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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SLAUGHTER TO PREVAIL : 1984】


COVER STORY : SLAUGHTER TO PREVAIL “1984”

“If You Say You Are Against The War, If You Do Something Like You’re Protesting, And All This Shit, You Can Probably Go To Jail.”

1984

世界で最も危険なデスコアバンドのひとつ、SLAUGHTER TO PREVAIL。彼らが昨年発表したミュージック・ビデオには、バズーカ砲の発射、戦車での巡航、命がけのロシアンルーレット、フロントマン Alex Terrible が熊と格闘するなど、母国ロシアのステレオタイプを大々的に取り入れた姿が映し出されていました。
メタルヘッズにとっては、この仮面をかぶったバンドの大げさな MV は、古き良きデスコアの過激さとバカバカしさを限界まで引き出したものに過ぎませんが、ロシア政府の目に彼らは脅威の悪魔崇拝者集団と映り、彼らの母国公演は、暴力と悪魔賛美のプロパガンダであるという理由で頻繁に警察によって閉鎖されました。
Alex Terrible は現在、フロリダ州オーランドに移住し、デスコアが最も盛んななアメリカに住むことを計画中。2021年のアルバム “Kostolom” 以来の新曲 “1984” は、ハリウッド映画のような空想上の暴力から、ウクライナでの流血を止めろ!というロシアへの鋭い政治的批判に向かってそのテーマを大きく転換した破砕的なシングル。この紛争は Terrible にとっての優先順位を完全に方向転換させ、バンドの今後の創造性にも鋭く影響を与えました。
今年2月にロシアがウクライナに侵攻し、現在も続く流血の紛争が始まったことで、ロシアにも、多くの変化がありましたが、ロシアの侵略が始まってすぐに、Alex Terrible はソーシャルメディア上でこの戦争に対し声高に反対の声をあげました。
「俺たちは残忍な音楽を演奏しビデオには武器も出る。だけどどんな戦争にも反対だ。ウクライナで起こっていることにとても傷ついている。どうかロシア国民全体を共犯者だと思わないで欲しい。皆の頭上に美しい、平和な空が広がりますように」
先日、同じロシア出身のプログ・チェンバー・デュオ、IAMTHEMORNING の Gleb と会話をした際、彼は今のロシア、そしてその国民を “ゾンビ” と呼びましたが、全員が全員 “噛み付かれて” ゾンビになっているわけではありません。ロシアが突き進む全体主義、差別主義、帝国主義に疑問を呈するアーティストやスポーツ選手、資産家が少なからず声を上げています。逮捕や暗殺の危険もかえりみず。
我々個人にできることは決して多くはないでしょう。しかし、まず恐ろしい戦争が今も続いていることを忘れないこと。戦争や弾圧、人の死に慣れないこと。そしてロシアとロシア人すべてを憎み切り捨ててしまわないこと。ロシアの全てを完全否定してしまうことは、そうした “自浄作用” の芽までも潰してしまいかねない危険な行為かもしれませんし、そもそもロシアがやっていることと何ら変わりがありません。
SLAUGHTER TO PREVAIL は昨日、戦争を止めるための第二の矢を放ちました。彼らが最も得意な方法で戦争と流血、そして全体主義について強く発言することを決めたのです。”1984″というタイトルの、強烈なエクストリーム・メタルによって。


1984

もし、あの場所で起きていることがすべて自分のことだったら?
あの涙が自分の家でも流れたとしたら?
お前はあんなクソを白い壁に塗りたくれるか?
自分の家で家族と一緒に
良心は死に絶えた!
行進する軍隊が見える
痛みが走る…だがそこにいる友にはもはや顔も運命もない
死と痛みが群衆の後ろに続く
一体何なんだ?何が起きている?
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
怖がる子供たちの目を見て自分を取り戻せ
暴力を止めろ
地球上の流血を止めるんだ
なあ、兄弟たち
怒りは記憶の中で生き続ける! 怒りは生き続け、そしてはびこってしまうんだ!
罪のないふりをする
見ないふりをする
自分の戦争ではないふりをする
戦争反対のふりをする…そうじゃねえだろ?
ヤツらの目は呪われている
ヤツらの信仰は磔にされている
戦争によって!
ヤツらの舌は石だ
ヤツらの舌は死んでいる
戦争によって!
あのクソ野郎はいつかお前の背中にもナイフを突き刺すだろう

“どうか暴力を止めてくれ、地球上の流血を止めてくれ” という心からの率直な呼びかけを続けながらも、ジョージ・オーウェルの名作小説 “1984” を背景として “抗議” に奥行きを持たせているところはさすがとしか言いようがありません。オーウェルが1949年に執筆した、全体主義国家によって分割統治される近未来の恐怖。70年以上も前の空想が今、リアリティーを持って襲い来るなどと誰が想像したでしょうか。そうして彼らは戦争のみならず、政府による監視、検閲、権威主義の暴走に対しても抗議の声をあげているのです。”1984″ の仮のタイトルが “ヨーロッパ最後の人間” だったというのも、今となっては皮肉な話。オーウェルの言葉を置いておきましょう。
「この小説は社会主義に対する攻撃ではなく、倒錯を暴露することを意図したもの。小説の舞台はイギリスに置かれているが、これは英語を話す民族が生来的に他より優れているわけではないこと、全体主義はもし戦わなければどこにおいても勝利しうることを強調するためだった」
これほど直線的に暴力の嵐を叩きつけてくるバンドが、悪魔の顔を被ったバンドが、実は誰よりも平和を願っている。彼らの存在だけで、仮面の裏の素顔をしっかりと見極めることがいかに重要か伝わります。オーウェルと握手をかわし、ロシアの純血主義のため自分のアートを捨て去ることを拒否し、600ポンドの熊と戦い、顔の傷跡の凄みを明かし、デスコアに飽きたと宣言する。SLAUGHTER TO PREVAIL の野望と狂気と真実と未来はすでに約束されているのかもしれません。まずは、ロシアを離れた理由から話してもらいましょう。

「ロシアのメタル・シーンはアメリカに比べてそれほど大きくないからだ。でも、俺は自分の国が好きなんだ。家族も友達もまだそこにいるからね。俺はロシアで育った。自分の国のことは何でも知っている。ロシアにいる方がずっと楽なんだ。でも、戦争が始まると、ビジネスのコネクションなど、すべてを失ってしまう…制裁で何もできない。そこで、アメリカに移り住むことを即決し、ビジネスもアメリカに移したのさ」
Terrible が手がけているビジネスとは何なのでしょう?
「自分の商品、マスク、その他もろもろを売っているんだ。うまくいってるからビジネスみたいなもんだ。たくさん売れて儲かってるんぜ。俺のバンドにとってもいい金だ。PayPal はロシアと手を切った。Visa と MasterCard も閉鎖した。ロシアから他の国への送金ができないんだ。今は難しい。移住にはヨーロッパの国々や、おそらくメキシコ、アメリカなど、いくつかの選択肢があったな。でも、一番いいのはアメリカだと思った」
戦争によって物理的な危険もあったのでしょうか、それとも制裁によって去ることになったのでしょうか?
「それはちょっと危険な話だ…。戦争に反対だと言って、抗議するようなことをすれば、おそらく刑務所に入るか、3万ルーブル(約500ドル)か5万ルーブル(約800ドル)の切符を切られるかもしれないんだ。それほど高くはないが、それでもとんでもないことだよ。戦争に反対しているだけで、政府からただ “オマエには問題がある。黙れ。黙ってろ” と言われるのさ。特に音楽をやっていて、戦争に反対していたら、おそらく政府はショーを行わせないだろうし、シャットダウンする…… 俺は芸術のためなら何でもする。そうだよ、俺たちは少し問題を起こした。政府は俺たちが悪魔崇拝者だと考えている」
具体的に何があったのでしょう?
「暴力、暴力のプロパガンダ、悪魔崇拝、その他もろもろの理由で、俺らのショーはキャンセルされたんだ。俺や他のバンドにとって、それは非常に危険なことだ。ロシアでは何もしなくても刑務所に入れられるからな。ロシアは今、政府がかなり強くて、すべてをコントロールしているんだ。ヤツらが気に入らなければ、簡単に刑務所に入れられるんだよ」
Terrible はロシアで刑務所に入れられたことがあるのでしょうか?
「俺はないよ。ありがたいことにね。でも、俺の友人には、何もしていないのに刑務所に入れられた人がたくさんいる。ロシアではよく言われる言葉がある。”刑務所に行くかもしれないから、準備しておけ”。今はまさにそんな感じさ」
ライブが政府によってキャンセルされるときは、軍が踏み込むのでしょうか?
「警察が来て、”貴様らは演奏はできない”と言われるだけ。音楽も何もかも消されるんだ。あるいは、その前にショーを主催している人たちに電話して、ヤツらは演奏はできないと言うんだ。問題を起こしたくなければ、キャンセルしろとね」

新曲 “1984” は、かなり政治的に踏み込んだ内容です。
「俺はこれまで政治的なことには無頓着だった。でもな、歳をとると、自分の国で起こっていることをしっかり見なければならないことに気づくんだよ。そこで生きているんだから。政治的でなければならないんだ。この状況について歌ったこの曲。とても感情的だ。俺はとても感情的な男なんだ。だって音楽をやっているんだから。すべてのアーティストが感情的だと思う。それだけ、この状況は本当に心にキタんだよな…自分の仲間が他の国、つまりウクライナに行って、お互いに殺し合っているんだから。たしかに、今のような状況になる前にも、誰もがそのような話をしていた。ロシアがウクライナに侵攻するってね。でも俺はそんなことは信じていなかった。冗談のように思っていた。一体どうなっているんだ?何を言っているんだ?だけど、実際に起こった」
驚きましたか?
「気が狂いそうだったよ。”1984″ という本の中で言われていた、嘘は真実であり、暴力は愛であるといった状況が、ロシア政府にもはっきりと見て取れるからね。実に愚かで強力なプロパガンダが行われ、戦争に反対する人たちを刑務所に入れるという政府の本当に愚かな行動がね。刑務所ではなく、国自体がもう牢屋よ。切符を切られるんだからな。”そんなことはやめなさい。あなたは間違っている” もうね、イかれてるよ」
ロシア政府に従うという選択肢も存在したはずです。
「この曲では “暴力はやめろ” と歌ってる。”なぜこんなことをする?” 間違ってると思うからさ。俺は多くのことを知らないよ。でも俺はクソじゃない…俺は政治家ではないし、ドンバスの紛争もよく知らないし、こんなクソみたいな戦争の理由も知らない。でも、無学な俺にとって、今起きていることは好ましくないんだ。だって人が死んでいるんだから。民間人が苦しんでいる。マリウポルは破壊された。街全体が破壊されている。俺は無学だが、他人の立場に立って考えることはできる。例えば、マリウポリに住んでいて、こんなことが起こったと想像してみるんだ。家族を失い、家も失い、そしてこのような事態になる。ロシア政府を憎むだろう。ロシアが憎くてたまらなくなる。俺はただ… 何て言えばいいんだろう…本当に感情的な人間なんだ。ロシアでは、心の中ですべての人が戦争に反対していると思うよ」
あなたように政治的な問題に言及するロシア人が増えることで、今後、ウクライナにおける殺戮が沈静化することはあるのでしょうか?
「そう願うよ。誰もが、ただ黙っていることはできないからね。なぜなら、ロシア人はロシアに住んでいて、家族もロシアにに住んでいるから。自分の子どもたちも、この国で生きていく。今は俺に起きていることだけど、明日は自分子供や親に起きることなんだ。俺たちはこんなこと望んでいないよ。ロシア人にできる最も小さなことは、ただ何かを言うことだ。そして俺は幸運にも、自分のバンドや音楽を通して、何かを言うためのツールを持っている」

