EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN MATOS OF ABIOTIC !!
“I Was Doing Some Reading And Fell In Love With The Concept Of Ikigai. In These Challenging Times, I Know a Lot Of Us Are Struggling With Finding Our Reason For Being, And I Wanted To Write an Album About That Struggle, Pain, And Perseverance.”
DISC REVIEW “IKIGAI”
「日本についての本を読んでいたら、”Ikigai” というコンセプトに惚れ込んでしまったんだよ。この厳しい時代に、僕たちの多くは自分の存在理由を見つけ出すのに苦労していると思う。僕はそんな苦労や痛み、忍耐についてのアルバムを作りたいと思ったんだよね」
2010年の結成以来、フロリダで最も急速に成長を遂げたデスコア/テクデスのハリケーン、ABIOTIC。5年間の活動休止で彼らは内面的にも音楽的にも遥かな進化と成熟を遂げ、彼らの存在理由、”生き甲斐” を叩きつけてみせました。
「それぞれの楽曲は、生き甲斐というコンセプトを異なるアプローチで表現している。5年の歳月を経て、宇宙やエイリアンについての作品は今でももちろん好きだけど、生き続ける理由を見つけるのに苦労するような時代に、感じられるもの、親近感を持てるものを書きたいと思ったんだ」
コロナ・ウィルスが日常を、社会を、そして音楽業界全体を破壊し続けていることは言うまでもありません。人の心まで侵される現代の恐怖の中で、ABIOTIC が復活を遂げたのは決して偶然ではないでしょう。デビュー作の “Symbiosis” や、プログレッシブ・スペース・オデッセイ “Casuistry” で宇宙や地球外生命体を探求した彼らは、遂に地上へと降り立ち、人類の現状を憂い、人と繋がりながら悲しみ嘆き、共感し、空想的なものよりも優先すべきテーマを見つけました。
「あれほど才能のあるバンドが多数所属するレーベルの一員になれて嬉しいね。アーティスト自身が運営するこのレーベルは、まるで家族のように感じられるんだ」
Metal Blade から Artisan Era へのレーベルの移動、SCALE THE SUMMIT の Killian Duarteとドラマーでありエンジニアでもある Anthony Simone を含む再編成されたラインナップ、さらに THE BLACK DAHLIA MURDER, ARCHSPIRE, ENTHEOS, FALLUJAH といった錚々たるバンドからの錚々たるゲスト陣を見れば、このバンドがメタル世界における “Symbiosis” “共生” を実現していることに気づくでしょう。そして、一欠片の獰猛も損なうことなく、プログレッシブ・ジャジーな奇譚と和の旋律が “共生” する9通りの “Ikigai” は、これまで以上に共感を誘う傑作に違いありません。
和の心、メロディー、情景、情緒を存分に取り入れた開幕の “Natsukashii”, “Ikigai” は、さながらデス・メタルで綴る日本の歴史絵巻。正確無比なテクデスの猛威に浸透する大和の雅は、リスナーの心身に映像を投影する新生 ABIOTIC の哲学を承知しています。
「不寛容さに直面しているトランスジェンダーとしての人生、依存症患者としての人生、メンタルヘルスと闘っている虐待を受けた子供としての人生、気候変動によって住処が破壊されたフクロウとしての人生など、無限の人生は苦悩しながらも、その苦悩に耐えているんだよね。そして、16世紀の日本の野山で息を引き取る前に、彼はその生のつながりに自分の目的を見出すわけさ」
アートワークの侍は、”Ikigai” で切腹を遂げる今際の際に、21世紀におけるさまざまな人生の苦悩を走馬灯のように目撃し、共感します。
トランスフォビアによる虐待と自死をテーマとしたリード・シングル “Souvenir of Skin” のように、侍が目にする苦痛はすべてが21世紀のもの。切腹の果てに訪れるやるせない未来は、重さを極めながら記憶に残る ABIOTIC の哀しみと濃密な二重奏を描いていきます。さながら、Travis Bartosek の重低咆哮と、TBDM の Trevor の雄叫びがシンクロするように。
FALLUJAH の Scott Carstairs が嗚咽と希望を壮大なスケールのギターソロで表現し、バンドがソングライティングの粋を尽くして GORGUTS の異形やメロディーを重ねる “Horadric Cube” は傑出した瞬間ですし、CYNIC の宇宙と諸行無常が ex-THE CONTORTIONIST の Jonathan Carpenter の美声によって無限に広がる “Grief Eater, Tear Drinker” はアルバムの痛みそのものと言えるでしょう。
重厚なストリングスに導かれる “Gyokusai” で侍は生きる意味を見出します。ただし、すべては遅すぎました。死はもう始まっていました。辿り着いたのは永遠の休息。きっとリスナーには、手遅れになる前に、何かを見つけて欲しいと願いながら。
今回弊誌では、ギタリスト John Matos にインタビューを行うことができました。「アルバムの制作とアートワークは “Ghost of Tsushima” が発売される前に完了していたんだけど、人々が僕たちのアートワークと音楽をあの最高のゲームに関連付けてくれるのは素晴らしいことだよね」 どうぞ!!
