NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NOSPUN : OPUS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOSPUN !!

“The Truth Is That We Write Prog Music Because It’s What We Love. Basically We Are Writing Songs That We Want To Hear.”

DISC REVIEW “OPUS”

「10代の頃に DREAM THEATER を聴きはじめたんだけど、彼らの音楽はプログレッシブ・ミュージックを作り始めるという僕たちの決断に間違いなく影響を与えたんだ。だからこそ、自分たちの楽器を使いこなすために本当に時間をかけなければ、彼らのような音楽は作れないと思っていた。何時間も、何時間も練習して、今に至るんだよ!」
SNSやストリーミングの伸長でインスタントになった音楽世界。さらにAIまでもが音楽を生み出し始め、すべてが “ワン・クリック、ワン・セカンド” を要求される現代の音楽世界において、プログレッシブ・ミュージックは、主流とは真逆の異端です。長時間の練習、長い産みの苦しみを経ることでしか誕生し得ない、複雑で知的な音楽は今や風前の灯なのかもしれません。
「僕たちがプログを書くのは、自分たちが好きだからという部分が大きいね。だから基本的には、自分たちが聴きたい音楽を書いているんだ。そして、このスタイルが好きな人が他にもいることを期待して、想定して、その曲を世に送り出す。例え誰にも聴いてもらえなくても、僕たちはプログをやるだろう。だからこそ、それを楽しんでくれる人がいるというのは、本当にうれしいことなんだ!」
しかし、だからこそ、現代でプログレッシブ・ミュージックを綴る音楽家には本物の情熱、本物の才能が存在します。苦労のわりにまったくあわない報酬や名声。その差額を埋めるのは “好き” という気持ちしかありません。アメリカに登場した NOSPUN は、自分の愛する音楽を徹底的に突き詰めながら、プログの延命措置に十分すぎる電気ショックをお見舞いしました。
「予想外のことをやってみようというバンドとしての意欲。メタル・バンドが曲の途中にポルカ・セクションを入れるのは普通じゃないけど、僕らにとってしっくりくるなら、やってみたいんだよね。”Earwyrm” のスキャット・セクションは、実はスタジオでふざけていて、そのまま使おうと決めただけなんだ」
明らかに、NOSPUN の音楽は DREAM THEATER と SYMPHONY X、つまりプログ・メタル二大巨頭の遺伝子を平等に受け継いでいます。例えば、”Change of Seasons” で唸りを上げる Russell Allen のような “夢の共闘”。それを体験できる機会は、実はこれまでほとんどなかったと言えます。なぜなら、多くの後続たちは巨頭のどちらかに寄っていたから。その点、NOSPUN の旋律と重さ、テクニックとカタルシス、伝統とモダンのバランスは実に優れていて、HAKEN のやり方とつながる部分も見え隠れします。
一方で、NOSPUN はシリアスなムードが支配するプログ世界に笑顔をもたらし、その意外性をトレードマークとしていきます。突然のポルカ、突然のディスコ、突然のスキャット。彼らの目指す “予想外” は、クリシェと化したプログ・メタルの定型に風穴を開け、リスナーに新鮮な驚きを届けます。そう、彼らはそもそも、スプーンをないものだと思いたいのです。
用意された物語も、この “Opus” に相応しいもの。”若い作曲家が両親や他の入居者たちと下宿している。傑作を作曲するという破滅的な強迫観念が、彼と世界や周囲の人々とのつながりを断ち切ってしまう。ある日下宿人が殺されているのが発見される。徐々に他の入居者も姿を消し始め、ついには彼はこの家にひとり閉じ込められる。彼を取り巻く宇宙は崩壊し、残されたのは彼と彼の傑作、そして家だけとなる。そのすべてがひとつの球体の中に閉じ込められ、孤立した空っぽの宇宙となる。そして彼の前に見覚えのある目が現れ、犠牲を払わなければならなくなる” 彼らの “傑作” は世界に評価されるのでしょうか?それとも、小さな球体に閉じ込められたままなのでしょうか?
今回弊誌では、NOSPUN にインタビューを行うことができました。「映画 “マトリックス” の中で僕らが好きなシーンのひとつに、ネオが予言者のもとを訪れるシーンがある。そこには小さな修道僧の子供がいて、心でスプーンを曲げているんだ。ネオがスプーンを曲げようとすると、その子供が “スプーンを曲げようとするのではなく、スプーンなど存在しないという真実を悟るんだ” という意味のことを言うんだよ。そこで僕たちは、その “No Spoon” の部分をユニークな綴りにして、ネット上で簡単に見つけられるようにしたんだ」 どうぞ!!