“1984” とそのミュージック・ビデオは、ロシア以外の国で録音されたのですよね?
「いや、もしロシアにいたとしても、俺はこのビデオを公開しただろう。このクソが始まったとき、戦争が始まったとき、俺はいつも自分のインスタで “政府なんてクソだ。戦争なんてクソだ。俺はアイツらなんて怖くねーから” と言ってきた。親には “気をつけなさい。黙っていてくれ” と言われたけどな。ダチはそうしてる。でも俺は嫌だな。俺は言いたいことは何でも言う」
あの曲をロシアで作ったことが政府に知れたら、どれだけの問題になるのでしょう?
「わからない。たぶん、誰かが俺らに興味を持って、敵対するようなことがあれば、トラブルになる可能性はあるけど、それはわからない。わからないけど…でも、常にリスクはあるよ。もし俺がロシアに戻り、そこに留まり、今のような言動を続けたなら、おそらく問題になるだろう…。たぶん、切符を切られ、2枚目の切符を切られ、そして刑務所に行くことになるのだろう」
ネット上では、”デスコアバンドで、暴力的なイメージの音楽を作っているのに、反戦だと言っている偽善者” と揶揄されることもあります。
「彼らは愚かだ。俺は感情的な人間なんだ。戦いは好きだし、武器やライフルも好きだけど、戦争が好きなわけではないんだよ。人々が苦しむのを見たいわけがない。人殺しが好きとか、そういうことじゃないんだ。奴らはただのバカだ。まあ、多くの人はバカだ。それはそれでいい。俺はそれを無視してるんだ。だって、デスコアってのは、蝶々や愛について歌うんじゃなくて、攻撃的な音楽なんだから。でも、いざ戦争になったら、何か言わなきゃいけないと思うし、俺は自分の歌で自分の思いを歌うんだ」
ロシアのおとぎ話をテーマとした “Baba Yaga” のビデオも強烈でした。
「戦車、バズーカ、熊など、かなりロシア的なテーマだったよね。ロシア的なものを1つのビデオにまとめただけというか。Baba Yaga は、小さな子供を怖がらせて食べようとするとても醜い女性の物語。ロシアではとても一般的なおとぎ話だよ。俺たちは、それをとてもシリアスで、とてもアグレッシブなものにしようとしただけなんだ。ロシアで戦車を走らせ、毎日熊と格闘しているわけではないよ。あれはただのアートだから。まず第一に、見ていて楽しい。第二に… 俺は武器や戦いが好きだ。だが常に一線を画している。それを理解する必要があるんだよ。大人の男なら分かるはずだ。一線は必ずある。多くの人がこう言う。なぜ戦車やバズーカのことを歌うのに戦争には反対なのか?その通りだよ。ただ、俺にはバカバカしいとしか思えない。一線を越えるか越えないかだよ。俺は人間で、常に人間でいようと思っているだけだ。何が起ころうとも、俺はいつも物事を落ち着かせようとしているんだ。たくさん分析しようとする。俺は人が苦しむのが好きじゃない。動物の苦しみも好きじゃない。だから6年間ヴィーガンだったんだ…よくわからないけど。世界はもっと優しくなるべきだと思う」
実際に熊と戦ったんですよね?
「もちろん、訓練されたクマだけど。でも、まあ訓練されていようがいまいが関係ないよ。だってあれは本物の熊なんだから。クマの本性は野性的で、何を考えているかわからない。数秒のうちに、もしかしたら突発的に食べられてしまうかもしれない。銃がないから止められないし… 俺たちの周りは棒だけを持っていた。トレーナーやコーチが “やめろ”と言いながらバン バン。それでおしまい。え?マジで?棒で熊を止めるのか?みたいな。クマの体重は200キロか300キロくらい。トレーナーは “何も問題ない。このクマは何度も人間とやりあってる” と言ってたな」

実際に武器を持っているのでしょうか?
「ロシアでは AK をたくさん持っている。ショットガンのAK、ごく普通の AK-47、スナイパーのもの、VSS など。俺たちはヴィントレスと呼んでいます。ロシアでもかなり一般的なライフルだね。アメリカではもうAKとAR、それに狙撃銃も買ったよ。50BMGとか。俺は射撃がかなり好きなんだ。子供のころはずっと “カウンターストライク” をプレイしていたから、武器の見た目がとても好きなんだよな(笑)」
プロの格闘家としても活躍しているんですよね?
「プロフェッショナルではなく、あくまで趣味だよ。本当に好きなんだ。6歳の時に親に連れられて、プロレスのフリーコーナーみたいなところに行って、それから一度辞めた。17歳か18歳のとき、ジムに行ってリフトを始めて、ガリガリだったから筋肉をつけたんだ。ガリガリが嫌だったんだよ。特にロシアに住んでいると、かなりポピュラーなのがゴプニク。ゴプニクというのは、強盗とか喧嘩とか、そういう悪いヤンキーたちのこと。本当に痩せていると狙われて困るんだよね。いつも銃を持っているわけにもいかないし、ね」
格闘技もステージに役立っているようですね?
「そうだね。確かにね。特にデスコアのボーカリストならね。ステージでは、叫びながらヘッドバンキングして、同時に動くのは本当に大変なことなんだ。エネルギーを費やして、呼吸をして……。MMAと似ているよね」
その顔の傷は…格闘でできたのですか?
「ただの傷跡だよ。わざとやったんだ。自分で顔を切っただけだ。タトゥーや体の模様替えが 好きなだけだよ。女の子がメスを持っていて、それで切っただけ。痛みは苦手なんだけど、タトゥーやその他もろもろが好きなんだ」

SLAUGHTER TO PREVAIL の新作のサウンドはどうなるのでしょう?
「”Kostolom” の良いところを取り入れ、それと同じかそれ以上のものを作ろうと思っている。おそらくデスコアにはならないだろうね、デスコアには飽きたから。正直に言うと、スラミングとかデスコアとか、そういう本当にヘヴィなものには飽きたんだ。デスメタルも好きだ。デスコアも好きだ。だけど、何か新しいものを作りたいんだ。何か巨大なものを作りたいんだ。例えば、RAMMSTEIN 。彼らはかなりクソ重いギターリフを持ってる。クソ重いけど、シンガーが歌っている。彼はクリーン・ボーカルをとる。でも、同時に、人々が(歌詞を)理解することができるから、かなり巨大なバンドなんだ。みんながあの雰囲気を感じ取ることができるんだ。俺たちはそういうものを作り出さなければならない。例えば、SLIPKNOT。90年代、彼らはデスメタルとヘヴィメタル、そしてニューメタル、これらすべてをミックスした。俺も同じことをしたい。SLAUGHTER TO PREVAIL と Alex Terrible の名前を音楽史に刻みたい。俺は普通のデスコアやデスメタルバンドにはなりたくない。何かクレイジーなことをしたいんだ」

参考文献:  “OUR GOVERNMENT THINKS WE’RE SATANISTS”: SLAUGHTER TO PREVAIL TALK RUSSIA, WAR, FIGHTING BEARS, NEW MUSIC

COVER STORY + NEW DISC REVIEW【PUSSY RIOT : PUNISH】


COVER STORY : PUSSY RIOT

“I Honestly Think Putin Is Digging His Own Grave Now”

I’LL PUNISH YOU

ニューヨークの会場Terminal 5で、PUSSY RIOT の Nadya Tolokonnikova は自由を謳歌しています。クラブ風のエレクトロポップをセクシーに、SM的なセンスで演奏し、またしても10年前と同様に、まだロシアの大統領である男に対して声を上げました。
「私は戦争が嫌い。平和を愛しているの。私はウクライナを支持するわ。プーチンはクソだ!早く死んでほしい!」

Nadya は何年も前から培った自身の美学を大切にしています。
「この美学は何年も前から、本当に自分のためだけに培ってきたもの。キュートなものと危険なものを組み合わせるのが好きなの。音楽ではメタルとポップを組み合わせているのよ。私は、この厳しいけれど明るいという組み合わせにとても惹かれるのよね。
服もお手製よ。今は、自分がやっていることを他の人にも伝えたいと思っているわ。刑務所で警察官の制服を縫わされていなかったら、服を作ろうとは思わなかったでしょう。幼いころは自分がデザイナーになるなんて考えもしなかった。ロシアは現代の奴隷制度だから、政治的抑圧、性差別、家父長制、監獄制度に反対する服を作る必要があるわ。アナーキストとして育った私は、服にこれほど意味があるとなんて思ってもいなかった」
Nadya は「プーチンと仲良くなることは絶対に無理。彼は狂っている。彼は自分の国民にさえ発砲するかもしれないの」と訴え続けてきました。
かつて反プーチンの “パンクの祈り” を歌ったためにシベリアの刑務所で2年間を過ごしたロシアのアーティストは、独裁者と戦うために NFT を利用し、5日間で700万ドルを集めました。このような時、正気を保てるのはアクティビズムだけだと彼女は主張します。
Nadya Tolokonnikova は非公開の場所で、PUSSY RIOT のTシャツを着用し、目的意識と意欲と一途さをもって活動を続けています。2011年に PUSSY RIOT を結成して以来、彼女のフェミニスト・プロテスト・アートは、真剣そのものです。無許可のゲリラライブ、そして彼女が追訴されたイベント、モスクワの救世主ハリストス大聖堂で “母なる神よ: プーチンを追い払いたまえ” を歌うまで、その遊び心に世界は酔いしれていました。そうちょうど10年前、PUSSY RIOT の5人のメンバーは、モスクワの大聖堂でカラフルな目出し帽をかぶり、聖母マリアに “パンクの祈り” を捧げ、ロシアのプーチン大統領を “追い払って” ほしいと懇願したのです。
しかし、その結果は常に厳しいものでした。Nadya は、PUSSY RIOT の他の2人のメンバーとともに、2012年にフーリガン行為で2年の刑を宣告され、幼い子どもたちと引き離され、ハンストを行い、想像を絶する過酷な状況に耐え、最終的にアムネスティ・インターナショナルから良心の囚人に指名されたのです。

