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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【FEAR FACTORY : AGGRESSION CONTINUUM】


COVER STORY : FEAR FACTORY “AGGRESSION CONTINUUM”

“Syncopated Guitars And Drums… A Lot Of People Were Saying, ‘Well, Meshuggah Made That Popular, Yeah, Meshuggah Didn’t Make It Popular Till Much Later. Fear Factory At That Time Was a Much Bigger Band. We Were The Only Band, Really, At The Time That Was Really Popularizing That Style With The Syncopated Guitars And Drums.”

FEAR FACTORY DEMANUFACTURES   AGGRESSION CONTINUUM

FEAR FACTORY の偉業。未来はいつも今、作られ続けています。1995年にリリースされたセカンド・アルバム “Demanufacture” のリリースから25年以上が経過し、読者の中にはもしかすると発売当時生まれていなかった人もいるかもしれません。しかし、そんなリスナーでもこのアルバムを耳にして、時代遅れだとか古臭いといった感想を待つ事はきっとあり得ません。”Demanufacture” は時代を遥か先取りした革新的な作品であり、そして現在でも当時と同じように新鮮に聞こえます。メタルとハードコアの近未来的衝突。
実際、”Demanufacture” はメタルの未来と、インタラクティブ・テクノロジーや人工知能の暴走を、鋭く、力強く予言していました。エクストリーム・ミュージックのサウンドを永遠に変えながら。
実のところ、FEAR FACTORY は広く成功する可能性を持ったバンドではありませんでした。1991年のデビュー作 “Soul Of A New Machine” は、デスメタル、グラインドコア、インダストリアル・ミュージックからヒントを得た、非常に新鮮で独創的なエクストリーム・メタルのレコードでバンドのユニークさを存分に認識させましたが、彼らの音楽的ビジョンが真に生かされたのは、1993年に発表された同様に画期的な “Fear Is The Mindkiller remix EP” でした。FRONTLINE ASSEMBLY の Rhys Fulber が解体・再構築したリミックスの輝きは、喜びに満ちた異種交配によって FEAR FACTORY を正しい方向へと誘い、やがて彼らのキャリアを決定づけるアルバムへと導いたのです。ギタリスト Dino Cazares は当時を振り返ります。
「”Fear Is The Mindkiller” は、俺たちがやりたかったこと。ただ、最初はそのための技術がなかったんだ。キーボードのサンプルもなければ、Rhys が使用するようなコンピュータもなかった。だから、ギター、ベース、ドラム、ボーカルでマシンをエミュレートしようとしたんだ。KMFDM や Ministry のような古いインダストリアル・バンドを聴くと、メタルのリフをサンプリングし、それをループさせて同じリフを何度も繰り返しているよね。僕らはそれを楽器で真似しようとしたんだ」
“Soul Of A New Machine” で礎を築き、その後、リミックスアルバム “Fear Is The Mindkiller” で理想に近づいた FEAR FACTORY。しかし、やはり “Demanufacture” は別格でした。その遺産、今日まで続いている影響、そしてメタルのスタンダードになった手法は多岐に及びます。
まず、クリーン・ボーカルと極端なデス・グラントをミックスした Burton C. Bell のスタイルに注目が集まりました。
「特に、クリーン・ボーカルと極端なデス・グラントをミックスした俺のスタイルは、メタル界のスタンダードとなった。 もしわかっていたら、自分のスタイルを商標登録していただろうね。そんなことはできないだろうけど (笑)。”Fear Is The Mindkiller” の後、俺たちは “Soul Of A New Machine” と “FITM” とのコンビネーションを求めたんだ。完全なエレクトロニックではなく、新しい展開があり、また、多くのハードコア・バンドとツアーをしていたから、ハードコアやメタルの雰囲気も残したかったんだ。そこにさらにもう少し新鮮さを加味したいと思って、ボーカルの幅を広げ始めたんだよね」
そのボーカル・スタイルにはどうやってたどり着いたのでしょう?
「そうだな、正直俺はあまりメタル系の人間ではなかったんだ。好きなメタルバンドはいくつかあったけど、どちらかというと HEAD OF DAVID や SONIC YOUTH, BIG BLACK といったバンドの方が好きだったね。他のバンドの中にもすごく好きな部分があって、例えば GODFLESH では Justin が歌うというより、うめき声のような感じで感情を露わにしている。俺は Justin の真似をしようとしたんだけど、うめき声ではなくメロディーのようなものが出てきたんだ。クールなサウンドだったからそのまま続けてみたら、そのボーカル・スタイルをより多く曲に取り入れることができたんだよね。すべての曲ではないけど、”Pisschrist”, “Self Bias Resistor”, “Zero Signal”, “Replica” みたいな曲では、とても効果的だった。ただ、それはまだはじまりに過ぎず、今でもさらに発展し続けているんだよ」

