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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KHEMMIS : HUNTED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KHEMMIS !!

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Modern But Traditional! Denver Based Four Piece Doomed Rock’n Roll Act, Khemmis Has Just Released One Of The Most Important Doom Record “Hunted” !!

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DISC REVIEW “HUNTED”

US デンバーの Doom Metal カルテット KHEMMIS がリリースした 2ndアルバム “Hunted” はシーンの注目を一身に集めています。アルバムは、老舗メタル誌 Decibel Magazine でアルバムオブザイヤーを獲得した他、様々な音楽誌、ウェブサイトで2016年のベストアルバムに選ばれているのです。
KHEMMIS のデビュー作 “Absolution” は MASTODON と PALLBEARER のちょうど中間に位置するようなモダンな Doom / Sludge 作品で、近年活気を得て来た Doom シーンにまた新たな才能が舞い降りたことを知らしめました。
しかし博士号を持つメンバー2人が牽引する、この知的でメタルに忠誠を誓ったバンドが同じ場所へと留まることはありませんでした。デビューフルから僅か15ヵ月で届けられた KHEMMIS の次章 “Hunted” はそのイメージを明らかに変化させていたのです。
インタビューにもあるように、遂にバンド全員がコンポジションに参加した “Haunted” はよりクラッシックロック、トラディショナルメタルの領域へと接近したレコードとなりました。全5曲、44分の作品は全てがロックの美学に捧げられています。
“Three Gates” はアルバムを象徴する楽曲です。THIN LIZZY や MOTORHEAD をモダンなスラッジサウンドで再現したかのようなリフの暴走に、美麗なツインギターハーモニーが切れ込むとそこはまさしく KHEMMIS の世界。凶暴なグロウルと共に突き進むサウンドの壁が突如として崩壊し、叙情を極めたクリーンボーカルが紡がれる刹那は奇跡的とも言えるほどロックを体現しています。
実際、バンドの要でギター/ボーカル Phil Pendergast と Ben Hutcherson のコンビネーションには目を見張るものがありますね。2人の繊細なまでにレイヤーされたギターハーモニーは WISHBORN ASH を想起させるほど美しく、バンドの顔となっています。加えて、Ben のダーティーなボーカルと Phil のクリスタルのようにナーバスな歌声のコントラストは、インタビューで述べているように”モダンなレンズ”を通した Doomed Rock’n Roll を体現する重要な鍵だと言えるでしょう。
さらに叙情味を加速させた “Beyond The Door” では、JUDAS PRIEST のゴージャスなハーモニーアルペジオ、そして IRON MAIDEN の3連シャッフルが Doom という枠組みの中で効果的に使用されています。故に楽曲はテンポや拍子をプログレッシブと言えるほど頻繁に変えて行きますが、スロウ一辺倒でなく、ダイナミズムを追求するその姿勢には、哀愁に満ちたメロディーとも相俟って北欧の巨人 CANDLEMASS を思い起こさずにはいられませんね。
アルバムを締めくくるタイトルトラック “Hunted” は13分の壮大なエピックです。BARONESS をイメージさせるローチューンドのファズギターで MERCYFUL FATE を再現したとも言えるドラマティックな前半部分に魅了されたリスナーは、後半の荘厳でアトモスフェリックなアコースティックパートからトレモロリフまで導入したモダンで壮大、感動的な大円団に驚愕し喝采を捧げることでしょう。そこには YOB や NEUROSIS をしっかりと通過し咀嚼した、2010年代のバンドだからこそ持つ多様性、強みがありますね。
KHEMMIS は勿論、よりアトモスフェリックスかつサバス、70’s Prog に接近した PALLBEARER、そして煌びやかな 80’s Metal と現代的な Black Metal を融合させた SUMERLANDS などが話題となっているように、確かにレトロリバイバルの波はメタルシーンにも押し寄せています。ただ焼き直すだけではなく、各バンドとも”モダンなレンズを通して音楽を見ていることが重要で、興味深いレトロフューチャーなサウンドはこれからさらに拡がりを見せていくことでしょう。
今回弊誌では KHEMMIS にインタビューを行うことが出来ました。日本人にこそアピールする素晴らしいメロディーを持つバンドです。どうぞ!!

