EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARMELO ORLANDO OF NOVEMBRE !!
Giant awakes!! Italian Prog-Goth/Doom maestro, Novembre are back with fantastic Post-Peaceville record “URSA” for the first time in nine years !!
DISC REVIEW: “URSA”
イタリアの Prog-Goth Giant、NOVEMBRE が9年の長いハイエイタスの後、待望の新作 “URSA” をリリースしました!!
90年代初頭、ANATHEMA, PARADISE LOST, MY DYING BRIDE といったバンドが構築した美麗な Gothic Death Metal サウンドは、彼らが契約していたレーベルの名を取り “Peaceville Sound” と表現されています。00年代に、ほとんど話題にも登らなくなったそのサウンドは、2010年代に入り、ANATHEMA, KATATONIA のような Post-Prog サウンドへの深化、もしくは昨年の PARADISE LOST, DRACONIAN のような強烈でモダンな原点回帰により、シーンのトレンドへと戻って来ているように思えます。
そういった状況の中、遂にイタリアの巨人 NOVEMBRE も動き出しました。叙情と怒り、プログ/ドゥーム/デス/ゴシックを見事に共存させた前作 “The Blue” は間違いなく、彼らの長いキャリアにおいて集大成と呼べるような傑作であったにも関わらず、時代は味方することなくバンドは長い沈黙に入ってしまいます。その間に、残念ながらメンバーこそ Carmelo Orlando、Massimiliano Pagliuso の2名となってしまいましたが、機は熟しましたね。
“Peaceville Sound” が復活を遂げた今、彼らの新作 “URSA” は奇しくも NOVEMBRE 初期の名作 “Wish I Could Dream It Again”, “Classica” 時代のサウンドに少しばかり原点回帰を果たしたようにも感じられます。あの時代を深く知るプロデューサー Dan Swano の起用もその要因の1つかも知れません。同時に、作品には ALCEST 以降の Post-Black サウンド、現代的なアトモスフィアも持ち込まれており、結果として “URSA” は、過去と現在の憂鬱で美麗なメタルサウンドを味わえる傑出した作品に仕上がっています。
9年の沈黙を破るかのような雄弁なアルバムオープナー “Australis” は幽玄で美しく、ダイナミックかつアトモスフェリック。まさに “Post-Peaceville Sound” とでも表現出来るような世界観を誇ります。
“The Rose” がロシア由来のメランコリックなメロディーで彼らの帰還を告げれば、前作のファンを狂喜させるようなプログメタル要素の強い佳曲 “Umana” でリスナーは完全に “URSA” の虜となるでしょう。”Umana” は8年前に書かれた楽曲だそうですが、熟成期間を経て Post-Black 化した OPETH のようなサウンドに仕上がったのは実に興味深いですね。
タイトルトラック “Ursa” はヨーロピアンフォークのヴァイブを強く取り入れています。これは作品のタイトルが、ジョージ・オーウェルの “Animal Farm” を引用したことと関連していて、つまり、あの時代のヨーロッパを音楽的に再現することで、現代のアニマリズムを風刺し批判しているのです。
KATATONIA の Anders がゲスト参加しシングルカットされた “Annoluce” は身をよじるようなメロディーが秀逸な典型的 “Peaceville Tune”。そして続く9分にも渡るインストゥルメンタルチューン “Agathae” はまさに初期の彼らと今を繋げるミッシングリンク。20年前、”Wish I Could Dream It Again” 当時に書かれたという楽曲は何年もの間、ギタートラックを重ね続けてようやくここに日の目を見たのです。彼らの楽曲に対する拘りが強く感じられるエピソードですね。
70年代の香りを感じさせる、Dan Swano 印の宝石のような “Fin” で60分の11月劇場は幕を閉じます。
今回弊誌では、ギター/ボーカルを担当する Carmelo Orlando にインタビューを行うことが出来ました。今作は時代も必ずや味方すると思います。どうぞ!!
NOVEMBRE “URSA” : 9.6 / 10
【INTERVIEW WITH CARMELO ORLANDO】
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Q1: 新作、”URSA”がリリースされましたね!今のお気持ちを教えてください。 また、これまでの反響はいかがですか?
【CARMELO】: やあ、このアルバムをリリース出来て嬉しいよ。サウンド、アートワーク、全てに満足しているんだ。
リアクションは今のところとても温かいね。レーティングもとても高くてね。平均8点くらいなんだけど、期待以上だし歓迎されているね。
Q2: 前作 “The Blue” が2007年のリリースですから、9年振りのアルバムということになりますね?