Nadya は自分は “生まれつきの遊牧民” だと語ります。
「この惑星が私の家。私はいつも無政府主義者なの。国境や国家はあまり好きではないのよね」
しかし、その抽象的な言葉の下には、具体的な危険が潜んでいました。彼女は12月にクレムリンから “外国人工作員” と認定され、出所後に設立した独立系報道機関 Mediazone も同様に危険視されています。
「プーチンは、ウクライナの戦争について議論しただけでも15年の懲役を科すという法律にサインしたばかりよ。あれを戦争とさえ呼べない。特別軍事作戦と呼ばなければならないの」
ロシア反体制派として認知されることの危険性は、ここ数十年で最も大きくなっています。そして、1989年生まれでペレストロイカを覚えていない Nadya は、そのことを誰よりも痛感しているのです。
しかし、彼女の関心は、決して自己防衛ではありません。2月24日にプーチンがウクライナに侵攻したとき、彼女と暗号通貨世界の協力者は、ウクライナDAO(分散型自治組織)を立ち上げました。それはウクライナの国旗の1/1非可溶性トークン(NFT)で、この画像の集団所有のために入札を募り、5日間で710万ドルを調達したのです。
「私や暗号通貨の友人たちは、あの侵略に何とかして反応しなければならないと感じていたの。私は個人的に、このような状況では、アクティビズムが正気を保つことができる唯一のものであると確信しているわ。侵略、災害、悲劇をただ見て、それに対して何もしないことは、世界にとって本当に有害であるだけでなく、徐々に自分を破壊し、無力感を与えることになるのだから。このお金は、2014年からウクライナ軍に医療、弾薬、訓練、防衛分析などの支援を動員している組織 “Come Back Alive” にすでに分配されているの。プーチンのような独裁者と戦うなら、死ぬ覚悟があることを示さなければならない…そして、私はそうしたわ」

なぜ、”Come Back Alive” と共にウクライナの人たちにお金を届けようと思ったのでしょうか?
「私はウクライナに友人がたくさんいるの。ウクライナ人は非常に勇敢で、美しく、アグレッシブで、インスピレーションを与えてくれる人たちだと思っている。アナーキストから大臣まで、街角の人々から国会議員まで、たくさんの人々を知っているのよ。だからお金を入れるのに最も適した財団が何なのか、かなりよく理解できているの。私や DAO の他の人たちと連絡を取っているウクライナ人のほとんどは、”Come Back Alive” が今貢献するのに最適な財団だと言っているわ。暗号の利点は、国境がなく、無許可であること。たとえ戦場であっても、誰も止めることができないの。インターネットにアクセスできれば、資金にアクセスできるのだから」
ウクライナの友人とはどんな話をしているのでしょう?
「ウクライナの人々は、侵略という災害に直面しても、実にポジティブ。2014年にプーチンがクリミアを併合したとき、プーチンがウクライナ東部で戦争を始めたとき、私が見たのはそういう人たちよ。戦争を経験した人たちをたくさん知っているけれど、明らかにトラウマを抱えていながらも、彼らは普通の生活を送っている。私が会った人たちは、非常に回復力があるの。そして、彼らはプーチンに対して本当に怒っているのだと思うわ。ロシア人全員がプーチンを支持しているわけではないことを理解してくれている。なぜなら、多くのロシア人が自分たちの自由と生活を取り戻すために抗議し、街頭に立っているのだから。
ウクライナ人の最も魅力的な部分は、決してあきらめないというところ。多くのウクライナ人が、プーチンはウクライナの支配を自分に譲ることを期待していたと言っている。しかし、そうはならなかった。彼らはただ、”ここは我々の国だ” という精神を持っているの。ウクライナのゼレンスキー大統領は、本当によくやっていると思う。彼はキエフを離れることを拒否し、”私たちはキエフを守るだけだ “と言った。そして、驚くべき成果を上げている」
Nadya はウクライナへの侵攻に心が打ちのめされています。
「パニック状態で、毎日泣いているわ。ある意味、必要なことでも、論理的なことでもなかったと思う。起こるべくして起こったことではないのに、何千人もの人々の人生を終わらせる大惨事を起こしてしまった。パニックになったわ」

彼女には、そらみたことか、プーチンは何をしでかすかわからないと言ったじゃない?と自己満足する余裕はなかったのです。
「国際社会は極めて矛盾していたわ。その理由は2つある。プーチンの政治、野党への弾圧、プーチンが始めた戦争(これは決して最初の戦争ではない)を支持しないと表明する人たちがいた。しかし、同時に、彼らはプーチンのビジネスを続けていたわ。ロシアからやってきた “オリガルヒ” (ロシアの新興財閥) が、ヨーロッパやマイアミでどのようにして莫大な富を手に入れたのか、誰も金の流れを追おうとはしなかった。
もう一つはね、バカだから。これが2つ目の理由。人々は独裁者がどれほど危険かを過小評価しているの。2014年、私たちはイギリスの議会で演説し、アメリカの上院で演説し、多くの人からプーチンとどう話すべきか、どう会話を組み立てるべきかと聞かれたんだけど、私はいつも “できる限り厳しくするべきだ” とアドバイスしたものよ。”プーチンと仲良くすることはできない” と。この知恵は、薄情な指導者を怒らせて逮捕されたことよりも、獄中で勝ち得たもの。独裁者は刑務所の看守とよく似た行動をとるの。優しさを弱さとみなしてしまうのよ。
プーチンは自分の墓穴を掘っていると、正直そう思うわ」
Nadya は服役中、そして2014年の釈放後、歴史上の政治犯のような方法でキャンペーンを行いました。まず、ハンガー・ストライキ。
「ハンガー・ストライキを始めたとき、私は死を覚悟していた。独裁者と戦うなら、最後まで戦う覚悟があることを示さなければならない。ウクライナは、いくつかの都市を失うかもしれないが、最後まで戦う意志がある」
彼女は、マドンナやヒラリー・クリントンといった著名人から、世界的な支持を得るようになりました。スロベニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクとの手紙のやり取りが始まり、それが “同志の挨拶” という本になりました。

彼女が今思い出すのは、刑務所の状況に具体的な影響を与えたこと。ハンガーストライキを始めて1週間後、プーチンの人権担当の右腕が獄中の彼女に直接電話をかけてきて、彼女が抗議している残酷な状況について話し合ったのです。18時間労働、6週間に1日しか休みがない、睡眠時間が短い、看守や他の受刑者からひどい暴力を受ける。
「これはかなり非常識なことだったのよ。私は社会的地位の最も低い人間だったけど、彼は私を呼び出さなければならなかったのだから」
その後、この奴隷労働システムの構築者である刑務所長ユーリー・クプリヤノフは、この件で有罪判決を受け、執行猶予付きの2年の刑に服しました。
「ロシアの矯正本部は声明を出さなければならなかった。彼らは私を名指しして、私が正しかったと言ったのよ。私がやっていることはすべて、プーチンにとってより大きな痛手となることなの」
しかし、Nadya の受けた刑は、今でも彼女に酷い痕跡を残しています。
「私は刑務所がトラウマになってしまった。出所したときには、人としてほとんど機能していなかった。2014年には本当にひどいうつ病にかかったの。PTSD によるうつ病で、今も薬を飲んでいるわ」。
服役中に引き離された娘は、現在14歳。「彼女は社会民主主義者よ」 と Nadya は皮肉を込めつつも、承認するように話します。「彼女の世代では、人々はより大きな平等を望んでいるの」

その彼女の娘の友人も、反戦のデモで危険な目にあっています。
「今、ロシアで反戦を訴えるのは極めて危険なの。この4日間で何千人もの人々が逮捕、しかも残忍な方法で逮捕されている。殴られたりしてね。
例えば、私の娘には14歳の友人がいるんだけど、見た目は10歳くらいに見える。彼女は父親と一緒に抗議に行ったけど、警官が彼女を殴って逮捕しようとしたのよ!彼女の父親は、”何をするんだ?私の娘だ。まだ子供なんだ!” と。警察は彼女に外傷を負わせ、彼女は包帯を巻いているわ。病院に行って治療しなければならないほどの酷いトラウマよ。警察は少女を逮捕する代わりに、彼女の父親をターゲットにして、彼を地面に投げつけたわ。彼は殴られ、2、3日前から逮捕されている。だから、本当に難しいの…
北米とは、抗議することの代償がまったく違うわ。ここでは、抗議しても、たいていの場合、1日か2日で解放されるけど、私の国ではそうはいかない。抗議活動に参加するだけで、あるいはツイッターでつぶやくだけで、簡単に5年間は刑務所行きになってしまう。私はソーシャルメディアの投稿で2件の刑事事件を起こしている。抗議活動に行かなくても、YouTubeやTwitter、Instagram で口を開くだけで捕まってしまう。彼らは私たちのInstagramのストーリーでさえ追っているの」

プーチンは、ナショナリズムの高まりを期待しているのでしょうか?
「ナショナリズムというより、帝国主義でしょうね。帝国というより、一つの大きな国家を築き上げるということ。彼はそれを望んでいるんだけど、人々が戦争に飢えていないため、それを達成できるとは思えない。
2014年には、人々はもっと飢えていた。そしてプーチンは本当にすぐに成功を収めたのよ。だけど、プーチンの対外的な軍事的冒険が、制裁を引き起こし普通のロシア市民にさらなる問題をもたらすことに気づいたとき、戦争へ欲求は本当にすぐに消えてなくなったのよ。彼らは苦しんでいる。プーチンは苦しまない。彼は大金持ちよ。だから、彼の生活の質には影響しないけど、一般人には影響するわけで、それは本当に悲しいことよ。
第二に、私たちは世界で良い顔をされていない。ロシアのパスポートで旅行すると、人から見下されるの。私はロシアのパスポートで旅行しているんだけど、嫌な思いをするわ。侵略者代表なんだから」
ウクライナ侵攻に関して、アメリカ政府やEU諸国に望むことは何でしょう?
「度胸を決めて、何かしてくれればいい。プーチンが危険な独裁者でしかないのは明らかで、止めなければならない。彼は自国の人々にとって危険なだけでなく、世界の平和にとっても危険な存在よ。多くの人が冗談半分で、この侵略が第三次世界大戦の引き金となると話している。だけど、これはヨーロッパでの戦争なの。冗談では済まされない。本格的な戦争なのよ
アメリカ政府やEUはこの事態を十分に深刻に受け止めていないと思う。この戦争は、プーチンのクリミア併合に対する国際的な反応の結果でもあると思っているの。彼は、基本的にヨーロッパの一部である隣国で簡単に戦争を始めることができ、それによってそれほど大きな被害を受けないということを学んだのだから。
だから、何か行動を起こすべき時だと思うのよ。制裁の対象はクレムリンであるべきで、一般のロシア市民はすでに苦境に立たされている」

これまでの様々な経験は彼女の活動を鈍らせることなく、今やテクノロジーの可能性、その最前線に集約されています。彼女は当初、暗号通貨は金持ちの技術者のおもちゃに過ぎないと考えていました。しかし、中央銀行や政府から独立し、企業の買収を受けないという暗号通貨のその活動家としての可能性に2021年初めに気づき、それ以来、資金調達を行ってきました。
「それ以来、さまざまな慈善活動のためにかなりの金額を集めているわ。家庭内暴力の被害者のためのシェルターのために資金を集めたし、ロシア国内の本当に危険な場所から、何十人もの女性をロシア国外に移動させることができたの。昨年の8月には、ロシアの政治犯のために募金を行ったしね」
それ以外にも、今日彼女は、女性や LGBTQ+ のアーティストの作品を購入することをミッションとした暗号基金 “UnicornDAO” の立ち上げに協力しています。
「単に彼らの作品を買い上げるだけでなく、彼らと共に働き、安定した持続可能なキャリアを持つために様々な支援をする予定なの」
ユニコーンの最初の買い取り作品は、ロシア出身でニューヨーク在住のアーティスト、オリーブ・アレン。
「NFT の世界はお金の再分配には最適だと感じているわ。だけどこの世界でも、古いパターンが繰り返されているのを目の当たりにしているの。女性差別は結局、デジタル作品にも移行するだけ。NFT の売上に占める女性の割合はわずか5%なの。あなたがたまたま女性だった場合、あなたの言葉に価値があることを証明するのはとても難しいのよ…」

