EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FRANCOIS VAN DER MERWE OF THE FALLEN PROPHETS !!
“All The Major Cities In South Africa Have Their Problems With Crime. It Could Possibly Affect Our Music. We Do Live In a Place That, As Beautiful As It Is, Constantly Reminds Us Of Violence And The Dark Nature Of Humanity.”
DISC REVIEW “PRIMORDIAL INSTINCT”
「ケープタウンは危険な街だよ。僕たちは皆、犯罪に何度も遭遇しながら育ったんだ。それが世界の他の都市とどう違うのかはわからないけど、南アフリカの主要都市はどこも犯罪の問題を抱えている。それはもしかしたら僕たちの音楽にも影響しているかもしれないね。美しいと同時に、暴力や人間の暗い本性を常に思い起こさせる場所に住んでいるのだから」
南アフリカ発祥の地 “マザーシティ” と称されるケープタウンは、風光明媚な多文化自然都市として知られています。最先端のショッピングタウンに街の象徴テーブルマウンテン、そして世界で最も美しい岬、喜望峰。そんな理想的に見える場所には実は裏の顔が存在します。世界で最も危険な都市のひとつ。
貧困と格差、失業率の高さが生み出す犯罪は後をたたず、強盗、スリ、性犯罪、車上荒らし、そして南アフリカ全体で1日に75件の殺人事件が発生。銃社会のこの国は、アパルトヘイト撤廃後の混乱と流入にうまく対処できなかったのです。
そんな南アフリカ、ケープタウンの光と闇を全身全霊で喰らい尽くしたバンドこそ、THE FALLEN PROPHETS です。彼らのデスメタルには、常に流れるような美しさと人間の深い闇が同居しています。
「アフリカのメタルは市場が小さいし、ほとんどの国際的なアーティストにとってアフリカは地理的にかなり遠いという事実。通貨も弱い。しかし、世界がデジタルの時代へと進化し、アフリカがその不利を克服してきたことで、僕たちは最近より多くの音楽に触れることができるようになった。今アフリカは間違いなく、世界で最もユニークなメタルを生み出している」
世界で最も遅くメタルが根付いたアフリカ大陸は、インターネットで世界が小さくなった今、個性的でユニークなメタルを生み出す奇跡の場所へと変貌しつつあります。そして、THE FALLEN PROPHETS は、ダークでアグレッシブなテーマとデスメタルの揺るぎないルーツ、そしてクラシックやバロック音楽からの意外な影響を融合させることでケープタウンの今を投影し、アフリカのメタル、その進化を証明してみせました。
“Primordial Instinct” はそんなバンドにとって大胆な新章の幕開けです。ネオ・クラシカルの複雑さを取り入れ、より洗練された彼らのデスメタルはブラックメタルの凶暴まで内包。”Beneath The Veil Of Flesh” では、デスメタルの真髄である容赦ないリフ、ブラックのトレモロにブラストビートを叩きつけながら、バロック・ギターのイントロ、複雑なアルペジオ、ディミニッシュのランで彼らの個性を際立たせていきます。これぞメタルの没入感。ハイテンションで強烈で時に流麗。自身のペルソナと同化した彼らのデスメタルはもはや単なる音楽ではなく、生き方そのものとなりました。ABORTED, BLOODBATH, CANNIBAL CORPSE, HYPOCRISY, NILE, VADER といったバンドに対する情熱や憧れは、ケープタウンの風景の中に昇華されていきます。
今回弊誌では、ギタリスト Francois van der Merwe にインタビューを行うことができました。「差別はなくなったのか?いや、なくなってはいない。残念ながらこれからも差別が完全になくなることはないだろう。そして、過去の残虐行為のせいで、人々から軽蔑されることも常にある。でもね、幸運なことに、そういう考え方をする人の数は日に日に少なくなっているのもまた事実なんだ」 どうぞ!!
THE FALLEN PROPHETS “PRIMORDIAL INSTINCT” : 9.9/10
INTERVIEW WITH FRANCOIS
Q1: First of all, could you tell us how you found and got into metal in South Africa, a country maybe metal is not very popular?
