NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INTO ETERNITY : THE SIRENS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM ROTH OF INTO ETERNITY !!

“As I Was Writing The Sirens, My TV Would Have The News Channel CNN On Just In The Background. After The Fukushima Disaster Happened, It Was On The News Everyday And I Was Just So Inspired To Write a Song Dedicated To Our Wonderful Japanese Fans.”

DISC REVIEW “THE SIRENS”

遺灰の散華は忘却という名の埋葬。しかしカナダのプログメタルミソロジー INTO ETERNITY は、10年の嗜眠から覚め神話の伝承を続開します。
00年代のプログメタルシーンにおいて、メロディーの乱舞、ハイテクニックの応酬にデス/スラッシュの凶暴やブラックメタルの陰鬱を投影した複雑怪奇なメビウスの輪、INTO ETERNITY の投げかけたハイブリッドのイデオロギーは、現代の多様なモダンプログレッシブへと繋がるゲートウェイだったのかも知れませんね。
特に、目眩く豊富なアイデアをシアトリカルに綴る “The Scattering of Ashes” の眩いばかりの完成度は、カタログの中でも群を抜いていました。
ところが、インタビューにもあるように、活動のスピードを落とさざるを得なくなった10年代初頭からバンドの歯車は狂い始めました。何より、七色ならぬ六人の声と顔を使い分ける傑出したシンガー Stu Block を ICED EARTH に引き抜かれたのはバンドにとって大きな痛手だったと言えるでしょう。
しかし、永遠を司る不死鳥は灰の中から蘇ります。「実は僕たちは何人か男性ボーカルをオーディションしたんだけど、最終的に Amanda のルックスと声が最も適していると判断したんだ。彼女は Stu が出していた全てのハイトーンをカバー出来るし、同時に僕等が必要としているデスボイス、グロウルもこなす事が出来るね。」と Tim が語る通り、新たに女性ボーカル Amanda Kiernanをフロントに据えたバンドは、新作 “The Sirens” で再びそのシグニチャーサウンドを地上に響かせることとなったのです。
幕開けは静謐なるピアノのイントロダクション。厳かに奏でられるモチーフは本編へと受け継がれ、決定的にネオクラシカルな響きをタイトルトラック “The Sirens” へ、ひいてはアルバム全編へともたらします。
マスターマインド Tim Roth の煌きは10年を経ても決して色褪せることはありません。ただし、かつて “エクストリームプログレッシブメタル” と称されたハイブリッドの比率は少々変化を遂げています。
確かに以前と比べて長尺の楽曲が増えた一方で、急転直下の場面展開、変拍子を伴うリズムのダンスはより自然体で作品の中へと溶け込んでいます。
もちろん、RACER X や CACOPHONY を思わせるスリリングなギターハーモニー、プログレッシブなデザイン、血湧き肉躍るクリエイティブなコンポジションは健在ですが、10年前と比較してよりパワーメタルへと接近したベクトルは 「”The Sirens” こそ、僕たちのレコードの中で最もヘヴィーメタルのファンにアピールする作品だと思っているよ。」 と語る Tim の言葉を強く裏付けます。
“Fringes Of Psychosis” はその新生 INTO ETERNITY を象徴する楽曲かも知れませんね。リッチなアコースティックギターから Michael Romeo にも迫るネオクラシカルの津波まで封じ込めた Tim のギターワーク、珠玉のメロディーと邪悪なグロウルを行き来する Amanda のウイッチリーなボーカル、エクストリームでブラストのハイテンションまで組み込んだリズム隊の妙。
静と動のダイナミズムに、リリカルで雄々しきドラマティシズム。即効性を持ってメタルアーミーの耳に馴染む、バンドのメタモルフォーゼは Stu が加入した ICED EARTH や “Jugulator” 期の JUDAS PRIEST にも並び得る鋭き牙とエナジーに満ちています。
惜しむらくは、若干チープなサウンドプロダクションでしょうか。インディペンデントでのリリースとなったため致し方ない部分とも言えますが、次作ではよりビッグなプロダクション、充実の制作環境に身を置けることを願います。
今回弊誌では Tim Roth にインタビューを行うことが出来ました。「”The Sirens” を書いている時に、テレビで、確か CNN だったと思うんだけど速報が入ったんだ。そうして、福島の災害が起きた後は、連日のようにニュースとなっていたね。僕はただとても感化されて、僕たちの素晴らしい日本のファンのために捧げる楽曲を書いたんだよ。」 どうぞ!!

INTO ETERNITY “THE SIRENS” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : ANIMALS ACOUSTIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

“The Animals Themselves Are Really Totally Abstract And Don’t Have Any Immediate Connection The Song’s Lyrics Or Sentiments. At The Time They Were Simply Place-holders.”

