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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AROGYA : SUPERNATURAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AROGYA !!

“Visual Kei Bands Have This Incredible Ability To Seamlessly Blend Various Genres And Styles Within Their Music.”

DISC REVIEW “SUPERNATURAL”

「BLOODYWOOD は典型的なインドの要素をうまく音楽に取り入れているけれど、すべてのインドのバンドが同じ道をたどる必要はないということを認識することが重要だ。それぞれのバンドには独自の芸術的ビジョンと音楽スタイルがあり、誰かの成功を真似たり複製したりするのではなく、自分たちのビジョンに忠実であることが不可欠なんだ」
ヘヴィ・メタルは今や文字通り “みんなのもの”。その生命力、感染力、包容力で、様々な民族、文化、人種、宗教の壁を乗り越え世界各地に根を張っています。中でも、世界で2番目に多い13億の人口を誇るインドのエネルギッシュな多様性は、現代のメタル・スピリットと圧倒的にマッチしているようです。
「AROGYA の全体的なコンセプトは、当初ヴィジュアル系バンド(インド初、そしておそらく唯一のバンド)としてスタートしたんだよ。ヴィジュアル系が体現する自由な表現に影響され、様々なジャンルを探求し、様々なサウンドを試し、伝統的な制約にとらわれない音楽体験を創り出すことが目的だったんだ」
かつてインドの音楽業界は、ボリウッドや古典音楽が象徴でありすべてでした。しかし、この10年でインターネット、SNS やストリーミング・サービスが普及し、多様なジャンルの音楽が人気を集めるようになっています。今では、インド全土で年間約20の音楽フェスティバルが開催され、その3分の1では海外国内問わず様々なロックやメタルのバンドが喝采を浴びているのです。
特に、インド北東部はカラフルなメタルのメッカ。もちろん、BLOODYWOOD の極めてインド的なコンセプト、”メタル・ボリウッド” は見事なもので、海外における躍進の原動力となり、後続に門戸を開きました。ただし、文化や人種、宗教のるつぼであるインドにルールやステレオタイプは存在しません。そして、ネパールにルーツを持つ AROGYA が目指し焦がれたのは、日本のヴィジュアル系に宿る “自由” でした。
「the GazettE のようなヴィジュアル系バンドには予測不可能な音楽的多様性がある。様々なジャンルやスタイルをシームレスに融合させる素晴らしい能力を持っている。クレイジーなデスメタルのリフから始まり、エレクトロニックやインダストリアルな要素に移行し、美しくハートフルなラヴバラードへと発展する曲も珍しくない。この多才さと、異なるサウンドやジャンルを試す意欲は、ヴィジュアル系バンドを真に際立たせ、アーティストとして僕たちを魅了するものだ。さらにヴィジュアル系は、バンドやアーティストが自由に探求し、多様な方法で表現することを可能にする、ユニークな芸術的自由を提供している」
AROGYA が言うように、日本で生まれたヴィジュアル系はおそらく、特定のサウンドよりも世界観を重視したジャンルで、ゆえにロック、パンク、メタル、ポップ、グラム、ゴシック、ニューウェィヴ、クラシック、インダストリアルにプログと何でもござれな音世界を構築してきた自由な場所なのかもしれませんね。
それを “まがいもの” と受け取るか、”実験” と受け取るかで、リスナーのV系に対する評価は180°変わるのでしょうが、少なくとも日本よりは遥かに剣呑なネパールとインドの交差点でいくつもの “壁” と悪しき伝統を壊そうと尽力する AROGYA にとって、V系の音楽的な奔放さや 華々しい “メディア・ミックス” の可能性はあまりにも魅力的な挑戦でした。
「文化的アイデンティティという点では、僕たちはネパールとインドの両方を、自分自身を構成する重要な部分として捉えている。僕たちは、両国の文化遺産と、共有する人間性を認め祝福したいんだ。僕たちの文化的背景の多様性と豊かさが、AROGYA の音楽を形成し、その独特の風味と共鳴に寄与している」
つまり AROGYA は、民族音楽やボリウッドよりも、多様で豊かな自らの背景を音楽的、詩的なアイデンティティとすることに決めたのです。だからこそ、the GazettE から LINKIN PARK, RAMMSTEIN, IN FLAMES に GHOST, 果ては EUROPE まで、世界中の “アリーナ・ロック” を融合した強烈無比なメロディック・メタルを生み出すことができました。
彼らの究極的な目標は、音楽で世界を一つにつなげること。互いを許し合い、認め合うこと。そのために、シンセでダークなアリーナ・ロックほど格好のツールは存在しませんでした。そうして “癒やし手” の名を冠する5人の音楽家は、日々、痛み、失恋、孤独、憂鬱、精神的な問題、はかなさ、内なる悪魔と戦う人たちに、一筋の光をもたらすのです。
今回弊誌では、AROGYA にインタビューを行うことができました。「MIYAVI、Crystal Lake、BABYMETAL、Hyde、Ryujin(旧Gyze)といったアーティストたちは、その独特な音楽スタイル、パワフルなパフォーマンス、芸術的なビジョンで僕たちの注目を集めてきたんだ。これらのバンドはそれぞれが独特のユニークなものをもたらし、日本の音楽シーンで可能なことの限界を押し広げ続けている」 どうぞ!!

AROGYA “SUPERNATURAL” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DEMONSTEALER : THE PROPAGANDA MACHINE】


COVER STORY : DEMONSTEALER “THE PROPAGANDA MACHINE”

“Make The Minority The Big Villain That The Majority Should Fear In Any Country, And You’ve Suddenly Got Control. It’s All The Same Tactics; It’s Just That The Country Changes.”

THE PROPAGANDA MACHINE

“The Propaganda Machine” は、エクストリーム・メタルの言葉で叫ばれる戦いの鬨。Sahil Makhija 4枚目のソロ・アルバム “Demonstealer” は、母国インドをはじめ世界中の大衆を操り搾取する右翼政治家、人種差別主義者、偽情報の拡散者、宗教過激派を狙い撃ちしています。Sahil が言葉を濁すことなく、このアルバムに収録されている歌詞はすべて、抑圧に対する抗議の看板となり得るもの。ただし Sahil は、20年前、彼の先駆的バンド DEMONIC RESURRECTION でインドにデスメタルを紹介していた頃には、まだ “The Propaganda Machine” を作ることはできなかったと認めています。
「俺はボンベイ・シティに住む、かなり恵まれた子供だった。そして、ほとんどの子供がそうであるように、俺は政治に興味がなかったんだ」と Sahil は自身の音楽活動の初期を振り返って言います。SEPULTURA の “Refuse/Resist” のような政治的なメタルを聴いていたにもかかわらず、政治を意識することはなかったのです。
Sahil の覚醒は緩やかでした。彼は2015年のシングル “Genocidal Leaders” で遂に DEMONSTEALER に社会的な歌詞を取り入れ始め、前2作 “This Burden Is Mine” と “The Last Reptilian Warrior” では現実世界の問題がより浸透するようになりました。しかし、”The Propaganda Machine” は、彼がこれまで制作した中で、圧倒的に政治色が強いレコードだと言えます。その理由は、周囲を見渡せばわかるでしょう。トランプ、Brexit、目に余る警察の残虐行為、復活したネオナチズム、世界的なパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など、その暗闇のリストは身近で気が滅入るものばかり。

「このアルバムは、プロパガンダ・マシーンというタイトル通り、ここ数年の世界のあり方に完全にインスパイアされているんだ。特に、ヒンドゥー教の右翼過激派政権が誕生してからのインドでの出来事に触発されているよ。”The Fear Campaign” では、多数派が少数派を恐れるように仕向けることで、政府が大衆をコントロールすることについて。”Monolith of Hate” は、憎しみの政治と、恐怖のキャンペーンを通じて多数派が少数派を憎むように仕向ける方法について歌っているよ。正直なところ、世界中でこうしたことが起こっているよな。インドではヒンドゥー教徒が大多数で、ヒンドゥーの政府はイスラム教徒に関する悪いプロパガンダを流し続け、ヒンドゥー教徒がイスラム教徒に恐怖を抱くようにしようとしている。イギリスやアメリカ、ヨーロッパでも同じように、移民を恐れさせるキャンペーンが行われているし、アメリカでは、人種や宗教などでも同じことが行われている。世界的な “戦術” なんだよな。”恐怖を与え続け、従順にさせる” という歌詞は、まさにすべてを要約しているよ。
“The Art of Disinformation” は、テクノロジーがいかに武器になるかについて。インドでは、WhatsApp の偽ビデオが、この憎しみを広めるために使われ、最終的には少数民族への暴力や殺害さえも扇動しているんだ。”Screams Of Those Dying” は、ここ数年、リンチや暴動、警察の横暴、殺人、基本的人権のために戦う人々の暗殺によって失われた実際の命について歌った。”The Great Dictator” は、自分たちの利益のために憎悪と暴力を推進・宣伝する右派の指導者について。”‘The Anti-National” “反国家” は、インドや自国の政府に疑問を持つ人々が、いかに “反国家” と呼ばれているかについて。そして最後に “Crushing the Iron Fist” は、俺たちが力を合わせれば、私腹を肥やし、宗教、カースト、人種によって人々を分断するのではなく、生活の質を向上させるために働く、より良い政府を見つけることができるかもしれないという希望をアルバムに残している。国民のために働くという、本来あるべき姿の政府をね」

世界のリスナーにとってあまり馴染みがないのは、2014年にナレンドラ・モディが首相に就任して以来、インドで起きている混乱かもしれません。NRC(全国市民登録制度)とCAA(市民権修正法)という大規模な政治問題です。CAA では、トランプの人種差別的なムスリム禁止令とは異なり、インドに入ってくるイスラム教徒の移民を制限する一方で、他の宗教のメンバーがより自由に入国できるようにしようとしていました。
「多くの抗議があり、俺もそうした抗議に出向いていた。そして、その抗議は、右翼過激派グループが大学の子供たちを攻撃したり、抗議者に発砲したりすることで頂点に達したんだ。その結果、ニューデリーで大規模な暴動が起こり、ヒンドゥー教の過激派によって多くのイスラム教徒が殺されてしまった。その後、パンデミックが始まった。すると政府は突然、人々の移動を制限するようになった。出稼ぎ労働者は出身地でない都市に取り残され、飛行機で帰ることもできず、結局、何百キロも歩いて村まで帰ることになった。その途中で亡くなった人も少なくないんだよ。社会として、俺たちはより憎しみに満ちた生き物へと変化していってしまう。幼い頃から憎むことを教え込まれ、宗教、肌の色、性的嗜好など、異なる誰かを憎むことを強いられ、憎しみは押し付けられ、憎しみのモノリスを築いている。それは俺たちを蝕んでいくものだ。特にインドでは、現在の右派の政府関係者自身が、憎しみのスローガンを唱え、暴力行為や犯罪を呼びかけるデモを行い、彼らのすべてのアジェンダが憎しみで構築されている。なんとかしなければ」
そんな暗闇が重くのしかかる中、Sahil は自宅のスタジオに入り、”The Propaganda Machine”となる曲を書き始めました。歌詞には、自分がインドで体験したことを反映させたかったのですが、同時にリスナーが世界の他の地域とも簡単に結びつけられるようにもしたかったのです。
「どこの国でも同じようなことが起きているのを見た。どの国でも、少数派を多数派が恐れるべき大悪党に仕立て上げれば、突然コントロールが可能になる。国が変わるだけで、すべて同じ手口なんだ。俺たちがいかにプロパガンダに対して盲目的になりがちであるかを伝えたい。宗教であれ、政治であれ、俺たちはある特定の “信者” になるよう条件付けされてきた。宗教もまた、最大のプロパガンダ・マシンのひとつで、世界中のほとんどの人が信じるように仕向けられ、現実が見えなくなる」

