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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IAMTHEMORNING : THE BELL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

“It Is Fascinating To Add Passion And Drive From Rock Music To The Classics. At The Same Time, Playing Rock, I Try To Make It More Sophisticated And Intellectual, Adding Many Layers And Making It More Polyphonic.”

DISC REVIEW “THE BELL”

「コフィンベルはどちらかと言えば憂鬱のシンボルなんだ。同時にとても美しいけどね。人間の残酷さについてのストーリーなんだ。何世紀も前から人間性そのものは何も変わってはいないんだよ。そしてこのベルは、例え生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を知らせるための最後の望みだったんだよ。」
Kscope の至宝、チェンバープログの孤高を極めるロシアのデュオ iamthemorning は、クラシカルなピアノの美麗とエセリアルな詠唱の荘厳で人に宿る残酷の花を自らの音の葉で咲かせます。
“Lighthouse” のアートワークに描かれた心許ない灯台の火は、孤独や痛み、憂鬱に翻弄される大海、人生における微かな希望の光だったのかも知れませんね。そうして今回、長年のコラボレーター Constantine Nagishkin の手によって “The Bell” の顔として描かれたのは、希望と闇、美と憂鬱のコントラストを投影したコフィンベルでした。
セイフティーコフィンベル。英国ヴィクトリア期に広まった、棺に連結されたベルは仮に生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を伝えられる最期の希望。
「どんなに長い間、絶望的な状況に置かれたとしても、助けを呼ぶことは出来るのよ。と言うよりも、助けが必要な時は必ず呼ぶべきなのよ。」ヴィクトリア期に心酔し探求を重ねるスペシャリスト、ボーカル Marjana はいわくのベルをテーマとしたことについてこう語っています。
21世紀において埋葬されるのは、薬物の乱用、差別、ネグレクト、社会からの疎外に苦しむ人たち。つまり、iamthemorning は何世紀も前に存在した残酷と希望を宿す “セイフティーネット” を現代に巣食う闇の部分へと重ね、人間性の高まり、進化についての疑問と真実を世界へと問いかけているのです。
「僕自身は少しずつプログのラベルから離れていると思うんだ。音楽的な境界を広げようとしているし、出来るだけ異なる音楽をプレイしようとしているからね。このアルバムでは特に顕著だと思うよ。」
人間性を率直に問いかけるアルバムにおいて、当然 iamthemorning 自身も装飾を剥ぎ取り、ナチュラルで正直、かつ本来の姿への変貌を厭いませんでした。
「”The Bell” の楽曲の大半は、正確に言えば僕たち2人のデュエットなんだ。2曲を除いて、当初全ての楽曲はデュエットの形をとっていたんだよ。その中のいくつかは、後に他の楽器を加えることになったね。だけど僕たちが持ち込みたかった雰囲気は壊さないようにしたよ。」
天性のピアニスト Gleb が語るように、”The Bell” で iamthemorning は始まりの朝焼け、2人を中心とした地平線へと再び赴くことを決断します。ゲストミュージシャンを制限し、ヘヴィーなアレンジメントを抑制することで、アルバムには以前にも増して映画や演劇のシアトリカルなイメージと衷心が産まれました。
そうして、クラッシックとチェンバーのダークで深みのある色彩を増したアルバムが、あのフランツ・シューベルトが好んだ19世紀に端を発する連作歌曲 (各曲の間の文学的・音楽的な関連性をもって構成された歌曲集) のスタイルへと到達したのはある種の必然だったと言えるでしょう。
ピアノの響きとシンフォニックなオーナメント、時折悪魔が来たりてディストーションをかき鳴らす作品中最もダイナミックかつエニグマティックなオープナー “Freak Show” で、Marjana は脆く悲痛でしかしフェアリーな歌声をもって 「誰も気にしないわ。例え私がバラバラに砕け散ったって。ただ立ったまま見つめているだけよ。だから私はもっとバラバラに砕けるの。」と数百年の時を経ても変わらぬ人の残酷を訴えます。
それでも世界に希望はあるはずです。第2楽章の始まり、エモーションとバンドオーケストラが生み出す絶佳の歌曲 “Ghost of a Story” で Marjana は、「全てに限界はあるの。あなたの悲しみにおいてさえ。少しづつ安心へと近づいていくわ。」とその目に暗闇を宿した亡霊のごとき現代人に一筋の光明を指し示すのです。
しばしば Kate Bush と比較される iamthemorning のポストプログワールド。実際、”Sleeping Beauty” のように彼女の遺伝子は今でも深くデュオの細胞へと根を張りますが、一方で Chelsea Wolfe, さらには Nick Cave の仄暗きアメリカーナにも共鳴する “Black And Blue” の濃密なサウンドスケープは特筆すべきでしょう。
そうして “Lilies” から “The Bell” へと畳み掛けるフィナーレはまさに歌曲の大円団です。Gleb の言葉を借りるなら、感情的で誠実なロックの情熱をクラッシックへと持ち込んだ “シューベルトロック” の真骨頂でしょう。
もちろん、芳醇なアレンジメントやオーケストレーションは楽曲のイヤーキャンディーとして不可欠でしょうが、その実全てを取り払ってデュエットのみでも十二分にロックとして成立するリアルがここにはあります。2人のシンクロニシティーはいったいどこまで高まるのでしょう?あの ELP でさえ、基本的にはドラムスの存在を必要としていたのですから。
今回弊誌では Gleb Kolyadin にインタビューを行うことが出来ました。「おそらく、僕は啓発的であることに固執しているとさえ言えるね。つまり、僕の音楽を聴くことでリスナーが何か新しいことを学べるように、ある意味リスナーを少し “教育” したいと思っているのかもね。」2度目の登場。どうぞ!!

