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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CULT LEADER : A PATIENT MAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANTHONY LUCERO OF CULT LEADER !!

“I Do Feel The Weeping Skull Represnts The Concept Of The Album. Musically And Lyrically We Want The Band To Be An Expression Of The Negativity In Our Lives.”

DISC REVIEW “A PATIENT MAN”

ソルトレイクに兆すエクストリームミュージックの胡乱なニューリーダー。異端の唱道者 CULT LEADER が掲げる教義は、陶酔を誘う魔性のカオスとノワールです。
グラインドコアとスラッジの蜜月を象徴したバンド GAZA の解散は、アンダーグラウンドの世界にとって二重の意味でショッキングな出来事でした。鋭利で野放図なその独創性が途切れることはもちろん、当時のボーカリストが起こしたスキャンダルもまた、リスナーの大きな落胆を誘ったことは確かでしょう。
しかし障害の根源を断ち切り、ベーシスト Anthony をボーカルに据えて再始動を果たした CULT LEADER のある種麻薬的で、妖気振りまく夜叉の佇まいは、GAZA の悲劇を振り払って余る程に鮮烈かつ混沌です。
もちろん、2014年のデビュー EP “Nothing for Us Here” 以来、CULT LEADER はメタリックでブルータルなハードコアの鼓動に、プログレッシブやドゥーム/スラッジの息吹と悲哀の情操を投影し、カオティックで多様な宇宙を創造して来ました。
実際、インタビューで Anthony も 「もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。」 と語っています。
ただし、それでも黒の指導者が提示する新たなバイブル “A Patient Man” は、敬虔な信者にこれまで以上の圧倒的驚愕とカタルシスをもたらす大いなる預言書、もしくは洗礼だと言えるでしょう。
CONVERGE と Chelsea Wolfe,  Nick Cave の薄幸なる婚姻。涙するスカルをアートワークにあしらったこの作品を、端的に表せばこういった表現になるでしょうか。
言い換えれば、ランニングタイムのおよそ半分はグラインドとハードコアのカオス。一方で残りの半分はバリトンボイスで紡がれるデリケートなノワールへと捧げられているのです。
ブラストビートに導かれ、ポリリズミックなメロディーと無節操なブレイクダウンが花開くオープナー “I Am Healed” や、不協和のシャワーとスラッジのスロウバーンがしのぎを削る “Isolation in the Land of Milk and Honey” が慣れ親しんだ CULT LEADER の経典だとすれば、連続する “To: Achlys”, “World of Joy” の2曲はさながら新経典でしょうか。
Nick Cave, Chelsea Wolfe, DEAD CAN DANCE のプリミティブでノワールな世界観。NEUROSIS の放射線状にも位置する13分間の穏やかなフューネラルは、哀しみと闇、美しき孤独と終焉を反映しながら、ダークアメリカーナにフォークやゴスまで内包し作品に傑出したデュエル、コントラストをもたらしました。
「音楽的にも詩的にも、僕たちはこのバンドを人生におけるネガティブな部分の代弁者としたいんだよ。」と Anthony が語るように、黒雲の途切れないアルバムにおいて、ただ “テンション” という素材を主軸としてこれほどの落差、ダイナミズムを創出するレコードは極めて稀だと言えるでしょう。
「頼むから俺を癒してくれ。」Anthony の咆哮、絶唱はリアルな苦痛、苦悶を掻き立てるマスターの所業。一方で、「愛に満ちた光が世界中の人間に注いでも、俺の下には来ないだろう。」と孤独を綴るその声は、全てを受け入れ語りかけるような慰めと寂寞のトーンでした。
孤高の唱道者は墓標の上で踊る。もしかすると、彼らの新たな教義は、THOU や CONVERGE の最新作とも根底ではシンクロしているのかも知れません。Kurt Ballou のプロダクション、リリースは Deathwish Inc. から。
今回弊誌では、Anthony Lucero にインタビューを行うことが出来ました。「自分たちのコンフォートゾーンの外へと冒険することを、僕たちはいつも心掛けているんだよ。」どうぞ!!

CULT LEADER “A PATIENT MAN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOIVOD : THE WAKE】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DANIEL “CHEWY” MONGRAIN OF VOIVOD !!