DISC REVIEW “ANIMALS ACOUSTIC”

オックスフォードに端を発するマスとエモの交差点は、英国と米国のサウンドスケープを統べる大動脈へと連なります。
TTNG。かつて THIS TOWN NEEDS GUNS を号していたヤングガンズの名を一躍知らしめたのは、多種多様な動物の姿をタイトルとアートワークに投影したデビューフル “Animals” でした。
確かにインタビューでバンドのマスターマインド Tim Collis は 「アルバムに登場する動物それ自体は、本当に、完全に抽象的な存在で、実は楽曲の歌詞や感情と直結するものではなかったんだよ。」と明かしてくれました。つまり、楽曲に授けられた動物の名前は、製作時に必要だった仮タイトル以上の存在でも以下の存在でもなかった訳です。
しかしながら、クロコダイルやシマウマ、パンダにマントヒヒが跋扈し、あの色彩豊かで五感を呼び覚ますアートワークの美福は、 TTNG のエクレクティックな音楽世界を図らずも象徴していたのかも知れませんね。
同郷同世代の FOALS は常に比較対象の的でしたが、BATTLES や日本の toe にも比肩される精密華麗な演奏技術は明らかに TTNG を際立った存在へと昇華していました。ただし、手数の多いハイテクニック、変幻自在のタイム感といったマスロックを源流とする鮮やかな音景は TTNG という大自然の一部分に過ぎません。
オックスフォードの偉大な先人 RADIOHEAD、さらには THE SMITH といった誇り高き霧雨の情緒は英国の血統を。一方で、Stu Smith の儚くも感傷的な歌声に溶け合う開拓者の実験性とアンビエンスは、OWLS, AMERICAN FOOTBALL, さらには MINUS THE BEAR といった Kinsella 兄弟に端を発する USエモ/インディーの景観をもリスナーへと届けるのですから。
以降、Stu の脱退、ベース/ボーカルの Henry Tremain を加えたトリオでのリスタート、THIS TOWN NEEDS GUNS から TTNG への改名、香港 Hidden Agenda での災難など激動のディケイドをくぐり抜けた彼らは、そうしてまるでバンドの第一章を総括するかのごとく “Animals” の記念すべき10周年を特別な形で祝うことに決めたのです。
トピックは3つ。まずは全編にアコースティックアレンジを施し再録することで、例えば叙情極まる “Lemur”, “Badger”, “Dog” のように躍動感に霞んでいた楽曲の本質が生々しく浮き上がり、ギタリスト Tim の円熟をも鮮明に伝えています。そしてよりソフトに、より理知的に再構築された音楽のジャングルは、”Elk” で顕著なように、ストリングスやトランペット、ハープにダブルベース、シロフォンにハンドドラムまで色とりどりのアコースティックな響きを誘うオーケストラへと進化を遂げたのです。
Stu Smith の帰還も特別な出来事でしょう。「明らかに Stu は “Animals” において大きな部分を担っていたね。だから僕たちはこの作品の楽曲で彼をフィーチャーしたかったんだ。」の言葉は真実です。より艶を増したように感じられるセンターラインの復帰は、期間限定とはいえバンドのエナジーにハイオクのインパクトをもたらしました。
そして、自由を与えられた AMERICAN FOOTBALL などで活躍する Nate Kinsella, COVET のクイーン Yvette Young, KRAKEN QUARTET のゲスト陣はノスタルジアに彩られた楽曲群に新たな生命を宿します。Tim はインタビューで何度も “リスナーが楽しめる” スペシャルワンを提供したかったと語っています。そしてその優しさは間違いなくサウンドスケープとなってレコードを循環しているのです。
「バンド名は元々、ジョークみたいなものだったんだよ。UKにはほとんど銃が存在しないんだ。警察官さえ所持していないほどでね。だから銃が必要だという笑いにしてみたんだけど、決してネガティヴな意味を込めた訳ではないんだよ。けれども、ほとんどの人間は勿論、銃とそれがもたらす暴力の可能性に反対だし、バンド名がそういった不名誉なスティグマを背負うことは避けたかったのさ。当然、明らかにジョークだし、シリアスに取られるべきことではないけどね。」と改名の理由を語ってくれた前回のインタビューもぜひ。Tim Collis です。どうぞ!!

TTNG “ANIMALS ACOUSTIC” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEVENTH WONDER : TIARA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEFAN NORGREN OF SEVENTH WONDER !!

“We All Supported Tommy Karevik 100%! Off Course, We All Realized That They’d Come First And That This Would Inevitably Set Us Back Time Wise. But There Was No Way Any Of Us Would Get In The Way Of Such a Great Career Move For Him.”

DISC REVIEW “TIARA”

