NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DISPERSE : FOREWORD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAKUB ZYTECKI OF DispersE !!

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With “Foreword”, Poland Based Progressive Quartet, DispersE Invite You To Set Sails On A Imaginative Musical Journey !!

DISC REVIEW “FOREWORD”

“Heart of Europe”、ポーランドに降臨した、モダンプログシャイニングスター DispersE がジャンルの枷を解き放つ新たなマイルストーン “Foreword” をリリースしました!!”Progressive” というワードの真意について再考を促すような意義深き作品は、鮮やかなポップセンスとミニマルなサウンドを研ぎ澄まし、規格外のアウトラインを提示しています。
2016年に行われた DispersE 初の日本ツアー。DESTRAGE とのカップリングで大成功を収めた彼らのショウでは、新作に対する自信が顕在化していましたね。未だ作品がリリースされていないにもかかわらず、セットリストの大部分は “Foreword” からの楽曲で占められていたのですから。そこで日本のファンは、ギターと同時にサンプラーを駆使して躍動するマイスター Jakub Zytecki の姿に “Foreword” な変化の兆しを見定めることとなりました。
アルバムはイノセントな歌声をサンプリングし、審美的でアンビエンスな空気を多分に抱きしめた秀曲 “Stay” で幕を開けます。Rafal Biernacki の歌唱は傑出していて、FROST* の John Mitchell や TesseracT の Dan Tompkins にも比肩し得るほど、色鮮やかで表情豊かな歌声、旋律、ハーモニーを披露していますね。
「メタルは少々平坦に思えてきた。」 インタビューで Jakub が語る通り、このレコードには獰猛なグロウルも、Chug-Chug とした定常的なギターリフも存在しません。貫かれるのは “Progressive-Pop” とも描写可能なノスタルジックで情味のある、しかし同時に創造的なモダニズムが溢れる崇高な世界観。
多幸感に満ちヒプノティックで、光のサウンドスケープを見事に切り取った “Stay” の核心は、紛れもなくそのアトモスフェリックなサンプリングと Rafal が紡ぐポップなメロディーです。しかし Jakub のプログレッシブなセンスが惹起する、絶妙なバランス、コントラストが楽曲を新天地へと誘っていることを忘れる訳にはいきませんね。
7拍子、ポリリズムが生み出す神秘的な夢幻世界、忽然と急襲するスリリングかつテクニカルなシュレッディング。アルバムオープナーにして作品を象徴する “Stay” の新感覚はまさに革命と呼べるほどにリスナーへ驚嘆をもたらします。
新感覚と言えば、TAME IMPALA にも通じるレトロなムードを持つ”Bubbles” では、Strandberg の極限までダウンチューンしたディストーションサウンドが至高のダイナミズムを提供し、新たな個性を主張していますね。
“Tether” は、「TYCHO にはいつも心酔している」 と語る Jakub の多極化する好奇心が浮き彫りとなった楽曲かも知れませんね。エゴとは無縁の緻密でミニマルな設計図に、穏やかなエレクトロニカサウンドを乗せたドリーミーな極上のポップチューンを聴けば、確かに TYCHO の持つ瑞々しいセンスが宿っていることに気づくでしょう。新加入、達人 Mike Malyan のゴーストノート一音一音が透けて見えるほどに繊細な楽曲は、Rafal の別格でエモーショナルな歌唱を導き、音楽の本質を伝えています。
とは言えインタビューにもあるように、Jakub は決してギターへの探究、野心も捨てることはありません。アルバムで最も Djenty な “Surrender” の躍動美溢れるスリルは華麗ですし、”Sleeping Ivy” で見せるメカニカルなクリーントーンの洪水も一級品。さらに9分を超える壮大な “Does it Matter How Far” の前半部分では、サンプリングと巧みにリンクさせて純粋にチャレンジングなインストゥルメンタルミュージックを奏で、Jakub Zytecki が未だに世界トップのモダンギタリストであることを強烈なまでに証明していますね。
“Foreword” は DispersE、さらにはプログレッシブワールドにとって新たなチャプターの幕開けとなるでしょう。実際、プログレッシブロックとは様式ではなく概念であるべきです。インディーロックとクラブミュージックを巧妙にクロスオーバーさせた Bonobo は、バンドにとって或いは象徴かも知れません。自らのアイデンティティを保持したまま、TYCHO や TAME IMPALA のフレッシュな感性、インパクトを血肉とした DispersE のインテリジェントな手法は全面的に肯定されるべきだと感じました。
今回弊誌では Jakub Zytecki にインタビューを行うことが出来ました。3回目の登場となりますね。どうぞ!!

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DispersE “FOREWORD” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FELIX MARTIN : MECHANICAL NATIONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FELIX MARTIN!!

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Felix Martin’s Twin-Neck 14&16 Strings Guitar And Two Hand Tapping Technique Opens The New Realm Of Instru-metal Music With Incredible New Record “Mechanical Nations” !!

DISC REVIEW “MECHANICAL NATIONS”

