NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PANZERBALLETT : PLANET Z】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAN ZEHRFELD OF PANZERBALLETT !!

“Planet X Were The First Band I’ve Heard With This Special Blend Of Low-Tuned Heavy Guitar Riffs, Dark Atmospheres, Jazz Harmony, Precision And Virtuosity. “Planet Z” Could Be Understood As My Vision Of a Sequel To That.”

DISC REVIEW “PLANET Z”

「私の愛する2つの異なった音楽世界を融合させるつもりだった。このバンド名を見つけることが出来てラッキーだったよ。とても良くコンセプトを表現しているからね。ヘヴィーな鋼鉄とソフトなダンス。両方とも深く気を配る必要があるというのが共通点だね。戦車は精密なエンジニアリングを要求されるし、バレーは舞踏術をマスターした独創性に基づくからね。」
ドイツが誇る PANZERBALLETT は、ヘヴィーとソフト、精密と独創、複雑と明快を股にかけ、重音舞踏会を華麗に駆け抜ける高性能ジャズ式重戦車。その異様と壮観には5つの掟が定められています。
「音楽とテクニックでリスナーに感動を与える」「多面性を持って音楽的にフレッシュでいる」「音楽の予測性と非予測性をバランス良くミックス」「高い知的レベルを保ちながらアグレッションを持つ」「リスナーの期待に沿わないで挑発する」
実際、PANZERBALLETT はこれまで、新鮮なアイデアと予想外の行動でリスナーに驚きを与え続けてきました。
Frank Zappa, WEATHER REPORT, ABBA といった多様な泉から涌き出でるカバーの数々、”Take Five” や “ピンクパンサーのテーマ” を自らのセットリストに組み込むその貪欲、そしてサックスはもちろん、インドの伝統楽器にタイプライター、果ては Mattius Eklundh まで “使用” する大胆奇抜まで、常軌を逸した PANZERBALLETT の辞書に不可能の文字は存在しないのです。
「PLANET X は低音のヘヴィーなギターリフ、ダークな雰囲気、ジャズのハーモニー、正確さ、そして名人芸の特別なブレンドを持っていたね。こんなバンドは聴いたことがなかったよ。だから、”Planet Z”は、”Planet X” の続編のような作品を作ってみたいという願望のあらわれなんだ。」
テクニシャン・オブ・テクニシャンを結集した PANZERBALLETT ですが、それでも Jan Zehrfeld という大佐の乗り物であることは疑いの余地もありません。そして、最新作 “Planet Z” は、Zehrfeld の頭文字を頂くように以前よりさらにソロアルバムの性質が高まった作品と言えるのです。
The Brecker Brothers, TRIBAL TECH, MESHUGGAH といった異能に影響を受けてきた Jan ですが、そのヘヴィーメタルビバップな魂を最も喚起したのが PLANET X でした。
キーボードの VAN HALEN こと Derek Sherinian が名手 Virgil Donati と立ち上げたインストフュージョンプロジェクト。Tony MacAlpine, T.J. Helmerich, Brett Garsed, Alan Holdsworth, Billy Sheehan, Dave LaRue などなど奇跡的なメンバーを集めて、メタルとジャズの交差点を探った早すぎたバンドです。
異端は異端を知る。そんな宇宙人の魂を継ぐように、アルバムは Virgil Donati のドラムスをフィーチャーした格好のジャズメタル “Prime Time” でその幕を開けます。
「彼らは皆私に影響を与えていて、特に Virgil からは大きな影響を受けている。だからまず、彼に声をかけたんだ。でも素晴らしい出発点になったよ。なぜなら、彼が参加していることで他の一流のドラマーたちにも参加を了承してもらうことができたからね。」
今回のゲストを大勢招くそのやり方も、PLANET X を見習ったものかも知れませんね。Virgil, Marco Minnemann, Morgan Agren, Gergo Borlai, Hannes Grossmann, Andy Lind。OBSCURA で多忙な Sebastian Lanser の休養と共に自らが愛するドラマー6名を招くことで、アルバムはさらにソロ作品の色を濃くしていきます。
「クラッシック作曲家の中でワーグナーは、おそらく最も “メタル” な音楽性を持った一人だから。」
その言葉通り、鬼才ワグナーのワルキューレはメタルの五重奏へと堂々進化し、ウニとタコの壮絶な戦いを複雑怪奇な音楽で表現し、遂には SOS のモールス信号をそのまま楽曲へと組み込んでしまう。Jan の爆発する芸術は “Planet Z” という遠く離れた宇宙の星で目一杯花開いたのです。
今回弊誌では、Jan Zehrfeld にインタビューを行うことが出来ました。「この15年の間に、PANZERBALLETT は独自の音楽領域を作り上げてきたね。音楽を作る時は、その領域に飛び込んでいるんだけど、それって自分の “惑星” に引きこもっていると言えるかもしれないよね。」 前回のインタビューと合わせてどうぞ!!