NFT の探求は、文化的な変化を促進し、資金を集め、次は国家から独立した民主的な機関を作ろうとするものです。それがどのようなものかは決して明らかではないものの、Nadya のロシア政治に対する読みと、変化を強いるために必要なことは、今でも完全に現実的なものでしょう。
「大規模な反乱。何百万人もの人々が街頭に出て、プーチンがいなくなるまで立ち去らないこと。それは明らかに、非常に危険なことよ。プーチンは正気ではないから、自国民にさえ発砲するかもしれない。だからなぜ皆が街頭に出てこないのか、私にはよく理解できるのよ。
それと並行して、プーチンのクローズド・サークルから、もう一つの変革の力が生まれるかもしれないわね。正直言って、プーチンは今、自分の墓穴を掘っていると思う。彼と親しいオリガルヒのうち、公にウクライナを支持し、プーチンに立ち向かっている人の数は相当なもので、そんなことは20年来なかったことだから」
彼女は、野党指導者のアレクセイ・ナワリヌイが、プーチンの後継者にふさわしい人物と見ています。
「社会保障の充実、再分配、これらはすべて彼のプログラムの一部よ。私は2007年から彼を知っているんだけど、彼のプラットフォームがどんどん社会民主主義的になっていくのを目撃するのは本当に興味深いことよね。彼はレッテルを貼らないの。それは賢明なことだと思うわ。彼は人々を分裂させたくないのよ」
Nadya は、ナワリヌイが今も牢獄に閉じ込められていることを忘れてはいけないと訴えます。 彼はYouTubeで1億回以上再生された調査ドキュメンタリー番組を発表しています。プーチンの腐敗した取り巻きや宮殿を暴いたもので、驚くべきスパイ映像や彼が黒海に建設した10億ドルの秘密の宮殿についてのレポートが公開されたのです。
「そう、ナワリヌイといえば、彼のチーム全体を指していることを忘れてはいけないわ。素晴らしい活動家や才能ある人々のネットワークがあり、女性政治家もいます。彼の妻であるユリアとか彼のチームでプロデューサーとして働いている素晴らしい弁護士とかね。ナワリヌイと彼の調査チームは、絶えずビデオをリリースし、ニュースを配信している。率直に言って、彼はすごいわ。なぜなら、毎年、彼はどうにかして、あらゆる場面でプーチンを出し抜いているから。彼は毒まで飲まされたけど、生き延びたのだから。私は、彼をモスクワから医療専用機で移送するのを手伝った一人なの。残念ながら、私は夫が毒殺された経験があり、だからこそ同じルート、同じ人たちを通じて迅速にナワリヌイを移送できたのよ。そして、彼は生き延びただけではなかったの。ナワリヌイはその後、調査団体 “ベリングキャット” とともに、自らの暗殺について驚くべき調査を行い、彼の殺人未遂を担当した人物を指摘したの。自分の殺人犯となる人物に電話をかけ、電話で話をしたのよ!そして、計画すべてを認めさせたの! 」

結局、クレムリンが最も恐れているのは、優れた指導者に率いられた民衆の蜂起です。
「政府は、それを阻止するためにあらゆる手段を講じているの。集会に行く予定があると疑われたら、事前に逮捕して、疫学衛生犯のようなもので告発するのよ。コロナウイルスを理由に、家から出てはいけない、家から出たら刑事罰を受けることになると言われるの。この法律は普通の人が家を出るときには使われないわ。活動家だけよ。しかし、政府はいわゆる一般人の機関を本当に見くびっている。彼らは本当に怒っていて、政府がいくら逮捕しても無駄なのよね。私の友人のマーシャは、PUSSY RIOT の活動家で、私と一緒に2年間刑務所で過ごしたけど、今まさに刑務所にいて、さらに2年の刑期が待ちうけている。ナワリヌイの妻のユリアと、私の大親友である弟のオレグも牢屋に入っているわ。彼女の場合は逮捕されたので出馬できないの。犯罪歴があると、ロシアでは10年間は政治家になれないから」
プーチンのやり方は、いつも暴力と恐怖です。
「政府の主な手法は恐怖心。国民の意識にできるだけ恐怖心を植え付けようとしてきたの。活動家の予防的逮捕は別として、彼らは匿名のブロガーを使って、集会で大量殺戮が予想されるという偽情報をたくさんばらまいている。ロシアの機動隊が全員を射殺する命令を受けたという偽情報を流しているけと、正気の沙汰ではないわ!そんなことをしたら、プーチンは数時間以内に失脚するだろうね。人々はもう暴力を容認していない。だから、そう、彼らは恐怖を利用しようとしている。しかし、それはきっとうまくいかないの」
あまりに高いリスクを負いながらも、恐怖や暴力に負けず彼女たちは戦いを続けます。
「ロシアでも芸術を続けてもいいのよ。特にあなたの芸術が本質的に政治的であるならね。今日歌ったのは、警察国家はいらないとか、多くの曲は警察の弾圧や独裁政治に捧げられたものなの。メッセージから目をそらしてはいけないと思う。そうやって、反戦、反権威主義に貢献しているのよ」

参考文献: THE GUARDIAN :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova: ‘You cannot play nice with Putin. He is insane. He might open fire on his own people’

ROLLING STONE :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova: ‘Fuck Putin. I Hope He Dies Soon’

VOUGE :Pussy Riot’s Nadya Tolokonnikova On The Protests in Russia – And Why the Opposition Isn’t Going Anywhere

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE KOREA : VORRATOKON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YURI LAMPOCHKIN OF THE KOREA !!

“Right Now, We Are Feeling Like Musicians On Titanic, Who Continued To Play For The People In Their Darkest Hour, But We Want To Let Our Music Speak For Us.”

DISC REVIEW “VORRATOKON”

「僕たちのような音楽が流行りはじめたのは、00年代にローカルなバンドがメタルコアや Nu-metal に影響されたヘヴィな音楽を演奏し始めたのが最初だったと思う。ただ、国境を越えて音楽を届けるには常に問題があったんだけど、ストリーミング産業、特に Spotify や Apple Music といった大手が登場すると、それがずっと簡単になったね」
古くは ARIA や GORKY PARK、長じて EPIDEMIA や ABOMINABLE PUTRIDITY など、ロシアにはメタルの血脈が途切れることなく流れ続けています。ただし、その血管が大動脈となり脈打ちはじめたのは、00年代の後半、メタルコアや djent の影響を受けたテクニカルで現代的なメタルが根付いてからでした。モダン・メタルの多様な創造性は、ギタリスト Yuri Lampochkin 曰く “あらゆる音楽を聴く” ロシアの人たちの心にも感染して、瑞々しい生命力を滾らせていったのです。
仮面のデスコア怪人 SLAUGHTER TO PREVAIL のワールド・ワイドな活躍はもちろん、ギターヒーローとして揺るぎない地位を獲得した Sergey Gorvin、独自のオリエンタル・メタルコアでプログレッシブのモーゼとなった SHOKRAN、複雑怪奇と美麗のマトリョーシカ ABSTRACT DEVIATION など、10年代初頭、我々は芸術的 “おそロシア” の虜となっていきました。THE KOREA もそんな文脈の中で光を放つバンドの1つ。当時、Bandcamp で “Djent” タグを熱心に漁っていた人なら知らない者はいないでしょう。
「音楽で最も感動的なことのひとつは、常に新しい方法を探して、美しいもの、本当にパワフルなものを作り、自分の音や自分の音楽の感じ方を常に進化させることなんだ。僕たちは当時からその感覚を持っていて、今もそれが THE KOREA の原動力になっているんだよ。個人的に影響を受けたのは、これでもだいぶ絞っているんだけど、Jim Root, Jaco Pastorius, Ian Paice, Chester Bennington, Misha Mansoor といったところだね」
THE KOREA が唯一無二なのは、djent と Nu-metal という台風並みの瞬間風速を記録したメタル世界の徒花を、包括的なグルーヴ・メタルと捉え両者の垣根を取り払ったところでしょう。Jaco Pastosius や Ian Paice といったロックやジャズの教科書をしっかりと学びながら、まさにパワフルで美しい “新しい方法” をサンクトペテルブルクで創造しました。
莫大な情報と自由が存在する “西側” の国々でさえ、ハイパーテクニカルな LIMP BIZKIT や 拍子記号に狂った SLIPKNOT、やたらと暴力的な LINKIN PAPK なる “もしも” は考えもしなかったにもかかわらず。そんな “If” の世界を彩るは、雪に政府に閉ざされたロシアの哀しき旋律、それにトリップホップの無垢なる実験。
「僕たちの楽曲 “モノクローム(Монохром)”では、世界における暴力、特に戦争に終止符を打つことについて話している。戦争はもう、僕たちの生活の中にあってはならないことで、世界中の人々がそれに気づき、互いに争うことをやめるべきなんだよね。この曲は1年以上前に書かれたものなんだけど、まさか最近の出来事とこうして結びついていくなんて、僕たちには想像もつかなかったよ」
ロシア語で “耳を傾ける” を意味する最新作 “Vorratokon” はそんな彼らの集大成。戦争を引き起こしたロシアの中にも平和と反戦を願う “優しい” 人たちが存在すること。我々はそんな小さな声にもしっかりと傾聴すべき。奇しくもそんな祈りがタイトルから伝わってくるようです。
「僕たちの国にとって、残酷と不正のトピックは特に重要なんだよ。だけどロシアの社会は、明らかな問題を認識して解決し始めるレベルにもまだ達していないんだ…」
かつて、弊誌のインタビューで同じくロシア出身のチェンバー・デュオ IAMTHEMORNING はこう語ってくれました。もしかしたら、ロシアの中には戦争賛同者が想像以上に多く存在しているのかもしれません。しかし、その一つの意見を切り取ってロシアの総意のように発信するのは明らかに間違いです。
「俺たちは残忍な音楽を演奏しビデオには武器も出る。だけどどんな戦争にも反対だ。ウクライナで起こっていることにとても傷ついている。どうかロシア国民全体を共犯者だと思わないで欲しい。皆の頭上に美しい、平和な空が広がりますように」
SLAUGHTER TO PREVAIL、Alex Terrible の言葉です。こんな考えのロシア人もまた少なくないはずです。政治はともかく、少なくとも音楽の、芸術の世界では Yuri の願い通り私たちは “壁” を作るべきではないでしょう。
今回弊誌では、Yuri Lampochkin にインタビューを行うことができました。「今、僕たちはタイタニック号のミュージシャンのように、最も暗い時にいる人々のために演奏を続けているような気分なんだ…僕たちの音楽が僕たちの心を代弁してくれたらいいんだけどね」こんな時期に、こんな状況で本当によくここまで語ってくれたと思います。どうぞ!!

THE KOREA “VORRATOKON” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KIBERSPASSK : SEE BEAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KIBERSPASSK OF BABA YAGA !!

“See Bear” Is a Song About My Homeland, My Native Land. A Song About The Pristine Beauty And Greatness Of Siberia. I Am Very Inspired By The Pure Siberian Nature, Endless Expanses And a Huge Blue Sky.”