IAMTHEMORNING “THE BELL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : BIRTH OF VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

“Gender Is Fluid, And There Is So Much Beauty In Making Space For All Kinds Of Voices In Music. It’s Happening, And It’s Amazing!”

DISC REVIEW “BIRTH OF VIOLENCE”

「昨年、私たちは沢山のツアーを行ったわ。8年ずっと続いてきたツアーに加えてね。だから休みを取って、スロウダウンし、自分自身の心、体、精神のケアを学びなさいと何かが語りかけてきたのよ。」
フォーク、ゴス、ポストパンク、インダストリアル、メタル…2010年、デビューアルバム “The Grime and the Glow” を世に放って以来、Chelsea Wolfe はジャンヌダルクの風姿で立ち止まることなく自らの音の葉を拡張し続けてきました。光と闇、激情と静謐の両極を司り進化を続けるカリフォルニアの歌姫は、しかし遂に安息を求めていました。
「私はただ自分の本能に従っているだけなのよ。そうして今の場所に辿り着いたの。」10年続いた旅の後、千里眼を湛えたスピリチュアルな音求者は、本能に従って彼女が “家” と呼ぶアコースティックフォークの領域へと帰り着いたのです。
Chelsea は最新作 “Birth of Violence” を “目覚め始めるレコード” と呼んでいます。
「批判を受けやすく挑戦的な作品だけど、私は成長して開花する時が来たと感じたのよ。」
ダークロックのゴシッククイーンとして確固たる地位を築き上げた Chelsea にとって、アコースティックフォークに深く見初められたアルバムへの回帰は確かに大胆な冒険に違いありません。ただし、批判それ以上に森閑寂然の世界の中に自らの哲学である二面性を刻み込むことこそ、彼女にとって真なる挑戦だったのです。
「私はいつも自分の中に息づく二面性を保持しているのよ。重厚な一面と衷心な一面ね。それで、みんながヘヴィーだとみなしているレコードにおいてでさえ、私は両者を表現しているの。」
逆もまた真なり。”The Mother Road” の暗静アメリカンフォークに醸造された強烈な嵐は、チェルノブイリの蜘蛛の巣をも薙ぎ払いダイナミズムの黒煙をもうもうとあげていきます。
“Little Grave” や “Perface to a Dream Play” のトラディションに蠢めく闇の嘶き。 PJ Harvey とゴスクイーンが手を取り合う “Be All Things”。何よりタイトルトラック “Birth of Violence” の平穏なるプライドに潜む、咽び叫ぶ非業の祈り。そうして作曲パートナー Ben Chisholm のアレンジとエレクトロの魔法が闇と光の二進法を優しく解き放っていくのです。
アルバムに根ざした仄暗く重厚な影の形は、世界を覆う不合理とピッタリ符合します。無垢なる子供の生まで奪い去る銃乱射の不合理、平穏な暮らしを奪い去る環境の牙の不合理、そしてその生い立ちのみで差別を受ける不合理。結局その起因はどこにあるのでしょう。
ただし変革を起こすのもまた人間です。”目覚め始めるレコード” において鍵となるのは女性の力です。
「そろそろ白か黒か以外の考え方を受け入れるべき時よ。”ジェンダー” の概念は流動的なの。そして全ての種類の声を音楽にもたらすことで沢山の美しさが生まれるのよ。今まさにその波が押し寄せているの!素晴らしいわ!」
長い間会員制の “ボーイズクラブ” だったロックの舞台が女性をはじめとした様々な層へと解放され始めている。その事実は、ある種孤高の存在として10年シーンを牽引し続けた女王の魂を喚起しインスピレーションの湖をもたらすこととなったのです。
安息の場所から目覚める新たな時代。今回弊誌では Chelsea Wolfe に2度目のインタビューを行うことが出来ました。「私の古い辞書で “Violence” とはある一つの意味だったわ。”感情の力” という意味ね。私はそれと繋がって、自らの力に目覚める人間を思い描いたの。特に力に目覚める女性をね。」 日本盤は世界に先駆け9/11に Daymare Recordings からリリース!どうぞ!!

