EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAKAAKIRA ‘TAKA’ GOTO OF MONO !!
PHOTO BY CHIGI KANBE
“I think that the problem of Japanese music scene is low artist level. They want to get popularity, want to be loved, want to make their living…such a mood is overflowing from their song. Everything seems to be a song of animation and drama, I feel it’s childish.”
DIRECTED BY JULIEN LEVY
DISC REVIEW “NOWHERE NOW HERE”
驚くほど色鮮やかな今日のポストロックシーンにおいて、MONO は源流であり孤高です。
理知的なキャンパスに描かれる彼らの重厚な音壁と繊細なテクスチャーの両極は、もはやジャンルのトレードマークとして定着し多数の後続を生みましたが、一方で、インストゥルメンタルバンドにとって最もスケッチの困難な感情の起伏を切り取り投影するアートなビジョンこそバンドの本質のように思えます。
つまり MONO のレコードは、二元性のダイナミズムに豊かな情操が織り込まれることで、光と影が相対する夢幻のダンスを踊るのです。それは、リスナーの想像力を掻き立てる架空のサウンドトラックにもなり得ます。
結成20年を迎えたバンドにとって、最新作 “Nowhere Now Here” は最もその “感情” にフォーカスした作品となったのかも知れません。その理由は制作段階の異変にありました。
「2017年は日本のマネジメント、レーベルとのトラブルや契約解除、そのタイミングでドラマーの脱退があってバンドは消耗し切っていて、一歩も動けないような状態だった。スケジュールもまったく決まってなくて、普通のバンドだったらここで解散するんだろうなってムードに包まれてた。本当に暗闇に入ってしまって先が見えなくなってしまったんだ。」
MONO が経験した試練、再生、夜明けのプロセスは、それぞれの感情を伴ってレコードへと深く刻まれています。もしかしたら、ダンテの神曲とリンクした前作 “Requiem For Hell” が、組曲というある種計画と洗練のレコードであったのとは対照的なのかも知れませんね。
幕開けを飾る “After You Comes the Flood” “Breath” のコントラストは、アルバムに宿るエモーションを象徴しています。
“Rays of Darkness” や “Requiem For Hell” の張り詰めたエナジーを受け継ぐ “After You Comes the Flood” でバンドはテーマとなる一つのメロディーを極限まで追求し、轟音と静寂、憤怒と絶望のメイルストロームを形成します。まるで13階段を登るかのごとく不吉に鳴り響く不協和の葬送曲は、しかし “Breath” でみせる光明へと収束していくのです。
「”僕たちは過去を断ち切って新しい地平に行くんだ”、という決意を言葉と歌で表現したいと思ったんだ。」これまで全てを楽器の音色だけで語って見せた MONO が初めて Tamaki のボーカル、”言葉” を必要としたのは、新たなチャプターへと移行する決意のステートメントが理由でした。
実際、溢れ出るノイズの猛攻から、Nico にも通じる切なさ、ノスタルジア、仄かな希望へのトランジションは、対比の魔法を超えて、自然の摂理、音と感情の息を飲む調和の域へ達したようにも思えます。
さらに、ホーンやストリングス、そしてピアノを的確に使用したオーケストレーションの妙も冴え渡ります。事実、タイトルトラック “Nowhere Now Here” に漲る人間の可能性、筆舌に尽くし難い “Sorrow” に込められた荘厳なる哀しみは、オーケストラに匹敵するほど繊細にして大胆です。
そうしてアルバム、そして MONO は、澄み切った青空を想起させる “Vanishing, Vanishing Maybe” で、過去への決別を果たしました。
「アメリカやヨーロッパでは、母国に既に存在しているものや、模写したようなバンドは全く必要としない。だから、彼らがこれまで聴いた事、感じた事のない気持ちになれるオリジナリティに溢れた素晴らしい何かを持った唯一無二の音楽でないと、世界に出る事はまず無理だと思う。」
世界中で絶賛された “Hymn To The Immortal Wind” をポストロックの殿堂へと納めながら、MONO の挑戦は終わりません。「もっと奥まで追求したい、もっと前に向かて進んでいきたい。」好奇心や追求心こそアートの根源。
「日本では “郷に入れば郷に従え” という言葉の通り、郷に従えれる人が成功出来るルールがあるようにさえ見える。」個性、多様性の意味、世界を知る男の違和感にぜひ耳を傾け、思考してみて下さい。Takaakira ‘Taka’ Goto です。どうぞ!!
MONO “NOWHERE NOW HERE” : 10/10
MONO “Nowhere Now Here” (2019)
レーベル: Temporary Residence Ltd. & Pelagic Records
トラックリスト:
01 God Bless
02 After You Comes the Flood
03 Breathe
04 Nowhere, Now Here
05 Far and Further
06 Sorrow
07 Parting
08 Meet Us Where the Night Ends
09 Funeral Song
10 Vanishing, Vanishing Maybe
購入 (CD/LP/Digital): http://www.smarturl.it/mono-nnh