NOSPUN “OPUS” : 10/10

INTERVIEW WITH NOSPUN

Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【NOSPUN】: We each came from unique musical backgrounds. Paul and James listened to a lot of classic rock, while Cole was more influenced by 80’s pop acts. But we all came together when we developed a love for Prog Metal in our teens.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【NOSPUN】: 僕たちはそれぞれユニークな音楽的背景を持って育ったね。Paul と James はクラシック・ロックをよく聴いていたし、Cole は80年代のポップ・アクトに影響を受けていた。でも、10代でプログ・メタルが好きになったとき、僕ら全員がひとつになったんだ。

Q2: What’s the meaning behind your band name Nospun?

【NOSPUN】: One of our favorite scenes from The Matrix is the scene when Neo visits the Oracle, and there’s a little monk kid that is bending a spoon with his mind. When Neo tries to bend the spoon, the kid says something like “Don’t try to bend the spoon, instead try realizing the truth, that there is no spoon.” So we took the “No Spoon” part of that and spelled it in a unique way so that it could be easily found online.

Q2: バンド名 “Nospun” にはどんな意味が込められているのですか?

【NOSPUN】: 映画 “マトリックス” の中で僕らが好きなシーンのひとつに、ネオが予言者のもとを訪れるシーンがある。そこには小さな修道僧の子供がいて、心でスプーンを曲げているんだ。ネオがスプーンを曲げようとすると、その子供が “スプーンを曲げようとするのではなく、スプーンなど存在しないという真実を悟るんだ” という意味のことを言うんだよ。そこで僕たちは、その “No Spoon” の部分をユニークな綴りにして、ネット上で簡単に見つけられるようにしたんだ。

Q3: You guys have really great technique! What made you start to play your instrument? Who was your musical hero?

【NOSPUN】: We’ve each been inspired by a variety of different musicians, but probably the most influential band common to all four of us is Dream Theater. We listened to them in our teens and their music definitely influenced our decision to start making progressive music. And we knew we couldn’t make that kind of music without really putting in the time to gain proficiency with our instruments. Many many hours of practice later, here we are!

Q3: それにしても、あなたたちのテクニックは本当に素晴らしいですね!楽器を始めたきっかけや、当時のヒーローを教えていただけますか?

【NOSPUN】: 僕たちはそれぞれ、様々なミュージシャンから影響を受けてきたけど、おそらく4人に共通して最も影響を受けたバンドは DREAM THEATER だと思う。
僕たちは10代の頃に彼らを聴きはじめたんだけど、彼らの音楽はプログレッシブ・ミュージックを作り始めるという僕たちの決断に間違いなく影響を与えたんだ。だからこそ、自分たちの楽器を使いこなすために本当に時間をかけなければ、彼らのような音楽は作れないと思っていた。何時間も、何時間も練習して、今に至るんだよ!

Q4: “Opus” is a really great album! It is clearly outstanding among recent prog-metal releases. The heroes of prog-metal are Dream Theater and Symphony X. There are bands that have inherited the best aspects of one or the other, but you guys seem to have inherited the best of both. Would you agree?

【NOSPUN】: We’re flattered by the comparison! We have had appreciation for their respective songwriting styles for a long time, so we have no objection to the idea that our style is reminiscent of theirs.

Q4: “Opus” は本当に素晴らしいアルバムですね!最近リリースされたプログ・メタルの中では、明らかに傑出していますよ。プログ・メタルの二大ヒーローといえば、DREAM THEATER と SYMPHONY X ですが、どちらか片方の良い面を受け継いでいるバンドならありますが、あなた方は両方の良い面を受け継いでいるように思えます。

【NOSPUN】: 比較されて光栄だよ!僕たちは長い間、両バンドそれぞれのソングライティング・スタイルを高く評価してきたから、僕たちのスタイルが彼らを彷彿とさせるという意見に異論はないよ。

Q5: But, of course, that’s not all. The album also incorporates modern prog-metal influences such as Haken, Between the Buried and Me, Periphery, and Djent, as well as some Queen-esque chorus and scat changes. Is such musical diversity a result of the individuality of each member?

【NOSPUN】: That diversity definitely comes from each member’s individuality, but also just our willingness to try something unexpected. It’s not the norm for a metal band to throw a polka section in the middle of a song, but if it feels right to us we’re going to do it. The scat section in “Earwyrm” was actually just us goofing off in the studio and deciding to keep it. The same is true for the off-kilter guitar solo in the second half of “Within the Realm of Possibility”, James was just trying to be funny with guitar sounds and it wound up on the record.

Q5: ただし、もちろんそれだけではありません。このアルバムには、HAKEN, BETWEEN THE BURIED AND ME, PERIPHERY といったモダン・プログメタルや Djent からの影響も取り入れられていますし、QUEEN 風のコーラスやスキャットの変化球もありますね。このような音楽的多様性は、各メンバーの個性によるものなのでしょうか?

