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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCHAMMASCH : HEARTS OF NO LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH C.S.R OF SCHAMMASCH !!

“To Me, The Question For The Source Of Inspiration Is The Same Question As “Where Does Life Come From?”. My Answer For Both Questions Would Be “The Cosmic Energy That Creates All And Destroys All”

DISC REVIEW “HEARTS OF NO LIGHT”

「スイスがいかに本当に小さな国であるかを考慮すれば、僕たちの国には初期のエクストリームメタルシーンとその進化にインパクトを与えたバンドがかなり存在したんだよ。」
バーゼルに居を構えるスイスメタルの灯火 SCHAMMASCH は、内省的でスピリチュアル、多義性に富んだトランセンドブラックメタルで CELTIC FROST, SAMAEL, CORONER といった同郷の巨人たちの偉大な影を追います。
「”Triangle” は、恐怖心から解放された心の状態へと導く道を切り開く試みだったね。それを悟りの状態と呼ぶイデオロギーもあるだろう。」
SCHAMMASCH がメタルワールドの瞠目を浴びたのは、2016年にリリースした “Triangle” でした。3枚組、16曲、140分の壮大極まるコンセプトアルバムは、様々な恐怖、不安から解脱し悟りと真の自由を得るためマスターマインド C.S.R にとって避けては通れない通過儀礼だったと言えるでしょう。
もちろん、彼らが得た自由は音楽にも反映されました。ポストロック、プログレッシブ、オーケストラル、さらにはダウンテンポのエレクトロニックなアイデアまで貪欲に咀嚼し、広義のブラックメタルへと吐き出した怪物は、BATUSHKA, LITURGY, BLUT AUS NORD, SECRETS OF THE MOON などと並んで “アウトサイドメタル” へと果敢に挑戦する黒の主導者の地位を手に入れたのです。
「ULVER はもしかしたら、長い間どんなメタルの要素も受け継がずに、それでもメタルというジャンルから現れたバンドだろうな。だから、彼らの現在の姿はとても印象的だよ。」
実際、初期に存在した “具体的” なデスメタリック要素を排除し、ある意味 “抽象的” なメタル世界を探求する SCHAMMASCH が、概念のみをメタルに住まわせる ULVER に親近感を抱くのは当然かも知れませんね。そして最新作 “Hearts of No Light” は、”Triangle” の多義性を受け継ぎながらアヴァンギャルドな音の葉と作品の完成度を両立させた二律背反の極みでしょう。
ブラッケンドの容姿へと贖うように、ピアニスト Lillan Lu の鍵盤が導くファンファーレ “Winds That Pierce The Silence” が芸術的で実験的で、しかし美しく劇的なアルバムの扉を開くと、狂気を伴うブラックメタリックな “Ego Smu Omega” がリスナーへと襲いかかります。
プリミティブなドラミングと相反するリズムの不条理は暗闇の中を駆け抜けて、レイヤードシンセと不穏でしかし美麗なギターメロディーの行進を導きます。悪魔のように囁き、時に脅迫するボーカルと同様に楽曲は荘厳と凶猛を股にかけ、リスナーに社会の裏と表を投影するのです。
故に、一気に内省と憂鬱のアンビエント、ピアノと電子の “A Bridge Ablaze” へ沈殿するその落差はダイナミズムの域さえ超越しています。”Ego Smu Omega” や “Qadmon’s Heir” の壮大劇的なプログレッシブブラックを縦糸とするならば、”A Bridge Ablaze” や “Innermost, Lowermost Abyss” の繊細でミニマルなエレクトロピースはすなわち “光なき心” の横糸でしょう。
そうして静と動で織り上げた極上のタペストリーは、さらにゴスとポストロックの異様なキメラ “A Paradigm of Beauty” のような実験と芸術のパッチワークが施され SCHAMMASCH をブラックメタルを超えた宇宙へと誘うのです。その制限なきアヴァンギャルドな精神は、32年の時を経て再来する “Into the Pandemonium” と言えるのかも知れませんね。
今回弊誌では、ボーカル/ギター C.S.R にインタビューを行うことが出来ました。「僕にとってインスピレーションの源に関する質問は、「人生はどこから来たのか?」と同じ質問なんだよ。そしてその両方の質問に対する答えは、「すべてを創造し、すべてを破壊する宇宙エネルギー」からなんだ。」 どうぞ!!