南米ベネズエラが生んだギターウィザード Felix Martin が、ラテンの風とモダンな色彩を投影した最高傑作 “Mechanical Nations” をリリースしました!!14&16弦のダブルネックが紡ぐ鮮烈で独創的なその調べは、鸞翔鳳集な昨今の Instru-metal シーンにおいても一際光彩を放っています。
Felix の楽器は独特です。Warr Guitar や Chapman Stick など確かに10弦を超える多弦楽器は存在します。ただ、それらはベースの色合いが濃く、ベースにメロディー用の弦、レンジが付属しているといった考え方を基調としています。
対して、Felix のダブルネックギターは、インタビューにもあるように、同じレンジのギターを2つ合わせただけのある意味シンプルな構造。しかし同じレンジの7、8弦ギターを2本使用するため、既存の多弦楽器 (スケールが長い物もあるので一概には言えませんが) に比較して、よりギターの領域にフォーカスした立体的な演奏を味わうことが出来るのです。
勿論、ギターやベースに比べれば、双方のギターをタッピングで奏でるため両手の自由度は高く、遥かに多くの音を同時にプレイすることが可能。パーカッシブなピアノとも称される彼のテクニック、アプローチは、まさしくモダンギターイノベーションのフロントランナーだと言えますね。
その先鋭的なスタイルに反し、クラシカルなトリオという編成で制作された “Mechanical Nations” は、母親が手がけ、自らのギターをあしらったその芸術的で大胆なアートワークが示すように、南米大陸への深い愛情を包み込んだ芳醇な作品に仕上がりました。南米をツアーし、大陸の多種多様な都市の空気、エネルギー、文化、景観に触れた Felix は、街ごとに受けたインスピレーションを楽曲へと反映して行ったのです。
“Barquisimetal” は彼のホームタウン Barquisimeto を、そして “Canaima” はベネズエラが誇る世界最後の秘境カナイマ国立公園を心象として生まれた楽曲です。そしてアルバムでも最もメタリックかつメカニカルな、タンゴのリズムを纏った前者と、最も穏やかでノスタルジックな、フォークミュージックのイメージを具備した後者のコントラストは、そのままベネズエラの豊かな音楽文化の写し鏡となっているのです。
カリビアン、ネイティブ、 アフリカ系、ヨーロッパ系。 まさに人種のるつぼと言える社会主義国家はレゲトン、サルサ、ホローポ、ガイタ、カラカスのメレンゲなど、ロマンティックから複雑な拍子を持つ音楽までラテンミュージックを象徴する雑多なバックグラウンドを宿しています。そしてそのラテンのルーツは Felix の内面世界にも強く共鳴し、唯一無二の Instru-metal、グローバルフュージョンへと昇華しているのです。
メタル、ジャズ、プログ、ファンク、そしてラテンの雄弁なカクテルと言える “Mechanical Nations”。インタビューで語ってくれた通り、”Santos” にゲスト参加した Angel Vivaldi のリードを除いて作品にはソロパートが存在しません。それでも作品が至上のスリルを常に纏っているのは、バークリーで学んだトリオの傑出した技術と、緩急を巧みに配置したコンポジションの賜物だと言えますね。
つまり、”Eight Moon Headdress” が象徴するように、クリーントーンの詩情豊かなサウンドスケープと、エキサイティングで攻撃的なパーカッシブテクニックが目まぐるしく交互する魅力的な楽曲群は、手数の多いエキゾチックなドラミングとスラップを交えたダイナミックなベースプレイが牽引し、タイトなバンドの推進力となっているのです。
ANIMALS AS LEADERS, KING CRIMSON, PRIMUS, 或いは Stanley Jordan。Felix のマジックタッチと彼のバンドが生み出すドラマティックな芸術は、偉大な先人にも比肩し得るクオリティーと独創性を秘めています。今回弊誌では、Felix Martin にインタビューを行うことが出来ました。日本でライブを行うのか昔からの夢だそう。どうぞ!!

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FELIX MARTIN “MECHANICAL NATIONS” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PERSEFONE : AATHMA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARLOS LOZANO OF PERSEFONE !!

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Andorran Prog Metal Titan, Persefone Has Just Released Infinity Technical, Highly Progressive, And Supremacy Spiritual Record “Aathma” !!

DISC REVIEW “AATHMA”

フランスとカタルーニャの狭間に位置する欧州の小国アンドラから示現した、プログメタルの俊傑 PERSEFONE が待望の新作 “Aathma” をリリースしました!!ギターチームの片翼とドラマーを刷新し、音楽性、テーマ、リリック共に陶冶され深みを増したアルバムは、すでに2017年のモダンプログシーンを代表する作品に位置づけられつつあります。
2013年にリリースした前作 “Spiritual Migration” は、技巧とロマンチシズム、幻想とアグレッションを巧妙に対置させた Tech/Prog Death Metal の佳篇であり、バンド史上最良の成功を収めたマスターワークとなりました。奔流となって押し寄せる、過密なまでに濃厚なサウンドの粒子が印象的な作品でしたね。
日本、アジアを含む長期のツアーを経て、4年という熟成期間が宿した結晶 “Aathma” は、”Spiritual Migration” に比べて、よりスピリチュアルで空間的。英俊 Jens Bogren のタクトの下、アートとしての完成度、統一感を精髄まで突き詰めた、ニューフロンティアへと到達しています。
「勇気を持って偽の自己を解放せよ。」 アルバムはスピリチュアルメタルの先駆者、CYNIC の Paul Masvidal が語りかける哲学的なスポークン・ワードで幕を開けます。インタビューにもあるように、”Aathma” とは魂の探求。全てが白か黒に分類される、性急で物質的な現代社会に対するアンチテーゼ。リスナーは Paul の言葉に導かれ、PERSEFONE の深遠なる精神世界へと誘引されて行くのです。
小曲 “One of Many…” でバンドは作品のシンフォニックでメロディアスな世界観を暗示し、ドラマティックな “Prison Skin” へと進行します。ミステリアスで優美なピアノの調べから一転、速急でテクニカルなリフワーク、ダブルギターとキーボードが織り成す濃密なサウンド、複雑で緻密なリズムアプローチ、そして Marc Martins の激烈なガテラルが PERSEFONE の帰還を高らかに告げると、同時に楽曲はバンドの二面性をも明瞭に開示するのです。
今回、キーボーディストでクリーンボーカル、Miguel “Moe” Espinosa のタスク、重要性は確実に過去作を遥かに凌いでいると言えます。ポストロックの影響すら感じさせるアトモスフェリックで幽玄な “Cosmic Walkers” はその象徴でしょう。”Prison Skin” では典型的な PERSEFONE の顔と、Moe が躍動することで生まれる、スペーシーでメロディアスなテリトリーを調和させ、緩急織り交ぜたスリリングなキラーチューンへと昇華しているのです。
再度 Paul Masvidal が登場し、特徴的なボコーダーとリードギターを聴かせる “Living Waves” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。Djenty とも形容出来るモダンで幾何学的なギターリフと、色彩を抑えた淡彩のシンセサウンドが創造するスピリチュアルメタルに、崇高で凛としたメロディーがレイヤーされると、そこには現代社会とは最も離れた場所にある観念的な夢幻世界が広がります。Paul と Moe のボーカルパフォーマンスは傑出していて、リスナーの深層心理に語りかけるような宗教的崇高感すら感じさせますね。
アルバムは4部編成、20分のエピカルなタイトルトラックで幕を閉じます。インタビューにもあるように、レコードの縮図、シネマティックとさえ言える作品を象徴する大曲。作品で最もエクストリーム、デスコア的な質量を纏った “Part III: One With The Light” と女性ボーカルとピアノ、オーケストレーションのみで奏でられる詩情豊かなフィナーレのコントラストはまさにこの傑作の持つ二面性を端的に物語っていると言えるでしょう。
今回弊誌ではギタリスト Carlos Lozano にインタビューを行うことが出来ました。シュラプネル直系の彼独特のシュレッドは、昨今のメタルシーンにおいては逆に強力な武器となっているような気がします。Moe に続いて弊誌2度目の登場。どうぞ!!

