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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PARADISE LOST : OBSIDIAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AARON AEDY OF PARADISE LOST !!

“You Have To Follow Your Heart And Soul Or Else You Can Sound a Little Dishonest With Your Craft. I Think If We Had The Mentality Of “Draconian Times Did Well, Let’s Make Another One!”, We Would Have Probably Split Up With The Following Years As It Would Have Felt Empty And Void Of Soul.”

DISC REVIEW “OBSIDIAN”

「僕たちは自分自身のサウンドを完璧なまでに見つけていて、過去32年間でバラエティーに富んだスタイルを実現してきたんだ。つまり、悲惨のタペストリーを幅広く描いてきたわけだよ。」
抑圧と絶望渦巻くコロナ禍の2020年に求められるのは、希望と解放を宿した慈光の音楽でしょうか?少なくともメタル世界では、負を帯電したダークな響きに慰めとカタルシスを求める殉教者が決して少なくないようにも思えます。ただネガティブな感情を瓶に詰め覆い隠すだけでは、きっと自己破壊的な暴発が待っているだけでしょう。
「PARADISE LOST の精神はいつだって何よりも、まず自分たち自身の喜びのために音楽を作ることだからね。心と魂に従う必要があるんだよ。そうしなければ自らの創作物が少し不正直に見られ聞かれるかもしれないからね。 「”Draconian Times” は上手くいったから、もう1つ似たようなものを作ろう!」ってメンタリティーを持っていたとしたら、空虚な気持ちになって魂の欠如を感じ、おそらく次の年には解散していただろうな。」
つまり、PARADISE LOST が描くゴシックドゥームの “悲惨なタペストリー” こそが、暗澹たる黒雲を払い、導きの光となる可能性を秘めていると言っても過言ではないはずです。何しろ、30年以上のキャリアで16枚の歴史を刻む失楽園のメタルには、Aaron の言葉通り他のどの音楽より内なる絶望と憂鬱の真なる創造性が潜んでいるのですから。
色彩豊かな不朽の傑作 “Draconian Times” から25年。新たなマスターピース “Obsidian” でヨークシャーの仄暗き伝説は、デスドゥームの凶暴な起源を再創造しながら、貪欲にゴシックメタルの領域をも拡大していきます。
寂寞暗然を認める唯一無二のシンガー Nick Holmes はここ数年、1992年の “Shades of God” 以来四半世紀ぶりにデスボイスを解禁し、ライオンを再び檻から解き放っています。”The Plague Within” でエクストリームメタルのインテンスを、”Medusa” でドゥームの重苦しいメランコリーを現代に蘇らせた PARADISE LOST は、そうして “Obsidian” で獰猛と陰鬱を完璧なまでに黒の多様でマリアージュさせてみせたのです。
特筆すべきは、悲惨のパレットにキャッチーな音の葉を注いだ “Ghosts” や “Fosaken” の耽美な耳馴染みの良さでしょうか。それは “Host” のシンセポップでも、”Believe in Nothing” のオルタナティブでもなく、SIOUXSIE SIOUX や SISTER OF MERCY と同種のゴシックなダークポップに思えます。
もちろん、Nick の豊かな表現力と Gregor Mackintosh の鍵盤まで含めた扇情力がドラマを紡ぐ “The Devil Embraced” や “Serenity” には “Draconian Times” のゴシックな遺産で満たされていますし、”Fall From Grace” の絡みつくドゥーミーな重量感と慟哭の旋律は改めてバンドの出自を示し、一方で “Ravenghast” では “Gothic” に通じる物哀しきエレジーを紡いでいきます。
ヨークシャーローズに幸運のタリスマンやシンボルを集めたアートワーク、死へ向かう運命、人生の旅路を綴るテーマも完璧。
今回弊誌では、誇り高きリズムマン Aaron Aedy にインタビューを行うことができました。「単純に、僕たちのゴスとメタル両方への愛情が理由だよ。当時、僕らの地元であるイングランド北部には巨大なゴシックシーンが存在してね。そしてもちろん、僕たちはメタルファンとしても育った訳だよ。だから理にかなっているよね。
両方のダークな面は美しく合わさったし、僕らの仲間たちと少し違うことをするという意味でも良いやり方だったね。」 どうぞ!!

