲弊していました。「多くのことが一度に起こりすぎて、充分に内省、考慮することが出来なかったんだろうな。何年もずっとツアーを続け、些細なことでも深刻な問題となってしまったね。だから時間を置いて離れる必要があったのさ。」 と語るようにバンドは活動の休止を余儀なくされます。中でもバンドの要であるボーカル Alexis とギタリスト Nicholas Sadler の対立は深刻で、傑作リリースの裏舞台では Alexis、そしてベーシスト Samuel Walker までもが一時バンドを離れる事態にまで発展していたのです。
2013年、故郷のローズアイランドで再集結を果たした DAUGHTERS。プロビデンスの黒ダイヤをこのまま眠らせて置く訳にはいかないと、Robotic Empire レーベルの Andy Low が一肌脱ぎ実現したシークレットライブで、バンドは初めてサードアルバム “Daughters” の楽曲をオーディエンスに向けてプレイすることとなりました。そこでファンの変わらぬ熱狂を浴びた2人にとって、過去のいざこざはもはや取るに足らない小事となっていたのです。
Hydra Head から Ipecac への移籍、産みの苦しみを経て、”You Won’t Get What You Want” は遂に陽の目を見ることとなりました。リスナーが手に入れたのはもちろん、初期の凶暴な源衝動でもなければ前作の受け入れ易い躍動するアグレッションでもありません。
ロウテンポからミッドテンポの真中を蠢くノイズの海に、グラインドとミニマル成分を注入したムーディーな戦慄。この切迫した焦燥感、アトモスフィアはさながら Stephen King の映画のように、リスナーの神経をジリジリと蝕んでいきます。
ミニマルに、ノイジーに、スラッジーにインテンスを導く “City Song” で予兆を与えた後、”Long Road, No Turns”, “Satan in the Wait” の流れはバンドの禍々しきメタモルフォーゼを完膚なきまでに具現化します。
オリエンタルに、トライバルに、ゴシカルに、耳を惹くフックを盛り込みながら、不協和音のエッジ、無慈悲なマスビート、ハーモニーの崩壊を究極まで突き詰め全てを漆黒に塗り潰すバンドの方法論、アートロックのセレモニーはあまりに異形。
もちろん、同郷の THE BODY は比較対象の一つでしょう。しかし、Nick Cave のダークアメリカーナや Trent Reznor の内省的な実験を想起させる “Less Sex”、シンセとエフェクト、そしてファナティックなビートによってホラー映画の悪夢が再現される “The Flammable Man”、コンテンポラリーなパンクロックにも思える “The Reason They Hate Me” など作品に育まれた多様なコントラストとダイナミズムはやはり唯一無二。そしてその潮流は、きっと此の地日本の ENDON や、Sargent House のロースターとも密に繋がって行くはずです。
全てを聴き終えた後、とめどない疲労感と共に、まるで何かの呪詛をかけられたかのようにも感じる実に強烈なレコード。今回弊誌では Alexis Marshall にインタビューを行うことが出来ました。「ただ言えるのは、僕が従来の、慣習的なメロディーには興味がないってこと。僕たちはただ自分たちにとって良いと思えるサウンドにフォーカスしているだけなんだ。」 どうぞ!!

DAUGHTERS “YOU WON’T GET WHAT YOU WANT” : 10/10

INTERVIEW WITH ALEXIS MARSHALL

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ALEXIS】: I’m Alexis, we are Daughters. Providence based noises, post-everything band of degenerates. I grew up with various musical influences in my life. My brother exposed me to NYHC and thrash bands, while my father was a big fan of people like Arlo Guthrie, country singers like Hank Snow, Waylon Jennings and the like. My mother wasn’t much for music, but she was Cure fan and I got into them at a young age. A bit of everything.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話いただけますか?

【ALEXIS】: 僕は Alexis。DAUGHTERS だよ。US、プロビデンスを拠点とするノイズ、そしてポストエブリシングが退廃したバンドとでも言おうかな。
僕は人生において様々な音楽的影響を受けて来たね。兄は NYHC やスラッシュメタルに触れさせてくれたし、一方で父は Arlo Guthrie やカントリーシンガーの Hank Snow、Waylon Jennings といった人たちの大ファンだったんだ。
母は特に音楽ファンという訳ではなかったけど、CURE が好きだったね。だから幼い頃は僕も彼らにハマっていたよ。そういった影響が少しづつ全て投影されているよ。

Q2: Eight years have passed since you had released “Daughters”. When you released that album, it seems you were almost breaking-up, right?