ABIOTIC “IKIGAI” : 10/10
INTERVIEW WITH JOHN MATOS
Q1: It’s great to have you guys back! First of all, could you tell us how you went from being inactive to reuniting?
【JOHN】: Thank you so much. It feels so good to be back. I had been working on some solo music and posting about it on social media. Our vocalist Travis reached out to me after hearing some of the material and suggested that we put together another album. After taking some time to straighten out some things in our personal lives, it seemed like the right time to come back, and I’m so glad that we did.
Q1: ABIOTIC が復活して嬉しいですよ!まずは、活動停止から再出発までの道のりをお話ししていただけますか?
【JOHN】: 本当にありがとう!戻って来られてとても気分がいいね。僕はいくつかソロで音楽を作っていて、それをソーシャルメディアに投稿していたんだ。ボーカリストの Travis がその曲を聴いて連絡してきて、次のアルバムを作ろうと提案してくれたんだよね。
個人的なことを整理するためにしばらく時間をかけた後、復帰するのに適切な時期だと思ったんだ。うん、復帰できて本当に良かったと思うよ。
Q2: You’ve moved from Metal Blade to Artisan Era. It’s a label full of bands that are evolving tech death, and it’s perfect for you, isn’t it?
【JOHN】: I love being on a label with such talented bands. A label run by artists themselves that really make it feel like a family. They’ve been great to work with through this release.
Q2: 復活に際して、バンドは Metal Blade から Artisan Era へとレーベルを移しました。Artisan Era は革命的なテクデス・バンドが集うレーベルで、ABIOTIC にフィットしていますよね?
【JOHN】: あれほど才能のあるバンドが多数所属するレーベルの一員になれて嬉しいね。アーティスト自身が運営するこのレーベルは、まるで家族のように感じられるんだ。今回のリリースでは、彼らと一緒に仕事ができてよかったね。
Q3: The title “Ikigai” translates from Japanese as “a reason for being”. Why did you choose this word in Japanese?
【JOHN】: I was doing some reading and fell in love with the concept of Ikigai. In these challenging times, I know a lot of us are struggling with finding our reason for being, and I wanted to write an album about that struggle, pain, and perseverance. Each song represents a different approach to that concept. After 5 long years, we decided that as much as we love albums about space and aliens, we wanted to write something that could be felt and that would be relatable, as we all struggle to find our reason to carry on in these trying times.
Q3: “Ikigai” というタイトルはもちろん、日本語の “生き甲斐” であり、生きる目的といった意味ですね?
【JOHN】: 日本についての本を読んでいたら、”Ikigai” というコンセプトに惚れ込んでしまったんだよ。この厳しい時代に、僕たちの多くは自分の存在理由を見つけ出すのに苦労していると思う。僕はそんな苦労や痛み、忍耐についてのアルバムを作りたいと思ったんだよね。
それぞれの楽曲は、生き甲斐というコンセプトを異なるアプローチで表現している。5年の歳月を経て、宇宙やエイリアンについての作品は今でももちろん好きだけど、生き続ける理由を見つけるのに苦労するような時代に、感じられるもの、親近感を持てるものを書きたいと思ったんだ。
Q4: Have you always been interested in Japanese culture, Bushido and the Samurai?
【JOHN】: I’ve been interested in Japanese culture for as long as I can remember. Japan is one of my favorite places in the world and I cannot wait until we can finally play some shows there.
Q4: ということは、あなたは日本の文化、武士道や侍に興味を持ち続けているということですか?
【JOHN】: そうだね、物心ついたときから日本の文化に興味があったんだよ。日本は世界で最も好きな場所のひとつで、いつか日本でショーを行うことができる、そんな日が待ち遠しいよね。
Q5: The artwork has a “Ghost of Tsushima” feel to it, did you have that kill or be killed world in mind for the album?