PANZERBALLETT “PLANET Z” : 9.9/10

INTERVIEW WITH JAN ZEHRFELD

Q1: From the Corona crisis to Black Lives Matter, and big climate change, this world is going through a turbulent time right now. First of all, what’s your perspective about the situation?

【JAN】: Indeed, the worst challenge is Corona, it utterly affects me as a musician and a parent. I believe in science and no conspiracy whatsoever, wear my mask and avoid any private partys or big gatherings. This is serious shit, and humanity has to work together on a maximum level to get this under control as quick and good as possible.
Black Lives Matter doesn’t affect me, it’s one of many problems in the US, I just sincerely hope the American people will not fail in their next big intelligence test — the election –and manage to change the government, which is probably also relevant for BLM. Climate change — of course. I take people with me when travelling by car to other cities, to make a small contribution.

Q1: コロナ危機から Black Lives Matter、そして気候変動が引き起こす災害と、世界は激動の時を迎えていますね?

【JAN】: まず、最悪の課題はコロナであり、それはミュージシャンとして、また親としての私に大きな影響を与えている。私は科学を信じているから、陰謀論などは一切気にしないし、マスクを着用して、プライベートなパーティーや大きな集まりは避けているよ。これは深刻な事態で、人類は最大限に協力しあって出来るだけ早く、良い状態までコントロールする必要があるね。
Black Lives Matter は私にあまり影響を及ぼしていないよ。アメリカが抱える多くの問題の一つだ。私はただ、アメリカ人が次の大きな知性のテスト、つまり選挙で失敗しないことを心から願っているんだ。そして政府を何とか変えて欲しいとね。
もちろん気候変動も重要だよね。私は車で他の都市に行くときには、人を連れていって少しでも環境対策に貢献しようとしているんだ。

Q2: I’m sure you have a lot of respect for Planet X. And the title of your new record is “Planet Z”. There seems to be a connection, doesn’t there?

【JAN】: Yes, of course! I love to make album titles ambiguous plays on words. “Planet Z” is on the one hand referring to “Planet X”, one of my most important influences.
They were the first band I’ve heard with this special blend of low-tuned heavy guitar riffs, dark atmospheres, jazz harmony, precision and virtuosity.”Planet Z” could be understood as my vision of a sequel to that.
The second meaning is referring to “Z” as shortcut to my last name and thus the solo album nature. During the past 15 years, Panzerballett has created its own musical realm. When creating music, I’m diving into this realm, or you could say I’m retreating to my “planet”.

Q2: あなたが PLANET X に大きなリスペクトを捧げていることは知っていますよ。奇しくも新作のタイトルは “Planet Z”、何か関連性を感じますね?

【JAN】: もちろん関係があるよ。私はアルバムタイトルを曖昧な言葉遊びにするのが好きなんだ。”Planet Z” は私の最も重要な影響元である “Planet X” を一方では指しているね。
彼らは、低音のヘヴィーなギターリフ、ダークな雰囲気、ジャズのハーモニー、正確さ、そして名人芸の特別なブレンドを持っていたね。こんなバンドは聴いたことがなかったよ。だから、”Planet Z”は、”Planet X” の続編のような作品を作ってみたいという願望のあらわれなんだ。
もう一つの意味は、”Z” が私の姓をショートカットしたもので、ゆえにソロアルバムの性質を帯びていると言えるね。
まあ、この15年の間に、PANZERBALLETT は独自の音楽領域を作り上げてきたね。音楽を作る時は、その領域に飛び込んでいるんだけど、それって自分の “惑星” に引きこもっていると言えるかもしれないよね。

Q3: Speaking of Planet X, the album features a guest appearance by Virgil Donati. Not only Virgil, you also have a guest drummer for each song, in addition to Sebastian Lanser, right? You know, King Crimson continues to try to add more drums, but how did you come up with this unique idea?

