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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TOXIK : DIS MORTA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSH CHRISTIAN OF TOXIK !!

“I Think When You Realize You’ve Got a Knack For Something It’s Seductive You Want To Keep Pushing It To See Where Your Boundaries Are. The Expression Is What Carries Us As Artists.”

DISC REVIEW “DIS MORTA”

「レーベルは METALLICA と SLAYER の波を利用することばかり考えていたみたいだけど…特にアメリカではね。純粋に僕たちは早すぎたんだ。たしかに TOXIK はスラッシュの波に乗ったけど、これってスラッシュなの??それが完璧な例えだよ。初期の TOXIK の75%は超高速でシンコペーションしたテストステロンで、残りの25%はメロディとダイナミクスだったから。スラッシュはみんなの中にある最も近い定義だっただけなんだと思う」
80年代半ばにギタリスト Josh Christian によって結成されたアメリカのスラッシュメタル・バンド TOXIK はメタルにとって早すぎた “毒気” であり、勇気ある開拓者でした。デビュー作 “World Circus” の無慈悲な猛攻で MEGADETH や ANTHRAX, それに SANCTUARY といった猛者たちを震えあがらせた彼らは、続く “Think This” でメタルの羽化を促しました。例えば、CORONER が、例えば WATCHTOWER が、例えば MEKONG DELTA が、例えば ARTILLERY がそうであったように、TOXIK もまたメタルのスピードとスリルを奇想天外な知と魑の世界に誘いました。中でも、彼らの精巧な技巧とプログレッシブな創造性は群を抜いていました。
「自分の限界を知るため挑戦することは魅力的だからね。そうすることが、僕たちをアーティストたらしめているとも言える。”Think This”…これは無謀で純粋な芸術的主張だった。レーベルはそれを好まず、ファンは “奇妙だ” と言った…だから当時は崖から飛び降りたようなものだったけど、今となってはこのレコードが多くの人にとってベンチマークとなっているのだから、振り返ってみると正しいことだったように思えるね」
結局、商業的な成功を収めることは叶わず、92年に解散に至った TOXIK。しかし、Josh が語るように彼らの無謀とも思える挑戦は決して無駄ではありませんでした。”Think This” の異様はいつしか威容へと姿を変え、CYNIC, ATHEIST, 後期 DEATH, MESHUGGAH、さらに最近では VEKTOR といったゲームチェンジャーたちの指標となりました。そうして彼らは、メタルの多様性や寛容さを開花させていくこととなります。
「たしかにこのアルバムには時間がかかったけど、これから僕たちは進み続けるし、実はこの現代版の僕たちをもっとたくさんマテリアルがあるんだよ。残酷だけど超美しいものがたくさんあるんだ」
20年間沈黙を守っていた TOXIK ですが、2013年には世界の舞台に戻り、ダイナモをはじめとする数々のフェスティバルに出演。その後、新しくなったバンドで “In Humanity”, “Breaking Class”, “Kinetic Closure”の3枚の EP をリリースし、”World Circus” と “Think This” の再録を披露。そして今、2022年、TOXIK は前作から33年という壮大な年月を経て、3rdアルバム “Dis Morta” を完成させました。
大胆に、苛烈に、衝動的に疾駆する “Dis Morte”, “Feeding Frenzy” のオープニング・ダブルは、得意の社会的・政治的なトピックを題材にしながらトラディショナルなモッシュピットを構築します。”発情した QUEEN”、そんな作品の世界観を植え付けながら。もちろん、MORDRED にも通ずるクロス・オーバーの美学も TOXIK の個性ですが、OVERKILL にも匹敵する強度と灼熱のペースも同様に彼らの真骨頂。スラッシュに対する鬼気迫る飢えは、33年の空白を埋めて余りあるターボチャージャーの衝撃。
それにしても、Allan Holdsworth のソロ曲を無理やりスラッシュメタルと悪魔合体したかのような後者は壮絶。Alex Skolnick だけが持て囃されるスラッシュ・ギターの世界は不公平だと言わざるを得ません。HEATHEN の Jim DeMaria もスーパー。
一方で、緩やかななパッセージ、ミドルテンポの迷宮、プログレッシブな情熱が巧みなギヤチェンジを交えて融合した “Hyper Reality” は、新たな地平への大胆な挑戦として際立っていて、TOXIK が未だ実験とサウンドスケープの拡張を恐れていないことを改めて証明します。同様に、古のプログレッシブを引用した “Chasing Mercury” やジャズ・バラードが加速する “Devil in The Mirror”, NEVERMORE の異形にも接近した “Creating the Abyss” も TOXIK にしか不可能な境界の侵食でしょう。そう、これはまごう事なき “Think This” の続編。
今回弊誌では、Josh Christian にインタビューを行うことができました。「僕の父は、僕が生まれる前に日本にいた頃の話をしながら、日本の文化をロマンチックに語ってくれていたからね。父は日本の社会とその組織を非常に尊敬していて、アメリカ社会についての会話でしばしば対比的な例として使っていたんだよ…。80年代、NYの子供たちは日本の影響を受けつつあって、特に僕はゲームに夢中で、他にもコミック、アニメ、音楽などで影響を受けたんだ。当時、日本に夢中になっていたから “Tokyo” という名前がフィットしていたんだよ。今日でも、TOXIK から日本の影響を聴くことができるよ」 どうぞ!!

TOXIK “DIS MORTA” : 10/10

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