“I Don’t Use My Guitar Before I Have An Idea Of What The Melody Could Be. Music Is Not Inside The Instrument, It Is In My Mind, In My Heart. “

DISC REVIEW “THE WAKE”

プログレッシブとスラッシュの狭間でSFのスリルを享受するケベックの神怪 VOIVOD。5年ぶりとなるフルアルバム “The Wake” の異形と暴威は、バンドの結成35周年を祝賀する来日公演で Voivodian を狂気の渦へと導誘します。
衝動の “Rrröööaaarrr” から、サイバーな中毒性極まる “Dimension Hatross”、そしてアートメタルの極地 “The Outer Limits” まで、逸脱者 VOIVOD の奇々怪界はメタルシーンにおいて畏怖と畏敬を一身に浴び続けて来ました。
スラッシー、時にパンキッシュなアップテンポの猛威とプログレッシブな展開を、サスペンスと不協和に満ちたジャズ由来のテンションコードで賛美する異端の婚姻。そしてその倒錯的なシグニチャーサウンドは、ギターの革命家 Piggy の逝去、豪放磊落なベースマン Blacky の脱退にも、些かも揺らぐことはありませんでした。
バンドにとって何より僥倖だったのは、テクニカルデスのカルトヒーロー MARTYR で雄名を馳せた Chewy こと Daniel Mongrain を迎えたことでしょう。
インタビューで、「僕は11歳の時から VOIVOD のファンで、それこそ狂ったように聴いて来たんだから、もう僕の音楽的な DNA の一部、最も大きな影響の一つだと言えるだろうね。」と語るように、”Target Earth” でバンドに加わって以降、Chewy はあの不協和音とテンションの魔術師 Piggy の遺伝子をしっかりと受け継ぎながら、さらに VOIVOD の意外性、多様性を逞しく拡大しているのです。
バンド史上最も “シネマティック” で “キャッチー” なコンセプトアルバム “The Wake” はその進化を如実に証明するマイルストーン。アートワークにもあるように、Voivodian の象徴、4体の Korgull が見下ろす先は死に行く星。作品に描かれた気候変動、大災害に起因する混乱とカオスは当然我々の住む地球の姿に重なります。
しかし同時に滅びを誘う巨大災害や外敵の来襲は、人類に新たな真理、宇宙において孤高でもなければ唯一種でもないという、ある種の “目覚め” をもたらすのです。
アルバムオープナー “Obsolete Beings” で早くもバンドは Voivodian の心に洗脳のメカニズムを植え付けます。パンキッシュにドライブするリズムセクション、不協和のパラノイア、刻々と変化を続ける万華鏡のテンポとリズム。誇らしげにトレードマークをはためかせながら、一方で Snake の紡ぐボーカルライン、Chewy の奏でるギタートーンはこれまでよりも格段に甘くメロウ。印象的な中間部のブレイクでは、アトモスフェリックな顔さえ覗かせます。
水面下から現れたエイリアンの襲来と、唯一残った人類の贖いを描いた “The End Of Dormancy” は、アンセミックにテクニカルにストーリーを体現する VOIVOD シネマの完成形なのかもしれませんね。
「お前は知りすぎてしまったんだ…。」厄災来たりて笛を吹く。クリムゾンとフロイドの不可解な共演。時に凶暴を、時に畏怖を、時に孤独を、時に勇壮を、時に不屈を伝える千変万化、Chewy のリフデザインは常にストーリーへと寄り添い、Snake は幾つものキャラクターを一人で演じ劇場の支配者として君臨します。
初期 MEGADETH を想起させるハイパーインテレクチュアルなスラッシュアタックと、神々しきオーケストレーションがせめぎ合い、そして底知れぬダイナミズムを奉ずる “Iconspiracy”、サイケデリックに浮遊するキャッチーな幻想宇宙 “Always Moving”。そうしてアルバムは12分のエピック “Sonic Mycelium” で幕を閉じます。
「”The Wake” では全てが “チームスピリット” の下に制作されたんだ。」 その言葉は真実です。張り巡らされたディソナンスとテンションの菌糸をぬって、重層のコーラスさえ従えた煌めきのメロディーは新生 VOIVOD の野心を再び主張し、ポストロックの多幸感さえ仄めかせながらストリングスの絨毯へとあまりにコレクティブなプログレッシブの息吹を着地させるのです。
今回弊誌では、Chewy さんにインタビューを行うことが出来ました。「ソロをプレイする時は、吹き込むパートを何度も何度も聴き込むんだ。そうするとメロディーが頭の中で鳴り始めるんだよ。そうして僕はギターを手に取り、そのメロディーを紡ぐんだ。僕はメロディーが降りてくるまでギターを触りすらしないからね。音楽は楽器の中にあるんじゃない、僕の心、ハートの中にあるんだよ。」二度目の登場。天国の Piggy もきっと満面の笑みでこの作品を賞賛するでしょう。
余談ですが、ブックレットには Away がそれぞれの楽曲をイメージして綴ったアートの数々が描かれています。どうぞ!!

VOIVOD “THE WAKE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : ANIMALS ACOUSTIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

“The Animals Themselves Are Really Totally Abstract And Don’t Have Any Immediate Connection The Song’s Lyrics Or Sentiments. At The Time They Were Simply Place-holders.”

