NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCHSPIRE : BLEED THE FUTURE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEAN LAMB OF ARCHSPIRE !!

“As a Band We Always Try To Write Music That Is About 10% Above Our Abilities, So That Means Everyone Is Constantly Pushing Themselves To Improve.”

DISC REVIEW “BLEED THE FUTURE”

「”Stay Tech” という言葉は、僕たちのバンドが目指すものをすべて体現している。だから、”Stay Tech industries” という想像上の会社名からこの言葉を残して、クールなロゴを作ってもらったんだよ。今ではバンド全員がこの言葉をタトゥーにしているし、同じタトゥーを入れている人にもあちこちで会うんだよ!」
STAY TECH!テクニカルでいようぜ!をモットーとするカナダのテクデス機械神 ARCHSPIRE。世界で最も速く、世界で最もテクニカルで、世界で最も正確無比なこの “メタル” の怪物をシーンのリーダーに変えたのは2017年の “Relentless Mutation” でした。アルバムのリリースを終え、OBSCURA の日本ツアーに帯同した ARCHSPIRE。口をあんぐり開けて立ち尽くし、彼らを見つめていた多くの観客を筆者は目撃しています。それはまさに、新時代の到来を告げる啓示といった類のライブ・パフォーマンスでした。
「バンドとして、僕たちは常に自分たちの能力の10%くらい上のレベルの音楽を書こうとしているんだ。つまり、このバンドでは誰もが常に自分を高めようとしているんだよ」
そうして、名優ジェイソン・モモアを含む何万もの新たなファンを獲得し、地球上をツアーしてきた ARCHSPIRE は、あの画期的なアルバムをさらに先鋭に研ぎ澄まし、別の次元へと到達させました。”Bleed The Future”。文字通り、血反吐を吐くようにして紡ぎ出した彼らの未来は、目のくらむようなテクニックと、複雑怪奇をキャッチーに聴かせるバンドの能力が光の速さで新たなレベルへと達しています。
「僕にとって8弦ギターはほとんど6弦と同じにしか見えないから、コード・シェイプやスケールはすべて10代の頃に学んだものを流用している。相棒の Tobi も8弦を弾くようになったから、僕たちは完全に “音域の広い” バンドになったんだ」
“Bleed The Future” という無慈悲な殺戮マシンの心臓部は、Tom Morelli と Dean Lamb の8弦ギター。雪崩のように押し寄せるブラスト・ビートと、ワープ・スピードで飛び交うテクニカル・エクスタシーを背に、5足と5足の超速スパイダーはアクロバティックにメロディックに指板の宇宙を踊り狂います。二人にとって、きっと6弦の指板は窮屈すぎるのでしょう。一方で、趣向を凝らしたクリーンなパッセージも秀逸。ともかく、他のバンドが2つの音を出す間に、彼らは少なくとも5つの音を繰り出します。
「デスメタルは非常に過激な音楽だから、リスナーが疲れずに “多くのもの” を聴くことは難しいと考えているんだ。だから僕たちの意見では、32分くらいがちょうどいいんだよね」
32分という短さに、想像を絶するスピードで、長い歌詞を含めて様々なものが詰め込まれた “Bleed The Future”。Tech-metal の世界では非人間的なテンポで演奏するバンドも少なくありませんが、さすがにこれは別物です。クラシックの美麗美技と獰猛超速のメタロイドを行き来する “Drone Corpse Aviator” がアルバムの招待状。BPM360 のタイトルトラック “Bleed The Future” で、ボーカリスト Oli Peters がさながら Busta Rhymes のように重たい言葉の弾丸を正確に連射すれば、モダン・メタルメタル界最速ドラマーの一人として知られる Spencer Prewett は、”A.U.M” で BPM を400まで到達させるだけでなく、千手観音の威光を纏いながら Gene Hoglan や Tomas Haake と同等の才能を証明します。
“A.U.M”, “Reverie on the Onyx” といった楽曲の、サンプリングやクラシカルなマテリアルをメインストリームやヒップホップのやり方で吸収し、デスメタルに昇華させる ARCHSPIRE の哲学は実に新鮮で傑出していますね。”Abandon The Linear’ で炸裂する Jared Smith のクラシカルかつグルーヴィーなベースソロも極上。そうやって彼らはフックやキャッチーな音の葉を多種多様に盛り込んでいくのです。
カナダはこれまでにも優れたテクデスの綺羅星を産み落としてきました。CRYPTOPSY, GORGUTS, BEANEATH THE MASSACRE, BEYOND CREATION…その中でも APCHSPIRE は最高傑作にして、テクデス・ルネサンスの最先端に位置しているように思えます。現時点で、彼ら以上のリーダーは存在しないでしょう。威風堂々、この威厳。この異次元。
今回弊誌では、ギター・マスター Dean Lamb にインタビューを行うことができました。「僕たちのスタイルにラップを加えることは、最初からの計画だったんだ。僕たちは皆、Tech N9ne をはじめとするスピード系ラッパーが大好きだから、2009年に Oli をバンドに誘ったときにラップに影響を受けたデスメタルというスタイルにしたいという話をしたんだよね」 Dave Otero のプロダクションも完璧な一枚。”メロディックなボーカルなんて絶対にやらない”。どうぞ!!