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PERSEFONE “AATHMA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + ANATOMY 【ichika : forn】


EXCLUSIVE: ANATOMY OF ichika !!

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This Is The Next Level !! The Most Talented Contemporary Guitar Artist In Japan, ichika Has Just Released Amazing, Astonishing, Awe-inspiring Debut EP “forn” !!

DISC REVIEW “forn”

Toshin Abasi 以来の衝撃!クリスタルのように清廉なサウンドと研ぎ澄まされた感性で ichika は日本のみならず海外からも高い注目を集める新たなギターマエストロです。想像力を掻き立て感情を揺さぶる瑞々しい楽曲の数々は、フレッドボードを駆け巡る独創的で絢爛たる奇跡のテクニックから生み出されます。
Instagam, Twitter など SNS における圧倒的な動画の視聴数、シェア。さらに Tosin Abasi, Jason Richardson といった海外のモダンギターヒーローから注がれる熱い視線を追い風に受けリリースした待望のデビューEP “forn” はまさにインストゥルメンタルシーンに新たな時代の幕開けを告げるエポックメイキングな作品に仕上がりました。
アルバムのフォルムは想像を遥かに超えたものでした。おそらく多くのファンが思い描いた作品は、バンド形態の Instru-metal アルバムだったのではないでしょうか?しかしリスナーの元に届いた “forn” のサウンドは、ギター一本、清澄で無垢なクリーントーンが奏でる水晶彫刻のような崇高な美景、世界観だったのです。
ただ、ichika が今回弊誌に語ってくれた「人生を変えた5枚のアルバム」を念頭に置き、存慮すればこのディレクションは深く頷けるものだと思います。”Waltz for Debby”。彼が志向しデザインしたこの透徹した美意識によるスペクトルは、孤高のジャズピアニスト Bill Evans がかの歴史的傑作で提示したアーティスティックな表現世界と真に深く通じているのです。
実は幼少期に “Waltz for Debby” に感銘を受け、ジャズピアニストを志していたという ichika。静と動のダイナミズムが白眉で、詩情豊かな美しきワルツ “resolution” は “Waltz for Debby” への追憶かも知れません。 残響までをも計算した限りなく繊細で透明な、しかし同時に自身のペルソナ、小宇宙、エモーションを余すことなく描き出す若きマエストロの手法、秀絶な初演には、確かに巨匠の息吹が濃密に感じられますね。
ヴォイシングの妙、独演という観点から見れば、Bill Evans の “Alone” や Joe Pass の “Virtuoso” にも共振する部分はあるでしょう。そして勿論、彼が挙げている Russell Malone にも。ichika のどこか温かみのあるトーン、ベースラインと旋律の巧みな双饗、ハーモニクスやタッピングのナチュラルな浸透には Russell の遺伝子がしっかりと脈打っています。
さらにツーバスでスウィングする不世出のジャズドラマー Kendick Scott。”a bell is not a bell” を聴けば、コンテンポラリージャズを代表するリズムマスターのポリリズム、変拍子、モダンなアプローチをしっかりと消化し、自らの血肉としていることが分かりますね。
とは言え、”forn” はジャズレコードではありません。そしてジャズレコードでないことこそが ichika の ichika たる由縁だと言えるのではないでしょうか。VEIL OF MAYA の “The Common Man’s Collapse”、”the cabs” の “一番はじめの出来事”をジャズの名盤と共にピックアップしていることが表象するように、彼の音楽にはジャズと同様にモダンプログやマスロックといった現代的なアプローチもしっかりと根付いています。
そして日本人らしい叙情性。”戦場のメリークリスマス” にも通じるようなリリシズムを備えた “flowers” はジャズとコンテンポラリーギターの完璧なる融合であり、同時に日本らしい四季や侘び寂びを感じさせる絶佳のサウンドスケープを有した ichika を象徴する一曲だと感じました。
ichika の旅路、音楽的探求は “forn” で遂にその幕を開けました。少なくとも、今まで日本のアーティストに欠けていた世界で戦うに充分なオリジナリティー、インテリジェンス、そしてアピアランスを備えていることは確かです。”have a nice dream”、応援しましょう!!

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ichika “forn” EP: 9.9/10

【FIVE ALBUMS THAT CHANGED ICHIKA’S LIFE】

BILL EVANS “WALTZ FOR DEBBY”

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KENDRICK SCOTT ORACLE “CONVICTION”

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RUSSELL MALONE “RUSSELL MALONE”

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VEIL OF MAYA “THE COMMON MAN’S COLLAPSE”

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the cabs “一番はじめの出来事”

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【MESSAGE FOR JAPAN】

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“forn” EPを聴いていただいてありがとうございます。このEPを皮切りに、次の作品のリリースも予定していて、そこからライブを初めていこうとも思っています。皆さんにお会いできるのを心待ちにしています。

Thanks a lot for listening to “forn” EP. Starting with this EP, I plan to release the next work and I’m thinking of my first live from there. I am looking forward to seeing you all!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KURT ROSENWINKEL : CAIPI】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KURT ROSENWINKEL !!

