EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YOAV EFRON OF DISTORTED HARMONY !!
“We Started As Classic Prog Metal, Evolved And Matured Into a Much More Modern Prog Act And I See No Need Or Desire To Add Oriental Elements Into Our Music.”
DISC REVIEW “A WAY OUT”
イスラエルに響く”歪のハーモニー” は世界へと波動する。プログメタルの過去と未来に干渉するクロノトリガー DISTORTED HARMONY は、その最新作 “A Way Out” で無謬のミッシングリンクを提示します。
まさにクラッシックプログメタルの “ユートピア”、”Utopia” でデビューを果たして以来、新世紀の象徴 Jens Bogren をサウンドエンジニアに据えたバンドはより多様でリッチなモダンプログの領域を探求し、温故知新のエキサイティングな融和をシーンにもたらしています。
確かに彼らの方法論は “歪” なのかも知れませんね。なぜなら、同じ “プログメタル” という看板を掲げていながら、クラッシックなレジェンドとモダンな新世代の音楽性、概念には時に多くの共通項を見出せない場合さえ存在しているからです。
しかし、クラッシックなプログメタルを出発点とする DISTORTED HARMONY は自らの豊潤なるルーツと向き合いながら、刺激的な現在、未来の空気をその音楽に反映しています。
「正直僕にはもう耐えられなかったんだ。プログメタルの “一般的な構成” のみと対峙するのは退屈になってしまったんだ。」実際、前作 “Chain Reaction” リリース時のインタビューでバンドのマスターマインド Yoav Efron はそう語っています。そうして彼らが辿り着いた “トリガー” は、Djent, エレクトロニカ、アトモスフェリックといったフレッシュなモダンプログレッシブの領域だったのです。
Amit と Yoel、2人の新たなギタープレイヤーを加え6人編成となった DISTORTED HARMONY が放つ “A Way Out” は、そうしてバンド史上最も鋭くヘヴィー、ダークでパーソナルな感情を宿すマイルストーンに仕上がりました。
EDMの煌びやかなシンセサウンドに導かれるオープナー “Downfall” はアルバムへのシンプルな招待状。小気味よい Djenty なリフエージ、ポリリズムの海に浮かび流れる甘く伸びやかなボーカルメロディーはまさしくバンドが到達した至高のクロノクロス。
よりエピカルな “Awaken” は、一際顕著に交差する時流のコントラストを浮かび上がらせます。ピアノとクリーンギターを使用したジャジーでシアトリカルな世界観は Devin Townsend の遺伝子を脈々と受け継ぎ、同時に繊細なデジタルビートとアトモスフェリックなシンセサウンドがリスナーのイメージを現代へと連れ戻すのです。
後半のアップデートされた Djenty なリフワークと DREAM THEATER ライクなシーケンスフレーズのせめぎ合いも、エスカレートするテクニックの時間旅行を象徴していますね。
そしてこの濃密なタイムトラベルにおいて、特筆すべきは深遠なるディープボイスから甘美で伸びやかなハイノートまで司る Michael Rose のエモーショナルな歌唱と表現力でしょう。
DREAM THEATER の “Awake” を KARNIVOOL や PORCUPINE TREE のセオリー、アトモスフィアでモダンにアップデートしたかのようなメランコリックな秀曲 “Puppets on Strings”, “For Easter” を経て辿り着く “A Way Out Of Here” は、Michael の才能を最大限まで活用しプログレッシブポップの領域を探求した感情の放出、叫びに違いありませんね。固定観念、支配から目覚め芽吹く自我。それはもしかするとバンドの進化した音楽性にもリンクしているのでしょうか。
そうしてアルバムは、高揚感に満ちた “We Are Free”, 荘厳なる “Someday” でその幕を閉じました。希望、喜び、解放、自由。そこに一筋の不安と寂寞を残しながら。
今回弊誌では、キーボードマエストロ Yoav Efron にインタビューを行うことが出来ました。「僕はあんなに小さな小さなシーンにもかかわらず、非常に豊かで多様なイスラエルのシーンにはいつも驚かされているんだよ。」どうぞ!!
DISTORTED HARMONY “A WAY OUT” : 9.8/10
INTERVIEW WITH YOAV EFRON
Q1: It seems Distorted Harmony stated as Israeli super-band from Systema Teleion, Anakdota and HaTachtonim, right? So, where did your band name Distorted Harmony come from?