プロパガンダによる洗脳に惑わされないために、教育レベルの向上は必須でしょう。
「ただ、インドは巨大な国で、極度の貧困と社会的不平等が存在するから、効果が出るまでには長い時間がかかる。インドには巨大な国土があり、極度の貧困と社会的不平等が存在するんだ。時間が経てばその地点に到達できるかもしれないという希望はあるけど、ほとんどの場合、堂々巡りになってしまう。インドの生活の質、政府が運営する学校や病院の状況を見れば、その状況がわかると思うよ。本当に、宗教的な洗脳や政府による洗脳、時代遅れの習慣や伝統にしがみつく人々など、長い道のりが待っているんだ」
SNS も今や権力の “武器” と化しています。
「俺たちは、ソーシャルメディアによって物語がコントロールされる世界に住んでいる。インドでは、世界の他の地域と同様にフェイクニュースの大きなな問題があって、SNS のほとんどは、右派の与党政府によってコントロールされている。右派政権に対抗できる政党やまともな野党がほとんどない状態でね。この国で最大の誤報拡散者である Whatsapp を使ってプロパガンダや誤報を拡散するためだけに人が雇われているよ。Whatsapp が原因で、リンチされたり殺されたりした人も。物議をかもした市民権法に対する抗議デモの際も、IT部門はフル回転していた。彼らの最大の自慢は、Twitter で何でも流行らせることができること。どんな話題でも、コピーペーストしたようなツイートが表示されるのは悪夢のようなものだ。ウクライナへの攻撃の際にも、このようなことが起こっていたよな」
“レッテル貼り” も権力お得意の分断の手法。
「特にインドにおける右翼の戦術のひとつは、人々に “反国家” の烙印を押すこと。政府に疑問を持てば反国家、あるイデオロギーを推進しなければ反国家というわけさ。最悪なのは、政治とヒンドゥー教を結びつけてしまったことだ。だから今日、牛肉を食べると、憲法で権利が認められているにもかかわらず、反国民とみなされる。現政権は非常に攻撃的で、親ヒンドゥー的でファシスト的な性格を持ち、非常に暴力的なグループを支持している。現首相を批判する人がいれば、ネット上の荒らしの軍団や、実際のチンピラまで現れて問題を起こし、反国民の烙印を押されてしまうんだ。俺は、批判的で、宗教的・政治的な駆け引きではなく、国民の向上のために政府を後押ししようとする人たちこそ、真の愛国者であると信じている」

Sahil は声を上げるためには、ある程度の人気が必要だと考えています。
「音楽にはたくさんの力がある。音楽がもたらす癒しやポジティブな変化はたくさんあるんだ。だけど、ニッチなジャンルの音楽を、ニッチな国で、しかも人気のないアーティストが演奏するとなると、そんな変化も期待できない。もしかしたら、一部の人に影響を与えるかもしれないけど、本当に影響を与えるためには、もっと多くの人に聴いてもらう必要があるんだよ。だから、今のところは、DEMONSTEALER は俺が目にした世界の間違ったことに対して発言するためのただの道具だ。でも、もしそれが人々に語りかけられ、共感され、音楽が人生の困難な時期を乗り越える助けになるなら、それは俺にとっても世界にとっても意味のあることとなる」
音楽的には、Sahil は DEMONSTEALER を実験室として使用し、頭に浮かんだあらゆるアイデアを探求する傾向があります。”The Propaganda Machine” では、彼のキャリアの中で最も緻密なレイヤーを持つ楽曲を作曲していることに気づくでしょう。もし、Sahil の威厳と自信に満ちたクリーン・ボーカルと、元 CRADLE OF FILTH キーボード奏者の Annabelle Iratni が醸し出すシンフォニックな華やかさがなければ、アルバムはもっとデスラッシュの閉塞空間にあったでしょう。Sahil は、自分の直感を信じることで、荘厳と凶暴の適切なバランスを見つけているのです。
「”次のアルバムは、今までで一番ブルータルなアルバムにしよう、ブラストビートと、最も重厚なリフ、そしてうなり声を出すだけだ” なんて思っていても、実際に曲を書き始めると、突然美しいメロディーを思いつき、”これはこの曲にピッタリだ!” なんて思うんだ」

DEMONSTEALER は厳密には Sahil のソロプロジェクトですが、NILE の George Kollias が “This Burden Is Mine” でドラムを叩いて以来、ゲスト・ミュージシャンはそのサウンドに欠かせない要素となっています。DEMONSTEALER のサポート・キャストは着実に増えており、”The Propaganda Machine” は総勢12人のプレイヤーによって命を吹き込まれているのです。クレジットには、鍵盤の Iratni、Hannes Grossmann を含む4人のドラマー、さらに4人のベーシスト、3人のリード・ギタリストの名前があります。James Payne (Kataklysm, Hiss From The Moat), Ken Bedene (Aborted), Sebastian Lanser (Obsidious/Panzerballett), Dominic ‘Forest’ Lapointe (First Fragment, Augury, BARF), Stian Gundersen (Blood Red Throne, You Suffer, Son of a Shotgun), Martino Garattoni (Ne Obliviscaris, Ancient Bards), Kilian Duarte (Abiotic, Scale The Summit), Alex Baillie (Cognizance), Dean Paul Arnold (Primalfrost), Sanjay Kumar (Equipoise, Wormhole, Greylotus)。Sahil は、彼らの役割について厳格に規定することはありません。ここでは、それぞれのミュージシャンが、それぞれの長所を発揮しているのです。
「各ミュージシャンは、それぞれの個性を生かす。これほど多才なミュージシャンと仕事をするのであれば、俺がプログラミングをしたり、これとこれを演奏しろなんて厳しく指示する意味はない。もちろん、ドラムのパートをすべてサンプルで置き換えるのはとても簡単だが、すべて全く同じ音になってしまう。それに何の意味があるのだろう?だから、ドラムの音はアルバムの曲によって変化するし、ベースのダイナミズムも当然変わってくるさ」
このアルバムは、Sahil の独特なソングライティングだけでなく、彼の思想によっても一貫性を保ちます。右翼のポピュリストが支配する不安定な国で活動することは簡単ではありません。最近、ニューデリーとムンバイにあるBBCのオフィスが、インド特集を放送した後に家宅捜索を受けました。”モディ・クエスチョン”(2023年)は、2002年にグジャラート州で起きた一連の暴動で首相が果たした役割を探るドキュメンタリー。ボリウッドの作品は、過激派の脅迫によって定期的に中断、破壊、閉鎖され、Sahil 自身も、風刺ロックバンド WORKSHOP で政治家と悪徳警官を罵倒した際、検閲に直面しました。Sahil が “偉大なる独裁者” や “鉄拳を砕く” のような曲を書くことの結果を恐れているとしても、彼はそれを表に出すことはありません。恐れよりも、彼は何度も自分の特権と、それを使って抑圧と闘う責任について言及します。
「俺のような人間は、アパートでくつろぎながら、こう言うこともできる。これは俺の戦いではないんだ。普通の平穏な暮らしを送ればいいってね。俺は何気ない生活を送れるのだから。だけど、踏みつけにされそうになっている人たちが大勢いる。いずれは反撃に出るべき人たちが。抗議の力、情報の力によって、俺たちは実際に変化を起こすことができるはずだ。どんな形であれ、善戦する人たちはたくさんいる。そして、願わくば、より多くの人々が目を開き、自分たちが持っている特権や、声を上げる必要があるという事実に気づくことを期待しているんだ。そして、この先、より良い日々が待っていることもね。俺たちは、自分たちが見つけた世界よりも良い世界を残すことができる、すべての人々にとってより公正で平等な世界に住むことができると信じたい。他人を親切に扱い、専制や抑圧に負けることはないとね。しかし、実際には、これは長い戦いで、変化は一夜にして起こるものではない。だからこそ俺は、より良い世界を作るために、時間、エネルギー、努力、時には命さえも犠牲にしてきたすべての人々に敬意を表したいんだ」

実際、Sahil 自身もより良いインドのメタル世界のために戦い続けてきました。
「俺たちも DEMONIC RESURRECTION でオリジナル曲を演奏するようになって、観客から瓶や石を投げつけられたものだよ。バスドラのペダルさえも手に入れるのが困難だった。レコード会社もなく、”ロック・ストリート・ジャーナル” という地元のロック雑誌があり、大きな大学では毎年、文化祭でバンド・バトルをやっていたくらいでね。当時はそれしかなかったんだ」
インドにおけるメタルのリソース不足に直面した Sahil は、インドのバンドを実現させたいなら、自分でやるしかないと決意しました。彼は、インド初のメタル専用のレコーディング・スタジオを設立し、その後すぐにインド初のメタル・レーベルである Demonstealer Records を設立します。そこで自身の音楽を発表し、ALBATROSS や今は亡き MyndSnare といったインドのバンドをサポートするだけでなく、彼のレーベルは BEHEMOTH や DIMMU BORGIR といった入手困難なバンドのアルバムをライセンスしリリースしました。また、元 DEMONIC RESURRECTION のベーシストである Husain Bandukwala と共に、インドで唯一のエクストリーム・メタル専門のフェスティバルである”Resurrection Festival” を立ち上げ、長年にわたって運営しました。インド・メタルシーンの柱としての Sahil の地位は議論の余地がありません。しかし、自身の影響力と遺産について彼は実に控えめです。
「でも、もし俺がやらなくても、おそらく他の誰かがやってきて、いつか俺の成したことをすべてやっていただろうね。でも、もし私が何らかの形で貢献できたのなら、それで満足だ。私は人生をメタル音楽の演奏に捧げているのだから」
Sahil は、貧困が蔓延している社会構造に加え、意味のある音楽ビジネスのインフラがないため、インドでバンドを存続させるためには基本的な収入が必要だと説明します。また、移動距離が長いためバンに乗って全国ツアーに出ることはできず、飛行機代やホテル代も考慮しなければならないことも。さらに最近まで、独自のPAシステムを備えた会場を見つけられることは稀で、各会場でPAシステムを調達し、レンタルしなければなりませんでした。
「その結果、ほとんどのバンドが赤字になり、長期的には解散してしまうんだ。今はマーチャンダイズで、なんとかやっていこうというバンドもいる。ツアーができるバンドもあるけど、簡単なことではないんだよ」

Sahil は早い時期から、物事を実現するために必要なことは何でもやると決めていました。
「メタル・ミュージシャンを続けられるように、自分の人生を設計したんだ。親と一緒にいること、子供を作らないこと、休暇にお金をかけないことも選んだ。自分がやりたいことはこれだとわかっていたから、そういった犠牲を払った。もし、友人たちのように給料が高くない仕事をするなら、その予算でどうやって生きていくかを考えなければならないだろうからね」
幸運にも、彼は “Headbanger’s Kitchen” というチャンネルと番組で、YouTuberとしてのキャリアを手に入れることができました。当初は一般の料理番組としてスタートした彼のチャンネルは、仲間のメタルミュージシャンにもインタビューを行いながら Sahil が実践しているケト食を推奨するプラットフォームへと発展し、今では彼の主な収入源となっています。
しかし、彼の最愛のものがメタルであることに変わりはなく、彼自身の努力もあって、この10年ほどでインドのメタルシーンは花開き始めています。多くの色彩、創造性、活気を伴いながら。ただし、インドから生まれるバンドは、インドと同じくらい多様でありながら、ほとんどの場合、彼らは民族的なモチーフを過剰に使用することはないと Sahil は語ります。
「というのも、この国のメタルの魅力のひとつは、自分たちの文化に反抗することだからね」

オールドスクールなスラッシュとメタルを演奏する KRYPTOS、ブルータルなデス/グラインドを演奏するGUTSLIT、シッキム州の SKID ROW, もしくは WHITESNAKE とも言われる GIRISH AND THE CHRONICLES、メイデン風の高音ボーカルでホラー・メタルを演奏する ALBATROSS, 弊誌でインタビューを行ったインドの DREAM THEATER こと PINEAPPLE EXPRESS などこの地のメタルは意外にも、伝統への反抗意識から西欧の雛形を多く踏襲しています。
彼の地の多くのスタイルやサブジャンルが西洋の聴衆になじみがある一方で、社会的・政治的システムへの怒りや、地元の文化や神話を参照した歌詞には、インド独特の風味が際立ちます。ムンバイのスラッシャー、ZYGNEMA の最新シングル “I Am Nothing” は、インドの多くの地域で未だに悲しいことに蔓延している女性差別やレイプ文化に対して憤慨した楽曲。そして、The Demonstealer のバンドである DEMONIC RESURRECTION は、壮大なブラック・シンフォニック・デスメタルを得意とし、前作 “Dashavatar” はヒンドゥー教の神 Vishnu の10のアバターについて論じています。そして、ニューデリーのBLOODYWOOD。スラミング・ラップ・メタルとインドの民族音楽を組み合わせ、英語、パンジャブ語、ヒンディー語を織り交ぜながら、政治的、個人的な問題に正面から取り組む歌詞を描いた彼らのユニークなサウンドは、近年ますます話題になっています。
「インドはとても大きく、多様性に富んでいて、これがインドだと断定できるものは何もない。彼らはパンジャブ音楽を使うけど、その音楽はインドの南部では人気がないんだ。言語も文化も音楽も違う。国語もなく、すべてが多様なんだよね。でも BLOODYWOOD は、欧米や世界中の人が “インドのメタルはどんな音だろう?”と興味を持ったときに、聴きたいと思うようなものを捉えているんだ」
つまり、Sahil Makhija はもっとポジティブで、特に彼が愛するヘヴィ・メタルの未来については楽観的です。
「インドのバンドがもっと国外に進出するのは間違いないだろう。10年前と比べると、みんなもっとたくさんツアーをやっているし、国際的なバンドがインドで演奏することも増えてきた。今後数年の間に、インド全土でそれなりのシーンと強力なオーディエンスを築き上げることができると思うよ」

参考文献:Bandcamp Daily: Demonstealer Fights For a Better India Through Death Metal

No Clean Singing:AN NCS INTERVIEW: DEMONSTEALER

Demonstealer’s Incendiary Metal Assaults “The Propaganda Machine” (Track-by-Track Rundown)

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ABOUT US : ABOUT US】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ABOUT US !!