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Ten Years In The Making, Master Of Jazz Guitar, Kurt Rosenwinkel Has Just Released Colorful, Rich, and Contemporary New Record “Caipi”!!

DISC REVIEW “CAIPI”

コンテンポラリージャズギターの唱導者、プロフェッサー Kurt Rosenwinkel が自身を反映し体現したマスターピース “Caipi” をリリースしました!!制作に10年という長い年月を費やしたアルバムには、伝統と革新、卓越したセンスと豊かなエモーションが込められています。

“僕が一番大切にしているのは、やはりジャズであり、自分の音楽だ。でも僕の内側から聴こえてくるものがロック・ソングやソウル・ナンバーであれば、僕はそれに従わなければないけない。創造の源はコントロールできないからね。”(Jazz Life 2000.2)

過去のインタビューで語る通り、Kurt は偉大なジャズマスターでありながら、その領域のみに留まらず自らのインスピレーションに従い、豊潤な音楽の旅を続けています。バークリー入学以前の学生時代にはあの Tony MaCalpine の兄 Chris に師事しプログバンドを結成していたという過去に加えて、hip-hop のカリスマ Q-tip とのコラボレートもその事実を裏付けていますね。さらに、現在はドイツのベルリン音楽大学でギターとアンサンブルのクラスを受け持っているのですから、彼のキャパシティー、間口の広さには驚くばかりです。
Gary Burton, Mark Turner, Chris Potter, Joshua Redman, Aaron Parks など多士済済のジャズジャイアンツと共演を果たして来た Kurt ですが、”Caipi” では基本的に全ての楽器を1人でこなしています。ギターは勿論、ベース、ドラムス、そしてボーカルまでを自らで司り、多重録音を行った作品は、インタビューでも語ってくれた通り Q-tip と二人三脚で作り上げた “Heartcore” の正当な続編であり、深厚かつパーソナルな作品として絶類な存在感を放っているのです。
タイトルトラック “Caipi” が象徴するように、アルバムは確かにブラジル、正確にはミナスジェライスの風景や Milton Nasciment の面影を感じさせます。インタビューにもある通り、Milton の音楽は “Caipi” の重要なインスピレーションとして作品を紐解く鍵となっていることは明らかでしょう。
しかし同時に、ブラジル特有のコード感やリズムのエッセンスは作品を語る上での一つのトピックにしかすぎません。色彩も鮮やかなアートワークが物語るように、ここには拡散する Kurt のジャズを体現したカラフルな音世界、サウンドスケープが鮮やかに広がっているのです。
実際、今回 Kurt がブラジル音楽にフォーカスしたのは、”アルゼンチン音響派” に次ぐ新たなムーブメント”ミナス新世代”の奔放で多元的、モダンでカラフルなエナジーに惹かれたからではないかと思わせるフシもありますね。Antonio Loureiro, Pedro Martins というバンデイラの起用こそ、Kurt の”ミナス新世代”に対する明確なシンパシーの表出であり、表敬に違いありません。
モダンと言えば、前作 “Star of Jupiter” には Aaron Parks をはじめ、コンテンポラリージャズスターが集結。オープナー、”Gamma Band” の先進性、ジャズ、プログ、現代音楽をいとも容易く超越したカレイドスコープ的サウンドは、拡散する新たなジャズの象徴としてシーンに衝撃を与えましたが、”Caipi” では全ての設計図を自ら描き、構築することで独創的な内面を余すことなく表現していると言えるのかもしれませんね。
確実にアルバムの根幹を成すのはジャズとブラジル音楽です。しかしロック、ポップ、プログロック、ブルース、ソウル、ハウス、テクノ、エレクトロニカなど複眼的で多彩な影響をフレキシブルに打ち出すことで、Kurt はその唯一無二の才能、そしてジャンルの可能性を閉鎖的でバックカタログを重視しがちなジャズワールドに見せつけたといえるでしょう。言い換えればこの試みは、ジャズの側から見たポストロックと言えるかもしれません。そして、ジャズの境界線を押し広げる彼の手法は、インタビューにもあるように “Jazz the New Chapter” のムーブメントとも宿命的に連動するはずです。
とは言え、”Casio Vanguard” からは Pat Metheny を、”Little B” では Alan Holdsworth をイメージするように、脈々と流れる伝統もまた Kurt の中にはしっかりと受け継がれています。”スローハンド” Eric Clapton のゲスト参加には、そんな Kurt にこそギターの未来を託すといった意味合い、想いも少なからず含まれているようにも思えました。
今回弊誌では、Kurt Rosenwinkel にインタビューを行うことが出来ました。4月には来日公演も決定しています。どうぞ!!

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KURT ROSENWINKEL “CAIPI” : 9.8/10

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WORLD PREMIERE: “ÍSAFOLD” 【SÓLSTAFIR: BERDREYMINN】


WORLD PREMIERE!! “ÍSAFOLD” FROM SÓLSTAFIR’S UPCOMING RECORD “BERDREYMINN” !!

The Innovative Four Icelanders, SÓLSTAFIR Aboard On A New Adventurous Musical Journey Into Uncharted Territories With Upcoming New Record “Berdreyminn” !!