PARADISE LOST “OBSIDIAN” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MY DYING BRIDE : THE GHOST OF ORION】


COVER STORY : MY DYING BRIDE “THE GHOST OF THE ORION”

“Tired Of Tears Was Exactly How I Felt. They Had Been Flowing Freely From Me For Months And I Was a Shadow Of My Former Self. It Is Sad That This Will Continue For Many Others. Innocent People. So Very Tired Of Tears.”

HOW GOTHIC DOOM LEGEND TURNS DARKNESS INTO LIGHT

PARADISE LOST の “Gothic” こそがゴシックメタルの幕開けを告げたレコードであることに異論の余地はないでしょう。
以来、ミルトンの失楽園に啓示を受けた荘厳耽美の象徴は、”Icon”, “Draconian Times” とメランコリーの金字塔を重ねることとなりました。そうして、90年代というメタルの実験室は多種多様なゴシックの重音楽を創造することになるのです。
ゴシックメタルの総本山 Peaceville Records は、その PARADISE LOST, ANATHEMA, そして MY DYING BRIDE の通称 “Peaceville Three” を世紀末の世界へと送り出しました。さらにデスメタルから分岐した SENTENCED や TIAMAT、しめやかな女声をメインに据えた THEATER OF TRAGEDY, THE GATHERING と漆黒に広がる色彩の中でも、ヴァイオリンとクラシカルに沈む暗海 MY DYING BRIDE のゴシックメタルは飛び抜けてドゥーミーな陰鬱だったと言えるでしょう。

30年のキャリアで12枚の仄暗くしかし豊潤な旅路を歩んできた死にゆく花嫁が、自らの音の葉を超える悲劇に見舞われたのは、”Feel the Misery” リリース後2017年のことでした。中心人物 Aaron Stainthorpe の5歳の娘が癌と診断されたのです。Aaron は愛娘を襲った病を 「神の最も残酷な、愛のない創造物の1つ」 と断じ嘆きました。
「2017年9月、5歳になった美しい娘が癌と診断された。心配と混乱のブラックホールが目の前に広がったよ。この恐ろしい病気を取り巻く恐怖は、現実的で残忍で容赦ないものだった。化学療法と二度の手術をくぐり抜け、幸運にも娘は癌を克服した。それでも彼女は、残りの人生を再発と潜在的合併症の恐怖と戦いながら過ごさなければならない。だから私はただ自分が墓に向かう時、彼女が強く率直な女性として生きていて欲しいとそればかり願っているよ。」
娘の罹患は Aaron の人生観、そして未来を大きく変えました。
「彼女が病気になる前は単純で愚かなことにイライラしていたけど、本当に深刻な何かに対処しているとそれが非常に取るに足らないものに思える。例えば昔ならプリンターが上手く働かなければばらばらに叩き壊しただろう。だけど今の私はただ、新しいのを買おうと言うだけさ。私を苦しめ、ストレスを与えるだろう愚かな些細なことは、もはや存在しない。人生に変化があったんだよ。私は変わった。もっとリラックスして落ち着いた人になったのさ。」

創立メンバーで出戻りの Calvin Robertshaw とドラマー Shaun Taylor-Steels がレコーディングの直前にバンドを離れました。
「もっと重要なこと、娘の治療に気を取られていたから、メンバーの離脱を気にかけている暇はなかったね。だから Andrew が Calvin がまた辞めたと言ってきても正直どうでも良かったんだ。幸運にも早めに出て行ってくれたから “The Ghost of Orion” のための彼の素材はそんなに残っていなかったんだけど、後からお金を請求されても嫌だから Andrew が全て書き直したよ。ギタリストなら自分のリフが全て採用されるほうが幸せってもんだ。前のアルバム “Feel the Misery” も Hamish Glencross がレコーディング前に辞めたから同じ状況だった。あのアルバムのレビューはこれまでよりポジティブだったから、Andrew が素晴らしいソングライターであることはすでに証明されているからね。
Shawn の場合、エンジニアの Mark が ex-PARADISE LOST の Jeff Singer を知っていて、僅か2週間で全てを覚えて素晴らしいドラミングを披露してくれたんだ。
もちろん、過去にメンバーが去った時は少しイラついたかもしれない。だけど今回私は別の次元にいたからね。ある意味 MY DYING BRIDE との繋がり自体、少し希少になっていたから Andrew はストレスが溜まっただろうな。メンバーが去ったと慌てても、私は肩をすくめて知らないよと言うだけだったから。」

