EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NIILO SEVANEN OF INSOMNIUM !!
One Of The Greatest Scandinavian Metal Outfit, INSOMNIUM Has Just Released Ambitious New Epic “Winter’s Gate” !! The Best Metal Album of The Year Is Here !
DISC REVIEW “WINTER’S GATE”
フィンランドが誇る Melodic Death Metal の牽引者、INSOMNIUM がシーンのマイルストーンとなるような傑作 “Winter’s Gate” をリリースしました!!Scandinavian Metal の結晶、究極形とも言えるアルバムは、間違いなく世界中のメタルファンの心を動かし、長く愛される作品となるでしょう。
インタビューにもあるように、”Winter’s Gate” はバンドのフロントマン Niilo Sevanen が10年ほど前に書き上げ、フィンランドの短編小説コンテストで受賞まで果たした “Talven Portti” 英語で “Winter’s Gate” という物語を基としたレコードです。1曲42分のエピックのみを収録するという挑戦的な作品は、見事にその音楽も Niilo が創造したヴァイキングのファンタジーに寄り添っているのです。
INSOMNIUM は決して Melodic Death Metal のオリジネーターという訳ではありません。しかしながら、IN FLAMES, DARK TRANQUILLITY といったパイオニアが、こぞって異なる地平を目指す中、彼らはしっかりと地に足をつけかけがえのない伝統と叙情性を継承しつつ、自らの色であるインテリジェンスやアトモスフィアをバランス良く作品に持ち込み、ファンの信頼を得て来たと言えるでしょう。
そして彼らが今回提示したのは、Melodic Death Metal から Scandinavian Metal へとその領域を広げる野心的な試みでした。インタビューで Niilo はアルバムを “Cold and Dark” と表現し、Doom Metal や Black Metal への接近を明言してくれました。勿論、これまでの作品にも、EMPEROR の凍てつくようなトレモロリフや、OPETH の知的で美麗なプログセンスを想起させる場面は存在した訳ですが、”Winter’s Gate” ではより明確に奥深く幅広く、スカンジナビアの血をアピールしているような気がします。
“Winter’s Gate” を紐解く時に、EDGE OF SANITY について言及しない訳にはいかないでしょう。インタビューで Niilo が語ってくれた通り、EDGE OF SANITY のこちらも1曲40分の大作 “Crimson” が彼らをインスパイアしたことは、”Winter’s Gate” のミキシング&マスタリングを EoS の首謀者 Dan Swano が手がけていることからも明らかです。
“Crimson” はしばしば問題作と言われるように、確かに名作 “Purgatory Afterglow” などと比較すると、即効性は薄いかもしれません。しかしながら、多様性に富んでいて、プログレッシブで、静と動のコントラストも見事。むしろ、その多様性が評価される現代だからこそ見つめ直すべき作品かもしれませんし、そこに目をつけた INSOMNIUM もさすがだと思います。
実際、”Winter’s Gate” は彼らのアルバムでも最もエクレクティックで、静と動、重と美、ファストとスロウ、つまりは様々なコントラストが際立った作品に仕上がったのです。
また、壮大な大曲、エピックという観点、Doom への接近という意味では同郷の SWALLOW THE SUN もアルバムのキーとなる存在でしょう。事実、”Winter’s Gate” のキーボードパートは StS の Aleksi Munter がアレンジを行っています。彼らの持つダークでメランコリック、そして美麗な Doom Metal という特徴的な音像は間違いなく作品に注入されていますし、勿論 StS の最新作 “Songs From The North I, II & III” が3枚組の超大作だったことを忘れてはいけませんね。
ストーリー、スカンジナビア、多様性、プログレッシブ、そして “Cold and Dark” というコンセプトの軸が固まった “Winter’s Gate” にとって、ギターチームの貢献は非常に重要でした。メインソングライターである Ville Friman はさらにプログレッシブでより美しいアトモスフィアという命題をこなすばかりではなく、その澄み切ったクリーンボイスでアルバムに彩を加えていますし、前作から加入した Markus Vanhala が “Shadows of the Dying Sun” で発揮し切れなかった創造性を遺憾無く注ぎ込んでいる点にも注目するべきでしょう。自身のバンド OMNIUM GATHERUM では勿論メインソングライターである彼のメロディアスなフレージング、より Black Metal 的なリフワーク、ANATHEMA を想起させる荘厳にレイヤーされたサウンドは間違いなく INSOMNIUM の新しい武器となっていますね。
特筆すべきは、これまで少し数学的、機械的すぎたきらいもあったギターリフが人間味とエモーションに溢れていること。生ピアノやアコースティックギターの効果的な使用も相まって、Niilo の時に勇壮で、時に叙情的で、時には囁くようなデスボイスの表現力がより際立っているのです。
様々なバンドの名を挙げましたが、実際、北欧、スカンジナビアンメタルの宝石箱のような作品だと思います。それは勿論、彼らならではの知性と構成力があってこそ。ぜひ今年ベストとも思えるメタルレコードをチェックしてみてくださいね!