SCHAMMASCH “HEARTS OF NO LIGHT” : 10/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【ANNA MURPHY : ex-ELUVEITIE, CELLAR DARLING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNA MURPHY OF CELLAR DARLING !!

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Anna Murphy, Gorgeous Muse Talks About Her Ex-Band ELUVEITIE, New Band Cellar Darling, And Solo Project !!

スイスが誇る Folk / Melodic Death Metal バンド、ELUVEITIE。ヴァイオリン、バグパイプ、ホイッスル、ハーディー・ガーディーといった伝統楽器を大胆に取り入れ、ケルトの民族音楽とメロデスを見事に融合させた革新的な集団です。
2014年に日本公演も大成功させた、このインターナショナルなメジャーアクトに今年、大事件が勃発しました。2000年代前半から所属していた中心メンバー、ボーカル/ハーディー・ガーディー の Anna Murphy, ギタリスト Ivo Henzi, ドラマー Merlin Sutter が脱退してしまったのです。
元々、作品毎に音楽性が変わりやすく、メンバーチェンジの多いバンドであったことは確かです。しかし、特に Anna の美麗なボーカルと、ハーディー・ガーディーが紡ぐケルトの響きは間違いなく ELUVEITIE の顔であったため、多くのファンを失望させています。
弊誌では以前も Anna にインタビューを行っていますが、今回再度登場いただき、ことの顛末、ELUVEITIE への想い、脱退した3人が新たに結成した新バンド “Cellar Darling” などについてお話を伺う事が出来ました。
「結局 ELUVEITIE は Chrigel のバンドだから」 「ここ何年間も封印されていたクリエイティビティ」 などという言葉の端々から、この脱退劇がバンドの創立者 Chrigel Glanzmann との対立、意見の相違であったことは明らかでしょう。最新作 “Origins” で Anna のボーカルはさらに増える傾向にあったため、そのあたりが引き金だったのかも知れませんね。
勿論、残念ではありますが、ELUVEITIE は ELUVEITIE で、LEAVE’S EYES の Liv Kristine をゲストに迎えてツアーを行っていますし、インタビューで Anna が語っているように、好きなバンドが2つに増えたと思えば楽しみにもなります。また、彼女はソロアーティストとしても活動しており、新曲 “Mayday” をリリースしたばかり。こちらにも Ivo, Merlin が参加しているので少しややこしいですが、ぜひチェックしてみてくださいね!どうぞ!!

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【ELUVEITIE】


EXCLUSIVE: INTEVIEW WITH ANNA MURPHY OF ELUVEITIE

ANNA MURPHY OF ELUVEITIE TALKS ABOUT THEIR NEW ALBUM “ORIGINS”, PADE KISTLER, HURDY-GURDY, AND LIVE IN JAPAN !!

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今年は FOLK / VIKING METAL が本格的に日本に上陸を開始した年になったように思います。11月には PAGAN METAL ALLIANCE という FOLK / VIKING 系のバンドを集めたフェスが開催され ENSIFERUM, MOONSORROW, OLPHANED LAND といったバンドの好演で盛り上がりました。そしてこのバンドの公演も大好評でしたね。ELUVEITIE。メンバーにハーディー・ガーディー、バグパイプ、ヴァイオリン奏者を含む本格的な FOLK METAL バンドです。8月に発表した最新作 “ORIGINS” も DARK TRANQUILIRY, IN FLAMES 直系の本格的なメロデスを骨格としながらケルト神話の世界観と民族楽器を使用したフォーキーなメロディーで肉付けを施した彼ららしい快作に仕上がっていますね。SWISS MUSIC AWARDS を獲得したり日本の HONDA とスポンサー契約を結んだりとバンドにとっても重要な年になりました。ただメンバーチェンジの多いバンドで先の来日公演でもバグパイプに日本国旗をブッ刺しながらステージ上をウロウロし、”KAMIKAZE WHISTLER” の異名を欲しい儘にした PADE KISTLER は脱退してしまいました。その辺りも含めてヴァイオリンの二コールちゃんと二人で ELUVEITIE の “KAWAII” を担当するボーカル/ハーディー・ガーディー奏者の ANNA MURPHY に話が聞けました。

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