EXCLUSIVE: TAK YAMAMOTO, EXECUTIVE PRODUCER OF BAHAMAS FEST TALKS ABOUT MATHFEST JAPAN !!
世界の音楽シーンで日増しにその存在感を増しつつあるニュームーブメント、MATH-ROCK。まさに日の出の勢いである MATHMATICAL なアーティストたちを集めたロックフェス、第1回 “BAHAMAS FEST” が今年ここ日出づる国日本で開催され、非常に話題を呼びました。マスフェスト及びその発端となったマスコンピの立役者である TAK YAMAMOTO 氏にライブレポート、裏話などを語って頂きました。
【HOW MATH-FEST STARTED】
まず最初に、ここに書かせてくれたシンさんに感謝するとともに、今回のイベント開催しようと声を掛けてくれたMARZの杉澤さん、ATLANTIS AIRPORTの面々とヒロセさんや参加してくださったバンド及び遊びに来てくれた人達にも感謝しかないです。ありがとうございました。既に締めの言葉っぽいですが。
今回の企画『Bahamas fest』は突発的なものでした。元々今年の一発目に投稿したHi-Hi-Whoopeeでの記事「Column: Math Rock / Pop」がきっかけで、FECKING BAHAMASの主宰ニックに声を掛けられたのが全ての始まりでした。「一緒にマスロックについて書かないか?」そう言われて、大して英語も出来ないのに二つ返事で応えてしまった訳ですが、ちょうどその頃一緒にメインで書こうとしてた人間がニック、私、そしてロシア人のグリシャの3人でして(今回ロシアコンピを制作することになったのもこれが理由だったり)。ニックの流石だと言える所は、世界各地の人間をライターとして呼んでいたことかなと言えます。他にもメキシコだとか韓国だとか、各国に色々ライターがいるんですけど。
そんなこんなで第一の企画としてオール・ジャパニーズ・バンドによるコンピレーションの制作に掛かりました。様々なバンドに声を掛けさせて頂いたのですが、ほぼ全てのバンドが二つ返事でOK頂けたのが本当にありがたかった。総勢21バンドが集まり、その作品がリリースされたのが今年の5月。最初の週に200DLを一瞬で突破し、一時mediafireにて別途配信すると言う形になってしまったほどです。Bandcampに(ニックの自腹で)課金したものの残りの1000DLも5月中に越えてしまい、またもmediafireで対応すると言う形になるほどの盛況っぷりでした。現在までカウントされているDL数は1700超ですが、一番DLされていた時期にmediafireに移行していたので、カウント漏れしている部分はかなりあったのではないかな、なんて思っています。
さて、アルバムを作るという段階から参加バンドの幾つかより、「これをイベントに出来たら最高ですね!」と言う声を頂いていました。しかし、自分は企画も何もしたことの無いごく一般的な音楽ファンでしかなかったので、苦笑いしつつも「出来たら最高ですね、確かにやりたいですけどね・・・」と言葉を濁していました。しかし、リリース直後に新宿MARZのスタッフの杉澤さんより是非開催しませんか?と連絡があって全てが変わりました。実際には自分は人にメッセージや依頼をしたのが大きく、主宰としては恥ずかしいほど人に頼ってばかりだったと思います。本当に迷惑も多く掛けましたが、バンドの皆さんも今回のイベントに関係した多くの人も、自分を信用してくれて本当に感謝しています。また、多くの音楽ファンの後押しも大きかった。
元々シンさんにはライヴレポを書くようにと言われていたのですが、実際にはライヴ中ずっと駆け回っており、断片的にしか観れてない部分も多々。また、当日想像以上に人が多くて(トータルでは170人以上が来場したとか)まともに写真も撮れてないんですよね。しかしどのバンドも一番格好良かったと言わせるキレで魅せてくれました。また個人的な話ですが、一緒にFECKING BAHAMASで書いてるエリックが来日してイベントに来てくれたというのも衝撃でしたね。自分の英語力の無さを痛感したところで当日の様子をつらつらと。
【LIVE REPORT】
“YOSO-WA-YOSO”
初っ端を飾ったヨソハヨソ、あのパフォーマンスを観れば、今回のイベントは既に成功を約束されていたとも言えるかも知れません。パーカスの方が2階へよじ登り、カウンターでビールを貰うとすぐさまステージに戻りイッキ!そして持参した日本酒(?)をグイッと呑んで最早何のパフォーマンスかよく分からない!!しかしながら最後の最後までそのスピード感溢れる演奏はぶれる事無く、最高の幕開けだったと思います。後々の話ですが、ATLANTIS AIRPORTの面々が、ヨソハヨソは初っ端にやって、あとは只管呑めてズルいと言ってました。・・・確かに。このイベントはフェス形式でもあったので、バンド側も観て楽しんでくれた様です。むしろ今回のイベントはバンドマンの来場者が多かった!
