EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YOHEI YOSHIDA OF YOSHIDA YOHEI GROUP !!
NEW WAVE OF EXPERIMENTAL INDY POP/ROCK FROM TOKYO !! YOSHIDA YOHEI GROUP HAS JUST RELEASED THEIR NEWEST & GREAT RECORD “PARADISE LOST, IT BEGINS” !!
日本のシティーポップ、インディーポップ界隈が2010年代、際立って面白くなってきています。実験性とポップスを見事に融合させたオルタナティブなアーティストが続々と現れているのです。面白い事に、トクマルシューゴ、cero、森は生きている、oono yuuki、蓮沼執太フィルといったモダンポップの新世代たちはお互い時につながりながら、室内楽的な管弦楽器を含む多くの音を交えて表現するという共通点があります。今回フューチャーする 吉田ヨウヘイgroup はその中でも東京インディーズの顔として一際異彩を放っていると言えるでしょう。和製 DIRTY PROJECTORS と評された鮮烈なデビュー。そして前作 “Smart Citizen” は各方面から非常に高く評価され彼らの出世作となりました。それから一年。彼らはメンバーチェンジ、フジロック出演を経てさらにバンドとしてタイトになった新作 “Paradise Lost, it begins” をリリースしました。改めてその豊かな音楽性、アイデアには驚くばかり。フォーキーな歌唱、ポストロックの質感、ジャズ/マスロック由来の複雑でダイナミックなリズム、クラッシックのようなバンドアンサンブル。メンバー各自の音楽に対する造詣の深さが滲みでるような素晴らしい作品だと思います。新たなギターヒーローの座を約束されたかのような西田さんのプレイは時に硬質で時に情感豊か。池田さんのクラッシックをルーツとするフルートの演奏、アレンジと素晴らしく噛み合いバンドとしての成長を感じさせます。USインディーもブルックリンの音楽シーンも咀嚼し、前作よりも確実にロックのダイナミクス、グルーヴを強固にした新作はまるでポップスとは何か?を我々に問いかけているようにさえ感じました。 Jazz The New Chapter が拡散していくジャズならば、この人の提示するポップスはポップス界の Jazz The New Chapter ではないでしょうか? !バンドのリーダーである吉田ヨウヘイさんが彼らしく客観的にインタビューに答えてくれました!!
【INTERVIEW WITH YOHEI YOSHIDA】
Q1: 新作 “Paradise Lost, it begins” がリリースされましたね!今の心境を聞かせてください。
【YOHEI】: 無事リリースできてほっとしました。 作り終えた直後は疲れていたりしていたと思うのですが、もう結構前なのでそのときの心境は思い出せなくなってきています。早く新しい曲を作って演奏したいです。
Q2: アルバムには”パラダイスロスト”というトラックも収録されています。この 作品を “Paradise Lost, it begins” と名づけた時、心に在った事を教えてくださ い。吉田さんにとっての失楽園とは?
【YOHEI】: 失楽園、という意味にもなると思うんですが、理想的な社会を目指すとか、それが実現することが難しくなった、 という意味になればと思って付けました。そういうことを認識したうえで、 音楽をはじめとしたいろいろなことを前向きに進めていこう、という気持ちを表せたら、と思っていました。
Q3: 東京インディーポップシーンに衝撃 を与えた “Smart Citizen” 発表直後のインタビューで 「”Smart Citizen” に点数をつけるなら60点」と仰っていましたが、 “Paradise Lost, it begins” に点数をつけるとしたら何点でしょう?そしてそれはなぜですか?
【YOHEI】: 70点です。メンバーの貢献度が前の作品より大きく上がったからです。ただ、リリース後にいろいろ良くなった部分が多いので、現状でももっと高い点数のものが作れるし、次のリリース までにはもっと伸びると思うので、70 点くらいかなと思います
Q4: ” Paradise Lost, it begins” は前作に比べてロック色が強く、プリミティブでダイナミックな作品だと感じました。 ロックの持つ原衝動、グルーブに立ち返るという意識はありましたか?また制作時、特に意識したアーティストはいますか?