DISC REVIEW “ANIMALS ACOUSTIC”

オックスフォードに端を発するマスとエモの交差点は、英国と米国のサウンドスケープを統べる大動脈へと連なります。
TTNG。かつて THIS TOWN NEEDS GUNS を号していたヤングガンズの名を一躍知らしめたのは、多種多様な動物の姿をタイトルとアートワークに投影したデビューフル “Animals” でした。
確かにインタビューでバンドのマスターマインド Tim Collis は 「アルバムに登場する動物それ自体は、本当に、完全に抽象的な存在で、実は楽曲の歌詞や感情と直結するものではなかったんだよ。」と明かしてくれました。つまり、楽曲に授けられた動物の名前は、製作時に必要だった仮タイトル以上の存在でも以下の存在でもなかった訳です。
しかしながら、クロコダイルやシマウマ、パンダにマントヒヒが跋扈し、あの色彩豊かで五感を呼び覚ますアートワークの美福は、 TTNG のエクレクティックな音楽世界を図らずも象徴していたのかも知れませんね。
同郷同世代の FOALS は常に比較対象の的でしたが、BATTLES や日本の toe にも比肩される精密華麗な演奏技術は明らかに TTNG を際立った存在へと昇華していました。ただし、手数の多いハイテクニック、変幻自在のタイム感といったマスロックを源流とする鮮やかな音景は TTNG という大自然の一部分に過ぎません。
オックスフォードの偉大な先人 RADIOHEAD、さらには THE SMITH といった誇り高き霧雨の情緒は英国の血統を。一方で、Stu Smith の儚くも感傷的な歌声に溶け合う開拓者の実験性とアンビエンスは、OWLS, AMERICAN FOOTBALL, さらには MINUS THE BEAR といった Kinsella 兄弟に端を発する USエモ/インディーの景観をもリスナーへと届けるのですから。
以降、Stu の脱退、ベース/ボーカルの Henry Tremain を加えたトリオでのリスタート、THIS TOWN NEEDS GUNS から TTNG への改名、香港 Hidden Agenda での災難など激動のディケイドをくぐり抜けた彼らは、そうしてまるでバンドの第一章を総括するかのごとく “Animals” の記念すべき10周年を特別な形で祝うことに決めたのです。
トピックは3つ。まずは全編にアコースティックアレンジを施し再録することで、例えば叙情極まる “Lemur”, “Badger”, “Dog” のように躍動感に霞んでいた楽曲の本質が生々しく浮き上がり、ギタリスト Tim の円熟をも鮮明に伝えています。そしてよりソフトに、より理知的に再構築された音楽のジャングルは、”Elk” で顕著なように、ストリングスやトランペット、ハープにダブルベース、シロフォンにハンドドラムまで色とりどりのアコースティックな響きを誘うオーケストラへと進化を遂げたのです。
Stu Smith の帰還も特別な出来事でしょう。「明らかに Stu は “Animals” において大きな部分を担っていたね。だから僕たちはこの作品の楽曲で彼をフィーチャーしたかったんだ。」の言葉は真実です。より艶を増したように感じられるセンターラインの復帰は、期間限定とはいえバンドのエナジーにハイオクのインパクトをもたらしました。
そして、自由を与えられた AMERICAN FOOTBALL などで活躍する Nate Kinsella, COVET のクイーン Yvette Young, KRAKEN QUARTET のゲスト陣はノスタルジアに彩られた楽曲群に新たな生命を宿します。Tim はインタビューで何度も “リスナーが楽しめる” スペシャルワンを提供したかったと語っています。そしてその優しさは間違いなくサウンドスケープとなってレコードを循環しているのです。
「バンド名は元々、ジョークみたいなものだったんだよ。UKにはほとんど銃が存在しないんだ。警察官さえ所持していないほどでね。だから銃が必要だという笑いにしてみたんだけど、決してネガティヴな意味を込めた訳ではないんだよ。けれども、ほとんどの人間は勿論、銃とそれがもたらす暴力の可能性に反対だし、バンド名がそういった不名誉なスティグマを背負うことは避けたかったのさ。当然、明らかにジョークだし、シリアスに取られるべきことではないけどね。」と改名の理由を語ってくれた前回のインタビューもぜひ。Tim Collis です。どうぞ!!

TTNG “ANIMALS ACOUSTIC” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOLA : APPLAUSE OF A DISTANT CROWD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM JANZI OF VOLA !!

“I Would Describe The Band As An Adventurous Rockband With Tendencies Towards Metal And Electronica. We’re Very Keen On Experimenting And Not Being Bound To One Label Or Genre.”