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Sigur Rós, Björk, Ben Frost。圧倒的で極限の自然環境と神が与えし清明な美しさを併せ持つアイスランドという土壌が育んだアーティストは、神々しいまでのアトモスフィア、アンビエンスを Post-Rock, Electronica のフィールドに注ぎ込み自らのアイデンティティーを主張してきました。Black Metal をそのルーツとする SÓLSTAFIR も、自らの出自であるアイスランドの原風景、光と影のサウンドスケープを、濃密に幽玄にその作品へと落とし込み進化を続けてきたバンドの一つです。2015年には ANATHEMA とのカップリングで奇跡の来日公演も大成功させていますね。
5/26にリリースする新作 “Berdreyminn” は、”来るべき出来事を夢想する者” というアルバムタイトルが物語るように、彼らの印象的なその進化をさらに一歩先の領域へと歩みを進めた野心的かつ充実した作品に仕上がりました。ここでは、キャッチーで忘がたいメロディー、サイケデリックなフレーズ、そしてクラッシックロックの豊かな源流を、元来のメタルの素養、幻想世界と融合させ、所謂 “Post-Black Metal” の可能性をさらに押し広げる試みが行われているのです。
前作 “Ótta” で起用した、Sigur Rós や ALCEST を手掛ける Birgir Jón Birgisson を再度プロデューサーに指名したことからもバンドがメタルの地平のみに留まらないことは明らかですね。
ただ、SÓLSTAFIR が “Berdreyminn” で目指したものはスタイルではなくピュアな感情です。幅広いジャンルから集積した音楽的な影響は、再構築され、アルバムに新たなパターンとして織り込まれていきました。つまり、ジャンルの境界線が遂に壊されたのではなく、単にその存在すら彼らの目に止まらないという訳でしょう。憂鬱、憧れ、怒り、喜び、快感、痛みといった感情がアルバムを深く満たしているのです。
SÓLSTAFIR embody the ever-turning wheel of seasons with their shifting light, darkness, and colours, extreme Northern climate, the stark contrasts, the closeness of beauty and deadly forces of nature, the impressive sceneries that have the bones of ancient gods enshrined in them like hardly any other band in every aspect of their existence.
SÓLSTAFIR are not like any other band. Their latest album, ‘Berdreyminn’ underscores this statement. As its title “a dreamer of forthcoming events” aptly describes, the four Icelanders have taken their already impressive evolution one step further. The band has continued to amalgamate haunting melodies, psychedelic phases, as well as strong undercurrents of classic rock and hard rock with echoes of their metal past. Yet SÓLSTAFIR’s focus is not on style but pure emotion. ‘Berdreyminn’ is eclectic by a conscious choice to make feelings audible and transform taste as well as texture to sound. Genre borders are not broken but simply ignored. Musical influences are gathered from a wide range of sources, re-arranged, and woven into new patterns. Melancholy, longing, anger, joy, pleasure, pain, and other emotions are fulling this album.
Despite leaning clearly towards an expression that can be described as rock today, SÓLSTAFIR have their roots in metal as their debut full-length ‘Í Blóði og Anda’ (2002), which translates as “In Blood and Spirit” still witnesses. Instead of today’s Icelandic gravel throated siren chants, frontman Aðalbjörn Tryggvason spat forth vitriolic crusty vocals and all strings were forged with black metal. Already their next albums ‘Masterpiece of Bitterness’ (2005) and ‘Köld’ (2009) marked stations of a continuous evolution. SÓLSTAFIR went further along their solitary path and obviously left any categorising box with the ground-breaking follow-ups ‘Svartir Sandar’ (2011) and ‘Ótta’ (2014), which received high critical acclaim and attracted new fans in equal measure, while managing the difficult feat of keeping most of their earlier following too.
SÓLSTAFIR have set sails to new horizons with ‘Berdreyminn’. Yet the Icelanders brought their home with them and the silhouette of their vessels remains easily recognisable. Welcome aboard on a new adventurous musical journey into uncharted territories.

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“Berdreyminn” Track-list
1. Silfur-Refur (6:54)
2. Ísafold (4:59)
3. Hula (7:07)
4. Nárós (7:23)
5. Hvít Sæng (7:22)
6. Dýrafjörður (7:32)
7. Ambátt (8:08)
8. Bláfjall (8:00)

【MESSAGE FROM SÓLSTAFIR】

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僕たちが今回公開する “Ísafold” はとても自発的に誕生したと言えるね。その日は THIN LIZZY のスピリットが舞い降りてきたように感じるよ。クラッシックな Phil Rudd (AC/DC) のビートを加えることも正しいように思えたね。
確かに最も典型的な SÓLSTAFIR の楽曲とは言えないだろう。だけどこういった少し変わった感覚こそがこのアルバムを表現しているかも知れないんだよ。短い楽曲だけど、様々な異なる音風景が存在するよ。
別に”車輪の再発明”を行った訳ではないんだけど、それでも”クラッシックロック”へのトリビュート、関連性を多く見出すことが出来ると思うな。以前やったこととは全く異なるアイデアも存在するね。だからこそこの曲が気に入っているし、僕にとって “Ísafold” はすでに僕たちの全ての楽曲の中でもフェイバリットとなっているんだ。
Our first premiere song ‘Ísafold’ came very spontaneously to light. It felt like the spirit of THIN LIZZY paid us a visit that day. Adding a classic Phil Rudd beat to that seemed the only right thing to do. This is not the most typical SÓLSTAFIR track but in some odd way it could be taken to represent this album. For such a short song, it offers many different sonic landscapes. And although we are not re-inventing the wheel and you will find many references to ‘classics’ as tributes, I find it quite different from anything that we have done before. That is the way, I like it and to me ‘Ísafold’ is already an all-time favourite among all our tracks.”

SOLSTAFIR Facebook Page
SEASON OF MIST Facebook Page
PRE-ORDER “BERDRYMINN” HERE !!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOEN : LYKAIA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARTIN LOPEZ OF SOEN !!

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Swedish Modern Prog Super Group, Soen Has Just Released The Masterpiece, The Prog Standard Of 2017, “Lykaia” !!