スウェーデンで毎年行われる “一番大切な冬の行事”、聖ルシア祭。貧しい人々に財産全てを提供した純粋の象徴、光の聖人聖ルチアの姿は、そのスウェーデンに居を置くプログメタルの至心 SEVENTH WONDER と不思議に重なるのかも知れません。
“Waiting in the Wings” でその鵬翼を広げたバンドは、“Mercy Falls” で悲劇的なサスペンスを描き切り、“The Great Escape” では30分のエピックと共に喪失、失楽からの大いなる逃避による微かな希望の灯火を見出して来ました。
「難解なセクションも音楽的に実りがなければ僕にとっては的外れなんだ。だからこそ、メロディーとアトモスフィアが必要なんだけどね。」新加入のドラマーにして現在はバンドのスポークスマン的な役割を務める Stefan Norgren の言葉は真実です。
何より、しばしば DREAM THEATER が引き合いに出されるほどのハイテクニックと緻密なデザインの二重奏を奏でながら、SEVENTH WONDER はスカンジナビアの澄み切った眺望を旋律のクリスタルに封じ込めて来たのですから。そうしてそのパノラマは常に映画のように壮大なストーリーを纏ってリスナーの感情を激しく喚起するのです。
8年という長い月日を経てリリースされた最新作 “Tiara” のストーリーは、もしかするとバンド自体の影法師と言えるのかも知れませんね。滅ぶべき運命にある地球が救いを求め “The Everones” に差し出す純粋無垢の象徴、少女 “Tiara”。そのあらすじに、不世出のボーカル Tommy Karevik の KAMELOT 加入を重ねたファンも多いでしょう。
もちろん、Stefan はインタビューで Tommy の “ダブルワーク” がある程度 Win-Win な状況であることを強調しています。ただし、今でも Roy Khan の亡霊を宿し歌唱をシンフォニックに限定される KAMELOT での活動に、彼本来の姿を知るリスナーの多くが歯痒い思いをしていることも事実です。
実際、”Tiara” での Tommy は不要の責任から解放され自由を謳歌しているようにも思えます。自らに宿る全てのレンジでオクターブの山脈を超え、感情のリミットを解放しながら様々なキャラクターを演じ分けるその絶対的なパフォーマンスはまさに水を得た魚。
よりゴージャスでロックオペラの佇まいを擁する “Tiara”。中でも “Tiara” が別れを告げる “Farewell” 三部作はマスタークラスのバンドと Tommy の開眼が最高レベルでシンクロを果たした絶景と言えるでしょう。
シンセの煌めき、理知的な変拍子、メタルらしいエッジとユニゾンの醍醐味、静と動のダイナミズム、躍動するアコースティック楽器にヴァイオリン、暖かいコーラスの絨毯、Tommy と妹 Jenny との甘やかなデュエット、そして何よりエモーション極まる極上のメロディー。少なくとも、ピュアなプログメタルに求めるものは全てがここに存在します。
同時に、”Arrival” でシンフォニックに幕を開けるアルバムは、”The Everones” のスリリングなボコーダー、”Truth” で見せるベースの妙義とフォルクローレの熱情、“By the Light of the Funeral Pyres” はロックマンの8-bitでしょうか、そしてジェットコースターのエピック “Exhale” までバラエティーに富み、新機軸とチャレンジに満ち溢れています。
「さてその結末は?それはアルバムを聴いて、歌詞を読んで自らで決めて欲しいね…。」では、Tommy と SEVENTH WONDER の物語はどのような結末を迎えるのでしょうか。少なくとも、”Tiara” が DREAM THEATER や SYMPHONY X、そして SHADOW GALLERY を愛し続けて来たここ日本で歓迎されるべき作品であることは確かです。
今回弊誌では、Stefan Norgren にインタビューを行うことが出来ました。「テクニック、メロディー、アトモスフィア…それは僕たちのような音楽を生み出す時、心に留めている素晴らしいキーワードなんだよ。」全てのメタルファンに送る素晴らしき SF 叙事詩。どうぞ!!

SEVENTH WONDER “TIARA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOLA : APPLAUSE OF A DISTANT CROWD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM JANZI OF VOLA !!

“I Would Describe The Band As An Adventurous Rockband With Tendencies Towards Metal And Electronica. We’re Very Keen On Experimenting And Not Being Bound To One Label Or Genre.”

DISC REVIEW “APPLAUSE OF A DISTANT CROWD”

モダンプログレッシブのフロントランナー VOLA は、ジャンルのアイデンティティーを保ちながら進化を遂げる荊棘を成し遂げるユトランドの至宝。
Djent 由来の重厚なグルーヴ、シンコペーションの創造性をメロウでヴィンテージなイヤーキャンディーで包み込み、シンセウェーブのフィヨルドへと注ぎ込む彼らのやり方は、まさしくデンマーク発祥のトレンド、”ヒュッゲ” “甘美な時” をリスナーへと運びます。
レトロ&フューチャーが交差する衝撃のデビューフル “Inmazes” から4年。世界一幸福と言われるデンマークに降臨した “時をかけるバンド” が次なるテーマに選んだのは、皮肉にもテクノロジーや SNS が人類にもたらす栄華と暗部、幸せの価値。
「タイトルの “Applause of a Distant Crowd” “遠方の観客から届く拍手喝采” とは、僕たちが SNS を通してコンスタントに賞賛や承認を求めていることを表しているんだよ。だけど、そうやって喝采をくれる人たちは遠く離れていて、そこでの関係性が何か実りをもたらすことなんてないだろうはずなのに。」と新たなドラムマイスター Adam Janzi が語るように、インターネット& SNS の発展は利便性の向上と同時に、承認欲求、嫉妬、欺瞞、憤怒といった人に巣食う闇の部分をこれまで以上に助長させ、世界は生きづらさが増しているようにも思えます。
“We Are Thin Air”、アルバムの幕開けは、そうした息苦しさを “空気が薄い” と表現する究極のメッセージ。THE ALAN PERSONS PROJECT を彷彿とさせる暖和で壮大なメロディーの洪水は、コーラスの魔法と浮遊感を伴って、あたかも水中で暮らしているかのようなイメージを摩訶不思議に演出し描写します。
同時に、80年代の甘くキラキラした、しかしどこか切ないデジタルの波はコンテンポラリーなディストーションサウンドと融け合い、その波動は “Ghost” のエセリアルなセンチメント、感傷の波へと集約していくのです。
レトロとフューチャーを自在に操る時間魔法師の煌きはすなわち “ビタースイート”。そしてよりオーガニックに、オルタナティブの領域へと接近した新たな旅路は、MEW や MUSE のインテリジェントな方法論とも入念にシンクロしていると言えるでしょう。
一方で、「それでも僕たちは、今でもプログやメタルを愛しているよ。それは変わらないね。」と語るように、MESHUGGAH や DECAPITATED の凶暴なポリリズムが一際そのサウンドスケープを拡大させていることは明らかです。
“Smartfriend”, “Alien Shivers” におけるシンコペーションアグレッションはまさしくプログメタルの系譜を引く証ですし、その場所に VOLA 特有のポップセンス、アトモスフィアが流入した響きには、”Post-djent” を導くヒントが隠されているのかも知れませんね。
さらに、”Vertigo”, “Green Screen Mother” で見せるダークでスロウな一面は、バンドと作品の二面性を際立たせ、モダンプログの骨子である多様性とダイナミズムを一際浮かび上がらせることとなりました。そして、当然そこには、Adam が人生を変えたアルバムで挙げている Chelsea Wolfe, Nick Cave からの仄暗く、ノワールな影響が存在するはずです。
今回弊誌では、その Adam Janzi にインタビューを行うことが出来ました。「もしこのバンドを一言で表すなら、アドベンチャーロックバンドかな。メタルとエレクトロニカの要素を持ったね。」 さて、この作品を耳にして Steven Wilson は何をおもうのでしょうか。どうぞ!!

