EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNIE HASLAM OF RENAISSANCE !!
PHOTO BY BRIAN TIRPAK
“I Have Been Blessed That My Voice Has Stayed Strong… I Really Love To Sing The Songs Of Renaissance.”
A SYMPHONIC JOURNEY
60年代後半、ブリティッシュロック第2の波はメインストリームに清新な音風を吹き込みました。質量を纏ったロックンロールは、ジャズ、フォーク、クラシカル、そしてポップミュージックと融合し華麗なオーケストラを奏で始めたのです。そして、至高のコンダクターが集うそのムーブメントは、”プログレッシブロック” “進化するロック” と称されるようになりました。
残念なことに、ムーブメントの中で RENAISSANCE は、YES, KING CRIMSON, そして GENESIS ほどの盛名を馳せた訳ではありません。”Northern Lights” のヒットが生まれた70年代後半まで、バンドがチャートを賑わせたりスタジアムをフルハウスにすることはありませんでしたし、何より彼らは前述のコンダクターたちほどテクニカルでも、フラッシーでも、実験的でもなかったからです。
しかし、RENAISSANCE にはクラシック音楽、フォーク音楽をオーケストラルに、シンフォニックにロックへと昇華する唯一無二の独自性が確かに存在していました。
「私たちの音楽は魂の深い部分に触れるものなの。」 Annie Haslam のオペラティックに舞い上がる5オクターブの声翼、Jon Camp のメロディックに推進力を秘めたベースライン、そして Michael Dunford のデリケートで味わい深いギターアレンジメント。彼らのプログルネサンスはただ一貫して魂に触れる音楽の追求だったのです。
世界初のシンフォニックロック女性シンガー Annie が RENAISSANCE に加入したのは “移行” の時期でした。YARDBIRDS のレジェンド Keith Relf が着手した「ロックにクラシックやフォークをブレンドして進化を遂げる」構想はそのままに、メンバー全てが交代しリリースした”Prologue” からバンドは躍動を開始します。Annie のそびえ立つ美声、John Tout のジャジーでラテンな鍵盤捌き、Jon Camp の華麗なベースライン。エレガントなタイトルトラックはまさしくルネサンスイズムの芽生えでした。
バンドのクリエイティブフォースである Michael Dunford が正式に復帰し、オーケストラを導入した “Ashes Are Burning” は ELP や YES のファンの目を惹くに充分なクオリティーを誇るブレイクスルーアルバムとなりました。Dunford の緻密で淡く、マジェスティックなアレンジメント、アコースティックの響きは完璧なまでにバンドにフィットし、オープナー “Can You Understand?” で魅せるロックとクラシカル、そしてフォークの目眩くコントラスト、ダイナミズムは作品をプログレッシブの名作として長らく語り継がれるマイルストーンへと押し上げたのです。
作品を重ねるごとに RENAISSANCE はそのプログレッシブのイヤーキャンディー、シンフォニックでエセリアルな天にも昇る聴き心地を高めていきました。中でも、75年にリリースした “Scheherazade and Other Stories” は最もシネマティックで、深層までレイヤーされた極上のデザインを誇るマスターピースです。
25分のエピック “Song of Scheherazade” はライブアルバム “Live at Carnegie Hall” でさらにそのスリル、ダイナミズムを増して、圧倒的なまでにリスナーを恍惚へと誘います。一方で、後に BLACKMORE’S NIGHT もカバーした “Ocean Gypsy”、前作の “I Think of You” で提示した幽玄に煌めく叙情のスロウダンスも実に白眉なのですが。
しかし、米国で成功のピークに達したバンドは “Northern Lights” のヒットを境にダークピリオドへと陥ってしまいます。「正直に言って大きな過ちだったと思うわ。当時私たちは自らの大事な大事な財産を置き忘れてしまったのね…」インタビューで Annie も認めているように、ヒットを求めるプレッシャー、ニューウェーブやディスコミュージックの台頭により、80年代に入りバンドはその魂を置き忘れ迷走し、遂には分裂に至ってしましました。
ソロ活動を経て Annie, Michael の両者が合流。2000年に “Tuscany”をリリースし、バンドの40周年を契機にリユニオンが本格化するとシーンはレジェンドの復帰を諸手を挙げて歓迎しました。しかし、新作 “Grandine il Vento” が予定され RENAISSANCE にとって何者にも代えがたい1年となるはずだった2013年を前に、Michael Dunford が逝去してしまったのです。
“Grandine il Vento”, 後にリイシューを経て “Symphony of Light” と銘打たれた作品は、Annie が “導きの光” と慕っていた Michael への素晴らしいトリビュート、墓碑となりました。
