EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIIKKA VIRTAPURO OF VALKEAT !!
“For Us As Artists It’s Important To Do Something New And Fresh, And Not Only Redo Stuff That People Have Already Done. We Want To Expand The Map Of Kantele Music And Metal Music.”
DISC REVIEW “FIREBORN”
「僕たちはパイオニアとして、人々がこれまでに聴いたことのないような新しいカンテレ・ミュージックを作りたかったんだ。僕たちアーティストにとって重要なのは、何か新しく新鮮なことをすることであって、すでに人々がやっていることをやり直すことではない。いわば、カンテレ・ミュージックとメタル・ミュージックの地図を広げたいんだよ」
古くはジャン・シベリウスが、メタル世界では AMORPHIS が、フィンランドの民間伝承から生み出された国民的叙事詩カレワラをインスピレーションとして音楽を創造し、彼の地の空気、風景、文化、そして人の有り様を伝えてきました。カレワ族の勇士たちの物語が、フィンランドのロシアからの独立を強く後押ししたことを述べるまでもなく、カレワラはフィンランドの心であり、そこから生まれた伝統楽器カンテレはフィンランドの音であり続けています。
そう、AMORPHIS の楽曲にもあるように、カンテレはフィンランドの音であり、ヘヴィ・メタルも当然、フィンランドを代表する音楽です。ゆえに、VALKEAT はその両者をより太い糸で結び付けようと思い立ちました。そうやって彼らは、カンテレの地図も、メタルの地図も広げながら、フィンランド音楽のアンバサダーとして世界に羽ばたいていくのです。
「カンテレは、フィンランドが誇る国民的楽器だ。日本の琴のようなものといえばいいかな。そして、カンテレは琴と同じように、僕らが創造するどんな音楽にも合うんだ!」
実際、カンテレは想像以上にメタルとの相性が良さそうです。もちろん、その蜜月は VALKEAT の類稀なるコンポジションの妙あってこそ。”Fireborn” は非常に複雑で多層的なアルバムで、リスナーをフィンランドのモダン・フォークとシンフォニック・メタルの新時代へと同時に導く灯台ののような輝きを纏っています。
「サンポのストーリーは、それを持つ者に無限の富を生み出す機械、誰が持とうと永遠の富を生み出すのさ。だから僕たちは、サンポの音楽版のような、それを聴く人に比喩的に “富” を生み出すものを作りたかった。サンポは火で鍛えられたものだから、このアルバムを “Fireborn” “火から生まれしもの” と呼ぶことにしたんだ」
“Fireborn” はカレワラに登場する、所有する者に永遠の富をもたらす機械、サンポにちなんで名付けられました。そうして、壮大なフィンランドとメタルの物語の偉大な伝統を受け継いだアルバムには、崇高な賛美歌、荘厳な歌声、フォーク・メタルの陽気さと原始的なメロディー、異教の精神が詰まっていて、そもそもカンテレがあるべくしてあるよう巧みに設計されています。
非常にダークでアグレッシブな冒頭の “My Crown” で、フィンランド人の深層心理を掘り下げた彼らは、リリックでは精神の最も暗い部分に踏み込み、音楽ではストリングスとブラスのオーケストラを吹き込んでいきました。サーミの人たちの素晴らしい文化に敬意を表した儀式的な “Moraš”、フィンランドのバンドのメランコリックでフォーキーな側面にフォーカスした “Swan Song” でも北欧の色と音を伝えながら、リスナーに無限の富であるカタルシスを与え続けます。
まさにフィンランドへのラブレターとなった涼やかなアルバム。今回弊誌では、ボーカリスト Miikka Virtapuro にインタビューを行うことができました。「僕たちは CHILDREN OF BODOM と同じ地域の出身で、実は Alexi は僕と同じ学校のちょうど10年先輩なんだよ。もちろん、あれほどの才能が若くして亡くなるなんて、とても悲しいニュースだったな…」 どうぞ!!
VALKEAT “FIREBORN” : 9.9/10
INTERVIEW WITH MIIKKA VIRTAPURO
Q1: I understand you guys are from Espoo, same as Children of Bodom? They were very popular in Japan and many Japanese were saddened by Alexi’s death. What were they like to you?
【MIIKKA】: Yes we are from the same area, I actually went to same school that Alexi did some 10 years earlier before myself. Of course the news were very sad to hear, such a talent passing on at such a young age.
Q1: あなたたちは、CHILDREN OF BODOM と同じエスポーの出身だそうですね?
【MIIKKA】: そう、僕たちは彼らと同じ地域の出身で、実は Alexi は僕と同じ学校のちょうど10年先輩なんだよ。もちろん、あれほどの才能が若くして亡くなるなんて、とても悲しいニュースだったな…
Q2: The first thing that sets you apart is that you are a metal band that incorporates Kantele. Why did you decide to incorporate Kantele into heavy metal?
【MIIKKA】: We wanted to pioneer and create new kind of kantele music that people have not heard before. For us as artists it is important to do something new and fresh, and not only redo stuff that people have already done. We want to expand the map of kantele music and metal music as well, so to speak.
Q2: VALKEAT が非常にユニークなのは、フィンランドの伝統楽器カンテレをメタルと融合させている点ですね?