ARCHSPIRE “BLEED THE FUTURE” : 9.9/10

INTERVIEW WITH DEAN LAMB

Q1: Your performance in Japan with OBSCURA was fantastic! What did you think about Japan?

【DEAN】: Hey! Oh wow, we loved Japan. It’s definitely in our top favorite places in the world to visit, and we’d love to come back and play for amazing Japanese fans! Everyone at the shows made us feel very welcome. It’s a surreal experience to go to a place with such a nuanced, interesting culture and play death metal for people across the world. We love Japanese food, we love Japanese people, and we can’t wait to return!

Q1: OBSCURA との日本公演、最高のパフォーマンスでしたね!日本についてはどのような感想を持ちましたか?

【DEAN】: やあ!僕たちは日本が大好きになったよ。世界で最も好きな場所のひとつであることは間違いないし、また日本に戻って素晴らしいファンのために演奏したいと思っているよ。
ライヴ会場では、誰もが僕たちをとても歓迎してくれた。日本のようなニュアンスのある、興味深い文化を持つ場所に行って、世界中の人々のためにデスメタルを演奏するというのは超現実的な経験だよ。うん、僕たちは日本食が大好きで、日本の人々が大好きなんだ。

Q2: I love your term “Stay Tech”, how did you guys come up with it and what does it mean to you?

【DEAN】: We would spend long hours in our tour van just talking about different things, and one day it came up that we should start a company: Stay Tech Industries. Most of our inside jokes and ideas come from long conversations at 2am between cities on tour, and Stay Tech was an early one. It embodies everything that our band tries to be, so we kept it and had a cool logo for it made. Now we all have it tattooed, and we meet people all over with the same tattoo!.

Q2: あなたたちが掲げている “Stay Tech” という言葉が大好きなんですが、どうやって思いついたんですか?

【DEAN】: ツアーバンの中で何時間もいろいろな話をしていたんだけど、ある日、会社を作ろうという話になったんだ。”Stay Tech Industries” という会社をね。僕たちの内輪のジョークやアイデアのほとんどは、ツアー中の都市と都市を行く間、その深夜2時の長い会話から生まれるんだけど、”Stay Tech” はその中でも初期のものだったんだ。
“Stay Tech” という言葉は、僕たちのバンドが目指すものをすべて体現している。だから、会社名からこの言葉を残して、クールなロゴを作ってもらったんだよ。今ではバンド全員がこの言葉をタトゥーにしているし、同じタトゥーを入れている人にもあちこちで会うんだよ!

Q3: The word “technical” is highly praised in the niche world, but in the music world in general, the word “emotional” is more respected, isn’t it? Why do you still pursue “Stay Tech”?

【DEAN】: You’re right, there is a trend to go towards more melodic vocal styles, which is something we’ve always said to ourselves and our fans that we would never do. We respect our friends in bands that have gone that route, but we will never do it; it just wouldn’t fit our style of music. We’ll always write very fast, very extreme music with an emphasis on melody and listenability, and we hope that people like the new album!

Q3: “テクニカル” という言葉は、私たちのニッチな世界でこそ賞賛を意味しますが、一般的に音楽世界全体では “エモーショナル” の方がよりリスペクトされますよね?

【DEAN】: たしかにそうだよね、君は正しいよ。メタルの世界でも、よりメロディックなボーカル・スタイルに向かうのがトレンドだと思う。だけどそれちまて、僕たち自身やファンのみんなにも “絶対にやらない” と言い続けてきたことなんだよね。
そういった方向性を持つバンドの友人を尊敬はしているけど、僕たちは絶対にやらない。なぜなら、僕たちの音楽スタイルには合わないからだよ。僕たちは常に、メロディーと聴きやすさに重点を置きながらも、非常に速く、非常に過激な音楽を書いているからね。みんながニューアルバムを気に入ってくれることを願っているよ!

Q4: You are really unique and one of the best 8 strings guitar player. How can you still push the limit and improve yourselves after being so accurate and technical?

【DEAN】: As a band we always try to write music that is about 10% above our abilities, so that means everyone is constantly pushing themselves to improve. This has always been our way of writing, and the new album is no different. An 8 string guitar still looks like a 6 string to me, so all my chord shapes and scales still resemble the stuff I learned when I was a teenager, I just now have access to two lower strings. But it doesn’t mean that I always use them. Tobi now plays 8 string too, so we are a fully extended range band!.

Q4: あなたは非常にユニークで、最高の8弦ギター使いの一人だと思います。限界を突破して、正確性やテクニックを進化させるために取り組んでいることはありますか?

