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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOBUYUKI TAKEDA OF LITE !!

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Japanese Math / Post Rock Hero Returns! Lite Goes Back To Their Roots And Opens Up A New Chapter With Accessible And Emotive Record “Cubic” !!

DISC REVIEW “CUBIC”

日本が生んだ Math-Rock / Post-Rock ヒーロー LITE が待望の新作 “Cubic” をリリースしました!!バンドの原点である、タイトで躍動感溢れる生の音像へと回帰した作品は、国内外でインストゥルメンタルミュージックを志すアーティストへの新たな道標となるでしょう。
LITE の近作はその理知的な一面が作風を支配していました。ジグソーパズルのピースを一つ一つ組み合わせるように綿密に、デリケートに構成された彼らのストラテジーは “For All the Innocence” で一つの完成形を提示したと言えます。シンセサイザーを多用し、ギターを何本も重ね、精巧でカラフルな絵画のようにレイヤーされた音世界は、極限までこだわり抜いた足し算の美学であったとも言えるでしょう。
“For All the Innocence” の流れを汲みつつ、やや人間味も戻ってきた前作 “Installation” リリース後、LITE は国内、海外でツアーを重ねます。インタビューにもあるように、そこで彼らはオーディエンスとの温度差に直面したのです。もっとダイレクトに伝わる方法を模索し、たどり着いた一つの結論が “原点回帰” でした。
3年半のインターバルを経て、リスナーの元へと届けられた最新作 “Cubic” にはそうした葛藤を乗り越え、さらにステージアップを果たした魅力的な LITE の現在が詰まっています。
アルバムオープナー “Else” を聴けばバンドの進化が伝わるでしょう。アグレッションと躍動感を前面に押し出し、生々しくフィジカルな感覚を宿す楽曲は、ストレートにロックの真価を表現し、引き算の美学を提示しています。有機物のように形を変えていくトラックには、ワウを使用したヘンドリックスを想起させる激しい熱量のギターソロすらハマっていますね。
勿論、リズムやリフにはマスマティカルなイデオロギーが貫かれていますが、オーガニックで力強いギターサウンドと、抜けの良いダイナミックなドラムスによって、リスナーはまるで4人のメンバーのみが目前に現れ生のライブを見ているかのような錯覚に陥ることでしょう。
アーテュキレーション、ゴーストノート、そしてギターのピッキング音までクリアに感じられる立体感。あの BATTLES を手がける Keith Souza をマスタリングで、THE MARS VOLTA との仕事で知られる Heba Kadry をミキシングで起用したことも、新たなサウンドに寄与していることは明らかですね。
ジャケットのルービックキューブとリンクするように、カラフルでチャレンジングな点も “Cubic” の特徴です。SOIL&”PIMP”SESSIONS のタブゾンビがトランペットで参加した “D” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。自由な雰囲気でジャムセッションからそのまま進化した楽曲は、良い意味でのルーズさ、即興の魅力、ロックの原衝動を合わせ持ち、クリエイティブなエナジーが溢れて出ています。後半の転調を繰り返すアイデアも実にスリリングですね。
以前にも挑戦したとは言え、インストゥルメンタルバンドとして知られる LITE が2曲にボーカルを導入したこともサプライズだと言えますね。アヴァンギャルドなアルバムクローサー “Zero” での根本潤氏の歌唱はエキセントリックで実に効果的ですし、何よりギタリスト武田氏自らが日本語で歌う “Warp” からは、海外で認められる LITE がクールな日本語の美しさ、リズムを伝えるという意味からも重要な1曲だと感じます。
実際、フロム JAPAN のアイデンティティーは、LITE を海外のバンドから際立たせている隠し味では無いでしょうか?”Square” が象徴するような、エモとはまた違った日本的な侘び寂び、哀愁はレコードの要所で現れ作品をさらに魅力的に彩っていますね。
今回弊誌では、バンドのギタリストでコンポーザー、武田信幸さんにインタビューを行うことが出来ました。海外では、toe や ENEMIES も所属する要注目の Topshelf Records からのリリース。どうぞ!!