“India Is a Vast Country, And Every Region Is Unique For Its Own Religion, Tradition, Culture And Identity. The Strength Of India Is Its ‘Unity In Diversity.”

DISC REVIEW “ABOUT US”

「インド北東部の丘陵地帯。そこに位置するナガランドには、誇り高きナガ族が住んでいる。過去には、両者の間に紛争があったけど、時代は変わりつつあるよ。和平プロセスは進行中で、正しい方向に向かっていると思う。誰もが平和と調和の中で暮らしたいと思っているんだから。インドは広大な国で、どの地域にも独自の宗教、伝統、文化、アイデンティティが存在する。つまり、インドの強さは “多様性の中の統一” なんだよ」
インドがヘヴィ・メタルやハードロックの新たなエルドラド、黄金郷であることはもはや疑う余地もありません。フジロックの活躍も記憶に新しい BLOODYWOOD を筆頭に、DYMBUR, KRYPTOS, DEMONIC RESURRECTION, SKYHARBOR, GRISH & THE CHRONICLES など、彼の地には才能溢れるバンドがひしめいています。
重要なのは、それぞれがそれぞれの個性を大切に羽ばたいていること。広大なインドの多様なアイデンティティーは、カラフルな万華鏡のごとく、そのままメタル世界にも投影されているのです。
一方で、どこかユニークで、絢爛で、大仰なスタイルやサウンドは彼らの共通項にも思えます。それこそが、ABOUT US 語るところの、”多様性の中の統一” なのかもしれません。そう、インド北東部、ナガランドに住むナガ族 ABOUT US は非常にインドらしくなく、そしてインドらしいバンドなのです。
「僕たちナガ族の社会は、腐敗や犯罪の多いインドとはまったく違うんだ。ナガ族は、家族が何よりも優先され、誰もが尊敬される緊密な社会なんだよ。男性、女性、老いも若きも、お互いに気を配って生きている。汚職や腐敗がまったくないわけではないけれど、ナガ族の社会は基本的に寛容な社会なのさ。そうして、僕たちはシンプルな人間に育ったから、さまざまな希望や夢、願いを持って生きていて、それが僕たちの歌詞にも反映されているわけだよ」
バンドの言葉を借りれば、謎に包まれ、文化や伝統を守りながら生きるナガ族。その暮らしは、エネルギッシュで活気に満ち、一方で犯罪や人権の蹂躙、汚職が蔓延る都市部のインドとは大きく異なります。自然と人の優しさに育まれた ABOUT US は、そうして夢や希望をのせた美しくも爽快なメロディック・ハードロックに行き着きました。
彼らのメッセージはシンプルです。”決してあきらめるな”。自分を信じて、夢を持ち続け、チャンスをつかみ、自分だけの美しい物語を作って欲しい。その言葉はバンドを後押しする人たち、ナガ族、インド人、世界中のファン、そしてもちろん、自分たちにも投げかけられています。
ナガ族にとって欠かせないコミュニケーションの手段、愛と音楽を世界と共有するという夢を持ち、ABOUT US は “若い世代にロックの遺産を残す”、そのためにここにいます。まだ何も始まってはいませんが、セルフタイトルのデビュー作、”About Us” には、遺産を残すだけでなく、メロディック・ハード復権の予感、期待、原動力、その結晶がこれでもかと詰め込まれています。
「僕たちは実験的なメロディック・ハードロックバンドだと思っているよ。僕たちは常に様々な芸術的スタイルを実験しているから、そこからの影響を注入し、融合させたハードなメロディックロック、そんなスタイルやサウンドでありたいんだよね。僕たちは実験や変化に対してオープンだけど、メロディック・ハードロックが僕たちの音楽のコンセプトのベースとなることはたしかだよ」
定型化を極め、ある意味固定ファンのためだけの音楽となった感もあるメロディック・ハード。その功罪は別として、SMASH INTO PIECES, DYNAZTY のような “殻を破る” バンドが近年増えて来ています。再びメロハーの大きな波を、うねりを、濁流を呼ぶために必要なのはきっとそうしたブレイクスルー。ABOUT US はそのための切り札でしょう。
オランダの衝撃 TERRA NOVA を、より瑞々しく、挑戦的で、モダンに磨き上げたような彼らの音楽は、変化をもたらすに十分な “喜び” “楽しさ”、そして爆発には欠かせない “驚き” を備えています。TNT の Tony Harnell も舌を巻く天空へのハイトーンに、HAREM SCAREM の Pete Lesperance を想起させる奔放とストーリーのギターワーク。ナガ族の色を世界に発信したい。そんな野望も心強く、ABOUT US の名に込められたメロハーの “一体感と帰属意識”、その種を彼らは世界中にばら撒いていくのです。
今回弊誌では、ABOUT US にインタビューを行うことができました。「バンドメンバーは、なかなか面白い個性の集まりのアンサンブルなんだよね。この絆がうまく作用しているよ。みんなが自分の持っているものを少しづつ犠牲にし、活用していく。それが僕たちの強みなんだ」 日中の仕事と音楽のバランスを心がける、持続可能なメロハー・ベンチャー。衝撃のデビュー作は来月。どうぞ!!

ABOUT US “ABOUT US” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DYMBUR : CHILD ABUSE / RAPE CULTURE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DYMBUR !!

“We Cannot Expect To Change The World. We Are Just a Small Band From a Remote Corner Of The World So If Our Music Can Touch Just a Few Hearts And Bring About Just a Small Change Then We Would Consider Our Duties Fulfilled.”

CHILD ABUSE, RAPE CULTURE

「バンド名の DYMBUR はカシ語源で、英語では “Fig Tree” “イチジクの木” と訳される。カシ族は、インド北東部のメーガーラヤ州に住む先住民族なんだ。イチジクの木とは、古い枝から新しい葉が新しい形を形成する事、乾燥した期間の後に再生し新たに成長する能力から、再生、進歩、闘争の後の勝利への進化を象徴しているんだよ」
インド北東部の高地シロンを拠点とする DYMBUR。雨と雲に愛され、神の庭とも称される熱帯雨林を守るカシ族の申し子は、この10年でそのバンド名イチジクの木のように再生、進歩、そして勝利を手にしてきました。そもそもは、Djent とプログレッシブ・メタルに専念するバンドとして、国内のメタル・シーンで存在感を示していた彼ら。しかし、2020年になり、バンドは自分たちの音楽スタイルを一歩進めることを決め、その場所にカシ族の伝統音楽を融合させるようになったのです。
「僕たちは Djent/Metal とカシ族の伝統楽器を融合させ、独自のサウンドを作り上げることを決意し、ジャンルに “THRAAT” という言葉を加え、”Khasi Thraat Indian Folk Metal” と名づけることになった。例えば、デュイタラ(カシの小型ギター)は、8弦ギターと調和するように改造しなければならない。伝統的なデュイタラには4本の弦が張られているけど、僕たちは6本の弦に変更し、ナイロン弦を使うようにした」
今では、”Khasi Thraat Folk Metal” というアイデンティティで活動している DYMBUR。”Thraat” という新鮮な言葉は、長い年月をかけて、伝えるべきメッセージによってさまざまな形をとりながら熟成されてきました。”3連符の連鎖からの突然の停止”。DYMBUR 特有の音やグルーヴを見事に表現するその語感は、Djent における Thall と近い部分もあるのかもしれません。とにかく、今インドで “Thraat” とタグ付けすれば、それは即ち DYMBUR のこと。”Thraat” の最新形は、イントロにシンセウェーブのフィーリングを加えつつ、民族楽器のデュイタラやボムと融合させ、よりアグレッシブにラップまでをも取り入れています。LINKIN PARK や NU-METAL に対する憧憬を込めながら。
「インドではレイプが “文化” に変わり、人々は被害者に対して何の反省も同情もなく、日常生活を送ってしまっているんだ。場合によっては、被害者さえも、レイプされたのは自分のせいだと思い込んでしまうほど。だからどうしても、DYMBUR はこの曲を書き、制作しなければならなかったんだ」
2019年にリリースしたアルバム “The Legend of Thraat” に続き、2021年11月に社会派の新曲 “Rape Culture” を携え帰ってきた DYMBUR。彼らにとって “Rape Culture” とは、犯罪を矮小化したり常態化したりする行為が当たり前となっているインド社会を、少しでも変えたいという気持ちの現れでした。あまりにも犯罪が多すぎて、犯罪が “文化” となってしまう現実。DYMBUR はその “不都合な免疫” をメタルで洗い流そうとしているのです。
「僕たちは、変化をもたらすために少しでも努力しているだけなんだよ。インドにおける児童虐待は深刻だ。この曲の歌詞には、正確な事実が書かれている。1,000万人の子どもたちが児童労働に従事していて、毎日100人以上の子どもたちが何らかの形で虐待を受けている」
“Rape Culture” のリリース直後から、DYMBUR はインドの社会問題をさらに掘り下げ、”Child Abuse” を完成させます。児童労働、児童婚、児童虐待が蔓延するインドにおいても、特に彼らの出身地シロンは、炭鉱における限界を超えた劣悪な児童労働というデリケートなテーマに直面しています。
必要なのは、きっと国内以上に海外からの反響でしょう。もし BLOODYWOOD のようにこの曲が世界から大きな注目を集めることができれば、きっと世界は黙ってはいないでしょうから。さらに、社会に変化をもたらしたいという願望にとどまらず、DYMBUR はシロンを拠点とする非営利団体 SPARK のため資金集めも行っています。この団体は、社会から疎外された人々、特に女性や子どもたちの権利向上と福祉に力を注いでいます。
今回弊誌では、DYMBUR にインタビューを行うことができました。「僕たちは世界を変えようとは思っていない。僕たちは世界の片隅に住む小さなバンドに過ぎないから。でもだからこそ、僕たちの音楽がほんの少しでも人の心に触れ、ほんの少しの変化をもたらすことができれば、僕たちの任務は果たされたと考えられるんだ」 どうぞ!!

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLOODYWOOD : RAKSHAK】


COVER STORY : BLOODYWOOD “RAKSHAK”

“This Has Been Our Direction From Day One — Metal Can Be Fun. You Don’t Have To Be Angry All The Time. People Say Metal Is a Way Of Life, So You Do Get Happy, You Get Sad, You Are In a Chilled-out Mode.”