レコードで最も荘厳にエモーショナルに織り上げられた “Tired Of Tears” は文字通り娘の罹患に枯れ果てた涙の結晶。
「この楽曲は僕の人生で、最も恐ろしくストレスが溜まった時期を扱っている。唯一の子供が死に近づいたんだから。これまでも落ち込んだことはあったけど、これほどではなかったよ。真の暗闇でどう対処して良いのか全くわからなかった。それでも全力を尽くして戦おうと決めたんだ。涙が枯れ果てたとはまさに私が感じていた気持ちだ。何ヶ月も涙が自然と溢れ続けたんだ。」
結局、MY DYING BRIDE のあまりに長く、思索を誘う悲嘆のセレナーデは現実という葬儀の行進を彩る葬送曲です。Andrew によると、「悲惨な楽曲は現実の生活に対処するための準備でありカモフラージュ」なのですから。
MY DYING BRIDE は Peaceville Records と最も長く契約したバンドでしたが、”The Ghost of Orion” で袂を分かち Nuclear Blast と新たに絆を結びました。
「Peaceville を離れたのは時間が理由だったと思う。彼らは私たちのために出来得る限り全てをしてくれたし、完全なる芸術的自由を与えてくれたね。だけど私たちはもっと多くのものを提供したかったし、コミュニティーにおける存在感もさらに高められると感じていたんだ。Peaceville はその渇望を満たすことが出来なかった。Nuclear Blast ほどの巨大なレーベルなら実現が可能だからね。
新たなレーベルと契約し、新たなメンバーを加えて、私は MY DYING BRIDE が蘇ったように感じているんだ。新鮮な空気を吸い込みセカンドチャンスが与えられたようにね。”The Ghost of Orion” は最高傑作に仕上がったと思うし、再びエネルギーを充填して、より大きく、より素晴らしい音楽を生み出すバンドを目指していくんだよ。」

“The Ghost of Orion” は MY DYING BRIDE 史上最もキャッチーでアクセシブルだとメンバー、リスナー、評論家全てが評しています。その変化は存在感を高めるため?それともレーベルの影響?もしくは娘の回復が理由でしょうか?
「全ては意図的に行われた変化だよ。Peaceville 時代の後期からすでによりレイドバックした “イージーリスニング” なアプローチは検討されていたんだ。過去の私たちがそうであったように、若いころは強い印象を与えようとするからね。私たちも4回リフを繰り返して自然に他のパートへ移行する代わりに、ただ驚かせるためだけに同じリフを7回半ひたすらプレイしたりしていた。技術的に優れていることも証明したかったんだと思う。だけど、それはもう過去にやったことだ。今は何も証明する必要もない。
だからこのアルバムにはギターとボーカルのハーモニーがたっぷり含まれているんだ。ダブル、トリプル、時には4重にも重ねてね。さらにコーラスも存分に取り入れて聖歌隊の雰囲気を与えたよ。
ただ、あくまで MY DYING BRIDE 流のコマーシャルさ。だってシングル曲 “The Old Earth” にしたって10分あるんだからね。一般的なコマーシャルとはかけ離れている。それでも、耳に優しいのは確かなようだ。メタルに詳しくない友人が “Your Broken Shore” を褒めてくれたのは嬉しかったよ。つまり新たなファンを獲得しているってことさ。
もちろん、リッチなコーラスに不満を言うファンはいるだろう。でも私たちは新たなチャレンジを楽しみ、前へと進んでいるんだからね。」

