EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM CHRISTENSEN OF DIZZY MIZZ LIZZY !!
PHOTO BY JANNICK BOERLUM
“Pelican Is a Big One For Me. As Is Russian Circles. MONO From Japan Is Also a Favourite. And There Are So Many More. Elder, Uncle Acid, YOB, Kerretta, Earth, Electric Wizard, Katatonia, Lowrider, Gojira, And I Could Go On.”
DISC REVIEW “ALTER ECHO”
「”Alter” は異なるとか、オルタナティブとか、何かをアップデートしたものって意味でさえある。そして “Echo” はサウンドの反響。僕たちはこの2つの言葉を合わせて新作の完璧なタイトルにしたんだよ。文字通りの意味を感じているね。つまりバンドとしてアップデートされた新たなサウンドって意味さ。」
人々が自らの別人格、”Alter Ego” と向かい合う奇妙な潮合いとなったコロナパンデミック。奇しくもこのタイミングで発表された DIZZY MIZZ LIZZY の最新作 “Alter Echo” は、文字通りバンドの別人格を浮き彫りにしながら、リスナーの心象風景へより深く侵入し、より親密に寄り添います。
「PELICAN は僕にとってとても大きな存在だよ。RUSSIAN CIRCLES や日本の MONO と並んで大好きなんだ。他にもたくさん好きになったバンドはいるよ。ELDER, UNCLE ACID & THE DEADBEATS, KERRETTA, EARTH, ELECTRIC WIZARD, KATATONIA, LOWRIDER, GOJIRA などなどだね。」
90年代初頭、デンマークから自由躍動のトリオが登場した時、おそらく多くのリスナーは RUSH や THE BEATLES の影に、典型的なハードロックやメタル領域から離れた DNA を隠し持っていると感じたはずです。
それはきっと NIRVANA であったり、SMASHING PUMPKINS といった当時 “オルタナティブ” と呼ばれた異端からの影響でした。つまり、DIZZY MIZZ LIZZY は結成当初から好奇のアンテナを張り巡らせ、音のブレンドを楽しむ卓越した料理人であったのです。
DML が世界から消えた20年でメタルの血は劇的な進化を遂げました。モダン=多様性のモダンメタルワールドで、さまざまなサブジャンルが勃興し、絡み合い、その枝葉を伸張させていったのです。ゆえに目覚めた3つの好奇心の塊が、革新を遂げたその原点へと引き寄せられたのはある種の必然だっと言えるでしょう。
実際、映画の序章のごとき “The Ricochet” を道標に幕を開ける “In The Blood” の躍動するドラム、反復のリフワーク、沈み込む重低音はたしかに PELICAN や RUSSIAN CIRCLES が最新作で放った暗く生々しい轟音の波動と素晴らしくシンクロしています。そしてその音信号はさながらニューロンとシナプスの関係のように、”Boy Doom”, “Amelia” 第二楽章などレコードの各所へとしなやかに伝達されていくのです。
「スラッジ、ドゥーム、ストーナー、ポストロック、プログメタル、ポストメタル、サイケデリック、スペースロックといったサブジャンルを深く知れば知るほどインスパイアされるんだ。」
ただし、”Alter Echo” は決してポストロック/メタルのみに触発されたレコードではありません。作品に漂うシンセサイザーやメロトロンの嫋やかな響きはきっと ELDER のような現代的なプログレッシブドゥームにも通じ、重厚で泥臭いブルースの香りは UNCLE ACID のストーナーサイケをイメージさせるはずです。
バンド史上最も胸を打つ “The Middle” の幽玄に KATATONIA の亡霊を感じ、”California Rain” の複雑怪奇に GOJIRA を想うリスナーも多いでしょう。
そして多種多様な実験と挑戦を下敷きにしながら、DIZZY MIZZ LIZZY のトレードマークである北欧由来のメランコリー、時をかけるノスタルジア、ひとかけらのアイロニーを以前よりもさらにその印象を増してリスナーに届ける彼らの哲学はやはり傑出した異端でしょう。ここにきて、バンドの演奏はもとより、Tim の声色、ギタートーンまで全てが張り詰め漲っている事実も心強い限り。
今回弊誌では、Tim Christensen に二度目のインタビューを行うことができました。「RUSH には大きなリスペクトを捧げているし、バンドとしての RUSH またドラマーとして Neil Peart の重要性もよく心得ているつもりだよ。だけど僕にとって彼らは深く聴き込んだり、心から繋がったバンドだったことはないんだ。DML の全員がそうだね。」どうぞ!!