DISC REVIEW “SEE BEAR”

「”See Bear” (シベリアとかけている) は、私の祖国、生まれ育った土地についての歌よ。シベリアの原始的な美しさと偉大さを歌った曲。私は、純粋なシベリアの自然、果てしなく広がる大地、大きな青い空にとても刺激を受けているの。愛するシベリアをありのまま見せたかったの」
生い茂る針葉樹林、見渡す限りの永久凍土、そして果てのない空。シベリアのタイガに訪れる長い夜を、KIBERSPASSK はハードなダーク・エレクトロで語り、音とし、世界へと発信します。凍てつく寒さと闇の帳には、ひりつくようなインダストリアルとロシアの厳粛なフォークロアを組み合わせたユニークな音化粧がよく似合います。
「私は NYTT LAND という、世界的にもかなり有名なバンドをもう一つやっていて、そこではシャーマニックなダークフォークを作り、古代楽器を演奏し、シベリアのタイガにおけるシャーマンの歌を歌っているのよ。だから、KIBERSPASSK は、私の別人格なの」
冬にはマイナス30℃を超える極寒の地。カザフスタンから100キロ、アルタイ山脈の麓にひろがる西シベリアの草原がバンドの故郷です。そんな場所で Baba Yaga こと Natalya Pahalenko と夫の Anthony はカンテレやタルハルパという古の楽器を操り、北欧神話やシベリア先住民のシャーマンから薫陶を受けた “シャーマニック・ダークフォーク” を奏で世界的な成功を納めます。KIBERSPASSK とはそんな彼らのシベリアという厳しくも美しい環境に特化した別人格。今にも “死にかけた” 村の名前を抱きながら。
「私はずっと自分のやり方でボーカル・テクニックに取り組んできたわ。主な方向性は、伝統的なロシアのフォーク・ボーカル、北欧のヨイク (サーミ人の伝統歌唱) 、トゥバ共和国の喉歌よ」
KIBERSPASSK の特別な音楽の核となるのは、間違いなく Baba Yaga の歌唱です。Baba Yagaはその名の通り異能の力を持つ魔女でシャーマンかもしれません。ヨイクで天使のメロディーに荒々しい異教の呪いの声をかけたり、ホーミーで草原や森林に邪教の声を響き渡らせるのですから。そしてその歌声は、MINISTRY を想起させる攻撃的で無機質なインダストリアルの背景に独特の夜と自然、呪術的アトモスフィアをもたらすのです。
「シベリアの先住民族のフォークロアも同様だけど、ロシアの伝統音楽は私たちの祖先の精神的・文化的遺産のルーツを保存する非常に深い階層なの。本物の感情と個性を持った、とても美しく壮大な音楽よ。とてもインスパイアされるわ。私はもともと歴史家で、自分の土地の歴史や神話を研究し、古代の人物を自分の歌の中で蘇らせることが好きなのだから」
インスピレーションの源は、シベリアの環境や景色はもちろん、スラブ神話の暗黒面にまで及びます。キキーモラ (働き者の願いを叶え怠け者を喰らう幻獣)、ドモヴォーイ (家族を守るため悪い精霊や侵入者の殺害も厭わない家の妖精)、バーバ・ヤーガ (森に住む妖婆。骨と皮だけにまで痩せこけて、脚に至ってはむき出しの骨だけの老婆の姿をしている。人間を襲う魔女のごとき存在)、リホ (小さくて毛深い生き物) など、ロシアの子供たちが生まれたときから知っているキャラクターたち。
古い集落が消えつつあるこの土地では、シベリアの精神と真の神秘性が保たれていて、今でも神話と現実の境が曖昧です。この地で生まれ、生活し、音楽を創造する KIBERSPASSK。だからこそ、その音楽に太古の息吹と孤高、霊妙、荘厳、超自然、そして奇々怪界を持ち込むことが可能だったのでしょう。革新がもはや珍しくなってしまったジャンルに、新鮮で厳しい寒風を吹き込みながら。
今回弊誌では、Baba Yaga にインタビューを行うことができました。MV に登場する印象的なダンサーは Pahalenko 夫妻のの娘さんとの情報も。謎が深まりますね。「Babymetal は実に興味深いバンドよ!彼女たちのショーとエナジーが大好きなの。そういった要素のいくつかは、おそらく KIBERSPASSK に影響を与えているわ」 どうぞ!!

KIBERSPASSK “SEE BEAR” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SHOKRAN : ETHEREAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW IVASHCHENKO OF SHOKRAN !!

“Oriental Elements Decreased In This Album. But The Compositions Matured, We’ve Gone More Progressive, Less Djent!”

DISC REVIEW “ETHEREAL”

プログレッシブメタルコアのモーゼ、SHOKRAN はジャンルを約束の土地へと導く預言者なのかも知れません。ロシアから世界を窺う指導者は、文字通り天上の美を体現する最新作 “Ethereal” で海を割ります。
ギタリスト Dmitry Demyanenko のソロプロジェクトとして始まった SHOKRAN は、デビューフル “Supreme Truth” で BORN OF OSIRIS の革新にオリエンタルで壮大なサウンドスケープをもたらし、遅れて来た “Djent スター” として一躍脚光を浴びました。
リリース後にはボーカル、リズムギター、ベーシストの脱退という非常事態に見舞われますが、グレードアップしたメンバー、さらにキーボーディストを加え盤石の体制でセカンドアルバム “Exodus” をドロップします。
そうしてバンドは旧約聖書に記された “出エジプト記” をテーマとしたコンセプト作品で、シンセサイザーの煌びやかな響きと、一際エクレクティックなビジョンを携え自らのオリエンタルドラマティックなサウンドを確立することとなったのです。
最新作 “Ethereal” は、メロディーと多様でプログレッシブな方向性をさらに追求し、バンドのドラマ性を飛躍的に高めたマイルストーンです。
「確かにこのアルバムでオリエンタルな要素は減ったと思うよ。だけどコンポジションはより成熟を遂げているね。つまり、僕たちはよりプログレッシブに、Djent の要素を減らして進化を果たしたんだ!」レジェンド THE HAARP MACHINE にも請われて参加することとなったシーンきってのシンガー Andrew Ivashchenko が語るように、典型的な Djent サウンドやあからさまなオリエンタルフレーズを減退させ、”エセリアル” なムードを研ぎ澄ますことで、アルバムは結果として唯一無二のダイナミズム、エピック世界を得ることとなりました。
実際、冷ややかで透明なリードギターとシンセサイザーの景色、ミステリアスなオリエンタルフレーズ、複雑でメカニカルなグルーヴ、スポークンワード、クリーン、グロウルを自在に行き来する声の表現力、全てで荘厳を体現したオープナー “Unbodied” がバンドの DNA をしっかりと受け継ぐ一方で、”Ascension” のサウンドスケープは完璧なコントラストを創出します。
「”Ascension” はアルバムで最も多様な楽曲さ。まさにドラマさ。緩やかに実にメロディックに始まり、メロディーが躍動し始め、アグレッションが加わり、ハッピーなコーラスが流れ出し、突如ヘヴィネスで期待を激しく裏切るんだ。まさに楽曲で最もドラマティックな瞬間だね。そうしてドラマを繰り返し、感情をもたらす訳さ!」Andrew の言葉通り、多幸感や神秘性を抱きしめた夢見心地の崇高美は、メジャー感を伴って SHOKRAN 劇場の素晴らしきアクセントとなっていますね。
そうして SHOKRAN が描く多次元の自己探求は、DREAM THEATER からハチャトリアンまで Tech-metal の粋を尽くした “Superior”、PERIPHERY や MONUMENTS の最新作にも通じるキャッチーさとヘヴィーグルーヴの対比を封じた “Golden Pendant” と、まさにマルチディメンショナルな世界観を提示していくのです。
幕引きは “Destiny Crucified”。ロシアの血が育んだ絶対零度のメランコリーは、ストリングスやアコースティックの蜃気楼を写しながら夢幻泡影のワルツを踊るのです。
今回弊誌では、Andrew Ivashchenko にインタビューを行うことが出来ました。THE HAARP MACHINE の新作についても語る Tech-metal ファン必読の内容だと思います。「今では大きな感情の変化を音楽で表現出来るんだ。僕たちは成熟を遂げ、集団として働けるようになったのさ。」 どうぞ!!

SHOKRAN “ETHEREAL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

Gleb

Not Only A Gifted Pianist And Keyboardist, But A Brilliant Songwriter And Arranger, Iamthemorning’s Keyboard Wizard Gleb Kolyadin Shows His Incredible Talent With His Kaleidoscope-ish Solo Debut “Gleb Kolyadin” !!

DISC REVIEW “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作 “Gleb Kolyadin” をリリースしました!!
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。
つまり、Gavin Harrison, Nick Beggs, Theo Travis といったプログシーンの重鎮がドラムス、ベース、フルート&サックスで牽引し、スーパースター Steve Hogarth, Jordan Rudess がゲスト参加を果たしたこのレコードでは、しかし Gleb こそが凛然と輝く星斗。
アルバムオープナー、”Insight” は Gleb の新たな音旅への “洞察” を高めるリスナーへのインビテーション。Gleb のピアノと Gavin のドラムスは、まさに一枚岩の如く強固に同調しアルバムの骨格を形成し、サックスと弦楽器を巧みに操るシンセサイザーの躍動は印象的なメロディーの潮流と共に作品の自由と鮮度を伝えます。
万華鏡の世界観を象徴する “Kaleidoscope” はモダンとレトロの交差点。プログレッシブの遺産を濃密に宿したピアノが奏でる爽快なテーマは ELP の “Hoedown” にも通じ、Gleb の繊細かつ大胆な鍵盤捌きは言葉を失うほどにスリリングです。
Tatiana Dubovaya のエセリアルなコーラスが切れ込むと雰囲気は一変し、突如として世界は荘厳なる現代的なアトモスフィアに包まれます。そうして楽曲は、フルートの音色を皮切りにエレクトリックカーニバルの大円団へと向かうのです。もちろんここに広がる多彩な”Kscope” はレーベルの美学、ポストプログレッシブの理念とも一致していますね。
そうして “Eidolon”, “Constellation/ The Bell” といった浪漫溢れるピアノの小曲と同様に、ボーカル曲も “Gleb Kolyadin” が誇る “Kscope” の一つとなりました。
“Storyteller” で Jordan Rudess とのヒリヒリするようなインテンスを終えた後辿り着く”The Best of Days” は終幕に相応しき叙情のドラマ。MARILLION の Steve Hogarth と Gleb のコンビネーションは極上のアトモスフィアとセンチメントを創造し、ノスタルジアを深く湛えた楽曲はリスナーの過去へと旅立ち “古き良き日” を克明にイメージさせるのです。
「現在ピアノは、僕にとって自分の思考や感情を表現するためのベストなオプションなんだ。」と語る Gleb。どこまでも謙虚なピアノマンはしかし、間違いなくプログシーンのセンターに立っています。長く待ち望まれた新たな鍵盤の魔術師はロシアからの登場。Gleb Kolyadin です。どうぞ!!

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GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN” : 10/10

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【SVARTBY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GIFTSVAMP AND LINDWURM OF SVARTBY!!

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RUSSIAN FOLK/FAIRLY-TALE METAL, SVARTBY SET TO RELEASE THEIR NEWEST ALBUMS “SWAMP, MY NEIGHBOUR” IN AUTUMN !!

