EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RAFAL BOWMAN OF CHAOS OVER COSMOS !!
“As a Musician, I Am Definitely In The “More is More” Camp – For Me, It’s a More Exciting Approach, And It Appeals To Me More In Terms Of The Energy It Gives, The Emotions It Evokes.”
DISC REVIEW “A DREAM IF EVER THERE WAS ONE”
「ミュージシャンとしての僕は、間違いなく “More is More”派だよね。 僕にとってはそれが、よりエキサイティングなアプローチだし、エネルギーや感情を呼び起こすという点で、より魅力的なんだ。時々、テクニカルな演奏には感情が欠けているという意見を耳にすることがあるけど、僕はそうした意見には強く反対だよ。もっと広い視野で、ベートーヴェンやショパンの曲の音符の多さを聴いてみてほしいね!”More is More” タイプの音楽は、時に難易度が高くなるけど、それはそれでいいことだと僕は思う。だからこそ、時間をかけて聴く価値があるし、注意深く何度も聴けば新たな発見がある」
“Ridiculous”。近年、海外のメタル批評においてよく使用される言葉です。直訳すると、馬鹿げたとか馬鹿らしいでしょうか。しかし、ほとんどの場合、彼らの “リディキュラス” とは褒め言葉で、むしろ絶賛です。つまりそこには、常識を超えた、今までになかった、未曾有のという付加価値が込められているのです。
ポーランドのテクニカル・メタル CHAOS OVER COSMOS も、そうした “リディキュラス” なバンドの一つ。音符と音符の間の空白をすべて埋め尽くす、宇宙空間の無酸素状態にも似たテクニックの混沌。曲の中にどれだけの音符を詰め込むことができるのか?そんなギターの宇宙実験室からリフは無限に湧き出します。ペトルーシ、ロメオ、アバシ、ホールズワース…そう、インタビューに答えてくれた Rafał Bowman のギタリズムは、確実にそうした “More is More” 派においても新世代の嗎を感じさせてくれます。
ギターから噴出する、宇宙船が天体を飛び交うイメージや、ホバークラフトがブレードランナーのような超巨大都市を疾走するイメージが、シンセサイザーの大海に溺れることでSFメタルの最新形態をアップデート。ここにあるのは、例えば ARCHSPIRE や LORNA SHORE のような、”リディキュラス” なモダン・メタル。
「インスタントな文化やSNSは僕には絶対に合わない。君が言うような30秒のクリップは知っているし、時には面白いものでさえある。だけどね、僕の知る限り、切り抜き動画は複雑な形の全編の作品、特にプログレッシブなもの、多くの異なるパートで構成され、思慮深く、技術的に高度なものには決してかなわないし、近づくことさえできないよ。なぜなら、まだ世界には、複雑な形式を求めるリスナーや、曲だけでなくアルバム全般を注意深く聴きたいリスナーが常に存在することを知っているからね」
実は、Rafał のギター・テクニックが圧倒的すぎることで、海外の掲示板などではかつてのイングヴェイよろしく、 “フェイクでは?” “スピードを下げて録音しているのでは?” という疑念まで生じています。それは、このご時世に Rafał が演奏動画をアップしないことにも起因しています。
ただし、Rafał が SNS や切り取り動画と距離を置いているのは、そうした “インスタント” な世界が肌に合わないから。動画を撮り、SNSにアップし、いいねをもらい、その場限りの無意味なやりとりを交わす。そんな時間こそが、Rafał にとっては悪い意味での “リディキュラス” そのもの。それよりも彼は、テクニックと創造性に満ちた、昔ながらの壮大な “プログ・メタル”、その複雑でしかし好奇心に溢れた宇宙を探索したいと願うのです。
今回弊誌では、Rafał Bowman にインタビューを行うことができました。「僕は音楽以外のインスピレーションも重要視しているんだ。だから、村上春樹は僕にとって重要な作家なんだよ。彼はゲームやアニメ、SFとは全く関係ないけれど、彼の美学や作品から喚起される感情は僕の心に強く響くんだ」どうぞ!!
CHAOS OVER COSMOS “A DREAM IF EVER THERE WAS ONE” : 9.9/10
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