新たな挑戦と言えば、チェロ奏者 Jo Quail と WARDRUNA の女性ボーカル Lindy-Fay Hella がゲスト参加しています。チェロはバンド史上初、女声も “34.788%…Complete” 以来初の試みです。
「アルバムを制作していくうち、特別な作品へ発展していることに気づいたんだ。それで私たちだけで仕上げるよりも、他の質の高いミュージシャンを加えて最高のアルバムに仕上げるべきだと思ったのさ。真に際立った2人の女性が、その才能で素晴らしいパートを加えてくれたんだよ。」
今や様々な分野のアーティストに影響を与える立場となった MY DYING BRIDE。では Aaron Stainthorpe その人はどういった芸術家からインスピレーションを受けているのでしょうか? CANDLEMASS と CELTIC FROST は彼にとっての二大メタルバンドです。
「”Nightfall” の暗闇は私の中で生き続けるだろうね!実に巧みに設計されていて、最初から最後まで過失のないレコードだよ。特にボーカルがね。CELTIC FROST なら “Into The Pandemonium” だよ。このバンドが支配するアンビエンスと真の狂気は私にとって純粋に詩的なんだよ。アートワークも素晴らしいよね。」
同時に DEPECHE MODE と DEAD CAN DANCE も当然彼の一部です。
「DEPECHE MODE を愛するメタルヘッドは決して少なくないよ。だって終わりのない落胆と陰鬱が存在するからね。私はアルバムだけじゃなく、12インチ7インチを出来る限り購入していたね。ファンクラブのメンバーにも入っていたくらいだから。
DEAD CAN DANCE で私が最初に聴いた CD は “The Serpents Egg” で、これは長年にわたって個人的なお気に入りなんだ。新しい歌詞や詩を書きたい時に聴きたくなるね。 モダンで厳格な心持ちから、望んでいる温かく創造的な雰囲気に変化させてくれる。このLPは、そうして “言葉の食欲” が落ち着くまで繰り返されるわけさ。」
さらには SWANS まで。「Michael Gira の心は複雑で、その創造的な成果は特に SWANSに現れている。Michael の提供する複雑なリリックと楽曲は、時に不快だけど喜びで価値があるものだ。何が起こっているのかわからないけど、魅力的で戸惑うほど美しい。」

そうした Aaron の才能はいつか小説や映画を生み出すのかもしれません。
「いつか映画を撮るかもしれないね。大きな映画館じゃ上映されないような作品さ。2020年のベストフィルムは “The Lighthouse” だよ。4K やフルカラーで撮影されなければ映画じゃないように思われているかもしれないけど、実際はそうじゃない。」
今年はバンドにとって3枚目のアルバム、マイルストーン “The Angel and The Dark River” の25周年です。興味深いことに、名曲 “The Cry of Mankind” は僅か2時間半で全てが完成した楽曲です。
「Calvin が適当にギターを触っていて、残りのメンバーは無駄話をしていた。でも彼のフレーズの何かが私たちの耳を捉えたんだ。そこから全員で一気呵成に仕上げていったね。こうやって自然と出てくる曲はそれほど多くはないよ。通常は誰かが「私に3つのリフがある。さあここから他の楽器で装飾し楽曲を作ろう」って感じだから、何もないところから作られて絶対的なリスナーのお気に入りになったのは最高だよ。ファンがその曲を愛しているんだから、すべてのギグで演奏しなければならないと思う。」
Aaron と Andrew は唯一のオリジナルメンバーで、その付き合いは30年を超えています。
「私たちは老夫婦のようなものさ。 両方とも同じものを望んでいる。それに私だけがオリジナルメンバーではないのが嬉しいんだよ。親愛なる人生のために、他の誰かがまだそこに留まっているのは素晴らしいことだからね。 もし Andrew が辞めたら、私もタオルを投げるだろうな。彼も同様のことを言っているがね。なぜなら私たちは自分からは辞めると言いたくないんだよ。だから長く続くかもしれないね!私はまだもう10年は続けられると思う。」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DEVIL MASTER : SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HADES APPARITION OF DEVIL MASTER !!

“I Think The Desire To Find The Most Chaotic And Moribund Sound Is What Drew Us To Japan’s Underground Music Scene. It Has Had a Huge Impact On Us Musically And Aesthetically.”