【ALEXIS】: We were in a state of flux; maybe too much coming and going and not enough reflecting. All the years and tours and little things became too heavy and we needed time away.

Q2: 前作 “Daughters” をリリースしてから8年という長い時間が経ちました。
作品は素晴らしかったものの、当時バンドの状態は決して良いとは言えませんでしたよね?

【ALEXIS】: 当時僕たちは変動の状態にあったと言えるね。おそらく、多くのことが一度に起こりすぎて、充分に内省、考慮することが出来なかったんだろうな。
何年もずっとツアーを続け、些細なことでも深刻な問題となってしまったね。だから時間を置いて離れる必要があったのさ。

Q3: On September, 2013 Daughters reformed for one show in Rhode Island. That was the first step for your reunion. But what made you get together again at that time?

【ALEXIS】: Our friend Andy Low orchestrated that. He spoke with Nick and I separated and set up a dinner between the two of us. It was slick move on Andy’s part. It paid off. Nick and I fell right back into Daughters talk.

Q3: 2013年の9月に、ローズアイランドで行ったライブは、DAUGHTERS のリユニオンに向けた最初の一歩となりました。あの時、再び集まることとなったきっかけを教えて下さい。

【ALEXIS】: 僕たちの友人、Andy Low が会合をセッティングしてくれたんだ。彼は Nick と僕と別々に話して、僕たち2人のディナーを実現してくれたのさ。
Andy の巧妙で賢いやり方が功を奏したね。彼は報われたよ。だって Nick も僕も、再び DAUGHTERS の話をすることが正しいと感じられたんだからね。

Q4: It seems you started making new record in 2014. But “You Won’t Get What You Want” is released after almost five years, Also, you transferred from Hydra Head to Ipecac in this interval. What was the reason of that?

【ALEXIS】: We had been demoing songs for quite a while, but we didn’t get serious about it until a couple years ago. I’d say we spent 18 months really working openly on YWGWYW and talking seriously about a full length. Hydra Head stopped being an active label several years ago. We knew HH wasn’t going to be an option. Our relationship with Ipecac started when we had Dalek with on a few dates in ‘17. We were informed by Will of Dalek that Patton was asking about us, what we were like, how touring with us was going, and it all grew from there.

Q4: 2014年にはレコーディングに入ったと思われましたが、実際に最新作 “You Won’t Get What You Want” がリリースされたのはそれからほぼ5年の後でした。
同時に、レーベルも Hydra Head から Ipecac に移行しています。

【ALEXIS】: 僕たちはかなり長い間、楽曲のデモを制作していたんだよ。だけど、2年くらい前までその成果に真剣になることが出来なかったんだ。
ただ、確かに言えるのは、それから18ヶ月の間、僕たちは本当にオープンにこの “You Won’t Get What You Want” に取り組んだし、新たなフルアルバムについて真摯に話をして来たんだよ。Hydra Head は何年か前にレーベルとしての活動を止めてしまったね。だから彼らと契約することは選択肢になかったね。
Ipecac との関係は、2017年に数回、実験的なヒップホップグループ DALEK と共演したことから始まったんだ。DALEK の Will が、(Ipecac の) Mike Patton が僕たちについて彼に色々聞いていると伝えてくれたんだよ。僕たちが好きなものや、僕たちとのツアーはどうかとかね。そうやって全ては今の良い関係へと繋がっていったのさ。

Q5: OK, let’s talk about “You Won’t Get What You Want”. Low-tempo, minimalistic and moody, I think new Daughters is not the same as the old Daughters. I mean, I feel this title is for fans who wants old Daughters, haha. Anyway, what’s the meaning or message behind the title, and lyrical themes?

【ALEXIS】: The title definitely serves as a disclaimer. A reminder to everyone, ourselves included, expectations tend to be more of a hindrance than aide. I don’t have any obvious or overarching themes happening lyrical. There are some commonalities in the content, but I wasn’t tell a grand story by any stretch.

