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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WINGS OF STEEL : WINDS OF TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PARKER & LEO OF WINGS OF STEEL !!

“Power needs emotion, and technicality needs soul, and that balance is something we’ve always aimed to carry forward into Wings of Steel rather than focusing on technique for its own sake.”

DISC REVIEW “WINDS OF TIME”

「ヘヴィ・メタルは、常に単なる音楽以上の存在だった。人々が集い、仲間に理解され、自分よりも大きな一体感の中に強さを見出せる場所なんだよ。困難な時期には、解放、内省、そして繋がりのための空間となる。恐怖、怒り、希望、そして回復力といった感情を受け止め、人々を孤立させるのではなく、強い力へと変える方法を与えてくれる。ヘヴィ・メタルはコミュニティを創り出し、自分が孤独ではないことを思い出させてくれるんだ。国境、言語、そしてバックグラウンドを超えた一体感を与えてくれる」
SNS という人間のほんの一面だけを切り取って強調し、分断を加速させる悪魔のツールに汚染された現代社会において、ヘヴィ・メタルほど一体感や前向きな力を得られる場所は他に多くはないでしょう。ヘヴィ・メタルを聴いている間は、体感している間は、ライブを浴びている間は孤独から解放される。異なる意見、異なる国籍、異なる文化、異なる人種であっても、ヘヴィ・メタルにおいてはひとつになれる。ヘヴィ・メタルの回復力で困難を克服できる。
そんな素晴らしきヘヴィ・メタルの世界は、その寛容さ故に伝統や壁を破壊し、様々なジャンルや文化を養分として、細分化という枝葉を瑞々しく伸ばしています。だからこそ一方で、”バンディエラ”、旗頭の欠如という問題に直面しているのかもしれませんね。自由極まりないメタル世界だからこそ、メタルらしいメタルをやりづらい、焼き直しになりかねない。WINGS OF STEEL はそんなメタル世界で “時の風” を駆け抜け、”現代的な” 伝統的ヘヴィ・メタルを復活させ、メタルのバンディエラへ堂々たる名乗りをあげたのです。
「80年代について僕たちが最も共感するのは、特定のバンドやグループではなく、あの時代の全体的な精神…つまり強烈なソング・ライティング、真のミュージシャン・シップ、力強いメロディー、そして誠実で妥協のない個性なんだ」
メタルのメタルらしいバンディエラとなるためには、ソング・ライティング、ミュージシャン・シップ、メロディ、そして揺るぎない個性…そのすべてが必要とされますが、WINGS OF STEEL はまさにその “すべて” を兼ね備えています。彼らには、あの “Painkiller” で JUDAS PRIEST が提示した強烈なテクニックを超越した現代技巧の最高峰が備わっていますし、IRON MAIDEN が “Somewhere In Time” で刻み込んだ作曲術の極みも宿っています。そして憂を帯びた雄々しきメロディと11分の長尺曲で勝負する強い個性。つまりWINGS OF STEEL には、80年代にメタルを牽引した二大巨頭に備わる奇跡的な才能と似た可能性を確実に秘めているのです。
「80年代に生まれた素晴らしいヘヴィ・メタルには、本当に大きな敬意を抱いているんだ。 VICIOUS RUMORS や初期の QUEENSRYCHE, METAL CHURCH, CRIMSON GLORY, RIOT といったバンドは、このジャンルの歴史において重要な位置を占めている。あの時代はヘヴィ・メタル全体の形成に大きな役割を果たし、当然のことながら、当時のレコードの多くは、僕たちの音楽的ルーツの一部となっていったんだ」
加えて重要なのは、彼らがまだ20代という若さにして、私たちの愛する古き良きアメリカン・ヘヴィ・メタルの真髄を極めていることでしょう。当時パワー・メタルと呼ばれていたアメリカのメタル・ソルジャーたちは、メタルという狭い枠の中でいかに個性を、フックを、起伏を出せるかに心血を注いでいました。そうした伝統や格式の中に光るアイデンティティ、不自由の中の自由を、WINGS OF STEEL は誰よりも今、謳歌しているのです。
そう、21世紀最初のメタル四半世紀が過ぎ、メタルは原点への回帰を志向します。何よりも、耳馴染みがよく歌えて聴きやすい。流行りの NWOTHM、ETERNAL CHAMPION や HAUNT のいなたさも悪くはないですが、WINGS OF STEEL のトラディショナル・ヘヴィ・メタルはもっと明快でわかりやすく、より多くのリスナーにアピールし、鋼鉄の翼を広げてアリーナへと上り詰めるはずです。
今回弊誌では、ギタリストの Parker Halub と ボーカリスト Leo Unnermark にインタビューを行うことができました。「パワーには感情が必要であり、テクニックには魂が必要だ。僕たちは、このバランスを WINGS OF STEEL で継承することを目指してきたんだ」 ギターソロに見事なストーリーがあり、ボーカルの声質も相まって STRATOVARIUS を想起させる場面も。とにかく、DIO の “Lock Up the Wolves” が人生を変えたアルバムなのですから、間違いありませんね。どうぞ!!