【FRANCOIS】: Metal is definitely not very popular in South Africa, but I suppose like any music that intrigues you – you seek it out. You’re brought into the genre by the big bands of the time like Metallica and Pantera, and then look for the bands doing similar things closer to home and hope to see them live. There has always been a cult following of metal here, and although it’s growing it still feels like a very close-knit community.
Q1: まず最初に、南アフリカというメタルがあまりポピュラーではない国で、どのようにしてメタルと出会い、メタルにのめり込んでいったのか教えてください。
【FRANCOIS】: 南アフリカでは確かにメタルはあまり人気がないけど、興味をそそられる音楽は何でもそうだと思う。自分で探していかないとね!
僕は、METALLICA や PANTERA のような当時の大物バンドによってこのジャンルに引き込まれた。そして自国の近くで似たようなことをやっているバンドを探し、彼らのライブを見たいと願う。メタルは常にカルト的な人気を誇っていて、その人気は高まっているけれど、それでも今でも非常に結束の強いコミュニティのように感じられる。
Q2: The African continent has been the slowest continent for metal to take root, and yet in recent years we have seen more and more excellent bands like yours. Why do you think that is?
【FRANCOIS】: Africa has always been closed-off in terms of music. Rarely would you find touring metal acts coming to South Africa when you can almost guarantee that all the other continents will be on their touring schedule. A smaller market and the fact that Africa is geographically quite a far way from home for most international acts are probably a good reason, but with the world evolving more into a digital age and the continent catching up in that regard, we are more exposed to it recently. Africa is definitely producing some of the most unique metal the world has to offer.
Q2: アフリカ大陸は、メタルが根付くのが最も遅かった大陸ですが、近年、あなたたちのような優れたバンドが増えていますね?
【FRANCOIS】: アフリカは音楽という点では常に閉鎖的。他のすべての大陸のツアー・スケジュールがほぼ確実に組まれているのに、ツアー中のメタル・アクトが南アフリカに来ることはめったにないんだよ。
市場が小さいことと、ほとんどの国際的なアーティストにとってアフリカは地理的にかなり遠いという事実がおそらく正当な理由だろう。しかし、世界がデジタルの時代へと進化し、アフリカがその不利を克服してきたことで、僕たちは最近より多くの音楽に触れることができるようになった。今アフリカは間違いなく、世界で最もユニークなメタルを生み出しているよ。
Q3: What are some of the challenges of continuing metal in Africa?
【FRANCOIS】: As previously mentioned, the market is small and we are a long flight away from the rest of the world (especially being all the way down at the tip of Africa). Also, our currency in relation to the rest of the world is not great. As proud as we are to be African, I’d say those are the biggest challenges of being based here – challenges that most European and American bands don’t have to face.
Q3: アフリカでメタルを続けていく上での課題は何ですか?
【FRANCOIS】: 前述したように、市場は小さく、僕たちは世界の他の地域から長いフライトが必要なほどに離れている。南アフリカは特にアフリカの先端にあるからね。
また、世界の他の国々に対する僕らの通貨はあまり良くない。僕たちがアフリカ人であることを誇りに思っているけれど、そうした困難がここを拠点とする者の最大の課題となっているのも事実なんだ。そうしたことは、ほとんどのヨーロッパやアメリカのバンドが直面する必要のない課題だと言えるからね。
Q4: Your hometown of Cape Town is said to be one of the most dangerous cities in the world. What are the actual facts? How does living in that dangerous city affect your death metal?
【FRANCOIS】: Yes, Cape Town can be dangerous. We have all had multiple encounters with crime growing up. How different that is to other cities in the world I don’t know – all the major cities in South Africa have their problems with crime. It could possibly affect our music. We do live in a place that, as beautiful as it is, constantly reminds us of violence and the dark nature of humanity.
Q4: あなたの故郷ケープタウンは、世界で最も危険な都市のひとつであると言われています。実際のところはどうなんでしょう?その危険な都市での生活は、あなたのデスメタル、デスコアにどのような影響を与えていますか?