RAKSHAK

今世紀初頭。ムンバイのメタルヘッド、Sahil Makhija、通称 “The Demonstealer” が、シンフォニック・デスメタルの先駆者 DEMONIC RESURRECTION と共に登場したとき、彼らは必ずしもインドで諸手を挙げて歓迎されたわけではありませんでした。
インドでは80年代後半から POST MARK のようなメタルバンドが活動してはいましたが、00年代に入っても依然として地元のメタルはニッチな存在であり、ファンはヨーロッパやアメリカから来たお気に入りのアーティストを聴きたがっていたのです。そんな中で、IRON MAIDEN だけがインドを準定期的にツアーしており、地元のバンドのほとんどはカバー曲を中心に演奏するにとどまっていました。
「私たちはその頃、オリジナル曲を演奏するようになって、観客から瓶や石を投げつけられたものだよ。バスドラのペダルさえも手に入れるのが困難だった。レコード会社もなく、”ロック・ストリート・ジャーナル” という地元のロック雑誌があり、大きな大学では毎年、文化祭でバンド・バトルをやっていたくらいでね。当時はそれしかなかったんだ」
インドにおけるメタルのリソース不足に直面した Sahil は、インドのバンドを実現させたいなら、自分でやるしかないと決意しました。彼は、インド初のメタル専用のレコーディング・スタジオを設立し、その後すぐにインド初のメタル・レーベルである Demonstealer Records を設立します。そこで自身の音楽を発表し、ALBATROSS や今は亡き MyndSnare といったインドのバンドをサポートするだけでなく、彼のレーベルは BEHEMOTH や DIMMU BORGIR といった入手困難なバンドのアルバムをライセンスしリリースしました。また、元 DEMONIC RESURRECTION のベーシストである Husain Bandukwala と共に、インドで唯一のエクストリーム・メタル専門のフェスティバルである”Resurrection Festival” を立ち上げ、長年にわたって運営しました。

インド・メタルシーンの柱としての Demonstealer の地位は議論の余地がありません。しかし、自身の影響力と遺産について彼は実に控えめです。
「でも、もし私がやらなかったら、おそらく他の誰かがやってきて、いつか私の成したことをすべてやっていただろうね。でも、もし私が何らかの形で貢献できたのなら、それで満足だ。私は人生をメタル音楽の演奏に捧げているのだから」
Sahil は、貧困が蔓延している社会構造に加え、意味のある音楽ビジネスのインフラがないため、インドでバンドを存続させるためには基本的な収入が必要だと説明します。また、移動距離が長いためバンに乗って全国ツアーに出ることはできず、飛行機代やホテル代も考慮しなければならないことも。さらに最近まで、独自のPAシステムを備えた会場を見つけられることは稀で、各会場でPAシステムを調達し、レンタルしなければなりませんでした。
「その結果、ほとんどのバンドが赤字になり、長期的には解散してしまうんだ。今はマーチャンダイズで、なんとかやっていこうというバンドもいる。ツアーができるバンドもあるけど、簡単なことではないんだよ」
Sahil は早い時期から、物事を実現するために必要なことは何でもやると決めていました。
「メタル・ミュージシャンを続けられるように、自分の人生を設計したんだ。親と一緒にいること、子供を作らないこと、休暇にお金をかけないことも選んだ。自分がやりたいことはこれだとわかっていたから、そういった犠牲を払った。もし、友人たちのように給料が高くない仕事をするなら、その予算でどうやって生きていくかを考えなければならないだろうからね」

幸運にも、彼は “Headbanger’s Kitchen” というチャンネルと番組で、YouTuberとしてのキャリアを手に入れることができました。当初は一般の料理番組としてスタートした彼のチャンネルは、仲間のメタルミュージシャンにもインタビューを行いながら Sahil が実践しているケト食を推奨するプラットフォームへと発展し、今では彼の主な収入源となっています。
しかし、彼の最愛のものがメタルであることに変わりはなく、彼自身の努力もあって、この10年ほどでインドのメタルシーンは花開き始めています。多くの色彩、創造性、活気を伴いながら。
THE DOWN TRODDENCE は、地元のケララ州の民族音楽の要素をスラッシュとグルーヴ・メタル・アタックに融合させたバンドです。ただし、インドから生まれるバンドは、インドと同じくらい多様でありながら、ほとんどの場合、彼らは民族的なモチーフを過剰に使用することはないと Sahil は語ります。
「というのも、この国のメタルの魅力のひとつは、自分たちの文化に反抗することだからね」
オールドスクールなスラッシュとメタルを演奏する KRYPTOS、ブルータルなデス/グラインドを演奏するGUTSLIT、シッキム州の SKID ROW, もしくは WHITESNAKE とも言われる GIRISH AND THE CHRONICLES、メイデン風の高音ボーカルでホラー・メタルを演奏する ALBATROSS, 弊誌でインタビューを行ったインドの DREAM THEATER こと PINEAPPLE EXPRESS などこの地のメタルは意外にも、伝統への反抗意識から西欧の雛形を多く踏襲しています。

しかし、彼の地の多くのスタイルやサブジャンルが西洋の聴衆になじみがある一方で、社会的・政治的システムへの怒りや、地元の文化や神話を参照した歌詞には、インド独特の風味が際立ちます。ムンバイのスラッシャー、ZYGNEMA の最新シングル “I Am Nothing” は、インドの多くの地域で未だに悲しいことに蔓延している女性差別やレイプ文化に対して憤慨した楽曲。そして、The Demonstealer のバンドである DEMONIC RESURRECTION は、壮大なブラック・シンフォニック・デスメタルを得意とし、前作 “Dashavatar” はヒンドゥー教の神 Vishnu の10のアバターについて論じています。
その “Dashavatar” のリリースから発売から4年以上が経ちました。Sahil が詳述したロジスティックとファイナンシャルの問題により、バンドは過度に多作することができませんが、シンガー/ギタリストの彼自身はその限りではありません。WORKSHOP というコメディロックバンドや、REPTILIAN DEATH というオールドスクールなデスメタルバンドでも演奏し、現在は SOULS Ex INFERIS という国際的なアンダーグラウンド・スーパーグループでもボーカルを担当しています。その無限のエネルギーと情熱をソロ・プロジェクト Demonstealer に注ぎ込み、最新作のEP “The Holocene Termination” をリリースしました。この作品は、タイトルが示すように黙示録的であり、The Demonstealer 自身は、自分のネガティブな感情を全て注ぎ込んだと語っています。
「みんな今日起きて、パソコンを開いて最新の恐ろしいニュースを見るのが怖いくらいだと思うんだ。世界がどこに向かっているのか、自分がどう感じているのかを表現するには、音楽が一番だ。COVID にしろ気候変動にしろ、人々はどんどん頭が悪くなり、とんでもない陰謀論にひっかかり、学校で習った最も基本的な科学も忘れている。まるで進化を逆から見ているようだよ」
Demonstealer にはドゥーム系のダークな雰囲気が漂っていますが、Sahil Makhija はもっとポジティブで、特に彼が愛するヘヴィ・メタルの未来については楽観的です。
「インドのバンドがもっと国外に進出するのは間違いないだろう。10年前と比べると、みんなもっとたくさんツアーをやっているし、国際的なバンドがインドで演奏することも増えてきた。今後数年の間に、インド全土でそれなりのシーンと強力なオーディエンスを築き上げることができると思うよ」

その筆頭格が、ニューデリーの BLOODYWOOD でしょう。スラミング・ラップ・メタルとインドの民族音楽を組み合わせ、英語、パンジャブ語、ヒンディー語を織り交ぜながら、政治的、個人的な問題に正面から取り組む歌詞を描いた彼らのユニークなサウンドは、近年ますます話題になっています。
Sahil は、彼らがインドのバンドの中で最も国際的にブレイクしそうなバンドであり、3月に4回のイギリス公演を含むヨーロッパ・ツアーと、来年末の Bloodstock への出演が予定されていることに期待を膨らませます。
「インドはとても大きく、多様性に富んでいて、これがインドだと断定できるものは何もない。彼らはパンジャブ音楽を使うけど、その音楽はインドの南部では人気がないんだ。言語も文化も音楽も違う。国語もなく、すべてが多様なんだよね。でも BLOODYWOOD は、欧米や世界中の人が “インドのメタルはどんな音だろう?”と興味を持ったときに、聴きたいと思うようなものを捉えているんだ」
BLOODYWOOD が2018年に、”ラジ・アゲインスト・ザ・マシーン” という洒落たタイトルのツアーでヨーロッパを回ったとき、それはギタリスト、プロデューサー、作曲家の Karan Katiyar の言葉を借りれば “人生を変えるような経験” であったといいます。
「あの体験から立ち直れていないまま、もう2年も経ってしまったよ(笑) 俺たちにとっては1ヶ月の映画のようなもので、あらゆる感情が1000倍になっていたからね。友人たちは、俺たちがいつもその話をしていることにうんざりしているくらいでね。なぜなら、パンデミックに襲われる前、俺たちの人生で最後に起こった面白い出来事だったから。アレをもう一度、体験したいんだ」
3月にはヨーロッパに戻り、イギリスでの公演も予定されており、Bloodstook への出演も延期されていることから、彼らはその機会を得ることができそうです。今回は、煽情的なデビュー・アルバム “Rakshak” を携え、バンドを取り巻く興奮は最高潮にまで高まっています。

BLOODYWOOD の広大な多様性の感覚は、”Rakshak” で完璧に捉えられています。ヒンディー語と英語の混じった歌詞、そして常に変化し続けるサウンドで、このバンドを特定することは非常に困難な仕事となります。彼らは亜大陸の民族音楽(といっても北部パンジャブ地方が中心)を使うだけでなく、メタルの様々な要素を取り込んでいるのですから。彼らの曲の多くには明確に Nu-metal のグルーヴが存在しますが、時にはスラッシュやウルトラ・ヘヴィーなデスコアのような攻撃をも持ち込みます。
「俺らを特定のジャンルに当てはめるのは難しいよ。曲ごとにサウンドが大きく変わるから、インドのフォーク・メタルというタグに固執するのは難しいんだ。ジャンルが多すぎて特定できないけど、インドのグルーヴと伝統的なインドの楽器、そしてもちろんヒップホップを取り入れたモダン・メタルというのが一番わかりやすいかな」
そう Karan が分析すると、ラッパーの Raoul Kerr が続けます。
「ワイルドなアマルガムだよ。俺らは東洋と西洋の影響、その間のスイートスポットを探しているんだ」
シンガーの Jayant Bhadula がまとめます。
「これは様々な香辛料を配合したマサラ・メタルなんだよ(笑)」
どように表現しようとも、BLOODYWOOD のサウンドは実にユニークで、しかしそれ故にその開発には時間がかかりました。Raoul が説明します。
「観客の反応を理解し、完璧なバランスを見つけるために、何度も何度も実験を繰り返した結果なんだ。いったんスイート・スポットが見つかると、あらゆる可能性が開けてくる。インドの伝統音楽とメタル、この2つを融合させる新しい方法を見つけるのはまだまだ挑戦だけど、俺たちはこの方向性にとても満足しているんだ。このアルバムでは、そんなサウンドをたくさん聴くことができると思うよ」

2016年にニューデリーで結成されたこのバンドは、まずポップスやフォークソングを “メタライズ” した数々のカバーで、すぐにインターネット上でセンセーションを巻き起こしました。女優の Ileana D’Cruz がバングラ・ポップのヒット曲 “Ari Ari” の彼らのバージョンを何百万人ものインスタグラムのフォロワーと共有したときには、正真正銘のボリウッド・クロスオーバーの瞬間さえ起こしました。Raoul が振り返ります。
「ワイルドな時代だったね! 俺たちは自分たちのサウンドを発見し、オーディエンスを構築するためにカバーを使用したんだよ。それから自分たちの楽曲に集中した。アルバムには自分たちのオリジナルだけを収録したかったからね」
BLOODYWOOD というカレーには、メタル、ヒップホップ、バングラビートに伝統音楽。それ以外にも様々な香辛料が使用されているようです。
「あらゆる種類の音楽を聴いているよ。個人的にはメタル、ヒップホップ、ロックといったジャンルが好きだけど、どこの国の音楽であろうと、良いものは良いというのが俺らの共通認識なんだ。俺たちが作る音楽はそれを体現していて、どんなに異なるジャンルに見えても、全てに共通するものがあることを示している。Karan はThe Snake Charmer(インドで最も有名なバグパイパー)のプロデュースを、Jayant は穏やかな電子音楽とアコースティック音楽に情熱を注ぎ、Raoul は使命感を持って詩的なラップミュージックを作っているからね」
SNS は間違いなく、彼らのような “第三世界” のバンドにとってかけがえのない武器となります。
「間違いなくね。SNS のおかげで、地球上の人々はかつてないほど共感して、俺たちの音楽やメッセージに共鳴してくれるすべての人とつながることができるようになった。SNS は、俺たちが一体となって行動し、音楽の枠を超えてインパクトを与える力を与えてくれるんだ。俺たちのコメント欄をスクロールしてみると、俺たちとともに、インターネット上で最も美しい場所を作り上げている人々がいることがわかる。俺たちの成功は、ソーシャルメディアのポジティブな側面で築かれたものなんだ」