DISC REVIEW “APPLAUSE OF A DISTANT CROWD”

モダンプログレッシブのフロントランナー VOLA は、ジャンルのアイデンティティーを保ちながら進化を遂げる荊棘を成し遂げるユトランドの至宝。
Djent 由来の重厚なグルーヴ、シンコペーションの創造性をメロウでヴィンテージなイヤーキャンディーで包み込み、シンセウェーブのフィヨルドへと注ぎ込む彼らのやり方は、まさしくデンマーク発祥のトレンド、”ヒュッゲ” “甘美な時” をリスナーへと運びます。
レトロ&フューチャーが交差する衝撃のデビューフル “Inmazes” から4年。世界一幸福と言われるデンマークに降臨した “時をかけるバンド” が次なるテーマに選んだのは、皮肉にもテクノロジーや SNS が人類にもたらす栄華と暗部、幸せの価値。
「タイトルの “Applause of a Distant Crowd” “遠方の観客から届く拍手喝采” とは、僕たちが SNS を通してコンスタントに賞賛や承認を求めていることを表しているんだよ。だけど、そうやって喝采をくれる人たちは遠く離れていて、そこでの関係性が何か実りをもたらすことなんてないだろうはずなのに。」と新たなドラムマイスター Adam Janzi が語るように、インターネット& SNS の発展は利便性の向上と同時に、承認欲求、嫉妬、欺瞞、憤怒といった人に巣食う闇の部分をこれまで以上に助長させ、世界は生きづらさが増しているようにも思えます。
“We Are Thin Air”、アルバムの幕開けは、そうした息苦しさを “空気が薄い” と表現する究極のメッセージ。THE ALAN PERSONS PROJECT を彷彿とさせる暖和で壮大なメロディーの洪水は、コーラスの魔法と浮遊感を伴って、あたかも水中で暮らしているかのようなイメージを摩訶不思議に演出し描写します。
同時に、80年代の甘くキラキラした、しかしどこか切ないデジタルの波はコンテンポラリーなディストーションサウンドと融け合い、その波動は “Ghost” のエセリアルなセンチメント、感傷の波へと集約していくのです。
レトロとフューチャーを自在に操る時間魔法師の煌きはすなわち “ビタースイート”。そしてよりオーガニックに、オルタナティブの領域へと接近した新たな旅路は、MEW や MUSE のインテリジェントな方法論とも入念にシンクロしていると言えるでしょう。
一方で、「それでも僕たちは、今でもプログやメタルを愛しているよ。それは変わらないね。」と語るように、MESHUGGAH や DECAPITATED の凶暴なポリリズムが一際そのサウンドスケープを拡大させていることは明らかです。
“Smartfriend”, “Alien Shivers” におけるシンコペーションアグレッションはまさしくプログメタルの系譜を引く証ですし、その場所に VOLA 特有のポップセンス、アトモスフィアが流入した響きには、”Post-djent” を導くヒントが隠されているのかも知れませんね。
さらに、”Vertigo”, “Green Screen Mother” で見せるダークでスロウな一面は、バンドと作品の二面性を際立たせ、モダンプログの骨子である多様性とダイナミズムを一際浮かび上がらせることとなりました。そして、当然そこには、Adam が人生を変えたアルバムで挙げている Chelsea Wolfe, Nick Cave からの仄暗く、ノワールな影響が存在するはずです。
今回弊誌では、その Adam Janzi にインタビューを行うことが出来ました。「もしこのバンドを一言で表すなら、アドベンチャーロックバンドかな。メタルとエレクトロニカの要素を持ったね。」 さて、この作品を耳にして Steven Wilson は何をおもうのでしょうか。どうぞ!!

VOLA “APPLAUSE OF A DISTANT CROWD” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【REVOCATION : THE OUTER ONES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID DAVIDSON OF REVOCATION !!

“Sometimes I’ll Discover Some Cool Voicings While Working On a Jazz Tune And I’ll Try To Manipulate Them In a Certain Way So That It Fits Into The Metal Framework Better.”

DISC REVIEW “THE OUTER ONES”