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ロシアの妖精フォークメタル、SVARTBY が待望の新作 “SWAMP, MY NEIGHBOUR” を秋にリリースします。フォーキーなメロディーを伴った煌びやかなキーボードとへヴィーなリフワーク。一見パーティメタルのように思えますが、楽曲の構成は見事に考え抜かれていてプログレッシブ。 FINNTROLL や EQUILIBRIUM、果てはCHILDREN OF BODOM を想起させる彼らの音楽はもっと多くの人たちの耳に届くべきだと思います。ロシアの音楽はヨーロッパやアメリカに比べて情報が少なく日本にも上陸しにくい現状ですが、素晴らしい音楽を生み出しているアーティストは多く存在します。弊誌で扱う事でそのギャップが少しでも埋められたらと感じていますし、今回、バンドの創立メンバー GIFTSVAMP と LINDWURM 二人がインタビューに応じてくれた事からもロシアからの熱気が伝わるのではないでしょうか?

YOU CAN LISTEN TO NEW SONG “CLOCK TOWER” HERE !!

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【ESCAPETHECULT】


EXCLUSIVE : INTERVIEW WITH ESCAPETHECULT 

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【ESCAPETHECULT】

突如現れたスーパーグループ。シベリアンメタルの体現者 PETER G. SHALLMIN KING DIAMOND MIKE WEAD, UNEVEN STRUCTURE MATTHIEU ROMARIN, そして PRIMUS TIM ALEXANDER という「えっ?どうやって集めたんですか?」なメンバーを集めてデビュー作 ‘ALL YOU WANT TO’ をリリースしました。各自所属バンドの音楽性とは少し異なったオルタナ方面の楽曲群ですが演奏には各々の個性が炸裂していて良いアルバムだと思います。どうやって集めたのか PETER G. SHALLMIN に話が聞けました。インタヴューです。どうぞ。

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【AMOGH SYMPHONY】


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【VECTORSCAN】

インド、ロシア、アメリカの混合多国籍バンドAMOGH SYMPHONY。彼らのTHE QUANTUM HACK CHORD以来4年ぶりのサードアルバムVETORSCAN9/16にリリースされます。
発売前に全曲試聴+コンセプトを読ませて頂いたのですが彼らのファンは少し驚くかも知れませんね。前作もコンセプトアルバムでアーティスティックな要素は多分に含まれていましたがあくまでPROG/TECH/DJENT-METALの範疇で、VISHALの驚異的なギタープレイを筆頭にバンドのハイレベルな演奏が非常に魅力的でした。
今作も勿論演奏はハイレベルなのですが彼らの持つAVANT-GARDE/EXPERIMENTAL/CONTEMPORARY/JAZZの要素を前面に押し出したような作風になっています。ワタシはこの変化を非常にポジティブに受け止めました。壮大なストーリーと綿密に編みこまれた音楽。それはインドとチベットのハーフというVISHALの出自と密接に関わり合い、チベット/アッサム地方の民族音楽をはじめとしたアジア色豊かで映画のようなアルバムへと昇華しています。飽和気味のシーンにこのバンドにしか作り得ない唯一無二の芸術を叩きつけたのではないでしょうか。

では少しだけストーリーをお話しましょう。”KALYUGA”という世界のお話です。人口は減少し、ポジティブな力は陰り、人々が神を信じなくなった時代。KALYUGAの最後の日は確実に迫っています。人類に国、政治、医療、産業を教え全てを統制のとれたものにした闇の軍勢 ’OSIR’が、スピリチュアルな力で人と人を結び付けてKALYUGAを守ろうとしている’KARNA’とその国SATYUGAに侵攻しようとしているのです。良き魂を救いこの国を守ることが出来るのでしょうか。

どうです?これだけでもSFファンはそそられるのではないでしょうか。今回はゲストミュージシャン、楽器も多く、VISHALの母上まで参加しています。正規メンバー3人全員にインタヴューすることが出来ました。どうぞ。

 【ABOUT AMOGH SYMPHONY】

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Hi, How are you today?

Vishal : I am good. Thanks.

Jim : You mean, how are you yesterday?  My today is your yesterday.   Oh, I am great!!!! Haha

Andrey: Genki desu, thanks.

What do you like about Japan?

Japanese food, martial art, Cornelius, Yellow magic orchestra.

食事、武道、コーネリアスにYMO。日本が好きだよ。

Q1. Amogh Symphony is a multinational band from India, Russia, and US. I think Amogh Symphony began as solo project of Vishal. How can you,three members, get together?

Jim : I am Jim Richman, drummer percussionist for Amogh Symphony.   I have been playing the drums over 30 years.  I like ALL kinds of music.  I like going to thrift stores and going through CDs, looking for ones to sell on Amazon.    My drumset is a MADE IN JAPAN Tama Exotix 2005 Red Viking Bubinga kit with a Scandinavian Birch finish.    I like all different cymbals.  I use Vic Firth 5A and also 6A Birch sticks.     Somehow, Vishal saw a video of me playing drums on Youtube. Thru Myspace, he would send me demos of his to check out.  I would tell him what I thought.  Fast forward and Vishal did ATOS.   I knew he did it, but never heard it.   Vishal asked if I would want to do a Richman/Singh Project.  He sent me a short track to do drums on.  I did that and realized it had to be Amogh Symphony.  So I joined.  Then Vishal found Andrey at the playground on the monkey bars.

Q1: AMOGH SYMPHONYはインド、ロシア、アメリカからなる多国籍バンドでもともとはVISHALのソロプロジェクトとして始まりました。3人はどうやって出会ったのですか?

【JIM】:僕はJIM RICHMAN。AMOGH SYMPHONYのドラマー/パーカッショニストだよ。ドラムは30年以上叩いているんだ。どんなジャンルの音楽も好きだよ。中古屋でくまなくCDを物色してAmazonの出店サービスに出すのが好きなんだ。ドラムセットは日本製でTama Exotix 2005 Red Viking Bubinga kit with a Scandinavian Birch finishだよ。シンバルは全て違うものを使っている。スティックはヴィクファースの5Aと6A、バーチだよ。
出会いの話だけど、VISHALがMyspaceに挙げていた僕の演奏動画をYou Tubeで見たんだ。それで僕にデモを送ってきたんだ。チェックしてくれってね。彼に思っている事を伝えたよ。それから彼はABOLISHING THE OBSOLATE SYSTEMを作ったんだ。作っているのは知っていたけど聴いてはいなかった。そうしたらVISHALがRICHMAN/SINGHプロジェクトをやりませんか?と聞いてきたんだ。ドラムを加えるショートトラックも送ってきた。それをやって分かったんだ、AMOGH SYMPHONYをやるべきだってね。それで加入したんだ。ANDREYはVISHALが運動場のジャングルジムで見つけた。

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Q2. And would you tell us your musical upbringing?

Jim : Started drums in high school.  I would play along with albums of The Who, Men At Work, Missing Persons, Chicago etc…a lot of classic rock.  Went to college, studied music, played in the Jazz Orchestra. I became a jazz snob and completely lost connection with pop music for 5 years. After, I made a habit of studying with the best teachers on the east coast.   Jim Chapin and Joe Morello were instrumental in my hand technique.  I always have been into studying jazz.   I play a little bit of keyboards, mainly chords of songs.   I know how to put together chords.  I think every musician needs to learn as many chords as possible.

Q2:音楽的背景を教えて頂けますか?

【JIM】:高校でドラムを始めたんだ。THE WHO, MEN AT WORK, MISSING PERSONS, CHICAGO…そういったクラッシックロックのアルバムに合わせて叩いていた。大学で音楽を学んでJAZZ ORCHESTRAでプレイしたよ。ジャズおたくになって5年ほどPOPミュージックとは完全に距離を置いていたんだ。その後僕は西海岸で一番の先生達について勉強する事になった。JIM CHAPINJOE MORELLOにはハンドテクニックを仕込まれたよ。ジャズを学ぶことには常に夢中なんだ。キーボードも少しなら弾ける。コードくらいだけどね。ただコードの仕組みは知っているよ。ミュージシャンなら出来るだけ多くのコードを知るべきだと思うんだ。

ぜひこちらも参照下さい。AMOGH SYMPHONYのHPから

【ABOUT VECTORSCAN】

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日本でのCDの購入はこちらから ASIAN ROCK RISINGさん

Q1: Anyway, Let’s talk about ‘VECTORSCAN’. I think lots of your fans surprised at drastic change of your music. Vectorscan is very different from Amogh Symphony’s earlier albums i.e. ‘Abolishing the Obsolete System’(2009) and ‘The Quantum Hack Code’(2010). Do you agree with that? From your website and fan page status updates, we read that lyrics are written in Assamese by Vishal’s late grandmother Labanya Prabha Nath. Vishal’s mother takes part in as a singer. There are lots of influences by traditional microtonal music and Mongolian/Asian Ethnic music. Please kindly tell us more about this. How all this happened?

Vishal : With every album, creating something new and different from previous material are what we always focused at. The first album ATOS was completely done by me alone. Then Jim helped me to upgrade the sound in second album TQHC. In this third album release, Andrey brought the microtonal and ethnic influence in the new album on which I studied further. Actually, it took me almost 3 years to study and explore further because I simply cannot stick to just one style and one sound. The concept story and some stanzas from poems/songs I found in my Late Grandma’s books had a strange puzzling connection that took me some time to figure out. Now, I was looking for someone who can sing like her, feel like her and sound like an advanced version of her voice. The only vocalist who could do that is my mother Kasturi Singh. She has a strong background in classical music, traditional dance, poetry and stories/ stage-dramas. She has control in microtones, intonations, vibratos and also she is versatile i.e she sings multi-styles of singing – jazz, classical, opera, Assamese folk etc. As a composer, I believe sticking to standard style of prog-rock or avant-garde music or jazz fusion makes things a bit uninteresting. Because for me, it’s important to see chemical reactions between different chemicals when mixed….that’s how I see the sounds.

Jim :  Vectorscan is the polar opposite of TQHC.  And also there are jazz, 10% metal, lo-fi electronic, etc. etc. But all in a background music score or soundtrack format.

Andrey: This album is more like a soundtrack to a movie rather than a ‘regular’ album. When you watch movies, you’re not after details. You need the atmosphere and the idea. And we’re delivering both.