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LITE “CUBIC” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【downy : 第六作品集『無題』】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBIN AOKI OF downy!!

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One Of The Greatest Post-Rock, Dark Electronic Outfit From Japan, downy Has Just Released Deep And Cold New Masterpiece “Mudai Ⅵ” !!

DISC REVIEW “第六作品集『無題』”

日本の至宝、5人組ロックバンド downy が新作 “第六作品集『無題』” をリリースしました !!
日本における Post-Rock の先駆けとも評される downy は、映像担当のメンバーが存在する特異な形態のバンドです。当初から、映像と音楽の融合を掲げて来たバンドは、同時に現在フェスやクラブシーンに根付きつつある VJ の先駆者とも言えるでしょう。また、音楽担当以外のメンバーを擁するという点では、勿論初期の KING CRIMSON と通じるフレキシブルな集団でもあるのです。
Post-Rock と一言で語られることも多い downy の音楽ですが、一つのジャンルで括ってしまうには、彼らの才能は多彩で、先鋭的で、オリジナル過ぎると感じます。
静と動を巧みに行き来する独特のダイナミズム、ナチュラルな変拍子の使用が創出する緊張感、儚くも美しいメランコリー、文学的なリリックにレイヤーされた豊かなエモーションが、Hardcore, Post-Hardcore, Psychedelic Rock, Prog Rock, Metal, Jazz, Hip Hop, Electronica, Trip Hop など多様なフィルターを通して downy の世界観、芸術として昇華し、リスナーの元に届けられるのです。
9年の活動休止の後、リリースされた前作 “第五作品集『無題』” は、休止以前と同様、チャレンジングでストイックな作品でしたが、同時に以前、アルバムを覆っていたどこか無機質なムードに仄かな光が射し込んだような、暖かな変化も感じられましたね。
それから3年の間に、downy は休止以前よりも、シーンの軸としてある種の責任感を背負いながら動いてきたようにも思われます。
2014年のフジロック初出演、クラムボントリビュートアルバムへの参加、THE NOVEMBERS への楽曲提供、そして、何と言っても同世代で日本が誇るオルタナティブの雄、envy, Mono と共に Synchronicity” とのコラボレーションから “After Hours” というフェスを立ち上げるなど、実に積極的に活動を続けて来ています。
そういった成果が結実したのが新作 “第六作品集『無題』” であると言えるかも知れませんね。演奏にはさらに人間味を加え、青木ロビン氏のボーカルにはエモーション以上のスピリチュアルな何かが宿っているようにも感じます。
アルバムオープナー、”凍る花” はこの新たな傑作を象徴するような楽曲です。レコードの幕開けを告げるシンセサウンドが鳴り響くと、リスナーは驚きと共に急速に downy ワールドへと誘われます。前作で仄かに射し込んだ暖かな光は、実はこのアルバムでは感じられません。7拍子が導くヒリヒリとした緊張感、さらに説得力を増したメランコリックな歌唱が伝える冷たく蒼い世界観は、まさしく downy 唯一無二のもの。初期の感覚、原点を、現在の成熟した downy が奏でるといったイメージも少なからず存在するようにも思います。
続く”檸檬” はウッドベースとツッコミ気味のハイハットがジリジリとした焦燥感を生み出す壮絶な5拍子。”海の静寂” は R&B 的な黒い歌唱と、静寂を切り裂くギターのうねりが印象的。プレイ自体は人間らしい感情の熱を帯びているにもかかわらず、殺伐とした冷ややかな雰囲気を保ち続けるアルバムは、やはり異形なまでに特殊です。
同時に、”色彩は夜に降る”, “親切な球体” にも言えますが、リズム隊の究極に研ぎ澄まされた、ミニマルかつインプレッシブなリフアプローチが冴え渡った作品とも言えますね。
今回弊誌では、青木ロビン氏にインタビューを行うことが出来ました。内容にもある通り、メタル、プログロックのファンにも強く聴いていただきたいバンドです。どうぞ!!