【YOHEI】: プリミティブに、とは思っていませんでしたが、前作の時点から自分達のことを「ギターを使った普通のフォーマットのロックバンドに管楽器やコーラスを加えたバンド」という風に認識 していて、そういうバンドのつもりで曲を書いていました。今作も 、「管楽器主体のバンド」ではなく、 前作と同様の意識でのぞもうと思って いましたが、結果的にギターの量は前作より増えたと思います。制作時にはいろいろなバンドを意識しましたが、 結果的にあまりはっきり影響は出なかったかなとも思っています。
Q5: とは言え、吉田ヨウヘイgroup の魅力である実験性とポップスの融合は今回も実に見事になされていますね。女性コーラスの導入、管楽器のアンサンブルやJAZZ ROCK/MATH ROCK 的なリズムの実験。 ロバート・グラスパーをはじめ最近活況である既存の JAZZ にとどまらないジャズシーン ( Jazz The New Chapter 界隈) とベクトルは似ている気もしま す。リスナーとしても鋭い視点をお持ちの吉田さんから見て Jazz The New Chapter の可能性、吉田ヨウヘイgroup とリンクする点などあれば聞かせてください。
【YOHEI】: 一リスナーとしては、Jazz The New Chapterで紹介されているような作品は大好きですが、今回の自分達の作品との関連をお話するのは難しいです。興味がない、ということではなくて、彼らと繋がるには自分達の技量が足りないと思っているからです。ただ、次回作は自分なりにJazz The New Chapterで紹介されているような作品群ともつながれ るような楽曲や演奏を収録できるようにしたいと思っています。
Q6: 吉田ヨウヘイgroup はバンドの演奏も素晴らしく、今作において西田さんの時にメカニカルで時に感情豊かなギターは重要なエッセンスでしたし、凄みすら感じました。吉田さん、西田さんの理想のギタリストとは誰でしょう?また、レーベルの紹介文には「フルート奏者の池田若菜が、クラシックの高い素養をバンドでも活かし、アレ ンジャーとしての才能を本作では開花 させている。」とあります。それは具体的にどの曲で顕著に現れていると感じますか?
【YOHEI】: 西田はネルス・クライン、マーク・リボー、ジョン・フルシアンテがヒーローだと言っています。僕は、指弾き で、爪ではなく指の腹を当てるスタイルで弾いているので、ダーティー・プロジェクターズのデイブ・ロングストレスに憧れています。池田は今回の管のアレンジのほとんどを担当しています。僕が特に気に入っているのは、 ”グッド・ニュース”のフルートのフレーズです。シンセサイザーなんかと馴染んでいるので分かりにくいかもしれませんが、クラシカルな要素を楽曲に取り込んでくれたと思っています。
Q7: 吉田ヨウヘイgroup の楽曲を聴いていると時に歌が楽曲と自然に調和しアンサンブルの一部のように感じること があります。ポップスやロックでは歌を前面に出すことが一般的だと思いますが吉田さんの考え、目指す所は違うのでしょうか?吉田さんにとっての”ボーカル”の役割とは何か教えてください。また特にリスペクトしている ボーカリストはいますか?
【YOHEI】: 説明が難しいです、すいません。好きなボーカリストは、山本精一さん、ロジャー・マッギン、ジョン・レノン、 ロバート・ワイアット、鈴木茂さん、などです。
Q8: 吉田さんは 森は生きている、ROTH BART BARON といった 吉田ヨウヘイgroup と同様に実験性とポップスを融合させているバンドと交流があります。彼らの存在は良い刺激になっているのではと想像しているのですが 、ともに新しい音楽のムーブメントを起こしているという感覚はありますか?また今、日本のインディーポップシーンで特に注目しているバンドを教 えてください。
【YOHEI】: 森は生きている、ROTH BART BARON の作品、活動はとても刺激になっています。タイミングが良く仲良くなったので、一緒に紹介していただくことなんかも多いんですが、音楽に関する考え方で近いところはあまりないような気もするので、尊敬している仲の良い友達、という印象です。注目しているバンドは今度企画に出てもらうNOT WONKです。パンク精神があるのにうまい演奏へのこだわりも凄く感じたりして、幅広い層に届きそうな予感がします。