DISC REVIEW “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT”

「僕たちのライティングプロセスにおいて、禁止されていることは何もないし、創造的なプロセスを阻害するいかなる意図も働かないよ。」
エクストリームミュージックの世界において、ジャンルの “純血” を守るためのみに存在する特有の “ルール” はもはや過去のものへとなりつつあります。ヴァンパイアの血を引く “漆黒のプリンス” を盟主に仰ぎ、フィラデルフィアから示現したオカルト集団 DEVIL MASTER は、天衣無縫な怪異の妖気でメタル、ハードコア、ゴス、ポストパンクといったジャンルのボーダーラインをドロドロに溶かしていきます。
「 G.I.S.M., ZOUO, MOBS, GHOUL, GASTUNK…間違いなく彼らの影響は、僕たちが成そうとしていることの基礎となっているね。最も混沌とした、瀕死のサウンドを見つけたいという願望が、日本のアンダーグラウンドミュージックシーンに僕たちを引き寄せたんだと思うよ。」
ブラックメタルの歪みと混沌、スラッシュの突進力、衝動的なハードコアのD-beat、ゴシックロックの濃密なメランコリー、揺らぐポストパンクのリバーブ、そしてクラッシックメタルの高揚感。モダンメタルの多様性を究極に体現する DEVIL MASTER の音の饗宴。その骨子となったのは驚くことに、ここ日本で80年代に吹き荒れたハードコアパンクの凶悪な嵐、いわゆるジャパコアでした。
確かに、ZOUO のサタニックなイメージをはじめとして、パンクらしからぬ高度な演奏テクニック、ノイジーでメタリックなサウンドメイクなど、良い意味でガラパゴス化した当時のジャパコアシーンの異端なカオスは、DEVIL MASTER の原点としてあまりに符号します。
そして皮肉なことに、DEVIL MASTER が極東の前世紀アンダーグラウンドを起点として、多彩な阿鼻叫喚を創造したのは、今現在 「大半のモダンメタルが陥っている一種の停滞から自身をしっかり識別、認識させたいという願望」 にありました。
「サタニズムに纏わる事柄は、間違いなく僕たちの音楽に内包されているね。だけど、僕たちのアプローチは確実に典型的な意味では用いられていないんだ。」
ギターの片翼 Hades Apparition も固執する “典型” を嫌うマスターの哲学。さらにマスターマインド Darkest Prince は、「サタンは世界を前進させる力だと思う。神にも似て…いや神なんてものはいない。それは”フォース”の名称であるだけさ。邪悪だって存在しない。ただ、”道義心” が社会を形作っているだけなんだよ。」 と語ります。
つまり、彼らのサタンは “生を肯定” する存在。サタニズムを邪悪や悲惨のネガティブな一元論で語るバンドが多い中、”Devil Is Your Master” に示された通り DEVIL MASTER は、”マスター” という “フォース” の栄光を讃えることで、サタニズム由来のメランコリズムと高揚誘う勝利のサウンドを見事に両立しているのです。
EP のコンピレーションを経て Relapse からリリースとなったデビューフル “Satan Spits on Children of Light”。ピアノに始まりピアノに終わるレコードは、”Skeleton Hand” でハイテンションのホラーパンクを、”Desperate Shadow” で MERCYFUL FATE の劇場感を、”Dance of Fullmoon Specter” では古の日本の伝承を探求し、70年代のオカルト映画に通じる退廃的な邪悪をシアトリカルに体現するスペクタクルとなりました。それは聴覚とそして視覚からリスナーを地獄の底へと誘う旅。
CODE ORANGE, POWER TRIP を手がけた Arthur Rizk のプロデュースはまさしくクロスオーバー最先端の証でしょうし、もちろん、GHOST の手法を想起するリスナーも多いでしょう。
今回弊誌では、Hades Apparition にインタビューを行うことが出来ました。「一つの旗の下に音楽を創作するという典型的な “近視” の状態ではなく、僕たちの全ての影響を出したいと願うよ。そうすることで、僕たちの音楽に住む混沌とした性質をさらに加速させることが出来ると思うんだ。」 どうぞ!!

DEVIL MASTER “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SWALLOW THE SUN : WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTI HONKONEN OF SWALLOW THE SUN !!

