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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GREEN CARNATION : LEAVES OF YESTERYEAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KJETIL NORDHUS OF GREEN CARNATION !!

“In Some Ways We Are a “Child” Of that Norwegian Black Metal Era. Through The Years, Many Of Those Early Black Metal Bands Have Changed Quite a Lot, Developing Their Music And Bringing In Other Influences.”

DISC REVIEW “LEAVES OF YESTERYEAR”

「”Light of Day, Day of Darkness” は多くの点で “すべてを備えて” いるよね。まさに過剰な創造性だったよ。そして幸運にも僕たちはすべてをまとめて、音楽の長いリストとしてだけじゃなく1つの曲として見られるように仕上げることができたんだ。」
ノルウェーの闇皇帝 EMPEROR にも血を分けた Tchort 率いる翠色のカーネーションは、00年代に咲いたプログメタルの徒花にも思えました。しかし、音花のラボラトリーで生育された越境の種子は後続の遺伝子へと刻まれ、14年の時を経て遂に GREEN CARNATION 本体の再生をも誘ったのです。
インタビューに答えてくれた GREEN CARNATION の声、Kjetil が初めてバンドに加わった “Light of Day, Day of Darkness” は当時の常識をすべて覆すような異端の書でした。娘の逝去と息子の誕生を同時に体験した Tchort の感情もとにした闇と光の生命譚は、60分で一曲を成す異形の姿を誇っていました。
「最も重要なのはムードとアトモスフィアだからね。実際、”Light of Day, Day of Darkness” の大半かプログレッシブに属するなんて誰もが言えないだろう。僕たちの音楽には酩酊するような要素、ヘヴィーな要素、ドゥーミーな要素など、他にもたくさん存在するからね。」
サックスやシタール、クワイア、それに600を超えるサンプルまで使用して、ブラック、デス、プログはもちろんフォークからゴス、ドゥームまで縦横無尽に敷き詰めた音の絨毯は、ある意味ステレオタイプが定着してきた当時のプログメタル世界を震撼させたのです。
「このアルバムで僕たちにとって最も重要なことの1つは、GREEN CARNATION 最高の面をすべて1つのアルバムに取り込むことだったね。解散以前は5枚のアルバムで何度も実験を繰り返したんだけど、すべてのアルバムに “典型的なグリーンカーネーションの瞬間” があったわけさ。」
目眩く音旅を経て、経済的な不遇とモチベーションの喪失により2007年に活動を休止した GREEN CARNATION。しかし、マイルストーン “Light of Day, Day of Darkness” のワンオフショウを契機として再び翡翠の撫子に血が通い始めます。
5曲45分。最新作 “Leaves of Yesteryear” に純粋な新曲は3曲しか収録されていません。残りの2曲は “My Dark Reflections of Life and Death” の再録と BLACK SABBATH “Solitude” のカバー。しかし、過去曲の再訪を含め、この内容に不満を感じるファンはいないでしょう。
プログメタルでストーリーテリングを行う翡翠の煌めきは、14年の時を超えて成熟を導き一際その輝きを増していました。エピックという過去の忘れ物を取り戻すタイトルトラック、”Leaves of Yesteryear” には、たしかに ULVER, ENSLAVED, ANATHEMA, CANDLEMASS, KATATONIA といった異端メタルの巨人に宿る耽美や重厚、荘厳を想起させながら、より純粋化したプログメタルを紡ぐバンドの知性と哲学が込められています。
クラッシックロックへの憧憬を湛えた “Sentinels” のアラベスクな旋律、記憶に残るリフワーク、70年代に根ざす鍵盤の香りはまさにロックの黄金律。そうして輪廻の導きのもと、作品はよりドラマティックによりプログレッシブに生まれ変わった16分のセンターピース “My Dark Reflections of Life and Death” で “GREEN CARNATION 2020” の壮大を存分に見せつけるのです。
今回弊誌では、不世出のシンガー Kjetil Nordhus にインタビューを行うことができました。「ある意味僕たちはあのノルウェーブラックメタルシーンの “子供” なんだよ。あれから何年にもわたり、初期のブラックメタルバンドの多くは大きな変化を遂げ、音楽を発展させ、他からの影響をもたらしたね。
たとえば、最近 ULVER のファンになった人は、最初のアルバムを聴くとかなりショックを受けるはずだよ。もちろん、僕たちだってジャンルや影響に関して実験的なバンドだしね。 」 どうぞ!!

GREEN CARNATION “LEAVES OF YESTERYEAR” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : BIRTH OF VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

“Gender Is Fluid, And There Is So Much Beauty In Making Space For All Kinds Of Voices In Music. It’s Happening, And It’s Amazing!”