VOLA “APPLAUSE OF A DISTANT CROWD” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NOSOUND : ALLOW YOURSELF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GIANCARLO ERRA OF NOSOUND !!

“I’ve Never Been a Fan Of Being Very Good Or Even Virtuoso Or Any Instrument, I Hate Any Virtuoso Or Technical Playing, I Like Instead Emotions, That Are Always Simple And Direct.”

DISC REVIEW “ALLOW YOURSELF”

「シンプルとは究極の洗練である。」 イタリアから真なるプログレッシブを追求する現代のダヴィンチ Giancarlo Erra は、万能の天才に相応しき多様な才能を NOSOUND へと捧げます。
70年代のサイケデリカとプログの香りをコンテンポラリーなオルタナティブ、アンビエント、エレクトロニカ、ポストロックの小瓶へと封じる NOSOUND の芳醇でエクレクティックな音楽性は、ヨーロッパにおいて今最も刺激的なアートロックフォームの一つとして遂にその認知を頗る高めています。
21世紀初頭に帆を上げた NOSOUND の航海にとって、ポストプログレッシブの本営 Kscope との契約、そしてポストロックのサウンドスケープへと接近した “A Sense of Loss” のリリースは最初の転機となりました。
「僕が Kscope を気に入っているのは、プログの世界と定義を見直そうと決め、僕の新作を歓迎してくれるのはもちろん、プログ世界の外側のアーティストとも多く契約をしている点なんだ。」と Giancarlo は語ります。
事実、ANATHEMA はもとより、THE PINEAPPLE THIEF, NO-MAN といった NOSOUND と深くシンクロする Kscope ロースターは音色、響きの焦点を全て感情表現という一点へ集中させています。詩歌、奏楽、ノイズ、オーケストレーション、リズムは、音楽というレンズを通して最もエモーションを際立たせる場所へと配置されるコンポーネントの一つ。
つまり、「僕はどの楽器においても、卓越したミュージシャンやヴァーチュオーゾの大ファンだったことはないんだよ。むしろ、ヴァーチュオーゾやテクニカルなプレイを嫌っているとさえ言えるね。それよりもエモーションを愛しているんだ。」との言葉通り、NOSOUND の志向する “プログレッシブ” は、卓越した技巧を感情追求の一端とする典型的なプログレッシブロックとは全く異なる領域にあると言えるのです。
賞賛されるべきは変化を恐れない勇気だと Giancarlo は語ってくれました。そして彼らの最新作 “Allow Yourself” は自らのコンフォートゾーンからさらに針路を進め、最も創造性煌めく海原へと到達する “許し” が付与された第二の転機です。
事実、かつての音楽性は “Nosound” となったと嘯く通りその変化はドラスティック。典型的なロックの構造から離れて “ミニマル” なデザインを追求し、エレクトロニカとアコースティックの完璧なバランスを見出したアートは、カテゴライズやアナライズさえ愚かな行為に思えるほど浮世離れの絵巻物。
ただし、このエレガントでドリーミー、メランコリックで静謐で、しかし時に深々と積もる怒りの灯火やパワフルなエナジー、情熱や情念を噴出させるモナリザの万華鏡には、これまで以上に様々な感情が、より鮮やかに交錯し織り込まれていることは確かです。
もしかしたら、世界には “許し” が足りないのかもしれません。自らを愛すること、心を開くこと、変化を遂げること、理解を深めあうこと。全てに勇気を持って “許し” を与え、新たな扉を開くためのサウンドトラックとして、この作品はあまりに完璧です。
今回弊誌では、Giancarlo Erra にインタビューを行うことが出来ました。「プログというジャンルは、そもそもジャンル分けをものともしない音楽のために生まれたはずなのに、70年代を過ぎると最も閉鎖的な分野の音楽になってしまったね…”進化” するべきはずのものから、形骸化された “プログレッシブ” の形式で作られた音楽だけを受け入れるものになってしまったのさ。」ぜひドアを開けてください。どうぞ!!

NOSOUND “ALLOW YOURSELF” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【REVOCATION : THE OUTER ONES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID DAVIDSON OF REVOCATION !!

“Sometimes I’ll Discover Some Cool Voicings While Working On a Jazz Tune And I’ll Try To Manipulate Them In a Certain Way So That It Fits Into The Metal Framework Better.”