彼らにとって “妊娠期間” とも言えるカバーの時期は、BSB、50 cent、アリアナ・グランデ、そして NIRVANA, LINKIN PARK の曲を残酷にカバーしたアルバム “Anti Pop Vol.1″ で最高潮に達します。しかし、リック・アストリーをリフロールしていないときは(”Never Gonna Give You Up” の見事なヘヴィ・ヴァージョンが収録されている)、彼らは自分たちの楽曲に取り組み、それをよりシリアスなものへとゆっくりと変容させていったのです。
ライブ・セットでは時折騒々しいカヴァーが演奏されることもありますが、バンドは “ポップ・ミュージックを破壊する” という初期の目標よりも、もっと重要な目指すべきものがあることに気づくようになりました。自分たちのサウンドを発展させるだけでなく、自分たちが築いたプラットフォームを使って、自分たちが信じるものについて立ち上がり、発言するようになったのです。
BLOODYWOOD が真のデビュー作と位置づける、ヒンディー語のタイトル “Rakshak” は “保護者” と訳され、彼らの楽曲の多くにこのテーマが宿っています。Jayant が説明します。
「曲を聴いていると、守られているという感覚がある。でも、救世主が助けに来てくれるという意味ではないんだ。アートワークを見ると、子供と象が描かれているよね。象は、人間というこの壊れやすい生き物の中にある強さを表現しているんだ」
Raoul が付け加えます。
「より大きな視点で見ると、より良い世界への希望を象徴する人々、そして信念を守ることを歌っているんだよ。対立する政治をなくすことでも、性的暴行をなくすことでも、腐敗したジャーナリストの責任を追及することでも。何でもいい。大事なのはその希望の感覚を守ることなんだ。俺たちは、プライベートでも仕事でも、より良い世界への希望を与えてくれる多くの人々に出会ってた。俺たちが音楽を作る理由のひとつは、音楽が変化の触媒になり得ると信じているからなんだよ。音楽が俺たちに与えてきたポジティブな影響を考えれば、より良い世界を作る間接的な能力があると信じるに足るからね。
このアルバムは、俺たちが直面しているあらゆる課題から、人と地球全体を守るための共同作業について書いてある。俺たちは、問題を完全に排除することでこれを実現したいと考えているんだ。なぜなら、最善の防御は優れた攻撃であるから。分裂した政治、汚職、有害なニュース、性的暴行、いじめに関するメッセージや、うつ病との闘い、自分の限界への挑戦など、個人的なメッセージも封じながらね」

Karan、Jayant、Raoul の3人が中心となって結成され、ツアー時にはさらにメンバーが加わる BLOODYWOOD は、メンタルヘルスやいじめといった問題についても焦点を当てています。例えば、オンライン・カウンセリングを必要としているファンに無料で提供したり、ツアーの収益を NGO に寄付して、ホームレスの動物を助けるための救急車を提供したり。
例えば “Yaad” は、人間と人間の親友である犬の感動的な物語を通して、愛と喪失という普遍的な人間の経験を祝福するものです。 “Yaad” はヒンディー語で “思い出す”、”記憶の中で” という意味で、Karan の実体験を通して愛する人やペットを失ったことを受け入れて前に進む力について歌っています。
「この歌詞は、彼らが俺たちに与える永久的な影響を祝福し、どんなに離れていても、最高の思い出として彼らを胸に留め続けるという信念を繰り返している。俺は10年前に愛犬を亡くしたけど、今でもその喪失感を感じているんだ。MV では、そのメッセージを強調するために、人間と愛犬の絆を見せたいと思ったんだよ」
この曲とビデオの精神に基づき、BLOODYWOOD は、The Posh Foundationという地元の非営利動物保護施設に動物の救急車を購入する資金を提供しました。同団体が以前使用していた車両は、酷使と故障のために買い替えが必要でした。今後5年間でインドの首都圏にいる27,000匹以上のホームレス動物の命を救うことができるといいます。

一方で、”Machi Bhasad” は、高揚感とエネルギーに満ち、世界を変える声となります。
「元々は Ubisoft のゲーム “Beyond Good and Evil 2” のために作られた曲だ。新しい世代のパワーと、前世代よりも良くなる可能性を称える政治的メッセージのあるトラックなんだよ。ゲームの文脈の外では、この曲はトリビュートと行動への呼びかけ、その両方を意図している。俺たちのような人々に、かつて皆のためになることを考え、行動するようインスピレーションを与えたミュージシャンやリーダーへのトリビュート。同時に、多くの人の犠牲を払って少数のエリートに奉仕する不公平なシステムに疑問を投げかける。俺たちの世代が、先人たちが始めた仕事をやり遂げるための行動への呼びかけでもあるんだよな。世界をより良い方向に変えていくために」
パンジャブ語で “勇者よ生きろ” という意味の “Jee Veerey”は、鬱と戦い、心の健康を提唱するエモーショナルなテーマになっています。また、このシングルに関連して、オンライン・カウンセリングサイト HopeTherapy と提携し、彼らはバンドが負担する50回のカウンセリングセッションを提供しているのです。
「BLOODYWOOD の初日から俺たちは言っているんだが、メタルは楽しいものなんだ。いつも怒っている必要はないんだよ。よく、メタルは人生だと言われている。だから、喜んだり、悲しんだり、冷静になったりしてもいいんだよ。
俺らの曲が好きだという人からメッセージをもらったんだけど、そこには “でも、同性愛嫌悪や女性嫌悪に対するあなたの立場は?”って書いてあったんだ。俺はただ、”好きな人を好きになればいい” と言ったんだ。俺たちは、基本的にとてもオープンなんだよね。そういうメッセージを発信したいんだ」

Raoul にとって、”Raj Against The Machine” のタグ(バンドが最初のヨーロッパ公演の際に撮影したツアードキュメンタリーのタイトルでもある)は、単なるダジャレ以上のものでした。ラッパーである彼は、RAGE AGAINST THE MACHINE から音楽的にも活動面でも最も大きな影響を受けているからです。
「彼らは音楽が政治的、社会政治的な観点からどこまで行けるか、そして理想やアイデアの背後に人々を集結させるという点で、音楽がどれほど強いかを証明したんだよ。ほとんどのアーティストは、自分たちのやっていることで足跡を残したいと思っているし、俺たちも人々の生活にポジティブな影響を与えたいと思っている。それは作曲するときに常に念頭に置いていることで、このバンド全般のテーマは、この世界に価値を与えるものでなければならないということなんだ」
彼らは、そのポジティブさと正義の怒り、そして驚くほどユニークな音楽の組み合わせを、もうすぐ世界を震撼させることになるでしょう。
「どこに行くのか正確にはわからないけど、100パーセント確実に言えるのは、このアルバムにすべてを捧げたということだよ。完璧な嵐のように感じるよ。新しいセットでより高いレベルで戻ってくるし、フェスティバルもあるし、今年は本当に爆発するような、そんな良いポジションにいると思う…..音楽が音楽を超えて現実に影響を与えること、音楽が世界を変えることができることをさらに証明したいんだよ」
最後に、BLOODYWOOD とは結局、何なのでしょう?
「BLOODYWOOD はバンドであると同時にファミリーであり、ムーブメントでもあるんだ。俺らの音楽は、地球に永続的でポジティブなインパクトを与えるためのものなんだよ」

参考文献: KERRANG!:Bloodywood: “The theme of this band is that it has to be something that adds value to this world”

KERRANG!:Meet the man who brought metal to India

REVOLVER:WATCH INDIAN METAL VIRAL STARS BLOODYWOOD’S UPLIFTING NEW VIDEO “JEE VEEREY”

BLOODYWOOD BANDCAMP

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PINEAPPLE EXPRESS : ANTHEM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PINEAPPLE EXPRESS !!

“Bollywood” Just Translates To “Mainstream” For Me. Prog Is a Genre That Is Overlooked By The Mainstream Audience. But We Are Trying To Make It Accessible And Enjoyable For The Regular Listener. “

DISC REVIEW “ANTHEM”

“バーフバリ” やボリウッドの成功が象徴するように、桃源郷のようなインドのエンターテイメントは世界中を席巻しています。そして、モダンプログ/メタルの世界においても、インドはもはや目が離せないニューフロンティアとなっています。
PERIPHERY のキャッチーと TesseracT のアトモスフィアを抱きしめる SKYHARBOR、インドの伝統音楽を複雑怪奇に探求する AMOGH SYMPHONY, Bruce Soord, Steve Kitch の知を導入した PARADIGM SHIFT, ダークでオルタナティヴなピンクフロイド COMA ROSSI, そしてもはやベースワールドのトッププレイヤーとなった Mohini Dei。すでに、インドの活況はプログレッシブユートピアの相を呈していますね。
中でも、PINEAPPLE EXPRESS はそのインドのカラフルで煌びやかな悦楽の園を、見事にモダンメタル/プログの世界へと投影したエルドラドです。
「僕たちの音楽が持つポテンシャルを最大限発揮するためには、より多くの要素が必要だと悟ったんだよ。」バンドの創設者でキーボードプレイヤー YOGEENDRA が語るように、インド音楽シーンのハブ都市バンガロールに端を発する PINEAPPLE EXPRESS は、その壮大かつ多様な音楽性を具現化するために、8人のメンバーを揃えることとなりました。
フルートにヴァイオリン、そしてダブル、時にトリプルボーカルとなる豊かな旋律のアンサンブルは、最新シングル “Anthem” のまさにアンセムたる由縁です。そして、インドの伝統音楽から DREAM THEATER、SKRILLEX まで、通過した全ての音楽を等しく愛すると語る YOGEENDRA の言葉通り、モダンプログ/メタルはもちろん、Nu-metal, EDM, マスロック、ジャズ、エレクトロニカ、ヒップホップと涌き出でるその多様性の泉は、言語的ビッグバンをも伴って、圧倒的なフックと高揚感を孕みながらリスナーのエナジーへと変換されていくのです。
さらに、PVの熱狂的なオーディエンスが物語るように、その音楽とライブパフォーマンスが放つ圧倒的なスペクタクル性は、PINEAPPLE EXPRESS こそプログワールドにおける次世代の旗手である証なのかもしれません。
「僕にとって “ボリウッド” という言葉は “メインストリーム” と同義なんだ。そしてプログというジャンルはメインストリームのリスナーから見落とされていると思うんだ。だからこそ、僕たちはプログをよりアクセシブルに、一般的なリスナーが楽しめるように味付けしようとしているんだよ。」彼らはボリウッド成功の秘訣を理解しています。そしてあのゴージャスな浮世絵巻きを愛するプログの世界へと持ち込み、停滞するシーンに活路を見出そうとしているのかも知れませんね。
ただし、EP “Uplift” の複雑極まるオープナー “Cloud 8.9” を聴けば伝わるように、バンドの創造性、ハイテクニック、コンポジションはすでに名だたるプログロースターにも一切引けを取りません。むしろ従来のプログメソッドでも十分勝負可能なアビリティーを備えながら、メインストリーム、一般リスナーを意識した彼らの舵取りは、それこそが真の意味での “プログレッシブ” を体現しているのかもしれませんね。
今回弊誌では、4人のメンバーにインタビューを行うことが出来ました。公開数日での15万再生突破は伊達ではありません。さらに、旬のサウンドマン ARCH ECHO の Adam Bentley がミキシングを手がけたアンセムをぜひ。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MUTE THE SAINT : MUTE THE SAINT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RISHABH SEEN OF MUTE THE SAINT !!

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Sitar Fronted Instru-metal Four Piece From India, Mute The Saint Has Just Released Indian Classical Music Meets Modern Prog Metal Record “Mute The Saint” !!