CHELSEA WOLFE “BIRTH OF VIOLENCE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : HISS SPUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

Chelsea Wolfe by Bill Crisafi

PHOTO BY BILL CRISAFI

Certainly, Folk/Rock/Experimental Artist Chelsea Wolfe Took A Step Toward More Dark Side, Heavy Realm, Sludge World With Her Outstanding New Record “Hiss Spun” !!

DISC REVIEW “HISS SPUN”

ダークでスピリチュアルな崇高美を追求する、ノースカリフォルニアの堕天使 Chelsea Wolfe が、そのゴシカルなイメージをスラッジメタルの世界へと解き放つ最新作 “Hiss Spun” をリリースしました!!審美のダークサイドを司るエクストリームアートの女王は、至上の環境、チームを得てより鮮明にその印象を増しています。
近年、Chelsea と彼女の右腕 Ben Chisholm の冒険は、出自であるゴシックフォークの枠を容易く超越し、ドゥームの翳りを宿すインダストリアル、エレクトロニカ、ノイズ、ドローンにまでアプローチの幅を拡げて来ました。陰鬱にして甘美、アーティスティックで創造性豊かなそのジャンルの邂逅は、Chelsea の幽美なビジュアルやスピリチュアルな一面とも共鳴しながら、この混沌とした世界に安寧を喚起するメディテーションの役割を果たして来たのかも知れませんね。
“Spun” の凄艶なディストーションサウンドでスラッジーに幕を開ける “Hiss Spun” は、リスナーの思念、瞑想にある種の直感性を差し伸べる、よりヘヴィーで正直なアルバムです。
「これは、ヘヴィーなレコードでロックソングを求めていたの。」 実際、Chelsea はそう語っています。故にRED HOST 時代のバンドメイト、ドラマー Jess Gowrie とのリユニオンは必然だったとも。
確かにこのレコードの陣容は彼女の言葉を裏付けます。リードギタリストに QUEENS OF THE STONE AGE の Troy Van Leeuwen を起用し、ex-ISIS の Aaron Turner をゲストボーカルとして招聘。さらに CONVERGE の Kurt Ballou をプロデューサーに指名した采配の妙は間違いなくこのレコードの方向性を諮詢していますね。
セカンドトラック “16 Phyche” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。蝶の羽を得て人間から変異を遂げた美しき魂の女神、そして火星と木星の間を公転する小惑星の名を共有するこのコズミックで漆黒のヘヴィーバラードは、自由を奪われ制限される人生をテーマとしています。
「8年間、故郷ノースカリフォルニアを離れてロサンゼルスにいたんだけど、LAは私と共鳴することは一度もなかったの。私の心はいつもノースカリフォルニアにあったのよ。大きな木々、山や川の側にね。」 Chelsea はそう語ります。
遂に家族と自然、スピリチュアルなムードに溢れた故郷へと帰還し、心の平穏と安寧を取り戻した彼女は、閉塞的で捌け口のない当時の自分を反映させた魂の情歌へと辿り着いたのでしょう。
実際、”Twin Fawn” にも言えますが、彼女も認める通りこの楽曲における Chelsea の歌唱はよりパーソナルで内面全てを曝け出すような壮絶さを宿します。フィードバックと不穏なムードが支配する重密なサウンドとも絶妙にシンクロし、彼女のエモーションは現代社会の閉所恐怖症とも形容可能なイメージをも楽曲に映し出しているのです。
“Hiss” とはホワイトノイズ、つまり雨音や川のせせらぎ、鳥の囀りといった自然と人間を繋ぐ雑音を意味する言葉だと Chelsea は教えてくれました。トレモロリフとポストメタルの重厚で奏でられる “Vex” で Aaron Turner の剛胆な咆哮は大地の感覚、アーシーなホワイトノイズだとも。
Aaron の声が大地の咆哮なら、浮遊感を伴う Chelsea の声はさながら虚空のスキャットでしょうか。楽曲の最後に挿入された森のざわめきに耳を澄ませば、彼女のメッセージが伝わるはずです。ヘヴィーとエセリアルのコントラストで表現される自然に対する強い畏怖は、現代社会が忘れつつある、しかし忘れてはならない貴き精神なのかも知れませんね。
確かにヘヴィーでスラッジーなアルバムですが、同時に “Twin Fawn”, “Two Spirit” のような自身のアイデンティティー、ゴシック/フォークにフォーカスした楽曲や、近年養って来たインダストリアル/ノイズ要素を分断に盛り込むことで、作品は Chelsea の多面的な才能を映す鏡、ある意味集大成的な意味合いも保持しています。そして勿論、女性としての一面も。
アルバムは、魔女の如き甲高い歌声が印象的な “Scrape” で幕を閉じます。様々な怒りやヘヴィーな祈りが込められたアルバムには、当然 Chelsea の一人の女性としての怒りも封じられています。あの禍々しき魔女裁判が行われたセイラムでレコーディングが行われたことも、偶然ではないのかも知れませんね。
今回弊誌では、Chelsea Wolfe にインタビューを行うことが出来ました。彼女がゲスト参加を果たしている MYRKUR の最新作も同様に素晴らしい内容。併せてチェックしてみてくださいね。どうぞ!!

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CHELSEA WOLFE “HISS SPUN” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YVETTE YOUNG : ACOUSTICS EP 2】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YVETTE YOUNG !!

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Having Played Piano Since The Age Of Four And Violin Since Age Seven. Math Rock Queen, Yvette Young Shows Her Classical Influences With Her Beautiful New Record “Acoustics EP 2” !!