時代を先取りしていたのは、Burton のボーカルだけではありません。Raymond Herrera のドラムパターンの驚速と激しさは、バンドが本物のドラマーではなく、ドラムマシンを使っていると思われるほどでした。
「彼はスタミナと体力をつけるために、コンバット・ブーツやレッグ・ウェイトを使って演奏していたんだ。人々は、彼が本物のドラマーであることを信じていなかったし、シンガーが一人であることも信じていなかったんだよ。つまり、俺たちには多くの誤解を解いて回らなきゃならなかった。特に初期のツアーでは SICK OF IT ALL や BIOHAZARD のようなハードコア・バンドと一緒に回っていたから、受け入れてもらうのに時間がかかったね」
自身も右手に重りをつけ、左手指の関節を固定してマシンガンピックを養った Dino は、自分たちの音楽にターボチャージャーをかけてパワーアップさせる方法を見つけようとしていました。Rhys Fulber が回顧します。「”Fear Is The Mindkiller” では、それまで演奏されていなかったようなインダストリアルなクラブで演奏するようになったからね」
FEAR FACTORY とロードランナーとの契約に尽力した著名なメタルA&Rのモンテ・コナーは、このバンドの特異なアプローチにいち早く可能性を見出し、革命的だと主張した人物です。
「FEAR FACTORY は最初から先駆的だった。残忍なデスメタル・バンドが、ポップなコーラスを入れていたんだから。しかし、 “Demanufacture” を制作していたときの目標は、デスメタルから完全に新しいものへと進化させることになったんだけどね」
関係者全員の多様な嗜好。FEAR FACTORY はそもそも決して一般的なメタル・バンドになる運命にはありませんでした。デスメタル、インダストリアル、エレクトロニカ、サウンドトラックなど、バンドが愛してやまないものすべてが、スリリングで見慣れない新たなアイデンティティへと集約されていきました。90年代初頭は、商業的にはメタルにとって最も恵まれた時代ではありませんでしたが、SEPULTURA, PANTERA, MACHINE HEAD, KORN などと並んで FEAR FACTORY は新しいやり方とサウンドを考案することで、このジャンルに新鮮な命を吹き込んでいたのです。Burton が説明します。
「俺たちは、FEAR FACTORY をこんなサウンドにしたいというビジョンを持っていたけど、自分たちの技術を理解し、そのポイントに到達する方法を把握するのに時間がかかったんだよね。”Demanufacture” の時点で、すべてがまとまったんだ。歌詞、コンセプト、サウンド、アレンジ、プロダクション…すべてがね。チャンスを逃すことを恐れてはいなかった。だから自分たちの好きなことだけをやっていたよ。コーラスをビッグにしたり、テクノの要素を取り入れたり。自分たちが好きなら、やってみようという感じだった。失うものは何もなかったんだから」

1994年10月から12月にかけてレコーディングされた “Demanufacture” に問題がなかったわけではありません。バンドは、シカゴの Trax スタジオでレコーディングを開始しましたが、すぐに自分たちが期待していたものとは違うことに気づきました。
「次から次へと問題が出てきて、まさに最悪の状態だったな。ドラムを聴き直すと、マイクが機能していなかったせいで多くの音が欠落していた。俺たちは、”この場所はクソだ ” と思い、FAITH NO MORE が “King For A Day” をレコーディングしていたウッドストックに飛んだんだ。空きスペースはあったんだけど、1ヶ月分もはなかったから、結局、シカゴのデイズ・インで1ヶ月間、床に寝ることになったよ。その後、ベアーズビルのスタジオが使えるようになるまで、マネージャーの家に住んでいたね。ここの未完成の地下室を使って、文字通り地面の上でリハーサルをしていたんだ。6月から10月の間、俺たちは宙ぶらりんだった」
ベアーズヴィルは彼らのニーズに合ったスタジオでしたが、バンドには時間がなく、ロンドンのウィットフィールド・ストリート・スタジオでボーカルを完成させました。アルバムの音がちょうどよくなるまで、何度もミックスとリミックスを繰り返しました。また、アルバムにクレジットされてはいますが、ベーシストの Christian Olde Wolbers はバンドに入ったばかりで、Burton によると「十分にタイトな演奏ができなかった」ため、彼のパートはギタリストの Dino Cazares が担当したといいます。その Dino がレコーディングを振り返ります。
「俺たちは、山の中の都会人だった。スタジオでは、FAITH NO MORE と BON JOVI に挟まれていたんだ。FAITH NO MORE とはよく一緒に遊んだと言っておこう。ドラムを始めてからは順調だったんだけど、ギターを始めたところで壁にぶつかってしまった。最初のプロデューサー Colin は俺のギター・トーンが気に入らなかったんだ。2週間も喧嘩して、1音も録れなかったんだよ!」
プロデューサーとの対立の中で、Dino と Burton は、時間がどんどん過ぎていき、予算がどんどんなくなっていくのを感じていました。Colin は、Dino が機材を変えるべきだと断固として主張した。Dino は Colin に「失せろ」と言いました。
「これが俺の音なんだ!ってね。ある日、あまりにもイライラしていたから、スタジオから坂を下ったところにあるフルーツ・スタンドまで歩いて行ったんだ。そこで働いていた男の人に見覚えがあって、それが DC のハードコア・レジェンド BAD BRAINS のギタリスト、Dr. Know だったんだよね。そこで彼と話をして、今の状況を伝えると、彼は『君が使えるものを持っているよ』と言ってくれた。それで、俺のアンプを彼のキャビネットに接続してみたところ、突然、ドーンと音が出てきたんだ。みんな額の汗を拭いていたよ。ハハハ!」
膠着状態が解けたことで、”Demanufacture” の制作が本格的に始まりました。キーボード、サンプル、サウンドエフェクトに重点を置きながらも、リフとキックドラムの同期した機械的ブレンドによって前進するこのアルバムは、11曲で構成され、メタルの新しいマニフェストとなることが約束されていました。しかし、アルバムに対する Dino のビジョンは、その集中力と激しさゆえに、Colin Richadson がミックスを担当するにはもはや適任ではないという結論へと急速に達していました。Rhys Fulber が証言します。
「Colin を悪く言うつもりはないよ。彼は素晴らしい人だけど、俺たちは違う方向に進んでいると感じていた。もし彼がミックスしていたら、典型的なメタルのレコードになっていただろうな。俺たちには既成概念にとらわれないことが必要だった。最初のミックスは最悪でね。キーボードが前面に出ていなくて、俺たちはあの音を大きくしたかったからレコードのコントロールを取り戻したんだ」

