NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAGMA : ZËSS】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRISTIAN VANDER OF MAGMA !!

“ZËSS Is The Culmination Of a Great Cycle Including All My Previous Compositions. It Opens To a New Space And Other Perspectives. What I Had Sensed For Many Years: Multidirectional Music. It’s Another Way Of Feeling, Of Living Music.”

DISC REVIEW “ZËSS-Le Jour Du Néant”

「”ZËSS” は過去私の全ての作曲の中でも最高到達点と言えるだろうね。新たな場所や別の価値観へのドアを開いたよ。”ZËSS” によって私は “無限” へと歩み始めたんだ。音楽がそうさせたんだよ。」
結成50年。フランスに兆した異端の音楽組織 MAGMA の主宰にして、偉大なるドラマー/コンポーザー Christian Vander は未完の大曲 “ZËSS” が、自らの理想である複数の音楽性を持つ “マルチディレクショナルミュージック” への素晴らしき入り口であったことを認めました。
ジャズとロックの蜜月に、オペラやクラッシック、アヴァンギャルド、そしてミニマリズムの玄妙を封じた邪教 MAGMA は、Christian が天啓を受けたというコバイアの宇宙奇譚と仮想言語によりその禍々しき中毒性を一際増しています。
もちろん、MAGMA がメインストリームに位置することはありませんでしたが、そのカルトな表現方法はハードコアなマニアを生み続けています。ドキュメンタリー “To Life, Death And Beyond: The Music Of Magma” を見れば分かる通り、Trey Gunn, Jello Biafra, Robert Trujillo といった卓越したミュージシャンも実はバンドの熱烈な信徒なのです。
Christian も認めるように、MAGMA が “ズール” と呼ばれるその音楽スタイルを完成させたのは、3rdアルバム “Mekanik Destruktiw Kommandoh” 通称 “M.D.K.” でした。ベーシスト Jannick Top の加入により世界最高峯のスキルと “圧” を備えたリズムセクションを宿したバンドは、さらにコーラスの “圧”、複雑怪奇の “圧”、コバイアの “圧” で圧倒的なパワーとエナジーを纏う独創性を確立したのです。ズール “Zeuhl” とはすなわち “振動する音楽” の意。
Christian は時代を先取っていたと語ってくれましたが、甲高い狂気の叫びと入り乱れる無慈悲な拍子記号、そしてアヴァンギャルドな音楽性のコンビネーションは、もはやクラッシックロックの枠組みに対する破壊からの再創造であったとも言えるでしょう。
Christian が “ZËSS” の発想を得たのは1977年 “Attahk” のセッションにおいてだと言われています。それはファンク/ソウル色を増し、よりキャッチーなボーカリゼーションへと向かい始めた変革の時期でした。故に、Christian の言葉通り多様で自由な世界へのドアを開ける重要な鍵こそが “ZËSS” であったのは確かでしょう。ただし、楽曲はしばしばライブで披露されライブアルバムにも収録されましたが、スタジオアルバムに収録されることはなく故に未完成の伝説と語られるようになったのです。
「スタジオでレコーディングされていない最重要の音楽が “ZËSS” だったね。そして私たちは過去にリリースした “ZËSS” のライブバージョンとは全く異なるスタジオテイクを成し遂げたかったんだ。」
2019年、遂にベールを脱いだ38分のズールエピックは、シンフォニックでとめどなくスピリチュアルな有機的実験でした。序盤、Christian のナレーションが響き渡る反復の呪術を聴けば、彼の敬愛する John Coltrane が “Love Supreme” で世界に届けた深き瞑想と至上の愛を想起するファンも多いでしょう。
ただし、徐々にインテンスを増して、コーラスハーモニーとピアノのコード、シンコペーションのリズムにオーケストラのスペクタクルが複雑な糸のごとく絡まりあうと、カール・オルフやリチャード・ワグナーの虚影と共に様々な情景やエモーションがマグマのように溢れ出していきます。
光と影、天と地、想像と現実、歓喜と悲哀。それは恍惚を誘う魂の精神世界、形而上の峰。そうして、クラッシック、スピリチュアルジャズ、ゴスペルにソウル、そしてミニマルな舞台背景に踊るズールのダンスは、あまりに壮大なスペースオペラとして伝説の伝説たる所以を威風堂々提示するのです。さてこの作品は彼らのスワンソングとなるのでしょうか?少なくとも、信徒はきっとアンコールを望むはずです。
今回弊誌では、Christian Vander にインタビューを行うことが出来ました。「本当に勧めたいのはバンドのライブを見ることなんだ!!!私たちのパワーやエナジーを理解するためには、MAGMA のライブを見に来る必要があるよ!!もちろん、”Magma Live” アルバムもそうやってこのバンドを理解する良い方法だと思うね!」”50年後” と銘打たれた9月の来日も間近。どうぞ!!

MAGMA “ZËSS-Le Jour Du Néant” : 10/10

INTERVIEW WITH CHRISTIAN VANDER

Q1: First of all, for about 40 years, you had no opportunity to do studio recording because of incomplete music “Zess”. What made you release the complete version of “Zess” in this timing?