DISC REVIEW “BIRTH OF VIOLENCE”

「昨年、私たちは沢山のツアーを行ったわ。8年ずっと続いてきたツアーに加えてね。だから休みを取って、スロウダウンし、自分自身の心、体、精神のケアを学びなさいと何かが語りかけてきたのよ。」
フォーク、ゴス、ポストパンク、インダストリアル、メタル…2010年、デビューアルバム “The Grime and the Glow” を世に放って以来、Chelsea Wolfe はジャンヌダルクの風姿で立ち止まることなく自らの音の葉を拡張し続けてきました。光と闇、激情と静謐の両極を司り進化を続けるカリフォルニアの歌姫は、しかし遂に安息を求めていました。
「私はただ自分の本能に従っているだけなのよ。そうして今の場所に辿り着いたの。」10年続いた旅の後、千里眼を湛えたスピリチュアルな音求者は、本能に従って彼女が “家” と呼ぶアコースティックフォークの領域へと帰り着いたのです。
Chelsea は最新作 “Birth of Violence” を “目覚め始めるレコード” と呼んでいます。
「批判を受けやすく挑戦的な作品だけど、私は成長して開花する時が来たと感じたのよ。」
ダークロックのゴシッククイーンとして確固たる地位を築き上げた Chelsea にとって、アコースティックフォークに深く見初められたアルバムへの回帰は確かに大胆な冒険に違いありません。ただし、批判それ以上に森閑寂然の世界の中に自らの哲学である二面性を刻み込むことこそ、彼女にとって真なる挑戦だったのです。
「私はいつも自分の中に息づく二面性を保持しているのよ。重厚な一面と衷心な一面ね。それで、みんながヘヴィーだとみなしているレコードにおいてでさえ、私は両者を表現しているの。」
逆もまた真なり。”The Mother Road” の暗静アメリカンフォークに醸造された強烈な嵐は、チェルノブイリの蜘蛛の巣をも薙ぎ払いダイナミズムの黒煙をもうもうとあげていきます。
“Little Grave” や “Perface to a Dream Play” のトラディションに蠢めく闇の嘶き。 PJ Harvey とゴスクイーンが手を取り合う “Be All Things”。何よりタイトルトラック “Birth of Violence” の平穏なるプライドに潜む、咽び叫ぶ非業の祈り。そうして作曲パートナー Ben Chisholm のアレンジとエレクトロの魔法が闇と光の二進法を優しく解き放っていくのです。
アルバムに根ざした仄暗く重厚な影の形は、世界を覆う不合理とピッタリ符合します。無垢なる子供の生まで奪い去る銃乱射の不合理、平穏な暮らしを奪い去る環境の牙の不合理、そしてその生い立ちのみで差別を受ける不合理。結局その起因はどこにあるのでしょう。
ただし変革を起こすのもまた人間です。”目覚め始めるレコード” において鍵となるのは女性の力です。
「そろそろ白か黒か以外の考え方を受け入れるべき時よ。”ジェンダー” の概念は流動的なの。そして全ての種類の声を音楽にもたらすことで沢山の美しさが生まれるのよ。今まさにその波が押し寄せているの!素晴らしいわ!」
長い間会員制の “ボーイズクラブ” だったロックの舞台が女性をはじめとした様々な層へと解放され始めている。その事実は、ある種孤高の存在として10年シーンを牽引し続けた女王の魂を喚起しインスピレーションの湖をもたらすこととなったのです。
安息の場所から目覚める新たな時代。今回弊誌では Chelsea Wolfe に2度目のインタビューを行うことが出来ました。「私の古い辞書で “Violence” とはある一つの意味だったわ。”感情の力” という意味ね。私はそれと繋がって、自らの力に目覚める人間を思い描いたの。特に力に目覚める女性をね。」 日本盤は世界に先駆け9/11に Daymare Recordings からリリース!どうぞ!!

CHELSEA WOLFE “BIRTH OF VIOLENCE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : HISS SPUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

Chelsea Wolfe by Bill Crisafi

PHOTO BY BILL CRISAFI

Certainly, Folk/Rock/Experimental Artist Chelsea Wolfe Took A Step Toward More Dark Side, Heavy Realm, Sludge World With Her Outstanding New Record “Hiss Spun” !!