【JOHN】: We actually wrote the album and had the artwork done before GoT came out, but it’s been awesome to see people relate the cover and music to such an incredible game. Lyrically, this album tells so many stories. The cover art depicts a traditional Samurai committing seppuku and as the Samurai is bleeding out, he sees these lives, his future lives. Life as a trans man/woman facing intolerance, as an addict, as an abused child battling mental health, as an owl as its home is destroyed by climate change; an infinite amount of lives struggling, but persevering in their struggle. Tying it all together, he finds his purpose in that moment of connection before he passes away on that field in 16th century Japan.
Q5: アートワークは、ビデオゲーム “Ghost of Tsushima” の世界観を想起させますね?
【JOHN】: 実は、アルバムの制作とアートワークは “Ghost of Tsushima” が発売される前に完了していたんだけど、人々が僕たちのアートワークと音楽をあの最高のゲームに関連付けてくれるのは素晴らしいことだよね。
歌詞の中にはたくさんの物語が詰まっている。アートワークには、伝統的な侍の切腹の様子が描かれているけど、この侍は血を流している間に、様々な人生、そして自分の未来の人生を見ているんだよ。
不寛容さに直面しているトランスジェンダーとしての人生、依存症患者としての人生、メンタルヘルスと闘っている虐待を受けた子供としての人生、気候変動によって住処が破壊されたフクロウとしての人生など、無限の人生は苦悩しながらも、その苦悩に耐えているんだよね。そして、16世紀の日本の野山で息を引き取る前に、彼はその生のつながりに自分の目的を見出すわけさ。
Q6: Musically, it seems to have moved in a more technical and progressive direction without losing any of its ferocity. There are more jazz and atmospheric elements, and the contrasts are also more prominent, would you agree?
【JOHN】: I would agree with that assessment, for sure. I think we’ve all really grown as songwriters and have continued to try and mesh the world of technical music with melodic, heavy, and memorable music. .
Q6: 音楽的には、獰猛さを微塵も失うことなく、よりテクニカルでプログレッシブな方向性へと舵を切りましたよね?ジャズやアトモスフェリックな要素が増えたことで、対比が際立っています。
【JOHN】: 確かに、その評価には同意できるよ。僕たちは皆、本当にソングライターとして成長しているからね。そうやってずっと、テクニカルな音楽の世界と、メロディックでヘヴィーで、そして何より記憶に残る音楽をかみ合わせようとし続けてきたからね。
Q7: The Black Dahlia Murder, Fallujah, Archspire and many other great guest musicians. How did you decide to include them?
【JOHN】: We asked artists we thought would fit the songs we wanted guest spots on and artists we always dreamed of collaborating on. We didn’t know when we recorded our second record ‘Casuistry’ that it could potentially be our last. I don’t think ‘Ikigai’ will be, but we approached this album with that mindset and pulled out all the stops.
Q7: THE BLACK DAHLIA MURDER, FALLUJAH, ARCHSPIRE といった強力なバンドたちから、豪華なゲストが集まりました。
【JOHN】: 僕たちは、ゲスト参加してほしい曲に合うと思われるアーティストや、常々コラボレーションを夢見ていたアーティストに参加を打診していったんだ。
2枚目のアルバム “Casuistry” を録音したときには、これが最後のアルバムになるかもしれないなんてまったく思っていなかった。だけど今回の “Ikigai” では、まあそうなるとは思わないけど、僕たち全員がそのような心持ちでこのアルバムに臨み、あらゆる手段を講じたわけさ。
Q8: It’s a really diverse record, but it’s important you never lose your aggression and edge. For example, Bring Me The Horizon are close to mainstream and abandoned metal edge somehow, right? What’s your perspective about their way of ‘evolution”?
【JOHN】: I actually don’t really listen to Bring Me The Horizon, so I’m not the best person to ask this question, but I’m all anout evolution. Last thing I want to do is put out the same record twice.
Q8: あなたたちは進化を遂げても獰猛さを失いませんが、例えば BRING ME THE HORIZON はメインストリームへと接近して、ある程度メタルのエッジを放棄していますよね?
【JOHN】: 実のところ、僕は BRING ME THE HORIZON を全く聴かないから、何かを言える立場にはないんだけど、僕が求めるのは進化だけだ。だから同じようなレコードを2度出すことは、絶対に避けたいと思っているよ。