EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AROGYA !!
“Visual Kei Bands Have This Incredible Ability To Seamlessly Blend Various Genres And Styles Within Their Music.”
DISC REVIEW “SUPERNATURAL”
「BLOODYWOOD は典型的なインドの要素をうまく音楽に取り入れているけれど、すべてのインドのバンドが同じ道をたどる必要はないということを認識することが重要だ。それぞれのバンドには独自の芸術的ビジョンと音楽スタイルがあり、誰かの成功を真似たり複製したりするのではなく、自分たちのビジョンに忠実であることが不可欠なんだ」
ヘヴィ・メタルは今や文字通り “みんなのもの”。その生命力、感染力、包容力で、様々な民族、文化、人種、宗教の壁を乗り越え世界各地に根を張っています。中でも、世界で2番目に多い13億の人口を誇るインドのエネルギッシュな多様性は、現代のメタル・スピリットと圧倒的にマッチしているようです。
「AROGYA の全体的なコンセプトは、当初ヴィジュアル系バンド(インド初、そしておそらく唯一のバンド)としてスタートしたんだよ。ヴィジュアル系が体現する自由な表現に影響され、様々なジャンルを探求し、様々なサウンドを試し、伝統的な制約にとらわれない音楽体験を創り出すことが目的だったんだ」
かつてインドの音楽業界は、ボリウッドや古典音楽が象徴でありすべてでした。しかし、この10年でインターネット、SNS やストリーミング・サービスが普及し、多様なジャンルの音楽が人気を集めるようになっています。今では、インド全土で年間約20の音楽フェスティバルが開催され、その3分の1では海外国内問わず様々なロックやメタルのバンドが喝采を浴びているのです。
特に、インド北東部はカラフルなメタルのメッカ。もちろん、BLOODYWOOD の極めてインド的なコンセプト、”メタル・ボリウッド” は見事なもので、海外における躍進の原動力となり、後続に門戸を開きました。ただし、文化や人種、宗教のるつぼであるインドにルールやステレオタイプは存在しません。そして、ネパールにルーツを持つ AROGYA が目指し焦がれたのは、日本のヴィジュアル系に宿る “自由” でした。
「the GazettE のようなヴィジュアル系バンドには予測不可能な音楽的多様性がある。様々なジャンルやスタイルをシームレスに融合させる素晴らしい能力を持っている。クレイジーなデスメタルのリフから始まり、エレクトロニックやインダストリアルな要素に移行し、美しくハートフルなラヴバラードへと発展する曲も珍しくない。この多才さと、異なるサウンドやジャンルを試す意欲は、ヴィジュアル系バンドを真に際立たせ、アーティストとして僕たちを魅了するものだ。さらにヴィジュアル系は、バンドやアーティストが自由に探求し、多様な方法で表現することを可能にする、ユニークな芸術的自由を提供している」
AROGYA が言うように、日本で生まれたヴィジュアル系はおそらく、特定のサウンドよりも世界観を重視したジャンルで、ゆえにロック、パンク、メタル、ポップ、グラム、ゴシック、ニューウェィヴ、クラシック、インダストリアルにプログと何でもござれな音世界を構築してきた自由な場所なのかもしれませんね。
それを “まがいもの” と受け取るか、”実験” と受け取るかで、リスナーのV系に対する評価は180°変わるのでしょうが、少なくとも日本よりは遥かに剣呑なネパールとインドの交差点でいくつもの “壁” と悪しき伝統を壊そうと尽力する AROGYA にとって、V系の音楽的な奔放さや 華々しい “メディア・ミックス” の可能性はあまりにも魅力的な挑戦でした。
「文化的アイデンティティという点では、僕たちはネパールとインドの両方を、自分自身を構成する重要な部分として捉えている。僕たちは、両国の文化遺産と、共有する人間性を認め祝福したいんだ。僕たちの文化的背景の多様性と豊かさが、AROGYA の音楽を形成し、その独特の風味と共鳴に寄与している」
つまり AROGYA は、民族音楽やボリウッドよりも、多様で豊かな自らの背景を音楽的、詩的なアイデンティティとすることに決めたのです。だからこそ、the GazettE から LINKIN PARK, RAMMSTEIN, IN FLAMES に GHOST, 果ては EUROPE まで、世界中の “アリーナ・ロック” を融合した強烈無比なメロディック・メタルを生み出すことができました。
彼らの究極的な目標は、音楽で世界を一つにつなげること。互いを許し合い、認め合うこと。そのために、シンセでダークなアリーナ・ロックほど格好のツールは存在しませんでした。そうして “癒やし手” の名を冠する5人の音楽家は、日々、痛み、失恋、孤独、憂鬱、精神的な問題、はかなさ、内なる悪魔と戦う人たちに、一筋の光をもたらすのです。
今回弊誌では、AROGYA にインタビューを行うことができました。「MIYAVI、Crystal Lake、BABYMETAL、Hyde、Ryujin(旧Gyze)といったアーティストたちは、その独特な音楽スタイル、パワフルなパフォーマンス、芸術的なビジョンで僕たちの注目を集めてきたんだ。これらのバンドはそれぞれが独特のユニークなものをもたらし、日本の音楽シーンで可能なことの限界を押し広げ続けている」 どうぞ!!