DISC REVIEW “THE OUTER ONES”

エクストリームメタルシーンの “名状しがたきもの”。刻々とその姿を変える轟音の支配者 REVOCATION は、神秘探求者たるリスナーの脳を時に捕捉し、時に喰らうのです。
「彼らは時代によって音楽性を少しづつ変化させていたでしょ?」David は信奉する DEATH の魅力についてそう語りましたが、自らのバンド REVOCATION にも同様の試みを投影しています。
ハイテクニカルなデスメタルの知性とスラッシュメタルの衝動の中に、オーセンティックなメタルの様式美を組み込んだ初期の煌きは眩しく、一方で鬼才 ARTIFICIAL BRAIN にも所属する Dan Gargiulo 加入以降の、前衛的で中毒性を宿した VOIVOD にも通じる不協和のカオスもまた魅力の一つだったと言えるでしょう。
そうして最新作 “The Outer Ones” でバンドが辿り着いた魔境こそ、トレードマークである演奏能力とアグレッションを拠り所とする”完璧なデスメタル”、すなわち “The Inner Ones” に、荘厳でリリカルなメロディーのイヤーキャンディーやジャズの複雑怪奇、すなわち “The Outer Ones” を織り込んだコズミックな宇宙でした。
饗宴の始まりはダークでソリッドな “Of Unworldly Origin” から。TRIVIUM の爽快さまでイメージさせる耳障りの良いファストチューンは、しかし同時にブルーノートを起点としたジャジーなコードボイシングで自らの異形をアピールします。
分解してスウィングさせればツーファイブにもフィットするウネウネとしたリードプレイから、冷徹でしかしファンタジックな DEATH の遺産、ツインリードへと雪崩れ込むギターの魔法は2人のマエストロを備える REVOCATION ならではの至宝でしょう。
実際、唯一のオリジナルメンバーとなった David Davidson のジャズに対する愛情は、先日あの TESTAMENT のジャズスラッシャー Alex Skolnick との対談でお互いが認め合ったように、本物です。ギター教師の一面も持つインテリジェントな David は、メタルにとって規格外のコード進行、ボイシング、そしてスケールを操りながらアルバムを未知の領域へと誘います。
ロマンチックとさえ表現可能な “Blood Atonement” はまさに David の異能が濃縮した楽曲でしょう。ブラッケンドな激情を叩きつける漆黒のワルツは幽かな叙情を宿し、一転して静寂の中紡がれるクリーントーンの蜜月は Joe Pass の匠を再現します。まさに David 語るところの “コントラスト” が具現化した “血の償い” は、CYNIC のアトモスフィアさえ纏って怪しくも神々しく輝くのです。
“Fathomless Catacombs” で再び DEATH への深い愛情を示した後、バンドは “The Outer Ones” で BETWEEN THE BURIED AND ME の重低音のみ抜き出したかのような不規則な蠢きでラブクラフトのホラーを体現し、さらに不気味なコードワークが映える “Vanitas” では VOIVOD はもとより ATHEIST, PESTILENCE のカオスをも須らく吸収してみせました。
アルバムを締めくくる大曲 “A Starless Darkness” はまさに名状しがたき暗闇。ドゥームの仄暗い穴蔵から這い出でし闇の化身は、勇壮なエピック、スラッシュの突心力、デスメタルの沈痛、シュレッドのカタルシスと多様にその姿を変えながら、OBSCURA と並びプログレッシブデスメタルの森を統べる者としての威厳を示すのです。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド David Davidson にインタビューを行うことが出来ました。「ジャズの楽曲に取り組んでいる時、しばしば僕はクールなボイシングをいくつか発見するんだけど、それがメタルのフレームワークへとうまく収まるように手を加えてみるんだ。」フックと展開の目眩くクトゥルフ。今、最もハイテクニカルなギターチームが揃ったバンドの一つでしょう。どうぞ!!

REVOCATION “THE OUTER ONES” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREAK KITCHEN : CONFUSION TO THE ENEMY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTIAS “IA” EKLUNDH OF FREAK KITCHEN !!

“I Think The Change Of Music Industry Is a Brave New World With Tons Of Opportunities. You Can’t Sit Home And Complain It Was Better Before. Adjust Or Die.”

DISC REVIEW “CONFUSION TO THE ENEMY”