DISC REVIEW “MUTE THE SAINT”

世界で初めてインドのフォークミュージックとモダンプログを融合させた、新たな開拓者 MUTE THE SAINT が記念すべきセルフタイトルのデビュー作 “Mute the Saint” をリリースしました!!トラディショナルなシタールの響きと、近未来感溢れるテクニカルメタルのフュージョンは、時間も文化も越えて世界中のリスナーに新鮮な驚きを与えています。
バンドのリードシタール奏者でコンポーザー、Rishabh Seen が大きな注目を浴びたのはインターネットの世界からでした。推しも押されぬ Modern Prog Metal のリーディングヒッター、ANIMALS AS LEADERS の楽曲をシタールでミステリアスにカバーした Rishabh の動画は瞬く間に評判を呼び、海外の大手メタルサイトなどで大々的に取り扱われることとなったのです。
しかし、あくまでもカバーはカバー。彼が真に評価されるべく立ち上げたオリジナルバンドこそが MUTE THE SAINT でした。シタール、ギター、ベース、ドラムスという前代未聞のインストゥルメンタルバンドは、驚くことに1度もメンバー同士会ったことがありません。しかしながら、インタビューにもあるように、”Mute the Saint” を聴けば、インドの古典音楽とプログメタルの架け橋となるべく集結したこのユニークな音楽集団に大きな可能性、未来が広がっていることは明らかでしょう。
アルバムオープナー、”Welcome the Change” はまさにリスナーを変化に誘う予告状。オリエンタルなシタールのイントロが鳴り響くと、目の前には確かにタージマハルの壮観や雄大なガンジスが広がります。しかし、同時に MUTE THE SAINT は架け橋でありバンドです。そこにプログメタル由来の奇数拍子、Djenty なギターリフ、4人のタイトな演奏、複雑な構成美が登場し溶け合うと、遂に彼らの斬新かつ魅力的な全体像、ビジョンが顕になるのです。
実際、”Mute the Saint” は驚くほどバンドらしい作品です。Rishabh の個性的なサウンドに一歩も引けを取らない Josh Seguin のギター捌きは白眉で、毛色の違うリード楽器が交互に主役を務める様は実に壮観だと言えますね。さらには “Calypso” のようにバンド全員の高い技量を個々にフィーチャーした楽曲まで存在するため、アルバムには時に偉大な THE MAHAVISHNU ORCHESTRA や、DIXIE DREGS を想起させる瞬間まで訪れるのです。
5曲という曲数ながら、多様性=モダンな魅力に満ちていることは作品のもう一つの鍵だと言えるでしょう。”Sound of Scars” はそのマイクロトーナルな響きが誘うダークでカオティックな音像が驚くことに Black Metal さえイメージさせますし、最後には “In Silence We Will Remain” の METALLICA へのリスペクトと共にアグレッシブでスラッシーな一撃でアルバムを締めくくります。
今回弊誌では、雄弁なシタールプレイヤー Rishabh Seen にインタビューを行うことが出来ました。来日ツアーの経験もある Rishabh。インターネットから生まれたこの素晴らしき”シタールメタル”が、日本とインドの架け橋にもなることを願います。どうぞ!!

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MUTE THE SAINT “MUTE THE SAINT” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SKYHARBOR : GUIDING LIGHTS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KESHAV DHAR OF SKYHARBOR

INDIA BASED SUPER PROG/DJENT BAND SKYHARBOR RELEASED THEIR AWESOME NEW ALBUM “GUIDING LIGHTS”!!

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インドの新鋭、DJENT/PROG 界期待の星、SKYHARBOR が待望の 2ND ALBUM “GUIDING LIGHTS” を BASICK RECORDS からリリースしました。 先日レビューにも綴りましたが DANIEL TOMPKINS が正式に加入、バンドも固まって DJENT とアトモスフィアを融合させた POST-DJENT という方向性が明確に定まったモダンメタルの大傑作だと思います。バンドの中心人物の一人 KESHAV DHAR にインタビューを行う事が出来ました。”GUIDING LIGHTS” を紐解き、さらに良く理解するためにぜひ読んでみて下さい。どうぞ。

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VIDEO MESSAGE + PRE-REVIEW : GUIDING LIGHTS 【SKYHARBOR】


VIDEO MESSAGE TO JAPAN FROM DEVESH DAYAL OF SKYHARBOR!!!

PRE-REVIEW : GUIDING LIGHTS BY SKYHARBOR

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SKYHARBOR WILL RELEASE THEIR 2ND ALBUM “GUIDING LIGHTS” ON 11/10 !!

インドの新鋭、DJENT/PROG 界期待の星、SKYHARBOR が11/10 に待望の 2ND ALBUM “GUIDING LIGHTS” を BASICK RECORDS からリリースします。マネージメントのご厚意で発売に先駆けて全曲聴くことが出来ました。レヴューと ギタリスト/ソングライター、KESHV のコメントを掲載します。

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ABOUT “GUIDING LIGHTS”

Guiding Lights offers 10 new tracks of exhilarating and heady progressive music, weaving a sonic tapestry of technically beautiful and imaginative melodies around crunchy metal riffs and sweeping, atmospheric vocals.
The album was funded by fans after a fast-paced and successful PledgeMusic campaign and has been mixed and mastered by legendary Australian producer Forrester Savell (Karnivool, Animals As Leaders, Dead Letter Circus).
“GUIDING LIGHTS” は爽快なプログロックの新曲が10曲収録されています。美しくテクニカルな音のタペストリーと創造性のあるメロディーがクランチーなメタルリフと押し寄せるアトモスフェリックなボーカルに共鳴しています。このアルバムは PLEDGEMUSIC CAMPAIGN をファンの方々によるファンドで成功させる事により製作されました。非常に早いペースで集まりましたね。ミックスとマスタリングはオーストラリアの伝説的プロデューサー、FORRESTER SAVELL (KARNIVOOL, ANIMALS AS LEADERS, DEAD LETTER CIRCUS) が手掛けていますよ。

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Track-listing:
1. Allure  6:46
2. Evolution  5:39
3. Idle Minds  7:46
4. Miracle  5:59
5. Halogen  7:02
6. New Devil  6:55
7. Patience  4:42
8. Guiding Lights  9:22
9. Kaikoma  4:37
10. The Constant  9:33

【COMMENT FROM KESHAV DHAR】

“We are thrilled to announce that our second record is officially complete, and it is titled ‘Guiding Lights’. We have worked incredibly hard over the last two years on making this album the most spectacular effort we could create, and we thank our AMAZING fans for helping bring it to life and take it to the next level! We can’t wait for you to sink your teeth into it!”
公式に僕らの 2nd アルバムが完成したことを発表出来て興奮しているよ。タイトルは “GUIDING LIGHTS” 。このアルバムを作る為、過去2年以上に渡って僕らは信じられないくらい働いたね。僕らが作り得る最高の物が出来たと思うよ。このアルバムに息を吹き込み、一段上の段階に進む手伝いをしてくれた僕らの AMAZING なファンのみんなには本当に感謝しているよ!君達がこのアルバムに没頭するのが待ちきれないね!
                                                                          KESHAV DHAR

【REVIEW : GUIDING LIGHTS】

全てが一段も二段も進化した作品。そう評価せざるを得ないでしょう。彼らのデビュー作、“BLIDING WHITE NOISE: ILLUSION & CHAOS” MARTY FRIEDMAN (ex-MEGADETH), DANIEL TOMPKINS (TESSERACT), VISHAL J. SINGH (AMOGH SYMPHONY) といった錚々たるメンツをゲストに向かえ製作されましたがその事よりも作品の内容、質の高さで世界に驚きを持って迎えられました。LOG のクリス・アドラーをして”Right now, I am very much into a band called Skyharbor from India”(今、インドの SKYHARBOR ってバンドにクッソハマってるぜ)などと言わしめた訳ですから。
それから3年。DANIEL を正式メンバーに向かえ製作された本作は完全にアジアの音楽が世界レベルで戦える事を証明しています。まず KARNIVOOL やAAL, DLC などを手掛けたプロデューサー、FORRESTER SAVELL を起用した事により全体的に音の良さ、クリアさ、”圧”が際立っていますね。加えて、TESSERACT にも復帰しノリにノッているダニエルの歌唱には本当に目を見張るものがあります。彼らの目指す DJENT とアトモスフィアを融合させた POST-DJENT。その美しさを表現するのに彼以上の適任はいないでしょう。確かにガチガチの DJENT っぽさやスクリームはかなり減ったのでそこを求める向きには少々物足りないかも知れません。ただそこは僕達の PERIPHERY に任せれば良い訳で。SKYHARBOR は DEFTONES やTOOL の血を引く KARNIVOOL, DEAD LETTER CIRCUS といった新世代オルタナと SIGUR ROS やそれこそ日本が誇る MONO のような美しいポストロックの空気を目一杯吸い込んだ POST-DJENT 確立するべきだと思うし、このアルバムで確立したと言っても過言ではないと思います。
T5 HALOGEN, タイトル曲の長尺曲 T8 GUIDING LIGHTS を聴けば TESSERACT よりもさらにオーガニックなアトモスフィアを追求する彼らの挑戦が感じ取れると思います。だからと言ってキャッチーさが後退しているかというと全くそんな事はなくアルバム最後を飾る T10 THE CONSTANT などはこちらも10分近い大曲ですが DJENT の持つダイナミズム、ポストロックのアトモスフィア、プログロックの構成美、新世代オルタナのキャッチーさ全てを兼ね備えた DJEPICAL な曲に仕上がりました。T1 や先行公開された2曲も非常にキャッチーで新しいファン層を取り込む事に貢献するでしょう。T9 KAIKOMA で日本語のナレーションが使用されているのも嬉しいですね。SKYHARBOR が最早プロジェクトではなくタイトなバンドとなった事を証明する方向性のしっかり定まった傑作です。 THIS IS POST-DJENT!!

                   RATING 10/10

WAIT WITH LISTENING THEIR 1ST ALBUM

 

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Guiding Lights follows on from the critically acclaimed 2011 debut ‘Blinding White Noise: Illusion & Chaos’ which won the band fans worldwide, including Lamb of God who handpicked the band to support them in India and saw the band picked to play at festivals across the globe including Euroblast, Techfest, Download, and Graspop and resulted in awards for Best Song, Best Album and Best Band at the Rolling Stone India Metal Awards.

http://store.basickrecords.com/artist/skyharbor

https://www.facebook.com/skyharbormusic

AND YES!! WE NEED MORE, ANUP!!

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【AMOGH SYMPHONY】


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【VECTORSCAN】

インド、ロシア、アメリカの混合多国籍バンドAMOGH SYMPHONY。彼らのTHE QUANTUM HACK CHORD以来4年ぶりのサードアルバムVETORSCAN9/16にリリースされます。
発売前に全曲試聴+コンセプトを読ませて頂いたのですが彼らのファンは少し驚くかも知れませんね。前作もコンセプトアルバムでアーティスティックな要素は多分に含まれていましたがあくまでPROG/TECH/DJENT-METALの範疇で、VISHALの驚異的なギタープレイを筆頭にバンドのハイレベルな演奏が非常に魅力的でした。
今作も勿論演奏はハイレベルなのですが彼らの持つAVANT-GARDE/EXPERIMENTAL/CONTEMPORARY/JAZZの要素を前面に押し出したような作風になっています。ワタシはこの変化を非常にポジティブに受け止めました。壮大なストーリーと綿密に編みこまれた音楽。それはインドとチベットのハーフというVISHALの出自と密接に関わり合い、チベット/アッサム地方の民族音楽をはじめとしたアジア色豊かで映画のようなアルバムへと昇華しています。飽和気味のシーンにこのバンドにしか作り得ない唯一無二の芸術を叩きつけたのではないでしょうか。

では少しだけストーリーをお話しましょう。”KALYUGA”という世界のお話です。人口は減少し、ポジティブな力は陰り、人々が神を信じなくなった時代。KALYUGAの最後の日は確実に迫っています。人類に国、政治、医療、産業を教え全てを統制のとれたものにした闇の軍勢 ’OSIR’が、スピリチュアルな力で人と人を結び付けてKALYUGAを守ろうとしている’KARNA’とその国SATYUGAに侵攻しようとしているのです。良き魂を救いこの国を守ることが出来るのでしょうか。

どうです?これだけでもSFファンはそそられるのではないでしょうか。今回はゲストミュージシャン、楽器も多く、VISHALの母上まで参加しています。正規メンバー3人全員にインタヴューすることが出来ました。どうぞ。

 【ABOUT AMOGH SYMPHONY】

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Hi, How are you today?