DIZZY MIZZ LIZZY “ALTER ECHO” : 10/10
INTERVIEW WITH TIM CHRISTENSEN
Q1: First of all, it’s really hard time now due to corona virus, especially musical industry. As a musician, and as a person, how do you spend your corona crisis days?
【TIM】: Yes, times are weird. All of our shows are either cancelled or postponed for later. We had looked so much forward to get out there and play the new album to our fans. Instead we’re spending time with our families, which is also nice. And playing, writing and listening to music.
Q1: コロナウイルスが世界を脅かし、特に音楽産業にとっては厳しい局面です。まず、ミュージシャンとして、1人の人間として、このコロナ危機をどのように過ごしているのか教えていただけますか?
【TIM】: そうだね、実に奇妙な時期だよ。僕たちの全てのライブは中止か延期になってしまった。もちろん、ライブで新たなアルバムの楽曲をファンのためにプレイすることをとても楽しみにしていたんだ。
その代わりに今は家族と過ごしている。それも悪くはないね。そうしてやっぱり家でも、音楽を聴いて、演奏し、創造しているんだよ。
Q2: During this corona crisis, we may face to a second self or different version of ourselves, that’s to say “alter ego”. So, a title of your newest record “Alter Echo” really fits this timing, maybe. Anyway, definitely, I feel this is the another version of Dizzy Mizz Lizzy, sonically. Do you think that was the reason of naming “Alter Echo”?
【TIM】: Absolutely. It’s obviously a play on words. And with ‘alter’ meaning different, alternative, or even ‘updated version of something’, and ‘Echo’ meaning ‘reflection of sound’, we felt that those two words together made up the perfect title for this new album, as we feel it is just that. A new and updated version of our sound as a band.
Q2: このコロナ危機を通じて自らの別人格、”Alter Ego” に向かい合っている人も多いでしょう。故に、”Alter Echo” というタイトルは今というタイミングに実にしっくり来るように思えます。
音楽的にも、DIZZY MIZZ LIZZY のある種別人格を浮き彫りにした作品だと感じますが、”Alter Echo” と名付けた理由はその辺りにあるのでしょうか?
【TIM】: 間違いないね。これは明らかに言葉遊びの一種だよ。”Alter” は異なるとか、オルタナティブとか、何かをアップデートしたものって意味でさえある。そして “Echo” はサウンドの反響。
僕たちはこの2つの言葉を合わせて新作の完璧なタイトルにしたんだよ。文字通りの意味を感じているね。つまりバンドとしてアップデートされた新たなサウンドって意味さ。
Q3: When long time fans looked at the artwork of “Forward in Reverse”, maybe they reminded your first record. Also, when they see the artwork of “Alter Echo”, definitely they remind your second record “Rotator”. Actually, “Rotator” was more experimental record than your first one, and “Alter Echo” is definitely more challenging album than “Forward in Reverse”. So, do you think this is a kind of successor of “Rotator” somehow?
【TIM】: Not at all. To me it is complete coincidental. Rotator is such a long time ago, and such a different record, compared to Alter Echo. It bears no resemblance. At least not in my opinion. The cover designer for Alter Echo, Paul Wilson, did, however, deliberately go for a round object, as it is a recurring thing in our artwork history.
Q3: オールドファンは “Forward in Reverse” のアートワークからファーストアルバムを連想したはずです。そして “Alter Echo” からは “Rotator” を。
実際、”Rotator” は実験性を伴ったレコードで、”Alter Echo” も実に挑戦的な作品ですよね? その2つのアルバムに関連性を感じるのですが?
【TIM】: それは全然意識していなかったよ。僕にとってその現象は全くの偶然なんだ。”Rotator” は随分前の作品で、”Alter Echo” とも全然違うアルバムだよ。似ている部分はないと思う。少なくとも僕の意見ではね。
ただ、”Alter Echo” のカバーデザイナー Paul Wilson は僕たちのアートワーク史に欠かせない、円形のオブジェクトを意図的に採用したんだよ。
Q4: When we listen to “Alter Echo”, we notice there are lot’s of synth and melotron sounds here and there. I think this is one of the big change of Dizzy Mizz Lizzy, right? What made you evolve with these instruments?