今回弊誌では、バンドのフロントマン、ボーカル/ベースを担当する Niilo Sevanen にインタビューを行うことが出来ました。バンド以外の経歴も華々しいインテリ集団の頭領。どうぞ!!
INSOMNIUM “WINTER’S GATE” : 10/10
【INTERVIEW WITH NIILO SEVANEN】
Q1: Your newest album “Winter’s Gate” is just out! How do you feel now? And how are the reactions so far?
【NIILO】: We feel great! Reactions and reviews have been very good and the first week on the album charts was our best ever. We were number #1 in Finnish album charts which is pretty well with a single track album.
Q1: 最新作 “Winter’s Gate” がリリースされましたね!今はどういったお気持ちですか?またこれまでの反響はいかかですか?
【NIILO】: 最高の気分だよ!反響もレビューも素晴らしいんだよ。アルバムリリース初週のチャート順位は僕たちにとって最高のものだったね。フィンランドでは1位に輝いたんだよ。1曲のみのアルバムとしては上出来だろう。
Q2: It’s a very ambitious release, the record has one epic song. I remember Edge of Sanity’s Crimson in this genre. Why did you make a one epic song album, instead of making a normal record?
【NIILO】: Yes, we are big fans of Edge of Sanity, and Crimson was something that inspired us to try something like this. I think we all wanted to try something different and keep things interesting for ourselves. We had already done 6 „normal“ albums.
Q2: お話にも出ましたが、”Winter’s Gate” は1曲のエピックのみを収録した非常に野心的な作品です。EDGE OF SANITY の “Crimson” を思い出しましたよ。
【NIILO】: うん。僕たちは EDGE OF SANITY の大ファンだからね。今回の挑戦は、”Crimson” にインスパイアされた部分もあるんだよ。
同時に、バンド全員が何か異なるチャレンジを望んでいたとも言えるね。いつも自分たちにとって面白いと思えることをやりたいからね。すでに6枚の”ノーマルな”アルバムは残している訳だからね。
Q3: The story of “Winter’s Gate” leans on the history and mythology of Scandinavia. Could you say something about the concept and lyrical themes of “Winter’s Gate”?
【NIILO】: Winter’s Gate short story comes with the album, and it’s something I wrote already about 10 years ago. Back then it won a short story competition in Finland and was well received. It’s a historical fiction and fantasy hybrid that tells a story of a group of Vikings seeking riches and getting in trouble, far far away from home. It’s a dark and tragic tale. Something that I thought would suit for Insomnium as well.
Q3: “Winter’s Gate” のストーリーはスカンジナビアの歴史や神話に基づいているそうですね?
【NIILO】: “Winter’s Gate” には短いストーリーが存在するんだ。それは僕が10年ほど前に書いていたものなんだけどね。当時僕のストーリーは、フィンランドのショートストーリーコンテストで受賞し、非常に評価が高かった作品なんだ。
空想上の歴史とファンタジーのハイブリッドで、富を求めて家から遠く遠くにまで旅し、災難に巻き込まれるヴァイキングのグループの物語だよ。ダークで悲劇的なお話しさ。だから INSOMNIUM にもピッタリだと思った訳だよ。
Q4: It’s different style from your previous release. So, musically, how have you evolved from your past works?
【NIILO】: We wanted to make music that would fit the atmosphere of the story, so something cold and dark. So there are lot of black metal and doom metal vibes on the album. Some very progressive parts as well. But it all came really naturally and without forcing.
Q4: 以前の6枚を”ノーマルな”アルバムと仰いましたが、これまでと音楽的に異なる点、進化した部分を教えてください。
【NIILO】: 今回は、さっき話したストーリーの雰囲気にフィットするような音楽を作りたかったんだ。だから冷ややかでダークな音楽になっているね。
そしてそれ故に、アルバムには Black Metal, Doom Metal のヴァイブも多分に存在するんだよ。同時にとてもプログレッシブなパートも存在するね。ただそういった要素は本当に自然に生まれたんだよ。無理に音楽性を変えようとした訳じゃないんだ。
Q5: “Winter’s Gate” is only one song, but there is a lot’s of elements, moods, and paces. Especially, I felt you focused on old good Scandinavian Metal, do you agree on that?