Q1:では新作’VECTORSCAN’について話しましょう。多くのファンは劇的な音楽性の変化に驚くのではないでしょうか。’VECTORSCAN’は ‘Abolishing the Obsolete System’(2009) and ‘The Quantum Hack Code’(2010)といった過去の作品とは大きく異なっています。バンドのサイトで読んだのですが歌詞はチベット語でVISHALの亡くなった祖母Labanya Prabha Nathによって書かれているようですね。お母様も歌手として参加しています。音楽的にはマイクロトーン(微分音:半音よりさらに細かい)を使った伝統音楽やモンゴル/アジアの民族音楽の影響を感じました。それについて話して頂けますか?いったい何が起こったのでしょう。

【VISHAL】:どのアルバムでも僕らは以前のものとは違う新しい何かを作ろうとしてきたよ。1stアルバムATOSは完全に僕一人で製作した。2ndアルバムTQHCではサウンドをアップグレードさせるのにJIMが協力してくれた。そしてこの3rdアルバムでは僕はさらに学び成長し、ANDREYがマイクロトーナル音楽、民族音楽の影響を持ち込んでくれた。実際学び探求するのにほぼ3年要したんだ。ただ一つのスタイル/サウンドに止まっていたくなかったからね。祖母の本で見つけたコンセプトストーリーと何節かのポエム/歌はまるで不思議なパズルのようで理解するのに時間が必要だった。その後僕は彼女のように歌えて彼女のような雰囲気で彼女の声を進化させたような人を探し始めたんだ。それが可能なボーカルは僕の母KASTURI SINGHだけだったね。彼女はクラッシック音楽、民族舞踊、抒情詩、舞台演劇といった強力な背景を持っているからね。彼女はマイクロトーン、イントネーション、ビブラートを自在に操るし多才なんだ。ジャズ、クラッシック、オペラ、アッサムフォーク。何でも歌える。作曲者としてはただPROG-ROCK、AVANT-GARDE、JAZZ/FUSIONという一定のスタイルに拘るのは面白くないと信じていてね。僕にとっては異なったものを掛け合わせて起こる化学反応こそ重要だからね。そんな感じだよ。

【JIM】:VECTORSCANはTQHCと正反対の作品と言えるだろうね。ジャズと10%のメタル、エレクトロニカなどなど色々だよ。サウンドトラックのようなものだよ。

【ANDREY】:このアルバムは通常のアルバムと言うよりは映画のサントラのような感じだよ。映画を見るとき君は細かい内容より雰囲気や思考を求めるんじゃないかな。このアルバムにはその両方があるんだよ。

Q2:Vectorscan has very magnificent concept story. Is the story of Vectorscan related to the concept stories in ‘Abolishing the Obsolete System’ and ‘TheQuantum Hack Code’ or is it a completely fresh new story which is not related to previous albums?

Vishal : It is. You can say that it’s a trilogy. I don’t mind at all.

Q2:VECTORSCANには壮大なコンセプトストーリーがありますが‘Abolishing the Obsolete System’  ‘TheQuantum Hack Code’と関係があるのでしょうか。それとも全く新しい話ですか?

【VISHAL】:そうだよ。トリロジーと言っていいと思う。

Andrey
Q3:At first, I think Osir is a metaphor of China and Karna is a metaphor of Tibet. But Karna is a character from a hindu epic… Or is Osir a metaphor of Modern Society?? Does this story relate to real world? Or is this fully fiction, no metaphors whatsoever?

Vishal : Well, you have the story. If you read it more times, you will come to know it’s fictional, it’s related to real world and it can be just an imagination. We are thinking of posting the entire story on our site after release. It’s hard to explain in words. You just need to read it few times and think about it and understand it. I mean, what’s the point if things were all simple and straight-forward in life? Food for thought. Fuel for brain. If not a full featured film, I would love to arrange theater play on these stories.

Q3:物語を読んでまず思ったのがOSIRは中国、KARNAはチベットを暗喩しているのではという点です。ただKARNAはヒンドゥーのキャラクターで仏教ではありません。ではOSIRは現代社会を暗喩しているのでしょうか?それとも全くのフィクションなのでしょうか・・・

【VISHAL】:そうだね、それぞれの解釈があって良いと思うよ。何度も読めばこの話がフィクションで、現実世界に関係していて、ただの空想かもしれないって分かるだろうね。アルバムがリリースされたらストーリー全てを僕らのサイトにアップしようと思っているんだ。言葉で説明するのは難しいね。何度か読んで思考し理解する必要があるね。ポイントは・・・そうだね、もし人生において物事が全て単純で率直になったらどうなるだろう?思考の糧。考えてみて。全編じゃなくて良いからぜひこの映画をアレンジしてみたいね。

 Q4:’Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki.’  has aspect of Japanese traditional music. Is that right? And I heard Andrey can understand Japanese. What is Japan to Amogh Symphony?

Vishal : Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki is in Assamese. If translated to English, it means “A little glowing light, unknown. Storm, Lamp”. If you notice, the song titles are mostly written in rhyme-puzzles style or you can say hymns/mantras/chants styles used in tantric practices. Musically, it has Japanese traditional music influence with classical orchestration and jazz-metal. Andrey is specialized in traditional Japanese and Chinese music and instruments.

Andrey: What you said is correct. The arrangement indeed has a rather dark, sinister vibe to it, which is inspired by Japanese music. And yes, I speak some Japanese (along with some other Asian languages), I’m not too good though. As for Japan, it is indeed a bottomless abyss of a source for inspiration. Especially popular culture.

Jim : Japan is the one country that has bought the most CDs from us.  We have great support from Kazuo and Asian Rock Rising.  He has distributed a lot of CDs. We love Japan!   As a matter of fact, a music school group in Japan, the Waseda Chanson Society, actually played one of our songs off TQHC.  And it was amazing.  They played it better than us.

Q4:’Junaki, Osinaki. Dhumuha, Saki’は日本の伝統音楽を取りいれていますよね?ANDREYは日本語を話せると聞きました。AMOGH SYMPHONYにとって日本とはどんな存在ですか?

【VISHAL】:Junaki, Osinaki. Dhumuha, Sakiはアッサム語なんだ。英語に訳すと“A little glowing light, unknown. Storm, Lamp”。気づいたかもしれないけど曲のタイトルはほぼ韻を踏んでいるんだ。タントラ教の修練で使用される賛歌/マントラ/詠唱とも言えるだろう。音楽的には日本の伝統音楽がクラッシックのオーケストレーションとJAZZ-METALと合わさった感じかな。ANDREYは日本と中国の伝統音楽、楽器のスペシャリストなんだ。

【ANDREY】:君の意見は正しいよ。アレンジはよりダークで不吉な感じにしたけど日本の音楽にインスパイアされている。それに日本語も少しなら話せるよ。他にもアジアの言語をいくつか話せる。凄く得意って訳じゃないけどね。日本はインスピレーションの底なし沼さ。特にポップカルチャーはね。

【JIM】:日本は僕らのCDを一番買ってくれる国の一つだよ。Asian Rock RisingのKazuoには本当にサポートしてもらってるんだ。彼は多くのCDを扱っている。僕らは日本を愛しているよ!実は早稲田シャンソン研究会ってサークルが僕らのTQHCの曲をカバーしているんだ。素晴らしかったよ。僕らより上手いくらいだ。

【INSPIRATIONS】

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Q1:Tell us about your inspiration – Krzysztof Penderecki. What is Avant-Garde according to you?

Vishal : Krzysztof Penderecki is one of the greatest influences for many avant-garde composers and theaters. For me, avant-garde is a state of mind where you begin to think after complete evolution. An edge of thought where you think of crossing the barrier once you’ve read and understood all instead of directly jumping to a new concept. A certain point where you believe knowledge could sometimes bring back some of the old concepts to replace some of the new ones. Fixing the mistakes of the neo-generation because the upgrade demands stability which neo-minds fail to execute due to lack of knowledge in history. It’s important to know “what all happened in all these years” before you think “what should come tomorrow”. A bridge between spiritual development and practical life where you can cosmic heal a disease yet you learn modern business statics. Basically, no boundaries.

Andrey: Easily one of the best avant-garde composers. You could say, he was one of the fathers of ambient music.

Q1:ではあなた方のインスピレーションについて話しましょう。Krzysztof Pendereckiについてです。アヴァンギャルドとはあなた達にとってどういうジャンルですか?

【VISHAL】:Krzysztof Pendereckiはアヴァンギャルドの作曲家や芸術家に最も多大な影響を与えている人物の一人だよ。アヴァンギャルドとは僕にとって何か新しい挑戦を始める時に心の平穏をもたらしてくれるものだね。障害を乗り越える為には新しいコンセプトを直接試すのではなくて今までの知識を活用するべきなんだ。進歩は着実に行う必要がある。歴史を知らないばかりに新世代はそれを遂行し損ねる。大事な事は明日何が起こるかではなくてこれまで起こった事を知る事なんだ。精神的成長と実際の生活の架け橋を構築する為には宇宙的癒しに加えて現代的な経営学を学ばねばならない。限界はないと言うことだね。(ごめんわけわからないヴィシャル)

【ANDREY】:単純に最高のアヴァンギャルド作曲家の一人だよ。同時にアンビエントの父でもある。

Q2:Do you think you are still involved with prog-rock/metal scene? Or does your interest focus on avant-garde/contemporary/jazz soundtrack music?

Vishal : The music itself is a complete misfit, it is very unstable. With all due respect, I don’t really know. But for now, it’s soundtrack music for ears.

Jim :  Throughout my studies and playing, I always tried to play many different styles. I fit right in with contemporary/jazz, avant-garde, pop. I like playing music with dynamics and feeling.

Andrey: Genres kill music. When you want to simplify understanding, you create genres and styles. But music exists outside the boundaries people set. Call it ‘original soundtrack’ if the name makes it clear and simple for you.

Q2:あなた達はまだプログロック/メタルのシーンに属していると思いますか?それともアヴァンギャルド/コンテンポラリー/ジャズの方に興味が移っているんでしょうか。

【VISHAL】:どれにもしっくり来ないよね、とても変化に富んでいるから。全ての点から考えても良く分からないんだ。僕の耳にはサウンドトラックに聴こえる。

【JIM】:僕のドラム人生を通して常に多様なスタイルを身に着けるようにしてきたんだ。コンテンポラリー/ジャズでもアヴァンギャルドでもポップでもフィットさせられるよ。ダイナミクスと感情に溢れる音楽が好きなんだ。

【ANDREY】:ジャンルは音楽を殺す。物事を容易に理解しようとしてジャンルやスタイルといった物を作るのだろうけど音楽はそういった地平の外側に存在するのさ。もしどうしても簡潔に表現したいのならオリジナルサウンドトラックとでも呼んでくれればいいさ。

Q3:So the core members in Amogh Symphony are multi-instrumentalists and composers. In addition to that, this album has a lot of instrumentalists, engineers and singers. The horns and brass sections are unbelievably unique in the songs. Tell us more about it?

Vishal: This time, I wanted to get an entire big band together. But I wasn’t happy with same old classic brass sections I hear in every record these days. Nothing bad about that. I work with different artists every day and produce different styles of music every day. Just tired of hearing the repetitive sounds again and again. The Goregaon Brass Orchestra is a bunch of horn players from this place called Goregaon located in Mumbai. My friend Venkat Iyer with whom I’ve worked in many commercial projects founded and recorded/engineered these phenomenal guys. Venkat is an experimental engineer/producer and I always wanted to include him in this album. He experiments a lot in recording/engineering with strange artists and musicians. Andrey played many instruments in this album. Then Mathieu Marcotte (Augury, Humanoid) introduced me to Youri’s monk vocals which he recorded and engineered. Youri is a stellar guitarist and experimental vocalist in his band Unhuman.Andy Nesbitt’s photography with cosmic and supernatural subject helped Andrey and Vasiliy to collaborate and create a great artwork for the album. Nikhil Nandakumar’s Carnatic microtonal harmonized violin, Shankar Das’ phenomenal microtonal trumpet work. Guest bass work of Manas Chowdhary in one of the tracks. My mother Kasturi Singh’s vocals and late Grandma’s mysterious poetries. It’s a full-fledged symphony. We need larger and bigger stage now if we ever decide to perform because there is absolutely no chance of using backing tracks.