【TIM】: I’ve always been a big fan of the Mellotron and it’s haunting sound. I’ve used it a lot on my solo records, and somehow it has become a big part of my personal sound as a recording artist. So when Dizzy got back together, it felt very natural to include the mellotron a bit on the studio-recordings of the songs. There is actually Mellotron on several of the tracks on Forward In Reverse, but buried in the mix. On Alter Echo we were ready to feature the mellotron-element (and other keyboard sounds) some more, as a logical step in our progression.
Q4: “Alter Echo” に散りばめられたシンセ、メロトロンサウンドは “Alter Echo” “異なるサウンド” の象徴でしょう。今回、進化、変化の過程で鍵盤楽器にフォーカスしたのはなぜですか?
【TIM】: 僕はずっとメロトロンの幽玄なサウンドに魅了されてきたんだ。自分のソロ作品ではこれまでもよく使っていて、レコーディングアーティストとしての僕にとっていくらかはトレードマークのようになっているんだ。
だから DIZZY がまた一緒にやるとなったとき、メロトロンをスタジオレコーディングで使用するのはとても自然な流れだったわけだよ。実際、前作 “Forward in Reverse” にも何曲かメロトロンを使用した楽曲はあったんだけど、ミキシングで埋もれてしまったんだ。
“Alter Echo” では最初からメロトロンやキーボードをふんだんに使用する準備ができていたね。僕たちの進化の論理的なステップとしてね。
Q5: Also, this is really dynamic, dramatic, and even cinematic record among your discography. I know you wore Pelican T-shirts, and I feel you are close to post-rock realm with “Alter Echo”. Do you think bands like Pelican, Russian Circles, Cult of Luna were one of the inspiration of “Alter Echo”?
【TIM】: Oh yes! Since the band got back together 6-7 years ago, we’ve all been listening to SO many different bands. Most of them in the Hard rock/metal category. Pelican is a big one for me. As is Russian Circles. MONO from Japan is also a favourite. And there are so many more. Elder, Uncle Acid, YOB, Kerretta, Earth, Electric Wizard, Katatonia, Lowrider, Gojira, and I could go on. It’s so inspiring to dig deep into subgenres like Sludge, Doom, Stoner, Post-rock, prog metal, Post-metal, space rock, psychedelic, etc etc
Q5: アルバムは、DML作品の中でも飛び抜けてドラマティック、ダイナミック、そしてシネマティックでさえありますね!あなたが PELICAN の Tシャツを着ていたことを知っていますよ。
実際、ポストロックの領域に接近した作品だと感じるのですが、PELICAN, RUSSIAN CIRCLES, CULT OF LUNA といったバンドは、レコードのインスピレーションの一つとなったのでしょうか?
【TIM】: その通りだよ!6,7年前にバンドが再結成したとき、僕たちは実にさまざまに異なるバンドを聴いていたんだ。大半はハードロックとメタルの中だけどね。
そんな中でも、PELICAN は僕にとってとても大きな存在だよ。RUSSIAN CIRCLES や日本の MONO と並んで大好きなんだ。他にもたくさん好きになったバンドはいるよ。ELDER, UNCLE ACID & THE DEADBEATS, KERRETTA, EARTH, ELECTRIC WIZARD, KATATONIA, LOWRIDER, GOJIRA などなどだね。
とにかく、スラッジ、ドゥーム、ストーナー、ポストロック、プログメタル、ポストメタル、サイケデリック、スペースロックといったサブジャンルを深く知れば知るほどインスパイアされるんだ。
Q6: I feel songs of “Alter Echo” connect each other, and it’s like a one song all through whole album. Could you please tell us about the concept or lyrical themes?
【TIM】: It’s been a goal for a long time, to do an album, as in ALBUM. Not just a collection of 10-12 songs, but an album. With a beginning, a middle and an end. There is not an ongoing concept lyrically, but obviously the song Amelia, being 23 minutes long and taking up all of side 2 on the vinyl-version, is a bit more conceptual. The song has been divided into 5 parts, and everything connects with each other. The song is about this character, Amelia, who is lost in life, and reaches for the wrong people to help her back on track, only to end up in this cult. And no one can do anything about it, but to just watch her slowly disappear.
Q6: “Alter Echo” の楽曲は全て繋がっているように思えます。まるでアルバム全体で一つの楽曲のように。ここに存在するコンセプトやテーマをお話ししていただけますか?