エクストリームメタルシーンの “名状しがたきもの”。刻々とその姿を変える轟音の支配者 REVOCATION は、神秘探求者たるリスナーの脳を時に捕捉し、時に喰らうのです。
「彼らは時代によって音楽性を少しづつ変化させていたでしょ?」David は信奉する DEATH の魅力についてそう語りましたが、自らのバンド REVOCATION にも同様の試みを投影しています。
ハイテクニカルなデスメタルの知性とスラッシュメタルの衝動の中に、オーセンティックなメタルの様式美を組み込んだ初期の煌きは眩しく、一方で鬼才 ARTIFICIAL BRAIN にも所属する Dan Gargiulo 加入以降の、前衛的で中毒性を宿した VOIVOD にも通じる不協和のカオスもまた魅力の一つだったと言えるでしょう。
そうして最新作 “The Outer Ones” でバンドが辿り着いた魔境こそ、トレードマークである演奏能力とアグレッションを拠り所とする”完璧なデスメタル”、すなわち “The Inner Ones” に、荘厳でリリカルなメロディーのイヤーキャンディーやジャズの複雑怪奇、すなわち “The Outer Ones” を織り込んだコズミックな宇宙でした。
饗宴の始まりはダークでソリッドな “Of Unworldly Origin” から。TRIVIUM の爽快さまでイメージさせる耳障りの良いファストチューンは、しかし同時にブルーノートを起点としたジャジーなコードボイシングで自らの異形をアピールします。
分解してスウィングさせればツーファイブにもフィットするウネウネとしたリードプレイから、冷徹でしかしファンタジックな DEATH の遺産、ツインリードへと雪崩れ込むギターの魔法は2人のマエストロを備える REVOCATION ならではの至宝でしょう。
実際、唯一のオリジナルメンバーとなった David Davidson のジャズに対する愛情は、先日あの TESTAMENT のジャズスラッシャー Alex Skolnick との対談でお互いが認め合ったように、本物です。ギター教師の一面も持つインテリジェントな David は、メタルにとって規格外のコード進行、ボイシング、そしてスケールを操りながらアルバムを未知の領域へと誘います。
ロマンチックとさえ表現可能な “Blood Atonement” はまさに David の異能が濃縮した楽曲でしょう。ブラッケンドな激情を叩きつける漆黒のワルツは幽かな叙情を宿し、一転して静寂の中紡がれるクリーントーンの蜜月は Joe Pass の匠を再現します。まさに David 語るところの “コントラスト” が具現化した “血の償い” は、CYNIC のアトモスフィアさえ纏って怪しくも神々しく輝くのです。
“Fathomless Catacombs” で再び DEATH への深い愛情を示した後、バンドは “The Outer Ones” で BETWEEN THE BURIED AND ME の重低音のみ抜き出したかのような不規則な蠢きでラブクラフトのホラーを体現し、さらに不気味なコードワークが映える “Vanitas” では VOIVOD はもとより ATHEIST, PESTILENCE のカオスをも須らく吸収してみせました。
アルバムを締めくくる大曲 “A Starless Darkness” はまさに名状しがたき暗闇。ドゥームの仄暗い穴蔵から這い出でし闇の化身は、勇壮なエピック、スラッシュの突心力、デスメタルの沈痛、シュレッドのカタルシスと多様にその姿を変えながら、OBSCURA と並びプログレッシブデスメタルの森を統べる者としての威厳を示すのです。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド David Davidson にインタビューを行うことが出来ました。「ジャズの楽曲に取り組んでいる時、しばしば僕はクールなボイシングをいくつか発見するんだけど、それがメタルのフレームワークへとうまく収まるように手を加えてみるんだ。」フックと展開の目眩くクトゥルフ。今、最もハイテクニカルなギターチームが揃ったバンドの一つでしょう。どうぞ!!

REVOCATION “THE OUTER ONES” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREAK KITCHEN : CONFUSION TO THE ENEMY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTIAS “IA” EKLUNDH OF FREAK KITCHEN !!

“I Think The Change Of Music Industry Is a Brave New World With Tons Of Opportunities. You Can’t Sit Home And Complain It Was Better Before. Adjust Or Die.”

DISC REVIEW “CONFUSION TO THE ENEMY”

