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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THY ROW : UNCHAINED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKAEL SALO OF THY ROW !!

“What Always Drew Me Into Japanese Music Was The Melodies – I Feel That Japanese Metal Bands Always Keep The Focus On The Melody, Like a Redline Running Through The Song. This Is Extremely Important To Me Also In My Own Music.”

DISC REVIEW “UNCHAINED”

「僕が日本の音楽に惹かれたのは、メロディーなんだ。日本のメタル・バンドは、曲の中を走る赤い線のように、常にメロディーに焦点を当てていると感じるよ。これは、僕自身の音楽においても非常に重要なことなんだ」
才能溢れる多くのバンドを抱えながら、さながら鎖国のように世界への輸出を拒んできた日本の音楽世界。イメージや言語、そして理解されない珠玉メロディーなどその理由はさまざまでしたが、近年はそんな負の連鎖から解き放たれつつあります。アニメやゲームといった日本のコンテンツが抱擁されるにつれて、永久凍土に見えた音の壁が緩やかに溶け始めたのかもしれません。そして、フィンランドの THY ROW は衝撃のデビュー・アルバム “Unchained” において、日本の音楽が持つクリエイティブな可能性とその影響を惜しみなく解放しています。
「歌を録音することはとても負担が大きく、感情的なプロセスで、歌い終えた後はいつも疲れてしまう。でも、もし誰かの心をどこかに動かし、その曲の意味やストーリーを感じてもらうことができたら、ボーカリストとしての目標は達成できたと思うんだよ」
枚方に一年間留学し、日本語や日本文化、そして感情の機微を胸いっぱいに吸い込んだボーカリスト Mikael Salo は、THY ROW の音楽へと日本の空気を思い切り吐き出しました。
坂本英三、森川之雄。こぶしの効いた浪花節を思わせる、すべてが熱く “Too Much” な二人の歌声は Mikael の心を動かし、憑依し、アルバムに感情の津波を引き起こすことになりました。おそらくは、ANTHEM がこれまで世界にあまり受けいれられなかったのも二人の歌唱が、メロディーが、きっとあまりに “日本的” だったからで、その部分が雪解けとなった20年代では、Mika のようなユーロと日本のハイブリッドの登場もある意味では当然でしょう。ANTHEM は何十年も、ただ最高のメタルを作り続けているのですから。
「”Burn My Heart” や “Destiny” は完璧なパワー・メタルだけど、”Still Loving You” や “Destinations”のような曲は、彼らのスタイルの多様性を示していて、息を呑むような音楽性によってパワー・メタルの曲作りのルールを曲げているよね。驚きだよ!」
THY ROW に影響を与えた日本の音楽は ANTHEM だけではありません。GALNERYUS や X JAPAN の “パワー・メタル” の枠だけには収まらない千変万化の作曲術も、THY ROW にとって不可欠な養音となりました。そうして彼らは、ロックとメタルの境界線の間でバランスを取りながら、メロディーに重点を置き、時折ラジカルなギターソロとマジカルな展開を交え、ビッグなコーラスによって感染力の高い楽曲を完成させてきたのです。
「制作面では、ミキシング・エンジニアの Jussi Kraft(Starkraft Studio)と一緒に、AVENGED SEVENFOLD のアルバム “Hail To The King” を参考にしたんだよね。音楽的には、モダンな影響ならブラジルのバンド ALMAH や、アメリカのバンド ADRENALINE MOB みたいなバンドが思い浮かぶね」
重要なのは、彼らが過去の亡霊に囚われてはいないこと。手数の多いドラムの騒然は MASTODON の嗎に似て、耳を惹くオルタナティブなフレーズは INCUBUS の異端にも似て、クランチーなリフワークとサウンドは QOTSA のエナジーにも似て、THY ROW の音楽を80年代と20年代の狭間に力強く漂わせるのです。冒頭、”Road Goes On” や “The Round” といった真のアンセムを誇示する一方で、アルツハイマーをテーマとしたダークでプログレッシブな “The Downfall” 三部作でアルバムを閉める構成力も素晴らしいですね。
今回弊誌では、Mikael Salo にインタビューを行うことができました。「当時、間抜けなティーン・エイジャーだった僕は、兄にかなり失礼な質問をしてしまったんだよね。”ヘヴィ・メタルって、ドラッグをやったり、タトゥーを入れたりしている人たちのものじゃないの?”って。でも賢明な兄はこう答えたんだ。”そんなことはないよ、美しくて情熱的な音楽だから、ぜひチェックしてみて!”」THY ROW の音楽も十二分に美しく、そして情熱的です。どうぞ!!

THY ROW “UNCHAINED” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PASSPO☆ : BEEF OR CHICKEN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AI NEGISHI OF PASSPO☆!!

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JAPANESE “AMERICAN GIRLS ROCK” !! PASSPO☆ HAS JUST RELEASED CUTE AND CATCHY THEIR THE NEWEST ALBUM “Beef or Chicken” !!

“少女飛行” で女性グループとしては初のデビューシングルがオリコン1位を記録。華々しく音楽シーンに登場した PASSPO☆ もデビューから4周年を迎えました。メンバーを”クルー”、ライブを”フライト”、ファンを”パッセン(ジャー)”、サポートバンドを”グランドクルー”と呼び、CAさんをイメージさせるような衣装を着用(かわいい)。空と旅をテーマにしたガールズロックユニットとしてアイドルの乱立する2015年に置いても存在感を放ち続けています。ガールズロック。彼女たちはメジャーデビューから常にロックを意識して活動してきました。2012年にリリースされた “エアライン3部作” ではLAメタル、ジャパニーズパンク、ジャーマンメタルに挑戦。ロビン・フィンク、クリス・チェイニー、ジョシュ・フリース、といった海外の大物を招いてファンを驚かせました。グランドクルーにも故 横山氏をはじめ、PANTHER、HIMAWARI といった実力派を集めメンバー自身楽器に挑戦したりとアイドルの概念を覆すような存在として注目を集めています。遂にリリースされた待望の新作 “Beef or Chicken” で提示された方向性は”アメリカンガールズロック”。確かに前作 “JEJEJEJET!!” と比較すると、リードトラック “HONEY DISH” に代表されるようにキュートでキラキラした楽曲が増えたように思います。ただ、PASSPO☆ の1番の良さであるキャッチーで一緒に歌いたくなるような楽曲という点では全く変わっていませんね。独特の少し切なくなるようなメロディーも健在。ペンネとアラビアータ機長こと w-inds.、Folder5、中ノ森バンドなどを手がけてきた阿久津健太郎氏の手腕はやはり素晴らしいですし、メンバー各自の成長、作詞に関わるといった決意も感じ取れる好盤だと思いました。今回、弊誌ではキャプテン(リーダー)のわりにマイペース。プレイしてきたゲームは100を超えるというゲーマーで、清純派な見た目のわりに腹黒いとクルー間で評判の白担当。あいぽんこと根岸愛さんにインタビューする事が出来ました。

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