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downy “第六作品集『無題』” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEGICCO : ティー・フォー・スリー】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Negicco !!

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Organic Idol Group From Niigata, Japan, Negicco Has Just Released Ultimate-POP New Record “Tea For Three” !! Why Don’t You Try Kawaii Flesh Green Onions ?!

DISC REVIEW “ティー・フォー・スリー”

2003年から活動を続け、今年で結成13周年を迎える新潟が誇る”楽曲派”アイドル Negicco が、新作 “ティー・フォー・スリー” をリリースしました!!
昨年リリースされた2ndアルバム “Rice&Snow” は、様々な音楽誌、音楽サイトで2015年のベストアルバムにランクするモンスターアルバムでしたね。”ティー・フォー・スリー” は前作のポピュラーミュージックとしての完成度はそのままに、ソウル、ディスコサウンドを取り入れ大人の Negicco に進化したマイルストーン的作品に仕上がりました。プロデューサー connie さんは勿論、豪華なゲストプロデュース陣の仕事も実に印象的ですね。
レキシの池田貴史さんがプロデュースを手がけたアルバムオープナー “ねぇバーディア” は間違いなく今年最高のポップチューンとなるでしょう。「あなたに あなたに あなたに 恋したんです 好きになってもいいのかな もう止められないけど」松田聖子さんを想起させるエモすぎる王道アイドル曲は、しかし同時により深い広がりも備えています。
音楽ファンなら誰しも “ねぇバーディア” というタイトルから EARTH, WIND & FIRE の名曲 “September” を連想することでしょう。実際、「ねぇバーディア、覚えてる?」「あの9月の日の出来事」というセリフに加えて飛び出す”アノ”ギターフレーズは、見事な EW&F のオマージュとしてワクワク感を誘います。さらに勿論、「床の間置いてた愛の兜」は越前上杉家の直江兼続を隠喩しており、しっかりと新潟への愛情も示して見せているのです。大人も楽しめるアイドルソングとしての完成度は絶大ですね。
大人と言えば、Spangle call Lilli line が提供した “江南宵唄” は Negicco の新しい一面を披露した重要な楽曲です。セクシーで大人の色気を発する囁くような歌唱には、「本当の恋」を教えてくれるような淡い期待を感じてゾクゾクしてしまいますね。同じような感覚は、渋谷系とも言えるオシャレな “矛盾、はじめました” にも存在するように思います。
“土曜の夜は”を聴けば、Negicco こそが何十年にも渡って積み重ねてきた J-POP の担い手であることが分かるでしょう。80’sをモダンにアップデートしたかのような、山下達郎さんを想起させるビート、アーバンな曲調に Negicco の見事なコーラス、ハーモニーが溶け合います。アルバムを通して Negicco 3人の生み出すボーカルハーモニーは素晴らしく、歌唱面でも著しく成長を遂げていることが分かりますね。
OKAMOTO’S の手によるモータウン調の “SNSをぶっとばせ” では「あなたっていい人だけど まるでわたしの心は シェアできないの」などと見事に世相を反映していますが、総じて歌詞が心にスーッと入って来る作品でもありますね。ストリングスとピアノが絶妙な “おやすみ”~”私へ” の流れで幕を閉じるまで、”ティー・フォー・スリー” は常にリスナーにエモーショナルなメッセージを届け続けます。
決して、最近のアイドルシーンで持て囃されているような、奇を衒ったアルバムではありません。ただ粛々と、音楽の良さを追求した先に完成した、ハイセンスな2016年 J-POP の決定盤、代表作だと思います。今回弊誌では Negicco メンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。7/30には NHK ホールでのコンサートも決定しています!ネギネギ!!