急速に拡大を続ける “ギターナード” の世界。真のギターフリークの間で、最もイノベーティブかつ画期的なプレイヤーとして崇拝を浴び続ける “Freak of the Freak” Mattias IA Eklundh。
水道のホースクリップ、テレビのリモコン、櫛、大人のディルドーにラジカセアンプ。目につくもの全てを “ギミック” としてギタープレイに活用し、レフトハンドのハーモニクスから両手タッピング、ミステリアスなスケールにポリリズムの迷宮まで自在に操るマエストロのアイデアは決して尽きることがありません。
同時に、弦は錆び付いても切れるまで交換せず、スウェーデンの自然とジャーマンシェパードを溺愛し、音楽産業の利益追求主義を嫌悪する独特の思想と哲学は Mattias の孤高を一層後押ししているのです。
「FREAK KITCHEN を立ち上げたのは少しだけコマーシャルな音楽を志したから。だけど適度にひねくれていて、様々な要素をミックスしながらね。」 とはいえ Mattias が情熱を注ぐスリーピースの調理場は、ただ難解で複雑な訳ではなく、むしろキャッチーでフックに満ち溢れた色とりどりのスペシャリテを提供して来ました。”Pop From Hell” とも評された、甘やかでインテリジェント、Mattias の “歌心” を最大限に引き出した “Freak Kitchen” はまさにバンドのマイルストーンだったと言えますね。
ジャズからボサノバ、アバンギャルド、ブログにインド音楽と手を替え品を替えエクレクティックに食材を捌き続けるバンドは、そうして最新作 “Confusion to the Enemy” でさらなる未踏の領域へと到達したように思えます。
「AC/DC は僕がいつも帰り着く場所なんだよ。Angus にただ夢中だし、Phil Rudd の熱狂的なファンでもあるんだ。」 近年、AC/DC のやり方に再びインスパイアされたことを明かす Mattias。その言葉を裏付けるかのように、作品には以前よりシンプルでスペースを活用した、ヴィンテージロックやブルースのエネルギッシュな息吹が渦巻いているのです。
例えば “Good Morning Little Schoolgirl” をイメージさせるブルースパワーにアンビエントな風を吹き込んだ “The Era of Anxiety”、スウェーデン語で歌われる “Så kan det gå när inte haspen är på” のシンプルな突進力とスライドギターのスキャット、さらにトラディショナルなブルースのクリシェをベースとしながら、愛車のボルボをパーカッションに EXTREME の “Cupid’s Dead” の要領で問答無用にリフアタックを繰り広げる “Auto” の音景は明らかに魅力的な新機軸でしょう。
もちろん、KINGS X を思わせるダークなオープナー “Morons” から胸を締め付ける雄大なバラード “By The Weeping Willow” まで、クラッシックでヴィンテージなサウンドを背景に Mattias らしいルナティックなギタープレイと甘く切ないメロディーのデコレーションを疎かにすることはありません。
圧巻はタイトルトラック “Confusion to the Enemy” でしょう。バンド史上トップ5に入ると語る楽曲は、アルバムに存在する光と闇を体現した究極なまでにダイナミックなプログレッシブ絵巻。MESHUGGAH を想起させる獰猛なポリリズムと空間を揺蕩うアンビエンス、さらにFKらしいイヤーキャンディーが交互に顔を覗かせる未曾有のサウンドスケープは、バンドが辿り着いた進化の証。
時という “敵” であり唯一の資産を失う前に成し遂げた記念碑的な快作は、そうして “We Will Not Stand Down” で緩やかにエモーショナルにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では Mattias IA Eklundh に2度目のインタビューを行なうことが出来ました。「ゼロから何かを生み出す作業は、未だに究極の興奮を運んでくれるんだ。ただのルーティンの練習はそうではないよね。」 どうぞ!!

FREAK KITCHEN “CONFUSION TO THE ENEMY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SKELETONWITCH : DEVOURING RADIANT LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SCOTT HEDRICK OF SKELETONWITCH !!

“Any Time My Writing Wanders Near The Territory Of “Ambient” Or “Cinematic”, Ryuichi Sakomoto Is Going To Be An Influence.”

DISC REVIEW “DEVOURING RADIANT LIGHT”

ブラックメタル、メロディックデスメタルを獰猛な原衝動、スラッシュメタルに奉呈し、”ブラッケンド-スラッシュ” の峻路を切り拓くオハイオの妖魔 SKELETONWITCH。
バンドの発するクリエイティブな変幻の瘴気は、メタル伏魔殿の魑魅魍魎を遥かな幽境へと誘います。
2004年からエピカルなメロディーと凶猛な響骨を混交し、エクストリームメタルの超克を多様に牽引し続ける変異体は、2014年にキャリアの重大な分岐点を迎えました。
アルコールの乱用を要因とする素行の悪化に堪え兼ねたバンドが、ボーカリスト Chance Garnette を解雇したのです。ギタリスト Nate の兄弟でもある創立メンバーが引き起こした問題は、徐々に存在感を増しつつあった SKELETONWITCH に暗い影を落とすかのようにも思われました。
しかし、元 VEIL OF MAYA、現 WOLVHAMMER のフロントマン Adam Clemans を迎え入れた彼らは、アトモスフェリックなブラックメタル、アンビエント、プログレッシブなどその多様性を一際研ぎ澄まし、地殻変動に端を発するネクストレベルのクリエイティビティーへと到達することになったのです。
バンドのロゴやアートワークの方向性まで変更しリリースした “Devouring Radiant Light” は、実際 “再発明” のレコードです。
アルバムオープナー “Fen of Shadows” は過去へのレクイエムにして未来へのファンファーレ。バンドのトレードマーク、クラッシックメタルのフックやメロデスのメランコリーは確かに耳孔の奥へと沈み行き、一方で幾重にもレイヤーされたポストブラックのギターオーケストラ、中盤の荘厳なるアトモスフィア、そしてプログレッシブなグランドデザインは破天荒な背教者をレコードへと招き入れるのです。
事実、「アルバムには大きく分けて二つのスタイルが存在していると思う。」と Scott は語ります。そして Nate は直線的でスラッシー、Scott は重厚でプログレッシブ。コンポジションの棲み分けを念頭に置けば、”Devouring Radiant Light” は Scott の遺伝子をより多く受け継いだ麒麟児の光明だと言えるでしょう。
切迫するトレモロの嗎とブラストの喧騒でダーク&メロディックなブラックメタルの深淵を探求する “Temple of the Sun”、PALLBEARER や MASTODON のキャッチーなドゥーム/スラッジにも共鳴するエピック “The Vault” と拡大を続ける SKELETONWITCH の魔境。
Kurt Ballou, Fredrik Nordstorm のドリームチーム、さらに JOB FOR A COWBOY, BEHEMOTH との仕事で知られるゲストドラマー Jon Rice の推進力もサウンドの深化に華を添えます。
中でも “最もバンドの進化を示している” と語るタイトルトラック “Devouring Radiant Light” は文字通り熾烈な光彩。NEUROSIS, ULVER, OPETH, さらにはカスカディアンブラックの陰影と実験性までも胸いっぱいに吸い込んだブラッケンド-スラッシュの革新的な波動は、光と闇のダイナミズムを携えながらエモーショナルなダンスを踊るのです。
“Sacred Soil” は作品の終幕、結論に相応しきインテンスの断末魔。エレガントなハーモニーとブルータルなリズムのカコフォニーは魔女の帰還と新たな旅路を祝う地下室の祝祭なのかもしれませんね。
今回弊誌では、ギターチームの片翼 Scott Hedrick にインタビューを行うことが出来ました。「坂本龍一氏はまさに僕の作曲面に多大な影響を与えているんだよ。」どうぞ!!