急速に拡大を続ける “ギターナード” の世界。真のギターフリークの間で、最もイノベーティブかつ画期的なプレイヤーとして崇拝を浴び続ける “Freak of the Freak” Mattias IA Eklundh。
水道のホースクリップ、テレビのリモコン、櫛、大人のディルドーにラジカセアンプ。目につくもの全てを “ギミック” としてギタープレイに活用し、レフトハンドのハーモニクスから両手タッピング、ミステリアスなスケールにポリリズムの迷宮まで自在に操るマエストロのアイデアは決して尽きることがありません。
同時に、弦は錆び付いても切れるまで交換せず、スウェーデンの自然とジャーマンシェパードを溺愛し、音楽産業の利益追求主義を嫌悪する独特の思想と哲学は Mattias の孤高を一層後押ししているのです。
「FREAK KITCHEN を立ち上げたのは少しだけコマーシャルな音楽を志したから。だけど適度にひねくれていて、様々な要素をミックスしながらね。」 とはいえ Mattias が情熱を注ぐスリーピースの調理場は、ただ難解で複雑な訳ではなく、むしろキャッチーでフックに満ち溢れた色とりどりのスペシャリテを提供して来ました。”Pop From Hell” とも評された、甘やかでインテリジェント、Mattias の “歌心” を最大限に引き出した “Freak Kitchen” はまさにバンドのマイルストーンだったと言えますね。
ジャズからボサノバ、アバンギャルド、ブログにインド音楽と手を替え品を替えエクレクティックに食材を捌き続けるバンドは、そうして最新作 “Confusion to the Enemy” でさらなる未踏の領域へと到達したように思えます。
「AC/DC は僕がいつも帰り着く場所なんだよ。Angus にただ夢中だし、Phil Rudd の熱狂的なファンでもあるんだ。」 近年、AC/DC のやり方に再びインスパイアされたことを明かす Mattias。その言葉を裏付けるかのように、作品には以前よりシンプルでスペースを活用した、ヴィンテージロックやブルースのエネルギッシュな息吹が渦巻いているのです。
例えば “Good Morning Little Schoolgirl” をイメージさせるブルースパワーにアンビエントな風を吹き込んだ “The Era of Anxiety”、スウェーデン語で歌われる “Så kan det gå när inte haspen är på” のシンプルな突進力とスライドギターのスキャット、さらにトラディショナルなブルースのクリシェをベースとしながら、愛車のボルボをパーカッションに EXTREME の “Cupid’s Dead” の要領で問答無用にリフアタックを繰り広げる “Auto” の音景は明らかに魅力的な新機軸でしょう。
もちろん、KINGS X を思わせるダークなオープナー “Morons” から胸を締め付ける雄大なバラード “By The Weeping Willow” まで、クラッシックでヴィンテージなサウンドを背景に Mattias らしいルナティックなギタープレイと甘く切ないメロディーのデコレーションを疎かにすることはありません。
圧巻はタイトルトラック “Confusion to the Enemy” でしょう。バンド史上トップ5に入ると語る楽曲は、アルバムに存在する光と闇を体現した究極なまでにダイナミックなプログレッシブ絵巻。MESHUGGAH を想起させる獰猛なポリリズムと空間を揺蕩うアンビエンス、さらにFKらしいイヤーキャンディーが交互に顔を覗かせる未曾有のサウンドスケープは、バンドが辿り着いた進化の証。
時という “敵” であり唯一の資産を失う前に成し遂げた記念碑的な快作は、そうして “We Will Not Stand Down” で緩やかにエモーショナルにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では Mattias IA Eklundh に2度目のインタビューを行なうことが出来ました。「ゼロから何かを生み出す作業は、未だに究極の興奮を運んでくれるんだ。ただのルーティンの練習はそうではないよね。」 どうぞ!!

FREAK KITCHEN “CONFUSION TO THE ENEMY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOUTHERN EMPIRE : CIVILISATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SEAN TIMMS OF SOUTHERN EMPIRE !!

“When I Was 14, My Father Bought Me a Copy Of “Journey To The Centre Of The Earth” By Rick Wakeman. That Album Changed My Life!”

DISC REVIEW “CIVILISATION”

南半球、オーストラリアの南方アデレードから、プログレッシブな帆を掲げ天海へと漕ぎ出す “南の帝国”。SOUTHERN EMPIRE の紡ぐ物語はあまりに雄弁かつ壮大、圧倒的なパノラマです。
豪州のプログロックにとってアンバサダー的な存在だった UNITOPIA の解散は、旋律の魔法とアートロックの知性を愛するリスナーに茫漠たる喪失感を与えた出来事でした。
後にフロントマン Mark Trueack は元 UNITOPIA とヨーロッパのミュージシャンを集め UNITED PROGRESSIVE FRATERNITY を結成。一方でキーボーディストの Sean Timms はオーストラリアからのみ卓越した人材を選び抜き SOUTHERN EMPIRE を創設したのです。
そして Sean がインタビューで 「別のシンガーを入れた UNITOPIA だと思われないように、Mark のやっている事とは出来るだけ別の事がやりたかったんだ。」と語る通り、SOUTHERN EMPIRE は確かに異色で魅惑のサウンドスケープを深くその帝都に宿します。
30分の大曲を含む全4曲、68分のランニングタイムを携えた最新作 “Civilisation” は一見 “プログマナー”、トラディショナルなプログロックの遺産を存分に受け継いだレトロなレコードにも思えます。
しかし、実際は “プログヘブン” の領域にコンテンポラリーなプロダクション、硬質で鋭利な斬れ味、甘やかでポップなイヤーキャンディーを大胆に織り込みながら、躍動感溢れるハイエンドの造形美を提示したマグナムオパスと言えるのです。
スチームパンクなアートワークは革新を追い求める人類の象徴。ジュール・ヴェルヌの “地球から月へ” を引用したブックレットはイマジネーションへの憧憬。レトロとフューチャー、SFとリアルが入り混じるエピックに、ペリシテの巨人兵器ゴリアテに纏わる “Goliath’s Moon” 以上の幕開けはないでしょう。
ファンクのグルーヴ、モダンでシャープなリフワークに、浮遊する鍵盤の音色、陰影を帯びたロマンチックなボーカルハーモニーが折り重なればそこは異郷のシャングリラ。MOON SAFARI や FROST* にも重なるリリカルでハーモニックなメロディーのオーケストラは、リスナーを誘う優雅なオープニングセレモニーにも思えます。
「このアルバムでは、メンバー全員がライティングとアレンジのプロセスに関わったんだ。その結果は如実に現れているよね。」デビュー作と比較して “Civilisation” には瑞々しく現代的な感性が確かに宿っています。そして、”Goliath’s Moon” をシーンの新たなギターマスター Cam Blokland が作曲し、Sean がアレンジを手がけたという工程こそ、温故知新を具現化したアルバムの肝だと言えるのかも知れませんね。
同様に、ドラマー Brody Green が作曲を行い、Sean が磨き上げた “Cries for the Lonely” もユーティリティーなバンドの本質を明らかにします。NIGHTWISH や劇場音楽にインスピレーションを得た楽曲は確かに絢爛でシアトリカル。SAMURAI OF PROG の Steve Enruh が奏でるヴァイオリン、さらにはフルートの登場も相まって、楽曲はシンフォプログの夢劇場の様相を呈しているのです。
夢劇場と言えば、エレクトロニカやミニムーグ、壮麗なコーラスと共に散りばめられた DREAM THEATER への憧憬は白眉。20分の叙情ストーリーにきっと “A Change of Seasons” の華麗なデザインを思い浮かべるファンも多いでしょう。
プログメタルの大ファンではないと語った Sean 一人では辿り着けなかったであろう多様性の高みへは、Petrucci も舌を巻く鮮烈でロングスプリントな Cam のソロワークがしなやかに連れ去って行くのです。音の選択、配置、ストーリーの描写、グラウンドデザイン、全てにおいて Cam のギターワークはヒーローに相応しい煌めきを灯していますね。
元々は UNITOPIA のために書かれた大作 “The Crossroads” は SOUTHERN EMPIRE との出会いで完璧なるユートピアへと到達したのかも知れませんね。
TOTO のポップセンスに始まり、オリエンタル、フラメンコ、クラッシック、パーカッション、ホルン、ジャジーなサクスフォンにジプシーミュージック。幾重にも折り重なるエクレクティックな音楽の波は、タイトル通りここで交わり、そうしてバンドの大半が備える高い歌唱力を伴ってどこまでも前進を続けて行くのでしょう。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Sean Timms にインタビューを行うことが出来ました。例えば FROST* の “Milliontown”、MOON SAFARI の “Lover’s End” と同等のリスペクトを受けるべき作品だと信じます。
「僕はとても長い楽曲を書く傾向があるんだ。それは僕の歌詞でストーリーを伝えるのが好きだからなんだけどね。」どうぞ!!