Q5: ではその最新作 “You Won’t Get What You Want” について話しましょう。
ローテンポでミニマルかつムーディー。過去の DAUGHTERS とは一線を画す作品ですね。つまり、”欲しいものは手に入らない” というタイトルはファンに投げかけた言葉にも思えますね。(笑)

【ALEXIS】: このタイトルは間違いなく、ディスクレーマー、免責事項の役割を負っているよ。期待は時に助けよりも妨げになるという事実を、みんなに思い起こしてもらうためのね。僕たち自身も含めてね。
歌詞に関しては、特に明確な、重要なテーマを持っている訳じゃないんだ。確かに内容にはいくつかの共通点があるんだけど、それを拡げて大きなテーマとして語ることはしなかったんだ。

Q6: You are often described as grindcore, noise rock and even mathcore. But your new record is more rich, cinematic and atmospheric. I mean this is the most diverse album in your works. Do you agree that?

【ALEXIS】: Yeah, I’d have to agree with that.

Q6: グラインドコア、ノイズ、さらにはマスコアにも例えられる DAUGHTERS の音楽ですが、最新作ではそこにシネマティック、アトモスフェリックな要素が加味されたようにも思えます。バンド史上最も多様な作品と言えそうですね?

【ALEXIS】: そうだね。その批評には同意しなくてはならないだろうね。

Q7: Also, it seems you continued to change your sound from the beginning. Definitely, in your self titled album, you moved from anti-melody to more accessible one. In the fierce, dark, heavy sound, what’s melody to you?

【ALEXIS】: I don’t know. I don’t care about conventional melody. We are focused on what sounds good to us, what keeps us interested and passionate about this pursuit. A focus on structure is binding; we’ve no use for that.

Q7: 変化を続けるバンドですが、前作 “Daughters” ではアンチメロディー的な姿勢から、よりアクセシブルなメロディーを取り入れたように感じます。
獰猛でダークな DAUGHTERS のサウンドにおいて、メロディーとはどの様な役割を負っていますか?

【ALEXIS】: わからないよ。ただ言えるのは、僕が従来の、慣習的なメロディーには興味がないってこと。僕たちはただ自分たちにとって良いと思えるサウンドにフォーカスしているだけなんだ。
そうすることで、僕たちは音楽に興味を持ち続け、情熱を持って追求することが出来るんだからね。まあとにかく、ストラクチャーにあまり固執しすぎることは、縛られることにも繋がるんだ。僕たちはそういったやり方はしないんだよ。

Q8: SNS, Internet, streaming service have changed music industry. Among them, especially, Rock, guitar music is on the decline. Do you think that is a defined fate? What’s your perspective about that?

【ALEXIS】: It’s all in cycles. We just wrote a guitar heavy record, so I like to think it’s not going anywhere.

Q8: インターネット、SNS、ストリーミングサービス は音楽産業を劇的に変化させました。
中でも特に、ロック、ギターミュージックの減退は特筆すべきでしょう。この状況は、定められた運命だったのでしょうか?

【ALEXIS】: 全てはサイクルの中にあって繰り返すんだよ。僕たちはただギターがヘヴィーなレコードを書くだけさ。だからギターミュージックはどこにも行かないさ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ALEXIS’S LIFE

AGNOSTIC FRONT “LIBERTY AND JUSTICE FOR…”

SCOTT WALKER “DRIFT”

LEONARD COHEN “SONGS FROM A ROOM”

PJ HARVEY “RID OF ME”

DEATH “LEPROSY”

MESSAGE FOR JAPAN

I want you, forever.

ALEXIS MARSHALL

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENDON : THROUGH THE MIRROR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA OF ENDON !!

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“Catastrophic Noise-metal” Outfit ENDON Has Largely Eluded The Attention Of The Broader Western Underground Music Scene With New Extreme Masterpiece “Through The Mirror” !!

