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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TIBERIUS : SINGING FOR COMPANY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAHAN TABRIZI OF TIBERIUS !!

“I think as a band, we very much try to be as authentic as we possibly can be, in a world of bands trying to be scary, masculine and tough, we’re just not like that as people, we like to think we’re cutting through the noise by being different and being honest about who we are.”

DISC REVIEW “SINGING FOR COMPANY”

「バンドとして、僕たちは可能な限り本物で、信頼できる存在であろうと努めているんだ。怖くて男らしく、タフであろうとするバンドの世界の中で、僕たちはどう考えてもそういう人間じゃない。僕たちはメタルのステレオタイプとは違っていて、自分たちがどんな人間かについて正直であることで、雑音を跳ね除けられると思いたいんだ」
ヘヴィ・メタルは男のもの。タフで強いもの。悪魔と死体の音楽。そんなステレオタイプは、21世紀に入って変わろうとしています。今では、女性のアーティストは少なくありませんし、死体や悪魔、剣と鎧のファンタジーだけではなく、内省的でパーソナルなテーマを扱うバンドも増えてきました。
そんなメタル世界で、スコットランドの新鋭 TIBERIUS はありのままの自分を見せることこそ、今のヘヴィ・メタルのあるべき姿だと信じています。なぜなら、ヘヴィ・メタルは正直な音楽だから。弱さを抱きしめる音楽だから。許しの音楽だから。そして、強い人間など、実はこの世界には存在しない、それこそ非現実的なファンタジーだから。
「僕たちは明るい色が大好きでね! 2018年に “Dissipate” のビデオ撮影でこの色にバイブスして、それ以来、ライブの演出やアートワーク、あるいは僕のピンクとブルーのギターを通して、この色をバンドの一貫したテーマにしてきたんだ!」
そんな TIBERIUS の、いやヘヴィ・メタルの現在地が如実にあらわれたミュージック・ビデオこそ、”Mosaic” だといえるでしょう。これほど、メンバー全員が幸せそうに、自然な笑顔でメタルを奏でるMVがこれまであったでしょうか?これほど、ピンクやブルーのビビッドカラーが映えるバンドがこれまで存在したでしょうか?これほど、ポジティブで、優しく、高揚感あふれる楽曲がこれまで聴けたでしょうか?
そう、TIBERIUS はメタルのステレオタイプを、そして閉塞感あふれる現代の暗がりを、”ありのままの自分” を見せることで打ち破り、正直で寛容な “より良い世界” を目指そうとしているのです。だからこそ、彼らは “Singing for Company”、仲間のために声を上げて歌います。
「複雑なリズムや曲の構成、テクニックを、リスナーにとって親しみやすいものにしているというだけで、”プログレとしては物足りない” と考える批評家もいる。一方で、”パワー・メタルとしては重すぎる” “激しすぎる” と考える人もいる。僕はそれを誇りに思っているんだ。もし君が心を開いてくれさえすれば、僕たちは誰にとっても何かを与えることができるし、もし君が心を開かないのなら、それは君の損失となる!」
ゆえに、彼らの音楽自体もメタルのステレオタイプで推し量ることは不可能。欧州版 AVENGED SEVENFOLD、あるいは IRON MAIDEN と LEPROUS の婚姻などと評される彼らの音楽は、パワー・メタルというには複雑すぎる、激しすぎる。プログ・メタルと呼ぶには高揚感がありすぎる…そんな批評家の声を浴びることもありました。しかし、それは逆に言えば前代未聞、唯一無二なる彼らの個性。メタルに加わる新たな魅力。そうした “異端” をも、心を開けば好奇心の新たな翼となる…TIBERIUS は自身の特異な音楽を通して、音楽の力で、世界に寛容さと許しの本質、そして何より笑顔を届けるのです。
今回弊誌では、ギタリスト Jahan Tabrizi にインタビューを行うことができました。「日本文化は間違いなく僕に影響を与えている。僕は子供の頃から X Japan の大ファンで、最近では The Gazette、The Back Horn、MIYAVI、LOUDNESS といった J-ROCK もよく聴いているので、おそらくそれらのいくつかが長年にわたって僕のソングライティングに浸透しているのだろうね」笑顔のメタル。 どうぞ!!