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Negicco “ティー・フォー・スリー” : 10/10

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WORLD PREMIERE : “PART 16: MOUNTAIN OF FLAMES (TEST MIX)” 【ANOVA : DIYU】


WORLD PREMIERE: NEW SONG!! “PART 16: MOUNTAIN OF FLAMES (TEST MIX) OF ANOVA !!

PROG / MATH METAL MEETS ELECTRONICA !! AnovA ARE NOW WORKING ON A NEW RECORD “DIYU”!!

日本人ギタリスト Yoshiaki Nishite さん率いる インターナショナルプロジェクト AnovA。彼らの Prog / Math Metal に Electronica, Classical, World Music を融合させた独自の音楽性はモダンプログシーンにおいて一際異彩を放っていますね。バンドは現在 3rd Album “Diyu” のリリースに向けて鋭意制作中。今回弊誌ではアルバムからオリエンタルな佳曲 “Part 16: Mountain Of Flames” のテストミックスを公開です!
MESHUGGAH 由来のヘヴィーグルーヴ、幾重にもレイヤードされたシンセサウンド、ピアノの美しい音色が東アジアの仏教的な思想と調和した見事な楽曲だと感じました。Yoshi さんからのメッセージも届いていますよ。

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【MESSAGE FROM YOSHI】

この楽曲が収録されるであろう”Diyu”というアルバムのコンセプトは、Luke(Ba)が3年前にDavid(Vo)と始めたプロジェクトから始まっています。
近いうちにリリースを予定している3rdアルバム”Diyu”には、完全にイチから作った楽曲が大半ではありますが、この楽曲「Part16: Mountain of Flames」は実は3年前からあった曲なのです。(←最近知りました。。)
その曲を、より自由に、より自分たちらしく、アイデアをみんなで入れてアレンジしていった結果、原型を留めないくらい曲が変貌してしまいました。。
とはいえ、今のAnovAらしさを表す象徴的な曲になったので、「アルバムリリースまで放置しておくのはもったいない!」ということで、Test Mixではありますが、先行配信しちゃおうということになりました。
AnovAは「まだライブすらしたことが無い変なバンドだ」と思われるかもしれませんが、時にはゲームにはまりこんだり、時には音楽について熱く語り合ったりしながら、実験的で新しいもの、どんどん進化する音楽を目指しつつ、仕事の合間を縫いつつ、趣味として気ままに頑張っている音楽プロジェクトです。
今月、AnovAは3周年を迎えるのですが、色々と今後の展開を見据えて、さらに新しいことや実験的なことに取り組んで行く予定です。ひとまず、「変なバンドだなー」くらいに覚えていただければ幸いです!

YOSHI

AnovA Bandcamp Page

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EARTHISTS. : WINTERFELL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YUTA OF Earthists.!!

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New wave of Japanese Djent/Prog-Metalcore is coming!! Earthists. has just contracted with Tragic Hero Records and released new single “Winterfell”. “Naturecore” is ready to conquer the world!!

東京発、新世代 Djent/Prog-metalcore バンド Earthists. が ERRA や Crossfaith を輩出し、The Afterimage, A Skylit Drive など有望な新鋭を多数抱える Tragic Hero Records と契約。新曲 “Winterfell” をリリースしました!!
才能を感じさせるバンドが続々と出現している日本の Djent/Prog-metalcore シーンですが、Earthists. がUSの人気レーベルと契約を果たしたことは非常に意味があると思います。彼ら自身は勿論、後続たちにも道を開く可能性を秘めているからです。昨年、”FLUX” で The Afterimage の Sam との共演を実現させたバンドはさらに新しい一歩を踏み出しました!
Earthists. は “Naturecore” を掲げ、自然に関する事象を自らの音楽、リリック、アートワークなどに反映させています。これも魅力的な試みで、海外のリスナーの興味を引く可能性は充分。テクニカルなギターワーク、グルーヴィーなリズムにエモーショナルなボーカルを載せた彼らの楽曲は決して海外の先鋭、そしてレーベルメイト The Afterimage や Invent, Animate にも劣ってはいませんね。加えて彼ら独特の Jazzy なピアノが非常に良いアクセントとなり Earthists. の個性を作り上げています。
今回、公開された”Winterfell” はまさにその個性を炸裂させた素晴らしい新曲です。イントロの流れるような美しいピアノはゲーム音楽ともクロスするような美麗さで、ドラマティックな世界観を構築します。ブリッジの複雑なコード展開にも Jazz の影響が伺えますが、不思議と Yui さんのボーカルが乗るとキャッチーさが際立ちますね。ブレイクダウンの SikTh を想起させるカオティックな Yuta さんのリフワークも白眉。そこからバンドが一体となり畳み掛ける終盤は圧巻の一言でした。
Field of Forest, Abstracts, Our Dimensions, Story of Hope といったバンドと共にシーンを盛り上げる Earthists.。今回弊誌ではギタリスト/コンポーザーの Yuta さんにお話を伺うことが出来ました。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【クウチュウ戦 (KOOCHEWSEN) : SUKOSHI FUSHIGI】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RIYO OF KOOCHEWSEN !!