DISC REVIEW “LYKAIA”

スウェーデンが誇るモダンプログスーパーグループ SOEN が自らのアイデンティティー確立に挑む3rdアルバム “Lykaia” をリリースしました!!プログレジェンド OPETH のドラマーとして名を馳せた Martin Lopez 率いる腕利き集団は、常に比較され続けてきた自らの出自 OPETH や TOOL の影から離れるのではなく新たな要素を導くことでバンドの進化を鮮やかにに見せつけています。
“Lykaia” とは古代ギリシャ、”狼の山”で行われていた古の祭り、秘密の儀式。 人肉を捧げ食した者は人狼に姿を変えるという、身の毛もよだつような神事に擬した残虐なカニバリズムは、悲しいことに現代社会にも通じます。インタビューで Martin が語ってくれたように、未だにお互いが啀み合い殺し合う人の世の有り様は、実はその頃と何も変わっていないのかもしれませんね。
人類の恥部とも言えるダークで陰鬱なテーマを冠したアルバムは、しかしそのコンセプトに反するが如く極上の知性と美しさを備えます。つまり SOEN は人類が生み出した最も誇り高き遺産、至高のアートで暗い影を語ることにより、人間という天使と悪魔を宿す生き物の姿を克明に描き出しているのです。
両義性と言えば、デビュー作 “Cognitive” と前作 “Tellurian” で明らかな違いが存在した SOEN。”Cognitive” が強く TOOL を意識したオルタナティブかつアトモスフェリックスなアプローチ、精神世界に重点を置いていたのに対し、”Tellurian” は OPETH を想起させるよりプログレッシブで綿密な方向性、哲学世界に接近していたのは明らかでしょう。
“Lykaia” はその2つが自然に溶け合い、さらに新たな色として70年代のオーガニックでサイケデリックなサウンド、暖かみや哀愁のエモーションが加わることでバンドのマイルストーンとして燦然と輝くレコードに仕上がりました。
“Opal” は SOEN の過去と未来がクロスするまさに宝石のような一曲です。OPETH 由来の呪術的でデモニックなギターリフと、TOOL や KARNIVOOL を想起させるマスマティカルで現代的なコンポジションが混ざり合った極上のスープは、Joel Ekelof の叙情味極まるボーカルを得て奇跡のスペシャリテとしてリスナーの元へと届きます。後半にサーブされる、サイケデリックで Martin お特異のパーカッションが映える、70年代へガラリとタイムワープした夕焼け色の美風なデザートがテーブルに加われば、リスナーは “Opal” が SOEN の確固たる進化の証であることに遂に気がつくはずです。
実際、この PINK FLOYD と KING CRIMSON のハイブリッドのような叙情味豊かで有機的なサウンドはアルバムを紐解く重要な鍵となっていますね。オリエンタルなムードをアクセントとした緩やかで壮大な “Jinn” では、そのオーガニックでエモーショナルなサウンドがポストメタルの領域まで拡大したかのようにリズムヘヴィーなドラマ性を高めていますし、”Paragon” に至ってはハモンドまで使用してアグレッシブな “Shine On You Crazy Diamond” とも言えるサイケデリックワルツを完成させているのですから驚きです。さらに “Paragon” で聴けるブルージーで素晴らしく感情を湛えたギルモアライクなリードプレイも作品には要所で登場し、レコードを彩る新機軸として見事に機能しています。
極めつけは KING CRIMSON “Fallen Angel” と同種の悲哀、耽美、プログ性を湛えたイマジネイティブな楽曲 “Lucidity” でしょう。Lake / Wetton / Akerferdt 直系の深みと粋を秘めた情感豊かな Joel の歌唱はここに来て遂に独特のオーラ、威容を誇るようになり、バンド全体に透徹した凛とした美意識も相俟って2017年ベストチューンの可能性すら保持した名曲が生み出されたのです。
同様に70年代を意識していながらも、SOEN は現在の OPETH に比べ鋭く重い呪術リフを多用し、モダンなコンポジションの中でレトロフューチャーなサウンドを構築しています。つまり “Orison” のような現代的な楽曲の中に味わい深いビンテージサウンドを潜ませることで、幅広く多様な世界を実現しているのです。故にインタビューでも語ってくれた通り、”Lucidity” がバンドの探求すべき未来であるならば彼らの更なる躍進は約束されているように感じました。
今回弊誌では再度 Martin にインタビューを行うことが出来ました。決して饒舌なレジェンドではありませんが、いつものように核心をついた話をしていただけました。どうぞ!!

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SOEN “LYKAIA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BETRAYING THE MARTYRS : THE RESILIENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AARON MATTS OF BETRAYING THE MARTYRS !!

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Paris Heavyweights, Betraying The Martyrs Has Just Released Catchy-Orchestrated New Album “The Resilient” !!

DISC REVIEW “THE RESILIENT”