TIBERIUS “SINGING FOR COMPANY” : 10/10

INTERVIEW WITH JAHAN TABRIZI

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【JAHAN】: I was interested in music from a very young age, I remember getting a Sony Walkman when I was around 10 years old and the first tape I got was ‘ABC’ by Jackson 5, and then a friend’s Brother copied The Offspring’s ‘Americana’ which I played on repeat until CD’s became available and I bought Conspiracy of One, also by the Offspring. This was my gateway into heavy music and throughout my life I have went through different obsessions with various sub-genres such as Power Metal, Death Metal, Progressive Metal, Hard Rock and Nu-Metal. I was becoming a teenager when Limewire and Napster were at the height of their popularity and it gave me access to infinite music!

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【JAHAN】: 僕は幼い頃から音楽に興味を持っていたんだ。10歳くらいの頃にソニーのウォークマンを買って、そうして初めて買ったカセットテープは JACKSON 5 の “ABC” だったね。その後、友達の兄が OFFSPRING の “Americana” をコピーしてくれて、CDが手に入るまで繰り返し聴いていたな。そのころ、同じく OFFSPRING の “Conspiracy of One” も買ったね。
これがヘヴィ・ミュージックへの入り口となり、その後はパワー・メタル、デスメタル、プログレッシブ・メタル、ハード・ロック、Nu-metal など、様々なサブジャンルにハマっていったんだ。10代になる頃には Limewire と Napster が人気絶頂期で、無限の音楽に触れることができたんだよね!

Q2: I feel some classical influences in your music. Did you name your band after the great Finnish composer Jean Sibelius?

【JAHAN】: That’s an interesting interpretation! I’d say there’s definitely some elements of classical for sure! However, our band is named after Grant’s cat ‘Tiberius’ who was tragically struck by a car.

Q2: あなたの音楽にはクラシックの影響も感じますね。バンド名 TIBERIUS はフィンランドの偉大な作曲家、ジャン・シベリウスにちなんでつけたのですか?

【JAHAN】: 面白い解釈だね! 確かにクラシックの要素はあると思う! でも、僕らのバンド名は、Grant の飼い猫で、車にはねられるという悲劇に見舞われた “ティベリウス” にちなんでいるんだ。

Q3: When it comes to Scottish metal, Alestorm and Saor are well known, and they sing about their ancestors, the Vikings, and the beautiful landscape and history of Scotland. Do those themes influence you as well?

【JAHAN】: While I don’t think we’ve written any songs specifically about Scotland, there are a lot of Scottish sensibilities in our tongue-in-cheek lyric writing. It’s a very Scottish trait to use humour as a way to cope with terrible situations, like the state of the world right now. And of course, we’ve put bagpipes on a song!

Q3: スコットランドのメタルといえば、ALESTORM や SAOR が有名ですが、彼らは祖先やヴァイキング、スコットランドの美しい風景や歴史について歌っていますね。そういったテーマはあなたにも影響を与えていますか?

【JAHAN】: スコットランドについて特別に書いた曲はないと思うけど、僕たちの毒のある歌詞の書き方には、スコットランド的な感覚がたくさんあるんだよ。 今の世界情勢のようなひどい状況に対処する方法としてユーモアを使うのは、とてもスコットランド的な特徴だ。もちろん、バグパイプを使った曲もあるしね!

Q4: Some people describe your music as a European version of Avenged Sevenfold or the marriage of Iron Maiden and Leprous. Indeed, it’s an interesting combination, too catchy for prog metal and too complex for power metal, would you agree?

【JAHAN】: Those are certainly some flattering comparisons because I love all those bands! But you’re right, I often think Tiberius has a little bit of an identity crisis, some critics think we’re “not prog enough” just because we’ve managed to take complicated rhythms, song structures and techniques and make them approachable to the listener while others think we’re either too heavy or too intense for Power Metal. I’m proud of it, we have something for everyone if you open your mind to it, and if you don’t that’s your loss because we’re not changing!.

Q4: あなたたちの音楽を、ヨーロッパ版 AVENGED SEVENFOLD、あるいは IRON MAIDEN と LEPROUS の婚姻と表現する人もいます。 確かに、プログ・メタルとしてはキャッチーすぎるし、パワー・メタルとしては複雑すぎる、面白い組み合わせですよね?

【JAHAN】: 君の挙げたバンドはどれも大好きだから、確かにお世辞としても良い比較対象だね! 複雑なリズムや曲の構成、テクニックを、リスナーにとって親しみやすいものにしているというだけで、”プログレとしては物足りない” と考える批評家もいる。
一方で、”パワー・メタルとしては重すぎる” “激しすぎる” と考える人もいる。僕はそれを誇りに思っているんだ。もし君が心を開いてくれさえすれば、僕たちは誰にとっても何かを与えることができるし、もし君が心を開かないのなら、それは君の損失となる!