【MIIKKA】: 僕たちはパイオニアとして、人々がこれまでに聴いたことのないような新しいカンテレ・ミュージックを作りたかったんだ。僕たちアーティストにとって重要なのは、何か新しく新鮮なことをすることであって、すでに人々がやっていることをやり直すことではない。いわば、カンテレ・ミュージックとメタル・ミュージックの地図を広げたいんだよね。
Q3: Once again, could you introduce Kantele, a Finnish treasure, to Japanese fans? Why do you think this instrument fits metal so well?
【MIIKKA】: It is our national instrument, sort of relatively like a Japanese koto. Kantele, like koto, does fit whatever kind of music you want to create! Actually there are kantele players in Japan too, as I’ve heard that Japan is the second biggest market for kantele makers after Finland!
Q3: 改めて、フィンランドの宝ともいえるカンテレを日本のファンに紹介していただけますか?
【MIIKKA】: カンテレは、フィンランドが誇る国民的楽器だ。日本の琴のようなものといえばいいかな。そして、カンテレは琴と同じように、僕らが創造するどんな音楽にも合うんだ!
実は、日本にもカンテレ奏者は沢山いてね。日本はフィンランドに次ぐカンテレメーカーの市場だと聞いたことがあるよ!
Q4: There is a song called “My Kantele” by Amorphis, also from Finland, which I love, Does that song influence you guys?
【MIIKKA】: We know the song, but not really that much. It does not have a kantele in it, of course the mythological aspects of the song are nice.
Q4: 同じフィンランドの AMORPHIS は “My Kantele” という曲を作っていますね。あの曲からは影響を受けていますか?
【MIIKKA】: 僕たちは “My Kantele” を知っているけど、それほど多くの影響を受けているわけじゃないよ。なぜなら、この曲にはカンテレが入っていないから。もちろん、この曲の神話的な側面はいいけどね。
Q5: Of course, the kantele is the instrument from the Finnish national epic Kalevala.” Fireborn” is named after “Sampo” who brings eternal wealth in Kalevala, right?
【MIIKKA】: Yes. The story of Sampo is that it is a machine that creates endless wealth for whoever posesses it. So we wanted to make sort of musical version of a Sampo, something that creates metaphorically wealth for whoever listens to it. Sampo was forged in fire, so we decided to call the album Fireborn.
Q5: もちろん、カンテレはフィンランドの国民的叙事詩カレワラに出てくる楽器で、アルバム・タイトルの “Fireborn” とは、そのカレワラで永遠の富を生み出すサンポにちなんでつけられたそうですね?
【MIIKKA】: サンポのストーリーは、それを持つ者に無限の富を生み出す機械、誰が持とうと永遠の富を生み出すのさ。だから僕たちは、サンポの音楽版のような、それを聴く人に比喩的に “富” を生み出すものを作りたかった。サンポは火で鍛えられたものだから、このアルバムを “Fireborn” “火から生まれしもの” と呼ぶことにしたんだ。
Q6: In a way, is this album the greatest tribute to The Sami People and their wonderful culture?
【MIIKKA】: Well not really. There are songs that contain elements to the Sámi culture, but not the whole album by all means. It’s more of a tribute to the Finnish culture, where the Sámi elements a part of the bigger picture.
Q6: ある意味、このアルバム自体がサーミの人々やその素晴らしい文化に対する壮大なトリビュートともいえるのでしょうか?
【MIIKKA】: 完全にそうじゃないけどね。サーミ文化の要素を含む曲はあるけれど、決してアルバム全体ではない。このアルバムはフィンランドの文化へのオマージュであり、サーミの要素はその大きな絵の一部なんだ。
Q7: Recently BLOODYWOOD and THE HU, have made it big by incorporating traditional music from their home countries into metal. Including you guys, Why do you think that folk metal, which incorporates its own roots and culture in this way, is starting to come back into the limelight again?
【MIIKKA】: We would hope so! The rise of folk metal style with real traditional instruments would be really cool and we hope to see it happend. It would be a nice trend to have.
Q7: 最近、BLOODYWOODやTHE HUが母国の伝統音楽をメタルに取り入れて大成功を収めました。あなたたちも含めて、このように自国のルーツや文化を取り入れたフォーク・メタルが再び脚光を浴び始めていますよね?
【MIIKKA】: 僕たちはそう願っているよ!本物の伝統的な楽器を使ったフォーク・メタル・スタイルの台頭は本当にクールだし、そうなることを願っている。そうなればいいトレンドになるだろうな。
Q8: Since last year, Russia’s atrocious aggression against Ukraine has continued. Finland and Japan, which are close to Russia, are no strangers to this. In such times, do you think your folk metal, Kantele, and Kalevala will be one of the factors to strengthen the hearts of people in your home country?
【MIIKKA】: We would for sure hope so!
Q8: 昨年から、ロシアによるウクライナに対する非道な侵略が続いています。ロシアに近いフィンランドや日本も他人事ではありませんが、そのような時代にあって、あなたたちのフォーク・メタル、カンテレ、カレワラは、母国の人々の心を強くする光のひとつになると思いますか?
【MIIKKA】: もちろん、そうなることを願っているよ!