EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALASDAIR DUNN OF ASHENSPIRE !!
“What We Wanted To Do Though Was Expand That Observation On Western Class Dynamics, Look Underneath It, And Then Show How Those Underlying Motives And Mechanisms Of Late-stage Neoliberal Capitalism Saturate Every Level Of Society.”
DISC REVIEW “HOSTILE ARCHITECTURE”
「僕たちがやりたかったのは、西洋の階級力学に関する観察を拡大し、その背後を注意深く探り、後期新自由主義資本主義の根本的な動機とメカニズムが、社会のあらゆるレベルに飽和してしまっていることを示すことだった。結果として、労働者階級の劣悪な居住環境は、より広い問題の徴候に過ぎず、僕たちはそのことに注意を促したかったんだ」
大都市に住んでいれば、ホームレスや劣悪な居住環境で暮らす労働者の存在を切り離すことはできません。公園のベンチの真ん中に作られた鉄のレール、日よけの下にあるスパイク、絶え間なく点滅するライトなど、持たざる者に対する “敵対的な建築” は現代の都市デザインの主流となっていて、公共の建築物は一時的なシェルターとなるどころか、多くの人を抑圧しています。
スコットランドの建築メタル ASHENSPIRE は、そうしたモダンで冷徹な建築物を現代社会を観察するレンズとして、富の不平等、階級闘争を取り巻く様々な問題を映し出していきます。2017年の “Speak Not of the Laudanum Quandary” で、これまであまり議論されてこなかった歴史の残虐行為に焦点を当てた ASHENSPIRE。しかし、私たちはそれでもまだ学べず、また同じ過ちを犯しているのでしょうか?敵対的な建築物は、今、この瞬間も、リアルタイムで抑圧の甍を叫んでいます。
「資本主義リアリズムとは、労働者階級や疎外されたコミュニティといった社会から恩恵を受けるべき人々の想像力を制限することで、そうやってアメリカはこの不平等な秩序を維持している。
そうやって労働階級や抑圧された者たちが皆、この世界(後期新自由主義資本主義世界)が可能な限り最高の世界だと信じさせられているから、それを変えるために戦うのではなく、単に抑圧に耐えようとし、それを “世の中の流れ” あるいは “あるべき物事のあり方” として受け流し、最終的に彼らを搾取する側に利益をもたらす態度をとってしまうんだ。このような状況から抜け出すのは大変なことだと思う」
ドラマーで、歌い手でもある Alasdair Dunn の言葉には、無慈悲に断罪された者たちの悲愴や無念が漂っています。”Hostile Architecture” の中心には、抉り取られた魂がボロボロに蠢いていて、それぞれが幻滅のマントラを唱えているような感覚に陥ります。”3ヶ月で貧民街に逆戻り”、”偉大なヤツなどいない。多くのモブが偉大なのだ”、”俺たちは仕事のカルト、カルト労働者だ”…ASHENSPIRE はそうした言葉をハンマーのように扱って、アヴァンギャルドなメタルと共にそのメッセージをリスナーの耳へと叩き込みます。
血のコーラスに研ぎ澄まされた詩を織り交ぜ、感情のクレッシェンドを司り、多種多様な楽器の怒りでフラストレーションを切り裂いていきます。つまり、A FOREST OF STARS との比較はある程度的を得ていて、独自のスパイラル、苛烈でありながら振動するアイデンティティを計算された自信で表現しているのです。
「機能的な建築物であると同時に前衛的な表現であるという点で、僕たちの音を象徴するような物質的な建物はそうそうないと思うけど、ニコライ・ラドフスキー(合理主義運動の魅力的な前衛建築家)が1921年に “コレクティブハウス” “集合住宅” のスケッチを描いているんだ。もし僕たちの音楽が建物になるとしたら、あのような感じになるだろうな」
解散した ALTAR OF PLAGUES のスワンソングと同様に、ASHENSPIRE はポスト・メタルを思わせる設計図でカオスの層を積み重ね、催眠術のような効果をもたらします。ただし、ASHENSPIRE の集合住宅では、無骨で冷淡な”工業的な” 雰囲気よりも、ハンマー・ダルシマーやヴァイオリンの有機的振動で反抗世界が彩られ、最も暗い瞬間を美しくも儚く鳴らしています。つまり、”Hostile Architecture” は、後期新自由主義資本主義下において、都市の文脈で制約された様々な構造の階層と抑圧が再び動き出す方法を探る音響作品なのでしょう。
つまり、この作品は、ブルータリズム、ポストモダン、実用主義的な建築構造からインスピレーションを得ていて、産業革命後の都市の至る所で見受けられる本質的に呪術的で、手頃な価格のコスト削減住宅や、ホームレス対策用の手すりやスパイクを通して、コンクリートで固められた矛盾の不協和音に本来の住むとは、生きるとはの問いを投げかけているのです。
今回弊誌では、ASHENSPIRE の首謀者 Alasdair Dunnにインタビューを行うことができました。「僕が書いていた音楽は、他の多くのバンドが喚起するロマンチックなスコットランド観に反するものだとわかっていたからこそ、まず、スコットランドとの関連を明示したかったんだよ。過ぎ去った時代にグラスゴーのスカイラインを支配した煤と煙を吐き出す煙突、次に、それらの煙突の多くを映し出す、またはそこから発展したように見える高層アパート群を参考にしてね」 どうぞ!!
ASHENSPIRE “HOSTILE ARCHITECTURE” : 10/10
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