DISC REVIEW “HISS SPUN”

ダークでスピリチュアルな崇高美を追求する、ノースカリフォルニアの堕天使 Chelsea Wolfe が、そのゴシカルなイメージをスラッジメタルの世界へと解き放つ最新作 “Hiss Spun” をリリースしました!!審美のダークサイドを司るエクストリームアートの女王は、至上の環境、チームを得てより鮮明にその印象を増しています。
近年、Chelsea と彼女の右腕 Ben Chisholm の冒険は、出自であるゴシックフォークの枠を容易く超越し、ドゥームの翳りを宿すインダストリアル、エレクトロニカ、ノイズ、ドローンにまでアプローチの幅を拡げて来ました。陰鬱にして甘美、アーティスティックで創造性豊かなそのジャンルの邂逅は、Chelsea の幽美なビジュアルやスピリチュアルな一面とも共鳴しながら、この混沌とした世界に安寧を喚起するメディテーションの役割を果たして来たのかも知れませんね。
“Spun” の凄艶なディストーションサウンドでスラッジーに幕を開ける “Hiss Spun” は、リスナーの思念、瞑想にある種の直感性を差し伸べる、よりヘヴィーで正直なアルバムです。
「これは、ヘヴィーなレコードでロックソングを求めていたの。」 実際、Chelsea はそう語っています。故にRED HOST 時代のバンドメイト、ドラマー Jess Gowrie とのリユニオンは必然だったとも。
確かにこのレコードの陣容は彼女の言葉を裏付けます。リードギタリストに QUEENS OF THE STONE AGE の Troy Van Leeuwen を起用し、ex-ISIS の Aaron Turner をゲストボーカルとして招聘。さらに CONVERGE の Kurt Ballou をプロデューサーに指名した采配の妙は間違いなくこのレコードの方向性を諮詢していますね。
セカンドトラック “16 Phyche” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。蝶の羽を得て人間から変異を遂げた美しき魂の女神、そして火星と木星の間を公転する小惑星の名を共有するこのコズミックで漆黒のヘヴィーバラードは、自由を奪われ制限される人生をテーマとしています。
「8年間、故郷ノースカリフォルニアを離れてロサンゼルスにいたんだけど、LAは私と共鳴することは一度もなかったの。私の心はいつもノースカリフォルニアにあったのよ。大きな木々、山や川の側にね。」 Chelsea はそう語ります。
遂に家族と自然、スピリチュアルなムードに溢れた故郷へと帰還し、心の平穏と安寧を取り戻した彼女は、閉塞的で捌け口のない当時の自分を反映させた魂の情歌へと辿り着いたのでしょう。
実際、”Twin Fawn” にも言えますが、彼女も認める通りこの楽曲における Chelsea の歌唱はよりパーソナルで内面全てを曝け出すような壮絶さを宿します。フィードバックと不穏なムードが支配する重密なサウンドとも絶妙にシンクロし、彼女のエモーションは現代社会の閉所恐怖症とも形容可能なイメージをも楽曲に映し出しているのです。
“Hiss” とはホワイトノイズ、つまり雨音や川のせせらぎ、鳥の囀りといった自然と人間を繋ぐ雑音を意味する言葉だと Chelsea は教えてくれました。トレモロリフとポストメタルの重厚で奏でられる “Vex” で Aaron Turner の剛胆な咆哮は大地の感覚、アーシーなホワイトノイズだとも。
Aaron の声が大地の咆哮なら、浮遊感を伴う Chelsea の声はさながら虚空のスキャットでしょうか。楽曲の最後に挿入された森のざわめきに耳を澄ませば、彼女のメッセージが伝わるはずです。ヘヴィーとエセリアルのコントラストで表現される自然に対する強い畏怖は、現代社会が忘れつつある、しかし忘れてはならない貴き精神なのかも知れませんね。
確かにヘヴィーでスラッジーなアルバムですが、同時に “Twin Fawn”, “Two Spirit” のような自身のアイデンティティー、ゴシック/フォークにフォーカスした楽曲や、近年養って来たインダストリアル/ノイズ要素を分断に盛り込むことで、作品は Chelsea の多面的な才能を映す鏡、ある意味集大成的な意味合いも保持しています。そして勿論、女性としての一面も。
アルバムは、魔女の如き甲高い歌声が印象的な “Scrape” で幕を閉じます。様々な怒りやヘヴィーな祈りが込められたアルバムには、当然 Chelsea の一人の女性としての怒りも封じられています。あの禍々しき魔女裁判が行われたセイラムでレコーディングが行われたことも、偶然ではないのかも知れませんね。
今回弊誌では、Chelsea Wolfe にインタビューを行うことが出来ました。彼女がゲスト参加を果たしている MYRKUR の最新作も同様に素晴らしい内容。併せてチェックしてみてくださいね。どうぞ!!

4PAN1T

CHELSEA WOLFE “HISS SPUN” : 9.8/10

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