SOUTHERN EMPIRE “CIVILISATION” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SKELETONWITCH : DEVOURING RADIANT LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SCOTT HEDRICK OF SKELETONWITCH !!

“Any Time My Writing Wanders Near The Territory Of “Ambient” Or “Cinematic”, Ryuichi Sakomoto Is Going To Be An Influence.”

DISC REVIEW “DEVOURING RADIANT LIGHT”

ブラックメタル、メロディックデスメタルを獰猛な原衝動、スラッシュメタルに奉呈し、”ブラッケンド-スラッシュ” の峻路を切り拓くオハイオの妖魔 SKELETONWITCH。
バンドの発するクリエイティブな変幻の瘴気は、メタル伏魔殿の魑魅魍魎を遥かな幽境へと誘います。
2004年からエピカルなメロディーと凶猛な響骨を混交し、エクストリームメタルの超克を多様に牽引し続ける変異体は、2014年にキャリアの重大な分岐点を迎えました。
アルコールの乱用を要因とする素行の悪化に堪え兼ねたバンドが、ボーカリスト Chance Garnette を解雇したのです。ギタリスト Nate の兄弟でもある創立メンバーが引き起こした問題は、徐々に存在感を増しつつあった SKELETONWITCH に暗い影を落とすかのようにも思われました。
しかし、元 VEIL OF MAYA、現 WOLVHAMMER のフロントマン Adam Clemans を迎え入れた彼らは、アトモスフェリックなブラックメタル、アンビエント、プログレッシブなどその多様性を一際研ぎ澄まし、地殻変動に端を発するネクストレベルのクリエイティビティーへと到達することになったのです。
バンドのロゴやアートワークの方向性まで変更しリリースした “Devouring Radiant Light” は、実際 “再発明” のレコードです。
アルバムオープナー “Fen of Shadows” は過去へのレクイエムにして未来へのファンファーレ。バンドのトレードマーク、クラッシックメタルのフックやメロデスのメランコリーは確かに耳孔の奥へと沈み行き、一方で幾重にもレイヤーされたポストブラックのギターオーケストラ、中盤の荘厳なるアトモスフィア、そしてプログレッシブなグランドデザインは破天荒な背教者をレコードへと招き入れるのです。
事実、「アルバムには大きく分けて二つのスタイルが存在していると思う。」と Scott は語ります。そして Nate は直線的でスラッシー、Scott は重厚でプログレッシブ。コンポジションの棲み分けを念頭に置けば、”Devouring Radiant Light” は Scott の遺伝子をより多く受け継いだ麒麟児の光明だと言えるでしょう。
切迫するトレモロの嗎とブラストの喧騒でダーク&メロディックなブラックメタルの深淵を探求する “Temple of the Sun”、PALLBEARER や MASTODON のキャッチーなドゥーム/スラッジにも共鳴するエピック “The Vault” と拡大を続ける SKELETONWITCH の魔境。
Kurt Ballou, Fredrik Nordstorm のドリームチーム、さらに JOB FOR A COWBOY, BEHEMOTH との仕事で知られるゲストドラマー Jon Rice の推進力もサウンドの深化に華を添えます。
中でも “最もバンドの進化を示している” と語るタイトルトラック “Devouring Radiant Light” は文字通り熾烈な光彩。NEUROSIS, ULVER, OPETH, さらにはカスカディアンブラックの陰影と実験性までも胸いっぱいに吸い込んだブラッケンド-スラッシュの革新的な波動は、光と闇のダイナミズムを携えながらエモーショナルなダンスを踊るのです。
“Sacred Soil” は作品の終幕、結論に相応しきインテンスの断末魔。エレガントなハーモニーとブルータルなリズムのカコフォニーは魔女の帰還と新たな旅路を祝う地下室の祝祭なのかもしれませんね。
今回弊誌では、ギターチームの片翼 Scott Hedrick にインタビューを行うことが出来ました。「坂本龍一氏はまさに僕の作曲面に多大な影響を与えているんだよ。」どうぞ!!