KHEMMIS “HUNTED” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHITECHAPEL : MARK OF THE BLADE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ZACH HOUSEHOLDER OF WHITECHAPEL !!

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Pioneer of US Deathcore, Whitechapel Opens Up The New Chapter With “Mark Of The Blade”!! Don’t Miss Their First Japan Tour In April!!

DISC REVIEW “MARK OF THE BLADE”

US Deathcore の帝王 WHITECHAPEL が新たな領域へと踏み出した新作 “Mark of the Blade” をリリースしました!!10年に渡ってその王冠を守り続けたパイオニアが舵を切ったその先には、メタルの革新があるはずです。
エクストリームメタルシーンにおいて、狂気のレンジと存在感を放つ Phil Bozeman のガテラルが群を抜いていることを否定するファンはいないでしょう。そして彼が今回新たに証明したのが、そのクリーンボーカルの実力でした。
WHITECHAPEL にとって、”Mark of the Blade” は1枚のアルバム以上の意味を持つ、新境地へと赴く強いステイトメントになっています。間違いなく、Deathcore は近年で最も台頭し人気を博すモダンメタルの枝葉ですが、それ故にシーンが飽和気味な状態であることも事実。このタイミングで、WHITECHAPEL, そして SUICIDE SILENCE というジャンルの二大巨頭がクリーンボーカルを導入したことは決して偶然ではないはずです。
アルバムの4曲目に位置する “Bring Me Home” は WHITECHAPEL の可能性をさらに拡げる楽曲となりました。クリーンボイスをメインに据えたオルタナティブでミステリアスなムードの5分間はバンドの知性を物語り、作品に素晴らしいアクセントを生んでいます。TOOL や STONE SOUR、さらには ALICE IN CHAINS を想起するファンも多いでしょう。勿論、アルバムを支配するのは Phil の並外れたデスボイスですが、彼の Maynard James Keenan, Layne Staley の域に達したダークでメロウ、エモーショナルなクリーンはまさにバンドの卓越した新しい顔となっていますね。
ただ、勿論彼らのチャレンジには賛否両論があるはずです。クリーンに加えて、Phil のボーカルはタイトルトラック “Mark of the Blade” が象徴するように、凶悪なだけではなくどこかキャッチーさを伴う場面が増えており、CANNIBAL CORPSE が代表するように Death Metal シーンにはより単純化したグロウルへとシフトする風潮があるとは言え、彼らのエクストリームサイドを愛するファンにはセルアウトと捉えられる可能性も孕んでいますね。
“Venomous” はそういったダイ・ハードなファンの溜飲を下げる一曲でしょう。セルフタイトルと前作 “Our Endless War” がヒントとなっていたように、トリプルギターを生かしたグルーヴや Djenty なリフワーク、Nu Metal 的フックにメロディアスなクリーンギターやピアノの導入など、プログサイドにさらに接近したアルバムで、モッシュピットの突進力で突き進むこの曲は WHITECHAPEL がまだまだ危険な存在感であることを証明しています。
そして Deathcore の矜持を保ちながらも、クリーンボイスとアコースティックギター、オリエンタルなフレーズでバンドの未来を感じさせるアルバムクローサー “Decennium” は終焉に相応しく、アルバムを総括するフックに満ちた素晴らしいコンクルージョンだと感じました。
今回弊誌では、ギタリスト Zach Householder に短いですがインタビューを行うことが出来ました。来年の4月には Evoken de Valhall Production の招聘で待望の初来日も決定しています!”Deathcore は退屈だ”という衝撃の発言も飛び出しました。どうぞ!!

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WHITECHAPEL “MARK OF THE BLADE” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WATCHTOWER : CONCEPTS OF MATH: BOOK ONE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RON JARZOMBEK OF WATCHTOWER !!

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Finally, Legendary Prog/Math Metal Titan, WATCHTOWER Returns For The First Time In 27 Years With Amazing New EP “Concepts of Math: Book One” !!

