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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENDON : THROUGH THE MIRROR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA OF ENDON !!

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“Catastrophic Noise-metal” Outfit ENDON Has Largely Eluded The Attention Of The Broader Western Underground Music Scene With New Extreme Masterpiece “Through The Mirror” !!

DISC REVIEW “THROUGH THE MIRROR”

エクストリームミュージックの光彩にして特異点。東京から世界を見据えるノイズの狂信者 ENDON が、シーンに “救い” という名の不可逆性をもたらすマスターピース 『THROUGH THE MIRROR』をリリースしました!!
「ENDON はメタルという言葉でイメージする音楽の領域を拡大する役目の一端を担っていると思います。言い換えれば私にはメタルの延命措置に関わっているという認識があります。」 と語る彼らの欲望は、残酷なまでに率直です。
ボーカル、ギター、ドラム、そして2名のノイズマニュピレーターを擁する ENDON。ノイズをその多様なソングストラクチャーへ大胆不敵に織り込む彼らの方法論は、エクストリームミュージックの最先端にあると言えます。
罪深きノイズの濁流 CODE ORANGE, ハードコア/グラインドのハイブリッドエクストリーム FULL OF HELL、そして ENDON。奇しくも等しくその最新作を CONVERGE の巨匠 Kurt Ballou に委ね、ノイズというキーワードで繋がる三傑は、創造性という核心において他の追従を許してはいませんね。
中でも ENDON が特異点であるべきは、インタビューにもあるように、彼らがノイズを “主人公” として扱っている部分だと言えるでしょう。勿論、エクスペリメンタルな極北たるデビューフル 、ノイズを中心に据えた “母盤”『MAMA』はその具象にして直接的な証です。しかし、ノイズを楽器の一つとして扱い楽曲を “構築” することで、よりロック/メタルのフォーマットへと接近した “父盤” 『THROUGH THE MIRROR』においてもその信念は揺らぐことすらありませんでした。
ENDON にとってノイズとは “有機性” の象徴なのかも知れません。つまり、音符や調に囚われないノイズは自由な胎動、母性。逆に緻密な楽曲の構築、音楽的な束縛は父性。二性の融合によりフォーカスした『THROUGH THE MIRROR』は、ENDON という稀代のバンドが産み落とした寵児だと言えるのではないでしょうか。
こうした変化、父性の強調をセルアウトと断じることは無意味です。那倉氏が 「私は「悟り」という言葉もあまり好きではありません。私は「悟り」を「去勢」と言い換えます。」 と語ったように、バンドは “去勢” とは対極に位置するマスアピールを欲しているのですから。
アルバムオープナー、6分間のノイズの弾幕、ブラストの洪水、地獄の責め苦 “Nerve Rain” をある種の踏み絵としたレコードは、実際アグレッションとカオス、エモーションとキャッチーさが奇跡のバランスで均衡を保つインテンスの塊です。
“Your Ghost is Dead” “Born in Limbo” を聴けば今回、特に彼らの獰猛さの一端をブラックメタルやハードコアのテクスチャーが支えていることに気づくはずです。歌詞を持たないボーカリスト、那倉太一の阿鼻叫喚は言語をも凌駕し、ギターやリズムと対等にレイヤーされたノイズのグラデーションは有機的にその残虐性を高めていますね。
殊更、 起伏が増し、繊細なる “オアシス” が存在感を放つ終盤の24分間は圧巻です。”Perversion ‘Till Death” における全てを破壊するかの如き非業の質量、修羅なる重量感は、狂気の狭間に挿入される仄暗くも耽美なるクリーンギターを伴って、スラッジーというワードのみで形容するにはあまりに背徳的で異端な世界観を作り上げています。
プリミティブなパンクのエナジーで疾駆するタイトルトラック “Through the Mirror” がメジャーキーで解決した刹那、世界はその色を変えます。”Torch Your House” で開花するエセリアルなムード、ノイズの宇宙、多幸感とさえ表現可能なサウンドスケープは、ポストロックやポストパンクの美麗なるイメージ、アンビエンス、崇高さを伴って作品に稀有なるコントラストをもたらし物語を締め括るのです。
アルバムを通してギタープレイヤー、宮部氏のルーズでクールなブルーステイストが、作品に更なる彩り、魅力を加えていることも付け加えておきましょう。
今回弊誌では、那倉太一氏にインタビューを行うことが出来ました。8/23からは FULL OF HELL, THE BODY, FRIENDSHIP の日本ツアーが始まりますが、ENDON も8/27に出演が決定しています。インタビューで、「小説が歌詞を補完しているという関係ではありません。」 と明言していますが、太一氏の弟、悦生氏が全ての楽曲タイトルに対応する小説を著しています。実に興味深い内容なので併せてぜひ。どうぞ!!