フランスが生んだモダンメタルの殉教者 BETRAYING THE MARTYRS がバンドのポテンシャル全てを注ぎ込んだ新作 “The Resilient” をリリースしました!!Metalcore, Deathcore, Hardcore をベースにシンフォニックでエレクトロニカな味付けを施したユニークかつ際立った作品は、フレンチメタルレボリューションの中核に位置する重要なレコードとなりました。
“The Resilient” は前作 “Phantom” で提示した、獰猛なヘヴィネスとメロディックなモーメントの華麗な融合をさらに1歩進め、キャッチーとさえ言えるフックをふんだんに使用したチャレンジングなアルバムです。WHITECHAPEL, SUICIDE SILENCE といったデスコアオリジネーターが挙ってオリジナルのジャンルから離れ独自の進化を辿る中で、BETRAYING THE MARTYRS も遂に自らのアイデンティティーを築き上げたと言えるのかも知れませんね。
アルバムオープナー、”Lost for Words” はそのキャッチーな一面を突き詰めたバンドの新たなアンセムであり、アルバムタイトルが示す通り BETRAYING THE MARTYRS がさらなる強さを得て戻って来たことを証明する一曲でもあります。
デスコア由来の激しくクランチするリフワークはバンドの帰還を高らかに告げますが、シンフォニックでキャッチーなコーラスが訪れるとリスナーは、彼らの進化、モダンに拡大する視野を実感することになるでしょう。勿論、シンフォニックな要素は BETRAYING THE MARTYRS に欠かせないものとして存在してきた訳ですが、今作では完全に別次元の劇的な魅力を提示しているのです。
その新たな地平をを象徴するのが “Won’t Back Down” でしょう。ヘヴィーでアンダーグラウンドなルーツを枢要としながらも、美麗で大仰ななオーケストレーションを前面に押し出した楽曲は、バラードとは呼べないまでも明らかにスロウでプログレッシブ。傑出した耽美なドラマ性を誇ります。2015年にフランスで起きたテロに衝撃を受けて書かれたというエモーショナルな一曲は、アルバムに類稀なチェンジオブペースをもたらすと共に、バンドの確かな成長を伝えていますね。
インタビューでも触れているように、この美しくシアトリカルな世界観と獰猛なデスコアサウンドの見事な融合は、クリーンボーカル/キーボード Victor Guillet の果たす役割が飛躍的に増し、その才能が素晴らしく開花したことに由来しています。
オーケストレーション、エレクトロニカだけでなく、シンプルなピアノの響きも効果的に使用する彼の鍵盤捌きは特異かつ至妙。”Take Me Back” を聴けば、ピアノが導く甘美なボーカルメロディーが CREED や LINKIN PARK が持つロマンチシズムと通じることに気づくはずです。
飽和気味で数多のステレオタイプなデスコアアクトと彼らを分かつ無上の武器 Victor の開眼は、同時にアメリカナイズとも呼べるメジャーなポップネスを纏い、アンダーグラウンドなジャンルに革新をもたらす一際印象的なメジャー感を織り込むことに成功していますね。
結果として、BETRAYING THE MARTYRS は共にツアーを行った ASKING ALEXANDRIA の大きな成功をしっかりと目に焼き付け、自らの血肉としながらも、デスコア、Djent という重厚でテクニカルなルーツを忘れることはありませんでした。それは正式メンバーとして加入した CHIMP SPANNER のドラマー Boris Le Gal が繰り出す凄まじきスティック捌き、”Dying to Live” の煽情的なリードプレイ、綿密に構成されタイトに進化したギターリフ、そして猛悪なグロウルとエピカルなクリーンのコントラストが見事に代弁していると言えるでしょう。
今回弊誌ではバンドのフロントマン Aaron Matts にインタビューを行うことが出来ました。アナ雪の “Let It Go” をヘヴィーにカバーしたことでも話題になりましたね。どうぞ!!

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BETRAYING THE MARTYRS “THE RESILIENT” : 9.3/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【COLIN MARSTON : KRALLICE, GORGUTS, BEHOLD…THE ARCTOPUS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH COLIN MARSTON OF KRALLICE, GORGUTS, BEHOLD…THE ARCTOPUS, AND MORE !!

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New York’s Own All Around Dynamic Cult Metal Super-Hero, Colin Marston Talks About Krallice, Gorguts, Behold…The Arctopus, And More!!

ABOUT “COLIN MARSTON”

Colin Marston は34歳にして既にメタル、アヴァンギャルドシーンのカルトヒーローだと言えます。変質的でありながら高い賞賛を浴び続ける、4つの価値あるバンドを牽引する人物であることがその第一の要因でしょう。
盟友 Micc Barr と立ち上げた KRALLICE は NYC の個性的なブラックメタルシーンを代表するバンドです。2011年にリリースした “Diotima” はアトモスフェリックブラックの金字塔として今も語り継がれる名盤ですし、2015年には複雑なリズムやテクニックにフォーカスしたテクニカルデスメタルへと接近し、界隈のトレンドをお膳立てするフラッグシップ的役割、影響力を見せつけましたね。昨年は VAMPILLIA 他日本のバンドたちと共演するジャパンツアーも行い、その高いミュージシャンシップと鬼気迫るパフォーマンスが話題となりました。
BEHOLD…THE ARCTOPUS は実験性を極めた真のカルトインストスリーピース。奇想天外、一見無機質でツギハギのようなカオスの中に、メロディーや叙情味を織り込んで行くそのスタイルはまさしく唯一無二でしょう。”地獄の12弦ハープ”などと称される特異な楽器 Warr Guitar のベースとギターの領域をカバーする広いレンジを駆使し、嵐のようにフレットをタップする Colin の姿はアックスマンの称号に相応しい壮絶なオーラを纏っています。
Colin はカナダの暗黒神、アヴァンデスメタルレジェンド GORGUTS にも参加しています。インタビューにもある通り、ここではベースプレイヤーとして影となり日向となり、奇才 Luc Lemay を支えているようですね。彼らもまた KRALLICE と同様に ULCERATE や PYRRHON といったモダンで深みのある新鋭デスメタルアクトたちに多大な影響を与えたオリジネーターだと言えますね。
DYSRHYTHMIA はその GORGUTS のギタリスト Kevin Hufnagel とタッグを組んだこちらもインストスリーピース。BEHOLD…THE ARCTOPUS とは異なり、リフの迷宮、カオスの魔窟といった風体のよりダークで引き摺るような重さを纏ったバンドです。Kevin がプログレッシブドゥームの英雄 WHILE HEAVEN WEPT に所属していたこともあり、”Thrak” 期の KING CRIMSON をさらに陰鬱で重厚なサウンドに仕上げたような魅力が存在します。
インタビューにもあるように、Colin は昨年この4バンド全てで新作をリリースしただけでなく、他にも4、5プロジェクトに参加し作品を世に送り出しているのです。驚くべきハイペース、創作の鬼、羅刹。
特に近年 Colin の仕事からは音楽は勿論、何者も恐れない崇高な実験精神 まで KING CRIMSON の影を強く感じます。”知恵の館”をテーマとし、イスラムアッバース朝の繁栄から衰退までを描いた33分の大曲のみを収録し、プログレッシブデスメタルの新たな領域を開拓したと各所で絶賛された GORGUTS の “Pleiades’ Dust” をはじめとして、昨年リリースされたレコードは全てが音楽的冒険の末辿り着いた比類なきクオリティーを誇るのですから、そのストイックに研ぎ澄まされた感性や人となりからももはや”現代の Robert Fripp” の称号を得ても何ら不思議ではないですね。
Colin の”ワーカホリック”はとどまる事を知りません。彼がカルトヒーローである第二の理由。それは自身が所持する Menegroth: The Thousand Caves in Queens スタジオで辣腕を振るう優れたプロデューサー/エンジニアであるからに他ならないのです。ARTIFICIAL BRAIN, LITRUGY, KAYO DOT, EAST OF THE WALL, WOE, DEFEATIST, CASTEVET など多様性をアイデンティティーとした NYC の革新的なメタルの波はこのスタジオを起点として生まれたと言っても過言ではないでしょう。
インタビューでも自身がベジタリアンであることを認めていますが、シーンきってのナチュラリストとして知られる Colin のサウンドから生命、人間、感性を捉える能力が界隈のミュージシャンたちに強く信頼されリスペクトを受けていることは間違いないでしょうね。
今回弊誌では、二つの顔を持ち、アンダーグラウンドメタルシーンで今最も多忙かつ尊敬を集める Colin にインタビューを行うことが出来ました。あの Skrillex より先にサイドカットに手を染めた冒険者 Colin Marston 解体新書のようなインタビュー。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CLOUD NOTHINGS : LIFE WITHOUT SOUND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DYLAN BALDI OF CLOUD NOTHINGS !!