【CARMELO】: これ程長くかかったのは、実は休養を取りたかったからなんだ。あのまま続けるのが、何か正しくないような気がしていたからなんだよ。
CDセールス、マーケットは縮小の一途をたどり、レコードストアや紙媒体も潰れていっていたよね。音楽産業全体が崩壊していったんだよ。セールスは活動にとても影響を与えるからね…
音源をインターネットにフリーでアップされるのは本当にフラストレーションが溜まるんだ。レコード会社がプレスに音源を送った途端に、誰かがネット上にアップする訳だからね。何かがおかしいと感じたから、休みを取って状況がどうなるか見てみようと思ったのさ。
だけど、時間が過ぎるのは思っているより早くてね。9年も経ったなんて思えないんだけど、そろそろカムバックするべきだと思ったのさ。何曲か完成していて、リリースしたかったからね。そういうことさ。
Q3: アルバムタイトル “URSA” とはジョージ・オーウェルの “Animal Farm” のフランス版タイトル “Union des républiques socialistes animales” の略語ですよね?”Animal Farm” はトータリズムを揶揄する寓話だった訳ですが。
【CARMELO】: OK, 勿論、”URSA” とは、一般的にジョージ・オーウェルの物語、トータリズム、政治スタイルを指すんだけど、同時に “Animal Farm” とはアニマリスト(既成の道徳や倫理にとらわれず、本能的欲望の充足を追求しようとする思想)へのメッセージでもあるんだよ。それこそが、僕が世界とコミュニケーションを取りたいことなんだ。
世界的全体主義にはとても心配しているんだよ。問題は、世界でも最もリッチなエリートたちから起こった金融原理主義であるという点だね。そういった恐怖、冷酷なアトモスフィアをアルバムに全て反映したんだよ。これが僕からのメッセージだし、完璧なタイトルだったね。だから、僕はオーウェルから盗んだことになるね(笑)
Q4: Travis Smith が素晴らしい仕事をしましたね。実に美しいアートワークです。
【CARMELO】: うん、アートワークは完璧に “URSA”のコンセプトを反映しているね。ボッティチェリのビーナスの誕生のようだよね。冷たく、モダンで、まさに Travis Smith のスタイルだ。
ビーナスは赤ちゃん熊を抱えているね。まるで赤ん坊のキリストを抱えているようだけど、実際はその代わりに赤ちゃん熊だよ。だから、言うならば動物を大事にする新しい宗教(アニマリズムを揶揄している)のようなものだね。とても深く、象徴的で、気に入ってくれると嬉しいよ。みんなの心を打つようなアートワークだと思うからね。
(注: URSA とはラテン語で熊を意味し、熊は同時にソビエト連邦の象徴でもあった。オーウェルが”Animal Farm”のフランス語のタイトルとしたのが、”Union des républiques socialistes animales” で “URSA” はその略語である訳だが、ソビエト連邦が URSS, Union des républiques socialistes soviétiques という名称であったことを考えれば、NOVEMBRE がこのアートワーク、タイトルでトータリズム、アニマリズムを風刺していることがわかる。)
Q5: 新しいドラマー、David Folchitto はリズムパターンで幾つか興味深い実験を行っているように感じました。作品はあなたの兄で前ドラマー Giuseppe を欠いた初めての作品となりましたが。
【CARMELO】: 確かに David Folchitto はこの作品のドラムスをレコーディングしたね。だけど、彼はオフィシャルメンバーではないんだ。そして、今現在は Carlo Fellini とツアーを行っているんだよ。彼は素晴らしいし、一緒に出来て嬉しいね。
うん、Giuseppe がいないアルバムは初めてだね。思うに、彼はサイドプロジェクトを重要視したかったんじゃないかなあ。彼のレコーディングスタジオで今はメインバンドとなったプロジェクトを始めたんだよ。僕が知っているのはそのくらいだね。
Q6: 前作リリース時に比べて、所謂”Peaceville Sound” がまた人気になって来ているように感じます。”Wish I Could Dream It Again”, “Classica” 時代の音楽性に少し立ち返るという意識はありましたか?また、Dan Swano の起用はそれと関係がありますか?
【CARMELO】: 君はとても正しいね。このアルバムは君が挙げた2枚、”Wish I Could Dream It Again”, Classica” と強い関連性があるんだよ。
Dan Swano を起用したのは、実は長年やりたかったことなんだ。10年前、彼は仕事を止めていて、数年前にまた始めたからね。だから、僕は彼のカムバックを知って、彼とコンタクトを取ったんだ。プロデュースをやってくれると聞いた時は嬉しかったね。結果として、彼の起用は少しオリジナルサウンドに立ち返ることとなったね。同時にこうも言えると思うよ。この作品の素晴らしいところはとてもモダンな点だとね。
Q7: “Peaceville Sound” と言えば、KATATONIA の Anders が “Annoluce” に参加していますね?
【CARMELO】: うん、Anders とは長年の友人なんだ。17歳くらいのキッズの頃からね。ある夏なんか、ストックホルムで会ったんだけど、2人で女の子たちにちょっかいを出したりしていたね(笑)だから長い間コンタクトは取っていたんだ。
それで、僕たちのカムバックが決まった時に、アルバムに参加してくれない?って聞いてみたんだよ。彼は喜んでやるよと言ってくれたね。今回、参加してくれたことにはとても感謝しているんだ。なぜなら、彼自身も新作を制作している最中で、時間的な余裕はあまりなかったからね。彼のメロディーは “Annoluce” に完璧にフィットしたし、彼のおかげで良い曲が偉大な曲になったよ。
Q8: 先程モダンと仰いましたが、確かにこのアルバムのアトモスフィアからは ALCEST 以降の Post-Black 要素が感じられました。
【CARMELO】: フランスには確かに、新しい要素を取り入れた興味深いバンドが存在するね。だけど、僕たちのサウンドが彼らと似ているとは思わないな。ただ、彼らのサウンドは最近のショーケースにもなっているようだから、もっと知るべきかもしれないね。今はあまり詳しくないからね。