YOSO-WA-YOSO HP
“NENGU”
次にやってくれたのは年貢。ヨソハヨソのクリーンで(あくまで音が)スピーディーに構築される音とは対照的に、燻し銀で玄人好み、激情的な音像。フロアを削り取るかのような轟音で客を惹き付けてくれたように思います。まだ若手ということですがもうやってることはそこらのベテランに匹敵するような、正直新人離れしている激情がそこにありました。ベテラン勢が集合したようなCARNIVALとのスプリット等を経てここに立つ彼らですが、彼らが作る音の迫力は肩を並べる以上のモノがありました。既に完成度の高いライヴを演じながらも、まだ若いからこその伸びしろをも感じさせる、期待のバンドであることを見せ付けてくれました。ここの石上さんとはAdebisiラストライヴでも会いましたね。今後ともよろしくお願いします。
NENGU HP
“CLEAN OF CORE”
その次に演じてくれたのは、Clean Of Core。ダンサンブルなサウンドが煌めき、シンセ片手にギター、ベースを弾くというアメイジングな編成。クラウトロック的なズンズンと積み重なっていく音を、フロアで一番感じやすい心地よさで組み上げる・・・。トリオという編成ながら決して単純では無いマスロックの形を提示したかのよう(いや、他のバンドも全て単純じゃ無かったんですけどね)。LITEのメンバーの兄弟が在籍するのが影響するのかしないのかは分かりませんけど、近い風景を異なる方程式で求めようとしている様子は確実に感じてしまいました。LITEは2度観ましたが個人的にはCOCの今後が一層楽しみに・・・なんちゃって。
CLEAN OF CORE HP
“TE_RI”
さて、te_riですが彼らの存在は完全なる異物(その1)ですね。まるで漫談を観ているかのような面白さと楽曲の不安定且つ不確定な様で安定しているような、複雑怪異な音を響かせてくれました。ライヴというか、正にパフォーマンスとして完成された圧巻のステージ・・・。彼らについてはフルで動画が公開されているのでチェックして貰えたら、それ以上の講釈は不要かと思います。最高のライヴバンドでした。
TE_RI HP
“CETOW”
関西圏からはcetowが参加してくれています。若手も若手、まだ1stEPしか出ていないのですが、京都インスト界隈(?)では期待株。オリジナルメンバーでのライヴは、このとき初めて観たのですが、クリーンな音がTTNGを連想させるような、ただもっとシンプルでフレッシュな音を響かせていました。明確に日本のバンドの音だと分かる明るさと優しさ、そして少々のエスプリ。今回のマスフェスの中ではかなりストレートな音を聴かせてくれたように思います。次観るときはきっと更なる成長を見せ付けてくれることでしょう。
CETOW HP
“SAJJANU”
異物(その2)sajjanu・・・マスロックというジャンルで括って良いかも悩ませてくれるほどにプログレッシブでハードで、最早メタルと言って良いほどだけれどどこまでも自由すぎる音楽・・・。正直このイベントでこのバンドが来てくれるとは思いませんでしたが、これをメインに観に来た観客も決して少なくなかったハズです。無軌道、誰も束縛できないからこそ無敵。圧倒的なパフォーマンスで、叫ぶわ跳ねるわ逆立ちするわ(!!!)とんでもないモンスターでした。
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SAJJANU HP
“LOOP POOL”
東京の路上で鍛え上げられたLOOP POOL。恐らく本領こそはそれ、なんですが、ステージで観る彼らもまた良し。ジャムバンドですが、彼らが緩やかに描く世界観はポストロック/マスロック的なストラクチャーとも決して異としない。順番的にsajjanuで傷を負った心身を癒やしてもらうために、優しくも踊らせてくれるようなライヴを期待していましたが、期待以上のものでフロアを揺らしてくれたと思います。
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LOOP POOL HP
“CHIKYUNOKIKI”
北海道のバトルス(?!)ことchikyunokiki。彼らのライヴは本当に本当に、個人的に凄く楽しみでした。今回のイベントでは数少ない歌モノもあるバンドだったのですが、構築されていく硬質的な音像だけではなく、ずっとエモーションを溜め込んだ側面も見せてくれる。死ぬほど好きな「ひきかえる」が流れたときに正直泣くかと思いましたね。最高すぎました。無機・硬質的/有機・血の通ったようなアプローチを織り交ぜ、一個の曲として仕上げて行く様は今回のイベントでも随一だったかと思います。