誤った情報の宝庫であるウィキペディアによると、”Demanufacture” は、映画『ターミネーター』の第1作目からインスピレーションを得たコンセプト・アルバムであるとされていますが実際はどうなのでしょう? Dino が振り返ります。
「俺たちは最初からSF映画のファンだった。『マッドマックス』は、1979年に撮影されたものでずいぶん昔の話だけど、俺らは子供の頃にそれを見ていたんだ。その後、突然『ターミネーター』が登場して、”Soul of a New Machine” の時に、『ターミネーター2』に出てきた液化したT-1000という新型ターミネーターの記事を読んで、新たな機械の魂ってアルバムのタイトルとしては最高だなと思ったんだ。だから、俺たちは明らかにテクノロジーを受け入れ、それを FEAR FACTORY の大きなコンセプトにしたんだ」
Burton は、SF がインスピレーションのひとつであることに同意するものの、それは多くの源のひとつに過ぎないと語ります。
「俺は『ロボコップ』、『ブレードランナー』、『フォーリング・ダウン』、『アポカリプス・ナウ』のファンだった。あと、”The Closet “という映画があって、そこでは冷戦時代の東側の尋問が描かれていて、それがいくつかの曲のインスピレーションになっているんだ。当時のビデオゲームからもいくつかヒントを得たね。でも、一番のインスピレーションは、92年のLAでの暴動だったと思う。俺たちはアレを経験しているから。殴られたり、裁判を傍聴したりね」
Dino が付け加えます。
「1990年から1995年にかけて、火事、洪水、暴動が起こった。1994年には大きな地震があり、ロサンゼルスが破壊されるのを目の当たりにしたよ。略奪者、銃撃戦、国家警備隊の夜のパトロールなどを目の当たりにね。Burton はそのすべてを “Demanufacture” に注ぎ込むことができたんだよ。このアルバムの最初の行は、”Desensitised by the values of life… ” だからね」
皮肉なことに、暴動が始まった日、バンドはLA南部で “Soul Of A New Machine” の写真撮影を行っていました。その場所は、暴動がはじまったフローレンスとノルマンディーから文字通り3ブロック離れた場所でした。Burton が回顧します。
「人々が集まって抗議活動を始めたとき、ちょうど車でそこを通っていたんだ。これはひどいことになるぞ、早くここから出ようと思っていたね。そして、実際に醜くなった。ピリピリしていたよ。誰もが敵対し、標的になっていた。誰も警察を信用していなかった。シュールだったね。ビルの屋上で自動小銃を持って商品を守っている人もいたんだから。俺たちは “Demanufacture” の時代に生きていて、人間と戦い、生き延びるために必死だった。精神的にも肉体的にも影響を受けたよ。つまり、住んでいた場所を失い、正式にホームレスになって、94年の “Demanufacture” のレコーディングが終わるまで、ソファで暮らしていたんだから」

人間対機械という考えは、FEAR FACTORY にとって永遠のテーマとなりました。自動精算機、ドローン、自動運転車が普及している今日、それは彼らが想像していたよりも予言的であったかもしれません。コンセプトアルバムのアイデアは “Demanufacture” が完成した後に生まれたと Burton は説明します。
「アルバムを録音し、アートワークも完成していたけど、プレス用に各曲の解説をするように頼まれたんだ。そしてそれを書き始めたところ、各曲にストーリーを持たせることが自然に思えてね。つまり、この混乱と人々の暴動の中に主人公がいるということだよ」
歌詞を振り返ってみると、未来的というよりは非常に個人的な内容のものもあります。
「そうだね、すべて個人的なものだよ。”Therapy For Pain” は、元ガールフレンドの夢を描いたもので、愛と痛みをテーマにしているよ。”Zero Signal” は、ロンドンでアシッドトリップから目覚めたときに書いたんだ。Marquee クラブのレイブで大量のアシッドを摂取して、ある女の子と付き合い始めたんだ。彼女の部屋で一晩中トリップしていたんだけど、目が覚めるとカーテンの隙間から日の光が入ってきて、その光が青い目をしたイエスの巨大な絵に当たっていたんだよね。アレはとてもパーソナルな出来事だったな。あとは、あのころ俺は法律番組をよく見ていて、台詞をカセットに録音していたんだけど、その多くがアルバムに使われている」
一方、Dino は別の場所からインスピレーションを得ていました。
「Dino と俺は当時、一緒に暮らしていたんだ。彼はあのころ Dimebag のようになりたいと思って、”Cowboys From Hell” を全部暗記していたくらいでね。それに、面白い事実があるんだ… “New Breed” のリフは、STONE TEMPLE PILOTS のリフを逆に演奏したものなんだよ。確か “Vaseline” だったかな」
1995年6月13日に発売された “Demanufacture” は、オーストラリアではゴールド、イギリスではシルバーに認定され、アルバムチャートで27位を記録しました。さらに、このアルバムは無数のメタルバンドに影響を与え、インダストリアル・メタルやメタルコア、さらにはかなり先の未来、 djent の文字通り青写真となりました。Burton は胸を張ります。
「”Demanufacture” は、俺のキャリア全体を変えたし、多くの扉を開いてくれたんだ。あのアルバムは時の試練に耐えてきたと思うよ。サウンド面やプロダクション面だけでなく、歌詞の面でも真実味がある。俺たちは、暴動やいろいろなことで、文字通り常に緊張感の中にあった。つまり、現在のような状態だよ。結局歴史は繰り返すんだ」
Dino も同様にあのレコードを誇りに思っています。
「本物の演奏だと気づかない人もいた。エレクトロニック・ドラム、つまりプログラムされたドラムだと思った人もいたし、俺のギターがサンプリングされたものだと思った人もいた。非常にタイトなレコードだったから、そしてある意味では機械的な音だったから、リアルではないと思われたんだ。俺は、今でも人々が賞賛するサウンドを作ることができたことをとても嬉しく思っている。今でもあのレコードに影響を受けている人がいるからね。あれはバンドのキャリアの中でも画期的なもので、インダストリアル・メタルというジャンルを定義するような作品を作ったんだ。確かに、 MINISTRY や GODFLESH みたいなバンドはいたけど、FEAR FACTORY はそれを別のレベルに引き上げたんだよね。他の人がやっていないような多くの要素を組み合わせたんだ。
レコードのプロダクションも大きな要因のひとつだね。このレコードのミキシングは、間違いなく新しいレベルに到達している。Rhys と Greg がミックスを担当したのは、この種の音楽の標準となるような、素晴らしいものだったから。ボーカルだけでも、後に続く世代のミュージシャンやボーカリストにインスピレーションを与えたよね。シンコペーションの効いたギターやドラム…多くの人が MESHUGGAHが流行らせたと言っているけど、MESHUGGAH が流行らせたのはもっと後だよ。当時の FEAR FACTORY はもっとビッグなバンドだったから。シンコペーション・ギターやドラムを使ったあのスタイルを広めたのは、当時の俺らだけだったんだ。だから、時の試練に耐えられるような名盤を作れたことは、とても幸運だったと思うよ」
Dino は今でも “Demanfucature” よく聴き返すと語っています。
「サウンドとかではなく、構造を聴くために時々戻ってくるんだ。多くの場合、その構造を新しい曲に応用しているよ。例えば、どうやって “Zero Signal” を書いたんだっけ?どうやって始まるのか?バースはどこへ行くのか?中盤はどうなっているのか?とかね。新しい曲に行き詰ったら、”Demanufacture” に戻って、『よし、これが俺たちのやり方だから、戻ってこの曲に適用してみよう』という感じになる。曲がまったく違っていても、リフが違っていても、今でも曲作りの助けになっているんだよ」

