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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CURARE : PORTALES DE LOS ANDES】METAL ANDINO SAVES ECUADOR


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CURARE !!

“We Stand With The Native People That Take Care Of The Forest. Sometimes Against Transnational And Ecuadorian Enterprises Protected By The State Which Are The Ones That Pollute The Most. It Seems Totally Stupid To Destroy One Of The Megadiverse Countries Of The World Just To Get More Oil And Minerals.”

METAL ANDIO SAVES ECUADOR

「エクアドルでは13日間に渡ってゼネストが行われていた。これはエクアドルの先住民族を中心とした民衆の反乱ともいえる。僕たちは、この正当な抗議活動(石油や鉱山の開拓地での抗議活動も含む)を、音楽と路上やSNSでの存在感で、できる限りバックアップしてきたんだ。僕たちの国のすべての人にとって、つらい時期だ。でも僕たちは歴史の正しい側に立つことができて幸せだよ」
6月12日に SNS を通じて呼びかけられたエクアドルの人々の抗議行動は長期化の様相を呈しています。物価や燃料価格の高騰、コロナ禍による貧困の進行、労働者の非正規化、そして先住民族が受ける弾圧。そうした一般市民の不安や不満は強烈な渦となって噴出し、状況はラッソ大統領が非常事態令を出すまでにエスカレートしています。
世界中、どんな場所においても、”歴史の正しい側” に立つことは簡単ではなく、常に困難がつきまといます。しかし、CURARE のように、メタルの包容力はそれでも、いつでも、”正しい側”、いや少なくとも “弱いものの味方” “声なきものの味方” でありたいと願っているのです。
「僕たちは、森林を大切にする先住民族の人々とともに歩んでいるんだ。時には、国家によって保護されている多国籍企業やエクアドル企業、つまり最も汚染している企業にも強く反対する。より多くの石油や鉱物を得るためだけに、世界有数の巨大な多様性を持つ国の一つを破壊することは、まったく愚かなこととしか言えないだろ?」
アマゾンの大森林、アンデスの山々、そして太平洋とガラパゴス。3つの異なる大自然に抱擁されたエクアドルはしかし、不安定な政情、貧困と物価の上昇、マフィアの暗躍、そして無造作な自然破壊に苛まれる “悩める国家” でもあります。CURARE は、その研ぎ澄まされた音楽の弓矢に強烈な毒薬を塗りつけて、先住民族、農民、油田や鉱山の労働者、そして恩恵を受けた大自然のために戦い続けるメタルの救世主ともいえる存在です。
「南米の伝統音楽をメタルに取り入れるのが僕たちの義務だと思っているから。南米のシーンで様々なバンドを見てきたけど、僕たちの目の前にある全ての豊かな要素を取り入れたフォーク・メタルのサブジャンルを作ろうとする試みは今までなかったからね。南米の音楽的、神話的な要素を、ここのメタル・シーンでは誰も音楽的な創造に使用しなかったんだ。そのすべてが、僕たちの愛する要素であり、共に生きる要素なのに。だから、何があってもやり遂げたいんだ」
アンデスの民族音楽から、アフロ・エクアドル、パシージョ (エクアドル・ワルツ) など、エクアドルは自然だけではなく音楽も多様。そのすべてを吸収する CURARE のヘヴィ・メタルは想像を遥かに超えた生命力にあふれています。もちろん、南米のトライヴァルとメタルを結びつけた SEPULTURA は偉大ですが、CURARE のフォークメタルは、例えば FINNTROLL や SKYCLAD のようなフォーキーな遊び心がこの地の多様性をしっかりと包容しています。PRIMUS や RED HOT CHILI PEPPERS, RATM, SOAD といったオルタナティブでファンク由来の瞬間も刻々と投影され、時にはマラカスのハードコアからジプシーパンクまで縦横無尽。
カリヨンのようなギター、複雑なドラムパターンで始まり、ケーナが加わり、メタルからジャズに、ジャズからプログレッシブに、そして、ラテン・アコーディオンが加わり、ハードコアの攻撃的な主張で締めくくられる “Machalí” の躍動感は、まさにアンデスとアマゾン、そしてカリブ海をまたにかけるエクアドル・メタルの真骨頂でしょう。それにしても、ケーナの響きの美しさよ。メタルはついに、南米の神秘的な自然にまで到達し、感染したのです。
今回、弊誌では CURARE にインタビューを行うことができました。「CURARE をバンド名にしたのは、アマゾン(地球最後の緑の肺)からの強力な名前で、アマゾンの森の人々の古代の知恵が含まれているからなんだ。そしてもちろん、狩猟や戦争のための武器でもある。
2000年に行われたアマゾンの人々の抗議行動で、僕たちはアマゾンのキチュワ族の戦士たちと出会い、共に歌い、”チチャ・デ・ユカ”(儀式用の飲み物)を飲んだ。それが僕たちの世界観に大きな印象を残したんだよ。僕たちは、自分たちが作る音楽によって彼らに敬意を表そうと努めているんだ。先住民は歴史的に最も搾取されてきた民族で、彼らの多くは今もなお、自分たちの文化や生活様式を守り、石油や金産業から自分たちの土地や森林を守るために戦っているんだよ」 どうぞ!!

CURARE “PORTALES DE LOS ANDES” : 10/10

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