NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【SLIPKNOT : WE ARE NOT YOUR KIND】


COVER STORY: SLIPKNOT “WE ARE NOT YOUR KIND”

“We Are Not Your Kind” Is The Most Artsy Mainstream Metal Record So Far.

DISC REVIEW “WE ARE NOT YOUR KIND”

2019年は SLIPKNOT にとってビッグイヤーに定められた年でした。セルフタイトルのデビューアルバム “Slipknot” のリリースから20年、メタル史に残る金字塔 “Vol. 3: The Subliminal Verses” のリリースから15年。しかし、襲い来るトラウマや悲劇を乗り越えたアイオワの怪奇集団にとっては、その不死身の記念碑ですら通過儀礼に過ぎないことを最新作 “We Are Not Your Kind” が如実に証明しています。
ベーシスト Paul Grey の急逝、中心メンバー Joey Jordison の離脱、Corey Taylor の離婚、Clown 愛娘の逝去、Chris Fehn の解雇劇。並みのバンドならば歩みを止めざるを得ないような状況におかれても、SLIPKNOT は諦めることなく前進を続けています。アニバーサリーの追憶に浸る代わりに、バンドは長くソリッドなライティングプロセスを過ごし新たなマイルストーンを完成へと導きました。


「歩み続けるうち、俺らはまた自由を手にしたんだ。やりたいことは何でもできる。この作品は “Vol. 3: The Subliminal Verses” と同じヴァイブ、エナジーだったね。俺らが満足している限り、どこへでも行けるのさ。」
SLIPKNOT がこれほど大きな支持を得ているのは、その過激な外観、実験性、エクストリームな音楽性の内面に陰鬱美麗なメロディーと芳醇なフックを備えていることが理由でしょう。そして、Corey Taylor は “We Are Not Your Kind” が、かつて自らが生み出したそのダイナミズムの怪物と同様のイメージで制作されたことを認めています。
“Iowa” でインテンスとアグレッションの圧倒的な狂演を見せつけた後、バンドが辿り着いた自由な創造性と対比の美学こそ “Vol.3” の哲学でした。故に、切迫した暗がりでそのスピリットを引き継いだ “We Are Not Your Kind” には、あの重音の実験室に加えて、旋律と戦慄のコントラストが遥かな進化を遂げながら確かに宿っているのです。言い換えれば、Billboard 200 で No.1を獲得した驚異の最新作は最もアーティスティックな “大衆のためのメタル” と言えるのかも知れませんね。

もちろん、メタル、ハードコア、ヒップホップのトライアングルは SLIPKNOT のコアとして存在し続けてきましたが、”Vol.3″ のトリッピーなチェンバーポップ “Circle” が示すように、3つのフラスコのみで化学反応を起こすほど彼らの実験室は限定的ではありません。
「このアルバムで、また俺らが変わったことをやれていると感じた最初の楽曲が “Spiders” だった。コアの部分をまず録音して、そこからシチューを煮込むみたいに適切な要素を加えていったのさ。ギターソロは Adrian Belew に大きなヒントを得ているよ。David Bowie が “Fasion” でやったようなことさ。」
Corey の言葉通り、”Spiders” は David Bowie が残したニューウェーブの煌めき、カメレオンの音魂を彼らの流儀でダークに抱きしめた SLIPKNOT の新たな惑星でしょう。NINE INCH NAILS の音景も封入されているでしょうか。David をインスピレーションとした火星にも似たその新境地は1曲にとどまりません。”Space Oddity” のイメージをドゥーミーに、SWANS ライクに宿す “A Liar’s Funeral” は Corey のフェイバリットです。
「David Bowie がブラックメタルをやったような楽曲だね。大量のアトモスフィアと鋭さ、そして衝撃が混ざり合っている。」


実験という意味では、TANGERINE DREAM を想起させるコズミックなイントロダクション “Insert Coin” から連なる “Unsainted” の壮大なケミストリーを見逃すわけにはいきません。
「アルバムで最後に完成した楽曲なんだ。そして、アルバムの以降の方向性を告げる最高のランドマークとなったね。」
THE ROLLING STONES の “You Can’t Always Get What You Want”、もしくは PINK FLOYD の “The Wall” にも似たコーラスマジックを携えた楽曲は、メタル、インダストリアル、サウンドトラック、クラッシックロックのキャッチーかつ完璧なキメラです。
一方で、HEALTH や GOJIRA の波動を滲ませる “Birth of the Cruel” の狡猾さもアーティスティックな “大衆のためのメタル” に真実味を加えていきます。さらに “My Pain” のエレクトロなパルスを Stanley Kubrick の映画と評する Corey。事実、アルバムは Clown の子供とも言える “Death Because of Death”, “What’s Next” といったセグエによって映画のようなドラマ性を帯びています。それは、緩と急、静と動を織り込んだエモーションのローラーコースター。実は当初 Shawn “Clown” Crahan が目指していたのは、”The Wall” のようなコンセプチュアルで二枚組の壮大な音楽劇でした。