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Prog meets J-POP !! One of the brightest hope from Japan, KOOCHEWSEN has just released their great 2nd mini-album “Sukoshi Fushigi” !!

DISC REVIEW “SUKOSHI FUSHIGI”

70年代のプログロックとJ-POP/歌謡曲を融合し、見事現代に蘇らせた才能溢れる4人組 クウチュウ戦 が 2nd ミニアルバム “Sukoshi Fushigi” をリリースしました!!
最近の J-POP/ROCK シーンには ゲスの極み乙女 や パスピエ など、マスロックだったり、少しプログレッシブだったりする演奏と、なめらかでポップなサウンドを掛け合わせてセルアウトしたバンドが少なくありませんね。クウチュウ戦の音楽も確かにプログとポップの融合です。しかしそこにはもっと直接的で本質を捉えたプログロックからの影響が伺えます。
アルバムオープナー “光線” はまさに クウチュウ戦 を象徴するような楽曲です。YES や KING CRIMSON を想起させる、スリリングで複雑な所謂”キメ”のフレーズで幕を開けながら、楽曲は光の速さでその色を変えます。伸びやかだったりハスキーだったり、状況に応じて的確にその声質を使い分ける Vo/Gt、そしてメインソングライターのリヨさんが歌い上げる、優しくてどこか懐かしいメロディーは70年代や80年代の J-POP に通じますね。そしてその2つの要素が楽曲の中でカラフルに溶け合い、クウチュウ戦 を唯一無二のバンドに昇華させていると感じました。スリルとポップ。もしかしたら、WINGS の “Live and Let Die” に方法論は近いのかも知れません。
キーボード担当のベントラーカオルさんが手がけた “雨模様です” も非常に重要な楽曲だと思います。はっぴいえんどの遺産に再度光を当てるような試みが見事に成功していますね。後半の転調が実に効果的。「ですます調」を歌詞に使用しているのもポイントで、これははっぴいえんど、松本隆さんの歌詞に多く見られる手法です。さらに言えば、90年代にはサニーデイ・サービスがその手法を踏襲しており、彼らを発掘した渡邊文武氏がクウチュウ戦も手がけているのは偶然とも思えませんでした。
他にもロックの原衝動を喚起させる “台風” は John Frusciante も慄くようなプリミティブとインテリジェンスを内包したギターワークが必聴ですし、井上陽水さんが乗り移ったような “エンドレスサマー” での歌唱も見事。全曲にフックとテーマを備えた素晴らしいミニアルバムに仕上がっていますね。
今回弊誌ではリヨさんにインタビューを行うことが出来ました。”世直し”、”世界を浄化したい”・・・わかります。

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KOOCHEWSEN: “SUKOSHI FUSHIGI” 9.6/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【上坂すみれ (SUMIRE UESAKA) : 20世紀の逆襲】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SUMIRE UESAKA!!