Vishal : I am good. Thanks.

Jim : You mean, how are you yesterday?  My today is your yesterday.   Oh, I am great!!!! Haha

Andrey: Genki desu, thanks.

What do you like about Japan?

Japanese food, martial art, Cornelius, Yellow magic orchestra.

食事、武道、コーネリアスにYMO。日本が好きだよ。

Q1. Amogh Symphony is a multinational band from India, Russia, and US. I think Amogh Symphony began as solo project of Vishal. How can you,three members, get together?

Jim : I am Jim Richman, drummer percussionist for Amogh Symphony.   I have been playing the drums over 30 years.  I like ALL kinds of music.  I like going to thrift stores and going through CDs, looking for ones to sell on Amazon.    My drumset is a MADE IN JAPAN Tama Exotix 2005 Red Viking Bubinga kit with a Scandinavian Birch finish.    I like all different cymbals.  I use Vic Firth 5A and also 6A Birch sticks.     Somehow, Vishal saw a video of me playing drums on Youtube. Thru Myspace, he would send me demos of his to check out.  I would tell him what I thought.  Fast forward and Vishal did ATOS.   I knew he did it, but never heard it.   Vishal asked if I would want to do a Richman/Singh Project.  He sent me a short track to do drums on.  I did that and realized it had to be Amogh Symphony.  So I joined.  Then Vishal found Andrey at the playground on the monkey bars.

Q1: AMOGH SYMPHONYはインド、ロシア、アメリカからなる多国籍バンドでもともとはVISHALのソロプロジェクトとして始まりました。3人はどうやって出会ったのですか?

【JIM】:僕はJIM RICHMAN。AMOGH SYMPHONYのドラマー/パーカッショニストだよ。ドラムは30年以上叩いているんだ。どんなジャンルの音楽も好きだよ。中古屋でくまなくCDを物色してAmazonの出店サービスに出すのが好きなんだ。ドラムセットは日本製でTama Exotix 2005 Red Viking Bubinga kit with a Scandinavian Birch finishだよ。シンバルは全て違うものを使っている。スティックはヴィクファースの5Aと6A、バーチだよ。
出会いの話だけど、VISHALがMyspaceに挙げていた僕の演奏動画をYou Tubeで見たんだ。それで僕にデモを送ってきたんだ。チェックしてくれってね。彼に思っている事を伝えたよ。それから彼はABOLISHING THE OBSOLATE SYSTEMを作ったんだ。作っているのは知っていたけど聴いてはいなかった。そうしたらVISHALがRICHMAN/SINGHプロジェクトをやりませんか?と聞いてきたんだ。ドラムを加えるショートトラックも送ってきた。それをやって分かったんだ、AMOGH SYMPHONYをやるべきだってね。それで加入したんだ。ANDREYはVISHALが運動場のジャングルジムで見つけた。

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Q2. And would you tell us your musical upbringing?

Jim : Started drums in high school.  I would play along with albums of The Who, Men At Work, Missing Persons, Chicago etc…a lot of classic rock.  Went to college, studied music, played in the Jazz Orchestra. I became a jazz snob and completely lost connection with pop music for 5 years. After, I made a habit of studying with the best teachers on the east coast.   Jim Chapin and Joe Morello were instrumental in my hand technique.  I always have been into studying jazz.   I play a little bit of keyboards, mainly chords of songs.   I know how to put together chords.  I think every musician needs to learn as many chords as possible.

Q2:音楽的背景を教えて頂けますか?

【JIM】:高校でドラムを始めたんだ。THE WHO, MEN AT WORK, MISSING PERSONS, CHICAGO…そういったクラッシックロックのアルバムに合わせて叩いていた。大学で音楽を学んでJAZZ ORCHESTRAでプレイしたよ。ジャズおたくになって5年ほどPOPミュージックとは完全に距離を置いていたんだ。その後僕は西海岸で一番の先生達について勉強する事になった。JIM CHAPINJOE MORELLOにはハンドテクニックを仕込まれたよ。ジャズを学ぶことには常に夢中なんだ。キーボードも少しなら弾ける。コードくらいだけどね。ただコードの仕組みは知っているよ。ミュージシャンなら出来るだけ多くのコードを知るべきだと思うんだ。

ぜひこちらも参照下さい。AMOGH SYMPHONYのHPから

【ABOUT VECTORSCAN】

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日本でのCDの購入はこちらから ASIAN ROCK RISINGさん

Q1: Anyway, Let’s talk about ‘VECTORSCAN’. I think lots of your fans surprised at drastic change of your music. Vectorscan is very different from Amogh Symphony’s earlier albums i.e. ‘Abolishing the Obsolete System’(2009) and ‘The Quantum Hack Code’(2010). Do you agree with that? From your website and fan page status updates, we read that lyrics are written in Assamese by Vishal’s late grandmother Labanya Prabha Nath. Vishal’s mother takes part in as a singer. There are lots of influences by traditional microtonal music and Mongolian/Asian Ethnic music. Please kindly tell us more about this. How all this happened?

Vishal : With every album, creating something new and different from previous material are what we always focused at. The first album ATOS was completely done by me alone. Then Jim helped me to upgrade the sound in second album TQHC. In this third album release, Andrey brought the microtonal and ethnic influence in the new album on which I studied further. Actually, it took me almost 3 years to study and explore further because I simply cannot stick to just one style and one sound. The concept story and some stanzas from poems/songs I found in my Late Grandma’s books had a strange puzzling connection that took me some time to figure out. Now, I was looking for someone who can sing like her, feel like her and sound like an advanced version of her voice. The only vocalist who could do that is my mother Kasturi Singh. She has a strong background in classical music, traditional dance, poetry and stories/ stage-dramas. She has control in microtones, intonations, vibratos and also she is versatile i.e she sings multi-styles of singing – jazz, classical, opera, Assamese folk etc. As a composer, I believe sticking to standard style of prog-rock or avant-garde music or jazz fusion makes things a bit uninteresting. Because for me, it’s important to see chemical reactions between different chemicals when mixed….that’s how I see the sounds.

Jim :  Vectorscan is the polar opposite of TQHC.  And also there are jazz, 10% metal, lo-fi electronic, etc. etc. But all in a background music score or soundtrack format.

Andrey: This album is more like a soundtrack to a movie rather than a ‘regular’ album. When you watch movies, you’re not after details. You need the atmosphere and the idea. And we’re delivering both.

Q1:では新作’VECTORSCAN’について話しましょう。多くのファンは劇的な音楽性の変化に驚くのではないでしょうか。’VECTORSCAN’は ‘Abolishing the Obsolete System’(2009) and ‘The Quantum Hack Code’(2010)といった過去の作品とは大きく異なっています。バンドのサイトで読んだのですが歌詞はチベット語でVISHALの亡くなった祖母Labanya Prabha Nathによって書かれているようですね。お母様も歌手として参加しています。音楽的にはマイクロトーン(微分音:半音よりさらに細かい)を使った伝統音楽やモンゴル/アジアの民族音楽の影響を感じました。それについて話して頂けますか?いったい何が起こったのでしょう。

【VISHAL】:どのアルバムでも僕らは以前のものとは違う新しい何かを作ろうとしてきたよ。1stアルバムATOSは完全に僕一人で製作した。2ndアルバムTQHCではサウンドをアップグレードさせるのにJIMが協力してくれた。そしてこの3rdアルバムでは僕はさらに学び成長し、ANDREYがマイクロトーナル音楽、民族音楽の影響を持ち込んでくれた。実際学び探求するのにほぼ3年要したんだ。ただ一つのスタイル/サウンドに止まっていたくなかったからね。祖母の本で見つけたコンセプトストーリーと何節かのポエム/歌はまるで不思議なパズルのようで理解するのに時間が必要だった。その後僕は彼女のように歌えて彼女のような雰囲気で彼女の声を進化させたような人を探し始めたんだ。それが可能なボーカルは僕の母KASTURI SINGHだけだったね。彼女はクラッシック音楽、民族舞踊、抒情詩、舞台演劇といった強力な背景を持っているからね。彼女はマイクロトーン、イントネーション、ビブラートを自在に操るし多才なんだ。ジャズ、クラッシック、オペラ、アッサムフォーク。何でも歌える。作曲者としてはただPROG-ROCK、AVANT-GARDE、JAZZ/FUSIONという一定のスタイルに拘るのは面白くないと信じていてね。僕にとっては異なったものを掛け合わせて起こる化学反応こそ重要だからね。そんな感じだよ。

【JIM】:VECTORSCANはTQHCと正反対の作品と言えるだろうね。ジャズと10%のメタル、エレクトロニカなどなど色々だよ。サウンドトラックのようなものだよ。

【ANDREY】:このアルバムは通常のアルバムと言うよりは映画のサントラのような感じだよ。映画を見るとき君は細かい内容より雰囲気や思考を求めるんじゃないかな。このアルバムにはその両方があるんだよ。

Q2:Vectorscan has very magnificent concept story. Is the story of Vectorscan related to the concept stories in ‘Abolishing the Obsolete System’ and ‘TheQuantum Hack Code’ or is it a completely fresh new story which is not related to previous albums?

Vishal : It is. You can say that it’s a trilogy. I don’t mind at all.

Q2:VECTORSCANには壮大なコンセプトストーリーがありますが‘Abolishing the Obsolete System’  ‘TheQuantum Hack Code’と関係があるのでしょうか。それとも全く新しい話ですか?

【VISHAL】:そうだよ。トリロジーと言っていいと思う。

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Q3:At first, I think Osir is a metaphor of China and Karna is a metaphor of Tibet. But Karna is a character from a hindu epic… Or is Osir a metaphor of Modern Society?? Does this story relate to real world? Or is this fully fiction, no metaphors whatsoever?

Vishal : Well, you have the story. If you read it more times, you will come to know it’s fictional, it’s related to real world and it can be just an imagination. We are thinking of posting the entire story on our site after release. It’s hard to explain in words. You just need to read it few times and think about it and understand it. I mean, what’s the point if things were all simple and straight-forward in life? Food for thought. Fuel for brain. If not a full featured film, I would love to arrange theater play on these stories.

Q3:物語を読んでまず思ったのがOSIRは中国、KARNAはチベットを暗喩しているのではという点です。ただKARNAはヒンドゥーのキャラクターで仏教ではありません。ではOSIRは現代社会を暗喩しているのでしょうか?それとも全くのフィクションなのでしょうか・・・

【VISHAL】:そうだね、それぞれの解釈があって良いと思うよ。何度も読めばこの話がフィクションで、現実世界に関係していて、ただの空想かもしれないって分かるだろうね。アルバムがリリースされたらストーリー全てを僕らのサイトにアップしようと思っているんだ。言葉で説明するのは難しいね。何度か読んで思考し理解する必要があるね。ポイントは・・・そうだね、もし人生において物事が全て単純で率直になったらどうなるだろう?思考の糧。考えてみて。全編じゃなくて良いからぜひこの映画をアレンジしてみたいね。

 Q4:’Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki.’  has aspect of Japanese traditional music. Is that right? And I heard Andrey can understand Japanese. What is Japan to Amogh Symphony?

Vishal : Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki is in Assamese. If translated to English, it means “A little glowing light, unknown. Storm, Lamp”. If you notice, the song titles are mostly written in rhyme-puzzles style or you can say hymns/mantras/chants styles used in tantric practices. Musically, it has Japanese traditional music influence with classical orchestration and jazz-metal. Andrey is specialized in traditional Japanese and Chinese music and instruments.

Andrey: What you said is correct. The arrangement indeed has a rather dark, sinister vibe to it, which is inspired by Japanese music. And yes, I speak some Japanese (along with some other Asian languages), I’m not too good though. As for Japan, it is indeed a bottomless abyss of a source for inspiration. Especially popular culture.

Jim : Japan is the one country that has bought the most CDs from us.  We have great support from Kazuo and Asian Rock Rising.  He has distributed a lot of CDs. We love Japan!   As a matter of fact, a music school group in Japan, the Waseda Chanson Society, actually played one of our songs off TQHC.  And it was amazing.  They played it better than us.