DISC REVIEW “ACOUSTICS EP 2”

端麗なる才媛、麗しきマスロッククイーン Yvette Young が、情趣溢れる別世界 “Acoustics EP 2″をリリースしました!!インタビューにもあるように、愛するポストロックの領域へと接近した絶佳なる名編には、多様でフレキシブルな彼女の色彩が存分に織り込まれています。
プログレッシブとマスロックの狭間で存在感を放ち、シーンの揺らぎとなっている COVET をホームグラウンドとするように、Yvette はモダンギタリストの文脈で語られるテクニカルなプレイヤーです。しかし、4歳からピアノを始め、7歳でヴァイオリンを学んだという彼女の深遠なる七色のギフトは、決してただ一所に留まってはいないのです。
実際、”Acoustics EP 2” は実に画期的な作品です。ギターで作曲を開始して6年。波のように揺蕩う異なる拍子の海、アコースティックギターで表現されるモダンで高度なテクニック、そして自らがプレイするヴァイオリン、ピアノ、ハープ、バンジョーなど多種多様な楽器の使用による豊かな表情、アトモスフィア。全てが前作 “Acoustics EP” から格段にスケールアップを遂げ、Yvette は遂に独自の世界観を確立したように思えます。
ボサノバの空気を深く吸い込み、自身のポップサイドを前面に押し出した “Holiday” で幕を開けるアルバムで、しかし特に着目すべきは、彼女の独創的な奏法が可能にするオーケストラのようなサウンドでしょう。勿論ピアノやストリングスを重ねているとはいえ、骨格がギター1本の演奏でこれほどまで音楽に立体感を生み出す作品は実に得がたいと感じます。実はそこには Yvette のクラッシックの素養、ピアノの技術が大きく作用しているのです。
インタビューで語ってくれた通り、Yvette には “ギターのレイアウト、フレットや弦をピアノの鍵盤に見立てて” プレイする場面が存在します。つまり左手で抑え右手で音を出す通常のプレイに加えて、両手ともに指板をタップし直接音を生み出すことで、右手の分、旋律をより重ねることが可能になっているのですね。ギターを横にしてそのままピアノのように “弾く” イメージでしょうか。
当然、高度なテクニックで音量やノイズの調整は簡単ではありません。しかし彼女はメトロノームの如く正確にリズムを保ちながら、優美なサウンドで鮮やかに清音を奏でます。
作品で最もポストロックに接近した “Adventure Spirit” の、文字通り冒険心を胸に抱いたカラフルなメロディーのポリフォニーは、まさにその Yvette オーケストラの象徴です。チェロ、ヴァイオリン、ボーカル、ギター。テーマを奏でる主役の楽器が次々に入れ替わるアンビエントな楽曲で、Yvette の知性的なギターアルペジオ、コードプログレッションはコンダクターのように様々な楽器を操り指揮していきます。
勿論、ギターが旋律を奏でる場面では、鮮やかに両手タップを使用し、躍動するメロディーと共に指揮者不在の状況を回避。エアリーなボーカル、エセリアルなストリングスの響きは、オーガニックな彼女のオーケストラに HAMMOCK や CASPIAN を想起させる美麗なるダイナミズムを創造していますね。
一方で、フォーキーな “Blossom” の数学的で流麗なフレージングはマスロックの女王を強くイメージさせてくれます。師匠 INVALIDS 譲りのサウンドスケープ、風景の中に点在する無上のエキサイトメントはすでに彼女のトレードマークとなった感がありますね。
アルバムは、現在の Yvette Young を全て詰め込んだ悲しみと希望の組曲、”A Map, A String, A Light Pt 2″ で詩情豊かにその幕を閉じました。
今回弊誌では Yvette Young にインタビューを行うことが出来ました!もはや弊誌のかわいい担当準レギュラーだと言えますね!どうぞ!!

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YVETTE YOUNG “ACOUSTICS EP 2” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BIG BIG TRAIN : GRIMSPOUND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GREG SPAWTON OF BIG BIG TRAIN !!

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Guardian Of Prog, Pride of England, Big Big Train Keeps Getting Bigger And Bigger. The Octet Has Just Released Their Newest Record “Grimspound”! Huge Ensemble Creates The Most Beautiful Tapestries Of The Year.