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New Age Cleveland Indie Rockers, Cloud Nothings Expand And Explore The New Realm With 4th Record “Life Without Sound”! Don’t Miss Their Upcoming Japan Tour In April !!

DISC REVIEW “LIFE WITHOUT SOUND”

オルタナティブ、エモ、インディーズを咀嚼し、リアルな現在進行形の音楽を創造するクリーブランドの4人組 CLOUD NOTHINGS がバンドの成熟を伝える最新作 “Life Without Sound” をリリースしました!!そのディスコグラフィーの中で、最も静観的かつ沈思を誘うアルバムは、彼らの新たな魅力が素晴らしく開花した1枚に仕上がりました。
NIRVANA を初めとして、80年代後期からオルタナティブ / アンダーグラウンドシーンの名作群を手がけ続けてきた Steve Alvini を擁しリリースした2ndアルバム “Attack on Memory”。そのシャープに研ぎ澄まされたアグレッシブなサウンドは、瑞々しいロックアンセムの数々を伴ってシーンに新たな風を吹き込みました。インタビューで Dylan は言葉で音楽を定義することに明らかな嫌悪感を表していますが、それでも90年代の装飾を廃したオルタナティブやエモを想起させるその音楽性は、オルタナリバイバル、エモリバイバルという潮流の中でも一際輝きを放つマイルストーンとなりました。
“毎作違う作品を目指している”と語る Dylan。確かに、”Life Without Sound” は “Attack on Memory” や、スリーピースとなりパンク/ハードコアのエナジーすら内包した前作 “Here and Nowhere Else” とは異色の深化した引力を有していると言えます。
新たにギタリストで鍵盤もこなす Chris Brown が加入し再び4人編成へと回帰した作品は、4つに増えた楽器をさながら美麗なタペストリーを織り上げるかの如く繊細に配置し、細部まで丹念にフックを散りばめた CLOUD NOTHINGS の進化を告げる新たなステートメントです。
アルバムオープナー、”Up to the Surface” は奥行きを広げ、深みを増す彼らの可能性を証明する楽曲です。孤独感を煽るピアノのイントロに導かれ、紡がれる切なく感傷的なメロディーは、まさに Dylan がライティングプロセスで感じていた憂苦を代弁し、巧妙なギターの重畳と、パーカッシブなリズムが生み出す味わい深いフックはリスナーをリピートの輪廻へと誘います。
さらに “Internal World” はバンドのコンポジションが最高到達点へと達した瞬間かも知れませんね。豊富なリズムパターン、クレッシェンドデクレッシェンド、そして何よりポップを極めたキャッチーでメランコリックなボーカルライン。あの WEEZER を想起させる切なさとフックを纏った楽曲には確かに完璧まで試行錯誤を重ねた成果が刻まれていますね。
今回、DEATH CUB FOR CUTIE, HANSON などの仕事で知られる新たなプロデューサー John Goodmanson が作品の最後のピースとして選択し、フォーカスしたのは Dylan のボーカルでした。おそらく彼はこれまで歌詞にはあまり拘ってこなかったという Dylan のフロントマンとしての脆さを見抜いたのでしょう。

“I want a life, that’s all I need lately I am alive but all alone”
「生きている実感が欲しいんだ。近頃はそれだけが欲しいんだよ。生きてはいるけど孤独なんだ。」

新たなアンセムとなった “Modern Act” で進化を遂げ自信に満ちたフロントマンは、自身に巣食っていた孤独を堂々と歌い上げます。
“Up to the Surface” や “Modern Act” で描かれる、孤独が生んだアイデンティティクライシスは、”音を失った”自身の経験を投影したリアルな脆さです。しかしインタビューで語ってくれた通り、そこから辿り着いたアルバムのテーマ”自己理解” “自己実現” は強くポジティブなメッセージでした。プロデューサーが導いたのは、脆さと自信のコントラストが生み出す極上のエモーションだったのかも知れませんね。
「結局自分の運命なんてわからないものなんだけどね。」
アルバムクローサー、”Realize My Fate” で Dylan はそう嘯きながら作品の幕を閉じました。
今回弊誌では、Dylan Baldi にインタビューを行うことが出来ました。4月には3年ぶりの来日公演も決定しています!どうぞ!!

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CLOUD NOTHINGS “LIFE WITHOUT SOUND” : 9.5/10

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