【CHRISTIAN】: We were very tired after 3 years of continuously touring around the world and decided to take a kind a sabbatical year, we decided that we won’t be on the road in 2018. After a few weeks resting, we realized that it was the perfect timing to record a new album.
The last important piece of music that haven’t been recorded in studio was ZËSS. We wanted to achieve a totally different version from the live versions we already released in the past. Stella had the idea of a symphonic version and manage to find the ressources to hire an orchestrator and the Prague orchestra. It’s been a huge amount of work but we’re very proud of this new album!

Q1: “ZËSS” は未完成を理由に、40年もスタジオでレコーディングされることがなかった伝説の楽曲でした。今回その完全版を遂にリリースしようと決めたのはなぜですか?

【CHRISTIAN】: 私たちは3年も絶え間無く続いた世界を回るツアーにとても疲れていたんだ。だからサバティカル、休暇のような1年を作ろうと決めたんだ。つまり、2018年はツアーに出ないとね。そうして数週間休息を取った後、私たちはこの休みが新作をレコーディングする完璧なタイミングだと悟ったんだ。
スタジオでレコーディングされていない最重要の音楽が “ZËSS” だったね。そして私たちは過去にリリースした “ZËSS” のライブバージョンとは全く異なるスタジオテイクを成し遂げたかったんだ。妻の Stella (Vander) がシンフォニックバージョンのアイデアを持っていて、編曲家とプラハオーケストラを手配してくれたんだよ。確かに膨大な仕事量だったけど、この新たなアルバムを誇りに思っているよ!

Q2: So, what’s the legendary song “Zess” to Magma?

【CHRISTIAN】: ZËSS is the culmination of a great cycle including all my previous compositions. It opens to a new space and other perspectives. What I had sensed for many years: multidirectional music. It’s another way of feeling, of living music. Perhaps this sensation must be experienced by divers who swim in the deep sea: a kind of weightlessness, there is no more top or bottom: an insituable positioning. It is this work that I begin towards infinity, what music offers.

Q2: 長年未完のままだった伝説の楽曲 “ZËSS” は、MAGMA にとってどのような位置を占めていますか?

【CHRISTIAN】: “ZËSS” は偉大なサイクルにおける過去私の全ての作曲の中でも最高到達点と言えるだろうね。新たな場所や別の価値観へのドアを開いたよ。
その場所とは何年も私が目指し、感じてきたものなんだ。”マルチディレクショナルミュージック”、複数の方向性を持つ音楽。感情や生の音楽の別の道なんだ。
例えばこの感覚は、おそらく深海に潜るダイバーもきっと経験しているだろうね。重量を感じなくなり、上も下もなくなる自由なポジションさ。”ZËSS” によって私は “無限” へと歩み始めたんだよ。音楽がそうさせたんだ。

Q3: Simon Goubert, Morgan Agren joined the recording session, and even you use real orchestra. What made you invite these guests?

【CHRISTIAN】: We couldn’t think about anyone else that those two excellent musicians. Simon played Zess in the past, he knows how to make it sound perfectly on an acoustic piano, he knows the in-depths of the piece , Morgan is an incredible drummer and we wanted to work with him since a longtime. The drum part is very challenging, we really need someone like Morgan!

Q3: あなたの右腕とも言える Simon Goubert、さらにドラムマイスター Morgan Agren がレコーディングに参加していますね?

【CHRISTIAN】: そうだね。私たちにとって、この2人の卓越したミュージシャン以外の人選は考えられなかったね。Simon は過去にも “ZËSS” をプレイしているから、アコースティックピアノをこの曲で完璧に響かせる術を心得ているからね。彼は本当に深い部分まで “ZËSS” を理解しているんだ。
Morgan は驚異的なドラマーで、私たちは長い間彼と仕事がしたいと思っていたんだ。この曲のドラムパートは実にチャレンジングだから、本当に Morgan のようなプレイヤーを欲していたんだよ!

Q4: It seems Kobaïan is a phonetic language made by elements of the Slavonic and Germanic languages to be able to express some things musically, right? What’s the reason you haven’t use French or English in your songs?

【CHRISTIAN】: French wasn’t expressive enough for the sound of the music I had in my head. I’m not fluent in English, not able to write proper lyrics in English. Kobaïan is a language that is constantly evolving and the sounds/words come organically when I am composing.

Q4: MAGMA の代名詞とも言える仮想言語コバイア語はスラブ語-ドイツ語を基盤として、音楽的な表現方法を広げるために使用されていると理解しています。
例えばあなたの母国語であるフランス語、もしくは英語でその表現は不可能なのでしょうか?

【CHRISTIAN】: フランス語は、私の頭の中にある音楽を鳴らすのに充分に表現的とは言えなかったね。そもそも英語は流暢には話せないから、適切な歌詞を英語で綴ることはできないんだ。
コバイア語は常に進化を続ける言語で、そのサウンドや言葉は私が作曲を行っている間に自然と生まれて来るんだよ。

Q5: Regarding Kobaïan, Zeuhl is a style of prog rock that originated in France in the 1960s and born from Kobaïan. But lot’s of Japanese bands like Ruins, Happy Family, Koenji Hyakkei inherit the legacy. What’s your perspective about these bands?