DISC REVIEW “GRIMSPOUND”

英国プログレッシブのプライド、伝統と熟練の8人編成 BIG BIG TRAIN が壮大なるマスターピース “Grimspound” をリリースしました!!時にフォーキ、時にミステリアス、そして時に無上のメランコリーを放つドラマティックな作品は、プログロックの牙城として実に意義深く聳えたっています。
近年、”プログ” は再びその価値を取り戻し、舞台には様々な若き才能が登場しています。”モダンプログレッシブ” と称されるこのムーブメントにおいて、ある者はメタル、ある者はエレクトロニカ、ある者はポストロック、ある者はアヴァンギャルドへと接近し、そのエッセンスが融解、対流することで多様性を軸とした百花繚乱のプログレッシブサウンドを響かせていることはご存知の通りでしょう。 BIG BIG TRAIN も90年結成とは言え “プログ第三世代” に分類される現代を生きるバンドですが、しかしその “モダンプログレッシブ” の流れとは一線を画しているのです。
YES, ELP, GENESIS, JETHRO TULL。プログロックを創出した偉大な先人たちの遺伝子を色濃く受け継ぎ、伝統をその身へと宿す BIG BIG TRAIN のサウンド、足跡は、レジェンドが失われつつある今、確実にその重要度をさらに増しています。ただ、高いミュージシャンシップと展開の妙、キャッチーでフォーキーなメロディー、幾重にもレイヤーされたシンフォニックなアンサンブル、そして卓越したストーリーテリングの能力を有するバンドは、”ここ10年で最も重要なプログバンド”の一つとして語られる通り、決して第一世代の “Pomp” 代用品ではなく、本物の英傑としてリスナーの信頼を勝ち得ているのです。
2009年の出世作 “The Underfall Yard” でフルート、バンジョー、マンドリン、オルガンなどをこなすマルチプレイヤー/ボーカル David Longdon が加入して以来、BIG BIG TRAIN は人気と共に、その編成もまた “Big” となって行きます。元 XTC の名ギタリスト Dave Gregory を正式に加え6人編成でリリースしたダブルコンセプトアルバム “English Electric” は、多彩な音色を個性と定めたバンドの金字塔だと言えますね。
インタビューにもある通り、当時バンドはライブを行っていなかったためスタジオのみにフォーカスすることとなり、作品にはストリングス、ホーンなど総勢20人弱のゲストプレイヤーが参加。綿密にデザインされたレイヤーサウンドが運ぶ極上の叙情性、情景描写はまさにストーリーテラーの面目躍如。英国の風景を正しく投影し、ステージを想定しない絶佳のアンサンブルを備えた”完璧なる”スタジオアルバムが完成したと言えるのではないでしょうか。
2014年からライブを再開したバンドは、アルバムを再現するために新たなメンバーを物色し、さらに BEARDFISH の鬼才 Rikard Sjöblom とストリングスなら何でもこなす Rachel Hall を手中に収めます。5名がギターと鍵盤両方を演奏可能、ヴァイオリンやフルートもメンバー内で賄える衝撃の8人編成へと進化しリリースした前作 “Folklore” は、タイトル通りトラッド要素を強調しバンドの新たな可能性を提示した意欲作に仕上がり、海外の様々なプログ専門誌で年間ベストアルバムに撰されるシーンの最重要作品となったのです。
