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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COBALT : SLOW FOREVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK WUNDER OF COBALT !!

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“American Black Metal” has evolved ! Cobalt Return With Full-of-intensity Discs and a New Screamer on “Slow Forever”!!

DISC REVIEW “SLOW FOREVER”

“American Black Metal” という唯一無二のジャンルを確立した COBALT が衝撃的な2枚のレコードと新たなスクリーマーを得てシーンに戻って来ました!!
Black Metal の出自は勿論欧州です。しかし、当然ながら、シーンが人気を博し拡散するに連れて世界中から Black Metal バンドが現れるようになりました。US から現れる Black Metal は興味深いバンドが多いようにも感じますね。
WOLVES IN THE THRONE ROOM, PANOPTICON に代表される自然崇拝を掲げたアトモスフェリックなカスカディアンブラック、KRALLICE, LITRUGY といったエクスペリメンタルなブラックメタルなど多種多様で実に個性的。中でも COBALT は前作 “Gin” においてヨーロッパの Black Metal にUSロック/メタルからの影響を多大に持ち込み、シーンを驚かせました。
残念ながら、それから7年という長いインターバルの間に、強い絆で結ばれていた不世出のボーカル Phil と 全ての楽器をこなす Erik は袂を分かちます。事の詳細はインタビューを参照していただくとして、残った Erik は新たに LORD MANTIS などで知られる Charlie Fell とタッグを組むこととなりました。そうして、難産の末生まれた新作 “Slow Forever” は、キャッチーかつアグレッシブ、非常に濃厚で革命的なダブルアルバムとして遂にリリースされたのです。あの Pitchfork誌で8.4という高得点をマークしたことも記憶に新しいですね。
まず記して置くべきは、Erik もインタビューで認めている通り、もはや Black Metal の要素はほとんど残っていないという点でしょう。音楽だけにフォーカスすれば、”Slow Forever” は強烈なインテンシティーと高度なインテリジェンスを纏った純粋な “American Metal” と言えるのではないでしょうか。
アルバムを通して、作品は Erik の TOOL に対する憧れが見事に開花していますが、大曲 “King Rust” は特に象徴的です。ブラストビートの代わりに使用される、プリミティブでトライバルな本能的ビートはまさに Danny Carey のそれで、リスナーの思考に直接訴えかけるような力強さを持っています。
有機物質のように形を変えながら、次々と繰り出される印象的なリフワークとミニマルでマスマティカルなアプローチも実に効果的。同時に、新加入 Charlie の野性的で獰猛なスクリームにより、TOOL 以上に NEUROSIS を感じるリスナーも多いでしょう。
しかし勿論、アメリカンミュージックからの影響は TOOL のみにはとどまりません。アルバムオープナー “Hunt the Buffalo” に代表されるように、クリーンギターを使用したブルース/カントリー/フォークミュージックに通じるリックの数々も彼らの重要なアイデンティティーとなっていますし、それは、突き詰めれば Mark Tremonti が CREED, ALTER BRIDGE といった Post-Grunge の重要バンドたちの中で行ってきた挑戦にも通じます。
さらに、彼らを語る時、ニューオリンズのスラッジモンスター EYEHATEGOD と USアンダーグラウンドの雄 SWANS をイメージすればより理解が深まるでしょう。メタルとハードコア、パンク、オルタナティブロックとフォーク、ノイズなど、彼らのダークでクロスオーバーな精神性はまさに COBALT と深く通じているからです。特に、”Elephant Graveyard” はここ数年でも傑出した地下音楽のクロスオーバーチューンだと感じました。
今回弊誌ではバンドの頭脳、Erik Wunder にインタビューを行うことが出来ました。以前から敬愛する、ヘミングウェイの有名なノーベル賞受賞スピーチ “at best, writing is a lonely life” の一節を “Iconoclast” で使用していますが、同様の気持ちだったのかも知れませんね。どうぞ!!

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COBALT “SLOW FOREVER” : 9.9/10

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