あれから26年。Dino が語る通り、FEAR FACTORY は FEAR FACTORY の哲学を微塵も失わない強力な “Aggression Continuum” で戻ってきました。そう、彼らのアグレッションは今でも続いています。
長い間の悲劇的な活動休止の後、棚上げされていた原題 “Monolith” がついに私たちの目の前に現れました。しかし、ここに一つ大きな問題が。30年のキャリアの中で11枚目のフルアルバムである “Aggression Continuum” は、ギタリスト Dino Cazares とボーカリスト Burton C. Bell のデュオにとって最後の作品になります。このアルバムでこそ Burton はその唯一無二の個性を響かせていますが、すでにバンドを脱退。しかし多くの人にとって、Dino と Burton こそが FEAR FACTORY なのではないでしょうか?
残念なことに、ここ数年、Burton や Dino をはじめとするメンバーの人生には様々な浮き沈みがあり、破産や商標権の問題など、バンドの主眼である音楽の行く手を阻む困難が多くありました。そして、二人が一緒にステージに立ち、熱狂的なオーディエンスの前で “Replica” や “Edgecrusher” を口ずさむ姿を見ることはもうかないません。つまり、私たちは “Aggression Continuum” を最大限に活用し、この章をふさわしい形で終わらせることを期待しなければならないのです。
過去と現在のバンドメンバーからの一貫した不誠実な表現と根拠のない告発。Burton が発表した脱退の理由はいたってシンプルでした。
「脱退をしばらく考えていたんだ。訴訟で消耗したんだよね。エゴの塊。貪欲さ。バンドのメンバーだけでなく、弁護士も含めてね。俺はただ、バンドに対する愛情を失っただけ。FEAR FACTORY では、常に何が起きているんだ!と思うことばかりだった。30年というのは、とても良い期間だよ。俺が FEAR FACTORY で制作したアルバムは、これからもずっと世に出続ける。俺は常にその一部であり続けるんだ。だけどただ、前に進むべき時だと感じたんだよ。もちろん、自分の遺産を誇りに思っている。俺たちは偉大なことを成し遂げたからね。信じられないような音楽を作り、音楽業界や世界中のファンに忘れがたい足跡を残してきた。最高の時には山の頂上に登り、最低の時には深い溝を掘ってきた。ただ、別のバンドでもっと素晴らしいことをするために、前に進まなければならない時が来るんだ…」

Dino にももちろん言い分はあります。
「辞めるとすら彼は言わなかった。SNS で知ったくらいでね。彼はいつものように、ちょっと姿を消してしたんだよ。俺が知っている Burton は、困難な状況になると逃げるのが好きな男なんだよね。彼は2002年に辞め、2007年には他のメンバーを辞めさせ、そして今また辞めている。彼はすべてのレコードで歌声を残しているにもかかわらず、辞めてしまう人でもあるんだよ。
俺は問題に正面から取り組むのが好きだ。もし問題があるなら、部屋に入って議論し、解決しようとする。人によっては、自分が追い込まれているように感じ、それに耐えられないこともあるだろうね。彼はそういうタイプなんだ。
去ったのは3年前だが、正直なところ、本当に去ったのは何年も前のことだと思う。おそらく20年は経っているだろう。彼は FEAR FACTORY のために歌詞を書いていたのは、心の底からではないと言っていた。歌詞を崇拝しているファンへの冒涜だよ。お金のために戻ってきたとも 言っていたしね。すでに知っていたよ。対処しなければならなかった」
たしかに Burton は現在、別バンド ASCESION OF THE WATCHER にすべてを捧げています。Dino が FEAR FACTORY に情熱を注ぐように。
「レコードを作ることに関しては、俺は非常に意欲的な人間だ。Burton はいつもプッシュしなければならなかった。さあ、やろうぜ !ってね。 あるいは、彼に連絡を取ろうとしても、彼がいないこともあった。何ヶ月も何ヶ月も姿を消していて、どこにいるのかわからない。彼が戻ってくるのを待つしかないんだよ。
“The Industrialist” のときは、俺がすべての曲を書いて準備ができていたんだけど、Burton が8カ月間も姿を消して、誰にも居場所を教えなかったんだ。その後、彼はカナダで “City Of Fire” というプロジェクトに参加していることがわかった。もちろん、今では自分のプロジェクトで自分のことをする必要があることも理解している。わかったよ。だけど、俺たちに教えてくれよ!
そういう面もあったよね。つまり Burton は長い間、出口を探しているように見えたんだ。彼は自分の他のプロジェクトが軌道に乗ることを望んでいて、そうすれば「おい、CITY OF FIRE は次の SOUNDGARDEN になるぞ、じゃあな!」と言うんじゃないかってね」