最新作 “Grimspound” はジャケットのカラスが示すようにその “Folklore” と対になる作品です。とは言え、ケルトサウンドを前面に配したタイトルトラックで幕を開けた “Folklore” とは対照的に、アルバムはダイレクトにプログロックのダイナミズムを伝える “Brave Captain” でスタートします。静謐でアンビエントなイントロダクションを切り裂きバンド全体が躍動すると、リスナーは1910年代へと時代を遡って行くのです。
David Longdon が紡ぐWW1の英国エースパイロット Captain Albert Ball のストーリーは勇壮にして孤独。その表情豊かで凛々しき歌声は空の”ローンウルフ”が眼前に降臨したかのような錯覚をもたらします。ヴァイオリンと鍵盤が織り成す流麗なダンスは空の主役を際立たせ、シンプルでキャッチーなメロディーのリフレインは勇敢なブレイブキャプテンを讃えます。
実際、ユーティリティーに使用され、時に主役を食うほどの存在感を発するストリングスと鍵盤の活躍は “Grimspound” の特徴だと言えるでしょう。イングランドの忘れられたヒーローたちのストーリーに焦点を当てたアルバムで、Rachel はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを使い分けサウンドに濃淡を刻み、鍵盤隊はシンセ、ピアノ、オルガンを巧みにレイヤーしアルバムのアンサンブルをアートの域まで高めているのですから。
ジャズのインテンスを内包する “On The Racing Line”、フルートの芳醇な響きが郷愁を誘う “Experimental Gentleman” を経てたどり着く “Meadowland” はバンドの今を象徴する楽曲です。確かに “レトロ” がキーワードにも思えた BIG BIG TRAIN はしかし、フォークやエスニックの影響を一層加えることで真に偉大なバンドへとその姿を変えつつありますね。彼らの音楽は一貫してその母国イングランドからインスピレーションを得ていて、かの地の伝承や景色、人物を描き続けています。そして “Meadowland” の素朴で心洗われるトラッドサウンドは、鮮明に緑一面の牧草地帯を、吹き抜ける風を、湿気を孕んだ空気の匂いまでもリスナーにイメージさせるはずです。そうした BIG BIG TRAIN の創出する、イマジネーティブで群を抜いたサウンドスケープは、トラッドの女神 Judy Dyble との詩情豊かなデュエット “The Ivy Gate” に結実しているように感じました。
インタビューにもある通り、コンポーザーが増え続けるバンドは、2009年からEPを含めるとほぼ毎年のように作品をリリースしています。しかし、驚異的な多作にもかかわらず音楽の質は向上の一途を辿っており、”Folklore” から一年経たずに織り上げられた美しきタペストリー “Grimspound” はまさにその素晴らしき証明書と言えるのではないでしょうか。
今回弊誌では、バンドの創立メンバーでメインコンポーザー、流麗なベースラインを聴かせる Greg Spawton にインタビューを行うことが出来ました。日本でも海外と同等の評価を得られるように祈ります。どうぞ!!