【CHRISTIAN】: First of all they all are very skilled musicians. I like their approach of Zeuhl music. It’s at the same time very respectful for the music of Magma and still, very original.

Q5: ジャズ/プログロックにオペラ、クラッシック、ミニマリズムを導入した MAGMA の音楽は、ズールというジャンルを生みました。
日本にもそのレガシーを受け継ぐ、RUINS, HAPPY FAMILY, 高円寺百景といった優れたバンドが存在しています。

【CHRISTIAN】: まず述べて置くべきは、彼ら全員が非常に優れたミュージシャンである点だね。私は彼らのズールに対するアプローチが気に入っているんだ。というのも、彼らは MAGMA の音楽にとても敬意を払いながら、同時にとてもオリジナルだからね。

Q6: Your Japan tour will be soon! So, you have really huge discography, but when music fans jump into Magma’s world, what do you recommend them?

【CHRISTIAN】: I would recommend to start with Felicité Thosz where you can find all Magma different colors and ambiances. It is also very easy to listen too, easy to get into. Then I would move to the most popular piece which is M.D.K, the to Kohntarkosz, written in 1974 but still ahead of its time. But mostly I would recommend to see the band live!!! You need to see Magma live to understand the power and the energy!! Of course the album MAGMA LIVE is a good way to discover the band as well!

Q6: 日本でのライブも控えています。MAGMA には膨大なディスコグラフィーがあるわけですが、未聴のリスナーがズールの世界へと飛び込む時に、あなたがまずオススメするのはどのアルバムでしょう?

【CHRISTIAN】: 私ならまず、”Felicité Thosz” をオススメしたいね。というのも、MAGMA に備わる全ての異なる色合いや雰囲気を堪能できるからね。それにとても聴きやすいアルバムだから、私たちの世界に入りやすいだろうな。
それから最も有名な作品に移れば良いと思う。”M.D.K” そうして “Kohntarkosz” へね。1974年に書かれたアルバムだけど、先進的で時代を先駆けていたよね。
まあでも、本当に勧めたいのはバンドのライブを見ることなんだ!!!私たちのパワーやエナジーを理解するためには、MAGMA のライブを見に来る必要があるよ!!もちろん、”Magma Live” アルバムもそうやってこのバンドを理解する良い方法だと思うね!

Q7: Could you tell us about five albums that changed your life?

【CHRISTIAN】: To sum up in five discs what has changed my life seems to me insufficient. John Coltrane changed my life … and my vision of things. Record after record, he surprised me, took me each time into other worlds, constantly evolving. Otherwise, I discovered the first quartet (before Jimmy Garrison) with “My favorite things”. The album “Transition” (unpublished during John’s lifetime) is a true music lesson, a true example of multidirectional music, which he develops on several levels. A record with several floors, to be listen to in depth …

Q7: 人生を変えた5枚のアルバムを教えていただけますか?

【CHRISTIAN】: 私の人生を変えたアルバムを5枚に絞るのは難しいね。John Coltrane は私の人生を変えたよ…それに物事の見方もね。どのレコードを聴いても驚かせてくれたし、別の世界へも誘ってくれた。常に進化を続けていたんだ。”My Favorite Things” で最初のカルテット (Jimmy Garrison が加わる前の) を発見してからずっとね。
彼の生前にはリリースされなかった (没後3年の70年リリース) “Transition” は真の音楽的なレッスンだと思う。真の “マルチディレクショナル” な音楽の例で、彼はいくつものレベルを駆け上がっているんだ。様々な階段があるレコードで、深く深く聴くことができるね。

MESSAGE FOR JAPAN

Dear Japanese friends, I think very often of you, of your deep and magical country. I am very happy to go to Japan soon. I wish you the best, infinite happiness. May the gods protect you. May the land of the Rising Sun live forever.
Your friend of heart , Christian Vander.

日本の友人たちへ。君たち、そして深くマジカルな君たちの国をとてもよく思い浮かべているよ。日本にまたすぐに行くことができて実に嬉しいね。君たちの無限の幸せを祈っているよ。神さまが守って下さいますように。日出ずる国が永遠でありますように。あなたの友人、Christian Vanderより。

CHRISTIAN VANDER

Acoustic Version
2019/9/20 (Fri) 東京・Shibuya WWW
OPEN 18:00 START 19:00
スタンディング 前売り:¥8,000

2019/9/21 (Sat) 東京・EX シアター 六本木
OPEN 17:00 START 18:00
全席指定 前売り:¥9,000

2019/9/22 (Sun) 大阪・サンケイホール ブリーゼ
OPEN 17:00 START 18:00
全席指定 前売り:¥9,000

公演の詳細はこちら。SMASH
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SEVENTH RECORDS
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