CHIKYUNOKIKI HP
“MARMALADE BUTCHER”
マ肉ことMarmalade butcher、あれだけのスピーディーな演奏を途切れずやってのけるのは圧巻でした。中々メンバーそれぞれのご尊顔をネット上で見れない(ような気がする)彼らですが、このパフォーマンスで確実に顔バレもとい全ての客に消えない印象を叩き付けてくれたかと思います。演奏の凄まじさもさることながら、アルバムリリース直前というのもあり新曲を聴かせてくれたり。安定感のある鬼畜な速さと展開の豊富さ・・・これもあくまで個人的な感想ですがポストnuitoの座に一番近い現役のバンドではなかろうかとも思います。アレだけの音を詰め込んで、ライヴでやれる実力は、この世代のバンドではトップクラスであることは間違いない。地上波に一番近いマスロックバンドは、マ肉かPENs+か、ゲスの極み乙女が血迷ってマスロックやりだして世間的に流行らせてくれるしかないので、応援しまくりたいバンドです(来年はマ肉かPENs+にMステ出て欲しい)。
マ肉の音源DL、海外からめちゃくちゃ待望されてるのでネット配信も考えてあげてくださいよろしくお願いします。
MARMARADE BUTCHER HP
“LOW-PASS”
こちらもcetowに続き京都からLOW-PASS。海外バンドともスプリットやツアー等で関わる名実ともにトップクラスなバンドですが、stiffslackライクなバンドで唯一呼ばせて頂いたような気がします。トリオ編成によるアンサンブルは身体にスッと染みこむような緩さとカッチリした精密さを合わせ持ち、流石の風格。TTNGのような、クリーンギターによるマスロックの神髄を見せ付けてくれました。
LOW-PASS HP
“ATLANTIS AIRPORT”
我らがアトランティスは、今回イベントでは数少ないガッツリとした歌モノバンド。飛び跳ねるようなy0denさんのキー・ワーク、bonoさんの抜群の安定感あるベースにsone嬢の伸びやかな声が乗る。最近は、安定どころかより自由自在に飛んで行くかのようなフリーダムさを獲得したか?ポップとはなんぞや、に対しての答えかもしれません。彼らはよりマスポップ感が増しているというのもあり、今後どのような化学反応を以て劇的な変化を遂げるのか楽しみにしたいと思います。
ATLANTIS AIRPORT HP
“MOTHERCOAT”
アメリカでのツアーに引き続き、ロシアのフェスに出たりと各地で引っ張りだこな鬼才集団mothercoat。歌モノながら、新曲はやはりマスロックフレイヴァーが散りばめられており、大トリを務めるに相応しいバンドでした。彼らは今こそマスロックの範疇でも語ることが可能なバンドではありますが、恐らく再来年、いや来年にはもう、同じジャンルで括ることは出来ないかもしれません。それほどに今も尚凄いスピードで変化を続けるバンドです。ライヴでの面白さだけではなく、彼らが演奏を楽しみながら、また自分たちの納得いかない部分があればそこをストイックに追求するような、そういうパフォーマンスを観る事が出来ました。
余談ですがシンさんと自分の共通のフォロワーであるロイ・キャメロット・ユウコさんが、このバンドのブレインであるギガディラン氏に話しかけたら「あなたメタラーでしょ」ってバッサリ切られたらしいです。
MOTHERCOAT HP
【MESSAGE】
マスフェス自体は最高の幕引きが出来ました。しかしやはり反省するところも多数。来年もきっとやりたい・・・ですが今回のことを踏まえより一層責任を持って当たらなければ実現できないと思います。また何か告知します。いつになるか、本当に告知されるかは全てが未定ですのでゆるりとお待ちください。
最近ウチのウェブジンで新しくロシアのマスロックコンピがリリースされました。当然こちらも無料です。日本のコンピと対比しながら聴くときっと面白いし、それぞれの国の特徴が読み取れるかもしれません。こちらも是非。
大変長々となりましたが、お付き合いくださりありがとうございました。改めて読んで下さった方及びシンさん、ありがとうございます。また来年も色々な方法で面白いことを考えたいです。よろしくお願いします。