DISC REVIEW “CONCEPTS OF MATH: BOOK ONE”

メタルに数学的要素を取り込んだ、インテレクチュアルな Math-Metal のパイオニア、WATCHTOWER が何と27年ぶりに新作 EP “Concepts of Math: Book One” をリリースしました!!バンドが1990年から制作を続けている3rdアルバム “Mathematics” から5曲を収録し、EPとした作品は、Ron がインタビューでも語っているように、確かに完成品ではありません。しかし長く長く待たせたファンを満足、歓喜させるだけの高いクオリティー、彼らならではのオリジナリティを充分に備えている作品です。
メタルが初めて音楽的な拡散を経験した80年代後期、WATCHTOWER は FATES WARNING, DREAM THEATER, DEATH, CYNIC などと共に Heavy Metal という音楽のフレキシブルな部分にフォーカスし、その豊かな可能性を実証して見せました。脈々と受け継がれる Prog-Metal の源流はここにあります。
中でも WATCHTOWER は、勇壮、過激、ヘヴィー、メロディアスといったエモーションの領域よりも、数学的な考え方でメタルにアプローチを行った革新的な集団なのです。
インタビューにもあるように、”音楽”は一般的には感情的な領域で語られることが多いと思いますが、音の配列、選択、拍子、速度、リズムなど実は”数”と数学が大部分を占めるアートです。勿論、そこに加わるプラスαがリスナーを動かすことも事実ですが、例えば偉大な TOOL や MASTODON を “Math-Metal” と呼ぶならば、数学性を突き詰めた WATCHTOWER は現代の重要バンドたちの始祖的存在であるとも言えるでしょう。そしてそれは、当然 MESHUGGAH から連なる Djent ムーブメントにも通じます。
長い年月を超えて遂にリリースされた “Concepts of Math: Book One” には、タイトルにもあるように、勿論その複雑さ、数学性を維持しながらも、よりタイトで、ほんの少しの聴きやすさと多彩なフックが加味された出色の楽曲が並びます。あの狂気のエナジーはそのままに、成熟したバンドの現在を表しているようにも感じます。少なくとも過去作の、聴き手を頭ごなしに拒むかのような無慈悲な感触はありませんね。
アルバムオープナー “M Theory Overture” ではまさに WATCHTOWER の真髄を聴くことが出来ます。バンドのコアメンバー、Ron Jarzombek, Doug Keyser, Rick Colaluca のトリオが繰り出す Instru-metal は圧巻の一言。SPASTIC INK や BLOTTED SCIENCE でも披露している、Ron 独特のリードともリフともつかないような複雑怪奇で無機質とも言えるギターワークは、2ndアルバムからの参加とは言えやはりバンドの顔ですね。
そのピッキングの正確性、選択する音の意外性、奇抜なタイム感、そして独特のギターハーモニーはまさに唯一無二で、あの DREAM THEATER の John Petrucci や Mike Portnoy が強く敬愛し、CYNIC の Sean Malone やマーティーさんに必要とされたのも頷けます。
インタビューで Ron はその豊富なアイデアについて”音楽とは関係のない”数字やパターンから得ることを明かしていますが、話に上がった以外にも、既存のアニメにあわせて楽曲を作ってみたり、モデム回線の音を再現してみたりと、常人には計り知れないような挑戦を行ってきており、現代の Frank Zappa と言えるかもしれませんね。
“Arguments Against Design” でもその特異な Ron のギタープレイに対する、ベーシスト Doug の印象的なカウンターメロディー、シンコペーションの嵐にも顔色1つ変えず、真っ向から弦楽器隊に挑む正確無比な Rick のドラムスと三位一体でインテレクチュアルなダイナミズムが生まれていますが、インストとしても充分に成立するように思えるスリリングな楽曲に謎のボーカルを加えるのが WATCHTOWER’S WAY。
いかにも Shrapnel のレコードで10万円くらいで雇われて歌っていそうな Alan Tecchio のボーカルには正直あまり期待はしていませんでしたが、以前よりは確実に上手くなっていますし、キャッチーでフックのあるメロディーも散見出来ますし、意外に引き出しも多く、何よりほぼ絶滅してしまったグロウルもハイトーンも使用しない彼のようなパワーボーカルが1周回って新しく感じられ、さらにあのインテレクチュアルトリオの演奏に対するミスマッチ具合が2周回って新しく感じられ、悪くないようにも思えました。本当に新鮮で悪くないです。本当です。
とにかく、極限までプログレッシブな10分の大曲 “Mathematica Calculis” で幕を閉じるまで、とても30分足らずのランニングタイムとは思えないほど濃厚でエキサイティングな数学の授業は続きます。
今回弊誌では Ron Jarzombek にインタビューを行うことが出来ました。SPASTIC INK で共演も果たした兄 Bobby Jarzombek は RIOT や FATES WARNING で活躍する名手。さらに BLOTTED SCIENCE ではこちらもシーンの有名人 CANNIBAL CORPSE の奇才 Alex Webstar とも共演しています。ここまで Ron に迫ったインタビューは世界初だと自負しています。どうぞ!!