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One of the Most Popular Voice Actress / Vocalist in Japan, Sumire Uesaka has just released her amazing new record “20 Seiki No Gyakusyuu”!!
DON’T MISS HER “VIOLET CODE” !!

【THE REVENGE OF 20TH CENTURY】

人気声優にして、ボーカリスト、そしてロシアをこよなく愛する現代の革命家、上坂すみれさんが、彼女の魅力を詰め込んだ実に見事な新作”20世紀の逆襲”をリリースしました!!
様々なジャンルの優れたコンポーザーたちが集結し、魅力的な楽曲、歌詞を提供した全18曲のアルバムは、”20世紀”という激動の時代を憧れと想像で “ボーカリスト 上坂すみれ” がリ・イメージしたような濃密でヴァラエティに富んだカラフルな作品、世界観に仕上がりました。 アートワークを美樹本晴彦、丸尾末広、BAHI JDの三氏が描き下ろし、過去と未来、モダンとレトロフューチャーが混在する音楽性、コンセプトが彼女のペルソナに素晴らしくマッチしていますね。
ロック史との邂逅という観点から見れば、メタル/ロックを愛する彼女が敬愛する人間椅子、和嶋慎治さんと筋肉少女帯の大槻ケンヂさんの参加はエポックメイキングな出来事でしょう。和嶋さんが楽曲を手がけ、人間椅子が演奏を担当した “冥界通信~慕情編~” はサバスからオジー、そしてクイーンへのリスペクトが感じられる魅力的なハードロックチューン。そこに上坂さんの独特のナチュラルで表現力豊かなボーカルが乗ることで、世界は”SUMIRE”色に染まります。
また、大槻さんが作詞を行った、”パララックス・ビュー” では激しいラップパートと、ナチュラルでメロディアスなパートを見事に歌い分けており、彼女の確かな成長が伝わります。勿論、筋少の”小さな恋のメロディー” の続編的ストーリーや、NARASAKI さんが手がけたハードな楽曲、ファミコンを想起させるMVも素晴らしいですね。
松永天馬さん率いるアーバンギャルドが提供した “すみれコード” は彼女の別の魅力を伝えてくれます。自ら80年代アイドルのコンピレーションを手がけるほど歌謡曲好きな上坂さんが、菊池桃子さんのような切ない歌声でシットリと歌い上げる楽曲には確かな説得力が存在しますね。極めつけは、”来たれ!暁の同志”。ユーロビートを使用したイケイケな楽曲は昭和感満載で、上坂さんはバブリーなお姉さんにまで憑依出来るのかと驚愕すること必至のオジサンキラーチューンなのです。
これまで、ハードロック、ファミコン、アイドル、ユーロビートとまさに20世紀の聖痕に言及しましたが、モダンな側面も忘れてはなりません。アルバムは絶賛世界を席巻中の EDM を大胆に取り入れた “予感02″ で衝撃的に幕を開けますし、”繋がれ人、酔い痴れ人。” のボカロテイストも非常に現代的。そうして時おり未来をチラつかせる事で生まれたレトロフューチャー感が作品のキモだと感じました。
難しいことは置いておいても、優れたメロディーを備えた全てシングルカット可能な楽曲群を、魅力的なボーカリストが歌い紡ぐ素晴らしいアルバムです。今回弊誌では、上坂さんにインタビューを行うことが出来ました。生産!団結!反抑圧!

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SUMIRE UESAKA “20 SEIKI NO GYAKUSYUU” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GALNERYUS : UNDER THE FORCE OF COURAGE】MMM X-MAS SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Syu of GALNERYUS !!

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The Best Japanese Melodic Metal Outfit, GALNERYUS has just released their first conceptual record, amazing “Under the Force of Courage”!!