WINGS OF STEEL “WINDS OF TIME” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SPELL : OPULENT DECAY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CAM MESMER OF SPELL !!

“We Think Our Music Is a Lot More Diverse Than That. We Never Try To Write ‘Heavy Metal Songs’ – We Just Try To Write The Best Songs We Can! Sometimes It Might Sound Like Pop, or Prog, or Gospel, or Disco, or Goth”

DISC REVIEW “OPULENT DECAY”

「カナダには偉大なバンドがたくさんいるけど、RUSH はアンタッチャブルな存在さ。19枚ものアルバムを全くの駄作なしで製作できるバンドが他にいるかい?彼らはキャリアを通じて何度も進化を遂げているし、常に適切で興味深い存在であり続けた。」
RUSH, TRIUMPH とカナダが生んだトリオは須らく、その音楽に絶佳の魔法を宿してきました。そしてその魔法は文字通り “呪文” の名を冠する若き三銃士 SPELL へと受け継がれていきます。
「”NWOBHM” や “NWOTHM” のラベルが貼られることが多いようには思えるね。おそらく CAULDRON, SKULL FIST, ENFORCER といった “ニューウェイブオブトラディショナルヘビーメタル” のムーブメントが勃興した時にバンドを始めたからだろうな。」
たしかに、SPELL はそのキャリアを通じてトラディショナルなメタルを磨き上げ、鮮やかな光沢を付与することに多大な貢献を果たしています。ただし、その狭い世界のみにとどまるには、SPELL の魔法はあまりに虹色です。
「僕たちの音楽は彼らよりもはるかに多様だよ。なぜなら僕たちは “ヘヴィーメタルソング” を書こうとはしていないから。ただ、できる限り最高の曲を書こうとしているんだ。だから時にはポップ、プログレッシブ、ゴスペル、ディスコ、ゴスのように聞こえるかもしれないね。良い音楽ならジャンルなんて気にしないのさ。」
“Opulent Decay” のサイケデリックな波光を受けて、SPELL の術式は神秘的なオーラとアクティブな胎動の共存を可能にします。エアリーなギタリズム、幾重にも重なるエセリアルなシンセ、叙情と憂いのハーモニー。時に Steve Harris を想起させる縦横無尽のベースラインはバンドの強力な碇です。
ポップ、プログレッシブ、ゴスペル、ディスコ、ゴスを巧みに操るメタルの新司教と言えば GHOST でしょう。ただし、バンドの首脳 Cam は GHOST や OPETH を目指しているわけではないと断言します。
「僕たちが自らを “Hypnotizing Heavy Metal” と称するのは、他のラベルが当てはまらないからなんだ。僕たちは音楽が魔法だと信じている。人々の現実を変える力を持った魔法だよ。”催眠術” をかけるようにね。それこそが僕たちの目標なんだ。」
ヒプノティックヘヴィーメタル。夢見心地の催眠術を施すヘヴィーメタルは、よりニッチでアンダーグラウンドな場所から現実を変える波動です。
BLUE ÖYSTER CULT の神曲 “(Don’t Fear) The Reaper” のヴァイブを纏う死神の哲学 “Psychic Death”、地下スタジアムの匂いを響かせるタイトルトラックに、よりリズミカルプログレッシブな “The Iron Wind”。何より、GHOST 成功の要因を抽出し黒魔術のポットで煮詰めたような “Deceiver” のロマンティシズム、訴求力にはただならぬものが感じられますね。
今回弊誌では、ベース/ボーカル Cam Mesmer にインタビューを行うことができました。「日本のバンドは大好きだよ!聖飢魔II、CROWLEY, LOUDNESS, GISM, THE EXECUTE, TOKYO YANKEES, THE COMES, G-SCHMITT, GHOUL なんかだね。日本には最高に強力でユニークなヘヴィーメタルとパンクの文化が根付いていて、僕はそこから最も影響されているんだよ。」どうぞ!!

SPELL “OPULENT DECAY” : 9.8/10

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