Q5: I really love the music video for “Mosaic” !In fact, I feel it is one of the greatest videos in metal history! Everyone is smiling, uplifting, and really kind. Metal is usually associated with grotesque corpses, heroic warriors, and terrifying demons, but you have completely destroyed those stereotypes, haven’t you?

【JAHAN】: Thank you! I’m really proud of how that came out. I was inspired by some horrible looking clothing from a menswear brand and I pitched the idea to Chris as it works so well with the lyrical content for Mosaic, being someone completely different when no one is watching. I think as a band, we very much try to be as authentic as we possibly can be, in a world of bands trying to be scary, masculine and tough, we’re just not like that as people, we like to think we’re cutting through the noise by being different and being honest about who we are.

Q5: “Mosaic” のミュージック・ビデオは本当に素晴らしいですね!実際、メタル史上最高の MV のひとつだと思いますよ! みんなが笑顔で、アップリフティングで、本当に優しさが感じられますね。
メタルというと、グロテスクな死体、英雄的な戦士、恐ろしい悪魔といったイメージがありますが、TIBERIUS はそういった固定観念を完全に壊していますよね?

【JAHAN】: ありがとう!あのミュージック・ビデオで実現したことを本当に誇りに思っているよ。あるメンズ・ウェアーのブランドのひどい見た目の服にインスピレーションを得て、人は誰も見ていないときはまったく別人になるという、”Mosaic” の歌詞の内容ととてもよく合うから、あのビデオのアイデアを Chris に提案したんだ。
バンドとして、僕たちは可能な限り本物で、信頼できる存在であろうと努めているんだ。怖くて男らしく、タフであろうとするバンドの世界の中で、僕たちはどう考えてもそういう人間じゃない。僕たちはメタルのステレオタイプとは違っていて、自分たちがどんな人間かについて正直であることで、雑音を跳ね除けられると思いたいんだ。

Q6: The artwork also breaks the metal mold with its bright pinks and blues! “Singing for Company” in a way symbolizes that metal is now a music of tolerance and unity?

【JAHAN】: We love bright colours! We vibes with these colours on the video shoot for Dissipate back in 2018 and have made them a consistent theme in our band ever since through our live show production, artwork, or even my pink and blue guitars!

Q6: アートワークも鮮やかなピンクとブルーでメタルのステレオタイプとは明らかに異なりますね。 “Singing for Company” はある意味、メタルが今や寛容と団結の音楽であることを象徴しているような気がします。

【JAHAN】: 僕たちは明るい色が大好きでね! 2018年に “Dissipate” のビデオ撮影でこの色にバイブスして、それ以来、ライブの演出やアートワーク、あるいは僕のピンクとブルーのギターを通して、この色をバンドの一貫したテーマにしてきたんだ!

Q7: At the same time, I feel that there now exists an important role for power metal’s uplifting energy and positive fantasy as an escape from the dark world. I believe that Japanese anime and video games also play such a role, but is there any influence from Japanese culture?

【JAHAN】: You’re right, people need to escape the harsh realities of life sometimes, but you can’t ignore them forever! There’s definitely some influences for me, growing up I was a huge X Japan fan and I listen to a lot of J-Rock these days too such as The Gazette, The Back Horn, Miyavi and Loudness so perhaps some of those have snuck into my songwriting over the years!

Q7: 同時に、パワー・メタルが持つ高揚したエネルギーやポジティブなファンタジーが今、暗い世界からの逃避先として重要な役割を果たすようになったと感じています。
日本のアニメやビデオゲームも似た役割を果たしていると思いますが、日本文化からの影響はありますか?

【JAHAN】: 君の言うとおり、人は時には人生の厳しい現実から逃れる必要があるけど、それを永遠に無視することはできないね。日本文化は間違いなく僕に影響を与えている。
僕は子供の頃から X Japan の大ファンで、最近では The Gazette、The Back Horn、MIYAVI、LOUDNESS といった J-ROCK もよく聴いているので、おそらくそれらのいくつかが長年にわたって僕のソングライティングに浸透しているのだろうね。

Q8: With Covid, war, and division, the world has been getting darker and darker since the beginning of the 20s. In such a world, what can heavy metal do?

【JAHAN】: Yeah, the world is super messed up right now, more so than it has been for a long time. Metal bands have the opportunity to speak up about injustice in the world through their music but also use their platforms and influence to spread the word. Local music scenes have the opportunity to build communities and safe spaces for those marginalised by hate groups. The world only gets better if we make it better and music is powerful in SO many ways!