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WATCHTOWER “CONCEPT OF MATH: BOOK ONE” : 9.0/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FATES WARNING : THEORIES OF FLIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RAY ALDER OF FATES WARNING !!

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The Pioneer Of Prog-Metal, Fates Warning Returns With Modern & Emotional New Records “Theories Of Flight !!

DISC REVIEW “THEORIES OF FLIGHT”

Prog-Metal のパイオニアとして歴史に名を刻む、US 出身の4人組 FATES WARNING が新たな名作 “Theories of Flight” をリリースしました!!1986年に “Awaken The Guardian” でジャンルを確立して以降、常に進化を続けてきたバンドの凄みがここにはあります。
2004年からしばしの休息の後、前作 “Darkness in a Different Light” で強靭な新ラインナップと共に素晴らしい帰還を遂げた FATES WARNING。”Theories of Flight” でも “Darkness” で提示した、経験とモダンの融合は見事に生きています。インタビューにもあるように、Jens Bogren を起用したことからも、彼らの現役感、モダンなサウンドに対する拘りが伝わりますね。
実際、アルバムは “From The Rooftops” の RIVERSIDE を思わせるエモーショナルなギター、ボーカルと、アトモスフェリックで空間を意識した現代的なサウンドで幕を開けますし、”SOS” で強調されている陰鬱で、ダイナミズムと浮遊感を感じさせるオルタナティブなアプローチはモダンプログの巨匠 Steven Wilson が PORCUPINE TREE で行っていたチャレンジと通じます。
DREAM THEATER や QUEENSRYCHE といった Prog-Metal の先駆者たちが、その最新作でどちらかと言えばコンサバティブで “Back-to-Roots” な音楽を提示している事実を考慮すれば、FATES WARNING が実に挑戦的でタフなバンドであることが伝わりますね。
また、勿論、アルバムは彼らのトレードマークである、テクニカルなパッセージ、タイムチェンジ、スキルフルな演奏でも満たされていますが、それは作品を彩る一要素でしかないような気がします。中心に据えられたのはあくまでも、”Seven Stars” “White Flag” に象徴されるような、メランコリックでメロディアスなボーカルライン、耳を惹くフック、そしてキャッチーなコーラス。そしてその部分こそ、この偉大なバンドが新ラインナップを得て遂に達成した課題なのかも知れませんね。
アルバムのハイライトは、元々は作品のタイトルだったという、”The Ghost of Home” でしょう。Jim Matheos の手による10分間の大曲は、彼の幼少期の体験を元にしています。9年間で8回の転校を経験し、”Home” と呼べる場所の無かった Jim のノスタルジアとリグレットが楽曲に込められているのです。
ラジオのノイズに導かれ、Ray の優しいボーカルと Jim の暖かなアルペジオが過去への扉を緩やかに開くも雰囲気は一転。奇数拍子をタイトにグルーヴィーに刻むベテラン Joey Vera と Bobby Jarzombek の際立った仕事がアグレッシブなヘヴィネスを創出すると、バンドはリスナーたちをもそれぞれの過去へと連れ去り、それぞれの “Ghost” と対峙させるのです。ノスタルジックなタイトルトラックをポストスクリプトとしてアルバムも締めくくる FATES WARNING 史上最も野心的な1曲は、波打つような音楽のバラエティーと豊かなエモーションをリスナーへと届けるでしょう。
今回弊誌では、さらに表現力を増したようにも思えるボーカル Ray Alder にインタビューを行うことが出来ました。バンドは今年、名作 “Awaken The Guardian” リリース時のラインナップでリユニオンショーも行っています。どうぞ!!

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FATES WARNING “THEORIES OF FLIGHT” 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBROSA : FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REBECCA VERNON OF SUBROSA !!

