EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YVETTE YOUNG OF COVET !!
“I Personally Do Feel Like There’s a Lot Of Stereotypes And Preconceptions Floating Around, And I Look Forward To Continuing To Work Hard So I Can Be a Better Example Of What Is Possible To Younger Girls.”
DISC REVIEW “TECHNICOLOR”
「”Technicolor” とは、かつて古いフィルムを着色するために使用された懐かしい方法だから、適切な名前だと思ったの。アルバムの音楽の多くは、私の中に少しノスタルジアを呼び起こしていると思うのよ。トーンや高揚感のおかげでね。」
褪せたフィルムに色を差せば、浮かび上がるは感情。決して万人には訴求しない難解多動なマスロック/プログレッシブの領域に、COVET と Yvette Young は夢見がちに懐かしき音の虹をかけて色彩豊かな華の架け橋となりました。
「あれは私が今まで経験した中で最悪の出来事の一つだったわ。音楽業界(そしてそのシーン全般)には依然として女性に大きな偏見があって、混乱の多い場所であることを学んだと思うわ。それにね、何か悪いことが起こっているときは決して静観しないことが常に最善であることも学んだわ。だって、黙っていれば、誰かがバンドの力と権力を乱用し続けることを許してしまうから。」
順風満帆に思えたマスロックイーンのキャリアは今年初頭、強大な嵐にさらされました。PERIPHERY のギタリスト Mark Holcomb との不倫騒動が巻き起こったのです。Mark 本人からの冷たい言葉に加えて、彼のファンベースからも心ない差別、中傷を受けた Yvette は傷つき、悩み、そして遂に毅然と声をあげました。
憶測が飛び交っているから自分の言葉で真実を伝えたい。Yvette は Mark が妻とは別居し離婚したと嘘をついて妻と彼女2人との二重生活を続けたこと、都合が悪くなると彼女をブロックし脅迫まで行ったこと、心労でセラピーに通わざるを得なくなったことを正直に透明に明かしたのです。
「私は成すことすべてにおいて、自分自身に問いかけているの。どんなシーンに存在していたい? ミュージシャンが性別や肌の色を問わず本当に活躍できるシーンとは?その場所へどうやって貢献できる?仕事やパフォーマンスをしているときは、いつもそれを心に留めておくのよ。シーンの将来に希望を抱いているわ。」
固定観念や先入観が禍々しく漂う分断された世の中で、Yvette の勇気が切り開く色彩は後続のマイノリティーが差別や不利益を受けることのない未来。女性であること、アジア系の出自を誇れる未来。”Technicolor” はそんな Yvette の決意と優しさが込められた新たな旅路となったのです。
「音楽がメロディックでもエモーショナルでもないテクニカルな演奏技巧には興味がないことに気づいたのよ。だから将来的には、もっとドリーミーでエモーショナルでメロディックな世界を探求したいわ。」
目まぐるしいテレキャスターのブライトなサウンドと、フレットボードを駆け巡るポリリズミックなタップダンスに端を発する COVET の音世界は、よりオーガニックに、よりアトモスフェリックに、よりエモーショナルにリスナーの心を溶かします。
「”Parachute” と “Farewell” を書いたとき、私はすぐにギターに重なるボーカルラインが浮かび歌い出し、歌詞はあとから浮かんできたの。歌が加えられてやっと楽曲が完成したと感じたわ!そうそう、私のフェイバリットシンガーは宇多田ヒカルなのよ。彼女を聴いて育ったから。」
中でも自身のボーカルを加えたエセリアルな “Parachute” とジャジーな “Farewell” は、新生 COVET の象徴でしょう。前作の “Falkor” と対をなすネバーエンディングストーリー組曲 “Atreyu” のイノセントな響きも極上ですし、彼女のヒーロー CASPIAN の Philip Jamieson がトレモロの嘆きを付与する “Predawn” の叙情も筆舌に尽くしがたい音恵でしょう。
今回弊誌では、Yvette Young にインタビューを行うことができました。「音楽シーンにおけるセクシズムと正面から闘うことが重要だと思う。このトピックにアプローチする方法はたくさんあるわね。だけど最近、性差別について話しすぎると報復を多く受けてしまうように感じるわ。それが実際に人々をこの話題から遠ざけている可能性もね!」 POLYPHIA, Ichika とのシンクロニシティーも必見。どうぞ!!
COVET “TECHNICOLOR” : 9.9/10
続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COVET (YVETTE YOUNG) : TECHNICOLOR】