Q8: パンデミック、戦争、分断、差別、抑圧と、20年代に入ってから世界はどんどん暗い場所になっています。 そんな世界で、ヘヴィ・メタルには何ができるのでしょう?

【JAHAN】: そう、世界は今、これまで以上にめちゃくちゃになっている。メタル・バンドには、音楽を通じて世界の不正義について声を上げる機会があるだけでなく、プラットフォームや影響力を利用してその言葉を広める機会もあるんだよ。
僕らの地元の音楽シーンには、ヘイト・グループによって疎外された人々のためのコミュニティと安全な場所を生み出す機会がある。僕たちが世界をより良くさえすれば、世界はより良くなるだけで、音楽はそういう意味で非常に多くの点で強力なツールなんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JAHAN’S LIFE!!

The Offspring “Conspiracy of One”

Kiss “Self Titled”

Slipknot “Iowa”

Dream Theater “Scenes from a Memory Part 2”

Protest The Hero “Fortress”

MESSAGE FOR JAPAN

Hello Japan! We would really love to come play in your beautiful country one day, so please tell all your friends about us and make sure to pick up your copy of Singing For Company from Disk Union!

日本のみんな、こんにちは! いつか君たちの美しい国で演奏したいと思っているよ。だから、ぜひ友人に僕たちのことを話して、ディスク・ユニオンで “Singing For Company” を手に入れてほしいな!

JAHAN TABRIZI

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SAOR : ADMIST THE RUINS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!

“When People Listen To SAOR, I Want Them To Close Their Eyes And Be Transported Somewhere Else―Away From Their Worries, Even If Just For a Little While. Music Has That Power, And I Think That’s What Makes It So Special.”

DISC REVIEW “ADMIST THE RUINS”

「メタルには生の激しさがあり、伝統的な民族音楽と見事に調和するパワーがある。民族音楽は魂に語りかけるもので、歴史や感情、土地との深いつながりを運んでくる。それとメタルのヘヴィネスとエネルギーとを組み合わせると、重厚で深い感動が生まれる。自然な融合だよ」
ブラックメタルが根付いた土地の文化や自然を愛する営みは、今やメタル世界において最も純粋さが感じられる尊い瞬間のひとつ。その老舗であり盟主、SAOR の中の人 Andy Marshall は世界屈指のフォーク/ブラックメタル・アーティストであり、スコットランドの計り知れない美しさと民俗文化に誰よりも思いを馳せ、愛情を注ぎながらその音楽を書いています。そう、ヘヴィ・メタルも伝統音楽も、魂に語りかける歴史と感情の音楽。だからこそ両者は、純粋に、そして外連見なく溶け合います。
「僕はいつもスコットランドの歴史に魅了されてきたんだ。”グレンコーの虐殺” は、僕たちの過去において最も暗く悲劇的な瞬間のひとつだった。僕は自分の音楽でスコットランドの歴史の異なる時代を探求していくのが好きなのだけど、当時は、この特殊なストーリーがとても心に響いたんだよね」
“Amidst the Ruins” “廃墟の中で” と題された SAOR 6枚目のアルバムは、ここ数作で少し霞んでいたスコットランドの自然、荒涼とした高地、艶やかな湖、霧に覆われた渓谷が再びまざまざと眼下に広がる作品に仕上がりました。壮大でプログレッシブ。伝統楽器とディストーションがドラマチックに勇躍する旋律の重厚舞踏。
ブラックメタルの激しさとケルト民謡のメロディーの壮大な融合はそうして、ハイランドの歴史に生命を吹き込んでいきます。 カレドニアの精神に導かれ、SAOR の音楽は故郷の古代の物語と響き合い、時を超えます。哀愁漂う廃墟と自然の中で SAOR の奏でる音魂は、人間の裏切りから森がささやく秘め事まで、時代を超越した風景と人類の業を風化した幽玄なる渓谷から蘇らせていくのです。
インタビューの中で Andy は、歳をとるにつれて政治に関心がなくなってきた、暴力や欺瞞が蔓延る暗い現代よりも自分の音楽に集中したいと語っています。実際、スコットランドの独立を願っていた以前よりも肩の力が抜けて、スコットランドの美点へとよりフォーカスした作品はそんな考え方の変化を反映しているようにも感じます。
ただし、そうした変化の中でも Andy は、荘厳にして深淵、一際悲哀を誘う “Glen of Sorrow” で “グレンコーの虐殺” を取りあげました。これは17世紀にイングランド政府が手引きして起こった、スコットランド、グレンコーの罪なき村人たちが殺戮された忌まわしき事件。この一件により、スコットランドとイングランドはより険悪な関係となり、その余韻は300年を経た今でも少なからず続いています。ハイランドの嘆きの谷。そこに巣食う亡霊は今の世界を見て何を思うのでしょうか?きっと、Andy Marshall はそんな問いかけをこの美しくも悲しい暗がりで世界に発しているのではないでしょうか?
今回弊誌では、Andy Marshall にインタビューを行うことができました。
「僕はメタルだけじゃなく、すべての音楽は、ある意味で逃避場所になりうると思う。人々がSAORを聴くとき、目を閉じてどこか他の場所へ…ほんの少しの間でも悩みから遠ざかってほしい。音楽にはそういう力がある。それが音楽を特別なものにしていると思う」それでも、私たちにはヘヴィ・メタルがある。二度目の登場。 どうぞ!!