SKELETONWITCH “DEVOURING RADIANT LIGHT” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【URIAH HEEP : LIVING THE DREAM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICK BOX OF URIAH HEEP !!

“We Are a Family Away From Our Family So To Speak. I Have Always Said a Working Band Is a Happy Band And That Is Why We Smile a Lot. “

DISC REVIEW “LIVING THE DREAM”

凛々しきハードロックとプログの幻想が交差する、プロト-メタルの “桃源郷” URIAH HEEP。
波瀾万丈、紆余曲折を潜り抜け、半世紀の年輪を刻んだ今も未来への雄渾なる熱情を宿し続ける不死鳥は、ただ純粋にロックへの殉教に焦がれます。
悪魔の叫び David Byron、ハモンドの魔術師 Ken Hensley、そして Mr. ブルーノート Mick Box。三者三様の個性で織り上げるエピカルでシアトリカルなバンド初期のレガシーは、ヒストリーオブロックの一ページ、秘伝の黄金律として今も色褪せることはありません。
実際、Mick の野性味溢れるハードドライブと、Ken の翳りを帯びたプログレッシブなミステリーは David の艶やかな表現芸術を携えてこの上ないカタルシスを創出し、至高の “夢幻劇” は静の “July Morning” から動の “Easy Livin'” まで “対自核” のダイナミズムを深くその舞台に刻んだのです。
そしてもちろん、彼らの分厚くゴージャスなボーカルハーモニーは、しばしば比較を受ける DEEP PURPLE には存在しないものでしたね。
ただし、バンドのマスターマインド Mick Box は、その両翼を徐々に欠いた後も偉大なスピリットを穢すことは決してありませんでした。
アメリカの空を仰ぎ始めた John Lawton との冒険においても “Sympathy” では “哀れみの涙” をしめやかに流し、Peter Goalby を迎えたNWOBHM とのシンクロ二ティーでもそのキャッチーな魅力は些かも陰ることなく、そして何より Bernie Shaw との現行ラインナップが “Sea of Light” で見せたロマンチシズムは、バンド本来の魅力を存分に主張する新たなる決意の欠片だったのですから。
そして Mick は 長年バンドに貢献を続けた Lee Kerslake を健康問題で、Trevor Bolder に至っては逝去という悲しい理由で欠きながらも遂に更なるマイルストーンを築き上げました。
「まさに僕たちはロックに宿る夢を実現しているよね。そしてそれ故にアルバムタイトルになったんだ。」と語るように最新作 “Living the Dream” は、自らが辿った栄光と自由の軌跡。
オープナー “Grazed by Heaven” を聴けばリスナーは、来年結成50周年を迎えるバンドがこれほどまでにフレッシュでエネルギッシュな音楽を奏でることに驚愕を憶えるはずです。
Phil Lanzon が過去のレガシーを礼賛するハモンドの魔法を奏でれば、浮かび上がるはバンドの心臓、Mick の荒々しくも硬質なリフアタック。そうしてダイナモ Russell Gilbrook の卓越したパワーとテクニックは、Bernie を中心とする壮麗なる5ウェイハーモニーをも誘ってロックとプログの濃密なる交差点を作り上げていくのです。
一方で、クリアー&パーフェクトなプロダクションの妙は、今を生きるバンドの挑戦的でコンテンポラリーな姿をも浮き彫りにしていますね。
言ってみれば “Living the Dream” こそがブリティッシュハードの桃源郷なのかも知れません。タイトルトラックの QUEENにも匹敵する重層のコーラス、ZEP のフォークが花開く “Waters Flowin'”、 GENESIS への敬意を表明した “It’s All Been Said”、想像力を掻き立てる8分のプログエピック “Rocks in the Road” にメランコリックで壮大な “Dreams of Yesteryear”。枚挙に暇がありません。
そうして、キャッチーでフックに満ちた英国のバスストップにおいて、”Falling Under Your Spell” は特別な一曲となりました。
70年代から数えても、バンドにとって屈指のキラーチューン。もちろん、”Easy Livin'” を想起させるビッグなコーラス、ターボを積みこんだシャッフルビートに荒れ狂うオルガンサウンドはある意味ヴィンテージな “幻想への回帰” にも思えます。
しかし、「バンドのキャラクターを保つことはもちろん、同時に新鮮味を持ち込むことも重要だったんだ。」と語るように、サウンドのトータルバランスは群を抜いてモダンでダイナミック、不思議な程にフレッシュで現在を写す煌きのポートレートに思えるのです。テンポチェンジ、転調に静と動のコントラスト。アルバムを通してそうしたフックと緩急は常に新たな驚きと喜びをリスナーへと届けます。
きっとそれは巧みの熟練、そして “情熱” の成せる技なのかもしれませんね。常に音楽シーンの変化に目を光らせているという Mick の言葉は真実です。そして “悪魔と魔法使い” が出会う25回目の “魔の饗宴” は、新たなファンという更なる “罪なきいけにえ” を一層増やすに違いありません。
今回弊誌では、レジェンド Mick Box にインタビューを行うことが出来ました。「いつも言っているんだけど、よく働くバンドはハッピーなバンドだと思うんだ。僕たちもそうだし、だからこそたくさん笑えるんだよ。」どうぞ!!

URIAH HEEP “LIVING THE DREAM” : 10/10

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