“The Whole Album Is Personal And Very Special For Juha Raivio And For Us Also As a Band. All I Want To Say Is That I Believe There Is Hope Also Involved On The Album. A Light At The End Of The Tunnel. “

DISC REVIEW “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT”

2016年、ギタリストでメインコンポーザー Juha Raivio が長年のパートナーでコラボレーターでもあった Aleah Stanbridge を癌で失って以来、フィンランドの哀哭 SWALLOW THE SUN はまさに涙淵へと深く沈んでいました。
ツアースケジュールの延期に隠遁生活。そうして2年の服喪の後、最終的に Juha が自らの沈鬱と寂寞を吐き出し、Aleah との想い出を追憶する手段に選んだのはやはり音楽でした。
Aleah の闘病中に制作された前作、”Songs From the North I, II and III” はメタル史においても前代未聞、3枚組2時間半の大エピックとしてリリースされました。「僕たちのスローガンを明瞭に示したんだ。憂鬱、美麗、そして絶望。僕たちが音楽に封じている三原則だよ。同時に、Juha Raivio にとってはとてもパーソナルなアルバムにもなったんだ。彼が当時、人生で経験したことを封じているからね。」Matt Honkonen が語るように、Juha の尽き果てる希望を憂鬱、美麗、絶望というバンドの三原則で封じたレコードは、同時にアルバム単位から楽曲単位へと評価の基準が移り行くインスタントミュージックの機運に一石を投じる壮大なアンチテーゼでもあったのです。
「ああいったエピック、トリプルアルバムをリリースした後だったから、僕たちは何か別のとても特別なものを創出したかったんだと思うんだ。」Matt の言葉通り、喪が開けて Aleah への追悼と Juha の深痛を宿す最新作は、”Lumina Aurea” と “When a Shadow is Forced Into the Light”、EP & フルアルバムというイレギュラーなリリースとなったのです。
13分半のタイトルトラックとそのインストバージョンで構成された EP “Lumina Aurea” の音楽は、これまでの SWALLOW THE SUN スタイルとは大きく異なっていました。
ネオフォークの大家 WARDRUNA の Einar Selvik と、イタリアンドゥームの傑物 THE FORESHADOWING の Marcus I の助力を得て完成させた楽曲は、完全にジャンルレス。ネオフォーク、ドゥーム、スポークンワードにオーケストレーションとグレゴリアンスタイルを加味した “Lumina Aurea” は、ただ純粋に Juha の慟哭と闇を音楽の姿に写した鬼哭啾々の異形でした。
一方で、「僕はこのアルバムに関しても希望は存在すると信じているし、トンネルの出口には光が待っているんだ。」 と Matt が語る通り、フルアルバム “When a Shadow is Forced Into the Light” はタイトルにもある “影”、そしてその影を照らす “光” をも垣間見られる感情豊かな作品に仕上がったのです。
デスメタルとドゥーム、そしてゴシックが出会うメランコリーとアトモスフィアに満ちたレコードは、まさにバンドが掲げる三原則、”憂鬱、美麗、絶望” の交差点です。
恍惚のオーケストレーション、アコースティック、ダイナミックなドゥームグルーヴ、胸を抉るボーカルハーモニーにグロウル。リッチなテクスチャーで深々と折り重なる重層のエモーションを創出するタイトルトラックは、SWALLOW THE SUN のレガシーを素晴らしく投影する至高。
“Lumina Aurea” の深海から浮上し、暗闇に光を掲げる “Firelight” のメランコリーはバンドの長い歴史に置いても最もエモーショナルな瞬間でしょう。死は人生よりも強靭ですが、きっと愛はその死をも凌駕するのです。
もちろん、”Clouds On Your Side” を聴けば、ストリングスがバンドのメロウなアンビエンスと痛切なヘヴィネスを繋ぐ触媒であることに気づくでしょう。そうしてアルバムは、ダークでしかし不思議と暖かな “Never Left” でその幕を閉じます。
“When a Shadow is Forced Into the Light” を聴き終え、Juha と Aleah の落胤 TREES OF ETERNITY の作品を想起するファンも多いでしょう。リリースにあたって、全てのインタビューを拒絶した Juha ですが、1つのステートメントを残しています。
「このアルバムは Aleah を失ってからの僕の戦いの記録だ。”影が光に押しやられる時” このタイトルは Aleah の言葉で、まさに僕たちが今必要としていること。2年半森で隠棲して人生全てをこの作品へと注ぎ、影を払おうと努力したんだ。言葉で語るのは難しいよ。全てはアルバムの音楽と歌詞が語ってくれるはずさ。」 バンドに18年在籍する代弁者、ベーシスト Matti Honkonen のインタビューです。どうぞ!!

SWALLOW THE SUN “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT” : 10/10

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INTERVIEW WITH VILLE LAIHIALA 【S-TOOL, SENTENCED, POISONBLACK】JAPAN TOUR 2018 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VILLE LAIHIALA OF S-TOOL !!