バンドを巡る訴訟や個人的な問題が、Burton の脱退に影響を及ぼしたのは明らかです。アルバムの赤々と燃える怒りの炎の代償とも言えるでしょうか。
「理解してもらいたいんだが、俺たちはとても多くの法的な問題や破産、離婚を経験した。俺は個人的に100万ドルの損失を被ったからな。ストレスは大きかったね。何度か病院に行かなければならなかった。心臓発作かと思ったけど、すべてはストレスによるものだった。でも、勘違いしないでほしい。俺はそのことで、戦うべきことを戦い、必要な犠牲を払うことを躊躇したわけではないんだよ。音楽は俺の情熱だから。常に愛しているんだ」
現在は、FEAR FACTORY の商標は、Dino が単独で所有しています。
「必要な措置だった。バンドを存続させたかったら、戦わなければならないという緊急性があった。Burton と戦うという意味ではなく、裁判所と戦うという意味で、Raymond や Christian と戦うという意味でね。
連邦破産法第7章を申請するときには、すべての資産をリストアップしなければならない。コンピュータ、車、家、ビジネス、そして商標などもリストアップしなければならない。そこに何も記載していないと、奪われてしまうんだ。それが Burton に起こったことだよ。Raymond と Christian の弁護士が、彼が FEAR FACTORY の商標を資産として登録していないことを発見したため、商標を取り上げられたんだ。それで裁判所がオークションに出した。みんな俺が Burton から商標を奪った、あるいは訴えたと思っている。だけど、裁判所が商標をオークションにかけたんだ。つまり、誰でも入札できる eBayのようなもの。俺は商標を手放すつもりがなかった。最高額で落札しようとしたんだけど、その入札者には Raymond や Christian もいたんだよね。とても激しい競り合いで、汗びっしょりだったよ」
クラウドファンディングで制作費を募って完成させたアルバムです。
「確かに高額なアルバムだった。レコード会社からもらった前金を使い果たしてしまったから、結局、GoFundMe キャンペーンを行うことになった。キャンペーンはとても成功したんだけど、Burton は賛成しなかったんだ。なぜかはわからないけどね。レコードが出れば彼の利益になるだけだからね。でも、本当に助けてくれたファンの皆に感謝しているんだよ。2万5,000ドルも集まったからね。これは、アンディ・スニープにミックスを依頼したり、生ドラムを叩いてもらったり、エンジニアを雇うための費用となった。金額は言えないけど、かなりの額自腹も切ったよ。だから、俺は今ほとんど無一文なんだ。でも、俺は悪いレコードを抱えて生きることはできないから。もし、ここまで戦ってきて、レコードが最悪だったら意味がないんだ」
一連の騒動がアルバムになんらかの影を落としたのでしょうか?
「いや、音楽に影を落としているとは思わないね、全く。むしろ摩擦が素晴らしいものを生み出すことだってあるだろ?この新譜でもそうだと思うよ。Burton が奏でる美しいメロディックなボーカルには、怒りや不安の感情が同時に込められている。彼が書いた歌詞と彼が歌った歌詞を聴けば、素晴らしいの感想以外はでないだろう」

間違いありません。ここには Burton C Bellの声があります。この声は、SLIPKNOT や KILLSWITCH ENGAGE が台頭してきたときに流行した、ダイナミックな唸りと歌声の元祖。そして、SF的なシンセサイザーやドラムトリガーと、ギターやベースの本格的なピッキングを組み合わせた、相反融合するインダストリアルでオーガニックなサウンドはいささかも衰えることはありません。
つまり、Dino と Burton の FEAR FACTORY は最も相応しい形でその幕を閉じます。インダストリアル・サウンドとマシンライクなリフアタック、多弦の重み、免許皆伝二刀流のボーカル、研ぎ澄まされたリズム隊に加え、一際メロディックでキャッチーなコーラス。さらに、アルバムには映画のようなオーケストレーションが施されており、深みがあって、近未来的なディストピアやドラマのような感覚がしっかりと刻まれています。何より、闘争の恩恵か、彼らは怒りやエッジをほとんど失っていません。”Demanufacture” で聴かれた怒りに匹敵する高温がまだここには火照っています。ただし、何十年もかけて曲作りが洗練されてきたせいか、どことなく柔らかさや滑らかさが出てきたような気もしますね。
モンスター・コーラスといえば、”Purify” が “Agggression Continuum” の “Replica” であるという考えはあながち間違ってはいないはずです。このレコードに収録されている曲の中で最も即効性のある曲ですが、スタイルとエレガンスを持って “浄化” が行われているため、あからさまなキャッチーさやポップメタル的なニュアンスとは無縁。最近、Burton が LINKIN PARK の “Hybrid Theory” は子供向けの “Demanufacture” だと語っていたのを思い出しました。Dino は一笑に付していましたが。
ファースト・シングルの “Disruptor” は、”Genexus”の “Soul Hacker” と多くの共通点があり、 「自分の道を貫け」という希望に満ちた歌詞を持つ、抵抗のための力強いアンセムです。”Fuel Injected Suicide Machine” では、バンドが愛する複雑すぎる曲名と、冷酷なまでの攻撃性が見事に融合しています。「運命を恐れず」「決して抵抗をやめない」という歌詞は、”Demanufacture” のメジャーな曲と同レベルの、真のインダストリアル・バンガー。
FEAR FACTORY には、アルバムを壮大でゆっくりとした曲で閉じるという強い伝統がありますが今回はそうではなく、”End of Line” は、Burton の広大なボーカルレンジと豊富なリフを使ったメタルトラックで、アルバムを大々的に締めくくっています。”Monolith”のソロのように、一歩踏み出した挑戦もあり、”Aggression Continuum” 以前のリリースとは異なるエッジがたしかに生まれてきているのです。そうしてシンセと話し言葉だけが残り、深い声で「恐怖がなくなったとき、私だけが残る」と述べてアルバムは幕を閉じます。危険は去っていない、抵抗は続いていく。結局、FEAR FACTORY は “Demanufacture” のころからずっと、メタルのレジスタンスであり続けているのでしょう。
女性ボーカルを入れるという噂もありますが、Burton との復縁はもう起こらないのでしょうか?
「俺は前に進まなければならない。だから起こるならすぐに実現しなければならないと思う。ファンの皆が待たされるのは不公平だと思うからね。もしそうなるのであれば、なぜ今ではないんだい?なぜファンは、彼がここが自分の居場所だと気づくのを待たなければならないのだろう?
わからないけど、彼は新しい人生の選択をして、前に進んでいるのかもしれない。彼がここにいたくないと思っていた時期が何度もあったという事実を無視することはできないよ。彼が出口を探していた時期もあったしね。だけど、同時に、俺たちが作り上げたものを否定することもできないよね。だから…将来的に Burton と復縁するか?可能性はあるよ。俺はそれを受け入れている」