【NOSPUN】: その多様性は、間違いなく各メンバーの個性によるものだけど、それだけでなく、予想外のことをやってみようというバンドとしての意欲によるものでもあるんだ。メタル・バンドが曲の途中にポルカ・セクションを入れるのは普通じゃないけど、僕らにとってしっくりくるなら、やってみたいんだよね。
“Earwyrm” のスキャット・セクションは、実はスタジオでふざけていて、そのまま使おうと決めただけなんだ。”Within the Realm of Possibility” の後半にある変則的なギター・ソロも同じで、James はただギターの音で笑いを取ろうとしていて、それがレコードに収録されたんだよ。

Q6: I think “Opus” is a concept work with a story, but when you look at the title and artwork, it seems like it’s a metaphor for the history and future of humanity as a story about a family, How about that?

【NOSPUN】: What is funny to us is how the album was written to be a story first, but over time many different metaphors and allegories in the story became apparent to us. Themes of obsession and failure are more obvious, but also the melancholy of having to pass on your work to someone else, having your passion for your art becoming something more mechanical than self-expressive… These are just a couple that we thought about some time after writing the record. Listeners seem to be finding their own personal meanings in it too, and we encourage that.

Q6: “Opus” はタイトルやアートワークを見ると、家族の物語の中で人類の歴史と未来を暗喩しているように思えます。

【NOSPUN】: 僕たちにとって面白いのは、このアルバムはまず一つの物語として書かれたのだけど、時間が経つにつれて、物語の中のさまざまな隠喩や寓意が明らかになってきたことなんだ。
強迫観念や挫折というテーマはより明白だけど、自分の作品を誰かに譲らなければならない憂鬱、自分の芸術への情熱が自己表現よりも機械的なものになってしまうこと……これらは、レコードを書いた後しばらくしてから考えたことだった。リスナーもこのアルバムに自分自身の個人的な意味を見出しているようだし、僕たちもそれを後押ししているよ。

Q7: Speaking of prog and metal, the world of fantasy is the main focus, and many people use it as a place to escape from the harsh reality of the real world. Japan is a mecca for fantasy such as games and anime, are you interested in Japanese culture?

【NOSPUN】: Definitely! A couple of us do regularly consume parts of Japanese culture, or at least what of it is available to us here in the United States. Cole and Phil particularly really enjoy anime and manga, like Attack on Titan, Boku No Hero Academia, Dragonball Z, and One Piece. And we all love Japanese cuisine! One day we hope to make it over there so we can get a taste of the real thing.

Q7: プログやメタルといえば、ファンタジーの世界が中心で、多くの人が現実世界の厳しい現実から逃避する場所としてここを第二の家としています。日本はゲームやアニメなどファンタジーのメッカですが、日本の文化に興味はありますか?

【NOSPUN】: 間違いなくね!僕たちのうちの何人かは、日本文化の一部を定期的に消費しているんだ。少なくとも、ここアメリカで手に入るものをね。Cole と Phil は特にアニメや漫画が好きで、”進撃の巨人”、”僕のヒーローアカデミア”、”ドラゴンボールZ”、”ONE PIECE” などを愛している。日本料理も大好きだ!いつか本場の味を堪能するために、日本へ行きたいと思っているよ。

Q8: Many of the prog giants are old and have passed away. Meanwhile, the world is dominated by the instant culture of social networking and clippings, and few young people will bother to take the time and trouble to pursue a epic and complex prog. So, What was it that drove you guys to the prog in such a situation?

【NOSPUN】: The truth is that we write prog music because it’s what we love; basically we are writing songs that we want to hear. We then release that music to the public in case there are others who like this style, but even if no one else liked the music we would still write it. So really it’s just icing on the cake that there are some people who seem to enjoy it!

Q8: プログの巨人の多くは高齢となり、この世を去った人も少なくはありません。一方、世の中はSNSや切り抜きなどのインスタント文化に支配され、わざわざ時間と手間をかけて壮大で複雑なプログレを追求する若者はほとんどいないのが現状です。そんな逆風の中で、あなたたちをプログに駆り立てたものは何ですか?

【NOSPUN】: 実は、僕たちがプログを書くのは、自分たちが好きだからという部分が大きいね。だから基本的には、自分たちが聴きたい音楽を書いているんだ。そして、このスタイルが好きな人が他にもいることを期待して、想定して、その曲を世に送り出す。例え誰にも聴いてもらえなくても、僕たちはプログをやるだろう。だからこそ、それを楽しんでくれる人がいるというのは、本当にうれしいことなんだ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED NOSPUN’S LIFE!!

DREAM THEATER “Octavarium”

PERIPHERY “Periphery II: This Time It’s Personal”

HAKEN “Affinity”

ANIMALS AS LEADERS “The Joy of Motion”

MESHUGGAH “Koloss”

Four of those came out during the 2010’s, so it must have been a good decade for prog metal!

このうち4枚は2010年代にリリースされている。プログ・メタルにとって10年代は良い10年だったに違いない!

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you Japan for your support and for listening to Opus! We look forward to performing there one day so we can share our music with you more directly!

日本のみんな!”Opus” を聴いてサポートしてくれてありがとう!いつか日本にいって、直接君たちのためにプレイすることを楽しみにしているね!

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