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Minnesota Based Dramatic-Doom Quartet, SubRosa Has Just Released Beautiful, Magnificent Masterpiece “For This We Fought the Battle of Ages”!!

DISC REVIEW “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES”

ソルトレイクシティの Dramatic-Doom マスター、SubRosa が自身の最高到達点 “For This We Fought the Battle of Ages” をリリースしました!!一世紀も前に書かれた SF ディストピア小説にインスピレーションを得て制作されたアルバムは、バンドのアイデンティティーである Dramatic-Doom のスケールを一層高めた、様々な音楽ファンに愛されるマイルストーンとなるでしょう。
SubRosa は Doom Metal バンドには珍しく、女性ボーカル Rebecca Vernon のミスティックな歌唱を中心に据えています。加えて、Sarah Pendleton と Kim Pack のダブルヴァイオリンとアディショナルボーカルが唯一無二の美麗な Doom を創出しているのです。
ALCEST や DEAFHEAVEN を見れば分かる通り、近年、メタルに “Beauty”, “Atmosphere” を持ち込む、才気溢れるバンドが注目を集め、シーンの限界を押し広げていますが、SubRosa のユニークなラインナップが生み出す手法、冒険、マジックは中でも際立っていると言えるでしょう。
インタビューにもある通り、”For This We Fought the Battle of Ages” はロシアの反体制活動家 Yevgeny Zamayatin の著書 “We” に触発された作品です。当時のソヴィエト初期社会主義時代の、閉塞された状況を描き揶揄したディストピア小説は、しかし、政府による管理、監視、支配という、実は現代社会が抱える問題に読み解くことも可能です。SubRosa はその命題を、人生、死、自由、愛といったテーマを与えた楽曲を通して、エピカルに、ドラマティックに、そしてドゥーミーに描いているのです。
アルバムオープナー、15分半のエピック、”Despair Is a Siren” は深化したバンドを象徴するような1曲です。Doom という特性上、勿論、長くなりがちな楽曲ですが、しっかりとストーリーやシーンを描写する彼女たちにとって、この長さは意図してデザインされた SubRosa’s Way。
静寂が支配するイントロとラウドで実験的なパートの対比が生むボリューム、テンポのダイナミクス、見事にレイヤーされたトリプルボーカルの魔術、そしてデュエットの如くメロディーとカウンターメロディーを行き来する、複雑で美麗なボーカルとヴァイオリン。バンドのトレードマークとも言える要素が、寄せてはは引く波のように揺らぎつつ、リスナーへと届きます。同時に、六拍子とリズムにフォーカスしたディストーションギターが交わり流れ出すカオスの潮流は、SubRosa が NEUROSIS 以来脈々と繋がる Experimental Metal の落胤であることを主張していますね。
アルバムの中心に据えられた “Black Majesty” も同様に15分を超える大曲。東洋的とも感じられるエスニックでエモーショナルなヴァイオリンが先導する、プログレッシブで極上の展開美を誇るこのエピックにおいて、Rebecca は “Isn’t it beautiful?” とリスナーに問いかけます。その1節、歌声からは “Doom Metal だけど美しいでしょ?” という自負心、アイデンティティーが強烈に伝わりますね。
後半の BLACK SABBATH meets GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR とでも形容したくなるパートでは、リズム隊を中心に、群を抜いたバンドアンサンブルを聴かせることも記して置くべきでしょう。
また、”Il Cappio” では Rebecca の多彩な一面を覗かせます。バンジョーと共に紡がれるリリックは何とイタリア語。囁くようにスイートなトーンで歌う新しいアプローチにより、陰影を帯びた切なくもフォーキッシュな楽曲は、続く “Killing Rapture” の完璧なプレリュードとして機能していると共に、作品の素晴らしいアクセントとして色を添えています。
ドラマティックでプログレッシブ。”美”にとことんまで拘り、”戦い”抜いた野心的な “For This We Fought the Battle of Ages” は、まさにモダンメタル、Experimental Metal, Post-Doom / Sludge の最新型、金字塔として、凛然と輝く名作に仕上がりました。今回弊誌では、バンドの創立メンバーで、ボーカル/ギター、無数の声を使い分ける才女 Rebecca Vernon にインタビューを行うことが出来ました。日本初取材です!どうぞ!!