参考文献: EON MUSIC: FEAR FACTORY Interview

KERRANG!:“I’m Proud Of My Legacy… But You Have To Move Forward”: Burton C. Bell On Leaving Fear Factory And What’s To Come

LOUDER:Dino Cazares: “I think Burton C Bell left Fear Factory many, many years ago”

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KIBERSPASSK : SEE BEAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KIBERSPASSK OF BABA YAGA !!

“See Bear” Is a Song About My Homeland, My Native Land. A Song About The Pristine Beauty And Greatness Of Siberia. I Am Very Inspired By The Pure Siberian Nature, Endless Expanses And a Huge Blue Sky.”

DISC REVIEW “SEE BEAR”

「”See Bear” (シベリアとかけている) は、私の祖国、生まれ育った土地についての歌よ。シベリアの原始的な美しさと偉大さを歌った曲。私は、純粋なシベリアの自然、果てしなく広がる大地、大きな青い空にとても刺激を受けているの。愛するシベリアをありのまま見せたかったの」
生い茂る針葉樹林、見渡す限りの永久凍土、そして果てのない空。シベリアのタイガに訪れる長い夜を、KIBERSPASSK はハードなダーク・エレクトロで語り、音とし、世界へと発信します。凍てつく寒さと闇の帳には、ひりつくようなインダストリアルとロシアの厳粛なフォークロアを組み合わせたユニークな音化粧がよく似合います。
「私は NYTT LAND という、世界的にもかなり有名なバンドをもう一つやっていて、そこではシャーマニックなダークフォークを作り、古代楽器を演奏し、シベリアのタイガにおけるシャーマンの歌を歌っているのよ。だから、KIBERSPASSK は、私の別人格なの」
冬にはマイナス30℃を超える極寒の地。カザフスタンから100キロ、アルタイ山脈の麓にひろがる西シベリアの草原がバンドの故郷です。そんな場所で Baba Yaga こと Natalya Pahalenko と夫の Anthony はカンテレやタルハルパという古の楽器を操り、北欧神話やシベリア先住民のシャーマンから薫陶を受けた “シャーマニック・ダークフォーク” を奏で世界的な成功を納めます。KIBERSPASSK とはそんな彼らのシベリアという厳しくも美しい環境に特化した別人格。今にも “死にかけた” 村の名前を抱きながら。
「私はずっと自分のやり方でボーカル・テクニックに取り組んできたわ。主な方向性は、伝統的なロシアのフォーク・ボーカル、北欧のヨイク (サーミ人の伝統歌唱) 、トゥバ共和国の喉歌よ」
KIBERSPASSK の特別な音楽の核となるのは、間違いなく Baba Yaga の歌唱です。Baba Yagaはその名の通り異能の力を持つ魔女でシャーマンかもしれません。ヨイクで天使のメロディーに荒々しい異教の呪いの声をかけたり、ホーミーで草原や森林に邪教の声を響き渡らせるのですから。そしてその歌声は、MINISTRY を想起させる攻撃的で無機質なインダストリアルの背景に独特の夜と自然、呪術的アトモスフィアをもたらすのです。
「シベリアの先住民族のフォークロアも同様だけど、ロシアの伝統音楽は私たちの祖先の精神的・文化的遺産のルーツを保存する非常に深い階層なの。本物の感情と個性を持った、とても美しく壮大な音楽よ。とてもインスパイアされるわ。私はもともと歴史家で、自分の土地の歴史や神話を研究し、古代の人物を自分の歌の中で蘇らせることが好きなのだから」
インスピレーションの源は、シベリアの環境や景色はもちろん、スラブ神話の暗黒面にまで及びます。キキーモラ (働き者の願いを叶え怠け者を喰らう幻獣)、ドモヴォーイ (家族を守るため悪い精霊や侵入者の殺害も厭わない家の妖精)、バーバ・ヤーガ (森に住む妖婆。骨と皮だけにまで痩せこけて、脚に至ってはむき出しの骨だけの老婆の姿をしている。人間を襲う魔女のごとき存在)、リホ (小さくて毛深い生き物) など、ロシアの子供たちが生まれたときから知っているキャラクターたち。
古い集落が消えつつあるこの土地では、シベリアの精神と真の神秘性が保たれていて、今でも神話と現実の境が曖昧です。この地で生まれ、生活し、音楽を創造する KIBERSPASSK。だからこそ、その音楽に太古の息吹と孤高、霊妙、荘厳、超自然、そして奇々怪界を持ち込むことが可能だったのでしょう。革新がもはや珍しくなってしまったジャンルに、新鮮で厳しい寒風を吹き込みながら。
今回弊誌では、Baba Yaga にインタビューを行うことができました。MV に登場する印象的なダンサーは Pahalenko 夫妻のの娘さんとの情報も。謎が深まりますね。「Babymetal は実に興味深いバンドよ!彼女たちのショーとエナジーが大好きなの。そういった要素のいくつかは、おそらく KIBERSPASSK に影響を与えているわ」 どうぞ!!