【TIM】: サウンドのトータルコンセプトとして、一つのアルバムを制作することは長い間目標としていたんだ。ただ10~12曲を集めただけの作品じゃなくね。しっかりと序章、中盤、終幕が存在するアルバムだよ。
歌詞の部分で繋がったコンセプトはないんだけど、明らかに23分の長さで、ヴァイナルバージョンのサイド2すべてを占める “Amelia” は少しコンセプチュアルだよね。
楽曲は5つのパートに分かれていて、すべてがお互いにつながっている。 人生の道を見失ったアメリアについての歌だよ。間違った人々が彼女を導き、狂信的な状況に陥ってしまった。 もはや誰も彼女に何の手助けもできず、ただ彼女がゆっくりと消えていくのを見ていることしかできないんだ。
Q7: Final song, “Amelia” is big epic consisted with five parts. Lot’s of fans remind prog rock giant like Yes, King Crimson, Pink Floyd and Rush. Do you think “Amelia” inherits the legacy of 70’s prog?
【TIM】: In a way. On the other hand, there is no direct inspiration from these bands. But obviously we’ve all been listening to most of these band through our whole lifes, so naturally they are part of our musical DNA, along with so much more. I guess you can call that song for somewhat prog rock. As it is a Suite in 5 pieces, and bands from the early 70’s tended to do that a lot.
Q7: その “Amelia” は、5つのパートから成るビッグエピックです。当然、YES, KING CRIMSON, PINK FLOYD, RUSH といった70年代プログの巨人を思い起こすファンも多いでしょう。
“Amelia” は彼らのレガシーを受け継ぐ楽曲ですか?
【TIM】: ある意味ではね。一方で、そういったバンドたちから直接的なインスピレーションは受けていないんだ。だけど人生を通して、僕は君が挙げたようなバンドを明らかにずっと聴いてきたわけだよ。だから僕の音楽的な DNA には彼らが自然と刷り込まれているんだろうな。
ゆえに、君があの曲をプログロック的と称するのはわかる気がするね。5楽章からなる壮大な組曲は70年代初期のバンドがよくやっていた手法だからね。
Q8: Regarding Rush, Neil Peart passed away… In your early days, you were often compared with them because of three piece. What is Neil to you?
【TIM】: I have a lot of respect and recognition of the importance of Rush as a band and Neil Peart as a drummer. But it’s never been a band that I’ve listened to or connected with. None of us have.
Q8: RUSH といえば、Neal Peart が亡くなりましたね…特にバンドの初期にはトリオという共通点もあり、RUSH と比較されることも多かったと思いますが、Neil はあなたにとってどういった存在でしたか?
【TIM】: RUSH には大きなリスペクトを捧げているし、バンドとしての RUSH またドラマーとして Neil Peart の重要性もよく心得ているつもりだよ。
だけど僕にとって彼らは深く聴き込んだり、心から繋がったバンドだったことはないんだ。DML の全員がそうだね。
Q9: I really love Tim’s guitar sound in this record! It’s really organic but powerful. Did you change some gears or effect board in “Alter Echo”?
【TIM】: Thank you. I did try and experiment some more on this album. New drive pedals. More gain. More fuzz. The phaser-pedal has played a big part. More reverb. Also amps. New amps. Old amps. Lots of amps!
Q9: “Alter Echo” における、オーガニックかつパワフルな Tim のギターサウンドは素晴らしいですね!機材やエフェクトボードの変更はありましたか?
【TIM】: ありがとう。たしかに僕はこのアルバムでいくつか新たな実験を試みている。新しいドライブペダル、ゲインもファズも増やしてみたね。フェイザーペダルがとても重要な役割を果たしたよ。それにリバーブも増やしたね。アンプも新たなものから古いものまでたくさん使用したよ!
TIM’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS
MONO “NOWHERE NOW HERE”
PELICAN “NIGHTTIME STORIES”
RUSSIAN CIRCLES “BLOOD YEAR”
LOWRIDER “REFRACTIONS”
CASPIAN “ON CIRCLES”
MESSAGE FOR JAPAN
Japan is our second home. We long SO much to come back and play for our beautiful and amazing Japanese-fans. WE MISS YOU! See you on the other side of this. Stay safe!
日本は僕たちにとって第2の故郷だよ。君たち素晴らしく美しいファンのために、日本に戻ってプレイするのをとても待ち焦がれているんだ。寂しいね!この難局を乗り切って絶対にまた会おう。それまで健康でいて欲しい!
TIM CHRISTENSEN
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