SKELETONWITCH “DEVOURING RADIANT LIGHT” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【URIAH HEEP : LIVING THE DREAM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICK BOX OF URIAH HEEP !!

“We Are a Family Away From Our Family So To Speak. I Have Always Said a Working Band Is a Happy Band And That Is Why We Smile a Lot. “

DISC REVIEW “LIVING THE DREAM”

凛々しきハードロックとプログの幻想が交差する、プロト-メタルの “桃源郷” URIAH HEEP。
波瀾万丈、紆余曲折を潜り抜け、半世紀の年輪を刻んだ今も未来への雄渾なる熱情を宿し続ける不死鳥は、ただ純粋にロックへの殉教に焦がれます。
悪魔の叫び David Byron、ハモンドの魔術師 Ken Hensley、そして Mr. ブルーノート Mick Box。三者三様の個性で織り上げるエピカルでシアトリカルなバンド初期のレガシーは、ヒストリーオブロックの一ページ、秘伝の黄金律として今も色褪せることはありません。
実際、Mick の野性味溢れるハードドライブと、Ken の翳りを帯びたプログレッシブなミステリーは David の艶やかな表現芸術を携えてこの上ないカタルシスを創出し、至高の “夢幻劇” は静の “July Morning” から動の “Easy Livin'” まで “対自核” のダイナミズムを深くその舞台に刻んだのです。
そしてもちろん、彼らの分厚くゴージャスなボーカルハーモニーは、しばしば比較を受ける DEEP PURPLE には存在しないものでしたね。
ただし、バンドのマスターマインド Mick Box は、その両翼を徐々に欠いた後も偉大なスピリットを穢すことは決してありませんでした。
アメリカの空を仰ぎ始めた John Lawton との冒険においても “Sympathy” では “哀れみの涙” をしめやかに流し、Peter Goalby を迎えたNWOBHM とのシンクロ二ティーでもそのキャッチーな魅力は些かも陰ることなく、そして何より Bernie Shaw との現行ラインナップが “Sea of Light” で見せたロマンチシズムは、バンド本来の魅力を存分に主張する新たなる決意の欠片だったのですから。
そして Mick は 長年バンドに貢献を続けた Lee Kerslake を健康問題で、Trevor Bolder に至っては逝去という悲しい理由で欠きながらも遂に更なるマイルストーンを築き上げました。
「まさに僕たちはロックに宿る夢を実現しているよね。そしてそれ故にアルバムタイトルになったんだ。」と語るように最新作 “Living the Dream” は、自らが辿った栄光と自由の軌跡。
オープナー “Grazed by Heaven” を聴けばリスナーは、来年結成50周年を迎えるバンドがこれほどまでにフレッシュでエネルギッシュな音楽を奏でることに驚愕を憶えるはずです。
Phil Lanzon が過去のレガシーを礼賛するハモンドの魔法を奏でれば、浮かび上がるはバンドの心臓、Mick の荒々しくも硬質なリフアタック。そうしてダイナモ Russell Gilbrook の卓越したパワーとテクニックは、Bernie を中心とする壮麗なる5ウェイハーモニーをも誘ってロックとプログの濃密なる交差点を作り上げていくのです。
一方で、クリアー&パーフェクトなプロダクションの妙は、今を生きるバンドの挑戦的でコンテンポラリーな姿をも浮き彫りにしていますね。
言ってみれば “Living the Dream” こそがブリティッシュハードの桃源郷なのかも知れません。タイトルトラックの QUEENにも匹敵する重層のコーラス、ZEP のフォークが花開く “Waters Flowin'”、 GENESIS への敬意を表明した “It’s All Been Said”、想像力を掻き立てる8分のプログエピック “Rocks in the Road” にメランコリックで壮大な “Dreams of Yesteryear”。枚挙に暇がありません。
そうして、キャッチーでフックに満ちた英国のバスストップにおいて、”Falling Under Your Spell” は特別な一曲となりました。
70年代から数えても、バンドにとって屈指のキラーチューン。もちろん、”Easy Livin'” を想起させるビッグなコーラス、ターボを積みこんだシャッフルビートに荒れ狂うオルガンサウンドはある意味ヴィンテージな “幻想への回帰” にも思えます。
しかし、「バンドのキャラクターを保つことはもちろん、同時に新鮮味を持ち込むことも重要だったんだ。」と語るように、サウンドのトータルバランスは群を抜いてモダンでダイナミック、不思議な程にフレッシュで現在を写す煌きのポートレートに思えるのです。テンポチェンジ、転調に静と動のコントラスト。アルバムを通してそうしたフックと緩急は常に新たな驚きと喜びをリスナーへと届けます。
きっとそれは巧みの熟練、そして “情熱” の成せる技なのかもしれませんね。常に音楽シーンの変化に目を光らせているという Mick の言葉は真実です。そして “悪魔と魔法使い” が出会う25回目の “魔の饗宴” は、新たなファンという更なる “罪なきいけにえ” を一層増やすに違いありません。
今回弊誌では、レジェンド Mick Box にインタビューを行うことが出来ました。「いつも言っているんだけど、よく働くバンドはハッピーなバンドだと思うんだ。僕たちもそうだし、だからこそたくさん笑えるんだよ。」どうぞ!!