KIBERSPASSK “SEE BEAR” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【STATIC-X : PROJECT REGENERATION VOL.1】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Xer0 OF STATIC-X !!

“I Don’t Want My Face To Be The Face Of Static-X. That Seems Very Wrong. I Don’t Want My Name To Be At The Center. Xer0 Is a Figure, a Character, An Entity. I Believe That This Serves Static-X The Best. My Goal Has Always Been To Do What Is Best For Static-X.”

DISC REVIEW “PROJECT REGENERATION VOL.1”

「このアルバムが実際に出るまで、誰も STATIC-X を2020年に蘇らせることが可能だなんて思ってもいなかったよね。だけど実際、その不可能が実現したんだよ。」
悲劇の灰から立ち昇る再生の紫煙。予期せぬ喪失に吹き込まれる新たな生命。インダストリアルメタルに革命をもたらした20年の後、STATIC-X は Wayne Static の悲劇的な死とともに、永遠の沈黙に包まれる運命だと誰もが思っていました。
しかし、傑作 “Wisconsin Death Trip” を創成したオリジナルメンバーの団結、Wayne Static の遺した遺産、そして Xer0 という Wayne の魂を宿す亡霊によって、STATIC-X は Nu-metal/インダストリアルメタルの象徴に恥じない新たな一歩を踏み出したのです。
「僕の顔が STATIC-X の顔になるのは嫌だったからね。それは途方もなく間違ったことに思えたよ。自分の名前を中心にしたくないんだ。Xer0 は姿であり、キャラクターであり、存在である。 それが一番 STATIC-X のためになると思っているんだよ。僕の目標は常に STATIC-X にベストなことをすることなんだ。」
この世から姿を消したにもかかわらず、STATIC-X は今でも Wayne Static のプロジェクトであることは明らかです。それほどまでに、彼のビッグロックボイスとインダストリアルエナジー、そして重力に逆らったヘアスタイルのカリスマ性は際立っていました。
実際、SLIPKNOT, SYSTEM OF A DOWN, KORN, COAL CHAMBER といったメタルの新たな波が台頭し花開いた90年代後半、インダストリアルを基調にヘヴィーなディスコトリップを展開する STATIC-X の “Evil Disco” は完膚なきまでにあの時流へ符号していました。
そして、個性際立つ Nu-metal サーカスの中でも、フレディー・クルーガーの出で立ちで逆重力ヘアを纏い、映画と漫画のキャラクターを行き来しながら、共産主義から薬物乱用まで吐き綴る Wayne の存在感は遂に “Wisconsin Death Trip” のセールスをミリオンにまで導いたのです。
ゆえに、プロデューサー、パフォーマー、そして伝説の声を補う存在としてバンドに加わった Xer0 は文字通り、自らの存在感をゼロとして Wayne のマスクを被り STATIC-X の一部分に成りきりました。
「1999年の、STATIC-X お馴染みのビジュアル的な存在感を表現したかったんだよ。だからこそ毎晩スパイクヘアにしたんだ。ファンには、1999年に戻ったかのような、邪悪で斬新なタイムワープをしているような気分になってもらいたかったんだよ。そのためには、僕の “顔がない” ことがどうしても必要だったんだ。」
傑作の20周年を祝う旅路を終えた後、STATIC-X は “Project Regeneration Vol.1” と名付けられたプロジェクトに着手し、万難を排して新たなアルバムを世界へと放ちました。それはまさしく “再生” の道程。
Wayne の遺したデモテープを発掘し、Xer0 の声と手術でボーカルラインを繋ぎ、Tony, Ken, Koichi の偉大なトライアングラーは新たにレコーディングを行い楽曲に命を吹き込みます。完成したレコードは、当然ながらパッチワークの域を超えたノスタルジーとエナジーのダイナミックな泉でした。
チャンキーでメソジカルなビート、不気味なダウンチューンに近年再評価を受けつつあるアグロテック。MINISTRY の Al Jourgensen まで巻き込んで、これほどダンスとヘッドバンキングを両立させる音世界は彼らにしか作り得ない魔窟でしょう。Nu-Metal のダークサイドを投影した邪悪で斬新なディスコの復活です。
「多くの人が知っていると思っていると思うけど、実際には誰も何も「知っている」人はいないんだよ。憶測はたくさんあるけど、僕はそのどれにも興味は無いよ。もし僕が自分の正体を明かすことに決めたら、自分のやり方でそうするだろうね。自分がその権利を得たと信じているから。」
今回弊誌では、Xer0 にインタビューを行うことができました。一部では DOPE の鬼才 Edsel Dope ではないかとも囁かれていますが、どうなんでしょう。「Wayne は僕の友人だった。そして何より、アーティストとして、僕が信じられないほどのリスペクトを捧げている人物さ。」 どうぞ!!