【YOAV】: That is incorrect my friend. Distorted Harmony started in my old bedroom writing music in logic on my computer, at my mother’s house. Searching for musicians I came upon Yogev and together we brought the rest of the gang. Being young and “stupid”, I thought DH would be a cool name for my “studio”. I liked the notion of a twisted, bent and unreal Harmony, the dichotomy of it. We actually tried coming up with other names and settled on Distorted Harmony.
Q1: DISTORTED HARMONY はそもそもイスラエルロックシーンのスーパーバンドとして始まったようですね?
【YOAV】: その見方は正しいとは言えないね。DISTORTED HARMONY は母の家にある僕の古いベッドルームで、コンピューターを使用した作曲から始まったんだ。ミュージシャンを探す段になって Yogev の起用を思いつき、それから2人で残りのメンバーを集めていったんだよ。
まだ若くて “愚か” だったから、DISTORTED HARMONY (歪んだハーモニー) こそ僕の “スタジオ” にはピッタリの名前だと思ったんだ。当時の僕は屈曲したリアルでないハーモニーの概念が気に入っていたからね。一般的なロックに対する対立的な概念としてね。それから他の名前も考えてみたんだけど、結局 DISTORTED HARMONY に落ちついたのさ。
Q2: Regarding Israel, metal fans may remind oriental bands like Orphaned Land, Melechesh. But, I feel your music is not into such a ethnic, Middle Eastern influences, right?
【YOAV】: Absolutely not! Hehe. I myself was never into ethnic/ME music and never thought we should incorporate its influences into our music. We started as classic prog metal, evolved and matured into a much more modern prog act and I see no need or desire to add such elements into our music. But if you’d like some prog-fusion-oriental infused music – check out Yogev and Yoel’s project – HAGO.
Q2: イスラエルといえば、メタルファンは ORPHANED LAND や MELECHESH といったオリエンタルなバンドを思い浮かべるでしょう。しかし DISTORTED HARMONY の音楽には中近東のエスニックな風味は存在しませんよね?
【YOAV】: 完全にないよね!(笑) 僕個人としてはエスニックな音楽にのめり込んだことはないし、バンドとしてもその影響を音楽の中に取り入れようとしたことは全くないね。
僕たちはクラッシックなプログメタルバンドとして始まり、よりモダンプログアクトの領域へと進化し成熟を続けて来たんだ。だから、エスニックな要素を取り入れる必要性、欲望が湧かなかったというのが本音だね。
だけどもしプログ-フュージョン-オリエンタルが融合した音楽が聴きたいなら、Yogev と Yoel のプロジェクト HAGO をオススメしておくよ。
Q3: Could you tell us about your musical background? Who was your musical hero at that time?
【YOAV】: Actually we’re a very diverse group when it comes to influences. Our backgrounds range from heavy rock and metal, all the way to jazz, pop, electronic music, cinematic music and many more.
Q3: ではバンドの受けた影響や、音楽的なヒーローを教えていただけますか?
【YOAV】: 実際、インフルエンスに関して僕たちは非常に多様なグループなんだよ。僕たちのバックグラウンドはヘヴィーロックからメタル、そしてジャズ、ポップ、エレクトロニカ、シネマティックなど実に多岐に渡っているんだ。
Q4: So, how is running a metal band in Israel? How has Israeli scene changed compared with the time when you started Distorted Harmony?
【YOAV】: It always amazes me how rich and diverse our tiny tiny metal scene is. Lots have changed yet still remains the same. I believe we (the bands) have changed way more than the listeners and concert goers. It seems there are more bands than ever before, and it’s a damn good thing!
Q4: イスラエルのメタルシーン、彼の地でメタルバンドを運営することについてお話していただけますか?
【YOAV】: 僕はあんなに小さな小さなシーンにもかかわらず、非常に豊かで多様なイスラエルのシーンにはいつも驚かされているんだよ。僕たちが始めた頃と比べると変わったことも多いけど、変わらないものもあるね。
僕はイスラエルのシーンはリスナーやコンサートのオーディエンスよりも、バンドのやり方がより変化を見せて来たと信じているんだ。それに演奏を行うバンド自体も以前より増えてきたしね。とても素晴らしいことだと思うな!
Q5: OK, let’s talk about your newest record “A Way Out”. It seems this record focused on personal, various emotions. I feel “We Are Free” and “A Way Out of Here” are kind of symbols of this record. Do you agree that?
【YOAV】: ‘A Way Out’ is indeed much more personal and upfront and ‘A Way Out Of Here’ definitely captures these notions – and emotions, no doubt about it, it’s probably the most emotional track in the album but it’s also the most different – sound, playing and overall vibe. While I can’t say the same for ‘We Are Free’.