【JAN】: Of course it’s no coincidence I chose the track featuring Virgil as the opening one. Another referral to “Planet X vs Planet Z”
Sebastian is not represented on this album, since we decided to take a collaborational break, with him having been busy with Obscura, who were touring quite extensively at that time. I saw this as a chance to work together with drummers I’ve always wanted to work with.

Q3: PLANET X のメンバーだった Virgil Donati がゲスト参加していますね。Virgil だけでなく、各曲にゲストドラマーを招いていますが、本職の Sebastian とのツインドラムを目指したのですか?

【JAN】: もちろん、Virgil をフィーチャーしたトラックをオープニングに選んだのは偶然じゃないよ。つまり、これもまた “Planet X vs Planet Z” を意識してのことなんだ。
実は、このアルバムに Sebastian は参加していないんだよ。彼は当時ツアーをしていた OBSCURA の活動に忙殺されていたから、彼とのコラボレーションを一旦休むことにしたんだ。
ずっと一緒に仕事をしたいと思っていたドラマーと仕事をするチャンスだと思ったしね。

Q4: How did you select the drummers to participate? Was there a particular take that stood out to you?

【JAN】: First of all, I contacted the ones I had already talked to and met in person in the last 10-15 years (except Gergo, who I was also a fan of). They were all influential to me, especially Virgil, so he was the first one, also a great starting point, because having him on board made a great starting point for possibly getting other top-notch drummers to agree. It eventually worked out :))

Q4: ゲストに招くドラマーはどのように選んでいったのですか? 彼らの中で特に印象に残った人物はいましたか?

【JAN】: まず第一に、過去10年から15年の間ですでに話をしていたり、直接会ったりしていたドラマー達に連絡を取ったんだ。Gergo を除いてね。でも私は彼のファンだったから。
彼らは皆私に影響を与えていて、特に Virgil からは大きな影響を受けている。だからまず、彼に声をかけたんだ。でも素晴らしい出発点になったよ。なぜなら、彼が参加していることで他の一流のドラマーたちにも参加を了承してもらうことができたからね。最終的にはすべてうまくいったよ。(笑)

Q5: Wagner’s Walkürenritt surprised me, it’s a really great cover version. Many artists in the metal and prog world cover Bach and Mozart, but why did you choose this track by Wagner?

【JAN】: In 2015, when we as a band were part of the play at Nibelungen Festival, I made this arrangement as wink to Wagner’s “Ring Of The Nibelung”. Among classic composers Wagner is probably the most “metal” one, so this was a straight fit. Also it offered to use one of my favorite re-arranging tools, which is converting subdivisions to quintuplets. The rhythm here is quintuplet-infested.

Q5: ワグナーの “ワルキューレ” のカバーには驚きましたよ。素晴らしい出来ですね!
メタルやプログ世界の住人はバッハやモーツァルトを好む傾向にありますが、ワグナーを選んだのはなぜですか?

【JAN】: 2015年、ニーベルンゲン音楽祭でバンドとして劇中に参加した際に、ワーグナーの “ニーベルングの指環” に関連してこの曲のアレンジを行ったんだ。クラッシック作曲家の中でワーグナーは、おそらく最も “メタル” な音楽性を持った一人だから、この曲もストレートにフィットしていたね。
それに、私のお気に入りのリアレンジツールの1つを使用して、五重奏に変換していったのさ。ここでのリズムは、五重奏にフィットさせているよ。

Q6: “Urchin vs Octopus” is a really unique song. The polyrhythms in this song are very impressive, does one side represent urchin, one side represents Octopus?

【JAN】: Haha thanks, these two sea animals were once used to metaphorically compare two different personalities of musicians who once worked with us. Musically the urchin could be interpretable as the wave form of heavily distorted guitars, while the octopus could represent a melody line wobbling polymetrically around the beat, or the way the fingers move down the fretboard during the theme.