SAOR “ADMIST THE RUINS” : 10/10

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EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!

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Scottish Pride Is Here! Pioneer Of Mixing Celtic Folk Music And Post Rock / Metal, SAOR Has Just Released Definitely Epic New Album “Guardians”!! 

DISC REVIEW “GUARDIANS”

ボーカルも担当するマルチプレイヤー Andy Marshall の DIY プロジェクト SAOR がスコットランドのプライドをかけた最新作 “Guardians” をリリースしました!!ケルトの響きと Metal, Post 系の音楽を見事に融合した佳麗で雄大な作品は、シーンに大きな衝撃を与えています!
バンドのマイルストーンとなった前作 “Aura” から磨き上げられ、お馴染みのフィドル、バグパイプ、ストリングスといったケルトの民族楽器がよりクリアーでストレートに使用されたという “Guardians”。確かに、全5曲、全てが10分以上というエピックの極みを体現したかのようなアルバムを聴けば、リスナーはスコットランドへと旅することが可能です。
眼下に広がるのは、雄々しくも鮮やかな彼の地の景色かも知れませんし、独立のために誇り高く戦うハイランドの戦士たちかも知れません。ただ、間違いなく聴く者をスコットランドと結びつけ、その場所、文化、歴史から何かを強く喚起させる作品であることは確かですね。
インタビューで Andy は Black Metal のみにカテゴライズされることに嫌悪感を表していますが、とは言え、”Guardians” の神秘的、瞑想的な至上の美を際立たせているのが、鋭利なトレモロリフと猛々しくもダークな激情のボーカルにあることも事実でしょう。その感情のコントラスト、波打つようなアトモスフィア、音楽的多様性は彼の巧みな演奏とコンポジションの技術によって生み出されているのです。
注意深く “Autum Rain” を聴けば、彼の独特なギターの使用法を感じることが出来るでしょう。冒頭からストリングスの優美な響きが支配する楽曲において、Andy のリードギターは寸分の違和感もなく、まるで第1バイオリンのようにオーケストラに参入します。決して圧倒せず、主役になることもなく、自然にアンサンブルへと調和するこのロックを代表する楽器によって、アルバムにはクラッシックでも既存のロック/メタルでもない前衛的な美しさが生まれているのです。
また、モチーフの展開にも彼独特の方法論が活用されています。10分を超える楽曲群には、当然同じメロディーが何度か現れるのですが、Andy はそのモチーフを決して2度同じアンサンブルで奏でることはありません。楽器の数、種類、そしてダイナミズムを見事に操りながら、交響曲のように楽曲に表情を生んでいきます。
ボーカル、ギター、ドラムス、フルート、バグパイプ、フィドル、バイオリンといったマキシマムな楽器陣で圧倒したかと思えば、一方でピアノやドラムスとリード楽器のみでミニマムな静寂の世界を演出。その対比の妙は、ケルトの魅力的なメロディーと相まってアルバムを実にカラフルに磨き上げています。
そして勿論、インタビューでも語ってくれた通り、使用される民族楽器がデジタルではなく、全てリアルに演奏されている事実がより作品を本物にしていることは明らかですね。
“Hearth” に象徴されるように、今作で実に多彩なバリエーションを見せるようになったドラムスのフィルインやリズムワークを基にしたプログレッシブなアプローチも “Guardians” を際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、SAOR の首謀者 Andy Marshall にインタビューを行うことが出来ました。映画 “Braveheart” を想起させるまさにシネマティックな音楽世界。ALCEST のファンは勿論、MOONSORROW や SIGUR ROS のファンにもぜひ聴いていただきたい1枚です。どうぞ!!

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SAOR “GUARDIANS” : 10/10

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