STATIC-X “PROJECT REGENERATION VOL.1”: 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【SLIPKNOT : WE ARE NOT YOUR KIND】


COVER STORY: SLIPKNOT “WE ARE NOT YOUR KIND”

“We Are Not Your Kind” Is The Most Artsy Mainstream Metal Record So Far.

DISC REVIEW “WE ARE NOT YOUR KIND”

2019年は SLIPKNOT にとってビッグイヤーに定められた年でした。セルフタイトルのデビューアルバム “Slipknot” のリリースから20年、メタル史に残る金字塔 “Vol. 3: The Subliminal Verses” のリリースから15年。しかし、襲い来るトラウマや悲劇を乗り越えたアイオワの怪奇集団にとっては、その不死身の記念碑ですら通過儀礼に過ぎないことを最新作 “We Are Not Your Kind” が如実に証明しています。
ベーシスト Paul Grey の急逝、中心メンバー Joey Jordison の離脱、Corey Taylor の離婚、Clown 愛娘の逝去、Chris Fehn の解雇劇。並みのバンドならば歩みを止めざるを得ないような状況におかれても、SLIPKNOT は諦めることなく前進を続けています。アニバーサリーの追憶に浸る代わりに、バンドは長くソリッドなライティングプロセスを過ごし新たなマイルストーンを完成へと導きました。


「歩み続けるうち、俺らはまた自由を手にしたんだ。やりたいことは何でもできる。この作品は “Vol. 3: The Subliminal Verses” と同じヴァイブ、エナジーだったね。俺らが満足している限り、どこへでも行けるのさ。」
SLIPKNOT がこれほど大きな支持を得ているのは、その過激な外観、実験性、エクストリームな音楽性の内面に陰鬱美麗なメロディーと芳醇なフックを備えていることが理由でしょう。そして、Corey Taylor は “We Are Not Your Kind” が、かつて自らが生み出したそのダイナミズムの怪物と同様のイメージで制作されたことを認めています。
“Iowa” でインテンスとアグレッションの圧倒的な狂演を見せつけた後、バンドが辿り着いた自由な創造性と対比の美学こそ “Vol.3” の哲学でした。故に、切迫した暗がりでそのスピリットを引き継いだ “We Are Not Your Kind” には、あの重音の実験室に加えて、旋律と戦慄のコントラストが遥かな進化を遂げながら確かに宿っているのです。言い換えれば、Billboard 200 で No.1を獲得した驚異の最新作は最もアーティスティックな “大衆のためのメタル” と言えるのかも知れませんね。

もちろん、メタル、ハードコア、ヒップホップのトライアングルは SLIPKNOT のコアとして存在し続けてきましたが、”Vol.3″ のトリッピーなチェンバーポップ “Circle” が示すように、3つのフラスコのみで化学反応を起こすほど彼らの実験室は限定的ではありません。
「このアルバムで、また俺らが変わったことをやれていると感じた最初の楽曲が “Spiders” だった。コアの部分をまず録音して、そこからシチューを煮込むみたいに適切な要素を加えていったのさ。ギターソロは Adrian Belew に大きなヒントを得ているよ。David Bowie が “Fasion” でやったようなことさ。」
Corey の言葉通り、”Spiders” は David Bowie が残したニューウェーブの煌めき、カメレオンの音魂を彼らの流儀でダークに抱きしめた SLIPKNOT の新たな惑星でしょう。NINE INCH NAILS の音景も封入されているでしょうか。David をインスピレーションとした火星にも似たその新境地は1曲にとどまりません。”Space Oddity” のイメージをドゥーミーに、SWANS ライクに宿す “A Liar’s Funeral” は Corey のフェイバリットです。
「David Bowie がブラックメタルをやったような楽曲だね。大量のアトモスフィアと鋭さ、そして衝撃が混ざり合っている。」


実験という意味では、TANGERINE DREAM を想起させるコズミックなイントロダクション “Insert Coin” から連なる “Unsainted” の壮大なケミストリーを見逃すわけにはいきません。
「アルバムで最後に完成した楽曲なんだ。そして、アルバムの以降の方向性を告げる最高のランドマークとなったね。」
THE ROLLING STONES の “You Can’t Always Get What You Want”、もしくは PINK FLOYD の “The Wall” にも似たコーラスマジックを携えた楽曲は、メタル、インダストリアル、サウンドトラック、クラッシックロックのキャッチーかつ完璧なキメラです。
一方で、HEALTH や GOJIRA の波動を滲ませる “Birth of the Cruel” の狡猾さもアーティスティックな “大衆のためのメタル” に真実味を加えていきます。さらに “My Pain” のエレクトロなパルスを Stanley Kubrick の映画と評する Corey。事実、アルバムは Clown の子供とも言える “Death Because of Death”, “What’s Next” といったセグエによって映画のようなドラマ性を帯びています。それは、緩と急、静と動を織り込んだエモーションのローラーコースター。実は当初 Shawn “Clown” Crahan が目指していたのは、”The Wall” のようなコンセプチュアルで二枚組の壮大な音楽劇でした。

Jim Root が 「俺らと進化してこのアルバムを気にいっても良いし、そうじゃなくても良い。ただ俺らはいつもいきたい場所へ行くだけさ。」と嘯けば、Mick Thomson は 「アルバムが好かれようが嫌われようがどうでも良い。どの道俺らは全員にアピールするような音楽じゃないから。全員に気に入られるような音楽には興味がないよ。俺らはただ自分に正直でいたいんだ。」 と主張します。
つまり、SLIPKNOT はきっと永遠に “We Are Not Your Kind” 誰の言いなりにもならず自らの百鬼夜行を続けるはずです。ただし、心から望んで、正直に表現した音楽が、これほど多くの支持を得られる危険でエクストリームな “メインストリーム” メタルバンドも、きっと永遠に SLIPKNOT だけなのかも知れません。

SLIPKNOT “WE ARE NOT YOUR KIND” : 9.9/10

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