Andrey: The endless album recording sessions were filled with experimentation. Prepared instruments, original one-of-a-kind playing techniques, inventing new approaches… The idea we had in the beginning was ‘to have the sounds of the whole world stuffed into the album in the most eclectic fashion’, but  in the same time the sound would need to represent the concept. We tried to keep it as minimalistic as possible, but still ended up with something super dense. The album was re-written and re-edited dozens of times.

Q3:作曲担当のお二人は多彩な楽器を操ります。それに加えてこのアルバムは多くの奏者、エンジニア、歌手が参加していますね。ホーンとブラスはとてもユニークに使用されています。

【VISHAL】:今回僕は完全なビッグバンドでやりたかった。でも最近耳にしたどのレコードのクラッシックなブラスセクションも僕を満足させる事はなかったんだ。悪くはないよ。僕は毎日違ったアーティスト達と働いて違ったスタイルの音楽をプロデュースしている。何度も同じようなサウンドを繰り返し聴くのに疲れたんだ。
The Goregaon Brass OrchestraはムンバイのGoregaonという地域から多くのホーン奏者が集まっている。多くのCMで共に働く友人のVenkat Iyerは彼らの中から見つけて参加してもらった。VENKATは実験的なプロデューサーでずっとこのアルバムに参加して欲しかったんだ。変わったアーティストも手掛けているからね。ANDREYは色んな楽器を演奏している。AUGURY,HUMANOIDのMathieu MarcotteがモンクボーカルのYOURIを紹介してくれた。YOURIは傑出したギタリストでUNHUMANのボーカルでもある。Andy Nesbittの宇宙的で超自然的な写真を基にしてANDREYとVASILIYが素晴らしいアートワークを製作してくれた。Nikhil Nandakumarのカルナータカ音楽(南インドの伝統音楽)で使用されるマイクロトーンのヴァイオリン、Shankar Dasのマイクロトーントランペットは信じられないくらいすばらしかったよ。Manas Chowdharyは一曲ベースを弾いてくれた。それに加えて母Kasturi Singhの歌と亡き祖母の神秘的な詩集。一人前の楽団でしょ。もし演奏するとしたら広くて大きいステージが必要だね、バッキングトラックなんて絶対に使いたくないからね。

【ANDREY】:終わりがないように見えたレコーディングセッションは実験の宝庫だったよ。用意された楽器もオリジナルの奏法から新しいアプローチを発見していったり・・・当初のアイデアは最高にエクレクチックファッション(異種混合の)なアルバムに世界を詰め込んだサウンドにしようぜだったんだ。だけど同時にコンセプトを反映させる必要もあった。出来るだけミニマリスティック(単純簡潔、非個性化によって芸術効率を上げる手法)にしようとしたよ。だけど結局はそれでも凄く濃いものになってしまったね。何度も何度も編集して書き直したんだ。

Q4:Would you tell me five albums that changed your life?

Andrey: I could name thousands but they won’t fit. The awesome thing is, any musical album has at least one message. Many of them influence our choices. I can’t be more specific. If you’re looking for suggestions, you’d rather start a habit of listening to a ‘new unexplored genre’ every day. This simple technique is sure to make your life and musical scope way richer.

Jim : Every album changes my life.  I will list some good ones.
Chick Corea Elektric Band 1986.   Come on, any drummer who was serious about the craft of drums heard this, and wanted to practice or quit.

The 5th Dimension – The Magic Garden 1967.  Was this the first concept album?  Incredible stuff.

Janis Ian – Miracle Row 1977.  Made me ultimately realize that cool songs are worth listening to the words.  Very nice album (Between The Lines too!)

Suffocation – Pierced From Within 1995.   Made Death Metal the coolest.  Saw them twice in a week that tour. (Malevolent Creations 1993 and 1995 releases kicked ass)

Frank Zappa – Man From Utopia 1983.   A fun one!   Only the vinyl is worth listening to.  The CDs are messed up.  Really dug the vocal transcriptions of Dangerous Kitchen etc…

人生を変えた5枚のアルバム
【ANDREY】:何千枚でも挙げられるけどどれもしっくり来ないんだ。驚くべきことにどんなアルバムも少なくとも一つはメッセージを残してくれる。そしてそれらの多くが僕らの選択に何らかの影響を与えるんだ。明確には言えないけどね。助言するなら毎日、新発見のジャンルを聴くようにするといい。単純な事だけど君の人生と音楽観が豊かになると思うよ。
【JIM】:どのアルバムも僕の人生を変えるよ。幾つか挙げてみるね。
Chick Corea Elektric Band 1986.真剣に技巧を学んでいるドラマーがこれを聴いたら練習するか止めるかどちらかだね。
The 5th Dimension – The Magic Garden 1967.最初のコンセプトアルバムじゃない?信じられないよ。
Janis Ian – Miracle Row 1977.クールな曲は歌詞も聴く価値があるって究極に教えられたよ。
Suffocation – Pierced From Within 1995.デスメタルを最高にクールなものにしたね。このツアーは一週間に二回彼らを見たよ。(Malevolent Creationsの1993、1995作も最高だった)
Frank Zappa – Man From Utopia 1983.面白いよね。ヴィニール盤だけ聴く価値がある。リイシューのCDは失敗だよ。Dangerous Kitchenなんかのボーカル改編はホント無駄だったよね。

【MESSAGE FOR JAPAN】

We are also looking forward to “Part 2 under progress”, What is your target now? Finally, Message for Japanese fans!!

Jim : Thank you Japan!!!!

Vishal : Thank you. Andrey is settling in Tokyo soon. Visit us at http://amoghsymphony.net and http://www.facebook.com/amoghsymphony . Hope you guys will like our new album.

ANDREYがすぐ日本に来るそう。上記彼らのHPとFBページをぜひチェックして下さい!!

Andrey: Douzo yoroshiku onegaishimasu. Please enjoy our album, fan no minnasama! Cheers.

JAPANESE VIDEO PREMIERE【SOUNDS OF SPUTNIK】>>>NEW BORN FEAT. UMMAGMA


【NEW BORN FEAT. UMMAGMA】

BY SOUNDS OF SPUTNIK

MARUNOUCHI MUZIK MAGAZIN Presents JAPANESE VIDEO PREMIERE OF SOS!!!

SOUNDS OF SPUTNIKの初PVを日本独占公開です!!

【ABOUT NEW BORN】

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New Born, the debut album from Moscow’s Sounds of Sputnik, is a kaleidoscope of reverb-soaked guitar, calculated drums, thick bass, and angular guitars intertwined with ethereal vocals. This is extraordinary noise-pop, with layered harmonies, interlacing synth and distorted guitars. Sounds of Sputnik paired up with Canadian-Ukrainian duo Ummagma to co-write, produce, and record this album, to be released on UK label Ear to Ear Records. Ummagma’s Shauna McLarnon and Alexx Kretov both contribute solid warming vocals.

モスクワ出身、SOUNDS OF SPUTNIKのデビューアルバムNEW BORNを文字に表すと、リバーブに浸した万華鏡のようなギター、計算されたドラムワーク、厚みのあるベース、エッジーなギターに絡み合う天上のボーカルといった感じになるでしょうか。 幾重にも折り重なったハーモニー、網目のように張り巡らされたシンセサウンド、そしてディストーションの効いたギターを味わえる極上のNOISE-POPです。 SOUNDS OF SPUTNIKは今回、カナダ/ウクライナのデュオUMMAGMAと共に作曲、プロデュース、レコーディングを行いました。UKのレーベルEAR TO EAR RECORDSから発売されます。UMMAGMAのShauna McLarnonとAlexx Kretovがそのソリッドで温もりのある歌声を披露していますよ。

【WHAT’S SOUND OF SPUTNIK LIKE?】

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This project leans heavily on a shared love of melodic dream pop, post-rock and shoegaze with each member bringing their own influences: aspects of Lush, Curve, My Bloody Valentine and No Joy cleverly blend with Hammock, Jesus & Mary Chain and The Twilight Sad to create remarkable “dream noise”.

このプロジェクトはMELODIC DREAM POP,POST-ROCK,SHOEGAZEへの愛に溢れています。
LUSH,CURVE,MY BLOODY VALENTINE,NO JOY CLEVERY BLEND WITH HAMMOCK,JESUS & MARY CHAIN,TWILIGHT SADといったアーティストからの影響をメンバー各自が持ち込んで素晴らしい”DREAM NOISE”が誕生しました。

【12 YEARS】

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Rewind about 12 years ago. Roman, Shauna and Alexx were collaborating a bit until Shauna and Alexx left Russia. After losing contact for an entire decade, the three finally reunited last year and quickly beginning to work on new material. This release is a timely show of beauty in the face of the current ugly situation occurring between Ukraine and Russia.

12年前、このプロジェクトの3人(Roman,Shauna,Alexx)はShaunaとAlexxがロシアを離れるまで少しの間コラボレートしていました。10年もの間連絡を取らないでいましたが、昨年ついに再集結し早速新しいマテリアルに取り掛かりました。現在ウクライナとロシアの間で起こっている醜い現在の状況に対してこのアルバムはその2国間の美しい一面を提示しています。

【PERSON CONCERNED】

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New Born features drummer Graham Bonnar (Swervedriver/ Brian Jonestown Massacre) on ‘Overdrive’, and remixes by Malcolm Holmes (Orchestral Manoeuvres in the Dark), psych rock producer Fran Ashcroft (Damon Albarn, Lords of Acid), Russian producers Morozov and Oleg Mezherovsky, and Brazil’s Mind Movies. British producer Marc Joy (Primal Scream, Mike Peters, Oasis Golden Fable, Bernard Butler) provided mastering support.

アルバムではGraham Bonnar(SWERVEDRIVER/BRIAN JONESTOWN MASSACRE)が’Overdrive’に参加しています。Malcom Holmes(Orchestral Manoeuvres in the Dark),サイケロックのプロデューサーFran Ashcroft(Damon Albern,LORDS OF ACID)などがリミックスを行い、UKのプロデューサーMarc Joy(PRIMAL SCREAM,Mike Peters,OASIS,GOLDEN FABLE,Bernard Butler)がマスタリングのサポートを行っています。

【MESSAGE FOR JAPANESE FANS】

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From Shauna

“From a small room with four walls, the music is born but still cannot grow if it is listened to only by its creators. We want this seed to scatter in the wind and grow in fields across the planet. This is our introduction to Japanese listeners and we are eager to grow this music in Japan too! Thank you to every listener and for the sound-space we share at the time you are listening…  This unites us with you in growing this music. Arigatou”

“壁に囲まれた小さな部屋で音楽は生まれます。ただ作者だけに聴かれていたとしても音楽は育ちません。私達はこの種を風に乗せて運び、世界中で育てたいと思っています。このビデオと記事は私達から日本のリスナーへの「初めまして」です。この音楽を日本でも育みたいと強く願っているのです。聴いていただいた全ての皆様にありがとうと言いたいです。あなたがこの曲を聴いている時、私達は同じ時と場所に居るのです・・・私達は繋がっていますよ。Arigatou”

後にこの記事を読まれて興味を持たれたレーベル、DJ、レヴュワーの方がもしいらっしゃいましたら当サイトのコメ欄、メールフォームでも構いませんし直接アーティストの方に連絡でも良いのでぜひコンタクトを取ってみてください。日本のマーケットにとても興味があるそうです!!

www.ummagma.com www.facebook.com/ummagma www.facebook.com/soundsofsputnik

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