S-TOOL Photography: Loma Graphics/ Jani Mahkonem Retouch: Loma Graphics/ Jani Mahkonen
S-TOOL
Photography: Loma Graphics/ Jani Mahkonem
Retouch: Loma Graphics/ Jani Mahkonen

One Of The Best Singer In Finland, Ville Laihiala Talks About His New Band S-Tool, Upcoming Japan Tour, And Legendary Sentenced & Poisonblack !!

ABOUT VILLE LAIHIALA

SENTENCED で慟哭のノーザンメランコリックメタルを創成し、POISONBLACK でもより幅広い枠組みの中でその叙情を追求し続けて来た不世出のシンガー Ville Laihiala が、新たな旅路 S-TOOL で遂に日本へと帰還を果たします!POISONBLACK 以来8年振りとなるレジェンドの降臨は、かつてより硬質なエキサイトメントを誘うはずです。
変革は突然でした。1995年、IN FLAMES の “The Jester Race”、DARK TRANQUILLITY の “The Gallery”、AT THE GATES の “Slaughter of the Soul” と時を同じくして名盤 “Amok” を世に送り出し、メロディックデスメタルの骨格を形成した SENTENCED。しかし彼らがその領域へと留まったのはほんの僅かな期間のみでした。
EP “Love & Death” で変化の予兆を示したバンドは、デスボイスを廃し、新たに独特のダーティーボイスで悲壮を歌い紡ぐ Ville Laihiala を迎え入れる決断を下します。
振り返ってみれば、メインコンポーザー Miika Tenkula の音楽的ビジョンは “Amok” の時点から他のメロデスレジェンドに比べて一際洗練され拡散していたようにも思えます。そしてその天賦の才は Ville という漆黒の翼を得て、フィンランドの凍てつく空寂を縦横無尽に飛び翔ることとなりました。
1998年にリリースされた “Frozen” はバンドの全てが噛み合い理想が形象化したはじめての作品と言えるのかも知れませんね。
“The Suicider” が象徴するように、時にニヒルに、時にストレートに死や自殺をテーマとして扱う SENTENCED。シンプルでしかし印象深いギターメロディーに融和する悲嘆と失意の絶唱は、あまりに直情的に極寒の空気を切り裂きます。
ゴシックなイメージでアグレッシブに突き進む彼らの手法は恐らく HIM や NEGATIVE といった後続にも大きなインスピレーションを与えています。つまり SENTENCED はメロデスと並び二つのジャンルで先駆者の地位にある稀有な存在だと言えるでしょう。
同時に、勿論これはメタルですが Miika のメタルらしいリフワークから距離を置いたそのギターフィロソフィーには、確かにパンクやグランジの奔放なアティテュードも滲んでいますね。
赤盤 “Crimson” の “Killing Me Killing You” で図らずも耽美と絶望があまりに紙一重であることを証明して見せた後、SENTENCED は完璧なる傑作、メランコリーの洪水青盤 “The Cold White Light” を完成させます。やはりこのバンドが生み出すメロディーは衝撃的なまでに胸を抉ります。まさに絶頂期。しかしバンドの終焉も突然でした。
“暗闇で手を差し出すけど誰もいないんだ。なぜただ人生を生きるだけでこんなにも辛いんだろう。僕は絶望に駆られてそれでも必死で手を差し出すんだ。” (No One There)
永眠した SENTENCED についてはあまり触れたがらなかった Ville ですが、「僕はいつだって自分自身を表現したいと思っているし、その必要も感じているよ。自らの “ノイズ” と言葉でね。だから確かに時にはモチベーションを保つのに苦労することはあったんだよ。」 と語ってくれました。
解散後に立ち上げた POISONBLACK では、ギタリスト、コンポーザーとしてもその魅力を存分に発揮した Ville。恐らくは、クリエイティビティーを制限される SENTENCED での活動に限界を感じたのかも知れませんね。
とは言えバンドの墓標、自らを葬る “The Funeral Album” で回帰したラフ&メタリックな音像は “May Today Become The Day” や “Vengence Is Mine” が証明するように、充分に魅力的なものでした。そしてその悲哀を帯びた硬性は、近年の METALLICA や DISTURBED ともシンクロしながら確かに S-TOOL のデビュー作 “Tolerance 0″ にも引き継がれているのです。
今回弊誌では、Ville Laihiala にインタビューを行うことが出来ました。”No Reunion!!” 悲しいことに我々は病で Miika を失いました。当然です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NOVEMBRE : URSA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARMELO ORLANDO OF NOVEMBRE !!