DISC REVIEW “THROUGH THE MIRROR”

エクストリームミュージックの光彩にして特異点。東京から世界を見据えるノイズの狂信者 ENDON が、シーンに “救い” という名の不可逆性をもたらすマスターピース 『THROUGH THE MIRROR』をリリースしました!!
「ENDON はメタルという言葉でイメージする音楽の領域を拡大する役目の一端を担っていると思います。言い換えれば私にはメタルの延命措置に関わっているという認識があります。」 と語る彼らの欲望は、残酷なまでに率直です。
ボーカル、ギター、ドラム、そして2名のノイズマニュピレーターを擁する ENDON。ノイズをその多様なソングストラクチャーへ大胆不敵に織り込む彼らの方法論は、エクストリームミュージックの最先端にあると言えます。
罪深きノイズの濁流 CODE ORANGE, ハードコア/グラインドのハイブリッドエクストリーム FULL OF HELL、そして ENDON。奇しくも等しくその最新作を CONVERGE の巨匠 Kurt Ballou に委ね、ノイズというキーワードで繋がる三傑は、創造性という核心において他の追従を許してはいませんね。
中でも ENDON が特異点であるべきは、インタビューにもあるように、彼らがノイズを “主人公” として扱っている部分だと言えるでしょう。勿論、エクスペリメンタルな極北たるデビューフル 、ノイズを中心に据えた “母盤”『MAMA』はその具象にして直接的な証です。しかし、ノイズを楽器の一つとして扱い楽曲を “構築” することで、よりロック/メタルのフォーマットへと接近した “父盤” 『THROUGH THE MIRROR』においてもその信念は揺らぐことすらありませんでした。
ENDON にとってノイズとは “有機性” の象徴なのかも知れません。つまり、音符や調に囚われないノイズは自由な胎動、母性。逆に緻密な楽曲の構築、音楽的な束縛は父性。二性の融合によりフォーカスした『THROUGH THE MIRROR』は、ENDON という稀代のバンドが産み落とした寵児だと言えるのではないでしょうか。
こうした変化、父性の強調をセルアウトと断じることは無意味です。那倉氏が 「私は「悟り」という言葉もあまり好きではありません。私は「悟り」を「去勢」と言い換えます。」 と語ったように、バンドは “去勢” とは対極に位置するマスアピールを欲しているのですから。
アルバムオープナー、6分間のノイズの弾幕、ブラストの洪水、地獄の責め苦 “Nerve Rain” をある種の踏み絵としたレコードは、実際アグレッションとカオス、エモーションとキャッチーさが奇跡のバランスで均衡を保つインテンスの塊です。
“Your Ghost is Dead” “Born in Limbo” を聴けば今回、特に彼らの獰猛さの一端をブラックメタルやハードコアのテクスチャーが支えていることに気づくはずです。歌詞を持たないボーカリスト、那倉太一の阿鼻叫喚は言語をも凌駕し、ギターやリズムと対等にレイヤーされたノイズのグラデーションは有機的にその残虐性を高めていますね。
殊更、 起伏が増し、繊細なる “オアシス” が存在感を放つ終盤の24分間は圧巻です。”Perversion ‘Till Death” における全てを破壊するかの如き非業の質量、修羅なる重量感は、狂気の狭間に挿入される仄暗くも耽美なるクリーンギターを伴って、スラッジーというワードのみで形容するにはあまりに背徳的で異端な世界観を作り上げています。
プリミティブなパンクのエナジーで疾駆するタイトルトラック “Through the Mirror” がメジャーキーで解決した刹那、世界はその色を変えます。”Torch Your House” で開花するエセリアルなムード、ノイズの宇宙、多幸感とさえ表現可能なサウンドスケープは、ポストロックやポストパンクの美麗なるイメージ、アンビエンス、崇高さを伴って作品に稀有なるコントラストをもたらし物語を締め括るのです。
アルバムを通してギタープレイヤー、宮部氏のルーズでクールなブルーステイストが、作品に更なる彩り、魅力を加えていることも付け加えておきましょう。
今回弊誌では、那倉太一氏にインタビューを行うことが出来ました。8/23からは FULL OF HELL, THE BODY, FRIENDSHIP の日本ツアーが始まりますが、ENDON も8/27に出演が決定しています。インタビューで、「小説が歌詞を補完しているという関係ではありません。」 と明言していますが、太一氏の弟、悦生氏が全ての楽曲タイトルに対応する小説を著しています。実に興味深い内容なので併せてぜひ。どうぞ!!

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ENDON “THROUGH THE MIRROR” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FULL OF HELL : TRUMPETING ECSTASY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPENCER & DYLAN OF FULL OF HELL !!

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Maryland / Pennsylvania Quartet, Full OF Hell Has Just Released The Newest Album “Trumpeting Ecstasy”!! Diverse, But More Into Extreme Metal Realms!