今では5人のアメリカ人と、米国在住の英国人というラインナップになった RENAISSANCE ですが、Annie の情熱、そして天賦の歌声は衰えることを知りません。そうして、オーケストラとの共演を封じたライブDVD “A SYMPHONIC JOURNEY” は新たな旅立ちの象徴としてリリースされます。8年ぶりに決定した来日公演はまさにその伝説と飛翔を目にするこの上ないチャンスとなるはずです。
今回弊誌では、歴史の証人 Annie にインタビューを行うことが出来ました。「そして何より、私は心から RENAISSANCE の楽曲を歌うことを愛しているの。」アートワークに使用するほど絵画や写真にも秀でた芸術の人。どうぞ!!
INTERVIEW WITH ANNIE HASLAM
Q1: Hi, Annie! Thanks a lot for giving us such a great opportunity. “Renaissance A Symphonic Journey” in Japan is just announced! It’s first time in eight years. How do you feel now?
【ANNIE】: VERY excited, it has been too long since we were there last in 2010. The shows will be wonderful.
Also I will be at Disk Union’s Shinjuku store in Tokyo at 3pm local time on September 16th…to promote the shows and our new DVD ‘A Symphonic Journey’ with the Renaissance Chamber Orchestra. Hope to see you there!
Q1: 8年ぶりの来日が決定しましたね!まずは今のお気持ちを聞かせていただけますか?
【ANNIE】: とても、とても興奮しているわ!2010年、最後に日本を訪れた時から随分と時間が経ってしまったわね。きっと素敵なショウになるはずよ。
あと、9/16の午後3時から新宿の Disk Union でショウと新作DVD “A Symphonic Journey” Renaissance With Chamber Orchestra” のプロモーションを行うわ。ぜひいらっしゃってくださいね!
Q2: It seems you’ll play “Island” from the album “Renaissance”. Off course, the singer was not you but Jane Relf, sister of Keith Relf at that time. What made you add it to your setlist?
【ANNIE】: It was my audition song that got me the job with Renaissance. I have always wanted to add it into the show, and so when we decided to work with an orchestra again, it was perfect timing in the Universe !
Q2: 日本公演でも、ファーストアルバム “Renaissance” から “Island” をプレイするそうですね?もちろん当時のシンガーはあなたではなく、Keith Relf の妹 Jane だったわけですが。
【ANNIE】: 実は、”Island” は私が RENAISSANCE のオーディションを受けた時に歌った楽曲だったのよ。だからいつもこの曲をショウのセットリストに加えたいと思っていたの。
奇しくも私たちはちょうどオーケストラとの再演を決めたところだったから、全てが噛み合った完璧なタイミングだったのよ。
Q3: Off course, Keith Relf is pioneer of Rock, legend of The Yardbirds. It seems he liked your voice and wanted you to join Renaissance, right? What was Keith to you?
【ANNIE】: Actually, Keith did not invite me, I had never met him until my audition. I remember him being a lovely man though!
Q3: Keith は当時、ロックのパイオニア YARDBIRDS のレジェンドだったと思うのですが、彼があなたの声を気に入って RENAISSANCE に引き入れたんですよね?
【ANNIE】: Keith が私を誘ったわけではないのだけどね。実を言うとオーディションの時まで彼には会ったこともなかったの。だけどとてもラブリーな人だったと記憶しているわ。
Q4: So, 2018 is 45 years anniversary of “Ashes are Burning”. Among your huge discography, what do you think about the reason of this record is especially loved by fans?
【ANNIE】: Yes. It is so very different and unique, and also the first album where we added an orchestra.