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BIG BIG TRAIN “GRIMSPOUND” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROTH BART BARON : ATOM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MASAYA MIFUNE OF ROTH BART BARON !!

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Imaginative Rock band from Tokyo, ROTH BART BARON has just released their newest album “ATOM” with incredible soundscape and creativity !!

着々と世界における評価も高めつつある、才気溢れる東京出身の2人組 ROTH BART BARON が 2nd アルバム “ATOM” をリリースしました!!
THE NATIONAL, Sufjan Stevens を手がけた Jonathan Low をサウンドエンジニアに、Kurt Vile, WAR ON DRUGS を手がけた Brian McTear を数曲のプロデューサーとして迎え制作されたデビューアルバム “ロットバルトバロンの氷河期” は壮大で美麗、日本のみならず世界でも Bon Iver や SIGUR ROS などと比較されつつ絶賛されました。USインディー/フォークからポストロックまで取り込み、バンジョーやフィドル、和太鼓まで使用した実験性も話題になりましたね。
それから1年半。完成した新作 “ATOM” は、想像力を掻き立てる豊かなサウンドスケープが、見事に詩、世界観と調和した素晴らしい作品に仕上がりました。
今回レコーディングを行ったのは、彼らがリスペクトを公言している GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR の Mauro Pezzente が所有するモントリオールのスタジオ。ARCADE FIRE や Owen Pallett もレコーディングを行ったその場所で、RBB は大胆にも現地のミュージシャンたちとセッションを重ね、アルバムに起用します。カナディアンインディーのポップでありながら実験的なフワフワとした空気が合ったのでしょう。ARCADE FIRE のアルバムにも参加したヴァイオリ二スト Jessica Moss を筆頭に、ストリングス、管楽器、パーカッションなど様々な楽器が構築する壮大なサウンドによって、私たちはその音に美しい景色や情景を見ることが出来ます。そしてそこに、懐かしい日本の原風景や悠久の歴史を感じさせるような、彼ら独特のポップなメロディーと神々しいボーカルを乗せることで “ATOM” は世界のどこにも存在しない強い光を放つ作品に昇華したと言えるのではないでしょうか。
また今回は SF, ファンタジーがテーマの1つとなっています。ターミネーターやロボコップのような古き良きハリウッドのSF映画をインスピレーションの源として、レトロフューチャーな世界観を見事に構築していますね。ビンテージシンセサイザーの大胆な使用は本当にアルバムの良いアクセントとなっています。世界的にも、エレクトロ新世代によるレトロウェーブリバイバルの波が起きています。勿論 Pitchfork, NME といった大手メディアが発信する音楽やトレンドだけが音楽ではありませんが、世界を見据えた時、そういった部分で日本は一歩遅れていると言わざるを得ません。トレンドをしっかり踏まえつつ、自由に自分たちのサウンドを追求する ROTH BART BARON にかかる期待は大きいですね。
今回弊誌では、ボーカルとギターを担当する三船雅也さんに話を聞くことが出来ました。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