DISC REVIEW “TRUMPETING ECSTASY”

メリーランド、ペンシルベニアのカルテット、破壊者 FULL OF HELL がフルアルバムとしては2013年の “Rudiments of Mutilation” 以来となる新作 “Trumpeting Ecstasy” をリリースしました!!日本が誇るノイズゴッド MERZBOW, アヴァンギャルドノイズデュオ THE BODY とのコラボレート、さらには NAILS, PSYWARFARE とのスプリットを血肉としてリリースした作品は、要となる自身のルーツを軸としつつ、同時にエクストリームミュージックの領域を一際押し広げる重要なレコードとなりました。
CODE ORANGE, 日本の ENDON と並んで FULL OF HELL はハードコアとノイズ要素を融合させるアプローチの先端に立つアーティスト。もはやハードコアの大家となった感のある CONVERGE の Kurt Ballou が斬新なその三者全ての新作を手がけることとなったのも偶然ではないでしょう。
実験的な作風にシフトするかとも思われた “Trumpeting Ecstasy” は、意外にもストレートな楽曲が軸となり押し寄せる暗く激しい11曲23分となりました。インタビューにもあるように、サウンド、リフワークなど、確かにバンドはよりメタルの領域に接近したようにも思えますし、楽曲が”密着”していると語るのも頷けます。
しかし、勿論彼らの野心が一所に留まるはずもなく、レコードは同時にパワーバイオレンス、ノイズ、スラッジ、インダストリアルといった多様なアイデアを見事に昇華しコンテンポラリーなブルータリティーを散りばめたハイブリッドなエクストリームミュージックとして仕上がったのです。
“木々も鳥たちも悲しみに満ちている。彼らは歌っているんじゃない。ただ悲鳴をあげているんだ。” ニュージャーマンシネマの巨匠 Werner Herzog の言葉で幕を開けるアルバムオープナー “Deluminate” は文字通り世界の悲惨さ、絶望感の象徴です。不協和音をスクラッチする悪夢のデスメタルライクなリフワークと、疾走する巧みで手数の多い狂気のドラミングは無慈悲にもリスナーに地獄絵図を投下して行きます。”人間は地球の顔に出来た膿だ” と喉が張り裂けるほどシャウトする Dylan の苦痛を伴う憤怒は即ちハードコアのリアルで、聴く者に畏敬の念さえ感じさせますね。
禍々しい何かを引き摺るようにスローダウンする、スラッジーな “Gnawed Flesh” はまさに FULL OF HELL の真骨頂。脱退したベーシスト Brandon Brown のデモニックなガテラルは、Dylan の鋭いスクリームと凶悪なインタープレイを繰り広げバンドの顔となっていましたが、新たに加わった Sam DiGristine もしっかりとその伝統を引き継ぎ、自身のハラワタに宿した魑魅魍魎を地の底でスラッジパートに全てぶつけています。
さらに “Crawling Back to God” には ex-ISIS の Aaron Turner が、”At the Cauldron’s Bottom” には CONVERGE の Nate Newton がそれぞれボーカルでゲスト参加し、様々な声を得た作品は実に多様な色を加えているのです。
GRIMES のレーベルに所属するカナダのアーティスト Nicole Dollanganger の声を得たタイトルトラック “Trumpeting Ecstasy” はバンドが経てきたコラボレートの旅が結実した成果だと言えるでしょう。THE BODY の Lee Buford が生み出すビートと Nicole の天上の歌声は、不穏なノイズを宿した惨忍なバンドの暴虐と溶け合うこともなく、奇妙な二分法のまま冷やかなまでに無機質に進行して行きます。
インタビューで Dylan は、”Trumpeting Ecstacy” というタイトルが「他人の不幸は蜜の味」といった意味を持つと語ってくれましたが、この純美と非業、”喜び”と”悲しみ”の奇妙な共存はそのまま彼の語る人間の心の最も醜く陰湿な場所を映し出しているように感じました。
今回弊誌では、フロントマン Dylan とギタリスト Spencer にインタビューを行うことが出来ました!8月には THE BODY, FRIENDSHIP と回る日本ツアーも決定しています。どうぞ!!

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FULL OF HELL “TRUMPETING ECSTASY” : 9.8/10

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