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ENDON “THROUGH THE MIRROR” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FULL OF HELL : TRUMPETING ECSTASY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPENCER & DYLAN OF FULL OF HELL !!

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Maryland / Pennsylvania Quartet, Full OF Hell Has Just Released The Newest Album “Trumpeting Ecstasy”!! Diverse, But More Into Extreme Metal Realms!

DISC REVIEW “TRUMPETING ECSTASY”

メリーランド、ペンシルベニアのカルテット、破壊者 FULL OF HELL がフルアルバムとしては2013年の “Rudiments of Mutilation” 以来となる新作 “Trumpeting Ecstasy” をリリースしました!!日本が誇るノイズゴッド MERZBOW, アヴァンギャルドノイズデュオ THE BODY とのコラボレート、さらには NAILS, PSYWARFARE とのスプリットを血肉としてリリースした作品は、要となる自身のルーツを軸としつつ、同時にエクストリームミュージックの領域を一際押し広げる重要なレコードとなりました。
CODE ORANGE, 日本の ENDON と並んで FULL OF HELL はハードコアとノイズ要素を融合させるアプローチの先端に立つアーティスト。もはやハードコアの大家となった感のある CONVERGE の Kurt Ballou が斬新なその三者全ての新作を手がけることとなったのも偶然ではないでしょう。
実験的な作風にシフトするかとも思われた “Trumpeting Ecstasy” は、意外にもストレートな楽曲が軸となり押し寄せる暗く激しい11曲23分となりました。インタビューにもあるように、サウンド、リフワークなど、確かにバンドはよりメタルの領域に接近したようにも思えますし、楽曲が”密着”していると語るのも頷けます。
しかし、勿論彼らの野心が一所に留まるはずもなく、レコードは同時にパワーバイオレンス、ノイズ、スラッジ、インダストリアルといった多様なアイデアを見事に昇華しコンテンポラリーなブルータリティーを散りばめたハイブリッドなエクストリームミュージックとして仕上がったのです。
“木々も鳥たちも悲しみに満ちている。彼らは歌っているんじゃない。ただ悲鳴をあげているんだ。” ニュージャーマンシネマの巨匠 Werner Herzog の言葉で幕を開けるアルバムオープナー “Deluminate” は文字通り世界の悲惨さ、絶望感の象徴です。不協和音をスクラッチする悪夢のデスメタルライクなリフワークと、疾走する巧みで手数の多い狂気のドラミングは無慈悲にもリスナーに地獄絵図を投下して行きます。”人間は地球の顔に出来た膿だ” と喉が張り裂けるほどシャウトする Dylan の苦痛を伴う憤怒は即ちハードコアのリアルで、聴く者に畏敬の念さえ感じさせますね。
禍々しい何かを引き摺るようにスローダウンする、スラッジーな “Gnawed Flesh” はまさに FULL OF HELL の真骨頂。脱退したベーシスト Brandon Brown のデモニックなガテラルは、Dylan の鋭いスクリームと凶悪なインタープレイを繰り広げバンドの顔となっていましたが、新たに加わった Sam DiGristine もしっかりとその伝統を引き継ぎ、自身のハラワタに宿した魑魅魍魎を地の底でスラッジパートに全てぶつけています。
さらに “Crawling Back to God” には ex-ISIS の Aaron Turner が、”At the Cauldron’s Bottom” には CONVERGE の Nate Newton がそれぞれボーカルでゲスト参加し、様々な声を得た作品は実に多様な色を加えているのです。
GRIMES のレーベルに所属するカナダのアーティスト Nicole Dollanganger の声を得たタイトルトラック “Trumpeting Ecstasy” はバンドが経てきたコラボレートの旅が結実した成果だと言えるでしょう。THE BODY の Lee Buford が生み出すビートと Nicole の天上の歌声は、不穏なノイズを宿した惨忍なバンドの暴虐と溶け合うこともなく、奇妙な二分法のまま冷やかなまでに無機質に進行して行きます。
インタビューで Dylan は、”Trumpeting Ecstacy” というタイトルが「他人の不幸は蜜の味」といった意味を持つと語ってくれましたが、この純美と非業、”喜び”と”悲しみ”の奇妙な共存はそのまま彼の語る人間の心の最も醜く陰湿な場所を映し出しているように感じました。
今回弊誌では、フロントマン Dylan とギタリスト Spencer にインタビューを行うことが出来ました!8月には THE BODY, FRIENDSHIP と回る日本ツアーも決定しています。どうぞ!!

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FULL OF HELL “TRUMPETING ECSTASY” : 9.8/10

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