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SUBROSA “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KANSAS : THE PRELUDE IMPLICIT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PHIL EHART OF KANSAS !!

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Legend Is Back!! The Throne Of US Prog Rock, Kansas Has Just Released Their New Masterpiece “The Prelude Implicit” For The First Time In 16 Years !!

DISC REVIEW “THE PRELUDE IMPLICIT”

US Progressive Hard の始祖にして、アメリカにプログロックを根付かせた英傑 KANSAS が何と2000年以来16年振りの新作 “The Prelude Implicit” をリリースしました!!
オリジナルメンバー、シンガー、メインソングライター、つまりはバンドの顔であった Steve Walsh の脱退と、3人の新メンバー加入を経てリリースされた作品は、新たな生命を得たかのような瑞々しさと自信に満ちています。
新しいフロントマン/キーボーディスト、Ronnie Platt の歌唱は、間違いなく作品に強い生命力を与えています。映画 “Rock Star” のように、全く無名だった Lombard のカバーバンドのシンガーは、突如、自身も敬愛するプログレジェンド KANSAS のフロントマンに抜擢されました。そして、JOURNY の Arnel Pineda のように、そのチャンスを見事ものにしたのです。
「僕のゴールは Steve の代わりになることじゃないよ。それは誰にも不可能だからね。だけど、KANSAS の品位を保っていく責任はあるんだよ。」と語る彼のパフォーマンスは、Steve へのリスペクトを提示しながらも、若さと推進力を伴い実に魅力的。
特に、”The Unsung Heroes” での歌唱は傑出しています。インタビューでも語ってくれたように、国のために死んで行った戦士たちへの鎮魂歌は、普遍的なアメリカンシャッフルを、中間部のギター/ヴァイオリンのアンサンブルが素晴らしいとは言え、ほぼ歌唱のみで名曲の域まで高めているという点において、JOURNY の “Lovin’, Touchin’, Squeezin'” と通じるものを感じます。発する極上のエモーションと、凄まじいレンジのハイノートは Walsh の代役以上の個性を間違いなく発揮していますね。
新ギタリスト Zak Rizvi の貢献にも触れておくべきでしょう。共同プロデューサー、共同ライターとしてもクレジットされた彼の才能は、今回インタビューを受けていただいた Phil と2人きりとなったオリジナルメンバーで、長年バンドを支えてきた隻眼のギタリスト Rich Williams をも充分に刺激したようで、”The Prelude Implicit” では、”Masque”, “Leftoverture” 期のようなスリリングなリフを存分に味わうことが出来ますね。
“Visibility Zero” にはまさにその成果が結実しており、こちらも新メンバー、David Manion がもたらすプロギーなハモンドサウンドとギター、そして勿論 KANSAS を象徴する楽器、ヴァイオリンのトリプルデュエルが無上のスリルを生み、70年代中期の KANSAS をイメージさせつつ、よりヘヴィーな現在のサウンドを提示しています。
さらに、プログレッシブという観点から見れば、8分の大曲 “The Voyage of Eight Eighteen” は KANSAS のプログサイドを象徴する楽曲です。多数のマルチプレイヤーが存在することで可能になる濃厚かつ重厚なサウンド、プログロックらしい変拍子やキメの美学、そしてかつてのユーロプログに対するUSからの憧れが、ヴァイオリンを使用したフォーキッシュなメロディーとして表層化した結果、あの “The Pinnacle” を超えるような新たな名曲として仕上がりました。現役プログロックバンドとしての矜持を見事に示したと言えますね。
勿論、KANSAS と言えば、”Carry On Wayward Son” や “Dust In the Wind” のような POP センスも重要な1面ですが、今作はボーカルメロディーがアルバムを通してカラフルかつ非常に充実しており、コンパクトな “Summer” はキャッチー極まりないメロディックハードソングですし、”Crowded Isolation” の哀愁も深く胸に染みます。
傑作 “Leftoverture” 40周年に、堂々たる王者の帰還です。Anderson / Stolt の “Invention of Knowledge” と双璧を成す、今年の Masterpiece of Prog Rock だと信じます。今回弊誌では、ダイナミックなドラミングで作品のエンジンとなった、オリジナルメンバー Phil Ehart にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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KANSAS “THE PRELUDE IMPLICIT” : 10/10

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