日本を代表する、イマジネイティブなメタルバンド GALNERYUS が最高傑作とも評される新作 “Under the Force of Courage” をリリースしました!!
バンドにとって記念すべき10枚目の作品は、初のコンセプトアルバム。ギタリスト Syu さんの手による壮大なコンセプトストーリーを収めたブックレットは24ページにも及びます。各楽曲の質を高めることで勝負していた前作 “Vetelgyus” から一転、”人間の存在意義を問い、自己確立(悟り)に至るプロセスを描く” という新作は、映画のような1大スペクタクルに仕上がっています。
アルバムは期待を煽るような序曲で幕を開け、DREAM THEATER をメロディックにしたようなテクニカルなインスト曲 “The Time Before Dawn” を導きます。ここからの3曲がとにかく圧倒的!特に “Raise My Sword” の疾走感、メロディーが持つ扇情力は驚異的で、ここ10年で最も強力なメタルアンセムだと断言出来る程。リフがシュレッドと化したようなチャレンジングな佳曲 “The Voice of Grievous” が畳み掛けると、この時点で多くのファンが “Under the Force of Courage” が人生の友となることを確信するでしょう。また、クラシカル一辺倒ではなく、リズムやスケールを巧みに操る Syu さんのオブリやリフワークには脱帽する他ありませんね。
YUHKI さんが作曲を行った “Rain of Tears” は彼のプログレッシブな一面が開花した組曲。小野さんの低中音域を使用したボーカルも実に魅力的で、アルバムの良いアクセントになっています。こういった楽曲が自然に溶け込んでいることが、現 GALNERYUS の充実ぶりを物語っているような気がします。小野さんと言えば、”Chain of Distress” はソロでの歌唱を想起させる、キャッチーで邦楽感の強い楽曲。X JAPAN のバラードと言われれば納得してしまいそうなアプローチで、Syu さんの”人生を変えた5枚”と併せて考えるとまた興味深いですね。
ラストを飾るのは14分の大曲 “The Force of Courage”。リスナーはこれまで現れた楽曲のメロディーが巧みに散りばめられていることに気づくでしょう。そしてこの曲こそがアルバムの根幹を成していたのです。クラッシックやジャズの分野では、印象的なテーマやモチーフが形を変えて何度も現れますが、ヴァイオリンを学んでいた Syu さんらしい手法が際立っていますね。勿論、収録曲はストーリーと見事にリンクしており、ぜひこの傑作を、ブックレットを読みながら通して聴いて欲しいと思います。
今回弊誌では Syu さんにインタビューを行うことが出来ました。自然と胸が熱くなると思います。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

GALNERYUS “UNDER THE FORCE OF COURAGE” : 9,9/10

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本日配信開始! iTUNES “UNDER THE FORCE OF COURAGE” からも購入出来ます!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROTH BART BARON : ATOM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MASAYA MIFUNE OF ROTH BART BARON !!

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Imaginative Rock band from Tokyo, ROTH BART BARON has just released their newest album “ATOM” with incredible soundscape and creativity !!