Q4: 今年は名作 “Ashes Are Burning” の45周年にあたりますね。RENAISSANCE の膨大なディスコグラフィーの中でも特に愛されている作品です。
【ANNIE】: そうね。この作品はとても異なった魅力を持っていてユニークよね。それに私たちが初めてオーケストラを加えた作品だったからとても愛されているんじゃないかしら。
Q5: Even after 45 years, your voice is not waning at all. Have you done something to keep your voice beautiful?
【ANNIE】: I have been blessed that my voice has stayed strong… I don’t smoke cigarettes, don’t do drugs, eat healthy (I am a vegetarian) and am basically a very positive person and LOVE to sing the songs of Renaissance.
Q5: それにしても、あなたの声は45年という月日を経ても、衰えるどころかその艶を増していますね。
【ANNIE】: 本当に、私は自分の声が今日まで強く保たれていることを感謝しているのよ…私はタバコも吸わないし、ドラッグもやらないわ。ベジタリアンだから健康な食事を心掛けているし、基本的にとてもポジティブな人間であることも良いのかもしれないわね。
そして何より、私は心から RENAISSANCE の楽曲を歌うことを愛しているの。
Q6: Michael Dunford is off course, John Tout, John Wetton, …Renaissance has lost important persons related to the band. Even so, what’s your driving force to the band and music?
【ANNIE】: It’s always down to the unique music and I suppose my five octave voice keeps it in a realm of uniqueness.
This music touches deep into the soul, and we all need that.
Q6: Michael Dunford, John Tout, John Wetton…RENAISSANCE はバンドに関係する重要な人物を失いました。それでもあなたを音楽やバンド活動へと駆り立てるものはなんでしょう?
【ANNIE】: やっぱりこのバンドのユニークな音楽性に尽きると思うわ。そしてその音楽性の妙味は、私の5オクターブの声によって実現しているのでしょうから止めるわけにはいかないわよね。
私たちの音楽は魂の深い部分に触れるものなの。そうして、バンド全員が、もしかするとシーン全体もそういった音楽を必要としているのかも知れないわね。
Q7: After Renaissance contracted with Warner Bros, it seems the band went to more commercial, pop, digital direction and maybe it caused band’s first dissolution. How do you look back that period now?
【ANNIE】: Personally I was not ahppy with the change of direction. Having a hit with Northern Lights was the start of it really… a fabulous song but after that there was pressure to come up with more commercial songs.. BIG mistake, we left behind our heritage… Luckily we got it back in 2012 with the release of ‘Grandine il Vento.’.
Q7: 魂に触れる音楽と仰いましたが、バンドは Warner Bros と契約した後、よりコマーシャルでポップ、デジタルな方向性へと舵を切りましたよね?もしかすると、そういった方向性の変化が、当時の解散をもたらしたのではと想像するのですが。
【ANNIE】: 個人的には、あの方向性の変化には満足していなかったわね。”Northern Lights” のヒットから全てが始まったのよ…本当にね。確かにとても素敵な楽曲だったけど、そこからよりコマーシャルな新曲を求めるプレッシャーがかかり始めたのよ。
正直に言って大きな過ちだったと思うわ。当時私たちは自らの大事な大事な財産を置き忘れてしまったのね…幸運なことに、それでも2012年に “Grandine il Vento” をリリースすることでその財産を取り戻すことが出来たと思っているわ。
Q8: So, many fans are waiting for Renaissance’s new materials. Is there any plan to making new record near future?
【ANNIE】: Right now we are concentrating on promoting our ‘Live’ with Chamber orchestra DVD ‘A Symphonic Journey’. We have a wonderful strong catalogue of some incredible music and so many people across the world have never even heard our music.
Q8: その “財産” を取り戻したバンドの新作を期待しているファンも多いと思います。
【ANNIE】: 今現在は、私たちの最新作 “Renaissance with Chamber orchestra DVD ‘A Symphonic Journey” のプロモーションに集中しているのよ。それに、私たちには素晴らしく強力な、驚異的な音楽のカタログがあるから、世界中のまだ RENAISSANCE を知らない人たちに届けていきたいと思っているの。