Q5: では最新作 “A Way Out” について話しましょう。非常にパーソナルで、多様な感情を封じた作品だと感じます。中でも “We Are Free” と “A Way Out Of Here” はそういったアルバムのコンセプトを象徴する楽曲にも思えます。
【YOAV】: そうなんだ。実際、”A Way Out” は非常によりパーソナルで、率直な作品だよ。そして間違いなく “A Way Out Of Here” はそういった概念、そしてエモーションを捉えた楽曲だね。疑いようもなくね。
おそらく、作品で最もエモーショナルな楽曲だと思うよ。同時にサウンド、演奏、全体的なヴァイブが最も異なる楽曲かも知れないね。”We Are Free” にかんしてはそうでもないと思うけど。
Q6: I feel “A Way Out” is more “Techy”, “Djenty”, dark & aggressive record than your previous releases. I think it’s kind of “Awake” for Dream Theater, maybe. Do you think Amit and Yoel, new guitar team allows the band to explore such a new realm?
【YOAV】: It’s a certain Yes. Having two amazing guitar players certainly played a role when writing and composing ‘A Way Out’. Knowing I got these beasts playing the music I just composed certainly made it easier and allowed me to explore much more complex and heavier riffs and tones.
Q6: 音楽的には以前の作品よりも “Techy” で “Djenty” そしてアグレッシブなレコードに仕上がったと感じます。Amit と Yoel の新たなギターチームが新たな領域の探索を可能にした部分はありますか?
【YOAV】: うん、確かにそうだと思う。2人の素晴らしいギタリストが加入したことは、”A Way Out” のライティングやコンポジションに重要な役割を果たしたんだ。
実際、彼ら2人が加わってくれると知ってから、本当に作曲が楽になったし、より複雑かつヘヴィーなリフ、ギタートーンを探求することが可能になったんだからね。
Q7: But off course, there is your trademark, silky melody, ethereal atmosphere, and beautiful intelligence in this record. That’s why, you are often compared with “Post-Progressive” bands like TesseracT, Steven Wilson and Karnivool. What’s your perspective about the comparison and recent prog scene?
【YOAV】: I recently started listening to TesseracT, Wilson is one of the best out there and Karnivool is my favorite band, so I couldn’t be happier being compared to those amazing three bands/projects. It was never my intention, I’m not composing with a specific goal to sound-like etc. But we’re all influenced by so many artists all the time, it’s nice to find those influences in these comparisons.
Q7: 一方で、もちろんバンドのトレードマークである繊細なメロディー、エセリアルなアトモスフィアもアルバムを満たしていす。しばしばバンドが受ける TesseracT, KARNIVOOL, Steven Wilson などとの比較は、そういった部分が大きいのでしょうね?
【YOAV】: 僕が TesseracT を聴き始めたのは本当に最近なんだ。Steven Wilson はもちろんシーンでベストの1人だし、KARNIVOOL は僕のフェイバリットバンドだよ。だからそういった三者と比較されるのはとても光栄だと言えるね。
ただし、それは意図したものではないんだよ。僕はある特定のゴールやサウンドを目指して作曲することはないからね。だけどもちろん僕たちは全ての時代の多くのアーティストから影響を受けているから、そういった比較の中から彼らのような素晴らしいバンドの影響を見つけてくれるのは嬉しいよ。
Q8: Also, electronic elements and strings arrangement is essential for this record. It seems “diversity”, “eclectic” are kind of keywords for “A Way Out”, right?
【YOAV】: Absolutely! Again, this is a consciously made decision, I would never try and “sound eclectic” or deliberately compose a section for “diversity’s sake”, but it’s heart warming to hear these kinds of keywords when discussing and hearing what people think about ‘A Way Out’.
Q8: エレクトロニカやストリングスのアレンジメントも作品には欠かせない要素となっていますね。”A Way Out” のキーワードはまさに “エクレクティック” ではないでしょうか?
【YOAV】: その通りだよ! ただし、さっきも言ったけど意識的にそうした訳じゃないんだ。僕はこれまでも “エクレクティックなサウンド” を意図的に引き出したり、”多様性のため” のセクションをわざわざ製作したことはないんだよ。
とは言え、エクレクティックとか多様性という言葉をインタビューで聞けたのはとても嬉しいし、みんなからの “A Way Out” についての意見も聞いてみたいね。