【DEAN】: バンドとして、僕たちは常に自分たちの能力の10%くらい上のレベルの音楽を書こうとしているんだ。つまり、このバンドでは誰もが常に自分を高めようとしているんだよ。これがいつもの僕たちの作曲方法だから、新しいアルバムでも同じように取り組んでいるんだ。
僕にとって8弦ギターはほとんど6弦と同じにしか見えないから、コード・シェイプやスケールはすべて10代の頃に学んだものを流用している。今はただ、2本の低音弦を使えるようになっただけなんだ。でも、いつも下の2弦を使っているわけではないんだよ。相棒の Tobi も8弦を弾くようになったから、僕たちは完全に “音域の広い” バンドになったんだ。

Q5: Who are some of your strongest influences and heroes as a guitarist?

【DEAN】: Paul Gilbert, Marty Friedman, Guthrie Govan, Steve Vai, Ron Jarzombek, Per Nilsson, and Rafael Trujillo. The first few I listened to non-stop when I was a kid, and the last few are newer to me, but still incredibly inspiring.

Q5: あなたにとってのギター・ヒーローを何人か教えていただけますか?

【DEAN】: Paul Gilbert, Marty Friedman, Guthrie Govan, Steve Vai, Ron Jarzombek, Per Nilsson, それに Rafael Trujillo (ex-OBSCURA) だね。最初の何人かは子供のころにノンストップで聴いていた人たち。最後の数人は僕にとって新鮮でとてもインスパイアされている人たちだよ。

Q6: You know, ” Bleed the Future” is definitely heavier than your previous release. But also, some songs are singable and there are outside death metal influences like Rap. It’s obviously a different approach from death metal bands in general, would you agree?

【DEAN】: Adding rap to our style was the plan from the start yes. We all love Tech N9ne and other speed rappers, so when we invited Oli to be in the band in 2009, we had a discussion that we wanted the style to be rap influenced death metal. He could already do some amazing impressions of well-known rappers, so his low tones with the added speed really worked well together. We also take influence from rap in other ways, like samples on our album, like the intro to “calamus will animate” from ‘Relentless Mutation,’ or the intro the “A.U.M.” from ‘Bleed the Future.”.

Q6: “Bleed the Future” は明らかに前作よりヘヴィーなアルバムですが、歌いたくなるようなフレーズや、ラップのようなデスメタル外からの影響も増えていますよね?
他のデスメタルや “Tech-metal” とはアプローチが大きく異なるようにも思えます。

【DEAN】: 僕たちのスタイルにラップを加えることは、最初からの計画だったんだ。僕たちは皆、Tech N9ne をはじめとするスピード系ラッパーが大好きだから、2009年に Oli をバンドに誘ったときにラップに影響を受けたデスメタルというスタイルにしたいという話をしたんだよね。Oli はその時点ですでに有名なラッパーの印象を見事に表現していたんだ。つまり、彼の低いトーンとスピード感のあるサウンドはとても相性が良かったんまよね。
それに、アルバムに収録されているサンプルのように、他にも様々な面でラップからは影響を受けているよ。”Relentless Mutation” の “Calamus will animate” のイントロや、”Bleed the Future” の “A.U.M.” のイントロを聴けば伝わると思うな。

Q7: Do you have a preference for BPM? This album is only 32 minutes long, but does it need the title of the fastest metal band in the world?

【DEAN】: High BPM tracks are tough to play for extended periods of time, which means we have to sacrifice length to allow ourselves to even perform it live. We also write shorter albums because it just takes us so long to write music. The new album took about 2.5 years to write and record, so in order to have a proper touring/album cycle we need to cut the album short. However, it works in our advantage because death metal is so extreme, we think it’s difficult for people to listen to “too much” of it without getting fatigued. About 32 minutes is pretty much perfect in our opinion, we never want to overstay our welcome.

Q7: BPM に拘りはあるのでしょうか?このアルバムは32分という短さに、壮絶なスピードで、長い歌詞を含めて様々なものが詰め込まれていますが、世界最速のメタル・バンドという称号を狙っているのですか?

【DEAN】: BPM の速い曲は長時間演奏するのが難しいから、ライブで演奏するためには長さを犠牲にしなければならないんだよ。それに、曲作りに時間がかかるから、アルバムの長さも短くしているんだ。今回のアルバムは、作曲とレコーディングに約2年半もかかったから、ツアーとアルバムのサイクルをきちんと回すためにはアルバムを短くする必要があるんだよね。
まあだけど、短いアルバムってのは僕たちにとってはアドバンテージだよ。デスメタルは非常に過激な音楽だから、リスナーが疲れずに “多くのもの” を聴くことは難しいと考えているからね。だから僕たちの意見では、32分くらいがちょうどいいんだよね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED DEAN’S LIFE

NECROPHAGIST “EPITAPH”

BLOTTED SCIENCE “MACHINATIONS OF DEMENTIA”

MEGADETH “RUST IN PEACE”

OPETH “BLACKWATER PARK”

GUTHRIE GOVAN “EROTIC CAKES”

MESSAGE FOR JAPAN

To our Japanese fans: We want to come back and play really fast for you! Stay Tech! Thank you for your support!

日本に戻って、最高に “速い” 音楽をお見舞いしたいね!”Stay Tech”!サポートをありがとう!

DEAN LAMB

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