Jim Root が 「俺らと進化してこのアルバムを気にいっても良いし、そうじゃなくても良い。ただ俺らはいつもいきたい場所へ行くだけさ。」と嘯けば、Mick Thomson は 「アルバムが好かれようが嫌われようがどうでも良い。どの道俺らは全員にアピールするような音楽じゃないから。全員に気に入られるような音楽には興味がないよ。俺らはただ自分に正直でいたいんだ。」 と主張します。
つまり、SLIPKNOT はきっと永遠に “We Are Not Your Kind” 誰の言いなりにもならず自らの百鬼夜行を続けるはずです。ただし、心から望んで、正直に表現した音楽が、これほど多くの支持を得られる危険でエクストリームな “メインストリーム” メタルバンドも、きっと永遠に SLIPKNOT だけなのかも知れません。

SLIPKNOT “WE ARE NOT YOUR KIND” : 9.9/10

TRACK BY TRACK GUIDE BY JIM ROOT

1. INSERT COIN

とてもエアリーでオープンなイントロだ。とても広大で明るいフィールドにいるけど、UFO の大群が地平線の向こうから迫ってくるようなね。少なくとも俺にはそう感じられる (笑)。
Mick, Alex, Jay そして俺がヘヴィーでギターオリエンテットなマテリアルを録音している間に Clown はこういったセグエを自宅で沢山作っていたね。時々俺は彼を訪ねていたよ。
俺らはアイデアをやり取りし、スタジオにいる間は可能な限りクリエイティブになろうと努力していたんだ。

2. UNSAINTED

僕たちがこの作品を書き始めることもないうちから、Clown は「俺はコーラスを入れたい。」 と言っていたんだ。PINK FLOYD の “The Wall” みたいに子供たちのコーラスを考えていたみたいだね。だけど最終的に僕たちは普通のコーラス隊を選んだんだ。
彼らはデモで頭から始まるオリジナルのギターラインからメロディーを抽出していたね。コーラスパートのリフもそのバリエーションなんだけど。コーラス隊が彼らのやりたいように仕事を終えると、僕にはとてもエピックに思えたね。誰かが THE ROLLING STONES の “You Can’t Always Get What You Want” と比較しているのを聞いたけど、とても野心的な比較だよね。でもまあ確かに納得だよ (笑)。

3. BIRTH OF THE CRUEL

俺が自分のガレージで作ったデモでは、しばらく “Gene Wilder” って呼んでた曲なんだ。楽曲を通してギターがドライブしているのに、奇妙にメランコリックだからね。いくつかのリフはファーストアルバムに入っていそうなサウンドだよね。実際にブレイクダウンがあるわけじゃないんだけど、そんな感じの場面はあるし。それでも楽曲の流れは邪魔していないんだけどね。
Clown と Corey のインプットなしであるべき形に完成することはなかっただろうね。最終的に素晴らしい場所へと進化を遂げたよ。

4. DEATH BECAUSE OF DEATH

これも Clown の分身だね (笑)。俺たちが別の部屋でトラッキングを進めている間、彼はまさにこのマテリアルに深くのめり込んでいたよ。”Death Because of Death” は Clown の才能を証明する楽曲だよ。彼は素晴らしいソングライターだよ。この曲みたいにクレジットされているものは多くないけどね。だけど彼の脳、心、魂から溢れた楽曲がいくつかある。おそらくそれらは、このレコードで最高の部類にはいるだろうな。

5. NERO FORTE

これも Clown の楽曲。素晴らしいね。きっとライブでも最高だろう。とてもパーカッシブで、”All Hope is Gone” に収録されていた “Psychosocial” を想起させるよ。だけど “Psychosocial” が進化したって感じだ。Clown はドラマーでパーカッショニストだけど、ソングライターでもあり続けてきた。今では僕たちと彼はソングライターとしてもコラボレートできるんだ。そしてこの楽曲はまさにその結果さ。
Corey が加わってボーカルに熱中し始めると、彼はコーラスラインで新たなメロディーを思いついたんだ。プロセスの最後の最後でね。