Q6: “Urchin vs Octopus” は実にユニークな楽曲ですね。ポリリズムが非常に印象的ですが、片方のリズムがウニで、もう片方のリズムがタコを表しているのでしょうか?

【JAN】: はは (笑) ありがとう。この2つの海の動物は、かつて私たちと一緒に仕事をしていたミュージシャンたちが持つの2つの異なる性格を、比喩的に比較するため使用したんだ。
音楽的には、ウニは重く歪んだギターの波形として解釈できるし、タコはビートの周りをポリメトリカルに揺れるメロディーラインや、テーマの中で指がフレッドボードをで動きまわる様子を表しているね。

Q7: SOS is literally a song inspired by the morse code of SOS, isn’t it? How did you come up with using real SOS code in the song?

【JAN】: Yes, you got that perfectly right. I had this idea a long time ago. As a teenager I used to listen to Rush, and their song “YYZ” might have inspired me.
In general, I love playing with ideas of well-known rhythms, like the “clapping rhythm” in our song “Friede, Freude, Fussball”; or spinning further musical ideas with superficial rhythmic recognition features, like I did in “Typewriter II” as a sequel to Leron Anderson’s “Typewriter”. When writing “SOS” I was literally picturing the dramatic process of a sinking ship

Q7: “SOS” は文字通りモールス信号をテーマにした楽曲で、信号のリズムそのものを楽曲に落とし込んでいますよね?

【JAN】: そうだね、まさにその通りだよ。このアイデアはずっと前に思いついたんだ。ティーンエイジャーの頃、RUSH をよく聴いていたから、彼らの楽曲 “YYZ “に触発されたのかもしれないね。
基本的に、”Friede, Freude, Fussball” の「拍手のリズム」のように、よく知られたリズムを使って遊ぶのが好きなんだよ。それにレロン・アンダーソンの “Typewriter” の続編として作った “Typewriter II” でやったように、表面的なリズムを認識して音楽的なアイデアをさらに紡いでいくようなやり方もね。
“SOS” を書いている時は、文字通り沈没する船のドラマチックなプロセスを描いていたんだよ。

Q8: More and more metal bands have been using the saxophone in recent years, but it’s still not enough.What are some things to keep in mind when using the saxophone in heavy music?

【JAN】: First of all, I don’t think it’s easy to find a good saxophone player willing to betake herself or himself to an infernally loud place between heavily distorted guitars.
Should you find one ready to overlook the loss of habitual comfort in the acoustic situation, the next challenge is to adequately amplify the sax without feedback effects. Musically I avoid arranging saxophone for doubling heavy guitar riff, this often sounds cheesy to my ears. I think the sax is blending especially well with distorted lead guitars.

Q8: 近年、サックスを使用するメタルバンドが増えていますよね。ヘヴィーな音楽にサックスを使用する際、心に留めて置くべきことは何ですか?

【JAN】: まず第一に、重く歪んだギターの間の地獄のような大音量の場所に身を委ねようとする良いサックス奏者を見つけるのは、決して簡単じゃないと思うな。
もし、アコースティックな状況における快適さの喪失を見過ごす準備ができているサックス奏者を見つけたとしても、次の課題として、フィードバック効果なしにサックスの音量を適切に増幅することがあるよね。音楽的にはヘヴィーなギターリフをダブらせるためにサックスをアレンジすることは避けているんだ。私の耳には安っぽく聞こえてしまうことが多いからね。でも、特に歪んだリードギターとの相性は抜群だと思っているよ。

JAN’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS

SUNGAZER “VOL.1”

TIGRAN HAMASYAN “MOCKROOT”

VIRGIL DONATI “THE DAWN OF TIMES”

2MARS “DISCLOSURE”

GERGO BORLAI “THE MISSING SONG”

MESSAGE FOR JAPAN

It’s one of my dreams to visit Tokyo and maybe even play a concert. I strongly believe there would be a great audience for us. So please feel free to invite us, we’d love to come and play!

東京を訪れてコンサートを行うのは、私の夢の一つなんだ。私たちにとって素晴らしいオーディエンスが待っていると強く信じているからね。だからぜひ招待してほしいね。すぐ駆けつけるよ!

JAN ZEHRFELD

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