【NIILO】: I agree! There are lot of vibes from the Scandinavian metal of the 1990´s, so the stuff we loved as teens. Emperor, Edge of Sanity, Dissection, Opeth etc.
Q5: 仰る通り、”Winter’s Gate” は1曲ですが、様々な要素、ムード、ペースが存在しますね。特に、スカンジナビアのオールドスクールなメタルの雰囲気が強く感じられました。
【NIILO】: 全くもってその通りさ!アルバムには 90年代のスカンジナビアンメタルの雰囲気が多分に存在するね。僕たちが10代の頃に愛していたようなマテリアルだよ。EMPEROR, EDGE OF SANITY, DISSECTION, OPETH といったようなね。
Q6: So, Japanese fans pay attention to your career and intelligent personality. You know, Ville has a Ph.D in evolutionary ecology in the Helsinki University. Niilo majored in history of culture and literature. Markus has studied at Lappeenranta University of Technology. Adding to that, ex-member Ville Vanni is a doctor. That’s very rare case for Metal bands, I think How does your studies reflect on your music?
【NIILO】: That’s hard to say. But we are not afraid of working hard and being relentless when pursuing our goals, so I guess that helps also in music business. Personally I can say that being interested in literature and history definitely helps me to write better lyrics.
Q6: あなたは大学でスカンジナビアの文化や歴史を専攻していましたし、Ville Friman はヘルシンキ大学で進化生態学の博士号を持っています。さらに Markus Vanhala は経営学学士を所持し、Markus Hirvonen はラッペーンランタ大学で環境技術を学んでいます。脱退した Ville Vanni は医師ですし、音楽以外の経歴も実に知的で、意外性がありますよね。それらはどのように INSOMNIUM に反映されていますか?
【NIILO】: 言葉にするのは難しいね。だけど、そういった経歴のお陰で、目標を達成するために努力を厭わなかったり、執拗になれたりするように思うな。だから、僕たちのミュージックビジネスに関しても恩恵はあるように思う。
個人的には、文学や歴史に興味を持つことが、間違いなく、良い歌詞を書くための手助けとなっているということは言えるね。
Q7: You are playing Melodic Death Metal since the 90’s, and you are one of the pioneers in the atmospheric aspect of Metal. There are lot’s of Modern/Atmospheric Metal bands in the scene now. What’s your thought of them and the genreal metal scene?. Do you feel comfortable in this scene nowadays?
【NIILO】: I’m not thinking these kind of questions that much. I concentrate on what we are doing and honestly I don’t have that much time to follow the scene and other bands. Generally metal community is doing well worldwide, I think. Many metal festivals seem to do well and people come to see the shows and they really support their favourite bands.
Q7: INSOMNIUM というバンドはアトモスフィアをメタルに持ち込んだパイオニアの1つだと思います。近年、アトモスフェリックなモダンメタルバンドは数多く現れてきていますが、最近のメタルシーンについてはどう思っていますか?
【NIILO】: あまりこういった話題について深く考えたことがないんだ。僕が集中しているのは自分たちのことだけで、正直に言って他のバンドやシーンをフォローする時間があまり無いんだよ。
まあ、一般的に言って、メタルシーンは世界規模で上手く行っていると思うな。たくさんのメタルフェスが成功しているように思えるし、メタルファンはライブへ足を運んで大好きなバンドを本当にサポートするからね。
Q8: 2017 will be your 20th anniversary! Do you have any special plan to celebrate the milestone? And what was the most impressive thing in your long history?
【NIILO】: Let’s see! There are some special shows planned but we’ll tell about those later! Choosing just one thing from 20 years is impossible. This whole journey we’ve done has been amazing. But playing first time in Tokyo about 5 years ago was one of the coolest things I remember.
Q8: 来年は記念すべきデビュー20周年の年となりますね!何か特別な計画を用意していますか? またこの20年で一番の思い出を教えてください。
【NIILO】: それはお楽しみだよ!スペシャルなショーをいくつか計画しているんだ。もう少ししたら発表するよ!
20年間の中から1つ思い出を選ぶのは難しいな。僕たちの旅全てが素晴らしかったよ。だけど5年前に初めて東京でプレイしたのは最高にクールな思い出の1つだよ。