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Giant awakes!! Italian Prog-Goth/Doom maestro, Novembre are back with fantastic Post-Peaceville record “URSA” for the first time in nine years !!

DISC REVIEW: “URSA”

イタリアの Prog-Goth Giant、NOVEMBRE が9年の長いハイエイタスの後、待望の新作 “URSA” をリリースしました!!
90年代初頭、ANATHEMA, PARADISE LOST, MY DYING BRIDE といったバンドが構築した美麗な Gothic Death Metal サウンドは、彼らが契約していたレーベルの名を取り “Peaceville Sound” と表現されています。00年代に、ほとんど話題にも登らなくなったそのサウンドは、2010年代に入り、ANATHEMA, KATATONIA のような Post-Prog サウンドへの深化、もしくは昨年の PARADISE LOST, DRACONIAN のような強烈でモダンな原点回帰により、シーンのトレンドへと戻って来ているように思えます。
そういった状況の中、遂にイタリアの巨人 NOVEMBRE も動き出しました。叙情と怒り、プログ/ドゥーム/デス/ゴシックを見事に共存させた前作 “The Blue” は間違いなく、彼らの長いキャリアにおいて集大成と呼べるような傑作であったにも関わらず、時代は味方することなくバンドは長い沈黙に入ってしまいます。その間に、残念ながらメンバーこそ Carmelo Orlando、Massimiliano Pagliuso の2名となってしまいましたが、機は熟しましたね。
“Peaceville Sound” が復活を遂げた今、彼らの新作 “URSA” は奇しくも NOVEMBRE 初期の名作 “Wish I Could Dream It Again”, “Classica” 時代のサウンドに少しばかり原点回帰を果たしたようにも感じられます。あの時代を深く知るプロデューサー Dan Swano の起用もその要因の1つかも知れません。同時に、作品には ALCEST 以降の Post-Black サウンド、現代的なアトモスフィアも持ち込まれており、結果として “URSA” は、過去と現在の憂鬱で美麗なメタルサウンドを味わえる傑出した作品に仕上がっています。
9年の沈黙を破るかのような雄弁なアルバムオープナー “Australis” は幽玄で美しく、ダイナミックかつアトモスフェリック。まさに “Post-Peaceville Sound” とでも表現出来るような世界観を誇ります。
“The Rose” がロシア由来のメランコリックなメロディーで彼らの帰還を告げれば、前作のファンを狂喜させるようなプログメタル要素の強い佳曲 “Umana” でリスナーは完全に “URSA” の虜となるでしょう。”Umana” は8年前に書かれた楽曲だそうですが、熟成期間を経て Post-Black 化した OPETH のようなサウンドに仕上がったのは実に興味深いですね。
タイトルトラック “Ursa” はヨーロピアンフォークのヴァイブを強く取り入れています。これは作品のタイトルが、ジョージ・オーウェルの “Animal Farm” を引用したことと関連していて、つまり、あの時代のヨーロッパを音楽的に再現することで、現代のアニマリズムを風刺し批判しているのです。
KATATONIA の Anders がゲスト参加しシングルカットされた “Annoluce” は身をよじるようなメロディーが秀逸な典型的 “Peaceville Tune”。そして続く9分にも渡るインストゥルメンタルチューン “Agathae” はまさに初期の彼らと今を繋げるミッシングリンク。20年前、”Wish I Could Dream It Again” 当時に書かれたという楽曲は何年もの間、ギタートラックを重ね続けてようやくここに日の目を見たのです。彼らの楽曲に対する拘りが強く感じられるエピソードですね。
70年代の香りを感じさせる、Dan Swano 印の宝石のような “Fin” で60分の11月劇場は幕を閉じます。
今回弊誌では、ギター/ボーカルを担当する Carmelo Orlando にインタビューを行うことが出来ました。今作は時代も必ずや味方すると思います。どうぞ!!

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NOVEMBRE “URSA” : 9.6 / 10

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