6. CRITICAL DARLING

前作 “5: The Gray Chapter” のために作った、俺が “The Hundreds” と呼んでいた楽曲からアレンジを少し盗んだ感じだね。あの曲は結局アルバムには収録されなかったんだけど。
「このちょっとしたインタルードを中盤にはさんで、冒頭にも少し覗かせてみない?」って感じだったね。コーラス部分から本当にクールな方向転換になっているよね。一方でコーラス部分はフックの効いた偉大なメロディーだよ。それは否定できないね。

7. A LIAR’S FUNERAL

俺の気に入っている楽曲だ。レコードに収録されなければならないと思っていたよ。家でデモを作ったんだけど、本当に気に入ってね。だけど他の曲に取り掛かっている間、後回しになっていたんだ。
Corey が歌詞をつけると、俺はそのヘヴィーさがとても気に入ったよ。スラッシーでもなければ、ファストなメタルでもないけど、とてもメロディックでメタルのカケラが封入されている。言ってみれば、リアルなホラーさ (笑)。

8. RED FLAG

この曲には少し助けが必要だった。楽曲を制作している最中、プロデューサーの Greg が家に持ち帰って大きな音の塊を取り去ったんだ。すると俺らはその背後にあったリフが機能することを悟ったわけさ。彼は俺には思いつかないようなやり方でアプローチし助けてくれたわけさ。おかげで「うん、これは収録候補だぞ。」ってレベルにまで達したんだ。
“Spiders” 以外、このアルバムにギターソロは収録されていないと思う。今回、ギターソロは俺の心から最も遠い場所にあるものだったから。普段なら、「ここは Mick と俺がソロを弾けそうな場所だぞ!」って感じなのに不思議だよね。ただ今回は乗り気にならなかったんだ。

9. WHAT’S NEXT

この曲を何と表現すれば良いのだろう!これも Clown の精神から出現したセグエだよ。彼のこういったアレンジには仮のタイトルがついていたんだけど、正式なタイトルに変わると混乱するよね。長い間仮のタイトルに親しんできたから、楽曲を聴かなければどれがどれだかわからないよ (笑)。2年も別の名前で呼んでいたんだから、はい変わりましたと言われても「それでこの曲はどれ?」ってなっちゃうでしょ。

10. SPIDERS

“Spiders” は大好きだよ。この曲はバンドが可能性を少し広げたことを示しているね。まあ、俺らはいつもムーディーな楽曲やヘヴィーなサウンドスケープだってやってきたんだけどね。1996年のデモ “Mate. Feed. Kill. Repeat.” の頃からね。あのデモには “Do Nothing/Bitchslap” って曲が収録されていたんだけど、ただあれはほとんどファンクだったからね。
だからまあ進化の道って感じさ。もちろん、自分が何者かを見失いたくはないけどね。”Spiders” は常に同じ色でペイントする必要がないことを示しているのさ。それに、奇抜なギターソロも弾けたしね (笑)。

11. ORPHAN

これも俺のガレージで作ったデモから生まれた曲だ。ラウドなメタルだよ。

12. MY PAIN

何年か前、俺らが “All Hope is Gone” を制作している時、俺と Clown はスタジオから離れた農家の小屋で別のレコードを作っていたんだ。”My Pain” はその時生まれたようなものだね。常に Clown が取り組んでいたものだよ。その場所に戻り続ける1枚の絵のようなものさ。俺らが他の音楽にするなら、彼は使いたくなかったはずさ。そして決してリリースされなかっただろう。だけど、彼はこの楽曲を再訪してどうなるか見たかったんだ。Corey がすべての栓を引き抜いて、特別なものにしたんだよ。

13. NOT LONG FOR THIS WORLD

大好きな曲の1つだ。ボーカルの背後に存在するギターリフはとてもメロディックで、エアリーで、オープンなヴァイブを持っているね。そこから SLIPKNOT の典型的な形へと展開していくんだ。このボーカルとギターリフの相乗効果が気に入っているよ。

14. SOLWAY FIRTH

様々な要素が混在していて大好きな楽曲さ。アンビエントでエアリーなギター、ムーディーなドラム。同時にスラッシュメタルのリフも存在している。メタルじゃない要素を持ち込めて俺はラッキーだったよ。つまり俺にとって明確に聴いたことのないような楽曲を書くことが重要だからね。だけど同時に慣れ親しんだ部分もなくてはならない。

参考文献: INTERVIEW: SLIPKNOT’S COREY TAYLOR ONCE AGAIN EMBRACED PAIN TO CREATE UNFLINCHING ART: LOUDWIRE

SLIPKNOT: JIM ROOT’S TRACK BY TRACK GUIDE TO WE ARE NOT YOUR KIND; KERRANG!

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