Q4:’Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki’は日本の伝統音楽を取りいれていますよね?ANDREYは日本語を話せると聞きました。AMOGH SYMPHONYにとって日本とはどんな存在ですか?

【VISHAL】:Junaki, Osinaki. Dhumuha, Sakiはアッサム語なんだ。英語に訳すと“A little glowing light, unknown. Storm, Lamp”。気づいたかもしれないけど曲のタイトルはほぼ韻を踏んでいるんだ。タントラ教の修練で使用される賛歌/マントラ/詠唱とも言えるだろう。音楽的には日本の伝統音楽がクラッシックのオーケストレーションとJAZZ-METALと合わさった感じかな。ANDREYは日本と中国の伝統音楽、楽器のスペシャリストなんだ。

【ANDREY】:君の意見は正しいよ。アレンジはよりダークで不吉な感じにしたけど日本の音楽にインスパイアされている。それに日本語も少しなら話せるよ。他にもアジアの言語をいくつか話せる。凄く得意って訳じゃないけどね。日本はインスピレーションの底なし沼さ。特にポップカルチャーはね。

【JIM】:日本は僕らのCDを一番買ってくれる国の一つだよ。Asian Rock RisingのKazuoには本当にサポートしてもらってるんだ。彼は多くのCDを扱っている。僕らは日本を愛しているよ!実は早稲田シャンソン研究会ってサークルが僕らのTQHCの曲をカバーしているんだ。素晴らしかったよ。僕らより上手いくらいだ。

【INSPIRATIONS】

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Q1:Tell us about your inspiration – Krzysztof Penderecki. What is Avant-Garde according to you?

Vishal : Krzysztof Penderecki is one of the greatest influences for many avant-garde composers and theaters. For me, avant-garde is a state of mind where you begin to think after complete evolution. An edge of thought where you think of crossing the barrier once you’ve read and understood all instead of directly jumping to a new concept. A certain point where you believe knowledge could sometimes bring back some of the old concepts to replace some of the new ones. Fixing the mistakes of the neo-generation because the upgrade demands stability which neo-minds fail to execute due to lack of knowledge in history. It’s important to know “what all happened in all these years” before you think “what should come tomorrow”. A bridge between spiritual development and practical life where you can cosmic heal a disease yet you learn modern business statics. Basically, no boundaries.

Andrey: Easily one of the best avant-garde composers. You could say, he was one of the fathers of ambient music.

Q1:ではあなた方のインスピレーションについて話しましょう。Krzysztof Pendereckiについてです。アヴァンギャルドとはあなた達にとってどういうジャンルですか?

【VISHAL】:Krzysztof Pendereckiはアヴァンギャルドの作曲家や芸術家に最も多大な影響を与えている人物の一人だよ。アヴァンギャルドとは僕にとって何か新しい挑戦を始める時に心の平穏をもたらしてくれるものだね。障害を乗り越える為には新しいコンセプトを直接試すのではなくて今までの知識を活用するべきなんだ。進歩は着実に行う必要がある。歴史を知らないばかりに新世代はそれを遂行し損ねる。大事な事は明日何が起こるかではなくてこれまで起こった事を知る事なんだ。精神的成長と実際の生活の架け橋を構築する為には宇宙的癒しに加えて現代的な経営学を学ばねばならない。限界はないと言うことだね。(ごめんわけわからないヴィシャル)

【ANDREY】:単純に最高のアヴァンギャルド作曲家の一人だよ。同時にアンビエントの父でもある。

Q2:Do you think you are still involved with prog-rock/metal scene? Or does your interest focus on avant-garde/contemporary/jazz soundtrack music?

Vishal : The music itself is a complete misfit, it is very unstable. With all due respect, I don’t really know. But for now, it’s soundtrack music for ears.

Jim :  Throughout my studies and playing, I always tried to play many different styles. I fit right in with contemporary/jazz, avant-garde, pop. I like playing music with dynamics and feeling.

Andrey: Genres kill music. When you want to simplify understanding, you create genres and styles. But music exists outside the boundaries people set. Call it ‘original soundtrack’ if the name makes it clear and simple for you.

Q2:あなた達はまだプログロック/メタルのシーンに属していると思いますか?それともアヴァンギャルド/コンテンポラリー/ジャズの方に興味が移っているんでしょうか。

【VISHAL】:どれにもしっくり来ないよね、とても変化に富んでいるから。全ての点から考えても良く分からないんだ。僕の耳にはサウンドトラックに聴こえる。

【JIM】:僕のドラム人生を通して常に多様なスタイルを身に着けるようにしてきたんだ。コンテンポラリー/ジャズでもアヴァンギャルドでもポップでもフィットさせられるよ。ダイナミクスと感情に溢れる音楽が好きなんだ。

【ANDREY】:ジャンルは音楽を殺す。物事を容易に理解しようとしてジャンルやスタイルといった物を作るのだろうけど音楽はそういった地平の外側に存在するのさ。もしどうしても簡潔に表現したいのならオリジナルサウンドトラックとでも呼んでくれればいいさ。

Q3:So the core members in Amogh Symphony are multi-instrumentalists and composers. In addition to that, this album has a lot of instrumentalists, engineers and singers. The horns and brass sections are unbelievably unique in the songs. Tell us more about it?

Vishal: This time, I wanted to get an entire big band together. But I wasn’t happy with same old classic brass sections I hear in every record these days. Nothing bad about that. I work with different artists every day and produce different styles of music every day. Just tired of hearing the repetitive sounds again and again. The Goregaon Brass Orchestra is a bunch of horn players from this place called Goregaon located in Mumbai. My friend Venkat Iyer with whom I’ve worked in many commercial projects founded and recorded/engineered these phenomenal guys. Venkat is an experimental engineer/producer and I always wanted to include him in this album. He experiments a lot in recording/engineering with strange artists and musicians. Andrey played many instruments in this album. Then Mathieu Marcotte (Augury, Humanoid) introduced me to Youri’s monk vocals which he recorded and engineered. Youri is a stellar guitarist and experimental vocalist in his band Unhuman.Andy Nesbitt’s photography with cosmic and supernatural subject helped Andrey and Vasiliy to collaborate and create a great artwork for the album. Nikhil Nandakumar’s Carnatic microtonal harmonized violin, Shankar Das’ phenomenal microtonal trumpet work. Guest bass work of Manas Chowdhary in one of the tracks. My mother Kasturi Singh’s vocals and late Grandma’s mysterious poetries. It’s a full-fledged symphony. We need larger and bigger stage now if we ever decide to perform because there is absolutely no chance of using backing tracks.

Andrey: The endless album recording sessions were filled with experimentation. Prepared instruments, original one-of-a-kind playing techniques, inventing new approaches… The idea we had in the beginning was ‘to have the sounds of the whole world stuffed into the album in the most eclectic fashion’, but  in the same time the sound would need to represent the concept. We tried to keep it as minimalistic as possible, but still ended up with something super dense. The album was re-written and re-edited dozens of times.

Q3:作曲担当のお二人は多彩な楽器を操ります。それに加えてこのアルバムは多くの奏者、エンジニア、歌手が参加していますね。ホーンとブラスはとてもユニークに使用されています。

【VISHAL】:今回僕は完全なビッグバンドでやりたかった。でも最近耳にしたどのレコードのクラッシックなブラスセクションも僕を満足させる事はなかったんだ。悪くはないよ。僕は毎日違ったアーティスト達と働いて違ったスタイルの音楽をプロデュースしている。何度も同じようなサウンドを繰り返し聴くのに疲れたんだ。
The Goregaon Brass OrchestraはムンバイのGoregaonという地域から多くのホーン奏者が集まっている。多くのCMで共に働く友人のVenkat Iyerは彼らの中から見つけて参加してもらった。VENKATは実験的なプロデューサーでずっとこのアルバムに参加して欲しかったんだ。変わったアーティストも手掛けているからね。ANDREYは色んな楽器を演奏している。AUGURY,HUMANOIDのMathieu MarcotteがモンクボーカルのYOURIを紹介してくれた。YOURIは傑出したギタリストでUNHUMANのボーカルでもある。Andy Nesbittの宇宙的で超自然的な写真を基にしてANDREYとVASILIYが素晴らしいアートワークを製作してくれた。Nikhil Nandakumarのカルナータカ音楽(南インドの伝統音楽)で使用されるマイクロトーンのヴァイオリン、Shankar Dasのマイクロトーントランペットは信じられないくらいすばらしかったよ。Manas Chowdharyは一曲ベースを弾いてくれた。それに加えて母Kasturi Singhの歌と亡き祖母の神秘的な詩集。一人前の楽団でしょ。もし演奏するとしたら広くて大きいステージが必要だね、バッキングトラックなんて絶対に使いたくないからね。

【ANDREY】:終わりがないように見えたレコーディングセッションは実験の宝庫だったよ。用意された楽器もオリジナルの奏法から新しいアプローチを発見していったり・・・当初のアイデアは最高にエクレクチックファッション(異種混合の)なアルバムに世界を詰め込んだサウンドにしようぜだったんだ。だけど同時にコンセプトを反映させる必要もあった。出来るだけミニマリスティック(単純簡潔、非個性化によって芸術効率を上げる手法)にしようとしたよ。だけど結局はそれでも凄く濃いものになってしまったね。何度も何度も編集して書き直したんだ。

Q4:Would you tell me five albums that changed your life?

Andrey: I could name thousands but they won’t fit. The awesome thing is, any musical album has at least one message. Many of them influence our choices. I can’t be more specific. If you’re looking for suggestions, you’d rather start a habit of listening to a ‘new unexplored genre’ every day. This simple technique is sure to make your life and musical scope way richer.

Jim : Every album changes my life.  I will list some good ones.
Chick Corea Elektric Band 1986.   Come on, any drummer who was serious about the craft of drums heard this, and wanted to practice or quit.

The 5th Dimension – The Magic Garden 1967.  Was this the first concept album?  Incredible stuff.

Janis Ian – Miracle Row 1977.  Made me ultimately realize that cool songs are worth listening to the words.  Very nice album (Between The Lines too!)

Suffocation – Pierced From Within 1995.   Made Death Metal the coolest.  Saw them twice in a week that tour. (Malevolent Creations 1993 and 1995 releases kicked ass)

Frank Zappa – Man From Utopia 1983.   A fun one!   Only the vinyl is worth listening to.  The CDs are messed up.  Really dug the vocal transcriptions of Dangerous Kitchen etc…

人生を変えた5枚のアルバム
【ANDREY】:何千枚でも挙げられるけどどれもしっくり来ないんだ。驚くべきことにどんなアルバムも少なくとも一つはメッセージを残してくれる。そしてそれらの多くが僕らの選択に何らかの影響を与えるんだ。明確には言えないけどね。助言するなら毎日、新発見のジャンルを聴くようにするといい。単純な事だけど君の人生と音楽観が豊かになると思うよ。
【JIM】:どのアルバムも僕の人生を変えるよ。幾つか挙げてみるね。
Chick Corea Elektric Band 1986.真剣に技巧を学んでいるドラマーがこれを聴いたら練習するか止めるかどちらかだね。
The 5th Dimension – The Magic Garden 1967.最初のコンセプトアルバムじゃない?信じられないよ。
Janis Ian – Miracle Row 1977.クールな曲は歌詞も聴く価値があるって究極に教えられたよ。
Suffocation – Pierced From Within 1995.デスメタルを最高にクールなものにしたね。このツアーは一週間に二回彼らを見たよ。(Malevolent Creationsの1993、1995作も最高だった)
Frank Zappa – Man From Utopia 1983.面白いよね。ヴィニール盤だけ聴く価値がある。リイシューのCDは失敗だよ。Dangerous Kitchenなんかのボーカル改編はホント無駄だったよね。

【MESSAGE FOR JAPAN】

We are also looking forward to “Part 2 under progress”, What is your target now? Finally, Message for Japanese fans!!

Jim : Thank you Japan!!!!

Vishal : Thank you. Andrey is settling in Tokyo soon. Visit us at http://amoghsymphony.net and http://www.facebook.com/amoghsymphony . Hope you guys will like our new album.

ANDREYがすぐ日本に来るそう。上記彼らのHPとFBページをぜひチェックして下さい!!

Andrey: Douzo yoroshiku onegaishimasu. Please enjoy our album, fan no minnasama! Cheers.