ROTH BART BARON “ATOM” : 9,5/10

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FULL ALBUM STREAM: “A FURROW CUT SHORT” 【DRUDKH】


FULL ALBUM STREAM: “A FURROW CUT SHORT” OF DRUDKH !!

WORLD PREMIERE: NEW SONG !! “TILL FOREIGN GROUND SHALL COVER EYES” OF DRUDKH !!

 NO PICTURE ! NO INTERVIEW ! UKRAINIAN MYSTERIOUS PAGAN BLACK METAL SET TO RELEASE NEW ALBUM “A FURROW CUT SHORT ” ON 4/20 !!

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 写真、インタビュー、一切 NG !! 秘密結社のようなウクライナの PAGAN BLACK METAL, DRUDKH が4/20に新作 “A FURROW CUT SHORT” をリリースします。ウクライナのエピカルなフォーク音楽を取り入れたメロディックでシネマティックなブラックメタルを指標しています。実はあの ALCEST の NEIGE と合体したプロジェクト OLD SILVER KEY で優れたアルバムをリリースしていたりします。今回もウクライナの詩から発想を得たアルバムになるそうです。
On ‘A Furrow Cut Short’, Roman is heavily drawing inspiration from 20th century Ukrainian poetry once more, which often deal with the bloody struggle of this old country to build a nation from foreign oppression. DRUDKH still refuse any kind of interview or promotion and demand to be understood through their music alone. This album equally represents the blood soaked sound of black despair and full hearted resistance to vile treachery and evil as well as the beauty of landscapes and culture. Listen carefully to hearts breaking.
Tracklist
1. Cursed Sons I
2. Cursed Sons II
3. To the Epoch of Unbowed Poets
4. Embers
5. Dishonour I
6. Dishonour II
7. Till Foreign Ground Shall Cover Eyes
Line-up
Roman Sayenko: guitars
Thurios: guitar, vocals
Krechet: bass
Vlad: drums, keyboards
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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【THE SOIL & THE SUN】


【ROSTER OF AUDIOTREE】

読者の皆様はAUDIOTREEというシカゴの会社をご存知でしょうか。音楽PVを製作したり、LIVE SESSIONを配信したりと多方面に事業を拡大する音楽業界のセブン&アイホールディングスのような会社です。
彼らのセッションは今や若手ミュージシャンの登竜門的な場所になっており、例えばメタルならVEIL OF MAYA, SCALE THE SUMMIT、オルタナならNOTHING, THE DEAR HUNTER、マスロックならAND SO I WATCH YOU FROM AFAR,THIS TOWN NEEDS GUNSなどなどこれでも氷山の一角で実に錚々たるメンツが出演しています。
そのAUDIOTREEが契約を結んだアーティストが今回特集するTHE SOIL & THE SUNなのです。例えばSIGUR ROS、例えばRADIOHEAD、そんなバンドを思い浮かべました。様々な楽器を使用したアーティスティックな音楽でありながら高いPOPセンスを有していてアトモスフェリック。即座に魅了されました。

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