着々と世界における評価も高めつつある、才気溢れる東京出身の2人組 ROTH BART BARON が 2nd アルバム “ATOM” をリリースしました!!
THE NATIONAL, Sufjan Stevens を手がけた Jonathan Low をサウンドエンジニアに、Kurt Vile, WAR ON DRUGS を手がけた Brian McTear を数曲のプロデューサーとして迎え制作されたデビューアルバム “ロットバルトバロンの氷河期” は壮大で美麗、日本のみならず世界でも Bon Iver や SIGUR ROS などと比較されつつ絶賛されました。USインディー/フォークからポストロックまで取り込み、バンジョーやフィドル、和太鼓まで使用した実験性も話題になりましたね。
それから1年半。完成した新作 “ATOM” は、想像力を掻き立てる豊かなサウンドスケープが、見事に詩、世界観と調和した素晴らしい作品に仕上がりました。
今回レコーディングを行ったのは、彼らがリスペクトを公言している GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR の Mauro Pezzente が所有するモントリオールのスタジオ。ARCADE FIRE や Owen Pallett もレコーディングを行ったその場所で、RBB は大胆にも現地のミュージシャンたちとセッションを重ね、アルバムに起用します。カナディアンインディーのポップでありながら実験的なフワフワとした空気が合ったのでしょう。ARCADE FIRE のアルバムにも参加したヴァイオリ二スト Jessica Moss を筆頭に、ストリングス、管楽器、パーカッションなど様々な楽器が構築する壮大なサウンドによって、私たちはその音に美しい景色や情景を見ることが出来ます。そしてそこに、懐かしい日本の原風景や悠久の歴史を感じさせるような、彼ら独特のポップなメロディーと神々しいボーカルを乗せることで “ATOM” は世界のどこにも存在しない強い光を放つ作品に昇華したと言えるのではないでしょうか。
また今回は SF, ファンタジーがテーマの1つとなっています。ターミネーターやロボコップのような古き良きハリウッドのSF映画をインスピレーションの源として、レトロフューチャーな世界観を見事に構築していますね。ビンテージシンセサイザーの大胆な使用は本当にアルバムの良いアクセントとなっています。世界的にも、エレクトロ新世代によるレトロウェーブリバイバルの波が起きています。勿論 Pitchfork, NME といった大手メディアが発信する音楽やトレンドだけが音楽ではありませんが、世界を見据えた時、そういった部分で日本は一歩遅れていると言わざるを得ません。トレンドをしっかり踏まえつつ、自由に自分たちのサウンドを追求する ROTH BART BARON にかかる期待は大きいですね。
今回弊誌では、ボーカルとギターを担当する三船雅也さんに話を聞くことが出来ました。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

ROTH BART BARON “ATOM” : 9,5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KOUTEI CAMERA GIRL : LENINGRAD LOUD GIRLZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KOUTEI CAMERA GIRL !!

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Japanese Girls Rap Crew, KOUTEI CAMERA GIRL has just released revolutionary new record “Leningrad Loud Girlz” !!!

衝撃のデビュー作 “Ghost Cat” から半年。ガールズラップクルー 校庭カメラガール が待望の2ndアルバム “Leningrad Loud Girlz” を早くもリリースしました!!
グラミー賞や各有名音楽紙ベストアルバムの結果を見るまでもなく、今年を代表する1枚が Kendrick Lamar の “To Pimp A Butterfly” であることは議論の余地もないでしょう。Kendrick や Flying Lotus, Robert Glasper などが提唱し取り組んでいるポピュラーミュージックのアップグレード。HIPHOP, ジャズ、ファンク、ソウル、エレクトロニカなど黒人音楽をルーツとしたこのムーブメントに素早く反応したガールズグループの一つが 校庭カメラガール なのではないでしょうか?”Star flat Wonder Last”なんて特に。同時に今年話題となった ZEDD, AVICII といった EDMアーティストの新作とも通じる部分はあると感じました。
勿論、ラップという観点ではアイドル枠でもリリスク、RHYMEBERRY が存在しますし、ガールズラップという括りで考えても水曜日のカンパネルラや泉まくらなど面白いアーティストが続々と出現しています。ただ、コウテカのトレンドを取り入れながらも、さらに先を切り開くような音楽性はその中でも驚くほどに異端ですね。基本はクラブミュージックでありながら、6人のラップやボーカルは非常にキャッチーで良い意味の邦楽感もありますし、メッセージ性も強く、先に挙げた要素以外にもポストロックやバンドサウンドまで幅広くチャレンジしています。
異端と言えば、メンバーの名前も「もるも もる」「しゅがしゅ らら」「ましゅり どますてぃ」「ののるる れめる」「らみた たらった」「ぱたこあんど ぱたこ」とかなり変わっていますし、今までには存在しなかった新しいアイドル像を体現しているのかも知れません。
今回弊誌では、コウテカメンバーのうち4人に話を聞くことができました。メンバーの時に人を食ったような回答も実にらしいですね。12/18には初のワンマン公演も控えています。購入はこちらから。どうぞ!

MMM RATING IS…

KOUTEI CAMERA GIRL “LENINGRAD LOUD GIRLS” : 9/10

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