URIAH HEEP “LIVING THE DREAM” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SATYRICON : DEEP CALLETH UPON DEEP】JAPAN TOUR 2018 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FROST OF SATYRICON !!

“Black Metal Is All About Attitude, Spirit And Feeling, Pretty Much Like Punk And Blues. It Doesn’t Have To Be Connected To One Very Particular Philosophical Direction. Claiming That Is Has To Be Satanic Is Simply Childish.”

DISC REVIEW “DEEP CALLETH UPON DEEP”

ブラックメタル第二の波として、EMPEROR, DARKTHRONE, ENSLAVED, IMMORTAL, MAYHEM 等と共闘しシーンを確固たるものとしたノルウェーの重鎮 SATYRICON。9年振りに決定した来日公演で、常に進化を続けるバンドのスピリットは鮮明になるはずです。
獰猛でファストな典型的ブラックメタルからは久しく距離を置く SATYRICON。確かに “Now, Diabolical” はゲームチェンジングなブラックメタルレコードでしたが、”Deep Calleth Upon Deep” で辿り着いた境地はまさしく前人未到です。
「僕はね、ブラックメタルにおけるスピードの重要性は過大評価され、大きく誤解されていると思うんだ。スピードは音楽にインテンスと極端さを持ち込む多くの方法の一つに過ぎないんだよ。」と Frost が語るように、SATYRICON の “今” を表現するブラックメタルは究極にダークで不吉なアトモスフィアをただ徹頭徹尾追求する、複合的なアート。
不穏なヴィンテージロック、ゴス、ドゥーム、アバンギャルドをブラックメタルの深淵に落とし込むダイナミックで豊かな表現性のパレットは、ある意味オリジネーター CELTIC FROST の方法論、スピリットにもシンクロしながらリスナーの酩酊を誘い、エクストリームメタルに内包された贖い難い中毒性を再確認させてくれますね。
それは乱歩の世界や百鬼夜行にも通じる複雑怪奇な狂気の乱舞、スロウバーン。
今回弊誌では FROST にインタビューを行うことが出来ました。「ブラックメタルは、パンクやブルースと同様にアティテュード、スピリット、そしてフィーリングが全てなんだよ。だから、必ずしもある特定の哲学と繋がっていなければならない訳ではないんだ。サタニズムに拘る姿勢は、単純に子どもじみているよ。」どうぞ!!

SATYRICON “DEEP CALLETH UPON DEEP” : 9.9/10

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