【FRANCOIS】: ケープタウンは危険な街だよ。僕たちは皆、犯罪に何度も遭遇しながら育ったんだ。それが世界の他の都市とどう違うのかはわからないけど、南アフリカの主要都市はどこも犯罪の問題を抱えている。それはもしかしたら僕たちの音楽にも影響しているかもしれないね。美しいと同時に、暴力や人間の暗い本性を常に思い起こさせる場所に住んでいるのだから。
Q5: South Africa once had an abominable past, apartheid. Is discrimination gone now? How has apartheid affected South African music?
【FRANCOIS】: South Africans have the closest bond with each other. It’s hard to describe. For multiple reasons, it feels like everyone has each other’s backs, no matter who you are. So yes the country as a whole has come a long way. Is discrimination gone? No, and I doubt it ever will be unfortunately. There will always be a disdain from people due to the atrocities of the past. Lucky for us, the number of people with that way of thinking grows smaller by the day.
Q5:南アフリカにはかつて、アパルトヘイトという忌まわしい過去がありました。差別はなくなりつつあるのでしょうか?また、あの制度は南アフリカの音楽にどのような影響を及ぼしたのですか?
【FRANCOIS】: 南アフリカ人は最も親密な絆で結ばれている。言葉で表現するのは難しいけどね。さまざまな理由から、誰であろうと、誰もが互いの背中を押しているように感じる。そう、国全体が大きく進歩したんだよ。
差別はなくなったのか?いや、なくなってはいない。残念ながらこれからも差別が完全になくなることはないだろう。そして、過去の残虐行為のせいで、人々から軽蔑されることも常にある。でもね、幸運なことに、そういう考え方をする人の数は日に日に少なくなっているのもまた事実なんだ。
Q6: Your death metal is very creative and really great! I feel that you are trying to break the stereotypes of the past by inserting classical guitar into your brutal songs, would you agree?
【FRANCOIS】: I wouldn’t say it’s breaking the stereotype as I’m sure other death metal bands may have done so. But classical music tends to lend itself well to our style. We might not be breaking any new boundaries with it, but it is definitely great to do something a bit different.
Q6: あなたのデスメタルはとてもクリエイティブで本当に素晴らしいですね!例えば、ブルータルな楽曲に美しいクラシック・ギターを挿入したりすることで、メタルの固定観念を壊そうとしているように感じます。
【FRANCOIS】: 他のデスメタルバンドもその手法を使ってきたかもしれないから、ステレオタイプを壊しているとまでは言わないよ。でもね、クラシック音楽は僕たちのスタイルによく合う傾向があるんだ。それで新しい境界線を破ることはないかもしれないけど、定番と少し違うことをするのは間違いなく素晴らしいことだよね。
Q7: Vulvodynia is becoming a worldwide success, what is their presence like for you?
【FRANCOIS】: Great! Like I said South Africans tend to gravitate to each other – so seeing a South African band be so successful brings a great sense of pride. On top of that we have played shows with them a few times and they are all great guys!
Q7: 同郷の VULVODYNIA は世界的な成功を収めつつありますが、あなたにとって彼らはどんな存在ですか?
【FRANCOIS】: 素晴らしいよね!さっきも言ったように、南アフリカ人はお互いに惹かれ合う、助け合う傾向がある。だから、南アフリカのバンドが成功するのを見るのは、とても誇らしいことなんだ。それに、彼らとは何度か一緒にライヴをやったことがあるけど、みんな素晴らしい人たちなんだよ!
Q8: As Trump’s victory proves, the world is moving more and more toward a world of greed and violence, cutting off the weak and oppressed. In this day and age, what can metal and music do?
【FRANCOIS】: Personally, I don’t like when music has a political agenda – even if it has themes of politics. Music should be about entertaining people and making them feel something, and making them feel good. Music does have the power to change people and change them for the better – more so when it’s not trying to.
Q8: トランプの勝利が証明しているように、世界はますます欲望と暴力の世界に向かい、弱者や虐げられた人々を切り捨てていきます。こうした時代に、メタルや音楽にできることは何でしょうか?
【FRANCOIS】: 個人的には、音楽に政治的な意図があるのは好きではないんだ。政治的なテーマを扱っていたとしてもね。音楽は人々を楽しませ、何かを感じさせ、良い気分にさせるものであるべきだ。音楽には人を変え、人をより良い方向に向かわせる力があるからね。